JP7353390B2 - 構造物評価システム、構造物評価装置及び構造物評価方法 - Google Patents

構造物評価システム、構造物評価装置及び構造物評価方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、構造物評価システム、構造物評価装置及び構造物評価方法に関する。
プレストレストコンクリートは、コンクリートに対して予めプレストレスを導入することによって引張り強度を増加させたコンクリートである。プレストレストコンクリートは、コンクリート部材におけるひび割れ制御や部材の縮小等に有効であるため、橋梁や橋桁等の様々な構造物に使用されている。しかし、プレストレストコンクリートには、PC(Prestressed Concrete)鋼材(例えば、PCケーブル)といった鉄筋コンクリートには使用されていない部材が内在している。そのため、一般的な鉄筋コンクリートとは違う劣化が生じることがある。一般的な鉄筋コンクリートとは違う劣化とは、例えばPC鋼材の破断である。
プレストレストコンクリートは、PC鋼材によってプレストレスが導入されているため、PC鋼材の破断によりプレストレスが消失してしまうことがある。この場合、プレストレストコンクリートの性能が低下してしまう。最悪の場合には、プレストレストコンクリートで構成される構造物の破壊に至る可能性もあるため、特にPC鋼材の状態に留意する必要がある。PC鋼材の破断により発生する弾性波をセンサで検出することによりPC鋼材の破断を判断できる。しかしながら、センサでは、自動車等の走行によりノイズが発生した場合に、PC鋼材の破断と、ノイズとを区別することができない。そのため、誤った評価をしてしまう場合があった。このような問題は、PC鋼材を有するプレストレストコンクリートに限らず、鋼材の破断により弾性波を発生させる補強コンクリートに共通する問題である。
特開2012-251391号公報 特開2016-61701号公報
本発明が解決しようとする課題は、補強コンクリートが有する鋼材の破断を精度よく評価することができる構造物評価システム、構造物評価装置及び構造物評価方法を提供することである。
実施形態の構造物評価システムは、複数のセンサと、評価部とを持つ。複数のセンサは、補強用の鋼材を内部に有する補強コンクリートで発生した弾性波を検出する。評価部は、前記複数のセンサによって検出された前記弾性波の大きさが閾値以上となった時点から破断により生じた弾性波の影響を受けると想定される期間である第一の期間が経過した後の期間であって、破断により生じた弾性波の影響が少ないと想定される期間である第二の期間の間に検出された弾性波に基づいて、再定着により発生した弾性波を検出することで前記鋼材の破断を評価する。
本実施形態で用いる補強コンクリートの一例を示す図。 実施形態におけるセンサの配置例を示す図。 第1の実施形態における構造物評価システムの構成を示す図。 第1の実施形態における信号処理部の機能を表す概略ブロック図。 第1の実施形態におけるAFEの機能を表す概略ブロック図。 第1の実施形態における制御部の機能を表す概略ブロック図。 第1の実施形態における構造物評価システムによる鋼材の破断の評価処理の流れを示すシーケンス図。 第1の実施形態におけるPC鋼材の破断後に検出された弾性波の標定位置を説明するための図。 第1の実施形態におけるPC鋼材の破断後に検出された弾性波の標定位置を説明するための図。 第1の実施形態における破断により発生する弾性波と再定着により発生する弾性波の関係を説明するための図。 第1の実施形態における破断により発生する弾性波と再定着により発生する弾性波の関係を説明するための図。 第1の実施形態における評価部による処理開始の時刻を決定するための一例を示す図。 第1の実施形態における評価部による処理開始の時刻を決定するための一例を示す図。 第1の実施形態における評価部による処理開始の時刻を決定するための一例を示す図。 第2の実施形態における制御部の機能を表す概略ブロック図。 第2の実施形態における構造物評価装置の機能を表す概略ブロック図。 第2の実施形態における構造物評価システムによる鋼材の破断の評価処理の流れを示すシーケンス図。 第3の実施形態における構造物評価システムの構成を示す図。 第3の実施形態における稼働制御装置の機能を表す概略ブロック図。 第3の実施形態における信号処理部の機能を表す概略ブロック図。 第3の実施形態における構造物評価システムによる鋼材の破断の評価処理の流れを示すシーケンス図。 各実施形態におけるセンサの別の配置例を示す図。 各実施形態におけるセンサの別の配置例を説明するための図。 各実施形態におけるセンサの別の配置例を説明するための図。
以下、実施形態の構造物評価システム、構造物評価装置及び構造物評価方法を、図面を参照して説明する。
(概要)
実施形態における構造物評価システムは、構造物を構成する補強コンクリートが有する鋼材の破断を精度よく評価することである。実施形態における補強コンクリートは、例えばポストテンション方式のプレストレストコンクリートであり、補強コンクリート内部にはシースが備えられている。そして、シース内にはPC鋼材がクラウトによって固定されている。このPC鋼材が破断すると、補強コンクリート内部に弾性波が生じる。弾性波は、センサにより検出することができる。しかしながら、センサでは、自動車等の走行によりノイズが発生した場合に、PC鋼材の破断と、ノイズとを区別することができない。そのため、誤った評価をしてしまう場合があった。
ところで、PC鋼材が破断した後には、破断により発生する弾性波とは別に弾性波が発生する。これは、破断後の不安定な状態にあるPC鋼材がシース内のグラウトと安定な状態に落ち着く状態、いわゆる再定着の状態となり、再定着により摩擦等を発生させるためである。この再定着により発生する弾性波も、センサによって検出することができる。そのため、再定着により発生する弾性波を検出することで、ノイズではなくPC鋼材の破断と評価することができる。しかしながら、PC鋼材が破断してからある期間の間には、破断により生じた弾性波に再定着により発生する弾性波が隠れてしまい精度よく評価ができない。
そこで、実施形態における構造物評価システムでは、補強コンクリートで発生した弾性波を検出する複数のセンサと、複数のセンサによって検出された弾性波の大きさが閾値以上となった時点から第一の期間が経過した後の期間である第二の期間の間に検出された弾性波を用いて、鋼材の破断を評価する評価部とを備えている。PC鋼材の破断により発生する弾性波のように大きさが閾値以上の弾性波が検出された時点から第一の期間では、破断により生じた弾性波に再定着により発生する弾性波が隠れてしまう。そこで、第一の期間が経過した後の期間である第二の期間の間に検出された弾性波を用いることによって破断により生じた弾性波の影響を軽減している。このように破断により生じた弾性波の影響を軽減することで、再定着により発生した弾性波が検出しやすくなる。その結果、閾値以上の弾性波がノイズではなく破断により発生した弾性波であると判断することができる。そのため、補強コンクリートが有する鋼材の破断を精度よく評価することが可能になる。
図1は、本実施形態で用いる補強コンクリートの一例を示す図である。図1では、補強コンクリート10として、ポストテンション方式のプレストレストコンクリートを示している。ここで、本実施形態における補強コンクリート10では、PC鋼材の破断、亀裂の発生又は進展、あるいは外的衝撃(例えば雨、人工雨など)に伴い弾性波が発生する。補強コンクリート10は、例えば橋梁、橋桁及び岩盤等の構造物に用いられる。橋梁は、河川や渓谷等の上に架設される構造物に限らず、地面よりも上方に設けられる種々の構造物(例えば高速道路の高架橋)なども含む。補強コンクリート10は、上記以外の構造物に用いられてもよい。
