実施形態では、第1、第2、第3・・・という序数詞を用いることがある。ある要素に序数詞が付されている場合に、より若番の同種類の要素が存在することは必須ではない。例えば、第3特性変換回路という用語は、第3特性変換回路とともに第1特性変換回路および第2特性変換回路が必ず存在することを意として使用されているわけではない。また、必要に応じて序数詞の番号を変更したり、序数詞を削除したり、序数詞を付したりすることができる。
実施形態では、特性変換回路の出力電流、出力電圧および出力電力の組み合わせを、特性変換回路の動作点と称することがある。特性変換回路の出力電力が最大となるときの動作点を、最大電力点と称することがある。
以下の説明において、同一または類似する構成要素については、同一の参照符号を付し説明を省略する場合がある。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る電力システム105のブロック図である。電力システム105は、パワーステーション10と、燃料電池発電システム40A,40Bおよび40Cと、基板60A,60Bおよび60Cと、ダイオード63A,63Bおよび63Cと、太陽光発電システム31Aおよび31Bと、蓄電装置25と、負荷250A,250B,250Cおよび259と、を有する。
[パワーステーション10]
パワーステーション10は、直流電力変換装置20と、第1DCバス11と、第4DCDCコンバータ12と、第1インバータ13と、を有する。
直流電力変換装置20は、出力電圧が所定範囲内にあるときに出力電力が最大になる太陽光発電システム対して最大電力点追従制御を実行できるように設計されている。太陽光発電システムは、太陽光発電パネルを用いて発電するシステムである。以下では、最大電力点追従制御を、MPPT制御と称することがある。
直流電力変換装置20には、太陽光発電システム31Aおよび31Bならびに燃料電池発電システム40A,40Bおよび40Cから直流電力が入力される。直流電力変換装置20から出力された直流電力は、第1DCバス11に供給される。
具体的には、直流電力変換装置20は、第1DCDCコンバータ21と、第2DCDCコンバータ22と、第3DCDCコンバータ23と、を有する。第1DCDCコンバータ21には、燃料電池発電システム40A,40Bおよび40Cから直流電力が入力される。第2DCDCコンバータ22には、第1太陽光発電システム31Aから直流電力が入力される。第3DCDCコンバータ23には、第2太陽光発電システム31Bから直流電力が入力される。これらのDCDCコンバータ21,22および23から出力された直流電力は、第1DCバス11に供給される。
第4DCDCコンバータ12は、第1DCバス11から入力された直流電力を、電圧の異なる直流電力に変換する。第4DCDCコンバータ12で変換された直流電力は、蓄電装置25に供給される。また、第4DCDCコンバータ12は、蓄電装置25から入力された電力を、電圧の異なる直流電力に変換し、第1DCバス11に供給する。つまり、第4DCDCコンバータ12は、双方向DCDCコンバータである。第4DCDCコンバータ12は、蓄電装置25の端子電圧が定格範囲となるように動作する。
第1インバータ13は、第1DCバス11から入力された直流電力を交流電力に変換する。得られた交流電力は、特定負荷259に供給される。
第1インバータ13は、図示しない系統電源から入力された交流電力を、直流電力に変換することもできる。こうして得られた直流電力は、第1DCバス11および第4DCDCコンバータ12を介して蓄電装置25に供給される。
[太陽光発電システム31Aおよび31B]
本実施形態では、電力システム105は、出力電圧が所定範囲内にあるときに出力電力が最大になる太陽光発電システムを少なくとも1つ備える。当該少なくとも1つの太陽光発電システムで生成された直流電力は、直流電力変換装置20に供給される。
具体的に、太陽光発電システム31Aおよび31Bは、出力電圧が所定範囲内にあるときに出力電力が最大になる太陽光発電システムに該当する。図示の例では、太陽光発電システム31Aおよび31Bは、同一の構成を有する。
第1太陽光発電システム31Aおよび31Bは、それぞれ、少なくとも1つの太陽光発電パネル36を有し、該少なくとも1つの太陽光発電パネル36を用いて発電する。太陽光発電システム31Aおよび31Bで生成された直流電力は、直流電力変換装置20に供給される。
[燃料電池発電システム40A,40Bおよび40C]
燃料電池発電システム40A,40Bおよび40Cは、燃料電池41を用いて発電するシステムである。燃料電池発電システム40,40Bおよび40Cで生成された直流電力は、直流電力変換装置20に供給され得る。図示の例では、燃料電池発電システム40A,40Bおよび40Cは、同一の構成を有する。
第1燃料電池発電システム40Aで生成された交流電力は、第1分散負荷250Aに供給され得る。第2燃料電池発電システム40Bで生成された交流電力は、第2分散負荷250Bに供給され得る。第3燃料電池発電システム40Cで生成された交流電力は、第3分散負荷250Cに供給され得る。
燃料電池発電システム40A,40Bおよび40Cは、それぞれ、燃料電池41と、DCDCコンバータ42と、DCバス43と、インバータ44と、制御器51と、を有する。
燃料電池41は、直流電力を発電する。具体的には、燃料電池41はスタックを含む。そして、スタックが、酸素および水素から直流電力を生成する。
DCDCコンバータ42は、燃料電池41で生成された直流電力を、電圧の異なる直流電力に変換する。この例では、DCDCコンバータ42は、燃料電池41で生成された直流電力を昇圧する。昇圧された直流電力は、DCバス43に供給される。
インバータ44は、DCバス43から入力された直流電力を、交流電力に変換する。第1燃料電池発電システム40Aのインバータ44で得られた交流電力は、第1分散負荷250Aに供給される。第2燃料電池発電システム40Bのインバータ44で得られた交流電力は、第2分散負荷250Bに供給される。第3燃料電池発電システム40Cのインバータ44で得られた交流電力は、第3分散負荷250Cに供給される。
制御器51は、DCDCコンバータ42と、インバータ44と、保護リレー62とを制御する。本実施形態では、制御器51は、マイクロコントロールユニット(MCU)である。
分散負荷250A,250Bおよび250Cは、それぞれ、電力を消費する少なくとも1つの機器を含んでいる。該機器は、例えば、コンセントに接続されるものである。本実施形態では、該機器は、家庭用電気機器である。ただし、該機器は、産業用電気機器であってもよい。該機器の具体例は、ヒータである。
図示の例では、分散負荷250A,250Bおよび250Cは、交流負荷である。ただし、分散負荷250A,250Bおよび250Cは、直流負荷であってもよい。その場合、インバータ44を省略できる。
以下、燃料電池発電システム40という表記を用いることがある。燃料電池発電システム40は、第1燃料電池発電システム40A、第2燃料電池発電システム40Bおよび第3燃料電池発電システム40Cのうちの任意の1つを指す。
また、以下、分散負荷250という表記を用いることがある。分散負荷250は、第1分散負荷250A、第2分散負荷250Bおよび第3分散負荷250Cのうちの任意の1つを指す。
[基板60A,60Bおよび60C]
第1基板60Aは、第1燃料電池発電システム40Aとパワーステーション10とを接続する経路上に設けられている。第2基板60Bは、第2燃料電池発電システム40Bとパワーステーション10とを接続する経路上に設けられている。第3基板60Cは、第3燃料電池発電システム40Cとパワーステーション10とを接続する経路上に設けられている。図示の例では、基板60A,60Bおよび60Cは、同一の構成を有する。
第1基板60Aには、第1燃料電池発電システム40Aから、具体的には第1燃料電池発電システム40AのDCバス43から、直流電力が供給される。第2基板60Bには、第2燃料電池発電システム40Bから、具体的には第2燃料電池発電システム40BのDCバス43から、直流電力が供給される。第3基板60Cには、第3燃料電池発電システム40Cから、具体的には第3燃料電池発電システム40CのDCバス43から、直流電力が供給される。
基板60A,60Bおよび60Cは、それぞれ、特性変換回路100と、LCフィルタ61と、保護リレー62と、を有する。
以下、基板60という表記を用いることがある。基板60は、第1基板60A、第2基板60Bおよび第3基板60Cのうちの任意の1つを指す。
以下、第1基板60Aの構成要素に「第1」という序数詞を付し、第2基板60Bの構成要素に「第2」という序数詞を付し、第3基板60Cの構成要素に「第3」という序数詞を付すことがある。例えば、第1基板60Aの特性変換回路100を、第1特性変換回路100と称することがある。第2基板60Bの特性変換回路100を、第2特性変換回路100と称することがある。第3基板60Cの特性変換回路100を、第3特性変換回路100と称することがある。
[ダイオード63A,63Bおよび63C]
第1ダイオード63Aは、第1基板60Aに対応付けられている。第2ダイオード63Bは、第2基板60Bに対応付けられている。第3ダイオード63Cは、第3基板60Cに対応付けられている。
以下、ダイオード63という表記を用いることがある。ダイオード63は、第1ダイオード63A、第2ダイオード63Bおよび第3ダイオード63Cのうちの任意の1つを指す。
図示の例では、第1分散システム30Aと、第2分散システム30Bと、第3分散システム30Cと、が構成されている。第1分散システム30Aは、第1燃料電池発電システム40Aと、第1基板60Aと、第1分散負荷250Aと、第1ダイオード63Aと、を含む。第2分散システム30Bは、第2燃料電池発電システム40Bと、第2基板60Bと、第2分散負荷250Bと、第2ダイオード63Bと、を含む。第3分散システム30Cは、第3燃料電池発電システム40Cと、第3基板60Cと、第3分散負荷250Cと、第3ダイオード63Cと、を含む。
第1分散システム30Aから第1DCDCコンバータ21に、直流電力が供給され得る。第2分散システム30Bから第1DCDCコンバータ21に、直流電力が供給され得る。第3分散システム30Cから第1DCDCコンバータ21に、直流電力が供給され得る。
以下、分散システム30という表記を用いることがある。分散システム30は、第1分散システム30A、第2分散システム30Bおよび第3分散システム30Cのうちの任意の1つを指す。
なお、「分散システム」という名称は、分散システムに限定を加える趣旨で付けられたものではない。例えば、ダイオード63、分散負荷250等の分散システム30の構成要素の位置は、特に限定されない。分散システム30の構成要素の所有者は、特に限定されない。分散システム30の全構成要素が単一の所有者のものであってもよく、分散システム30のある構成要素と別の構成要素とで所有者が異なっていてもよい。
特性変換回路100は、特性変換制御を実行する。特性変換制御は、特性変換回路100の出力電圧がある値であるときに特性変換回路100の出力電力が最大となる出力電圧-出力電力特性をもたらす。
以下、第1特性変換回路100が行う特性変換制御を、第1特性変換制御と称することがある。第2特性変換回路100が行う特性変換制御を、第2特性変換制御と称することがある。第3特性変換回路100が行う特性変換制御を、第3特性変換制御と称することがある。第1特性変換制御における「ある値」を、「第1電圧」と称することがある。第2特性変換制御における「ある値」を、「第2電圧」と称することがある。第3特性変換制御における「ある値」を、「第3電圧」と称することがある。
本実施形態では、各特性変換回路100は、特性変換制御における「ある値」が同じとなるように設計されている。このため、各特性変換制御における「ある値」は、実質的に同じである。ただし、各特性変換制御における「ある値」には、各特性変換回路100の個体ばらつきに由来するばらつきがある。このため、第1、第2および第3特性変換制御における「ある値」には第1、第2および第3特性変換回路100の個体ばらつきに由来するばらつきがある。
本実施形態では、直流電力変換装置20は、出力電圧が所定範囲内にあるときに出力電力が最大になる太陽光発電システムに対して、MPPT制御を実行できるように設計されている。特性変換制御は、特性変換回路100の出力電圧がある値であるときに特性変換回路100の出力電力が最大となる出力電圧-出力電力特性をもたらす。上記のある値は、具体的には、上記所定範囲内の値である。
また、特性変換制御は、特性変換回路100の出力電圧が上記ある値を跨ぐ領域において、特性変換回路100の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路100の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性をもたらす。ここで、特性変換回路100の出力電圧が上記ある値を跨ぐ領域は、特性変換回路100の出力電圧が上記ある値よりも小さい第1の値から上記ある値よりも大きい第2の値までの領域である。
本実施形態では、特性変換制御は、特性変換回路100の電気出力に基づいて実行される。このようにすれば、特性変換制御の精度を高め易い。具体的には、電気出力は、特性変換回路100の出力電圧および出力電流である。
本実施形態では、特性変換制御は、第1フィードバック制御および第2フィードバック制御を含む。第1フィードバック制御は、特性変換回路100の出力電流が相対的に小さいときに行われる制御である。第2フィードバック制御は、特性変換回路100の出力電流が相対的に大きいときに行われる制御である。
本実施形態では、第1フィードバック制御により、特性変換回路100の開放電圧が制御される。
本実施形態の特性変換回路100では、第1フィードバック回路110と、第2フィードバック回路120と、が設けられている。第1フィードバック回路110は、特性変換回路100の出力電圧の上限の目標値を規定するのに用いられる。第2フィードバック回路120は、特性変換回路100の出力電力がピークになるときにおける特性変換回路100の出力電圧(以下、最大電力点における出力電圧と称することがある)をある値に調整するのに用いられる。このピークは、具体的には、単一ピークである。
第1フィードバック回路110によれば、特性変換回路100の出力電圧が過度に大きくなることを防止できる。このため、第1フィードバック回路110によれば、燃料電池発電システム40から第1DCDCコンバータ21に過電圧が入力され直流電力変換装置20が壊れるのを防止できる。
上述のとおり、直流電力変換装置20は、出力電圧が所定範囲内にあるときに出力電力が最大になる太陽光発電システムに対して、MPPT制御を実行できるように設計されている。第2フィードバック回路120によれば、その所定範囲内のある値へと、特性変換回路100の最大電力点における出力電圧を調整できる。このため、特性変換回路100のMPPT制御が可能となる。また、特性変換回路100の出力電圧が上記の値となった時点で、特性変換回路100から第1DCDCコンバータ21に送られる電力の増加が停止される。このため、特性変換回路100から第1DCDCコンバータ21に送られる電力が過度に増加することを防止できる。燃料電池発電システム40から特性変換回路100に送られる電力が過度に増加することも防止できる。このため、燃料電池発電システム40の出力電力の増加に伴って燃料電池発電システム40の出力電流が過度に増加することを防止できる。このため、過電流保護機能が働いて燃料電池41の発電が停止され燃料電池発電システム40から第1DCDCコンバータ21への電力供給が停止されることを防止できる。
この例の特性変換回路100について、図2を用いてさらに説明する。図2において、実線は、特性変換回路100の出力電圧と特性変換回路100の出力電力との関係すなわちV-P特性を表す。点線は、特性変換回路100の出力電圧と特性変換回路100の出力電流との関係すなわちV-I特性を表す。一点鎖線は、第1フィードバック回路110の寄与を表す。二点鎖線は、第2フィードバック回路120の寄与を表す。
図2から理解されるように、第1フィードバック回路110により、特性変換回路100のV-I特性は、出力電流が小さい領域において出力電圧が目標値に追従するものとなる。第2フィードバック回路120により、特性変換回路100のV-I特性は、出力電流が大きい領域において出力電流が増加するにつれて出力電圧が低下するものとなる。これらの回路110および120の作用が相俟って、特性変換回路100のV-I特性は、図2の点線に示すものとなる。結果として、特性変換回路100のV-P特性は、図2の実線に示すような、単一ピークを有する上に凸のものとなる。このため、特性変換回路100のMPPT制御が可能となる。
なお、上記のある値は、目標値よりも低い。このため、特性変換回路100の最大電力点における出力電圧は、目標値よりも低い。また、この例では、特性変換回路100の入力電圧(この例ではDCバス43における電圧)は、目標値よりも大きい。ただし、入力電圧が目標値よりも小さい場合であっても、図2に示すV-P特性を得ることは可能である。
この例では、直流電力変換装置20は、第1DCDCコンバータ21、第2DCDCコンバータ22および第3DCDCコンバータ23を有する。第1DCDCコンバータ21は、MPPT制御を行うことによって、特性変換回路100の出力電圧を変化させる。第2DCDCコンバータ22は、MPPT制御を行うことによって、第1太陽光発電システム31Aの出力電圧を変化させる。第3DCDCコンバータ23は、MPPT制御を行うことによって、第2太陽光発電システム31Bの出力電圧を変化させる。
図3に、特性変換回路100の一例を示す。図3の特性変換回路100は、電流センサ128と、電圧電流制御回路160と、フィードバック電流供給部130と、を含む。特性変換回路100では、第1フィードバック回路110と、第2フィードバック回路120と、が設けられている。
第1フィードバック回路110は、第1抵抗111と、第2抵抗112と、第1シャントレギュレータ115と、を有する。第2フィードバック回路120は、第3抵抗121と、第4抵抗122と、第5抵抗123と、第2シャントレギュレータ125と、電流センサ128と、を有する。フィードバック電流供給部130は、電流供給電源131と、第6抵抗132と、を有する。本実施形態では、電流供給電源131は、定電圧源である。
電流センサ128は、特性変換回路100の出力電流の検出を行う。電流センサ128は、その検出の結果を表すセンサ出力を出力する。本実施形態では、電流センサ128は、その検出の結果を表すセンサ電圧Vsを出力する。電流センサ128は、特性変換回路100の出力電流が大きくなるほどセンサ電圧Vsを大きく出力する。つまり、センサ電圧Vsは、特性変換回路100の出力電流が大きくなるほど大きくなる。そのような電流センサ128は、例えば、シャント抵抗を用いて実現できる。
図4に、具体例に係る電流センサ128を示す。電流センサ128は、シャント抵抗128rと、電流センスアンプ128sと、を含む。シャント抵抗128rの抵抗値は、Rsenseである。シャント抵抗128rに電流Iloadが流れると、シャント抵抗128rに電圧RsenseIloadがかかる。電流センスアンプ128sは、電圧RsenseIloadにゲインGを乗じた電圧と、バイアス電圧Vbiasと、の合計電圧を、センサ電圧Vsとして出力する。つまり、本実施形態の電流センサ128が生成するセンサ電圧Vsは、数式1で与えられる。ただし、電流センサ128としてホール素子方式の電流センサ等の他の電流センサを用い、その電流センサの出力をセンサ電圧Vsとして用いてもよい。なお、電流Iloadは、特性変換回路100の出力電流に対応する。「*」は、乗算を表す記号である。
数式1:Vs=Rsense*Iload*G+Vbias
第1フィードバック回路110では、第1抵抗111および第2抵抗112により、特性変換回路100の出力電圧が分圧される。分圧された電圧が、第1抵抗111および第2抵抗112の接続点p1に現れる。以下、第1接続点p1に現れる電圧を、第1参照電圧Vref1と称することがある。第1参照電圧Vref1が、第1シャントレギュレータ115の第1参照電圧端子に入力される。第1参照電圧端子に入力される電圧が大きいほど、電流供給電源131、第6抵抗132、第1シャントレギュレータ115および基準電位をこの順に流れる電流(以下、第1電流と称することがある)i1は、大きくなる。図3において、第1電流i1は、第1シャントレギュレータ115を図示下向きに流れる電流である。
第2フィードバック回路120では、第3抵抗121および第4抵抗122により、特性変換回路100の出力電圧が分圧される。また、電流センサ128が、特性変換回路100の出力電流が大きくなるほど大きくなるセンサ電圧Vsを生成する。第5抵抗123および第4抵抗122により、このセンサ電圧Vsが分圧される。抵抗121および122に由来する分圧電圧に抵抗123および122に由来する分圧電圧が加算された電圧が、3つの抵抗121,122および123の接続点p2に現れる。以下、第2接続点p2に現れる電圧を、第2参照電圧Vref2と称することがある。第2参照電圧Vref2が、第2シャントレギュレータ125の第2参照電圧端子に入力される。第2参照電圧端子に入力される電圧が大きいほど、電流供給電源131、第6抵抗132、第2シャントレギュレータ125および基準電位をこの順に流れる電流(以下、第2電流と称することがある)i2は、大きくなる。図3において、第2電流i2は、第2シャントレギュレータ125を図示下向きに流れる電流である。
特性変換回路100の出力電流が小さい領域では、第2電流は実質的にゼロとなり、電流供給電源131から流出する電流は、実質的に第1電流である。一方、特性変換回路100の出力電流が大きい領域では、第1電流は実質的にゼロとなり、電流供給電源131から流出する電流は、実質的に第2電流である。つまり、特性変換回路100の出力電流が小さい領域では第1フィードバック回路110によって、特性変換回路100の出力電流が大きい領域では第2フィードバック回路120によって、特性変換回路100における特性変換が行われると言える。そのように回路110および120が動作するように、抵抗111,112,121,122および123ならびにシャントレギュレータ115および125のパラメータが選定されている。
電圧電流制御回路160は、DCDCコンバータである。電圧電流制御回路160は、燃料電池発電システム40と電流センサ128の間に設けられている。具体的には、電圧電流制御回路160は、DCバス43と電流センサ128の間に設けられている。
電圧電流制御回路160の変圧比は、特性変換回路100の出力電圧が上記のある値であるときに特性変換回路100の出力電力が最大となるように、センサ出力に応じて変更される。本実施形態では、電圧電流制御回路160は、電流供給電源131から流出する電流が大きいほど、電圧電流制御回路160の入力電圧に対する出力電圧の比率を小さくする。このように、特性変換回路100は、電流供給電源131から流出する電流に応じて上記比率が調整されるようになっている。このような特性変換回路100は、適宜設計可能である。
図5を参照して、本実施形態の第1シャントレギュレータ115についてさらに説明する。第1シャントレギュレータ115は、第1参照電圧端子115aと、第1カソード115Kと、第1アノード115Aと、第1基準電圧源115sと、第1オペアンプ115оと、第1トランジスタ115tと、を含む。第1オペアンプ115оは、非反転増幅端子115оaと、反転増幅端子115оbと、出力端子115оcと、を含む。第1トランジスタ115tは、カソード側端子115taと、アノード側端子115tbと、制御端子115tcと、を含む。非反転増幅端子115оaには、第1参照電圧端子115aに入力された電圧が供給される。反転増幅端子115оbの電圧は、第1基準電圧源115sによって、第1アノード115Aの電圧よりも第1基準電圧Vs1だけ高い電圧に設定されている。第1参照電圧端子115aに第1基準電圧Vs1よりも大きい電圧が入力されることによって非反転増幅端子115оaの電圧が反転増幅端子115оbよりも電圧が大きくなると、出力端子115оcから制御端子115tcに電流が流れ、第1カソード115Kからカソード側端子115taおよびアノード側端子115tbをこの順に介して第1アノード115Aへと第1電流i1が流れる。図5の例では、第1トランジスタ115tは、バイポーラトランジスタであり、具体的にはNPNトランジスタである。カソード側端子115taは、コレクタである。アノード側端子115tbは、エミッタである。制御端子115tcは、ベースである。なお、この説明では、出力端子115оcと制御端子115tcの間で流れる電流、具体的にはベース電流、は十分に小さいものとして無視している。
図5を参照した説明を踏まえて、第1フィードバック回路110の動作を以下のように説明できる。特性変換回路100の出力電圧Voutが大きくなると、第1参照電圧Vref1は大きくなる。第1シャントレギュレータ115では、第1参照電圧Vref1が大きくなることにより第1参照電圧Vref1の第1基準電圧Vs1からの乖離が大きくなればなるほど、第1電流i1が大きくなる。第1電流i1が大きくなると、電流供給電源131から流出する電流が大きくなる。この流出電流が大きくなると、電圧電流制御回路160の入力電圧に対する出力電圧の比率は小さくなる。このようにして、第1フィードバック回路110は、電圧電流制御回路160と協働して、特性変換回路100の出力電圧Voutを制御する。具体的には、第1フィードバック回路110は、電圧電流制御回路160と協働して、第1参照電圧Vref1が第1基準電圧Vs1に追従するように、特性変換回路100の変圧比を調節する。結果として、特性変換回路100の出力電圧Voutは目標値に追従する。
図6を参照して、本実施形態の第2シャントレギュレータ125についてさらに説明する。第2シャントレギュレータ125は、第2参照電圧端子125aと、第2カソード125Kと、第2アノード125Aと、第2基準電圧源125sと、第2オペアンプ125оと、第2トランジスタ125tと、を含む。第2オペアンプ125оは、非反転増幅端子125оaと、反転増幅端子125оbと、出力端子125оcと、を含む。第2トランジスタ125tは、カソード側端子125taと、アノード側端子125tbと、制御端子125tcと、を含む。非反転増幅端子125оaには、第2参照電圧端子125aに入力された電圧が供給される。反転増幅端子125оbの電圧は、第2基準電圧源125sによって、第2アノード125Aの電圧よりも第2基準電圧Vs2だけ高い電圧に設定されている。第2参照電圧端子125aに第2基準電圧Vs2よりも大きい電圧が入力されることによって非反転増幅端子125оaの電圧が反転増幅端子125оbよりも電圧が大きくなると、出力端子125оcから制御端子125tcに電流が流れ、第2カソード125Kからカソード側端子125taおよびアノード側端子125tbをこの順に介して第2アノード125Aへと第2電流i2が流れる。図6の例では、第2トランジスタ125tは、バイポーラトランジスタであり、具体的にはNPNトランジスタである。カソード側端子125taは、コレクタである。アノード側端子125tbは、エミッタである。制御端子125tcは、ベースである。なお、この説明では、出力端子125оcと制御端子125tcの間で流れる電流、具体的にはベース電流、は十分に小さいものとして無視している。
