JP7348997B1 - 毛細胆管領域の特定又は評価の方法、装置及びプログラム - Google Patents

毛細胆管領域の特定又は評価の方法、装置及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP7348997B1
JP7348997B1 JP2022119270A JP2022119270A JP7348997B1 JP 7348997 B1 JP7348997 B1 JP 7348997B1 JP 2022119270 A JP2022119270 A JP 2022119270A JP 2022119270 A JP2022119270 A JP 2022119270A JP 7348997 B1 JP7348997 B1 JP 7348997B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refractive index
complex amplitude
image generation
index distribution
bile
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022119270A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2024016956A (ja
Inventor
康造 竹内
修 安彦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hamamatsu Photonics KK
Original Assignee
Hamamatsu Photonics KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hamamatsu Photonics KK filed Critical Hamamatsu Photonics KK
Priority to JP2022119270A priority Critical patent/JP7348997B1/ja
Priority to PCT/JP2023/007107 priority patent/WO2024024147A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7348997B1 publication Critical patent/JP7348997B1/ja
Publication of JP2024016956A publication Critical patent/JP2024016956A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M1/00Apparatus for enzymology or microbiology
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M3/00Tissue, human, animal or plant cell, or virus culture apparatus
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/02Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving viable microorganisms
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/41Refractivity; Phase-affecting properties, e.g. optical path length
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/483Physical analysis of biological material

Abstract

【課題】毛細胆管領域を非侵襲的に特定及び評価する方法を提供すること。【解決手段】肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データを用いて、観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する方法、及び肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データから得られる毛細胆管のパラメータに基づいて、毛細胆管領域を評価する方法。【選択図】なし

Description

本開示は、毛細胆管領域を特定又は評価する方法、装置及びプログラムに関する。
毛細胆管(胆汁細管、bile canaliculi又はBCとも表記する。)は、隣接する肝細胞間に形成される細管である。毛細胆管の管腔は、肝細胞間の密着結合により密閉されており、肝細胞の細胞膜上のトランスポーターを介して、物質の授受が行われている。毛細胆管には、肝細胞において合成された胆汁酸が分泌され、また、肝細胞において代謝された薬物等が排泄される。毛細胆管に面する肝細胞の表面には、微絨毛(microvilli又はMVとも表記する。)と呼ばれる長さサブマイクロメートルから数マイクロメートル程度の微細な突起が多数存在する。
薬物性肝障害(DILI:Drug-Induced Liver Injury)は、患者に投与された薬物及び/又はその代謝物に起因する肝疾患の総称であり、既承認薬の市場撤退及び使用制限並びに新薬が安全性に関して承認に至らないことの主要因の1つである(非特許文献1)。
毛細胆管と薬物に関し、肝細胞の培養方法に係る特許文献1では、培養された肝細胞の評価の指標として毛細胆管の面積及び数が用いられている。特許文献2には、肝細胞による胆汁中又は血液中排泄感受性の候補化合物及び該候補化合物の肝代謝物の評価装置であって、肝代謝物の毛細胆管様構造への蓄積と排泄を促進することを特徴とする評価装置が開示されている。特許文献3には、毛細胆管機能障害を誘発する候補化合物をスクリーニングするインビトロ方法であって、その評価指標として胆管空間の形態変化並びに細管及び細管腔内に蓄積することができる小分子又は大分子の最大量が用いられる方法が開示されている。
国際公開第2011/024592号 特開2020-028305号公報 特許第6644786号公報
Watkins, "Drug safetysciences and the bottleneck in drug development.", Clin. Pharmacol. Ther.,89, 788-790 (2011). Gissen et al., "Structuraland functional hepatocyte polarity and liver disease", Journal ofHepatology, 63, 1023-1037 (2015).
毛細胆管は、肝細胞塊及び肝組織の評価指標並びに薬物代謝の解析対象として有用である。しかし、代表的な組織染色法であるヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)によっては、毛細胆管領域の特定は困難であることが報告されている(非特許文献2)。また、現状用いられている毛細胆管領域の特定方法及び評価方法は電子顕微鏡法及び蛍光顕微鏡法であるが、電子顕微鏡法は生細胞観察及び経時観察が困難であるため薬物評価との併用には不適であり、蛍光顕微鏡法は蛍光標識が必須である。
したがって、本開示の一側面の目的は、毛細胆管領域を非侵襲的に特定又は評価する方法、装置及びプログラムを提供することである。
発明者らは、観察対象物の屈折率分布データを用いると、観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定可能であること、及び特定した毛細胆管領域の評価が可能であることを見出した。
すなわち、本開示の一側面は、肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データを用いて、観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する方法である。
他の一側面は、肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データから得られる毛細胆管のパラメータに基づいて、毛細胆管領域を評価する方法である。
他の一側面は、肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データを用いて、観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する方法により特定された毛細胆管領域の数、及び/又は肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データから得られる毛細胆管のパラメータに基づいて毛細胆管領域を評価する方法により得られた毛細胆管領域の評価、に基づいて、肝細胞を含有する観察対象物を評価する方法である。