補強コンクリート10は、複数の鉄筋11、1又は複数のシースを内部に備える。複数の鉄筋11は、鉄筋11同士が交差するように配置される。例えば、複数の鉄筋11は、縦方向に複数の鉄筋11、横方向に複数の鉄筋11が配置されることによって鉄筋11同士が交差するように配置される。シース12は、PC鋼材を通すための円筒断面形のさやである。図1では、補強コンクリート10内に3つのシース12が備えられている例を示しているが、補強コンクリート10内に備えられるシース12の数は何本でもよい。各シース12内には、1又は複数のPC鋼材がグラウトによって固定されている。
グラウトは、コンクリート部材とPC鋼材とを一体化するとともにPC鋼材をサビから保護するための充填材である。補強コンクリート10内にPC鋼材が導入されることにより、補強コンクリート10に圧縮力が付与される。これにより補強コンクリート10が、荷重を受けたときに応じる応力を打ち消すことが可能なためひび割れが生じにくくなる。補強コンクリート10の表面にセンサを配置することによりPC鋼材の破断時に生じる弾性波を検出することができる。また、補強コンクリート10の表面に複数のセンサを配置することで、弾性波の到達時刻の差等からPC鋼材の破断位置を特定することができる。
図2は、実施形態におけるセンサ20の配置例を示す図である。
補強コンクリート10を外部から見ているだけでは、補強コンクリート10におけるPC鋼材の破断位置は分からない。そのため、補強コンクリート10内のどの場所でPC鋼材の破断が発生しても弾性波を検出することができるようにセンサ20を配置する必要がある。そこで、以下の実施形態では、図2に示すように、補強コンクリート10の一つの面全てで弾性波を検出することができるように、複数のセンサ20(例えば図2では、21個のセンサ20)を配置する場合を例に説明する。センサ20の数は、補強コンクリート10の一つの面全てをカバーすることができれば特に限定されない。
(第1の実施形態)
図3は、第1の実施形態における構造物評価システム100の構成を示す図である。
構造物評価システム100は、補強コンクリート10が有するPC鋼材の破断の評価に用いられる。以下の説明において、評価とは、ある基準に基づいてPC鋼材の破断を判断することを意味する。
以下、構造物評価システム100の具体的な構成について説明する。
構造物評価システム100は、複数のセンサ20-1~20-n(nは3以上の整数)、信号処理部30及び構造物評価装置40を備える。複数のセンサ20-1~20-nと信号処理部30とは、有線により通信可能に接続される。信号処理部30と構造物評価装置40とは、有線又は無線により通信可能に接続される。なお、以下の説明では、センサ20-1~20-nを区別しない場合にはセンサ20と記載する。
センサ20は、圧電素子を有し、補強コンクリート10内部から発生する弾性波を検出する。センサ20は、弾性波を検出することが可能な位置に設置される。例えば、センサ20は、補強コンクリート10の表面、側面及び底面のいずれかの面上に設置される。センサ20は、検出した弾性波を電気信号に変換する。センサ20は、電気信号を信号処理部30に出力する。以下の説明では、センサ20によって変換された電気信号をAE信号と記載する。
センサ20には、例えば10kHz~1MHzの範囲に感度を有する圧電素子が用いられる。センサ20は、周波数範囲内に共振ピークをもつ共振型、共振を抑えた広帯域型等の種類があるが、センサ20の種類はいずれでもよい。また、センサ20が弾性波を検出する方法は、電圧出力型、抵抗変化型及び静電容量型等があるが、いずれの検出方法でもよい。なお、センサ20に代えて加速度センサが用いられてもよい。この場合、加速度センサは、補強コンクリート10内部から発生する弾性波を検出する。そして、加速度センサは、センサ20と同様の処理を行うことによって、検出した弾性波を電圧信号であるAE信号に変換する。その後、加速度センサは、AE信号をセンサ20に出力する。
信号処理部30は、センサ20から出力されたAE信号に対して信号処理を行う。信号処理部30が行う信号処理は、例えば、ノイズ除去、パラメータ抽出等である。信号処理部30は、信号処理後のデジタル信号を含む送信データを生成し、生成した送信データを構造物評価装置40に出力する。信号処理部30は、アナログ回路又はデジタル回路を用いて構成される。デジタル回路は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やマイクロコンピュータにより実現される。デジタル回路は、専用のLSI(Large-Scale Integration)により実現されてもいい。また信号処理部30は、フラッシュメモリ等の不揮発メモリや、取り外し可能なメモリを搭載してもよい。
構造物評価装置40は、制御部41、記憶部42及び表示部43を備える。
制御部41は、構造物評価装置40全体を制御する。制御部41は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部41は、プログラムを実行することによって、取得部411、評価部412及び位置標定部413として機能する。取得部411、評価部412及び位置標定部413を実現するためのプログラムは、出荷時に構造物評価装置40にインストールされていてもよいし、別途インストールされてもよい。
取得部411は、信号処理部30から出力された送信データを取得する。例えば、信号処理部30と構造物評価装置40とが無線により通信している場合、取得部411は通信インタフェースとして機能し、信号処理部30との間で無線通信を行うことによって送信データを取得する。例えば、信号処理部30と構造物評価装置40とが有線により通信している場合、取得部411は通信インタフェースとして機能し、信号処理部30との間で有線通信を行うことによって送信データを取得する。
評価部412は、取得部411によって取得された送信データに基づいて鋼材の破断を評価する。例えば、評価部412は、弾性波の振幅の大きさが閾値以上となった時点から第一の期間が経過した後の期間である第二の期間の間に検出された弾性波の情報を用いて、鋼材の破断を評価する。この閾値は、破断を検出するための値であり、再定着により発生する弾性波の振幅よりも高い値が設定される。例えば、閾値は、70dB以上である。閾値は、不図示の操作部を介してユーザによってあらかじめ設定されていてもよい。閾値と比較される振幅の大きさは、例えば最大振幅の値である。評価部412は、カウンタを用いて第一の期間が経過したか否かを判定してもよい。
第一の期間は、破断により生じた弾性波の影響を受けると想定される期間である。第一の期間は、補強コンクリート10のサイズや種類の減衰時間により決定される。第一の期間は、構造物評価装置40に予め設定されている。第一の期間は、弾性波の複数周期分よりも長い期間であり、例えば7ms~9msである。
第二の期間は、破断により生じた弾性波の影響が少ないと想定される期間である。第二の期間は、構造物評価装置40に予め設定されている。第二の期間は、例えば10ms~100sである。
評価部412は、第二の期間の間に所定の数以上の弾性波が検出された場合に鋼材が破断した可能性があると判断する。すなわち、評価部412は、第二の期間の間において所定の数以上の送信データが得られた場合に鋼材が破断した可能性があると判断する。評価部412は、位置標定部413による弾性波源の標定結果に基づいて鋼材の破断を判断する。
位置標定部413は、複数のセンサ20それぞれによって第二の期間の間に検出された複数の弾性波を用いて、弾性波源の位置を標定する。
記憶部42は、取得部411によって取得された送信データを記憶する。記憶部42は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。
