JP7350799B2 - 工作機械 - Google Patents

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Description

特許法第30条第2項適用 2020年(令和2年)4月15日に高松機械工業株式会社が発行した「T-news Vol.116(2020 Spring)」にて公開
本発明は、ワークを加工するための工作機械に関する。
例えば、代表的な工作機械としてNC旋盤が知られている。このNC旋盤は、工作機械本体と、この工作機械本体に設けられた主軸部とを備え、主軸部には主軸が回転自在に支持されている。主軸には、加工すべきワークを保持するためのチャック手段が取り付けられる。また、工作機械本体には、加工工具が取り付けられる工具取付手段が設けられ、この工具取付手段として例えばタレット装置が用いられる。このNC旋盤では、NC旋盤内の加工空間にて、タレット装置に取り付けられた加工工具が主軸部のチャック手段に保持されたワークに作用して所望の加工が施される。
このNC旋盤においては、ワークを高精度に加工するために切削液(「加工液」とも称される)が用いられ、ワークと加工工具との加工部位に切削液が供給されるように構成されている。そして、このことに関連して、切削液が周囲に飛散しないように、工作機械本体の外面が本体外カバーによって被われ、この本体外カバーの所定部位(即ち、加工空間に対応する部位)に作業開口が設けられ、この作業開口に開閉扉が開閉自在に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
この開閉扉を開方向に開位置まで移動させると、作業開口を通して加工空間が開放された状態となり、チャック手段へのワークの取付け及び取外し、またタレット装置への加工工具の取付け及び取外しを行うことができる。また、この開閉扉を閉方向に閉位置まで移動させると、作業開口が閉じて加工空間が閉塞された状態となり、切削液の外部への飛散を防止することができるとともに、作業時の安全性をも確保することができる。
特開2016-209955号公報
このようなNC旋盤では、次のような課題が存在する。開閉扉は、本体外カバーと主軸部の主軸部カバーとの間に扉収容空間が設けられ、作業開口を開放するときには、開閉扉がこの扉収容空間に収容されるように構成されている。しかし、開閉扉をこの扉収容空間に収容する際に、開閉扉に付着した切粉など(例えば、切削加工の際に生じる切粉など)が扉収容空間内に入り込むことがあり、切粉などが入り込むと、NC旋盤が汚れた状態になるとともに、切粉などが抵抗となって開閉扉の開閉動作が困難となるおそれがある。そのため、扉収容空間に入り込んだ切粉などを取り除くようにしているが、この切粉などを取り除く作業は煩雑であり、作業時間も要するという問題がある。
また、例えばNC旋盤においては、主軸部に対向して芯押しユニットが設けられることがある。この場合、主軸部のチャック手段に保持されたワークの他端部が芯押しユニットのセンター部材により支持され、このようにセンター部材を用いてワークの他端部を支持することにより、長いワークの撓みを抑えて支持することができるが、加工の際に生じる切粉などが芯押しユニット(特に、その上面)及びその周囲に飛散し、加工後に切粉などを除去する必要があり、この切粉などを除去する作業が煩雑で時間を要するという問題がある。
本発明の第1の目的は、扉収容空間に入り込んだ切粉などを取り除くことができる工作機械を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、芯押しユニット及びその周囲に飛散した切粉などを取り除くことができる工作機械を提供することである。
本発明の工作機械は、上述の第1の目的に対応して、工作機械本体と、前記工作機械本体に設けられ且つ主軸を回転自在に支持する主軸部と、前記主軸に装着されて一体的に回動されるチャック手段と、前記主軸部を被うための主軸部カバーと、前記工作機械本体の外面を被う本体外カバーと、ワークを加工するための加工空間を開閉する開閉扉とを備え、前記主軸部カバーと前記本体外カバーとの間に、前記開閉扉を収容するための扉収容空間が設けられている工作機械において、
前記扉収容空間に関連して、切削油を流すための切削油供給部が設けられており、前記切削油供給部からの切削油は、前記扉収容空間の底部を流れた後に前記加工空間の下方の切削油回収部に向けて流れることを特徴とする。
