JP7359514B1 - 液体クロマトグラフィー装置、溶液管理方法、プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
[1]収容部に収容された溶液を用いて分析を行う液体クロマトグラフィー装置であり、
前記収容部に収容された溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量とが記憶される記憶部と、
前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記収容部に収容された溶液の前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行する実行部と、
を有する液体クロマトグラフィー装置。
[2]前記分析を実施可能な残りの回数を表示する表示部を有し、
前記表示部は、前記第1残量が前記測定のn回分に該当する場合に前記残りの回数が当該n回であることを表示し(但しnは1以上の整数)、
前記実行部は、前記指示された動作に必要な溶離液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行し、
前記表示部は、前記残りの回数が0回になった場合に、それに応じた表示をする、[1]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[3]
前記表示部は、前記溶離液が収容された収容容器を交換することを促すメッセージを表示する、[2]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
前記実行部は、前記指示された第2用途の動作を実行すると、前記収容容器が交換されるまで第1用途と第2用途の動作については実行しない、[3]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[5]
前記第3液量は、前記第1用途を1回実行するために必要な液量と前記第2用途を1回実行するために必要な液量との合計以上である、[1]から[4]のうちいずれか1項に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[6]
溶液の種類が2種類以上であって、それぞれ異なる収容部に収容され、それぞれの溶液に対して記憶部と実行部が設けられる、[5]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[7]
前記溶液は、2種類以上の溶離液であり、前記液体クロマトグラフィー装置は、当該2種類以上の溶離液を用いてグラジエント分析を行う、[6]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[8]
前記溶液は、2種類の溶離液、溶血洗浄溶解液の3種類であり、それぞれ異なる収容部に収容される、[5]記載の液体クロマトグラフィー装置。
[9]
前記それぞれ異なる収容部は、1つの収容ユニットに収容されており、当該収容ユニットを一式として交換可能である、[8]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
収容部に収容された溶液を用いて分析を行う液体クロマトグラフィー装置における溶液管理方法であって、
記憶部が、前記収容部に収容された溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量を記憶し、
実行部が、前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記収容部に収容された溶液の前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行する
溶液管理方法。
[11]
収容部に収容された溶液を用いて分析を行うコンピュータに、
前記収容部に収容された溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量を記憶させ、
前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記収容部に収容された溶液の前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行させる
プログラム。
液体クロマトグラフィー装置1は、HPLC法(高速液体クロマトグラフィー法)を用いたHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)分析装置である。
液体クロマトグラフィー装置1の上面のうち背面側には、蓋11が設けられている。蓋11を開けると、試薬キット(収容ユニット)を液体クロマトグラフィー装置1にセットすることが可能な収容部があり、試薬キットをセットすることができる。
