JP7356128B2 - 自己免疫疾患の検出剤となるタンパク質複合体、及びその使用 - Google Patents
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Description
A)口唇腺組織でリンパ球浸潤が4mm2当たり1 focus以上
B)涙腺組織でリンパ球浸潤が4mm2当たり1 focus以上
A)唾液腺造影でstage I(直径1mm以下の小点状陰影)以上の異常所見
B)唾液分泌量低下(ガムテスト10分間で10mL以下、又はサクソンテスト2分間2g以下)があり、かつ唾液腺シンチグラフィーにて機能低下の所見
A)シルマー試験で5mm/5min以下で、かつローズベンガルテストで陽性
B)シルマー試験で5mm/5min以下で、かつ蛍光色素(フルオレセイン)試験で陽性
A)抗SS-A抗体陽性
B)抗SS-B抗体陽性
(1)MIS12複合体を含む、自己免疫疾患の診断及び/又は分類のための検出剤。
(2)MIS12複合体が、ヒトのMIS12複合体である、前記(1)に記載の検出剤。
(3)MIS12複合体が、DSN1、MIS12、NSL1及びPMF1によって構成される複合体である、前記(1)又は(2)に記載の検出剤。
(4)タグが付加されたものである、前記(1)~(3)のいずれか一に記載の検出剤。
(5)タグがオリゴペプチド、ポリペプチド、酵素、蛍光タンパク質、放射性同位元素、金属微粒子、磁性微粒子、蛍光物質、及び発光物質からなる群から選択されるものである、前記(4)に記載の検出剤。
(6)自己免疫疾患がシェーグレン症候群、全身性強皮症及び原発性胆汁性胆管炎からなる群から選択される自己免疫疾患である、前記(1)~(5)のいずれか一に記載の検出剤。
(7)自己免疫疾患がシェーグレン症候群である、前記(6)に記載の検出剤。
(9)生体由来の試料が体液である、前記(8)に記載の方法。
(10)体液が血清、唾液、涙及び汗からなる群から選択される体液である、前記(9)に記載の方法。
(11)生体由来の試料が生検組織である、前記(8)に記載の方法。
(12)生検組織が口唇腺又は涙腺由来の生検組織である、前記(11)に記載の方法。
(13)口唇腺が唾液腺である、前記(12)に記載の方法。
(14)自己免疫疾患がシェーグレン症候群、全身性強皮症及び原発性胆汁性胆管炎からなる群から選択される自己免疫疾患である、前記(8)~(13)のいずれか一に記載の方法。
(15)自己免疫疾患がシェーグレン症候群である、前記(14)に記載の方法。
(16)生体由来の試料が自己免疫疾患と診断された患者、又は自己免疫疾患の疑い例と診断された患者に由来する生体試料である、前記(8)~(15)のいずれか一に記載の方法。
(17)生体由来の試料が、抗核抗体検査で陽性反応が認められた患者に由来する生体試料である、前記(8)~(16)のいずれか一に記載の方法。
(18)生体由来の試料が、抗核抗体検査でdiscrete speckled型の陽性反応が認められた患者に由来する生体試料である、前記(17)に記載の方法。
(19)生体由来の試料が、抗セントロメア抗体検査で陽性反応が認められた患者に由来する生体試料であって、前記抗セントロメア抗体検査は、CENP-A、CENP-B、CENP-C、及びCBX5(HP1α)からなる群から選択されるセントロメア構成タンパク質を用いるものである、前記(8)~(18)のいずれか一に記載の方法。
(20)抗セントロメア抗体検査は、CENP-Bを用いるものである、前記(19)に記載の方法。
(22)自己免疫疾患の検出及び/又は分類用試薬である、前記(21)に記載の組成物。
(23)自己免疫疾患がシェーグレン症候群、全身性強皮症及び原発性胆汁性胆管炎からなる群から選択される自己免疫疾患である、前記(22)に記載の組成物。
(24)自己免疫疾患がシェーグレン症候群である、前記(23)に記載の組成物。
(25)MIS12複合体に対する抗体の検出用試薬である、前記(21)に記載の組成物。
(26)MIS12複合体に対する抗体を産生する細胞又は組織の検出用試薬である、前記(25)に記載の組成物。
(27)MIS12複合体に対する抗体がヒト抗体である、前記(25)又は(26)に記載の組成物。
(28)MIS12複合体に対する抗体は、MIS12複合体に対して特異的に結合し、MIS12複合体を形成していない状態のDSN1、MIS12、NSL1及びPMF1のいずれとも実質的に結合しないものである、前記(25)~(27)のいずれか一に記載の組成物。
(30)自己免疫疾患の検出及び/又は分類のための、前記(29)に記載のキット。
(31)自己免疫疾患がシェーグレン症候群、全身性強皮症及び原発性胆汁性胆管炎からなる群から選択される自己免疫疾患である、前記(30)に記載のキット。
(32)自己免疫疾患がシェーグレン症候群である、前記(31)に記載のキット。
(33)対照用のMIS12複合体に対する抗体を含む、前記(29)~(32)のいずれか一に記載のキット。
(34)対照用のMIS12複合体に対する抗体は、MIS12複合体に対して特異的に結合し、MIS12複合体を形成していない状態のDSN1、MIS12、NSL1及びPMF1のいずれとも実質的に結合しないものである、前記(33)に記載のキット。
(35)ELISA法に用いられる前記(29)~(34)のいずれか一に記載のキット。
(37)MIS12複合体に対する抗体の検出用の、前記(36)に記載のキット。
(38)MIS12複合体に対する抗体を産生する細胞又は組織の検出用、前記(36)に記載のキット。
(39)対照用のMIS12複合体に対する抗体を含む、前記(36)~(38)のいずれか一に記載のキット。
(40)対照用のMIS12複合体に対する抗体は、MIS12複合体に対して特異的に結合し、MIS12複合体を形成していない状態のDSN1、MIS12、NSL1及びPMF1のいずれとも実質的に結合しないものである、前記(39)に記載のキット。
(42)DSN1、MIS12、NSL1及びPMF1のうち少なくとも1つはタグにより修飾されたものである、前記(41)に記載の組成物。
(43)タグが、オリゴペプチドタグ、ポリペプチドタグ、酵素タンパク質タグ、及び蛍光タンパク質タグからなる群から選択されるタグを含むものである、前記(42)に記載の組成物。
(44)cDNAは発現用ベクターにクローニングされたものである、前記(41)~(43)のいずれか一に記載の組成物。
(47)タグがストレプトアビジン結合ペプチド、及び/又は蛍光タンパク質を含むタグである、前記(46)に記載のリコンビナントMIS12複合体。
(48)ストレプトアビジン結合ペプチドが、MDEKTTGWRGGHVVEGLAGELEQLRARLEHHPQGQREP(配列番号1)、又はWSHPQFEK(配列番号2)からなるアミノ酸配列を含むオリゴペプチドである、前記(47)に記載のリコンビナントMIS12複合体。
(49)蛍光タンパク質がGFPである、前記(47)又は(48)に記載のリコンビナントMIS12複合体。
(51)自己免疫疾患がシェーグレン症候群、全身性強皮症及び原発性胆汁性胆管炎からなる群から選択される自己免疫疾患である、前記(50)に記載の使用。
(52)自己免疫疾患がシェーグレン症候群である、前記(50)又は(51)に記載の使用。
(54)モノクローナル抗体である、前記(53)に記載の抗体、又はその機能性断片。
(55)完全ヒト抗体である、前記(53)又は(54)に記載の抗体、又はその機能性断片。
