JP7355323B2 - 計測制御装置、分光計測装置、及び計測制御方法 - Google Patents

計測制御装置、分光計測装置、及び計測制御方法 Download PDF

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Description

本開示は、計測制御装置、分光計測装置、及び計測制御方法に関する。
予め決められた特徴、又は、予め決められた特徴とは異なる特徴を有する特徴部位が計測対象物に存在するか否かの判定に利用可能な分光計測装置として、ラマン分光計測装置を始めとした様々な分光計測装置が知られている。このような分光計測装置として、例えば特許文献1には、特定の波長を有する励起光を計測対象物に照射することで当該計測対象物から放出される散乱光を検出し、検出された散乱光に含まれるラマン散乱光のスペクトル(ラマンスペクトル)を取得するラマン分光計測装置が開示されている。また、特許文献1には、紫外光、可視光、又は赤外光を計測対象物に照射し、照射された光から所定波長の光が当該計測対象物により吸収されて出力される出力光を検出し、検出された出力光の吸収スペクトルを取得する紫外、可視、又は赤外分光計測装置が開示されている。
これらの分光計測装置を利用して特徴部位が計測対象物に存在するか否かの判定を行う場合には、計測対象物上に多数の計測点を満遍なく設定し、これら全ての計測点において分光計測を行って分光データを取得した後に、取得された分光データに基づいて計測された計測点に特徴部位が存在しているか否かを判定することが考えられる。
特許第6288222号公報
しかし、上述した方法では、各計測点が特徴部位である確からしさを考慮せずに、計測対象物上に満遍なく設定された全ての計測点において網羅的に分光計測を行うため、計測回数が多くなりやすい。
そこで、本開示は、計測対象物に特徴部位が存在するか否かを判定するための計測回数を低減することができる計測制御装置、分光計測装置、及び計測制御方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る計測制御装置は、予め決められた特徴、又は、予め決められた特徴とは異なる特徴を有する特徴部位が計測対象物に存在するか否かを前記計測対象物の分光データに基づいて判定する計測制御装置であって、前記計測対象物を複数の区分領域に区分する区分領域区分部と、前記計測対象物上の計測点における前記分光データを取得する分光データ取得部と、前記分光データ取得部により取得された前記分光データに基づいて、当該分光データが取得された計測点が前記特徴部位である確からしさを示す指標値を取得し、取得された前記指標値を当該分光データが取得された計測点が含まれる前記区分領域と対応付ける指標値取得部と、複数の前記区分領域のそれぞれに対応付けられた、当該区分領域に前記特徴部位が含まれる確からしさを示すスコアの初期値を記憶するとともに、当該区分領域の新たな前記スコアが取得された場合に、当該新たな前記スコアを当該区分領域の最新の前記スコアとして記憶するスコア記憶部と、指標値取得部により取得された指標値に基づいて、計測すべき好ましさを表す好適度を複数の前記区分領域のそれぞれについて算出し、算出された前記好適度に基づいて、次に分光データを取得すべき前記区分領域である追試区分領域を決定する計測領域決定部と、前記スコア記憶部に記憶されている最新の前記スコアに基づいて、前記特徴部位が前記計測対象物に存在するか否かを判定する特徴部位存否判定部と、を備え、前記分光データ取得部は、前記計測領域決定部により決定された前記追試区分領域に含まれる計測点における前記分光データである追試分光データを取得し、前記指標値取得部は、前記分光データ取得部により取得された前記追試分光データに基づいて当該計測点における前記指標値である追試指標値を取得し、取得された前記追試指標値を当該計測点が含まれる前記追試区分領域と対応付け、前記スコア記憶部は、前記指標値取得部により取得された前記追試指標値に基づいて、当該追試指標値と対応付けられている前記追試区分領域の新たな前記スコアを算出し、算出された新たな前記スコアを当該追試区分領域の最新の前記スコアとして記憶し、計測領域決定部は、指標値取得部により取得された追試指標値に基づいて新たな好適度を算出し、前記特徴部位存否判定部は、前記スコア記憶部に記憶されている、少なくとも1つの前記区分領域の最新の前記スコアが、予め設定された第1基準を満たしていると判定される場合に、前記特徴部位が前記計測対象物に存在すると判定し、前記スコア記憶部に記憶されている、全ての前記区分領域のそれぞれの最新の前記スコアが、予め設定された第2基準を満たしていると判定される場合に、前記特徴部位が前記計測対象物に存在しないと判定する。
本開示の一態様に係る分光計測装置は、上述した計測制御装置と、計測領域決定部により決定された追試区分領域に含まれる計測点において分光計測を行って追試分光データを生成し、生成された追試分光データを計測制御装置に出力する分光計測部と、を備える。
本開示の一態様に係る計測制御方法は、予め決められた特徴、又は、予め決められた特徴とは異なる特徴を有する特徴部位が計測対象物に存在するか否かを前記計測対象物の分光データに基づいて判定する計測制御方法であって、前記計測対象物を複数の区分領域に区分する区分領域区分工程と、前記計測対象物上の計測点における前記分光データを取得する分光データ取得工程と、前記分光データ取得工程において取得された前記分光データに基づいて、当該分光データが取得された計測点が前記特徴部位である確からしさを示す指標値を取得し、取得された前記指標値を当該分光データが取得された計測点が含まれる前記区分領域と対応付ける指標値取得工程と、複数の前記区分領域のそれぞれに対応付けられた、当該区分領域に前記特徴部位が含まれる確からしさを示すスコアの初期値を記憶するとともに、当該区分領域の新たな前記スコアが取得された場合に、当該新たな前記スコアを当該区分領域の最新の前記スコアとして記憶するスコア記憶工程と、指標値取得工程において取得された指標値に基づいて、計測すべき好ましさを表す好適度を複数の前記区分領域のそれぞれについて算出し、算出された前記好適度に基づいて、次に分光データを取得すべき前記区分領域である追試区分領域を決定する計測領域決定工程と、記憶されている最新の前記スコアに基づいて、前記特徴部位が前記計測対象物に存在するか否かを判定する特徴部位存否判定工程と、を備え、前記分光データ取得工程においては、前記計測領域決定工程において決定された前記追試区分領域に含まれる計測点における前記分光データである追試分光データを取得し、前記指標値取得工程においては、前記分光データ取得工程において取得された前記追試分光データに基づいて当該計測点における前記指標値である追試指標値を取得し、取得された前記追試指標値を当該計測点が含まれる前記追試区分領域と対応付け、前記スコア記憶工程においては、前記指標値取得工程において取得された前記追試指標値に基づいて、当該追試指標値と対応付けられている前記追試区分領域の新たな前記スコアを算出し、算出された新たな前記スコアを当該追試区分領域の最新の前記スコアとして記憶し、計測領域決定工程においては、指標値取得工程において取得された追試指標値に基づいて新たな好適度を算出し、前記特徴部位存否判定工程においては、記憶されている、少なくとも1つの前記区分領域の最新の前記スコアが、予め設定された第1基準を満たしていると判定される場合に、前記特徴部位が前記計測対象物に存在すると判定し、記憶されている、全ての前記区分領域のそれぞれの最新の前記スコアが、予め設定された第2基準を満たしていると判定される場合に、前記特徴部位が前記計測対象物に存在しないと判定する。
