以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る監視制御システム1について説明する。図1は、第1実施形態に係る監視制御システム1の概要を説明する図である。図2は、第1実施形態に係る監視制御システム1のハードウェア構成の一例を示す図である。
監視制御システム1は、監視制御装置100と、4階建てのビル10に設置されたエレベーターシステム30(図2参照)などのビル設備とを備える。監視制御装置100は、エレベーターシステム30の監視および制御を行う装置である。
監視制御装置100は、エレベーターシステム30と通信可能に構成される。監視制御装置100は、ビル20に設置されている。ビル20は、エレベーターシステム30が設置されたビル10とは異なる場所にある。なお、監視制御装置100は、ビル10内に設置されていてもよい。
監視制御システム1は、エレベーターシステム30以外にも、各種ビル設備を備える。図2に示すように、本実施の形態においては、ビル設備として、入退管理システム231、照明システム232、空調システム233をさらに備える。さらに、監視制御システム1は、ビル設備以外にも、会議室管理システム234を備える。会議室管理システム234も、ビル10内に設置されている。これらの設備の詳細については、図3以降を用いて後述する。
監視制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、記憶部114と、通信インターフェイス115と、I/Oインターフェイス116とを有する。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
CPU111は、監視制御装置100全体を総括的に制御する。CPU111は、ROM112に格納されているプログラムをRAM113に展開して実行する。ROM112は、監視制御装置100が行う処理の処理手順が記されたプログラムを格納する。
RAM113は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。また、記憶部114は、不揮発性の記憶装置であり、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等である。
I/Oインターフェイス116は、CPU111が外部機器と接続するためのインターフェイスである。CPU111は、I/Oインターフェイス116を介してディスプレイなどの表示装置121、あるいはキーボードやマウスなどの入力装置122と接続可能である。
通信インターフェイス115は、エレベーターシステム30、入退管理システム231、照明システム232、空調システム233、および会議室管理システム234との通信を制御する。監視制御装置100は、通信インターフェイス115を介してこれらのシステム(ビル設備等)と通信を行うことができる。
エレベーターシステム30は、制御盤50と、かご341,342と、1F~4F(1階~4階とも称する)乗場装置222~224とを備える。制御盤50は、群管理制御装置200と、各台制御装置201,202とを有する。
群管理制御装置200は、CPU211と、ROM212と、RAM213と、通信インターフェイス215とを有する。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
CPU211は、群管理制御装置200全体を総括的に制御する。CPU211は、ROM212に格納されているプログラムをRAM213に展開して実行する。ROM212は、群管理制御装置200が行う処理の処理手順が記されたプログラムを格納する。
RAM213は、CPU211がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。
通信インターフェイス215は、各台制御装置201,202、1F~4F乗場装置221~224、および監視制御装置100との通信を制御する。群管理制御装置200は、通信インターフェイス215を介してこれらの装置と通信を行うことができる。
各台制御装置201は、かご341と通信可能であり、かご341を制御する。各台制御装置202は、かご342と通信可能であり、かご342を制御する。なお、図示しないが、各台制御装置201,202も、群管理制御装置200と同様にCPUとROMとRAMと通信インターフェイスとを有する。
群管理制御装置200は、各台制御装置201を介して、かご341を制御する。群管理制御装置200は、各台制御装置202を介して、かご342を制御する。群管理制御装置200は、1F~4Fに設置された1F~4F乗場装置221~224を制御する。
たとえば、1F~4F乗場装置221~224のそれぞれには、乗場呼び釦が設置されている。乗場呼び釦が押されると、群管理制御装置200は乗場呼び情報を取得してこれを登録する。群管理制御装置200は、登録された乗場呼びに対してかご341およびかご342のいずれかを割当てる。
たとえば、3階の乗場において上方向の乗場呼びが登録され、群管理制御装置200が当該乗場呼びに対してかご341を割当てたとする。この場合、群管理制御装置200は、かご341が当該乗場呼びに応答するよう各台制御装置201に対して指令を行う。これにより、かご341は、3階の上方向の乗場呼びに応答する。
このように、群管理制御装置200は、各台制御装置201,202および1F~4F乗場装置221~224と各種情報(信号)のやり取りをする。そして、後述するように、これらの各種情報(かご情報、乗場情報)は、ログとして記憶可能である。
図1に戻り、かご341,342は、昇降路351内を上昇または下降して、1F(1階)~4F(4階)の各階に停止可能である。ビル10の機械室には、制御盤50が設置されており、制御盤50内には群管理制御装置200等が設置されている。
各階の居室(居室311~314)にいるビル10の利用者がエレベーターを利用する場合、居室から退室して各階のエレベーターの乗場(乗場331~334)まで移動してかごを待つことになる。退室する際には、入退管理システム231が備えるカードリーダ(「CR」とも称する:カードリーダ324a~324d等)に、利用者が所持するIDカードを読み取らせてドアを解錠する。
4階の居室314には、カードリーダ324aが設置されている。現在、4Fの乗場334では、1人の人374がかご341を待っている。3階の居室313には、カードリーダ323aが設置されている。居室313では、人363が退室しようとしている。現在、3Fの乗場333では、3人の人373がかご341を待っている。
2階の居室312には、カードリーダ322aが設置されている。現在、2Fの乗場332では、1人の人372がかご341を待っている。1階の居室311には、カードリーダ321aが設置されている。現在、1Fの乗場331では、かご341を待っている人はいない。かご341内には、2人の人381が乗車している。
本例では、3Fの乗場333では3人の人373がかご341を待っており、3Fの乗場333が一番混雑している。本実施の形態における監視制御装置100は、このような各階の乗場の混雑状況(待ち人数)を予測する。そして、混雑階がパーク階(「待機階」とも称する)として設定される。本例では、3Fがパーク階に設定されている。
パーク階が設定された場合、群管理制御装置200は、パーク階に対する配車を行う。具体的には、群管理制御装置200は、かご341およびかご342のいずれかに対して、パーク指令(待機指令)を行う。たとえば、群管理制御装置200は、全ての乗場呼びおよびかご呼びに応答し終わったかごに対してパーク指令を行う。パーク指令を受けたかごは、パーク階(上記例では、3階)に走行し、パーク階で待機する。
なお、本実施の形態においては、パーク階は1階床に対して設定可能であり、パーク指令は1台のかごに対して行われるが、パーク階として複数階床を設定可能であってもよく、複数台のかごに対してパーク指令を行うようにしてもよい。
また、群管理制御装置200は、パーク階が設定された階床に待機するようかごに待機指令(パーク指令)を行うものに限らず、当該階床に対して乗場呼びを登録し、当該乗場呼びに対してかごを割当てるようにしてもよい。また、この場合、当該乗場呼びに対して、混雑状況に応じて複数台のかごを割当てるようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、ビル10には2台のかごが設置されているが、これに限らず、1台のかごを設置してもよいし、3台以上のかごを設置してもよい。1台のかごを設置する場合は、群管理制御装置を備えなくてもよい。この場合、群管理制御装置に変えて、1つの各台制御装置が1台のかごおよび乗場装置と通信を行い、当該各台制御装置が監視制御装置100と通信を行うようにすればよい。
図3は、第1実施形態に係る入退管理システム231による人の検出を説明する図である。入退管理システム231は、1階~4階の各々の居室の入退室を管理するシステムである。各居室を出入りする人(オフィスの従業員等)は、個人を特定可能なIDカードを所持している。
IDカードを所持した従業員等は、居室の入口付近に設けられたカードリータ(「CR」とも称する)にIDカードを読み取らせることでドアを解錠して居室に入り、居室の出口付近に設けられたカードリータにIDカードを読み取らせることでドアを解錠して居室から出る。
図3には、3階の居室313、3階の乗場333、および、かご341,342が示されている。居室313内の出入口361(出口)付近には、カードリーダ323aが設置され、居室313内の出入口362(出口)付近には、カードリーダ323bが設置されている。また、居室313への入口付近には、カードリーダ323c,323dが設置されている。
