以下、図面を参照して本発明に係る衛星通信システム、地球局装置および回線交換制御方法の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るVSATシステム100の構成例を示す。図1において、VSATシステム100は、衛星通信システムを構成し、VSAT地球局装置101(#a)、VSAT地球局装置101(#b)、VSAT地球局装置101(#c)、中継衛星102、VSAT制御地球局装置103、VoIP電話104(#a)、VoIP電話104(#b)およびVoIP電話104(#c)を有する。ここで、VSAT地球局装置101(#a)、VSAT地球局装置101(#b)およびVSAT地球局装置101(#c)に共通の説明を行う場合は、符号末尾の(#アルファベット)を省略してVSAT地球局装置101と記載し、特定のVSAT地球局装置101を指す場合は、例えばVSAT地球局装置101(#a)のように記載する。VoIP電話104についても同様に記載する。図1において、(1)の中太の実線矢印は、VSAT地球局装置101からVSAT制御地球局装置103に制御用回線(CSC回線に対応する)で送信される制御信号(CSCI信号)を示し、(2)の極太の実線矢印は、VSAT制御地球局装置103からVSAT地球局装置101に送信される制御信号(CSC信号(CSCI信号またはCSCO信号))を示す。また、(3)の二重の実線矢印は、VSAT地球局装置101(#a)とVSAT地球局装置101(#b)との間でシングルホップ接続される通信用回線を示し、(4)の二重の点線矢印は、VSAT地球局装置101(#a)とVSAT地球局装置101(#c)との間でシングルホップ接続される通信用回線を示す。さらに、(5)の細い実線矢印は、VoIP電話104(#a)からVoIP電話104(#b)へのSIP通信を示し、(6)の細い点線矢印は、VoIP電話104(#a)からVoIP電話104(#c)へのSIP通信を示す。
ここで、VSAT地球局装置101は、SIPプロキシサーバの機能を有し、予め決められたSIPパケットをCSCI信号にカプセル化して中継衛星102を介してVSAT制御地球局装置103に送信する。また、VSAT制御地球局装置103は、SIPパケットがカプセル化されたCSCI信号をCSCO信号に変換して送信先のVSAT地球局装置101に送信する。そして、VSAT制御地球局装置103からSIPパケットがカプセル化されたCSCO信号受信したVSAT地球局装置101は、SIPパケットを抽出してVoIP電話104に出力する。
このように、本実施形態に係るVSATシステム100では、VSAT地球局装置101がSIPプロキシサーバの機能を有するとともに、VoIP電話104が送受信するSIPパケットをCSC信号でカプセル化する機能を有し、VSAT地球局装置101に収容されるVoIP電話104間でSIPパケットを送受信することができる。
図1の例では、3つのVSAT地球局装置101のうち、VSAT地球局装置101(#a)のVoIP電話104(#a)が発信側、VSAT地球局装置101(#b)およびVSAT地球局装置101(#c)が着信側とする。ここで、VSAT地球局装置101(#a)は第1の地球局装置、VoIP電話104(#a)は第1の端末装置、VSAT地球局装置101(#b)は第2の地球局装置、VSAT地球局装置101(#c)は第2の端末装置、にそれぞれ対応する。
先ず、VoIP電話104(#a)は、VoIP電話104(#b)との間の通信用回線で通信を行うためのSIPパケットの制御メッセージ(「INVITEメソッド」)の送信を行う((5)の矢印)。ここで、以降の説明において、「INVITEメソッド」や「BYEメソッド」などのメソッドと、「180 Ringing」や「100 Trying」などのレスポンスコードをまとめて制御メッセージと称する。
ここで、本実施形態に係るVSAT地球局装置101は、送信周波数固定割当て方式により、通信用回線の送信周波数が予め決められているので、受信周波数を通信先のVSAT地球局装置101の送信周波数に合わせる必要がある。そこで、VSATシステム100内の全てのVSAT地球局装置101の識別情報(例えば装置名やドメイン名など)と当該装置が使用する送信周波数とが対応付けられた送信周波数対応テーブルが各VSAT地球局装置101に予め備えられている。
図1において、VSAT地球局装置101(#a)は、VoIP電話104(#a)が送信するSIPパケットの送信先のVoIP電話104(#b)を収容するVSAT地球局装置101(#b)の情報に基づいて、送信周波数対応テーブルを参照し、VSAT地球局装置101(#b)の通信用回線の送信周波数を取得して、自装置の通信用回線の受信周波数に変更する。同様に、VSAT地球局装置101(#b)は、VoIP電話104(#b)がVoIP電話104(#a)に送信するSIPパケットの送信先のVoIP電話104(#a)を収容するVSAT地球局装置101(#a)の情報に基づいて、VSAT地球局装置101(#a)の通信用回線の送信周波数を取得して、自装置の通信用回線の受信周波数に変更する。
このようにして、VSAT地球局装置101(#a)とVSAT地球局装置101(#b)との間に通信用回線((3)の矢印)が接続される。
また、VSAT地球局装置101(#a)とVSAT地球局装置101(#b)との間の通信用回線をVSAT地球局装置101(#a)とVSAT地球局装置101(#c)との間の通信用回線に回線交換を行う場合、VoIP電話104(#a)は、VoIP電話104(#c)との間でSIP通信を行う((6)の矢印)。上述のVSAT地球局装置101(#a)とVSAT地球局装置101(#b)との間の通信用回線の接続処理と同様に、VSAT地球局装置101(#a)の通信用回線の受信周波数がVSAT地球局装置101(#c)の送信周波数に変更され、VSAT地球局装置101(#c)の受信周波数がVSAT地球局装置101(#a)の送信周波数に変更されるので、VSAT地球局装置101(#a)とVSAT地球局装置101(#c)との間に通信用回線((4)の矢印)が接続される。
このように、本実施形態に係るVSATシステム100は、簡易な送信周波数固定割当て方式の衛星回線において、シングルホップ接続されるVSAT地球局装置101間の通信用回線の回線交換を行うことができる。
図2は、発信側におけるVSAT地球局装置101の機能ブロックの一例を示す。図2において、VSAT地球局装置101は、IP-IF201、CSC信号カプセル化対象IPのパケットフィルタ部202、SIPスヌーピング部203、IPルーティング部204、SIPサーバ部205、SIPトランザクション情報を出力するSIP情報出力部206、通信用回線の受信周波数変更部207、通信用回線の受信周波数ホールド部208、IPパケットのCSCカプセル化部209、CSC回線での送信・受信を行うCSC回線通信部210および通信用回線での送信・受信を行う通信用回線通信部211を有する。
IP-IF201は、VoIP電話104等のSIP_UAC(SIP対応の端末装置)からIPパケットを入力するインターフェースである。