この計測制御装置、分光計測装置、又は計測制御方法では、以下の処理が実行される。まず、複数の区分領域のそれぞれに対応付けられている、その時点までに取得された指標値(追試指標値)に基づいて、計測すべき好ましさを表す好適度が算出される。そして、算出された好適度に基づいて、次に分光データを取得すべき区分領域である追試区分領域が決定される。追試区分領域が決定されると、追試区分領域に含まれる計測点における分光データである追試分光データが取得され、取得された追試分光データに基づいて追試指標値が取得される。取得された追試指標値は、当該追試区分領域と対応付けられる。追試指標値が取得されると、当該追試指標値と対応付けられた追試区分領域の新たなスコアが当該追試指標値に基づいて算出され、記憶される。ここで、記憶されている最新のスコアに基づいて、特徴部位が計測対象物に存在するか否かが判定される。より具体的には、少なくとも1つの区分領域の最新のスコアが第1基準を満たしていると判定される場合に、特徴部位が計測対象物に存在すると判定される。例えば、少なくとも1つの区分領域において、特徴部位が存在する確からしさが十分に高いと判定されるような場合に、他の区分領域に含まれる計測点における分光データを網羅的に取得するまでもなく、特徴部位が計測対象物に存在すると判定することが可能となる。一方、全ての区分領域のそれぞれの最新のスコアが第2基準を満たしていると判定される場合に、特徴部位が計測対象物に存在しないと判定される。例えば、全ての区分領域において、特徴部位が存在する確からしさが十分に低いと判定されるような場合に、特徴部位が計測対象物に存在しないと判定することが可能となる。ところで、特徴部位が計測対象物に存在すると判定されず、且つ、特徴部位が計測対象物に存在しないと判定されない場合には、直近に取得された指標値(追試指標値)を含む、その時点までに取得された指標値(追試指標値)に基づいて新たな好適度が算出され、算出された新たな好適度に基づいて新たな追試区分領域が決定される。その後、特徴部位が計測対象物に存在すると判定されるまで、又は、特徴部位が計測対象物に存在しないと判定されるまで、上述した処理が繰り返される。以上により、実際に特徴部位が計測対象物に存在している場合には、特徴部位が含まれる確からしさがより高い可能性のある区分領域について優先的に分光計測を行うことができるため、少ない計測回数で特徴部位が検出される。また、実際には特徴部位が計測対象物に存在していない場合であっても、特徴部位が含まれる確からしさが十分に低い可能性のある区分領域について分光計測を行うことを早期に中止することができるため、特徴部位が存在しないことが少ない計測回数で確認される。よって、この計測制御装置、分光計測装置、又は計測制御方法によれば、計測対象物に特徴部位が存在するか否かを判定するための計測回数を低減することが可能となる。
本開示の一態様に係る計測制御装置では、第1基準は、スコア記憶部に記憶されている最新のスコアの信頼下界が、予め設定された第1閾値よりも大きいことであってもよい。これによれば、区分領域に特徴部位が存在する確からしさが十分に高いか否かを精度良く判定することができるため、特徴部位が計測対象物に存在すると適切に判定することが可能となる。
本開示の一態様に係る計測制御装置では、第2基準は、スコア記憶部に記憶されている最新のスコアの信頼上界が、予め設定された第2閾値よりも小さいことであってもよい。これによれば、区分領域に特徴部位が存在する確からしさが十分に低いか否かを精度良く判定することができるため、特徴部位が計測対象物に存在しないと適切に判定することが可能となる。
本開示の一態様に係る計測制御装置では、計測領域決定部は、スコア記憶部に記憶されている最新のスコアに基づいて好適度を算出してもよい。これによれば、この計測制御装置の作用及び効果を具体的に実現することができる。
本開示の一態様に係る計測制御装置では、指標値取得部は、訓練データにより予め学習させた予測器を用いて、分光データに基づいて指標値を取得してもよい。これによれば、計測点が特徴部位である確からしさを精度良く示す指標値を取得することができる。
本開示の一態様に係る計測制御装置では、予測器は、分光データに基づいて出力値をそれぞれ出力する複数の下位予測器を有し、複数の下位予測器により出力された複数の出力値に基づいて指標値を出力してもよい。これによれば、アンサンブル学習により得られた予測器を用いることで、計測点が特徴部位である確からしさを一層精度良く示す指標値を取得することができる。
本開示の一態様に係る計測制御装置では、予測器は、ランダムフォレストであってもよい。これによれば、アンサンブル学習により得られる予測器としてランダムフォレストを用いることで、この計測制御装置の作用及び効果を具体的に実現することができる。
本開示の一態様に係る計測制御装置では、分光データ取得部は、計測領域決定部により追試区分領域が決定される度に、当該追試区分領域に含まれる1つの計測点における追試分光データを取得してもよい。これによれば、1つの計測点における追試分光データを取得する度に、特徴部位が計測対象物に存在するか否かを判定するとともに新たな追試区分領域を決定することができる。このため、この計測制御装置によれば、計測対象物に特徴部位が存在するか否かを判定するために励起光を計測対象物に照射する照射数を低減することができる。
本開示の一態様に係る計測制御装置では、分光データ取得部は、計測領域決定部により追試区分領域が決定される度に、当該追試区分領域に含まれる複数の計測点のそれぞれにおける追試分光データを取得してもよい。これによれば、1回の計測につき複数の計測点における追試分光データが取得される。このため、この計測制御装置によれば、計測対象物に特徴部位が存在するか否かを判定するための計測時間を低減することが可能となる。
本開示の一態様に係る計測制御装置では、計測領域決定部は、算出された好適度が最も高い1つの区分領域を追試区分領域に決定してもよい。これによれば、好適度が最も高い区分領域以外の区分領域に励起光を照射しないため、計測対象物に特徴部位が存在するか否かを判定するために励起光を計測対象物に照射する照射数を低減することができる。
本開示の一態様に係る計測制御装置では、計測領域決定部は、算出された好適度が最も高い区分領域を少なくとも含む複数の区分領域を追試区分領域に決定してもよい。これによれば、1回の計測につき複数の計測点における追試分光データが取得される。このため、この計測制御装置によれば、計測対象物に特徴部位が存在するか否かを判定するための計測時間を低減することが可能となる。
本開示の一態様に係る計測制御装置では、分光データは、ラマンスペクトルであってもよい。これによれば、1回の計測に特に長時間を要するラマン分光計測において、計測対象物に特徴部位が存在するか否かを判定するための計測回数を低減することで、計測時間を低減することが可能となる。
本開示の種々の態様によれば、計測対象物に特徴部位が存在するか否かを判定するための計測回数を低減することが可能となる。
図1は、本実施形態に係る分光計測装置を示す図である。 図2は、分光計測装置を示すブロック図である。 図3は、複数の区分領域に区分された計測対象物を模式的に示す図である。 図4は、計測制御方法を示すフローチャートである。 図5は、第1変形例に係る分光計測装置を示す図である。 図6は、第2変形例に係る分光計測装置を示す図である。
以下、図面を参照して、例示的な実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[分光計測装置の構成]
図1は、本実施形態に係る分光計測装置1を示す図である。図2は、分光計測装置1を示すブロック図である。図3は、複数の区分領域Rに区分された計測対象物Sを模式的に示す図である。図1~図3に示されるように、分光計測装置1は、顕微ラマン分光装置である。分光計測装置1は、計測対象物S上の計測点Pにおいてラマン分光計測(分光計測)を行い、計測結果に基づいて特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かを判定する。
より具体的には、分光計測装置1は、計測対象物S上の計測点Pにレーザ光等の励起光を照射し、当該励起光の照射に応じて放出される散乱光の波長を観測する。散乱光には、励起光と同一の波長を有するレイリー散乱光、及び、計測点Pの分子構造又は結晶構造等に応じた波長を有するラマン散乱光が含まれる。分光計測装置1は、計測点Pにおける散乱光のスペクトルであるラマンスペクトル(分光データ)を取得し、取得したラマンスペクトルに基づいて、特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かを判定する。
計測対象物Sは、例えばシリコン基板等の半導体材料、錠剤等の薬剤であるが、ラマン分光計測の対象となり得るものであれば特に限定されない。特徴部位Mは、計測対象物Sにおいて予め決められた特徴を有する部位である。特徴部位Mは、例えば結晶構造に欠陥が存在する部位であるが、当該特徴部位Mにおけるラマンスペクトルが特徴部位M以外の部位におけるラマンスペクトルと相違する部位であれば特に限定されない。
分光計測装置1は、分光計測部10及び計測制御装置20を具備している。分光計測部10は、ラマン分光計測を行う測定系である。分光計測部10は、計測対象物S上の計測点Pにおいてラマン分光計測を行ってラマンスペクトルを生成し、生成されたラマンスペクトルを計測制御装置20に出力する。分光計測部10は、1回のラマン分光計測につき1つの計測点Pにおけるラマンスペクトルを生成する。
