JP7357451B2 - 光学材料用重合性組成物 - Google Patents

光学材料用重合性組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP7357451B2
JP7357451B2 JP2019036602A JP2019036602A JP7357451B2 JP 7357451 B2 JP7357451 B2 JP 7357451B2 JP 2019036602 A JP2019036602 A JP 2019036602A JP 2019036602 A JP2019036602 A JP 2019036602A JP 7357451 B2 JP7357451 B2 JP 7357451B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
compound
substituted
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019036602A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020139085A (ja
Inventor
伸雄 河戸
祐基 加曽利
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2019036602A priority Critical patent/JP7357451B2/ja
Publication of JP2020139085A publication Critical patent/JP2020139085A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7357451B2 publication Critical patent/JP7357451B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Eyeglasses (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Description

本発明は、フォトクロミック化合物を含む光学材料用重合性組成物、該組成物から得られる光学材料およびプラスチックレンズに関する。
プラスチックレンズは、無機レンズに比べ、軽量で割れ難いことから、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきている。近年では、フォトクロミック性能を有する眼鏡用プラスチックレンズの開発が進められている。
その中でもポリチオウレタン樹脂から得られるレンズは、高屈折率であり、また強度などの物性に優れている点から、注目されている。
特許文献1には、脂肪族イソシアネート化合物および脂環族イソシアネート化合物から選択される少なくとも1種のイソシアネート化合物と、二官能以上の活性水素化合物と、フォトクロミック化合物と、を含む、光学材料用重合性組成物が記載されている。
特許文献2では、フォトクロミック化合物が発色や消色のための異性化反応を起こしやすくするために、所定のアルコールを用いることで、マトリックス中に適度な空間を形成させて、調光応答性能を向上させていることが記載されている。
特許文献3、4では、ポリチオウレタン樹脂からなる調光材料において、所定の条件により耐光性が改善されることが記載されている。
国際公開第2014/002844号 国際公開第2015/115648号 国際公開第2017/047744号 国際公開第2017/047745号
P. Alexandridis, T.A. Hatton/Colloids Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects 96 (1995) 1-46
調光材料は、その機能の目的から、太陽光下に晒される機会が多いため、その耐光性は非常に重要である。ポリチオウレタン樹脂からなる調光材料は、一般的なポリ(メタ)アクリレート樹脂からなる調光材料と比べて耐光性が乏しい場合がある。
耐光性を改善する最も効果的な方法は、特許文献4に記載のように紫外線吸収剤を添加する方法である。しかし、紫外線吸収剤の添加量が多いと、フォトクロミック化合物が発色するために必要な紫外線も吸収されてしまうため、発色性能は著しく低下する。
そのため、ポリチオウレタン樹脂からなる調光材料において、紫外線吸収剤を多用しない場合でも、調光性能を発揮するとともに、耐光性が改善される方法が望まれている。
本発明者は、ポリ(メタ)アクリレート樹脂に比べて、ポリチオウレタン樹脂からなる調光材料の耐光性が乏しい原因について検証した結果、ポリチオウレタン樹脂を構成するポリチオールに含まれる不純物であるポリスルフィド化合物に起因していることを見出した。さらに検証した結果、重合性組成物中に含まれるポリスルフィド結合の量が調光材料の耐光性に影響を与えることを見出した。
このポリスルフィド結合の量を規定することで、紫外線吸収剤を多用しない場合であっても、調光材料の耐光性が改善されるとともに、調光性能が発揮されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下に示すことができる。
[1] (A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)ポリチオール化合物と、
(C)ポリオール化合物と、
(D)フォトクロミック化合物と、を含む、重合性組成物であって、
前記重合性組成物中のポリスルフィド結合のモル数が、フォトクロミック化合物(D)のモル数に対して、35倍未満である、光学材料用重合組成物。
[2] 重合性組成物中のポリスルフィド結合のモル数が、フォトクロミック化合物(D)のモル数に対して、30倍以下である、[1]に記載の光学材料用重合性組成物。
[3] ポリチオール化合物(B)は、ポリチオール化合物(B)以外にポリスルフィド結合を有する化合物を含む、[1]または[2]に記載の光学材料用重合性組成物。
[4] ポリイソシアネート化合物(A)が、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、およびジフェニルメタンジイソシアネートから選択される少なくとも1種である、[1]から[3]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[5] ポリチオール化合物(B)が、三官能以上のポリチオール化合物である、[1]から[4]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[6] ポリチオール化合物(B)が、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、およびトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)から選択される少なくとも1種である、[5]に記載の光学材料用重合性組成物。
[7] ポリオール化合物(C)が、一般式(C-1)、一般式(C-2)および一般式(C-3)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、[1]から[6]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
Figure 0007357451000001
(一般式(C-1)中、RおよびRは、水素原子、メチル基、エチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、同一でも異なっていてもよい。nは10以上200以下の整数を示す。)
Figure 0007357451000002
(一般式(C-2)中、RおよびRは、水素原子、メチル基、エチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、同一でも異なっていてもよい。a+cは2以上300以下の整数であり、bは1以上200以下の整数を表す。)
Figure 0007357451000003
(一般式(C-3)中、Qは、ジオールから誘導される2価の基、または少なくとも3つの第1級水酸基を有するポリオールから誘導される3~30価の基を表し、mは3~10の整数を示し、nは2~30の整数を示す。)
[8] フォトクロミック化合物(D)が、一般式(D-1)および一般式(D-2)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、[1]から[7]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
Figure 0007357451000004
Figure 0007357451000005
(一般式(D-1)および一般式(D-2)中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、独立して、水素;
炭素数1~12の直鎖または分岐アルキル基;
炭素数3~12のシクロアルキル基;
置換または無置換である、炭素数6~24のアリール基または炭素数4~24のヘテロアリール基;
アラルキルまたはヘテロアラルキル基(炭素数1~4の直鎖または分岐アルキル基が前記のアリール基またはヘテロアリール基で置換されている。)を示す。
置換された炭素数6~24のアリール基または置換された炭素数4~24のヘテロアリール基の置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~12の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数1~12の直鎖または分枝のアルコキシ基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルコキシ基、少なくとも一つの炭素数1~12の直鎖または分枝のアルキル基またはアルコキシ基により置換されたフェノキシ基またはナフトキシ基、炭素数2~12の直鎖または分枝のアルケニル基、-NH基、-NHR基、-N(R)基(Rは炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基である。Rが2つ存在する場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。)、およびメタクリロイル基またはアクリロイル基から少なくとも1つ選択される。
は同一でも異なっていてもよく、独立して、ハロゲン原子;
炭素数1~12の直鎖または分岐アルキル基;
炭素数3~12のシクロアルキル基;
炭素数1~12の直鎖または分岐アルコキシ基;
少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数3~12のハロシクロアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分岐ハロアルコキシ基;
置換または無置換である、炭素数6~24のアリール基または炭素数4~24のヘテロアリール基(置換基として、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~12の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数1~12の直鎖または分枝のアルコキシ基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルコキシ基、少なくとも一つの炭素数1~12の直鎖または分枝のアルキル基またはアルコキシ基により置換されたフェノキシ基またはナフトキシ基、炭素数2~12の直鎖または分枝のアルケニル基、およびアミノ基、から選択される少なくとも1つの置換基を有する。);
アラルキルまたはヘテロアラルキル基(炭素数1~4の直鎖または分岐アルキル基が前記のアリール基またはヘテロアリール基で置換されている。);
置換または無置換のフェノキシまたはナフトキシ基(置換基として、炭素数1~6の直鎖または分岐アルキル基またはアルコキシ基から選択される少なくとも1つの置換基を有する。);
-NH、-NHR、-CONH、または-CONHR
(Rが、炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基である。);
-OCORまたは-COOR(ここで、Rが、炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基、または炭素数3~6のシクロアルキル基、またはR、Rにおいて、置換アリールまたは置換ヘテロアリール基の置換基の少なくとも1つにより置換されているフェニル基または無置換のフェニル基である。);
を表す。
少なくとも2つの隣接するR同士が結合し、Rが結合している炭素原子を含んで、1つ以上の芳香環基または非芳香環基を形成することができる。芳香環基または非芳香環基は、酸素、硫黄、及び窒素からなる群より選択されるヘテロ原子を含んでいてもよい1つの環または2つのアネル化された環を含む。
mは、0~4までの整数である。pは、0~2までの整数である。)
[9] [1]から[8]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物の硬化物からなる成形体。
[10] [9]に記載の成形体からなる光学材料。
[11] [9]に記載の成形体からなるプラスチックレンズ。
[12] 偏光フィルムと、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面上に形成された、[9]に記載の成形体からなる基材層と、を備えるプラスチック偏光レンズ。
本発明において、重合性組成物中のポリスルフィド結合のモル数とは、重合性組成物に含まれる全てのポリスルフィド結合のモル数であり、化合物(A)、(B)および(C)として例示されるポリスルフィド結合を有する化合物、化合物(A)、(B)または(C)に含まれるポリスルフィド結合を有する化合物(不純物)等の、重合性組成物に含まれる可能性のある全ての化合物のポリスルフィド結合が対象となる。
本発明の光学材料用重合性組成物によれば、紫外線吸収剤を多用しない場合であっても、調光性能を維持しつつ、耐光性に優れたフォトクロミック化合物を含むポリチオウレタン系光学材料を得ることができる。また、予期せぬ効果として、消色時の光学材料の色調を改善することできる。
参考例1、実施例~5および比較例1~2における、フォトクロミック化合物(D)のモル数に対するポリスルフィド結合のモル数と、耐光性(Δ%T)との関係を示すグラフである。
本発明の光学材料用重合性組成物を、以下の実施の形態に基づいて説明する。
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、
(A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)ポリチオール化合物と、
(C)ポリオール化合物と、
(D)フォトクロミック化合物と、を含む。
当該重合性組成物中のポリスルフィド結合のモル数が、フォトクロミック化合物(D)のモル数に対して、35倍未満である。
以下、各成分について説明する。
[(A)ポリイソシアネート化合物]
ポリイソシアネート化合物(A)としては、特に制限はなく、本発明の効果を得ることができれば従来公知の化合物の中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、1,3,5-トリス(イソシアナトメチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;
イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4'-ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、3,8-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン等の脂環族ポリイソシアネート化合物;
ジフェニルスルフィド-4,4-ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;
2,5-ジイソシアナトチオフェン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5-ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4-ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5-ジイソシアナト-1,4-ジチアン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,4-ジチアン、4,5-ジイソシアナト-1,3-ジチオラン、4,5-ビス(イソシアナトメチル)-1,3-ジチオラン等の複素環ポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。ポリイソシアネート化合物(A)としては、これらから選択される少なくとも1種を用いることができる。