パケットフィルタ部202は、IP-IF201が入力するIPパケットに対して、CSC送信対象SIP、CSC送信対象ICMPまたはCSC送信非対象のIPパケットであるかを判別する。そして、予め設定されたフィルタ条件に基づいて、IPパケットがCSC送信対象SIPパケットである場合はSIPスヌーピング部203に出力し、CSC送信対象ICMPまたはCSC送信非対象のIPパケットである場合はIPルーティング部204に出力する。なお、フィルタ条件については後で詳しく説明する。
SIPスヌーピング部203は、予め設定されたSIP透過条件に基づいて、SIPパケットがCSC送信対象であるかCSC送信非対象であるかを判別して、SIPパケットがCSC送信対象である場合はSIPサーバ部205に出力し、SIPパケットがCSC送信非対象である場合は当該SIPパケットを破棄する。なお、SIP透過条件については後で詳しく説明する。
IPルーティング部204は、SIPサーバ部205から出力されるSIPパケット、パケットフィルタ部202から出力されるCSC送信対象ICMPまたはCSC送信非対象のIPパケットの送信先に応じてルーティングを行う。ここで、IPルーティング部204は、CSC回線ルートマップ241および通信用回線ルートマップ242を有する。CSC回線ルートマップ241は、CSC回線で送信対象のIPパケットのルーティングマップを保持し、IPルーティング部204は、CSC回線ルートマップ241を参照してCSC回線で送信対象のIPパケットの転送先を設定する。同様に、通信用回線ルートマップ242は、通信用回線で送信対象のIPパケットのルーティングマップを保持し、IPルーティング部204は、通信用回線ルートマップ242を参照して通信用回線で送信対象のIPパケットの転送先を設定する。
SIPサーバ部205は、従来技術で説明したようなSIPトランザクション処理を行うSIPプロキシサーバとして機能し、「INVITEメソッド」などのSIPパケットを受信して、IPルーティング部204およびSIP情報出力部206に出力する。
SIP情報出力部206は、SIPトランザクション情報を出力する機能を有し、SIPサーバ部205が受信したSIPパケットの制御メッセージ(例えば、「INVITEメソッド」や「ACKメソッド」など)の送信元情報、送信先情報、Call-ID(セッションを識別するための情報)などを抽出し、受信周波数変更部207に出力する。
受信周波数変更部207は、予め決められた各VSAT地球局装置101の通信用回線の送信周波数設定のテーブル(送信周波数対応テーブル)を有する。受信周波数変更部207は、送信周波数対応テーブルを参照して、SIP情報出力部206が出力するドメイン名に対応する送信先のVSAT地球局装置101の通信用回線の送信周波数を取得する。そして、受信周波数変更部207は、当該送信周波数に自装置の通信用回線の受信周波数を変更する。また、受信周波数変更部207は、予め決められたウェイト時間を受信周波数待機タイマーに設定してスタートする。受信周波数待機タイマーは、通信(メディアセッション)の開始まで受信周波数を設定した状態で所定時間だけ待機するためのタイマーであり、所定時間経過しても通信の開始が確認されない場合(例えば「INVITEメソッド」に対応する「ACKメソッド」を確認できない場合)や「BYEメソッド」(または「CANCELメソッド」)などを確認した場合、受信周波数の設定を解除する。これにより、VoIP電話104が途中で中止した場合や障害などが発生した場合に受信周波数が設定されたままになることを防止できる。また、通信の開始が確認された後、受信周波数変更部207は、SIP情報出力部206から出力されるSIPパケットの各制御メッセージの送信元情報、送信先情報、Call-IDなどに基づいて、受信周波数ホールド部208に対して、受信周波数の設定を維持するための受信周波数ホールドコマンドまたは受信周波数の設定を解除するための受信周波数ホールド解除コマンドなどを実行し、受信周波数ホールドタイマーの開始または停止、タイマー値のセットまたはリセットなどを行う。
受信周波数ホールド部208は、受信周波数変更部207の受信周波数ホールドコマンドの実行を受けて、受信周波数ホールドタイマーをスタートする。受信周波数ホールドタイマーは、通信用回線での通信中に受信周波数を維持するための所定時間のタイマーであり、所定時間内に定期的にVoIP電話104から受信する「INVITEメソッド」などに基づいてリセットされる。例えば、障害などにより所定時間内に定期的な制御メッセージが確認されない場合や「BYEメソッド」(または「CANCELメソッド」)などを確認した場合、受信周波数変更部207および受信周波数ホールド部208は、受信周波数の設定を解除する。
CSCカプセル化部209は、SIPサーバ部205が送信するSIPパケットをCSCI信号でカプセル化し、CSC回線通信部210に出力する。
CSC回線通信部210は、CSCカプセル化部209でカプセル化されたSIPパケットをCSCI信号で中継衛星102を介してVSAT制御地球局装置103に送信する。
通信用回線通信部211は、IPルーティング部204から出力される発信側のVoIP電話104の通信データのIPパケット(例えばRTP(Realtime Transport Protocol)パケット)をVSAT地球局装置101毎に予め決められた固定の送信周波数で中継衛星102を介して着信側のVSAT地球局装置101にシングルホップ接続により送信する。
このようにして、発信側のVSAT地球局装置101は、VoIP電話104が発信時に送信するSIPパケットの情報に基づいて、着信側のVoIP電話104を収容するVSAT地球局装置101の通信用回線の送信周波数を取得し、当該送信周波数と同じ受信周波数に設定して通信することができる。
図3は、着信側におけるVSAT地球局装置101の機能ブロックの一例を示す。なお、図3の機能ブロックは、図2で説明した同符号の機能ブロックと基本的には同様の動作を行う。以下、着信側における信号およびIPパケットの流れについて説明する。
CSC回線通信部210は、VSAT制御地球局装置103から送信されるSIPパケットがカプセル化されたCSCO信号を中継衛星102を介して受信する。
通信用回線通信部211は、受信周波数変更部207および受信周波数ホールド部208により設定された受信周波数の通信用回線で発信側のVSAT地球局装置101から中継衛星102を介してシングルホップ接続により送信される通信データのIPパケットを受信し、IPルーティング部204に出力する。
CSCカプセル化部209は、CSC回線通信部210が受信するIPパケットがカプセル化されたCSCO信号のカプセル化を解除してIPパケットを復号し、IPルーティング部204に出力する。
IPルーティング部204は、CSCカプセル化部209から出力されるIPパケット、通信用回線通信部211から出力される通信データのIPパケットの送信先に応じてルーティングを行う。なお、ルーティングは、図2と同様に、CSC回線ルートマップ241および通信用回線ルートマップ242のルーティングマップを参照して各IPパケットの転送先を設定する。例えば、IPルーティング部204は、通信用回線の転送対象の通信データのIPパケットをIP-IF201に出力し、CSC回線の転送対象のIPパケットをパケットフィルタ部202に出力し、いずれにも該当しない非対象のIPパケットを破棄する。