図6を参照した説明を踏まえて、第2フィードバック回路120の動作を以下のように説明できる。特性変換回路100の出力電圧Voutが大きくなると、また、特性変換回路100の出力電流が大きくなってセンサ電圧Vsが大きくなると、第2参照電圧Vref2は大きくなる。第2シャントレギュレータ125では、第2参照電圧Vref2が大きくなることにより第2参照電圧Vref2の第2基準電圧Vs2からの乖離が大きくなればなるほど、第2電流i2が大きくなる。第2電流i2が大きくなると、電流供給電源131から流出する電流が大きくなる。この流出電流が大きくなると、電圧電流制御回路160の入力電圧に対する出力電圧の比率は小さくなる。このようにして、第2フィードバック回路120は、電圧電流制御回路160と協働して、特性変換回路100の出力電圧Voutを制御する。具体的には、第2フィードバック回路120は、電圧電流制御回路160と協働して、第2参照電圧Vref2が第2基準電圧Vs2に追従するように、特性変換回路100の変圧比を調節する。
第2フィードバック回路120による第2フィードバック制御において、特性変換回路100の出力電流が大きくなりセンサ電圧Vsが大きくなると、電流センサ128から第5抵抗123を介して第2接続点p2に流れる電流が大きくなる。第2シャントレギュレータ125により、第2参照電圧Vref2は、一定の第2基準電圧Vs2に追従する。この追従を実現するために、第4抵抗122には、一定の電流が流れる。このことは、第5抵抗123を第2接続点p2に向かって流れる上記電流が大きくなると、第3抵抗121を第2接続点p2に向かって流れる電流が小さくなることを意味する。この電流が小さくなると、第3抵抗121で生じる電圧が小さくなる。このような理由で、特性変換回路100の出力電流が大きくなると、第2接続点p2の電圧が第2参照電圧Vref2に追従した状態で第3抵抗121で生じる電圧が小さくなる。その結果、特性変換回路100の出力電圧Voutが小さくなる。このようにして、第2フィードバック制御により、図2に示すような、特性変換回路100の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路100の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性が得られる。
以上の説明から理解されるように、特性変換回路100では、特性変換回路100の出力電流および出力電圧がその後の特性変換回路100の出力電流および出力電圧に反映されるという、フィードバック制御ループが構成されている。フィードバック制御ループは、フィードバック回路110または120を用いて構成されている。
また、第1フィードバック回路110は、第1フィードバック制御を行うと言える。第2フィードバック回路120は、第2フィードバック制御を行うと言える。具体的には、第1フィードバック回路110は、電圧電流制御回路160と協働して、第1フィードバック制御を行う。第2フィードバック回路120は、電圧電流制御回路160と協働して、第2フィードバック制御を行う。
図1に戻って、特性変換回路100の出力電力は、LCフィルタ61、保護リレー62およびダイオード63を介して、直流電力変換装置20に、具体的には第1DCDCコンバータ21に、供給される。
図1に示すように、特性変換回路100、ダイオード63および第1DCDCコンバータ21は、特性変換回路100、ダイオード63のアノード、ダイオード63のカソードおよび第1DCDCコンバータ21がこの順に現れるように接続されている。
ダイオード63の種類は特に限定されない。ダイオード63は、必要な耐電圧等を考慮して適宜選択され得る。ダイオード63は、例えば、ファストリカバリーダイオードである。
[蓄電装置25]
上述のように、蓄電装置25には、第4DCDCコンバータ12から電力が供給される。また、蓄電装置25は、第4DCDCコンバータ12に電力を供給する。
蓄電装置25は、例えば、リチウム電池である。ただし、蓄電装置25として、リチウム電池以外の電池を用いてもよい。蓄電装置25として、キャパシタを用いてもよい。
[特定負荷259]
特定負荷259は、電力を消費する少なくとも1つの機器を含んでいる。該機器は、例えば、ポンプである。
本実施形態では、図示しない系統電源の非停電時において、系統電源から特定負荷259に電力が入力される。一方、系統電源の停電時において、少なくとも1つの分散システム30から特定負荷259に電力が入力される。
図示の例では、特定負荷259は、交流負荷である。ただし、特定負荷259は、直流負荷であってもよい。その場合、インバータ13を省略できる。
上述の説明から理解されるように、電力システム105は、複数の分散システム30と、1つのDCDCコンバータ21と、を備える。なお、電力システム105が1つのDCDCコンバータ21を備えるという表現は、電力システム105がDCDCコンバータ21以外のDCDCコンバータを有していてもよく有していなくてもよいことを意図したものである。
具体的には、複数の分散システム30は、互いに並列接続されている。複数の分散システム30は、それぞれ、1つのDCDCコンバータ21に接続されている。
図1に示す例では、複数の分散システム30は、第1分散システム30Aと、第2分散システム30Bと、第3分散システム30Cと、を有する。
具体的には、分散システム30A,30Bおよび30Cは、互いに並列接続されている。分散システム30A,30Bおよび30Cは、それぞれ、1つのDCDCコンバータ21に接続されている。
本実施形態では、DCDCコンバータ21は、図示しないコンデンサを有している。この点は、DCDCコンバータ22およびDCDCコンバータ23についても同様である。
複数の分散システム30のそれぞれは、燃料電池発電システム40と、特性変換回路100と、ダイオード63と、を有する。
具体的には、複数の分散システム30のそれぞれにおいて、燃料電池発電システム40と、特性変換回路100と、ダイオード63とが、この順に接続されている。ダイオード63は、特性変換回路100とDCDCコンバータ21とを接続する経路上に、特性変換回路100からDCDCコンバータ21に向かう方向が順方向となるように配置されている。ここで、ダイオードの順方向は、ダイオードのアノードからカソードへ向かう方向である。
図1に示す例では、第1分散システム30Aは、第1燃料電池発電システム40Aと、第1特性変換回路100と、第1ダイオード63Aと、有する。第2分散システム30Bは、第2燃料電池発電システム40Bと、第2特性変換回路100と、第2ダイオード63Bと、有する。第3分散システム30Cは、第3燃料電池発電システム40Cと、第3特性変換回路100と、第3ダイオード63Cと、有する。
第1特性変換回路100は、第1基板60Aに含まれている。第2特性変換回路100は、第2基板60Bに含まれている。第3特性変換回路100は、第3基板60Cに含まれている。
具体的には、第1分散システム30Aにおいて、第1燃料電池発電システム40Aと、第1特性変換回路100と、第1ダイオード63Aとが、この順に接続されている。第2分散システム30Bにおいて、第2燃料電池発電システム40Bと、第2特性変換回路100と、第2ダイオード63Bとが、この順に接続されている。第3分散システム30Cにおいて、第3燃料電池発電システム40Cと、第3特性変換回路100と、第3ダイオード63Cとが、この順に接続されている。
第1ダイオード63Aは、第1特性変換回路100とDCDCコンバータ21とを接続する経路上に、第1特性変換回路100からDCDCコンバータ21に向かう方向が順方向となるように配置されている。第2ダイオード63Bは、第2特性変換回路100とDCDCコンバータ21とを接続する経路上に、第2特性変換回路100からDCDCコンバータ21に向かう方向が順方向となるように配置されている。第3ダイオード63Cは、第3特性変換回路100とDCDCコンバータ21とを接続する経路上に、第3特性変換回路100からDCDCコンバータ21に向かう方向が順方向となるように配置されている。
電力システム105の運転モードは、重畳モードと、切替モードと、を備える。
運転モードが重畳モードであるときに、複数の分散システム30のうちの少なくとも2つが特定出力状態をとる。なお、重畳モードにおいて、複数の分散システム30の全てが特定出力状態をとってもよい。
なお、「複数の分散システム30のうちの少なくとも2つ」の「複数の分散システム30」は、2つの分散システム30であってもよい。
図1に示す例では、分散システム30A、30Bおよび30Cのうちの少なくとも2つが特定出力状態をとる。なお、重畳モードにおいて、分散システム30A、30Bおよび30Cの全てが特定出力状態をとってもよい。
特定出力状態にある分散システム30は、以下の要件(i)、(ii)、(iii)および(iv)を満たす。
要件(i)は、燃料電池発電システム40が、特性変換回路100に直流電力を出力するという要件である。
図1に示す例では、第1燃料電池発電システム40Aが第1特性変換回路100に直流電力を出力している場合、第1分散システム30Aは要件(i)を満たしていると言える。第2燃料電池発電システム40Bが第2特性変換回路100に直流電力を出力している場合、第2分散システム30Bは要件(i)を満たしていると言える。第3燃料電池発電システム40Cが第3特性変換回路100に直流電力を出力している場合、第3分散システム30Cは要件(i)を満たしていると言える。
要件(ii)は、特性変換制御により、特性変換回路100の出力電圧-出力電力特性が、特性変換回路100の出力電圧がある値であるときに特性変換回路100の出力電力が最大になるように調整されるという要件である。
後述する第6の実施形態では、制御部670が特性変換制御を行う。要件(ii)は、第1から第5の実施形態のように特性変換制御が行われる場合のみならず、第6の実施形態のように特性変換制御が行われる場合にも満たされ得る。
図1に示す例では、特性変換制御により第1特性変換回路100の出力電圧-出力電力特性が第1特性変換回路100の出力電圧が第1電圧であるときに第1特性変換回路100の出力電力が最大になるように調整されている場合、第1分散システム30Aは要件(ii)を満たしていると言える。特性変換制御により第2特性変換回路100の出力電圧-出力電力特性が第2特性変換回路100の出力電圧が第2電圧であるときに第2特性変換回路100の出力電力が最大になるように調整されている場合、第2分散システム30Bは要件(ii)を満たしていると言える。特性変換制御により第3特性変換回路100の出力電圧-出力電力特性が第3特性変換回路100の出力電圧が第3電圧であるときに第3特性変換回路100の出力電力が最大になるように調整されている場合、第3分散システム30Cは要件(ii)を満たしていると言える。
要件(iii)は、特性変換回路100が、DCDCコンバータ21によりMPPT制御されるという要件である。
図1に示す例では、第1特性変換回路100がDCDCコンバータ21によりMPPT制御されている場合、第1分散システム30Aは要件(iii)を満たしていると言える。第2特性変換回路100がDCDCコンバータ21によりMPPT制御されている場合、第2分散システム30Bは要件(iii)を満たしていると言える。第3特性変換回路100がDCDCコンバータ21によりMPPT制御されている場合、第3分散システム30Cは要件(iii)を満たしていると言える。
要件(iv)は、特性変換回路100が、ダイオード63を介してDCDCコンバータ21へと直流電力を出力するという要件である。
図1に示す例では、第1特性変換回路100が第1ダイオード63Aを介してDCDCコンバータ21へと直流電力を出力している場合、第1分散システム30Aは要件(iv)を満たしていると言える。第2特性変換回路100が第2ダイオード63Bを介してDCDCコンバータ21へと直流電力を出力している場合、第2分散システム30Bは要件(iv)を満たしていると言える。第3特性変換回路100が第3ダイオード63Cを介してDCDCコンバータ21へと直流電力を出力している場合、第3分散システム30Cは要件(iv)を満たしていると言える。
重畳モードによれば、複数の燃料電池発電システム40から、電力を取り出すことができる。さらに、重畳モードによれば、その電力取り出しを特性変換制御およびMPPT制御を介して行うことができる。これらは、大きな電力を取り出すのに適している。
仮に、交流電力と交流電力とを重畳させるとする。その場合、重畳させるべき個々の交流電力の位相を合わせるための位相制御、負荷の変動に追従するための負荷制御等が必要となる。これらの制御を行うには、専用ソフト、機器連携のための制御用ケーブル等が必要となる。このことは、制御の複雑化およびコスト増大の原因となり得る。これに対し、本実施形態の重畳モードでは、直流電力と直流電力とが重畳される。このようにすることは、制御の容易化およびコスト低減の観点から有利である。
ところで、各分散システム30の特性変換回路100の出力電圧が、過渡的に低下することはあり得る。このような過渡的な低下は、例えば、燃料電池41に供給される酸素および/または水素の流量および/または温度の変動により生じ得る。しかし、本実施形態では、このような過渡的な低下が生じてもDCDCコンバータ21の入力電圧の安定性が保たれ得る。具体的に、上述のとおり、本実施形態では、DCDCコンバータ21は、コンデンサを有する。このコンデンサと、各分散システム30のダイオード63とは、協働して、ピークホールド回路を構成している。具体的に、特性変換回路100の出力電圧がDCDCコンバータ21の入力電圧よりも高い第1状況においてダイオード63に電流が流れ、特性変換回路100の出力電圧がDCDCコンバータ21の入力電圧よりも低い第2状況においてダイオード63に電流が流れない。特性変換回路100がDCDCコンバータ21の入力電圧を高めるよう作用し得る第1状況から第2状況に移行しても、DCDCコンバータ21のコンデンサの電荷が放電されるスピードは有限であるため、DCDCコンバータ21の入力電圧は急激には変化しない。ダイオード63は、このようにして、安定した電力取り出しに寄与する。このことは、非常時において有益であり得る。この利点は、重畳モードおよび切替モードの両方で享受され得る。
また、仮にダイオード63がなければ、重畳モードが実行されているときに上記のような過渡的な低下が分散システム30で生じると、その分散システム30における電力の逆流が生じ得る。そのような電力の逆流が生じると、過渡的な低下が収まった後に適切な電力変換制御が再開されるまでに時間がかかったり、特性変換回路100が故障したりするといった不具合が生じ得る。しかし、ダイオード63によれば、上記のような電力の逆流および不具合の発生が防止され得る。
運転モードが切替モードであるときには、複数の分散システム30のうちの1つのみが、特定出力状態をとる。運転モードが切替モードであるときには、特定出力状態にある分散システム30の特性変換回路100の出力電流が増加することにより出力電圧が低下して他の分散システム30の特性変換回路100の出力電圧未満となった場合、特定出力状態をとる分散システム30が当該他の分散システム30に切り替わる。切替モードは、DCDCコンバータ21への電力供給を複数の分散システム30に均等に分担させるのに適している。
電力システム105が図1に示す構成を有する場合、一例に係る切替モードでは、特定出力状態をとる分散システム30が、分散システム30A、分散システム30B、分散システム30C、分散システム30A、・・・のように順次切り替わる。具体的には、
・第1特性変換回路100、第2特性変換回路100および第3特性変換回路100のなかで、第1特性変換回路100の出力電圧が最も大きくなる
・第1特性変換回路100から第1ダイオード63Aを介してDCDCコンバータ21に電流が流れる
・第1特性変換回路100の出力電流の増加に伴い、第1特性変換回路100の出力電圧が低下する(∵図2のV-I特性のハッチングの矢印部)
・第1特性変換回路100の出力電圧よりも、出力電流が0Aである第2特性変換回路100の出力電圧が大きくなる
・第1特性変換回路100の出力電流が0Aとなり、第2特性変換回路100から第2ダイオード63Bを介してDCDCコンバータ21に電流が流れる
・第2特性変換回路100の出力電流の増加に伴い、第2特性変換回路100の出力電圧が低下する
・第2特性変換回路100の出力電圧よりも、出力電流が0Aである第3特性変換回路100の出力電圧が大きくなる
・第2特性変換回路100の出力電流が0Aとなり、第3特性変換回路100から第3ダイオード63Cを介してDCDCコンバータ21に電流が流れる
・第3特性変換回路100の出力電流の増加に伴い、第3特性変換回路100の出力電圧が低下する
・第3特性変換回路100の出力電圧よりも、出力電流が0Aである第1特性変換回路100の出力電圧が大きくなる
・第3特性変換回路100の出力電流が0Aとなり、第1特性変換回路100から第1ダイオード63Aを介してDCDCコンバータ21に電流が流れる
・・・
切替モードにおいて、特定出力状態にある第1分散システム30Aの第1特性変換回路100の出力電圧が低下して第2分散システム30Aの第2特性変換回路100の出力電圧未満になるタイミングを考える。第1ダイオード63Aでは、アノードには第1特性変換回路100からの出力電圧が印加され、カソードには第2特性変換回路100からの出力電圧が第2ダイオード63Bを介して印加される。そのため、第1ダイオード63Aでは、アノードの電位が低下してカソードの電位よりも低くなる。第1ダイオード63Aの端子間電圧のこのような変化に伴い、第1ダイオード63Aの電流が、第1ダイオード63AのV-I特性に従って急峻にゼロへと低下する。一方、第2ダイオード63Bでは、アノードには第2特性変換回路100からの出力電圧が印加され、カソードには第1特性変換回路100からの出力電圧が第1ダイオード63Aを介して印加される。そのため、第2ダイオード63Bでは、カソードの電位が低下してアノードの電位よりも低くなる。第2ダイオード63Bの端子間電圧のこのような変化に伴い、第2ダイオード63Bの電流が、第2ダイオード63BのV-I特性に従ってゼロから急峻に増加する。このようにして、特定出力状態にある分散システム30が、第1分散システム30Aから第2分散システム30Bに切り替わる。特定出力状態にある分散システム30が他の2つの分散システム30の間で切り替わる場合についても同様である。切替モードでは、そのような切り替わりが順次発生する。このようにして、ダイオード63は、切替モードの実現に貢献する。なお、この説明では、ダイオードの順方向電圧降下は無視している。
また、上述のとおり、本実施形態では、DCDCコンバータ21は、コンデンサを有する。このため、特定出力状態にある分散システム30が上記のように順次切り替わっても、DCDCコンバータ21の入力電圧の安定性が保たれる。
本実施形態では、重畳モードは、切替モードに比べ、DCDCコンバータ21への入力電力が相対的に大きいときに実行される。
本実施形態では、電力システム300は、パワーステーション10と、特定負荷259と、を備える。パワーステーション10は、DCDCコンバータ21を含み、特定負荷259に電力を出力する。なお、パワーステーション10は、電力が入出力される要素と解釈されるべきであり、その名称により構成が限定解釈されるべきではない。
本実施形態では、パワーステーション10への入力電力から特定負荷259の要求電力を差し引いた差分が0以上かつ単位電力未満となるように、特定出力状態をとる分散システム30の個数が調整される。このようにすれば、適切な大きさの電力をDCDCコンバータ21に入力できる。
ここで、単位電力は、各分散システム30が特定出力状態においてDCDCコンバータ21へと出力する電力の平均である。具体的に、この平均は、相加平均である。図1に示す例では、単位電力は、第1分散システム30Aが特定出力状態においてDCDCコンバータ21へと出力する電力と、第2分散システム30Bが特定出力状態においてDCDCコンバータ21へと出力する電力と、第3分散システム30Cが特定出力状態においてDCDCコンバータ21へと出力する電力と、の合計を3で割った値である。
なお、各分散システム30が特定出力状態においてDCDCコンバータ21へと出力する電力Pxは、厳密に同一でなくてもよい。上述のように、特性変換回路100には個体ばらつきがあり得るし、分散システム30の他の要素の個体ばらつきもあり得るためである。複数の分散システム30において、電力Pxが最大である分散システム30と、電力Pxが最小である分散システム30とでは、電力Pxの差は、例えば20W以下であり、10W以下であってもよい。
図1に示す例では、太陽光発電システム31Aおよび31Bの発電量は、例えば夜間においては、ゼロであり得る。太陽光発電システム31Aおよび31Bの発電量がゼロである場合、DCDCコンバータ21への入力電力から特定負荷259の要求電力を差し引いた差分が0以上かつ単位電力未満となるように、特定出力状態をとる分散システム30の個数が調整される。昼間において、太陽光発電システム31Aおよび31Bが発電している場合は、それらの発電量に応じて、特定出力状態をとる分散システム30の個数が調整される。
本実施形態では、電力システム300は、特定負荷259と、蓄電装置25と、を備える。特定負荷259には、DCDCコンバータ21から電力が入力される。蓄電装置25には、DCDCコンバータ21から電力が入力される。本実施形態によれば、DCDCコンバータ21に過剰な電力が入力された場合に、余剰分を、一旦蓄電装置25に蓄え、後に利用することができる。
本実施形態では、特定負荷259の要求電力に応じて、DCDCコンバータ21が複数の分散システム30から取り出そうとする電力が定まる。その取り出そうとする電力を賄うとともに上記単位電力以上の余剰電力が生じないように、複数の分散システム30のうちのいくつが特定出力状態をとるかが自動的に定まる。余剰電力は、蓄電装置25に充電される。上記の文脈において「特定負荷259の要求電力に応じて」は、特定負荷259の要求電力および太陽光発電システム31Aおよび31Bの発電電力に応じて、を含む概念である。
本実施形態では、停電の発生を契機として、複数の分散システム30のうちの少なくとも1つが特定出力状態でDCDCコンバータ21を介して特定負荷259に電力を出力する停電時出力が開始される。上記の文脈において、停電は、系統電源の停電である。
停電時出力を行っているときに、電力システム105の運転モードは、重畳モードまたは切替モードであり得る。
本実施形態では、複数の分散システム30のそれぞれは、燃料電池発電システム40から電力が入力される分散負荷250を含んでいる。
本実施形態では、複数の分散システム30のそれぞれにおいて、燃料電池発電システム40から分散負荷250への電力供給は、特性変換回路100を介さず行うことができる。この電力供給は、分電盤、配電盤等を介して行われてもよく、直接的に行われてもよい。
本実施形態では、停電の発生を契機として、上記少なくとも2つの分散システム30において、燃料電池発電システム40から分散負荷250への電力供給に制約が課される。このようにすれば、停電時出力において、特定負荷259の要求電力を確保し易い。
例えば、上記の制約は、燃料電池発電システム40から分散負荷250への電力供給量の上限が設定されるというものである。また例えば、上記の制約は、燃料電池発電システム40から分散負荷250への電力供給が禁止されるというものである。
図1に示す例では、上記少なくとも2つの分散システム30に第1分散システム30Aが含まれる場合、停電の発生を契機として、第1燃料電池発電システム40Aから第1分散負荷250Aへの電力供給に制約が課される。上記少なくとも2つの分散システム30に第2分散システム30Bが含まれる場合、停電の発生を契機として、第2燃料電池発電システム40Bから第2分散負荷250Bへの電力供給に制約が課される。上記少なくとも2つの分散システム30に第3分散システム30Cが含まれる場合、停電の発生を契機として、第3燃料電池発電システム40Cから第3分散負荷250Cへの電力供給に制約が課される。
停電の発生を契機として、全ての分散システム30において、燃料電池発電システム40から分散負荷250への電力供給に制約が課されてもよい。
本実施形態では、非停電時において、上記少なくとも2つの分散システム30において、燃料電池発電システム40から分散負荷250への電力供給に制約は課されない。
図1に示す例では、上記少なくとも2つの分散システム30に第1分散システム30Aが含まれる場合、非停電時において、第1燃料電池発電システム40Aから第1分散負荷250Aへの電力供給に制約は課されない。上記少なくとも2つの分散システム30に第2分散システム30Bが含まれる場合、非停電時において、第2燃料電池発電システム40Bから第2分散負荷250Bへの電力供給に制約は課されない。上記少なくとも2つの分散システム30に第3分散システム30Cが含まれる場合、非停電時において、第3燃料電池発電システム40Cから第3分散負荷250Cへの電力供給に制約は課されない。
非停電時において、全ての分散システム30において、燃料電池発電システム40から分散負荷250への電力供給に制約が課されなくてもよい。
一具体例では、電力システム105は、アパートメントまたはコンドミニアム等の集合住宅に組み込まれている。集合住宅における互いに異なる住戸に、分散システム30が配置されている。特定負荷は、集合住宅において水を循環させるためのポンプである。
本実施形態では、複数の分散システム30における特性変換回路100のうち、「ある値」が最大である特性変換回路100と、「ある値」が最小である特性変換回路とでは、「ある値」の差が20V以下である。この差がこの程度に小さいと、重畳モードを実施し易い。具体的には、本実施形態では、この差は、10V以下である。
図1に示す例では、第1電圧と第2電圧との差は、20V以下である。第2電圧と第3電圧との差は、20V以下である。第3電圧と第1電圧との差は、20V以下である。具体的には、第1電圧と第2電圧との差は、10V以下である。第2電圧と第3電圧との差は、10V以下である。第3電圧と第1電圧との差は、10V以下である。