左図は、人363が、カードリーダ323aを用いて、出入口361を解錠している様子を示している。右図は、カードリーダ323aを用いて出入口361を解錠した後に出入口361から退室し、乗場333でかご341またはかご342の到着を待っている人373を示している。
このように、出口付近に設けられたカードリーダ323a,323bを用いて出入口361,362を解錠された場合は、居室からの退室が発生し、さらに、退室者が乗場でかごを待つことが想定できる。
図4は、第1実施形態に係る空調システム233による人の検出を説明する図である。空調システム233は、熱画像センサ(熱画像センサ423a~423d等)を備える。熱画像センサは、熱画像センサの検出範囲内を通過する人物を検出可能である(人物の検出方法について後述する)。
図4には、3階の居室313、3階の乗場333、および、かご341,342が示されている。居室313内には、空調システム233が備える熱画像センサ423a~423dが設置されている。
居室313内の出入口361(出口)付近には、熱画像センサ423aが設置され、居室313内の出入口362(出口)付近には、熱画像センサ423bが設置されている。
左図は、人363が、熱画像センサ423aによって検出された様子を示している。右図は、熱画像センサ423aによって検出された後に出入口361から退室し、乗場333でかご341またはかご342の到着を待っている人373を示している。
このように、出口付近に設けられた熱画像センサ423a,423bにより人が検出された場合は、居室からの退室が発生し、さらに、退室者が乗場でかごを待つことが想定できる。
図5は、第1実施形態に係る照明システム232による人の検出を説明する図である。照明システム232は、人感センサ(人感センサ523a~523f等)を備える。人感センサは、人感センサの検出範囲内を通過する人物を検出可能である(人物の検出方法について後述する)。
図5には、3階の居室313、3階の乗場333、および、かご341,342が示されている。居室313内には、空調システム233が備える人感センサ523a~523fが設置されている。
居室313内の出入口361(出口)付近には、人感センサ523aが設置され、居室313内の出入口362(出口)付近には、人感センサ523cが設置されている。
左図は、人363が、人感センサ523aによって検出された様子を示している。右図は、人感センサ523aによって検出された後に出入口361から退室し、乗場333でかご341またはかご342の到着を待っている人373を示している。
このように、出口付近に設けられた人感センサ523a,523cにより人が検出された場合は、居室からの退室が発生し、さらに、退室者が乗場でかごを待つことが想定できる。なお、会議室管理システム234については、図22を用いて後述する。
監視制御システム1は、入退管理システム231、照明システム232、空調システム233および会議室管理システム234うちの1つのシステムを備えるものであってもよいし、このうちの2以上のシステムを備えるものであってもよい。以下に示す第1実施形態の例においては、照明システム232を活用して乗場での待ち人数の予測およびパーク階の設定を行う例について説明する。
以下、第1実施形態に係る監視制御システム1における処理を図6~図17を用いて説明する。図6は、第1実施形態に係る監視制御システム1の機能ブロック図の一例を示す図である。
監視制御装置100は、ログ記録部129と、取得部130と、予測部131と、生成部132と、出力部133とを備える。ログ記録部129は、ログを生成してこれを記憶部114に記憶させる。取得部130は、ログ記録部129が生成したログを記憶部114から取得する。
上記ログは、第1ログと、第2ログと、第3ログと、第4ログとを含む。第1ログ(「昇降機運行ログ」とも称する)は、かごの運行情報(「かご情報」とも称する)が記録されたログである。ログ記録部129は、各台制御装置201,202および群管理制御装置200から出力される情報を取得し、第1ログを生成する。
第2ログ(「呼び登録ログ」とも称する)は、かごに対する乗場呼びの登録情報(「乗場情報」とも称する)が記録されたログである。ログ記録部129は、1~4F乗場装置221~224および群管理制御装置200から出力される情報を取得し、第2ログを生成する。
第3ログは、設備稼働ログと設備レイアウト情報とを含むログである。第3ログは、エレベーターシステム30以外のビル設備(入退管理システム231、照明システム232、空調システム233)の情報が記録されたログである。ログ記録部129は、入退管理システム231、照明システム232および空調システム233のうちの1または複数のシステムが出力する情報を取得し、第3ログを生成する。
設備稼働ログは、かごが停止可能な複数の階床(1階~4階)の各々の居室からの退場に関するビル設備の稼働情報である。以下、単に、「複数の階床」と記載する場合、「1階~4階」を指す。設備レイアウト情報は、複数の階床(1階~4階)の各々の居室からの退場に関するビル設備の配置情報である。
第4ログは、ビル設備以外の設備として、会議室管理システム234の情報が記録されたログである。ログ記録部129は、会議室管理システム234が出力する情報を取得し、第4ログを生成する。
第1実施形態においては、第3ログとして照明システム232のログを取得し、第4ログは取得しない。なお、本例においては、ログ記録部129がログを生成する構成としたが、群管理制御装置200などの各種ビル設備自身がログを生成し、取得部130が当該ログを取得するように構成してもよい。
以下、監視制御システム1が実行する処理の流れをフローチャートに沿って説明する。メイン処理は、取得部130、予測部131、生成部132および出力部133が実行する処理であり、取得したログに基づきエレベーターへの変更指令を生成し、当該変更指令を出力する処理である。群管理制御装置200は、当該変更指令に基づき、パーク階設定を変更する。なお、パーク階に変更がなければ、出力部133は変更指令を出力しなくてもよい。
図7は、第1実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。メイン処理は、たとえば、エレベーターの保守を行う保守員あるいはビルの管理を行う管理者等が、監視制御装置100に接続された入力装置122を操作することで起動してもよい。あるいは、一定周期ごと(たとえば、1日ごと、3日ごと)にメイン処理を起動するようにしてもよい。以下、「ステップ」を単に「S」とも称する。
図7に示すように、監視制御システム1が実行するメイン処理が開始すると、S1において、取得部130は、ログを取得し、処理をS2に進める。第1実施形態においては、取得部130は、群管理制御装置200からの情報に基づく第1,2ログ、および、照明システム232からの情報に基づく第3ログを記憶部114から取得する。なお、ログ記録部129は、群管理制御装置200、照明システム232等からの情報を取得するごとに、記憶部114にログを記録しているものとする。
次に、予測部131は、S2~S4において、ログに基づき、エレベーターのかご(かご341,342)が停止可能な複数の階床(1階~4階)の各々の乗場(乗場331~334)でかごを待つ待ち人数を予測する。
具体的には、S2において、予測部131は、乗車人数算出処理を実行し、処理をS3に進める。予測部131は、乗車人数算出処理において、第1ログおよび第2ログに基づき、複数の階床(1階~4階)の各々の乗場からかごに乗車した乗車人数を算出する。乗車人数算出処理については、図8~図11を用いて後述する。
S3において、予測部131は、退室人数予測処理を実行し、処理をS4に進める。予測部131は、退室人数予測処理において、照明システム232(人感センサ523a~523f等)の稼働情報および配置情報に基づき、複数の階床(1階~4階)の各々の居室から退室した退室人数を予測する。退室人数予測処理については、図12~図15を用いて後述する。
S4において、予測部131は、待ち人数予測処理を実行し、処理をS5に進める。予測部131は、待ち人数予測処理において、複数の階床(1階~4階)の各々の退室人数および乗車人数に基づき、複数の階床(1階~4階)の各々の待ち人数を予測する。待ち人数予測処理については、図16,図17を用いて後述する。
S5において、生成部132は、複数の階床(1階~4階)のそれぞれに対応した複数の待ち人数に基づき、エレベーターシステム30の設定の変更指令(パーク階設定)を生成し、処理をS6に進める。たとえば、本例において、1階~4階のうち、最も待ち人数が多かった階が3階であると判断した場合、パーク階を3階に設定する指令を生成する。
S6において、出力部133は、待ち人数に基づく情報として変更指令をエレベーターシステム30に対して出力し、処理を終了する。パーク階の設定は、時間帯に応じて異ならせてもよい。たとえば、3階が混雑する時間帯ではパーク階を3階に設定する指令を出力し、1階が混雑する時間帯ではパーク階を1階に設定する指令を出力してもよい。
エレベーターシステム30は、出力部133によって出力された変更指令に基づきエレベーターシステム30の設定を変更する。具体的には、群管理制御装置200は、パーク階を設定する。上記例では、群管理制御装置200は、パーク階として3階を設定する。
これにより、群管理制御装置200は、かご341またはかご342に対して、3階に待機する指令を送信する。たとえば、群管理制御装置200は、各台制御装置201に対して、かご341を3階に待機させるよう指令を送る。かご341が3階から離れた場合は、かご342を3階に待機する指令を送信する。このようにして、群管理制御装置200は、3階にかごが1台待機するように、配車制御を行う。