ポリイソシアネート化合物(A)としては、単量体以外に、変性体および/または変性体との混合物の場合も含み、イソシアネートの変性体としては、例えば、多量体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、オキサジアジントリオン変性体、ポリオール変性体などが挙げられる。多量体としては、例えば、ウレットジオン、ウレトイミン、カルボジイミド等の二量体、イソシアヌレート、イミノオキサジアンジオン等の三量体以上の多量体が挙げられる。
本実施形態において、ポリイソシアネート化合物(A)は、ポリスルフィド結合を有さない化合物であることが好ましい。
ポリイソシアネート化合物(A)としては、本発明の効果の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートから選択される少なくとも1種が好ましく使用される。
[(B)ポリチオール化合物]
ポリチオール化合物(B)としては、特に制限はなく、本発明の効果を得ることができれば従来公知の化合物の中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)エタン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、及びこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピネート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等の脂肪族ポリチオール化合物;1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール等の芳香族ポリチオール化合物;2-メチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、3,4-チオフェンジチオール、ビスムチオール、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチエタン等の複素環ポリチオール化合物;
2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、グルセリンビス(メルカプトアセテート)、4-メルカプトフェノール、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)等のヒドロキシ基を有するチオール化合物等を挙げることができる。ポリチオール化合物(B)としては、これらから選択される少なくとも1種を用いることができる。
本実施形態において、ポリチオール化合物(B)は、ポリスルフィド結合を有さない化合物であることが好ましい。
ポリチオール化合物(B)としては、本発明の効果の観点から、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)から選択される少なくとも1種が好ましく使用される。
[(C)ポリオール化合物]
ポリオール化合物(C)としては、特に制限はなく、本発明の効果を得ることができれば従来公知の化合物の中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2-メチルグルコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ジグリペロール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-ジメタノール、ビシクロ[4.3.0]-ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジオール、ビシクロ[4.3.0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカン-ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ[5.3.1.1]ドデカノール、スピロ[3.4]オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1'-ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、マルチトール、ラクトース等の脂肪族ポリオール;
ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、ジ(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA-ビス-(2-ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA-ビス-(2-ヒドロキシエチルエーテル)等の芳香族ポリオール;
ジブロモネオペンチルグリコール等のハロゲン化ポリオール;
グリセロールのエチレンオキサイド付加体、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加体、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加体、グリセロールのプロピレンオキサイド付加体、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加体、ペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド付加体、カプロラクトン変性グリセロール、カプロラクトン変性トリメチロールプロパン、カプロラクトン変性ペンタエリスリトール等の3官能以上のアルコールとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ε-カプロラクトンを付加させた化合物;
エポキシ樹脂等の高分子ポリオール等を挙げることができる。本実施形態においては、これらから選択される少なくとも1種を組み合わせて用いることができる。
ポリオール化合物(C)としては、さらに、シュウ酸、グルタミン酸、アジピン酸、酢酸、プロピオン酸、シクロヘキサンカルボン酸、β-オキソシクロヘキサンプロピオン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、サリチル酸、3-ブロモプロピオン酸、2-ブロモグリコール、ジカルボキシシクロヘキサン、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、ブロモフタル酸などの有機酸と上記ポリオールとの縮合反応生成物;
上記ポリオールとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどアルキレンオキサイドとの付加反応生成物;
アルキレンポリアミンとエチレンオキサイドや、プロピレンオキサイドなどアルキレンオキサイドとの付加反応生成物;さらには、
ビス-[4-(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルフィド、ビス-[4-(2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]スルフィド、ビス-[4-( 2,3-ジヒドロキシプロポキシ)フェニル]スルフィド、ビス-[4-(4-ヒドロキシシクロヘキシロキシ)フェニル]スルフィド、ビス-[2-メチル-4-(ヒドロキシエトキシ)-6-ブチルフェニル]スルフィドおよびこれらの化合物に水酸基当たり平均3分子以下のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが付加された化合物;
ジ-(2-ヒドロキシエチル)スルフィド、1,2-ビス-(2-ヒドロキシエチルメルカプト)エタン、ビス(2-ヒドロキシエチル)ジスルフィド、1,4-ジチアン-2,5-ジオール、ビス(2,3-ジヒドロキシプロピル)スルフィド、テトラキス(4-ヒドロキシ-2-チアブチル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(商品名ビスフェノールS)、テトラブロモビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS、4,4'-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、1,3-ビス(2-ヒドロキシエチルチオエチル)-シクロヘキサンなどの硫黄原子を含有したポリオール等も好ましく用いることができる。本実施形態においては、これらから選択される少なくとも1種を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において、ポリオール化合物(C)は、ポリスルフィド結合を有さない化合物であることが好ましい。
ポリオール化合物(C)としては、本発明の効果の観点から、一般式(C-1)および一般式(C-2)で表される化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 0007357451000006
一般式(C-1)中、RおよびRは、水素原子、メチル基、エチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、同一でも異なっていてもよい。nは10以上200以下の整数を示す。
Figure 0007357451000007
一般式(C-2)中、RおよびRは、水素原子、メチル基、エチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、同一でも異なっていてもよい。a+cは2以上300以下の整数であり、bは1以上200以下の整数を表す。
これら化合物の数平均分子量は、500から10000であり、1000から5000が好ましい。
一般式(C-2)で表されるポリオール化合物(C)としては、アデカ社製のアデカプルロニックシリーズ、BASF社製のプルロニックシリーズなどが挙げられる。プルロニックシリーズに含まれる化合物の構造は非特許文献1に示される。
具体的には、アデカ社製のアデカプルロニックL-44、L-62、L-64、L-72、P-84、P-85、BASF社製のプルロニックL-43、L-44、L-62、L-64、L-72、P-65、P-84、P-85、F-68、F-77が好ましく、
アデカ社製のアデカプルロニックL-62、L-64、P-84、P-85、BASF社製のプルロニックL-62、L-64、L-72、P-65、P-84、P-85、F-77がより好ましい。これらのポリオール化合物(C)は単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
好ましくは、一般式(C-3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007357451000008
一般式(C-3)中、Qは、ジオールから誘導される2価の基、または少なくとも3つの第1級水酸基を有するポリオールから誘導される3~30価の基を表し、mは3~10の整数を示し、nは2~30の整数を示す。
なお、式中、Qに直結する酸素原子は、ジオール由来の酸素原子またはポリオール由来の酸素原子である。
ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等を挙げることができる。
少なくとも3つの第1級水酸基を有するポリオールとしては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。
一般式(C-3)で表されるポリオール化合物(C)としては、PERSTORP社のCAPA polycaprolactone polyolシリーズ、DEICEL社のPLACCELシリーズ等を用いることができる。これらのポリオール化合物(C)は単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
本実施形態においては、一般式(C-1)で表されるポリオール化合物(C)、一般式(C-2)で表されるポリオール化合物(C)および一般式(C-3)で表されるポリオール化合物(C)を併用することもできる。
[(D)フォトクロミック化合物]
フォトクロミック化合物(D)としては、特に制限はなく、フォトクロミックレンズに使用しうる従来公知の化合物の中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、フルギド系化合物、ナフトピラン系化合物、ビスイミダゾール化合物等を挙げることができ、これらから所望の着色に応じて、1種または2種以上を用いることができる。
なお、本実施形態におけるフォトクロミック化合物(D)は、ポリスルフィド結合を有さない化合物である。
前記スピロピラン系化合物としては、インドリノスピロベンゾピランのインドール環及びベンゼン環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、インドリノスピロナフトピランのインドール環及びナフタリン環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、インドリノスピロキノリノピランのインドール環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、インドリノスピロピリドピランのインドール環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、等が挙げられる。
前記スピロオキサジン系化合物としては、インドリノスピロベンゾオキサジンがインドール環及びベンゼン環で置換されたハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、インドリノスピロナフトオキサジンのインドール環及びナフタリン環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、インドリノスピロフェナントロオキサジンのインドール環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、インドリノスピロキノリノオキサジンのインドール環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、ピペリジノスピロナフトオキサジンのピペリジン環及びナフタリン環がハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等で置換された各置換体、等が挙げられる。
前記フルギド系化合物としては、N-シアノメチル-6,7-ジヒドロ-4-メチル-2-フェニルスピロ(5,6-ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド-7,2'-トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デカン〕、N-シアノメチル-6,7-ジヒドロ-2-(p-メトキシフェニル)-4-メチルスピロ(5,6-ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド-7,2'-トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デカン)、6,7-ジヒドロ-N-メトキシカルボニルメチル-4-メチル-2-フェニルスピロ(5,6-ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド-7,2'-トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デカン)、6,7-ジヒドロ-4-メチル-2-(p-メチルフェニル)-N-ニトロメチルスピロ(5,6-ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド-7,2'-トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デカン)、N-シアノメチル-6,7-ジヒドロ-4-シクロプロピル-3-メチルスピロ(5,6-ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド-7,2'-トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デカン)、N-シアノメチル-6,7-ジヒドロ-4-シクロプロピルスピロ(5,6-ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド-7,2'-トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デカン)、N-シアノメチル-6,7-ジヒドロ-2-(p-メトキシフェニル)-4-シクロプロピルスピロ(5,6-ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド-7,2'-トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デカン)、等が挙げられる。