本実施形態では、特性変換制御は、特性変換回路100の出力電圧がある値よりも大きい領域において、特性変換回路100の出力電流が増加すると特性変換回路100の出力電圧が減少する出力電圧-出力電流特性をもたらす。このような出力電圧-出力電流特性は、特性変換回路100がもたらす出力電圧-出力電流特性の典型例である。また、このような出力電圧-出力電流特性は、切替モードを実行するのに適している。
図1に示す例では、第1特性変換制御は、第1特性変換回路100の出力電圧が第1電圧よりも大きい領域において第1特性変換回路100の出力電流が増加すると第1特性変換回路100の出力電圧が減少する出力電圧-出力電流特性をもたらす。第2特性変換制御は、第2特性変換回路100の出力電圧が第2電圧よりも大きい領域において第2特性変換回路100の出力電流が増加すると第2特性変換回路100の出力電圧が減少する出力電圧-出力電流特性をもたらす。第2特性変換制御は、第3特性変換回路100の出力電圧が第3電圧よりも大きい領域において第3特性変換回路100の出力電流が増加すると第3特性変換回路100の出力電圧が減少する出力電圧-出力電流特性をもたらす。
[特性変換回路の具体例]
上記の説明から理解されるように、この例では、特性変換回路100は、DCDCコンバータである電圧電流制御回路160を有する。特性変換回路100の出力電流が所定値未満のときにおいて、電圧電流制御回路160および第1フィードバック回路110は、協働して、特性変換回路100の出力電圧に応じて特性変換回路100の出力電圧を調整することによって特性変換回路100の出力電圧を目標値に追従させる第1フィードバック制御を行う。また、特性変換回路100の出力電流が所定値以上のときにおいて、電圧電流制御回路100および第2フィードバック回路120は、協働して、特性変換回路100の出力電流が大きいほど特性変換回路100の出力電圧を低下させることによって特性変換回路100の出力電力がピークになるときにおける特性変換回路100の出力電圧をある値に調整する第2フィードバック制御を行う。
このような第1および第2フィードバック制御を実現する特性変換回路100は適宜設計可能であるが、以下では、特性変換回路100の具体例である特性変換回路100Xについて、図7を参照しながら説明する。以下では、図3を参照して既に説明した要素については、同一符号を付し、その説明を省略することがある。
特性変換回路100Xでは、LLCコンバータが構成されている。このLLCコンバータは、電流供給電源131から流出する電流が大きいほど高い発振周波数が規定され、発振周波数が高いほど特性変換回路100Xの入力電圧に対する出力電圧の比率が小さくなるように構成されている。
具体的には、特性変換回路100Xは、第1フィードバック回路110と、第2フィードバック回路120と、フィードバック電流供給部130Xと、電流共振制御部140と、電圧電流制御回路160Xと、を有する。電圧電流制御回路160Xが、上記LLCコンバータを構成している。
フィードバック電流供給部130Xは、電流供給電源131および第6抵抗132に加え、第1発光ダイオード135を有する。第1発光ダイオード135には、電流供給電源131から流出した電流が流れる。
電流共振制御部140は、第7抵抗141と、第1コンデンサ142と、第8抵抗143と、第1フォトトランジスタ145と、制御IC146と、を有する。第7抵抗141と、第1コンデンサ142と、第8抵抗143および第1フォトトランジスタ145の組み合わせとは、互いに並列に接続されている。第1フォトトランジスタ145は、第1発光ダイオード135と協働して、第1フォトカプラ150を構成している。制御IC146は、定電流源147と、フィードバック端子148と、ハイサイドドライバ出力端子149aと、ローサイドドライバ出力端子149bと、を有する。
電流共振制御部140では、第1コンデンサ142に電荷が充電される期間(以下、充電期間と称することがある)と、第1コンデンサ142から電荷が放電される期間(以下、放電期間と称することがある)とが、交互に訪れる。放電期間と充電期間とは、フィードバック端子148の電圧に基づいて切り替わる。
具体的には、充電期間において、定電流源147からフィードバック端子148を介して第1コンデンサ142に電荷が充電されていく。充電が進むにつれて、フィードバック端子148の電圧が上昇していく。フィードバック端子148の電圧が第1の電圧に達すると、放電期間に切り替わる。放電期間においては、定電流源147から第1コンデンサ142への電荷の充電は停止される。放電期間においては、第1コンデンサ142に充電された電荷は、第7抵抗141を介して放電される。放電期間においては、電荷が第8抵抗143および第1フォトトランジスタ145を介してさらに放電される。放電が進むにつれて、フィードバック端子148の電圧が低下していく。フィードバック端子148の電圧が第2の電圧に達すると、充電期間に切り替わる。
第1発光ダイオード135を流れる電流が大きいほど、第1フォトトランジスタ145に大きい電流が流れ、放電期間における第8抵抗143および第1フォトトランジスタ145を介した電荷の放電が速くなり、放電期間が短くなり、充放電周波数が高くなる。充放電周波数は、上記の発振周波数に対応する。
ある放電期間において、ハイサイドドライバ出力端子149aから駆動信号が出力される。次の放電期間において、ローサイドドライバ出力端子149bから駆動信号が出力される。次の放電期間において、ハイサイドドライバ出力端子149aから駆動信号が出力される。次の放電期間において、ローサイドドライバ出力端子149bから駆動信号が出力される。これが繰り返され、ドライバ出力端子149aおよび149bから、互いに逆位相の駆動パルス信号が出力される。これらの駆動パルス信号の周波数は、上記の充放電周波数が高くなるほど高くなる。なお、充電期間は、両ドライバ出力端子149aおよび149bのいずれからも駆動信号が出力されないデッドタイムとなる。
電圧電流制御回路160Xは、第2コンデンサ161と、第1スイッチング素子162aと、第2スイッチング素子162bと、第3コンデンサ163aと、第4コンデンサ163bと、第5コンデンサ164と、トランス165と、第1ダイオード166aと、第2ダイオード166bと、第6コンデンサ167と、を有する。
スイッチング素子162aおよび162bは、直列に接続されることにより、直列回路を構成している。この直列回路には、第2コンデンサ161が並列接続されている。第1スイッチング素子162aには第3コンデンサ163aが並列接続されている。第2スイッチング素子162bには第4コンデンサ163bが並列接続されている。
この例では、スイッチング素子162aおよび162bは、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。また、第5コンデンサ164は、共振コンデンサである。
トランス165は、1次側の巻線である第1巻線165aと、2次側の巻線である第2巻線165bおよび第3巻線165cと、を有する。
第1巻線165aの一端には、第1スイッチング素子162aの電流流出端子と、第2スイッチング素子162bの電流流入端子と、が接続されている。第1巻線165aの他端と第2スイッチング素子162bの電流流出端子との間には、第5コンデンサ164が接続されている。なお、この例では、電流流出端子はソース端子である。電流流入端子は、ドレイン端子である。
第2巻線165bの一端には、第1ダイオード166aのアノードが接続されている。第1ダイオード166aのカソードには、第6コンデンサ167の一端と、第2ダイオード166bのカソードと、が接続されている。第2巻線165bの他端には、第6コンデンサ167の他端と、基準電位とが接続されている。
第3巻線165cの一端には、第6コンデンサ167の他端と、基準電位とが接続されている。第3巻線165cの他端には、第2ダイオード166bのアノードが接続されている。
第1スイッチング素子162aの制御端子には、ハイサイドドライバ出力端子149aから駆動パルス信号が供給される。第2スイッチング素子162bの制御端子には、ローサイドドライバ出力端子149bから駆動パルス信号が供給される。これにより、スイッチング素子162aおよび162bは、互いに逆位相の駆動パルス信号が供給されることによって、交互にオンオフする。なお、この例では、制御端子は、ゲート端子である。
スイッチング素子162aおよび162bに供給される駆動パルス信号の周波数が高いほど、LLC共振に基づき、電圧電流制御回路160Xの入力電圧に対する出力電圧の比率が小さくなる。
[特性変換回路の別例]
図8に、特性変換回路の別例を示す。以下では、図3の例と同様の部分については、説明を省略することがある。
図8に示す特性変換回路190では、図3の特性変換回路100のフィードバック電流供給部130に代えて、フィードバック電流供給部195が設けられている。フィードバック電流供給部195は、電流供給電源131および第6抵抗132に加え、第9抵抗191を有する。
特性変換回路190では、特性変換回路100と同様、第1シャントレギュレータ115の第1参照電圧端子に入力される電圧が大きいほど、電流供給電源131、第6抵抗132、第1シャントレギュレータ115および基準電位をこの順に流れる電流すなわち第1電流が大きくなる。一方、特性変換回路190では、特性変換回路100と異なり、第2シャントレギュレータ125の第2参照電圧端子に入力される電圧が大きいほど、電流供給電源131、第9抵抗191、第2シャントレギュレータ125および基準電位をこの順に流れる電流すなわち第2電流が大きくなる。
特性変換回路190の出力電流が小さい領域では、第2電流は実質的にゼロとなり、電流供給電源131から流出する電流は、実質的に第1電流である。一方、特性変換回路100の出力電流が大きい領域では、第1電流は実質的にゼロとなり、電流供給電源131から流出する電流は、実質的に第2電流である。つまり、特性変換回路190の出力電流が小さい領域では第1フィードバック回路110によって、特性変換回路190の出力電流が大きい領域では第2フィードバック回路120によって、特性変換回路190における特性変換が行われると言える。これらの点で、特性変換回路190は、特性変換回路100と共通している。このため、特性変換回路190では、特性変換回路100と同様に、電圧電流制御回路160の入力電圧に対する出力電圧の比率が調整される。
図9に、特性変換回路190の具体例である特性変換回路190Xを示す。以下では、図7の例と同様の部分については、説明を省略することがある。
図9に示す特性変換回路190Xでは、図7の特性変換回路100Xのフィードバック電流供給部130Xに代えて、フィードバック電流供給部195Xが設けられている。また、特性変換回路190Xでは、特性変換回路100Xの電流共振制御部140に代えて、電流共振制御部199が設けられている。
フィードバック電流供給部195Xは、電流供給電源131、第6抵抗132および第1発光ダイオード135に加え、第9抵抗191および第2発光ダイオード192を有する。電流共振制御部199は、第7抵抗141、第1コンデンサ142、第8抵抗143、第1フォトトランジスタ145および制御IC146に加え、第10抵抗196および第2フォトトランジスタ197を有する。
第7抵抗141と、第1コンデンサ142と、第8抵抗143および第1フォトトランジスタ145の組み合わせと、第10抵抗196および第2フォトトランジスタ197の組み合わせとは、互いに並列に接続されている。第2発光ダイオード192および第2フォトトランジスタ197は、協働して、第2フォトカプラ198を構成している。
電流共振制御部199では、電流共振制御部140と同様、第1コンデンサ142に電荷が充電される期間(以下、充電期間と称することがある)と、第1コンデンサ142から電荷が放電される期間(以下、放電期間と称することがある)とが、交互に訪れる。
具体的には、充電期間において、定電流源147からフィードバック端子148を介して第1コンデンサ142に電荷が充電されていく。充電が進むにつれて、フィードバック端子148の電圧が上昇していく。フィードバック端子148の電圧が第1の電圧に達すると、放電期間に切り替わる。放電期間においては、定電流源147から第1コンデンサ142への電荷の充電は停止される。放電期間においては、第1コンデンサ142に充電された電荷は、第7抵抗141を介して放電される。放電期間においては、電荷が、第8抵抗143および第1フォトトランジスタ145を介して、または、第10抵抗196および第2フォトトランジスタ197を介して、さらに放電される。放電が進むにつれて、フィードバック端子148の電圧が低下していく。フィードバック端子148の電圧が第2の電圧に達すると、充電期間に切り替わる。
電流共振制御部199における第1コンデンサ142の電荷の充電状態は、電流共振制御部140と同様に変化する。このため、特性変換回路190Xでは、特性変換回路100Xと同様に、電圧電流制御回路160Xの入力電圧に対する出力電圧の比率が調整される。
改めて断っておくが、図3の特性変換回路100の具体例は、図7の特性変換回路100Xには限られない。例えば、電流供給電源131から流出する電流が大きいほど小さいデューティ比が規定され、そのデューティ比に基づいて動作するDCDCコンバータを特性変換回路内に構成することもできる。図8の特性変換回路190の具体例についても同様である。
また、図3および図7の第1フィードバック回路110および第2フィードバック回路120の構成も必須ではない。
(第2の実施形態)
図10は、本実施形態に係る電力システム205のブロック図である。本実施形態では、特性変換制御は、特性変換回路200の出力電圧がある値であるときに特性変換回路200の出力電力が最大となる出力電圧-出力電力特性をもたらす。上記のある値は、具体的には、第1の実施形態と同様、所定範囲内の値である。
また、特性変換制御は、特性変換回路200の出力電圧が上記ある値を跨ぐ領域において、特性変換回路200の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路200の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性をもたらす。ここで、特性変換回路200の出力電圧が上記ある値を跨ぐ領域は、特性変換回路200の出力電圧が上記ある値よりも小さい第1の値から上記ある値よりも大きい第2の値までの領域である。
上記の出力電圧-出力電力特性および出力電圧-出力電流特性の一例を、図11に示す。図11では、特性変換回路200の出力電圧-出力電力特性を、V-P特性と記載している。特性変換回路200の出力電圧-出力電流特性を、V-I特性と記載している。実線は、V-P特性を表す。点線は、V-I特性を表す。
特性変換回路200によれば、MPPT制御に基づいて燃料電池発電システム40から第1DCDCコンバータ21に大きな電力を取り出し易い。以下、この点について、図11とともに図12を参照しながら説明する。
上述のように、特性変換制御は、特性変換回路200の出力電圧が上記ある値を跨ぐ領域において特性変換回路200の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路200の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性をもたらす。この出力電圧-出力電流特性により、特性変換回路200の出力電圧-出力電力特性のグラフは、出力電圧が上記ある値を跨ぐ領域において、出力電圧に対して出力電力が上に凸の曲線状となり得る。典型例では、特性変換回路200の出力電圧-出力電力特性のグラフは、出力電圧が上記ある値のときに出力電力が最大となる単一ピークのグラフである。
仮に、特性変換回路200の出力電圧-出力電力特性のグラフが、図12に示すような、出力電圧に対して出力電力が上に凸の直線状であったとする。この場合において、MPPT制御を実行したものの、動作点が最大電力点からずれた点に調整されたとする。具体的には、特性変換回路200の出力電圧が、最大電力点の出力電圧Vtargetからずれた電圧Vrealに調整されたとする。この場合、特性変換回路200の出力電力は、動作点が最大電力点に調整された場合に比べ、減少する。図12では、この減少幅を、ΔPBと記載する。
図11の例においても、特性変換回路200の出力電圧が最大電力点の出力電圧Vtargetからずれた電圧Vrealに調整されると、特性変換回路200の出力電力は、動作点が最大電力点に調整された場合に比べ、減少する。図11では、この減少幅を、ΔPAと記載する。
上述のように、特性変換回路200の出力電圧-出力電力特性のグラフが直線状である場合も曲線状である場合も、動作点が最大電力点からずれると、特性変換回路200の出力電力は減少する。しかし、その減少幅は異なる。具体的には、図11の場合の減少幅ΔPAは、図12の減少幅ΔPBよりも小さい。このように、出力電圧-出力電力特性のグラフが上に凸の曲線状であることは、上記のずれに起因する出力電力の減少幅を抑え、燃料電池発電システム40から第1DCDCコンバータ21へと取り出される電力の減少幅を抑える観点から有利である。ただし、特性変換制御は、図12の出力電圧-出力電力特性をもたらすものであってもよい。
現実のMPPT制御には、山登り法の他、取り出し電圧を予め定められた電圧に制御するものもあり、そのような制御では動作点を最大電力点に高い精度で一致させることは必ずしも容易ではない。山登り法でも、制御の分解能によっては安定的に最大電力を取り出せない場合もあり得る。このため、出力電圧-出力電力特性のグラフが上に凸の曲線状であることは、MPPT制御の方式および分解能に起因する出力電力の減少幅を抑えることができる点で、現実にメリットがある。
また、ユーザーが、ある業者から特性変換回路200を購入し、別の業者からMPPT制御を行う直流電力変換装置20を購入することもあり得る。その場合、特性変換回路200は、特性変換回路200の設計者からみて不明な性能を有する直流電力変換装置20に接続されることになる。この場合は、特性変換制御とMPPT制御とが完全には適合していないことが原因で、動作点が最大電力点からずれた点に調整されることがあり得る。このことからも、出力電圧-出力電力特性のグラフが上に凸の曲線状であることは、現実にメリットがあると言える。また、出力電圧-出力電力特性のグラフが凸の曲線状であることは、特性変換回路200のコンパティビリティを高め、採用可能な直流電力変換装置20の制約を小さくするとも言える。
図11に示すように、特性変換制御は、特性変換回路200の出力電圧が0よりも大きく上記ある値よりも小さい領域において、特性変換回路200の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路200の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性をもたらすものであってもよい。また、特性変換制御は、特性変換回路200の出力電圧が上記ある値よりも大きく開放電圧よりも小さい領域において、特性変換回路200の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路200の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性をもたらすものであってもよい。ここで、開放電圧は、特性変換回路200の出力電流がゼロであるときの特性変換回路200の出力電圧である。
上記ある値よりも小さい値を第1の値と定義する。上記ある値よりも大きい値を第2の値と定義する。このとき、図11の例では、出力特性は、出力電圧が第1の値よりも大きく上記ある値よりも小さい領域と出力電圧が上記ある値よりも大きく第2の値よりも小さい領域の両方において、出力電圧が大きくなるほど出力電流が線形的に小さくなる特性である。つまり、出力特性は、上記の両方の領域において、出力電圧に対して出力電流が一次関数の形態で小さくなる特性である。これにより、出力特性は、上記の両方の領域において、出力電力が出力電圧に対して二次関数の形態で変化する特性となり得る。
具体的には、図11の例では、出力特性は、出力電圧が0よりも大きく上記ある値よりも小さい領域と出力電圧が上記ある値から開放電圧の値までの領域の両方において、出力電圧が大きくなるほど出力電流が線形的に小さくなる特性である。つまり、出力特性は、上記の両方の領域において、出力電圧に対して出力電流が一次関数の形態で小さくなる特性である。これにより、出力特性は、上記の両方の領域において、出力電力が出力電圧に対して二次関数の形態で変化する特性となり得る。
出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、電圧がゼロかつ電力がゼロである点を原点と定義する。出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、最大電力点は、電圧が上記ある値であり電力が最大である点と言える。出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、電圧が開放電圧であり電力がゼロである点を、開放電圧点と定義する。出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、原点と最大電力点とを結ぶ直線を第1直線と定義する。出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、最大電力点と開放電圧点とを結ぶ直線を第2直線と定義する。このとき、図11の例では、出力電圧-出力電力特性のグラフにおける出力電圧が第1の値よりも大きく上記ある値よりも小さい領域が、第1直線よりも高電力側にある。出力電圧-出力電力特性のグラフにおける出力電圧が上記ある値よりも大きく第2の値よりも小さい領域が、第2直線よりも高電力側にある。
具体的には、図11の例では、出力電圧-出力電力特性のグラフにおける出力電圧が0よりも大きく上記ある値よりも小さい領域が、第1直線よりも高電力側にある。出力電圧-出力電力特性のグラフにおける出力電圧が上記ある値から開放電圧までの領域が、第2直線よりも高電力側にある。
本実施形態では、特性変換制御は、第1フィードバック制御および第2フィードバック制御を含む。第1フィードバック制御は、特性変換回路200の出力電流が相対的に小さいときに行われる制御である。第2フィードバック制御は、特性変換回路200の出力電流が相対的に大きいときに行われる制御である。第1フィードバック制御と第2フィードバック制御とが切り替わるときに、特性変換回路200の出力電圧が上記ある値となる。
具体的には、第1フィードバック制御は、特性変換回路200の出力電流が相対的に小さく出力電圧が相対的に大きいときに行われる。第1フィードバック制御は、特性変換回路200の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路200の出力電流を小さくする。第1フィードバック制御は、特性変換回路200の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路200の出力電力を小さくする。第2フィードバック制御は、特性変換回路200の出力電流が相対的に大きく出力電圧が相対的に小さいときに行われる。第2フィードバック制御は、特性変換回路200の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路200の出力電流を小さくする。第2フィードバック制御は、特性変換回路200の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路200の出力電力を大きくする。このような第1フィードバック制御および第2フィードバック制御によれば、上記出力電圧-出力電力特性および出力電圧-出力電流特性を実現できる。なお、図11において、一点鎖線は、第1フィードバック制御の寄与を表す。二点鎖線は、第2フィードバック制御の寄与を表す。
特性変換回路は、以下の特徴;第1フィードバック制御では、第2フィードバック制御に比べ、出力電圧-出力電流特性における出力電圧の増加に対する出力電流の減少の比率が大きい、および/または、第2フィードバック制御に比べ、出力電圧-出力電流特性における出力電流の増加に対する出力電圧の減少の比率が小さい、という特徴を有していてもよい。このようにすれば、特性変換回路200の出力特性を太陽光発電システムの出力特性に近づけ易い。なお、この特徴は、後述する図24および図25に示されているような、第1フィードバック制御において出力電流が変化しても出力電圧が変化しない形態を含む概念である。
図11の例では、第1フィードバック制御では、第2フィードバック制御に比べ、出力電圧-出力電流特性における出力電圧の増加に対する出力電流の減少の比率が大きい。また、図11の例では、第1フィードバック制御では、第2フィードバック制御に比べ、出力電圧-出力電流特性における出力電流の増加に対する出力電圧の減少の比率が小さい。
本実施形態では、第1フィードバック制御により、特性変換回路200の開放電圧が制御される。
図13に、特性変換回路200の一例を示す。図13の特性変換回路200では、電圧電流制御回路160と、第1フィードバック回路210と、第2フィードバック回路220と、フィードバック電流供給部130と、が設けられている。
第1フィードバック回路210は、第1抵抗111と、第2抵抗112と、第11抵抗113と、第1シャントレギュレータ115と、電流センサ128と、を有する。第2フィードバック回路220は、第3抵抗121と、第4抵抗122と、第5抵抗123と、第2シャントレギュレータ125と、電流センサ128と、を有する。電流センサ128は、第1フィードバック回路210および第2フィードバック回路220によって共有されている。フィードバック電流供給部130は、電流供給電源131と、第6抵抗132と、を有する。
第1の実施形態と同様、電流センサ128は、特性変換回路200の出力電流の検出を行う。電流センサ128は、その検出の結果を表すセンサ出力を出力する。電流センサ128は、特性変換回路200の出力電流が大きくなるほどセンサ出力を大きく出力する。つまり、センサ出力は、特性変換回路200の出力電流が大きくなるほど大きくなる。電流センサ128が出力したセンサ出力は、接続点psへと供給される。具体的には、センサ出力は、センサ電圧Vsである。また、電流センサ128は、センサ電圧Vsを出力するセンサ出力部128aを含む。
第1フィードバック回路210では、第1抵抗111および第2抵抗112により、特性変換回路200の出力電圧Voutが分圧される。第11抵抗113および第2抵抗112により、センサ電圧Vsが分圧される。これら2つの分圧電圧を合算した電圧が、3つの抵抗111、112および113の接続点p1に現れる。以下、第1接続点p1に現れる電圧を、第1参照電圧Vref1と称することがある。第1参照電圧Vref1が、第1シャントレギュレータ115の第1参照電圧端子に入力される。第1参照電圧端子に入力される電圧が大きいほど、電流供給電源131、第6抵抗132、第1シャントレギュレータ115および基準電位をこの順に流れる電流(以下、第1電流と称することがある)i1は、大きくなる。図13において、第1電流i1は、第1シャントレギュレータ115を図示下向きに流れる電流である。
