JP7358291B2 - 排ガス通路内壁面の付着物厚み推定方法及び装置 - Google Patents

排ガス通路内壁面の付着物厚み推定方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、排ガス通路内壁面の付着物厚み推定方法及び装置に係り、特に、付着物厚みを高精度で推定して連続操業時間を延ばし、稼働率を上げることが可能な排ガス通路内壁面の付着物厚み推定方法及び装置に関する。
図1に例示するような廃棄物焼却施設や溶融施設、各種加熱炉や溶融炉等を運転する際に、炉、ボイラ、煙道、排ガス処理系の壁面に付着物を生じる場合がある。図1において、10は焼却炉または溶融炉、12は二次焼却燃焼炉(二次燃焼炉とも称する)、13はバーナー、14は減温塔、15は水噴霧設備、16は除塵設備、18は誘引ファン、20は煙突である。なお、HClやSOx除去を効率良く行うための減温は、図1に示したように、減温塔14に設けた水噴霧設備15による他、図2に示すように、熱回収しつつ減温するためのボイラ22を設けたり、図3に示すように、ボイラ22と減温塔14の水噴霧設備15の両者を併用して、ボイラ22で熱回収と減温を行った後、水噴霧により温度を下げることによって行っている。
ところで、壁面への付着は、焼却や溶融時の高温下で揮発する成分や燃焼排ガス等に随伴する成分が、(1)温度が下がって凝縮して壁面に付着する、(2)流速が遅くなって壁面に堆積する、(3)凝縮物に付着・堆積する等が原因となって引き起こされる。
この付着物は、付着物自身を原因とする煙道の閉塞による炉内や煙道圧の上昇、局所的高温部の生起などによる、ガスの吹き出し、未燃分の増加、伝熱阻害やその他種々の操業・設備トラブルや場合によっては炉の緊急停止に陥る原因になるため、大きな問題となっている。また、付着物が崩れ落ちて下部ホッパーに溜り、近傍の配管を目詰まりさせることによっても同様の事態となる。このため、できるだけ自動で剥離させることを狙って、(i)付着しにくくする薬剤を燃料中に添加したり(特許文献1)、(ii)側壁に分散液を噴射したり(特許文献2)、(iii)空気をブラストするビンブロー、エアハンマー、ハンマリング等の自動剥離機器を利用することが行われているが、抜本的な解決には至っていない。
特開2002-285179号公報 特開2006-29701号公報 特開2013-156116号公報 特許第5716231号公報 特許第6268699号公報
実際の付着対策として最終的には、設備の稼働を停止して清掃(掻き取り)を行っているが、付着物の付着状況に関しては、特に廃棄物を対象としている場合、毎回同じようなものではなく、量と質の両面で大きく異なっている場合がある。このような場合、清掃作業に際して準備する要員数や器具類、所要日数などに過不足が生じるため、結果として準備過剰や不良になり、無駄が生じている。従って、設備の稼働を停止して剥離作業を行う場合、付着状況を予め推定することによって、清掃日、要員数、器具類、作業日数等のより適正な予測ができるため無駄をなくす効果は大きい。
又、炉が緊急停止した場合、その原因にもよるが、炉内や煙道のガス、スラグや灰が噴き出す場合がある。この段階では緊急排出弁等からガスを逃がしたり、不活性ガスで封じ込めたり、置換しながら冷却する必要がある。特に、溶融炉では、緊急停止した場合、スラグや原料等が固まってしまい、再開するためには削岩機によるスラグのはつり作業や炉壁の付着物除去作業が必要になる。従って、炉の操業にとって緊急停止は最も避けたい事態で、できるだけその前の段階で問題の発生を予知することが望ましい。
図4に、急激に温度を下げるためデポジット(以下、付着物8と称する)が付着しやすい減温塔14(内径3m~6m、高さ7m~10m程度)の場合を例示するように、焼却・溶融設備の内部の付着物8の付着状況(例えば、最高800mm程度になる付着物厚みt)を推定するには、(1)外部から内部の状況を測定して内部の状況を推定するか、(2)内部から内部の状況を測定するという2つの方法がある。このうち、後者の(2)内部から内部の状況を測定することに関しては、設備稼働中は、高温と高ダスト濃度下で測定するための設備的な工夫が必要になり、非常に難しい。
これに対して、前者の(1)外部から内部の状況を測定して内部の状況を推定することに関しては、超音波や放射能などを利用することが考えられる。超音波は精度自体があまり高くなく、空洞があったり付着状態の粗密の程度によって測定結果が大きく左右されるため、推定精度に問題がある。一方、図5に例示するように、放射能測定器30を用いて放射能を測定する場合、感度は非常に高いので、煙道中の粉塵が多くても精度良く測定できる可能性がある。他に、放射線源をトレーサーとして被爆対策の規制値以下の濃度で原料に添加する方法も検討されているが、放射能に対する警戒感から避けられる傾向にある。又、自然放射能を測定する場合は、含有濃度が非常に低いため、測定時間が通常でも1日単位で必要であり、現実的ではなかった。又、特に、自然界に普遍的に存在する放射性カリウム(以下、40K)の存在とその利用については、放射線関連の技術者からはある程度注目されており、東日本大震災での放射能汚染に関しても、放射性セシウム(以下、放射性Cs)汚染に対してのみでなく、特許文献3にあるように家畜体内の放射能濃度測定に40Kを利用する提案がなされている。ただし、測定時間が数時間以上必要となっていた。又、γ線の測定方法に関しては、特許文献4や5に示されるように、自己遮蔽効果を利用することで比較的容易に精度よく測定できる方法も注目されている。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、付着物厚みを高精度で推定して連続操業時間を延ばし、清掃作業の効率化を図ることを含めて、稼働率を上げることが可能な排ガス通路内壁面の付着物厚み推定方法及び装置を提供することを課題として、前記の(1)と(2)の測定法を組合わせて、それぞれの測定法を上回る、より精度の高い付着物厚み推定方法を提案するものである。
