JP7362060B2 - 計測装置及び計測装置用の演算処理装置 - Google Patents
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Description
また、連成可能な二本のカンチレバーを製作することは、一本のカンチレバーを製作することと比べれば技術的難易度が高く、製作歩留まりの悪化、煩雑性の悪化、コスト上昇等のデメリットが生じていた。
なお、以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の具体的な構成について記載されている。しかしながら、このような特定の具体的な構成に限定されることなく他の実施態様が実施できることは明らかである。また、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本実施形態では、計測装置により測定対象物の質量を測定する場合について説明する。
初めに、同等なバネ剛性と質量とをもち、同一支持部材に連成振動が可能なように設けられた二つの振動体(例えば、カンチレバー等)を有する振動部を用いた、質量測定方法を説明する。
一方、測定対象物を二つの振動体のうちの一方に付加して、自励振動が発生したときの振幅比を測定する。そして、例えば、測定対象物を付加していないときの振幅比に対する、測定対象物を付加したときの振幅比の変化から、測定対象物の質量を計測する。
図1(a)に示すように、振動部1は、カンチレバー1Aと、カンチレバー1Bと、支持部材1Cと、オーバーハング部1Dとを含んで構成される。
カンチレバー1A及び1Bは、共に同じ材料及び形状で構成されており、支持部材1Cに一端が固定され他端が自由端となる片持ち梁の状態で支持部材1Cに並設(連成)されている。つまり、カンチレバー1A及び1Bは、同等なバネ剛性と質量とを有している。
図1(a)では、カンチレバー1Bに測定対象物を取り付け、カンチレバー1A及び1Bに外部から速度フィードバックとして変位を与えることで、カンチレバー1A及び1Bに自励振動を発生させる。
本実施形態に係る計測装置は、このような質量測定方法を用いて測定対象物の質量を計測する際に、図1(b)に示すように、カンチレバー1A及びオーバーハング部1D(支持部材1Cを含む。)をデジタルシグナルプロセッサ(DSP)等で構成される演算処理装置上で仮想モデルとして実現する。
図2は、本実施形態に係る計測装置に含まれる振動部1の力学系の等価モデルの一例を示す図である。
図2に示すように、振動部1を、連成された二つのカンチレバー1A及び1Bを考慮にいれた、「バネ-質量(マス)-ダンパ」系の等価モデル(以下、連成モデルともいう。)として考える。
図2に示す連成モデルでは、カンチレバー1Aは、支持部材1Cに一端が支持されたバネ定数kの第1バネa1と、支持部材1Cに一端が支持された減衰定数cの第1ダンパa2と、第1バネa1及び第1ダンパa2の他端に支持された質量mの第1物体a3とを備えたモデルとなる。
そして、本実施形態に係る計測装置は、図2中、破線で囲む部分が、仮想モデルとして模擬される。
m・(d2x1/dt2)+c・(dx1/dt)
+(k+kc)・x1-kc・x2=F
…(1)
(m+Δm)・(d2x2/dt2)+c・(dx2/dt)
-kc・x1+(k+kc)・x2=F
…(2)
F=b・dx2/dt …(3)
m・(d2x1/dt2)+c・(dx1/dt)
+(k+kc)・x1-kc・x2=b・(dx2/dt)
…(4)
(m+Δm)・(d2x2/dt2)+c・(dx2/dt)
-kc・x1+(k+kc)・x2=b・(dx2/dt)
…(5)
m・(d2x1/dt2)+c・(dx1/dt)
+(k+kc)・x1-kc・x2-b・(dx2/dt)=0
…(6)
(m+Δm)・(d2x2/dt2)+c・(dx2/dt)
+k・x2=kc・(x1-x2)+b・(dx2/dt)
…(7)
ここで、(6)式を、演算処理装置で仮想的に模擬するためには、状態変数Xを次式(8)として、式(6)を状態方程式に変換したのち、四次のRunge-Kutta法を用いてそれを解き、時刻tでの状態量(式(9))から単位ステップ時間後すなわち時刻t+hで状態量(式(10))を導出する。この時の仮想的なカンチレバー1Aの変位がx1(t+h)、速度がdx1(t+h)として求まる。
次に、(7)式の運動方程式、つまり、実在のカンチレバー1Bの運動方程式において、右辺の項を、加振力Fで表す。