(56)重鎖定常領域及び軽鎖定常領域が非ヒト動物由来の重鎖定常領域及び軽鎖定常領域のアミノ酸配列を有する、前記(53)又は(54)に記載の抗体、又はその機能性断片。
(57)重鎖可変領域及び軽鎖可変領域がヒト由来の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有するキメラ抗体である、前記(56)に記載の抗体、又はその機能性断片。
(58)非ヒト動物が、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヒツジ、ヤギ、ロバ、ニワトリ、及びラクダからなる群から選択される動物である、前記(56)又は(57)に記載の抗体、又はその機能性断片。
軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3がそれぞれ配列番号17、配列番号18、及び配列番号19に示されるアミノ酸配列からなるものである、前記(53)~(58)のいずれか一に記載の抗体、又はその機能性断片。
(60)重鎖可変領域が配列番号20に示されるアミノ酸配列を含むものであり、
軽鎖可変領域が配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むものである、前記(53)~(58)のいずれか一に記載の抗体、又はその機能性断片。
(61)MIS12複合体との結合活性を有し、MIS12複合体の立体構造を特異的に認識する抗体が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖からなるものである、前記(53)~(55)のいずれか一に記載の抗体、又はその機能性断片。
(62)重鎖CDR1、CDR2及びCDR3がそれぞれ配列番号22、配列番号23、及び配列番号24に示されるアミノ酸配列からなり、
軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3がそれぞれ配列番号25、配列番号26、及び配列番号27に示されるアミノ酸配列からなるものである、前記(53)~(58)のいずれか一に記載の抗体、又はその機能性断片。
(63)重鎖可変領域が配列番号28に示されるアミノ酸配列を含むものであり、
軽鎖可変領域が配列番号29に示されるアミノ酸配列を含むものである、前記(53)~(58)のいずれか一に記載の抗体、又はその機能性断片。
(64)MIS12複合体との結合活性を有し、MIS12複合体の立体構造を特異的に認識する抗体が、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖からなるものである、前記(53)~(55)のいずれか一に記載の抗体、又はその機能性断片。
(65)重鎖CDR1、CDR2及びCDR3がそれぞれ配列番号30、配列番号31、及び配列番号32に示されるアミノ酸配列からなり、
軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3がそれぞれ配列番号33、配列番号34、及び配列番号35に示されるアミノ酸配列からなるものである、前記(53)~(58)のいずれか一に記載の抗体、又はその機能性断片。
(66)重鎖可変領域が配列番号36に示されるアミノ酸配列を含むものであり、
軽鎖可変領域が配列番号37に示されるアミノ酸配列を含むものである、前記(53)~(58)のいずれか一に記載の抗体、又はその機能性断片。
(67)MIS12複合体との結合活性を有し、MIS12複合体の立体構造を特異的に認識する抗体が、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖からなるものである、前記(53)~(55)のいずれか一に記載の抗体、又はその機能性断片。
(69)レポーター物質が放射性同位元素、金属微粒子、酵素、蛍光物質、及び発光物質からなる群から選択されるものである、前記(68)に記載の抗体、又はその機能性断片。
(70)固体支持体に固定化されたものである、前記(53)~(69)のいずれか一に記載の抗体又はその機能性断片。
(71)固体支持体がマイクロプレート、ガラス製プレート、プラスチック製プレート、シリンジ、バイアル、カラム、磁性粒子、樹脂製マイクロビーズ、多孔性膜、多孔性担体、及びマイクロチップからなる群から選択されるものである、前記(70)に記載の抗体又はその機能性断片。
(73)抗体が、IgG又はIgMの免疫グロブリン分子である、前記(53)~(72)のいずれか一に記載の抗体、又はその機能性断片。
(74)抗体が、IgGの免疫グロブリン分子である、前記(53)~(73)のいずれか一に記載の抗体、又はその機能性断片。
(76)MIS12複合体検出用試薬である、前記(75)に記載の組成物。
(77)前記(75)又は(76)に記載の組成物を含む、キット。
(79)前記(77)に記載のキットを使用して行われる、前記(78)に記載の方法。
(80)試料が細胞、生体組織、臓器、又は体液を含むものである、前記(78)又は(79)に記載の方法。
(81)体液が血清又は血液である、前記(80)に記載の方法。
(82)in vitroで行われるものである、前記(78)~(81)のいずれか一に記載の方法。
抗核抗体検査でdiscrete speckled型に分類される場合、CENP-A、CENP-B、CENP-C、CBX5(HP1α)などのセントロメア構成タンパク質に対する自己抗体が存在することが知られていたものの、discrete speckled型と判断された患者は、通常、次にCENP-Bに対する自己抗体の有無のみが従来検査されてきた。それゆえ、抗CENP-B抗体陰性の場合には、対応抗原不明と分類され、抗CENP-B抗体陰性の患者の病態は十分に明らかにされないままとなっているのが現状である。
本発明によれば、内因性抗原(自己抗原)として新たに見いだされたMIS12複合体に注目し、自己抗体である抗MIS12複合体抗体の存否をMIS12複合体を利用して検出することにより、SS等の自己免疫疾患の病態を新たな観点から特徴付けすることができる。
また、本発明によれば、MIS12複合体との結合活性を有し、MIS12複合体の立体構造を特異的に認識する抗体が提供される。当該抗体はDSN1、MIS12、NSL1及びPMF1からなるヘテロ4量体を形成していない単体としてのDSN1、MIS12、NSL1及びPMF1のいずれとも実質的な結合活性を有しないものである。当該抗体は、モノクローナル抗体であって、完全ヒト抗体であり得る。現在、MIS12複合体を認識する抗体として一般に入手、利用可能な抗体は、ポリクローナル抗体であり、当該抗体はMIS12複合体のみならず、当該複合体の構成要素たるDSN1、MIS12、NSL1及び/又はPMF1とも結合活性を有する。本発明によって、初めて、MIS12複合体と、当該複合体の構成要素であるDSN1、MIS12、NSL1及びPMF1とを免疫化学的に容易に区別することが可能となった。
本発明の一態様は、MIS12複合体である、自己免疫疾患の診断及び/又は分類のための検出剤に関する。MIS12複合体は、セントロメアに位置するKMNアッセンブリの構成要素であって、DSN1、MIS12、NSL1及びPMF1によって構成される複合体(ヘテロ4量体)である。MIS12複合体は、Mtw1複合体又はMIND複合体とも呼ばれるものであり、動物、植物、菌類など任意の生物種に由来するものであって良いが、動物種に由来するものが好ましく、哺乳動物種に由来するものがより好ましく、ヒトに由来するものが特に好ましい。MIS12複合体の調製は、天然物を精製することでも、リコンビナントタンパク質を精製することでも可能である。MIS12複合体の各構成要素の調製も、上記MIS12複合体の調製と同様に行うことが可能である。
