以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る航空標識灯を模式的に表す断面図である。
図2は、第1の実施形態に係る上部本体を模式的に表す斜視図である。
図1及び図2に表したように、航空標識灯2は、本体部10と、光源部20と、設置部30と、を備える。本体部10は、例えば、上部本体11と下部本体12とを有する。
航空標識灯2は、誘導路や滑走路などの路面RSに埋め込まれるように設置して使用される。航空標識灯2は、誘導路や滑走路の位置や形状などを灯りで航空機のパイロットに知らせる。これにより、航空標識灯2は、夜間や視界の悪いときなどに灯りによって航空機の運航を補助する。
なお、図1及び図2に例示をした航空標識灯2及び上部本体11は、例として提示したものであり、航空標識灯2の具体的な構成、及び上部本体11の具体的な構成を限定することは意図していない。航空標識灯2の具体的な構成、及び上部本体11の具体的な構成は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、例えば、構成要素の省略、置き換え、変更などを適宜行うことができる。
本体部10(上部本体11)は、少なくとも上方に略平坦な面を有し、例えば、中央領域13の上面13aを平坦面とすることができる。路面RSの正面視において視認できる態様であれば良く、例えば路面RSから突出していてもよいし、面一であってもよいし、一部または全部が路面RSよりも凹んでいてもよい。
上部本体11の外観は、例えば、略円板状である。上部本体11の中央領域13の厚みは、外周縁の厚みよりも厚くなっている。換言すれば、中央領域13の上面13aは、外周縁の上端よりも上側に位置する。中央領域13と外周縁との間の上面は、例えば、傾斜面である。傾斜面は、外周縁側になるに従い路面RSに近づく方向に傾斜している。これにより、航空標識灯2の上に航空機などが乗り上げた際に発生する衝撃を緩和することができる。
下部本体12は、上部本体11の下方に設けられる。下部本体12は、例えば、有底筒状であり、上部本体11とともに中空状の内部空間を形成する。上部本体11及び下部本体12には、例えば、アルミニウム合金などの金属材料が用いられる。換言すれば、本体部10は、金属製である。本体部10は、例えば、内部空間を有する金属製の外装筐体である。
本体部10は、投光窓14を有する。投光窓14は、例えば、金属製の本体部10に設けられた開口部を塞ぐように設けられる。投光窓14は、例えば、上部本体11に設けられる。投光窓14は、可視光域の光に対して光透過性を有する。投光窓14には、例えば、光学ガラスや光学プラスチックなどが用いられる。例えば、上部本体11に光透過性を有する材料を用いることにより、上部本体11自体を投光窓として用いてもよい。
光源部20は、本体部10の内部に設けられる。換言すれば、光源部20は、上部本体11と下部本体12とにより形成される内部空間内に設けられる。光源部20は、例えば、発光ダイオードなどの光学素子、または、ハロゲンランプなどの放電ランプなどの光源を有し、光源に電力を供給することによって光(可視光)を照射する。
光源部20は、本体部10の内部に設けられ、投光窓14を介して本体部10の外側に光を照射する。これにより、上記のように、誘導路や滑走路の位置や形状などを灯りで航空機のパイロットに知らせることができる。
このように、投光窓14は、光透過性を有しない金属製の上部本体11及び下部本体12の内部に光源部20を配置した場合にも、光源部20から照射された光を本体部10の外側に照射できるようにする。また、投光窓14は、例えば、本体部10に設けられた開口部を塞ぐことにより、開口部を介して水や塵埃などが本体部10の内部に侵入してしまうことを抑制する。投光窓14は、例えば、光源部20から照射された光を収束又は発散させるレンズである。但し、投光窓14は、必ずしも光学的な特性を有していなくてもよい。投光窓14は、例えば、開口部を塞ぐ平板状の部材でもよい。
設置部30は、空港の滑走路や誘導路などの路面RSに埋め込んで設置される。設置部30は、本体部10を着脱可能に支持する。例えば、航空標識灯2のメンテナンスを行った際に、光源部20の明るさなどに不具合が見つかった場合には、本体部10及び本体部10内の光源部20が設置部30から取り外され、本体部10及び光源部20の修理が行われる。この場合、設置部30には、修理後の本体部10及び光源部20を再び取り付けてもよいし、予め用意した予備の本体部10及び光源部20を取り付けてもよい。なお、設置部30は、例えば、空港側の設備としてもよい。この場合、設置部30は、省略可能である。設置部30は、航空標識灯2において、必要に応じて設けられ、省略可能である。