他の一側面は、肝細胞を培養するステップと、屈折率分布データを用いて観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する方法により特定された毛細胆管領域の数、及び/又は屈折率分布データから得られる毛細胆管のパラメータによって毛細胆管領域を評価する方法により得られた毛細胆管領域の評価、に基づいて肝細胞を含有する観察対象物を評価する方法を用いて、培養によって得られた観察対象物を評価するステップと、を含む、肝細胞の培養方法を評価する方法である。
他の一側面は、肝細胞を含有する観察対象物に薬物を添加するステップと、屈折率分布データを用いて観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する方法により特定された毛細胆管領域の数、及び/又は屈折率分布データから得られる毛細胆管のパラメータによって毛細胆管領域を評価する方法により得られた毛細胆管領域の評価、に基づいて肝細胞を含有する観察対象物を評価する方法を用いて、薬物を添加された観察対象物を評価するステップと、を含む、薬物のスクリーニング方法である。
他の一側面は、肝細胞を含有する観測対象物の屈折率分布データを取得するデータ取得部と、観察対象物の屈折率分布データを用いて観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する特定部と、を備える、毛細胆管領域の特定装置である。
他の一側面は、肝細胞を含有する観測対象物の屈折率分布データを取得するデータ取得部と、観察対象物の屈折率分布データを用いて観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する特定部と、屈折率分布データから得られる毛細胆管のパラメータに基づいて毛細胆管領域を評価する評価部と、を備える、毛細胆管領域の評価装置である。
他の一側面は、肝細胞を含有する観測対象物の屈折率分布データを取得するデータ取得ステップと、観察対象物の屈折率分布データを用いて観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する特定ステップと、をコンピュータに実行させるプログラムである。
他の一側面は、肝細胞を含有する観測対象物の屈折率分布データを取得するデータ取得ステップと、観察対象物の屈折率分布データを用いて観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する特定ステップと、屈折率分布データから得られる毛細胆管のパラメータに基づいて毛細胆管領域を評価する評価ステップと、をコンピュータに実行させるプログラムである。
より詳細には、本開示は以下の[1]~[20]に関する。
[1]肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データを用いて、観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する方法。
[2]毛細胆管領域の特定が、観察対象物中の領域が毛細胆管の特徴を有することに基づいて行われる、[1]に記載の方法。
[3]上記毛細胆管の特徴が、肝細胞間に存在する略円形若しくは略円管形領域である特徴、領域の屈折率が肝細胞の屈折率よりも低い特徴、並びに領域の周縁部の屈折率が肝細胞の屈折率よりも高い特徴からなる群より選択される1つ以上の特徴を含む、[2]に記載の方法。
[4]上記毛細胆管の特徴が、肝細胞間に存在する略円形若しくは略円管形領域である特徴、領域の屈折率が肝細胞の屈折率よりも低い特徴、並びに領域の周縁部の屈折率が肝細胞の屈折率よりも高い特徴を含む、[2]に記載の方法。
[5]上記毛細胆管の特徴が、さらに、微絨毛に由来する領域であって、領域全体の屈折率よりも屈折率の高い領域を有する特徴を含む、[3]又は[4]に記載の方法。
[6]上記屈折率分布データが、所定の方向における屈折率断層データである、[1]~[5]のいずれか1つに記載の方法。
[7]肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データから得られる毛細胆管のパラメータに基づいて、毛細胆管領域を評価する方法。
[8]前記毛細胆管のパラメータが、管流軸に垂直な断面若しくは断層面視の断面の面積、屈折率、微絨毛の本数並びに微絨毛の平均長さからなる群より選択される1つ以上のパラメータを含む、[7]に記載の方法。
[9][1]~[6]のいずれか1つに記載の方法によって、観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定するステップを含み、特定された毛細胆管領域における毛細胆管のパラメータに基づいて、毛細胆管領域を評価する、[7]又は[8]に記載の方法。
[10][1]~[6]のいずれか1つに記載の方法により特定された毛細胆管領域の数及び/又は[7]~[9]のいずれか1つに記載の方法により得られた毛細胆管領域の評価に基づいて、肝細胞を含有する観察対象物を評価する方法。
[11]肝細胞を培養するステップと、[10]に記載の方法を用いて、培養によって得られた観察対象物を評価するステップと、を含む、肝細胞の培養方法を評価する方法。
[12]肝細胞を含有する観察対象物に薬物を添加するステップと、[10]に記載の方法を用いて、薬物を添加された観察対象物を評価するステップと、を含む、薬物のスクリーニング方法。
[13]上記肝細胞を含有する観察対象物が2次元肝培養体、肝細胞塊及び肝臓組織試料からなる群より選択される、[1]~[12]のいずれか1つに記載の方法。
[14]上記肝細胞を含有する観察対象物が肝細胞塊及び肝臓組織試料からなる群より選択される、[1]~[12]のいずれか1つに記載の方法。
[15]上記肝細胞を含有する観察対象物が肝細胞塊である、[1]~[12]のいずれか1つに記載の方法。
[16]肝臓の臨床検体の屈折率分布データを取得するステップと、[7]~[10]のいずれか1つに記載の方法を用いて上記臨床検体に含まれる毛細胆管領域又は上記臨床検体を評価するステップと、を含む、肝疾患の診断方法、肝疾患の診断を補助する方法又は肝疾患の診断のためのデータを取集する方法。
[17]肝細胞を含有する観測対象物の屈折率分布データを取得するデータ取得部と、[1]~[6]のいずれか1つに記載の方法によって観察対象物中に含まれる毛細胆管領域を特定する特定部と、を備える、毛細胆管領域の特定装置。
[18]肝細胞を含有する観測対象物の屈折率分布データを取得するデータ取得部と、[1]~[6]のいずれか1つに記載の方法によって観察対象物中に含まれる毛細胆管領域を特定する特定部と、[7]~[9]のいずれか1つに記載の方法によって毛細胆管領域を評価する評価部と、を備える、毛細胆管領域の評価装置。
[19]肝細胞を含有する観測対象物の屈折率分布データを取得するデータ取得ステップと、[1]~[6]のいずれか1つに記載の方法によって観察対象物中に含まれる毛細胆管領域を特定する特定ステップと、をコンピュータに実行させるプログラム。
[20]肝細胞を含有する観測対象物の屈折率分布データを取得するデータ取得ステップと、[1]~[6]のいずれか1つに記載の方法によって観察対象物中に含まれる毛細胆管領域を特定する特定ステップと、[7]~[9]のいずれか1つに記載の方法によって毛細胆管領域を評価する評価ステップと、をコンピュータに実行させるプログラム。
本開示の方法、装置又はプログラムによれば、屈折率分布データを用いて、観察対象物中の毛細胆管領域を非侵襲的に特定及び評価することができる。また、本開示の方法によれば、屈折率分布データを用いて、肝細胞塊の培養方法の評価又は薬物のスクリーニングを行うことができる。
図1(以下、「図A01」ともいう。)は、観察装置1Aの構成を示す図である。 図2(以下、「図A02」ともいう。)は、観察装置1Bの構成を示す図である。 図3(以下、「図A03」ともいう。)は、観察装置1Cの構成を示す図である。 図4(以下、「図A04」ともいう。)は、屈折率分布測定方法Aのフローチャートである。 図5(以下、「図A05」ともいう。)(a),(b),(c)は、干渉強度画像取得ステップS1における観察対象物Sへの光照射方向の走査の例を示す図である。 図6(以下、「図A06」ともいう。)は、カーネル関数gを説明する図である。 図7(以下、「図A07」ともいう。)(a),(b)は、干渉強度画像取得ステップS1における観察対象物Sへの光照射方向の走査の例を示す図である。 図8(以下、「図A08」ともいう。)(a),(b),(c)は、干渉強度画像取得ステップS1における観察対象物Sへの光照射方向の走査の例を示す図である。 図9(以下、「図A09」ともいう。)は、屈折率分布測定方法A1における2次元位相画像生成ステップS4のフローチャートである。 図10(以下、「図A10」ともいう。)は、屈折率分布測定方法A2における2次元位相画像生成ステップS4のフローチャートである。 図11(以下、「図A11」ともいう。)は、カーネル関数を説明する図である。 図12(以下、「図A12」ともいう。)は、屈折率分布測定方法A3における2次元位相画像生成ステップS4のフローチャートである。 図13(以下、「図B01」ともいう。)は、観察装置1Dの構成を示す図である。 図14(以下、「図B02」ともいう。)は、観察装置1Eの構成を示す図である。 図15(以下、「図B03」ともいう。)は、観察装置1Fの構成を示す図である。 図16(以下、「図B04」ともいう。)