表示部43は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。表示部43は、制御部41の制御に従って評価結果を表示する。表示部43は、画像表示装置を構造物評価装置40に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、表示部43は、評価結果を表示するための映像信号を生成し、自身に接続されている画像表示装置に映像信号を出力する。
図4は、第1の実施形態における信号処理部30の機能を表す概略ブロック図である。信号処理部30は、複数のAFE31(Analog Front End)、制御部32及び通信部33を備える。
AFE31は、センサ20から出力されたAE信号に対してフィルタ処理及びアナログデジタル変換処理を行う。AFE31は、フィルタ処理及びアナログデジタル変換処理後の信号を制御部32に出力する。
制御部32は、信号処理部30全体を制御する。制御部41は、CPU等のプロセッサやメモリを用いて構成される。例えば、制御部32は、AFE31から出力されたフィルタ処理及びアナログデジタル変換処理後の信号に基づいて送信データを生成する。
通信部33は、制御部32によって生成された送信データを構造物評価装置40に送信する。
図5は、第1の実施形態におけるAFE31の機能を表す概略ブロック図である。AFE31は、受信部311、第1フィルタ312、アナログデジタル変換部313及び第2フィルタ314で構成される。
受信部311は、センサ20から送信されたAE信号を受信する。受信部311は、受信したAE信号を第1フィルタ312に出力する。AE信号には、センサ20により検出された時刻情報が付与されているものとする。
第1フィルタ312は、受信部311によって受信されたAE信号からノイズを除去する。例えば、第1フィルタ312は、AE信号から特定周波数帯以外の周波数帯をノイズとして除去する。第1フィルタ312は、例えば、バンドパスフィルタである。第1フィルタ312は、ノイズ除去後のアナログ信号(以下「ノイズ除去アナログ信号」という。)をアナログデジタル変換部313に出力する。
アナログデジタル変換部313は、第1フィルタ312から出力されたノイズ除去アナログ信号を量子化することによって、アナログ信号からデジタル信号に変換する。アナログデジタル変換部313は、デジタル信号を第2フィルタ314に出力する。
第2フィルタ314は、アナログデジタル変換部313から出力されたデジタル信号からノイズを除去する。第2フィルタ314は、ノイズを除去するためのフィルタである。第2フィルタ314は、ノイズ除去後のデジタル信号(以下「ノイズ除去デジタル信号」という。)を制御部32に出力する。
以下の説明では、AFE31において行われる処理を前処理と記載する。
図6は、第1の実施形態における制御部32の機能を表す概略ブロック図である。制御部32は、プログラムを実行することによって、イベント信号生成部321、特徴量抽出部322及び送信データ生成部323として機能する。イベント信号生成部321、特徴量抽出部322及び送信データ生成部323を実現するためのプログラムは、出荷時に信号処理部30にインストールされていてもよいし、別途インストールされてもよい。
イベント信号生成部321は、第2フィルタ314から出力されたノイズ除去デジタル信号を入力する。イベント信号生成部321は、入力したノイズ除去デジタル信号の波形が持続しているか否かを示すゲート信号を生成する。イベント信号生成部321は、例えばエンベロープ検出器及びコンパレータにより実現される。エンベロープ検出器は、ノイズ除去デジタル信号のエンベロープを検出する。エンベロープは、例えば、ノイズ除去デジタル信号を二乗し、二乗した出力値に対して所定の処理(例えばローパスフィルタを用いた処理やヒルベルト変換)を行うことで抽出される。コンパレータは、ノイズ除去デジタル信号のエンベロープが所定の閾値以上であるか否かを判定する。
イベント信号生成部321は、ノイズ除去デジタル信号のエンベロープが所定の閾値以上となった場合、ノイズ除去デジタル信号の波形が持続していることを示す第1のゲート信号を特徴量抽出部322に出力する。第1のゲート信号が出力された場合には、イベントが発生したことを表す。一方、イベント信号生成部321は、ノイズ除去デジタル信号のエンベロープが所定の閾値未満になった場合、ノイズ除去デジタル信号の波形が持続していないことを示す第2のゲート信号を特徴量抽出部322に出力する。第2のゲート信号が出力された場合には、イベントが終了したことを表す。イベント発生の検知、すなわちエンベロープが所定の閾値以上となったか否かの判定には、ChangeFinderやAIC(Akaike's Information Criterion)等が用いられてもよい。
特徴量抽出部322は、イベント信号生成部321から出力されたゲート信号及び第2フィルタ314から出力されたノイズ除去デジタル信号を入力する。特徴量抽出部322は、入力したゲート信号及びノイズ除去デジタル信号に基づいて、信号の波形が継続しているときの特徴量をノイズ除去デジタル信号から抽出する。特徴量は、例えばノイズ除去デジタル信号の波形の振幅[mV]、ゲート信号の立ち上がり時間[usec]、ゲート信号の持続時間[usec]、ノイズ除去デジタル信号のゼロクロスカウント数[times]、ノイズ除去デジタル信号の波形のエネルギー[arb.]及びノイズ除去デジタル信号の周波数[Hz]等パラメータである。
ノイズ除去デジタル信号の振幅は、例えばノイズ除去デジタル信号の中で最大振幅の値である。ゲート信号の立ち上がり時間は、例えばゲート信号がゼロ値から予め設定される所定値を超えて立ち上がるまでの時間である。ゲート信号の持続時間は、例えばゲート信号の立ち上がり開始から振幅が予め設定される値よりも小さくなるまでの時間である。ノイズ除去デジタル信号のゼロクロスカウント数は、例えばゼロ値を通る基準線をノイズ除去デジタル信号が横切る回数である。ノイズ除去デジタル信号の波形のエネルギーは、例えば各時点において振幅を二乗したものを時間積分した値である。なお、エネルギーの定義は、上記例に限定されず、例えば波形の包絡線を用いて近似されたものでもよい。
特徴量抽出部322は、抽出した特徴量を送信データ生成部323に出力する。特徴量抽出部322は、特徴量を送信データ生成部323に出力する際に、特徴量にセンサIDを対応付ける。センサIDは、補強コンクリート10に設置されているセンサ20を識別するための識別情報を表す。特徴量抽出部322は、センサIDを対応付けた特徴量を送信データ生成部323に出力する。
送信データ生成部323は、特徴量抽出部322から出力されたセンサIDを対応付けた特徴量を入力とする。送信データ生成部323は、入力したセンサIDを対応付けた特徴量を含む送信データを生成する。送信データ生成部323は、生成した送信データを通信部33に出力する。
図7は、第1の実施形態における構造物評価システム100による鋼材の破断の評価処理の流れを示すシーケンス図である。
AFE31は、センサ20から送信されたAE信号に対して前処理を行う(ステップS101)。具体的には、AFE31は、AE信号に対して、フィルタ処理及びアナログデジタル変換処理を行う。AFE31は、ノイズ除去デジタル信号を制御部32に出力する。制御部32は、AFE31から出力されたノイズ除去デジタル信号を入力として、ノイズ除去デジタル信号から特徴量を抽出する(ステップS102)。ここで、特徴量抽出部322は、イベント信号生成部321により第1のゲート信号が出力されている場合にのみノイズ除去デジタル信号から特徴量を抽出する。一方、特徴量抽出部322は、イベント信号生成部321により第2のゲート信号が出力された場合にはノイズ除去デジタル信号から特徴量を抽出しない。