第2フィードバック回路220では、第3抵抗121および第4抵抗122により、特性変換回路200の出力電圧Voutが分圧される。第5抵抗123および第4抵抗122により、センサ電圧Vsが分圧される。これら2つの分圧電圧を合算した電圧が、3つの抵抗121,122および123の接続点p2に現れる。以下、第2接続点p2に現れる電圧を、第2参照電圧Vref2と称することがある。第2参照電圧Vref2が、第2シャントレギュレータ125の第2参照電圧端子に入力される。第2参照電圧端子に入力される電圧が大きいほど、電流供給電源131、第6抵抗132、第2シャントレギュレータ125および基準電位をこの順に流れる電流(以下、第2電流と称することがある)i2は、大きくなる。図13において、第2電流i2は、第2シャントレギュレータ125を図示下向きに流れる電流である。
特性変換回路200の出力電流が小さい領域では、第2電流i2は実質的にゼロとなり、電流供給電源131から流出する電流は、実質的に第1電流i1である。一方、特性変換回路200の出力電流が大きい領域では、第1電流i1は実質的にゼロとなり、電流供給電源131から流出する電流は、実質的に第2電流i2である。つまり、特性変換回路200の出力電流が小さい領域では第1フィードバック回路210によって、特性変換回路200の出力電流が大きい領域では第2フィードバック回路220によって、特性変換回路200における特性変換が行われると言える。そのように回路210および220が動作するように、抵抗111,112,113,121,122および123ならびにシャントレギュレータ115および125のパラメータが選定されている。
本実施形態では、特性変換回路200の出力特性は、特性変換回路200に含まれたアナログ回路によって定められていると言える。ここで、出力特性は、出力電流と、出力電圧と、出力電力と、の関係と考えることができる。具体的には、特性変換回路200の出力特性は、特性変換回路200に含まれたアナログ回路の回路定数よって定められていると言える。ここで、回路定数は、抵抗の抵抗値等を指す。
図5を参照した説明を踏まえて、第1フィードバック回路210の動作を以下のように説明できる。特性変換回路200の出力電圧Voutが大きくなると、また、特性変換回路200の出力電流が大きくなってセンサ電圧Vsが大きくなると、第1参照電圧Vref1は大きくなる。第1シャントレギュレータ125では、第1参照電圧Vref1が大きくなることにより第1参照電圧Vref1の第1基準電圧Vs1からの乖離が大きくなればなるほど、第1電流i1が大きくなる。第1電流i1が大きくなると、電流供給電源131から流出する電流が大きくなる。この流出電流が大きくなると、電圧電流制御回路160の入力電圧に対する出力電圧の比率は小さくなる。このようにして、第1フィードバック回路210は、特性変換回路200の出力電圧Voutを制御する。具体的には、第1フィードバック回路210は、第1参照電圧Vref1が第1基準電圧Vs1に追従するように、特性変換回路200の変圧比を調節する。
第1フィードバック回路210による第1フィードバック制御において、特性変換回路200の出力電流が大きくなりセンサ電圧Vsが大きくなると、電流センサ128から接続点psおよび第11抵抗113をこの順に介して第1接続点p1に流れる電流が大きくなる。第1シャントレギュレータ115により、第1参照電圧Vref1は、一定の第1基準電圧Vs1に追従する。この追従を実現するために、第2抵抗112には、一定の電流が流れる。このことは、第11抵抗113を第1接続点p1に向かって流れる上記電流が大きくなると、第1抵抗111を第1接続点p1に向かって流れる電流が小さくなることを意味する。この電流が小さくなると、第1抵抗111で生じる電圧が小さくなる。このような理由で、特性変換回路200の出力電流が大きくなると、第1接続点p1の電圧が第1参照電圧Vref1に追従した状態で第1抵抗111において生じる電圧が小さくなる。その結果、特性変換回路200の出力電圧Voutが小さくなる。このようにして、第1フィードバック制御により、図11に示すような、特性変換回路200の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路200の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性が得られる。
図6を参照した説明を踏まえて、第2フィードバック回路220の動作を以下のように説明できる。特性変換回路200の出力電圧Voutが大きくなると、また、特性変換回路200の出力電流が大きくなってセンサ電圧Vsが大きくなると、第2参照電圧Vref2は大きくなる。第2シャントレギュレータ125では、第2参照電圧Vref2が大きくなることにより第2参照電圧Vref2の第2基準電圧Vs2からの乖離が大きくなればなるほど、第2電流i2が大きくなる。第2電流i2が大きくなると、電流供給電源131から流出する電流が大きくなる。この流出電流が大きくなると、電圧電流制御回路160の入力電圧に対する出力電圧の比率は小さくなる。このようにして、第2フィードバック回路220は、特性変換回路200の出力電圧Voutを制御する。具体的には、第2フィードバック回路220は、第2参照電圧Vref2が第2基準電圧Vs2に追従するように、特性変換回路200の変圧比を調節する。
第2フィードバック回路220による第2フィードバック制御において、特性変換回路200の出力電流が大きくなりセンサ電圧Vsが大きくなると、電流センサ128から接続点psおよび第5抵抗123をこの順に介して第2接続点p2に流れる電流が大きくなる。第2シャントレギュレータ125により、第2参照電圧Vref2は、一定の第2基準電圧Vs2に追従する。この追従を実現するために、第4抵抗122には、一定の電流が流れる。このことは、第5抵抗123を第2接続点p2に向かって流れる上記電流が大きくなると、第3抵抗121を第2接続点p2に向かって流れる電流が小さくなることを意味する。この電流が小さくなると、第3抵抗121で生じる電圧が小さくなる。このような理由で、特性変換回路200の出力電流が大きくなると、第2接続点p2の電圧が第2参照電圧Vref2に追従した状態で第3抵抗121において生じる電圧が小さくなる。その結果、特性変換回路200の出力電圧Voutが小さくなる。このようにして、第2フィードバック制御により、図11に示すような、特性変換回路200の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路200の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性が得られる。
上述の説明から理解されるように、本実施形態では、特性変換回路200は、電流センサ128と、少なくとも1つの分圧抵抗と、DCDCコンバータである電圧電流制御回路160と、を含む。特性変換回路200は、電流センサ128を用いて、特性変換回路200の出力電流を特性変換制御に反映させる。特性変換回路200は、少なくとも1つの分圧抵抗を用いて、特性変換回路200の出力電圧を特性変換制御に反映させる。特性変換回路200は、特性変換制御によって、電圧電流制御回路160の変圧比を調整する。図13の例では、少なくとも1つの分圧抵抗は、第1分圧抵抗と第2分圧抵抗とを含む。第1分圧抵抗は、第1抵抗111および第2抵抗112によって構成されている。第2分圧抵抗は、第3抵抗121および第4抵抗122によって構成されている。
本実施形態では、具体的には、特性変換回路200において、DCDCコンバータである電圧電流制御回路160と、第1フィードバック制御を行う第1フィードバック回路210と、第2フィードバック制御を行う第2フィードバック回路220と、が設けられている。第1フィードバック回路210は、特性変換回路200の出力電流および出力電圧に応じて変化する第1参照電圧Vref1が入力される第1シャントレギュレータ115を有する。第2フィードバック回路220は、特性変換回路200の出力電流および出力電圧に応じて変化する第2参照電圧Vref2が入力される第2シャントレギュレータ125を有する。第1フィードバック制御おいて、第1シャントレギュレータ115を用いて第1参照電圧Vref1が一定に維持されるように電圧電流制御回路160の変圧比が調整される。第2フィードバック制御おいて、第2シャントレギュレータ125を用いて第2参照電圧Vref2が一定に維持されるように電圧電流制御回路160の変圧比が調整される。
より具体的には、第1フィードバック回路は、第1分圧抵抗を有する。第2フィードバック回路は、第2分圧抵抗を有する。第1フィードバック回路210および第2フィードバック回路220は、電流センサ128を共有している。第1分圧抵抗は、特性変換回路200の出力電圧を第1参照電圧Vref1に反映させるのに用いられる。電流センサ128は、特性変換回路200の出力電流を第1参照電圧Vref1に反映させるのに用いられる。第2分圧抵抗は、特性変換回路200の出力電圧を第2参照電圧Vref2に反映させるのに用いられる。電流センサ128は、特性変換回路200の出力電流を第2参照電圧Vref2に反映させるのに用いられる。図13の例では、第1分圧抵抗は、第1抵抗111および第2抵抗112によって構成されている。第2分圧抵抗は、第3抵抗121および第4抵抗122によって構成されている。
また、第1フィードバック回路は、第3分圧抵抗を有する。第2フィードバック回路は、第4分圧抵抗を有する。第3分圧抵抗は、特性変換回路200の出力電流を第1参照電圧Vref1に反映させるのに用いられる。第4分圧抵抗は、特性変換回路200の出力電流を第2参照電圧Vref2に反映させるのに用いられる。図13の例では、第3分圧抵抗は、第11抵抗113および第2抵抗112によって構成されている。第4分圧抵抗は、第5抵抗123および第4抵抗122によって構成されている。
特性変換回路200の具体例である特性変換回路200Xを、図14に示す。図14から理解されるように、特性変換回路200Xは、第1の実施形態の図7の特性変換回路100Xに倣って構成できる。このため、特性変換回路200Xの詳細な説明は省略する。
図15に、特性変換回路200の別例である特性変換回路290を示す。図16に、特性変換回路290の具体例である特性変換回路290Xを示す。図15および図16から理解されるように、特性変換回路290および特性変換回路290Xは、第1の実施形態の図8および図9の特性変換回路190および特性変換回路190Xに倣って構成できる。このため、特性変換回路290および特性変換回路290Xの詳細な説明は省略する。
(第3の実施形態)
図17は、本実施形態に係る電力システム305のブロック図である。図18に、第3の実施形態に係る特性変換回路300を示す。以下、図18を参照しつつ、第3の実施形態に係る特性変換回路について説明する。
図18の特性変換回路300では、第1フィードバック回路310は、電流センサ128および調整器170を有する。第2フィードバック回路320は、電流センサ128および調整器170を有する。電流センサ128および調整器170は、第1フィードバック回路310および第2フィードバック回路320によって共有されている。
第1の実施形態と同様、電流センサ128は、特性変換回路300の出力電流の検出を行う。電流センサ128は、その検出の結果を表すセンサ出力を出力する。電流センサ128は、特性変換回路300の出力電流が大きくなるほどセンサ出力を大きく出力する。つまり、センサ出力は、特性変換回路300の出力電流が大きくなるほど大きくなる。センサ出力は、具体的には、センサ電圧Vsである。電流センサ128は、センサ電圧Vsを出力するセンサ出力部128aを含む。本実施形態では、電流センサ128が出力するセンサ電圧Vsを、第1センサ電圧Vsと称することがある。
調整器170は、可変パラメータを調整できるように構成されている。可変パラメータは、手動で調整可能なものであってもよく、自動的に調整可能なものであってもよい。調整器170は、調整器170に入力された第1センサ電圧Vsを、第2センサ電圧VMへと調整する。
本実施形態では、調整器170は第1センサ電圧Vsを変圧するDCDCコンバータである。可変パラメータは、DCDCコンバータの変圧比を変更するパラメータである。
具体的には、本実施形態では、調整器170は、図19に示す構成を有する。図19の調整器170は、分圧回路170aと、増幅回路170bと、を含む。可変パラメータは、分圧回路170aまたは増幅回路170bが有するパラメータである。センサ出力部128aと、分圧回路170aと、増幅回路170bと、接続点psとは、この順に接続されている。
図19の例では、分圧回路170aは、抵抗FR1と、抵抗FR2と、可変抵抗VR1と、を含む。センサ出力部128aと、抵抗FR1と、抵抗FR2と、可変抵抗VR1と、基準電位とが、この順に接続されている。分圧回路170aは、抵抗FR1、FR2およびVR1を用いて、第1センサ電圧Vsを分圧する。この分圧により、以下の数式2に示す分圧電圧VDが生成される。ここで、FR1は、抵抗FR1の抵抗値である。FR1は、抵抗FR2の抵抗値である。VR1は、可変抵抗VR1の抵抗値である。「*」は、乗算を表す記号である。
数式2:VD=Vs*(FR2+VR1)/(FR1+FR2+VR1)
増幅回路170bは、抵抗FR3と、抵抗FR4と、オペアンプ175と、を含む。オペアンプ175は、第1入力端子175aと、第2入力端子175bと、出力端子175cと、を含む。第1入力端子175aには、分圧電圧VDが入力される。第2入力端子175bは、抵抗FR3を介して出力端子175cに接続されている。第2入力端子175bは、抵抗FR4を介して基準電位に接続されている。また、出力端子175cと、抵抗FR3と、抵抗FR4と、基準電位とが、この順に接続されている。増幅回路170bは、分圧電圧VDに基づいて第2センサ電圧VMを生成し、出力端子175cから第2センサ電圧VMを出力する。第2センサ電圧VMは、以下の数式3により与えられる。ここで、FR3は、抵抗FR3の抵抗値である。FR4は、抵抗FR4の抵抗値である。
数式3:VM=VD*(FR3+FR4)/FR4
具体的には、第1入力端子175aは、非反転増幅端子である。第2入力端子175bは、反転増幅端子である。
第2センサ電圧VMは、接続点psに供給される。その後、接続点psの電圧は、第2の実施形態と同様に利用される。
図19に示す例では、分圧回路170aは、可変抵抗VR1を含んでいる。可変パラメータは、可変抵抗VR1の抵抗値である。可変抵抗VR1の抵抗値の調整により、分圧電圧VDおよび第2センサ電圧VMを調整できる。
なお、抵抗FR1または抵抗FR2を可変抵抗としてもよい。このようにしても、可変抵抗の抵抗値の調整により、分圧電圧VDおよび第2センサ電圧VMを調整できる。
また、分圧回路170aではなく増幅回路170bに可変抵抗を含ませてもよい。具体的には、抵抗FR3または抵抗FR4を可変抵抗としてもよい。このようにしても、可変抵抗の抵抗値の調整により、第2センサ電圧VMを調整できる。
第2の実施形態と同様、第3の実施形態では、以下に説明する(i)の出力電圧-出力電力特性および(ii)の出力電流-出力電力特性がもたらされるように、センサ出力が相対的に小さいときに第1フィードバック制御が実行されるとともにセンサ出力が相対的に大きいときに第2フィードバック制御が実行される。上述のとおり、センサ出力は、具体的には第1センサ電圧Vsである。
(i)の出力電圧-出力電力特性は、特性変換回路300の出力電圧がある値であるときに特性変換回路300の出力電力が最大となる出力電圧-出力電力特性である。(ii)の出力電流-出力電力特性は、特性変換回路300の出力電流が切替電流iswであるときに特性変換回路300の出力電力が最大となる出力電流-出力電力特性である。ここで、切替電流iswは、第1フィードバック制御と第2フィードバック制御とが切り替わるときの特性変換回路300の出力電流である。上記のある値は、具体的には、第1の実施形態と同様、所定範囲内の値である。
本実施形態では、切替電流iswは、電流センサ128による特性変換回路300の出力電流の検出の誤差に依存するとともに、可変パラメータを変化させると変化する。
電流センサ128に個体ばらつきがあると、電流センサ128の検出に誤差が生じ得る。つまり、センサ出力に誤差が生じ得る。誤差を有するセンサ出力が特性変換回路300における制御に用いられると、切替電流iswが目標値(以下、目標電流と称することがある)からずれるおそれがある。切替電流iswがずれると、最大電力点が目標点からずれるおそれがある。最大電力点がずれると、特性変換回路300の最大電力が目標値(以下、目標電力と称することがある)からずれるおそれがある。
この点、第3の実施形態によれば、可変パラメータを変化させることにより、切替電流iswを調整できる。これにより、切替電流iswの目標電流からのずれを小さくし、最大電力点の目標点からのずれを小さくし、最大電力の目標電力からのずれを小さくすることができる。また、可変パラメータを調整して切替電流iswを調整することにより、状況に応じて特性変換回路300の最大電力を調整することも可能である。例えば、直流電力変換装置20に接続された太陽光発電システムの発電電力が小さい場合には上記最大電力を大きくし、太陽光発電システムの発電電力が大きい場合には上記最大電力を小さくすることができる。また、燃料電池発電システム40の最大出力電力は、例えば燃料電池41のスタックの経年劣化等によって、低下する場合がある。そのような場合に、特性変換回路300から出力される最大電力を低下させることによって、該最大電力を燃料電池発電システム40が供給可能な範囲内に収めることができる。
最大電力の目標電力からのずれを小さくすることにより、MPPT制御により特性変換回路300から電力を取り出すときに、取り出される電力の目標電力からのずれを小さくすることができる。状況に応じて特性変換回路300の最大電力を調整することにより、MPPT制御により特性変換回路300から電力を取り出すときに、取り出される電力を状況に応じた値に調整することができる。例えば、直流電力変換装置20に接続された太陽光発電システムの発電電力が小さい場合には取り出される電力を大きくし、太陽光発電システムの発電電力が大きい場合には上記取り出される電力を小さくすることができる。また、燃料電池発電システム40の最大出力電力が低下した場合に、上記取り出される電力を小さくすることができる。
[電流センサ128の個体ばらつきとその抑制]
上述のとおり、電流センサ128には、個体ばらつきがあることがある。図20から図22を参照しつつ、個体ばらつきの影響について、詳細に説明する。
本実施形態では、電流センサ128は、図4に示した構成を有する。シャント抵抗128rの抵抗値Rsense、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasは、理想的には基準値である。しかし、抵抗値Rsense、ゲインGおよび/またはバイアス電圧Vbiasには、公差の範囲の誤差があり得る。本実施形態では、電流センサ128は、シャント抵抗128rの抵抗値が基準値よりも大きいときには、シャント抵抗128rの抵抗値が基準値であるときに比べ、大きい第1センサ電圧Vsを出力するように構成されている。電流センサ128は、ゲインGが基準値よりも大きいときには、ゲインGが基準値であるときに比べ、大きい第1センサ電圧Vsを出力するように構成されている。電流センサ128は、バイアス電圧Vbiasが基準値よりも大きいときには、バイアス電圧Vbiasが基準値であるときに比べ、大きい第1センサ電圧Vsを出力するように構成されている。
図20において、横軸は、特性変換回路300の出力電流を示す。図20では、抵抗値RsenseおよびゲインGが基準値にある場合において、バイアス電圧Vbiasを変化させた場合の特性変換回路300の出力特性を示す。
具体的には、図20において、「特性変換回路の出力電圧(0)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値であるときの、特性変換回路300の出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電圧(A)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値の101%であるときの、特性変換回路300の出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電圧(B)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値の99%であるときの、特性変換回路300の出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電圧(C)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値の102%であるときの、特性変換回路300の出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電圧(D)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値の98%であるときの、特性変換回路300の出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電力(0)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値であるときの、特性変換回路300の出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(A)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値の101%であるときの、特性変換回路300の出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(B)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値の99%であるときの、特性変換回路300の出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(C)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値の102%であるときの、特性変換回路300の出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(D)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値の98%であるときの、特性変換回路300の出力電力を示す。図20において、上下に延びる5本の点線は、それぞれ、左から順に、切替電流isw(C)、切替電流isw(A)、切替電流isw(0)、切替電流isw(B)および切替電流isw(D)を表す。「切替電流isw(0)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値であるときの、切替電流iswを示す。「切替電流isw(A)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値の101%であるときの、切替電流iswを示す。「切替電流isw(B)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値の99%であるときの、切替電流iswを示す。「切替電流isw(C)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値の102%であるときの、切替電流iswを示す。「切替電流isw(D)」は、バイアス電圧Vbiasが基準値の98%であるときの、切替電流iswを示す。上述のとおり、切替電流iswは、第1フィードバック制御と第2フィードバック制御とが切り替わるときの特性変換回路300の出力電流である。
図20から、バイアス電圧Vbiasの変動に伴い切替電流iswが変動していることが理解される。
バイアス電圧Vbiasが基準値であるとき、最大電力点は、目標点にある。この状況は、第2の実施形態に関する図11に示したとおりである。
バイアス電圧Vbiasが基準値にあるとき、切替電流iswは、目標電流に一致する。バイアス電圧Vbiasが基準値よりも大きいと、バイアス電圧Vbiasが基準値にあるときに比べ、切替電流iswは小さい。反対に、バイアス電圧Vbiasが基準値よりも小さいと、バイアス電圧Vbiasが基準値にあるときに比べ、切替電流iswは大きい。
バイアス電圧Vbiasが基準値にあるとき、特性変換回路300の最大電力は、目標電力に一致する。バイアス電圧Vbiasが基準値よりも大きいと、バイアス電圧Vbiasが基準値にあるときに比べ、最大電力は小さい。反対に、バイアス電圧Vbiasが基準値よりも小さいと、バイアス電圧Vbiasが基準値にあるときに比べ、最大電力は大きい。
図20に示されているように、バイアス電圧Vbiasの個体ばらつきは、特性変換回路300の最大電力点のばらつきをもたらす。最大電力点のばらつきは、切替電流iswおよび最大電力のばらつきをもたらす。
この点、第3の実施形態では、可変抵抗VR1の抵抗値を調整することにより、特性変換回路300の切替電流iswを調整し、最大電力を調整することができる。
例えば、バイアス電圧Vbiasが基準値よりも小さく、バイアス電圧Vbiasが基準値にあるときに比べ、切替電流iswおよび最大電力が大きい場合を考える。この場合、可変抵抗VR1の抵抗値を調整することによってバイアス電圧Vbiasが基準値にある場合に比べて第2センサ電圧VMを大きくすることにより、切替電流iswおよび最大電力を小さくすることができる。これにより、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。具体的には、可変抵抗VR1の抵抗値を大きくすることによって、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。