パケットフィルタ部202は、IPルーティング部204から出力されるCSC回線の転送対象のIPパケットに対して、CSC送信対象SIP、CSC送信対象ICMPまたはCSC送信非対象のIPパケットであるかを判別する。そして、パケットフィルタ部202は、予め設定されたフィルタ条件に基づいて、IPパケットがCSC送信対象SIPパケットである場合はSIPスヌーピング部203に出力し、CSC送信対象ICMPである場合はIP-IF201に出力し、いずれにも非対象である場合は破棄する。
SIPスヌーピング部203は、パケットフィルタ部202が出力するCSC送信対象SIPのスヌーピングを行い、SIPサーバ部205に出力する。なお、図2の発信側におけるSIPスヌーピング部203において、CSC送信非対象のIPパケットが破棄されているので、着信側において破棄するIPパケットはない。
SIPサーバ部205は、「INVITEメソッド」、レスポンスコード「180 Ringing」などのSIPパケットを受信し、IP-IF201およびSIP情報出力部206に出力する。
SIP情報出力部206は、SIPトランザクション情報を出力する機能を有し、SIPサーバ部205が受信したSIPパケット(例えば、「INVITEメソッド」や「ACKメソッド」など)の送信元情報、送信先情報、Call-IDなどを抽出し、受信周波数変更部207に出力する。
受信周波数変更部207は、基本的には図2で説明した発信側と同様に動作するが、着信側の場合、発信側から受信する例えば「INVITEメソッド」の送信元情報、送信先情報、Call-IDなどを保持しておき、着信側のVoIP電話104から発信側のVoIP電話104に返信されるレスポンスコード「180 Ringing」の送信元情報、送信先情報、Call-IDと比較して、先に受信した「INVITEメソッド」に対応するレスポンスコード「180 Ringing」であるか否かを確認する。これにより、時間的に隣接して複数の「INVITEメソッド」が受信されるような状況においても、レスポンスコード「180 Ringing」と「INVITEメソッド」との対応を判別できるので、通信用回線で接続すべき相手のVSAT地球局装置101の送信周波数に自装置の受信周波数を確実に変更することができる。
受信周波数ホールド部208は、基本的には図2で説明した発信側と同様に動作し、受信周波数変更部207の受信周波数ホールドコマンドの実行を受けて、受信周波数ホールドタイマーの制御を行う。
IP-IF201は、SIPサーバ部205、パケットフィルタ部202およびIPルーティング部204から出力される各IPパケットを着信側のVoIP電話104等のSIP_UAS(SIP対応の端末装置)に出力するためのインターフェースである。
このようにして、着信側のVoIP電話104を収容するVSAT地球局装置101は、発信側のVoIP電話104が送信するSIPパケットの情報に基づいて、発信側のVoIP電話104を収容するVSAT地球局装置101の通信用回線の送信周波数を取得し、当該送信周波数と同じ受信周波数に変更することにより、通信用回線で通信を行うことができる。
図4は、VSAT制御地球局装置103の機能ブロック図の一例を示す。図4において、VSAT制御地球局装置103は、CSC回線通信部301、IPパケット転送部302、CSCI-CSCO変換部303、CSCカプセル化部304、IPルーティング部305、パケットフィルタ部306およびIP-IF307を有する。
CSC回線通信部301は、CSC回線でのCSC信号の送信および受信を行い、IPパケットがカプセル化されたCSCI信号を送信元のVSAT地球局装置101から受信し、IPパケットがカプセル化されたCSCO信号を送信先のVSAT地球局装置101に送信する。なお、CSCI信号とCSCO信号は、専用の異なる周波数帯域で送信または受信される。CSCO信号は、VSAT制御地球局装置103から全VSAT地球局装置101にCSCOキャリアを占有して連続信号で同報送信され、CSCI信号は複数のVSAT地球局装置101がCSCIキャリアを時間分割およびランダム時間送信により共有するバースト信号で送信される。
IPパケット転送部302は、CSC信号にカプセル化されたIPパケットの転送を行い、VSAT地球局装置101からIPパケットがカプセル化されたCSCI信号を受信し、IPパケット転送の制御コマンドとIPパケットの送信先のVSAT地球局装置101のIDを確認して、送信先が自装置である場合はCSCカプセル化部304にIPパケットを出力し、送信先が他のVSAT地球局装置101である場合はCSCI-CSCO変換部303に出力する。
CSCI-CSCO変換部303は、CSCI信号にカプセル化されたIPパケットをCSCO信号にカプセル化されたIPパケットに変換する。例えば、CSCI-CSCO変換部303は、IPパケット転送部302から出力されるIPパケットを送信先のVSAT地球局装置101のID宛てのCSCO信号に変換してカプセル化し、CSC回線通信部301に出力する。
CSCカプセル化部304は、IPパケット転送部302が出力する送信先が自装置のIPパケットがカプセル化されたCSCI信号のカプセル化を解除してIPパケットを復号し、IPルーティング部305に出力する。
IPルーティング部305は、CSCカプセル化部304から出力されるIPパケットの送信先に応じてルーティングを行う。なお、ルーティングは、図2と同様に、CSC回線ルートマップ351のルーティングマップを参照してIPパケットの転送先を判別する。例えば、IPルーティング部305は、CSC回線の転送対象のIPパケットをパケットフィルタ部306に出力し、CSC回線の転送非対象のIPパケットは破棄する。
パケットフィルタ部306は、IPルーティング部305から出力されるCSC回線の転送対象のIPパケットに対して、CSC送信対象ICMPまたはCSC送信非対象のIPパケットであるかを判別する。そして、CSC送信対象ICMPである場合はIP-IF307に出力し、いずれにも非対象のIPパケットである場合は破棄する。
IP-IF307は、VSAT制御地球局装置103に接続されるIP装置(ネットワークルーターなど)に出力され、例えばインターネットなどのネットワークに転送される。
このようにして、本実施形態に係るVSAT制御地球局装置103は、同じVSATシステム100内のVSAT地球局装置101間で送受信されるCSC信号にカプセル化されたIPパケットを転送することができる。
図5は、本実施形態に係るVSATシステム100の接続シーケンスの一例を示す。ここで、図5は、発信側のVoIP電話104(#a)を収容するVSAT地球局装置101(#a)と着信側のVoIP電話104(#b)を収容するVSAT地球局装置101(#b)との間に通信用回線を確立して中継衛星102を介してシングルホップ接続による通信を行う場合の処理の流れを示し、図2、図3および図4で説明した各機能ブロックにより実行される。なお、図5において、(数字)は、処理ステップを示す。
ステップ(1)において、ユーザーがSIP_UACのVoIP電話104(#a)に対して発信操作(オフフックしてダイヤルする操作)を行うと、VoIP電話104(#a)は、SIPプロキシサーバおよびルータとして機能するVSAT地球局装置101(#a)に対して、VoIP電話104(#b)へのSIPパケット「INVITEメソッド」のIPパケットを出力する。