分光計測部10は、光源11、光学フィルタ12、対物レンズ13、XYZステージ14、分光器15、及び光検出器16を備えている。
光源11は、所定の単波長を有する励起光を出力する。光源11は、例えばレーザ光源である。光源11は、固体レーザであってもよい。光源11により出力された励起光は、光学フィルタ12に入射する。
光学フィルタ12は、光源11側から入射した励起光を対物レンズ13側に通す。また、光学フィルタ12は、後述するように対物レンズ13側から入射した散乱光を、レイリー散乱光を減衰させて分光器15側に通す。光学フィルタ12は、誘電体材料からなる光学薄膜が積層されて構成されていてもよい。
対物レンズ13は、光学フィルタ12側から入射した励起光を、XYZステージ14上に載置された計測対象物Sに集光して照射する。このとき、XYZステージ14が動作することで、集光された励起光が計測対象物S上の所望の計測点Pに照射されるように計測対象物Sの位置が調整される。励起光が計測対象物S上の計測点Pに照射されると、当該励起光の入射に応じてレイリー散乱光及びラマン散乱光を含む散乱光が放出される。放出された散乱光は、対物レンズ13を経て光学フィルタ12に入射する。
光学フィルタ12に入射した散乱光は、光学フィルタ12によりレイリー散乱光を減衰させられて、分光器15に入射する。分光器15は、散乱光を分光して光検出器16に入射させる光学素子である。分光器15は、例えば回折格子を有していてもよく、具体的にはポリクロメータであってもよい。
光検出器16は、分光された散乱光を検出してラマンスペクトルを生成する。光検出器16は、例えばCCD検出器であってもよく、特に冷却CCD検出器であってもよい。光検出器16は、生成したラマンスペクトルを計測制御装置20に出力する。
計測制御装置20は、特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かを、分光計測部10から入力された計測対象物Sのラマンスペクトルに基づいて判定する制御装置である。計測制御装置20は、より少ないラマン分光計測の計測回数で特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かを判定可能となるように、分光計測部10が次にラマン分光計測を行ってラマンスペクトルを生成すべき計測対象物S上の領域を選定して、選定された計測対象物S上の領域を分光計測部10に計測させる。
計測制御装置20は、装置を統括的に制御する計測制御ECU[Electronic Control Unit]20aを備えている。計測制御ECU20aは、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read OnlyMemory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットであり、例えばコンピュータとして構成されている。計測制御ECU20aは、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより、計測制御処理に関する各機能を実現する。計測制御ECU20aは、複数のECUにより構成されていてもよい。計測制御ECU20aの機能の少なくとも一部は、分光計測部10に対して通信可能なサーバで実行されてもよい。
計測制御ECU20aは、区分領域区分部21、分光データ取得部22、指標値取得部23、スコア記憶部24、計測領域決定部25、及び特徴部位存否判定部26を備えている。
区分領域区分部21は、計測対象物Sを複数の区分領域Rに区分する。「複数の区分領域Rに区分する」とは、計測対象物Sに仮想的な境界を設定することを意味している。区分領域区分部21は、計測対象物Sを、漏れなく且つ重複なく、複数の区分領域Rに区分する。図中では、区分領域区分部21は、計測対象物Sを格子状の複数の区分領域Rに区分しているが、複数の区分領域Rの形状については特に限定されない。また、1つの区分領域Rが互いに離間する複数の領域によって構成されていてもよい。なお、ここでは、区分領域区分部21は、計測対象物Sが存在していない領域も含めて、分光計測部10によりラマン分光計測を行うことができる領域全体を複数の区分領域Rに区分している。区分領域区分部21は、予め計測対象物Sが存在している領域が判明している場合には、当該領域のみを複数の区分領域Rに区分してもよい。
分光データ取得部22は、計測対象物S上の計測点Pにおけるラマンスペクトルを取得する。分光データ取得部22は、分光計測部10により生成された計測対象物S上の計測点Pにおけるラマンスペクトルを、分光計測部10から入力されることで取得する。
また、分光データ取得部22は、後述するように計測領域決定部25により追試区分領域Rnが決定された場合に、当該追試区分領域Rnに含まれる計測点Pにおけるラマンスペクトルである追試ラマンスペクトル(追試分光データ)を取得する。より詳細には、分光データ取得部22は、計測領域決定部25により追試区分領域Rnが決定される度に、当該追試区分領域Rnに含まれる1つの計測点Pにおける追試ラマンスペクトルを取得する。
指標値取得部23は、分光データ取得部22により取得されたラマンスペクトルに基づいて指標値を取得する。「指標値」とは、ラマンスペクトルが取得された計測点Pが特徴部位Mである確からしさを示す値である。指標値取得部23は、取得された指標値を当該ラマンスペクトルが取得された計測点Pが含まれる区分領域Rと対応付ける。
また、指標値取得部23は、後述するように計測領域決定部25により追試区分領域Rnが決定された場合に、分光データ取得部22により取得された追試ラマンスペクトルに基づいて、当該計測点Pにおける指標値である追試指標値を取得する。指標値取得部23は、取得された追試指標値を当該計測点Pが含まれる追試区分領域Rnと対応付ける。
指標値取得部23は、訓練データにより予め学習させた予測器を用いて、分光データ取得部22により取得されたラマンスペクトルに基づいて指標値を取得する。指標値取得部23により用いられる予測器は、ラマンスペクトルに基づいて出力値をそれぞれ出力する複数の下位予測器を有し、これらの複数の下位予測器により出力された複数の出力値に基づいて指標値を出力する。つまり、指標値取得部23により用いられる予測器は、アンサンブル学習により得られる。予測器は、アンサンブル学習の学習結果に基づいて、入力されたラマンスペクトルに応じた指標値を出力する。
指標値取得部23により用いられる予測器は、例えばランダムフォレストであり、下位予測器は、例えば決定木である。指標値は、具体的に以下のように算出される。まず、特徴部位Mにおける複数のラマンスペクトル、及び、特徴部位M以外の部位における複数のラマンスペクトルを訓練データとして用いて、複数(ここではm個)の決定木を有するランダムフォレストを予め学習させておく。これにより、入力データ(ラマンスペクトル)に対して、i番目の決定木の出力値としてy=0(計測点が特徴部位M)又はy=1(計測点が特徴部位M以外の部位)(i=1,2,…,m)が出力される。そして、これらの出力値yに基づいて、下記の式(1)に示される指標値Yが取得される。
Figure 0007355323000001
スコア記憶部24は、各区分領域Rに対応付けられたスコアを記憶する。「スコア」とは、当該区分領域Rに特徴部位Mが含まれる確からしさを示す値である。ここでは、スコアは、以下のような値である。例えば、スコアは0以上1以下の値であり、ある区分領域Rに対応付けられたスコアが1に近づくほど、当該区分領域Rに特徴部位Mが含まれる可能性が高くなる。また、ある区分領域Rに対応付けられたスコア0に近づくほど、当該区分領域Rに特徴部位Mが含まれる可能性が低くなる。スコア記憶部24は、初期条件として、各区分領域Rに対応付けられたスコアの初期値を記憶する。スコア記憶部24は、スコアの初期値として、全ての区分領域Rについて同一のスコアを記憶している。一例として、スコアの初期値は下記の式(2)で表される値である。ある区分領域Rに対応付けられたスコアが初期値と同一の値である場合には、当該区分領域Rに特徴部位Mが含まれる可能性と含まれない可能性とが同等である。
Figure 0007355323000002
また、スコア記憶部24は、後述するように計測領域決定部25により追試区分領域Rnが決定された場合に、指標値取得部23により取得された追試指標値に基づいて、当該追試指標値と対応付けられている追試区分領域Rnの新たなスコアを算出する。例えば、スコア記憶部24は、指標値取得部23により各追試区分領域Rnと対応付けられて記憶されている、これまでに取得された全ての追試指標値に基づいて、当該追試区分領域Rnの新たなスコアを算出する。スコア記憶部24は、このように区分領域R(追試区分領域Rn)の新たなスコアが取得された場合に、算出された当該新たなスコアを当該区分領域R(追試区分領域Rn)の最新のスコアとして記憶する。ここで、スコアは、一例として下記の式(3)で表される。スコアが下記の式(3)のように表される場合、スコアを逐次更新する(すなわち、前回のスコアに新たな指標値を加味して新たなスコアを取得する)こととなるため、指標値を記憶しておく必要がない。