以下、図8~図11を用いて乗車人数算出処理について説明する。図8は、第1実施形態に係る乗車人数算出処理のフローチャートである。図9は、第1実施形態に係る呼び登録ログ(第2ログ)を説明する図である。図10は、第1実施形態に係る昇降機運行ログ(第1ログ)を説明する図である。図11は、第1実施形態に係る乗車人数を説明する図である。
図8に示すように、乗車人数算出処理が開始すると、S11において、呼び登録ログを1レコード取得し、処理をS12に進める。
「呼び登録ログ(第2ログ)」は、乗場呼びの登録情報(乗場情報)が記録されたログである。図9に示すように、呼び登録ログは、「呼び登録ログID」、「昇降機ID」、「方向」、「フロア」および「時刻」が記録されたログである。
「乗場呼び登録ID」は、乗場呼びが登録されるたびに割り振られる番号である。「方向」は、乗場呼びの方向を示す。方向=「上」は上方向の乗場呼びが登録されたことを示し、方向=「下」は下方向の乗場呼びが登録されたことを示す。「フロア(「階」または「階床」とも称する)」は、乗場呼びが登録された階床を示す。「昇降機ID」は、かごを特定するためのIDであり、登録された乗場呼びに対してどのかごが割当てられたかを示す。昇降機ID=「01」は、かご341を示し、昇降機ID=「02」は、かご342を示す。「時刻」は、乗場呼びが登録された時刻を示す。
以下、本実施の形態においては、「上方向」を「UP方向」とも称し、「下方向」を「DN方向」とも称する。「上方向の乗場呼び」を「UP呼び」とも称し、「下方向の乗場呼び」を「DN呼び」とも称する。また、たとえば、3階において登録されたUP呼びを「3階UP呼び」のようにも表記する。
図9の例においては、2020年11月11日の11時11分17秒(以下、「2020/11/11/ 11:11:17」と記載する)において、1階で上方向の乗場呼び(1階UP呼び)が登録され、当該乗場呼びがかご341(昇降機ID=1)に対して割当てられたことが示されている(乗場呼びID=00001)。次に、時刻「2020/11/11/ 11:12:45」において、1階での上方向の乗場呼び(1階UP呼び)に対してかご341が割当てられたことが示されている(乗場呼びID=00002)。
このように、乗場呼びが登録されるたびに、呼び登録ログは蓄積されていく。本例では、乗場呼びID=00101において、時刻「2020/11/11/ 12:01:32」において、2階での下方向の乗場呼び(2階DN呼び)に対してかご341が割当てられている。さらに、乗場呼びID=00201において、時刻「2020/11/11/ 18:00:06」において、3階での上方向の乗場呼び(3階UP呼び)に対してかご341が割当てられている。
一方、「昇降機運行ログ(第1ログ)」は、かごの運行情報(かご情報)が記録されたログである。図10に示すように、昇降機運行ログは、「昇降機運行ログID」、「昇降機ID」、「方向」、「フロア」、「秤値」、「扉状態」および「時刻」が記録されたログである。各かごは、かごの状態として「方向」、「フロア」、「秤値」、「扉状態」についての情報(信号)を保持している。
「方向」は、かごの走行方向あるいは走行予定の方向を示す。かごは、上方向(UP方向)、下方向(DN方向)、無方向(アベイラブル)のいずれかの状態を持つ。「フロア」は、現在のかごの位置(どの階に停止中またはどの階を走行中であるか)を示す。各かごは、秤装置を備える。秤装置は、かご内の乗客の総重量を計測可能である。
「秤値」は、秤装置が計測したかご内の乗客の総重量を示す。「扉状態」は、扉の状態を示す。扉状態=「開」は、戸開状態であることを示す。扉状態=「閉」は、戸閉状態であることを示す。以下、たとえば、「方向」=「上」、「フロア」=「3階」、「扉状態」=「開」のような場合、「3階UP方向で戸開」のように表記することがある。
昇降機運行ログは、たとえば、「扉状態」が変化するたびに記録されるようにしてもよい。この場合、「扉状態」が変化した「時刻」における、「方向」「フロア」、「昇降機ID」、「秤値」、「扉状態」が、「昇降機運行ログID」とともに記録される。
図10の例においては、たとえば、時刻「2020/11/11/ 11:11:20」において、かご341が1階で上方向に戸開状態であり、秤値は「0kg」であることが示される(昇降機運行ログID=00001)。次に、時刻「2020/11/11/ 11:11:23」において、かご341が1階で上方向に戸閉状態であり、秤値は「65kg」であることが示される(昇降機運行ログID=00002)。つまり、かご341は、1階UP方向で戸開し、秤値が0kgから65kgに変化した後に、戸閉している。
また、たとえば、時刻「2020/11/11/ 11:12:55」において、かご341が1階で上方向に戸開状態であり、秤値は「0kg」であることが示される(昇降機運行ログID=00005)。次に、時刻「2020/11/11/ 11:13:00」において、かご341が1階で上方向に戸閉状態であり、秤値は「50kg」であることが示される(昇降機運行ログID=00006)。つまり、かご341は、1階UP方向で戸開し、秤値が0kgから50kgに変化した後に、戸閉している。
同様に、昇降機運行ログID=02001,02002において、かご341は、2階DN方向で戸開し、秤値が0kgから390kgに変化した後に、戸閉している。また、昇降機運行ログID=03001,03002において、かご341は、3階DN方向で戸開し、秤値が390kgのままで戸閉している。
図8に戻り、たとえば、S11において、乗場呼びID=00001のレコードが取得されたとする。図9の例において、乗場呼びID=00001では、時刻「2020/11/11/ 11:11:17」において、かご341(昇降機ID=1)に対して1階UP呼びが割当てられている。
S12において、昇降機運行ログから昇降機ID、方向、フロアが呼び登録と一致し、扉状態=「開」、時刻が呼び登録時刻後で最も近いレコード(A)を取得し、処理をS13に進める。図10の例では、昇降機運行ログID=00001のレコードが取得される。昇降機運行ログID=00001では、時刻「2020/11/11/ 11:11:20」において、かご341が1階においてUP方向で戸開状態であり、秤値は「0kg」である。
S13において、昇降機運行ログから昇降機ID、方向、フロアが呼び登録と一致し、扉状態=「閉」、時刻が呼び登録時刻後で最も近いレコード(B)を取得し、処理をS14に進める。図10の例では、昇降機運行ログID=00002のレコードが取得される。昇降機運行ログID=00002では、時刻「2020/11/11/ 11:11:23」において、かご341が1階においてUP方向で戸閉状態であり、秤値は「65kg」である。
S14において、レコード(B)の秤値からレコード(A)の秤値を滅じた値(C)を算出し、処理をS15に進める。上記において、秤値「65kg」から秤値「0kg」を減じた値「65kg」が得られる。
S15において、値(C)を平均体重値65で割り、少数点以下を切り捨てた値を乗車人数として出力し、処理をS16に進める。「65kg」を65で割ると「1」であり、「乗車人数」=「1」が得られる。
S16において、呼び登録レコードを全て取得したか否かを判断する。呼び登録レコードを全て取得したと判断した場合(S16でYES)は、乗車人数算出処理を終了する。呼び登録レコードを全て取得したと判断しなかった場合(S16でNO)は、S11に戻る。
算出された乗車人数は、たとえば、図11に示すようなログとして記録してもよい。S15において乗車人数が算出されるたびに「乗車人数ID」を割当て、「呼び登録ログID」、「昇降機ID」、「フロア」、「乗車人数」および「時刻」を記録する。ここで、「時刻」として、戸開時刻を記録する。
上記例においては、「乗車人数ID」=「00001」、「呼び登録ログID」=「00001」、「昇降機ID」=「01」、「フロア」=「1階」、「乗車人数」=「1」および「時刻」=「2020/11/11/ 11:11:20」が記録される(1階でかご341に1人乗車)。
同様に、S11~S15の処理により、乗車人数ID=00002においては、1階でかご341への乗車人数は1人と算出される。乗車人数ID=00101においては、2階でかご341への乗車人数は6人と算出される。乗車人数ID=00201においては、3階でかご341への乗車人数は0人と算出される。
次に、図12~図15を用いて退室人数予測処理について説明する。図12は、第1実施形態に係る退室人数予測処理のフローチャートである。図13は、第1実施形態に係る設備稼働ログを説明する図である。図14は、第1実施形態に係る設備レイアウト情報を説明する図である。図15は、第1実施形態に係る予測退室者数を説明する図である。
本例において、設備稼働ログおよび設備レイアウト情報は、照明システム232が備える人感センサ(人感センサ523a~523f等)についての設備稼働ログおよび設備レイアウト情報である。
図13に示すように、設備稼働ログとして、「人感センサID」、「状態」、「時刻」が記録される。「人感センサID」は、各人感センサを特定するためのIDである。「状態」は、人感センサにより人物が検出されたタイミングで「ON」となり、人感センサにより人物が検出されなくなったタイミングで「OFF」となる。「時刻」は、状態がONまたはOFFになった時刻である。