は、屈折率分布測定方法Bのフローチャートである。 図17(以下、「図B05」ともいう。)は、第2複素振幅画像生成ステップS63及び2次元位相画像生成ステップS65の各処理の順序及び画像を説明する図である。 図18(以下、「図B06」ともいう。)は、第2複素振幅画像生成ステップS63、位相共役演算ステップS64及び2次元位相画像生成ステップS65の各処理の順序及び画像を説明する図である。 図19(以下、「図B07」ともいう。)は、第2複素振幅画像生成ステップS63、位相共役演算ステップS64及び2次元位相画像生成ステップS65の各処理の順序及び画像を説明する図である。 図20(以下、「図B08」ともいう。)は、第2複素振幅画像生成ステップS63、位相共役演算ステップS64及び2次元位相画像生成ステップS65の各処理の順序及び画像を説明する図である。 図21(以下、「図B09」ともいう。)は、3次元位相画像生成ステップS66及び屈折率分布算出ステップS67の各処理の順序及び画像を説明する図である。 図22(以下、「図B10」ともいう。)は、位相共役演算の概要について説明する図であり、撮像部により干渉強度画像を撮像するときの入力光及び出力光を示す図である。 図23(以下、「図B11」ともいう。)は、位相共役演算の概要について説明する図であり、光照射及び撮像の関係を逆転させた場合の入力光及び出力光を示す図である。 図24(以下、「図B12」ともいう。)は、位相共役演算ステップS64における画像分割、位相共役演算及び画像結合を説明する図である。 図25(以下、「図C01」ともいう。)は、観察装置1Gの構成を示す図である。 図26(以下、「図C02」ともいう。)は、観察装置1Hの構成を示す図である。 図27(以下、「図C03」ともいう。)は、観察装置1Iの構成を示す図である。 図28(以下、「図C04」ともいう。)は、屈折率分布測定方法Cのフローチャートである。 図29(以下、「図C05」ともいう。)は、屈折率分布測定方法Cのフローチャートである。 図30(以下、「図C06」ともいう。)は、観察対象物を含む領域と第1~第Jのブロックとの関係を説明する図である。 図31(以下、「図C07」ともいう。)は、第1~第Jのブロックにおける処理の手順を説明する図である。 図32(以下、「図C08」ともいう。)は、BPMの処理内容を説明する図である。 図33(以下、「図C09」ともいう。)は、第3複素振幅画像生成ステップS77のフローチャートである。 図34(以下、「図C10」ともいう。)は、観察装置1Jの構成を示す図である。 図35は、本開示の一側面に係る肝細胞塊の評価方法により評価される肝細胞塊の一例を示す図である。 図36は、本開示の一側面に係る肝細胞塊の培養方法の評価方法について、肝細胞塊の培養日数に応じた毛細胆管領域の数に基づいて評価する場合の一例を示す図である。 図37は、本開示の一側面に係る薬物のスクリーニング方法について、肝細胞塊中の毛細胆管の断面の面積に基づいて、胆汁うっ滞型DILIを引き起こす可能性のある薬物をスクリーニングする一例を示す図である。 図38は、本開示の一側面に係る薬物のスクリーニング方法について、肝細胞塊中の毛細胆管領域の微絨毛の長さ及び/又は数に基づいて、胆汁うっ滞型DILIを引き起こす可能性のある薬物をスクリーニングする一例を示す図である。 図39は、本開示の一側面に係る薬物のスクリーニング方法について、薬物添加後の経時的な微絨毛の長さの変化に基づいて、胆汁うっ滞型DILIを引き起こす可能性のある薬物をスクリーニングする一例を示す図である。 図40は、本開示の一側面に係る毛細胆管領域の特定方法を用いて、肝細胞塊にタウロコール酸を添加することにより形成される毛細胆管ネットワークを評価する例を示した図である。 図41は、本開示の一側面に係る毛細胆管領域の特定方法をガイドとしてドレーンを挿入し、肝細胞塊内の毛細胆管の内容物を回収する例を示した図である。 図42は、本開示の一側面に係る毛細胆管領域の評価方法を用いて、微絨毛の数及び/又は長さを指標として、肝臓の臨床検体における肝疾患の診断を補助する一例を示した図である。 図43は、実施例1における、位相差及び蛍光顕微鏡を用いた2次元肝培養体の毛細胆管領域の特定の結果を示す図である。 図44は、実施例2における、光回折トモグラフィ(ODT)を用いた2次元肝培養体の毛細胆管領域の評価結果の概略を示す図である。 図45は、実施例2における、光回折トモグラフィ(ODT)を用いた2次元肝培養体の毛細胆管領域の詳細な評価結果を示す図である。 図46は、実施例3における、光回折トモグラフィ(ODT)を用いた肝細胞塊1の毛細胆管領域の評価結果の概略を示す図である。 図47は、実施例3における、光回折トモグラフィ(ODT)を用いた肝細胞塊1の毛細胆管領域の詳細な評価結果を示す図である。 図48は、実施例3における、光回折トモグラフィ(ODT)を用いた肝細胞塊2の毛細胆管領域の評価結果を示す図である。
以下、実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。実際の形態は、これらの例示に限定されるものではない。
一実施形態に係る観察対象物は、肝細胞を含有する。肝細胞とは、肝臓由来であり、隣接する肝細胞同士の密着結合により毛細胆管を形成し得る細胞を示す。一実施形態に係る観察対象物は、毛細胆管を形成した肝細胞及び毛細胆管を形成していない肝細胞の両者を含有し得る。肝細胞は、肝臓由来の培養細胞(セルライン及び初代培養細胞を含む)であっても、単離された肝臓組織に含まれる肝細胞であってもよく、肝細胞の由来となる動物種は特に限定されない。観察対象物が細胞の培養体である場合、培養体は1種の肝細胞からなってもよく、少なくとも1種の肝細胞を含む2種以上の細胞を含んでもよい。
一実施形態に係る観察対象物は、細胞を主成分として構成される物体であるが、細胞の他にも組織試料に含有されることがあるコンポーネント、例えば細胞外マトリックス及び中性脂肪など、を含んでいてもよい。一実施形態に係る観察対象物は、肝細胞同士が密着結合を形成する観点から、2次元肝培養体、肝細胞塊及び肝臓組織試料であってもよい。また、同様の観点並びに判定及び評価対象となりうる毛細胆管の量及び質の担保の観点から、2次元肝培養体、肝細胞塊及び肝臓組織試料であってもよい。さらに、一実施形態に係る観察対象物は、生理的環境に近い環境、再現性の高さ及び試料調製の容易性を並立する観点から、肝細胞塊であってもよい。2次元肝培養体とは、平板ディッシュ上で2次元培養された肝細胞により形成された単層のコロニーである。肝細胞塊とは、3次元培養された肝細胞により形成された細胞塊である。肝臓組織試料とは、ヒトを含む動物より単離された肝臓組織より作成された生体試料であり、例えば組織スライド、組織ブロック、組織パネル及び組織アレイなどが挙げられる。観察対象物が肝細胞塊である場合、その最大径は100~200μmであるとよい。
屈折率分布データとは、観察対象物を含む空間中のボクセル毎の屈折率の3次元分布を示すデータ又は観察対象物を含む空間の所定の方向における断層面内のピクセル毎の屈折率の2次元分布を示すデータである。また、屈折率断層データとは、屈折率分布データのうち、観察対象物を含む空間の所定の方向における断層面内のピクセル毎の屈折率の2次元分布を示すデータである。
一実施形態に係る屈折率分布データを取得する方法(以下、「屈折率分布測定方法」ともいう。)は特に限定されないが、一例である方法について以下に詳述する。観察対象物の屈折率分布を非染色・非侵襲で測定する方法として、光回折トモグラフィ(Optical Diffraction Tomography、ODT)が知られている。ODTは、定量位相イメージング(Quantitative Phase Imaging、QPI)を3次元イメージング可能な技術に発展させたものであり、観察対象物の3次元屈折率トモグラフィを実現することができる。
さらに以下に説明する屈折率分布測定方法A~Cが用いられる。屈折率分布測定方法Aには屈折率分布測定方法A1~A3の態様がある。屈折率分布測定方法A1~A3を総称して屈折率分布測定方法Aという。これらの屈折率分布測定方法A~Cは、観察対象物が多重散乱体である場合であっても、多重散乱光の影響が低減された3次元屈折率トモグラフィを実現することができる。
なお、他の染色・非侵襲のイメージング技術として、光コヒーレンス・トモグラフィ(Optical Coherence Tomography、OCT)も知られている。しかし、OCTの分解能は10μm程度であるのに対して、ODT及び屈折率分布測定方法A~Cの分解能は1μm程度である。また、OCTは、屈折率分布を求めるものではなく、イメージングにより得られた信号の生物学的な解釈が難しい。これらの点で、ODT及び屈折率分布測定方法A~Cは、OCTより優位である。
先ず、屈折率分布測定方法A(A1~A3)について説明する。図A01~図A03は、屈折率分布測定方法Aによる屈折率分布を測定する際に用いることができる観察装置1A~1Cの各構成を示す図である。
図A01は、観察装置1Aの構成を示す図である。この観察装置1Aは、光源11、レンズ12、レンズ21、ミラー22、レンズ23、コンデンサレンズ24、対物レンズ25、ビームスプリッタ41、レンズ42、撮像部43及び解析部50などを備える。