Figure 0007355323000003
計測領域決定部25は、指標値取得部23により取得された指標値に基づいて、好適度を各区分領域Rについて算出する。計測領域決定部25は、その時点までに取得された1又は複数の指標値に基づいて好適度を算出する。「好適度」とは、各区分領域Rでの、計測すべき好ましさを表す値を意味する。より詳細には、好適度は、計測対象物Sに特徴部位Mが存在するか否かを判定するための計測回数を低減する観点で、各区分領域Rに含まれる計測点Pにおいて次にラマンスペクトルを取得することの好ましさの程度を表す値である。好適度は、各区分領域Rに特徴部位Mが含まれる確からしさがより高い可能性を示す指標である。なお、ここでは、計測領域決定部25は、指標値取得部23により取得された指標値に基づいてスコア記憶部24により算出され記憶されている最新のスコアに基づいて、好適度を各区分領域Rについて算出する。好適度が高い区分領域Rとは、例えば、当該区分領域Rに含まれる計測点Pにおいてラマンスペクトルを取得することで、好適度が低い区分領域Rに含まれる計測点Pにおいてラマンスペクトルを取得する場合と比較して、より少ない計測回数で、特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かを判定可能となる区分領域Rであってもよい。ここで、好適度は、一例として下記の式(4)で表される。なお、θは、第1閾値を表す。θは、第2閾値を表す。
Figure 0007355323000004
また、計測領域決定部25は、後述するように計測領域決定部25により追試区分領域Rnが決定された場合に、指標値取得部23により取得された追試指標値に基づいて新たな好適度を算出する。
計測領域決定部25は、算出された好適度に基づいて、追試区分領域Rnを決定する。「追試区分領域Rn」とは、次にラマンスペクトルを取得すべき区分領域Rを意味する。より詳細には、追試区分領域Rnは、当該追試区分領域Rnに含まれる計測点Pにおいて分光計測部10により次にラマン分光計測が行われて追試ラマンスペクトルが生成され、生成された追試ラマンスペクトルが分光データ取得部22により取得されるべき区分領域Rである。ここでは、計測領域決定部25は、算出された好適度が最も高い1つの区分領域Rを追試区分領域Rnに決定する。
計測領域決定部25は、決定した追試区分領域Rnを分光計測部10に出力する。分光計測部10は、計測領域決定部25から追試区分領域Rnを入力されると、当該追試区分領域Rnに含まれる計測点Pにおいてラマン分光計測を行って追試ラマンスペクトルを生成し、生成された追試ラマンスペクトルを計測制御装置20に出力する。分光計測部10から計測制御装置20に入力された追試ラマンスペクトルは、分光データ取得部22により取得される。
特徴部位存否判定部26は、スコア記憶部24に記憶されている最新のスコアに基づいて、特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かを判定する。より具体的には、特徴部位存否判定部26は、スコア記憶部24に記憶されている、少なくとも1つの区分領域Rの最新のスコアが、予め設定された第1基準を満たしていると判定される場合に、特徴部位Mが計測対象物Sに存在すると判定する。
「第1基準」とは、ある区分領域Rに特徴部位Mが含まれると推定することができる程度に、当該区分領域Rに特徴部位Mが含まれる確からしさが高いことを意味する。より具体的には、第1基準は、スコア記憶部24に記憶されている最新のスコアの信頼下界が、予め設定された第1閾値よりも大きいことである。「信頼下界」とは、ある値の推定値が予め設定された確率で所定区間内に存在する場合における、当該所定区間の下限値を意味する。ここで、スコアの信頼下界は、下記の式(5)で表される。なお、Kは、区分領域Rの数を表す。δは、許容誤識別率を表す。eは、自然対数の底を表す。
Figure 0007355323000005
また、特徴部位存否判定部26は、スコア記憶部24に記憶されている、全ての区分領域Rのそれぞれの最新のスコアが、予め設定された第2基準を満たしていると判定される場合に、特徴部位Mが計測対象物Sに存在しないと判定する。
「第2基準」とは、ある区分領域Rに特徴部位Mが含まれないと推定することができる程度に、当該区分領域Rに特徴部位Mが含まれる確からしさが低いことを意味する。第2基準は、第1基準よりも、区分領域Rに特徴部位Mが含まれる確からしさが低い状況を表す基準である。より具体的には、第2基準は、スコア記憶部24に記憶されている最新のスコアの信頼上界が、予め設定された第2閾値よりも小さいことである。「信頼上界」とは、ある値の推定値が予め設定された確率で所定区間内に存在する場合における、当該所定区間の上限値を意味する。ここで、スコアの信頼上界は、下記の式(6)で表される。
Figure 0007355323000006
[計測制御処理]
特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かを計測対象物Sのラマンスペクトルに基づいて判定する計測制御方法について説明する。ここでは、具体的な一例として、上述した分光計測装置1を用いた計測制御処理について説明する。
図4は、計測制御方法を示すフローチャートである。図1~図4に示されるように、ステップS10において、分光計測装置1は、区分領域区分部21により、計測対象物Sを複数の区分領域Rに区分する(区分領域区分工程)。その後、分光計測装置1は、ステップS12に移行する。
ステップS12において、分光計測装置1は、スコア記憶部24により、各区分領域Rに対応付けられたスコアの初期値を記憶する(スコア記憶工程の一部)。ここでは、スコア記憶部24は、初期条件として、全ての区分領域Rについて同一のスコア(初期値)を記憶する。その後、分光計測装置1は、ステップS14に移行する。
ステップS14において、分光計測装置1は、計測領域決定部25により、指標値取得工程において取得された指標値に基づいて、好適度を各区分領域Rについて算出する。より詳細には、分光計測装置1は、後述するスコア記憶工程において指標値(追試指標値)に基づいて算出され、最新のスコアとして記憶されている新たなスコアに基づいて、好適度を各区分領域Rについて算出する。これにより、分光計測装置1は、計測領域決定部25により、スコア記憶部24に記憶されている最新のスコアに基づいて、好適度を各区分領域Rについて算出し、算出された好適度に基づいて、追試区分領域Rnを決定する。ここでは、分光計測装置1は、計測領域決定部25により、スコア記憶部24に記憶されている最新のスコアが最も高い区分領域Rを、追試区分領域Rnに決定する(計測領域決定工程)。
また、ここでは(すなわち、後述するステップS16以降を経ていない、フローチャートの一巡目においては)、スコア記憶部24に記憶されている最新のスコアは、全ての区分領域Rにおいて同一のスコア(初期値)に設定されている。したがって、計測領域決定部25は、全ての区分領域Rのうち1つの区分領域Rを任意に選択し、選択された区分領域Rを追試区分領域Rnに決定する。「任意に選択する」とは、全ての区分領域Rのうち1つの区分領域Rをランダムに選択することであってもよく、全ての区分領域Rのうち1つの区分領域Rを予め決められた基準に従って選択することであってもよい。その後、分光計測装置1は、ステップS16に移行する。
ステップS16において、分光計測装置1は、分光データ取得部22により、計測対象物S上の計測点Pにおけるラマンスペクトルを取得する(分光データ取得工程)。すなわち、分光データ取得部22は、計測領域決定工程において決定された追試区分領域Rnに含まれる計測点Pにおける追試ラマンスペクトルを取得する。ここでは、分光データ取得部22は、計測領域決定工程において決定された追試区分領域Rnに含まれる1つの計測点Pにおける追試ラマンスペクトルを取得する。計測点Pは、追試区分領域Rnにおける任意の点である。「任意の点」とは、追試区分領域Rnにおいてランダムに選択された点であってもよく、追試区分領域Rnにおいて予め決められた基準に従って選択された点であってもよい。