図14に示すように、設備レイアウト情報として、「人感センサID」、「フロア」、「部屋」、「座標」、「属性」が記録される。「フロア」は、人感センサが設置されている階を示す。「部屋」は、人感センサが設置されている部屋(居室)を示す。「座標」、は居室内において人感センサが設置されている位置を座標として示す。「属性」は、人感センサが設置されている位置の特徴を示す。たとえば、「属性」=「出入口」は、人感センサが出入口付近に設置されていることを示し、「属性」=「窓側」は、人感センサが窓側に設置されていることを示す。
たとえば、図5の例を用いて、3階に設置された人感センサ523a~523fについて説明する。人感センサ523aが人感センサID=03001であり、人感センサ523dが人感センサID=03002であるとする。
人感センサID=「03001(人感センサ523a)」は、フロア=「3F」に設置されており、部屋=「G室」であり、座標=「(100,100)」、属性=「出入口」である。図5で示した3階の居室がG室であり、G室において人感センサ523aの位置は、座標(100,100)で特定可能である。また、人感センサ523aは、出入口361付近に設置されているため、属性は「出入口」に設定されている。
人感センサID=「03002(人感センサ523c)」は、フロア=「3F」に設置されており、部屋=「G室」であり、座標=「(200,100)」、属性=「窓側」である。G室において人感センサ523cの位置は、座標(200,100)で特定可能である。また、人感センサ523cは、窓の付近に設置されているため、属性は「窓側」に設定されている。
図12に示すように、退室人数予測処理が開始すると、S21において、設備レイアウト情報から属性=「出入口」のレコードを1つ取得し、処理をS22に進める。上記例において、図14の例では、人感センサID=「01001」、フロア=「1階」、部屋=「A室」、座標=「(100,100)」、属性=「出入口}のレコードが取得される。
S22において、設備稼働ログから人感センサIDが一致するレコードを取得し、処理をS23に進める。たとえば、図13の例では、人感センサID=「01001」、状態=「ON」、時刻=「2020/11/11 11:11:11」のレコード、および、人感センサID=「01001」、状態=「OFF」、時刻=「2020/11/11 11:11:15」のレコードが取得される。
S23において、ONのレコードの時刻と次のOFFレコードの時刻から、ON状態の継続時間を求め、処理をS24に進める。人感センサID=「01001」において、状態がONになった時刻「2020/11/11 11:11:11」からOFFになった時刻「2020/11/11 11:11:15」までの差は「4秒」である。このため、ON状態の継続時間は、4秒である。
S24において、継続時間を定数5で割り、小数点以下を切り上げた値を予測退室者数とし、ONのレコードの時刻を退室開始時刻、OFFのレコードの時刻を退室終了時刻として出力し、処理をS25に進める。
継続時間(4秒)/5=0.8であるため、小数点以下を切り上げると、予測退室者数=「1」と算出される。図15に示すように、予測退室者数のログとして、「フロア」=「1階」、「部屋」=「A室」、「予測退室者数」=「1」、「退室開始時刻」=「2020/11/11 11:11:11」、「退室終了時刻」=「2020/11/11 11:11:15」を記録する。
S25において、設備レイアウト情報のレコードを全て取得したか否かを判断する。設備レイアウト情報のレコードを全て取得したと判断した場合(S25でYES)は、退室人数予測処理を終了する。設備レイアウト情報のレコードを全て取得したと判断しなかった場合(S25でNO)は、S21に戻る。
図13~図15の例においては、1階において予測退室者数=「1」が算出され、その後、2階において予測退室者数=「12」が算出され、3階において予測退室者数=「1」が算出され、3階において予測退室者数=「3」が算出されている。
次に、図16,図17を用いて待ち人数(乗場人数)予測処理について説明する。図16は、第1実施形態に係る待ち人数(乗場人数)予測処理のフローチャートである。図17は、第1実施形態に係る予測乗場人数(待ち人数)を説明する図である。
待ち人数予測処理を開始すると、S31において、フロアを初期値である「1階」に設定し、処理をS32に進める。S32において、フロアの乗場人数を初期値である「0」に設定し、処理をS33に進める。
S33において、予測退室者数からフロアが一致するレコードを全件取得し、処理をS34に進める。図11において、フロアが1階であるレコードとして、乗車人数ID=00001のレコード(時刻=2020/11/11 11:11:20、乗車人数=1)および乗車人数ID=00002のレコード(時刻=2020/11/11 11:12:55、乗車人数=1)が取得される。
S34において、乗車人数からフロアが一致するレコードを全件取得し、処理をS35に進める。図15において、フロアが1階であるレコードとして、1番目のレコード(予測退室時刻=2020/11/11 11:11:15、予測退室者数=1)などが取得される。
S35において、取得した予測退室者数と乗車人数のレコードをマージして、時刻順に並べ、処理をS36に進める。上記例では、「予測退室時刻=2020/11/11 11:11:15、予測退室者数=1」、「時刻=2020/11/11 11:11:20、乗車人数=1」、「時刻=2020/11/11 11:12:55、乗車人数=1」の順に並べられる。
S36において、最も時刻の古いレコードを取得し、処理をS37に進める。上記例では、「予測退室時刻=2020/11/11 11:11:15、予測退室者数=1」のレコードが取得される。
S37において、前のレコードの時刻から一定時間3分経過していたらフロアの乗場人数を初期化し、処理をS38に進める。前にレコードがないため、初期化は行わない(フロアの乗場人数=0のまま)。
S38において、予測退室者であるか否かを判断し、処理をS23に進める。予測退室者であると判断した場合(S38でYES)は、処理をS38に進める。予測退室者であると判断しなかった場合(S38でNO)は、処理をS40に進める。
S39において、フロアの乗場人数=フロアの乗場人数+予測退室者数と更新し、予測乗場人数に時刻と共に出力し、処理をS41に進める。上記例では、フロアの乗場人数=フロアの乗場人数(0)+予測退室者数(1)=1と算出する。
S40において、フロアの乗場人数=フロアの乗場人数-乗車人数と更新し、予測乗場人数に時刻と共に出力する。ただし、フロアの乗場人数が0未満になる場合は0とし、処理をS41に進める。
S41において、全てのレコードを処理したかか否かを判断する。予測退室者であると判断した場合(S41でYES)は、処理をS42に進める。予測退室者であると判断しなかった場合(S41でNO)は、処理をS36に戻す。
上記例では、全てのレコードを処理していないため、S36の処理に戻る。S36において、「時刻=2020/11/11 11:11:20、乗車人数=1」のレコードを取得する。前のレコードから3分経過しておらず(S37)、予測退室者数のレコードでないため(S38でNO)、S40において、フロアの乗場人数=フロアの乗場人数(1)-予測退室者数(1)=0と算出する。
同様にS36の処理に戻り、S36において、「時刻=2020/11/11 11:12:55、乗車人数=1」のレコードを取得する。前のレコードから3分経過しておらず(S37)、予測退室者数のレコードでないため(S38でNO)、S40において、フロアの乗場人数=フロアの乗場人数(0)-予測退室者数(1)=-1と算出する。この場合、乗場人数が0未満となるため、フロアの乗場人数=0と算出される。ここで、全てのレコードを処理したため、S42に処理を進める。
S42において、フロアをカウントアップし、処理をS43に進める。上記例では、カウントアップにより、フロア=2階が設定される。
S43において、フロアがビルのフロア数を超えたかか否かを判断する。フロアがビルのフロア数を超えたと判断した場合(S43でYES)は、待ち人数(乗場人数)予測処理を終了する。フロアがビルのフロア数を超えたと判断しなかった場合(S43でNO)は、S32に戻る。
上記例では、フロア=2階は、ビルのフロア数を超えてないため、S31に戻る。上記同様に、フロア2階~4階についてもフロアの乗場人数を算出する処理を行うと、待ち人数予測処理が終了する。
上記により算出した待ち人数に関するログを図17のように記録してもよい。演算を行った順に、「予測乗場人数ID」を割当て、「時刻」として、予測退室者数のログの「予測退室時刻」または乗車人数のログの「時刻」を記録する。さらに、各階における「予測乗場人数」を記録する。
上記例で示したように、「1階」において、「2020/11/11 11:11:15」で「待ち人数」=「1」、「2020/11/11 11:11:20」で「待ち人数」=「0」、「時刻=2020/11/11 11:12:55」で「待ち人数」=「0」である(予測乗場人数ID=00101~00103)。
同様に、「2階」において、「待ち人数」=「12」になった後に、「待ち人数」=「6」になったことが示されている(予測乗場人数ID=00201,00202)。「3階」において、「待ち人数」=「1」になった後に、「待ち人数」=「4」になったことが示されている(予測乗場人数ID=00301~00303)。
そして、このようにして待ち人数が算出された結果、図7のS5において、待ち人数が最も多い階を「パーク階」と決定する。パーク階の設定は、時間帯によって異ならせてもよい。たとえば、12~13時において、2階での待ち人数が最も多い場合は、12~13時において、パーク階を2階に設定するようにしてもよい。18~19時において、3階での待ち人数が最も多い場合は、18~19時において、パーク階を3階に設定するようにしてもよい。さらに細かく、5分ごとにパーク階を変更してもよいし、時間帯ごとに変更せずに常時1つの階をパーク階として設定するようにしてもよい。また、同日時間帯であっても、平日と休日とで、パーク階の設定を変えるようにしてもよい。