前記ナフトピラン系化合物としては、スピロ〔ノルボルナン-2,2'-〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕、スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン-9,2'-〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕、7'-メトキシスピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン-9,2'-〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕、7'-メトキシスピ〔ノルボルナン-2,2'-〔2H〕ベンゾ〔f〕クロメン〕、2,2-ジメチル-7-オクトキシ〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン、スピロ〔2-ビシクロ〔3.3.1〕ノネン-9,2'-〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕、スピロ〔2-ビシクロ〔3.3.1〕ノネン-9,2'-〔2H〕ベンゾ〔f〕クロメン〕、6-モルホリノ-3,3-ビス(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-3H-ベンゾ(f)クロメン、5-イソプロピル-2,2-ジフェニル-2H-ベンゾ(h)クロメン、等や、一般式(D-1)や一般式(D-2)で表される化合物が挙げられ、これらから選択される少なくとも1種を用いることができる。
Figure 0007357451000009
Figure 0007357451000010
一般式(D-1)および一般式(D-2)中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、独立して、水素;
炭素数1~12の直鎖または分岐アルキル基;
炭素数3~12のシクロアルキル基;
置換または無置換である、炭素数6~24のアリール基または炭素数4~24のヘテロアリール基;
アラルキルまたはヘテロアラルキル基(炭素数1~4の直鎖または分岐アルキル基が前記のアリール基またはヘテロアリール基で置換されている。)を示す。
置換された炭素数6~24のアリール基または置換された炭素数4~24のヘテロアリール基の置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~12の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数1~12の直鎖または分枝のアルコキシ基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルコキシ基、少なくとも一つの炭素数1~12の直鎖または分枝のアルキル基またはアルコキシ基により置換されたフェノキシ基またはナフトキシ基、炭素数2~12の直鎖または分枝のアルケニル基、-NH基、-NHR基、-N(R)基(Rは炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基である。Rが2つ存在する場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。)、およびメタクリロイル基またはアクリロイル基から少なくとも1つ選択される。
は同一でも異なっていてもよく、独立して、
ハロゲン原子;
炭素数1~12の直鎖または分岐アルキル基;
炭素数3~12のシクロアルキル基;
炭素数1~12の直鎖または分岐アルコキシ基;
少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数3~12のハロシクロアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分岐ハロアルコキシ基;
置換または無置換である、炭素数6~24のアリール基または炭素数4~24のヘテロアリール基(置換基として、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~12の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数1~12の直鎖または分枝のアルコキシ基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルコキシ基、少なくとも一つの炭素数1~12の直鎖または分枝のアルキル基またはアルコキシ基により置換されたフェノキシ基またはナフトキシ基、炭素数2~12の直鎖または分枝のアルケニル基、およびアミノ基、から選択される少なくとも1つの置換基を有する。);
アラルキルまたはヘテロアラルキル基(炭素数1~4の直鎖または分岐アルキル基が前記のアリール基またはヘテロアリール基で置換されている。);
置換または無置換のフェノキシまたはナフトキシ基(置換基として、炭素数1~6の直鎖または分岐アルキル基またはアルコキシ基から選択される少なくとも1つの置換基を有する。);
-NH、-NHR、-CONH、または-CONHR
(Rが、炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基である。);
-OCORまたは-COOR(ここで、Rが、炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基、または炭素数3~6のシクロアルキル基、またはR、R2において、置換アリールまたは置換ヘテロアリール基の置換基の少なくとも1つにより置換されているフェニル基または無置換のフェニル基である。);
を表す。
少なくとも2つの隣接するR同士が結合し、Rが結合している炭素原子を含んで、1つ以上の芳香環基または非芳香環基を形成することができる。芳香環基または非芳香環基は、酸素、硫黄、及び窒素からなる群より選択されるヘテロ原子を含んでいてもよい1つの環または2つのアネル化された環を含む。
mは、0~4までの整数である。pは、0~2までの整数である。
また、その他に、ナフトピラン系化合物として、WO2013/78086公報、WO2012/149599公報、WO2010/020770公報、WO2009/146509公報に記載のポリシロキサンオリゴマー、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキルエステルそれぞれの少なくとも1つの末端に調光染料分子が付加した化合物や、上記記載の一般式(D-1)または一般式(D-2)で示される構造が連結基で結合され、1分子中にナフトピラン環を2個以上含む化合物などが挙げられる。
一般式(D-1)で表されるナフトピラン系化合物において、一般式(D-3)で表される化合物が好ましい例として挙げられる。
Figure 0007357451000011
、R、R、mは、前記と同じであり、Aは、下記式(A1)~(A5)のアネル化環を表す。
Figure 0007357451000012
これらのアネル化環(A1)~(A5)において、点線が、一般式(D-3)のナフトピラン環の炭素C5炭素C6結合を表す。アネル化環(A4)または(A5)のα結合が、一般式(D-3)のナフトピラン環の炭素C5または炭素C6に結合される。
が、同じかまたは異なり、独立して、OH、炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基またはアルコキシ基を表し、もしくは2つのRがカルボニル(CO)を形成する。
、RおよびRが、独立して、ハロゲン原子(好ましくはフッ素、塩素または臭素);
炭素数1~12の直鎖または分枝のアルキル基(好ましくは、炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基);
少なくとも1つのハロゲン原子により置換された、炭素数1~6の直鎖または分枝のハロアルキル基(好ましくは、フルオロアルキル基);
炭素数3~12のシクロアルキル基;
炭素数1~6の直鎖または分枝のアルコキシ基;
置換または無置換のフェニルまたはベンジル基(置換基として、一般式(D-3)のR、R基が独立してアリールまたはヘテロアリール基に対応する場合、R、R基の定義において上述した置換基の少なくとも1つを有する。);
-NH、-NHR
(ここで、Rが、炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基である。);
置換または無置換であるフェノキシまたはナフトキシ基(置換基として、少なくとも炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基またはアルコキシ基を有する。);
-COR、-COORまたは-CONHR基(ここで、Rが、炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基、または炭素数3~6のシクロアルキル基、または置換または無置換のフェニルまたはベンジル基(置換基として、一般式(D-3)のR、R基が独立してアリールまたはヘテロアリール基に対応する場合、R、R2基の定義において上述した置換基の少なくとも1つを有する)を表す。)を表す。
qが0~6までの整数であり、rが0~4までの整数であり、sが0~2までの整数であり、tが0~3までの整数である。
なお、Aが(A4)を示す場合、qが0~2までの整数であり、rが0~4までの整数であり、Aが(A2)を示す場合、qが0~2までの整数である。
なお、本実施態様において、A=(A1)である一般式(D-3)で表される化合物、A=(A2)である一般式(D-3)で表される化合物、A=(A3)である一般式(D-3)で表される化合物、A=(A4)である一般式(D-3)で表される化合物、およびA=(A5)である一般式(D-3)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1つの異なる種類に属する一般式(D-3)で表される化合物の混合物も包含する。
本実施形態では、一般式(D-3)で表される化合物として、一般式(D-4)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 0007357451000013
Ar、Arは、芳香族基であり、これらは同一でも異なっていてもよく、置換されていてもよいベンゼン環またはチオフェン環を表す。ベンゼン環またはチオフェン環の置換基としては、炭素数1~10の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1~10の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1~6の直鎖または分岐のアルキルモノ(またはジ)置換アミノ基を挙げることができる。R、R、R、m、q、rは前記と同義である。
一般式(D-3)で表される化合物として、一般式(D-5)で表される化合物をさらに好ましく用いることができる。
Figure 0007357451000014
一般式(D-5)中、R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1~10の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1~10の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1~6の直鎖または分岐のアルキルモノ(またはジ)置換アミノ基を表す。mが2のとき、隣接するR同士が結合し、Rが結合している炭素原子を含んで環構造を形成することができる。u、vは、0~4の整数である。上記環構造は、置換または無置換である、炭素数6~24のアリール基または炭素数3~24のヘテロアリール基である。
、R、R、m、q、rは前記と同義である。
一般式(D-5)で示される化合物の具体例としては、一般式(D-6)または一般式(D-7)で示される化合物が挙げられる。本実施形態においては、一般式(D-6)および一般式(D-7)で示される化合物が好ましい。
Figure 0007357451000015
Figure 0007357451000016
フォトクロミック化合物である一般式(D-1)および一般式(D-2)で表される化合物は、公知の方法で合成することができる。たとえば、特表2004-500319号に記載の方法で合成することもできる。
また、さらに一般式(D-1)で表されるナフトピラン系化合物の具体例としては、一般式(D-8)で示される化合物を好ましい例として挙げることができる。
Figure 0007357451000017
ナフトピラン系化合物としては、前記に記載の化合物から選ばれる1種または2種以上の化合物を用いてよい。
本実施形態のフォトクロミックレンズは、樹脂に対してナフトピラン系化合物を100~5000ppm、好ましくは100~3000ppm含むことができる。添加量については、ナフトピラン系化合物の種類により性能が異なるため一概に限定することはできないが、ナフトピラン系化合物の性能や重合性組成物への溶解性によって適宜選定される。
本実施形態におけるフォトクロミック化合物として、一般式(a)および一般式(b)から選択される少なくとも1種を用いることもできる。
PC-L-Chain (a)
PC-L-Chain-L'-PC' (b)
PCとPC'は一般式(c)~(f)の化合物から誘導される1価の基を示す。PCとPC'は同一でも異なっていてもよい。
Figure 0007357451000018
Figure 0007357451000019
Figure 0007357451000020
Figure 0007357451000021
一般式(c)~(f)中、R~R18は、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アセチル基、ホルミル基、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基、置換されてもよいC3~C20の脂環族基、または置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基を示し、それぞれ同一でも異なってもよい。これら脂肪族基、脂環族基または芳香族有機基は、酸素原子、窒素原子を含んでもよい。一般式(c)~(f)で表される化合物に含まれる、いずれか1つの基は、2価の有機基であるLまたはL'と結合する。
置換されてもよいC1~C20の脂肪族基としては、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルコキシ基、直鎖あるいは分枝鎖状のC2~C10アルケニル基、C1~C10ヒドロキシアルキル基、C1~C10ヒドロキシアルコキシ基、C1~C10アルコキシ基で置換されたC1~C10アルキル基、C1~C10アルコキシ基で置換されたC1~C10アルコキシ基、C1~C5ハロアルキル基、C1~C5ジハロアルキル基、C1~C5トリハロアルキル基、C1~C10アルキルアミノ基、C1~C10アミノアルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C20アルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
置換されてもよいC3~C20の脂環族基として、C3~C20のシクロアルキル基、C6~C20のビシクロアルキル基等を挙げることができる。
置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基としては、フェニル基、C7~C16アルコキシフェニル基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アリールC1~C5アルキルアミノ基、環状アミノ基、アリールカルボニル基、アロイル基等を挙げることができる。
とRとして、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子;