特徴量抽出部322は、抽出した特徴量にセンサIDを対応付けて送信データ生成部323に出力する。送信データ生成部323は、特徴量抽出部322から出力された特徴量を含む送信データを生成する(ステップS103)。送信データには、特徴量、センサID及びAE信号がセンサ20により検出された時刻情報が含まれる。送信データ生成部323は、生成した送信データを通信部33に出力する。通信部33は、送信データ生成部323から出力された送信データを構造物評価装置40に送信する(ステップS104)。信号処理部30によって送信データが生成される度に、信号処理部30から構造物評価装置40に送信データが送信される。
取得部411は、信号処理部30から送信された送信データを取得する。取得部411は、取得した送信データを記憶部42に記憶する(ステップS105)。評価部412は、所定のタイミングで、記憶部42に記憶されている送信データを参照して、振幅が閾値(例えば、70dB以上)以上の弾性波が検出されたか否かを判定する(ステップS106)。所定のタイミングは、例えば取得部411によって送信データが取得されたタイミングであってもよいし、記憶部42に所定の個数分送信データが記憶されたタイミングであってもよいし、予め設定された時刻になったタイミングであってもよい。
具体的には、まず評価部412は、記憶部42に記憶されている送信データの中から判定に用いていない送信データを取得する。次に評価部412は、取得した送信データの中から振幅の値が閾値以上である送信データがあるか否かを判定する。振幅の値が閾値以上である送信データがある場合、評価部412は振幅が閾値以上の弾性波が検出されたと判定する。一方、振幅の値が閾値以上である送信データが1つもない場合、評価部412は振幅が閾値以上の弾性波が検出されていないと判定する。
振幅が閾値以上の弾性波が検出されていない場合(ステップS106-NO)、評価部412は振幅が閾値以上の弾性波が検出されるまで待機する。
振幅が閾値以上の弾性波が検出された場合(ステップS106-YES)、評価部412は第一の期間処理を行わず待機する(ステップS107)。第一の期間待機している間にも、信号処理部30から送信データが送信される場合もある。この場合、取得部411は信号処理部30から送信された送信データを時系列順に記憶部42に記憶する。
評価部412は、第一の期間が経過した後、第二の期間の間に取得された送信データを用いてPC鋼材の破断の可能性の有無を判断する(ステップS108)。具体的には、評価部412は、第二の期間の間に所定の数以上の送信データが取得された場合にPC鋼材が破断した可能性があると判断する。第二の期間の間に所定の数以上の送信データが取得されたということは、第二の期間の間に所定の数以上の弾性波がセンサ20によって検出されたことを意味する。これは、再定着により弾性波が発生して、その弾性波をセンサ20で検出した可能性が高い。そのため、評価部412は、第二の期間の間に所定の数以上の送信データが取得された場合にPC鋼材が破断した可能性があると判断する。この場合、評価部412は、位置標定部413に対して弾性波源の位置標定を実行させる。例えば、評価部412は、第二の期間の間に取得された送信データを位置標定部413に出力するとともに、弾性波源の位置標定を指示する。
位置標定部413は、評価部412からの指示に応じて、第二の期間の間に取得された複数の送信データを用いて弾性波源を標定する(ステップS109)。この際、位置標定部413は、第二の期間の間に取得された複数の送信データのうち、異なるセンサ20によって検出された弾性波に関する送信データであって、同一イベントの送信データを用いて弾性波源を標定する。位置標定部413は、標定結果を評価部412に出力する。
評価部412は、位置標定部413から出力された標定結果に基づいてPC鋼材の破断を判断する(ステップS110)。具体的には、まず評価部412は、評価対象となる構造物を所定の大きさの領域に分割する。分割する領域の大きさは、予め設定されている。以下、分割後の各領域を分割領域と記載する。次に、評価部412は、分割領域毎に、位置標定部413から出力された標定結果で示される弾性波源の数を計測する。そして、評価部412は、複数の分割領域のうち、弾性波源の数が閾値以上の分割領域がある場合、PC鋼材が破断したと判断する。一方、評価部412は、複数の分割領域のうち、弾性波源の数が閾値以上の分割領域が1つもない場合、PC鋼材が破断していないと判断する。
評価部412は、評価結果を出力する(ステップS111)。評価結果には、PC鋼材の破断の有無を示す情報と、弾性波源の評定結果が含まれる。具体的には、評価部412は、表示部43を制御して、評価結果を表示させる。表示部43は、評価部412の制御に従って、評価結果を表示する。
図8及び図9は、PC鋼材の破断後に検出された弾性波の標定位置を説明するための図である。図8では、PC鋼材の破断後に検出された弾性波の標定位置を示している。鋼材位置を知っている場合はそこに分布していれば破断と判断できる。若しくは鋼材位置知らない場合、位置標定して集中していたらそこに鋼材があると仮定して破断していると判断できる。図9に示すように、PC鋼材の破断後に再定着が発生し、その再定着弾性波の範囲は破断位置から始まり最終的にはある一定の値に収束する。また、この弾性波範囲は、図9に示すように、補強コンクリート10の部材等により変化するが60φから100φとなっている。
図10及び11は、破断により発生する弾性波と再定着により発生する弾性波の関係を説明するための図である。実験の結果、図10に示すように破断が発生した時刻t1の後の一定期間(図10では、時刻t1からt2までの間)には弾性波の検出できないことが判明している。これは、図11に示すように、補強コンクリート10内部にあるPC鋼材の破断した際の衝撃が大きく、再定着により発生した弾性波が破断時の衝撃に隠れてしまうことが原因であると考えられる。
図12A、図12B及び図13は、評価部412による処理開始の時刻を決定するための一例を示す図である。実験の結果、破断時の弾性波は、図12Bに示すように時間に対してLogスケールでリニアに減少していくことがわかった。そのため、必要な感度が決まれば減衰時間が決まる。補強コンクリート10の材質やセンサ20によってばらつきはあるが、図12Bに示す例では5dB/msの傾きである。例えば、センサ感度が40dBu以上の場合、破断時に1Vの強さの弾性波が発生した場合、少なくとも16msは再定着により発生する弾性波を検出することが困難であるため処理を行わなくてよい。この処理を行わなくてよい期間が、第一の期間である。第二の期間は、弾性波が検出できるようになる第一の期間が終了した後である。または、図13に示すように、その再定着により発生する弾性波の範囲は破断位置から始まり最終的にはある一定の値に収束するまでの時間が160msであるため、160ms以降であれば再定着により発生する弾性波を検出することが可能である。この再定着により発生する弾性波を検出することができる期間も、第二の期間である。図13に示した結果では、弾性波の検出を開始するタイミングは、破断時から16msが経過した後が望ましいが、一定の位置に収束したタイミングである160msから、再定着が終わるまでで、かつ評価に十分な点数が確保できる、例えば10sでも評価できる。すなわち、第二の期間は、第一の期間の後でもよいし、再定着の位置が収束した後でもよい。なお、ここで示した160msや10sは、あくまで一例であり、上述したように補強コンクリート10の材質やセンサ20によって変化する。