なお、空調システム233のログを第3ログとして、退室人数予測処理を行う場合も、上記と同様である。熱感知センサから取得された熱画像において、熱の分布状態から人物が検出可能である。人物を検出する処理は、空調システム233が行ってもよいし、監視制御装置100が行ってもよい。そして、人物が検出されたときに「状態」を「ON」に設定し、人物が検出されなくなったときに「状態」を「OFF」に設定する。図13の設備稼働ログと同様に「ID」と「状態」と「時刻」とを記録する。図14の設備レイアウト情報、図15の予測退室者数のログも同様の構成になる。
入退管理システム231のログを第3ログとして、退室人数予測処理を行う場合も、上記と同様である。各人が所持するIDカードを出口付近のカードリーダに読み込ませたときに、退室人数=1として検出させる。図13の設備稼働ログにおいては、「ID」とともに「時刻」(検出時刻)を記録する。図14の設備レイアウト情報は、同様の構成である。退室人数予測処理(図12)においては、「時刻」を「退室開始時刻」とし、レコードごとに「退室人数」=「1」としてカウントすればよい。なお、設備稼働ログに、IDカード情報を記録するようにしてもよい。このようにすることで、個人を特定可能となる。
以上説明したように、予測部131は、第1ログ(昇降機運行ログ)および第2ログ(呼び登録ログ)に基づき、かごが停止可能な複数の階床の各々の乗場(1階~4階の乗場)からかごに乗車した乗車人数を算出する。予測部131は、照明システム232の稼働情報および配置情報(第3ログ)に基づき、1階~4階の居室から退室した退室人数を予測する。予測部131は、1階~4階の退室人数および乗車人数に基づき、1階~4階の待ち人数を予測する。このようにすることで、エレベーターシステムおよびエレベーターシステム以外のビル設備の情報を用いて、各階の乗場での混雑状況を好適に把握することができる。
さらに、生成部132は、1階~4階の待ち人数に基づき、エレベーターシステム30の設定の変更指令(パーク階設定)を生成する。具体的には、最も混雑する階をパーク階として決定する。出力部133は、変更指令をエレベーターシステム30に対して出力する。時間帯ごとにパーク階を変更する場合は、パーク階を変更する時間帯になったときに、変更指令をエレベーターシステム30に対して出力する。
エレベーターシステム30(群管理制御装置200)は、当該変更指令に基づきパーク階の設定を変更する。これにより、群管理制御装置200は、混雑階をパーク階として設定し、混雑階にかごを配車させることができる。
このように、エレベーターシステムおよびエレベーターシステム以外のビル設備の情報を用いて、混雑階にかごを事前に配車(待機)させること(あるいは混雑にかごを割当てること)で待ち時間を短縮することができる。さらに、混雑状況に応じて、複数台のかごを配車あるいは割当てることで、満員による積み残しを低減させることができる。これにより、エレベーターの運行効率(輸送効率)を向上させて、利用者の満足度を向上させることができる。また、照明システム232のような既設のビル設備の情報を流用することで、新たなセンサを設置することなく、待ち人数を予測することができ、これにより、エレベーターの運行効率を向上(エレベーターの運行を最適化)させることができる。
なお、照明システム232のログを第3ログとしたが、これに限らず、入退管理システム231のログを第3ログとしてもよいし、空調システム233のログを第3ログとしてもよい。
[第2実施形態]
第1実施形態のメイン処理(図7参照)においては、取得部130は、照明システム232のログを第3ログとして取得するようにした。これに対して、第2実施形態においては、照明システム232に加えて入退管理システム231のログも第3ログとして取得する。なお、照明システム232のログに限らず、空調システム233のログを用いてもよい。
以下、図18を用いて第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明においては、第1実施形態と異なる点について説明し、共通する部分については説明を省略する。図18は、第2実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。
図18のフローチャートにおいては、ログを取得してから待ち人数を予測する処理までの処理を示す。その後の処理は、第1実施形態におけるS5,S6の処理(変更指令の生成および出力)と同様であるのでここでは説明を省略する。
メイン処理が開始すると、S101において、取得部130は、入退管理システム231および照明システム232のログを第3ログとして取得し、第1,2ログ(エレベーターのログ)を取得し、処理をS102に進める。
S102において、予測部131は、乗車人数算出処理を実行し、処理をS103に進める。この処理は、S2の処理と同様である。
S103において、予測部131は、入退管理システム231により複数の階床(1階~4階)のいずれかの居室からの退室が検知されたことを条件に、照明システム232の稼働情報および配置情報に基づき、退室が検知された居室からの退室人数を予測し、処理をS104に進める。
たとえば、図15の例において、1階のA室において退室人数=「1」として予測されている。この場合において、退室開始時刻から所定時間(たとえば、30秒)が経過したとしても、入退管理システム231の1階のA室においてカードリーダでの退室を検知しなかった場合には、退室人数=0としてカウントする。居室の出口付近の人感センサが人物を検知したとしても、その人物が必ずしも退室するとは限らないためである。
S104において、予測部131は、待ち人数予測処理を実行し、メイン処理を終了する。この処理は、S4の処理と同様である。
以上説明したように構成することで、カードリーダでの退室操作によらない退室人数の予測(退室していないにもかかわらず退室人数をカウントしてしまうこと)を防ぐことができる。このように、照明システム232により退室人数をカウントさせつつも、実際に退室したか否かを入退管理システム231にチェックさせることで、退室人数の予測精度を向上させることができる。
[第3実施形態]
第1実施形態のメイン処理においては、取得部130は、照明システム232のログを第3ログとして取得するようにした。これに対して、第3実施形態においては、入退管理システム231のログを第3ログとして取得する。
以下、図19を用いて第3実施形態について説明する。第3実施形態の説明においては、第1,第2実施形態と異なる点について説明し、共通する部分については説明を省略する。図19は、第3実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。
図19のフローチャートにおいては、ログを取得してから待ち人数を予測する処理までの処理を示す。その後の処理は、第1実施形態におけるS5,S6の処理(変更指令の生成および出力)と同様であるのでここでは説明を省略する。
メイン処理が開始すると、S201において、取得部130は、入退管理システム231のログを第3ログとして取得し、第1,2ログ(エレベーターのログ)を取得し、処理をS202に進める。入退管理システム231は、個人を特定可能である。第3実施形態において、第3ログには、退室時刻とともに、IDカードの所有者情報が記録される。
S202において、予測部131は、乗車人数算出処理を実行し、処理をS203に進める。この処理は、S2の処理と同様である。
S203において、予測部131は、入退管理システム231の稼働情報および配置情報に基づき、個人ごとに退室を検知して、複数の階床の各々の退室人数を予測し、処理をS204に進める。基本的には、S3と同様の処理を行うが、たとえば、IDカードの所有者情報から特定される人物が退室人数にカウントされた後に、所定時間(たとえば、3分)時間内に同一人物が再度退室人数にカウントされる場合、後者をカウントしないようにする。これにより、同一人物の重複カウントを除外する。
S204において、予測部131は、待ち人数予測処理を実行し、メイン処理を終了する。この処理は、S4の処理と同様である。
以上説明したように構成することで、個人単位で退室を把握することができるため、同一人物を2重にカウントすることを防ぐことができ、退室人数の予測精度を向上させることができる。
なお、入退管理システム231に限らず、個人を特定可能な装置を用いるようにしてもよい。たとえば、スマートフォンとBLEビーコンの組合せにより個人を特定するようにしてもよい。この場合、スマートフォンで読み込んだビーコンのID情報を監視制御装置100が取得できるような構成にすればよい。ビーコンのID情報は、ビーコンの位置情報と紐付けられている。また、読み込んだスマートフォンに関する情報から個人を特定可能とする。
[第4実施形態]
第1実施形態のメイン処理においては、取得部130は、照明システム232のログを第3ログとして取得するようにした。これに対して、第4実施形態においては、第3実施形態と同様に入退管理システム231のログを第3ログとして取得する。
以下、図20を用いて第4実施形態について説明する。第4実施形態の説明においては、第1~第3実施形態と異なる点について説明し、共通する部分については説明を省略する。図20は、第4実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。