より詳細には、分光データ取得工程においては、計測領域決定部25が、決定した追試区分領域Rnを分光計測部10に出力し、分光計測部10が、当該追試区分領域Rnに含まれる任意の計測点Pにおいて分光計測を行って追試ラマンスペクトルを生成し、生成された追試ラマンスペクトルを計測制御装置20に出力してもよい。分光計測部10から計測制御装置20に入力された追試ラマンスペクトルは、分光データ取得部22により取得される。その後、分光計測装置1は、ステップS18に移行する。
ステップS18において、分光計測装置1は、指標値取得部23により、分光データ取得工程において取得されたラマンスペクトル(追試ラマンスペクトル)に基づいて、当該ラマンスペクトル(追試ラマンスペクトル)が取得された計測点Pが特徴部位Mである確からしさを示す指標値(追試指標値)を取得する(指標値取得工程の一部)。指標値取得工程においては、指標値取得部23は、訓練データにより予め学習させたランダムフォレストを用いて、分光データ取得工程において取得されたラマンスペクトル(追試ラマンスペクトル)に基づいて指標値(追試指標値)を取得してもよい。
また、ステップS18において、分光計測装置1は、指標値取得部23により、取得された指標値(追試指標値)を当該ラマンスペクトル(追試ラマンスペクトル)が取得された計測点Pが含まれる区分領域R(追試区分領域Rn)と対応付ける(指標値取得工程の一部)。その後、分光計測装置1は、ステップS20に移行する。
ステップS20において、分光計測装置1は、スコア記憶部24により、指標値取得工程において取得された追試指標値に基づいて、当該追試指標値と対応付けられている追試区分領域Rnの新たなスコアを算出することで、当該新たなスコアを取得する(スコア記憶工程の一部)。その後、分光計測装置1は、ステップS22に移行する。
ステップS22において、分光計測装置1は、スコア記憶部24により、各区分領域R(各追試区分領域Rn)の新たなスコアが取得された場合に、記憶しているスコアに代えて、算出された当該新たなスコアを当該区分領域R(追試区分領域Rn)の最新のスコアとして記憶する(スコア記憶工程の一部)。その後、分光計測装置1は、ステップS24に移行する。
ステップS24において、分光計測装置1は、特徴部位存否判定部26により、スコア記憶部24に記憶されている、少なくとも1つの区分領域Rの最新のスコアが、第1基準を満たしているか否かを判定する。少なくとも1つの区分領域Rの最新のスコアが第1基準を満たしていると判定される場合(ステップS24:YES)、分光計測装置1は、ステップS26に移行する(特徴部位存否判定工程の一部)。一方、いずれの区分領域Rの最新のスコアも第1基準を満たしていると判定されない場合(ステップS24:NO)、分光計測装置1は、ステップS28に移行する(特徴部位存否判定工程の一部)。
ステップS26において、分光計測装置1は、特徴部位存否判定部26により、特徴部位Mが計測対象物Sに存在すると判定する(特徴部位存否判定工程の一部)。以上により、分光計測装置1は、今回の計測制御処理を終了する。
ステップS28において、分光計測装置1は、特徴部位存否判定部26により、スコア記憶部24に記憶されている、全ての区分領域Rのそれぞれの最新のスコアが、第2基準を満たしているか否かを判定する。全ての区分領域Rのそれぞれの最新のスコアが第2基準を満たしていると判定される場合(ステップS28:YES)、分光計測装置1は、ステップS30に移行する(特徴部位存否判定工程の一部)。一方、少なくとも1つの区分領域Rの最新のスコアが第2基準を満たしていると判定されない場合(ステップS28:NO)、分光計測装置1は、ステップS14に戻る(特徴部位存否判定工程の一部)。
ステップS30において、分光計測装置1は、特徴部位存否判定部26により、特徴部位Mが計測対象物Sに存在しないと判定する(特徴部位存否判定工程の一部)。以上により、分光計測装置1は、今回の計測制御処理を終了する。
このように、ステップS24~ステップS30において、分光計測装置1は、特徴部位存否判定部26により、スコア記憶部24に記憶されている最新のスコアに基づいて、特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かを判定する(特徴部位存否判定工程)。
分光計測装置1は、ステップS26において特徴部位Mが計測対象物Sに存在すると判定するか、ステップS30において特徴部位Mが計測対象物Sに存在しないと判定するか、のいずれかの処理を行うまで、上記の各処理を繰り返す。換言すると、分光計測装置1は、計測領域決定部25により追試区分領域Rnが決定される度に、分光データ取得部22により当該追試区分領域Rnに含まれる1つの計測点Pにおける追試ラマンスペクトルを取得する。そして、分光計測装置1は、追試ラマンスペクトルが取得される度に、取得された追試ラマンスペクトルに少なくとも基づいて、特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かを判定する。
[作用及び効果]
以上説明したように、計測制御装置20、分光計測装置1、又は計測制御方法では、いわゆる多腕バンディット問題の方策を利用して、次にラマンスペクトルを取得すべき区分領域Rが決定される。これにより、例えば特徴部位Mが存在する確からしさがより高い可能性のある区分領域Rといった、計測すべき好ましさが高い区分領域Rにおいて優先的に(重点的に)ラマンスペクトルが取得されるため、計測対象物Sに特徴部位Mが存在するか否かを判定するための計測回数を低減することが可能となる。発明者らが行ったシミュレーションによれば、計測制御装置20、分光計測装置1、又は計測制御方法では、従来の分光計測装置を用いた場合と比較して、計測対象物Sに特徴部位Mが存在する場合における計測回数が5分の1回~200分の1回程度に低減され、計測対象物Sに特徴部位Mが存在しない場合における計測回数が13分の1回程度に低減されることが確認されている。
計測制御装置20、分光計測装置1、又は計測制御方法では、以下の処理が実行される。まず、複数の区分領域Rのそれぞれに対応付けられている、その時点までに取得された指標値(追試指標値)に基づいて、計測すべき好ましさを表す好適度が算出される。そして、算出された好適度に基づいて、次にラマンスペクトルを取得すべき区分領域Rである追試区分領域Rnが決定される。追試区分領域Rnが決定されると、追試区分領域Rnに含まれる計測点Pにおけるラマンスペクトルである追試ラマンスペクトルが取得され、取得された追試ラマンスペクトルに基づいて追試指標値が取得される。取得された追試指標値は、当該追試区分領域Rnと対応付けられる。追試指標値が取得されると、当該追試指標値と対応付けられた追試区分領域Rnの新たなスコアが当該追試指標値に基づいて算出され、記憶される。ここで、記憶されている最新のスコアに基づいて、特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かが判定される。より具体的には、少なくとも1つの区分領域Rの最新のスコアが第1基準を満たしていると判定される場合に、特徴部位Mが計測対象物Sに存在すると判定される。例えば、少なくとも1つの区分領域Rにおいて、特徴部位Mが存在する確からしさが十分に高いと判定されるような場合に、他の区分領域Rに含まれる計測点Pにおけるラマンスペクトルを網羅的に取得するまでもなく、特徴部位Mが計測対象物Sに存在すると判定することが可能となる。一方、全ての区分領域Rのそれぞれの最新のスコアが第2基準を満たしていると判定される場合に、特徴部位Mが計測対象物Sに存在しないと判定される。例えば、全ての区分領域Rにおいて、特徴部位Mが存在する確からしさが十分に低いと判定されるような場合に、特徴部位Mが計測対象物Sに存在しないと判定することが可能となる。ところで、特徴部位Mが計測対象物Sに存在すると判定されず、且つ、特徴部位Mが計測対象物Sに存在しないと判定されない場合には、直近に取得された指標値(追試指標値)を含む、その時点までに取得された指標値(追試指標値)に基づいて新たな好適度が算出され、算出された新たな好適度に基づいて新たな追試区分領域Rnが決定される。その後、特徴部位Mが計測対象物Sに存在すると判定されるまで、又は、特徴部位Mが計測対象物Sに存在しないと判定されるまで、上述した処理が繰り返される。以上により、実際に特徴部位Mが計測対象物Sに存在している場合には、特徴部位Mが含まれる確からしさがより高い可能性のある区分領域Rについて優先的に分光計測を行うことができるため、少ない計測回数で特徴部位Mが検出される。また、実際には特徴部位Mが計測対象物Sに存在していない場合であっても、特徴部位Mが含まれる確からしさが十分に低い可能性のある区分領域Rについて分光計測を行うことを早期に中止することができるため、特徴部位Mが存在しないことが少ない計測回数で確認される。よって、この計測制御装置20、分光計測装置1、又は計測制御方法によれば、計測対象物Sに特徴部位Mが存在するか否かを判定するための計測回数を低減することが可能となる。
