JP7356688B1 - 重合体、電極活物質、電池、飛行体、及び、重合体を生産する方法 - Google Patents

重合体、電極活物質、電池、飛行体、及び、重合体を生産する方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】重合体が、第1モノマーに由来する第1繰り返し単位と、共役骨格を有する第2モノマーに由来する第2繰り返し単位とを有する。第1モノマーは、π結合を有する共役系有機化合物(脂環式化合物、ステロイド及びこれらの誘導体、並びに、側鎖にアルキル鎖長が4以上のアルキル基を有する有機化合物を除く。)又はその塩である。上記の共役系有機化合物は、2以上のπ電子を有する。特定の予測式により導出される上記の共役系有機化合物の質量エネルギー密度は600[Wh/kg]を超える。前記重合体を含む電極活物質、電極、電池、飛行体及び電池の製造方法も提供する。【効果】本実施形態に係る重合体は、電池に含まれる溶媒に対する溶解度が比較的小さく、容量及び/又は質量エネルギー密度の大きな電荷貯蔵材料として機能し得る。【選択図】図1

Description

本発明は、電極活物質、電池、飛行体、及び、電池の製造方法に関する。
特許文献1には、ポリキノン誘導体を電極活物質として用いた二次電池が開示されている。特許文献2には、ポリエチレンイミンと、縮環キノン化合物と、エチレンオキシド鎖を含む架橋剤との反応物である縮環キノン修飾架橋ポリマーを電極活物質として用いた電池が開示されている。非特許文献1には、アントラキノン系オリゴマーを電極活物質として用いた電池が開示されている。非特許文献2には、非晶質ネットワークポリマーに酸化還元活性キノン分子が埋め込まれた材料を電極活物質として用いたスーパーキャパシタが開示されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2016-008227号公報
[特許文献2] 特開2019-199520号公報
[非特許文献]
[非特許文献1] Masaru Yao, Hikaru Sano, Hisanori Ando, Tetsu Kiyobayashi and Nobuhiko Takeichi,"Anthraquinone-Based Oligomer as a Long Cycle-Life Organic Electrode Material for Use in Rechargeable Batteries",ChemPhysChem, Chemistry Europe, 2019年2月18日,第20巻,第7号,p.967-971
[非特許文献2] Jumpei Suzuki,Akira Ishizone,Kosuke Sato,Hiroaki Imai,Yu-Jen Tseng,Chi-How Peng and Yuya Oaki,"Amorphous flexible covalent organic networks containing redox-active moieties: a noncrystalline approach to the assembly of functional molecules",Chemical Science, Royal Society of Chemistry,2020年6月10日,第11巻,第27号,p.7003-7008
本発明の第1の態様においては、重合体が提供される。上記の重合体は、例えば、第1モノマーに由来する第1繰り返し単位を有する。上記の重合体は、例えば、共役骨格を有する第2モノマーに由来する第2繰り返し単位を有する。上記の重合体は、例えば、上記の第1繰り返し単位及び第2繰り返し単位を有する。
上記の重合体において、第1モノマーは、例えば、(a-1)π結合を有する共役系有機化合物(脂環式化合物、ステロイド及びこれらの誘導体、並びに、側鎖にアルキル鎖長が4以上のアルキル基を有する有機化合物を除く。)又はその塩である。(a-2)上記の共役系有機化合物は、例えば、2以上のπ電子を有する。(a-3)上記の共役系有機化合物のLUMO準位のエネルギーをx[eV]とし、当該共役系有機化合物のLUMO準位から1つ上の準位のエネルギーをx[eV]とし、当該共役系有機化合物の分子構造から導出される陽イオンとの反応数であって、当該共役系有機化合物の1分子当たりの反応数をx[個]とし、当該共役系有機化合物の分子の軌道のうち陽イオンの仕事関数以下のエネルギー準位を有する軌道の数であって、当該共役系有機化合物の1分子当たりの軌道数をx[個]とした場合に、下記の数式(1)により導出される第1指標値yは、例えば、600[Wh/kg]を超える。
(数式1)
=-0.03x-0.0307x+0.115x-0.111x+0.489
上記の何れかの重合体において、第2モノマーは、(b-1)共役骨格を有する有機化合物又はその塩であってよい。(b-2)上記の共役骨格を有する有機化合物は、キノン誘導体若しくはその還元体、又は、芳香族化合物であってよい。
上記の何れかの重合体において、第2モノマーは、(b-1)共役骨格を有する有機化合物又はその塩であってよい。(b-3)上記の共役骨格に含まれる、第1モノマーと反応可能な部位の個数は、2以上であってよい。(b-4)上記の共役骨格を有する有機化合物は、ヘテロ原子を含んでよい。(b-5)上記の共役骨格を有する有機化合物に含まれる炭素原子の個数に対するヘテロ原子の個数の割合は、1以上8以下であってよい。
上記の何れかの重合体において、第1モノマーは、下記の化学式(1-1)~(1-12)に示される化合物及びその誘導体並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。
本発明の第2の態様においては、重合体が提供される。上記の重合体は、例えば、第1モノマーと、共役骨格を有する第2モノマーとを重合させて得られる。上記の重合体において、(a)第1モノマーは、例えば、(a-1)π結合を有する共役系有機化合物(脂環式化合物、ステロイド及びこれらの誘導体、並びに、側鎖にアルキル鎖長が4以上のアルキル基を有する有機化合物を除く。)又はその塩である。(a-2)上記の共役系有機化合物は、例えば、2以上のπ電子を有する。(a-3)上記の共役系有機化合物のLUMO準位のエネルギーをx[eV]とし、共役系有機化合物のLUMO準位から1つ上の準位のエネルギーをx[eV]とし、共役系有機化合物の分子構造から導出される陽イオンとの反応数であって、共役系有機化合物の1分子当たりの反応数をx[個]とし、共役系有機化合物の分子の軌道のうち陽イオンの仕事関数以下のエネルギー準位を有する軌道の数であって、共役系有機化合物の1分子当たりの軌道数をx[個]とした場合に、下記の数式(1)により導出される第1指標値y1は、例えば、600[Wh/kg]を超える。
(数式1)
=-0.03x-0.0307x+0.115x-0.111x+0.489
本発明の第3の態様においては、重合体が提供される。上記の重合体は、例えば、第1モノマーに由来する第1繰り返し単位を有する。上記の重合体は、例えば、共役骨格を有する第2モノマーに由来する第2繰り返し単位を有する。上記の重合体は、例えば、上記の第1繰り返し単位及び第2繰り返し単位を有する。上記の重合体において、第1モノマーは、例えば、下記の化学式(1-1)~(1-12)に示される化合物及びその誘導体並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つである。上記の重合体において、第2モノマーは、例えば、共役骨格を有する有機化合物又はその塩である、
上記の何れかの重合体において、共役骨格を有する有機化合物は、キノン誘導体若しくはその還元体、又は、芳香族化合物であってよい。上記の何れかの重合体において、共役骨格を有する有機化合物は、1以上の芳香環と2以上のケトン官能基を有してよい。上記の何れかの重合体において、共役骨格を有する有機化合物は、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ジアザベンゼン、ベンゾキノン若しくはその還元体、又は、フランであってよい。
上記の何れかの重合体において、第1モノマーは、化学式(1-1)~(1-12)に示される化合物及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってよく、第2モノマーは、ピロールであってよい。上記の何れかの重合体において、第1モノマーは、化学式(1-1)、(1-3)及び(1-5)~(1-12)に示される化合物並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってよく、第2モノマーは、ピラジンであってよい。上記の何れかの重合体において、第1モノマーは、化学式(1-1)、(1-3)、(1-5)及び(1-7)~(1-12)に示される化合物並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってよく、第2モノマーは、p-ベンゾキノンであってよい。上記の何れかの重合体において、第1モノマーは、化学式(1-1)、(1-3)、(1-5)、(1-7)、(1-8)及び(1-12)に示される化合物並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってよく、第2モノマーは、カテコールであってよい。
本発明の第4の態様においては、重合体が提供される。上記の重合体は、例えば、第1モノマーと、第2モノマーとを重合させて得られる。上記の重合体において、第1モノマーは、例えば、下記の化学式(1-1)~(1-12)に示される化合物及びその誘導体並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つである。上記の重合体において、第2モノマーは、例えば、共役骨格を有する有機化合物又はその塩である。
本発明の第5の態様においては、電極活物質が提供される。上記の電極活物質は、例えば、上記の第1の態様、第2の態様、第3の態様及び第4の態様の何れかの態様に係る何れかの重合体を含む。上記の電極活物質は、正極活物質であってよい。
本発明の第6の態様においては、電池が提供される。上記の電池は、例えば、電極を備える。上記の電極は、例えば、上記の第5の態様に係る何れかの電極活物質を有する。上記の電池は、溶媒を含む電解液又はゲル電解質をさらに備えてよい。
本発明の第7の態様においては、飛行体が提供される。上記の飛行体は、例えば、上記の第5の態様に係る何れかの電池を備える。上記の飛行体は、例えば、電池に蓄積された電気エネルギーを利用して推進力を発生させる推進力発生装置を備える。
本発明の第8の態様においては、重合体を生産する方法が提供される。上記の方法は、例えば、第1モノマーと、第2モノマーとを重合させる段階を有する。上記の方法において、第1モノマーは、例えば、下記の化学式(1-1)~(1-12)に示される化合物及びその誘導体並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つである。上記の方法において、第2モノマーは、例えば、共役骨格を有する有機化合物又はその塩である。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
飛行体100のシステム構成の一例を概略的に示す。 蓄電セル112の一例を概略的に示す。 正極電極の充放電特性の一例を概略的に示す。 正極電極の充放電特性の一例を概略的に示す。 正極電極の充放電特性の一例を概略的に示す。 正極電極の充放電特性の一例を概略的に示す。
本明細書において例示的に開示される実施形態によれば、電池(特に、二次電池である。)に用いられる活物質(電極活物質と称される場合がある。)が、第1モノマーに由来する第1繰り返し単位を有する重合体を含む上記の重合体は、第1モノマーに由来する第1繰り返し単位と、第2モノマーに由来する第2繰り返し単位とを含んでもよい。
一実施形態において、上記の電池は、(i)正極と、(ii)負極と、(iii)支持電解質塩及び溶媒を含む溶液(電解液と称される場合がある。)又はゲル(ゲル電解質と称される場合がある)と、(iv)正極及び負極の接触による内部短絡を防止するためのセパレータとを備える。溶媒としては、水、非プロトン系有機溶媒などが例示される。他の実施形態において、上記の電池は、上記のセパレータとして機能する固体電解質層を備え、上記の電解液又はゲル電解質を実質的に含まない電池(全固体電池と称される場合がある。)であってもよい。
一般的に、電池の活物質として利用可能な有機化合物(有機活物質と称される場合がある。)は、電池の活物質として利用可能な無機化合物(無機活物質と称される場合がある。)と比較して軽量である。そのため、本実施形態に係る重合体が電池の活物質として用いられることで、当該電池のエネルギー密度が向上する。第1モノマーとして、例えば、分子量が比較的小さく、多電子授受能を有する有機分子が用いられることで、当該電池のエネルギー密度が大きく向上し得る。特に、電池の質量エネルギー密度[Wh/kg]が大きく向上し得る。