図3は、第1の実施形態に係る航空標識灯及びこれを用いた航空標識灯システムを模式的に表すブロック図である。
図3に表したように、航空標識灯システム100は、航空標識灯2と、電源装置110と、を備える。電源装置110は、航空標識灯2に入力電力を供給する。電源装置110は、例えば、空港の配電設備などが設けられた電気室102に設置される。但し、電源装置110を設置する位置は、電気室102に限ることなく、空港内の任意の位置でよい。
航空標識灯システム100は、例えば、誘導路や滑走路などに沿って並べて配置される複数の航空標識灯2を備える。電源装置110は、複数の航空標識灯2のそれぞれに入力電力を供給する。電源装置110は、例えば、交流電力を入力電力として航空標識灯2に供給する。
この際、空港においては、多数の航空標識灯2が設けられるとともに、送電距離が比較的長く、定電圧で制御しようとすると、電圧低下が発生し、複数の航空標識灯2のそれぞれに供給される入力電力が変動してしまう可能性がある。このため、電源装置110は、例えば、交流電流の最大値、平均値、及び実効値の少なくともいずれかが実質的に一定となるように、定電流制御を行う。電源装置110は、例えば、定電流電源装置である。これにより、複数の航空標識灯2のそれぞれに供給される入力電力の変動を抑制することができる。但し、電源装置110は、定電流電源装置に限定されるものではない。電源装置110は、例えば、定電圧電源装置などでもよい。また、電源装置110が航空標識灯2に供給する入力電力は、交流電力に限ることなく、直流電力などでもよい。
図3に表したように、航空標識灯2は、点灯回路40と、制御部42と、検知部44と、をさらに備える。点灯回路40、制御部42、及び検知部44は、光源部20と同様に、本体部10の内部に設けられる。但し、点灯回路40、制御部42、及び検知部44は、本体部10と別に設け、配線などを介して本体部10及び光源部20と接続してもよい。点灯回路40、制御部42、及び検知部44は、例えば、本体部10と設置部30との間の空間(設置部30の内部の空間)などに設けてもよい。
点灯回路40は、外部から入力された入力電力を基に、所定の電力を光源部20に供給することにより、光源部20から光を照射させる。点灯回路40は、例えば、電源装置110から供給された交流電力を光源部20に対応した直流電力に変換し、変換後の直流電力を光源部20に供給することにより、光源部20から光を照射させる。
制御部42は、点灯回路40の動作を制御することにより、光源部20の点灯状態を制御する。制御部42は、例えば、光源部20の点灯及び消灯を制御する。換言すれば、制御部42は、点灯回路40から光源部20への電力の供給及び供給の停止を制御する。制御部42は、例えば、光源部20の明るさを制御してもよい。換言すれば、制御部42は、点灯回路40から光源部20に供給する電力の電流値及び電圧値の少なくとも一方を制御してもよい。
検知部44は、入力電力の電流及び電圧の少なくとも一方を検知する。例えば、上記のように、電源装置110が定電流電源装置である場合には、検知部44は、入力電力の電流値を検知する。検知部44は、制御部42と接続され、検知結果を制御部42に入力する。
制御部42は、メンテナンスに必要な所定の情報を保持している。制御部42は、記憶部50を有する。制御部42は、記憶部50に所定の情報を保持する。換言すれば、制御部42は、記憶部50に所定の情報を記憶させている。
メンテナンスに必要な所定の情報は、例えば、自身の識別を可能にする識別情報51と、配置された位置を示す位置情報52と、を含む。識別情報51は、より詳しくは、複数の航空標識灯2のうちのいずれの航空標識灯2であるかを識別するための情報である。位置情報52は、より詳しくは、空港内における航空標識灯2の位置を示す情報である。
航空標識灯2のメンテナンスでは、例えば、光源部20から照射される光の強度が測定される。光源部20から照射される光の強度が所定の基準を満たしていない場合には、例えば、本体部10が設置部30から取り外され、光源部20、点灯回路40、制御部42などの点検や修理が行われる。この際、光の強度の測定とともに識別情報51及び位置情報52を取得し、測定結果を識別情報51及び位置情報52と関連付けて保存することで、測定結果が、どの位置に配置された、どの航空標識灯2の測定結果であるかを、容易に管理することができるようになる。これにより、メンテナンスの効率性を高めることができる。