直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルコキシ基、C1~C10ヒドロキシアルコキシ基、C1~C10アルコキシ基で置換されたC1~C10アルコキシ基、C1~C5ハロアルキル基、C1~C5ジハロアルキル基、C1~C5トリハロアルキル基、C1~C5アルキルアミノ基等の、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基;
フェニル基、C7~C16アルコキシフェニル基、C1~C5ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アリールC1~C5アルキルアミノ基、環状アミノ基等の、置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基;等を挙げることができる。RとRは、それぞれ同一でも異なってもよい。
として、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子;カルボキシル基;アセチル基;
直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC2~C10アルケ二ル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルコキシ基、C1~C10ヒドロキシアルキル基、C1~C10アルコキシ基で置換されたC1~C10アルキル基、C1~C10アミノアルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C20アルコキシカルボニル基等の、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基;
C3~C20のシクロアルキル基、C6~C20のビシクロアルキル基等の、置換されてもよいC3~C20の脂環族基;
アリールカルボニル基、ホルミル基、アロイル基等の、置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基;等を挙げることができる。
として、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子;カルボキシル基;アセチル基;ホルミル基;
直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC2~C10アルケ二ル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルコキシ基、C1~C10ヒドロキシアルキル基、C1~C10アルコキシ基で置換されたC1~C10アルキル基、C1~C10アミノアルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C20アルコキシカルボニル基等の、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基;
C3~C20のシクロアルキル基、C6~C20のビシクロアルキル基等の、置換されてもよいC3~C20の脂環族基;
アリールカルボニル基、アロイル基、フェニル基、C7~C16アルコキシフェニル基、C1~C10ジアルコキシフェニル基、C1~C10アルキルフェニル基、C1~C10ジアルキルフェニル基等の、置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基;等を挙げることができる。
とRは互いに結合してもよい。RとRが互いに結合して環構造を形成する場合、一般式(g)または(h)が挙げられる。点線部分が、Rが結合している炭素原子とRが結合している炭素原子との間の結合を表す。
Figure 0007357451000022
、R、R、R、R、R10、R14、R15、R16は、R、Rと同様な官能基を示す。複数存在するR~Rとは同一でも異なっていてもよい。
11として、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子;
直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C20アルキル基、C1~C5ハロアルキル基、C1~C5ジハロアルキル基、C1~C5トリハロアルキル基等の、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基;
C3~C20のシクロアルキル基、C6~C20のビシクロアルキル基、C1~C5アルキル基で置換されたC3~C20シクロアルキル基、C1~C5アルキル基で置換されたC6~C20のビシクロアルキル基等の、置換されてもよいC3~C20の脂環族基;
C1~C5アルキル基で置換されたアリール基等の、置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基;等を挙げることができる。
12とR13として、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子;
C1~C10アルキル基、C1~C5アルキルアルコキシカルボニル基等の、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基;C5~C7のシクロアルキル基等の、置換されてもよいC3~C20の脂環族基;等を示す。
17とR18として、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子;
直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基、C1~C10ヒドロキシアルキル基等の、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基;C5~C7のシクロアルキル基等の、置換されてもよいC3~C20の脂環族基;等を示す。
一般式(a)または(b)のLとL'は、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖、(チオ)エステル基、(チオ)アミド基から選択される少なくとも1種の基を含む2価の有機基を示す。
具体的には、LとL'は、一般式(i)~(o)で表される。LとL'は同一でも異なっていてもよい。
Figure 0007357451000023
一般式(i)~(o)中、Yは、酸素、硫黄を示す。
19は、水素、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基を示す。
20は、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基を示す。
pは、0~15の整数を示し、rは、0~10の整数を示す。
Qは、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキレン基、C1~C10アルケニレン基、1,2-、1,3-、1,4-位の置換アリール基から誘導される2価の基、置換ヘテロアリール基から誘導される2価の基等を示す。
*1、*2は結合手を表し、*1は「Chain」で表される1価または2価の有機基と結合し、*2はPCまたはPC' で表される1価の有機基と結合する。
一般式(a)または(b)の「Chain」は、ポリシロキサン鎖、ポリオキシアルキレン鎖から選択される1種以上を含む1価または2価の有機基を示す。
ポリシロキサン鎖としては、ポリジメチルシロキサン鎖、ポリメチルフェニルシロキサン鎖、ポリメチルヒドロシロキサン鎖等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン鎖としては、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシヘキサメチレン鎖等が挙げられる。
具体的には、「Chain」は、フォトクロミック化合物が一般式(a)の場合は、一般式(p)または(q)の1価の有機基を示す。
Figure 0007357451000024
「Chain」は、フォトクロミック化合物が一般式(b)の場合、一般式(r)または(s)の2価の有機基を示す。
Figure 0007357451000025
一般式(p)~(s)中、
21は、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基を示す。
22は、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基を示す。
23は、水素、メチル基、エチル基を示す。
nは4~75の整数を示し、mは1~50の整数を示す。
qは1~3の整数を示す。
*3、*4は結合手を表し、*3はLで表される2価の有機基と結合し、*4はL'で表される2価の有機基と結合する。
本実施形態のフォトクロミックレンズは、樹脂に対して一般式(a)または一般式(b)で表されるフォトクロミック化合物を100~5000ppm、好ましくは100~3000ppm含むことができる。添加量については、一般式(a)または一般式(b)で表されるフォトクロミック化合物の種類により性能が異なるため一概に限定することはできないが、一般式(a)または一般式(b)で表されるフォトクロミック化合物の性能や重合性組成物への溶解性によって適宜選定される。
本実施形態のフォトクロミック化合物は、WO2009/146509公報、WO2010/20770公報、WO2012/149599公報、WO2012/162725公報に記載の方法により得られる。
本実施形態におけるフォトクロミック化合物としては、Vivimed社のReversacol Humber Blue(ポリジメチルシロキサン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(c))、Reversacol Calder Blue(ポリジメチルシロキサン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(c))、Reversacol Trent Blue(ポリジメチルシロキサン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(c))、Reversacol Pennine Green(ポリジメチルシロキサン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(c))、Reversacol Heath Green(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(c))、Reversacol Chilli Red(ポリジメチルシロキサン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(c))、Reversacol Wembley Grey(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(c)) 、Reversacol Cayenne Red(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(c))、Reversacol Wilson Blue(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(c))、Reversacol Peacock Blue(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(c)) Reversacol Jalapeno Red(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(c))等が挙げられる。
[ポリスルフィド結合を有する化合物]
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、化合物(A)、(B)、(C)および(D)以外に、ポリスルフィド結合を有する化合物(以下、化合物(E))を含むことができる。
このポリスルフィド結合を有する化合物(E)としては、光学材料用重合性組成物中に混入する可能性のあるポリスルフィド結合を有する化合物であれば特に限定されないが、化合物(A)、(B)および(C)から選択される少なくとも1つに含まれるポリスルフィド結合を有する化合物(不純物)等を挙げることができ、好ましくは化合物(B)および(C)から選択される少なくとも1つに含まれるポリスルフィド結合を有する化合物(不純物)を挙げることができ、より好ましくはポリチオール化合物(B)に含まれるポリスルフィド結合を有する化合物(不純物)を挙げることができる。
以下、ポリチオール化合物(B)に含まれるポリスルフィド結合を有する化合物(E)について説明する。なお、ポリチオール化合物(B)がポリスルフィド結合を有する化合物(E)を含む場合は、ポリチオール化合物含有組成物と称呼することもできる。
ポリチオール化合物(B)に含まれるポリスルフィド結合を有する化合物(E)は、ポリチオール化合物(B)の不純物である。化合物(E)としては、ポリチオール化合物の製造中にメルカプト基が酸化されることによって副生したものや、使用する原料の不純物に由来するもの等が挙げられる。
化合物(E)として、具体的には、ポリチオール化合物(B)として例示した化合物の二量体及び三量体等が挙げられる。
例えば、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンについては、1組のメルカプト基が酸化されてジスルフィド結合を1つ含有している二量体、2組のメルカプト基が酸化されてジスルフィド結合を2つ含有している三量体が不純物として含まれている。
これら4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンの二量体、三量体について、以下の方法によって分析される。
・HPLC機種:島津製作所社製LC-20AD
・測定波長:230nm
・流量:1mL/min
・カラム:Mightysil RP-18 GP 150-6(5μm)
・温度条件:40℃
・移動相:アセトニトリル/水/KH2PO4=400/600/0.54(vol/vol/g)
・二量体:保持時間 15~16min
・三量体:保持時間 29~32min
例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)については、原料の2-メルカプトアセテート中の不純物由来で副生する、一般式(E-1)、一般式(E-2)および一般式(E-3)で表される化合物が不純物として含まれる。
Figure 0007357451000026
Figure 0007357451000027
Figure 0007357451000028
これら一般式(E-1)、一般式(E-2)および一般式(E-3)で表される化合物について、以下の方法によって分析される。
・HPLC機種:島津製作所社製LC-20AD
・測定波長:210nm
・流量:1mL/min
・カラム:CERI L-column 250mm×4.6mmI.D.
・温度条件:40℃
・移動相:アセトニトリル/10mM 酢酸アンモニウム水溶液=55/45(vol/vol)
・一般式(E-1):保持時間 4min
・一般式(E-2):保持時間 7min
・一般式(E-3):保持時間 9min
本実施形態の重合性組成物は、当該組成物中のポリスルフィド結合のモル数が、フォトクロミック化合物(D)のモル数に対して、35倍未満、好ましくは30倍以下、より好ましくは25倍以下とすることができる。
重合性組成物中のポリスルフィド結合のモル数が上記範囲であることにより、紫外線吸収剤を多用することなく、耐光性に優れる調光材料を得ることができる。さらに、紫外線吸収剤の量が低減されるので、調光色素の発色性能の低下を抑制することができる。
重合性組成物中のポリスルフィド結合のモル数は、ポリスルフィド結合を有する化合物(A)~(C)のモル量、およびポリスルフィド結合を有する化合物(E)のモル量から算出することができる。
本実施形態の重合性組成物がポリスルフィド結合を有する化合物を含む場合としては、例えば以下の(1)~(3)の態様を挙げることができる。
(1) 化合物(A)~(C)の少なくとも1つがポリスルフィド結合を有する化合物である場合
(2) 化合物(A)~(C)の少なくとも1つがポリスルフィド結合を有する化合物であり、さらに不純物としてポリスルフィド結合を有する化合物(E)を含む場合
(3) 化合物(A)~(C)の全てがポリスルフィド結合を有さない化合物であり、さらに不純物としてポリスルフィド結合を有する化合物(E)を含む場合