反対に、バイアス電圧Vbiasが基準値よりも大きく、バイアス電圧Vbiasが基準値にあるときに比べ、切替電流iswおよび最大電力が小さい場合を考える。この場合、可変抵抗VR1の抵抗値を調整することによってバイアス電圧Vbiasが基準値にある場合に比べて第2センサ電圧VMを小さくすることにより、切替電流iswおよび最大電力を大きくすることができる。これにより、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。具体的には、可変抵抗VR1の抵抗値を小さくすることによって、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。
可変抵抗VR1の調整により、切替電流iswおよび最大電力を、バイアス電圧Vbiasが基準値にあるときの値に近づけることができる。つまり、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。概括的にいうと、特性変換回路300の出力特性を、バイアス電圧Vbiasが基準値にあるときのものに近づけることができる。
ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasの両方に誤差がある場合においても、可変抵抗VR1の抵抗値を調整することにより、特性変換回路300の切替電流iswを調整し、最大電力を調整することができる。
図21および図22において、横軸は、特性変換回路300の出力電流を示す。図21および図22では、シャント抵抗128rの抵抗値Rsenseが基準値にある場合において、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasを変化させた場合の特性変換回路300の出力特性を示す。
具体的には、図21において、「特性変換回路の出力電圧(0)」は、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasが基準値であるときの、特性変換回路300の出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電圧(E)」は、ゲインGが基準値の101%でありかつバイアス電圧Vbiasが基準値の102%であるときの、特性変換回路300の出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電圧(F)」は、ゲインGが基準値の99%でありかつバイアス電圧Vbiasが基準値の98%であるときの、特性変換回路300の出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電力(0)」は、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasが基準値であるときの、特性変換回路300の出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(E)」は、ゲインGが基準値の101%でありかつバイアス電圧Vbiasが基準値の102%であるときの、特性変換回路300の出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(F)」は、ゲインGが基準値の99%でありかつバイアス電圧Vbiasが基準値の98%であるときの、特性変換回路300の出力電力を示す。「切替電流isw(0)」は、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasが基準値であるときの、切替電流iswを示す。「切替電流isw(E)」は、ゲインGが基準値の101%でありかつバイアス電圧Vbiasが基準値の102%であるときの、切替電流iswを示す。「切替電流isw(F)」は、ゲインGが基準値の99%でありかつバイアス電圧Vbiasが基準値の98%であるときの、切替電流iswを示す。
また、図22において、「特性変換回路の出力電圧(0)」は、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasが基準値であるときの、特性変換回路300の出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電圧(G)」は、ゲインGが基準値の99%でありかつバイアス電圧Vbiasが基準値の102%であるときの、特性変換回路300の出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電圧(H)」は、ゲインGが基準値の101%でありかつバイアス電圧Vbiasが基準値の98%であるときの、特性変換回路300の出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電力(0)」は、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasが基準値であるときの、特性変換回路300の出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(G)」は、ゲインGが基準値の99%でありかつバイアス電圧Vbiasが基準値の102%であるときの、特性変換回路300の出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(H)」は、ゲインGが基準値の101%でありかつバイアス電圧Vbiasが基準値の98%であるときの、特性変換回路300の出力電力を示す。「切替電流isw(0)」は、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasが基準値であるときの、切替電流iswを示す。「切替電流isw(G)」は、ゲインGが基準値の99%でありかつバイアス電圧Vbiasが基準値の102%であるときの、切替電流iswを示す。「切替電流isw(H)」は、ゲインGが基準値の101%でありかつバイアス電圧Vbiasが基準値の98%であるときの、切替電流iswを示す。
図21および図22から、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasの変動に伴い切替電流iswが変動していることが理解される。しかしながら、図21の例においても、図22の例においても、可変抵抗VR1の抵抗値を調整することによって、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。概括的にいうと、特性変換回路300の出力特性を、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasが基準値にあるときのものに近づけることができる。
具体的には、図21の(E)の場合、可変抵抗VR1の抵抗値を小さくして第2センサ電圧VMを小さくすることによって、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。
図21の(F)の場合、可変抵抗VR1の抵抗値を大きくして第2センサ電圧VMを大きくすることによって、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。
図22の(G)の場合、可変抵抗VR1の抵抗値を小さくして第2センサ電圧VMを小さくすることによって、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。
図22の(H)の場合、可変抵抗VR1の抵抗値を大きくして第2センサ電圧VMを大きくすることによって、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。
当然ではあるが、抵抗値Rsenseに誤差がある場合も、可変抵抗VR1の抵抗値を調整することによって、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。
第3の実施形態の技術は、第2の実施形態の図13のみならず、図14から図16の構成にも適用可能である。第3の実施形態の技術は、第1の実施形態の図3および図7から図9の構成にも適用可能である。具体的には、調整器170は、図3、図7から図9および図14から図16の構成にも適用可能である。
(第4の実施形態)
図23は、本実施形態に係る電力システム405のブロック図である。図24および図25に、特性変換回路400の出力特性を示す。図26に、本実施形態に係る特性変換回路400を示す。
第2の実施形態と同様、特性変換回路400が行う特性変換制御は、特性変換回路400の出力電圧がある値であるときに特性変換回路400の出力電力が最大となる出力電圧-出力電力特性をもたらす。特性変換制御は、第1フィードバック制御および第2フィードバック制御を含む。第1フィードバック制御は、特性変換回路400の出力電流が相対的に小さいときに行われる制御である。第2フィードバック制御は、特性変換回路400の出力電流が相対的に大きいときに行われる制御である。第1フィードバック制御と第2フィードバック制御とが切り替わるときに、特性変換回路400の出力電圧が上記ある値となる。
図26に示すように、特性変換回路400は、電圧電流制御回路160と、電流センサ128と、調整器180と、を含む。
第1の実施形態と同様、電流センサ128は、特性変換回路400の出力電流の検出を行う。電流センサ128は、その検出の結果を表すセンサ出力を出力する。電流センサ128は、特性変換回路400の出力電流が大きくなるほどセンサ出力を大きく出力する。つまり、センサ出力は、特性変換回路400の出力電流が大きくなるほど大きくなる。本実施形態では、センサ出力は、第1センサ電圧V1である。電流センサ128は、第1センサ電圧V1を出力するセンサ出力部128aを含む。なお、第1センサ電圧V1は、第1の実施形態のセンサ電圧Vsに対応する。
調整器180は、可変パラメータを調整できるように構成されている。本実施形態では、調整器180は可変出力電源であり、可変パラメータは可変出力である。以下では、可変出力電源である調整器180を、可変出力電源180と表記することがある。
可変出力電源180は、可変出力を出力する。本実施形態では、可変出力は、可変電圧V4である。可変出力電源180は、例えば、制御器51のデジタル-アナログポートである。
特性変換回路400において、第1回路410と、第2回路420と、が設けられている。第1回路410は、センサ出力が大きくなるほど特性変換回路400の出力電力を大きくする第1フィードバック制御を実行する。第2回路420は、センサ出力が大きくなるほど特性変換回路400の出力電力を小さくする第2フィードバック制御を、第1回路410と協働して実行する。特性変換回路400において、フィードバック電流供給部130も設けられている。
第1回路410、第2回路420および電圧電流制御回路160は、協働して、特性変換制御を実行する。
具体的には、第1回路410は、上記第1フィードバック制御を、電圧電流制御回路160と協働して実行する。第2回路は、第2フィードバック制御を、第1回路410および電圧電流制御回路160と協働して実行する。
特性変換回路400において、以下に説明する(i)の出力電圧-出力電力特性および(ii)の出力電流-出力電力特性がもたらされるように、センサ出力が相対的に小さいときに第1フィードバック制御が実行されるとともにセンサ出力が相対的に大きいときに第2フィードバック制御が実行される。
(i)の出力電圧-出力電力特性は、図24に示すような、特性変換回路400の出力電圧がある値であるときに特性変換回路400の出力電力が最大となる出力電圧-出力電力特性である。上記のある値は、具体的には、第1の実施形態と同様、所定範囲内の値である。
(ii)の出力電流-出力電力特性は、図25に示すような、特性変換回路400の出力電流が切替電流iswであるときに特性変換回路400の出力電力が最大となる出力電流-出力電力特性である。ここで、切替電流iswは、第1フィードバック制御と第2フィードバック制御とが切り替わるときの特性変換回路400の出力電流である。
切替電流iswは、電流センサ128による特性変換回路400の出力電流の検出の誤差に依存するとともに、可変パラメータを変化させると変化する。上述のとおり、可変パラメータは、本実施形態では可変出力であり、具体的には可変電圧V4である。
電流センサ128に個体ばらつきがあると、電流センサ128の検出に誤差が生じ得る。つまり、センサ出力に誤差が生じ得る。誤差を有するセンサ出力が特性変換回路400における制御に用いられると、切替電流iswが目標値(以下、目標電流と称することがある)からずれるおそれがある。切替電流iswがずれると、図24および図25に示す最大電力点が目標点からずれるおそれがある。最大電力点がずれると、特性変換回路400の最大電力が目標値(以下、目標電力と称することがある)からずれるおそれがある。
この点、本実施形態によれば、可変パラメータを変化させることにより、切替電流iswを調整できる。これにより、切替電流iswの目標電流からのずれを小さくし、最大電力点の目標点からのずれを小さくし、最大電力の目標電力からのずれを小さくすることができる。また、可変パラメータを調整して切替電流iswを調整することにより、状況に応じて特性変換回路400の最大電力を調整することも可能である。例えば、直流電力変換装置20に接続された太陽光発電システムの発電電力が小さい場合には上記最大電力を大きくし、太陽光発電システムの発電電力が大きい場合には上記最大電力を小さくすることができる。また、燃料電池発電システム40の最大出力電力は、例えば燃料電池41のスタックの経年劣化等によって、低下する場合がある。そのような場合に、特性変換回路400から出力される最大電力を低下させることによって、該最大電力を燃料電池発電システム40が供給可能な範囲内に収めることができる。
最大電力の目標電力からのずれを小さくすることにより、MPPT制御により特性変換回路400から電力を取り出すときに、取り出される電力の目標電力からのずれを小さくすることができる。状況に応じて特性変換回路400の最大電力を調整することにより、MPPT制御により特性変換回路400から電力を取り出すときに、取り出される電力を状況に応じた値に調整することができる。例えば、直流電力変換装置20に接続された太陽光発電システムの発電電力が小さい場合には取り出される電力を大きくし、太陽光発電システムの発電電力が大きい場合には上記取り出される電力を小さくすることができる。また、燃料電池発電システム40の最大出力電力が低下した場合に、上記取り出される電力を小さくすることができる。
典型的には、特性変換回路400出力電圧-出力電力特性は、出力電圧に対して出力電力が単一ピークを有する特性である。上記(i)の出力電圧-出力電力特性は、そのような特性を示している。
特性変換回路400の出力特性について、さらに説明する。
図24において、実線は、特性変換回路400の出力電圧と特性変換回路400の出力電力との関係すなわち出力電圧-出力電力特性を表す。短破線は、特性変換回路400の出力電圧と特性変換回路400の出力電流との関係すなわち出力電圧-出力電流特性を表す。一点鎖線は、第1フィードバック制御の寄与を表す。二点鎖線は、第2フィードバック制御の寄与を表す。長破線は、第1センサ電圧V1を表す。
図24から理解されるように、本実施形態では、第1フィードバック制御により、特性変換回路400の出力電圧-出力電流特性は、出力電流が小さい領域において出力電圧が規定値に追従するものとなる。第2フィードバック制御により、特性変換回路400の出力電圧-出力電流特性は、出力電流が大きい領域において出力電流が増加するにつれて出力電圧が低下するものとなる。これらのフィードバック制御が相俟って、特性変換回路400の出力電圧-出力電流特性は、図24の短破線に示すものとなる。結果として、特性変換回路400の出力電圧-出力電力特性は、図24の実線に示すような、単一ピークを有する上に凸のものとなる。
上述のように、特性変換回路400の上に凸である出力電圧-出力電力特性は、第1DCDCコンバータ21によるMPPT制御を可能にする。特性変換回路400のMPPT制御は、第1DCDCコンバータ21によって実行され得る。
特性変換回路400の構成について、さらに説明する。
図26に示すように、第1回路410は、抵抗421と、抵抗422と、第1シャントレギュレータ425と、を有する。第2回路420は、電流センサ128と、センサ電圧調整回路420aと、電圧電流変換回路420bと、を有する。フィードバック電流供給部130は、電流供給電源131と、第6抵抗132と、を有する。
電圧電流制御回路160は、電流供給電源131から流出する電流が小さいほど、電圧電流制御回路160の入力電圧に対する出力電圧の比率を大きくする。このように、特性変換回路400は、電流供給電源131から流出する電流に応じて上記比率が調整されるようになっている。
第1回路410では、抵抗421および抵抗422により、特性変換回路400の出力電圧が分圧される。分圧された電圧が、抵抗421および抵抗422の第1接続点p1に現れる。以下、第1接続点p1に現れる電圧を、第1参照電圧Vref1と称することがある。第1参照電圧Vref1が、第1シャントレギュレータ425の第1参照電圧端子425aに入力される。第1参照電圧端子425aに入力される第1参照電圧Vref1が大きいほど、電流供給電源131、第6抵抗132、第1シャントレギュレータ425および基準電位をこの順に流れる電流i1は、大きくなる。図26において、電流i1は、第1シャントレギュレータ425を図示下向きに流れる電流である。以下、電流i1を、第1電流i1と称することがある。
本実施形態では、第1フィードバック制御により、特性変換回路400の開放電圧が制御される。ここで、開放電圧は、特性変換回路400の出力電流がゼロであるときの特性変換回路400の出力電圧である。具体的には、第1フィードバック制御において、第1シャントレギュレータ425および電圧電流制御回路160の働きにより第1参照電圧Vref1が後述する第1基準電圧Vs1に追従することによって、開放電圧が規定値に設定される。
図27を参照して、本実施形態の第1シャントレギュレータ425についてさらに説明する。第1シャントレギュレータ425は、第1参照電圧端子425aと、第1カソード425Kと、第1アノード425Aと、第1基準電圧源425sと、第1オペアンプ425оと、第1トランジスタ425tと、を含む。第1オペアンプ425оは、非反転増幅端子425оaと、反転増幅端子425оbと、出力端子425оcと、を含む。第1トランジスタ425tは、カソード側端子425taと、アノード側端子425tbと、制御端子425tcと、を含む。非反転増幅端子425оaには、第1参照電圧端子425aに入力された電圧が供給される。反転増幅端子425оbの電圧は、第1基準電圧源425sによって、第1アノード425Aの電圧よりも第1基準電圧Vs1だけ高い電圧に設定されている。第1参照電圧端子425aに第1基準電圧Vs1よりも大きい電圧が入力されることによって非反転増幅端子425оaの電圧が反転増幅端子425оbよりも電圧が大きくなると、出力端子425оcから制御端子425tcに電流が流れ、第1カソード425Kからカソード側端子425taおよびアノード側端子425tbをこの順に介して第1アノード425Aへと第1電流i1が流れる。図27の例では、第1トランジスタ425tは、バイポーラトランジスタであり、具体的にはNPNトランジスタである。カソード側端子425taは、コレクタである。アノード側端子425tbは、エミッタである。制御端子425tcは、ベースである。なお、この説明では、出力端子425оcと制御端子425tcの間で流れる電流、具体的にはベース電流、は十分に小さいものとして無視している。
図27を参照した説明を踏まえて、第1回路410の動作を以下のように説明できる。特性変換回路400の出力電圧Voutが大きくなると、第1参照電圧Vref1は大きくなる。第1シャントレギュレータ425では、第1参照電圧Vref1が大きくなることにより第1参照電圧Vref1の第1基準電圧Vs1からの乖離が大きくなればなるほど、第1電流i1が大きくなる。第1電流i1が大きくなると、電流供給電源131から流出する電流が大きくなる。この流出電流が大きくなると、電圧電流制御回路160の入力電圧に対する出力電圧の比率は小さくなる。このようにして、第1回路410は、電圧電流制御回路160と協働して、特性変換回路400の出力電圧Voutを制御する。具体的には、第1回路410は、電圧電流制御回路160と協働して、第1参照電圧Vref1を第1基準電圧Vs1に追従させ、特性変換回路400の出力電圧Voutを規定値に追従させる。
図26に戻って、第2回路420のセンサ電圧調整回路420aは、可変出力電源180と、入力抵抗R1と、帰還抵抗R2と、センサ電圧調整オペアンプ124と、を含む。
上述のとおり、電流センサ128は、第1センサ電圧V1を出力する。可変出力電源180は、可変電圧V4を出力する。センサ電圧調整回路420aは、第1センサ電圧V1および可変電圧V4に応じて変化する第2センサ電圧V2を生成する。
電流センサ128に個体ばらつきがあると、第1センサ電圧V1に誤差が生じ得る。誤差を有する第1センサ電圧V1が特性変換回路400における制御に用いられると、切替電流iswが目標電流からずれ、最大電力点が目標点からずれ、特性変換回路400の最大電力が目標電力からずれるおそれがある。この点、本実施形態によれば、第1センサ電圧V1および可変電圧V4が反映された第2センサ電圧V2を生成できる。適切に設定された可変電圧V4が反映された第2センサ電圧V2を特性変換回路400における制御に用いることにより、切替電流iswの目標電流からのずれを小さくし、最大電力点の目標点からのずれを小さくし、最大電力の目標電力からのずれを小さくすることができる。また、可変電圧V4を調整して切替電流iswを調整することにより、状況に応じて特性変換回路400の最大電力を調整することも可能である。
具体的には、センサ電圧調整オペアンプ124は、センサ入力端子124aと、可変電圧入力端子124bと、第2センサ電圧出力端子124cと、を含む。センサ入力端子124aは、入力抵抗R1を介してセンサ出力部128aに接続されている。可変電圧入力端子124bには、可変電圧V4が入力される。第2センサ電圧出力端子124cは、帰還抵抗R2を介してセンサ入力端子124aに接続されている。センサ電圧調整オペアンプ124は、センサ入力端子124aおよび可変電圧入力端子124bの電圧差に基づいて第2センサ電圧V2を生成し、第2センサ電圧出力端子124cから第2センサ電圧V2を出力する。
具体的には、センサ入力端子124aは、反転増幅端子である。可変電圧入力端子124bは、非反転増幅端子である。
第2回路420の電圧電流変換回路420bは、電圧供給電源129と、介在抵抗R3と、トランジスタ駆動オペアンプ126と、調整電流出力トランジスタ127と、を含む。電圧供給電源129は、閾値電圧V3を出力する。本実施形態では、電圧供給電源129は、定電圧源である。
電圧電流変換回路420bでは、第1センサ電圧V1が大きくなることによって第2センサ電圧V2が閾値電圧V3を跨いで変化したときに調整電流i3が流れ始める。調整電流i3が流れ始めたときに、第1フィードバック制御から第2フィードバック制御に切り替わる。電流が流れ始めるタイミングで制御が切り替えられる特性変換回路400は、設計し易い。
具体的には、トランジスタ駆動オペアンプ126は、電源入力端子126aと、第2センサ電圧入力端子126bと、制御電圧出力端子126cと、を含む。電源入力端子126aは、介在抵抗R3を介して電圧供給電源129に接続されている。第2センサ電圧入力端子126bには、第2センサ電圧V2が入力される。トランジスタ駆動オペアンプ126は、電源入力端子126aおよび第2センサ電圧入力端子126bの電圧差に基づいて制御電圧Vcを生成し、制御電圧出力端子126cから制御電圧Vcを出力する。
具体的には、電源入力端子126aは、反転増幅端子である。第2センサ電圧入力端子126bは、非反転増幅端子である。
調整電流出力トランジスタ127は、制御端子127cと、第1端子127aと、第2端子127bと、を含む。制御端子127cには、制御電圧Vcが入力される。第1端子127aは、介在抵抗R3を介して電圧供給電源129に接続されている。第2端子127bは、調整電流i3を出力する。
図26の例では、調整電流出力トランジスタ127は、バイポーラトランジスタであり、具体的にはPNPトランジスタである。制御端子127cは、ベースである。第1端子127aは、エミッタである。第2端子127bは、コレクタである。
第2回路420の第1センサ電圧V1、第2センサ電圧V2、調整電流i3および出力電圧Voutについて、数式を用いつつさらに説明する。
図28に、本実施形態の電流センサ128を示す。電流センサ128は、シャント抵抗128rと、電流センスアンプ128sと、を含む。シャント抵抗128rの抵抗値は、Rsenseである。シャント抵抗128rに電流Iloadが流れると、シャント抵抗128rに電圧RsenseIloadがかかる。電流センスアンプ128sは、電圧RsenseIloadにゲインGを乗じた電圧と、バイアス電圧Vbiasと、の合計電圧を、第1センサ電圧V1として出力する。つまり、本実施形態の電流センサ128が生成する第1センサ電圧V1は、数式4で与えられる。ただし、電流センサ128としてホール素子方式の電流センサ等の他の電流センサを用い、その電流センサの出力を第1センサ電圧V1として用いてもよい。なお、電流Iloadは、特性変換回路400の出力電流に対応する。「*」は、乗算を表す記号である。図4および図28から理解されるように、図28の電流センサ128の構成は、図4の電流センサの構成と同様である。
数式4:V1=Rsense*Iload*G+Vbias
センサ電圧調整回路420aでは、センサ電圧調整オペアンプ124を用いた差分増幅により、第2センサ電圧V2が生成される。第2センサ電圧V2は、以下の数式5で与えられる。ここで、R1は、入力抵抗R1の抵抗値である。R2は、帰還抵抗R2の抵抗値である。
数式5:V2=V4+(V4-V1)*R2/R1
電圧電流変換回路420bでは、トランジスタ駆動オペアンプ126は、V2<V3のときには、バーチャルショートにより電源入力端子126aの電圧が第2センサ電圧入力端子126bの電圧に追従するように、調整電流出力トランジスタ127を駆動させる。具体的には、トランジスタ駆動オペアンプ126は、V2<V3のときには、電源入力端子126aの電圧が第2センサ電圧V2となり、閾値電圧V3と第2センサ電圧V2との電圧差V3-V2が介在抵抗R3にかかり、かつ、介在抵抗R3から第1端子127aへと電流(V3-V2)/R3が流れるように、制御端子127cを駆動する。より具体的には、この駆動時に、制御電圧出力端子126cと制御端子127cの間で電流が流れる。ここで、R3は、介在抵抗R3の抵抗値である。V2<V3のときには、調整電流i3は、以下の数式6で与えられる。V2≧V3のときには、調整電流i3は、以下の数式7で与えられる。なお、数式6では、制御電圧出力端子126cと制御端子127cの間で流れる電流、図26の例ではベース電流、は十分に小さいものとして無視している。