但し、メンテナンスに必要な所定の情報は、識別情報51及び位置情報52に限ることなく、メンテナンスに必要な任意の情報でよい。所定の情報は、例えば、航空標識灯2の最初の設置日時や前回行われたメンテナンスの日時などを表すメンテナンスの履歴情報や、航空標識灯2を最初に設置した際の光源部20の光の強度を表す情報などを含んでもよい。例えば、メンテナンスの際に履歴情報を取得することで、次に修理などが必要となる時期を予測し易くすることができる。また、メンテナンスの際に設置当初の光の強度の情報を取得することで、光の強度の劣化の具合などを把握し易くすることができる。従って、メンテナンスの効率性をより高めることができる。
識別情報51及び位置情報52は、例えば、航空標識灯2を空港内の所定の位置に設置する前に、予め記憶部50に記憶される。また、位置情報52は、メンテナンスで本体部10を設置部30から取り外した際に変化する可能性がある。すなわち、本体部10の設置位置は、メンテナンスによって変化する可能性がある。このため、記憶部50は、書き換えが可能な構成であることが好ましい。記憶部50には、例えば、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリなどを用いることが好ましい。例えば、本体部10を設置部30から取り外した場合にのみ接続可能となるコネクタなどを用意しておき、コネクタに配線を接続して記憶部50の情報を書き換えられるようにしてもよい。あるいは、記憶部50を交換可能とし、メンテナンスによって本体部10の位置が変化する場合には、位置情報52を変更した別の記憶部50に交換するようにしてもよい。この場合、記憶部50は、書き換え可能でなくてもよい。あるいは、記憶部50を着脱可能とし、記憶部50の情報の書き換えは、別のコンピュータなどで行うようにしてもよい。
制御部42は、通常モードと、光通信モードと、を有する。通常モードは、通常の光を光源部20から照射させるモードである。光通信モードは、保持している所定の情報を重畳させた光を光源部20から照射させるモードである。光通信モードは、例えば、識別情報51及び位置情報2を重畳させた光を光源部20から照射させるモードである。光通信モードは、より詳しくは、可視光通信モードである。
制御部42は、光通信モードにおいて、例えば、点灯回路40の動作を制御し、所定の情報に基づいて光源部20から照射される光の強度を変化させる。制御部42は、例えば、所定の情報に基づいて光源部20の点灯及び消灯を切り替える。あるいは、制御部42は、所定の情報に基づいて光源部20の光の強度の高い状態と低い状態とを切り替える。これにより、光の強度の変化によって、光源部20から照射される光に所定の情報を重畳させることができる。
なお、光通信モードにおける光の強度は、50Hz以上の周波数で変化させることが好ましい。これにより、例えば、空港の運用時間内に制御部42が誤って光通信モードになってしまった際に、光源部20から照射された光がパイロットなどからちらついて見え、航空機の運用などに影響を与えてしまうことなどを抑制することができる。このため、光源部20には、例えば、LEDなどの発光素子など、応答速度の速い光源を用いることが好ましい。
通常の光とは、所定の情報を重畳させていない光である。換言すれば、通常の光は、航空機の運航を補助するための光である。
制御部42は、検知部44の検知結果に基づいて、通常モードと光通信モードとを切り替える。
入力電力は、通常モードにおいて光源部20から照射される通常の光の明るさを変化させる複数の段階を有する。電源装置110は、通常の光の明るさを変化させる複数の段階に入力電力を変化させる。
複数の段階は、例えば、国内の規定などで定められた段階である。複数の段階は、例えば、タップと呼ばれる場合が有る。入力電力は、例えば、タップ1~タップ5の5段階を有する。例えば、定格電流を100%とするとき、タップ1の光度比率は、0.2%であり、タップ2の光度比率は、1%であり、タップ3の光度比率は、5%であり、タップ4の光度比率は、25%であり、タップ5の光度比率は、100%である。
電源装置110は、例えば、上記の5段階の入力電力を選択的に航空標識灯2に供給可能である。但し、入力電力の段階の数及び各段階における光度比率は、上記に限定されるものではない。入力電力の段階の数は、任意の数でよい。入力電力の各段階における光度比率は、任意の比率でよい。
航空標識灯システム100は、操作部120をさらに備えている。操作部120は、例えば、電源装置110と同様に、電気室102に設けられている。操作部120は、電源装置110に接続されている。操作部120は、例えば、電源装置110に一体に設けてもよい。