この工作機械においては、切削油供給部を扉収容空間の奥部に配設し、この奥部からの切削油をその回収方向に流すための傾斜面を扉回収空間の底面に設けるが好ましく、このように構成することにより、切削油供給部からの切削油が扉収容空間の傾斜面を下方に切削油回収部に向けて流れ、この切削油の流れとともに扉収容空間に入り込んだ切粉などを取り除いて切削油回収部に集めることができる。
また、このような工作機械においては、扉収容空間の底面を本体外カバー側の前側底面部と主軸部カバー側の後側底面部とを有する構成にするのが好ましく、この場合、開閉扉の前側下端部が扉収容空間の前側底面部の上方にて開閉移動するようにすることによって、この前側底面部と開閉扉の下端部との間隙を小さくすることができ、これによって、切削油及び切粉などがこの間隙を通して外側に飛散するのを抑えることができる。また、扉収容空間の後側底面部に傾斜面を設けることにより、切削油供給部からの切削油をこの後側底面部の傾斜面に沿って流すことができ、扉収容空間の奥側に入り込んだ切粉なども切削油の流れを利用して効果的に取り除くことができる。
本発明の他の工作機械は、上述した第2の目的に対応して、工作機械本体と、前記工作機械本体の片側に設けられ且つ主軸を回転自在に支持する主軸部と、前記主軸に装着されて一体的に回動されるチャック手段と、前記工作機械本体に支持機構を介して取り付けられ且つ周囲に複数の工具取付部を有するタレットを備えたタレット装置と、前記タレット装置の前記複数の工具取付部に取り付けられた加工工具と、前記工作機械本体の他側に配設された芯押しユニットと、を備えた工作機械において、
前記タレット装置の前記タレットを回転自在に支持するタレット支持本体部に関連して、切削油を流すための切削油供給部が設けられており、前記切削油供給部からの切削油は、前記タレット支持本体部の上面を前記芯押しユニット側に流れた後に前記芯押しユニットの上面に流下し、その後前記芯押しユニットを流下して加工空間の下方の切削油回収部に向けて流れることを特徴とする。
この工作機械においては、タレット装置のタレット支持本体部の上面を芯押しユニットに向けて下方に傾斜して延びるようにするのが好ましく、このように構成することにより、タレット支持本体部の上面を流れる切削油は、タレット支持本体部が芯押しユニットから離れて位置するときにはタレット支持本体部と芯押しユニットとの間に流下するようになり、またタレット支持本体部が芯押しユニットに近づいて位置するときには芯押しユニットの上面に流下するようになり、これによって、タレット支持本体部の移動を利用して芯押しユニット及びその周囲に飛散した切粉などを切削油の流れを利用して集めることができる。
また、この工作機械においては、芯押しユニットの下方に第1傾斜面を設け、また芯押しユニットと工作機械本体の操作盤との間の前側空間に第2傾斜面を設け、更にタレット支持本体部と芯押しユニットとの間の中間空間に第3傾斜面を設けるのが好ましく、このように構成することにより、芯押しユニットに流下した切削油は、芯押しユニットに飛散した切粉などとともに第1傾斜面に沿って流れて切削油回収部に集められ、また芯押しユニットと操作盤との間の前側空間に流下した切削油は、この前面空間に飛散した切粉などとともに第2傾斜面に沿って流れて切削油回収部に集められ、更にタレット支持本体部と芯押しユニットとの間の中間空間に流下した切削油は、この中間空間に飛散した切粉などとともに第3傾斜面に沿って流れて切削油回収部に集められ、従って、タレット支持本体部の上面から流下する切削油の流れを利用して芯押しユニット及びその周囲に飛散した切粉などを取り除いて集めることができる。
本発明の工作機械によれば、開閉扉を収容する扉収容空間に関連して、切削油を流すための切削油供給部が設けられ、この切削油供給部からの切削油は、この扉収容空間の底部を流れるので、扉収容空間の底部に溜まった切粉などをこの切削油の流れを利用して取り除くことができる。また、扉収容空間内を流れた切削油は、加工空間の下方の切削油回収部に向けて流れるので、扉収容空間を切粉などとともに流れた切削油は加工空間の下方の切削油回収部に流れ、この切削油回収部に集めることができる。
また、本発明の他の工作機械によれば、タレット装置のタレット支持本体部に関連して、切削油を流すための切削油供給部が設けられ、切削油供給部からの切削油は、タレット支持本体部の上面を流れた後に芯押しユニットの上面に流下するので、芯押しユニット及びその周囲に飛散した切粉などをこの切削油の流れを利用して取り除くことができる。また、芯押しユニットを流下した切削油は、加工空間の下方の切削油回収部に流れ、この切削油回収部に集めることができる。