本実施形態においては、フォトクロミック化合物(D)のモル数に対するポリスルフィド結合のモル数の制御が容易となる観点から、態様(3)であることが好ましい。
化合物(A)、(B)および(C)から選択される少なくとも1つに化合物(E)が多量に含まれる場合、化合物(E)を含む何れかの化合物を精製することにより化合物(E)の量を低減し、ポリスルフィド結合のモル数を調整することができる。
精製方法としては、カラムクロマトグラフィーによる精製など公知の精製方法を挙げることができる。
すなわち、本実施形態の光学材料用重合性組成物の好ましい態様としては、
(A)ポリイソシアネート化合物と、(B)ポリチオール化合物と、(C)ポリオール化合物と、
(D)フォトクロミック化合物と、を含み、
ポリチオール化合物(B)が、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、およびトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)から選択される少なくとも1種であり、
ポリチオール化合物(B)中に含まれるポリスルフィド結合含有化合物(E)のポリスルフィド結合モル数が、フォトクロミック化合物(D)のモル数に対して、35倍未満、好ましくは30倍以下、より好ましくは25倍以下である。
[その他の成分]
本実施形態においては、化合物(A)~(D)に加えて、紫外線吸収剤、光安定剤、重合触媒、内部離型剤、樹脂改質剤等をさらに含んでいてもよい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外吸収剤、ジフェニルアクリレート系紫外線吸収剤、フェノール系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、およびマロン酸エステル系紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤としての能力は最大吸収波長が330nm以下にあり、かつ最大吸収波長の吸光度に対する、360nmの吸光度の割合が0.1以下であることが好ましい、更に好ましくは0.05以下である。好ましい数値範囲に該当する紫外線吸収剤としては、一般式(i)で表されるオキサニリド系紫外線吸収剤、一般式(ii)で表されるマロン酸エステル系紫外線吸収剤が挙げられる。
Figure 0007357451000029
一般式(i)中、Z1およびZ2は同一でも異なっていてもよく、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基等を挙げることができる。
Figure 0007357451000030
一般式(ii)中、Z3は、置換されていてもよいC6~C20の芳香族有機基、置換されていてもよいC5~C20の脂環族基等を挙げることができ、Z4およびZ5は同一でも異なっていてもよく、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基等を挙げることができる。
C6~C20の芳香族有機基としては、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、p-メトキシベンジル基等を挙げることができる。C5~C20の脂環族基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロペンタニル基、シクロデカニル基等を挙げることができる。
置換されたC6~C20の芳香族有機基の置換基、および置換されたC5~C20の脂環族基の置換基としては、C1~C6アルキル基、C1~C6アルコキシ基等を挙げることができる。
一般式(i)または(ii)において、C1~C6アルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、プロピル基、ペンチル基、へキシル基等を挙げることができ、C1~C6アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基等を挙げることができる。
具体的な化合物名としては2-エチル-2'-エトキシオキサニリド、(p-メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチルが一例としてあげられる。
具体的な紫外線吸収剤としては、Seesorb 107(シプロ化成社製)、Viosorb583(共同薬品社製)、Tinuvin 405(BASF社製)、Tinuvin PS(BASF社製)、HOSTAVIN PR-25(CLARIANT社製)及びHOSTAVIN VSU(CLARIANT社製)を挙げることができ、HOSTAVIN PR-25およびHOSTAVIN VSUが好ましい。
紫外線吸収剤の添加量は、光学材料用重合組成物中に200~3000ppm、好ましくは200~2000ppm、さらに好ましくは1000~1500ppmの量で含むことができる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が用いられる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジン)、セバシン酸1-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)10-メチル、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン)カーボネート、セバシン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-4-オキシル)、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンヘキサデカノエート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンオクタデカノエート等を挙げることができ、
セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジン)、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン)カーボネート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンヘキサデカノエート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンオクタデカノエートが好ましい。
具体的には、LA72(ADEKA社製)、LA81(ADEKA社製)、LA402AF(ADEKA社製)、を挙げることができる。
光安定化剤の添加量は、光学材料用重合組成物中に500~5000ppm、好ましくは1000~4000ppm、さらに好ましくは2500~3500ppmの量で含むことができる。
重合触媒としては、3級アミン化合物およびその無機酸塩または有機酸塩、金属化合物、4級アンモニウム塩、または有機スルホン酸等を挙げることができる。
内部離型剤としては、酸性リン酸エステルを用いることができる。酸性リン酸エステルとしては、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルを挙げることができ、それぞれ単独または2種類以上混合して使用することできる。
具体的には、一般式(iii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007357451000031
一般式(iii)中、mは1または2の整数を示し、nは0~18の整数を示し、Rは炭素数1~20のアルキル基を示し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または、メチル基、エチル基を示す。
一般式(iii)中のRとしては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、へキサデカン等の直鎖の脂肪族化合物から誘導される有機残基;
2-メチルプロパン、2-メチルブタン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、3-エチルペンタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、3-エチルヘキサン、2-メチルへプタン、3-メチルへプタン、4-メチルへプタン、3-エチルへプタン、4-エチルへプタン、4-プロピルへプタン、2-メチルオクタン、3-メチルオクタン、4-メチルオクタン、3-エチルオクタン、4-エチルオクタン、4-プロピルオクタン等の分岐鎖の脂肪族化合物から誘導される有機残基;
シクロペンタン、シクロへキサン、1,2-ジメチルシクロヘキサン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘキサン等の脂環族化合物から誘導される有機残基;
等を挙げることができるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。
一般式(iii)中のnは、10以下の整数が好ましく、4以下の整数がより好ましい。
一般式(iii)中のRは、炭素数1~18のアルキル基が好ましく、炭素数1~12のアルキル基がより好ましい。
具体的な内部離型剤としては、STEPAN社製のZelecUN、城北化学工業社製のJPシリーズ、東邦化学工業社製のフォスファノールシリーズ、大八化学工業社製のAP、DPシリーズ等を用いることができる。
樹脂改質剤としては、例えば、エピスルフィド化合物、アルコール化合物、アミン化合物、エポキシ化合物、有機酸及びその無水物、(メタ)アクリレート化合物等を含むオレフィン化合物等が挙げられる。
<光学材料用重合性組成物の製造方法>
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、ポリイソシアネート化合物(A)、ポリチオール化合物(B)、ポリオール化合物(C)、フォトクロミック化合物(D)を混合して、調製することができる。
本実施形態において、ポリチオール化合物(B)およびポリオール化合物(C)に含まれるOH基およびSH基の総和に対する、ポリイソシアネート化合物(A)に含まれるNCO基のモル比(NCO基/(OH基+SH基))は、通常0.8~1.2の範囲内であり、好ましくは0.85~1.15の範囲内であり、さらに好ましくは0.9~1.1の範囲内である。
NCO基/(OH基+SH基)のモル比が0.8以上であれば未反応のOH基やSH基が残らず、組成物が十分硬化し、耐熱性、耐湿性、耐光性に優れた樹脂が得られ、NCO基/(OH基+SH基)の比率が1.2以下であれば未反応のNCO基が残らず耐熱性、耐湿性、耐光性に優れた樹脂が得られ、未反応のNCO基を減らすために反応温度を上げる必要もなく、着色等の欠点が見られず、樹脂材料として好ましい。
ポリイソシアネート化合物(A)、ポリチオール化合物(B)、ポリオール化合物(C)、フォトクロミック化合物(D)と、その他添加剤を混合して重合性組成物を調製する場合の温度は通常25℃以下で行われる。重合性組成物のポットライフの観点から、さらに低温にすると好ましい場合がある。ただし、触媒、内部離型剤、添加剤のモノマーへの溶解性が良好でない場合は、あらかじめ加温して、モノマー、樹脂改質剤に溶解させることも可能である。
組成物中の各成分の混合順序や混合方法は、各成分を均一に混合することができれば特に限定されず、公知の方法で行うことができる。公知の方法としては、例えば、添加剤を所定量含むマスターバッチを作製して、このマスターバッチをモノマーに分散、溶解させる方法などがある。
好ましい重合性組成物の製造方法としては、ポリイソシアネート化合物(A)に、ポリオール化合物(C)を添加して混合する工程と、前記工程で得られた組成物に、フォトクロミック化合物(D)を添加して混合する工程と、続いて前記工程で得られた組成物に、ポリチオール化合物(B)と、を混合して、光学材料用重合性組成物を調製する。
本実施形態において、光学材料の製造方法は、特に限定されないが、好ましい製造方法として注型重合が挙げられる。はじめに、ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールド間に重合性組成物を注入する。この時、得られるプラスチックレンズに要求される物性によっては、必要に応じて、減圧下での脱泡処理や加圧、減圧等の濾過処理等を行うことが好ましい場合が多い。
重合条件については、重合性組成物の組成、触媒の種類と使用量、モールドの形状等によって大きく条件が異なるため限定されるものではないが、およそ、-50~150℃の温度で1~50時間かけて行われる。場合によっては、10~150℃の温度範囲で保持または徐々に昇温して、1~25時間で硬化させることが好ましい。
光学材料は、必要に応じて、アニール等の処理を行ってもよい。処理温度は通常50~150℃の間で行われるが、90~140℃で行うことが好ましく、90~130℃で行うことがより好ましい。
本実施形態において、樹脂を成形する際には、上記「その他の成分」に加えて、目的に応じて公知の成形法と同様に、鎖延長剤、架橋剤、酸化防止剤、ブルーイング剤、油溶染料、充填剤、密着性向上剤などの種々の添加剤を加えてもよい。
<用途>
本実施形態の重合性組成物は、注型重合時のモールドの種類を変えることにより種々の形状の成形体として得ることができる。成形体は、フォトクロミック性能を備えるともに、高い屈折率及び高い透明性を備え、プラスチックレンズ等の各種光学材料に使用することが可能である。特に、プラスチック眼鏡レンズやプラスチック偏光レンズとして好適に用いることができる。
[プラスチック眼鏡レンズ]
本実施形態の成形体からなるレンズ基材を用いたプラスチック眼鏡レンズは必要に応じて、片面又は両面にコーティング層を施して用いてもよい。
本実施形態のプラスチック眼鏡レンズは、上述の重合性組成物からなるレンズ基材とコーティング層とからなる。
コーティング層として、具体的には、プライマー層、ハードコート層、反射防止層、防曇コート層、防汚染層、撥水層等が挙げられる。これらのコーティング層はそれぞれ単独で用いることも複数のコーティング層を多層化して使用することもできる。両面にコーティング層を施す場合、それぞれの面に同様なコーティング層を施しても、異なるコーティング層を施してもよい。
これらのコーティング層はそれぞれ、紫外線からレンズや目を守る目的で紫外線吸収剤、赤外線から目を守る目的で赤外線吸収剤、レンズの耐候性を向上する目的で光安定剤や酸化防止剤、レンズのファッション性を高める目的で染料や顔料、帯電防止剤、その他、レンズの性能を高めるための公知の添加剤を併用してもよい。塗布によるコーティングを行う層に関しては塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤を使用してもよい。
プライマー層は通常、後述するハードコート層とレンズとの間に形成される。プライマー層は、その上に形成するハードコート層とレンズとの密着性を向上させることを目的とするコーティング層であり、場合により耐衝撃性を向上させることも可能である。プライマー層には得られたレンズに対する密着性の高いものであればいかなる素材でも使用できるが、通常、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラニン系樹脂、ポリビニルアセタールを主成分とするプライマー組成物などが使用される。プライマー組成物は組成物の粘度を調整する目的でレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。無論、無溶剤で使用してもよい。
プライマー層は塗布法、乾式法のいずれの方法によっても形成することができる。塗布法を用いる場合、プライマー組成物を、スピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法でレンズに塗布した後、固化することによりプライマー層が形成される。乾式法で行う場合は、CVD法や真空蒸着法などの公知の乾式法で形成される。プライマー層を形成するに際し、密着性の向上を目的として、必要に応じてレンズの表面は、アルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの前処理を行っておいてもよい。
ハードコート層は、レンズ表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性等機能を与えることを目的としたコーティング層である。
ハードコート層は、一般的には硬化性を有する有機ケイ素化合物とSi,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In及びTiの元素群から選ばれる元素の酸化物微粒子の1種以上および/またはこれら元素群から選ばれる2種以上の元素の複合酸化物から構成される微粒子の1種以上を含むハードコート組成物が使用される。