一方、有機活物質は、一般的に、無機活物質と比較して、上記の電解液又はゲル電解質に含まれる溶媒に対する溶解度が大きい。そのため、有機活物質を用いて寿命の長い電池を作製することは難しい。本実施形態に係る重合体は、第1モノマーが重合して得られる。第1モノマーの詳細は後述される。本実施形態に係る重合体の各種溶媒に対する溶解度は、第1モノマーの各種溶媒に対する溶解度よりも小さい。これにより、本実施形態に係る重合体は、電池に含まれる溶媒に対する溶解度が比較的小さく、容量及び/又は質量エネルギー密度の大きな電荷貯蔵材料として機能し得る。
本発明者らは、π結合を有する共役系有機化合物(脂環式化合物、ステロイド及びこれらの誘導体、並びに、側鎖にアルキル鎖長が4以上のアルキル基を有する有機化合物を除く。)又はその塩が、上記の第1モノマーとして優れた性質を有することを見出した。具体的には、本発明者らは、下記の数式(1)により導出されるyの値が600を超える共役系有機化合物が上記の第1モノマーとして優れた性質を有することを見出した。
まず、本発明者らは、下記の数式(1)により、特定の共役系有機化合物の質量エネルギー密度が予測され得ることを見出した。
(数式1)
=-0.03x-0.0307x+0.115x-0.111x+0.489
数式1において、yは、上記の質量エネルギー密度[Wh/kg-活物質]を示す。数式1において、xは、上記の共役系有機化合物のLUMO準位のエネルギー[eV]を示す。数式1において、xは、上記の共役系有機化合物のLUMO準位から1つ上の準位のエネルギー[eV]を示す。数式1において、xは、上記の共役系有機化合物の分子構造から導出される陽イオン(例えば、電池のキャリアイオンである。)との反応数であって、当該共役系有機化合物の1分子当たりの反応数[個]を示す。数式1において、xは、上記の共役系有機化合物の分子の軌道のうち上記の陽イオンの仕事関数以下のエネルギー準位を有する軌道の数であって、当該共役系有機化合物の1分子当たりの軌道数[個]を示す。
本実施形態によれば、数式(1)により導出されるyの値が600を超える共役系有機化合物又はその塩が、上記の第1モノマーとして用いられる。これにより、第1モノマーを重合させて得られる重合体が、容量及び/又は質量エネルギー密度の大きな電荷貯蔵材料として機能し得る。
本実施形態おいては、数式(1)により導出されるyの値が600を超える共役系有機化合物又はその塩が上記の第1モノマーとして用いられ、共役骨格を有する有機化合物又はその塩が第2モノマーとして用いられる。第2モノマーは、例えば、複数の第1モノマーを繋ぐためのリンカーとして用いられる。これにより、第1モノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体が、比較的容易に合成され得る。本実施形態によれば、第2モノマーが共役骨格を有する。これにより、重合体が第2モノマーに由来する繰り返し単位を含む場合であっても、該重合体の単位質量あたりの容量の低下が抑制され得る。
加えて、本実施形態によれば、上記の重合体を含む電極活物質、当該電極活物質を有する電池、及び、当該電池を備える飛行体が提供される。これにより、活物質の単位質量あたりの容量[mAh/g-活物質]の大きな蓄電セルが作製され得る。その結果、例えば、単位質量あたりのエネルギー密度が350[Wh/kg-蓄電セル]以上の蓄電セルが提供され得る。また、本実施形態に係る蓄電セルを備えた電池は、単位質量あたりのエネルギー密度が大きいので、飛行体の用途に特に適している。
本実施形態に係る重合体を電極活物質として用いることで、電池(特に、充電式電池である。)における質量当たりのエネルギー量を改善することができ、より軽量でより多くの電力を蓄えることができる電池が実現される。上記の電池は、例えば災害現場へ持ち込まれ被災者へのエネルギー供給などへ活用が考えられる。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」又は目標13「気候変動に具体的な対策を」などの達成に貢献できる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本明細書において、数値範囲が「A~B」と表記される場合、当該表記はA以上B以下を意味する。また、「置換又は非置換」とは、「任意の置換基で置換されている、又は、置換基で置換されていない」ことを意味する。上記の置換基の種類は、明細書中で言及されない限り、特に制限されない。また、上記の置換基の個数は、明細書中で言及されない限り、特に制限されない。
(飛行体100の概要)
図1は、飛行体100のシステム構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、飛行体100は、蓄電池110と、電力制御回路120と、1又は複数の電動機130と、1又は複数のプロペラ140と、1又は複数のセンサ150と、制御装置160とを備える。本実施形態において、蓄電池110は、1又は複数の蓄電セル112を有する。
本実施形態において、飛行体100は、蓄電池110に蓄積された電気エネルギーを利用して飛行する。飛行体100としては、飛行機、飛行船又は風船、気球、ヘリコプター、ドローンなどが例示される。
本実施形態において、蓄電池110は、電力制御回路120を介して、外部の充電装置(図示されていない。)から電気エネルギーを受領し、当該電気エネルギーを1以上の蓄電セル112に蓄積する。また、蓄電池110は、電力制御回路120を介して、1以上の蓄電セル112に蓄積された電気エネルギーを電動機130に供給する。
本実施形態において、蓄電セル112は、電気エネルギーを蓄積する(蓄電セル112の充電と称される場合がる)。また、蓄電セル112は、蓄積された電気エネルギーを放出する(蓄電セル112の放電と称される場合がある)。蓄電セル112は、二次電池であってよい。
一実施形態において、蓄電セル112は、電解液及び/又はゲル電解質を含む。他の実施形態において、蓄電セル112は、電解液及び/又はゲル電解質を実質的に含まない。蓄電セル112が電解液又はゲル電解質を実質的に含まないとは、蓄電セル112が電解液又はゲル電解質を含まない実施形態と、蓄電セル112が少量の電解液又はゲル電解質を含む実施形態とを含む。蓄電セル112は、全固体電池であってよい。
二次電池のキャリアイオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどが例示される。二次電池としては、ナトリウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウム金属二次電池、リチウム空気二次電池、リチウム硫黄二次電池、マグネシウムイオン二次電池などが例示される。
例えば、車両に搭載される二次電池用の活物質としては、単位体積あたりに蓄積できる電荷量の大きな材料が選択されることが多い。一方、本実施形態において、蓄電セル112は飛行体100に搭載される。そのため、蓄電セル112に用いられる活物質は、単位質量あたりに蓄積できる電荷量の大きな材料であることが好ましい。
蓄電セル112の質量エネルギー密度は、350[Wh/kg‐蓄電セル]以上であることが好ましく、400Wh/kg‐蓄電セル]以上であることがより好ましく、500Wh/kg‐蓄電セル]以上であることがより好ましく、600Wh/kg‐蓄電セル]以上であることがより好ましく、700[Wh/g‐蓄電セル]以上であることがさらに好ましい。これにより、飛行体の電源の用途に特に適した蓄電セルが得られる。
蓄電セル112の体積エネルギー密度は、300[Wh/m‐蓄電セル]以上1200[Wh/m‐蓄電セル]以下であってもよく、400[Wh/m‐蓄電セル]以上1000[Wh/m‐蓄電セル]以下であってもよい。蓄電セル112が飛行体100の電源の一部として飛行体100に搭載される場合、蓄電セル112の体積エネルギー密度は、600[Wh/m‐蓄電セル]以下であってもよく、800[Wh/m‐蓄電セル]以下であってもよい。
蓄電セル112は、上記の数値範囲内の質量エネルギー密度と、上記の数値範囲内の体積エネルギー密度を有してもよい。これにより、車両の電源に用いることが比較的困難な蓄電セルを、飛行体の電源として利用することができる。蓄電セル112の詳細は後述される。
本実施形態において、電力制御回路120は、蓄電池110の電力の入力及び出力を制御する。電力制御回路120は、制御装置160からの命令に基づいて、蓄電池110の電力の入力及び出力を制御してよい。電力制御回路120は、例えば、制御装置160からの制御信号に基づいて動作する複数のスイッチング素子を含む。
本実施形態において、電動機130は、電力制御回路120を介して、蓄電池110から電気エネルギーを受領する。電動機130は、蓄電池110から受領した電気エネルギーを利用して、プロペラ140を回転させる。これにより、電動機130は、蓄電セル112に蓄積された電気エネルギーを利用して、飛行体100の推進力を発生させることができる。
本実施形態において、センサ150は、飛行体100の位置及び姿勢に関する各種の物理量を測定する。飛行体100の位置及び姿勢に関する各種の物理量を測定するためのセンサとしては、GPS信号受信機、加速度センサ、角加速度センサ、ジャイロセンサなどが例示される。センサ150は、蓄電池110の状態に関する各種の物理量を測定してよい。蓄電池110の状態に関する各種の物理量を測定するためのセンサとしては、温度センサ、電流センサ、電圧センサなどが例示される。
本実施形態において、制御装置160は、飛行体100を制御する。制御装置160は、電力制御回路120を制御することで、蓄電池110の電力の入出力を制御してよい。例えば、制御装置160は、蓄電池110の出力電流、出力電圧、入力電流、入力電圧などを制御する。これにより、制御装置160は、飛行体100の位置及び姿勢を制御することができる。制御装置160は、センサ150からの出力に基づいて電力制御回路120を制御することで、飛行体100の位置及び姿勢を制御してよい。
蓄電池110は、二次電池の一例であってよい。蓄電セル112は、二次電池の一例であってよい。電動機130は、推進力発生装置の一例であってよい。二次電池は、電池の一例であってよい。
(蓄電セル112の概要)
図2は、蓄電セル112の一例を概略的に示す。本実施形態においては、蓄電セル112がコイン型の全固体二次電池である場合を例として、蓄電セル112の詳細が説明される。しかしながら、蓄電セル112はコイン型の全固体二次電池に限定されないことに留意されたい。
(蓄電セル)
本実施形態において、蓄電セル112は、正極ケース212と、負極ケース214と、封止剤216と、金属バネ218とを備える。また、蓄電セル112は、正極220と、セパレータ230と、負極240と、電解液250とを備える。本実施形態において、正極220は、正極集電体222と、正極活物質層224とを有する。本実施形態において、負極240は、負極集電体242と、負極活物質層244とを有する。
本実施形態において、正極ケース212及び負極ケース214を組み立てることで、正極ケース212及び負極ケース214の内部に空間が形成される。正極ケース212及び負極ケース214により形成された空間の内部には、金属バネ218、正極220、セパレータ230、負極240及び電解液250が収容される。正極220、セパレータ230及び負極240は、金属バネ218の反発力により、正極ケース212及び負極ケース214の内部に固定される。
正極ケース212及び負極ケース214は、例えば、円盤状の薄板形状を有する導電性の材料により構成される。本実施形態において、封止剤216は、正極ケース212及び負極ケース214の間に形成される隙間を封止する。封止剤216は、絶縁性材料を含む。封止剤216は、正極ケース212及び負極ケース214を絶縁する。
(正極)
本実施形態において、正極集電体222は、正極活物質層224を保持する。正極集電体222の材料としては、アルミニウム、ステンレススチール、ニッケル、チタン又はこれらの合金などが例示される。
(正極集電体)
正極集電体222の少なくとも一部は、樹脂により形成されてよい。これにより、蓄電セル112が軽量化され得る。特に、固体電解質を主成分とするセパレータ230が用いられる場合、固体電解質の種類によっては、セパレータ230の質量が比較的大きくなる。このような場合であっても、正極集電体222の少なくとも一部が樹脂により形成されることにより、蓄電セル112の全体の質量の増加が抑制される。その結果、蓄電セル112の質量当たりの容量、及び、蓄電セル112のエネルギー密度が向上する。