本発明に従う工作機械の一例としてのNC旋盤の一実施形態を簡略的に示す斜視図。 図1のNC旋盤における加工空間及びその周囲の構成の要部を一部断面で示す部分斜視図。 図1のNC旋盤における加工空間及びその周囲の一部の構成を一部切り欠いて加工空間側から示す部分斜視図。 図1のNC旋盤における扉収容空間及びその周囲の構成を示す部分断面図。 図1のNC旋盤における開閉扉及びその周囲の構成を示す部分断面図。 図1のNC旋盤におけるタレット装置及び芯押しユニット並びにこれらに関連する構成を一部断面で示す部分断面図。 図1のNC旋盤のタレット支持本体部の上面における切削油の流れを説明するための斜視図。 図1のNC旋盤において、タレット装置を芯押しユニットに近づいて位置する状態を一部断面で示す部分断面図。
以下、添付図面を参照して、本発明に従う工作機械を一例としてのNC旋盤に適用して説明するが、NC旋盤以外の他の工作機械であって、加工空間を開閉扉により開閉してワークを取付け及び取外しする形態のものに広く適用することができる。
図1~3において、工作機械の一例としての図示のNC旋盤は、工作機械本体としての旋盤本体2を備え、この旋盤本体2の片側(図1及び図2において左側)に主軸部4が設けられ、その他側(図1及び図2において右側)にタレット装置6及び芯押しユニット8が設けられ、芯押しユニット8は旋盤本体2の前側(図1において手前側、図6及び図7において右側)に設けられ、タレット装置6は旋盤本体2の後側(図1において奥側、図6及び図7において左側)に設けられる。
主軸部4は、回転自在に支持された主軸(図示せず)を備え、この主軸にチャック手段10が一体的に回転するように装着されている。この実施形態では、チャック手段10は周方向に間隔をおいて配設された三つの爪部材12を備え、三つの爪部材12間に、加工すべきワークが着脱自在に保持される。この主軸部4は、旋盤本体2に取り付けられた主軸部カバー14により被われ、チャック手段10の先端部は、この主軸部カバー14の開口部を通して芯押しユニット8側に突出している。この主軸に関連して主軸駆動源(図示せず)が設けられ、主軸駆動源が所定方向に回動されると、主軸及びチャック手段10(更には、これに保持されたワーク)が所定方向に回動される。
図6をも参照して、この主軸部4と対向して配設される芯押しユニット8は、ユニット支持機構16を介して旋盤本体2に横方向(即ち、図2において左右方向、図6において紙面に対して垂直な方向であって、チャック手段10に近接及び離隔する方向)に移動自在に支持されている。この実施形態では、ユニット支持機構16は、下スライド部材18と、この下スライド部材18に対してスライド移動自在である上スライド部材20を備え、下スライド部材18が旋盤本体2の上突出支持部22に取り付けられ、上スライド部材20が芯押しユニット8のユニット本体部24に取り付けられ、下スライド部材18は、上突出支持部22の上面を横方向に延びている。
芯押しユニット8は、更に、ユニット本体部24に回転自在に支持されたセンター部材26を備え、このセンター部材26の先端部は円錐状に形成されている。このように構成されているので、上スライド部材20及び芯押しユニット8(即ち、センター部材26)は、この下スライド部材18に沿って横方向、即ちチャック手段10に近接及び離隔する方向に移動し、チャック手段10に保持されたワーク(図示せず)の先端面を支持する。尚、このユニット本体部24は、例えば手動により、或いは流体圧シリンダ機構(例えば、空圧シリンダ機構など)により移動される。
また、図示のタレット装置6は、タレット支持機構30を介して横方向及び前後斜め方向に移動自在に支持されている。タレット支持機構30は、タレット装置6を横方向に移動自在に支持するための第1支持機構32と、このタレット装置6を前後斜め方向に移動自在に支持する第2支持機構34と、第1支持機構32と第2支持機構34との間に配設された支持本体部35とを備えている。第1支持機構32は、旋盤本体2の後部上端部に設けられた横下スライド部36と、この横下スライド部36に対してスライド移動自在である横上スライド部38と、横上スライド部38をスライド移動させるための横移動駆動源(例えば、正逆回転モータなどから構成される。)とを備え、横上スライド部38が支持本体部35の下端部に設けられている。