以上のように構成された第1の実施形態における構造物評価システム100によれば、補強コンクリート10で発生した弾性波を検出する複数のセンサ20と、複数のセンサ20によって検出された弾性波の振幅の大きさが閾値以上となった時点から第一の期間が経過した後の期間である第二の期間の間に検出された弾性波を用いて、鋼材の破断を評価する評価部412とを備えている。そして、評価部412では、弾性波の振幅の大きさが閾値以上である送信データがある場合に、PC鋼材の破断又は大きなノイズが発生したとして、第一の期間処理を待機する。評価部412は、第一の期間経過後の第二の期間に得られた送信データを用いてPC鋼材の破断を評価している。これにより、破断により発生した弾性波の影響があることが想定される期間には破断の評価が行われない。そして、破断により生じた弾性波の影響が軽減していると想定される第二の期間に得られた送信データを用いてPC鋼材の破断の評価を行うことができる。このように破断により生じた弾性波の影響を軽減することで、再定着により発生した弾性波が検出しやすくなる。その結果、閾値以上の弾性波がノイズではなく破断により発生した弾性波であると判断することができる。そのため、補強コンクリートが有する鋼材の破断を精度よく評価することが可能になる。
以下、第1の実施形態の変形例について説明する。
評価部412は、標定結果に基づいてPC鋼材の破断位置の判断を行ってもよい。具体的には、評価部412は、弾性波源の数が閾値以上の分割領域をPC鋼材の破断位置と判断する。このように構成される場合、評価部412は、表示部43を制御して、評価結果及び破断位置を表示させる。表示部43は、評価結果及び破断位置を別々に表示してもよいし、同一画面上に表示してもよい。構造物評価装置40に補強コンクリート10の画像データが保存されている場合には、表示部43は補強コンクリート10の画面データ上に破断位置を重畳して表示させてもよい。
このように構成される場合、位置標定部413は、第二の期間に得られた複数の送信データを用いて、弾性波源を標定する。評価部412は、PC鋼材の破断の判断とともに破断位置を判断する。そして、評価部412は、評価結果及び破断位置を表示部43に表示させる。これにより、補強コンクリート10内のどの位置のPC鋼材で破断が発生したのかを大まかに見つけることができる。そのため、ユーザは、点検時に補強コンクリート10全体を確認する必要がなく、点検時の負担を軽減することができる。
評価部412は、第二の期間の間に所定の数以上の送信データが取得された場合にPC鋼材が破断したと判断してもよい。このように構成される場合、構造物評価装置40は以下のように動作する。位置標定部413は、評価部412によってPC鋼材が破断したと判断された場合、第二の期間の間に取得された複数の送信データを用いて弾性波源を標定する。評価部412は、位置標定部413の標定結果を用いて、実施形態に示した方法と同様の方法で、PC鋼材の破断位置を判断する。
このように構成される場合、精度は低下するものの、実施形態に示した方法よりも少ない手順で鋼材の破断を評価することができる。そのため、処理負荷を軽減することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、信号処理部30において閾値判定を行い、構造物評価装置40において処理すべき送信データのみを信号処理部30が構造物評価装置40に送信する。以下、第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。
図14は、第2の実施形態における制御部32aの機能を表す概略ブロック図である。制御部32aは、CPU等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部32aは、プログラムを実行することによって、イベント信号生成部321、特徴量抽出部322及び送信データ生成部323aとして機能する。制御部32aは、送信データ生成部323に代えて送信データ生成部323aを備える点で制御部32と構成が異なる。制御部32aは、他の構成については制御部32と同様である。そのため、制御部32a全体の説明は省略し、送信データ生成部323aについて説明する。
送信データ生成部323aは、特徴量抽出部322から出力されたセンサIDを対応付けた特徴量を入力とする。送信データ生成部323aは、入力したセンサIDを対応付けた特徴量を含む送信データを生成する。送信データ生成部323aは、送信データを生成する際、送信条件が満たされたか否かを判定する。送信条件は、送信データを生成するための条件である。送信条件は、振幅の大きさが閾値以上のAE信号が検出された後であって、第二の期間の間に検出された弾性波のAE信号があることである。送信データ生成部323aは、送信条件が満たされた場合、送信条件を満たすAE信号から得られる特徴量を含む送信データを生成する。送信データ生成部323は、生成した送信データを通信部33に出力する。送信条件を満たすAE信号から得られる特徴量を含む送信データは、全て第二の期間の間に検出された弾性波に関する情報を含んでいる。
図15は、第2の実施形態における構造物評価装置40aの機能を表す概略ブロック図である。構造物評価装置40aは、制御部41a、記憶部42及び表示部43を備える。
制御部41aは、構造物評価装置40a全体を制御する。制御部41aは、CPU等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部41aは、プログラムを実行することによって、取得部411、評価部412a及び位置標定部413として機能する。制御部41aは、評価部412に代えて評価部412aを備える点で制御部41と構成が異なる。制御部41aは、他の構成については制御部41と同様である。そのため、制御部41a全体の説明は省略し、評価部412aについて説明する。
評価部412aは、取得部411によって取得された送信データに基づいて鋼材の破断を評価する。第2の実施形態では、取得部411によって取得される送信データは、第二の期間の間に検出された弾性波に関する送信データである。そのため、評価部412aは、取得部411によって取得した送信データを用いて弾性波の振幅の大きさが閾値以上であるか否かの判定、第一の期間の待機を行わなくてよい。評価部412aは、取得部411によって取得された送信データを用いて、所定の数以上の弾性波が検出された場合に鋼材が破断した可能性があると判断する。そして、評価部412aは、位置標定部413による弾性波源の標定結果に基づいて鋼材の破断を判断する。
図16は、第2の実施形態における構造物評価システム100による鋼材の破断の評価処理の流れを示すシーケンス図である。図15において、図7と同様の処理については図7と同様の符号を付して説明を省略する。
送信データ生成部323aは、送信条件が満たされたか否かを判定する(ステップS201)。送信条件が満たされていない場合(ステップS201-NO)、送信データ生成部323aは送信条件が満たされるまで送信データの生成を行わない。
一方、送信条件が満たされた場合(ステップS201-YES)、送信データ生成部323aは送信データを生成する。その後、生成された送信データは、通信部33を介して構造物評価装置40aに送信される。
構造物評価装置40aでは、評価部412が、取得部411によって取得された送信データを用いてPC鋼材の破断の可能性の有無を判断する(ステップS202)。具体的には、評価部412aは、取得部411によって所定の数以上の送信データが取得された場合にPC鋼材が破断した可能性があると判断する。その後、第1の実施形態と同様に、ステップS109以降の処理が実行される。
以上のように構成された第2の実施形態における構造物評価システム100によれば、信号処理部30aが、評価に必要となる送信データのみを構造物評価装置40aに送信している。これにより、構造物評価装置40aでは、信号処理部30aで取得された全ての弾性波の情報を取得する必要がない。そのため、構造物評価装置40aの処理負荷を軽減することができる。さらに、構造物評価装置40aでは、得られた送信データを用いてPC鋼材の破断の評価を行うため、簡便に評価を行うことが可能になる。そのため、補強コンクリートが有する鋼材の破断を精度よく評価することが可能になる。