一実施形態において、正極集電体222は、樹脂材料と、導電性材料とを含む。例えば、正極集電体222は、樹脂シートと、当該樹脂シートの少なくとも一方の面に配された導電層とを有する。導電層は、樹脂シートの両面に配されてもよい。導電層は、金属薄膜であってよい。金属薄膜の材料としては、金、銀、銅、鉛、アルミニウム、ステンレススチール、ニッケル、チタン又はこれらの合金が例示される。導電率及び比重を考慮して、金属薄膜の材料は、銅、アルミニウム、ステンレススチール、ニッケル、チタン又はこれらの合金であってもよい。
上記の樹脂シートには、複数の貫通孔が形成されていてもよい。貫通孔の大きさは、円相当径として、15~150μmであってよい。樹脂シートの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミドなどが例示される。樹脂シートの厚さは特に限定されるものではなく、樹脂シートは、導電層の破損を防止することができる程度の厚さを有していればよい。樹脂シートの厚さは、20μm以下であってよく、10μm以下であってよく、5μm以下であってもよい。
導電層の厚さは、片面当たり20μm以下であってもよく、片面当たり5μm以下であってもよく、片面当たり1μm以下であってもよい。導電層の厚さは、片面当たり0.5μm以下であってもよい。導電層の厚さの下限は、片面当たり0.05μmであってもよく、片面当たり0.1μmであってもよい。
導電層の厚さが片面当たり20μm以下である場合、蓄電セル112の質量エネルギー密度が向上する。導電層の厚さが片面当たり1μm以下である場合、蓄電セル112の質量エネルギー密度が大きく向上する。一方、導電層の厚さが片面当たり0.1μm未満になると、導電層が破損しやすくなる。しかしながら、本実施形態によれば、導電層が樹脂シートにより支持されている。そのため、導電層の厚さが片面当たり0.1μm程度の場合であっても、導電層の破損が抑制される。
導電層の厚さは、0.1μm以上20μm以下であってもよく、0.5μm以上5μm以下であってもよい。導電層の厚さが上記の数値範囲の範囲内に含まれる場合、蓄電セル112の質量エネルギー密度の向上と、導電層の破損の抑制とが、高いレベルで達成され得る。
他の実施形態において、正極集電体222は、導電性を有する樹脂材料を含む。上記の樹脂材料の導電性は、例えば、当該樹脂材料の電子抵抗により評価される。上記の導電性を有する樹脂材料は、例えば、200Ω以下の電子抵抗を有する。上記の導電性を有する樹脂材料の電子抵抗は、20Ω以下であってもよい。樹脂材料の電子抵抗の大きさは、例えば、樹脂シートから切り取られた2cm×10cmのサンプルの貫通抵抗の値を、電気抵抗測定器及び抵抗計を用いて測定することで得られる。
導電性を有する樹脂材料としては、導電性高分子及び導電性フィラーの少なくとも一方を含む樹脂などが例示される。導電性高分子としては、ポリフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリスチレンスルホン酸及びポリアニリンなどが例示される。
導電性フィラーとしては、各種の炭素系材料、各種の金属系材料などが例示される。炭素系材料としては、黒鉛、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどである)、コークス、非晶質炭素、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが例示される。金属系材料としては、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、白金、クロム、スズ、インジウム、チタン、ニッケルなどが例示される。
正極集電体222の形状としては、箔形状(板形状、フィルム形状、シート形状などと称される場合がある)、メッシュ形状、穴あき板形状などが例示される。正極集電体222の厚さは、特に限定されるものではないが、1~200μmであることが好ましい。正極集電体222の厚さは、6~20μmであってもよく、4~10μmであってもよい。
(正極活物質層)
本実施形態において、正極活物質層224は、正極集電体222の少なくとも一方の面に形成される。正極活物質層224の厚さは、正極集電体222の片面あたり1~100μmであってもよく、5~50μmであってもよい。
正極活物質層224は、例えば、正極活物質と、結着材料(バインダーと称される場合がある。)とを含む。正極活物質層224は、導電性材料及びイオン伝導性材料の少なくとも一方をさらに含んでよい。正極活物質層224は、正極活物質と、イオン伝導性材料とを含んでもよい。これにより、正極活物質層224の内部に形成されるイオン伝導パス及び/又は電子伝導パスの切断が抑制され得る。
一実施形態において、正極活物質層224は、正極集電体222の少なくとも一方の面の上に、正極活物質層224を構成する材料及び溶媒を含むスラリーを塗布し、当該スラリーを乾燥させることで形成される。上記の溶媒としては、各種の溶媒物質又はその混合物が例示される。上記の溶媒物質の種類は特に限定されるものではないが、上記の溶媒物質としては、N-メチルピロリドン(NMP)、水などが例示される。
他の実施形態において、正極活物質層224は、正極活物質層224を構成する材料を混合してシート状に成型し、当該シート状の混合物を正極集電体222の少なくとも一方の面に圧着することで形成される。正極活物質として有機化合物が用いられる場合、例えば、上記の圧着工程において正極活物質層224に過度の圧力が印加されないように、正極集電体222及び正極活物質層224が圧着される。
例えば、コーターを用いて、正極集電体222の上に正極活物質層224の前駆材料が塗工されるときに、正極活物質層224の前駆材料に印加される圧力が調整される。例えば、コーターによる塗工ギャップが180μm以上となるように設定される。上記の塗工ギャップは200μm以上に設定されてもよい。これにより、正極活物質層224中のイオン伝導パス及び/又は電子伝導パスの切断が抑制される。
なお、圧着工程の手順は、上記の手順に限定されない。また、圧着工程において正極活物質層224に印加される圧力は、上記の手順において印加される圧力より大きくてもよい。
(正極活物質)
正極活物質層224に含まれる正極活物質としては、蓄電セル112のキャリアイオンを吸蔵及び放出することができる各種の物質が用いられる。正極活物質は、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよい。これらの正極活物質は単独で用いられてもよく、2種以上の正極活物質が組み合せられてもよい。
正極活物質として用いられる無機化合物(無機正極活物質と称される場合がある。)としては、金属酸化物、金属ケイ酸塩、金属リン酸塩、金属ホウ酸塩などが例示される。上記の金属としては、V、Mn、Ni、Coなどの遷移金属が例示される。
正極活物質として用いられる有機化合物(有機正極活物質と称される場合がある。)としては、各種の酸化還元活性な化合物が有機正極活物質として用いられる。有機正極活物質としては、共役系高分子、ジスルフィド、キノン、局在型ラジカル、非局在型ラジカルなどが例示される。
本実施形態において、正極活物質は、後述される第1モノマーに由来する第1繰り返し単位を有する重合体を含む。重合体に含まれる第1モノマーに由来する繰り返し単位の個数に対する、当該重合体に含まれる第2モノマーに由来する繰り返し単位の個数の割合は、特に限定されない。第1モノマーに由来する繰り返し単位と、第2モノマーに由来する繰り返し単位との結合箇所又は結合形態は、特に限定されない。
正極活物質は、第1モノマーに由来する第1繰り返し単位と、後述される第2モノマーに由来する第2繰り返し単位とを有する重合体を含んでもよい。正極活物質は、1種又は2種以上の第1繰り返し単位を含んでよい。正極活物質は、1種又は2種以上の第2繰り返し単位を含んでよい。正極活物質は、第1モノマーを重合させて得られる重合体を含んでよい。正極活物質は、第1モノマーと、第2モノマーとを重合させて得られる重合体を含んでよい。
特定の化合物に由来する繰り返し単位は、例えば、当該特定の化合物に含まれる少なくとも2つの水素が除かれてできる基又は構造を含んでもよい。水素が除かれた部位が、結合手と称される場合がある。重合体は、上記の少なくとも2つの結合手の一部が水素と結合して得られる基又は構造を含んでもよい。
重合体は、オリゴマーであってもよく、ポリマーであってもよい。重合体は、二量体であってもよく、三量体以上のオリゴマーであることが好ましく、四量体以上のオリゴマー又はポリマーであることがさらに好ましい。重合体がポリマー又はオリゴマーである場合、当該重合体の分子量は、例えば、5000以下である。上記の重合体の分子量は、3000以下であってもよい。上記の重合体の分子量は、500以下であってもよい。
一実施形態において、第1繰り返し単位は、第1モノマーに由来する構造を含み、第2モノマーに由来する構造を含まない。この場合、第1繰り返し単位は、2個の結合手を有してよい。複数の第1繰り返し単位の一部において、2個の結合手のうちの一方が水素と結合してもよい。同様に、第2繰り返し単位は、第2モノマーに由来する構造を含み、第1モノマーに由来する構造を含まない。この場合、第2繰り返し単位は、2個の結合手を有してよい。複数の第2繰り返し単位の一部において、2個の結合手のうちの一方が水素と結合してもよい。
他の実施形態において、第1繰り返し単位及び第2繰り返し単位の少なくとも一方は、第1モノマーに由来する構造と、第2モノマーに由来する構造とを含んでよい。この場合、上記の繰り返し単位は、2個以上の結合手を有してよい。上記の繰り返し単位は、3個以上の結合手を有してよい。上記の結合手の少なくとも1つは、水素と結合してもよい。
(第1モノマー)
本実施形態において、第1モノマーは、例えば、下記の数式(1)により導出されるyの値が600を超える有機化合物又はその塩である。
(数式1)
=-0.03x-0.0307x+0.115x-0.111x+0.489
数式1において、yは、上記の質量エネルギー密度[Wh/kg-活物質]の予測値を示す。数式1において、xは、上記の有機化合物のLUMO準位のエネルギー[eV]を示す。数式1において、xは、上記の有機化合物のLUMO準位から1つ上の準位のエネルギー[eV]を示す。数式1において、xは、上記の有機化合物の分子構造から導出される陽イオン(例えば、電池のキャリアイオンである。)との反応数であって、当該有機化合物の1分子当たりの反応数[個]を示す。数式1において、xは、上記の有機化合物の分子の軌道のうち上記の陽イオンの仕事関数以下のエネルギー準位を有する軌道の数であって、当該有機化合物の1分子当たりの軌道数[個]を示す。
上記の有機化合物は、π結合を有する共役系有機化合物(脂環式化合物、ステロイド及びこれらの誘導体、並びに、側鎖にアルキル鎖長が4以上のアルキル基を有する有機化合物を除く。)であってよい。上記の共役系有機化合物は、2以上のπ電子を有する化合物であってよい。1種又は2種以上の有機化合物又はその塩が、第1モノマーとして用いられてよい。
π結合を有する共役系有機化合物(脂環式化合物、ステロイド及びこれらの誘導体、並びに、側鎖にアルキル鎖長が4以上のアルキル基を有する有機化合物を除く。)であって、上記の数式1により推定される質量エネルギー密度[Wh/kg-活物質]の予測値yの大きな化合物としては、下記の化合物が例示される。これらの化合物のy1の値は600を超える。下記の化合物は、上段の行に記載された化合物ほど質量エネルギー密度の予測値yの値が大きい。また、同じ行に記載されている複数の化合物においては、左側に記載された化合物ほど質量エネルギー密度の予測値yの値が大きい。
上記の有機化合物は、下記の数式(2)により導出されるyの値が、3.3を超える有機化合物であってよい。
(数式2)
=-0.303x-0.0704x+1.19
数式2において、yは、上記の有機化合物を正極活物質として用いた電池の平均反応電位[V(vs.Li/Li+)]の予測値を示す。上記の電池は、例えば、リチウムイオン電池である。数式2において、xは、上記の有機化合物のLUMO準位のエネルギー[eV]を示す。数式2において、xは、上記の有機化合物のLUMO準位から1つ上の準位のエネルギー[eV]を示す。
π結合を有する共役系有機化合物(脂環式化合物、ステロイド及びこれらの誘導体、並びに、側鎖にアルキル鎖長が4以上のアルキル基を有する有機化合物を除く。)であって、上記の数式2により推定される平均反応電位yの大きな化合物としては、下記の化合物が例示される。これらの化合物のyの値は3.3を超える。下記の化合物は、上段の行に記載された化合物ほど平均反応電位の予測値yの値が大きい。また、同じ行に記載されている複数の化合物においては、左側に記載された化合物ほど平均反応電位の予測値yの値が大きい。
上記の有機化合物は、下記の数式(3)により導出されるyの値が、100を超える有機化合物であってよい。