液体クロマトグラフィー装置1の正面右下には、サンプルトレー12が設けられている。サンプルトレー12を引き出すことによって、検体をサンプルトレー12にセットすることができる。検体とは、検査対象として被験者から採取された試料である。検体が血液の場合、検体は、採血管に採取された状態でセットしてもよく、採血管等を用いて採取された後にサンプルカップ等に移してセットしてもよく、検体採取デバイスを用いて採取された検体をセットしてもよい。また、採取した血液に対して、別途前処理液や希釈液を添加したものを検体としてセットしてもよい。検体をサンプルトレー12にセットした後、サンプルトレー12を液体クロマトグラフィー装置1の本体に対して押し込むことで、検体の測定が可能な状態とすることができる。
液体クロマトグラフィー装置1の上面のうち正面側には、排出口14が設けられる。排出口14は、測定が行われた結果が印字された印刷媒体を排出する。
試薬キット15は、溶液を収容する収容部を有する収容ユニットである。ここでは、試薬キット15は、第1収容部151、第2収容部152、第3収容部153の3つの収容部を有する。
第1収容部151は、第1溶液を収容する。第1溶液は、例えば、溶離液である。
第2収容部152は、第1溶液とは異なる種類の第2溶液を収容する。第2溶液は、例えば、第1溶液である溶離液とは異なる種類の溶離液である。
第3収容部153は、第1溶液及び第2溶液とは異なる溶液を収容する。第3溶液は、例えば、検体前処理液、洗浄液、検体前処理液と洗浄液を兼ねた溶血洗浄溶解液である。
液体クロマトグラフィー装置1は、この試薬キット15に収容された3種類の溶液を用いて、被験者から採取された検体を検査対象として分析を行う。
例えば、溶液は2種類以上の溶離液であってもよく、この場合、液体クロマトグラフィー装置1は、当該2種類以上の溶離液を用いてグラジエント分析を行うようにしてもよい。
なお、本明細書において、溶離液とは液体クロマトグラフィーで用いる移動相を示す。溶離液は、水や水に緩衝剤や塩類、防腐剤、界面活性剤やその他成分を溶解した水溶液や、メタノール、アセトニトリル等の有機溶媒を単独あるいは混合して用いることができる。溶離液は、成分の濃度やpHの異なる2種類以上を組み合わせて用いることができる。その場合、第1の溶離液を第1収容部151に、第2の溶離液を第2収容部152に収容できる。2種類の溶離液の混合方式は、ステップワイズでもよく、グラジエントでもよい。
検体前処理液とは、検体をカラムで分離する前にあらかじめ処理するための溶液を示し、検体希釈液ともいう。例えば測定対象がHbA1c等のヘモグロビン類である場合、血液試料に低張液を添加して溶血させる必要があり、検体前処理液として低張液を使用する。検体前処理液は、水や水に緩衝剤や塩類、防腐剤を溶解した水溶液に、界面活性剤、カオトロピックイオン等の溶血剤を溶解した水溶液を用いることができる。
洗浄液とは、検体が通過する流路やカラム、検出器等を洗浄するための溶液を示す。
検体前処理液と洗浄液は、組成が同一である場合がある。特に、HbA1c等のヘモグロビン類を測定する場合であって、溶血成分を含む検体前処理液が洗浄液を兼ねる場合、本明細書では当該溶液を溶血洗浄溶解液と呼称する。
表示画面130において、表示領域131には、現在日時が表示される。表示領域132には、液体クロマトグラフィー装置1のステータスが表示される。ステータスには、例えば、液体クロマトグラフィー装置1が測定(分析)可能な状態であることを示す「測定できます」、試薬キット15の交換を促す「試薬を交換して下さい」、試薬キット15の残量に基づく残りの測定回数を示す「あと○回測定できます。」等のメッセージがある。
また、カラムカウンタの値が第3基準値「20」以下となった場合には、「カラムカウンタが少なくなっています」のメッセージが表示され、カラムカウンタの値が第4基準値「0」に到達すると、「カラムを交換して下さい」のメッセージが表示される。
ボタン134は、「メニュー」ボタンであり、ユーザによってタッチ操作されたことに応じて各種メニューを呼び出して表示画面130に表示させるためのボタンである。
ボタン135は、「START」ボタンであり、ユーザによってタッチ操作されたことに応じて、検体を検査対象とした測定を開始させるボタンである。
液体クロマトグラフィー装置1は、記憶部101、入力部102、表示部103、実行部104、印字部105、制御部106を含み、これらの各機能がバス110の信号線によって接続されており、信号の出力または入力が可能となっている。
また、メジャーは、後述する第2用途に応じた処理が実行される場合に、その処理を実行する分のワークの残量が不足する場合に、その不足分を補うために当該メジャーから使用される場合がある。
液体クロマトグラフィー装置1は、初期プライムや、カラム交換が行われた際にワークとして割り当てられた液量を用いて、装置内の各部に溶液を満たす処理を実行する。
より具体的には、第2用途に係る動作が実行される際に、ワークとして割り当てられた残量が不足し、かつ、メジャーから補填しても溶液が不足する場合に、ギャランティーから第2用途を実行するために溶液を割り当てることができる。ギャランティーは、第2用途に基づく処理を実行する場合に、ワークの残量が不足し、メジャーの残量から割り当てることで第2用途を実行できる場合には、ギャランティーを使用することはせず、ワークの残量が不足し、メジャーの残量から割り当てても不足分を補うことができない場合に、ギャランティーが用いられる。