光源11は、空間的・時間的にコヒーレントな光を出力するものであり、例えばレーザ光源である。レンズ12は、光源11と光学的に接続されており、光源11から出力された光を光ファイバ14の光入射端13に集光して、その光を光入射端13に入射させる。光ファイバ14は、レンズ12により光入射端13に入射された光をファイバカプラ15へ導光する。ファイバカプラ15は、光ファイバ14と光ファイバ16,17との間で光を結合するものであり、光ファイバ14により導光されて到達した光を2分岐して、一方の分岐光を光ファイバ16により導光させ、他方の分岐光を光ファイバ17によりさせる。光ファイバ16により導光された光は光出射端18から発散光として出射される。光ファイバ17により導光された光は光出射端19から発散光として出射される。
レンズ21は、光出射端18と光学的に接続されており、光出射端18から発散光として出力された光をコリメートする。ミラー22は、レンズ21と光学的に接続されており、レンズ21から到達した光をレンズ23へ反射させる。ミラー22の反射面の方位は可変である。レンズ23は、ミラー22と光学的に接続されている。コンデンサレンズ24は、レンズ23と光学的に接続されている。レンズ23及びコンデンサレンズ24は、例えば4f光学系を構成している。レンズ23及びコンデンサレンズ24は、ミラー22の反射面の方位に応じた光照射方向から観察対象物Sに対して光を照射する。対物レンズ25は、コンデンサレンズ24と光学的に接続されている。対物レンズ25とコンデンサレンズ24との間に観察対象物Sが配置される。対物レンズ25は、コンデンサレンズ24から出力されて観察対象物Sを経た光(物体光)を入力し、その光をビームスプリッタ41へ出力する。
ビームスプリッタ41は、対物レンズ25と光学的に接続され、また、光出射端19とも光学的に接続されている。ビームスプリッタ41は、対物レンズ25から出力されて到達した光(物体光)と、光出射端19から出力されて到達した光(参照光)とを合波して、両光をレンズ42へ出力する。レンズ42は、ビームスプリッタ41と光学的に接続されており、ビームスプリッタ41から到達した物体光及び参照光それぞれをコリメートして撮像部43へ出力する。撮像部43は、レンズ42と光学的に接続されており、レンズ42から到達した物体光と参照光との干渉による干渉縞像(干渉強度画像)を撮像する。撮像部43の撮像面への物体光の入射方向に対して参照光の入射方向は傾斜している。ビームスプリッタ41により物体光と参照光とが合波される位置は、結像レンズより後段であってもよいが、収差の影響を考慮すると、図に示されるように対物レンズ25とレンズ42との間であるのが望ましい。
解析部50は、撮像部43と電気的に接続されており、撮像部43により撮像された干渉強度画像を入力する。解析部50は、その入力した干渉強度画像を処理することにより、観察対象物Sの3次元屈折率分布を算出する。解析部50は、コンピュータであってよい。解析部50は、干渉強度画像取得部51、第1複素振幅画像生成部52、第2複素振幅画像生成部53、2次元位相画像生成部54、3次元位相画像生成部55、屈折率分布算出部56、表示部57及び記憶部58を備える。
干渉強度画像取得部51は、ミラー22の反射面の方位を変化させることにより、観察対象物Sに対して複数の光照射方向それぞれに沿って光を照射させる。また、干渉強度画像取得部51は、複数の光照射方向それぞれについて基準位置における干渉強度画像を撮像部43から取得する。干渉強度画像取得部51は、CPUを含み、ミラー22の反射面の方位を変化させる為の制御信号を出力する出力ポートを有し、また、撮像部43から干渉強度画像を入力する入力ポートを有する。対物レンズ25を光軸方向に移動させる必要はない。基準位置は、撮像部43の撮像面に対して共役関係にある像面位置である。
第1複素振幅画像生成部52、第2複素振幅画像生成部53、2次元位相画像生成部54、3次元位相画像生成部55及び屈折率分布算出部56は、干渉強度画像に基づいて処理を行うものであり、CPU、GPU、DSP又はFPGA等の処理装置を含む。表示部57は、処理すべき画像、処理途中の画像及び処理後の画像などを表示するものであり、例えば液晶ディスプレイを含む。記憶部58は、各種の画像のデータを記憶するものであり、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、RAM及びROM等を含む。第1複素振幅画像生成部52、第2複素振幅画像生成部53、2次元位相画像生成部54、3次元位相画像生成部55、屈折率分布算出部56及び記憶部58は、クラウドコンピューティングによって構成されてもよい。
記憶部58は、干渉強度画像取得部51、第1複素振幅画像生成部52、第2複素振幅画像生成部53、2次元位相画像生成部54、3次元位相画像生成部55及び屈折率分布算出部56に各処理を実行させるためのプログラムをも記憶する。このプログラムは、観察装置1Aの製造時又は出荷時に記憶部58に記憶されていてもよいし、出荷後に通信回線を経由して取得されたものが記憶部58に記憶されてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体2に記録されていたものが記憶部58に記憶されてもよい。記録媒体2は、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、BD-ROM、USBメモリなど任意である。
干渉強度画像取得部51、第1複素振幅画像生成部52、第2複素振幅画像生成部53、2次元位相画像生成部54、3次元位相画像生成部55及び屈折率分布算出部56それぞれの処理の詳細については後述する。
図A02は、観察装置1Bの構成を示す図である。この図A02に示される観察装置1Bは、図A01に示された観察装置1Aの構成に加えて、レンズ31、ミラー32、駆動部33及びレンズ34などを備える。
レンズ31は、光出射端19と光学的に接続されており、光出射端19から発散光として出力された光(参照光)をコリメートする。ミラー32は、レンズ31と光学的に接続されており、レンズ31から到達した光をレンズ34へ反射させる。レンズ34は、ミラー32と光学的に接続されており、ミラー32から到達した光をビームスプリッタ41へ出力する。レンズ34から出力された光は、ビームスプリッタ41の手前で一旦集光された後、発散光としてビームスプリッタ41に入力される。ビームスプリッタ41は、対物レンズ25から出力されて到達した光(物体光)と、レンズ34から出力されて到達した光(参照光)とを合波して、両光を同軸にしてレンズ42へ出力する。撮像部43は、レンズ42から到達した物体光と参照光との干渉による干渉縞像(干渉強度画像)を撮像する。撮像部43の撮像面への物体光の入射方向に対して参照光の入射方向は平行である。
駆動部33は、ミラー32の反射面に垂直な方向にミラー32を移動させる。駆動部33は例えばピエゾアクチュエータである。このミラー32の移動により、ファイバカプラ15における光分岐からビームスプリッタ41における合波に至るまでの物体光及び参照光それぞれの光路長の差(位相差)を変化させる。この光路長差が異なると、撮像部43により撮像される干渉強度画像も異なる。
観察装置は、図A01及び図A02の構成例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。観察装置1A及び観察装置1Bの構成では観察対象物Sを透過した物体光を観察したが、以下に説明する観察装置1Cの構成のように観察対象物Sで反射された物体光を観察してもよい。
図A03は、観察装置1Cの構成を示す図である。観察装置1Cは、光源11、レンズ12、レンズ21、ミラー22、レンズ23、対物レンズ25、ビームスプリッタ41、レンズ42、撮像部43及び解析部50などを備える。以下では、観察装置1A(図A01)と相違する点について主に説明する。
レンズ21は、光ファイバ16の光出射端18と光学的に接続されており、光出射端18から発散光として出力された光をコリメートする。ミラー22は、レンズ21と光学的に接続されており、レンズ21から到達した光をレンズ23へ反射させる。ミラー22の反射面の方位は可変である。レンズ23は、ミラー22と光学的に接続されている。対物レンズ25は、レンズ23と光学的に接続されている。レンズ23と対物レンズ25との間にビームスプリッタ41が配置されている。レンズ23及び対物レンズ25は、例えば4f光学系を構成している。レンズ23及び対物レンズ25は、ミラー22の反射面の方位に応じた光照射方向から観察対象物Sに対して光を照射する。対物レンズ25は、観察対象物Sで反射された光(物体光)を入力し、その光をビームスプリッタ41へ出力する。
ビームスプリッタ41は、対物レンズ25と光学的に接続され、また、光ファイバ17の光出射端19とも光学的に接続されている。ビームスプリッタ41は、対物レンズ25から出力されて到達した光(物体光)と、光出射端19から出力されて到達した光(参照光)とを合波して、両光をレンズ42へ出力する。レンズ42は、ビームスプリッタ41と光学的に接続されており、ビームスプリッタ41から到達した物体光及び参照光それぞれをコリメートして撮像部43へ出力する。撮像部43は、レンズ42と光学的に接続されており、レンズ42から到達した物体光と参照光との干渉による干渉縞像(干渉強度画像)を撮像する。撮像部43の撮像面への物体光の入射方向に対して参照光の入射方向は傾斜している。ビームスプリッタ41により物体光と参照光とが合波される位置は、結像レンズより後段であってもよいが、収差の影響を考慮すると、図に示されるように対物レンズ25とレンズ42との間であるのが望ましい。