(数式3)
=56.5x-7.05x+176
数式3において、yは、上記の有機化合物を正極活物質として用いた電池の容量[mAh/g-正極活物質]の予測値を示す。数式3において、xは、上記の有機化合物の分子構造から導出される陽イオン(例えば、電池のキャリアイオンである。上記の電池はリチウムイオン電池であってよく、陽イオンはリチウムイオンであってよい。)との反応数であって、当該有機化合物の1分子当たりの反応数[個]を示す。数式3において、xは、上記の有機化合物の分子の軌道のうち上記の陽イオンの仕事関数以下のエネルギー準位を有する軌道の数であって、当該有機化合物の1分子当たりの軌道数[個]を示す。
π結合を有する共役系有機化合物(脂環式化合物、ステロイド及びこれらの誘導体、並びに、側鎖にアルキル鎖長が4以上のアルキル基を有する有機化合物を除く。)であって、上記の数式2により推定される容量yの大きな化合物としては、下記の化合物が例示される。これらの化合物のyの値は100を超える。下記の化合物は、上段の行に記載された化合物ほど容量の予測値yの値が大きい。また、同じ行に記載されている複数の化合物においては、左側に記載された化合物ほど容量の予測値yの値が大きい。
本実施形態において、第1モノマーとして選択される有機化合物は、分子量が比較的小さく、多電子授受能を有する有機化合物であってもよい。上記の有機化合物の分子量に対する、当該有機化合物が授受可能な電子の個数の割合は、2以上16以下であってよい。
本実施形態において、第1モノマーは、下記の化学式(1-1)~(1-12)に示される化合物及びその誘導体並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。上記の誘導体としては、下記の化学式(1-1)~(1-12)に示される化合物の還元体が例示される。上述されたとおり、1種又は2種以上の有機化合物又はその塩が、第1モノマーとして用いられてよい。
本実施形態において、第1モノマーは、化学式(1-1)~(1-39)に示される化合物及びその誘導体並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。上記の誘導体としては、化学式(1-1)~(1-39)に示される化合物の酸化体又は還元体、Liイオンの代わりに他のイオンが結合した化合物などが例示される。上述されたとおり、1種又は2種以上の有機化合物又はその塩が、第1モノマーとして用いられてよい。
(第1モノマーの具体例)
第1モノマーは、下記の化学式(1-1)~(1-12)に示される化合物及びその還元体、並びに、これらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。下記の各種の化合物は、公知の手順により製造され得る。下記の各種の化合物は、市場において入手され得る。
第1モノマーは、化学式(1-1)、(1-3)、(1-5)~(1-12)に示される化合物及びその還元体、並びに、これらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。第1モノマーは、化学式(1-1)、(1-3)、(1-5)、(1-7)~(1-12)に示される化合物及びその還元体、並びに、これらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。第1モノマーは、化学式(1-1)、(1-3)、(1-5)、(1-7)、(1-8)、(1-12)に示される化合物及びその還元体、並びに、これらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。第1モノマーは、化学式(1-2)、(1-3)、(1-8)及び(1-9)の何れかにより示される化合物であってもよく、当該化合物の還元体であってもよく、これらの塩であってもよい。第1モノマーは、化学式(1-3)及び(1-8)の何れかにより示される化合物であってもよく、当該化合物の還元体であってもよく、これらの塩であってもよい。
上記の化合物の誘導体としては、上記の化合物に含まれる少なくとも1つの水素が、水酸基、カルボニル基、アミノ基、シアノ基、ジスルフィド基及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換された化合物が例示される。例えば、上記の化合物が置換基を有する場合、上記の化合物が置換基を有しない場合と比較して、容量が低下することがある。しかしながら、置換基が上記の官能基である場合には、置換基が上記の官能基以外の官能基である場合と比較して、容量の低下の度合いが小さい。上記の化合物の誘導体は、上記の化合物に含まれる少なくとも1つの水素が、水酸基又はカルボニル基により置換された化合物であってよい。水酸基及び/又はカルボニル基が上記の化合物の炭素に直接結合している場合、容量がほとんど低下しない、又は、容量が増加する。
(第2モノマー)
本実施形態において、第2モノマーは、共役骨格を有する。第2モノマーは、共役骨格を有する有機化合物又はその塩であってよい。第2モノマーは、n個(ただし、nは、1以上3以下の整数である。)の環構造を含んでもよい。1種又は2種以上の有機化合物又はその塩が、第2モノマーとして用いられてよい。
一実施形態において、共役骨格を有する有機化合物は、キノン誘導体若しくはその還元体、又は、芳香族化合物であってよい。芳香族化合物は、ヘテロ原子を含んでもよく、ヘテロ原子を含まなくてもよい。上記のヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄などが例示される。
キノン誘導体としては、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン及びこれらの誘導体が例示される。ベンゾキノンは、p-ベンゾキノンであってもよく、o-ベンゾキノンであってもよい。ナフトキノンは、1,2-ナフトキノンであってもよく、1,4-ナフトキノンであってもよく、2,6-ナフトキノンであってもよい。アントラキノンは、1,2-アントラキノンであってもよく、1,4-アントラキノンであってもよく、9,10-アントラキノンであってもよい。
上記の化合物の誘導体としては、上記の化合物に含まれる少なくとも1つの水素が、水酸基、カルボニル基、アミノ基、シアノ基、ジスルフィド基及びニトロ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換された化合物が例示される。上記の化合物の誘導体は、上記の化合物に含まれる少なくとも1つの水素が、1以上の水酸基及び/又は1以上のカルボニル基により置換された化合物であってよい。
他の実施形態において、共役骨格を有する有機化合物は、1以上の芳香環と2以上のケトン官能基を有してよい。1以上の芳香環と2以上のケトン官能基とを有する有機化合物としては、上述されたキノン誘導体又はその還元体が例示される。
さらに他の実施形態において、共役骨格を有する有機化合物は、共役骨格中に、第1モノマーと反応可能な部位(反応サイトと称される場合がある。)を有する。上記の反応サイトは、電子吸引基であってよい。上記の有機化合物において、共役骨格に含まれる反応サイトの個数は、1分子当たり2以上であってよい。共役骨格に含まれる反応サイトの個数は、1分子当たり2以上16以下であってよい。共役骨格に含まれる反応サイトの個数は、1分子当たり4以上8以下であることが好ましい。
有機化合物が反応サイトを有することにより、当該有機化合物のエネルギー密度が低下する。しかしながら、1分子当たりの反応サイトの個数が16以下であれば、エネルギー密度の低下の度合いが比較的小さい。そのため、当該エネルギー密度の低下が第1モノマー及び第2モノマーの反応性に与える影響も小さくなる。特に、1分子当たりの反応サイトの個数が8以下である場合、エネルギー密度の低下の度合いが十分に小さく、当該エネルギー密度の低下が第1モノマー及び第2モノマーの反応性に与える影響が無視され得る。
一方、1分子当たりの反応サイトの個数が2以上であれば、例えば、上記の重合体がリチウムイオン電池の正極活物質として用いられた場合に、公知のリチウムイオンバッテリと同等以上のエネルギー密度を有するリチウムイオン電池が作製され得る。特に、1分子当たりの反応サイトの個数が4以上である場合、エネルギ密度の大きなリチウムイオン電池が作製され得る。
上記の有機化合物は、ヘテロ原子を含んでよい。上記の有機化合物に含まれる水素以外の原子の総数に対する、上記の有機化合物に含まれるヘテロ原子の個数の割合は、0.02以上0.2以下であってよい。上記の有機化合物に含まれる炭素原子の個数に対する、上記の有機化合物に含まれるヘテロ原子の個数の割合は、1以上8以下であってよい。
(第2モノマーの具体例)
第2モノマーとしては、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ジアザベンゼン、ベンゾキノン若しくはその還元体、又は、フランが例示される。ジアザベンゼンは、ピリダジンであってもよく、ピリミジンであってもよく、ピラジンであってもよい。ベンゾキノンは、p-ベンゾキノンであってもよく、o-ベンゾキノンであってもよい。
第2モノマーは、上記の有機化合物の誘導体であってよい。第2モノマーは、上記の有機化合物の塩、又は、上記の有機化合物の塩であってよい。上記の化合物の誘導体としては、上記の化合物に含まれる少なくとも1つの水素が、ビニル基又はハロゲンにより置換された化合物が例示される。上記のビニル基又はハロゲンは、上記の有機化合物の炭素に直接結合してよい。
第2モノマーは、下記の化学式(2-1)~(2-7)に示される化合物及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。第2モノマーは、下記の化学式(2-1)~(2-7)に示される化合物の異性体及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。
(第1モノマー及び第2モノマーの組み合わせ)
上述されたとおり、第1モノマーは、例えば、化学式(1-1)~(1-12)に示される化合物及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つである。同様に、第2モノマーは、例えば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ジアザベンゼン、ベンゾキノン若しくはその還元体、フラン及びこれらの誘導体、並びに、これらの塩からなる群から選択される少なくとも1つである。
一実施形態において、第1モノマーは、化学式(1-1)~(1-12)に示される化合物及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであり、第2モノマーは、ピロールであってよい。他の実施形態において、第1モノマーは、化学式(1-1)、(1-3)及び(1-5)~(1-12)に示される化合物並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであり、第2モノマーは、ピラジンであってよい。
さらに他の実施形態において、第1モノマーは、化学式(1-1)、(1-3)、(1-5)及び(1-7)~(1-12)に示される化合物並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであり、第2モノマーは、p-ベンゾキノンであってよい。さらに他の実施形態において、第1モノマーは、前記化学式(1-1)、(1-3)、(1-5)、(1-7)、(1-8)及び(1-12)に示される化合物並びにこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであり、第2モノマーは、カテコールであってよい。
(繰り返し単位の一例)
第1モノマーに由来する第1繰り返し単位は、第1モノマーに含まれる少なくとも2つの水素が除かれてできる基又は構造を含む。同様に、第2モノマーに由来する第2繰り返し単位は、第2モノマーに含まれる少なくとも2つの水素が除かれてできる基又は構造を含む。上述されたとおり、第1繰り返し単位及び第2繰り返し単位の少なくとも一方は、第1モノマーに由来する構造と、第2モノマーに由来する構造とを含む。
第1モノマーが化学式(1-8)に示される化合物又はその還元体であり、第2モノマーがベンゾキノンである場合、第1モノマーに由来する構造及び第2モノマーに由来する構造とを含む繰り返し単位は、下記の化学式(3-1)又は(3-2)により示される構造を有してよい。化学式(3-1)及び(3-2)において、*は結合手を示す。
第1モノマーが化学式(1-8)に示される化合物又はその還元体であり、第2モノマーがカテコールである場合、第1モノマーに由来する構造及び第2モノマーに由来する構造とを含む繰り返し単位は、下記の化学式(3-3)又は(3-4)により示される構造を有してよい。化学式(3-3)及び(3-4)において、*は結合手を示す。