ハードコート組成物には上記成分以外にアミン類、アミノ酸類、金属アセチルアセトネート錯体、有機酸金属塩、過塩素酸類、過塩素酸類の塩、酸類、金属塩化物および多官能性エポキシ化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましい。ハードコート組成物にはレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよいし、無溶剤で用いてもよい。
ハードコート層は、通常、ハードコート組成物をスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布した後、硬化して形成される。硬化方法としては、熱硬化、紫外線や可視光線などのエネルギー線照射による硬化方法等が挙げられる。干渉縞の発生を抑制するため、ハードコート層の屈折率は、レンズとの屈折率の差が±0.1の範囲にあるのが好ましい。
反射防止層は、通常、必要に応じて前記ハードコート層の上に形成される。反射防止層には無機系および有機系があり、無機系の場合、SiO、TiO等の無機酸化物を用い、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビ-ムアシスト法、CVD法などの乾式法により形成される。有機系の場合、有機ケイ素化合物と、内部空洞を有するシリカ系微粒子とを含む組成物を用い、湿式により形成される。
反射防止層は単層および多層があり、単層で用いる場合はハードコート層の屈折率よりも屈折率が少なくとも0.1以上低くなることが好ましい。効果的に反射防止機能を発現するには多層膜反射防止膜とすることが好ましく、その場合、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層する。この場合も低屈折率膜と高屈折率膜との屈折率差は0.1以上であることが好ましい。高屈折率膜としては、ZnO、TiO、CeO、Sb、SnO、ZrO、Ta等の膜があり、低屈折率膜としては、SiO膜等が挙げられる。
反射防止層の上には、必要に応じて防曇層、防汚染層、撥水層を形成させてもよい。防曇層、防汚染層、撥水層を形成する方法としては、反射防止機能に悪影響をもたらすものでなければ、その処理方法、処理材料等については特に限定されずに、公知の防曇処理方法、防汚染処理方法、撥水処理方法、材料を使用することができる。例えば、防曇処理方法、防汚染処理方法では、表面を界面活性剤で覆う方法、表面に親水性の膜を付加して吸水性にする方法、表面を微細な凹凸で覆い吸水性を高める方法、光触媒活性を利用して吸水性にする方法、超撥水性処理を施して水滴の付着を防ぐ方法などが挙げられる。また、撥水処理方法では、フッ素含有シラン化合物等を蒸着やスパッタによって撥水処理層を形成する方法や、フッ素含有シラン化合物を溶媒に溶解したあと、コーティングして撥水処理層を形成する方法等が挙げられる。
[プラスチック偏光レンズ]
本実施形態のプラスチック偏光レンズは、偏光フィルムと、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に形成された、本実施形態の光学材料用重合性組成物を硬化させた成形体からなる基材層と、を備える。
本実施形態における偏光フィルムは、熱可塑性樹脂から構成することができる。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリカーボネート、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリイミド等を挙げることができる。耐水性、耐熱性および成形加工性の観点から、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリカーボネートが好ましく、熱可塑性ポリエステルがより好ましい。
熱可塑性ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリブチレンテレフタレート等を挙げることができ、耐水性、耐熱性および成形加工性の観点からポリエチレンテレフタレートが好ましい。
偏光フィルムとして、具体的には、二色性染料含有熱可塑性ポリエステル偏光フィルム、ヨウ素含有ポリビニルアルコール偏光フィルム、二色性染料含有ポリビニルアルコール偏光フィルム等が挙げられる。
偏光フィルムは乾燥、安定化のため加熱処理を施したうえで使用してもよい。
さらに、偏光フィルムは、アクリル系樹脂との密着性を向上させるために、プライマーコーティング処理、薬品処理(ガス又はアルカリ等の薬液処理)、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、粗面化処理、火炎処理などから選ばれる1種又は2種以上の前処理を行った上で使用してもよい。このような前処理のなかでも、プライマーコーティング処理、薬品処理、コロナ放電処理、プラズマ処理から選ばれる1種又は2種以上が特に好ましい。
本実施形態のプラスチック偏光レンズは、このような偏光フィルムの少なくとも一方の面上に、本実施形態の光学材料用重合性組成物を硬化させて得られる基材層を設けることにより得ることができる。
プラスチック偏光レンズの製造方法は、特に限定されないが、好ましくは注型重合法を挙げることできる。
本実施形態のプラスチック偏光レンズの製造方法は、例えば、
偏光フィルムを、モールドから離隔した状態でレンズ注型用鋳型内に固定する工程と、
前記偏光フィルムと、前記モールドとの間に形成される空隙の少なくとも一方に前記光学材料用重合性組成物を注入する工程と、
前記光学材料用重合性組成物を重合硬化して、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面に基材層を積層する工程と、を含むことができる。
レンズ注型用鋳型は、ガスケットで保持された2個の略円盤状のガラス製のモールドから構成されるものが一般的である。このレンズ注型用鋳型の空間内に、偏光フィルムを、フィルム面が対向するフロント側のモールド内面と平行となるように設置する。偏光フィルムとモールドとの間には、空隙部が形成される。なお、偏光フィルムは予め附形されていてもよい。
光学材料用重合性組成物の重合条件は、重合性組成物の組成、触媒の種類と使用量、モールドの形状等によって条件が異なるが、5~140℃の温度で1~50時間かけて行われる。場合によっては、5~130℃の温度範囲で保持または徐々に昇温して、1~25時間で硬化させることが好ましい。
重合により硬化した積層体を鋳型より離型して、本実施形態のプラスチック偏光レンズを得ることができる。
本実施形態において、重合・離型後の積層体は、必要に応じて、アニール等の加熱処理を行ってもよい。処理温度は、本発明の効果の観点から、90~150℃の間で行われるが、110~130℃で行うことが好ましく、115~125℃で行うことがより好ましい。処理時間は、本発明の効果の観点から、1~10時間、好ましくは2~5時間の範囲である。
なお、得られた基材層の表面には、プラスチック眼鏡レンズと同様な前記コーティング層を形成してもよい。
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例において、評価に用いた方法と使用した装置は以下のとおりである。
樹脂の性能試験において、消色時の色調、耐光性は、以下の方法により評価した。
・色調(YI):2mm厚平板を用いて、コニカミノルタ社製分光測色計CM-5にて、ISO 17223に準拠してYI値を測定した。
・発色時の視感透過率:ウシオ電気社製励起光源キセノンランプMS-35AAA/FB2000-Oを備えた、大塚電子製瞬間マルチ測光システムMSPD-7700を用いて、2mm厚に加工した成形体サンプルに、温度23℃、照度50000ルクスの条件で、励起光を15分間照射する。15分後の分光透過率を測定し、ISO8980-3に基づいて、発色時の視感透過率を算出した。
・耐光性:2mm厚平板を用いて、Q-Lab製促進耐候性試験機にてQUV試験(光源:UVA-340、強度:0.50W/m2、試験条件:50℃×150時間)を実施した。試験前後の消色時のYI値の差(ΔYI)を求めた。この変化量が小さいほど黄変が少なく、耐光性が良好であることを示す。試験前後の発色時の視感透過率を上記の方法で算出し、その差(Δ%T)を求めた。この変化量が小さいほど発色濃度の低下度合いが小さく、耐光性が良好であることを示す。
なお、実施例3~5は、ポリスルフィド結合の影響を調べるため、ポリスルフィド化合物を添加して実施した。
[参考例1]
2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンと2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンを含む組成物を39.0重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(ポリスルフィド化合物の含有率は0wt%)を41.3重量部、ポリプロピレングリコール(平均分子量1000)を19.7重量部、触媒としてジブチルチンジクロリドを0.05重量部、紫外線吸収剤としてBASF社製TinuvinPSを0.05重量部、調光色素として、Corning社製CR173を 0.05重量部、を撹拌して、均一に溶解した。その後真空ポンプにより脱気し、この溶液をガラスモールドへ注型した。これを15℃~120℃の範囲で24時間かけて重合させた後、成形型をはずして、成形体を取り出した。
成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。得られた成形体の評価結果を表-1に示した。また、図1にフォトクロミック化合物(D)のモル数に対するポリスルフィド結合のモル数の割合と、耐光性(Δ%T)との関係を示した。
[実施例2]
ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)から、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン(当該化合物の二量体および三量体を組成物中に3.1wt%となる量で含む。)に変えた以外は、参考例1と同様な方法で成形体を調製した。成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。得られた成形体の評価結果を表-1に示した。また、図1にフォトクロミック化合物(D)のモル数に対するポリスルフィド結合のモル数の割合と、耐光性(Δ%T)との関係を示した。
[実施例3]
本実施例では、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)に、ポリスルフィド化合物として2-(アセトキシ)エチルジスルフィドを組成物全体に対して0.8wt%の含有率となるように添加したものを用いた。
ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)から、2-(アセトキシ)エチルジスルフィドを含有しているペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(組成物中のポリスルフィド化合物の含有率は0.8wt%)に変えて、参考例1と同様な方法で成形体を調製した。成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。得られた成形体の評価結果を表-1に示した。また、図1にフォトクロミック化合物(D)のモル数に対するポリスルフィド結合のモル数の割合と、耐光性(Δ%T)との関係を示した。
[実施例4]
本実施例では、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)に、ポリスルフィド化合物としてジデシルジスルフィドを組成物全体に対して0.6wt%の含有率となるように添加したものを用いた。
ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)から、ジデシルジスルフィドを含有しているペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(組成物中のポリスルフィド化合物の含有率は0.6wt%)に変えて、参考例1と同様な方法で成形体を調製した。成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。得られた成形体の評価結果を表-1に示した。また、図1にフォトクロミック化合物(D)のモル数に対するポリスルフィド結合のモル数の割合と、耐光性(Δ%T)との関係を示した。
[実施例5]
本実施例では、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)に、ジデシルジスルフィドを組成物全体に対して1.2wt%の含有率となるように添加したものを用いた。
ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)から、ジデシルジスルフィドを含有しているペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(組成物中のポリスルフィド化合物の含有率は1.2wt%)に変えて、参考例1と同様な方法で成形体を調製した。成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。得られた成形体の評価結果を表-1に示した。また、図1にフォトクロミック化合物(D)のモル数に対するポリスルフィド結合のモル数の割合と、耐光性(Δ%T)との関係を示した。
[比較例1]
ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)から、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)(一般式(E-1)、一般式(E-2)および一般式(E-3)で表される前記化合物を組成物中に3.7wt%となる量で含む。)に変えて、参考例1と同様な方法で成形体を調製した。成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。得られた成形体の評価結果を表-1に示した。また、図1にフォトクロミック化合物(D)のモル数に対するポリスルフィド結合のモル数の割合と、耐光性(Δ%T)との関係を示した。
[比較例2]
本比較例では、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)に、ポリスルフィド化合物としてジデシルジスルフィドを組成物全体に対して2.5wt%の含有率となるように添加したものを用いた。
ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)から、ジデシルジスルフィドを含有しているペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(ジデシルジスルフィド組成物中に2.5wt%となる量で含む。)に変えて、参考例1と同様な方法で成形体を調製した。成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。得られた成形体の評価結果を表-1に示した。評価結果を表-1に示した。また、図1にフォトクロミック化合物(D)のモル数に対するポリスルフィド結合のモル数の割合と、耐光性(Δ%T)との関係を示した。
Figure 0007357451000032
表-1に記載の化合物は以下のとおり。
・A1:2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンと2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンを含む組成物
・B1:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
・B2:4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン
・B3:ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)
・C1:ポリプロピレングリコール(平均分子量1000)
・D1:Corning社製CR173
表-1、図1に示すように、重合性組成物中のポリスルフィド結合のモル量が、フォトクロミック化合物(D)のモル量に対して、35倍未満の場合、耐光性Δ%Tは20%T以下となり、良好な耐光性を示すことがわかる。また、消色時の樹脂色調YIも良好であることがわかる。
本願の発明により、耐光性に優れ、さらに消色時での色調が良好である、フォトクロミックレンズを提供することができる。