図20のフローチャートにおいては、ログを取得してから待ち人数を予測する処理までの処理を示す。その後の処理は、第1実施形態におけるS5,S6の処理(変更指令の生成および出力)と同様であるのでここでは説明を省略する。
メイン処理が開始すると、S301において、取得部130は、入退管理システム231のログを第3ログとして取得し、第1,2ログ(エレベーターのログ)を取得し、処理をS302に進める。
入退管理システム231は、個人を特定可能である。また、稼働情報は、居室からの退室後の行動パターンを個人ごとに定義したパターン情報含む。第4実施形態において、第3ログには、退室時刻とともに、IDカードの所有者情報およびパターン情報が記録される。
IDカードの所有者情報から個人を特定可能である。また、パターン情報から、居室を出た後にエレベーターの乗場に向かう確率を算出可能である。たとえば、パターン情報として、居室を出たIDカードの所有者が、階段を利用して階を移動する確率、休憩室を利用する確率、トイレを利用する確率等の情報が記録される。
S302において、予測部131は、乗車人数算出処理を実行し、処理をS303に進める。この処理は、S2の処理と同様である。
S303において、予測部131は、入退管理システム231の稼働情報および配置情報に基づき、個人ごとに退室を検知して、複数の階床の各々の退室人数を予測し、処理をS304に進める。ここでは、第3実施形態と同様の方法により、同一人物の重複カウントを除外する。
S304において、予測部131は、予測部131は、パターン情報に基づき、複数の階床の各々の退室人数のうち乗場へ向かう人数を予測し、処理をS305に進める。たとえば、乗場に向かう確率=1-(階段を利用して階を移動する確率+休憩室を利用する確率+トイレを利用する確率)として算出する。そして、乗場に向かう確率>所定確率(たとえば、0.5)である場合に、乗場に向かう人数としてカウントする。
S305において、予測部131は、複数の階床の各々の乗場へ向かう人数および乗車人数に基づき、複数の階床の各々の待ち人数を予測し、メイン処理を終了する。
以上説明したように構成することで、たとえば、階段、休憩室あるいはトイレを利用する確率といった個人ごとの行動パターンに基づいて待ち人数を予測するため、待ち人数の予測精度を向上させることができる。
[第5実施形態]
第1実施形態のメイン処理においては、取得部130は、照明システム232のログを第3ログとして取得するようにした。これに対して、第5実施形態においては、照明システム232および空調システム233のログを第3ログとして取得する。なお、これに限らず、複数のビル設備のログを第3ログとして取得するようにすればよく、その他のビル設備のログを用いるものであってもよい。
以下、図21を用いて第5実施形態について説明する。第5実施形態の説明においては、第1~第4実施形態と異なる点について説明し、共通する部分については説明を省略する。図21は、第5実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。
図21のフローチャートにおいては、ログを取得してから待ち人数を予測する処理までの処理を示す。その後の処理は、第1実施形態におけるS5,S6の処理(変更指令の生成および出力)と同様であるのでここでは省略する。
メイン処理が開始すると、S401において、取得部130は、照明システム232および空調システム233のログを第3ログとして取得し、第1,2ログ(エレベーターのログ)を取得し、処理をS402に進める。
S402において、予測部131は、乗車人数算出処理を実行し、処理をS403に進める。この処理は、S2の処理と同様である。
S403において、予測部131は、照明システム232および空調システム233の稼働情報および配置情報に基づき、複数の階床の各々の退室人数を予測し、処理をS404に進める。
たとえば、居室内に照明システム232の人感センサのみが設置されている場合、当該居室からの退室人数を予測するときは、照明システム232の稼働情報および配置情報を用いるようにする。居室内に空調システム233の熱画像センサのみが設置されている場合は、当該居室からの退室人数を予測するときは、空調システム233の稼働情報および配置情報を用いるようにする。居室内に、人感センサおよび熱画像センサのいずれもが設置されている場合には、最も出口に近いセンサを用いての退室人数を予測する。
S404において、予測部131は、待ち人数予測処理を実行し、メイン処理を終了する。この処理は、S4の処理と同様である。
以上説明したように構成することで、複数のビル設備を組み合わせた予測を行うことで、より退室人数の予測精度を向上させることができる。
[第6実施形態]
第1実施形態のメイン処理においては、取得部130は、第1,2ログ(エレベーターのログ)を取得し、照明システム232のログを第3ログとして取得するようにした。これに対して、第6実施形態においては、さらに、取得部130は、ビル設備以外の設備として会議室管理システム234の情報が記録された第4ログ(会議室管理システム234のログ)をさらに取得する。
たとえば、会議室管理システム234のログとして、会議室を識別する会議室ID、会議室がある階、会議の開始時刻、終了時刻、参加人数等、会議を行うことで、発生する人の流れが把握できる情報をログとして取得する。
以下、図22を用いて第5実施形態について説明する。第5実施形態の説明においては、第1~第4実施形態と異なる点について説明し、共通する部分については説明を省略する。図22は、第6実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。
図22のフローチャートにおいては、ログを取得してから待ち人数を予測する処理までの処理を示す。その後の処理は、第1実施形態におけるS5,S6の処理(変更指令の生成および出力)と同様であるのでここでは説明を省略する。
メイン処理が開始すると、S501において、取得部130は、照明システム232のログを第3ログとして取得し、会議室管理システム234のログを第4ログとして取得し、第1,2ログ(エレベーターのログ)を取得し、処理をS502に進める。
S502において、予測部131は、乗車人数算出処理を実行し、処理をS503に進める。この処理は、S2の処理と同様である。
S503において、予測部131は、照明システム232の稼働情報および配置情報に基づき、複数の階床の各々の退室人数を予測し、処理をS504に進める。この処理は、S3の処理と同様である。
S504において、予測部131は、待ち人数予測処理を実行し、処理をS504に進める。この処理は、S4の処理と同様である。
S505において、予測部131は、第4ログ(会議室管理システム234のログ)に基づき、予測した複数の階床の各々の待ち人数を補正し、メイン処理を終了する。
たとえば、会議が開催された会議室がある階から、会議の終了時刻において、会議の参加人数が乗場に向かうものとして、待ち人数を補正する。予測部131が算出した待ち人数に参加人数を加えたものを待ち人数として補正するようにしてもよい。会議室内に照明システム232が設置されている場合には、この会議室に関しては、照明システム232のログに代えて会議室管理システム234のログを用いて退室人数を予測するようにしてもよい。
以上説明したように構成することで、エレベーターシステムやその他のビル設備では判別できない事象による退室人数の増加を考慮して待ち人数の予測を行うことが可能となる。
なお、第4ログとして、会議室管理システム234のログを用いたが、これに限らず、ビル設備以外の設備のログであればよい。たとえば、イベントの開催を管理するイベント管理システムであってもよい。この場合、イベントの実施会場(実施階)、イベントの開始時刻、終了時刻など、イベントを開催することで、発生する人の流れが把握できるようなイベント管理システムの情報をログとして取得する。
[第7実施形態]
第1~第6実施形態においては、図6に示したように、監視制御装置100は、取得部130と、予測部131と、生成部132と、出力部133とを備える。図23は、第7実施形態に係る監視制御システム1の機能ブロック図の一例を示す図である。
図23に示すように、第7実施形態においては、監視制御装置100は、補正部134をさらに備える。補正部134は、退室人数情報に基づき、退室人数予測処理において予測した退室人数を補正する。
以下、第7実施形態の説明においては、第1~第6実施形態と異なる点について説明し、共通する部分については説明を省略する。以下、フローチャートを用いて説明する。図24は、第7実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。
メイン処理が開始すると、S601において、取得部130は、規定期間が経過したか否かを判定する。規定期間は、予め定められた期間(たとえば、1日、1週間、1ヶ月など)である。
規定期間ごとに、以下のS602~S608が実行されることで、定期的に待ち人数の予測が行われ、当該予測に基づく変更指令がエレベーターに対して出力されることになる。このように、定期的に取得されたログに基づき、複数の階床の各々の待ち人数を予測することで、本システムの導入後において、継続的に待ち人数の予測精度を向上させることができる。なお、第1~第6実施形態においても、定期的に待ち人数の予測および変更指令が行われるようにしてもよいし、第7実施形態において、定期的に待ち人数の予測および変更指令が行われないようにしてもよい。
取得部130は、規定期間が経過したと判断した場合(S601でYES)は、処理をS602に進める。取得部130は、規定期間が経過したと判断しなかった場合(S601でNO)は、再度S601の判断を行う。これにより、規定期間の経過後にS602の処理が実行される。