前述の通り、付着物厚みを推定する方法として2通り考えられ、技術面ではそれぞれで完璧という訳ではなく、一長一短がある。実用面を考慮すると2方式の測定法を組合わせることは設備費用や測定要員や手間の問題があり、できればどちらか一方式で行いたいところである。しかし、両方式共に、いつでも付着物厚みが精度高く把握できるという訳ではなく、特に付着の傾向をより精度よく推定するためには、頻度高い測定が可能な外部からの測定と、精度高い測定が可能な内部からの測定の融合が効果的である。このような視点から、外部から非接触で付着物厚みを推定する方式と、内部から直接付着物厚みを測定する方式のそれぞれについて検討を行った。
まず発明者らは、外部から付着物厚みを推定する手段として、放射能の計測を検討した。放射性Csを含む廃棄物の焼却・溶融設備で発生した飛灰の放射能計測を行い、環境放射能を遮蔽しコリメーターを設置することにより、シンチレーション検出器や、半導体検出器でエネルギーレベル別にγ線強度の測定ができることを確認した。また、GM管検出器でも、測定時間は長くなり、感度は低下するが、γ線の検出が可能であることを確認した。同時に、シンチレーション検出器を用いて放射性Csについて測定し、測定時間2分程度で、厚みが最大200mm以内であれば、厚みが増せば放射能強度も増すという、一定の関係があることを見出した。又、40Kについても同様に一定の関係があり、しかもこの関係が厚み300mm程度まで保たれることを見出した。測定結果は図6に示すとおりである。更にGM管でも厚み300mm程度まで同様の関係が保たれることを見出している。放射性Csについては、原子力発電所の事故により排出されたものであり、濃度は検出限界と比較して高濃度であるが、40Kについては草木、生物体、土壌や海水など自然界に広く存在し、もともとの廃棄物にも含まれるものであり、センシング対象としての適用範囲は広く有用性が高い。そこで、焼却飛灰に関して詳細な測定を行い、結果として2分以上の測定時間を取れば、40Kとして定量できるレベルになることを見出した。
この飛灰の放射能測定結果に力を得て、実際の溶融炉の排ガス冷却塔において、内部の付着物の放射能濃度をシンチレーション検出器で外部から測定した結果、飛灰を測定したときと比較して、セシウム(以下、Cs)については同じ厚みの部分でのばらつきは15%程度あるものの、ほぼ同等の結果が得られ、自然界に広く存在する40Kについては、厚みのばらつきがCsと同程度で、測定時間は長くなるが、測定時間15分以内で十分な精度で測定できることがわかった。GM管の場合は、ばらつきが30%程度と大きくなったが、日単位の頻度で測定すればよい場合には付着物厚みが増加する傾向を把握するには十分な精度で測定できる。焼却炉や溶融炉の飛灰の場合、カリウム(以下、K)は熱により気化して排ガスに移行し、これが煙道や排ガス冷却設備内で凝縮する。焼却ごみの場合、一般的に灰分は10%程度発生し、飛灰は3%程度発生する。Kは飛灰に50%以上移行する。従って、Kは元のごみに対して16倍以上濃縮されることになる。溶融の場合は、灰や瓦礫や土壌を対象とした場合、飛灰発生率は5%程度でKは飛灰に80%以上移行するため、16倍以上濃縮されることになる。自然界のKを濃縮したり、自然界にあるKの含有率の高い物質を原料に入れることによって40Kも増えるので、付着物の40Kも増えて、測定時間の短縮や付着物厚みの推定精度向上につながる。自然界のKは主として植物の草類に多く含まれる。これらは廃棄物として処理する場合も多いので、処理する際に原料と混合して処理を行えば40Kの検知には都合がよい。しかし、放射能に対する警戒感があり、又、焼却・溶融設備は二次汚染源にもなり得るので注意を要する。
更に排ガス処理系全体の複数か所について外部からシンチレーション検出器で放射性Csと放射性Kの測定を行い、この結果と、炉を停止させて内部の付着物を清掃するタイミングで内部の付着物の付着状況(位置と付着量)を測定した結果との関係を調べた結果、厚みが200mm~300mmまでは、付着物厚みと放射能強度にほぼ一定の関係があることを見出した。
なお、付着物厚みは設備の条件(対象物、処理条件、付着場所等)にもよるが、100mm~300mm以上、最大で800mm程度になることがある。この場合、現状の放射能測定方法では対応できない。