この実施形態では、タレット支持機構30の支持本体部35は、断面形状が略直角三角形状であり、その上面は前方に向けて(即ち、芯押しユニット8に向けて)下方に傾斜して延びている。第2支持機構34は、この支持本体部35の上端部に取り付けられた斜め下スライド部40と、この斜め下スライド部40に対してスライド移動自在に支持された斜め上スライド部42と、この斜め上スライド部42をスライド移動させるための斜め移動駆動源(例えば、正逆回転モータなどから構成される。)とを備え、斜め上スライド部42がタレット装置6のタレット支持本体部44の下端部に取り付けられている。
このように構成されているので、例えば横移動駆動源が所定方向に回転される(又は所定方向と反対方向に回転される)と、横上スライド部38(これと一体的に移動する支持本体部35、第2支持機構34及びタレット支持本体部44)が主軸部4(即ち、チャック手段10)に近接する方向(又は離隔する方向)に図2において左側(又は右側)に移動される。また、例えば斜め移動駆動源が所定方向に回転される(又は所定方向と反対方向に回転される)と、斜め上スライド部42(これと一体的に移動するタレット支持本体部44)が芯押しユニット8に近接する方向(又は離隔する方向)に斜め下方に(又は斜め上方)に移動される。
タレット装置6は、タレット支持機構30(第1支持機構32及び第2支持機構34)に支持されたタレット支持本体部44に加えて、このタレット支持本体部44に回転自在に支持されたタレット軸46と、このタレット軸46に取り付けられたタレット48を備えている。タレット48の周囲には複数の工具取付部50が設けられ、各工具取付部50にワークを加工するための加工工具(図示せず)が取り付けられる。
タレット装置6に取り付けられた加工工具は、加工空間S(図2及び図3参照)において主軸部4のチャック手段10に保持されたワーク(図示せず)に作用して加工を施し、この加工の際にワークの加工部位に切削油が供給され、このように切削油を供給することによって、加工工具やワークの温度上昇が抑えられて高精度の加工が可能となる。
主として図1を参照して、このNC旋盤においては、旋盤本体2の外面が本体外カバー62により被われ、この実施形態では、本体外カバー62は、旋盤本体2の前面下部を被う前下カバー64、その前面右下部を被う前右下カバー66、その前面中間部を被う前中間カバー68、その前左上部を被う前左上カバー70、その前右上部を被う前右上カバー72を含み、前中間カバー68、前左上カバー70及び前右上カバー72によって作業開口74が規定されている。この作業開口74には開閉扉76が開閉自在に配設され、開閉扉76が閉状態にあるときには、図1に示すように、この開閉扉76によって作業開口74が閉塞され、加工空間Sからの切削油の外部への飛散を防止することができるとともに、加工作業時の安全性を確保することができる。また、開閉扉76を矢印78で示す方向に移動させて開状態にすると、図1に一点鎖線で示すように、作業開口74が開放され、この作業開口74を通して加工空間Sに手を入れて作業することができ、ワークの取付け、取外し、また加工工具の取付け、取外しなどを行うことができる。
この開閉扉76は、矩形状の扉枠体79を備え、この扉枠体79の略中央部に大きな目視用窓開口80が設けられ、この目視用窓開口80を通して外部から加工空間S(この加工空間Sにおける加工状態など)を目視することができ、この目視用窓開口80を密閉するように透明部材81(例えば、強化ガラスなど)が配設されている。また、開閉扉76の開閉操作が容易となるように開閉用取っ手82が設けられている。更に、旋盤本体2の前右上には操作盤84が設けられ、この操作盤84は、加工する際に所要の通りに入力操作するためのタッチパネル86及び各種操作ボタン87を備えている。
尚、この本体外カバー62は、更に、旋盤本体2の左面を被う左カバー86、その右面を被う右カバー(図示せず)、その上面を被う上カバー88及びその後面を被う後カバー(図示せず)を含んでいる。
このNC旋盤では、開閉扉76に関連して、更に、次のように構成されている。主として図3~図5を参照して、このNC旋盤においては、旋盤本体2の本体外カバー62(具体的には、前中間カバー68及び前左上カバー70)と主軸部4の主軸部カバー14との間に、開閉扉76を収容するための扉収容空間90が設けられている。作業開口74を閉じる閉状態においては、開閉扉76の大部分が扉収容空間90から引き出されて作業開口74を閉塞し、また作業開口74を開く開状態においては、開閉扉76の大部分が扉収容空間90に収容されて作業開口74を開放する。