S602において、取得部130は、過去、所定期間のログを取得し、処理をS603に進める。具体的には、取得部130は、第1,2ログを取得し、照明システム232のログを第3ログとして取得する。
S603において、予測部131は、乗車人数算出処理を実行し、処理をS604に進める。この処理は、S2の処理と同様である。S604において、予測部131は、退室人数予測処理を実行し、処理をS605に進める。この処理は、S3の処理と同様である。
S605において、補正部134は、一定期間における、予測部131が予測した複数の階床の各々の退室人数と、当該退室人数に対応する実際の退室人数との比較に基づき、予測部131が予測した複数の階床の各々の退室人数を補正退室人数に補正し、処理をS606に進める。
たとえば、一定期間(たとえば、2週間)の各階の実際の退室人数の時系列データを正解データとして用意する。これに対して、上記期間において、予測部131が予想した各階の退室人数の時系列データを用意する。前者と後者の差分により、実際の退室人数に対する予測した退室人数の誤差を把握することができる。
たとえば、本実施の形態では、出入口付近の人感センサで人物が検出された場合に、退室があったと判断されるが、実際には、出入口付近の人感センサで人物が検出された場合の退室率が70%であった場合には、予測した退室人数×0.7=実際の退室人数となる。この場合、補正係数=退室率(0.7)として、予測した退室人数×補正係数(0.7)=補正退室人数とすればよい。
一定期間の実際の退室人数の総和/一定期間の予測した退室人数により退室率を算出してもよい。また、本実施の形態では、人感センサの検出時間を定数「5」で割った値を予測退室者数としているが、この定数が実際には「4」とするのが正しいような場合にも、20%(=1-4/5)少なく退室者数が見積もられてしまうことになる。このような場合にも、補正係数=1.25(=5/4)とすることで、誤差を補正することができる。
時間帯あるいは階床によっても、誤差の傾向が異なることも考えられるため、上記に限らず、時間帯および階床ごとの差分に基づいて、各時間帯および各階床の予測した退室人数をそれぞれ補正するようにしてもよい。補正の方法は、上記の方法に限らず、実際の退室人数と予測した退室人数と誤差が最小化されるように補正する方法であればどのような方法を用いてもよい。
また、実際の退室人数(正解データ)は、一定期間の間、退室者数をカウント可能な何らかの装置(たとえば、カメラ)を居室の出口に設置して計測してもよい。あるいは、既設のセンサやエレベーターの運行データ等を組み合わせて正解データを作成してもよい。たとえば、各かごでの乗車人数に基づき正解データを作成してもよい。たとえば、図11の例では、「2020/11/11 12:02:00」に2階で6人が乗車しているが、「2020/11/11 12:02:00」以前の時刻の待ち人数に6人を加算する。そして、所定時間(たとえば、10秒)遡るごとに1人ずつ待ち人数を減らし、待ち人数の増加人数=退室人数としてもよい。
S606において、予測部131は、複数の階床の各々の補正退室人数および乗車人数に基づき、複数の階床の各々の待ち人数を予測し、処理をS607に進める。
S607において、生成部132は、複数の階床のそれぞれに対応した複数の待ち人数に基づき、エレベーターシステム30の設定の変更指令(パーク階設定)を生成し、処理をS608に進める。この処理は、S5の処理と同様である。
S608において、出力部133は、待ち人数に基づく情報として変更指令をエレベーターシステム30に対して出力し、S601に処理を戻す。この処理は、S6の処理と同様である。
エレベーターシステム30は、出力部133によって出力された変更指令に基づきエレベーターシステム30の設定を変更する。
以上説明したように、補正部134は、一定期間における、予測部131が予測した複数の階床の各々の退室人数と、当該退室人数に対応する実際の退室人数との比較に基づき、予測部131が予測した複数の階床の各々の退室人数を補正退室人数に補正する。予測部131は、複数の階床の各々の補正退室人数および乗車人数に基づき、複数の階床の各々の待ち人数を予測する。このように、実際の退室者数のデータに基づき退室人数を補正することで、待ち人数の予測精度を向上させることができる。
[第8実施形態]
第1~第6実施形態においては、図6に示したように、監視制御装置100は、取得部130と、予測部131と、生成部132と、出力部133とを備える。図25は、第8実施形態に係る監視制御システム1の機能ブロック図の一例を示す図である。
図25に示すように、第8実施形態においては、監視制御装置100は、判定部135をさらに備える。判定部135は、第1,第2ログに基づきエレベーターシステム30の運行が効率的でないと判断した場合は、アラート情報を生成および出力する。また、この場合、監視制御装置100は、パーク階設定の見直しを行う。出力されたアラート情報は監視制御装置100の表示装置121で表示可能にしてもよいし、群管理制御装置200でアラート情報を受信するようにしてもよい。
以下、第8実施形態の説明においては、第1~第7実施形態と異なる点について説明し、共通する部分については説明を省略する。以下、フローチャートを用いて説明する。図26は、第8実施形態に係るメイン処理のフローチャートである。
S701において、取得部130は、過去、所定期間のログを取得し、処理をS702に進める。具体的には、取得部130は、第1,2ログを取得し、照明システム232のログを第3ログとして取得する。
S702~S706の処理は、S2~S6の処理と同様であるので説明を省略する。過去、所定期間のログに基づき変更指令が生成され、当該変更指令がエレベーターシステム30に対して送信される。エレベーターシステム30は、出力部133によって出力された変更指令に基づきエレベーターシステム30の設定を変更する。
S707において、取得部130は、規定期間(たとえば、1週間)が経過したか否かを判定する。規定期間は、予め定められた期間である。取得部130は、規定期間が経過したと判断した場合(S707でYES)は、処理をS708に進める。取得部130は、規定期間が経過したと判断しなかった場合(S707でNO)は、再度S707の判断を行う。これにより、規定期間の経過後にS708の処理が実行される。
S708において、判定部135は、エレベーターのログを取得し、処理をS709に進める。ここで、具体的には、判定部135は、第1ログ(昇降機運行ログ)および第2ログ(呼び登録ログ)を取得する。
S709において、判定部135は、取得したエレベーターのログに基づき、変更指令の出力後のエレベーターシステム30の運行が効率的であるか否かを判定し、処理をS710に進める。
たとえば、変更指令の出力前のビル全体での平均待ち時間と、変更指令の出力後のビル全体での平均待ち時間とを比較し、変更指令の出力後に平均待ち時間が長くなっているような場合に、変更指令の出力後のエレベーターシステム30の運行が効率的でないと判定してもよい。あるいは、図17で示されるような待ち人数のログと、設定されたパーク階とを比較してもよい。パーク階に設定された階床以外の階床が最も混雑している場合には、変更指令の出力後のエレベーターシステム30の運行が効率的でないと判定してもよい。
判定部135は、エレベーターシステム30の運行が効率的であると判断した場合(S710でYES)は、処理をS707に戻す。判定部135は、エレベーターシステム30の運行が効率的であると判断しなかった場合(S710でNO)は、処理をS711に進める。処理がS707に戻ることで、規定期間(1週間)ごとに、エレベーターシステム30の運行が効率的であるか否かをチェックすることができる。
このように、判定部135は、変更指令が出力された後に第1ログ(昇降機運行ログ)および第2ログ(呼び登録ログ)を取得し、取得した第1ログおよび第2ログに基づき、変更指令の出力後のエレベーターシステム30の運行が効率的であるか否かを判定する。
S711において、出力部133は、エレベーターシステム30の運行が効率的でないことを示すアラートを出力し、処理をS701に戻す。つまり、出力部133は、判定部135によってエレベーターシステム30の運行が効率的でないと判断された場合に、エレベーターシステム30の運行が効率的でないことを示すアラートを出力する。
出力されたアラート情報は監視制御装置100の表示装置121で表示可能に構成してもよい。これにより、監視制御装置100の表示装置121により、保守員やビル管理者等がアラート情報を確認することができる。あるいは、群管理制御装置200に対してアラート情報を出力するようにしてもよい。群管理制御装置200は、RAM213にアラート情報を記憶する。このように構成した場合は、群管理制御装置200に保守用のメンテナンスコンピュータを接続することで、アラート情報を確認することができる。
取得部130は、判定部135によってエレベーターシステム30の運行が効率的でないと判断された場合に、新たにログを取得する。予測部131は、取得部130によって新たに取得されたログに基づき、複数の階床の各々の待ち人数を予測する。そして、エレベーターシステム30は、新たに生成された変更指令に基づきエレベーターシステム30の設定(パーク階設定)を変更する。このように、エレベーターシステム30の運行が効率的でないと判断された場合は、直近のログを取得し、このログに基づいて再度パーク階の見直しを行う。
