JP7354776B2 - ガラスの製造方法及び板ガラスの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、PbOを含有するガラスの光透過性の低下を抑えることを可能にしたガラスの製造方法及び板ガラスの製造方法を提供することにある。
この方法によれば、PbOを含有するガラスの光透過性をより高めることが可能となり、かつガラスの生産性を確保することができる。
この方法によれば、例えば、溶融炉内に酸素を供給するための供給流路を別途設けずに、溶融炉内に酸素を供給することが可能となる。
この方法によれば、接触工程において、溶融炉内に供給する酸素によって酸化物系清澄剤の清澄効果を促進することができる。
上記のようにガラスの透過性を低下させる成分を多く含有する場合でも、ガラスの光透過性の低下を抑えることができる。
図1に示すように、ガラスGの製造には、ガラス原料を溶融させる溶融炉11が用いられる。ガラスGは、PbOを含有する。ガラスGは、ガラス組成として質量%で、PbO:50~80%を含有することが好ましく、より好ましくはPbO:55~80%である。このように、ガラス組成として質量%で、PbO:50%以上を含有するガラスは、放射線遮蔽能力が高く、放射線遮蔽ガラスとして好適に用いられる。
図2に示すように、板ガラスの製造方法は、溶融炉11内に酸素を供給することにより、溶融炉11内のPbOを含有するガラスGに酸素濃度が10体積%以上の気体を接触させる接触工程(ステップS1)を備えている。ステップS1の接触工程は、PbOを含有するガラスGの光透過性を高める。本実施形態のステップS1の接触工程は、酸化物系清澄剤の清澄効果を促進する。ステップS1の接触工程で用いる気体の酸素濃度は、12体積%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは14体積%以上である。
(試験例1)
試験例1では、溶融炉及び酸素燃焼式バーナーを用いて、ガラス組成として質量%で、PbO:56%を含有するガラスを得た。このガラスには、酸化物系清澄剤としてのSb2O3をガラス中において5000ppmの含有量となるように配合した。また、溶融炉内への酸素の供給には、酸素燃焼式バーナーを用いた。試験例1の溶融炉内に満たされる気体の酸素濃度は、10体積%以上である。また、溶融炉内のガラスの加熱温度を1000~1100℃とし、溶融炉内でガラス原料を溶融してから24時間後に溶融炉からガラスを取り出した。すなわち、上述した接触工程を24時間行うことで、PbOを含有するガラスを得た。続いて、得られたガラスから厚さ5mmの板ガラスのサンプルを成形した。得られたサンプル中におけるFe2O3の含有量は、55ppmであった。
試験例2では、酸素燃焼式バーナーを空気燃焼式バーナーに変更した以外は、試験例1と同様にガラスを得た。試験例2の溶融炉内に満たされる気体の酸素濃度は、5体積%以下である。次に、得られたガラスから厚さ5mmの板ガラスのサンプルを成形した。得られたサンプル中におけるFe2O3の含有量は、55ppmであった。
試験例1,2で得られた板ガラスのサンプルの光透過率を測定した。ここでいう光透過率は、全光線透過率であり、光透過率の測定に用いる光の波長は、550nm及び400nmである。
試験例2で得られた板ガラスの光透過率は、85.7%(550nm)及び73.9%(400nm)であった。
(泡数の算出)
試験例1,2で得られた板ガラス中の泡数をカウントし、板ガラス1kg当たりの泡数を算出した。
試験例2で得られた板ガラスの泡数は、50個/kgであった。
この結果から、試験例1のように接触工程を行うことで、ガラスの清澄性を高めることができることが分かる。
(1)PbOを含有するガラスGの製造方法は、溶融炉11内に酸素を供給することにより、PbOを含有するガラスGに酸素濃度が10体積%以上の気体を接触させる接触工程(ステップS1)を備えている。
(5)PbOを含有するガラスGが、5ppm以上のFe2O3をさらに含有する場合、ガラスGの光透過性が低下し易くなる。このようにガラスGの透過性を低下させる成分を多く含有する場合でも、ガラスGの光透過性の低下を抑えることができる。このため、鉄系の不純物を含有する比較的安価なガラス原料を使用することで、ガラスGの製造コストを抑えることが可能となる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・図3に示すように、溶融炉11内に酸素を供給する供給流路を別途設けることで、溶融炉11内に酸素を供給してもよい。この場合、溶融炉11内を加熱するバーナーとして、空気燃焼式バーナー13のみを用いてもよいし、空気燃焼式バーナー13と酸素燃焼式バーナーとを併用してもよい。この変更例において、酸素燃焼式バーナーを用いる場合、酸素燃焼式バーナーは、溶融炉11内に余剰の酸素を供給しないように燃料ガスを燃焼させるものであってもよい。
Claims (6)
- PbOを含有するガラスの製造方法であって、
溶融炉内に酸素を供給することにより、前記PbOを含有するガラスに酸素濃度が10体積%以上の気体を接触させる接触工程を備え、
前記接触工程では、前記溶融炉内を加熱する酸素燃焼式バーナーにより、前記溶融炉内に前記酸素を供給し、
前記酸素燃焼式バーナーで用いる燃料ガスに、93体積%以上の酸素濃度のガスを混合する、ガラスの製造方法。 - 前記接触工程を1時間以上、48時間以下の範囲内で行う、請求項1に記載のガラスの製造方法。
- 前記PbOを含有するガラスは、酸化物系清澄剤をさらに含有する、請求項1又は請求項2に記載のガラスの製造方法。
- 前記PbOを含有するガラスは、5ppm以上のFe2O3をさらに含有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガラスの製造方法。
- 前記PbOを含有するガラスは、質量%で50~80%のPbOを含有する放射線遮蔽ガラスであり、
前記放射線遮蔽ガラスは、5ppm以上のFe 2 O 3 と、100~20000ppmの酸化物系清澄剤とを含有する、請求項1又は請求項2に記載のガラスの製造方法。 - PbOを含有するガラスから得られる板ガラスの製造方法であって、
溶融炉内に酸素を供給することにより、前記PbOを含有するガラスに酸素濃度が10体積%以上の気体を接触させる接触工程と、
前記接触工程の後、前記ガラスを板状に成形する成形工程と、を備え、
前記接触工程では、前記溶融炉内を加熱する酸素燃焼式バーナーにより、前記溶融炉内に前記酸素を供給し、
前記酸素燃焼式バーナーで用いる燃料ガスに、93体積%以上の酸素濃度のガスを混合する、板ガラスの製造方法。
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