以下、第2の実施形態の変形例について説明する。
評価部412aは、第1の実施形態に示した評価部412と同様に、標定結果に基づいてPC鋼材の破断位置の判断を行ってもよい。
評価部412aは、評価部412に示した評価部412と同様に、第二の期間の間に所定の数以上の送信データが取得された場合にPC鋼材が破断したと判断してもよい。
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態では、破断がいつ起こるかわからないため、信号処理部を常に稼働可能な状態にしておく必要がある。そのため、消費電力が増大してしまう。そこで、第3の実施形態では、信号処理部よりも簡易で、かつ、消費電力の少ない稼働制御装置を補強コンクリートに設置し、稼働が必要な時にのみ信号処理部を稼働させるようにする。
図17は、第3の実施形態における構造物評価システム100bの構成を示す図である。
構造物評価システム100bは、複数のセンサ20-1~20-n、信号処理部30b、構造物評価装置40及び稼働制御装置50を備える。複数のセンサ20-1~20-nと信号処理部30bとは、有線により通信可能に接続される。信号処理部30bと構造物評価装置40とは、有線又は無線により通信可能に接続される。信号処理部30bと稼働制御装置50とは、有線により通信可能に接続される。
稼働制御装置50は、センサ20と同様に補強コンクリート10の表面に設置される。稼働制御装置50は、センサ20と同様のセンサを備え、補強コンクリート10内部から発生する弾性波を検出する。稼働制御装置50は、検出した弾性波の振幅の大きさが閾値以上の場合には、信号処理部30bを稼働状態にさせるための稼働信号を信号処理部30bに出力する。信号処理部30bを稼働状態にさせるとは、信号処理部30bに対して信号処理を行わせることである。すなわち、第3の実施形態では、信号処理部30bは、稼働制御装置50から稼働信号が取得されるまでの間は、弾性波に対する信号処理を行わない。
信号処理部30bは、稼働制御装置50から出力された稼働信号に基づいて、稼働状態に移行する。信号処理部30bは、稼働状態に移行するまでは休止状態である。休止状態とは、休止している状態である。休止状態は、稼働状態よりも消費電力を抑えた状態である。休止状態は、例えば、起動していても信号処理を行わない状態であってもよいし、スリープ状態であってもよいし、電源が落ちた停止状態であってもよい。
図18は、第3の実施形態における稼働制御装置50の機能を表す概略ブロック図である。稼働制御装置50は、センサ51及び制御部52を備える。
センサ51は、圧電素子を有し、補強コンクリート10内部から発生する弾性波を検出する。センサ51は、弾性波を検出することが可能な位置に設置される。例えば、センサ51は、補強コンクリート10の表面、側面及び底面のいずれかの面上に設置される。センサ51は、検出した弾性波を電気信号に変換する。センサ51は、電気信号を制御部52に出力する。
制御部52は、稼働制御装置50全体を制御する。制御部52は、CPU等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部52は、プログラムを実行することによって、比較部521及び稼働制御部522として機能する。比較部521及び稼働制御部522を実現するためのプログラムは、出荷時に稼働制御装置50にインストールされていてもよいし、別途インストールされてもよい。
比較部521は、センサ51によって検出された弾性波の振幅と、閾値とを比較する。比較部521は、弾性波の振幅の大きさが閾値以上である場合に、信号処理部30bの稼働が必要である旨を稼働制御部522に通知する。一方、比較部521は、弾性波の振幅の大きさが閾値未満である場合にはそのまま待機する。
稼働制御部522は、比較部521による比較結果に基づいて、信号処理部30bの稼働を制御する。具体的には、稼働制御部522は、信号処理部30bの稼働が必要である旨の通知が比較部521から得られた場合に稼働信号を生成する。稼働制御部522は、生成した稼働信号を信号処理部30bに出力する。
図19は、第3の実施形態における信号処理部30bの機能を表す概略ブロック図である。信号処理部30bは、複数のAFE31、制御部32、通信部33、稼働部34及び電源部35を備える。信号処理部30bは、稼働部34及び電源部35を新たに備える点で信号処理部30及び30aと構成が異なる。信号処理部30bの他の構成については、信号処理部30又は30aと同様である。そのため、信号処理部30b全体の説明は省略し、稼働部34及び電源部35について説明する。
稼働部34は、稼働制御装置50から稼働信号を取得すると、制御部32及び電源部35を稼働状態にする。例えば、制御部32がスリープ状態である場合には、稼働部34は制御部32において信号処理が可能なように稼働状態にする。例えば、制御部32が停止状態である場合には、稼働部34は電源部35から制御部32に対して電力を供給させることによって制御部32を稼働状態にする。なお、稼働部34は、AFE31及び通信部33のいずれかに電源が入っていない場合にも同様に、電源部35に対して電源が入っていない機能部への電源供給を指示して電力供給させる。
電源部35は、稼働部34の指示に従って、各機能部に電力を供給する。具体的には、電源部35は、AFE31、制御部32、通信部33及び稼働部34に対して電力を供給する。電源部35は、外部の電源、一次電池、二次電池、太陽電池、エネルギーハーベスタ等から供給される電力を受ける部であり、ここから稼働部34の指示に応じて各機能部へ電力を供給する。
図20は、第3の実施形態における構造物評価システム100bによる鋼材の破断の評価処理の流れを示すシーケンス図である。図20の処理開始時には、信号処理部が休止状態である場合を例に説明する。
センサ51は、補強コンクリート10から発生した弾性波を検出する(ステップS301)。センサ51は、検出した弾性波を電気信号に変換して比較部521に出力する。比較部521は、センサ51によって検出された弾性波の振幅と、閾値とを比較する。比較部521は、弾性波の振幅の大きさが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS302)。弾性波の振幅の大きさが閾値以上ではない場合(ステップS302-NO)、稼働制御装置50はステップS301及び302の処理を繰り返し実行する。
弾性波の振幅の大きさが閾値以上である場合(ステップS302-YES)、比較部521は、信号処理部30bの稼働が必要である旨を稼働制御部522に通知する。稼働制御部522は、稼働信号を生成する。稼働制御部522は、生成した稼働信号を信号処理部30bに出力する(ステップS303)。
信号処理部30bの稼働部34は、稼働制御装置50から稼働信号を取得すると、電源部35に指示して電力を供給させることによって各機能部を稼働状態にする(ステップS304)。これにより、信号処理部30bは、センサ20から出力されたAE信号を取得することができる。
AFE31は、センサ20から送信されたAE信号に対して前処理を行う(ステップS305)。具体的には、AFE31は、AE信号に対して、フィルタ処理及びアナログデジタル変換処理を行う。AFE31は、ノイズ除去デジタル信号を制御部32に出力する。制御部32は、AFE31から出力されたノイズ除去デジタル信号を入力として、ノイズ除去デジタル信号から特徴量を抽出する(ステップS306)。
特徴量抽出部322は、抽出した特徴量にセンサIDを対応付けて送信データ生成部323に出力する。送信データ生成部323は、特徴量抽出部322から出力された特徴量を含む送信データを生成する(ステップS307)。送信データ生成部323は、生成した送信データを通信部33に出力する。通信部33は、送信データ生成部323から出力された送信データを構造物評価装置40に送信する(ステップS308)。