また、測定に際して、前述のとおり付着・堆積物自体の遮蔽効果があるため、付着物厚みの測定には限界がある。確認実験では最大で200mm~300mmであり、1000mmφ程度の小径であれば有用であるが、大径の塔類の場合は付着物厚みがこれ以上となる場合も多く、外部からの放射能測定では限界まで測定できない場合がある。このような場合は、最大測定値をもって清掃の指標とする、測定値から推定した付着速度から判断する系内のより小径の配管部や付着・堆積しやすい塔類底部のホッパー部、ガス流れが乱れやすい塔類と配管の接続部、および配管の曲がり部などで測定して推定することにより、対応可能な場合もある。現状の対策として、例えば、小径の水平配管部や曲がり部は元々詰まりやすいため、詰りが生じやすい部分の両端部をフランジ構造として清掃作業をしやすくする工夫をし、その詰りの程度は圧損の測定から推定することが行われている。しかし、圧損の場合、圧損が上がり始めると急速に上がってくるという傾向があるため、多くの場合、緊急停止に近い対応を取らざるを得ず、停止作業にしても清掃作業にしても準備期間はほとんどとれないという問題点がある。又、配管前後の大径の配管や塔槽類への付着や堆積についての情報は得られない。一方で、放射能測定を行えば、測定限界内であれば付着物厚みの増加傾向の把握が可能となる。つまり、圧損が大幅に上昇する前の段階での付着や堆積の状況を知ることができ、事前の予測が可能となる。
放射能測定で更に厚い付着物厚みを測定する別の方法についても検討した。
まず放射能測定器についてであるが、図7に示す如く、排ガス通路の一つである減温塔14の外側から付着物8の厚みを推定するための放射能測定器30を上下方向に移動させて測定を行い、最大の付着物厚みtが300mm以下の範囲に入る位置(高さ)を決めて放射能測定器30を設置し、この測定値から減温塔全体の中の最も厚い部分の付着物厚みを推定して、炉の停止時を推定する。即ち、付着物厚みtが最も厚いところを測るのではなく、最大で300mm以下のところを測定し、この部分の付着増加傾向から最大付着量を予測する方法である。
この際、自然界に他の放射性同位元素と比較して大量に存在する放射性Kを利用することで、図6に例示したように、従来不可能であった300mmまで測定可能である。一方で、放射性Csの濃度が測定限界に対して十分に高い場合には、付着物厚みの最大値が200mm以下の位置で放射性Csを測定することにより、測定時間の短縮と測定精度の向上が図れる。
さらに、これらの方法により外部からの連続測定が可能なので、ハンマリングやビンブロー等の付着物除去手段の効果を即座に確認することが可能になる。
この場合に用いる放射能測定器30は、固定型又は可搬型あるいはその両方を用いることができる。
次いで内部から内部を計測する3次元形状の計測について説明する。
(1)測定作業及び測定機器に関しては、(イ)できるだけ短時間かつ少ない測定点で立体的な計測が可能な測定が精度高くできること、(ロ)測定機器がこれに必要な耐高温性を有すること、(ハ)測定機器及び測定補助機器が大掛かりにならないこと、が主な検討項目である。
(2)測定環境に関しては、(I)ダストの存在による砂嵐状の環境下でも測定できること、(II)ガスの性状が測定に影響しないこと、が主な検討項目である。
一方、3次元形状を測定する3次元光センサ(3Dセンサとも称する)32は、例えば直径3m~5mで高さ5m~10mの大空間の一部あるいは大部分に付着している付着物8の形状を短時間で立体的に精度高く計測する方法として、可視、紫外光、赤外光又はレーザー光を用いた3Dセンサ32が適するものと考えた。
計測位置については、付着物8の内部張出し長さ(付着物厚み)tより長い位置で、測定箇所は、図8(A)に示す如く、横断面の円周上1箇所であると大きな死角を生じるので、図8(B)に2箇所の場合を例示する如く、同一横断面の円周上2箇所(ほぼ対向する位置)~3箇所(円周をほぼ3分割する位置)とすることにより、死角を減らして最小の機器数で全体の計測が可能となる。図8(C)に、図8(B)に対応する縦断面を示す。
ダスト濃度の影響については、以下の検討を行った。焼却炉や溶融炉の形式や対象物の種類にもよるが、炉出口のダスト濃度は概ね十数g/m3以下である。排ガス温度が700℃~300℃程度であることから、実質的な濃度としては1~5g/m3程度となる。実際に溶融炉から採取したダストを用い、レーザー散乱式粒度計で粒子数と粒度分布の測定が可能か否か検討した結果、図9に示す如く、1μ以上の総粒子個数として0.35g/m3程度に測定限界があった。粒度の測定と光による形状計測に対するダスト濃度の影響の程度は必ずしも同じではないが、粒子濃度が測定できない程にダスト濃度が高い場合は、光も透過しないと考えられる。つまり、付着物厚みtの計測において、ダストが多ければ光が透過せず計測できないことになる。又、ダスト等の影響により、3Dセンサ32で用いるレーザー光の透過が阻害され、位置検出をしたい対象点に反射して返ってくる割合が減る。ここで、図9の縦軸の位置検出率[%]は、この影響下で、測定対象点へ送出したレーザーに対し、正しく位置を検出できた割合を示す。
なお、廃棄物の焼却炉や溶融炉の場合、廃棄物の種類や炉の形式によってダストの量は大幅に変化する。前述のとおり、炉出口ダスト濃度と粒子数の測定限界ダスト濃度を比べれば、その差は数倍~10倍以上となっており、焼却炉や溶融炉を通常の負荷で稼働させている時に測定することは容易ではない。従って、この問題を如何に解決するか、つまり、炉を停止させたり冷やしたりしない状態で、ダストの存在による砂嵐状の環境下でも測定できる対策が必要であった。