なお、KMNアッセンブリは、MIS12複合体の他に、KNL1複合体及びNDC80複合体を含む。KNL1複合体はKNL1及びZWINTから構成され、NDC80複合体はNDC80、NUF2、SPC24及びSPC25から構成される。KNL1複合体及びNDC80複合体、並びにこれらの複合体の各構成要素の調製についても、上記と同様である。
一例として、N末端側から順に、ストレプトアビジン結合ペプチド(SBP;配列番号1)-第1のリンカーペプチド(配列番号62)-PreScissionプロテアーゼ認識部位(配列番号63)-GFP-第2のリンカーペプチド(配列番号64)が配置された、SBPタグ-GFP-リンカーをコードする塩基配列(配列番号65)を利用した組換え体タンパク質の発現を行うことができる。
配列番号65に示される塩基配列の下流にDSN1のコード領域の塩基配列(配列番号54)、MIS12のコード領域の塩基配列(配列番号55)、NSL1のコード領域の塩基配列(配列番号56)、又はPMF1のコード領域の塩基配列(配列番号57)をインフレームで配置した融合遺伝子を作成し、当該融合遺伝子から組換え体を発現させることにより、GFP由来の蛍光を発光可能であり、かつ、ストレプトアビジンによるアフィニティ精製が可能なDSN1タンパク質(配列番号58)、MIS12タンパク質(配列番号59)、NSL1タンパク質(配列番号60)、又はPMF1タンパク質(配列番号61)を調製することができる。後記実施例に示される、MIS12複合体の構成要素となる組換え体タンパク質は、実際にSBPタグ-GFP-リンカーとの融合タンパク質として調製されたものを含んでいる。
MIS12複合体は、NDC80複合体及びKNL1複合体と共にKMNアッセンブリを構成し、KMNアッセンブリを含むキネトコアの構成要素として細胞分裂時の染色体分配に関与することが知られている。MIS12複合体の細胞核局在性は知られているが、自己免疫疾患の患者に認められる抗核抗体の抗原(内因性抗原/自己抗原)としての報告はなく、MIS12複合体の自己免疫疾患の検出剤としての用途は、本発明により新たに提供されるものである。後述の実施例で開示されるとおり、MIS12複合体は、少なくともシェーグレン症候群(SS)、全身性強皮症(SSc)及び原発性胆汁性胆管炎(PBC)の検出剤として使用できる。SScとしては、特に、限局皮膚型全身性皮膚強皮症(lcSSc)の検出剤として有用である。SS、lcSSC及びPBCはいずれも自己免疫疾患であるが、これらの疾患についての特別な共通性はこれまで見出されていなかった。本発明を通じて抗MIS12複合体抗体陽性を示す自己免疫疾患という新たな疾患概念が提唱され、当該新たな疾患概念を特徴づける抗MIS12複合体抗体に対応する検出剤として本発明のMIS12複合体が提供される。
本発明の一態様は、生体由来の試料において、前記の検出剤に結合する抗体が存在することを、前記生体試料に対して標識化された前記検出剤を接触させることを含む、自己免疫疾患の検出及び/又は分類方法である。より具体的に言えば、抗MIS12複合体抗体が生体由来の試料に存在するか否かを、当該試料と標識化されたMIS12複合体とを接触させる工程を含む、抗MIS12抗体陽性の自己免疫疾患の検出方法及び/又は自己免疫疾患の分類方法である。
1)組織学的に慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)を認め、検査所見がPBCとして矛盾しないもの。
2)抗ミトコンドリア抗体(AMA)が陽性で、組織学的にはCNSDCの所見を認めないが、PBCに矛盾しない(Compatible)組織像を示すもの。
3)組織学的検索の機会はないが、AMAが陽性で、しかも臨床像及び経過からPBCと考えられるもの。
1)両側中手指節間関節(MP関節)より中枢の皮膚硬化(9点)
2)手指皮膚硬化:腫脹のみ(2点)、近位指節間(PIP)-MP関節間の皮膚硬化(4点)
3)指尖部病変:潰瘍(2点),陥凹性瘢痕(3点)
4)毛細血管拡張症(2点)
5)爪郭部毛細血管異常(2点)
6)肺高血圧症/間質性肺炎(2点)
7)レイノー現象(3点)
8)抗セントロメア抗体、抗トポイソメラーゼI抗体、抗RNAポリメラーゼIII抗体(3点)
本発明の別の一態様は、検出剤としてのMIS12複合体を含む組成物である。当該組成物に含まれるMIS12複合体は、前記のとおり、天然物であっても、リコンビナントタンパク質の複合体であっても良い。また、タグの付加されたMIS12複合体や標識化されたMIS12複合体であっても良い。タグや標識化については前記のとおりである。タグ又は標識化物質の一例は、GFPのような蛍光タンパク質である。MIS12複合体を構成する要素となるDSN1、MIS12、NSL1及びPMF1が由来する生物種はヒトが好ましいが、その他の生物種でも良いことは、前記のとおりである。DSN1、MIS12、NSL1及びPMF1の配列情報としてデータベースのアクセッション番号で特定されたある種の配列が例示されるが、それに限定されず、アイソフォーム、バリアント等、MIS12複合体としての機能を保持する限り一定範囲の配列上の改変は許容されることも前記のとおりである。ここでMIS12複合体としての機能を保持するとは、MIS12複合体を構成し、KMNアッセンブリを構築できること、及び/又は自己免疫疾患において出現する抗MIS12複合体抗体と特異的に結合できることと言える。
前記のとおり、検出剤としてのMIS12複合体を含む組成物の用途としては、自己免疫疾患の検出及び/又は分類用試薬としての用途、MIS12複合体に対する抗体の検出用試薬としての用途、及びMIS12複合体に対する抗体を産生する細胞又は組織の検出用試薬としての用途を挙げることができる。これらの試薬は、それぞれの目的に応じて、更なる成分と共にキットを構築することができる。これらの各用途に向けた、MIS12複合体を含む組成物を構成要素として含むキットは、本発明の別の一態様である。
キットには、必須の構成要素としての濃度既知のMIS12複合体に加えて、ポジティブコントロール用の抗MIS12複合体抗体、緩衝液、保存料、希釈剤、ブロッキング液、洗浄液、使用説明書等の任意の構成要素が適宜組み合わされる。試料中の抗MIS12複合体の存在を、ELISA法で検出するためのキットとして構築することもできる。
後記実施例で記載されるように、抗核抗体陽性の自己免疫症患者の生検試料を材料として抗体分泌細胞を単離し、単離された細胞からシングルセルcDNAライブラリーを構築して解析したところ、患者の組織には、MIS12複合体を自己抗原とする抗ヒトMIS12複合体ヒト抗体(自己抗体)を産生する抗体分泌細胞が存在することが明らかとなった。さらに、自己抗体としての抗ヒトMIS12複合体ヒト抗体には、MIS12複合体との結合活性を有し、MIS12複合体の立体構造を特異的に認識する抗体、すなわち、MIS12複合体とは結合するが、MIS12複合体の構成要素であるDSN1、MIS12、NSL1及びPMF1の単体(あるいは、これら4者のうち、DSN1とNSL1との混合物(又はDSN1とNSL1とからなるサブコンプレックス)やPMF1とMIS12との混合物(又はPMF1とMIS12とからなるサブコンプレックス))とはいずれも実質的に結合しない抗体が存在することが明らかとなった。このようなMIS12複合体との結合活性を有し、MIS12複合体の立体構造を特異的に認識する抗MIS12複合体抗体やその機能的断片は、MIS12複合体の生化学的な解析や免疫化学的な解析等のための試薬として利用可能である。