この実施形態では、この扉収容空間90の底面は、本体外カバー62(前中間カバー68及び前左上カバー70)側の前側底面部92と、主軸部カバー14側の後側底面部94とを有している。扉収容空間90の前側底面部92は、本体外カバー62(具体的には、前中間カバー68)の折曲部96により規定され、この折曲部96は前中間カバー68の下端部から後側に折曲されて水平方向に延びている(図5参照)。また、扉収容空間90の後側底面部94は、旋盤本体2の所定部位に取り付けられたプレート部材98から構成され、このプレート部材98が扉収容空間90の開口側に向けて下方に傾斜するように取り付けられ、このプレート部材98の上面が、この開口側に向けて下方に緩やかに傾斜する傾斜面を規定し、扉収容空間90の後側底面部92は前側底面部92から傾斜して下がるように延びている。尚、プレート部材98に代えて、傾斜面を有するブロック状部材を用いるようにしてもよい。
このことに関連して、図5に示すように、開閉扉76(具体的には、扉枠体79)の下端部も一部(その前側の一部)が扉収容空間90の前側底面部92の上側に、好ましくは後述する先端垂下部132の上側に位置するように構成するのが好ましく、このように構成することにより扉収容空間90の底面(前側底面部92)と開閉扉76の下端面との間隙を小さくすることができ、加工に際に生じる切粉、切削油などが扉収容空間90の前側底面部92に堆積するのを抑えることができる。
この実施形態では、前中間カバー68にドア支持手段102が設けられている。このドア支持手段102は、作業開口80の下方から扉収容空間90内まで横方向に延びるドアレール104を備え、このドアレール104が取付ブラケット106を介して前中間カバー68の内面に取り付けられている。また、開閉扉76には、このドアレール104に支持される支持ローラ105が回転自在に支持され、支持ローラ105がドアレール104に沿って移動することにより、開閉扉76が開閉移動される。
この実施形態では、扉収容空間90に入り込んだ切粉などを取り除くために、更に、次のように構成されている。即ち、扉収容空間90の奥部(この形態では、開閉扉76の移動経路から外れた後側底面部の上流端部)に、扉収容空間90用の切削油供給部112が配設されている。この切削油供給部112は、主軸部カバー14の内側から突出する吐出ノズル114を備え、この吐出ノズル114の吐出口が扉収容空間90の奥部に開口している(図4参照)。従って、図示しない切削油供給源(例えば、切削油タンクなどから構成される)から供給される切削油は、この吐出ノズル114から扉収容空間90に吐出される。
このNC旋盤においては、図2及び図3に示すように、加工空間Sの下方には切削油や切粉を集めるための傾斜回収空間116(切削油回収部を構成する)が設けられている。この傾斜回収空間116は、主軸部4及び主軸部カバー14から他側(この実施形態では、右側)に向けて下方に延びる左側傾斜カバー118(図3参照)と、この左側傾斜カバー118と平行に下方に延びる左側傾斜壁部119と、前中間カバー68及び前下カバー64の内側から後側に向けて下方に傾斜する前側傾斜壁部120(図3及び図5参照)と、タレット装置6及び芯押しユニット8の横方向外側から片側(この実施形態では、左側)に向けて下方に傾斜して延びる右側傾斜壁部122(図2及び図6参照)と、タレット装置6の後側から前側に向けて下方に傾斜して延びる後側傾斜カバー124と(図2及び図6参照)と、これら左側傾斜カバー118、左側傾斜壁部119、前側傾斜壁部120、右側傾斜壁部122及び後側傾斜カバー124の下端部に設けられた回収空間底部126(図2参照)とを含んでおり、この回収空間底部126には、傾斜回収空間116により集められた切削油や切粉を排出するための排出口128,130が設けられている。
このように構成されているので、ワークの加工により加工空間S内に飛散した切削油及び切粉などは、次のようにして傾斜回収空間116の回収空間底部126に集められる。即ち、加工空間S内を左側(主軸部4側)に飛散した切粉などは、切削油とともに左側傾斜カバー118及び左側傾斜壁部119の表面に沿って下方に流下し、加工空間S内を前側に飛散した切粉などは、切削油とともに前側傾斜壁部120の表面に沿って下方に流下し、加工空間S内を右側(タレット装置6及び芯押しユニット8側)に飛散した切粉などは、切削油とともに右側傾斜壁部122の表面に沿って下方に流下し、また加工空間S内を後側に飛散した切粉などは、切削油とともに後側傾斜カバー124の表面に沿って下方に流下し、加工空間S内に飛散した切粉などは、このようにして切削油とともに傾斜回収空間116の回収空間底部126に集められ、集められた切削油が回収空間底部126の排出口128,130を通して回収されるが、切粉などはこの回収空間底部126に残るようになる。
