JP7352248B1 - 抗がん剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エリスリトール、キシリトール、メソ酒石酸に細胞増殖抑制効果があることを見出した。特にエリスリトールは細胞増殖抑制効果だけではなく、遊走能を抑制することも確認されており、がんの増殖だけではなく、転移も抑制するものと考えられる。したがって、エリスリトールを有効成分とする抗がん剤は、副作用がない抗がん剤となると考えられる。さらに、他の抗がん剤、特に副作用の強い細胞傷害性の抗がん剤を併用した場合には、細胞傷害性の抗がん剤が低濃度で効果が認められることから、他の抗がん剤との併用にも有効な薬剤である。
【選択図】図5
Description
(1)エリスリトール、キシリトール、又はメソ酒石酸を有効成分とする抗がん剤。
糖アルコールであるエリスリトール、キシリトール、また有機酸であるメソ酒石酸に、細胞増殖効果が認められた。エリスリトール、キシリトールは、従来から食品や化粧品に用いられている糖アルコールである。これら化合物は、安全性が担保されていることから、副作用の少ない抗がん剤として使用が期待できる。
以下の実施例で示すが、in vitroの実験からこれら化合物はがん細胞の増殖抑制効果あることが示された。
これら化合物のうち、特に、エリスリトールはin vitroだけではなく、in vivoでの効果も確認されていることから、有用な抗がん剤として機能するものと考えられる。
また、エリスリトールは細胞の遊走能も抑制することから、がんの転移を抑制するものと推認される。
非経口投与、特に血中投与で有効であることが確認された。
従来から用いられている抗がん剤はその副作用が問題となっているが、エリスリトールは、抗がん剤と併用することによって、他の抗がん剤のIC50を減少させる効果があった。すなわち、副作用の高い抗がん剤を減らして治療することが可能となる。
特に、副作用が強くでる細胞傷害性抗がん剤で相乗効果が認められたことは、既存の医薬と併用するうえで非常に意味がある。
[実施例1]
[がん細胞に対するエリスリトールの増殖抑制]
マウス肺がん細胞、Lewis lung carcinoma(LLC)細胞(RIKEN BRC CELL BANK)は、96ウェルプレート(ビーエム機器株式会社)に5×103細胞/ウェルにて播種し、10%fetal bovine serum(FBS)(Sigma-Aldrich)を含む、90μLのDMEM培地(Thermo Fisher Scientific)にエリスリトールを添加し、24時間及び48時間培養した。培地中に添加したエリスリトール(伊藤忠食糧株式会社)は、Phosphate buffered saline(PBS)にそれぞれ0.082、0.819、2.457Mにて溶解し、0.2mm(ADVANTEC)フィルターを使用して滅菌した後、培地に添加した。すなわち、最終濃度は8.2mM、81.9mM、245.7mMとなっている。
[エリスリトールによるがん細胞増殖に関する遺伝子発現への影響]
エリスリトール添加後の遺伝子発現の変化の解析を行った。LLC細胞の培地に、エリスリトール245.7mM、コントロールとしては等量のPBSを添加し、48時間後に細胞をmiRNeasy Kits(QIAGEN)を用いて抽出し、Bioengineering Lab株式会社にて、RNA-seqを実施した。得られたデータは、CLC Genomics Workbench(CLC bio)とGene Set Enrichment Analysis (GSEA)(UC San Diego and Broad Institute)用いて解析を実施した。
[マウスモデルにおけるがん細胞の増殖抑制効果]
7週齢のC57BL/6J mice(日本エスエルシー株式会社)は、1週間23℃±2℃、12時間ごとの明暗サイクル、実験食(CE-2 30kGy照射済み、日本クレア株式会社)で1週間馴化飼育した(n=8)。その後、DMEMで培養したLLC細胞(7継代培養)1×106cellsを0.2mL生理食塩水で希釈し、針付き注射筒(マイショット、27Gx13mm、NIPRO)を用いてマウスの右鼠蹊部皮下に注射した。同時に、エリスリトールを2.5Mで生理食塩水に溶解し、針付き注射筒(マイショット、30Gx13mm、NIPRO)を用いて、尾静脈より0.2mL投与した(1回投与量、60mg、ヒト等価用量162.6mg/kg)。エリスリトールの尾静脈注射は、1回/1日にて実施した。実験期間中、がんの定着をゲージを使って計測し、2週間後に解剖した。癌の大きさ(mm3)は、0.4(係数)×(最小直径mmx最大直径mm)で計算し、平均値を算出した(図5)。なお、副作用がないと考えられることから、投与量の上限は特に規定するものではない。
[がん細胞の遊走能に対するエリスリトールの効果]