一方、現在、MIS12複合体を認識する抗体として一般に入手、利用可能な抗体は、ポリクローナル抗体である。当該抗体はMIS12複合体のみならず、当該複合体の構成要素たるDSN1、MIS12、NSL1及び/又はPMF1とも結合活性を有する。このような事情に鑑みて、本発明の抗体、又はその機能性断片は、前例がないものであって、極めて有用なものである。
この際、抗体遺伝子をクローニングした発現用ベクターには、プロモータ、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル等を適宜配置することができる。ここで、発現ベクターとしては、細菌、酵母又は動物細胞等の宿主細胞中で複製可能なものを用いればどのようなものでも良く、宿主に応じて市販のベクターが適宜利用できる。発現ベクターは公知の方法で宿主細胞に導入し、宿主細胞を形質転換することができる。例えば、エレクトロポレーション法、DEAE-デキストラントランスフェクション法、リン酸カルシウム沈殿法等がある。
宿主細胞は特に限定されないが、真核細胞を用いることが好ましい。酵母、又は動物由来の培養細胞(HEK293細胞、CHO細胞、COS細胞、MEF等)が挙げられる。
産生された抗体の精製は、通常のタンパク質で使用されている分離、精製方法を用いて行うことができる。例えば、アフィニティークロマトグラフィー、その他のクロマトグラフィー、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜組み合わせて行うことができる。当該抗体は、完全ヒト配列のモノクローナル抗体として調製することができる。
免疫グロブリン分子は、基本的に2本の重鎖ポリペプチドと2本の軽鎖ポリペプチドからなるヘテロ4量体分子である。重鎖及び軽鎖は、それぞれ可変領域と定常領域とを含む。抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、3個の相補性決定領域(CDR)と4個のフレームワーク領域(FR)で構成され、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順番でアミノ末端からカルボキシ末端へ配置されている。抗体分子のアミノ酸配列情報を公知の手法により決定すれば、当該配列情報に基づいて可変領域や定常領域の部位を推定することができる。また、可変領域内のCDR1、CDR2及びCDR3の配列を推定することも、同様に周知の手法により行える。よって、前記段落のように、抗MIS12複合体抗体を新たに選抜する場合であっても、抗体分子中の可変領域や相補性決定領域は、適宜決定することができる。
本発明の抗体は、上記の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列、又は上記の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗体の配列上の改変体であっても良い。例えば、重鎖可変領域が配列番号20に示されるアミノ酸配列を含むものであり、軽鎖可変領域が配列番号21に示されるアミノ酸配列を含むものである抗体を改変元として、MIS12複合体の立体構造に特異的な結合能を実質的に維持する範囲(改変元抗体の有する特異的結合能と実質的に同等の特異的結合能を有する範囲)で、重鎖及び軽鎖それぞれの可変領域内や定常領域内に改変があっても良い。前記それぞれのアミノ酸配列において、1若しくは数個、例えば、1~10個、好ましくは1~5個、さらに好ましくは1若しくは2個、さらに好ましくは1個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されていても良い。また、BLAST等のツールを用いて計算したときに、少なくとも85%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の配列同一性を有する範囲で改変があっても良い。ただし、いずれの改変体についても、CDRにおけるアミノ酸配列の改変は有しない(各CDRは、改変前の抗体と同一のアミノ酸配列を有する)ものである。すなわち、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域の改変体ポリペプチドにおいては、配列番号14のアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号15のアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号16のアミノ酸配列からなるCDR3においては、配列上の改変を有しないものとする。同様に、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域の改変体ポリペプチドにおいては、配列番号17のアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号18のアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号19のアミノ酸配列からなるCDR3においては、配列上の改変を有しないものとする。配列番号28に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域の改変体ポリペプチド、配列番号29に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域の改変体ポリペプチド、配列番号36に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域の改変体ポリペプチド、及び配列番号37に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域の改変体ポリペプチドにおいても同様である。
CDRの配列は、抗体のエピトープを決定する中心的な要素であることが広く知られている。本発明の抗体は、上記の配列上改変体であっても、重鎖及び軽鎖に含まれる合計6箇所のCDRは完全に保存されているので、改変前の抗MIS12複合体抗体と同じエピトープに対して特異的な結合能を有し、MIS12複合体の立体構造に対する特異的な結合能を維持することが合理的に推認できる。
抗体は、重鎖及び軽鎖それぞれの可変領域においてシグナル配列を有しないアミノ酸配列からなる、非分泌型の抗体として調製することも、重鎖及び軽鎖それぞれの可変領域においてシグナル配列を有するアミノ酸配列からなる、分泌型の抗体として調製することも可能である。
シグナル配列が除去された組換え体抗体は、当該組換え体抗体を発現する細胞から分泌されることなく、当該細胞内に蓄積するので、当該細胞から適宜分離、精製して利用できる。
シグナル配列を有する組換え体抗体は、当該組換え体抗体を発現する細胞から分泌されるので、当該細胞の培養上清などから適宜分離、精製して利用できる。シグナル配列は、抗体を産生する細胞において分泌シグナルとして機能する限り、どのような配列であっても良い。シグナル配列の非限定的な例として、MDPKGSLSWRILLFLSLAFELSYGLE(配列番号13)を挙げることができる。当該シグナル配列を重鎖及び軽鎖アミノ酸配列のN末端に配置することにより、抗体タンパク質を分泌型のタンパク質とすることができる。