操作部120は、入力電力の複数の段階を切り替えるための操作指示を受け、操作指示に応じた信号を電源装置110に入力する。電源装置110は、操作部120から入力された操作指示に応じて入力電力の段階を切り替え、操作指示に応じた段階の入力電力を航空標識灯2に供給する。これにより、操作部120の操作に応じた強度の光を航空標識灯2から照射させることができる。また、電源装置110に複数の航空標識灯2が接続されている場合にも、入力電力の段階を変化させることで、複数の航空標識灯2の光の明るさを一度に変化させることができる。
操作部120は、例えば、複数の段階のそれぞれに対応した複数の操作ボタン120a~120eを有する。操作部120は、複数の操作ボタン120a~120eのいずれかが操作された際に、対応する段階への切り替えを指示する信号を電源装置110に入力する。
例えば、操作部120の操作を担当する担当者は、空港の運用時間内においては、複数の航空標識灯2を通常モードに設定するとともに、時間帯や気象条件などに応じて複数の操作ボタン120a~120eを操作することにより、時間帯や気象条件などに応じた明るさで複数の航空標識灯2を点灯させる。
但し、操作部120の構成は、複数の操作ボタン120a~120eを有する構成に限ることなく、複数の段階を切り替えるための信号を電源装置110に入力可能な任意の構成でよい。操作部120は、例えば、ダイヤル式のスイッチなどを有する構成でもよいし、タッチパネルなどを有する構成などでもよい。
航空標識灯2の制御部42は、検知部44の検知結果を基に、電源装置110から供給された入力電力の段階を検知する。制御部42は、例えば、通常モードで動作している時に、検知部44の検知結果を基に、所定時間の間に特定の順序で複数の段階が切り替えられたことを検知したことに応じて、通常モードから光通信モードに切り替える。そして、制御部42は、例えば、光通信モードで動作している時に、検知部44の検知結果を基に、所定時間の間に特定の順序で複数の段階が切り替えられたことを検知したことに応じて、光通信モードから通常モードに切り替える。
制御部42は、例えば、通常モードで動作している時に、所定時間の間に、タップ5、タップ4、タップ3、タップ2、タップ1の順序で複数の段階が切り替えられた際に、通常モードから光通信モードに切り替わる。
そして、制御部42は、例えば、光通信モードで動作している時に、所定時間の間に、タップ1、タップ2、タップ3、タップ4、タップ5の順序で複数の段階が切り替えられた際に、光通信モードから通常モードに切り替わる。
所定時間は、例えば、最初の段階の切り替えを検知したタイミングからの連続した時間である。所定時間の長さは、例えば、30秒から1分程度である。所定時間の長さは、任意の長さでよい。また、特定の順序は、上記に限ることなく、任意の順序でよい。
複数の航空標識灯2の制御部42は、空港の運用時間内においては、通常モードに設定されている。例えば、操作部120の操作を担当する担当者は、空港の運用時間が終了し、複数の航空標識灯2のメンテナンスを行う際に、操作部120を操作し、上記のような特定の順序で入力電力の複数の段階の切り替えを指示する。これにより、複数の航空標識灯2の制御部42が通常モードから光通信モードに切り替わり、複数の航空標識灯2から所定の情報を重畳させた光が照射される。そして、操作部120の操作を担当する担当者は、複数の航空標識灯2のメンテナンスが終了した後、操作部120を操作し、上記のような特定の順序で入力電力の複数の段階の切り替えを指示することにより、複数の航空標識灯2の制御部42を再び光通信モードから通常モードに切り替える。
このように、本実施形態に係る航空標識灯2及び航空標識灯システム100では、航空標識灯2の制御部42が、検知部44の検知結果に基づいて、通常モードと光通信モードとを切り替える。これにより、通常モードと光通信モードとを切り替えるための信号などを航空標識灯2に入力する必要が無く、入力電力の切り替えのみで通常モードと光通信モードとを簡単に切り替えることができる。
また、航空標識灯2及び航空標識灯システム100では、制御部42が、検知部44の検知結果を基に、所定時間の間に特定の順序で複数の段階が切り替えられたことを検知したことに応じて、通常モードから光通信モードに切り替える。