又、焼却炉や溶融炉の操業は、安定性を維持して長期間の連続運転を行うために、変動をなるべく少なくして運転するのが一般的である。一方、煙道内の付着物の形状測定を行うには、前述の通りダスト濃度を大幅に低減させる必要がある。そこで発明者らは、炉の操業を短時間停止し、その間に測定することを考え、停止試験を実施したところ、完全停止の場合でも、未燃物や無機塩の熱分解等により可燃ガスや有害ガスが発生するため、図1中に示したように、二次燃焼以降の工程は、ガス、油、コークス等の助燃材や空気、酸素等の支燃材を用いてきちんと管理する必要があること、および特に溶融炉の場合には溶融物が部分的に凝固する部分が発生し、場合によっては、これが再操業の際の問題になる可能性があった。つまり、短時間であっても完全に操業を停止すると、問題が出る可能性のあることが判明した。これらの結果から、廃棄物負荷の大幅低減あるいはゼロとした場合に助燃材と支燃材を焚いて炉温を維持することにより、ダストの発生を大幅に抑制した状態を30分以上作ることができ、炉内の問題を発生させずに再稼働できることを見出した。
ここで、ダストの発生を大幅に抑制した状態を30分以上作るのは、測定に要する最低時間を確保するためである。
即ち、例えば減温塔14の場合、減温塔14の上部から下部で設置されたマンホール14aやハンドホールの中で適した位置を探して測定を行うが、測定手順として、まず、1)マンホール14aやハンドホールのフランジの蓋を外し、2)測定器具へ必要に応じて冷却空気や冷却水を接続・通水し、挿入・設置し、3)測定を行い、4)測定後は測定器具を外して、5)フランジの蓋を元通りに閉めて完了となる。
測定時間は5分~10分程度であるが、そのための作業時間が設置に10分、後片付けに10分以上かかるので、測定に際しては最短で30分程度が必要となる。
ただし、炉の方式や形状、廃棄物の種類等によっては、ダストの発生を大幅に抑制した状態を作るのに10分以上掛かる場合がある。この場合の安定化に掛かる時間は、さらに20分程度が最短でも必要になる。
測定時間が長くなった場合のデメリットは、稼働率が低下すること、定常操業状態に戻すのに要する時間がより長引くなどである。
又、大幅な低負荷運転を負荷率20%以下とする根拠は、負荷率20%が測定に必要なダスト濃度を下げるための最大負荷であるためである。
即ち、通常の廃棄物の焼却炉や溶融炉の場合、炉出口ダスト濃度は500℃程度で1~5g/m3程度(既記述)である。負荷率を20%に下げた場合、可燃性ガスと燃焼空気等の支燃性ガスの量も同じ比率で下がるため、ダスト濃度に変化はないと思われるが、実測してみると負荷率50%では0.5~2.0g/m3、負荷率20%では0.3~1.5g/m3であった。この理由は、炉内や煙道の流速が遅くなったことによって、凝集や沈殿効果が増したことがあると考えられるが、詳細は不明である。ただし、数値としては、負荷率20%程度で3D光学測定が可能なダスト濃度の範囲に入る可能性があるということで、負荷率の上限は20%となる。
一方、廃棄物の負荷率のみを20%にして可燃ガスや支燃ガス量による発熱量を上げて、負荷率の変更前後で全熱量は同程度に維持する場合、これは炉温を下げない効果があるが、このような操業方法を選択した場合、排ガス量は大きく変化しないためダスト濃度は負荷率にほぼ比例して下がり、0.2~1g/m3と推測される。
上記2つのことから、廃棄物負荷率の上限を20%とし、この負荷率以下で操業することにより、3D形状計測が円滑に行える。
ここで、廃棄物の供給を停止し炉温維持に必要な助燃材や電力を供給して(炉の定格負荷の20%程度以下)30分間維持した場合の効果は以下の通りとなる。
1週間に1回、30分かけて測定を行い、1時間かけて復帰させるものとする。炉の廃棄物の負荷率は30分間がゼロ、復帰時の1時間まで均して50%とする。現状の場合、連続操業時間が14日、炉停止から再稼働までが5日とし、煙道内付着物形状計測により連続操業時間が7日間延びたとすると、RUN1回当たりの稼働率は
現状の正味の稼働率=(14×24)/(14+5)×24=0.736
発明成果の稼働率=(21×24-1.5×0.5×3)/(21+5)×24=0.804
となる。この差は一見少ないように見えるが、1)清掃時間と清掃費用が短縮でき、2)設備と要員を変えることなく効率が9%以上上げられる。
なお、測定は頻度高く行うことが望ましいが、長期間の測定および操業データとの組合せ学習によって信頼性を高められることを考えると、数日あるいは1週間に1回等、データ蓄積と操業条件等の膨大なデータを機械学習に取り込むことにより学習効果を高め、その結果として測定頻度を大幅に少なくできる可能性がある。
もう一つ、計測に際して注意する必要があるのが計測温度であり、3Dセンサ32の測定プローブは耐熱温度以下に冷却する必要がある。この温度は、測定器のメーカーや機種によって異なるが、おおよそ70℃程度と言われている。
図10(A)に示すような水冷ジャケット34を用いた冷水による間接熱交換方式の場合は、比較的小型になるが機器は複雑になる。図において、36はケーブルスぺースである。冷却に気体(空気)を用いる場合は、図10(B)に示すように、3Dセンサ32の測定プローブを空冷ジャケット38に入れて、空冷ジャケット38に気体(空気又は可燃性でない窒素N2等のガス)を通して冷却し、冷却後のガスは炉や煙道内に放散すればよい。水冷ジャケット34、空冷ジャケット38には耐熱ガラス製等の透明な覗き窓を設け、この覗き窓で測定用の光の授受やカメラ撮影を行う。水冷と空冷を併用する例を図10(C)に示す。
3Dセンサ32の測定プローブ入りジャケット34、38の装入・設置は、炉や煙道の適切な場所(例えばマンホール14a)に予め設けておいた台座の装入口を開けて装入・設置する。計測データは、3Dモデルに落とし込むことによって使い勝手の良いものになる。