計測制御装置20では、第1基準は、スコア記憶部24に記憶されている最新のスコアの信頼下界が、予め設定された第1閾値よりも大きいことである。これにより、区分領域Rに特徴部位Mが存在する確からしさが十分に高いか否かを精度良く判定することができるため、特徴部位Mが計測対象物Sに存在すると適切に判定することが可能となる。
計測制御装置20では、第2基準は、スコア記憶部24に記憶されている最新のスコアの信頼上界が、予め設定された第2閾値よりも小さいことである。これにより、区分領域Rに特徴部位Mが存在する確からしさが十分に低いか否かを精度良く判定することができるため、特徴部位Mが計測対象物Sに存在しないと適切に判定することが可能となる。
計測制御装置20では、計測領域決定部25は、スコア記憶部24に記憶されている最新のスコアに基づいて好適度を算出する。これにより、計測制御装置20の作用及び効果を具体的に実現することができる。
計測制御装置20では、指標値取得部23は、訓練データにより予め学習させた予測器を用いて、ラマンスペクトルに基づいて指標値を取得する。これにより、計測点Pが特徴部位Mである確からしさを精度良く示す指標値を取得することができる。
計測制御装置20では、予測器は、ラマンスペクトルに基づいて出力値をそれぞれ出力する複数の下位予測器を有し、複数の下位予測器により出力された複数の出力値に基づいて指標値を出力する。これにより、アンサンブル学習により得られた予測器を用いることで、計測点Pが特徴部位Mである確からしさを一層精度良く示す指標値を取得することができる。
計測制御装置20では、予測器は、ランダムフォレストである。これにより、アンサンブル学習により得られる予測器としてランダムフォレストを用いることで、この計測制御装置20の作用及び効果を具体的に実現することができる。
計測制御装置20では、分光データ取得部22は、計測領域決定部25により追試区分領域Rnが決定される度に、当該追試区分領域Rnに含まれる1つの計測点Pにおける追試ラマンスペクトルを取得する。これにより、1つの計測点Pにおける追試ラマンスペクトルを取得する度に、特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かを判定するとともに新たな追試区分領域Rnを決定することができる。このため、この計測制御装置20によれば、計測対象物Sに特徴部位Mが存在するか否かを判定するために励起光を計測対象物Sに照射する照射数を低減することができる。
計測制御装置20では、計測領域決定部25は、算出された好適度が最も高い1つの区分領域Rを追試区分領域Rnに決定する。これにより、好適度が最も高い区分領域R以外の区分領域Rに励起光を照射しないため、計測対象物Sに特徴部位Mが存在するか否かを判定するために励起光を計測対象物Sに照射する照射数を低減することができる。
計測制御装置20では、分光データは、ラマンスペクトルである。これにより、1回の計測に特に長時間を要するラマン分光計測において、計測対象物Sに特徴部位Mが存在するか否かを判定するための計測回数を低減することで、計測時間を低減することが可能となる。
[変形例]
上述した実施形態は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
例えば、計測対象物Sは、シリコン基板等の半導体材料、錠剤等の薬剤に限定されない。計測対象物Sは、例えば、燃料電池材料、カーボン材料、各種ポリマー、有機材料、生体分子(例えば、細胞、組織等)であってもよい。
また、特徴部位Mは、結晶構造における欠陥が存在する部位に限定されない。特徴部位Mは、例えば、種々の異常箇所、特定の細胞種又は細胞状態(活性、不活性、病変、分化、成長、薬剤応答、代謝等)を有する部位であってもよい。また、特徴部位Mは、上述した部位の他、材料の品質評価又は製造工程の管理を行うための指標となる特徴を有する各種の部位であってもよい。
また、分光計測部10は、対物レンズ13により集光された励起光が計測対象物S上の所望の計測点Pに照射されるように計測対象物Sと励起光との位置関係を調整するための機構として、XYZステージ14に代えて、走査ミラーを備えていてもよい。例えば、分光計測部10は、光学フィルタ12と対物レンズ13との間の光路上に走査ミラーを備えていてもよい。
また、計測制御装置20では、分光データ取得部22は、計測領域決定部25により追試区分領域Rnが決定される度に、当該追試区分領域Rnに含まれる複数の計測点Pのそれぞれにおける追試ラマンスペクトルを取得してもよい。これによれば、1回の計測につき複数の計測点Pにおける追試ラマンスペクトルが取得される。このため、この計測制御装置20によれば、計測対象物Sに特徴部位Mが存在するか否かを判定するための計測時間を低減することが可能となる。
なお、この場合、分光計測部10は、1回のラマン分光計測につき複数の計測点Pにおけるラマンスペクトルを生成してもよい。例えば、分光計測部10は、1回のラマン分光計測につき直線状に整列した複数の計測点Pにおける複数のラマンスペクトルを生成してもよく(ライン計測)、2次元状に配列された複数の計測点Pにおける複数のラマンスペクトルを生成してもよい(多焦点計測)。分光計測部10は、例えばビームスプリッタを用いることで、光源11からの励起光を複数に分割し、複数の計測点Pに照射させてもよい。
また、指標値は、当該ラマンスペクトルが取得された計測点Pが特徴部位Mである確からしさを示す値であれば、上記の式(1)に限定されない。
また、スコアは、区分領域Rに特徴部位Mが含まれる確からしさを示す値であれば、上記の式(3)に限定されない。例えば、スコアは、各区分領域Rにおける指標値の標本平均であってもよい。
或いは、スコアは、以下のような値であってもよい。すなわち、スコアは、正の数、0、及び負の数を含む値であってもよい。この場合、ある区分領域Rに対応付けられたスコアが0のときには、当該区分領域Rに特徴部位Mが含まれる可能性と含まれない可能性とが同等であってもよい。ある区分領域Rに対応付けられたスコアが正の値のときには、当該スコアの絶対値が大きいほど、当該区分領域Rに特徴部位Mが含まれる可能性が高くてもよい。ある区分領域Rに対応付けられたスコアが負の値のときには、当該スコアの絶対値が大きいほど、当該区分領域Rに特徴部位Mが含まれる可能性が低くてもよい。スコア記憶部24は、スコアの初期値として、全ての区分領域Rについて0を記憶していてもよい。
また、第1基準は、ある区分領域Rに特徴部位Mが含まれると推定することができる程度に、当該区分領域Rに特徴部位Mが含まれる確からしさが高いことであれば、上述したものに限定されない。また、指標値の信頼下界は、上記の式(5)に限定されない。
また、「スコア記憶部24に記憶されている、少なくとも1つの区分領域Rの最新のスコアが、予め設定された第1基準を満たしている」とは、「少なくとも1つの区分領域Rにおいて、特徴部位Mが含まれる確からしさが、予め設定されたレベル(第1レベル)よりも高い」、と換言されてもよい。
また、第2基準は、ある区分領域Rに特徴部位Mが含まれないと推定することができる程度に、当該区分領域Rに特徴部位Mが含まれる確からしさが低いことであれば、上述したものに限定されない。また、指標値の信頼上界は、上記の式(6)に限定されない。
また、「スコア記憶部24に記憶されている、全ての区分領域Rのそれぞれの最新のスコアが、予め設定された第2基準を満たしている」とは、「全ての区分領域Rにおいて、特徴部位Mが含まれる確からしさが、予め設定されたレベル(第2レベル)よりも低い」、と換言されてもよい。この場合、第2レベルとは、上述した第1レベルと比較して、区分領域Rに特徴部位Mが含まれる確からしさが低いレベルであってもよい。
また、指標値取得部23は、アンサンブル学習により得られるランダムフォレスト以外の予測器を用いて、ラマンスペクトルに基づいて指標値を取得してもよい。また、指標値取得部23は、アンサンブル学習ではない学習により得られる予測器を用いて、ラマンスペクトルに基づいて指標値を取得してもよい。つまり、指標値取得部23は、任意の機械学習の手段を用いて学習させた予測器(すなわち、任意の機械学習により得られる予測器)を用いて、ラマンスペクトルに基づいて指標値を取得してもよい。或いは、指標値取得部23は、機械学習の手段を用いずに、ラマンスペクトルに基づいて指標値を取得してもよい。つまり、指標値取得部23は、予測器を用いずに、ラマンスペクトルに基づいて指標値を取得してもよい。