第1モノマーが化学式(1-3)に示される化合物又はその還元体であり、第2モノマーがカテコールである場合、第1モノマーに由来する構造及び第2モノマーに由来する構造とを含む繰り返し単位は、下記の化学式(3-5)又は(3-6)により示される構造を有してよい。化学式(3-5)及び(3-6)において、*は結合手を示す。
(正極活物質の製造方法)
上記の正極活物質として用いられる重合体は、例えば、下記の手順により得られる。本実施形態によれば、まず、第1モノマーとして用いられる有機化合物と、第2モノマーとして用いられる有機化合物とを準備する。これらの有機化合物は、公知の手順により作製される。例えば、化学式(1-1)~(1-12)に示される化合物又はこれらの塩は、市場において入手可能である。同様に、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ジアザベンゼン、ベンゾキノン若しくはその還元体、フラン、又はこれらの塩は、市場において入手可能である。
次に、第1モノマーと、第2モノマーとを重合させる。例えば、融液合成法により第1モノマー及び第2モノマーを重合させることにより、上記の重合体が得られる。例えば、まず、反応容器中で第1モノマー及び第2モノマーを混合させる。このとき、反応容器中に、触媒が添加されてもよい。触媒としては、酸、塩基、酸化剤、還元剤などが例示される。また、反応容器中に、適宜、溶媒が添加されてもよい。次に、上記の反応容器をマイクロ波合成装置に設置する。その後、マイクロ波合成装置の反応温度及び反応時間を適宜調整することで、反応生成物が得られる。反応温度は、150~500℃であってよく、反応時間は、15~120分であってよい。得られた反応生成物を洗浄及び乾燥させることで、第1モノマー及び第2モノマーの共重合体が得られる。
なお、第1モノマー及び第2モノマーの重合手順は、本実施形態に限定されない。公知の任意の重合手順により、第1モノマー及び第2モノマーの共重合体が作製され得る。また、反応装置は、マイクロ波合成装置に限定されない。例えば、反応装置として、加熱温度ステージが用いられる。
(正極活物質以外の材料)
正極活物質層224に含まれる結着材料は、正極活物質層224を構成する材料を結着し、正極220の電極形状を保持する。結着材料としては、例えば、各種の高分子材料が用いられる。上記の高分子材料としては、カルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、及び、これらの誘導体などが例示される。
正極活物質層224に含まれる導電性材料は、正極活物質層224の導電率を向上させる。これにより、正極220の抵抗が小さくなる。導電性材料は、電子伝導性を有する材料であれば特に限定されない。導電性材料としては、炭素系材料、金属系材料、導電性高分子材料などが例示される。これらの導電性材料は、単独で用いられてもよく、2種以上の導電助剤が組み合せられてもよい。
炭素系材料としては、黒鉛、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどである)、コークス、非晶質炭素、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが例示される。金属系材料としては、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、白金、クロム、スズ、インジウム、チタン、ニッケルなどが例示される。導電性高分子材料としては、ポリフェニレン誘導体などが例示される。
正極活物質層224に含まれる伝導性材料は、正極活物質層224におけるキャリアイオンの伝導性を向上させる。伝導性材料としては、例えば、各種の固体電解質が用いられる。固体電解質としては、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、高分子固体電解質などが例示される。伝導性材料として、高分子固体電解質が用いられてよい。高分子固体電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、及び、これらの誘導体から選択される少なくとも1種の化合物が例示される。
(セパレータ)
本実施形態において、セパレータ230は、正極220及び負極240の間に配され、正極220及び負極240を隔離する。また、セパレータ230は、正極220及び負極240の間におけるキャリアイオンの伝導性を確保する。セパレータ230の厚さは、特に限定されるものではないが、10~50μmであることが好ましい。
セパレータ230の材質及び形状は特に限定されない。セパレータ230の材質としては、(i)ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体などの高分子化合物、(ii)ガラス繊維、(iii)固体電解質、又は、(iv)これらの複合体などが例示される。セパレータ230の形状としては、微多孔フィルム、不織布、フィルターなどが例示される。セパレータ230の開口率は、特に限定されるものではないが、30~70%であることが好ましい。セパレータ230は、層状(板状、フィルム状、シート状などと称される場合がある。)の固体電解質(固体電解質層と称される場合がある。)であってもよい。
(負極)
本実施形態において、負極集電体242は、負極活物質層244を保持する。負極集電体242の材料としては、銅、アルミニウム、ステンレススチール、ニッケル、チタン又はこれらの合金などが例示される。
(負極集電体)
負極集電体242の少なくとも一部は、樹脂により形成されてよい。これにより、蓄電セル112が軽量化され得る。特に、固体電解質を主成分とするセパレータ230が用いられる場合、固体電解質の種類によっては、セパレータ230の質量が比較的大きくなる。このような場合であっても、負極集電体242の少なくとも一部が樹脂により形成されることにより、蓄電セル112の全体の質量の増加が抑制される。その結果、蓄電セル112の質量当たりの容量、及び、蓄電セル112のエネルギー密度が向上する。
一実施形態において、負極集電体242は、樹脂材料と、導電性材料とを含む。例えば、負極集電体242は、樹脂シートと、当該樹脂シートの少なくとも一方の面に配された導電層とを有する。導電層は、樹脂シートの両面に配されてもよい。導電層は、金属薄膜であってよい。金属薄膜の材料としては、金、銀、銅、鉛、アルミニウム、ステンレススチール、ニッケル、チタン又はこれらの合金が例示される。導電率及び比重を考慮して、金属薄膜の材料は、銅、アルミニウム、ステンレススチール、ニッケル、チタン又はこれらの合金であってもよい。
上記の樹脂シートには、複数の貫通孔が形成されていてもよい。貫通孔の大きさは、円相当径として、15~150μmであってよい。樹脂シートの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミドなどが例示される。樹脂シートの厚さは特に限定されるものではなく、樹脂シートは、導電層の破損を防止することができる程度の厚さを有していればよい。樹脂シートの厚さは、20μm以下であってよく、10μm以下であってよく、5μm以下であってもよい。
導電層の厚さは、片面当たり20μm以下であってもよく、片面当たり5μm以下であってもよく、片面当たり1μm以下であってもよい。導電層の厚さは、片面当たり0.5μm以下であってもよい。導電層の厚さの下限は、片面当たり0.05μmであってもよく、片面当たり0.1μmであってもよい。
導電層の厚さが片面当たり20μm以下である場合、蓄電セル112の質量エネルギー密度が向上する。導電層の厚さが片面当たり1μm以下である場合、蓄電セル112の質量エネルギー密度が大きく向上する。一方、導電層の厚さが片面当たり0.1μm未満になると、導電層が破損しやすくなる。しかしながら、本実施形態によれば、導電層が樹脂シートにより支持されている。そのため、導電層の厚さが片面当たり0.1μm程度の場合であっても、導電層の破損が抑制される。
導電層の厚さは、0.1μm以上20μm以下であってもよく、0.5μm以上5μm以下であってもよい。導電層の厚さが上記の数値範囲の範囲内に含まれる場合、蓄電セル112の質量エネルギー密度の向上と、導電層の破損の抑制とが、高いレベルで達成され得る。
他の実施形態において、負極集電体242は、導電性を有する樹脂材料を含む。上記の樹脂材料の導電性は、例えば、当該樹脂材料の電子抵抗により評価される。上記の導電性を有する樹脂材料は、例えば、200Ω以下の電子抵抗を有する。上記の導電性を有する樹脂材料の電子抵抗は、20Ω以下であってもよい。樹脂材料の電子抵抗の大きさは、例えば、樹脂シートから切り取られた2cm×10cmのサンプルの貫通抵抗の値を、電気抵抗測定器及び抵抗計を用いて測定することで得られる。導電性を有する樹脂材料は、正極集電体222に関連して説明された樹脂材料と同様の特徴を有してよい。
負極活物質としてキャリア金属が用いられる場合、当該キャリア金属が集電体の役割を兼ね得る。例えば、蓄電セル112のキャリア金属がリチウムであり、負極活物質がリチウム金属である場合、リチウム金属が集電体として用いられる。この場合、蓄電セル112は、負極集電体242を備えなくてもよい。
負極集電体242の形状としては、箔形状(板形状、フィルム形状などと称される場合がある)、メッシュ形状、穴あき板形状などが例示される。負極集電体242の厚さは、特に限定されるものではないが、1~200μmであってよい。負極集電体242の厚さは、6~20μmであってもよく、4~10μmであってもよい。
本実施形態において、負極活物質層244は、負極集電体242の少なくとも一方の面に形成される。負極活物質層244の厚さは、負極集電体242の片面あたり、0超200μm以下であってもよく、1~100μmであってもよい。
(負極活物質層)
負極活物質層244は、例えば、負極活物質と、結着材料(バインダーと称される場合がある。)とを含む。負極活物質層244は、導電性材料及びイオン伝導性材料の少なくとも一方をさらに含んでよい。負極活物質層244は、負極活物質と、イオン伝導性材料とを含んでもよい。これにより、負極活物質層244の内部に形成されるイオン伝導パス及び/又は電子伝導パスの切断が抑制され得る。
一実施形態において、負極活物質層244は、負極集電体242の少なくとも一方の面の上に、負極活物質層244を構成する材料及び有機溶媒を含むスラリーを塗布し、当該スラリーを乾燥させることで作製される。上記の溶媒としては、各種の溶媒物質又はその混合物が例示される。上記の溶媒物質の種類は特に限定されるものではないが、上記の溶媒物質としては、N-メチルピロリドン(NMP)、水などが例示される。
他の実施形態において、負極活物質層244は、負極活物質層244を構成する材料を混合してシート状に成型し、当該シート状の混合物を負極集電体242の少なくとも一方の面に圧着することで形成される。負極活物質として有機化合物が用いられる場合、上記の圧着工程において負極活物質層244に過度の圧力が印加されないように、負極集電体242及び負極活物質層244が圧着される。
例えば、コーターを用いて、負極集電体242の上に負極活物質層244の前駆材料が塗工されるときに、負極活物質層244の前駆材料に印加される圧力が調整される。例えば、コーターによる塗工ギャップが180μm以上となるように設定される。上記の塗工ギャップは200μm以上に設定されてもよい。これにより、負極活物質層244中のイオン伝導パス及び/又は電子伝導パスの切断が抑制される。
なお、圧着工程の手順は、上記の手順に限定されない。また、圧着工程において正極活物質層224に印加される圧力は、上記の手順において印加される圧力より大きくてもよい。
負極活物質層として、蓄電セル112のキャリアイオンの金属(キャリア金属と称される場合がある。)の板又は箔が用いられてよい。キャリア金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属が例示される。
(負極活物質)
負極活物質層244に含まれる負極活物質としては、蓄電セル112のキャリアイオンを吸蔵及び放出することができる各種の物質が用いられる。負極活物質は、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよい。これらの負極活物質は単独で用いられてもよく、2種以上の負極活物質が組み合せられてもよい。
負極活物質として用いられる無機化合物(無機負極活物質と称される場合がある。)としては、(i)キャリア金属及びこれを含む合金、(ii)スズ、シリコン及びこれらを含む合金、(iii)珪素酸化物、(iv)チタン酸化物などが例示される。例えば、蓄電セル112がリチウム二次電池である場合、負極活物質として、金属リチウム、リチウム・チタン酸化物(LTO)などが用いられる。キャリア金属を含まない材料が負極活物質として用いられる場合、当該材料にキャリア金属がプレドープされてよい。