つまり、運動方程式(7)は、加振力をFとすると、次式(11)で表される。
(m+Δm)・(d2x2/dt2)+c・(dx2/dt)
+k・x2=F
…(11)
F=kc・(x1-x2)+b・(dx2/dt)
…(12)
つまり、(7)式を実現するために必要な加振力Fは、自励発振させるための速度フィードバック成分(線形速度フィードバック成分)と、連成効果を模擬するための変位フィードバック(線形変位フィードバック成分)との和となる。
以上から、連成カンチレバーの模擬に必要な演算とフィードバックすべき情報とがわかる。
次に、図2に示す仮想的な連成モデルの模擬方法が正しいかどうかを検証するために、マクロカンチレバーを用いて計測を行った。この計測は、図2に示す仮想的な連成モデルを模擬する図3~図5に示す計測装置100で行った。計測装置100では、実在のカンチレバー1Bの固定端がピエゾアクチュエータと接合されたマクロカンチレバーの先端から10mmの位置に、測定対象物としての付加質量を取り付け、計測を行った。
図3は、計測装置100の一例を示す概略構成図である。
計測装置100は、実在のカンチレバー1B、カンチレバー1Bの振幅を検出する変位計23及びカンチレバー1Bを振動させるアクチュエータを含む実振動体部11と、変位計23からの検出信号を用いて、仮想的なカンチレバー1Aの運動を模擬すると共にアクチュエータを制御するための連成制御処理を行う、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)等で構成される演算処理装置12と、演算処理装置12からの指令信号にしたがってアクチュエータ22を駆動する駆動回路13と、表示装置14とを含む。
支持部材21は、図5に示すように、細長い板状のカンチレバー1Bの一端を、カンチレバー1Bの幅方向が上下方向に垂直となるように支持する。
また、支持部材21は、カンチレバー1Bを保持する保持部21aと、保持部21aを、カンチレバー1Bの長手方向と直交する方向に摺動自在に支持する案内部21bを備える。保持部21aと案内部21bとは、直線ベアリング等を介して摺動自在に支持される。
図6は、計測装置100全体のダイナミクスの一例を示すブロック線図である。
ここで、DSP等で構成される演算処理装置12での計算上、有次元で説明されていた式(1)~式(12)は無次元量に換算する必要がある。式(6)及び式(7)を無次元化すると、次式(13)及び(14)で表すことができる。
(d2x1*/dt*2)+γ・(dx1*/dt*)
+(1+kc*)・x1*-kc*・x2*
-β・(dx2*/dt*)=0
…(13)
+γ・(dx2*/dt*)+x2*
=kc*・(x1*-x2*)+β・(dx2*/dt*)
…(14)
なお、式(14)中の、記号「*」は無次元量であることを表し、x1*、x2*は、それぞれx1、x2に対応する。また、t*=(k/m)1/2・t、γ=c/(m・k)1/2、kc*=kc/k、β=b/(m・k)1/2、δ=Δm/mである。
図6に示すように、カンチレバー1Bの変位x2は変位計23で検出され演算器31で変位計23のゲインG1が乗算された後、AD変換器(ADC)32でデジタル信号に変換され、演算処理装置12で処理される。すなわち、AD変換器32の出力は、演算器33でゲインG2が乗算された後、LPF(ローパスフィルタ)部34、微分器(振動速度検出部)35を経て、変位x2の一階微分値dx2*/dt*に変換されて乗算器36に入力され、乗算器36からβ・(dx2*/dt*)が出力される。変位x2*の一階微分値dx2*/dt*に速度フィードバックゲインβを乗算することで自励発振させるためのフィードバック成分を作り出す。このフィードバック成分は加算器37に入力される。
演算器39は、演算器33の出力x2*及び微分器40の出力dx2*/dt*をもとに、Runge-Kutta法を用いて仮想のカンチレバー1Aの変位x1*を求める。変位x1*は、演算器39に入力され、演算器39から変位x1*と変位x2*との差分が出力される。この差分に、仮想のカンチレバー1Aと実在のカンチレバー1Bとを連成させるための変位フィードバックゲインkc*を、乗算器41で乗算することで、連成剛性を模擬するためのフィードバック成分を作り出す。このフィードバック成分は、加算器37に入力される。速度フィードバック成分としての乗算器36の出力β・(dx2*/dt*)と変位フィードバック成分としての乗算器41の出力kc・(x1*-x2*)は、加算器37で加算され、加振入力変位Δxとして出力される。加振入力変位Δxは、演算器42に入力されゲインG3が乗算された後、DA変換器(DAC)43を介してアクチュエータ22に出力される。つまり、DA変換器43の出力は、乗算器(フィードバック制御部)44でアクチュエータ22(ピエゾアクチュエータ)の圧電定数d33が乗算されて、カンチレバー1Bに加振入力変位Δxとして入力される。これにより、仮想的な振動体の連成効果を模擬したフィードバックループが構成される。