Claims (11)

  1. (A)ポリイソシアネート化合物と、
    (B)ポリチオール化合物と、
    (C)ポリオール化合物と、
    (D)フォトクロミック化合物と、を含む、重合性組成物であって、
    前記重合性組成物中のポリスルフィド結合のモル数が、フォトクロミック化合物(D)のモル数に対して、35倍未満である、光学材料用重合組成物であって、
    ポリチオール化合物(B)は、ポリスルフィド結合を有する化合物を含み、
    前記ポリチオール化合物(B)および前記ポリオール化合物(C)に含まれるOH基およびSH基の総和に対する、前記ポリイソシアネート化合物(A)に含まれるNCO基のモル比(NCO基/(OH基+SH基))が、0.8~1.2であり、
    前記フォトクロミック化合物(D)がナフトピラン系化合物であり、前記重合性組成物は、前記ナフトピラン系化合物を100~5000ppm含む、光学材料用重合組成物。
  2. 重合性組成物中のポリスルフィド結合のモル数が、フォトクロミック化合物(D)のモル数に対して、30倍以下である、請求項1に記載の光学材料用重合性組成物。
  3. ポリイソシアネート化合物(A)が、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、およびジフェニルメタンジイソシアネートから選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の光学材料用重合性組成物。
  4. ポリチオール化合物(B)が、三官能以上のポリチオール化合物である、請求項1から3のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
  5. ポリチオール化合物(B)が、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、およびトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)から選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の光学材料用重合性組成物。
  6. ポリオール化合物(C)が、一般式(C-1)、一般式(C-2)および一般式(C-3)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、請求項1から5のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
    Figure 0007357451000033
    (一般式(C-1)中、RおよびRは、水素原子、メチル基、エチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、同一でも異なっていてもよい。nは10以上200以下の整数を示す。)
    Figure 0007357451000034
    (一般式(C-2)中、RおよびRは、水素原子、メチル基、エチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、同一でも異なっていてもよい。a+cは2以上300以下の整数であり、bは1以上200以下の整数を表す。)
    Figure 0007357451000035
    (一般式(C-3)中、Qは、ジオールから誘導される2価の基、または少なくとも3つの第1級水酸基を有するポリオールから誘導される3~30価の基を表し、mは3~10の整数を示し、nは2~30の整数を示す。)
  7. フォトクロミック化合物(D)が、一般式(D-1)および一般式(D-2)で表される化合物から選択される少なくとも1種である、請求項1から6のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
    Figure 0007357451000036
    Figure 0007357451000037
    (一般式(D-1)および一般式(D-2)中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、独立して、水素;
    炭素数1~12の直鎖または分岐アルキル基;
    炭素数3~12のシクロアルキル基;
    置換または無置換である、炭素数6~24のアリール基または炭素数4~24のヘテロアリール基;
    アラルキルまたはヘテロアラルキル基(炭素数1~4の直鎖または分岐アルキル基が前記のアリール基またはヘテロアリール基で置換されている。)を示す。
    置換された炭素数6~24のアリール基または置換された炭素数4~24のヘテロアリール基の置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~12の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数1~12の直鎖または分枝のアルコキシ基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルコキシ基、少なくとも一つの炭素数1~12の直鎖または分枝のアルキル基またはアルコキシ基により置換されたフェノキシ基またはナフトキシ基、炭素数2~12の直鎖または分枝のアルケニル基、-NH基、-NHR基、-N(R)基(Rは炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基である。Rが2つ存在する場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。)、およびメタクリロイル基またはアクリロイル基から少なくとも1つ選択される。
    は同一でも異なっていてもよく、独立して、ハロゲン原子;
    炭素数1~12の直鎖または分岐アルキル基;
    炭素数3~12のシクロアルキル基;
    炭素数1~12の直鎖または分岐アルコキシ基;
    少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数3~12のハロシクロアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分岐ハロアルコキシ基;
    置換または無置換である、炭素数6~24のアリール基または炭素数4~24のヘテロアリール基(置換基として、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~12の直鎖または分枝のアルキル基、炭素数1~12の直鎖または分枝のアルコキシ基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルキル基、少なくとも1つのハロゲン原子で置換された炭素数1~12の直鎖または分枝のハロアルコキシ基、少なくとも一つの炭素数1~12の直鎖または分枝のアルキル基またはアルコキシ基により置換されたフェノキシ基またはナフトキシ基、炭素数2~12の直鎖または分枝のアルケニル基、およびアミノ基、から選択される少なくとも1つの置換基を有する。);
    アラルキルまたはヘテロアラルキル基(炭素数1~4の直鎖または分岐アルキル基が前記のアリール基またはヘテロアリール基で置換されている。);
    置換または無置換のフェノキシまたはナフトキシ基(置換基として、炭素数1~6の直鎖または分岐アルキル基またはアルコキシ基から選択される少なくとも1つの置換基を有する。);
    -NH、-NHR、-CONH、または-CONHR
    (Rが、炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基である。);
    -OCORまたは-COOR(ここで、Rが、炭素数1~6の直鎖または分枝のアルキル基、または炭素数3~6のシクロアルキル基、またはR、Rにおいて、置換アリールまたは置換ヘテロアリール基の置換基の少なくとも1つにより置換されているフェニル基または無置換のフェニル基である。);
    を表す。
    少なくとも2つの隣接するR同士が結合し、Rが結合している炭素原子を含んで、1つ以上の芳香環基または非芳香環基を形成することができる。芳香環基または非芳香環基は、酸素、硫黄、及び窒素からなる群より選択されるヘテロ原子を含んでいてもよい1つの環または2つのアネル化された環を含む。
    mは、0~4までの整数である。pは、0~2までの整数である。)
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物の硬化物からなる成形体。
  9. 請求項8に記載の成形体からなる光学材料。
  10. 請求項8に記載の成形体からなるプラスチックレンズ。
  11. 偏光フィルムと、前記偏光フィルムの少なくとも一方の面上に形成された、請求項8に記載の成形体からなる基材層と、を備えるプラスチック偏光レンズ。
JP2019036602A 2019-02-28 2019-02-28 光学材料用重合性組成物 Active JP7357451B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019036602A JP7357451B2 (ja) 2019-02-28 2019-02-28 光学材料用重合性組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019036602A JP7357451B2 (ja) 2019-02-28 2019-02-28 光学材料用重合性組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020139085A JP2020139085A (ja) 2020-09-03
JP7357451B2 true JP7357451B2 (ja) 2023-10-06