例えば、蓄電セル112のキャリアイオンを放出可能な金属箔又は金属板が、負極活物質層244として用いられる。これにより、蓄電セル112の質量エネルギー密度が向上する。金属箔の厚さは、1~200μmであってよく、10~100μmであってよく、20~50μmであってよい。金属箔の厚さ及び/又は質量は、正極活物質層224における正極活物質の含有量に応じて決定されてよい。
負極活物質として用いられる有機化合物としては、負極活物質として機能することが知られている各種の有機化合物が用いられる。上述された正極活物質として用いられる重合体が、負極活物質として用いられてもよい。
(負極活物質以外の材料)
負極活物質層244に含まれる結着材料は、負極活物質層244を構成する材料を結着し、負極240の電極形状を保持する。結着材料としては、例えば、各種の高分子材料が用いられる。上記の高分子材料としては、カルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、及び、これらの誘導体などが例示される。
負極活物質層244に含まれる導電性材料は、負極活物質層244の導電率を向上させる。これにより、負極240の抵抗が小さくなる。導電性材料は、電子伝導性を有する材料であれば特に限定されない。導電性材料としては、炭素系材料、金属系材料、導電性高分子材料などが例示される。これらの導電性材料は、単独で用いられてもよく、2種以上の導電助剤が組み合せられてもよい。
炭素系材料としては、黒鉛、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどである)、コークス、非晶質炭素、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが例示される。金属系材料としては、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、白金、クロム、スズ、インジウム、チタン、ニッケルなどが例示される。導電性高分子材料としては、ポリフェニレン誘導体などが例示される。
負極活物質層244に含まれる伝導性材料は、負極活物質層244におけるキャリアイオンの伝導性を向上させる。伝導性材料としては、例えば、各種の固体電解質が用いられる。固体電解質としては、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、高分子固体電解質などが例示される。伝導性材料として、高分子固体電解質が用いられてよい。高分子固体電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、及び、これらの誘導体から選択される少なくとも1種の化合物が例示される。
(電解質及び溶媒)
本実施形態において、電解液250は、電解液250に含まれる電解質を介して、正極活物質と、負極活物質との間のイオン電導を実現する。本実施形態によれば、電解液250として、非水電解液が用いられる。非水電解液としては、公知の有機電解液が使用され得る。例えば、蓄電セル112がリチウムイオン二次電池又はリチウム金属二次電池である場合、(i)エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの1種以上からなる溶媒に、(ii)過塩素酸リチウム、LiPFなどのリチウム塩を溶解させた溶液が、電解液250として使用される。
非水電解液は、例えば、支持電解質塩及び非水溶媒を含有する。支持電解質塩としては、金属塩が例示される。金属塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩などが例示される。ナトリウム塩としては、NaPF、NaBF、NaClOおよびNaAsFなどの無機ナトリウム塩、及び、NaCFSO、NaN(CFSO、NaN(CSO、NaC(CFSOなどの有機ナトリウム塩が例示される。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsFなどの無機リチウム塩、及び、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSOなどの有機リチウム塩が例示される。
非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、γ-ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2-ジメトキシメタン、1,3-ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、及び、これらの混合物が例示される。特に、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、及び、エチルメチルカーボネート(EMC)は、電解液又はゲル電解質の溶媒として広く用いられている。
非水電解液におけるナトリウム塩の濃度は、特に限定されるものではないが、0.5~4.0mol/Lの範囲内であってよい。ナトリウム塩の濃度は、0.7mol/L~2.0mol/Lの範囲内であってもよく、1.0mol/L~1.5mol/Lの範囲内であってもよい。非水電解液におけるリチウム塩の濃度は、特に限定されるものではないが、0.5~4.0mol/Lの範囲内であってよい。リチウム塩の濃度は、0.7mol/L~2.0mol/Lの範囲内であってもよく、1.0mol/L~1.5mol/Lの範囲内であってもよい。
正極220は、電極の一例であってよい。正極活物質層224に含まれる正極活物質は、負極240は、電極の一例であってよい。電極活物質の一例であってよい。負極活物質層244に含まれる負極活物質は、電極活物質の一例であってよい。電解液250の溶媒は、電解液又はゲル電解質の溶媒の一例であってよい。数式(1)により導出されるyの値は、第1指標値の一例であってよい。数式(2)により導出されるyの値は、第2指標値の一例であってよい。数式(3)により導出されるyの値は、第3指標値の一例であってよい。
(別実施形態の一例)
本実施形態においては、蓄電セル112がコイン型二次電池である場合を例として、蓄電セル112の詳細が説明された。しかしながら、蓄電セル112の種類、構造などは、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、蓄電セル112は、正極、セパレータ及び負極が渦巻状に巻回した巻回電極体を備える円筒型電池であってもよい。さらに他の実施形態において、蓄電セル112は、正極及び負極がセパレータを挟んで交互に積層した積層電極体が、ラミネートで封止されたラミネート型電池であってもよい。
本実施形態においては、負極240が、負極集電体242及び負極活物質層244を有する場合を例として、蓄電セル112の詳細が説明された。しかしながら、蓄電セル112の負極は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、板状又は箔状のキャリア金属が、負極集電体242及び負極活物質層244として機能する。例えば、蓄電セル112がリチウム金属二次電池である場合、金属リチウムが負極として使用され得る。
本実施形態においては、正極活物質が、有機正極活物質及び無機正極活物質の少なくとも一方を含み、負極活物質が、有機負極活物質及び無機負極活物質の少なくとも一方を含む場合を例として、蓄電セル112の詳細が説明された。しかしながら、蓄電セル112は、本実施形態に限定されない。他の実施形態において、正極活物質が主として有機正極活物質を含み、負極活物質が主として無機負極活物質(例えば、金属リチウムである。)を含む。さらに他の実施形態において、正極活物質が主として無機正極活物質を含み、負極活物質が主として有機負極活物質を含む。
(予測式に関する参考例)
下記の手順により、上述された数式(1)~(3)を導出した。また、下記の手順により、上述された数式(1)~(3)の精度を確認した。
(教師データの作成)
まず、下記の手順に従って、材料データベースを構築した。17報(参考文献1~17と称される。)の有機正極活物質の先行研究に基づいて、26種のキノン系有機化合物、2種のジスルフィド系有機化合物、及び、5種のイミン系有機化合物を含む38種類の低分子化合物について、平均反応電位[V]、単位質量当たりの正極容量[mAh/g]、及び、質量エネルギー密度[Wh/g]に関する文献値を収集した。また、上記の38種類の低分子化合物のそれぞれについて、DFT計算、ハンセン溶解度パラメータ計算などにより、上述の第1特徴群に関連して説明された46種類の説明変数の値を用意した。38種類の低分子化合物(化合物1~38と称される。)の構造式は下記のとおりであった。
また、参考文献1~参考文献17は下記のとおりであった。
(参考文献1)M. M. Doeff, S. J. Visco, L. C. De Jonghe, J. Appl. Elctrochem, 1992, 22, 307.
(参考文献2)S. R. Deng, L. B. Kong, G. Q. Hu, T. Wu, D. Li, Y. H. Zhou, Z. Y. Li, Electrochemica Acta, 2006, 51, 2589.
(参考文献3)M. Lee, J. Hong, D. H. Seo, D. H. Nam, K. T. Nam, K. Kang, C. B. Park, Angew. Chem. Int. Ed, 2013, 52, 8322.
(参考文献4)S. Nishide, Y. Yamamoto, T. Takui, Y. Morita, ChemSusChem, 2013, 6, 794.
(参考文献5)T. Yokoji, Y. Kameyama, S. Sakaida, N. Maruyama, M. Satoh, H. Matsubara, Chem. Lett, 2015, 44, 1726.
(参考文献6)M. Yao, H. Senoh, S. Yamazaki, Z. Siroma, T. Sakai, K. Yasuda, Journal of Power Sources, 2010, 195, 8336.
(参考文献7)T. Yokoji, Y. Kameyama, N. Maruyama, H. Matsubara, J. Mater. Chem. A, 2016, 4, 5457.
(参考文献8)Y. Liang, P. Zhang, J. Chen, Chem. Sci, 2013, 4, 1330.
(参考文献9)Y. Liang, P. Zhang, S. Yang, Z. Tao, J. Chen, Adv. Energy Mater, 2013, 3, 600.
(参考文献10)Z. Luo, L. Liu, Q. Zhao, F. Li, J. Chen, Angew. Chem. Int. Ed, 2017, 56, 12561.
(参考文献11)A. Shimizu, H. Kuramoto, Y. Tsujii, T. Nokami, Y. Inatomi, N. Hojo, H. Suzuki, J. Yoshida, Journal of Power Sources, 2014, 260, 211.
(参考文献12)W. Wan, H. Lee, X. Yu, C. Wang, K. W. Nam, X. Q. Yang, H. Zhou, RSC Adv, 2014, 4, 19878.
(参考文献13)T. Yokoji, H. Matsubara, M. Satoh, J. Mater. Chem. A, 2014, 2, 19347.
(参考文献14)S. Gottis, A. L. Barres, F. Dolhem, P. Poizot, ACS Appl. Mater. Interfaces, 2014, 6, 10870.
(参考文献15)R. Zeng, L. Xing, Y. Qiu, Y. Wang, W. Huang, W. Li, S. Yang, Electrochemica Acta, 2014, 146, 447.
(参考文献16)M. Yao, S. Yamazaki, H. Senoh, T. Sakai, T. Kiyobayashi, Mater. Sci. Engineering B, 2012, 177, 483.
(参考文献17)B. Tian, Z. Ding, G. H. Ning, W. Tang, C. Peng, B. Liu, J. Su, C. Su, K. P. Loh, Chem. Commun, 2017, 53, 2914.