以上説明したように、S711においてアラートを出力することで、アラートを確認した保守員やビル管理者等が、手動でエレベーターシステム30の設定(パーク階の設定)を変更することができる。これにより、不適切な変更指令に基づく運用(運行効率の低下)を防止することができる。また、不適切な変更指令(パーク階設定)に基づく運用が開始された場合(S710でNO)であっても、S701~S706の処理を行って、新たな変更指令を出力することで、人手によらず、不適切運用(運行効率の低下)を改善することができる。
第8実施形態においては、アラートを出力する処理(S711)と、新たな変更指令を出力する処理(S701~S706)のいずれも実行するように構成した。しかし、これに限らず、前者のみを実行するようにしてもよいし、後者のみを実行するようにしてもよい。
[主な構成および効果]
以下、前述した実施の形態の主な構成および効果を説明する。
(1) 監視制御装置100は、ビル10に設置されたエレベーターシステム30の監視および制御を行う。監視制御装置100は、取得部130と、予測部131と、出力部133とを備える。取得部130は、ログを取得する。予測部131は、ログに基づき、エレベーターのかご(かご341,342)が停止可能な複数の階床の各々の乗場(乗場331~334)でかごを待つ待ち人数を予測する。出力部133は、予測部131が予測した待ち人数に基づく情報をエレベーターシステム30に対して出力する。ログは、かごの運行情報(かご情報)が記録された第1ログ(昇降機運行ログ)と、かごに対する乗場呼びの登録情報(乗場情報)が記録された第2ログ(呼び登録ログ)と、エレベーターシステム30以外のビル設備(入退管理システム231、照明システム232、空調システム233)の情報が記録された第3ログ(設備稼働ログ、設備レイアウト情報)とを含む。第3ログは、複数の階床の各々の居室からの退場に関するビル設備の稼働情報(設備稼働ログ)および配置情報(設備レイアウト情報)を含む。予測部131は、第1ログおよび第2ログに基づき、複数の階床の各々の乗場からかごに乗車した乗車人数を算出する。予測部131は、稼働情報および配置情報に基づき、複数の階床の各々の居室から退室した退室人数を予測する。予測部131は、複数の階床の各々の退室人数および乗車人数に基づき、複数の階床の各々の待ち人数を予測する。これにより、エレベーターシステムおよびエレベーターシステム以外のビル設備の情報を用いて、各階の乗場での混雑状況を好適に把握することができる。
(2) 監視制御装置100は、生成部132をさらに備える。生成部132は、複数の階床のそれぞれに対応した複数の待ち人数に基づき、エレベーターシステム30の設定の変更指令を生成する。出力部133は、変更指令をエレベーターシステム30に対して出力する。これにより、エレベーターシステムおよびエレベーターシステム以外のビル設備の情報を用いて、混雑階にかごを配車させることができ、これにより、エレベーターの運行効率(輸送効率)を向上させて利用者の満足度を向上させることができる。また、既設のビル設備の情報を流用することで、新たなセンサを設置することなく、待ち人数を予測することができ、これにより、エレベーターの運行効率を向上させることができる。
(3) ビル設備は、複数の階床の各々の居室の入退室を管理する入退管理システム231と、当該入退管理システム231とは異なる照明システム232とを含む。予測部131は、入退管理システム231により複数の階床のいずれかの居室からの退室が検知されたことを条件に、照明システム232の稼働情報および配置情報に基づき、退室が検知された居室からの退室人数を予測する。これにより、退室操作によらない退室人数の予測(退室していないにもかかわらず退室人数をカウントしてしまうこと)を防ぐことができるため、退室人数の予測精度を向上させることができる。
(4) ビル設備は、個人を特定可能な入退管理システム231を含む。予測部131は、入退管理システム231の稼働情報および配置情報に基づき、個人ごとに退室を検知して、複数の階床の各々の退室人数を予測する。これにより、個人単位で退室を把握することができるため、同一人物を2重にカウントすることを防ぐことができ、退室人数の予測精度を向上させることができる。
(5) 稼働情報は、複数の階床の各々の居室からの退室後の行動パターンを個人ごとに定義したパターン情報含む。予測部131は、パターン情報に基づき、複数の階床の各々の退室人数のうち乗場へ向かう人数を予測する。予測部131は、複数の階床の各々の乗場へ向かう人数および乗車人数に基づき、複数の階床の各々の待ち人数を予測する。これにより、たとえば、階段、休憩室あるいはトイレを利用する確率といった個人ごとの行動パターンに基づいて待ち人数を予測するため、待ち人数の予測精度を向上させることができる。
(6) 監視制御装置100は、補正部134をさらに備える。補正部134は、一定期間における、予測部131が予測した複数の階床の各々の退室人数と、当該退室人数に対応する実際の退室人数との比較に基づき、予測部131が予測した複数の階床の各々の退室人数を補正退室人数に補正する。予測部131は、複数の階床の各々の補正退室人数および乗車人数に基づき、複数の階床の各々の待ち人数を予測する。このように、実際の退室者数のデータに基づき退室人数を補正することで、待ち人数の予測精度を向上させることができる。
(7) 取得部130は、過去、所定期間のログを定期的に取得する。予測部131は、取得部130によって定期的に取得されたログに基づき、複数の階床の各々の待ち人数を予測する。これにより、本システムの導入後において、継続的に待ち人数の予測精度を向上させることができる。
(8) 監視制御装置100は、判定部135をさらに備える。判定部135は、変更指令が出力された後に第1ログ(昇降機運行ログ)および第2ログ(呼び登録ログ)を取得し、取得した第1ログおよび第2ログに基づき、変更指令の出力後のエレベーターシステム30の運行が効率的であるか否かを判定する。出力部133は、判定部135によってエレベーターシステム30の運行が効率的でないと判断された場合に、エレベーターシステム30の運行が効率的でないことを示すアラートを出力する。これにより、アラートを確認した保守員やビル管理者等が、手動でエレベーターシステム30の設定(パーク階の設定)を変更することができるため、不適切な変更指令に基づく運用(運行効率の低下)を防止することができる。
(9) 取得部130は、判定部135によってエレベーターシステム30の運行が効率的でないと判断された場合に、新たにログを取得する。予測部131は、取得部130によって新たに取得されたログに基づき、複数の階床の各々の待ち人数を予測する。これにより、不適切な変更指令(パーク階設定)に基づく運用が開始された場合であっても、人手によらず、不適切運用(運行効率の低下)を改善することができる。
(10) ビル設備は、照明システム232と空調システム233とを含む。取得部130は、照明システム232および空調システム233のログを取得する。予測部131は、照明システム232および空調システム233の稼働情報および配置情報に基づき、複数の階床の各々の退室人数を予測する。このように、複数のビル設備を組み合わせた予測を行うことで、より退室人数の予測精度を向上させることができる。
(11) 取得部130は、ビル設備以外の設備(会議室管理システム234)の情報が記録された第4ログ(会議室管理システム234のログ)をさらに取得する。予測部131は、第4ログに基づき、予測した複数の階床の各々の待ち人数を補正する。これにより、エレベーターシステムやその他のビル設備では判別できない事象による退室人数の増加を考慮して待ち人数の予測を行うことが可能となる。
(12)監視制御システム1は、監視制御装置100と、エレベーターシステム30とを備える。監視制御装置100は、エレベーターシステム30と通信可能であって、エレベーターシステム30が設置されたビル10とは異なる場所に設置されている。エレベーターシステム30は、出力部133によって出力された変更指令に基づきエレベーターシステム30の設定を変更する。これにより、エレベーターシステムおよびエレベーターシステム以外のビル設備の情報を用いて、混雑階にかごを配車させることができ、エレベーターの運行効率(輸送効率)を向上させて利用者の満足度を向上させることができる。また、ビル10とは異なるビル20に監視制御装置100を設置することで、現地に装置を追加することなく、エレベーターの運行効率を向上させるサービスを提供することができる。
(13) 監視制御方法は、ビルに設置されたエレベーターシステム30の監視および制御を行う方法である。監視制御方法は、ログを取得するステップと、ログに基づき、エレベーターのかごが停止可能な複数の階床の各々の乗場でかごを待つ待ち人数を予測するステップと、予測するステップが予測した待ち人数に基づく情報をエレベーターシステム30に対して出力するステップとを備える。ログは、かごの運行情報が記録された第1ログと、かごに対する乗場呼びの登録情報が記録された第2ログと、エレベーターシステム30以外のビル設備の情報が記録された第3ログとを含む。第3ログは、複数の階床の各々の居室からの退場に関するビル設備の稼働情報および配置情報を含む。予測するステップは、第1ログおよび第2ログに基づき、複数の階床の各々の乗場からかごに乗車した乗車人数を算出するステップと、稼働情報および配置情報に基づき、複数の階床の各々の居室から退室した退室人数を予測するステップと、複数の階床の各々の退室人数および乗車人数に基づき、複数の階床の各々の待ち人数を予測するステップとを含む。これにより、エレベーターシステムおよびエレベーターシステム以外のビル設備の情報を用いて、各階の乗場での混雑状況を好適に把握することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。