複数の段階の切り替えは、通常モードにおいて行われるものであり、操作部120は、航空標識灯システム100に予め用意されている可能性が高い。従って、上記のように、複数の段階の切り替えによって制御部42を通常モードから光通信モードに切り替えられるようにすることで、電源装置110や操作部120などに専用の構成を必要とすることを抑制することができる。例えば、航空標識灯2のみを旧来のものから置き換えるだけで、簡単に本実施形態に係る航空標識灯システム100を構成することができる。
また、航空標識灯2及び航空標識灯システム100では、所定の情報が、識別情報51と位置情報52とを含む。制御部42は、光通信モードにおいて、識別情報51と位置情報52とを重畳させた光を光源部20から照射させる。これにより、メンテナンスの効率性をより高めることができる。
図4は、第1の実施形態に係る航空標識灯システムの変形例を模式的に表すブロック図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は、省略する。
図4に表したように、航空標識灯システム100aでは、操作部120が、操作室104に設けられている。このように、操作部120を設置する場所は、必ずしも電気室102でなくてもよい。操作部120は、操作室104などの空港内の別の部屋などに設置してもよい。
操作部120を電源装置110と異なる部屋などに設置する場合、電源装置110と操作部120との間の通信は、無線などを介してもよい。操作部120は、必ずしも配線などで電源装置110と接続されている必要は無く、電源装置110と通信可能に接続されていればよい。
図5は、第1の実施形態に係る航空標識灯システムの変形例を模式的に表すブロック図である。
図5に表したように、航空標識灯システム100bでは、操作部120が、通常モードと光通信モードとの切り替えを指示するための専用の切替スイッチ120fをさらに有する。操作部120は、切替スイッチ120fが操作された際に、通常モードと光通信モードとの切り替えを指示する信号を電源装置110に入力する。
電源装置110は、操作部120から通常モードと光通信モードとの切り替えを指示する信号を入力され、航空標識灯2の制御部42を通常モードから光通信モードに切り替える場合に、例えば、通常時と異なる電流又は電圧の入力電力を航空標識灯2に供給する。電源装置110は、例えば、50%など、タップ1~タップ5(複数の段階)のいずれにも設定されていない光度比率に対応した入力電力を航空標識灯2に供給する。
また、電源装置110は、操作部120から通常モードと光通信モードとの切り替えを指示する信号を入力され、航空標識灯2の制御部42を光通信モードから通常モードに切り替える場合に、タップ1~タップ5(複数の段階)のいずれかの光度比率に対応した入力電力を航空標識灯2に供給する。電源装置110は、例えば、複数の操作ボタン120a~120eのいずれかの操作に応じて、対応する光度比率の入力電力を航空標識灯2に供給してもよい。
制御部42は、例えば、通常モードで動作している時に、検知部44の検知結果を基に、通常時と異なる電流又は電圧を検知したことに応じて、通常モードから光通信モードに切り替える。
そして、制御部42は、例えば、光通信モードで動作している時に、検知部44の検知結果を基に、通常時の電流又は電圧を検知したことに応じて、光通信モードから通常モードに切り替える。換言すれば、制御部42は、複数の段階のいずれかの光度比率に対応した入力電力を検知したことに応じて、光通信モードから通常モードに切り替える。
このように、通常モードと光通信モードとの切り替えは、複数の段階の特定の順序での切り替えに限ることなく、専用の切替スイッチ120fなどを設けて行ってもよい。なお、切替スイッチ120fの態様は、押しボタン式のスイッチなどに限ることなく、通常モードと光通信モードとの切り替えを指示可能な任意の態様でよい。
この例では、切替スイッチ120fの操作に応じて、通常時と異なる電流又は電圧の入力電力を航空標識灯2に供給している。これに限ることなく、例えば、切替スイッチ120fの操作に応じて、複数の段階を特定の順序で切り替えることにより、航空標識灯2の制御部42を通常モードから光通信モードに切り替えてもよい。
例えば、タップ1~タップ5などのように、複数の段階が予め設定されていない場合には、定格電流及び定格電圧の入力電力を通常時とし、これもよりも低い電流又は電圧の入力電力を、通常時と異なる電流又は電圧の入力電力としてもよい。通常時と異なる電流又は電圧の入力電力は、通常時と異なる任意の入力電力でよい。また、複数の段階が予め設定されていない場合には、複数の操作ボタン120a~120eを操作部120に設ける必要がない。従って、複数の段階が予め設定されていない場合には、操作部120は、切替スイッチ120fのみを有していてもよい。