又、3Dレーザー計測法を用いることによって、3Dセンサ(発信・受信)32は付着物8の壁面からの張出し高さ以上に装入する必要があるという点に対して、図8(B)(C)に示したように、2つの3Dセンサ32A、32Bを用いて、ほぼ対向する位置から互いに対向する面を測定することにより、各3Dセンサ32A、32Bの死角、及び、付着物8自体が邪魔をして測定できなくなる部分を大幅に低減できる。付着物8自体の成長は日あるいは週単位で緩慢に変化するため、この変化を知るには、1日1回程度、1つの測定器と保護部品を用いて順番に測定すればよく、保護部品を煙道や反応容器内に深く装入する必要もないので、3Dセンサ32A、32Bの冷却や測定器表面の清浄状態の維持が容易になり、操作も簡便になる。
空冷ジャケット38の使用冷却気体量は800℃の粉塵環境下で、覗き窓付でセラミック製の内面に断熱材を施した空冷ジャケット38に3Dセンサ32を入れたものを用いて耐熱効果を確認した結果、70℃を少なくとも15分間保持するのに必要な常温の冷却ガス量は、炉や煙道を通過するガス量の高々2%以下であった。
本発明は、上記の検討結果に基づいてなされたもので、排ガス通路の内壁面に付着した付着物の厚みを推定する方法であって、排ガス通路の外側から付着物の放射能を計測する放射能計測工程と、排ガス通路の中に挿入された3次元光センサを用いて、排ガス通路の内壁面の付着物形状を3次元計測する3次元計測工程と、前記放射能計測工程における放射能の計測から得られた付着物厚み推定データ、前記3次元計測工程における付着物形状の3次元計測から得られた付着物厚み測定データ、及び、操業データを蓄積して付着物厚みを学習する学習工程と、前記学習工程で得られた学習結果を用いて付着物厚みを予測する予測工程と、を備えたことにより前記課題を解決するものである。
本発明は、又、排ガス通路の内壁面に付着した付着物の厚みを推定する装置であって、排ガス通路の外側から付着物の放射能を計測する放射能計測手段と、排ガス通路の中に挿入され、排ガス通路の内壁面の付着物形状を3次元計測する3次元計測手段と、前記放射能計測手段による放射能の計測から得られた付着物厚み推定データ、前記3次元計測手段による付着物形状の3次元計測から得られた付着物厚み測定データ、及び、操業データを蓄積して付着物厚みを学習する学習手段と、前記学習手段から得られた学習結果を用いて付着物厚みを予測する予測手段と、を備えたことを特徴とする排ガス通路内壁面の付着物厚み推定装置を提供することにより、同じく前記課題を解決するものである。
ここで、前記放射能計測手段による放射能の計測を、放射性カリウムの放射能を測定することにより行うことができる。
又、前記放射能計測手段による放射能の計測位置を、付着物厚み300mm以下の位置に設定することができる。
又、前記3次元計測手段を、排ガス通路断面の複数箇所に配設することができる。
又、前記3次元計測手段が、炉の短時間停止又は低負荷運転により、ダスト濃度が0.35g/m3以下となる時に付着物形状を測定することができる。
又、前記3次元計測手段を、空冷及び/又は水冷ジャケットに挿入して用いることができる。
本発明では、焼却・溶融炉の炉内や排ガス処理設備や煙道への付着物8の付着状況を3Dセンサ32で計測し、データ処理によって得られた3D測定による付着物厚み測定データ(3次元測定データとも称する)と、放射能計測器30で計測した放射能データから得られた、限られた位置における付着物厚みと放射能濃度を組み合わせた放射能測定による付着物厚み推定データ(放射能推定データとも称する)と、設備の操業データを組み合わせることによって、より精度の高い推定(厚み、広がり、硬さ、放射能濃度等)を行い、この結果に基づいて付着物8を除去する時期を判断すると共に、除去作業に適する器具を選択し、これを用いて人手又はロボットにより付着物8を効果的に除去する。
その際、これらのデータを人口知能(AI)による機械学習によって、原料の種類や組合せ、処理量、処理条件等を制御して一連続単位の操業時間を長くし、付着物8の清掃を効率化すると共に、安全性を高めるうえで効果的な操業方法を把握する。これらにより、操業の省エネ化、省力化、安全性向上、低コスト化を図ることができる。原理と機能は以下のとおりである。
<1>3Dセンサ32の高温部を図10に例示したように、空冷、水冷等で冷却し、機器が正常に測定できる温度範囲に制御すること、及び、測定時に廃棄物負荷を大幅低減するか停止し、助燃材等により炉内や煙道の温度は維持して、測定部位のダスト濃度を大幅に低減させて、測定を行う。この場合のダスト濃度の目安は、粒子濃度の測定結果から煙道のダスト濃度を図9に示したように、0.35g/m3程度以下と推定される。
<2>設備の外側からの放射能計測に際して、図6に示したようなエネルギーレベル別の測定と、特定核種に着目したエネルギー弁別をしない測定を併用することで得られる、付着物8の放射能濃度と厚みの関係を用いて付着物厚みを推測する。
<3>3Dセンサ32による付着状況の3次元形状把握と、限定された位置における放射能濃度から推測された付着物8の厚みデータを、図11に示したようにマッチングさせることにより、厚みと放射能濃度を推測し、この推測によって付着物8の除去の時期を判断すると共に、付着物厚みtや放射能濃度の付着物8の除去作業に適する治具や安全具を選択して除去作業を行う。
<4>操業データの内容と付着物8の3次元測定データと放射能推定データを組み合わせる。