取得部411は、信号処理部30から送信された送信データを取得する。取得部411は、取得した送信データを記憶部42に記憶する(ステップS309)。評価部412は、第一の期間が経過した後、第二の期間の間に取得された送信データを用いてPC鋼材の破断の可能性の有無を判断する(ステップS310)。具体的には、評価部412は、第二の期間の間に所定の数以上の送信データが取得された場合にPC鋼材が破断した可能性があると判断する。この場合、評価部412は、位置標定部413に対して弾性波源の位置標定を実行させる。例えば、評価部412は、第二の期間の間に取得された送信データを位置標定部413に出力するとともに、弾性波源の位置標定を指示する。
位置標定部413は、評価部412からの指示に応じて、第二の期間の間に取得された複数の送信データを用いて弾性波源を標定する(ステップS311)。位置標定部413は、標定結果を評価部412に出力する。評価部412は、位置標定部413から出力された標定結果に基づいてPC鋼材の破断を判断する(ステップS312)。評価部412は、評価結果を出力する(ステップS313)。具体的には、評価部412は、表示部43を制御して、評価結果を表示させる。表示部43は、評価部412の制御に従って評価結果を表示する。
以上のように構成された第3の実施形態における構造物評価システム100bによれば、第1の実施形態と同様に、補強コンクリートが有する鋼材の破断を精度よく評価することが可能になる。
構造物評価システム100bでは、信号処理部30bを処理が必要となるまでの間、休止状態としているため消費電力を削減することができる。具体的には、信号処理部30bが稼働している場合、センサ20から送信されるAE信号に対して常に信号処理が行われる。そのため、センサ20によって多くの弾性波が検出された場合には、PC鋼材の破断とは関係なくても信号処理を行う必要があった。そのため、消費電力が多くなってしまっていた。これに対して、第3の実施形態では、信号処理部30bによる処理が必要となるまでの間、信号処理部30bは休止状態としておき、信号処理部30bよりも消費電力が少なくて済む稼働制御装置50が信号の検出を行う。そして、稼働制御装置50において、信号処理部30bの稼働が櫃お湯であると判定した場合に、信号処理部30bが稼働状態になる。したがって、信号処理部30bを常に稼働しておく必要がない。そのため、構造物評価システム100b全体として消費電力を削減することができる。
以下、第3の実施形態における変形例について説明する。
評価部412は、第1の実施形態に示した評価部412と同様に、標定結果に基づいてPC鋼材の破断位置の判断を行ってもよい。
評価部412は、第1の実施形態に示した評価部412と同様に、第二の期間の間に所定の数以上の送信データが取得された場合にPC鋼材が破断したと判断してもよい。
信号処理部30bの各機能部は、図20の処理開始時において稼働状態であって、信号処理を行わずに待機していてもよい。このように構成される場合、信号処理部30bは、センサ20から出力されたAE信号を常に受信する。しかしながら、制御部32は、稼働部34からの稼働指示がなされるまでの間は信号処理を行わない。そして、稼働部34からの稼働指示がなされた場合に、制御部32は信号処理を行う。
このように構成されることによって、信号処理を行う分の消費電力を削減することができる。
信号処理部30bは、第2の実施形態と同様に、評価に必要となる送信データのみを構造物評価装置40に送信してもよい。このように構成される場合、制御部32の送信データ生成部323は、起動状態となった後に、送信条件が満たされたか否かを判定する。送信条件が満たされた場合、送信データ生成部323は送信データを生成する。
このように構成されることによって、消費電力を削減しつつ、構造物評価装置40の処理負荷を軽減することができる。
稼働部34は、稼働制御装置50から稼働信号を取得してから第一の期間が経過するまでの間待機して、第一の期間経過後に各機能部を稼働状態にしてもよい。具体的には、稼働部34は、稼働制御装置50から稼働信号を取得した時点を基準として、カウンタを用いて第一の期間が経過するまで待機する。また、稼働部34は、稼働制御装置50から出力された稼働信号に振幅の値が閾値以上の弾性波が検出された時刻情報を含まれる場合には、その時刻情報で示される時刻を基準として、カウンタを用いて第一の期間が経過するまで待機する。そして、稼働部34は、第一の期間経過後に各機能部を稼働状態にする。この場合、制御部32は、稼働状態になってから得られた信号を全て構造物評価装置40に送信させる。
このように構成されることによって、評価に必要なデータを取得するタイミングまで信号処理部30aの各機能部を休止状態とすることができる。これにより、少しでも長く信号処理部30aの各機能部が休止状態となる。そのため、消費電力を削減することができる。
信号処理部30bと稼働制御装置50とが一体化されて構成されてもよい。このように構成される場合、一体化された装置にはセンサ51が含まれなくてよい。そして、制御部52は、センサ20から得られるAE信号に基づいて、信号処理部30bが備えていた各機能部を稼働状態とするか否かを判定する。
以下、各実施形態に共通の変形例について説明する。
補強コンクリート10は、ポストテンション方式のプレストレストコンクリートに限らず、コンクリート内部に備えられる鋼材の破断により弾性波を発生させる補強コンクリートであればどのようなコンクリートであってもよい。例えば、補強コンクリート10は、プレテンション方式のプレストレストコンクリートであってもよい。
構造物評価装置40が備える各機能部は、一部又は全てが別の筺体に備えられていてもよい。例えば、構造物評価装置40が制御部41及び記憶部42を備えて、表示部43が別の筺体に備えられてもよい。同様に、構造物評価装置40aが備える各機能部は、一部又は全てが別の筺体に備えられていてもよい。例えば、構造物評価装置40aが制御部41a及び記憶部42を備えて、表示部43が別の筺体に備えられてもよい。このように構成される場合、制御部41及び41aは、評価結果及び位置標定結果を別の筺体に送信する。そして、別の筺体に備えられる表示部43は、評価結果及び位置標定結果を表示する。
このように構成されることによって、構造物評価装置40及び40aの製造コストを抑えることができる。
信号処理部30と、構造物評価装置40とは一体化されて構成されてもよい。信号処理部30と、構造物評価装置40aとは一体化されて構成されてもよい。信号処理部30bと、構造物評価装置40とは一体化されて構成されてもよい。
制御部41及び41aは、出力制御部を備えてもよい。出力制御部は、出力部を制御して、評価結果及び位置標定結果を出力する。ここで、出力部には、通信部及び印刷部が含まれる。出力部が通信部である場合、出力制御部は通信部を制御して、評価結果及び位置標定結果を他の装置に送信する。また、出力部が印刷部である場合、出力制御部は印刷部を制御して、評価結果及び位置標定結果を印刷する。構造物評価装置40及び40aは、出力部として通信部及び印刷部の一部又は全てを備えて上記の動作を実行してもよい。
送信データ生成部323及び323aは、特徴量抽出部322によって抽出された特徴量に基づいて、特徴量に含まれる振幅の大きさが閾値以上である場合に警告を示す警告用の送信データを生成してもよい。通信部33は、生成された警告用の送信データを補強コンクリート10に設けられる不図示の警報機に送信してもよいし、構造物評価装置40及び40aに送信してもよい。警告用の送信データを補強コンクリート10に設けられる警報機に送信する場合、警報機は警告用の送信データを受信することによって周囲に対して、破断が発生した可能性があることを示す警告を出力する。例えば、警報機は、音を出力することによって警告を通知してもよいし、音声により警告を通知してもよいし、ランプの点滅により警告を通知してもよいし、ランプの色を変化させることにより警告を通知してもよい。警告用の送信データを構造物評価装置40及び40aに送信する場合、制御部41及び41aは警告用の送信データを受信することによって、表示部43に警告を表示させてもよい。