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る航空標識灯システムを模式的に表す説明図である。
図6に表したように、航空標識灯システム200は、航空標識灯2及び電源装置110(図示は省略)に加えて、測光車210(点検装置)をさらに備える。測光車210は、移動しながら誘導路や滑走路などの路面RSに設置された航空標識灯2の光強度を測定する。
測光車210は、例えば、車両本体212と、受光部214と、測定ユニット216と、を有する。車両本体212は、内燃機関又はモーターなどで自走可能な自動車である。車両本体212は、例えば、四輪車である。但し、車両本体212は、二輪車や三輪車などでもよい。車両本体212は、車輪を有するものに限ることなく、キャタピラなどを有するものなどでもよい。車両本体212は、内燃機関やモーターなどの動力源を有するものに限ることなく、人力によるものなどでもよい。車両本体212の構成は、受光部214や測定ユニット216などを載せて移動可能な任意の構成でよい。
受光部214は、航空標識灯2から照射された通常の光又は所定の情報を重畳させた光を受光する。受光部214は、受光した光を電気信号に変換する。受光部214は、測定ユニット216と接続されており、受光した光の強度に応じた大きさの電気信号を測定ユニット216に入力する。
受光部214は、例えば、車両本体212の前部に設けられる。但し、受光部214は、車両本体212の後部に設けてもよいし、車両本体212の底部などに設けてもよい。受光部214の構成は、航空標識灯2から照射された通常の光又は所定の情報を重畳させた光を受光可能な任意の構成でよい。測光車210は、例えば、複数の受光部214を有してもよい。例えば、車両本体212の前後に受光部214を設け、航空標識灯2の通過前後で通常の光又は所定の情報を重畳させた光を受光できるようにしてもよい。
測定ユニット216は、受光部214から入力された電気信号を基に、受光した光の強度を測定する。また、測定ユニット216は、所定の情報を重畳させた光を受光部214が受光した際に、受光部214から入力された電気信号を基に、所定の情報を取得する。測定ユニット216は、例えば、識別情報51及び位置情報52を取得し、識別情報51及び位置情報52を光の強度の測定結果と関連付けて記憶する。
このように、測光車210は、所定の情報を重畳させた光を航空標識灯2から受光する受光部214を有し、所定の情報を航空標識灯2から取得するとともに、受光した光の強度から航空標識灯2を点検する。
測光車210で空港に設置された複数の航空標識灯2の点検を行う場合には、操作部120を操作し、複数の航空標識灯2の制御部42を光通信モードに切り替えることにより、複数の航空標識灯2のそれぞれに所定の情報を重畳させた光を照射させる。この際、所定の情報を重畳させた光の強度は、複数の段階(タップ1~タップ5)のいずれに対応する強度でもよい。この後、測光車210で移動しながら複数の航空標識灯2から照射された光を受光部214で順次受光する。
これにより、航空標識灯システム200では、測光車210で空港内を移動するだけで、複数の航空標識灯2の光の強度の測定と所定の情報の取得とを同時にかつ簡単に行うことができる。また、例えば、識別情報51及び位置情報52を光の強度の測定結果と関連付けて記憶することにより、測定結果が、どの位置に配置された、どの航空標識灯2の測定結果であるかを、容易に管理することができるようになる。これにより、メンテナンスの効率性を高めることができる。
なお、この例では、測定ユニット216が、識別情報51及び位置情報52を光の強度の測定結果と関連付けて記憶している。例えば、測定ユニット216に代えて無線通信機などを設け、受光部214から出力される電気信号を無線通信機から外部のサーバなどに送信することにより、外部のサーバに識別情報51及び位置情報52を光の強度の測定結果と関連付けて記憶させてもよい。あるいは、受光部214から出力される電気信号自体を記憶しておき、複数の航空標識灯2の測定を終えた後、外部のサーバなどで電気信号を所定の情報に変換してもよい。このように、測定ユニット216は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る航空標識灯システムを模式的に表す説明図である。