ステップ(2)において、VSAT地球局装置101(#a)のIP-IF201から入力するIPパケットに対して、パケットフィルタ部202は、予め設定されたフィルタ条件にマッチしたSIPパケットまたはICMPパケットを抽出する。ここでは、SIPパケット(「INVITEメソッド」)が抽出される。
ステップ(3)において、前ステップで抽出したSIPパケット(「INVITEメソッド」)に対して、予め設定されたSIPスヌーピング部203のSIP透過条件によりマッチしたSIPパケットを内蔵のSIPサーバ部205へ転送する。
ステップ(4)において、SIP情報出力部206は、SIPサーバ部205が受信したSIPパケット(「INVITEメソッド」)の送信元情報、送信先情報、Call-IDを抽出し、受信周波数変更部207に出力する。
ステップ(5)において、受信周波数変更部207は、送信先のVoIP電話104(#b)を収容するVSAT地球局装置101(#b)の送信周波数を送信周波数対応テーブルを参照して取得し、自装置(VSAT地球局装置101(#a))の通信用回線の受信周波数をVSAT地球局装置101(#b)の送信周波数に変更し、受信周波数待機タイマーをスタートする。
ステップ(6)において、「INVITEメソッド」を受信したSIPプロキシサーバの機能を有するVSAT地球局装置101(#a)のSIPサーバ部205は、送信先のURIロケーションを確認し、IPルーティング部204を介して「INVITEメソッド」を送信する。
ステップ(7)において、VSAT地球局装置101(#a)のCSCカプセル化部209は、SIPサーバ部205が出力するSIPパケット(「INVITEメソッド」)をCSCI信号でカプセル化し、CSCI回線でVSAT制御地球局装置103に送信する。
ステップ(8)において、VSAT地球局装置101(#a)のSIPサーバ部205は、VoIP電話104(#a)のSIP_UACにレスポンスコード「100 Trying」を出力する。
ステップ(9)において、VSAT制御地球局装置103のIPパケット転送部302は、IPパケット(「INVITEメソッド」)がカプセル化されたCSCI信号を受信し、IPパケット転送の制御コマンドとIP送信先地球局装置IDに基づいて、送信先が他のVSAT地球局装置101の信号をCSCI-CSCO変換部303に出力する。そして、CSCI-CSCO変換部303は、IPパケット(「INVITEメソッド」)がカプセル化されたCSCI信号をIP送信先地球局装置ID(例えばVSAT地球局装置101(#b))宛てのCSCO信号にカプセル化変換し、CSCO回線でVSAT地球局装置101(#b)に送信する。
ステップ(10)において、IPパケットがカプセル化されたCSCO信号を受信した着信側のVSAT地球局装置101(#b)のCSCカプセル化部209は、IPパケットのカプセル化を解除し、IPパケットを復号し、パケットフィルタ部202のフィルタ条件にマッチしたSIPパケットまたはICMPパケットを抽出する。ここでは、SIPパケット(「INVITEメソッド」)が抽出される。
ステップ(11)において、前ステップで抽出したSIPパケット(「INVITEメソッド」)は、VSAT地球局装置101(#b)のSIPサーバ部205に転送される。
ステップ(12)において、VSAT地球局装置101(#b)のSIP情報出力部206は、SIPサーバ部205が受信した「INVITEメソッド」の送信元情報、Call-IDを抽出し、受信周波数変更部207に出力する。
ステップ(13)において、VSAT地球局装置101(#b)のSIPサーバ部205は、IP-IF201からVoIP電話104(#b)のSIP_UASに「INVITEメソッド」を出力する。
ステップ(14)において、VSAT地球局装置101(#b)のSIPサーバ部205は、レスポンスコード「100 Trying」をCSCカプセル化部209に出力する。
ステップ(15)において、VSAT地球局装置101(#b)のCSCカプセル化部209は、SIPサーバ部205が出力するSIPパケット(レスポンスコード「100 Trying」)をCSCI信号でカプセル化し、CSCI回線でVSAT制御地球局装置103に送信する。
ステップ(16)において、VSAT制御地球局装置103は、VSAT地球局装置101(#b)から送信されるIPパケット(レスポンスコード「100 Trying」)がカプセル化されたCSCI信号を受信し、IPパケット転送部302により、IPパケット転送の制御コマンドとIP送信先地球局装置IDに基づいて、送信先が他のVSAT地球局装置101の信号をCSCI-CSCO変換部303に出力する。そして、CSCI-CSCO変換部303は、IPパケット(レスポンスコード「100 Trying」)がカプセル化されたCSCI信号をIP送信先地球局装置ID(例えばVSAT地球局装置101(#a))宛てのCSCO信号にカプセル化変換し、CSCO回線でVSAT地球局装置101(#a)に送信する。
ステップ(17)において、IPパケットがカプセル化されたCSCO信号を受信したVSAT地球局装置101(#a)のCSCカプセル化部209は、IPパケットのカプセル化を解除し、IPパケットを復号し、パケットフィルタ部202のフィルタ条件にマッチしたSIPパケットまたはICMPパケットを抽出する。ここでは、SIPパケット(レスポンスコード「100 Trying」)が抽出される。
ステップ(18)において、CSCカプセル化部209は、前ステップで抽出したSIPパケット(レスポンスコード「100 Trying」)をVSAT地球局装置101(#a)のSIPサーバ部205に出力する。
ステップ(19)において、ステップ(13)で「INVITEメソッド」を受信したSIP_UASのVoIP電話104(#b)は、VSAT地球局装置101(#b)のSIPサーバ部205にレスポンスコード「180 Ringing」を出力する。
ステップ(20)において、VSAT地球局装置101(#b)のIP-IF201が入力するIPパケットに対して、予め設定されたCSC信号カプセル化対象のIPパケット条件によりマッチしたSIPパケットまたはICMPパケットを抽出する。ここでは、SIPパケット(レスポンスコード「180 Ringing」)が抽出される。
ステップ(21)において、SIPスヌーピング部203は、前ステップで抽出したSIPパケット(レスポンスコード「180 Ringing」)のスヌーピングを行い、予め設定されたSIP透過条件によりマッチしたSIPパケットをSIPサーバ部205に出力する。
ステップ(22)において、SIP情報出力部206は、SIPサーバ部205が受信したレスポンスコード「180 Ringing」の送信先情報、Call-IDを抽出し、受信周波数変更部207に出力する。
ステップ(23)において、(12)で抽出した「INVITEメソッド」の送信元情報(VoIP電話104(#a))、Call-IDと、前ステップで抽出したレスポンスコード「180 Ringing」の送信先情報(VoIP電話104(#a))、Call-IDが一致した場合、受信周波数変更部207は、受信周波数変更部207は、送信元のVoIP電話104(#a)を収容するVSAT地球局装置101(#a)の送信周波数を送信周波数対応テーブルを参照して取得し、自装置(VSAT地球局装置101(#b))の通信用回線の受信周波数をVSAT地球局装置101(#a)の送信周波数に変更し、受信周波数待機タイマーをスタートする。