本発明の抗体は、MIS12複合体との結合活性を有し、MIS12複合体の立体構造を特異的に認識することができれば、必ずしも免疫グロブリン分子全体の構造が維持されていなくてもよく、抗体の機能的断片(抗原結合性断片)であってもよい。抗体の抗原結合能は、抗体の可変部に支配されているので、免疫グロブリン分子のうち定常領域の部分は必ずしも存在しなくてもよい。従って、本発明の抗体の機能的断片としては、免疫グロブリン分子の可変部からなる断片である、Fab、Fab’、F(ab’)2、FabからVLを取り除いたFd、一本鎖Fvフラグメント(scFv)及びその二量体であるdiabodyを挙げることができる。あるいは、scFvからVLを取り除いた単一ドメイン抗体(sdAb)などを用いることができるが、抗体の機能性断片はこれらに限定されない。
抗体の機能性断片は、公知の手法により調製することができる。例えば、免疫グロブリン分子を酵素処理することにより断片化できる。免疫グロブリン分子をパパインにより分解することでFabが得られ、ペプシンにより分解することでF(ab’)2が得られ、F(ab’)2を還元処理することによりFab’が得られる。また、遺伝子工学的手法により、抗体の重鎖可変部(VH)と軽鎖可変部(VL)を可動性に富むリンカーペプチドで連結することによりscFvを作製することもできる。
本発明の抗体として、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を有する抗体、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号6に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を有する抗体、及び、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を揺する抗体は、いずれも、抗ヒトMIS12複合体ヒト配列抗体であって、当該抗体分子中の定常領域は、重鎖のものも、軽鎖のものもヒト配列を有する。よって、当該抗体の存在を免疫学的に検出する場合の一手段は、抗ヒトIg抗体(例えば、抗ヒトIgG抗体。)を利用することである。しかしながら、抗ヒトIg抗体、特に、二次抗体として利用するようなラベル化された抗ヒトIg抗体は、抗マウスIg抗体、抗ウサギIg抗体、抗ヤギIg抗体といった抗非ヒトIg抗体と比べて、市場における供給が乏しく、比較的入手困難である。また、抗ヒトIg抗体は、入手可能であるとしても、抗非ヒトIg抗体よりも高価であることが、利用における不都合となり得る。そこで、本発明の抗体の存在を容易かつ安価に免疫学的に検出できるように、本発明の抗体の少なくとも定常領域を、非ヒト動物由来の免疫グロブリンの定常領域配列とすることができる。
マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヒツジ、ヤギ、ロバ、ニワトリ、及びラクダといった非ヒト動物に由来する免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖定常領域のアミノ案配列は公知であり、そうしたアミノ酸配列をコードする核酸も当業者は容易に入手、又は作成することができる。それゆえ、本発明の抗体であって、抗MIS12複合体ヒト配列抗体については、少なくとも重鎖及び軽鎖可変領域を非ヒト動物由来の重鎖及び軽鎖可変領域とスワップすることにより、キメラ抗体とすること(非ヒト化すること)ができる。
また、非ヒト化抗体は、ヒト抗体のCDRを非ヒト抗体のCDRへ移植(CDRグラフト)することで調製可能である。その調製は、一般的な遺伝子組換え手法を適用して適宜実施することができる。例えば、抗ヒトMIS12ヒト抗体の各CDRと非ヒト抗体(例えばマウス抗体)のフレームワーク領域とを連結するアミノ酸配列をコードするように設計したDNA配列を、CDR及びFR両方の末端領域にオーバーラップする部分を有するように作製した複数のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCR法により合成すれば良い。
本発明の抗MIS12複合体抗体又はその機能性断片は、場合によりレポーター物質により標識化された状態で使用される。レポーター物質は、抗MIS12複合体抗体又はその機能性断片を所望の機能(MIS12複合体との結合活性を有し、MIS12複合体の立体構造を特異的に認識すること)が維持された状態でラベル化できるものであればどのようなものでも良い。例えば、ラベルであって、MIS12複合体の存在を定量的に測定することができるシグナルを発生することができる物質はより好ましい。例えば、放射性同位元素、金属微粒子、酵素、蛍光物質、及び発光物質を挙げることができる。レポーター物質として、放射性同位元素、蛍光物質、又は発光物質を用いた場合には、それらが発生する放射線、蛍光、又は発光をシグナルとして定量的に測定することができる。レポーター物質が酵素の場合には、適切な基質を作用させ、最終的に生成した色素、蛍光物質、又は発光物質に由来する色、蛍光、又は発光をシグナルとして測定する。放射性同位元素としては、3H、125Iなどが挙げられる。蛍光物質としては、GFP等の蛍光タンパク質、フルオレセイン及びその誘導体(例えば、FITC)、テトラメチルローダミン(TAMRA)及びその誘導体(例えば、TRITC)、Cy3、Cy5、Texas Red、フィコエリスリン(PE)、量子ドットなどが挙げられる。発光物質としては、ルミノール誘導体、アクリジニウム誘導体、エクオリン、ルテニウム錯体等が挙げられる。金属微粒子としては、金ナノ粒子や金と白金との合金からなるナノ粒子が挙げられる。酵素としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、β-ガラクトシダーゼ(β-GAL)、アルカリホスファターゼ(ALP)、グルコースオキシダーゼ(GOD)、ルシフェラーゼ、エクオリンなどが挙げられる。それぞれの酵素について、適切な基質と組み合わせて使用することにより、発光法、比色法、又は蛍光法による解析が可能となる。定量的な解析には、レポーター物質により標識化された本発明の抗体又はその機能性断片が好ましく用いられる。
本発明の抗MIS12複合体抗体又はその機能性断片は、場合により固体支持体に固定化された状態で使用される。固体支持体とは、抗体又はその機能性断片を所望の活性が維持された状態で固定化できるものであれば、どのような物質でも良い。抗体を用いた生物学的な解析に影響を与えない不活性な材質からなる物質が好ましい。例えば、マイクロプレート、ガラス製プレート、プラスチック製プレート、シリンジ、バイアル、カラム、磁性粒子、樹脂製マイクロビーズ、多孔性膜、多孔性担体、及びマイクロチップを例示することができる。マイクロプレート、シリンジ、バイアル、カラム及びマイクロチップは、いずれも不活性な樹脂製のものが好ましい。ガラス製であっても良い。固体支持体にストレプトアビジンを担持させ、抗体又はその機能性断片にはストレプトアビジン結合性ペプチド(例えば、配列番号1又は配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるペプチド)を含めることにより、ストレプトアビジンとストレプトアビジン結合性ペプチドとの親和性を利用して抗体又はその機能性断片を固体支持体に固定することもできる。