図7に表したように、航空標識灯システム300は、航空標識灯2及び電源装置110(図示は省略)に加えて、洗浄車310(点検装置)をさらに備える。洗浄車310は、移動しながら誘導路や滑走路などの路面RSに設置された航空標識灯2の洗浄を行う。洗浄車310は、航空標識灯2を洗浄し、屋外に設置される航空標識灯2に付着した塵埃などを除去する。これにより、洗浄車310は、航空標識灯2から照射される光の強度が、付着した塵埃などによって低下してしまうことを抑制する。
洗浄車310は、車両本体312と、洗浄部314と、を有する。車両本体312は、上記第2の実施形態の車両本体212と同様であるから、詳細な説明は省略する。
洗浄部314は、車両本体312に設けられる。洗浄部314は、航空標識灯2の洗浄を行う。より具体的には、洗浄部314は、航空標識灯2の投光窓14を洗浄する。洗浄部314は、例えば、噴出部320と、可動部322と、を有する。
噴出部320は、洗浄媒体の噴出を行う。噴出部320は、例えば、ノズルを有し、ノズルから洗浄媒体を噴出する。洗浄媒体は、例えば、粒子状のドライアイスと空気との混合体である。洗浄媒体は、上記に限ることなく、空気のみでもよいし、水などを用いてもよい。洗浄媒体は、航空標識灯2の投光窓14を適切に洗浄することができる任意の媒体でよい。
可動部322は、噴出部320の位置や、噴出部320から噴出される洗浄媒体の噴出の向きなどを変化させる。可動部322は、例えば、車両本体312の車内に設けられた操作部の操作に応じて噴出部320の位置や向きを変化させる。これにより、航空標識灯2との位置を車両本体312で合わせる必要が無く、可動部322の動作で噴出部320と航空標識灯2との位置を合わせることができる。これにより、航空標識灯2の洗浄をより効率良く簡単に行うことができる。なお、洗浄部314の構成は、上記に限ることなく、航空標識灯2の投光窓14を適切に洗浄することができる任意の構成でよい。
洗浄車310は、受光部330と、測定ユニット332と、をさらに有する。受光部330は、航空標識灯2から照射された通常の光又は所定の情報を重畳させた光を受光する。受光部330は、例えば、噴出部320に設けられている。可動部322は、噴出部320の位置や向きなどを変化させるとともに、受光部330の位置や向きなどを変化させる。
受光部330の構成は、配置される場所などを除いて上記第2の実施形態の受光部214の構成と同様であるから、詳細な説明は、省略する。測定ユニット332の構成は、上記第2の実施形態の測定ユニット216の構成と同様であるから、詳細な説明は、省略する。なお、受光部330は、必ずしも噴出部320に設けなくてもよい。受光部330は、噴出部320とは別に設けてもよい。受光部330の位置は、航空標識灯2から照射された光を適切に受光可能な任意の位置でよい。
このように、洗浄車310は、洗浄部314を有し、移動しながら路面RSに設置された航空標識灯2を洗浄できるようにするとともに、受光部330と測定ユニット332とをさらに有することにより、移動しながら路面RSに設置された航空標識灯2の光強度の測定及び所定の情報の取得を行う。
これにより、航空標識灯システム300では、洗浄車310で空港内を移動するだけで、複数の航空標識灯2の洗浄を行うことができるとともに、光の強度の測定と所定の情報の取得とを同時にかつ簡単に行うことができる。例えば、洗浄の前後に光の強度を測定することで、航空標識灯2を洗浄できたか否かを判定することもできる。
洗浄車310は、例えば、洗浄を行う前に光の強度を測定し、航空標識灯2の光の強度が所定値未満の時にのみ、航空標識灯2の洗浄を行う。換言すれば、洗浄車310は、航空標識灯2の光の強度が所定値以上の時は、洗浄の必要が無いと判断する。そして、洗浄車310は、洗浄後に再び光の強度を測定し、航空標識灯2の光の強度が所定値以上になった場合には、航空標識灯2を適切に洗浄できたと判断する。一方、洗浄車310は、洗浄後においても航空標識灯2の光の強度が所定値未満である場合には、航空標識灯2の故障と判断する。これにより、航空標識灯2の洗浄及び光の強度の測定をより効率良く行うことができる。メンテナンスの効率性をより高めることができる。
このように、所定の情報を重畳させた光を航空標識灯2から受光する受光部を有し、所定の情報を航空標識灯2から取得するとともに、受光した光の強度から航空標識灯2を点検する点検装置は、測光車210でもよいし、洗浄車310でもよい。但し、点検装置は、測光車210や洗浄車310に限ることなく、受光部を有し、所定の情報の取得と、光の強度の測定と、を行うことができる任意の装置でよい。点検装置は、例えば、メンテナンスの担当者などが手で持って使用するハンディタイプの装置などでもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。