一方、ワークの残量が不足するためメジャーの残量から溶液を割り当てたとしても、第2用途の動作を実行ために必要な液量を確保できない場合には、ワークの残量とメジャーの残量とを使用した上で、ギャランティーから不足分を割り当てることで、当該不足分を補う。これにより、第2用途の動作を完了するために必要な液量を、ワークの残量とメジャーの残量とから確保できない場合であっても、ギャランティーを用いることで必要な溶液を確保することができる。この場合、第2用途が実行されると、ワークの残量が表示され「1」回分の残量についても使用されるため、試薬カウンタの値が「0」となり、試薬キット15の交換を促すメッセージが表示される。このように、試薬カウンタの値が「1」を指している場合に第2用途を実行しようとしても、溶液が不足してしまうことがないように、ギャランティーとして割り当てられた溶液を利用することで、第2用途の実行を保証することができる。
ギャランティーの量は、測定に必要な量と、第2用途において最も使用量が多い動作における使用量とを合計した値に応じて決まるようにしてもよい。例えば、ギャランティーの量は、第1用途(測定)を1回実行するために必要な液量と第2用途を1回実行するために必要な液量との合計以上である。例えば、ギャランティーの量は、1回の測定に必要な量と、第2用途において最も使用量が多い動作における使用量とを合計した値よりも大きな値とすることができる。
記憶部101は、溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、溶液のうち分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、溶液のうち第1液量と第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量とが記憶される。
図5は、記憶部101に記憶される残量データの一例を示す図である。残量データは、メジャー、ワーク、ギャランティーの3種類の種別について、それぞれ記憶される。ここでは、記憶部101は、試薬キット15に組み込まれている第1収容部151に収容された第1溶液に対して割り当てられたメジャー、ワーク、ギャランティー(符号141a)と、第2収容部152に収容された第1溶液に対して割り当てられたメジャー、ワーク、ギャランティー(符号141b)と、第3収容部153に収容された第1溶液に対して割り当てられたメジャー、ワーク、ギャランティー(符号141c)について記憶する。
このように、記憶部101は、試薬キット15に収容された3種類の溶液に対して、メジャー、ワーク、ギャランティーのそれぞれについて残量が記憶されていることで、現在の残量を把握できるようになっている。
記憶部101が必要量データを記憶していることで、第1用途または第2用途が実施される場合には、その実施される動作に応じて、残量データから引く値を特定することができるようになっている。
この記憶部101は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
表示部103は、各種情報を表示する。例えば表示部103は、分析を実施可能な残りの回数を表示する。また、表示部103は、第1残量が測定の1回分に該当する場合に残りの回数が1回であることを表示する場合がある。
また、表示部103は、残りの回数が0回に応じた表示をする。0回に応じた表示は、「0回」という数字そのものであってもよいし、「試薬容器を交換して下さい」という試薬キット15の交換を促すメッセージ、「残量がありません」という残量がないことを表すメッセージでもよい。表示部103が、溶液が収容された収容容器を交換することを促すメッセージを表示することによって、収容容器(試薬キット15)を交換してもらうように促すことで、それ以上の動作は実施できないことをユーザに把握してもらうことができる。
これにより、第2残量が不足し、第1残量から補填してもなお不足する場合に、第3残量から補填することができるため、第2用途の動作の途中で残量が不足することを防止することができ、装置の経路内に空気が混入しないように第2用途を完了させることが可能となる。
これにより、試薬カウンタの値が「1」を表していた場合であっても、分析以外の動作については、いずれの動作であっても実施(正常に終了)することができる。
これにより、第3残量が使用された後においては、溶液が収容された収容容器(試薬キット15)を交換してもらうまでは、分析またはそれ以外の動作の指示がなされた場合でも、動作を実行しないようにすることできる。これにより、交換前に誤って第2用途の動作が実行されてしまうことを防止することができる。
このような実行部104と記憶部101が、液体クロマトグラフィー装置1に搭載されている場合について説明するが、実行部104と記憶部101が試薬キット15に搭載されるようにしてもよい。この場合、試薬キット15が交換されることによって、交換後の試薬キット15に搭載された記憶部101と実行部104と、制御部106とが通信を行うことで試薬キット15が交換されたことを認識し、制御部106の制御下において、実行部104が各種処理を実行するようにしてもよい。
また、制御部106は、試薬キット15が液体クロマトグラフィー装置1にセットされると、試薬キット15がセットされたことを認識し、試薬キット15の残量を認識し、記憶部101に書き込む。