観察装置1C(図A03)の構成において、観察装置1B(図A02)と同様に参照光の光路長を変化させる機構(図A02中のレンズ31、ミラー32、駆動部33及びレンズ34)を設けて、ファイバカプラ15における光分岐からビームスプリッタ41における合波に至るまでの物体光及び参照光それぞれの光路長の差(位相差)を変化させてもよい。この場合、撮像部43の撮像面への物体光の入射方向に対して参照光の入射方向は平行であってよい。
図A04は、屈折率分布測定方法Aのフローチャートである。この屈折率分布測定方法Aは、観察装置1A~1Cの何れを用いた場合においても可能なものである。この屈折率分布測定方法Aは、干渉強度画像取得ステップS1、第1複素振幅画像生成ステップS2、第2複素振幅画像生成ステップS3、2次元位相画像生成ステップS4、3次元位相画像生成ステップS5及び屈折率分布算出ステップS6を備える。
干渉強度画像取得ステップS1の処理は干渉強度画像取得部51により行われる。第1複素振幅画像生成ステップS2の処理は第1複素振幅画像生成部52により行われる。第2複素振幅画像生成ステップS3の処理は第2複素振幅画像生成部53により行われる。2次元位相画像生成ステップS4の処理は2次元位相画像生成部54により行われる。3次元位相画像生成ステップS5の処理は3次元位相画像生成部55により行われる。屈折率分布算出ステップS6の処理は屈折率分布算出部56により行われる。
干渉強度画像取得ステップS1において、干渉強度画像取得部51は、ミラー22の反射面の方位を変化させることにより、観察対象物Sに対して複数の光照射方向それぞれに沿って光を照射させる。そして、干渉強度画像取得部51は、複数の光照射方向それぞれについて基準位置における干渉強度画像を撮像部43から取得する。
図A01~図A03それぞれにおいて説明の便宜のためにxyz直交座標系が示されている。z軸は対物レンズ25の光軸に対し平行である。基準位置は、撮像部43の撮像面に対して共役関係にある像面位置である。この位置をz=0とする。観察対象物Sへの光照射方向は、その照射光の波数ベクトル(k,k,k)のうちのk及びkにより表すことができる。
図A05(a)~(c)は、干渉強度画像取得ステップS1における観察対象物Sへの光照射方向の走査の例を示す図である。この図では、横軸をkとし縦軸をkとしたk平面において各々の丸印の位置が光照射方向を表している。光照射方向の走査は、図A05(a)に示されるようにk平面において矩形格子状に配置されるようなものであってもよいし、図A05(b)に示されるようにk平面において同心の複数の円それぞれの周上に配置されるようなものであってもよいし、また、図A05(c)に示されるようにk平面において螺旋状に配置されるようなものであってもよい。何れの場合にも、コンデンサレンズ24の開口数(NA:Numerical Aperture)の許す限りで光照射方向の走査が可能である。ラスタスキャン及びランダムスキャンの何れであってもよい。ラスタスキャンの場合には、戻りスキャンが有ってもよいし無くてもよい。
第1複素振幅画像生成ステップS2において、第1複素振幅画像生成部52は、複数の光照射方向それぞれについて、干渉強度画像取得部51により取得された基準位置の干渉強度画像に基づいて、基準位置の複素振幅画像を生成する。観察装置1A(図A01)及び観察装置1C(図A03)の場合には、第1複素振幅画像生成部52は、フーリエ縞解析法により、1枚の干渉強度画像に基づいて複素振幅画像を生成することができる。観察装置1B(図A02)の場合には、第1複素振幅画像生成部52は、位相シフト法により、物体光と参照光との間の光路長差(位相差)が互いに異なる3枚以上の干渉強度画像に基づいて複素振幅画像を生成することができる。
第2複素振幅画像生成ステップS3において、第2複素振幅画像生成部53は、複数の光照射方向それぞれについて、第1複素振幅画像生成部52により生成された基準位置(z=0)の複素振幅画像に基づいて、複数のz方向位置それぞれの複素振幅画像を生成する。基準位置の複素振幅画像u(x,y,0)の2次元フーリエ変換をU(k,k,0)とすると、z=dの位置の複素振幅画像u(x,y,d)、及び、この複素振幅画像u(x,y,d)の2次元フーリエ変換U(k,k,d)は、下記式で表される。iは虚数単位であり、kは観察対象物中における光の波数である。
Figure 0007348997000001
Figure 0007348997000002
2次元位相画像生成ステップS4において、2次元位相画像生成部54は、複数の位置それぞれについて、第2複素振幅画像生成部53により生成された複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像に基づいて2次元位相画像を生成する。ここで生成される2次元位相画像は、フォーカスを合わせたz方向位置を中心とする位相画像に相当する。2次元位相画像生成ステップS4の詳細については後述する。
なお、第2複素振幅画像生成ステップS3において複数の光照射方向それぞれについて複数の位置それぞれの複素振幅画像を全て生成した後に、2次元位相画像生成ステップS4以降の処理を行ってもよい。また、第2複素振幅画像生成ステップS3において複数の光照射方向それぞれについて或る1つのz方向位置の複素振幅画像を生成し、該位置の2次元位相画像を2次元位相画像生成ステップS4において生成する処理を単位として、z方向位置を走査しながら当該単位処理を繰り返し行ってもよい。後者の場合には、記憶部58が記憶しておくべき画像データの容量を小さくすることができる点でよい。
3次元位相画像生成ステップS5において、3次元位相画像生成部55は、2次元位相画像生成部54により生成された複数の位置それぞれの2次元位相画像に基づいて3次元位相画像を生成する。ここで生成される3次元位相画像は、2次元位相画像中での位置x,y及び該2次元位相画像の位置zを変数とする画像である。
屈折率分布算出ステップS6において、屈折率分布算出部56は、3次元位相画像生成部55により生成された3次元位相画像に基づいて、デコンボリューションにより観察対象物の3次元屈折率分布を求める。観察対象物の屈折率分布をn(x,y,z)とし、電気感受率分布をf(x,y,z)とし、背景の媒質の屈折率をnとすると、両者の間には下記(3)式の関係がある。3次元位相画像生成部55により生成された3次元位相画像Φ(x,y,z)は、下記(4)式のとおり、カーネル関数g(x,y,z)と電気感受率分布f(x,y,z)とのコンボリューションで表される。したがって、観察対象物の3次元屈折率分布n(x,y,z)は、3次元位相画像Φ(x,y,z)に基づいてデコンボリューションにより求めることができる。
Figure 0007348997000003
Figure 0007348997000004

なお、カーネル関数gは、波動方程式の解に対応するグリーン関数に基づくものである。図A06は、カーネル関数gを説明する図である。この図において、カーネル関数gの値が最も大きい中心位置が原点であり、縦方向がz軸であり、横方向がz軸に垂直な方向である。
また、第1複素振幅画像生成ステップS2、第2複素振幅画像生成ステップS3、2次元位相画像生成ステップS4、3次元位相画像生成ステップS5及び屈折率分布算出ステップS6の各処理は、所定の数の光照射方向それぞれの干渉強度画像が干渉強度画像取得ステップS1において取得される度に行われてもよいし(図A07)、1つの光照射方向の干渉強度画像が干渉強度画像取得ステップS1において取得される度に行われてもよい(図A08)。
図A07及び図A08は、干渉強度画像取得ステップS1における観察対象物Sへの光照射方向の走査の例を示す図である。これらの図では、横軸をkとし縦軸をkとしたk平面において各々の丸印の位置が光照射方向を表している。これらの図に示される光照射方向の走査の例では、光照射方向を順次変更していき、第(N+n)の干渉強度画像取得時の光照射方向を第nの干渉強度画像取得時の光照射方向と一致させている。nは正の整数であり、Nは2以上の整数である。
図A07に示される例では、第1~第Nの干渉強度画像が干渉強度画像取得ステップS1において取得されると、これら第1~第Nの干渉強度画像に基づいてステップS2~S6の各処理が行われる(図A07(a))。次に、第(N+1)~第2Nの干渉強度画像が干渉強度画像取得ステップS1において取得されると、これら第(N+1)~第2Nの干渉強度画像に基づいてステップS2~S6の各処理が行われる(図A07(b))。次に、第(2N+1)~第3Nの干渉強度画像が干渉強度画像取得ステップS1において取得されると、これら第(2N+1)~第3Nの干渉強度画像に基づいてステップS2~S6の各処理が行われる。以降も同様である。