Family

ID=72264457

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019036602A Active JP7357451B2 (ja) 2019-02-28 2019-02-28 光学材料用重合性組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7357451B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20240100789A1 (en) * 2021-03-22 2024-03-28 Mitsui Chemicals, Inc. Method for manufacturing photochromic lens and photochromic lens
KR20240004792A (ko) * 2021-06-22 2024-01-11 미쯔이가가꾸가부시끼가이샤 폴리이소시아네이트 조성물, 중합성 조성물, 수지, 성형체, 광학 소자 및 렌즈

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5932681A (en) 1998-03-09 1999-08-03 Ppg Industries Ohio, Inc. Method of preparing an optical polymerizate
US6008296A (en) 1995-04-19 1999-12-28 Optima, Inc. Optical terpolymer of polyisocyanate, polythiol and polyene monomers
JP2006513276A (ja) 2002-04-17 2006-04-20 コーニング インコーポレイテッド フォトクロミック組成物、その調製およびそれから製造されたまたはそれにより被覆された製品
JP2008540817A (ja) 2005-05-31 2008-11-20 ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド 高衝撃ポリ(ウレタン尿素)ポリスルフィド
WO2014002844A1 (ja) 2012-06-26 2014-01-03 三井化学株式会社 光学材料用重合性組成物、当該組成物から得られる光学材料およびプラスチックレンズ
WO2015016363A1 (ja) 2013-08-02 2015-02-05 三井化学株式会社 フォトクロミック光学材料用重合性組成物
WO2016143910A1 (ja) 2015-03-10 2016-09-15 株式会社トクヤマ フォトクロミック硬化体の製造方法
JP2016194026A (ja) 2015-04-02 2016-11-17 株式会社トクヤマ フォトクロミック組成物の製造方法
WO2017038865A1 (ja) 2015-09-03 2017-03-09 株式会社トクヤマ ポリロタキサン及びその製法並びに該ポリロタキサンを含有する光学用組成物
WO2017047745A1 (ja) 2015-09-16 2017-03-23 三井化学株式会社 光学材料用重合性組成物、該組成物から得られる光学材料およびプラスチックレンズ

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6008296A (en) 1995-04-19 1999-12-28 Optima, Inc. Optical terpolymer of polyisocyanate, polythiol and polyene monomers
US5932681A (en) 1998-03-09 1999-08-03 Ppg Industries Ohio, Inc. Method of preparing an optical polymerizate
JP2006513276A (ja) 2002-04-17 2006-04-20 コーニング インコーポレイテッド フォトクロミック組成物、その調製およびそれから製造されたまたはそれにより被覆された製品
JP2008540817A (ja) 2005-05-31 2008-11-20 ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド 高衝撃ポリ(ウレタン尿素)ポリスルフィド
WO2014002844A1 (ja) 2012-06-26 2014-01-03 三井化学株式会社 光学材料用重合性組成物、当該組成物から得られる光学材料およびプラスチックレンズ
WO2015016363A1 (ja) 2013-08-02 2015-02-05 三井化学株式会社 フォトクロミック光学材料用重合性組成物
WO2016143910A1 (ja) 2015-03-10 2016-09-15 株式会社トクヤマ フォトクロミック硬化体の製造方法
JP2016194026A (ja) 2015-04-02 2016-11-17 株式会社トクヤマ フォトクロミック組成物の製造方法
WO2017038865A1 (ja) 2015-09-03 2017-03-09 株式会社トクヤマ ポリロタキサン及びその製法並びに該ポリロタキサンを含有する光学用組成物
WO2017047745A1 (ja) 2015-09-16 2017-03-23 三井化学株式会社 光学材料用重合性組成物、該組成物から得られる光学材料およびプラスチックレンズ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020139085A (ja) 2020-09-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6472890B2 (ja) 光学材料用重合性組成物、該組成物から得られる光学材料およびプラスチックレンズ
JP6127159B2 (ja) 光学材料用重合性組成物、当該組成物から得られる光学材料およびプラスチックレンズ
JP6833034B2 (ja) 光学材料用重合性組成物および成形体
KR101571275B1 (ko) 중합성 조성물, 광학 재료 및 그 제조 방법
EP2866064B1 (en) Polymerizable composition for optical material, optical material and plastic lens obtained from said composition
JP6431987B2 (ja) 成形体および光学材料用重合性組成物
JP6307209B1 (ja) フォトクロミックレンズおよび重合性組成物
JP7357451B2 (ja) 光学材料用重合性組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211228

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221202

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230418

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230612

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230919

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230926

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7357451

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150