液体クロマトグラフィー装置1の実行部104は、入力部102からユーザの操作入力がなされたか否かを判定する(図7ステップS101)。操作入力がない場合(ステップS101-NO)、実行部104は、一定のウエイト時間が経過した後、ステップS101の動作を再度実行する。
一方、実行部104は、操作入力があった場合(図7ステップS101-YES)、操作入力の内容が測定であるか否かを判定する(図7ステップS102)。操作入力の内容が測定である場合(図7ステップS102-YES)、実行部104は、実行する対象の動作が第1用途であり、メジャーから溶液を使用すること検知し、メジャーの残量から溶液を使用して測定を実行し、測定結果を印字部105によって印字させることで出力する。そして実行部104は、メジャーの残量から測定に必要な溶液の量を引き(図7ステップS103)、その計算結果に基づいて、残量カウンタの更新を行う(図7ステップS104)。例えば実行部104は、メジャーの残量が、1回の測定に必要な溶液の量以上であるか否かを判定し、1回の測定に必要な溶液の量以上である場合には、メジャーの残量を、1回の測定に必要な溶液の量で割ることによって回数を求め、得られた回数をカウンタ値として表示部103に表示させる。
実行部104は、操作入力された動作を実行すると、ワークの残量から、今回実行した動作に必要な溶液の量を引き(図7ステップS112)、処理をステップS101に移行する。
実行部104は、ワークの残量とメジャーの残量の合計値が、今回実行する対象の操作に必要な溶液の量より小さい場合には、ワークの残量とメジャーの残量とを使用するとともに不足分をギャランティーから使用することで、今回実行する対象の操作を実行する。そして実行部104は、ワークの残量とメジャーの残量とから、今回実行する対象の操作に必要な量を引くとともに、不足分をギャランティーの残量から引く(図8ステップS122)。
このステップS121、ステップS122を経由した処理においては、試薬カウンタの値は、少なくとも「1」が表示された状態である。このため、液体クロマトグラフィー装置1を利用するユーザは、測定をあと(少なくとも)1回行うことが可能な状態であることを把握することを認識可能な状態であり、この状態において、第2用途を実施する場合がある。この場合、第2用途を実施する場合には、試薬キット15の残量がある程度あるかのように見えるため、第2用途も問題無く実施できるようにユーザに理解される場合がある。
ここで、ステップS123の段階においては、試薬カウンタの値が「0」となり、ワークの残量とメジャーの残量とがいずれも残量がなくなるように使用されるが、カラム交換、キャリブレータ等の第2用途について実行途中において溶液が不足して液体クロマトグラフィー装置1の経路内に空気が入り込んでしまわないように、ギャランティーから溶液が供給されつつ、第2用途の動作を完了することができる。これにより、キャリブレータ等の第2用途について実行途中において、ワーク及びメジャーの両方からの溶液が不足して液体クロマトグラフィー装置1の経路内に空気が入り込んでしまうことを防止することができる。
また、従来の液体クロマトグラフィー装置において、溶離液が0になったことを検知する機能が搭載されていない場合には、操作に応じた動作の途中で装置が停止してしまい、動作を完了することができず、試薬パックを交換してから動作をやり直す必要があるため、ユーザにとって無駄な時間が生じる。
よって、液体クロマトグラフィー装置1の経路内に空気が入り込んでしまうことを防止することができ、また、操作に応じた動作を完了することができるため、動作の途中で装置が停止し試薬パックを交換してから動作をやり直すような時間が発生しないようにすることができる。
一方、実行部104は、不足分をメジャーの残量から使用した後の残量が、測定を行うことが可能な残量未満である場合には、測定を1回実施するための残量が残っていないため、残量カウンタを「0」に更新し、表示部103に表示させる。
1回の測定を実行するために必要な溶液の量が「3.2mL」であり、1回のカラム交換を実行するために必要な溶液の量が「16.6mL」であり、ワークの残量が「13.1mL」であり、メジャーの残量が「3.3mL」である場合、試薬カウンタの値が「1」として表示される。ここでは、試薬カウンタの値が「1」であり、「0」ではないため、表示部103には、「試薬が少なくなっています」等のメッセージが表示される。ここでは、交換を促す内容ではなく、試薬の残量が少なくなっていることを通知する内容となっているため、ユーザが試薬キット15の交換はまだ行わずに、試薬カウンタの値が「0」になってから交換する、という判断をすることがある。
その上で、ギャランティーとしては予め「18.5mL」が割り当てられている場合において、第2用途としてカラム交換を実施する指示が入力された場合には、メジャーの残量「3.3mL」とワークの残量「13.1mL」を合わせても、「16.4mL」であり、1回のカラム交換を実行するために必要な溶液の量「16.6mL」には到達しないため、「0.2mL」不足分する。この場合、ギャランティーとして確保された「18.5mL」から不足分「0.2mL」が補填され、メジャーの残量とワークの残量とを使用した上で、ギャランティーの「0.2mL」を使用する。これにより、ワークの残量が「1」の場合であっても、カラム交換を、実行途中において溶液がなくなってしまうことを回避しつつ、実行することができる。