ステップ(24)において、VSAT地球局装置101(#b)のSIPサーバ部205は、VSAT地球局装置101(#a)にレスポンスコード「180 Ringing」を送信する。
ステップ(25)において、ステップ(15)のレスポンスコード「100 Trying」と同様の処理がレスポンスコード「180 Ringing」に対して行われる。
ステップ(26)において、ステップ(16)のレスポンスコード「100 Trying」と同様の処理がレスポンスコード「180 Ringing」に対して行われる。
ステップ(27)において、ステップ(17)のレスポンスコード「100 Trying」と同様の処理がレスポンスコード「180 Ringing」に対して行われる。
ステップ(28)において、ステップ(18)のレスポンスコード「100 Trying」と同様の処理がレスポンスコード「180 Ringing」に対して行われる。
ステップ(29)において、VSAT地球局装置101(#a)のSIPサーバ部205は、VoIP電話104(#a)のSIP_UACにレスポンスコード「180 Ringing」を出力する。
ステップ(30)において、VoIP電話104(#b)のSIP_UASは、ユーザーによる受話器のオフフック操作により、VSAT地球局装置101(#b)のSIPサーバ部205に対してVoIP電話104(#a)へのレスポンスコード「200 OK」を出力する。
ステップ(31)において、ステップ(20)のレスポンスコード「180 Ringing」と同様の処理がレスポンスコード「200 OK」に対して行われる。
ステップ(32)において、ステップ(21)のレスポンスコード「180 Ringing」と同様の処理がレスポンスコード「200 OK」に対して行われる。
ステップ(33)において、VSAT地球局装置101(#b)のSIPサーバ部205は、VSAT地球局装置101(#a)にレスポンスコード「200 OK」を送信する。
ステップ(34)において、ステップ(15)のレスポンスコード「180 Ringing」と同様の処理がレスポンスコード「200 OK」に対して行われる。
ステップ(35)において、ステップ(16)のレスポンスコード「180 Ringing」と同様の処理がレスポンスコード「200 OK」に対して行われる。
ステップ(36)において、ステップ(17)のレスポンスコード「180 Ringing」と同様の処理がレスポンスコード「200 OK」に対して行われる。
ステップ(37)において、ステップ(18)のレスポンスコード「180 Ringing」と同様の処理がレスポンスコード「200 OK」に対して行われる。
ステップ(38)において、VSAT地球局装置101(#a)のSIPサーバ部205は、VoIP電話104(#a)のSIP_UACにレスポンスコード「200 OK」を出力する。
ステップ(39)において、VoIP電話104(#a)のSIP_UACがVSAT地球局装置101(#a)のSIPサーバ部205に対して、VoIP電話104(#b)への「ACKメソッド」を出力する。
ステップ(40)において、ステップ(2)の「INVITEメソッド」と同様の処理が「ACKメソッド」に対して行われる。
ステップ(41)において、ステップ(3)の「INVITEメソッド」と同様の処理が「ACKメソッド」に対して行われる。
ステップ(42)において、VSAT地球局装置101(#a)のSIP情報出力部206は、SIPサーバ部205が受信した「ACKメソッド」の送信元情報、Call-IDを抽出し、受信周波数変更部207に出力する。
ステップ(43)において、ステップ(4)で抽出した「INVITEメソッド」の送信元情報、Call-IDと、ステップ(42)で抽出した「ACKメソッド」の送信元情報、Call-IDが一致した場合、受信周波数変更部207は、受信周波数待機タイマーを停止、タイマー値をリセットし、受信周波数ホールド部208に受信周波数ホールドコマンドを実行して受信周波数ホールドタイマーをスタートする。
ステップ(44)において、VSAT地球局装置101(#a)のSIPサーバ部205は、VSAT地球局装置101(#b)に「ACKメソッド」を送信する。
ステップ(45)において、ステップ(7)の「INVITEメソッド」と同様の処理が「ACKメソッド」に対して行われる。
ステップ(46)において、ステップ(9)の「INVITEメソッド」と同様の処理が「ACKメソッド」に対して行われる。
ステップ(47)において、ステップ(10)の「INVITEメソッド」と同様の処理が「ACKメソッド」に対して行われる。
ステップ(48)において、ステップ(11)の「INVITEメソッド」と同様の処理が「ACKメソッド」に対して行われる。
ステップ(49)において、ステップ(12)の「INVITEメソッド」と同様の処理が「ACKメソッド」に対して行われる。
ステップ(50)において、ステップ(12)で抽出した「INVITEメソッド」の送信元情報、Call-IDと、ステップ(49)で抽出した「ACKメソッド」の送信元情報、Call-IDが一致した場合、受信周波数変更部207は、受信周波数待機タイマーを停止、タイマー値をリセットし、受信周波数ホールド部208の受信周波数ホールドコマンドの実行と、受信周波数ホールドタイマーをスタートする。
ステップ(51)において、VSAT地球局装置101(#b)のSIPサーバ部205は、SIP_UASのVoIP電話104(#b)に「ACKメソッド」を出力する。
この後、VSAT地球局装置101(#a)とVSAT地球局装置101(#b)との間に確立されたシングルホップ接続による通信用回線を介して、VoIP電話104(#a)とVoIP電話104(#b)との間でメディアセッション(RTPのIPパケットによる通信)が行われる。なお、図5では、メディアセッションの点線矢印がVSAT制御地球局装置103を通過しているが、VSAT地球局装置101(#a)とVSAT地球局装置101(#b)との間で中継衛星102を介してシングルホップ接続されている。
ステップ(52)において、VSAT地球局装置101(#a)は、VoIP電話104(#a)が定期的に送信する「INVITEメソッド」をモニターし、受信周波数ホールドタイマーのタイムアウト前に(4)で抽出した「INVITEメソッド」の送信元情報、Call-IDと一致する「INVITEメソッド」を受信した場合は、受信周波数ホールドタイマーをリセットし再スタートする。
ステップ(53)において、ステップ(52)と同様に、VSAT地球局装置101(#b)は、VoIP電話104(#a)が定期的に送信する「INVITEメソッド」をモニターし、受信周波数ホールドタイマーのタイムアウト前に(12)で抽出した「INVITEメソッド」の送信元情報、Call-IDと一致する「INVITEメソッド」を受信した場合は、受信周波数ホールドタイマーをリセットし再スタートする。