図A08に示される例では、第1~第Nの干渉強度画像が干渉強度画像取得ステップS1において取得されると、これら第1~第Nの干渉強度画像に基づいてステップS2~S6の各処理が行われる(図A08(a))。次に、第(N+1)の干渉強度画像が干渉強度画像取得ステップS1において取得されると、この第(N+1)の干渉強度画像を含む直近のN枚の干渉強度画像(第2~第(N+1)の干渉強度画像)に基づいてステップS2~S6の各処理が行われる(図A08(b))。次に、第(N+2)の干渉強度画像が干渉強度画像取得ステップS1において取得されると、この第(N+2)の干渉強度画像を含む直近のN枚の干渉強度画像(第3~第(N+2)の干渉強度画像)に基づいてステップS2~S6の各処理が行われる(図A08(c))。以降も同様にして、第(N+n)の干渉強度画像が干渉強度画像取得ステップS1において取得されると、この第(N+n)の干渉強度画像を含む直近のN枚の干渉強度画像(第(1+n)~第(N+n)の干渉強度画像)に基づいてステップS2~S6の各処理が行われる。
図A07に示された例と比較すると、図A08に示された例では、1つの光照射方向の干渉強度画像が干渉強度画像取得ステップS1において取得される度に、その干渉強度画像を含む直近の複数の干渉強度画像に基づいてステップS2~S6の各処理が行われるので、ステップS2~S6の各処理により単位時間当たりに得られる各画像の数が多い。
次に、屈折率分布測定方法Aにおける2次元位相画像生成ステップS4の詳細について説明する。2次元位相画像生成ステップS4において、2次元位相画像生成部54は、複数の位置それぞれについて、第2複素振幅画像生成部53により生成された複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像に基づいて2次元位相画像を生成する。2次元位相画像生成ステップS4は、屈折率分布測定方法A1~A3の何れであるかによって異なる。
図A09は、屈折率分布測定方法A1における2次元位相画像生成ステップS4のフローチャートである。屈折率分布測定方法A1における2次元位相画像生成ステップS4は、複数の位置それぞれについて、ステップS11において、複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像の位相を光照射方向に基づいて補正した後、これら補正後の複素振幅画像の総和を表す複素振幅総和画像を生成し、ステップS12において、この複素振幅総和画像に基づいて2次元位相画像を生成する。
ステップS11の処理は、CASS(Collective Accumulation of Single Scattering)(Sungsam Kang, et al, “Imaging deep within a scattering medium using collective accumulation of single-scattered waves,” NATURE PHOTONICS, Vol.9, pp.253-258 (2015).)技術によるものである。或る光照射方向に沿って対象物に照射されて該対象物を経た光のうち、対象物と一回のみ相互作用した単一散乱光の空間周波数分布は光照射方向に応じてシフトしているのに対して、対象物と複数回相互作用した多重散乱光の空間周波数分布は光照射方向によってランダムに変化する。CASS技術は、このような単一散乱光及び多重散乱光それぞれの空間周波数分布の光照射方向依存性の相違を利用する。
すなわち、ステップS11では、複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像の位相を光照射方向に基づいて補正する(つまり、空間周波数領域において複素振幅画像の空間周波数分布を光照射方向に応じて平行移動する)ことにより、複素振幅画像のうちの単一散乱光成分の空間周波数分布を光照射方向に依存しない形状及び配置とし、その一方で、複素振幅画像のうちの多重散乱光成分の空間周波数分布をランダムな形状及び配置とする。そして、ステップS11では、これら補正後の複数の複素振幅画像の総和を表す複素振幅総和画像を生成する(つまり、合成開口処理をする)ことにより、複素振幅画像のうちの単一散乱光成分をコヒーレントに足し合わせ、その一方で、複素振幅画像のうちの多重散乱光成分を互いに相殺させる。
したがって、ステップS11で生成される複素振幅総和画像は、多重散乱光の影響が低減されたものとなる。そして、最終的に屈折率分布算出ステップS6で得られる3次元屈折率分布も、多重散乱光の影響が低減されて、スペックルが抑制され、単一散乱-多重散乱比(Single-scattering to Multi-scattering Ratio、SMR)が改善されたものとなる。
図A10は、屈折率分布測定方法A2における2次元位相画像生成ステップS4のフローチャートである。屈折率分布測定方法A2における2次元位相画像生成ステップS4は、複数の位置それぞれについて、ステップS21において、複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像に基づいて複数の光照射方向それぞれの複素微分干渉画像を生成し、ステップS22において、複数の光照射方向それぞれの複素微分干渉画像の総和に基づいて位相微分画像を生成し、ステップS23において、位相微分画像に基づいて2次元位相画像を生成する。
z=dの位置の複素振幅画像をu(x,y,d)とすると、ステップS21で生成される複素微分干渉画像q(x,y,d)は下記(5)式で表される。δx及びδyのうち少なくとも一方は非0である。δx≠0,δy=0であれば、x方向をシアー方向とする複素微分干渉画像qが得られる。δx=0,δy≠0であれば、y方向をシアー方向とする複素微分干渉画像qが得られる。δx≠0,δy≠0であれば、x方向及びy方向の何れとも異なる方向をシアー方向とする複素微分干渉画像qが得られる。なお、複素微分干渉画像q(x,y,d)は、複素振幅画像u(x,y,d)を下記(6)式のように変換した後に(5)式で求めてもよい。
Figure 0007348997000005
Figure 0007348997000006

複数の光照射方向それぞれの複素微分干渉画像qの総和をqsum(x,y,d)とすると、ステップS22で生成される位相微分画像φ(x,y,z)は、qsum(x,y,d)の位相として下記(7)式で表される。ステップS23では、この位相微分画像φ(x,y,z)を積分又はデコンボリューションすることにより、2次元位相画像を生成することができる。
Figure 0007348997000007

なお、ステップS21において、複素振幅画像上の互いに異なる複数のシアー方向それぞれについて複素微分干渉画像を生成してもよい。この場合、2次元位相画像生成ステップS4は、複数の位置それぞれについて、ステップS21において、複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像に基づいて該画像上の互いに異なる複数のシアー方向それぞれについて複数の光照射方向それぞれの複素微分干渉画像を生成し、ステップS22において、複数のシアー方向それぞれについて、複数の光照射方向それぞれの複素微分干渉画像の総和に基づいて位相微分画像を生成し、ステップS23において、複数のシアー方向それぞれの位相微分画像に基づいて2次元位相画像を生成する。
ステップS22で複数の光照射方向それぞれの複素微分干渉画像の総和に基づいて生成される位相微分画像は、多重散乱光の影響が低減されたものとなる。そして、最終的に屈折率分布算出ステップS6で得られる3次元屈折率分布も、多重散乱光の影響が低減されて、スペックルが抑制されたものとなる。また、ステップS21において複素振幅画像上の互いに異なる複数のシアー方向それぞれについて複素微分干渉画像を生成する場合には、ステップS23で得られる2次元位相画像にライン状のノイズが現れるのを抑制することができる。
ここでは、ステップS23において位相微分画像を積分又はデコンボリューションすることにより2次元位相画像を生成する場合を説明した。しかし、位相微分画像を2次元位相画像として扱うこともできる。この場合、ステップS23を行うことなく、屈折率分布算出ステップS67のデコンボリューションにおいて、ステップS23のデコンボリューションで用いたカーネルを含むカーネル(図A11)を用いることにより、ステップS22で生成された位相微分画像(2次元位相画像)から観察対象物の3次元屈折率分布を求めることができる。図A11に示されるカーネルは、図A06に示したカーネルとステップS23のデコンボリューションで用いるカーネルとを畳み込み積分することにより得られる。
図A12は、屈折率分布測定方法A3における2次元位相画像生成ステップS4のフローチャートである。屈折率分布測定方法A3における2次元位相画像生成ステップS4は、複数の位置それぞれについて、ステップS31において、複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像を複数のバッチに区分し、複数のバッチそれぞれについて、該バッチに含まれる複素振幅画像の位相を光照射方向に基づいて補正した後、これら補正後の複素振幅画像の総和を表す複素振幅総和画像を生成し、ステップS32において、複数のバッチそれぞれの複素振幅総和画像に基づいて複数のバッチそれぞれの複素微分干渉画像を生成し、ステップS33において、複数のバッチそれぞれの複素微分干渉画像の総和に基づいて位相微分画像を生成し、ステップS34において、位相微分画像に基づいて2次元位相画像を生成する。