この実施形態においては、図3に示すように、扉収容空間90の後側底面部94の下流端部(この形態では、プレート部材98の下流端部)は、前側傾斜壁部120の上端部内側に位置し、またその前側底面部92から下方に垂下する先端垂下部132(図3参照)は、前側傾斜壁部120の上端部内側に位置している。このように構成されているので、切削油供給部112の吐出ノズル114から扉収容空間90に吐出された切削油は、その後側底面部94の傾斜面に沿って下方に加工空間Sの下方の傾斜回収空間116に向けて流れ、またその前側底面部92に流れた切削液は、後側底面部94に流れ込むようになり、扉収容空間90に飛散した切粉などはこの切削油とともに下流側に流れる。そして、この後側底面部94を下流側まで流れた切削油(切粉などを含んでいる)は、図3に矢印142(図3参照)で示すように、前側傾斜壁部120の上端部内側に流れ、傾斜回収空間116内に流下する。
このように扉収容空間90内に飛散した切粉などは、切削油供給部112から供給される切削油とともに下流側に流れて傾斜回収空間116内に流れ、このようにして扉収容空間90内の切粉などを切削油の流れを利用して傾斜回収空間116に集めることができる。尚、扉収容空間90からの切粉及び切削油などは、ワークの加工の際に生じる切粉及び切削油などとともに傾斜回収空間116の回収空間底部126に集められ、集められた切削油が排出口128,130を通して回収される。
このNC旋盤においては、芯押しユニット8及びその周囲に飛散した切粉などを取り除くために、更に、次のように構成されている。主として図2、図6及び図7を参照して、この実施形態では、加工空間Sの右面を規定する右側壁142の外側に右カバー壁153が配設され、この右カバー壁153に取り付けられた取付部材150に芯押しユニット8用の切削油供給部144が設けられ、この切削油供給部144は、右側壁142の外側から内側に突出する吐出ノズル146を備え、この吐出ノズル146の吐出口がタレット支持本体部44の幾分上方に位置している。
タレット支持本体部44の後端部には受けプレート151が取り付けられ、このタレット支持プレート151が芯押しユニット8から離れた後方に位置するときには、図6に示すように、切削油供給部144はタレット支持本体部44の後端部に位置し、タレット支持本体部44が芯出しユニット8に近づいた前方に位置するときには、図8に示すように、切削油供給部144はタレット支持本体部44から後方に延びる受けプレート151の上方に位置する。
この実施形態では、切削油供給部144は、タレット支持本体部44に切削油を供給し、かく供給された切削油は、図7に矢印148で示すように、タレット支持本体部44の上面のほぼ全域に拡がって下方に流れ、このように流すことによって、タレット支持本体部44の上面に飛散した切粉などを切削油の流れによって取り除くことができる。
図2及び図6を参照して、切削油供給部144からの切削油を回収するために、芯押しユニット8の下方に第1傾斜面が設けられ、この実施形態では、傾斜回収空間116の右側傾斜壁部122の一部(芯押しユニット8の下方を内側(左側)に向けて下方に傾斜して延びる部位)がこの第1傾斜面として機能する。また、芯押しユニット8と旋盤本体2の前面に配設された操作盤84(図1参照)との間の前側空間152に第2傾斜面が設けられ、この実施形態では、前側傾斜壁部120の一部(芯押しユニット8と操作盤84との間を内側(後側)に向けて下方に傾斜して延びる部位)、右側傾斜壁部122の一部(芯押しユニット8と操作盤84との間を内側(左側)に向けて下方に傾斜して延びる部位)、及び上突出支持部22の側面に設けられた山状傾斜面154がこの第2傾斜面として機能する。更に、タレット本体支持部44と芯押しユニット8との間の中間空間156に第3傾斜面が設けられ、この実施形態では、右側傾斜壁部122の一部(タレット支持本体部44と芯押しユニット8との間を内側(左側)に向けて下方に傾斜して延びる部位)がこの第3傾斜面として機能する。