このように構成されることによって、破断が発生した可能性があることを事前に通知することができる。これにより、現場の担当者においては破断の対策を事前に取ることができるため、効率的に作業することができる。
上記例では、PC鋼材の破断位置は決まっていないため、プレストレストコンクリート全体に配置することが必要となる。インフラのモニタリングシステムでは低コストで長期にわたって自律的に稼働することが求められる。全体に配置するためにセンサ数を増やすと、コストや消費電力の面での課題となる。そこで、各実施形態において以下のようにセンサ20を配置してもよい。図21は、各実施形態におけるセンサ20の別の配置例を示す図である。図21のように破断位置が推定できる場合には破断位置を囲むようにセンサを配置することが考えられる。しかし、図8及び9によると再定着により発生した弾性波は時間とともに進んでいくことがわかる。そこで、破断位置が推定できる場合には、図22のように破断想定位置をPとし、再定着の範囲が短い場合、長い場合それぞれD1(第一距離)、D2(第二距離)とし、再定着の先端はPC鋼材に沿うようにD1、D2離れた位置はそれぞれI1及びI2となる。そのため、少なくともI1およびI2が作るPC鋼材の線分を含むようにセンサを配置することで効果的に再定着を判断することができる。
また、図23のようにセンサ20で再定着により発生した弾性波を検出する場合、一般的に弾性波は距離とともに減衰する。そこで検出可能範囲Aとし、直径Aの円の内部にセンサ20を配置することが望ましい。そのため、PC鋼材に沿ったI1とI2とを結ぶ線分の所定位置を中心とした半径Bの複数の円の内側にセンサ20を配置することで、効率よく弾性波を検出することが可能となる。
Figure 0007353390000001
弾性波の検出可能範囲Aを決めるためには、弾性波の距離減衰を考慮する必要がある。ここではQ値を用いたアプローチの提案を行う。Q値とは、材料の距離減衰特性を表す指標であり、減衰が速いほど振動は早く減衰するため制振材料の評価としても用いられる。1サイクルの間に弾性波のエネルギーEがΔEだけ失われるとき、Q値は以下の式によって定義される。
Figure 0007353390000002
コンクリートのQ値に関する研究はこれまで複数なされており、これら既往の研究に基づけば、コンクリートのQ値が取り得る範囲はおおよそ10~40程度であると考えられる。
コンクリートのQ値が取り得るおおよその範囲において、予めその減衰特性を把握しておけば、使用するセンサの感度から、センサ間隔を導くことが可能である。Q値における各スペクトル比ln(X/X)、つまり距離減衰を算出には下式を用いる。式中のfは周波数[kHz]、dは伝播距離[m]を示す。
Figure 0007353390000003
例えば、Q=28.8の場合、5m離れれば、80kHzの周波数成分は4.5×10-5倍に減衰すると考えられる。プレストレストコンクリートおよび使用したセンサ、AFE31のS/N比等から弾性波の検出可能範囲Aを求めることが可能となる。破断位置を推定する場合には、PC鋼材の配置や危険位置を目視や設計図等で確認したり、腐食の状況をファイバスコープ等で確認することができる。また、充填状況をX線透過法といった方式で調べ、破断推定位置とすることができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、複数のセンサ20と、評価部412とを持つ。複数のセンサ20は、補強コンクリート10で発生した弾性波を検出する。評価部412は、複数のセンサ20によって検出された弾性波の大きさが閾値以上となった時点から第一の期間が経過した後の期間である第二の期間の間に検出された弾性波を用いて、鋼材の破断を評価する。これにより、補強コンクリートが有する鋼材の破断を精度よく評価することができる。
上述した実施形態における構造物評価装置40及び40bの一部の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (8)

  1. 補強用の鋼材を内部に有する補強コンクリートで発生した弾性波を検出する複数のセンサと、
    前記複数のセンサによって検出された前記弾性波の大きさが閾値以上となった時点から破断により生じた弾性波の影響を受けると想定される期間である第一の期間が経過した後の期間であって、破断により生じた弾性波の影響が少ないと想定される期間である第二の期間の間に検出された弾性波に基づいて、再定着により発生した弾性波を検出することで前記鋼材の破断を評価する評価部と、
    を備える構造物評価システム。
  2. 前記複数のセンサそれぞれによって、前記第二の期間の間に検出された複数の弾性波を用いて、弾性波源を標定する位置標定部をさらに備える、請求項1に記載の構造物評価システム。
  3. 前記評価部は、前記位置標定部の標定結果から、評価対象領域内のある範囲内に所定の数以上の弾性波源がある場合に前記鋼材が破断したと評価する、請求項2に記載の構造物評価システム。
  4. 前記複数のセンサによって検出された前記弾性波に対して信号処理を行う信号処理部と、
    前記信号処理部を稼働状態にさせる稼働制御部と、
    をさらに備え、
    前記稼働制御部は、前記弾性波の振幅の大きさが閾値以上の弾性波が検出された場合に、前記信号処理部を稼働状態にさせるための稼働信号を前記信号処理部に出力し、
    前記信号処理部は、前記稼働制御部から出力された前記稼働信号を取得した場合に、前記弾性波に対して信号処理を行い、信号処理後の信号を前記評価部に送信する、請求項1から3のいずれか一項に記載の構造物評価システム。
  5. 前記複数のセンサは、前記補強コンクリート内における前記鋼材の破断想定位置から第一距離だけ離した位置と、前記破断想定位置から前記第一距離よりも長い第二距離だけ離した位置とを含むように設置される、請求項1から4のいずれか一項に記載の構造物評価システム。
  6. 前記複数のセンサは、前記補強コンクリート内における前記鋼材の破断想定位置から第一距離だけ離した位置と、前記破断想定位置から前記第一距離よりも長い第二距離だけ離した位置とを結ぶ線分の所定位置を中心とした複数の円それぞれの内部に設置される、請求項1から4のいずれか一項に記載の構造物評価システム。
  7. 補強用の鋼材を内部に有する補強コンクリートで発生した弾性波を検出する複数のセンサによって検出された前記弾性波の大きさが閾値以上となった時点から破断により生じた弾性波の影響を受けると想定される期間である第一の期間が経過した後の期間であって、破断により生じた弾性波の影響が少ないと想定される期間である第二の期間の間に検出された弾性波に基づいて、再定着により発生した弾性波を検出することで前記鋼材の破断を評価する評価部、
    を備える構造物評価装置。
  8. 補強用の鋼材を内部に有する補強コンクリートで発生した弾性波を検出する複数のセンサによって検出された前記弾性波の大きさが閾値以上となった時点から破断により生じた弾性波の影響を受けると想定される期間である第一の期間が経過した後の期間であって、破断により生じた弾性波の影響が少ないと想定される期間である第二の期間の間に検出された弾性波に基づいて、再定着により発生した弾性波を検出することで前記鋼材の破断を評価する評価ステップ、
    を有する構造物評価方法。
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