また、指標値取得部23は、分光データ取得部22により取得されたラマンスペクトルに基づいて指標値を取得し、取得された指標値を当該ラマンスペクトルが取得された計測点Pが含まれる区分領域Rと対応付けるとともに、これらの対応付けられた指標値と区分領域Rとの全ての組合せを記憶してもよく、これらの対応付けられた指標値と区分領域Rとの組合せのうちの一部を記憶してもよい。
また、スコア記憶部24は、指標値取得部23により各追試区分領域Rnと対応付けられた全ての追試指標値から選択された特定追試指標値に基づいて、当該追試区分領域Rnの新たなスコアを算出してもよい。特定追試指標値は、例えば、指標値取得部23により各追試区分領域Rnと対応付けられた、これまでに取得された全ての追試指標値のうち、直近に取得された所定計測回数分の追試指標値であってもよい。或いは、特定追試指標値は、例えば、指標値取得部23により各追試区分領域Rnと対応付けられた、これまでに取得された全ての追試指標値のうち、例えば数値の信頼性が不十分である追試指標値が除外された追試指標値であってもよい。
また、計測領域決定部25は、指標値取得部23により取得された指標値に基づいて好適度を算出すればよく、必ずしも、指標値に基づいて算出されるスコアに基づいて好適度を算出しなくてもよい。この場合、好適度の算出方法をより柔軟に設定することが可能になる。
また、計測領域決定部25は、必ずしも、算出された好適度が最も高い1つの区分領域Rを追試区分領域Rnに決定することとしなくてもよい。例えば、計測領域決定部25は、算出された好適度が最も高い区分領域Rを少なくとも含む複数の区分領域Rのそれぞれを追試区分領域Rnに決定してもよい。これによれば、1回の計測につき複数の計測点Pにおける追試分光データが取得される。このため、計測制御装置20によれば、計測対象物Sに特徴部位Mが存在するか否かを判定するための計測時間を低減することが可能となる。なお、この場合、算出された好適度が最も高い区分領域Rを少なくとも含む複数の区分領域Rのそれぞれが追試区分領域Rnに決定されると、決定された各追試区分領域Rnにおいて1つずつの計測点Pにおける追試分光データが取得されてもよく、決定された複数の追試区分領域Rnのうち少なくとも1つの追試区分領域Rnにおいて、複数の計測点Pにおける追試分光データが取得されてもよい。
また、分光計測装置1は、顕微ラマン分光装置に限定されない。図5は、第1変形例に係る分光計測装置1Aを示す図である。図5に示されるように、分光計測装置1Aは、ラマン分光顕微鏡である。分光計測装置1Aは、分光計測部10Aにおいて分光計測装置1の分光計測部10と相違しており、その他の点においては分光計測装置1と同一である。分光計測部10Aは、分光計測部10と比較して、光学フィルタ12と対物レンズ13との間の光路上に走査ミラー17Aが設けられている。具体的に、走査ミラー17Aは、ガルバノミラーであってもよい。走査ミラー17Aによって励起光が計測対象物S上で走査されることにより、励起光が計測対象物S上の所望の計測点Pに照射される。なお、ここでは分光計測装置1AはXYZステージ14を備えているが、走査ミラー17により励起光を計測対象物S上で十分に走査可能であれば、分光計測装置1AはXYZステージ14を備えていなくてもよい。つまり、分光計測装置1Aは、XYZステージ14に代えて、計測対象物Sを載置するための固定式のステージを備えていてもよい。
また、分光計測装置1は、特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かの判定に利用可能な分光計測装置であればよく、ラマン分光計測装置に限定されない。図6は、第2変形例に係る分光計測装置1Bを示す図である。図6に示されるように、分光計測装置1Bは、紫外/可視吸光分光計測装置である。分光計測装置1Bは、計測対象物Sの計測点Pにおいて紫外/可視吸光分光計測(分光計測)を行い、計測結果に基づいて特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かを判定する。
より具体的には、分光計測装置1Bは、計測対象物Sの計測点Pに励起光を照射し、当該励起光が計測対象物Sを透過した透過光を観測する。計測対象物Sに照射された励起光は、計測点Pの分子構造又は結晶構造等に応じた波長の光が吸収されて、透過光として計測対象物Sから放出される。分光計測装置1Bは、計測点Pにおける透過光のスペクトルである吸収スペクトル(分光データ)を取得し、取得した吸収スペクトルに基づいて、特徴部位Mが計測対象物Sに存在するか否かを判定する。
分光計測装置1Bは、分光計測部10B及び計測制御装置20を具備している。分光計測部10Bは、紫外/可視吸光分光計測を行う測定系である。分光計測部10Bは、計測対象物Sの計測点Pにおいて紫外/可視吸光分光計測を行って吸収スペクトルを生成し、生成された吸収スペクトルを計測制御装置20に出力する。分光計測装置1Bの計測制御装置20は、分光計測装置1の計測制御装置20と同一である。
分光計測部10Bは、光源11B、XYZステージ14、分光器15B、及び光検出器16Bを備えている。光源11Bは、所定範囲の波長を有する励起光を出力する。具体的に、光源11Bは、重水素放電管又はタングステンランプ等であってもよい。光源11Bにより出力された励起光は、計測対象物Sの計測点Pに入射し、計測対象物Sを透過する際に計測点Pの分子構造又は結晶構造等に応じた波長の光が吸収される。XYZステージ14が動作することで、励起光が計測対象物S上の所望の計測点Pに照射されるように計測対象物Sの位置が調整される。計測対象物Sを透過した励起光は、透過光として分光器15Bに入射する。
分光器15Bは、透過光を分光して光検出器16Bに入射させる光学素子である。分光器15Bは、回折格子又はプリズムを有していてもよく、短波長のみ透過可能なフィルタを有していてもよい。
光検出器16Bは、分光された透過光を検出して吸収スペクトルを生成する。光検出器16Bは、例えば光電子増倍管であってもよい。光検出器16Bは、生成した吸収スペクトルを計測制御装置20に出力する。
このような紫外/可視吸光分光計測においては、計測対象物Sは、例えば、食品、各種有機材料、ポリマー、薬剤、燃料、マルチウェルプレート、DNA/RNAマイクロアレイ、チップ内に設置された試料であってもよい。特徴部位Mは、例えば、結晶構造における欠陥が存在する部位、特定の細胞種又は細胞状態(活性、不活性、病変、分化、成長、薬剤応答、代謝等)を有する部位であってもよい。また、特徴部位Mは、上述した部位の他、材料の品質評価を行うための指標となる特徴を有する各種の部位であってもよい。なお、計測対象物Sが、マルチウェルプレート、DNA/RNAマイクロアレイ、チップ内に設置された試料である場合には、当該計測対象物Sは、区分領域Rとしてウェル毎、スポット(エリア)毎に区分される。
また、分光計測装置1は、赤外/近赤外分光計測(分光計測)を行うための赤外/近赤外分光計測装置であってもよい。赤外/近赤外吸光分光計測においては、計測対象物Sは、上述した紫外/可視吸光分光計測における計測対象物Sと同様のものであってもよい。特徴部位Mは、上述した紫外/可視吸光分光計測における特徴部位Mと同様の部位であってもよい。
また、分光計測装置1は、蛍光分光計測(分光計測)を行うための蛍光分光計測装置であってもよい。蛍光分光計測においては、計測対象物Sは、例えば、特定の蛍光標識、薬剤、生体マーカ、たんぱく質、DNA、RNA、脂質であってもよい。特徴部位Mは、例えば、特定の生体分子が存在する部位、特定の細胞種又は細胞状態(活性、不活性、病変、分化、成長、薬剤応答、代謝等)を有する部位であってもよい。
また、分光計測装置1は、質量分析によりマススペクトル(分光データ)を取得するための質量分析装置であってもよい。質量分析においては、計測対象物Sは、例えば、食品、薬品、脂質、ペプチド、糖鎖、DNA、RNAであってもよい。特徴部位Mは、例えば、特定の細胞種又は細胞状態(活性、不活性、病変、分化、成長、薬剤応答、代謝等)を有する部位であってもよい。また、特徴部位Mは、上述した部位の他、食品分析を行うための指標となる特徴を有する各種の部位であってもよい。
また、特徴部位Mは、予め決められた特徴を有する部位でなくてもよく、予め決められた特徴とは異なる特徴を有する部位であってもよい。例えば、予め決められた特徴とは、計測対象物Sが有する特徴であってもよい。この場合、計測対象物Sとは異なる物質(異物)は予め決められた特徴とは異なる特徴を有することから、分光計測装置1は、計測対象物Sにおける異物検出を行うことができる。