次に、46種類の説明変数の相関関係に基づいて、28種類の説明変数の値を削除した。これにより、上記の38種類の低分子化合物のそれぞれについて、(i)平均反応電位[V]、単位質量当たりの正極容量[mAh/g]、及び、質量エネルギー密度[Wh/g]に関する文献値と、(ii)上記の第2特徴群に関連して説明された18種類の説明変数の値とが対応づけられたデータセットが構築された。
(予測モデルの構築)
次に、上記のデータセットを教師データとして用いて、全状態探索法に基づくスパースモデリングを実行することにより説明変数を削減した。スパースモデリングにおいては、38種類の低分子化合物のデータのうち、30種類前後の低分子化合物のデータを訓練用データとして利用し、10種類前後の低分子化合物のデータを検証用データとして利用した。
次に、化学的考察と、データ取得の容易性とを考慮して、スパースモデリングにより抽出された説明変数をさらに削減した。これにより、上述された数式(2)に関連して、平均反応電位[V]の予測モデルの記述子として、(a)材料の分子のLUMO準位のエネルギーと、(b)材料の分子のLUMO準位から1つ上の準位のエネルギーとを抽出した。上述された数式(3)に関連して、単位質量当たりの正極容量[mAh/g]の予測モデルの記述子として、(c)材料の分子構造から導出される材料及び二次電池の金属イオンの反応数であって、1分子当たりの反応数と、(d)材料の分子の軌道のうち前記二次電池の金属イオンの仕事関数以下のエネルギー準位を有する軌道の数であって、1分子当たりの軌道数とを抽出した。上述された数式(1)に関連して、質量エネルギー密度[Wh/g]の予測モデルの記述子として、(a)材料の分子のLUMO準位のエネルギーと、(b)材料の分子のLUMO準位から1つ上の準位のエネルギーと、(c)材料の分子構造から導出される材料及び二次電池の金属イオンの反応数であって、1分子当たりの反応数と、(d)材料の分子の軌道のうち前記二次電池の金属イオンの仕事関数以下のエネルギー準位を有する軌道の数であって、1分子当たりの軌道数とを抽出した。
次に、平均反応電位[V]、単位質量当たりの正極容量[mAh/g]、及び、質量エネルギー密度[Wh/g]のそれぞれの予測モデルについて、上述されたデータセットを用いて、抽出された記述子からなる線形回帰モデルの機械学習を実行した。このとき、38種類の低分子化合物のデータを訓練用データとして利用した。これにより、上述された数式(1)~(3)が導出された。
(予測モデルの評価)
(評価用データセットの作成)
下記の手順に従って、予測モデルの評価用のデータセットを作成した。まず、教師データの作成に用いた17報の先行研究とは異なる21報の先行研究に基づいて、15種のキノン系有機化合物及び6種のイミン系有機化合物を含む22種類の低分子化合物について、平均反応電位[V]、単位質量当たりの正極容量[mAh/g]、及び、質量エネルギー密度[Wh/g]に関する文献値を収集した。22種類の低分子化合物は、上述された38種類の低分子化合物とは異なる化合物である。
また、上記の22種類の低分子化合物のそれぞれについて、DFT計算、ハンセン溶解度パラメータ計算などにより、(a)材料の分子のLUMO準位のエネルギー、(b)材料の分子のLUMO準位から1つ上の準位のエネルギー、(c)材料の分子構造から導出される材料及び二次電池の金属イオンの反応数であって、1分子当たりの反応数、及び、(d)材料の分子の軌道のうち前記二次電池の金属イオンの仕事関数以下のエネルギー準位を有する軌道の数であって、1分子当たりの軌道数の4個の説明変数のそれぞれの値を用意した。これにより、上記の22種類の低分子化合物のそれぞれについて、(i)平均反応電位[V]、単位質量当たりの正極容量[mAh/g]、及び、質量エネルギー密度[Wh/g]に関する文献値と、(ii)上記の4種類の説明変数の値とが対応づけられた評価用データセットが構築された。
(予測値の評価)
評価用データセットに含まれる22種類の低分子化合物のそれぞれについて、参考例において構築された各予測モデルに、評価用データセットに含まれる説明変数の値を入力して、平均反応電位、単位質量当たりの正極容量、及び、質量エネルギー密度のそれぞれの予測値を算出した。また、教師データに含まれる38種類の低分子化合物のそれぞれについて、参考例において構築された各予測モデルに、教師データに含まれる説明変数の値を入力して、平均反応電位、単位質量当たりの正極容量、及び、質量エネルギー密度のそれぞれの予測値を算出した。
平均反応電位、単位質量当たりの正極容量、及び、質量エネルギー密度のそれぞれの予測値と、評価用データセットに含まれるそれぞれの実測値とを比較したところ、平均反応電位の二乗平均平方誤差(RMSE)は、0.240[V]であった。単位質量当たりの正極容量の二乗平均平方誤差(RMSE)は、52.2[mAh/g]であった。質量エネルギー密度の二乗平均平方誤差(RMSE)は、0.160[Wh/g]であった。
なお、評価用データセット(テストデータと)に対するRMSEはそれぞれ、0.293[V]、100[mAh/g]、0.263[Wh/g]であった。これにより、数式(1)~(3)により示される予測モデルは十分な予測精度を有することが示された。
(共重合体の作製)
実施例1~37において、上述された第1モノマー及び第2モノマーの組み合わせを変えて、共重合体を合成した。
(実施例1)
化学式(1-1)により示される化合物を購入することで、第1モノマーを準備した。化学式(2-1)により示される化合物を購入することで、第2モノマーを準備した。約6cmのガラス製反応容器に、0.05mmolの第1モノマーと、0.05mmolの第2モノマーとを投入し、反応容器中で両者を混合した。反応容器を加熱温度ステージの上にセットし、40℃から200℃まで10℃/分で加温した。このとき、20℃昇温するごとに、温度を5分間保持した。また、融液の温度が100、120、140、160、180及び200℃である場合のそれぞれについて、上記の5分間の保持期間が経過した後の容器内の様子を撮影し、目視により反応容器の内容物の色を確認した。
200℃で5分間保持した後、反応操作を終了させた。反応後の容器を200℃で16時間真空乾燥を行った。これにより、残存したモノマー及びオリゴマーを除去した。その後、サンプルの写真を撮影し、生成物の有無と、生成物の色とを確認した。
(実施例2~12)
実施例2~12のそれぞれにおいては、化学式(1-2)~化学式(1-12)のそれぞれにより示される化合物を購入することで第1モノマーを準備した点を除き、実施例1と同様の手順により、生成物の有無と、生成物の色とを確認した。
(電気化学特性の評価)
実施例1~12のそれぞれにおいて作製された各生成物6mgと、助電材(デンカ株式会社製、デンカブラック)と、結着剤(株式会社クレハ製、ポリフッ化ビニリデン)とを、共重合体:助電材:結着剤が質量比で3:6:1となるように混合した。上記の混合物をN-メチルピロリドン(関東化学株式会社製、NMP)に添加して、スラリーを作製した。上記のスラリーを、10×10mmのステンレスメッシュ(SUS304、株式会社ニラコ製、品番:758100)に塗布した。真空乾燥機を用いて60℃12時間の条件で上記のスラリーを乾燥させた。これにより、正極電極を製造した。
次に、3電極ビーカセルを用いて、実施例1~12のそれぞれにおいて製造された正極電極の電気化学的活性を調べた。具体的には、充放電装置(北斗電工株式会社製、HJ1001SD8)を用いて、各正極電極の電気化学特性を評価した。充放電装置の作用極として、実施例1~12のそれぞれにおいて製造された正極電極を用いた。充放電装置の参照極として、リチウム金属を用いた。充放電装置の対極としてリチウム金属を用いた。EC/DMCの混合溶液(1:2v/v%)にLiPFを溶解させて電解液を作製した。電解液におけるLiPFの濃度は、1mol/dmであった。各測定において、20cmの電解液を使用した。正極のレートが50mA/gとなる条件で充放電特性を測定した。
表1に、実施例1~12により合成された反応生成物に関する評価結果を示す。表1において、Aは、(a)目視により着色した何らかの生成物の存在が確認され、且つ、(b)(i)充放電測定により3V(vs.Li/Li+)以上での反応、及び、(ii)100mAh/g以上の容量が確認されたことを示す。Bは、(a)目視により着色した何らかの生成物の存在が確認され、且つ、(b)(i)充放電測定により3V(vs.Li/Li+)以上での反応、又は、(ii)100mAh/g以上の容量が確認されたことを示す。Cは、目視により着色した何らかの生成物の存在が確認されたことを示す。
(実施例13~22)
実施例13~22のそれぞれにおいては、化学式(1-1)、(1-3)及び(1-5)~(1-12)のそれぞれにより示される化合物を購入することで、第1モノマーを準備した点と、化学式(2-4)により示される化合物を購入することで、第2モノマーを準備した点とを除き、実施例1と同様の手順により、生成物の有無と、生成物の色とを確認した。また、実施例1と同様の手順により正極電極を作製し、各正極電極の電気化学特性を評価した。表2に、実施例13~22により合成された反応生成物に関する評価結果を示す。
(実施例23~31)
実施例23~31のそれぞれにおいては、化学式(1-1)、(1-3)、(1-5)及び(1-7)~(1-12)のそれぞれにより示される化合物を購入することで、第1モノマーを準備した点と、化学式(2-5)により示される化合物を購入することで、第2モノマーを準備した点とを除き、実施例1と同様の手順により、生成物の有無と、生成物の色とを確認した。また、実施例1と同様の手順により正極電極を作製し、各正極電極の電気化学特性を評価した。表3に、実施例23~31により合成された反応生成物に関する評価結果を示す。
(実施例32~37)
実施例23~31のそれぞれにおいては、化学式(1-1)、(1-3)、(1-5)、(1-7)、(1-8)及び(1-12)のそれぞれにより示される化合物を購入することで、第1モノマーを準備した点と、化学式(2-6)により示される化合物を購入することで、第2モノマーを準備した点とを除き、実施例1と同様の手順により、生成物の有無と、生成物の色とを確認した。また、実施例1と同様の手順により正極電極を作製し、各正極電極の電気化学特性を評価した。表4に、実施例32~37により合成された反応生成物に関する評価結果を示す。
(正極電極の作製)
実施例38~48において、正極集電体と、活物質、助電材及び結着剤を含む正極活物質層とを備える正極電極を作製した。正極活物質層の塗布量は、乾燥質量で3.5~4.5mg/cmであった。上記の活物質は、上述された第1モノマー及び第2モノマーの共重合体であり、活物質の塗布量は、乾燥質量で1.5~2.5mg/cmであった。
(実施例38)
(共重合体の製造)
(化学式1-3)により示される化合物を購入することで、第1モノマーを準備した。(化学式2-5)により示される化合物を購入することで、第2モノマーを準備した。約30cmの耐圧のガラス反応容器に、1mmolの第1モノマーと、1mmolの第2モノマーとを投入し、反応容器中で両者を混合した。反応容器をマイクロ波合成装置(株式会社アントンパール製、Monowave250)にセットし、200℃の条件で30分間反応させた。これにより、黒色の反応生成物が得られた。反応容器から上記の黒色の反応生成物を取り出し、吸引濾過を用いて、上記の反応生成物をアセトンで洗浄した。これにより、未反応のモノマー及びオリゴマーが除去された。その後、真空乾燥機を用いて、200℃16時間の条件で洗浄後の反応生成物を乾燥させた。これにより、アセトン洗浄後に残存していたオリゴマーが除去され、第1モノマー及び第2モノマーの共重合体が得られた。
(正極電極の製造)
上記の共重合体6mgと、助電材(デンカ株式会社製、デンカブラック)と、結着剤(株式会社クレハ製、ポリフッ化ビニリデン)とを、共重合体:助電材:結着剤が質量比で3:6:1となるように混合した。上記の混合物をN-メチルピロリドン(関東化学株式会社製、NMP)に添加して、スラリーを作製した。上記のスラリーを、10×10mmのステンレスメッシュ(SUS304、株式会社ニラコ製、品番:758100)に塗布した。真空乾燥機を用いて60℃12時間の条件で上記のスラリーを乾燥させた。これにより、正極電極を製造した。
(実施例39)
第2モノマーとして(化学式2-6)により示される化合物を購入した点を除いて、実施例38と同様の手順により、第1モノマー及び第2モノマーの共重合体を得た。また、同様の手順により、正極電極を製造した。
(実施例40~41)