このNC旋盤においては、切削油供給部144の吐出ノズル146から吐出された切削油は次のように流れ、これによって、タレット支持本体部44、芯押しユニット8及びその周囲に飛散した切粉などが所要の通りに回収される。例えば、図6に示すように、タレット支持本体部44が後方に位置しているときには、タレット支持本体部44と芯押しユニット8との間の中間空間156は前後方向に比較的大きな間隔となっている。このような状態のときには、切削油供給部144からの切削油は、図7に示すように、タレット支持本体部44の上端部上面に供給された後にその上面に拡がって流下し、その下端部から、図6に矢印162で示すように、中間空間156に流下し、その一部は芯押しユニット8の上面付近まで流下するようになる。このときには、中間空間156に流下する切削油は、主として右側傾斜壁部122の一部、即ち第3傾斜面に沿って下方に流れ、この流れとともに切粉なども下方に流れ、この中間空間156に飛散した切粉などは切削油の流れとともに傾斜回収空間116の回収空間底部126に集められる。
また、図8に示すように、タレット支持本体部44が前方に移動して芯押しユニット8に近づくと、タレット支持本体部44と芯押しユニット8との間の中間空間156は前後方向に比較的小さな間隔となる。このような状態のときには、切削油供給部144からの切削油は、タレット支持本体部44から延びる受けプレート151の上面に供給され、上述したと同様にして受けプレート151及びタレット支持本体部44の上面のほぼ全域に拡がって流下した後にタレット支持本体部44の下端部から流下する。このとき、受けプレート151から流下して切削油の流速が速く、また中間空間156の間隔が比較的狭いことから、タレット支持本体部44からの切削油は、図8に矢印164で示すように、芯押しユニット8の上面から前側空間152及び制御盤84の後面の範囲に渡って流下するようになる。
このときには、制御盤84の後面及び前側空間152に流下する切削油は、主として前側傾斜壁部120の一部、右側傾斜壁部122の一部及び山状傾斜面154、即ち第2傾斜面に沿って下方に流れ、この流れとともに切粉なども下方に流れ、この前側空間152に飛散した切粉などは切削油の流れとともに傾斜回収空間116の回収空間底部126に集められる。また、芯押しユニット8の上面に流下した切削油は、そのユニット本体部24の側面に沿って流下した後にその下側の右側傾斜壁部122の一部、即ち第1傾斜面に沿って下方に流れ、この流れとともに切粉なども下方に流れ、この芯押しユニット8の上面に飛散した切粉なども切削油の流れとともに傾斜回収空間116の回収空間底部126に集められる。
このようにタレット支持本体部44の上面に加えて芯押しユニット8及びその周囲に飛散した切粉などは、切削油供給部144から供給されてタレット支持本体部44から流下する切削油とともに下流側に流れて傾斜回収空間116内に集められ、このようにして芯押しユニット8及びその周囲に飛散した切粉などを切削油の流れを利用して集めることができる。尚、傾斜回収空間116の回収空間底部126に集められた切削油は、集められた切粉などと分けられて排出口128,130を通して回収される。尚、この実施形態では、排出口128,130を通して切削油のみを回収しているが、この排出口128,130を通して切削油及び切粉などを回収し、回収した後切削油を分離して再利用するようにしてもよい。
以上、本発明に従う工作機械の一実施形態をNC旋盤に適用して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
例えば、上述のNC旋盤に適用した例では、扉収容空間に関連する切粉除去の構成と芯押しユニットに関連する切粉除去の構成との双方を組み合わせて適用しているが、扉収容空間に関連する切粉除去の構成及び芯押しユニットに関連する切粉除去の構成のいずれか一方のみを適用するようにしても所望の効果を達成することができる。また、芯押しユニットを備えていないNC旋盤では、扉収容空間に関連する切粉除去の構成を適用するようになる。
また、上述のNC旋盤に適用した例では、タレット装置を一つ備えた形態のものに適用して説明したが、このタレット装置を複数(例えば、二つ)備えた形態のものにも同様に適用することができる。