ステップ(54)において、VoIP電話104(#b)のSIP_UASは、ユーザーによる受話器のオンフック操作により、VSAT地球局装置101(#b)のSIPサーバ部205に「BYEメソッド」を出力する。
ステップ(55)において、ステップ(20)のレスポンスコード「180 Ringing」と同様の処理が「BYEメソッド」に対して行われる。
ステップ(56)において、ステップ(21)のレスポンスコード「180 Ringing」と同様の処理が「BYEメソッド」に対して行われる。
ステップ(57)において、SIP情報出力部206は、SIPサーバ部205が受信した「BYEメソッド」の送信先情報、Call-IDを抽出し、受信周波数変更部207に出力する。
ステップ(58)において、ステップ(12)で抽出した「INVITEメソッド」の送信元情報、Call-IDと、ステップ(57)で抽出した「BYEメソッド」の送信先情報、Call-IDが一致した場合、受信周波数変更部207は受信周波数ホールド部208に対して、受信周波数ホールド解除コマンドを実行し、受信周波数ホールドタイマーを停止、タイマー値をリセットする。
ステップ(59)において、VSAT地球局装置101(#b)のSIPサーバ部205は、VSAT地球局装置101(#a)に「BYEメソッド」を送信する。
ステップ(60)において、ステップ(15)のレスポンスコード「100 Trying」と同様の処理が「BYEメソッド」に対して行われる。
ステップ(61)において、ステップ(16)のレスポンスコード「100 Trying」と同様の処理が「BYEメソッド」に対して行われる。
ステップ(62)において、ステップ(17)のレスポンスコード「100 Trying」と同様の処理が「BYEメソッド」に対して行われる。
ステップ(63)において、ステップ(18)のレスポンスコード「100 Trying」と同様の処理が「BYEメソッド」に対して行われる。
ステップ(64)において、VSAT地球局装置101(#a)のSIP情報出力部206は、SIPサーバ部205が受信した「BYEメソッド」の送信先情報、Call-IDを抽出し、受信周波数変更部207に出力する。
ステップ(65)において、ステップ(4)で抽出した「INVITEメソッド」の送信元情報、Call-IDと、ステップ(64)で抽出した「BYEメソッド」の送信先情報、Call-IDが一致した場合、受信周波数変更部207は受信周波数ホールド部208に対して、受信周波数ホールド解除コマンドを実行し、受信周波数ホールドタイマーを停止、タイマー値をリセットする。
ステップ(66)において、VSAT地球局装置101(#a)のSIPサーバ部205は、SIP_UACのVoIP電話104(#a)に「BYEメソッド」を出力する。
ステップ(67)において、VoIP電話104(#a)は、VSAT地球局装置101(#a)のSIPサーバ部205にレスポンスコード「200 OK」を出力する。
ステップ(68)において、ステップ(2)の「INVITEメソッド」と同様の処理がレスポンスコード「200 OK」に対して行われる。
ステップ(69)において、ステップ(3)の「INVITEメソッド」と同様の処理がレスポンスコード「200 OK」に対して行われる。
ステップ(70)において、VSAT地球局装置101(#a)のSIPサーバ部205は、VSAT地球局装置101(#b)にレスポンスコード「200 OK」を送信する。
ステップ(71)において、ステップ(7)の「INVITEメソッド」と同様の処理がレスポンスコード「200 OK」に対して行われる。
ステップ(72)において、ステップ(9)の「INVITEメソッド」と同様の処理がレスポンスコード「200 OK」に対して行われる。
ステップ(73)において、ステップ(10)の「INVITEメソッド」と同様の処理がレスポンスコード「200 OK」に対して行われる。
ステップ(74)において、ステップ(11)の「INVITEメソッド」と同様の処理がレスポンスコード「200 OK」に対して行われる。
ステップ(75)において、VSAT地球局装置101(#b)のSIPサーバ部205は、SIP_UASのVoIP電話104(#b)にレスポンスコード「200 OK」を出力する。
このようにして、発信側のVSAT地球局装置101(#a)は、VoIP電話104(#a)が発信時に送信するSIPパケット(「INVITEメソッド」)の情報に基づいて、着信側のVoIP電話104(#b)を収容するVSAT地球局装置101(#b)の通信用回線の送信周波数を取得し、当該送信周波数と同じ受信周波数に設定し、同様に、着信側のVSAT地球局装置101(#b)は、VoIP電話104(#b)が返信するSIPパケット(レスポンスコード「180 Ringing」)の情報に基づいて、発信側のVoIP電話104(#a)を収容するVSAT地球局装置101(#a)の通信用回線の送信周波数を取得し、当該送信周波数と同じ受信周波数に設定することにより、VSAT地球局装置101(#a)とVSAT地球局装置101(#b)との間に通信用回線を確立して通信を行うことができる。
なお、VoIP電話104(#a)がVoIP電話104(#b)からVoIP電話104(#c)に回線を切り替える場合は、図5で説明した接続シーケンスをVoIP電話104(#c)およびVSAT地球局装置101(#c)に対して行うことにより、VSAT地球局装置101(#a)とVSAT地球局装置101(#c)との間に通信用回線を確立して通信を行うことができる。
このように、本実施形態に係るVSATシステム100は、簡易な送信周波数固定割当て方式の衛星回線において、シングルホップ接続されるVSAT地球局装置101間の通信用回線の回線交換を行うことができる。
図6は、発信側におけるパケットフィルタ部202の処理例を示す。なお、図6において、IPパケットの入力からCSCI信号の送信までの各ブロックは、図2で説明した同符号のブロックに対応する。
図6において、パケットフィルタ部202は、フィルタ設定情報221を有する。フィルタ設定情報221には、IP-IF201から入力されるIPパケットをフィルタリングするためのフィルタ条件が予め記載されており、パケットフィルタ部202は、フィルタ条件に基づいてIPパケットをフィルタリングして、後方の各ブロックに出力する。
ここで、フィルタ設定情報221に記載されたフィルタ条件は、図6に示す(a)IPパケット条件、(b)ICMPパケット条件および(c)SIP透過条件の3つである。
IPパケット条件は、各IPパケットフィルタ設定項目に対する許可マッチ条件が指定されている。例えば、IPv4/IPv6の項目に対してはIPv4、送信元IPアドレス/マスクの項目に対してはxxx.xxx.xxx.xxx/24、送信先IPアドレス/マスクの項目に対してはyyy.yyy.yyy.yyy/32、トランスポート層プロトコルUDP/TCP/SCTP/TLSの項目に対してはUDP、ポート番号の項目に対しては5060、フラグメントの項目に対しては不許可、最大パケット長の項目に対しては512byteなどのように設定されている。
ICMPパケット条件は、各ICMPフィルタ設定項目に対する許可マッチ条件が指定されている。例えば、IPv4/IPv6、送信元IPアドレス/マスク、送信先IPアドレス/マスク、フラグメントおよび最大パケット長の各項目に対してはIPパケット条件と同じであり、ICMPメッセージ・タイプの項目に対してはEcho MessageおよびEcho Reply Messageが設定されている。