なお、ゲインG2、G3は、例えば、無次元量から有次元量に換算するための代表長さ及び代表時間に基づき設定される。
次に、計測装置100で用いた実在のカンチレバー1Bの特性を説明する。
カンチレバー1Bの材質は、C5191P(リン青銅板)である。カンチレバー1Bの形状は固定端からの長さが210[mm]、幅が15[mm]、厚さが0.3[mm]である。また、カンチレバー1Bの固有周波数f1は3.964Hz、無次元減衰係数γは1.770×10-3である。
以上の構成を有する計測装置100において、変位フィードバックゲインkc*を任意の値に設定することによって、仮想のカンチレバー1Aと実在のカンチレバー1Bとの連成剛性を、所望の値に設定することができているかの確認を行った。具体的には、仮想の連成剛性を模擬するための変位フィードバックゲインkc*を変化させたときの、実在のカンチレバー1Bの二次モード固有周波数f2の変化状況を利用して確認を行った。
図7(a)は、変位フィードバックゲインkc*として設定した値と、そのときの実在のカンチレバー1Bの二次モード固有周波数f2の測定値とを示す。なお、カンチレバー1Bの二次モード固有周波数f2は、例えば変位計23の検出値から検出されるカンチレバー1Bの自由振動の周波数分析から得ることができる。
kce*=(1/2)×{(f2/f1)2-1}
…(15)
図8(a)及び(b)において、横軸は質量比、縦軸は振幅比(x1/x2)である。
図8(a)及び(b)から、振幅比は質量比の増加に伴い単調に減少していることがわかる。つまり、振幅比から質量計測を行うことができることが確認された。
また、図8(a)及び(b)から、変位フィードバックゲインkc*が小さい方が、質量比の変化に対する振幅比の変化量が大きいことがわかる。つまり、変位フィードバックゲインkc*を変化させることで、測定対象物の質量の計測感度を調整することができ、変位フィードバックゲインkc*が小さいほど、計測感度がより向上することが確認できた。
また、計測装置100では、実在のカンチレバー1Bと仮想のカンチレバー1Aとの変位の差分に比例した変位フィードバックをカンチレバー1Bに与えるようにしたため、連成剛性を模擬することができる。また、変位フィードバックゲインkc*を調整することで、任意の連成剛性を模擬することができる。
さらに連成剛性を任意に変化させることによって、測定対象物の質量の計測感度を調整することができる。また、連成剛性は任意に変化させることができ、すなわち、機械工作を行って実在の二つのカンチレバーを接続して連成接続する場合に比較して、連成剛性をより小さくすることができる。すなわち、より精度の高い計測装置100を実現することができる。
〔1〕上記実施形態において、計測装置100を、自励発振の振幅をより小さく抑えることができるように構成してもよい。
すなわち、加振力をFとして、次式(16)で表される値を用いる。
F=kc・(x1-x2)+b・(dx2/dt)
+f(x,(dx/dt)) …(16)
f(x,(dx/dt))=bn・(dx2/dt)3
…(17)
m・(d2x1/dt2)+c・(dx1/dt)
+(k+kc)・x1-kc・x2
=b・(dx2/dt)+bn・(dx2/dt)3
…(18)
(m+Δm)・(d2x2/dt2)+c・(dx2/dt)
-kc・x1+(k+kc)・x2
=b・(dx2/dt)+bn・(dx2/dt)3
…(19)
なお、初期処理として、フィードバックゲインbの設定を行う処理も含めて行うようにしてもよい。
例えば、磁石等、カンチレバー1Bの固定端を、往復動させることができるアクチュエータであれば適用することができる。
また、上記実施形態において、カンチレバー1Bの先端側を振動させるようにしてもよい。例えば、磁石或いはピエゾアクチュエータ等、カンチレバー1Bの先端を振動させることができるアクチュエータであれば適用することができる。