操業データとしては、処理対象物の性状(成分、量)、処理に際しての添加物の種類と量、焼却・溶融温度、炉出口温度、炉出ロ排ガス組成と量、ダスト組成とダスト量、二次燃焼条件、ガス冷却方法、有害ガス除去設備排ガス処理過程での添加物等があり、付着物8の付着位置と付着量と付着硬さと付着組成(特に塩類組成の関わり)との関連を推定することが主目的である。必要に応じて、頻度を高めた断続的測定を行い、付着状況との経時的変化を明確にして、廃棄物等の対象物を炉に入れる順番の選択の最適化、温度や負荷等の炉の操業条件の最適化、及び、炉を停止する時期のより的確な判断等が可能となり、炉の連続稼働期間の長期化に繋がる。
<5>設備稼働中の付着対策の効果を把握する。
付着防止のためにハンマリング機器やエアハンマー、ビンブロー等を設置する場合があるが、現状では外から見えないブラックボックス内に設置されているので、効果の判定が困難である。頻度を高めた断続的測定を行って、付着状況と付着対策の条件(方式、頻度、力)と効果の経時的変化が明確になれば、効果的な対策方法の選択が可能となり、最終的に炉の連続稼働期間の長期化に結びつくことになる。
本発明では、外部から付着物8の厚みを推測したデータと、内部から計測した3Dセンサ32の計測値をマッチングさせて、放射能計測からの推測値の精度向上を図る。付着物厚みtを計測値又は推測値で判断して、一定以上の厚みとなった場合(炉の操業に悪影響が出始める時点)に、操業を停止して冷却し、人手あるいはロボットで除去作業を行う。又、操業データと組み合わせて付着物厚みtとの関連性を学習させることにより、より長期間の連続操業が可能になる操業方法を探索する。
通常、廃棄物焼却炉は100t~200t/日程度の処理規模のものがよく用いられている。操業は1日単位で立ち上げから立ち下げを行うもの、平日操業土日停止のサイクルで動かすもの、目詰まり等で清掃作業が必要になるまで連続操業するもの等がある。1日あるいは週単位で操業するものも、停止時は立ち上げを考慮して加熱保温しておくのが一般的である。溶融炉は、規模は焼却炉と同等かやや小さい。こちらは一且起動すると、目詰まり等で清掃作業が必要になるか、耐火物用の部品が摩耗や劣化により交換が必要になるまで連続操業するのが一般的である。特に、炉出口等の小径配管が詰まりやすいため、自動清掃設備を設置したり、清掃しやすいように直管部の両端にフランジを設ける等の設備の工夫を行ったりしている。
焼却炉と溶融炉のどちらについても、操業の効率は時間当たりの処理量や設備のメンテナンスの頻度や設備寿命、使用ユーティリティ量、操業に必要な担当者数等によって左右される。効率を比較するにあたり、連続操業か夜間停止か土日停止かは、作業者の確保のしやすさや労賃によって左右されるので、操業を固定する必要がある。そこで、現実的かつ効果が明確になりやすい溶融炉の連続操業を対象として説明する。溶融炉を連続操業した場合、方式にもよるが、コークス等の燃料を使用する溶融炉の場合、通常、数か月程度は連続運転が可能である。
一方で、排ガス処理系での付着や閉塞で問題が出る期間は、処理対象物にもよるが、短い場合は数週間、長い場合でも1か月程度である。
例えば、連続操業2週間の場合、炉の停止から冷却に1.5日、清掃に2日、立上げに1.5日の合計5日必要であり、この場合、操業14日に対して休みが5日で稼働率は73.7%(14÷19)となる。
これに対して、本発明による付着物厚み推定技術を用いると、特に問題となる部分の推定が可能となり、操業を1週間程度は延ばせる可能性がある。この場合の稼働率は80.8%(21÷26)となり、10%程度稼働率を上げることができる。又、稼働率に加えて、付着場所と付着物厚みが推定できるので、適切な足場の設置の仕方や清掃器具の準備ができることにより、清掃時間の大幅な短縮が期待できる。この点は特に付着物が放射能を帯びている場合の清掃業務において、法で決められた作業時間より短時間で作業を済ませることができるため、要員を削減できる可能性もある。又、対象物や処理条件と放射能計測値との対比を行えば、稼働時間をより長くできる条件を見出せる可能性が高まるため、更に稼働率を上げられる可能性が高まる。
本発明が対象とするプロセスの一例と本発明が対象とする工程の範囲を示すブロック図 図1において排ガスを冷却する工程の変形例を示すブロック図 図1において排ガスを冷却する工程の他の変形例を示すブロック図 図1の減温塔に付着した付着物を示す縦断面図 図4の減温塔で放射能を測定している状態を示す縦断面図 本発明の原理を説明するための、Csを測定した場合とKを測定した場合の校正曲線を比較して示す線図 本発明の実施形態で用いるセンサの配置例を示す減温塔の縦断面図 本発明の実施形態で用いる3Dセンサの死角を説明するための(A)(B)水平断面図及び(C)縦断面図 本発明の実施形態におけるダスト濃度と3D形状測定限界を示す線図 本発明の実施形態で用いる3Dセンサのジャケットを示す断面図 本発明の実施形態における付着物厚みの予測処理の構成を示すブロック図 本発明の実施形態における処理手順を示す流れ図 本発明の実施形態における学習方法を示す図
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した実施形態における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
まず、本発明の実施形態におけるセンサの構成と配置を説明する。