数式6:i3=(V3-V2)/R3
数式7:i3=0
図示の例では、トランジスタ駆動オペアンプ126は、調整電流出力トランジスタ127の端子127c-127a間電圧の温度による変化により調整電流i3が変化することを抑制している。具体的には、仮に、トランジスタ127の制御端子127cに第2センサ電圧V2が直接供給されると、第1端子127aの電圧は、第2センサ電圧V2に端子127c-127a間電圧を足し合わせた値となるため、端子127c-127a間電圧の影響を受けることになる。これに対し、本実施形態では、オペアンプ126の端子126aおよび126bがバーチャルショートしているため、第1端子127aの電圧と第2センサ電圧V2とは実質的に同一となり、調整電流i3は端子127c-127a間電圧の影響を実質的に受けなくなる。先に述べた通り、具体的には、制御端子127cは、ベースである。第1端子127aは、エミッタである。第2端子127bは、コレクタである。端子127c-127a間電圧は、ベース-エミッタ間電圧である。
図27を用いた上述の説明から理解されるように、第1シャントレギュレータ425により、第1参照電圧Vref1は、一定の第1基準電圧Vs1に追従する。出力電圧Voutは、以下の数式8で与えられる。ここで、R421は、抵抗421の抵抗値である。R422は、抵抗422の抵抗値である。数式8は、調整電流i3が大きくなるほど特性変換回路400の出力電圧Voutが小さくなることを示している。
数式8:Vout=(Vref1/R422-i3)*R421+Vref1
数式8および図25から理解されるように、調整電流i3が流れると、出力電圧Voutは小さくなる。このように、調整電流i3は、出力電圧Voutを調整するように作用する。
調整電流i3を、出力電圧調整電流i3と称することができる。
以上の説明から理解されるように、本実施形態では、第2フィードバック制御は、第1フィードバック制御を調整することによって実現される。具体的には、第2回路420によってこの調整が行われる。第2回路420を、調整回路と称することができる。
本実施形態では、燃料電池発電システム40の出力特性の変換を、第1回路410および第2回路420を用いて行う。
回路を用いて特性変換を行う方式は、燃料電池発電システムと相性がよい。具体的には、燃料電池発電システムの出力電圧および出力電力は、風力発電システム等とは異なり、一定に維持し易い。一具体例では、燃料電池発電システムの出力電圧および出力電力は、定格発電において一定に維持される。このため、特性変換回路に接続される発電システムが燃料電池発電システムである場合、特性変換の特性を発電システムの出力電圧および/または出力電力に応じて変更する必要性が低く、回路を用いて特性変換を行う方式を採用し易い。
[電流センサ128の個体ばらつきとその抑制]
上述のとおり、電流センサ128には、個体ばらつきがあることがある。図29および図30を参照しつつ、個体ばらつきの影響について、詳細に説明する。
本実施形態では、電流センサ128は、図28に示した構成を有する。シャント抵抗128rの抵抗値Rsense、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasは、理想的には基準値である。しかし、抵抗値Rsense、ゲインGおよび/またはバイアス電圧Vbiasには、公差の範囲の誤差があり得る。本実施形態では、電流センサ128は、シャント抵抗128rの抵抗値が基準値よりも大きいときには、シャント抵抗128rの抵抗値が基準値であるときに比べ、大きい第1センサ電圧V1を出力するように構成されている。電流センサ128は、ゲインGが基準値よりも大きいときには、ゲインGが基準値であるときに比べ、大きい第1センサ電圧V1を出力するように構成されている。電流センサ128は、バイアス電圧Vbiasが基準値よりも大きいときには、バイアス電圧Vbiasが基準値であるときに比べ、大きい第1センサ電圧V1を出力するように構成されている。
図29において、横軸は、特性変換回路400の出力電圧を示す。図29では、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasが基準値にある場合において、抵抗値Rsenseを変化させた場合の特性変換回路400の出力特性を示す。
具体的には、図29において、「特性変換回路の出力電流(0)」は、シャント抵抗128rの抵抗値Rsenseが基準値にあるときの、特性変換回路400の出力電流を示す。「特性変換回路の出力電流(+)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいときの、同出力電流を示す。「特性変換回路の出力電流(-)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいときの、同出力電流を示す。「特性変換回路の出力電力(0)」は、抵抗値Rsenseが基準値にあるときの、特性変換回路400の出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(+)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいときの、同出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(-)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいときの、同出力電力を示す。
図30において、横軸は、特性変換回路400の出力電流を示す。図30では、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasが基準値にある場合において、抵抗値Rsenseを変化させた場合の特性変換回路400の出力特性を示す。
具体的には、図30において、「特性変換回路の出力電圧(0)」は、シャント抵抗128rの抵抗値Rsenseが基準値にあるときの、特性変換回路400の出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電圧(+)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいときの、同出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電圧(-)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいときの、同出力電圧を示す。「調整電流i3(0)」は、シャント抵抗128rの抵抗値Rsenseが基準値にあるときの、調整電流i3を示す。「調整電流i3(+)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいときの、調整電流i3を示す。「調整電流i3(-)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいときの、調整電流i3を示す。「特性変換回路の出力電力(0)」は、抵抗値Rsenseが基準値にあるときの、特性変換回路400の出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(+)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいときの、同出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(-)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいときの、同出力電力を示す。「切替電流isw(0)」は、抵抗値Rsenseが基準値にあるときの、切替電流iswを示す。「切替電流isw(+)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいときの、切替電流iswを示す。「切替電流isw(-)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいときの、切替電流iswを示す。上述のとおり、切替電流iswは、第1フィードバック制御と第2フィードバック制御とが切り替わるときの特性変換回路400の出力電流である。
抵抗値Rsenseが基準値であるとき、最大電力点は、目標点にある。この状況は、図24および図25に示したとおりである。
抵抗値Rsenseが基準値にあるとき、切替電流iswは、目標電流に一致する。「切替電流isw(0)」が、目標電流に対応する。抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいと、抵抗値Rsenseが基準値にあるときに比べ、切替電流iswは小さい。反対に、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいと、抵抗値Rsenseが基準値にあるときに比べ、切替電流iswは大きい。
抵抗値Rsenseが基準値にあるとき、特性変換回路400の最大電力は、目標電力に一致する。特性変換回路400の出力電流が「切替電流isw(0)」であるときの「特性変換回路の出力電力(0)」が、目標電力に対応する。抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいと、抵抗値Rsenseが基準値にあるときに比べ、最大電力は小さい。反対に、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいと、抵抗値Rsenseが基準値にあるときに比べ、最大電力は大きい。
図29および図30に示されているように、シャント抵抗128rの抵抗値Rsenseの個体ばらつきは、特性変換回路400の最大電力点のばらつきをもたらす。最大電力点のばらつきは、切替電流iswおよび最大電力のばらつきをもたらす。
この点、本実施形態では、可変電圧V4を調整することにより、特性変換回路400の切替電流iswを調整し、最大電力を調整することができる。
例えば、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さく、抵抗値Rsenseが基準値にあるときに比べ、切替電流iswおよび最大電力が大きい場合を考える。この場合、抵抗値Rsenseが基準値にある場合に比べて可変電圧V4を小さくすることにより、切替電流iswおよび最大電力を小さくすることができる。これにより、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。
反対に、抵抗値Rsenseが基準値よりも大きく、抵抗値Rsenseが基準値にあるときに比べ、切替電流iswおよび最大電力が小さい場合を考える。この場合、抵抗値Rsenseが基準値にある場合に比べて可変電圧V4を大きくすることにより、切替電流iswおよび最大電力を大きくすることができる。これにより、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。
可変電圧V4の調整が、調整電流i3および最大電力を変化させ得ることについて、図31を参照しながらさらに説明する。
図31の(a)に、第1センサ電圧V1を示す。ただし、この第1センサ電圧V1には、電流センサ128の個体ばらつきに由来する誤差がある可能性がある。
図31の(b)に、第2センサ電圧V2を示す。電圧V2aは、可変電圧V4を調整する前の第2センサ電圧V2である。なお、調整前の可変電圧V4は、0Vであってもなくてもよい。数式5から理解されるように、可変電圧V4を大きくすると、第2センサ電圧V2は大きくなる。電圧V2bは、このようにして大きくなった後の第2センサ電圧V2である。反対に、可変電圧V4を小さくすると、第2センサ電圧V2は小さくなる。電圧V2cは、このようにして小さくなった後の第2センサ電圧V2である。矢印AR1は、可変電圧V4を調整することにより、第2センサ電圧V2を調整できることを示している。
図31の(c)に、調整電流i3および切替電流iswを示す。電流i3aは、可変電圧V4および第2センサ電圧V2を調整する前の調整電流i3である。電流iswaは、このときの切替電流iswである。第2センサ電圧V2を大きくして電圧V2bにすると、特性変換回路400の出力電流がより大きいときに調整電流i3が流れ始めるようになる。電流i3bは、このようにして流れ始めるタイミングが変化した後の調整電流i3である。電流iswbは、このときの切替電流iswである。反対に、第2センサ電圧V2を小さくして電圧V2cにすると、特性変換回路400の出力電流がより小さいときに調整電流i3が流れ始めるようになる。電流i3cは、このようにして流れ始めるタイミングが変化した後の調整電流i3である。電流iswcは、このときの切替電流iswである。矢印AR2は、可変電圧V4を調整して第2センサ電圧V2を調整することにより、切替電流iswを調整できることを示している。この調整により、最大電力が調整される。
可変電圧V4の調整により、切替電流iswおよび最大電力を、抵抗値Rsenseが基準値にあるときの値に近づけることができる。つまり、切替電流iswおよび最大電力を、目標電流および目標電力に近づけることができる。
電流センサ128が図28に示す構成を有する場合、バイアス電圧Vbiasの個体ばらつきもまた、特性変換回路400の最大電力点のばらつきをもたらし得る。ゲインGの個体ばらつきもまた、特性変換回路400の最大電力点のばらつきをもたらし得る。電流センサ128がホール素子方式の電流センサ等の他のセンサである場合も、電流センサ128の個体ばらつきに由来する誤差が、特性変換回路400の最大電力点のばらつきをもたらし得る。しかし、これらの場合も、シャント抵抗128rの抵抗値Rsenseにばらつきがある場合と同様、可変電圧V4の調整により、特性変換回路400の最大電力点を目標点に近づけ、切替電流iswおよび最大電力を目標電流および目標電力に近づけることができる。
[可変電圧V4の調整の仕方の例]
以下、可変電圧V4の第1調整例および第2調整例について説明する。
切替電流iswの目標値すなわち目標電流がある場合を考える。第1調整例および第2調整例では、出力電流が目標電流であるときに出力電圧が目標電圧となり出力電力が最大電力かつ目標電力となるように、可変電圧V4を調整して特性変換回路400を校正する。具体的に、第1調整例および第2調整例では、目標電流は、図30の「切替電流isw(0)」である。目標電圧は、図30における出力電流が「切替電流isw(0)」であるときの「特性変換回路の出力電圧(0)」である。最大電力および目標電力は、図30における出力電流が「切替電流isw(0)」であるときの「特性変換回路の出力電力(0)」である。
第1調整例では、可変電圧V4は、以下のように調整される。まず、特性変換回路400の出力電流が目標電流に固定されるよう第1DCDCコンバータ21に定電流制御を行わせつつ、燃料電池発電システム40から特性変換回路400に直流電力を供給する。次に、特性変換回路400の出力電圧が目標電圧となるように可変電圧V4を調整する。
具体的に、第1調整例において、特性変換回路400が、図30の「特性変換回路の出力電圧(+)」に示す出力電流-出力電圧特性を有するとする。その場合、出力電流が「切替電流isw(0)」のときは、出力電圧は目標電圧よりも低い。そこで、可変電圧V4を大きくする。そうすると、出力電流-出力電圧特性が変化して、出力電圧が目標電圧に近づく。可変電圧V4を適度に大きくすることで、出力電圧を目標電圧に一致させることができる。さらに、この可変電圧V4の設定により、切替電流iswは目標電流に一致し、出力電力は最大電力かつ目標電力となる。これにより、上記校正が実現される。
また、第1調整例において、特性変換回路400が、図30の「特性変換回路の出力電圧(-)」に示す出力電流-出力電圧特性を有するとする。その場合、出力電流が「切替電流isw(0)」のときは、出力電圧は目標電圧と同じである。ここで、可変電圧V4を小さくする。可変電圧V4の低下幅がある程度に達したときに、出力電圧が目標電圧から下がり始める。出力電圧が下がり始めるときの値に可変電圧V4を設定することで、出力電圧を目標電圧に一致させつつ、切替電流iswを目標電流に一致させ、出力電力を最大電力かつ目標電力にできる。これにより、上記校正が実現される。
第2調整例では、可変電圧V4は、以下のように調整される。まず、特性変換回路400の出力電流が目標電流に固定されるよう第1DCDCコンバータ21に定電流制御を行わせつつ、燃料電池発電システム40から特性変換回路400に直流電力を供給する。次に、特性変換回路400の出力電力が目標電力となるように可変電圧V4を調整する。なお、特性変換回路400の出力電力は、パワーメータ等を用いて測定できる。
具体的に、第2調整例において、特性変換回路400が、図30の「特性変換回路の出力電力(+)」に示す出力電流-出力電力特性を有するとする。その場合、出力電流が「切替電流isw(0)」のときは、出力電力は目標電力よりも低い。そこで、可変電圧V4を大きくする。そうすると、出力電流-出力電力特性が変化して、出力電力が目標電力に近づく。可変電圧V4を適度に大きくすることで、出力電力を最大電力かつ目標電力にすることができる。さらに、この可変電圧V4の設定により、切替電流iswは目標電流に一致し、出力電圧は目標電圧に一致する。これにより、上記校正が実現される。
また、第2調整例において、特性変換回路400が、図30の「特性変換回路の出力電力(-)」に示す出力電流-出力電力特性を有するとする。その場合、出力電流が「切替電流isw(0)」のときは、出力電力は、最大電力ではないが、目標電力と同じである。ここで、可変電圧V4を小さくする。可変電圧V4の低下幅がある程度に達したときに、出力電力が目標電力から下がり始める。出力電力が下がり始めるときの値に可変電圧V4を設定することで、出力電力を最大電力かつ目標電力にしつつ、切替電流iswを目標電流に一致させ、出力電圧を目標電圧に一致させることができる。これにより、上記校正が実現される。
[状況に応じた特性変換回路400の最大電力の調整]
可変パラメータの調整により、状況に応じて特性変換回路400の最大電力を調整することも可能である。一例では、直流電力変換装置20に接続された太陽光発電システムの発電状況に応じて、可変パラメータが調整される。以下、そのような例について、説明する。
本実施形態の電力システム405は、制御器51を備えている。本実施形態では、具体的には、燃料電池発電システム40は、制御器51を含んでいる。ただし、制御器51は、燃料電池発電システム40に含まれていなくてもよい。
一具体例では、制御器51は、少なくとも1つの太陽光発電システムの発電出力に応じて、可変パラメータを変化させる。このようにすれば、太陽光発電システムの発電出力に応じて特性変換回路400の出力電力を調整できる。
発電出力は、例えば、発電電圧、発電電力、発電電流等である。少なくとも1つの太陽光発電システムの発電出力は、少なくとも1つの太陽光発電システムに含まれた1つの太陽光発電システムの発電出力であってもよく、少なくとも1つの太陽光発電システムに含まれた複数の太陽光発電システムの発電出力により定まる値であってもよく、少なくとも1つの太陽光発電システムに含まれた全ての太陽光発電システムの発電出力により定まる値であってもよい。複数のまたは全ての太陽光発電システムの発電出力により定まる値は、合計値または平均値であり得る。具体的には、少なくとも1つの太陽光発電システムの発電出力は、太陽光発電システム31および32の一方の発電出力であってもよく、太陽光発電システム31および32の発電出力の合計値あるいは平均値であってもよい。
一具体例では、発電出力は、少なくとも1つの太陽光発電システムの発電電圧である。制御器51は、(a)発電電圧が閾値発電電圧を跨いで大きくなったときに、切替電流iswが小さくなるように可変パラメータを変化させる、または、(b)発電電圧が大きいほど、切替電流iswが小さくなるように可変パラメータを変化させる。典型的には、太陽光発電システムの発電電圧が大きい場合、太陽光発電システムの発電電力は大きい。この具体例では、そのような場合に、切替電流iswが小さくなるように可変パラメータを変化させる。このようにすれば、特性変換回路400の最大電力が小さくなる。このようにすれば、MPPT制御により特性変換回路400から第1DCDCコンバータ21に取り出される電力が小さくなる。以上の理由で、この具体例によれば、過不足のない電力を第1DCDCコンバータ21に供給できる。
一具体例では、制御器51は、発電出力を表す制御信号を用いて、可変パラメータを変化させる。このようにすれば、発電出力に応じた可変パラメータの調整を容易に実行できる。制御信号は、例えば、直流電力変換装置20によって生成される。あるいは、電力システム405は、発電出力を表す制御信号を生成する出力センサを備えていてもよい。
なお、「状況に応じた特性変換回路400の最大電力の調整」の記載内容は、第3および第5の実施形態にも適用可能である。
特性変換回路400の具体例である特性変換回路400Xを、図32に示す。図32から理解されるように、特性変換回路400Xは、第1の実施形態の図8の特性変換回路100Xに倣って構成できる。このため、特性変換回路400Xの詳細な説明は省略する。
(第5の実施形態)
図33は、本実施形態に係る電力システム505のブロック図である。図34および図36に、第5の実施形態に係る特性変換回路500の出力特性を示す。図37に、第5の実施形態に係る特性変換回路500を示す。
第5の実施形態では、第1回路510は、第1フィードバック制御を、電圧電流制御回路160と協働して実行する。第2回路520は、第2フィードバック制御を、第1回路510および電圧電流制御回路160と協働して実行する。第1フィードバック制御および第2フィードバック制御の両方において、電流センサ128が用いられる。
特性変換回路500において、以下に説明する(i)の出力電圧-出力電力特性および(ii)の出力電流-出力電力特性がもたらされるように、センサ出力が相対的に小さいときに第1フィードバック制御が実行されるとともにセンサ出力が相対的に大きいときに第2フィードバック制御が実行される。
特性変換回路500の(i)の出力電圧-出力電力特性は、図34に示すような、特性変換回路500の出力電圧がある値であるときに特性変換回路500の出力電力が最大となる出力電圧-出力電力特性である。また、(i)の出力電圧-出力電流特性は、図34および図36に示すような、特性変換回路500の出力電圧がある値を跨ぐ領域において特性変換回路500の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路500の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性である。ここで、特性変換回路500の出力電圧が上記ある値を跨ぐ領域は、特性変換回路500の出力電圧が上記ある値より小さい第1の値から上記ある値より大きい第2の値までの領域である。上記のある値は、具体的には、第1の実施形態と同様、所定範囲内の値である。
特性変換回路500によれば、MPPT制御に基づいて燃料電池発電システム40から第1DCDCコンバータ21に大きな電力を取り出し易い。以下、この点について、図34および図35を参照しながら説明する。
上述のように、特性変換回路500の出力電圧が上記ある値を跨ぐ領域において特性変換回路500の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路500の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性をもたらす。この出力電圧-出力電流特性により、図34に示すように、特性変換回路500の出力電圧-出力電力特性のグラフは、上記ある値を跨ぐ領域において、出力電圧に対して出力電力が上に凸の曲線状となり得る。典型例では、特性変換回路500の出力電圧-出力電力特性のグラフは、出力電圧が上記ある値のときに出力電力が最大となる単一ピークのグラフである。
仮に、特性変換回路500の出力電圧-出力電力特性のグラフが。図35に示すような、出力電圧に対して出力電力が上に凸の直線状であったとする。この場合において、MPPT制御を実行したものの、動作点が最大電力点からずれた点に調整されたとする。具体的には、特性変換回路500の出力電圧が、最大電力点の出力電圧Vtargetからずれた電圧Vrealに調整されたとする。この場合、特性変換回路500の出力電力は、動作点が最大電力点に調整された場合に比べ、減少する。図35では、この減少幅をδPBと記載する。
一方、図34の例においても、特性変換回路500の出力電圧が最大電力点の出力電圧Vtargetからずれた電圧Vrealに調整されると、特性変換回路500の出力電力は、動作点が最大電力点に調整された場合と比べ、減少する。図34では、この減少幅をδPAと記載する。
上述のように、特性変換回路500の出力電圧-出力電力特性のグラフが直線状である場合も曲線状である場合も、動作点が最大電力点からずれると、特性変換回路500の出力電力は減少する。しかし、その減少幅は異なる。具体的には、図34の場合の減少幅δPAは、図35の減少幅δPBよりも小さい。このように、出力電圧-出力電力特性のグラフが上に凸の曲線状であることは、上記のずれに起因する出力電力の減少幅を抑え、燃料電池発電システム40から第1DCDCコンバータ21へと取り出される電力の減少幅を抑える観点から有利である。ただし、特性変換制御は、図35の出力電圧-出力電力特性をもたらすものであってもよい。
第2の実施形態と同様、第5の実施形態の特性変換回路500の出力特性には、MPPT制御の方式および分解能に起因する出力電力の減少幅を抑えることができるというメリットがある。この出力特性には、現実的なメリットがある。また、この出力特性には、特性変換回路500のコンパティビリティを高め、採用可能な直流電力変換装置20の制約を小さくするというメリットがある。
また、(ii)の出力電流-出力電力特性は、図34および図36に示すような、特性変換回路500の出力電流が切替電流iswであるときに特性変換回路500の出力電力が最大となる出力電流-出力電力特性である。ここで、切替電流iswは、第1フィードバック制御と第2フィードバック制御とが切り替わるときの特性変換回路500の出力電流である。