例えば、AFM(原子間力顕微鏡)等で用いられるプローブに適用し、実在のプローブと仮想のプローブとを連成結合した仮想モデルを模擬してもよい。
また、測定対象の物理量としては、質量に限るものではなく、表面形状、弾性率、粘弾性率、力の場のいずれかであってもよい。ここでいう、力の場とは、空間の電場、空間の磁場、万有引力の空間分布等を含む。
本実施形態における計測装置100では、一方のカンチレバー1Aは仮想のカンチレバーであるため、二つのカンチレバーを、一方のカンチレバーが電場の影響を受けない位置まで離して配置した場合と同等の状況を、仮想的に実現することができる。そのため、二つのカンチレバーが共に電場の影響を受けることを回避することができ、その分、計測精度を向上させることができる。
また、万有引力の空間分布を測定することにより、例えば、移動体の質量を検出することができる。つまり、地上では質量体の移動に伴い、万有引力の変化が生じるため、この万有引力の変化を検出することで、移動体の質量を検出することができる。
図9において、仮想のカンチレバーCL1と実在のカンチレバーCLnとは、同一の固有周波数を有する。固有周波数を一致させる方法としては、仮想のカンチレバーCL1と感度向上用のカンチレバーCL2~CLn-1と実在のカンチレバーCLnとを同一の材料及び形状で構成し、同等のバネ剛性と質量とを有するように形成する方法や、バネ剛性と質量との比を一致させる方法等がある。
感度向上用の仮想のカンチレバーCL2~CLn-1は、仮想のカンチレバーCL1と同様に、演算処理装置上で仮想モデルとして実現される。仮想のカンチレバーCL1と実在のカンチレバーCLnとが同一の固有周波数を有していれば、感度向上用の仮想のカンチレバーCL2~CLn-1の固有周波数は、仮想のカンチレバーCL1及び実在のカンチレバーCLnの固有周波数と同一でなくてもよい。
同様に、実在のカンチレバーCLnは、図10の右端の一点鎖線の枠内のカンチレバーとして示すように、支持部材1Cに一端が支持されたバネ定数knの第nバネKnと、第nバネKnの他端に支持された質量mnの第n物体Mnと、を備え、さらに、第nバネKnは、バネ定数knに、測定対象の原子間力に応じたバネ剛性Δkが付加されたモデルとなる。
さらに、図10に示す連成モデルでは、第1物体M1と第2物体M2とはバネ定数kcのバネKc1によって接続され、同様に、隣り合う物体同士がバネ定数kcのバネによって接続され、実在のカンチレバーCLnに対応する第n物体Mnと感度向上用のカンチレバーCLn-1に対応する第(n-1)物体Mn-1とがバネ定数kcのバネKcn-1によって接続される。このバネ定数kcのバネKc1~Kcn-1が、図9のオーバーハング部1Dに相当し、カンチレバーCL1~CLnの連成効果を生じさせる。図10において、破線で囲む部分が仮想モデルとして模擬される。
ここで、非特許文献1及び非特許文献2には、レゾネータ(カンチレバー)を用いた計測装置において、多数のレゾネータを弱連成すると、レゾネータの数を増加させるほど、計測装置を高感度化することができることが記載されている。
非特許文献1の式(13)から、n番目のカンチレバーCLnの無次元の剛性変化δ=Δk/k1に対する、二次モードにおける1番目のカンチレバーCL1とn番目のカンチレバーCLnとの振幅比an2(振幅比1からのずれ)の変化割合S2は、次式(20)(非特許文献1の式(13)に対応)で与えられる。なお、(20)式中の、αiは、αi=mi/m1(i=2、…、n)、δ=Δk/k1、κ=kc/k1、λpはn個のカンチレバーCL1~CLnを有する振動部を備えた計測装置におけるp次の固有値である。
条件1 カンチレバーの数nをできるだけ多くする。つまり、感度向上用のカンチレバーを多数設ける。
条件2 αn=mn/m1をできるたけ小さくする。
条件3 感度向上用のカンチレバーCL2~CLn-1の各質量m2~mn-1を、カンチレバーCL1の質量m1よりも大きくする。
条件4 カンチレバーCL2~CLn-1の各バネ剛性すなわちバネ定数k2~kn-1をカンチレバーCL1のバネ剛性すなわちバネ定数k1よりも大きくする。
このように容易に感度を向上させることができるため、感度が低いため計測することのできなかった物理量であっても、上述のように感度を向上させることで計測することが可能となり、使い勝手を向上させることができ、汎用性を高めることができる。