本発明の抗MIS12複合体抗体、又はその機能性断片は、MIS12複合体と結合し、MIS12複合体の立体構造を特異的に認識する能力を有することから、当該抗体、又はその機能性断片を含む組成物が提供できる。当該組成物は、MIS12複合体検出用試薬として提供できる。ここで、試薬に含まれる抗体又はその機能性断片は、上記(12)に記載されるようなレポーター物質により標識化されたものであっても良い。レポーター物質により標識化されたものであれば、二次抗体を用いることなく検出を行うことができる。別の態様として、試薬に含まれる抗体又はその機能性断片は、磁性微粒子のような固体支持体上に結合又は吸着されたものであっても良い。試薬中で溶液として本発明の抗MIS12複合体抗体又はその機能性断片が包含される場合、その濃度は目的や使用態様に応じて適宜決定できる。例えば、1ng/mL~10mg/mL、100ng/mL~1mg/mL、1μg/mL~300μg/mLの範囲で決定することが挙げられる。また、試薬は原液のまま使用しても良いが、目的に応じて10倍~10,000倍程度に希釈した状態でも好ましく使用される。溶媒は水又は緩衝液を適宜使用できる。当該組成物を試薬として含み、MIS12複合体を検出するためのキットを構築することもできる。試薬は、目的に応じて、更なる成分と共にキットの構成要素とされる。キットには、ポジティブコントロール用のMIS12複合体、標準試料としての濃度既知のMIS12複合体、二次抗体、酵素の基質、コファクター、補助成分、ネガティブコントロール用の非特異的蛋白質試料、緩衝液、保存料、希釈剤、使用説明書等の構成要素が適宜組み合わされる。さらに、ブロッキングや洗浄用の緩衝液等も適宜キットの構成要素として任意に追加できる。
シェーグレン症候群が疑われた9例の患者から、シェーグレン症候群の診断目的でバイオプシーを行い、小唾液腺の生検検体を得た。当該生検検体の一部を材料として、検体中に存在する形質細胞(抗体分泌細胞;ASC)をシングルセルで分離した。
具体的には、1mg/mlのコラゲナーゼを含むDMEM液体培地中で小唾液腺組織を機械的、及び酵素的に分解した。分解処理は、37℃で、5%CO2環境下で30分間行った。次いで、孔径40μmの細胞濾過フィルターを通した後、蛍光色素がコンジュゲートされた抗体(抗CD3抗体(APC/Cy7,UCHT1)、抗CD4抗体(PE/Cy7,SK3)、抗CD8抗体(BV510,RPA-T8)、抗CD19抗体(BV421,HIB19)、抗CD38抗体(FITC,HIT2)、及び抗CD326抗体(PE,9C4))、及び7-アミノアクチノマイシンD(7AAD,ベイバイオサイエンス社、神戸)で細胞を染色した。そして、7AAD-CD3-CD4-CD8-CD326-CD19+CD38highを指標として、フローサイトメーター(FACSAria III(BDバイオサイエンス社))で形質細胞の生細胞を分離した。
結果として、9例の患者由来の組織から合計352細胞がソートされた。
実施例1で分取したASC細胞を材料として、C1システム(Fluidigm)又はSmart-seq2を使用し、シングルセルcDNAライブラリーの構築した。C1システムは、マニュアルに従って適用した。また、Smart-seq2は、論文に公表された手順(Picelli S et al., Nat. Protocols (2014) vol. 9, pp. 171-181)に従った。
実施例2で調製したcDNAライブラリーを材料として、ライブラリー中に含まれるIgH遺伝子、Igλ遺伝子、及びIgκ遺伝子をPCR法で増幅させた。手法は、基本的に、論文に公表された手順(Tiller T et al., J. Immunol. Methods (2008) vol. 329, pp. 112-114)に従った。PCR増幅は、1stPCR及び2ndPCRの2段階、又は3rdPCRを含む3段階で行い、増幅産物を発現ベクターにクローニングした。重鎖用発現ベクターには、シグナルペプチド(配列番号13)をコードする塩基配列、及び、重鎖定常領域をコードする塩基配列が含まれる。また、軽鎖用発現ベクターには、シグナルペプチド(配列番号13)をコードする塩基配列が含まれる。一方、軽鎖λ定常領域又は軽鎖κ定常領域をコードする塩基配列は、PCR増幅産物中に含まれる。ベクター中のインサートDNAは配列決定が行われた。
当該実施例により、259細胞から抗体の配列が得られた(抗体の配列情報は、後記実施例12に開示される。)。
実施例3で得られた発現ベクターについて、Expi293 Expression System(Thermo)を用いてコトランスフェクションを行い、抗体のH鎖とL鎖を宿主細胞(HEK293細胞)中で同時発現させ、組換え体抗体を製造した。手順は製造者のマニュアルに従った。7日間の培養後、培養上清を回収し、Ab Capcher Mag(Protenova)を用いて抗体を精製した。
当該実施例の結果として、256細胞分に由来する精製組換え体抗体が得られた。抗体作成成功効率は約75%と非常に高率であった。
臨床検体に由来する抗体では、特に全身性エリテマトーデス(SLE)の様な自己免疫疾患では、複数の抗原に結合するpolyreactiveな抗体が含まれることが知られている。そこで、まず精製された抗体の中にpolyreactiveな抗体が含まれるか、LPS(Sigma)、インスリン(Invitrogen)、及びdsDNA(プラスミド)に対する反応を調べ、2つ以上に反応したものをpolyreactiveとして検討した。具体的には、これらの物質でコートしたマイクロタイタープレートを調製し、洗浄、ブロッキングの後に希釈した組換え体抗体と反応させた。反応後に洗浄し、HRPでコンジュゲートされた抗ヒトIgG抗体(Jackson)で反応させ、TMBを基質(TMB Substrate Set(BioLegend))としたELISA法を実施した。
結果、256種類の抗体の中で、LB20-34、LB20-80、及びLB24-9の3種類のみがpolyreactiveであり、その余の抗体は非特異的な結合が見られなかった。
次にそれらの抗体の反応性を抗SS-A52抗体、抗SS-A60抗体、抗SS-B抗体のELISA(ORGENTEC)を用いて調べた。さらに、立体構造を持ったタンパク質抗原との反応性を見るため、ビーズ上に固定した抗原タンパクに対する抗体の反応(Antigen-binding beads assay)も調べた。
当該実施例において、SS-A52及びSS-Bは、それぞれSBPタグ付きのリコンビナントタンパク質として調製し、使用した。また、SS-A60はビオチン化リコンビナントSS-A60(DIARECT社)を使用した。
ELISAとビーズの反応性ではビーズの方が反応性が高く、SS-BはELISAが陰性でもビーズ上のSS-Bには結合する抗体を6種認めた。また、SS-A60はELISAが陰性でもビーズ上のSS-A60には結合する抗体を15種認めた。ELISAとビーズでどちらかで反応性が認められたものを陽性とみなした。SS-A52はFcレセプターであり、立体構造を持つSS-A52には全ての抗体が結合するため、抗体の反応性の検討はできなかった。
SS-A52、SS-A60及びSS-Bのうち複数に結合する抗体は、最も抗体価が高いものとしてカウントした。Polyreactiveな抗体のうち2つは3種の抗原全部に結合したため、最も抗体価が高かった抗SS-B抗体とした。