実施例40においては、第1モノマーとして(化学式1-8)により示される化合物を購入した点を除いて、実施例38と同様の手順により、第1モノマー及び第2モノマーの共重合体を得た。実施例41においては、第2モノマーとして(化学式2-6)により示される化合物を購入した点を除いて、実施例40と同様の手順により、第1モノマー及び第2モノマーの共重合体を得た。また、同様の手順により、正極電極を製造した。
(実施例42)
助電材として気相成長炭素繊維(VGCF)及びグラフェンの混合物を用いた点を除いて、実施例38と同様の手順により正極電極を製造した。具体的には、実施例38において得られた共重合体6mgと、助電材(昭和電工株式会社製、VGCF)と、助電材(富士フイルム和光純薬株式会社製、Graphene)と、結着剤(株式会社クレハ製、ポリフッ化ビニリデン)とを、共重合体:助電材(VGCF):助電材(Graphene):結着剤が質量比で3:4:2:1となるように混合した。上記の混合物をN-メチルピロリドン(関東化学株式会社製、NMP)に添加して、スラリーを作製した。上記のスラリーを、10×10mmのステンレスメッシュ(SUS304、株式会社ニラコ製、品番:758100)に塗布した。真空乾燥機を用いて60℃12時間の条件で上記のスラリーを乾燥させた。これにより、正極電極を製造した。
(実施例43~45)
実施例43~45のそれぞれにおいては、実施例39~41のそれぞれにおいて得られた共重合体を用いた点を除いて、実施例42と同様の手順により、正極電極を製造した。
(実施例46)
共重合体:助電材:結着剤の質量比が6:3:1となるように混合した点を除き、実施例40と同様の手順により正極電極を製造した。具体的には、実施例40において得られた共重合体6mgと、助電材(デンカ株式会社製、デンカブラック)と、結着剤(株式会社クレハ製、ポリフッ化ビニリデン)とを、共重合体:助電材:結着剤が質量比で6:3:1となるように混合した。上記の混合物をN-メチルピロリドン(関東化学株式会社製、NMP)に添加して、スラリーを作製した。上記のスラリーを、10×10mmのステンレスメッシュ(SUS304、株式会社ニラコ製、品番:758100)に塗布した。真空乾燥機を用いて60℃12時間の条件で上記のスラリーを乾燥させた。これにより、正極電極を製造した。
(正極電極の評価)
(充放電特性)
充放電装置(北斗電工株式会社製、HJ1001SD8)を用いて、実施例39~41、実施例43~45及び実施例46のそれぞれにおいて製造された正極電極の電気化学的活性を調べた。具体的には、充放電装置の作用極として、上記の各実施例において製造された正極電極を用いた。充放電装置の参照極として、リチウム金属を用いた。充放電装置の対極としてリチウム金属を用いた。EC/DMCの混合溶液(1:2v/v%)にLiPFを溶解させて電解液を作製した。電解液におけるLiPFの濃度は、1mol/dmであった。各測定において、20cmの電解液を使用した。走査範囲を2.0~4.3V(vs.Li/LI+)とし、電流密度を50mA/g~200mA/gとして、充放電特性を測定した。具体的には、5サイクルごとに電流密度を50、100、200mA/gと変化させて、充放電特性を測定した。
図3に、実施例39及び実施例43の正極電極の充放電特性の測定結果を示す。図3において、点線322は、実施例39の正極電極を用いた充放電特性試験の1サイクル目において電流密度が50mA/gである場合における充放電曲線を示す。点線324は、実施例39の正極電極を用いた充放電特性試験の1サイクル目において電流密度が100mA/gである場合における充放電曲線を示す。図3において、実線342は、実施例43の正極電極を用いた充放電特性試験の1サイクル目において電流密度が50mA/gである場合における充放電曲線を示す。実線344は、実施例43の正極電極を用いた充放電特性試験の1サイクル目において電流密度が100mA/gである場合における充放電曲線を示す。充放電特性の測定結果により、実施例39及び実施例43の正極電極が十分に大きな容量を有することがわかる。
図4に、実施例40及び実施例44の正極電極の充放電特性の測定結果を示す。図4において、点線422は、実施例40の正極電極を用いた充放電特性試験の1サイクル目において電流密度が50mA/gである場合における充放電曲線を示す。点線424は、実施例40の正極電極を用いた充放電特性試験の1サイクル目において電流密度が100mA/gである場合における充放電曲線を示す。図4において、実線442は、実施例44の正極電極を用いた充放電特性試験の1サイクル目において電流密度が50mA/gである場合における充放電曲線を示す。実線444は、実施例44の正極電極を用いた充放電特性試験の1サイクル目において電流密度が100mA/gである場合における充放電曲線を示す。充放電特性の測定結果により、実施例40及び実施例44の正極電極が十分に大きな容量を有することがわかる。
図5に、実施例41及び実施例45の正極電極の充放電特性の測定結果を示す。図5において、点線522は、実施例41の正極電極を用いた充放電特性試験の1サイクル目において電流密度が50mA/gである場合における充放電曲線を示す。点線524は、実施例41の正極電極を用いた充放電特性試験の1サイクル目において電流密度が100mA/gである場合における充放電曲線を示す。図5において、実線542は、実施例45の正極電極を用いた充放電特性試験の1サイクル目において電流密度が50mA/gである場合における充放電曲線を示す。実線544は、実施例45の正極電極を用いた充放電特性試験の1サイクル目において電流密度が100mA/gである場合における充放電曲線を示す。充放電特性の測定結果により、実施例41及び実施例45の正極電極が十分に大きな容量を有することがわかる。
図6に実施例46の正極電極の充放電特性の測定結果を示す。図6は、実施例46の正極電極を用いた充放電特性試験の1サイクル目において電流密度が50mA/gである場合における充放電曲線を示す。充放電特性の測定結果により、実施例46の正極電極が十分に大きな容量を有することがわかる。
図3~図6に示されるとおり、数式(1)により導出されるyの値が600を超える共役系有機化合物が上記の第1モノマーとして優れた性質を有することがわかる。特に、表1~表4において「A」と評価された第1モノマー及び第2モノマーの重合体が正極活物質として用いられた場合、容量が150mAh/g程度の電池が得られることがわかる。本願う明細書に接した当業者であれば、置換基、高次構造、電解質、導電助剤との混合、活物質のナノ構造、電池セル設計などを最適化することにより、エネルギー密度が600[Wh/kg-活物質]を超える電池が作製され得ることを理解することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
100 飛行体
110 蓄電池
112 蓄電セル
120 電力制御回路
130 電動機
140 プロペラ
150 センサ
160 制御装置
212 正極ケース
214 負極ケース
216 封止剤
218 金属バネ
220 正極
222 正極集電体
224 正極活物質層
230 セパレータ
240 負極
242 負極集電体
244 負極活物質層
250 電解液

Claims (9)

  1. 第1モノマーに由来する第1繰り返し単位と、
    第2モノマーに由来する第2繰り返し単位と、
    を有する重合体であって、
    (a)前記第1モノマーは、下記の化学式(1-2)、(1-3)、(1-4)若しくは(1-6)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、ピロール又はその塩である、
    (b)前記第1モノマーは、下記の化学式(1-3)、(1-6)若しくは(1-8)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、ジアザベンゼン又はその塩である、
    (c)前記第1モノマーは、下記の化学式(1-5)、(1-8)若しくは(1-9)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、ベンゾキノン又はその塩である、
    (d)前記第1モノマーは、下記の化学式(1-3)若しくは(1-8)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、カテコール又はその塩である、又は、
    (e)前記第1モノマーは、下記の化学式(1-8)又はその塩であり、前記第2モノマーは、ベンゾキノン若しくはその還元体又はその塩である、
    重合体。
  2. (a)前記第1モノマーは、前記化学式(1-2)、(1-3)、(1-4)若しくは(1-6)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、ピロール又はその塩である、
    (b)前記第1モノマーは、前記化学式(1-3)、(1-6)若しくは(1-8)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、ピラジン又はその塩である、
    (c)前記第1モノマーは、前記化学式(1-5)、(1-8)若しくは(1-9)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、p-ベンゾキノン又はその塩である、又は、
    (d)前記第1モノマーは、前記化学式(1-3)若しくは(1-8)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、カテコール又はその塩である、
    請求項1に記載の重合体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の重合体を含む、
    電極活物質。
  4. 前記電極活物質は、正極活物質である、
    請求項に記載の電極活物質。
  5. 請求項に記載の電極活物質を有する電極を備える、
    電池。
  6. 溶媒を含む電解液又はゲル電解質をさらに有する、
    請求項に記載の電池。
  7. 請求項に記載の電池と、
    前記電池に蓄積された電気エネルギーを利用して推進力を発生させる推進力発生装置と、
    を備える、飛行体。
  8. 第1モノマーと、第2モノマーとを重合させる段階を有し、
    (a)前記第1モノマーは、下記の化学式(1-2)、(1-3)、(1-4)若しくは(1-6)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、ピロール又はその塩である、
    (b)前記第1モノマーは、下記の化学式(1-3)、(1-6)若しくは(1-8)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、ジアザベンゼン又はその塩である、
    (c)前記第1モノマーは、下記の化学式(1-5)、(1-8)若しくは(1-9)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、ベンゾキノン又はその塩である、
    (d)前記第1モノマーは、下記の化学式(1-3)若しくは(1-8)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、カテコール又はその塩である、又は、
    (e)前記第1モノマーは、下記の化学式(1-8)又はその塩であり、前記第2モノマーは、ベンゾキノン若しくはその還元体又はその塩である、
    重合体を生産する方法。
  9. (a)前記第1モノマーは、前記化学式(1-2)、(1-3)、(1-4)若しくは(1-6)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、ピロール又はその塩である、
    (b)前記第1モノマーは、前記化学式(1-3)、(1-6)若しくは(1-8)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、ピラジン又はその塩である、
    (c)前記第1モノマーは、前記化学式(1-5)、(1-8)若しくは(1-9)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、p-ベンゾキノン又はその塩である、又は、
    (d)前記第1モノマーは、前記化学式(1-3)若しくは(1-8)で示される化合物又はその塩であり、前記第2モノマーは、カテコール又はその塩である、
    請求項8に記載の重合体を生産する方法
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