ここでは、測定に必要な量「3.2mL」と、第2用途において最も使用量が多い動作が初期プライムの「21.5mL」である場合、ギャランティーの量を、「24.7mL」としてもよいし、「50mL」のように、その合計値よりも大きな値としてもよい。
1回の測定を実行するために必要な溶液の量が「3.2mL」であり、1回のカラム交換を実行するために必要な溶液の量が「16.6mL」であり、ワークの残量が「13.1mL」であり、メジャーの残量が「3.3mL」である場合、試薬カウンタの値が「1」として表示される。ここでは、試薬カウンタの値が「1」であり、「0」ではないため、表示部103には、「試薬が少なくなっています」等のメッセージが表示される。ここでは、交換を促す内容ではなく、試薬の残量が少なくなっていることを通知する内容となっているため、ユーザが試薬キット15の交換はまだ行わずに、試薬カウンタの値が「0」になってから交換する、という判断をすることがある。
ここで、従来のようにギャランティーが割り当てられていない場合には、第2用途としてカラム交換を実施する指示が入力された場合には、ワークの残量「13.1mL」を使用した上で、メジャーの残量「3.3mL」を使用する。この場合には、溶液を「16.4mL」しか確保できないため、1回のカラム交換を実行するために必要な溶液の量「16.6mL」には到達せず、仮にカラム交換の動作を実行したとしても、「0.2mL」不足分するため、動作の途中において空気が溶液の経路内に取り込まれることになり、正常にカラム交換を終了することができない。
次に、他の例について説明する。ここでは、利用される液体クロマトグラフィー装置と、必要な液量が下記の場合であること前提として説明する。
液体クロマトグラフィー装置:RC20(積水メディカル株式会社製)
(1)初期プライムに必要な溶離液量:21.5mL
(2)カラム交換に必要な溶離液量:17.5mL
(3)試薬交換に必要な溶離液量:7.0mL
(4)測定中止後の復帰動作に必要な溶離液量:6.0mL
(5)通常検体測定に必要な溶離液量:3.2mL
(6)精度管理検体測定に必要な溶離液量:3.2mL
この比較例A1では、液体クロマトグラフィー装置が第1残量を管理する構成であり、第2、第3残量を管理しない場合について説明する。そして、この比較例A1は、第1残量の残りカウンタが5回の場合に分析以外の操作をすると溶液が不足する場合があることについて示す。
第1液量を、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(5)を100回、(6)を4回実施可能な量として、必要量にデッドボリュームとして5.0mLを加えた389.8mLと設定した。
そして、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(5)を95回、(6)を4回実施した後、液体クロマトグラフィー装置の表示部には、試薬カウンタが示す測定可能残数が5回と表示されている。
この時の第1残量は21.0mLである。
その後、(1)を1回実施しようとすると、第1残量が21.0mLに対して(1)に必要な溶離液量は21.5mLのため、「0.5mL」不足分し、動作の途中において空気が溶液の経路内に取り込まれることになり、正常に(1)である初期プライムを終了することができない。
この比較例A2では、液体クロマトグラフィー装置が第1残量と第2残量を管理する構成であり、第3残量を管理しない場合について説明する。そして、この比較例A2は、第1残量の残りカウンタが1回の場合に分析以外の操作をすると溶液が不足する場合があることについて示す。
第1液量を、(5)を100回実施可能な量として320.0mLと設定し、第2液量を、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(6)を4回実施可能な量にデッドボリュームとして5.0mLを加えた69.8mLと設定した。
このため、試薬パックには、第1液量と第2液量の合計389.8mLが充填されている。
そして、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(5)を95回、(6)を4回実施した後、表示部には、試薬カウンタが示す測定可能残数が5回と表示されている。
この時の第1残量は16.0mL、第2残量はデッドボリューム分の5.0mLである。
その後、(1)を1回実施しようとすると、第1残量と第2残量の合計が21.0mLに対して(1)に必要な溶離液量は21.5mLのため、「0.5mL」不足分し、動作の途中において空気が溶液の経路内に取り込まれることになり、正常に(1)である初期プライムを終了することができない。
この比較例A3では、液体クロマトグラフィー装置が第1残量、第2残量および第3残量を管理する構成について説明する。そして、この比較例A3は、第1残量の残りカウンタが2回の場合であって、カラム交換をしようとした際に、第2残量、第3残量の順に溶液を割り当てた場合に、不具合が発生する場合があることを示す。