屈折率分布測定方法A3のステップS31の処理は、複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像を複数のバッチに区分した上で、複数のバッチそれぞれについて屈折率分布測定方法A1のステップS11の処理を行うことに相当する。屈折率分布測定方法A3のステップS32,S33の処理は、複数のバッチそれぞれについて屈折率分布測定方法A2のステップS21,S22の処理を行うことに相当する。屈折率分布測定方法A3のステップS34の処理は、屈折率分布測定方法A2のステップS23の処理を行うことに相当する。
なお、ステップS32において、複素振幅画像上の互いに異なる複数のシアー方向それぞれについて複素微分干渉画像を生成してもよい。この場合、2次元位相画像生成ステップS4は、ステップS32において、複数のバッチそれぞれの複素振幅総和画像に基づいて該画像上の互いに異なる複数のシアー方向それぞれについて複数のバッチそれぞれの複素微分干渉画像を生成し、ステップS33において、複数のシアー方向それぞれについて、複数のバッチそれぞれの複素微分干渉画像の総和に基づいて位相微分画像を生成し、ステップS34において、複数のシアー方向それぞれの位相微分画像に基づいて2次元位相画像を生成する。
屈折率分布測定方法A3におけるスペックルの抑制は、屈折率分布測定方法A1及び屈折率分布測定方法A2と同程度である。屈折率分布測定方法A3におけるSMRの改善は、屈折率分布測定方法A1と屈折率分布測定方法A2との中間の程度である。
ここでも、ステップS34において位相微分画像を積分又はデコンボリューションすることにより2次元位相画像を生成する場合を説明した。しかし、位相微分画像を2次元位相画像として扱うこともできる。この場合、ステップS34を行うことなく、屈折率分布算出ステップS6のデコンボリューションにおいて、ステップS34のデコンボリューションで用いたカーネルを含むカーネルを用いることにより、ステップS33で生成された位相微分画像(2次元位相画像)から観察対象物の3次元屈折率分布を求めることができる。
次に、屈折率分布測定方法Bについて説明する。図B01~図B03は、屈折率分布測定方法Bによる屈折率分布を測定する際に用いることができる観察装置1D~1Fの各構成を示す図である。図B01に示される観察装置1Dは、図A01に示された観察装置1Aの構成と比較すると、光源11から撮像部43に到るまでの光学系については共通であるが、解析部50に替えて解析部60を備える点で相違する。図B02に示される観察装置1Eは、図A02に示された観察装置1Bの構成と比較すると、光源11から撮像部43に到るまでの光学系については共通であるが、解析部50に替えて解析部60を備える点で相違する。図B03に示される観察装置1Fは、図A03に示された観察装置1Cの構成と比較すると、光源11から撮像部43に到るまでの光学系については共通であるが、解析部50に替えて解析部60を備える点で相違する。
解析部60は、撮像部43と電気的に接続されており、撮像部43により撮像された干渉強度画像を入力する。解析部60は、その入力した干渉強度画像を処理することにより、観察対象物Sの3次元屈折率分布を算出する。解析部60は、コンピュータであってよい。解析部60は、干渉強度画像取得部61、第1複素振幅画像生成部62、第2複素振幅画像生成部63、位相共役演算部64、2次元位相画像生成部65、3次元位相画像生成部66、屈折率分布算出部67、表示部68及び記憶部69を備える。
干渉強度画像取得部61は、ミラー22の反射面の方位を変化させることにより、観察対象物Sに対して複数の光照射方向それぞれに沿って光を照射させる。また、干渉強度画像取得部61は、複数の光照射方向それぞれについて基準位置における干渉強度画像を撮像部43から取得する。干渉強度画像取得部61は、CPUを含み、ミラー22の反射面の方位を変化させる為の制御信号を出力する出力ポートを有し、また、撮像部43から干渉強度画像を入力する入力ポートを有する。対物レンズ25を光軸方向に移動させる必要はない。基準位置は、撮像部43の撮像面に対して共役関係にある像面位置である。
第1複素振幅画像生成部62、第2複素振幅画像生成部63、位相共役演算部64、2次元位相画像生成部65、3次元位相画像生成部66及び屈折率分布算出部67は、干渉強度画像に基づいて処理を行うものであり、CPU、GPU、DSP又はFPGA等の処理装置を含む。表示部68は、処理すべき画像、処理途中の画像及び処理後の画像などを表示するものであり、例えば液晶ディスプレイを含む。記憶部69は、各種の画像のデータを記憶するものであり、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、RAM及びROM等を含む。第1複素振幅画像生成部62、第2複素振幅画像生成部63、位相共役演算部64、2次元位相画像生成部65、3次元位相画像生成部66、屈折率分布算出部67及び記憶部69は、クラウドコンピューティングによって構成されてもよい。
記憶部69は、干渉強度画像取得部61、第1複素振幅画像生成部62、第2複素振幅画像生成部63、位相共役演算部64、2次元位相画像生成部65、3次元位相画像生成部66及び屈折率分布算出部67に各処理を実行させるためのプログラムをも記憶する。このプログラムは、観察装置1D~1Fの製造時又は出荷時に記憶部69に記憶されていてもよいし、出荷後に通信回線を経由して取得されたものが記憶部69に記憶されてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体2に記録されていたものが記憶部69に記憶されてもよい。記録媒体2は、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、BD-ROM、USBメモリなど任意である。
干渉強度画像取得部61、第1複素振幅画像生成部62、第2複素振幅画像生成部63、位相共役演算部64、2次元位相画像生成部65、3次元位相画像生成部66及び屈折率分布算出部67それぞれの処理の詳細については後述する。
図B04は、屈折率分布測定方法Bのフローチャートである。この屈折率分布測定方法Bは、観察装置1D~1Fの何れを用いた場合においても可能なものである。この屈折率分布測定方法Bは、干渉強度画像取得ステップS61、第1複素振幅画像生成ステップS62、第2複素振幅画像生成ステップS63、位相共役演算ステップS64、2次元位相画像生成ステップS65、3次元位相画像生成ステップS66及び屈折率分布算出ステップS67を備える。
干渉強度画像取得ステップS61の処理は干渉強度画像取得部61により行われる。第1複素振幅画像生成ステップS62の処理は第1複素振幅画像生成部62により行われる。第2複素振幅画像生成ステップS63の処理は第2複素振幅画像生成部63により行われる。位相共役演算ステップS64の処理は位相共役演算部64により行われる。2次元位相画像生成ステップS65の処理は2次元位相画像生成部65により行われる。3次元位相画像生成ステップS66の処理は3次元位相画像生成部66により行われる。屈折率分布算出ステップS67の処理は屈折率分布算出部67により行われる。
干渉強度画像取得ステップS61において、干渉強度画像取得部61は、ミラー22の反射面の方位を変化させることにより、観察対象物Sに対して複数の光照射方向それぞれに沿って光を照射させる。そして、干渉強度画像取得部61は、複数の光照射方向それぞれについて基準位置における干渉強度画像を撮像部43から取得する。
第1複素振幅画像生成ステップS62において、第1複素振幅画像生成部62は、複数の光照射方向それぞれについて、干渉強度画像取得部61により取得された基準位置の干渉強度画像に基づいて、基準位置の複素振幅画像を生成する。観察装置1D(図B01)及び観察装置1F(図B03)の場合には、第1複素振幅画像生成部62は、フーリエ縞解析法により、1枚の干渉強度画像に基づいて複素振幅画像を生成することができる。観察装置1E(図B02)の場合には、第1複素振幅画像生成部62は、位相シフト法により、物体光と参照光との間の光路長差(位相差)が互いに異なる3枚以上の干渉強度画像に基づいて複素振幅画像を生成することができる。
第2複素振幅画像生成ステップS63において、第2複素振幅画像生成部63は、複数の光照射方向それぞれについて、第1複素振幅画像生成部62により生成された基準位置(z=0)の複素振幅画像に基づいて、複数のz方向位置それぞれの複素振幅画像を生成する。
屈折率分布測定方法Bにおける干渉強度画像取得ステップS61、第1複素振幅画像生成ステップS62及び第2複素振幅画像生成ステップS63は、それぞれ、屈折率分布測定方法Aにおける干渉強度画像取得ステップS1、第1複素振幅画像生成ステップS2及び第2複素振幅画像生成ステップS3と同様の処理を行う。
位相共役演算ステップS64は、第2複素振幅画像生成ステップS63の処理の後に行われる。位相共役演算ステップS64は、第2複素振幅画像生成ステップS63の処理の前に行われてもよい(後述)。また、第2複素振幅画像生成ステップS63が基準位置の複素振幅画像から複数段階を経て或るz位置の複素振幅画像を生成する場合には、その複数段階のうちの或る段階と次の段階との間において位相共役演算ステップS64が行われてもよい(後述)。位相共役演算ステップS64において、位相共役演算部64は、複数の照射方向それぞれの複素振幅画像に対して位相共役演算を行って、観察対象物に対する光照射及び撮像の関係を逆転させた場合の複数の照射方向それぞれの複素振幅画像を生成する。