本実施形態のセンサは、図7に示した如く、排ガス通路(減温塔14)の外側から付着物8の放射能を計測するための、減温塔14の外側に対向配置された、例えば2つの放射能計測器30と、減温塔14の中に、例えばマンホール14aを利用して挿入され、排ガス通路の内壁面の付着物形状を3次元計測する2つの3Dセンサ32とを備えている。
本実施形態では、2つの3Dセンサ32A、32Bが図10(A)に示した水冷ジャケット34、図10(B)に示した空冷ジャケット38、又は、図10(C)に示した水冷・空冷ジャケットに挿入され、図8(B)(C)に示したように対向配置される。
なお、放射能計測器30や3Dセンサ32の配設数や配設位置は上記に限定されず、例えば1つ又は3つ以上、同じ円周上に等間隔で配設することも可能である。
そして、センサの出力は、図11に示すような、放射能測定器30を用いた放射能測定による付着物厚み推定データ31、3Dセンサ32の画像データを用いた3次元測定による付着物厚み測定データ33、原料(廃棄物)処理量(装入量)、副原料(石灰、コークスなど)装入量、成分、空気・酸素吹込み量、炉、煙道の温度、排ガス量(風量、風速)、冷却水量、灰、スラグ、飛灰発生量、制御項目と制御数値の範囲、成分分析値、他の操業(計画)データ40、及び、処理量(装入量)、空気・酸素吹込み量、炉、煙道の温度、排ガス量(風量、風速)、排ガス組成(O2、SO2、SO、HCl他)、冷却水量、電力・燃料等使用量、他の操業(実測)データ42が導入され、これらを蓄積して学習するデータ蓄積学習部110と、データ蓄積学習部110の出力に基づいて作成される付着物厚み予測モデル120と、付着物厚み予測部130とを有するコンピュータ100と、コンピュータ100の出力により付着物厚みtを決定して出力する付着物厚み(決定)出力部140とを備えた付着物厚みの予測処理回路に導入される。
ここで、本実施形態における付着物厚みの推定手順を図12に示す。
まずステップ100で、付着物8の放射能を計測する。
次いでステップ110で、付着物8の形状を3次元計測する。
次いでステップ120で、放射能測定による付着物厚み推定データ(放射能推定データ)31、3D測定による付着物厚み測定データ(3次元測定データ)33、操業データ40、42を蓄積して付着物厚みtを学習する。
次いでステップ130で、学習結果を用いて付着物厚みtを予測する。
ここで、ステップ120における付着物厚みtの学習の様子を図13に示す。
まず、図13(A)の学習段階で、推定データ、測定・画像データからなる生データI(31、33)と、設定・計画データ、操業データ、計測データからなる生データII(40、42)を加工して、学習用データセット50を作成する。この際、異常データは除外し、測定・画像を融合する。
次に、学習用データセット50を、学習用プログラム112、学習前パラメータ114、学習装置の構成を決めるハイパーパラメータ116を含むデータ蓄積学習部110に入力し、学習済モデル122、学習済パラメータ124、推論プログラム126を有する付着物厚み予測モデル120で学習する。
学習結果は付着物厚み予測部130に入力され、実際の入力データ128に基づいて、学習済モデル122により付着物厚みtを決定して出力する。
その結果に基づいて、例えば(a)原料の種類と量が十分にあって、付着物厚みtを最少にする原料・操業条件選択を行う。あるいは、(b)原料の選択に制約がある場合で、付着物厚みtを最少化できる原料・操業条件を選択する付着物厚みの最少化を行う。あるいは、(c)停止・清掃を計画通りに行う場合は、原料条件を問わず、早く付着物厚みtを増やす操業選択を行う付着物厚みの最大化を行う。更に、望ましい原料条件を知ることもできる。
以上のように、コンピュータ100のデータ蓄積学習部110では、焼却・溶融炉の炉内や排ガス処理設備や煙道への付着物8の付着状況を3Dセンサ32で計測し、データ処理によって得られた3D測定による付着物厚み測定データ(3次元測定データとも称する)33と、放射能計測器30で計測した放射能データから得られた、限られた位置における付着物厚みと放射能濃度を組み合わせた放射能測定による付着物厚み推定データ(放射能推定データとも称する)31と、設備の操業(計画)データ40と、操業(実測)データ42を組み合わせることによって、より精度の高い推定(厚み、広がり、硬さ、放射能濃度等)を行い、この結果に基づいて作成した付着物厚み予測モデル120を用いて、付着物厚み予測部130、付着物厚み(決定)出力部140の出力により付着物8を除去する時期を判断すると共に、除去作業に適する器具を選択し、これを用いて人手又はロボットにより付着物8を効果的に除去する。
上記のようにして、放射能推定データ31と、3D測定による付着物厚み測定データ33と、炉の操業データ40、42を融合・学習させて付着物厚みtを推定すれば、放射能推定データ31と操業データ40、42、あるいは、付着物厚み測定データ33と操業データ40、42から予測するより精度が高められる。
結果として、学習結果を利用して、3D測定しなくても、炉の操業データ40、42と放射能推定データ31、あるいは、炉の操業データ40、42のみから、より精度の高い付着物厚みtを推定することができ、3D測定時に必要な炉の低負荷操業の頻度が低下し、炉の運用効率が格段に向上する。
又、付着物厚みtの薄い操業方法を探る指標としても使用可能である。