SIP透過条件は、SIPフィルタ設定項目に対する許可マッチ条件が指定されている。例えば、メソッドの項目に対しては、INVITE、ACK、BYE、REGSTAR、CANCEL、OPTIONSおよびINFOが許可される。また、レスポンスコードの項目に対しては、100(「100 Trying」)、180(「180 Ringing」)、200(「200 OK」)、302(「Moved Temporary」)、400(「Bad Request」)、500(「Server Internal Error」)が許可される。なお、図6に示した各条件は、一例であり、図6に記載された条件が許可されないように設定してもよいし、図6に記載されていない条件を許可マッチ条件に設定してもよい。
図6において、パケットフィルタ部202は、IP-IF201から入力するIPパケットをIPパケット条件またはICMPパケット条件のいずれかの許可マッチ条件を満たすパケットを透過する。そして、IPパケット条件にマッチし許可されたIPパケットは、さらにSIP透過条件によりフィルタリングされ、SIP透過条件にマッチし許可されたIPパケットは、SIPスヌーピング部203、SIPサーバ部205およびIPルーティング部204に出力される。そして、CSCカプセル化部209でCSCI信号にカプセル化されたIPパケットは、CSC回線通信部210からVSAT制御地球局装置103に送信される。なお、ICMPパケット条件にマッチし許可されたIPパケットは、IPルーティング部204に出力され、CSCカプセル化部209でCSCI信号にカプセル化処理された後、CSC回線通信部210からVSAT制御地球局装置103に送信される。
このようにして、パケットフィルタ部202は、フィルタ設定情報221に設定されたIPパケット条件、ICMPパケット条件およびSIP透過条件等に基づいて、CSC回線のCSCI信号でカプセル化して送信するIPパケットをフィルタリングし、必要なIPパケットだけをCSCI信号でカプセル化して送信する。これにより、不要なIPパケットがCSCI信号で送信されるのを防止し、バースト方式のCSCI信号の回線負荷を軽減することができる。
図7は、発信側における受信周波数変更部207の処理例を示す。なお、図7において、IPパケットの入力から通信データ信号の送信までの各ブロックは、図2で説明した同符号のブロックに対応する。
図7において、受信周波数変更部207は、予め決められた送信周波数の情報やウェイト時間の情報などを保持する情報テーブル271を有する。情報テーブル271は、例えばVSAT地球局装置101の名称(ドメイン名など)とVSAT地球局装置101毎に予め決められた通信用回線の送信周波数とが対応付けられた送信周波数対応テーブルを有する。図7の例では、「a.com」のドメイン名のVSAT地球局装置101の送信周波数は12.aaGHz、「b.com」のドメイン名のVSAT地球局装置101の送信周波数は12.bbGHz、「c.com」のドメイン名のVSAT地球局装置101の送信周波数は12.ccGHz、「m.com」のドメイン名のVSAT地球局装置101の送信周波数は12.mmGHz、のような送信周波数対応テーブルが予め記憶されている。そして、VoIP電話104が出力する「INVITEメソッド」のIPパケットがIP-IF201から入力されると、SIP情報出力部206は、「INVITEメソッド」の送信先情報(例えばURI)、Call-IDなどの情報を読み取って受信周波数変更部207に出力する。図7に例示された「INVITEメソッド」のURIはb.comなので、受信周波数変更部207は、送信周波数対応テーブルを参照してb.comのドメイン名のVSAT地球局装置101の送信周波数が12.bbGHzであることを確認する。そして、受信周波数変更部207は、送信先のb.comのドメイン名のVSAT地球局装置101から通信用回線で送信される通信データ信号を受信できるように、通信用回線通信部211の受信周波数を12.bbGHzに設定する。
ここで、情報テーブル271には、通信用回線の受信周波数を設定後に受信周波数を保持するウェイト時間が予め記憶されている。ウェイト時間には、受信周波数の設定後、通信用回線で通信が開始されるまでの待機タイマーに設定する時間と、通信用回線での通信開始後、受信周波数をホールドするためのホールドタイマーに設定する時間とがある。例えば、受信周波数変更部207は、受信周波数の設定後、待機タイマーを開始し、ウェイト時間が経過するまでに通信用回線での通信が開始されない場合(具体的には「ACKメソッド」が確認されない場合)、受信周波数のロックを解除する。これにより、通信やシステムの障害など何らかの原因で「ACKメソッド」が確認できない場合に通信用回線が待機状態のままになることを防止できる。また、受信周波数ホールド部208は、通信用回線での通信開始後、ホールドタイマーを開始し、ウェイト時間が経過するまでに再設定されない場合(具体的には定期的に「INVITEメソッド」が確認されない場合)、受信周波数のロックを解除する。これにより、通信やシステム障害など何らかの原因でホールドタイマーが再設定されない場合や通信の終了を示す「BYEメソッド」を確認できない場合に通信用回線がロックされたままになることを防止できる。
このようにして、受信周波数変更部207は、送信周波数対応テーブルを参照して、通信用回線を接続する送信先のVSAT地球局装置101の通信用回線の送信周波数を取得し、自装置の通信用回線の受信周波数を変更する。また、受信周波数変更部207および受信周波数ホールド部208は、待機タイマーやホールドタイマーにより、設定された受信周波数の維持や解除などを行う。これにより、自装置の通信用回線の受信周波数を送信先のVSAT地球局装置101の通信用回線の送信周波数に合わせることができ、シングルホップ接続されるVSAT地球局装置101間の通信用回線の回線交換を行うことができる。
図8は、セッションの開始、確立、維持および終了に対応するSIPパケットの各制御メッセージの一例を示す。
(1)のセッション開始では、「INVITEメソッド」のCall-IDにより、セッションを識別する。図8の例では、Call-IDは(a84b4c76e66710@pc33.a.com)である。ここで、受信周波数変更部207は、通信用回線の受信周波数を「INVITEメソッド」の送信先のVoIP電話104を収容するVSAT地球局装置101の通信用回線の送信周波数に設定して、受信周波数待機タイマーを開始する。
(2)のセッション確立では、(1)の「INVITEメソッド」と同じCall-ID(a84b4c76e66710@pc33.a.com)の「ACKメソッド」により、メディアセッションの開始が認知される。ここで、受信周波数変更部207および受信周波数ホールド部208は、通信用回線の受信周波数をホールドして固定するとともに、受信周波数ホールドタイマーを開始する。
(3)のセッション維持では、(1)の「INVITEメソッド」と同じCall-ID(a84b4c76e66710@pc33.a.com)の定期的な「INVITEメソッド」により、メディアセッションが継続中であることが認知される。ここで、受信周波数変更部207および受信周波数ホールド部208は、受信周波数ホールドタイマーをリセットして再起動し、通信用回線の受信周波数の固定状態(ホールド状態)を継続する。