作成した組換え体抗体の中に含まれる自己抗体のプロファイル、患者の血清において認められた自己抗体のプロファイルをまとめ、コホート中の患者のプロファイルと共に解析したところ、血清抗SS-A抗体陽性の患者のみから抗SS-A抗体が、血清抗SS-B抗体陽性の患者のみから抗SS-B抗体が検出された。この結果は既報と矛盾しない。平均すると、抗SS-A/SS-B抗体陽性患者の唾液腺中のASCのうち、27%が抗SS-A抗体/SS-B抗体を産生していた。
実施例1で用いた9例からなるコホートには、血清中の抗SS-A抗体/抗SS-B抗体陰性であるが、抗核抗体(ANA)陽性かつ抗セントロメア(ACA)抗体陽性(抗CENP-B抗体陽性)の患者が1名(患者ID;LB32)含まれていた。
SSの疾患標識抗体は抗SS-A抗体/抗SS-B抗体とされているが、一部のSS患者では血清中で抗セントロメア抗体(ACA)が陽性になる事が知られている。そこで、本発明者らはこの患者に着目し、ACAも唾液腺で作られているかを検討した。初めに代表的なACA抗原であり、ANA検査におけるACAと一致率も高い抗CENP-B抗体に関して検討した。まずELISAを用いて、LB32から得られた抗体がCENP-B(ORGENTEC)に反応するのかを調べたが、意外なことに、39個の抗体は全てCENP-Bに反応しなかった。念のため、臨床で用いられている別の製造業者のELISA(MBL)でも確認したが、同様に一つもCENP-Bと反応しなかった。
次にこれらの抗体が何に反応しているのかを調べるため、K562細胞溶解液及びLB32由来の組換え体抗体を用いて免疫沈降(IP)を行った。
その結果、39個の抗体の一つであるLB32-8抗体でIPを行い、次いでSDS-PAGE及銀染色を行ったところ、銀染色で複数のバンドが得られた(図1右パネル)。これらのバンドを分離し、質量分析法(LC-MS/MS,LTQ Orbitrap,Thermo Fisher Scientific)を用いてタンパク同定を行ったところ、DSN1、ZWINT、NSL1、PMF1、MIS12及びSPC24に由来するペプチド断片が検出された(図1)。これらは、いずれもKMNアッセンブリーを構成するタンパク質であって、KMNアッセンブリーはMIS12複合体、KNL1複合体、NDC80複合体の3つの複合体からなる事が知られている。DSN1、MIS12、NSL1及びPMF1はMIS12複合体の構成要素であり、ZWINTはKNL1複合体の構成要素であり、SPC24はNDC80複合体の構成要素である。前記質量分析法で同定されたタンパク質について検討すると、KNL1複合体及びNDC80複合体は、いずれも複合体の構成要素の一つのみが同定されたのに対し、MIS12複合体は4種類の全ての構成要素が同定されていた。
そこで、抗DSN1抗体(バイオアカデミア社、大阪)、抗MIS12抗体(Bethyl Laboratories)、及び抗MIS12複合体ウサギ抗体(ABE2585,Merck Millipore,Darmstadt)を用いて、前記IPで得られたサンプル、およびLB32由来の複数の抗体を用いて同様にIPして得られたサンプルについてウエスタンブロット解析を行った(図2)。
その結果、LB32由来の抗体のうち、LB32-8、LB32-9、LB32-10、LB32-14、LB32-17、LB32-19、LB32-20、LB32-21、及びLB32-32の10種類の抗体は、いずれもDSN1、NSL1、及びPMF1及びMIS12と特異的な反応性を示した(図2の上3段のパネル)。これにより、LB32の患者由来の生検サンプルには、MIS12複合体を内因性抗原とする自己抗体を分泌するASCが存在し、抗MIS12複合体抗体が陽性となっていると考えられた。これまで、自己免疫疾患におけるACAとして抗MIS12複合体抗体が報告されたことはなく、新規な抗セントロメア抗体が見出されたことになる。
実施例6に続いて、抗セントロメア抗体検査で陽性を示した患者(LB32)から得られた唾液腺の生検試料を用いて、自己抗体の免疫組織化学的検出を試みた。
生検組織からクライオスタットを用いて4μm厚の凍結切片を作成し、アセトンで固定した。続いてBSA入りのPBSでブロッキングした後、切片にCENP-A、CENP-B、CENP-C、MIS-12複合体、CBX5又は抗CD138マウス抗体を加え、インキュベートした(CENP-A、CENP-B、CENP-C、MIS-12複合体及びCBX-5は、いずれもSBP-GFPタグを融合させた組換え体タンパク質として調製し、使用した。)。洗浄後、Alexa Fluor594-結合抗マウスIgG抗体を加えてインキュベートし、次いで洗浄した。
CENP-A、CENP-B、CENP-C、MIS-12複合体、及びCBX5に対する自己抗体の存在をGFP蛍光により、CD138の存在をAlexa Fluor594由来の蛍光により、それぞれ検出を試みた。
その結果、抗CENP-A抗体、抗CENP-C抗体及び抗MIS-12複合体抗体の存在を示すGFPの蛍光シグナルは、組織中の同一の領域で認められた。また、当該領域には、抗体分泌細胞のマーカーであるCD138の存在も認められた(結果は図示せず)。これにより、自己免疫疾患患者又は自己免疫疾患疑い例の患者に由来する組織を試料とした免疫組織化学的試験により、抗MIS12複合体抗体、抗CENP-A抗体、抗CENP-C抗体といった自己抗体の発現を確認できることが明らかとなった。すなわち、MIS12複合体等が、自己免疫疾患の検出及び/又は分類用の検出剤として利用できることが確認された。
なお、上記LB32由来の唾液腺組織を用いた検出試験においては、抗CENP-B抗体及び抗CBX5抗体の存在を示す明確なシグナルは認められなかった。
前記実施例6を受けて、抗体の特異性に関する検討をさらに行った。組換え体タンパク質であるGFP(陰性対照)、SPC24、SPC25、ZWINT、NUF2、DSN1、NSL1、MIS12、及びPMF1をHEK293細胞中で発現させてビーズに結合し、それぞれをLB32-8抗体、LB32-9抗体又はLB32-20抗体と反応させ、フローサイトメトリーで解析した(図3)。また、LB32由来の抗体ではなく、抗ヒトIgG1抗体を用いた対照の解析も併せて行った(図3左端パネル)。その結果、SPC24、SPC25、ZWINT、及びNUF2は、いずれのLB32由来の抗体とも全く反応性を示さなかった(図3上パネル)。一方、DSN1、NSL1、MIS12、及びPMF1は、いずれも僅かな反応性を示した(図3下パネルの中央4段)。モノクローナル抗体であるLB32-8抗体、LB32-9抗体及びLB32-20抗体が、MIS12複合体の構成要素である4つのタンパク質のそれぞれと反応性を示すことは考えにくいので、組換え体タンパク質であるMIS12複合体の一構成要素が、宿主HEK293細胞の内生である他の三構成要素と共にMIS12複合体を構成しており、当該MIS12複合体がLB32-8抗体、LB32-9抗体及びLB32-20抗体と反応性を示す可能性が考えられた。そこで、MIS12複合体の全ての構成要素が同時発現するようにコトランスフェクションを行い、組換え体タンパク質によってMIS12複合体を発現させたところ、LB32-8抗体、LB32-9抗体及びLB32-20抗体との反応性は顕著に増大した(図3下パネル最下段)。これにより、LB32の患者由来の生検サンプルには、MIS12複合体を内因性抗原とする自己抗体を分泌するASCが存在し、抗MIS12複合体抗体が陽性となっていることが確認された。
さらに、LB32-9抗体、及びLB32-20抗体を用いて抗核抗体検査を行ったところ、いずれの抗体を用いた場合でもdiscrete speckled型で陽性反応が確認された(データは示さず)。