実施例2の結果から、エリスリトール添加により、がんの浸潤、転移に関する遺伝子発現が変化していたことから、細胞の遊走能に与える影響の解析を行った。インサート(カルチャーインサート24ウェル用、0.4μm PET透明メンブレン、Falcon)に0.1%FBSを含むDMEM培地を400μL入れ、LLC細胞を1×105個の細胞数でインサートに播種した。24ウェルセルカルチャーインサートコンパニオンプレート(Corning)に、エリスリトールを245.7mMになるように添加した無血清DMEM培地を1000μL入れ、24時間培養を行った。インサートを取り出し、アスピレーションで培地を吸引し、さらに綿棒でインサート内を拭き取った。1mLの70%エタノールが入っているウェルにインサート移し、インサート内に0.5mLの70%エタノールを加えた。30分放置したのち、アスピレーションでインサート内の70%エタノールを除き、1mLのPBSが入った新しい24ウェルに、インサートを移した。インサート内に、PBSを0.5mL加え、インサートを洗浄した。洗浄操作を2回行ったのち、インサート内のPBSをアスピレーションで除いた。
[エリスリトールの細胞骨格にあたえる影響]
3.5cm細胞培養ディッシュに滅菌されたカバーガラス(Matsunami)を置き、245.7mMになるようにエリスリトールを添加したDMEM培地、または、コントロールとしてPBSを等量添加したDMEM培地を入れ、2.5×104個のLLC細胞を播種した。48時間後、アスピレーションで培地を除いたのち、3.7%ホルマリン2mLを加えて、5分間放置し、細胞を固定した。アスピレーションでホルマリンを除き、2mL PBS+0.1% tritonを加えた。アスピレーションでPBS+0.1% tritonを除き、2mL PBSでカバーガラスを洗浄した。アスピレーションでPBSを除き、再度洗浄を行った。アクチン染色は、Alexa Fluor 488で標識化されたPhalloidn(1:100、Thermo Fisher)、核染色はDAPI(1:35000、abcam)を、1% bovine serum albmin(BSA)で希釈し、1時間染色した。カバーガラスを0.1% Tweenを含む1mL PBSで3回洗浄し、さらに1mL PBSで3回洗浄した。10μL fluromount(Diagnostic Biosystems)でマウントし、1時間放置したのち、顕微鏡下(Keyence)で撮影した(図7)。
[各種糖アルコールのがん細胞への効果と抗がん剤の併用]
96ウェルマイクロタイタープレート(ビーエム機器株式会社)に、10% FBSを含むDMEM培地を用い、5×103細胞でLLC細胞を播種し、24時間前培養を行った。前培養ののち、エリスリトール(ERT)、キシリトール(XRT)、ソルビトール(SRT)を、PBSにそれぞれ最終濃度が8.2mM、81.9mM、245.7mMになるように溶解し、0.2mm(ADVANTEC)フィルターを使用して滅菌した後、培地に添加した。液量は9μl/ウェルとした。
[エリスリトール類縁体の細胞増殖抑制効果]
エリスリトールだけではなく、キシリトールにも細胞増殖抑制効果が認められ、ソルビトールには細胞増殖抑制効果が認められなかったことから、他の低分子の類縁化合物にがん細胞増殖抑制効果があるか検討を行った。エリスリトールの立体異性体であるL-トレイトール、及びエリスリトールの1位及び4位のヒドロキシ基がカルボキシル基に置き換えられたメソ酒石酸について、細胞の増殖抑制効果を検討した。検討した化合物の構造をエリスリトールや実施例6で効果が認められたキシリトールと合わせて図9に示す。
Claims (5)
- エリスリトールを有効成分とし、
非経口投与により投与することを特徴とする抗がん剤。 - がんの増殖を抑制するものであることを特徴とする請求項1記載の抗がん剤。
- がんの転移を抑制するものである請求項1、又は2記載の抗がん剤。
- 他の抗がん剤と併用することを特徴とする請求項3記載の抗がん剤。
- 他の抗がん剤が細胞傷害性抗がん剤であることを特徴とする請求項4記載の抗がん剤。
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2023
- 2023-03-27 JP JP2023050674A patent/JP7352248B1/ja active Active
Non-Patent Citations (1)
Title |
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Cancer Res,2021年,13 Supplement Abdtract LB183 |
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