第1液量を、(5)を100回実施可能な量として320.0mLと設定し、第2液量を、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(6)を4回実施可能な量として、64.8mL、第3液量を、(1)~(6)の中で最も必要液量の多い(1)を1回実施可能な量として21.5mLと設定した。
このため、試薬パックには、第1液量、第2液量、第3液量の合計406.3mLが充填されている。
そして、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(5)を98回、(6)を4回実施した後、表示部には、測定可能残数が2回と表示されている。
この時の第1残量は6.4mL、第2残量は0.0mL、第3液量は21.5mLである。
その後、(1)を1回実施しようとした際、第2残量からの割り当て、第3残量からの割り当て、第1残量からの割り当ての順に溶液を使用すると、第2残量と第3残量の合計21.5mLを使用し、(1)を1回実施することができる。そして実施後の残液量は、第1液量は6.4mL、第2液量と及び第3液量は0.0mLである。表示部には、試薬カウンタが示す測定可能残数が2回と表示されている。
ここで、試薬カウンタが0ではないため、使用者がいかなる操作も可能であると考え、さらに(1)~(3)のいずれかの操作を実施した場合、第1残量を超えた分の液量が不足するため、動作の途中において空気が溶液の経路内に取り込まれることになり、実施された(1)~(3)のいずれかの操作に対する動作を正常に終了することができない。
この実施例B1では、液体クロマトグラフィー装置が、上述した実施形態における液体クロマトグラフィー装置1であり、第1残量、第2残量、第3残量を管理する構成である場合について説明する。そして、この実施例B1は、第1残量の残りカウンタが5回の場合であって、カラム交換をしようとした際に、第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、合計値を超えた分について第3残量から溶液を割り当て、指示された第2用途の動作を実行すると、第2用途の動作を正常に終了する場合を示す。この場合、第1残量の残りカウンタは必ず0回になる。
第1液量を、(5)を100回実施可能な量として320.0mLと設定し、第2液量を、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(6)を4回実施可能な量として、64.8mLと設定し、第3液量を、(1)~(6)の中で最も必要液量の多い(1)を1回実施可能な量として21.5mLと設定した。
このため、試薬パックには、第1、第2、第3液量の合計406.3mLが充填されている。
そして、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(5)を98回、(6)を4回実施した後、表示部には、測定可能残数が2回と表示されている。
この時の第1残量は6.4mL、第2残量は0.0mL、第3液量は21.5mLである。
その後、(1)を1回実施しようとした際、第2残量からの割り当て、第1残量からの割り当て、第3残量からの割り当て、の順に溶液を使用すると、第1残量6.4mLをまず使用し、さらに第3残量から不足分を充当し、(1)を1回実施する。ここでは、(1)を実施するにあたり、第1残量が0.0mLになるまで使用した後、第3残量から割り当てて使用しても、第1残量と第3残量の合計が27.9mLであり、(1)に必要な溶液の量が21.5mLであるため、(1)の操作を正常に完了することができる。実施後の残液量は、第1液は0.0mL、第2液は0.0mL、第3液は6.4mLである。表示部には、試薬カウンタが示す測定可能残数が0回と表示され、「試薬を交換してください」とメッセージが表示されるので、使用者は、(1)の操作を正常に完了させた上で、試薬を交換することができる。
この実施例B2では、液体クロマトグラフィー装置が、上述の実施例B1と同様の液体クロマトグラフィー装置1である場合について説明する。第1残量の残りカウンタが1回の場合であって、キャリブレーション(キャリブレータのレベル1とレベル2をn=2測定)をおこなう場合、必要な溶液の量は第1残量及び第2残量の合計値を超える。ここで合計値を超えた分については、第3残量から割り当てることで、指示された動作を実行することができる。かつ表示部には、測定可能残数が0回となり、「試薬を交換してください」とメッセージが表示されるので、使用者は試薬を交換することができる。
残量データを、メジャー、ワーク、ギャランティーの3種類の種別についてそれぞれ記憶することで、試薬キット(試薬パック)に溶液を必要以上に多く充填する必要がなくなり、試薬カウンタが0になった時点での溶液の廃棄量を最小限としつつ、ユーザは試薬カウンタが0になっていなければ、いかなる操作も可能となる。
また、試薬キットに余分量として溶液を多めに充填しておく場合、どれくらいの量を余分量として充填すべきかについては、ユーザの使用状況に依存するため予測することは困難である。しかし、残量データを、メジャー、ワーク、ギャランティーの3種類の種別についてそれぞれ記憶すれば、ユーザの使用状況に依らず、試薬カウンタが0になっていなければ、いかなる操作も可能となる。