なお、本実施形態においては、本発明が焼却炉及び溶融炉の減温塔に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、図1~図3に例示した対象範囲や、焼却炉及び溶融炉以外にも適用可能である。
t…付着物厚み
8…付着物
10…焼却炉または溶融炉
12…二次燃焼炉
14…減温塔
22…ボイラ
30…放射能計測器
31…放射能測定による付着物厚み推定データ(放射能推定データ)
32、32A、32B…3次元光センサ(3Dセンサ)
33…3次元測定による付着物厚み測定データ(3次元測定データ)
34…水冷ジャケット
38…空冷ジャケット
40…操業(計画)データ
42…操業(実測)データ
50…学習用データセット
100…コンピュータ
110…データ蓄積学習部
112…学習用プログラム
114…学習前パラメータ
116…ハイパーパラメータ
120…付着物厚み予測モデル
122…学習済モデル
124…学習済パラメータ
126…推論プログラム
128…入力データ
130…付着物厚み予測部
140…付着物厚み(決定)出力部

Claims (12)

  1. 排ガス通路の内壁面に付着した付着物の厚みを推定する方法であって、
    排ガス通路の外側から付着物の放射能を計測する放射能計測工程と、
    排ガス通路の中に挿入された3次元光センサを用いて、排ガス通路の内壁面の付着物形状を3次元計測する3次元計測工程と、
    前記放射能計測工程における放射能の計測から得られた付着物厚み推定データ、前記3次元計測工程における付着物形状の3次元計測から得られた付着物厚み測定データ、及び、操業データを蓄積して付着物厚みを学習する学習工程と、
    前記学習工程から得られた学習結果を用いて付着物厚みを予測する予測工程と、
    を備えたことを特徴とする排ガス通路内壁面の付着物厚み推定方法。
  2. 前記放射能計測工程における放射能の計測を、放射性カリウムの放射能を測定することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の排ガス通路内壁面の付着物厚み推定方法。
  3. 前記放射能計測工程における放射能の計測位置を、付着物厚み300mm以下の位置に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス通路内壁面の付着物厚み推定方法。
  4. 前記3次元計測工程で用いる前記3次元光センサを、排ガス通路断面の複数箇所に配設することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の排ガス通路内壁面の付着物厚み推定方法。
  5. 前記3次元計測工程で用いる前記3次元光センサによる付着物形状測定を、ダスト濃度が0.35g/m3以下となる、炉の短時間停止時又は低負荷運転時に行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の排ガス通路内壁面の付着物厚み推定方法。
  6. 前記3次元計測工程で用いる前記3次元光センサを、空冷及び/又は水冷ジャケットに挿入して用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の排ガス通路内壁面の付着物厚み推定方法。
  7. 排ガス通路の内壁面に付着した付着物の厚みを推定する装置であって、
    排ガス通路の外側から付着物の放射能を計測する放射能計測手段と、
    排ガス通路の中に挿入され、排ガス通路の内壁面の付着物形状を3次元計測する3次元計測手段と、
    前記放射能計測手段による放射能の計測から得られた付着物厚み推定データ、前記3次元計測手段による付着物形状の3次元計測から得られた付着物厚み測定データ、及び、操業データを蓄積して付着物厚みを学習する学習手段と、
    前記学習手段から得られた学習結果を用いて付着物厚みを予測する予測手段と、
    を備えたことを特徴とする排ガス通路内壁面の付着物厚み推定装置。
  8. 前記放射能計測手段による放射能の計測が、放射性カリウムの放射能を測定することにより行うようにされていることを特徴とする請求項7に記載の排ガス通路内壁面の付着物厚み推定装置。
  9. 前記放射能計測手段による放射能の計測位置が、付着物厚み300mm以下の位置に設定されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の排ガス通路内壁面の付着物厚み推定装置。
  10. 前記3次元計測手段が、排ガス通路断面の複数箇所に配設されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の排ガス通路内壁面の付着物厚み推定装置。
  11. 前記3次元計測手段が、炉の短時間停止又は低負荷運転により、ダスト濃度が0.35g/m3以下となる時に付着物形状を測定するようにされていることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の排ガス通路内壁面の付着物厚み推定装置。
  12. 前記3次元計測手段が、空冷及び/又は水冷ジャケットに挿入されていることを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載の排ガス通路内壁面の付着物厚み推定装置。
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