また、例えば、上述のNC旋盤に適用した例では、タレット支持本体部が前方に向けて斜め下方に移動する形態のものに適用して説明したが、このような形態ものに限定されず、前方に向けて水平に移動する形態のものにも同様に適用することができ、このような形態のNC旋盤に芯押しユニットに関連する切粉除去の構成を適用する場合、タレット支持本体部の上面を芯押しユニットに向けて下方に傾斜させるのが望ましく、このように構成することにより、切削油の流れを速くして芯押しユニットの上面に向けて効果的に流下させることができる。
2 旋盤本体(工作機械本体)
4 主軸部
6 タレット装置
8 芯出しユニット
14 主軸部カバー
30 タレット支持機構
62 本体外カバー
76 開閉扉
90 扉収容空間
92 前側底面部
94 後側底面部
112,144 切削油供給部
116 傾斜回収空間(切削油回収部)
S 加工空間

Claims (6)

  1. 工作機械本体と、前記工作機械本体に設けられ且つ主軸を回転自在に支持する主軸部と、前記主軸に装着されて一体的に回動されるチャック手段と、前記主軸部を被うための主軸部カバーと、前記工作機械本体の外面を被う本体外カバーと、ワークを加工するための加工空間を開閉する開閉扉とを備え、前記主軸部カバーと前記本体外カバーとの間に、前記開閉扉を収容するための扉収容空間が設けられている工作機械において、
    前記扉収容空間に関連して、切削油を流すための切削油供給部が設けられており、前記切削油供給部からの切削油は、前記扉収容空間の底部を流れた後に前記加工空間の下方の切削油回収部に向けて流れることを特徴とする工作機械。
  2. 前記切削油供給部は、前記扉収容空間の奥部に配設され、前記扉収容空間の底面は、前記奥部から切削油の回収方向に流すための傾斜面を有しており、前記切削油供給部からの切削油は、前記扉収容空間の前記傾斜面を下方に前記切削油回収部に向けて流れることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
  3. 前記扉収容空間の前記底面は、前記本体外カバー側の前側底面部と前記主軸部カバー側の後側底面部とを有し、前記開閉扉は、その前側下端部が前記扉収容空間の前記前側底面部の上方にて開閉移動するように構成され、前記扉収容空間の前記後側底面部に前記傾斜面が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の工作機械。
  4. 工作機械本体と、前記工作機械本体の片側に設けられ且つ主軸を回転自在に支持する主軸部と、前記主軸に装着されて一体的に回動されるチャック手段と、前記工作機械本体に支持機構を介して取り付けられ且つ周囲に複数の工具取付部を有するタレットを備えたタレット装置と、前記タレット装置の前記複数の工具取付部に取り付けられた加工工具と、前記工作機械本体の他側に配設された芯押しユニットと、を備えた工作機械において、
    前記タレット装置の前記タレットを回転自在に支持するタレット支持本体部に関連して、切削油を流すための切削油供給部が設けられており、前記切削油供給部からの切削油は、前記タレット支持本体部の上面を前記芯押しユニット側に流れた後に前記芯押しユニットの上面に流下し、その後前記芯押しユニットを流下して加工空間の下方の切削油回収部に向けて流れることを特徴とする工作機械。
  5. 前記タレット装置の前記タレット支持本体部の上面は、前記芯押しユニットに向けて下方に傾斜して延びており、前記タレット支持本体部の上面を流れる切削油は、前記タレット支持本体部が前記芯押しユニットから離れて位置するときには前記タレット支持本体部と前記芯押しユニットとの間に流下し、前記タレット支持本体部が前記芯押しユニットに近づいて位置するときには前記芯押しユニットの上面に流下することを特徴とする請求項4に記載の工作機械。
  6. 前記芯押しユニットの下方には、前記芯押しユニットの側面を流下する切削油を前記切削油回収部に向けて流すための第1傾斜面が設けられ、また前記芯押しユニットと前記工作機械本体の前記他側前面に設けられた操作盤との間の前側空間に、前記前側空間に流下した切削油を前記切削油回収部に向けて流すための第2傾斜面が設けられ、更に前記タレット支持本体部と前記芯押しユニットとの間の中間空間に、前記中間空間に流下した切削油を前記切削油回収部に向けて流すための第3傾斜面が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の工作機械。



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