また、上述した実施形態において、液体クロマトグラフィー装置1は、溶離液以外の検体前処理液や流路の洗浄液、検体前処理液と流路の洗浄を兼ねる溶血洗浄溶解液の残量についても、上述した実施形態と同様に管理することができる。
以上説明した実施形態において、記憶部101、実行部104を液体クロマトグラフィー装置に設ける場合について説明したが、液体クロマトグラフィー装置以外の装置において、使用される材料の一部を、ギャランティーとして割り当てておき、ワークとメジャーとの残量との両方を使用することで所定の動作を実施する場合に、ワークとメジャーの残量が不足する場合に、ギャランティーから不足分を供給することで、所定の動作を実行することもできる。すなわち、図4に示す各機能のうち少なくとも記憶部101と実行部104との機能を、液体クロマトグラフィー装置以外の装置に適用するようにしてもよい。
11…蓋
12…サンプルトレー
13…タッチパネル
14…排出口
15…試薬キット
101…記憶部
102…入力部
103…表示部
104…実行部
105…印字部
106…制御部
110…バス
130…表示画面
131,132,133…表示領域
134,135…ボタン
151…第1収容部
152…第2収容部
153…第3収容部
Claims (11)
- 収容部に収容された溶液を用いて分析を行う液体クロマトグラフィー装置であり、
前記収容部に収容された溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量とが記憶される記憶部と、
前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記収容部に収容された溶液の前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行する実行部と、
を有する液体クロマトグラフィー装置。 - 前記分析を実施可能な残りの回数を表示する表示部を有し、
前記表示部は、前記第1残量が前記測定のn(但しnは1以上の整数)回分に該当する場合に前記残りの回数が当該n回であることを表示し、
前記実行部は、前記指示された動作に必要な溶離液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行し、
前記表示部は、前記残りの回数が0回になった場合に、当該0回に応じた表示をする
請求項1に記載の液体クロマトグラフィー装置。 - 前記表示部は、前記溶離液が収容された収容容器を交換することを促すメッセージを表示する
請求項2に記載の液体クロマトグラフィー装置。 - 前記実行部は、前記指示された第2用途の動作を実行すると、前記収容容器が交換されるまで第1用途と第2用途の動作については実行しない
請求項3に記載の液体クロマトグラフィー装置。 - 前記第3液量は、前記第1用途を1回実行するために必要な液量と前記第2用途を1回実行するために必要な液量との合計以上である
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の液体クロマトグラフィー装置。 - 溶液の種類が2種類以上であって、それぞれ異なる収容部に収容され、それぞれの溶液に対して記憶部と実行部が設けられる請求項5に記載の液体クロマトグラフィー装置。
- 前記溶液は、2種類以上の溶離液であり、前記液体クロマトグラフィー装置は、当該2種類以上の溶離液を用いてグラジエント分析を行う
請求項6に記載の液体クロマトグラフィー装置。 - 前記溶液は、2種類の溶離液、溶血洗浄溶解液の3種類であり、それぞれ異なる収容部に収容される請求項5に記載の液体クロマトグラフィー装置。
- 前記それぞれ異なる収容部は、1つの収容ユニットに収容されており、当該収容ユニットを一式として交換可能である
請求項8に記載の液体クロマトグラフィー装置。 - 収容部に収容された溶液を用いて分析を行う液体クロマトグラフィー装置における溶液管理方法であって、
記憶部が、前記収容部に収容された溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量を記憶し、
実行部が、前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記収容部に収容された溶液の前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行する
溶液管理方法。 - 収容部に収容された溶液を用いて分析を行うコンピュータに、
前記収容部に収容された溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量を記憶させ、
前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記収容部に収容された溶液の前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行させる
プログラム。
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