1,1A,1B…分光計測装置、10,10A,10B…分光計測部、20…計測制御装置、21…区分領域区分部、22…分光データ取得部、23…指標値取得部、24…スコア記憶部、25…計測領域決定部、26…特徴部位存否判定部、M…特徴部位、P…計測点、R…区分領域、Rn…追試区分領域、S…計測対象物。

Claims (14)

  1. 予め決められた特徴、又は、予め決められた特徴とは異なる特徴を有する特徴部位が計測対象物に存在するか否かを前記計測対象物の分光データに基づいて判定する計測制御装置であって、
    前記計測対象物を複数の区分領域に区分する区分領域区分部と、
    分光データを取得すべき前記区分領域を決定する計測領域決定部と、
    前記計測領域決定部により決定された前記区分領域に含まれる前記計測対象物上の計測点における前記分光データを取得する分光データ取得部と、
    前記分光データ取得部により取得された前記分光データに基づいて、当該分光データが取得された計測点が前記特徴部位である確からしさを示す指標値を取得し、取得された前記指標値を当該分光データが取得された計測点が含まれる前記区分領域と対応付ける指標値取得部と、
    複数の前記区分領域のそれぞれに対応付けられた、当該区分領域に前記特徴部位が含まれる確からしさを示すスコアの初期値を記憶するとともに、前記指標値取得部により取得された前記指標値に基づいて、当該指標値と対応付けられている前記区分領域の新たな前記スコアを算出し、算出された新たな前記スコアを当該区分領域の最新の前記スコアとして記憶するスコア記憶部と、
    前記スコア記憶部に記憶されている最新の前記スコアに基づいて、前記特徴部位が前記計測対象物に存在するか否かを判定する特徴部位存否判定部と、
    を備え、
    前記特徴部位存否判定部は、
    前記スコア記憶部に記憶されている、少なくとも1つの前記区分領域の最新の前記スコアが、予め設定された第1基準を満たしていると判定される場合に、前記特徴部位が前記計測対象物に存在すると判定し、
    前記スコア記憶部に記憶されている、いずれの前記区分領域の最新の前記スコアも、前記第1基準を満たしておらず、且つ、前記スコア記憶部に記憶されている、全ての前記区分領域のそれぞれの最新の前記スコアが、予め設定された第2基準を満たしていると判定される場合に、前記特徴部位が前記計測対象物に存在しないと判定し、
    前記計測領域決定部は、
    前記特徴部位存否判定部により、前記スコア記憶部に記憶されている、いずれの前記区分領域の最新の前記スコアも、前記第1基準を満たしておらず、且つ、前記スコア記憶部に記憶されている、少なくとも1つの前記区分領域の最新の前記スコアが、前記第2基準を満たしていないと判定される場合に、前記スコア記憶部によって記憶されている複数の前記区分領域毎の前記最新のスコアに基づいて、計測すべき好ましさを表す好適度を複数の前記区分領域のそれぞれについて算出し、算出された前記好適度に基づいて、次に分光データを取得すべき前記区分領域を決定する、計測制御装置。
  2. 前記第1基準は、前記スコア記憶部に記憶されている最新の前記スコアの真値が予め設定された確率で含まれる推定区間の下限値である信頼下界が、予め設定された第1閾値よりも大きいことである、請求項1に記載の計測制御装置。
  3. 前記第2基準は、前記スコア記憶部に記憶されている最新の前記スコアの真値が予め設定された確率で含まれる推定区間の上限値である信頼上界が、予め設定された第2閾値よりも小さいことである、請求項1又は2に記載の計測制御装置。
  4. 前記計測領域決定部は、前記スコア記憶部に記憶されている最新の前記スコアに基づいて前記好適度を算出する、請求項1~3のいずれか一項に記載の計測制御装置。
  5. 前記指標値取得部は、訓練データにより予め学習させた予測器を用いて、前記分光データに基づいて前記指標値を取得する、請求項1~4のいずれか一項に記載の計測制御装置。
  6. 前記予測器は、
    前記分光データに基づいて出力値をそれぞれ出力する複数の下位予測器を有し、
    複数の前記下位予測器により出力された複数の前記出力値に基づいて前記指標値を出力する、請求項5に記載の計測制御装置。
  7. 前記予測器は、ランダムフォレストである、請求項6に記載の計測制御装置。
  8. 前記分光データ取得部は、前記計測領域決定部により分光データを取得すべき前記区分領域が決定される度に、当該区分領域に含まれる1つの計測点における前記分光データを取得する、請求項1~7のいずれか一項に記載の計測制御装置。
  9. 前記分光データ取得部は、前記計測領域決定部により分光データを取得すべき前記区分領域が決定される度に、当該区分領域に含まれる複数の計測点のそれぞれにおける前記分光データを取得する、請求項1~7のいずれか一項に記載の計測制御装置。
  10. 前記計測領域決定部は、算出された前記好適度が最も高い1つの前記区分領域を、分光データを取得すべき前記区分領域に決定する、請求項1~9のいずれか一項に記載の計測制御装置。
  11. 前記計測領域決定部は、算出された前記好適度が最も高い前記区分領域を少なくとも含む複数の前記区分領域を、分光データを取得すべき前記区分領域に決定する、請求項1~9のいずれか一項に記載の計測制御装置。
  12. 前記分光データは、ラマンスペクトルである、請求項1~11のいずれか一項に記載の計測制御装置。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載の計測制御装置と、
    前記計測領域決定部により決定された分光データを取得すべき前記区分領域に含まれる計測点において分光計測を行って前記分光データを生成し、生成された前記分光データを前記計測制御装置に出力する分光計測部と、を備える、分光計測装置。
  14. 予め決められた特徴、又は、予め決められた特徴とは異なる特徴を有する特徴部位が計測対象物に存在するか否かを前記計測対象物の分光データに基づいて判定する計測制御方法であって、
    前記計測対象物を複数の区分領域に区分する区分領域区分工程と、
    分光データを取得すべき前記区分領域を決定する計測領域決定工程と、
    前記計測領域決定工程において決定された前記区分領域に含まれる前記計測対象物上の計測点における前記分光データを取得する分光データ取得工程と、
    前記分光データ取得工程において取得された前記分光データに基づいて、当該分光データが取得された計測点が前記特徴部位である確からしさを示す指標値を取得し、取得された前記指標値を当該分光データが取得された計測点が含まれる前記区分領域と対応付ける指標値取得工程と、
    複数の前記区分領域のそれぞれに対応付けられた、当該区分領域に前記特徴部位が含まれる確からしさを示すスコアの初期値を記憶するとともに、前記指標値取得工程において取得された前記指標値に基づいて、当該指標値と対応付けられている前記区分領域の新たな前記スコアを算出し、算出された新たな前記スコアを当該区分領域の最新の前記スコアとして記憶するスコア記憶工程と、
    記憶されている最新の前記スコアに基づいて、前記特徴部位が前記計測対象物に存在するか否かを判定する特徴部位存否判定工程と、を備え、
    前記特徴部位存否判定工程においては、
    記憶されている、少なくとも1つの前記区分領域の最新の前記スコアが、予め設定された第1基準を満たしていると判定される場合に、前記特徴部位が前記計測対象物に存在すると判定し、
    記憶されている、いずれの前記区分領域の最新の前記スコアも、前記第1基準を満たしておらず、且つ、記憶されている、全ての前記区分領域のそれぞれの最新の前記スコアが、予め設定された第2基準を満たしていると判定される場合に、前記特徴部位が前記計測対象物に存在しないと判定し、
    前記計測領域決定工程においては、
    前記特徴部位存否判定工程において、記憶されている、いずれの前記区分領域の最新の前記スコアも、前記第1基準を満たしておらず、且つ、記憶されている、少なくとも1つの前記区分領域の最新の前記スコアが、前記第2基準を満たしていないと判定される場合に、記憶されている複数の前記区分領域毎の前記最新のスコアに基づいて、計測すべき好ましさを表す好適度を複数の前記区分領域のそれぞれについて算出し、算出された前記好適度に基づいて、次に分光データを取得すべき前記区分領域を決定する、計測制御方法。
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