切替電流iswは、電流センサ128による特性変換回路500の出力電流の検出の誤差に依存するとともに、可変パラメータを変化させると変化する。この点は、第4の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図34から理解されるように、本実施形態では、第1フィードバック制御と第2フィードバック制御により、特性変換回路500は、特性変換回路500の出力電圧が上記ある値よりも大きく開放電圧よりも小さい領域において、特性変換回路500の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路500の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性をもたらす。また、特性変換回路500の出力電圧が0よりも大きく上記ある値よりも小さい領域において、特性変換回路500の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路500の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性をもたらす。ここで、開放電圧は、特性変換回路500の出力電流がゼロであるときの特性変換回路500の出力電圧である。
上記ある値よりも小さい値を第1の値と定義する。上記ある値よりも大きい値を第2の値と定義する。このとき、図34の例では、出力特性は、出力電圧が第1の値よりも大きく上記ある値よりも小さい領域と出力電圧が上記ある値よりも大きく第2の値よりも小さい領域の両方において、出力電圧が大きくなるほど出力電流が線形的に小さくなる特性である。つまり、出力特性は、上記の両方の領域において、出力電圧に対して出力電流が一次関数の形態で小さくなる特性である。これにより、出力特性は、上記の両方の領域において、出力電力が出力電圧に対して二次関数の形態で変化する特性となり得る。
具体的には、図34の例では、出力特性は、出力電圧が0よりも大きく上記ある値よりも小さい領域と出力電圧が上記ある値から開放電圧の値までの領域の両方において、出力電圧が大きくなるほど出力電流が線形的に小さくなる特性である。つまり、出力特性は、上記の両方の領域において、出力電圧に対して出力電流が一次関数の形態で小さくなる特性である。これにより、出力特性は、上記の両方の領域において、出力電力が出力電圧に対して二次関数の形態で変化する特性となり得る。
出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、電圧がゼロかつ電力がゼロである点を原点と定義する。出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、最大電力点は、電圧が上記ある値であり電力が最大である点と言える。出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、電圧が開放電圧であり電力がゼロである点を、開放電圧点と定義する。出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、原点と最大電力点とを結ぶ直線を第1直線と定義する。出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、最大電力点と開放電圧点とを結ぶ直線を第2直線と定義する。このとき、図34の例では、出力電圧-出力電力特性のグラフにおける出力電圧が第1の値よりも大きく上記ある値よりも小さい領域が、第1直線よりも高電力側にある。出力電圧-出力電力特性のグラフにおける出力電圧が上記ある値よりも大きく第2の値よりも小さい領域が、第2直線よりも高電力側にある。
具体的には、図34の例では、出力電圧-出力電力特性のグラフにおける出力電圧が0よりも大きく上記ある値よりも小さい領域が、第1直線よりも高電力側にある。出力電圧-出力電力特性のグラフにおける出力電圧が上記ある値から開放電圧までの領域が、第2直線よりも高電力側にある。
第1フィードバック制御および第2フィードバック制御が相俟って、特性変換回路500の出力電圧-出力電流特性は、図34および図36の破線に示すものとなる。結果として、特性変換回路500の出力電圧-出力電力特性は、図34の実線に示すような、単一ピークを有する上に凸のものとなる。
上述のように、特性変換回路500の上に凸である出力電圧-出力電力特性は、第1DCDCコンバータ21によるMPPT制御を可能にする。特性変換回路500のMPPT制御は、第1DCDCコンバータ21によって実行され得る。
特性変換回路500の構成について、さらに説明する。
図37に示すように、第1回路510は、抵抗421と、抵抗422と、抵抗550と、電流センサ128と、第1シャントレギュレータ425と、を有する。第2回路520は、抵抗550と、電流センサ128と、センサ電圧調整回路520aと、電圧電流変換回路520bと、を有する。電流センサ128および抵抗550は、第1回路510および第2回路520によって共有されている。フィードバック電流供給部130は、電流供給電源131と、第6抵抗132と、を有する。
電圧電流制御回路160は、電流供給電源131から流出する電流が小さいほど、電圧電流制御回路160の入力電圧に対する出力電圧の比率を大きくする。このように、特性変換回路500は、電流供給電源131から流出する電流に応じて上記比率が調整されるようになっている。
第5の実施形態では、電流センサ128は、第4の実施形態と同様、図28に示す構成を有する。電流センサ128が生成する第1センサ電圧V1は、上記の数式4で与えられる。ただし、電流センサ128としてホール素子方式の電流センサ等の他の電流センサを用い、その電流センサの出力を第1センサ電圧V1として用いてもよい。
第5の実施形態では、第1シャントレギュレータ425は、第4の実施形態と同様、図27に示す構成を有する。第1シャントレギュレータ425により、第1参照電圧Vref1は、一定の第1基準電圧Vs1に追従する。
図37に示した第1回路510において、第1フィードバック制御における特性変換回路500の出力電圧V
outは、以下の数式9で与えられる。ここで、R421は抵抗421の抵抗値であり、R422は抵抗422の抵抗値であり、R550は抵抗550の抵抗値である。
数式9から理解されるように、特性変換回路500の出力電流が大きくなり第1センサ電圧V1が大きくなると、出力電圧Voutは小さくなる。このように、第1センサ電圧V1は、出力電圧Voutを調整するように作用する。
具体的には、第1回路510による第1フィードバック制御において、第1センサ電圧V1が大きくなると、電流センサ128から抵抗550および接続点psをこの順に介して第1接続点p1に流れる電流が大きくなる。第1シャントレギュレータ425により、第1参照電圧Vref1は、一定の第1基準電圧Vs1に追従する。この追従を実現するために、抵抗422には、一定の電流が流れる。このことは、抵抗550を第1接続点p1に向かって流れる上記電流が大きくなると、抵抗421を第1接続点p1に向かって流れる電流が小さくなることを意味する。この電流が小さくなるということは、抵抗421で生じる電圧が小さくなることを意味する。
図37を参照した説明を踏まえて、第1フィードバック制御における第1回路510の動作を以下のように説明できる。特性変換回路500の出力電流が大きくなると、第1接続点p1の電圧が第1参照電圧Vref1に追従した状態で抵抗421において生じる電圧が小さくなる。その結果、特性変換回路500の出力電圧Voutが小さくなる。このようにして、第1フィードバック制御により、図34および図36に示すような、特性変換回路500の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路500の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性が得られる。
また、第1フィードバック制御により、特性変換回路500の開放電圧が制御される。ここで、開放電圧は、特性変換回路500の出力電流がゼロであるときの特性変換回路500の出力である。特性変換回路500の出力電流がゼロなので、数式4においてIloadがゼロになり、V1はバイアス電圧Vbiasに等しくなる。したがって、数式9により規定されるVoutが固定値となる。この固定値が、特性変換回路500の開放電圧に対応する。このように、本実施形態では、第1シャントレギュレータ425と電圧電流制御回路160の働きにより、電圧電流制御回路160の出力電圧Voutが数式9によって決まる電圧になるように第1電流i1が制御されることにより、開放電圧が規定値に設定される。
第5の実施形態では、第4の実施形態と同様、第2センサ電圧V2は、上記の数式5で与えられる。V2<V3のときの調整電流i3は、上記の数式6で与えられる。V2≧V3のときの調整電流i3は、上記の数式7で与えられる。
一方、第5の実施形態では、出力電圧V
outは、第4の実施形態で説明した数式8とは異なる数式で与えられる。具体的には、第1シャントレギュレータ425により、第1参照電圧V
ref1は、一定の第1基準電圧V
s1に追従する。出力電圧V
outは、以下の数式10で与えられる。ここで、R421は、抵抗421の抵抗値である。R422は、抵抗422の抵抗値であり、R550は抵抗550の抵抗値である。数式10は、電流センサ128からのセンサ出力(具体的には第1センサ電圧V1)が大きくなるほど、また、調整電流i3が大きくなるほど特性変換回路500の出力電圧V
outが小さくなることを示している。
数式10および図36から理解されるように、調整電流i3が流れると、出力電圧Voutは小さくなる。このように、調整電流i3は、出力電圧Voutを調整するように作用する。調整電流i3を、出力電圧調整電流i3と称することができる。また、第2回路520を、調整回路と称することができる。
[電流センサ128の個体ばらつきとその抑制]
第4の実施形態で述べたとおり、電流センサ128には、個体ばらつきがあることがある。しかし、第5の実施形態によれば、第4の実施形態と同様、個体ばらつきの影響を抑える調整が可能である。この点について、以下、図38から図40を参照しつつ、詳細に説明する。図38は、個体ばらつきの影響を抑える調整を行う前の、特性変換回路500の出力特性を示す。図39は、調整を説明するための図である。図40は、個体ばらつきの影響を抑える調整を行った後の、特性変換回路500の出力特性を示す。
本実施形態では、電流センサ128は、図28に示した構成を有する。シャント抵抗128rの抵抗値Rsense、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasは、理想的には基準値である。しかし、抵抗値Rsense、ゲインGおよび/またはバイアス電圧Vbiasには、公差の範囲の誤差があり得る。本実施形態では、電流センサ128は、シャント抵抗128rの抵抗値が基準値よりも大きいときには、シャント抵抗128rの抵抗値が基準値であるときに比べ、大きい第1センサ電圧V1を出力するように構成されている。電流センサ128は、ゲインGが基準値よりも大きいときには、ゲインGが基準値であるときに比べ、大きい第1センサ電圧V1を出力するように構成されている。電流センサ128は、バイアス電圧Vbiasが基準値よりも大きいときには、バイアス電圧Vbiasが基準値であるときに比べ、大きい第1センサ電圧V1を出力するように構成されている。
図38において、横軸は、特性変換回路500の出力電流を示す。図38では、ゲインGおよびバイアス電圧Vbiasが基準値にある場合において、抵抗値Rsenseを変化させた場合の特性変換回路500の出力特性を示す。
具体的には、図38において、「特性変換回路の出力電圧(0)」は、シャント抵抗128rの抵抗値Rsenseが基準値にあるときの、特性変換回路500の出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電圧(+)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいときの、同出力電圧を示す。「特性変換回路の出力電圧(-)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいときの、同出力電圧を示す。「調整電流i3(0)」は、シャント抵抗128rの抵抗値Rsenseが基準値にあるときの、調整電流i3を示す。「調整電流i3(+)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいときの、調整電流i3を示す。「調整電流i3(-)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいときの、調整電流i3を示す。「特性変換回路の出力電力(0)」は、抵抗値Rsenseが基準値にあるときの、特性変換回路500の出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(+)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいときの、同出力電力を示す。「特性変換回路の出力電力(-)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいときの、同出力電力を示す。「切替電流isw(0)」は、抵抗値Rsenseが基準値にあるときの、切替電流iswを示す。「切替電流isw(+)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいときの、切替電流iswを示す。「切替電流isw(-)」は、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいときの、切替電流iswを示す。上述のとおり、切替電流iswは、第1フィードバック制御と第2フィードバック制御とが切り替わるときの特性変換回路500の出力電流である。
抵抗値Rsenseが基準値であるとき、最大電力点は、目標点にある。この状況は、図34および図36に示したとおりである。
抵抗値Rsenseが基準値にあるとき、切替電流iswは、目標電流に一致する。「切替電流isw(0)」が、目標電流に対応する。図38に示すように、抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいと、抵抗値Rsenseが基準値にあるときに比べ、切替電流iswは小さい。反対に、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいと、抵抗値Rsenseが基準値にあるときに比べ、切替電流iswは大きい。
抵抗値Rsenseが基準値にあるとき、特性変換回路500の最大電力は、目標電力に一致する。特性変換回路500の出力電流が「切替電流isw(0)」であるときの「特性変換回路の出力電力(0)」が、目標電力に対応する。抵抗値Rsenseが基準値よりも大きいと、抵抗値Rsenseが基準値にあるときに比べ、最大電力は小さい。反対に、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さいと、抵抗値Rsenseが基準値にあるときに比べ、最大電力は大きい。
[可変電圧V4の調整の仕方の例]
図38に示されているように、シャント抵抗128rの抵抗値Rsenseの個体ばらつきは、特性変換回路500の最大電力点のばらつきをもたらす。最大電力点のばらつきは、切替電流iswおよび最大電力のばらつきをもたらす。
この点、本実施形態では、可変電圧V4を調整することにより、特性変換回路500の切替電流iswを調整し、最大電力を調整することができる。
例えば、抵抗値Rsenseが基準値よりも小さい場合には、抵抗値Rsenseが基準値にある場合に比べて可変電圧V4を小さくして切替電流iswを調整することで、最大電力を目標電力に近づけることができる。
反対に、抵抗値Rsenseが基準値よりも大きい場合には、抵抗値Rsenseが基準値にある場合に比べて可変電圧V4を大きくして切替電流iswを調整することで、最大電力を目標電力に近づけることができる。
ここで、数式5から理解されるように、可変電圧V4を大きくすると、第2センサ電圧V2は大きくなる。反対に、可変電圧V4を小さくすると、第2センサ電圧V2は小さくなる。
第2センサ電圧V2を大きくすると、特性変換回路500の出力電流がより大きいときに調整電流i3が流れ始めるようになる。反対に、第2センサ電圧V2を小さくすると、特性変換回路500の出力電流がより小さいときに調整電流i3が流れ始めるようになる。可変電圧V4を調整して第2センサ電圧V2を調整することにより、切替電流iswを調整できることを示している。この調整により、最大電力が調整される。
次に、可変電圧V4の調整が、調整電流i3および最大電力を変化させ得ることについて、図39を参照しながらさらに説明する。
可変電圧V4の調整にあたっては、一例として、特性変換回路500の出力部に出力電力を測定するための電力計、および、負荷としての電子負荷装置を接続する。
この調整例では、可変電圧V4の初期値は、十分に大きい電圧に設定される。そして、この調整例では、適切に調整された後の可変電圧V4の値は、初期値よりも小さいものとする。また、図38に示すとおり厳密には第1フィードバック制御における特性変換回路500の出力電流-出力電力特性は抵抗値Rsenseの個体ばらつきの影響で変動するが、図39を参照して行う以下の説明ではこの変動は十分に小さく無視できるものとする。
図39の(a)に示すように、特性変換回路500を動作させる。特性変換回路500からの出力電流を徐々に増加させ、特性変換回路500の出力電力が目標値になるように調整する。この目標値は、調整後の最大電力点に対応する値である。次に、可変電圧V4を徐々に下げる。これにより、切替電流iswが徐々に小さくなり、可変電圧V4がある値であるときに最大電力の低下に伴って出力電力が目標値から低下し始める。この低下が始まるときの動作点に、特性変換回路500の動作点を設定する。こうして、特性変換回路500の出力電圧を最大電力点(目標値)に調整する。
電子負荷装置として、公知のものを利用できる。一例では、電子負荷装置は、定電流(CC:Constarnt Current)モードを備える。CCモードを利用する場合、電子負荷装置を流れる電流である負荷電流の設定値を徐々に大きくすることによって、特性変換回路500からの出力電流を徐々に増加させることができる。別例では、電子負荷装置は、定抵抗(CR:Constrant Resistance)モードを備える。CRモードを利用する場合、電子負荷装置の抵抗である負荷抵抗の設定値を徐々に小さくすることによって、特性変換回路500からの出力電流を徐々に増加させることができる。なお、電子負荷装置は、CCモードおよびCRモードの両方を備えていてもよく、一方を備えていてもよい。
図39の(b)に、調整電流i3aおよび切替電流iswaを示す。電流i3aは、可変電圧V4および第2センサ電圧V2の調整後の調整電流i3である。電流iswaは、このときの切替電流iswである。なお、説明を理解し易くする目的で、切替電流iswaを、図39の(a)においても示している。
可変電圧V4の調整により、切替電流iswを調整することにより、最大電力点を抵抗値Rsenseが基準値にあるときの動作点に近づけることができる。
また、数式4、数式5および数式6から、抵抗値R
senseと調整電流i3の関係は数式11で与えられる。
数式11より、図38に示したように、抵抗値Rsenseが大きいと調整電流i3の傾きが大きくなり、反対に抵抗値Rsenseが小さいと調整電流i3の傾きが小さくなることが理解される。この傾向は、図40にも現れている。
また、電流センサ128が図28に示す構成を有する場合、バイアス電圧VbiasおよびゲインGの個体ばらつきもまた、特性変換回路500の最大電力点のばらつきをもたらし得る。電流センサ128がホール素子方式の電流センサ等の他のセンサである場合も、電流センサ128の個体ばらつきに由来する誤差が、特性変換回路500の最大電力点のばらつきをもたらし得る。しかし、これらの場合も、シャント抵抗128rの抵抗値Rsenseにばらつきがある場合と同様、可変電圧V4の調整により、特性変換回路500の最大電力点を目標点に近づけ、切替電流iswおよび最大電力を目標電流および目標電力に近づけることができる。
特性変換回路500の具体例である特性変換回路500Xを、図41に示す。図41から理解されるように、特性変換回路500Xは、第2の実施形態の図8の特性変換回路100Xに倣って構成できる。このため、特性変換回路500Xの詳細な説明は省略する。
(第6の実施形態)
図42は、本実施形態に係る電力システム605のブロック図である。電力システム605には、制御部670が設けられている。制御部670は、特性変換制御を実行する。特性変換制御は、特性変換回路600の電気出力特性を、参照テーブルデータに追従させる制御である。制御部670は、ソフトウエアを用いて実現され得る。
本実施形態では、複数の分散システム30のそれぞれは、制御部670を有する。複数の分散システム30のそれぞれにおいて、制御部670が、特性変換制御を実行し、特性変換回路600の電気出力特性を調整する。制御部670は、各分散システム30の基板60に設けられていてもよい。制御部670は、各分散システム30の燃料電池発電システム40に設けられていてもよい。制御部670が基板60および燃料電池発電システム40のいずれに設けられている場合も、分散システム30は、上記の要件(ii)、すなわち、特性変換制御により特性変換回路の出力電圧-出力電力特性が特性変換回路の出力電圧がある値であるときに特性変換回路の出力電力が最大になるように調整されるという要件、を満たし得る。
制御部670は、電力システム605の内かつ分散システム30の外の位置に設けられていてもよい。この場合も、分散システム30は、上記の要件(ii)を満たし得る。
また、電力システム605における1つの制御部670が、複数の分散システム30における特性変換回路600に関する特性変換制御を実行する構成も採用され得る。この場合も、当該複数の分散システム30が上記の要件(ii)を満たし得る。
参照テーブルデータが表す電気出力特性は、出力電圧がある値であるときに出力電力が最大となる特性である。つまり、参照テーブルデータが表す出力電圧-出力電力特性は、そのような出力電圧-出力電力特性である。上記のある値は、具体的には、第1の実施形態と同様、所定範囲内の値である。
また、参照テーブルデータが表す電気出力特性は、出力電圧が上記ある値を跨ぐ領域において出力電圧が大きくなるほど出力電流が小さくなる特性である。つまり、参照テーブルデータが表す出力電圧-出力電流特性は、そのような出力電圧-出力電流特性である。ここで、出力電圧が上記ある値を跨ぐ領域は、出力電圧が上記ある値よりも小さい第1の値から上記ある値よりも大きい第2の値までの領域である。
上記の出力電圧-出力電力特性および出力電圧-出力電流特性の一例を、図43に示す。図43では、出力電圧-出力電力特性を、V-P特性と記載している。出力電圧-出力電流特性を、V-I特性と記載している。実線は、V-P特性を表す。点線は、V-I特性を表す。
特性変換制御により得られる出力電圧-出力電力特性によれば、MPPT制御に基づいて燃料電池発電システム40から第1DCDCコンバータ21に大きな電力を取り出し易い。以下、この点について、図43とともに図44を参照しながら説明する。
上述のように、特性変換制御は、特性変換回路600の出力電圧がある値であるときに特性変換回路600の出力電力が最大となる出力電圧-出力電力特性をもたらす。さらに、特性変換制御は、特性変換回路600の出力電圧が上記ある値を跨ぐ領域において特性変換回路600の出力電圧が大きくなるほど特性変換回路600の出力電流が小さくなる出力電圧-出力電流特性をもたらす。この出力電圧-出力電流特性により、特性変換回路600の出力電圧-出力電力特性のグラフは、出力電圧が上記ある値を跨ぐ領域において、出力電圧に対して出力電流が上に凸の曲線状となり得る。典型例では、特性変換回路600の出力電圧-出力電力特性のグラフは、出力電圧が上記ある値のときに出力電力が最大となる単一ピークのグラフである。
仮に、参照テーブルデータが表す出力電圧-出力電力特性のグラフが、図44に示すような出力電圧に対して出力電流が上に凸の直線状であり、この出力電圧-出力電力特性に実際の特性変換回路600の出力電圧-出力電力特性が追従したとする。この場合において、MPPT制御を実行したものの、動作点が最大電力点からずれた点に調整されたとする。具体的には、特性変換回路600の出力電圧が、最大電力点の出力電圧Vtargetからずれた電圧Vrealに調整されたとする。この場合、特性変換回路600の出力電力は、動作点が最大電力点に調整された場合に比べ、減少する。図44では、この減少幅を、ΔPBと記載する。
図43の例においても、特性変換回路600の出力電圧が最大電力点の出力電圧Vtargetからずれた電圧Vrealに調整されると、特性変換回路600の出力電力は、動作点が最大電力点に調整された場合に比べ、減少する。図43では、この減少幅を、ΔPAと記載する。
上述のように、参照テーブルデータが表す(つまり、特性変換回路600が追従するべき)出力電圧-出力電力特性のグラフが直線状である場合も曲線状である場合も、動作点が最大電力点からずれると、特性変換回路600の出力電力は減少する。しかし、その減少幅は異なる。具体的には、図43の場合の減少幅ΔPAは、図44の減少幅ΔPBよりも小さい。このように、出力電圧-出力電力特性のグラフが上に凸の曲線状であることは、上記のずれに起因する出力電力の減少幅を抑え、燃料電池発電システム40から第1DCDCコンバータ21へと取り出される電力の減少幅を抑える観点から有利である。ただし、特性変換制御は、図44の出力電圧-出力電力特性をもたらすものであってもよい。
第2の実施形態と同様、第6の実施形態の特性変換回路600の出力特性には、MPPT制御の方式および分解能に起因する出力電力の減少幅を抑えることができるというメリットがある。この出力特性には、現実的なメリットがある。また、この出力特性には、特性変換回路600のコンパティビリティを高め、採用可能な直流電力変換装置20の制約を小さくするというメリットがある。
図43に示すように、参照テーブルデータが表す電気出力特性は、出力電圧が0よりも大きく上記ある値よりも小さい領域において、出力電圧が大きくなるほど出力電流が小さくなる特性であってもよい。また、参照テーブルデータが表す電気出力特性は、出力電圧が上記ある値よりも大きく開放電圧よりも小さい領域において、出力電圧が大きくなるほど出力電流が小さくなる特性であってもよい。ここで、開放電圧は、出力電流がゼロであるときの出力電圧である。
上記ある値よりも小さい値を第1の値と定義する。上記ある値よりも大きい値を第2の値と定義する。このとき、図43の例では、参照テーブルデータが表す電気出力特性は、出力電圧が第1の値よりも大きく上記ある値よりも小さい領域と出力電圧が上記ある値よりも大きく第2の値よりも小さい領域の両方において、出力電圧が大きくなるほど出力電流が線形的に小さくなる特性である。つまり、参照テーブルデータが表す電気出力特性は、上記の両方の領域において、出力電圧に対して出力電流が一次関数の形態で小さくなる特性である。これにより、参照テーブルデータが表す電気出力特性は、上記の両方の領域において、出力電力が出力電圧に対して二次関数の形態で変化する特性となり得る。