(4)セッション終了では、(1)の「INVITEメソッド」と同じCall-ID(a84b4c76e66710@pc33.a.com)の「BYEメソッド」または「CANCELメソッド」により、メディアセッションの終了が認知される。ここで、受信周波数変更部207および受信周波数ホールド部208は、通信用回線の受信周波数の固定を解除する。
このようにして、受信周波数変更部207および受信周波数ホールド部208は、自装置の通信用回線の受信周波数を設定し、設定された受信周波数の維持や解除などを行うことができる。
図9は、本実施形態におけるCSC信号のフレームフォーマット500の一例を示す。図9において、フレームフォーマット500は、CSC信号ヘッダ部501およびCSC信号データ部502を有する。CSC信号ヘッダ部501には、IPパケット転送のための制御コマンド524が格納される。CSC信号データ部502には、SIPまたはICMPのIPパケット521と、IP送信先地球局装置ID522およびIP送信元地球局装置ID523が格納される。なお、IPパケット521は、IPv4/Ipv6パケットヘッダ531およびIPv4/Ipv6パケットペイロード532を有する。ここで、制御コマンド524は、VSAT地球局装置101の制御を行うためのコマンドで、CSC信号ヘッダ部501の固定された場所に固定長のバイト列で記述される。例えば、VSAT地球局装置101の送信周波数を設定するコマンド、無線送信を開始するコマンド、無線送信を強制停止するコマンド、受信状態の情報を取得(要求)するコマンド等として用いられる。本実施形態では、IPパケットを転送するコマンドとして新たな制御コマンド524を定義することにより、CSC信号を受信したVSAT地球局装置101やVSAT制御地球局装置103が適切な転送処理を行うことができる。
このようにして、SIPパケットまたはICMPパケットなどのIPパケットは、CSC信号にカプセル化され、中継衛星102およびVSAT制御地球局装置103を経由して送信先のVSAT地球局装置101に送信される。
図10は、発信側におけるCSCカプセル化部209の処理例を示す。なお、図10において、IPパケットの入力からCSCI信号の送信までの各ブロックは、図2で説明した同符号のブロックに対応する。
図10において、CSCカプセル化部209は、各VSAT地球局装置101に予め割り当てられたネットワークアドレスとVSAT地球局装置101のIDとが対応付けられた情報テーブル281を有する。情報テーブル281には、ネットワークアドレステーブルが記憶され、例えばネットワークアドレスからVSAT地球局装置101のID(a,b,・・・,mなど)を知ることができる。図10の例では、「a」のIDのVSAT地球局装置101のネットワークアドレスは172.16.0.0/24、「b」のIDのVSAT地球局装置101のネットワークアドレスは172.16.1.0/24、「m」のIDのVSAT地球局装置101のネットワークアドレスは172.16.10.0/24である。
CSCカプセル化部209は、IPルーティング部204が出力するIPパケットのネットワークアドレスを抽出し、ネットワークアドレステーブルを参照してVSAT地球局装置101のIDを確認する。そして、CSCカプセル化部209は、図9で説明したように、CSC信号の送信対象のIPパケットに送信元のVSAT地球局装置101のIDと送信先のVSAT地球局装置101のIDとを付加してCSC信号データ部502に格納するとともに、IPパケット転送の制御コマンド524をCSC信号ヘッダ部501に格納して、CSC信号の送信対象のIPパケットをCSC信号にカプセル化する。
このようにして、本実施形態に係るVSAT地球局装置101は、IP-IF201から入力するIPパケットのうち、CSC信号の送信対象のIPパケットをCSCI信号にカプセル化して中継衛星102を経由してVSAT制御地球局装置103に送信することができる。
以上、説明したように、本実施形態に係るVSATシステム100は、SIPパケットを制御信号でカプセル化して、発信側のVSAT地球局装置101から中継衛星102を介してVSAT制御地球局装置103に送信し、VSAT制御地球局装置103から中継衛星102を介して着信側のVSAT地球局装置101までカプセル化された制御信号を透過することにより、簡易な送信周波数固定割当て方式の衛星回線において、VSAT地球局装置101間でシングルホップ接続によるPtoP通信を行う通信用回線の回線交換を行うことができる。
特に、本実施形態に係るVSAT地球局装置101は、SIPトランザクション状態及びSIPのシグナリング・シーケンスと連動させて通信用回線の回線交換を自動化するので、HUB局装置が不要なシングルホップ接続によるPtoP通信でVSAT地球局装置101間の回線交換を行うことができる。
また、本実施形態に係るVSATシステム100は、VSAT地球局装置101がCSC回線での送信に不適切なパケットをフィルタリングし、回線交換に必要なSIPパケットのみを取り出して送信することにより、CSC回線のコリジョン発生を軽減することができる。
また、発信側のVSAT地球局装置101でCSC送信対象のIPパケットをCSC信号でカプセル化することにより、VSAT制御地球局装置103でIPパケットを復号することなく、着信側のVSAT地球局装置101へ転送することができる。
また、発信側および着信側のSIPプロキシサーバとして動作するVSAT地球局装置101のSIP情報出力部206がSIPトランザクション情報を取り出すことにより、SIPトランザクション情報に基づいて通信先のVSAT地球局装置101の送信周波数を取得し、自装置の受信周波数を変更するので、VoIP電話104によるSIPトランザクションとの同期性(受信周波数変更のタイミング)および整合性を確保することができる。
SIPの「INVITEメソッド」やレスポンスコード「180 Ringing」などの制御メッセージによるシグナリング・シーケンスに連動して、対向するVSAT地球局装置101同士が互いの受信キャリアの周波数を相手の送信キャリアの周波数に合わせることにより、通信用回線の回線交換を自動で行うことができる。
また、本実施形態に係るVSATシステム100は、VSAT地球局装置101自体を操作する必要がなく、利用端末(SIP_UA端末)を操作するだけで、シングルホップPtoP接続の回線交換を行うことができる。
以上のように、本発明に係る衛星通信システム、地球局装置および回線交換制御方法は、地球局装置および回線交換制御方法は、SIPパケットを制御信号でカプセル化して、発信側の地球局装置から中継衛星を介して制御地球局装置に送信し、制御地球局装置から中継衛星を介して着信側の地球局装置までカプセル化された制御信号を透過し、SIPパケットの情報に基づいて対向する地球局装置の送信周波数に自装置の受信周波数を合わせることにより、簡易な送信周波数固定割当て方式の衛星回線において、シングルホップ接続されたVSAT地球局装置間でPtoP通信を行う通信用回線の回線交換を行うことができる。