前記実施例の、フローサイトメトリーによる抗原-抗体特異性の解析をさらに行った。
MIS12複合体は、MIS12-PMF1からなるサブコンプレックスと、DSN1-NSL1からなるサブコンプレックスとで構成されることが知られている。そこで、MIS12とPMF1との組合せ、DSN1とNSL1との組合せ、又は全4構成要素の組合せが発現するよう、HEK293細胞にコトランスフェクションを行い、LB32由来の抗体との反応性を前記実施例と同様に解析した。
結果の一部を図4A及び図4Bに示す。図4Aに示されるように、DSN1-NSL1からなるサブコンプレックスと反応性を示す抗体(LB32-14)やMIS12-PMF1からなるサブコンプレックスと反応性を示す抗体(LB32-32)が見出された一方、MIS12複合体全体にのみ特異的な反応性を示し、いずれのサブコンプレックスとも実質的な反応性を示さなかった抗体(図4AにおいてLB32-8、図4BにおいてLB32-8、LB32-10、及びLB32-19)が見出された。
以上の結果から、複合体中の多様な部位を認識する多様な抗体が存在していることが明らかとなった。
様々なセントロメア関連タンパク質のそれぞれについて、当該セントロメア関連タンパク質に対する抗体が血清中に検出できるか、解析を行った。セントロメア関連タンパク質としては、MIS12複合体、CBX5、CENP-A、CENP-B、及びCENP-Cを対象とした。サンプルは、112名の乾燥症候群を示すSS疑い例(SS)、35名のSSc患者(SSc)、10名のPBC患者(PBC)、及び、44名のSS、SSc及びPBCの合併症(左記のうち2以上の疾患が合併している)患者(OL)、並びに、68名の健常者(HC)のコホートから得られた血清が使用された。抗原に対する反応性を、抗原結合ビーズアッセイで評価し、血清中にMIS12複合体、CBX5、CENP-A、CENP-B及びCENP-Cのそれぞれに特異的な抗体(IgG抗体)が存在するかどうか検査した。
MIS12複合体に関する結果を図5に示す。
図中の各プロットはコホート中の個々の患者の結果に対応し、図の下の数値は各コホート中でカットオフ値以上の反応性が認められた陽性率(%)を示す。
図5に示されるとおり、MIS12複合体に対して特異的な抗体の陽性率は、HCで0%、SSで19%、SScで54%、PBCで40%、OLで82%であった。MIS12複合体に対する自己抗体は、HCで全く認められない一方、discrete speckled型の抗核抗体陽性が特徴として知られる疾患であるSS、SSc及びPBCではいずれも検出された。また、合併症患者では特に高い率で自己抗体の存在が認められた。これにより、MIS12複合体に対する自己抗体陽性が、自己免疫疾患の新たな特徴点であることが示された。
一方、抗CBX5抗体の陽性率は、7%(HC)、45%(SS)、40%(SSc)、10%(PBC)、及び66%(OL)であり、抗CENP-A抗体の陽性率は、0%(HC)、18%(SS)、34%(SSc)、30%(PBC)、及び64%(OL)であり、抗CENP-B抗体の陽性率は、0%(HC)、13%(SS)、34%(SSc)、30%(PBC)、及び73%(OL)であり、抗CENP-C抗体の陽性率は、4%(HC)、17%(SS)、29%(SSc)、60%(PBC)、及び70%(OL)であった(結果はいずれも図示せず)。
抗核抗体検査、ELISA法による抗CENP-B抗体検査、及び抗原結合ビーズアッセイによる抗MIS12複合体抗体検査の間でどのぐらい結果が一致するか(裏返せば、検査結果間にどれ程の乖離が認められるか)解析を行った。
結果を図6(ベン図)に示す。
図中の数字は患者数を示す。最も多くのケース(57名)で3種類の検査結果は一致していたものの、21名の患者は抗MIS12複合体抗体検査でのみ陽性を示すことが明らかとなった。
以上の結果から、自己免疫疾患の検出において、MIS12複合体を内因性抗原とする抗MIS12複合体抗体の存否についての自己抗体検査を行うことが有用であることが示された。
実施例6に示される、MIS12複合体を認識する5種類の抗体(LB32-8、LB32-10、LB32-19、LB32-14及びLB32-32)のそれぞれについて、重鎖及び軽鎖の配列解析を行った。
結果を以下の表に示す。
Claims (19)
- MIS12複合体を含む、自己免疫疾患の診断及び/又は分類のための検出剤。
- タグが付加されたものである、請求項1に記載の検出剤。
- タグがオリゴペプチド、ポリペプチド、酵素、蛍光タンパク質、放射性同位元素、金属微粒子、磁性微粒子、蛍光物質、及び発光物質からなる群から選択されるものである、請求項2に記載の検出剤。
- 自己免疫疾患がシェーグレン症候群、全身性強皮症及び原発性胆汁性胆管炎からなる群から選択される自己免疫疾患である、請求項1~3のいずれか一に記載の検出剤。
- 生体由来の試料において、請求項1に記載の検出剤に結合する抗体が存在することを指標とする方法であって、前記生体由来の試料に対して請求項2又は3に記載のタグが付加された検出剤を接触させることを含み、自己免疫疾患の検出及び/又は分類のためのものである、方法。
- 生体由来の試料が体液である、請求項5に記載の方法。
- 生体由来の試料が生検組織である、請求項5に記載の方法。
- 自己免疫疾患がシェーグレン症候群、全身性強皮症及び原発性胆汁性胆管炎からなる群から選択される自己免疫疾患である、請求項5~7のいずれか一に記載の方法。
- 生体由来の試料が自己免疫疾患と診断された患者又は自己免疫疾患の疑い例と診断された患者に由来する生体試料である、請求項5~8のいずれか一に記載の方法。
- 生体由来の試料が、抗核抗体検査で陽性反応が認められた患者に由来する生体試料である、請求項5~9のいずれか一に記載の方法。
- 生体由来の試料が、抗核抗体検査でdiscrete speckled型の陽性反応が認められた患者に由来する生体試料である、請求項10に記載の方法。
- 生体由来の試料が、CENP-Bを用いた抗セントロメア抗体検査で陽性反応が認められた患者に由来する生体試料である、請求項5~11のいずれか一に記載の方法。
- 請求項1~4のいずれか一に記載の検出剤を含む組成物であって、自己免疫疾患の検出及び/又は分類用試薬である、組成物。
- 自己免疫疾患の検出及び/又は分類用試薬が、シェーグレン症候群、全身性強皮症及び原発性胆汁性胆管炎からなる群から選択される自己免疫疾患の検出及び/又は分類用試薬である、請求項13に記載の組成物。
- 請求項13又は14に記載の組成物を含むキットであって、自己免疫疾患の検出及び/又は分類のための、キット。
- 自己免疫疾患の検出及び/又は分類のためのキットが、シェーグレン症候群、全身性強皮症及び原発性胆汁性胆管炎からなる群から選択される自己免疫疾患の検出及び/又は分類のためのキットである、請求項15に記載のキット。
- 請求項1~4のいずれか一に記載の検出剤を含む組成物であって、MIS12複合体に対する自己抗体の検出用試薬、又はMIS12複合体に対する抗体を産生する細胞又は組織の検出用試薬である、組成物。
- 請求項17記載の組成物を含むキットであって、MIS12複合体に対する自己抗体の検出用の、キット。
- 請求項17記載の組成物を含むキットであって、MIS12複合体に対する抗体を産生する細胞又は組織の検出用の、キット。
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