具体的には、図43の例では、参照テーブルデータが表す電気出力特性は、出力電圧が0よりも大きく上記ある値よりも小さい領域と出力電圧が上記ある値から開放電圧の値までの領域の両方において、出力電圧が大きくなるほど出力電流が線形的に小さくなる特性である。つまり、参照テーブルデータが表す電気出力特性は、上記の両方の領域において、出力電圧に対して出力電流が一次関数の形態で小さくなる特性である。これにより、参照テーブルデータが表す電気出力特性は、上記の両方の領域において、出力電力が出力電圧に対して二次関数の形態で変化する特性となり得る。
出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、電圧がゼロかつ電力がゼロである点を原点と定義する。出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、最大電力点は、電圧が上記ある値であり電力が最大である点と言える。出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、電圧が開放電圧であり電力がゼロである点を、開放電圧点と定義する。出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、原点と最大電力点とを結ぶ直線を第1直線と定義する。出力電圧-出力電力特性のグラフにおいて、最大電力点と開放電圧点とを結ぶ直線を第2直線と定義する。このとき、図43の例では、出力電圧-出力電力特性のグラフにおける出力電圧が第1の値よりも大きく上記ある値よりも小さい領域が、第1直線よりも高電力側にある。出力電圧-出力電力特性のグラフにおける出力電圧が上記ある値よりも大きく第2の値よりも小さい領域の両方が、第2直線よりも高電力側にある。
具体的には、図43の例では、出力電圧-出力電力特性のグラフにおける出力電圧が0よりも大きく上記ある値よりも小さい領域が、第1直線よりも高電力側にある。出力電圧-出力電力特性のグラフにおける出力電圧が上記ある値から開放電圧までの領域の両方が、第2直線よりも高電力側にある。
参照テーブルデータが表す電気出力特性において、出力電圧がある値よりも小さい領域を第2領域と定義し、出力電圧がある値よりも大きい領域を第1領域と定義する。このとき、図43の例では、第1領域では、第2領域に比べ、出力電圧の増加に対する出力電流の減少の比率が大きい。このようにすれば、特性変換回路600の出力特性を太陽光発電システムの出力特性に近づけ易い。
[参照テーブルデータの例]
本実施形態では、制御部670は、複数のテーブルデータが格納されたメモリを含む。複数のテーブルデータのうちの1つが、参照テーブルデータとして選択される。このようにすれば、特性変換制御にバリエーションを持たせることができる。例えば、燃料電池発電システム40および/または直流電力変換装置20等の機器の仕様に応じて、複数のテーブルデータから参照テーブルデータを手動で選択できる。この選択は、電力システム605の施工者、電力システム605のユーザー等によって行われ得る。
第1の例では、複数のテーブルデータは、A個のテーブルデータを含む。A個のテーブルデータが表す特性変換回路600の電気出力特性における出力電力の最大値は、互いに異なる。ここで、Aは、2以上の自然数である。第1の例によれば、特性変換回路600の電気出力特性における出力電力の最大値にバリエーションを持たせることができる。具体的には、第1の例によれば、採用可能な直流電力変換装置20がその受電可能電力により制約され難い。燃料電池発電システム40の最大出力電力が何らかの原因で低下した場合に、特性変換回路600から出力される最大電力を低下させることによって、該最大電力を燃料電池発電システム40が供給可能な範囲内に収めることができる。また、出力可能電力が異なる多様な特性変換回路600に(あるいは、出力可能電力が異なる多様な基板60に)制御部670を流用できる。図45に、A個のテーブルデータが表す複数のV-P特性の例を示す。
A個のテーブルデータが表す特性変換回路600の電気出力特性における出力電力の最大値は、最大電力点における出力電力である。
第2の例では、複数のテーブルデータは、B個のテーブルデータを含む。B個のテーブルデータが表す特性変換回路600の電気出力特性における出力電圧の最大値は、互いに異なる。ここで、Bは、2以上の自然数である。第2の例によれば、特性変換回路600の電気出力特性における出力電圧の最大値にバリエーションを持たせることができる。具体的には、第2の例によれば、採用可能な直流電力変換装置20がその受電可能電圧により制約され難い。図46に、B個のテーブルデータが表す複数のV-P特性の例を示す。
B個のテーブルデータが表す特性変換回路600の電気出力特性における出力電圧の最大値は、特性変換回路600の出力電流がゼロであるときの特性変換回路600の出力電圧すなわち開放電圧である。
第3の例では、複数のテーブルデータは、C個のテーブルデータを含む。複数のテーブルデータが表す特性変換回路600の電気出力特性における最大電力点における出力電圧は、互いに異なる。ここで、Cは、2以上の自然数である。最大電力点における出力電圧は、上記ある値に対応する。図47に、C個のテーブルデータが表す複数のV-P特性の例を示す。
A個のテーブルデータと、B個のテーブルデータと、C個のテーブルデータとが、互いに重複する1または複数のテーブルデータを有していてもよい。
また、制御部670は、第1テーブルデータを参照テーブルデータとして設定できるように構成されていてもよい。第1テーブルデータが表す電気出力特性は、出力電圧がその最大値の半分(すなわち、開放電圧の半分)よりも小さくかつ出力電力が最大値の75%以上である領域を有する特性である。このようにすることは、特性変換回路600の出力電圧が小さいときに出力電力が大きい出力電圧-出力電流特性を実現するのに適している。図48に、第1テーブルデータが表すV-P特性の例を示す。図48において、ハッチングは、出力電圧がその最大値の半分よりも小さくかつ出力電力が最大値の75%以上である領域に付されている。第3の例におけるC個のテーブルデータの一部または全部を、第1テーブルデータに該当するテーブルデータとすることも可能である。
以上の説明から理解されるように、参照テーブルデータとして選択され得るテーブルデータの自由度は高い。特性変換制御によれば、そのような自由度の高いテーブルデータに特性変換回路600の電気出力特性を追従させ得る。このため、特性変換制御には、得られる電気出力特性の自由度が高いというメリットがある。このメリットは、燃料電池発電システム40および/または直流電力変換装置20等の採用可能な機器の制約を小さくし得る。
本実施形態では、複数の特性変換回路100に関する特性変換制御において、同一内容の参照テーブルデータが用いられる。ただし、ある特性変換回路100に関する特性変換制御と別の特性変換回路100に関する特性変換制御とで異なる内容の参照テーブルデータが用いられてもよい。
[特性変換回路600および制御部670の構成例]
図49に、特性変換回路600および制御部670の構成例を示す。なお、図49では、LCフィルタ61、保護リレー62およびダイオード63の図示を省略している。
この例では、特性変換回路600および制御部670を用いたフィードバック制御ループが構成されている。このフィードバック制御ループでは、特性変換回路600の出力電流および出力電圧がその後の特性変換回路600の出力電流および出力電圧に反映される。
図49に示す特性変換回路600は、電圧電流制御回路160と、電流センサ128と、を有する。電圧電流制御回路160は、DCDCコンバータである。図49の例では、特性変換制御において、特性変換回路600の電気出力特性が参照テーブルデータに追従するように、電圧電流制御回路160の変圧比が調整される。
電流センサ128は、特性変換回路600の出力電流を検出する。具体的には、電流センサ128は、電圧電流制御回路160の出力電流を検出する。この検出に基づいた、出力電流を表す値が、制御部670に与えられる。
また、特性変換回路600の出力電圧を表す値が、制御部670に与えられる。具体的には、電圧電流制御回路160の出力電圧を表す値が、制御部670に与えられる。
図49に示す制御部670は、電圧値取得部671と、電流値取得部672と、メモリ673と、比較部674と、補正信号生成部675と、駆動部676と、を含む。
以下、図49に示す制御部670の構成要素の動作を、図50のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1において、電圧値取得部671は、特性変換回路600の出力電圧を表す電圧値Vvalを取得する。
ステップS2において、電流値取得部672は、特性変換回路600の出力電流を表す電流値Ivalを取得する。
ステップS3において、制御部670は、メモリ673から参照テーブルデータを読み出す。この例の参照テーブルデータは、特性変換回路600の出力電圧と出力電流とが一対一に対応付けられたデータである。
ステップS4において、比較部674は、電圧値Vvalおよび電流値Ivalと、参照テーブルデータと、を比較する。具体的には、比較部674は、参照テーブルデータから、特性変換回路600の出力電流が電流値Ivalであるときにその出力電流に対応する出力電圧を特定する。そして、比較部674は、当該対応する出力電圧と電圧値Vvalの差分ΔVを演算する。
ステップS5において、補正信号生成部675は、差分ΔVに基づいて、補正信号を生成する。この例では、補正信号は、電圧信号である。
ステップS6において、駆動部676は、補正信号に基づいて、電圧電流制御回路160を駆動する。具体的には、駆動部676は、補正信号に基づいた変圧比で電圧電流制御回路160がDC-DC変換を行うように、電圧電流制御回路160を駆動する。
[特性変換回路600および制御部670の第1の具体例]
以下、図51を参照しながら、特性変換回路600および制御部670の第1の具体例である特性変換回路600Xおよび制御部670Aについて説明する。以下では、既に説明した要素については、同一符号を付し、その説明を省略することがある。また、以下では、電圧電流制御回路160Xという表記を用いることがある。電圧電流制御回路160Xは、電圧電流制御回路160の一具体例である。これらの点は、後述の第2の具体例および第3の具体例についても同様である。
この具体例では、電流センサ128は、特性変換回路600の出力電流を検出し、その検出の結果を表すセンサ電圧Vsを出力する。電流センサ128は、特性変換回路600の出力電流が大きくなるほどセンサ電圧Vsを大きく出力する。つまり、センサ電圧Vsは、特性変換回路600の出力電流が大きくなるほど大きくなる。そのような電流センサ128は、例えば、シャント抵抗を用いて実現できる。電流センサ128が出力したセンサ電圧Vsは、制御部670Aによる制御に反映される。電流センサ128は、図4に示す構成を有し得る。
図51の具体例では、特性変換回路600Xは、第14抵抗691および第15抵抗694と、発光ダイオード194と、フォトトランジスタ195と、電源193と、を有する。発光ダイオード194およびフォトトランジスタ195は、フォトカプラ196を構成している。電源193は、典型的には、定電圧源である。
電流センサ128と、第14抵抗691と、発光ダイオード194と、基準電位とが、この順に接続されている。電源193と、第15抵抗694と、フォトトランジスタ195と、基準電位とが、この順に接続されている。
この具体例では、センサ電圧Vsに応じた電流が、第14抵抗691、発光ダイオード194および基準電位にこの順に流れる。フォトカプラ196の働きにより、この電流に応じた電流が、電源193、第15抵抗694、フォトトランジスタ195および基準電位にこの順に流れる。この電流に応じた電圧が、第15抵抗694およびフォトトランジスタ195の接続点p2に現れ、電流値取得部672に入力される。電流値取得部672は、入力された電圧に基づいた、電流値Ivalを得る。
また、この具体例では、特性変換回路600Xは、第12抵抗681および第13抵抗684と、発光ダイオード182と、フォトトランジスタ185と、電源183と、を有する。発光ダイオード182およびフォトトランジスタ185は、フォトカプラ186を構成している。電源183は、典型的には、定電圧源である。
特性変換回路600Xの出力電圧Voutが現れる部分と、第12抵抗681と、発光ダイオード182と、基準電位とが、この順に接続されている。電源183と、第13抵抗684と、フォトトランジスタ185と、基準電位とが、この順に接続されている。
この具体例では、出力電圧Voutに応じた電流が、第12抵抗681、発光ダイオード182および基準電位にこの順に流れる。フォトカプラ186の働きにより、この電流に応じた電流が、電源183、第13抵抗684、フォトトランジスタ185および基準電位にこの順に流れる。この電流に応じた電圧が、第13抵抗684およびフォトトランジスタ185の接続点p1に現れ、電圧値取得部671に入力される。電圧値取得部671は、入力された電圧に基づいた、電圧値Vvalを得る。
この具体例では、制御部670Aは、基板60に設けられている。制御部670Aでは、図49を参照して説明したように、電圧値Vvalおよび電流値Ivalに基づいて、補正信号が生成される。
駆動部676は、ハイサイドドライバ出力端子149aおよびローサイドドライバ出力端子149bを有する。これらの端子149aおよび149bから電圧電流制御回路160Xに、補正信号に基づいた駆動パルス信号が供給される。こうして、電圧電流制御回路160Xが駆動される。
電圧電流制御回路160Xは、LLCコンバータを構成している。電圧電流制御回路160Xの構成は、第1の実施形態で説明した通りである。
第1スイッチング素子162aの制御端子には、ハイサイドドライバ出力端子149aから駆動パルス信号が供給される。第2スイッチング素子162bの制御端子には、ローサイドドライバ出力端子149bから駆動パルス信号が供給される。これにより、スイッチング素子162aおよび162bは、互いに逆位相の駆動パルス信号が供給されることによって、交互にオンオフする。
スイッチング素子162aおよび162bに供給される駆動パルス信号の周波数が高いほど、LLC共振に基づき、電圧電流制御回路160Xの入力電圧に対する出力電圧の比率が小さくなる。駆動パルス信号の周波数は、補正信号に基づいて定められる。
[特性変換回路600および制御部670の第2の具体例]
以下、図52を参照しながら、特性変換回路600および制御部670の第2の具体例である特性変換回路600Yおよび制御部670Bについて説明する。
第2の具体例では、第1の具体例と同様、制御部670Bは、基板60に設けられている。一方、第2の具体例では、第1の具体例とは異なり、制御部670Bではなく特性変換回路600Yに駆動部が設けられている。
特性変換回路600Yは、分圧回路665と、駆動部679と、を有する。駆動部679は、フィードバック電流供給部130Xと、電流共振制御部140と、を有する。
分圧回路665は、第16抵抗611と、第17抵抗612と、を有する。
分圧回路665では、第16抵抗611および第17抵抗612により、特性変換回路600の出力電圧Voutが分圧される。この分圧電圧が、抵抗611および612の接続点p3に現れ、電圧値取得部671に入力される。電圧値取得部671は、入力された電圧に基づいた、電圧値Vvalを得る。
一方、センサ電圧Vsは、電流値取得部672に入力される。電流値取得部672は、入力された電圧に基づいた、電流値Ivalを得る。
制御部670Bでは、図49を参照して説明したように、電圧値Vvalおよび電流値Ivalに基づいて、補正信号が生成される。補正信号は、電圧信号である。
フィードバック電流供給部130Xの動作は、補正信号によって規定される。具体的には、フィードバック電流供給部130Xは、電流供給電源131と、第6抵抗132と、第1発光ダイオード135と、を有する。第1発光ダイオード135には、電流供給電源131から流出した電流が流れる。具体的に、補正信号生成部675から出力された補正信号の電圧により、電流供給電源131から流出する電流が規定される。特性変換回路600Yは、この電流が大きいほど高い発振周波数が規定され、発振周波数が高いほど、電圧電流制御回路160Xの入力電圧に対する出力電圧の比率が小さくなり、特性変換回路600Xの入力電圧に対する出力電圧の比率が小さくなるように構成されている。
電流共振制御部140の構成は、第1の実施形態で説明した通りである。
第2の具体例でも、第1の具体例と同様、第1スイッチング素子162aの制御端子には、ハイサイドドライバ出力端子149aから駆動パルス信号が供給される。第2スイッチング素子162bの制御端子には、ローサイドドライバ出力端子149bから駆動パルス信号が供給される。これにより、スイッチング素子162aおよび162bは、互いに逆位相の駆動パルス信号が供給されることによって、交互にオンオフする。
第2の具体例では、第1の具体例と同様、スイッチング素子162aおよび162bに供給される駆動パルス信号の周波数が高いほど、LLC共振に基づき、電圧電流制御回路160Xの入力電圧に対する出力電圧の比率が小さくなる。駆動パルス信号の周波数は、補正信号に基づいて定められる。
第2の具体例では、電流供給電源131から流出する電流が大きいほど、電圧電流制御回路160の入力電圧に対する出力電圧の比率が小さくなる。その電流は、電圧信号である補正信号により規定される。要するに、制御部670Bは、電流供給電源131から適度な電流が流出し電圧電流制御回路160Xの変圧比が適切に設定されるように、補正信号を生成する。
[特性変換回路600および制御部670の第3の具体例]
以下、図53を参照しながら、特性変換回路600および制御部670の第3の具体例である特性変換回路600Zおよび制御部670Bについて説明する。
第3の具体例では、第1の具体例と同様、特性変換回路600Zは、第14抵抗691および第15抵抗694と、発光ダイオード194と、フォトトランジスタ195と、電源193と、を有する。発光ダイオード194およびフォトトランジスタ195は、フォトカプラ196を構成している。第3の具体例では、第1の具体例と同様にして、電流値取得部672は、電流値Ivalを得る。
また、第3の具体例では、第1の具体例と同様、第12抵抗681および第13抵抗684と、発光ダイオード182と、フォトトランジスタ185と、電源183と、を有する。発光ダイオード182およびフォトトランジスタ185は、フォトカプラ186を構成している。第3の具体例では、第1の具体例と同様にして、電圧値取得部671は、電圧値Vvalを得る。
第3の具体例では、第2の具体例と同様にして、制御部670Bでは、電圧値Vvalおよび電流値Ivalに基づいて、補正信号が生成される。補正信号は、電圧信号である。
第3の具体例では、第2の具体例と同様にして、駆動部679は、補正信号に基づいて、電圧電流制御回路160Xを駆動させる。
第3の具体例では、制御部670Bは、燃料電池発電システム40に設けられている。燃料電池発電システム40と基板60との間を延びるハーネスによって、制御部670Bと特性変換回路600Zとが接続されている。制御部670Bは、制御器51であってもよい。
図49の特性変換回路600の具体例は、図51から図53の特性変換回路600Xから600Zには限られない。例えば、電圧電流制御回路160はLLCコンバータでなくてもよく、デューティ比を調整することによって電圧電流制御回路160の変圧比を調整する構成も採用され得る。制御部670の具体例も、図51から図53の制御部670Aおよび670Bには限られない。
本開示に、その他の種々の変更を適用することもできる。例えば、複数の燃料電池発電システム40は、同一の構成を有していなくてもよい。複数の基板60は、同一の構成を有していなくてもよい。各特性変換回路100は、特性変換制御における「ある値」が同じとなるように設計されていなくてもよい。複数の太陽光発電システムは、同一の構成を有していなくてもよい。電力システムにおける太陽光発電システムの数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。電力システムは、太陽光発電システムを有していないくてもよい。分散システム30の数は、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。燃料電池システム40の数および特性変換回路の数についても同様である。特定負荷259以外に、DCDCコンバータ21から電力が供給される負荷があってもよい。直流電力変換装置は、パワーステーションに組み込まれていなくてもよい。
[効果]
上記で説明したように、本開示の第1態様に係る電力システムは、
複数の分散システムと1つのDCDCコンバータとを備える電力システムであって、
前記複数の分散システムのそれぞれは、燃料電池発電システムと特性変換回路とダイオードとを有し、
前記電力システムの運転モードが重畳モードであるときに、前記複数の分散システムのうちの少なくとも2つが特定出力状態をとり、
前記特定出力状態にある前記分散システムでは、
前記燃料電池発電システムが、前記特性変換回路に直流電力を出力し、
前記特性変換回路の出力電圧がある値であるときに前記特性変換回路の出力電力が最大になるように、特性変換制御により、前記特性変換回路の出力電圧-出力電力特性が調整され、
前記特性変換回路が、前記DCDCコンバータによりMPPT制御され、かつ
前記特性変換回路が、前記ダイオードを介して前記DCDCコンバータへと直流電力を出力する。
燃料電池発電システムは、夜間においても発電でき、長時間の発電が可能である。複数の燃料電池発電システムから電力を取り出すことおよびその電力取り出しを特性変換制御およびMPPT制御を介して行うことは、大きな電力を取り出すのに適している。よって、第1態様に係る電力システムは、非常時に大きな電力を取り出すのに適している。
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係る電力システムでは、
前記電力システムの運転モードが切替モードであるときに、
前記複数の分散システムのうちの1つのみが、前記特定出力状態をとってもよく、
前記特定出力状態にある前記分散システムの前記特性変換回路の出力電流が増加することにより出力電圧が低下して他の前記分散システムの前記特性変換回路の出力電圧未満となった場合、前記特定出力状態をとる前記分散システムが前記他の分散システムに切り替わってもよい。
第2態様の切替モードは、DCDCコンバータへの電力供給を複数の分散システムに均等に分担させるのに適している。
本開示の第3態様において、例えば、第2態様に係る電力システムでは、
前記重畳モードは、前記切替モードに比べ、前記DCDCコンバータへの入力電力が大きいときに実行されてもよい。
第3態様によれば、DCDCコンバータへの入力電力に応じて運転モードを切り替えることができる。
本開示の第4態様において、例えば、第1から第3態様のいずれか1つに係る電力システムは、前記DCDCコンバータを含むパワーステーションと、前記パワーステーションから電力が入力される特定負荷と、をさらに備えていてもよく、
各分散システムが前記特定出力状態において前記DCDCコンバータへと出力する電力の平均を単位電力と定義したとき、前記パワーステーションへの入力電力から前記特定負荷の要求電力を差し引いた差分が0以上かつ前記単位電力未満となるように、前記特定出力状態をとる前記分散システムの個数が調整されてもよい。
第4態様によれば、適切な大きさの電力をDCDCコンバータに入力できる。
本開示の第5態様において、例えば、第1から第4態様のいずれか1つに係る電力システムは、前記DCDCコンバータから電力が入力される特定負荷と、前記DCDCコンバータから電力が入力される蓄電装置と、をさらに備えていてもよい。
第5態様によれば、DCDCコンバータに過剰な電力が入力された場合に、余剰分を、一旦蓄電装置に蓄え、後に利用することができる。
本開示の第6態様において、例えば、第1から第5態様のいずれか1つに係る電力システムは、前記DCDCコンバータから電力が入力される特定負荷をさらに備えていてもよく、
停電の発生を契機として、前記複数の分散システムのうちの少なくとも1つが前記特定出力状態で前記DCDCコンバータを介して前記特定負荷に電力を出力する停電時出力が開始されてもよい。
第6態様によれば、停電時に特定負荷に電力を供給できる。
本開示の第7態様において、例えば、第6態様に係る電力システムでは、
前記複数の分散システムのそれぞれは、前記燃料電池発電システムから電力が入力される分散負荷を含んでいてもよく、
停電の発生を契機として、前記少なくとも2つの前記分散システムにおいて、前記燃料電池発電システムから前記分散負荷への電力供給に制約が課されてもよい。
第7態様は、停電時出力において、特定負荷の要求電力を確保し易い。
本開示の第8態様において、例えば、第1から第7態様のいずれか1つに係る電力システムでは、
前記複数の分散システムにおいて、前記ある値が最大である前記特性変換回路と、前記ある値が最小である前記特性変換回路とでは、前記ある値の差が20V以下であってもよい。
第8態様で規定している程度に「ある値」の差が小さいと、重畳モードを実施し易い。
本開示の第9態様において、例えば、第1から第8態様のいずれか1つに係る電力システムでは、
前記特性変換制御は、前記特性変換回路の出力電圧が前記ある値よりも大きい領域において、前記特性変換回路の出力電流が増加すると前記特性変換回路の出力電圧が減少する出力電圧-出力電流特性をもたらしてもよい。
第9態様の出力電圧-出力電流特性は、特性変換回路がもたらす出力電圧-出力電流特性の典型例である。また、このような出力電圧-出力電流特性は、切替モードを実行するのに適している。
本開示の第10態様に係る電力取出方法は、
複数の分散システムと1つのDCDCコンバータとを備え、前記複数の分散システムのそれぞれは、燃料電池発電システムと特性変換回路とダイオードとを有する電力システムを用いた電力取出方法であって、
前記複数の分散システムのうちの少なくとも2つにおいて、
前記燃料電池発電システムが、前記特性変換回路に直流電力を出力することと、
前記特性変換回路の出力電圧がある値であるときに前記特性変換回路の出力電力が最大になるように、特性変換制御により、前記特性変換回路の出力電圧-出力電力特性が調整されることと、
前記特性変換回路が、前記DCDCコンバータによりMPPT制御されることと、
前記特性変換回路が、前記ダイオードを介して前記DCDCコンバータへと直流電力を出力することと、が同時に行われる。
第10態様によれば、第1態様と同様の効果が得られる。
第10態様に、第2から第9態様の技術を組み合わせてもよい。