また、条件2にあるように、αn=mn/m1をできるだけ小さくすることで、感度があがる。ここで、m1は、仮想のカンチレバーCL1が有する第1物体M1の質量であるため、本実施形態では、質量m1を仮想的に増加させるほど感度を向上させることができ、感度を容易に向上させることができる。非特許文献1や非特許文献2に記載の技術では、質量m1を増加させることは物理的なサイズや、強度、コストなどに制限されるため、限界がある。
1A カンチレバー(仮想振動体)
1B カンチレバー(実振動体)
1C 支持部材
1D オーバーハング部
11 実振動体部
12 演算処理装置
13 駆動回路
14 表示装置
21 支持部材
21a 保持部
21b 案内部
22 アクチュエータ
22a 軸部
22b 支持部
23 変位計
100 計測装置
100a 模擬装置
CL1 仮想のカンチレバー
CL2~CLn-1 感度向上用のカンチレバー
CLn 実在のカンチレバー
Claims (9)
- 二つの振動体の振幅を用いて、測定対象の物理量に相当する値を検出する計測装置であって、
前記二つの振動体のうちの一つとしての実在する実振動体と、
当該実振動体に予め設定した変位方向の力を付与するアクチュエータと、
前記実振動体の振動変位を検出する振動変位検出部と、
前記実振動体と仮想的に連成可能に結合される仮想振動体を前記二つの振動体のうちの他の一つとして模擬すると共に、当該仮想振動体と前記振動変位検出部で検出した前記実振動体の振動変位とに基づき前記アクチュエータを駆動制御する連成制御処理を実行する演算処理装置と、
を備えることを特徴とする計測装置。 - 前記仮想振動体は、前記実振動体と連成する振動体の物理モデルを理論数式で模擬する数値情報で表現されていることを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
- 前記演算処理装置は、前記仮想振動体の固有周波数が、前記実振動体の固有周波数と一致するように前記仮想振動体を模擬することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の計測装置。
- 前記演算処理装置は、
前記実振動体の振動速度を検出する振動速度検出部と、
フィードバック制御信号により前記アクチュエータを駆動するフィードバック制御部と、
を備え、
前記フィードバック制御信号は、
前記振動変位検出部で検出した前記実振動体の振動変位と前記演算処理装置で模擬される前記仮想振動体の振動変位との差に基づく線形変位フィードバック成分と、前記振動速度検出部で検出した前記振動速度に基づく線形速度フィードバック成分とを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の計測装置。 - 前記フィードバック制御信号は、前記実振動体の振幅を抑制するために、前記振動速度に対して同相または反相の非線形速度フィードバック成分を含むことを特徴とする請求項4に記載の計測装置。
- 前記演算処理装置は、前記アクチュエータを駆動制御し、前記実振動体を振動させて共振点における共振周波数を取得し、当該取得した共振周波数に基づく前記仮想振動体の模擬に必要な情報を設定する初期処理を実行するようになっている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の計測装置。
- 前記物理量は、質量、表面形状、弾性率、粘弾性率、及び力の場の少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の計測装置。
- 前記演算処理装置は、前記仮想振動体とは別に、当該仮想振動体と前記実振動体との間に仮想的に連成可能に結合される感度向上用の他の仮想振動体を模擬し、前記仮想振動体と、前記感度向上用の他の仮想振動体と、前記振動変位とに基づき前記アクチュエータを駆動制御する連成制御処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の計測装置。
- 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の計測装置用の演算処理装置であって、
前記実振動体の振動変位を用いて、前記実振動体と仮想的に連成可能に結合される仮想振動体を模擬すると共に前記アクチュエータを駆動制御する信号を生成することを特徴とする計測装置用の演算処理装置。
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