なお、位相共役演算は、位相共役法(phase conjugate method)に基づく複素振幅画像に対する演算であり、対象物における光照射と光出力との関係を表すトランスミッション行列を計算し、その逆行列計算と座標変換と含む演算である。位相共役法は、位相共役(phase conjugation)、時間反転法(time reversal method)、時間反転(time reversal)、デジタル位相共役(digital phase conjugation)、デジタル位相共役法(digital phase conjugate method)等と呼ばれる場合もある。詳細については後述する。
2次元位相画像生成ステップS65において、2次元位相画像生成部65は、複数の位置それぞれについて、第2複素振幅画像生成部63又は位相共役演算部64により生成された複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像に基づいて2次元位相画像を生成する。ここで生成される2次元位相画像は、フォーカスを合わせたz方向位置を中心とする位相画像に相当する。
2次元位相画像生成ステップS65において、位相共役演算ステップS64の処理を行う前の複素振幅画像に基づいて生成される位相画像を第1位相画像とし、位相共役演算ステップS64の処理を行って求められた複素振幅画像に基づいて生成される位相画像を第2位相画像としたとき、複数の位置のうち、撮像部に対し相対的に近い位置については主として第1位相画像に基づいて2次元位相画像を生成し、撮像部に対し相対的に遠い位置については主として第2位相画像に基づいて2次元位相画像を生成する。
なお、第2複素振幅画像生成ステップS63において複数の光照射方向それぞれについて複数の位置それぞれの複素振幅画像を全て生成した後に、位相共役演算ステップS64以降の処理を行ってもよい。また、第2複素振幅画像生成ステップS63において複数の光照射方向それぞれについて或る1つのz方向位置の複素振幅画像を生成し、該位置の2次元位相画像を2次元位相画像生成ステップS65において生成する処理を単位として、z方向位置を走査しながら当該単位処理を繰り返し行ってもよい。後者の場合には、記憶部69が記憶しておくべき画像データの容量を小さくすることができる点でよい。
3次元位相画像生成ステップS66において、3次元位相画像生成部66は、2次元位相画像生成部65により生成された複数の位置それぞれの2次元位相画像に基づいて3次元位相画像を生成する。ここで生成される3次元位相画像は、2次元位相画像中での位置x,y及び該2次元位相画像の位置zを変数とする画像である。
屈折率分布算出ステップS67において、屈折率分布算出部67は、3次元位相画像生成部66により生成された3次元位相画像に基づいて、デコンボリューションにより観察対象物の3次元屈折率分布を求める。
屈折率分布測定方法Bにおける2次元位相画像生成ステップS65、3次元位相画像生成ステップS66及び屈折率分布算出ステップS67は、それぞれ、屈折率分布測定方法Aにおける2次元位相画像生成ステップS4、3次元位相画像生成ステップS5及び屈折率分布算出ステップS6と同様の処理を行う。
図B05は、第2複素振幅画像生成ステップS63及び2次元位相画像生成ステップS65の各処理の順序及び画像を説明する図である。この図は、位相共役演算ステップS64の処理を行わない態様を示す。この態様では、第2複素振幅画像生成ステップS63において、複数の光照射方向それぞれについて、上記(1)式及び(2)式の自由伝搬の式により、第1複素振幅画像生成ステップS62で生成された基準位置(z=0)の複素振幅画像に基づいて、複数のz方向位置(この図ではz=z,z,z)それぞれの複素振幅画像が生成される。そして、2次元位相画像生成ステップS65において、複数の位置それぞれについて、第2複素振幅画像生成ステップS63で生成された複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像に基づいて、複素微分干渉画像が生成され、さらに位相微分画像が生成される。
図B06~図B08は、第2複素振幅画像生成ステップS63、位相共役演算ステップS64及び2次元位相画像生成ステップS65の各処理の順序及び画像を説明する図である。これらの図は、第2複素振幅画像生成ステップS63の処理の前、途中又は後で位相共役演算ステップS64の処理を行う態様を示す。
図B06に示される第1態様は、図B04のフローチャートに対応するものである。この第1態様では、位相共役演算ステップS64は、第2複素振幅画像生成ステップS63の処理の後に行われる。第2複素振幅画像生成ステップS63において、複数の光照射方向それぞれについて、上記(1)式及び(2)式の自由伝搬の式により、第1複素振幅画像生成ステップS62で生成された基準位置(z=0)の複素振幅画像に基づいて、複数のz方向位置(この図ではz=z,z,z)それぞれの複素振幅画像が生成される。
第1態様では、続いて、位相共役演算ステップS64において、複数の位置それぞれについて、複数の照射方向それぞれの複素振幅画像に対して位相共役演算が行われて、観察対象物に対する光照射及び撮像の関係を逆転させた場合の複数の照射方向それぞれの複素振幅画像が生成される。そして、2次元位相画像生成ステップS65において、複数の位置それぞれについて、位相共役演算ステップS64で生成された複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像に基づいて、複素微分干渉画像が生成され、さらに位相微分画像が生成される。
図B07に示される第2態様では、位相共役演算ステップS64は、第2複素振幅画像生成ステップS63の処理の前に行われる。位相共役演算ステップS64において、複数の光照射方向それぞれについて、第1複素振幅画像生成ステップS62で生成された基準位置(z=0)の複素振幅画像に対して位相共役演算が行われて、観察対象物に対する光照射及び撮像の関係を逆転させた場合の複数の照射方向それぞれの複素振幅画像が生成される。
第2態様では、続いて、第2複素振幅画像生成ステップS63において、複数の光照射方向それぞれについて、上記(1)式及び(2)式の自由伝搬の式により、位相共役演算ステップS64で生成された基準位置(z=0)の複素振幅画像に基づいて、複数のz方向位置(この図ではz=z,z,z)それぞれの複素振幅画像が生成される。そして、2次元位相画像生成ステップS65において、複数の位置それぞれについて、第2複素振幅画像生成ステップS63で生成された複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像に基づいて、複素微分干渉画像が生成され、さらに位相微分画像が生成される。
図B08に示される第3態様では、第2複素振幅画像生成ステップS63が基準位置の複素振幅画像から2つの段階を経て複数の位置それぞれの複素振幅画像を生成する場合に、その2つの段階のうちの第1段階と第2段階との間において位相共役演算ステップS64が行われる。
第3態様では、第2複素振幅画像生成ステップS63の第1段階において、複数の光照射方向それぞれについて、上記(1)式及び(2)式の自由伝搬の式により、第1複素振幅画像生成ステップS62で生成された基準位置(z=0)の複素振幅画像に基づいて、複数のz方向位置(この図ではz=z,z,z)それぞれの複素振幅画像が生成される。続いて、位相共役演算ステップS64において、複数の照射方向それぞれの複素振幅画像に対して位相共役演算が行われて、観察対象物に対する光照射及び撮像の関係を逆転させた場合の複数の照射方向それぞれの複素振幅画像が生成される。
第3態様では、更に続いて、第2複素振幅画像生成ステップS63の第2段階において、複数の光照射方向それぞれについて、上記(1)式及び(2)式の自由伝搬の式により、位相共役演算ステップS64で生成されたz方向位置(z=z,z,z)の複素振幅画像に基づいて、z方向位置(z=z,z,z)それぞれの複素振幅画像が生成される。そして、2次元位相画像生成ステップS65において、複数の位置それぞれについて、第2複素振幅画像生成ステップS63で生成された複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像に基づいて、複素微分干渉画像が生成され、さらに位相微分画像が生成される。
これらの第1態様、第2態様及び第3態様の間では、位相共役演算ステップS64における複素振幅画像に対する位相共役演算の回数が異なる。位相共役演算ステップS64の全体の処理時間は、第1態様より第3態様の方が短く、第2態様では更に短い。
図B09は、3次元位相画像生成ステップS66及び屈折率分布算出ステップS67の各処理の順序及び画像を説明する図である。3次元位相画像生成ステップS66において、2次元位相画像生成ステップS65で生成された複数の位置それぞれの2次元位相画像に基づいて3次元位相画像が生成される。このとき、撮像部に対し相対的に近い位置については、位相共役演算ステップS64の処理を行う前の複素振幅画像に基づいて生成された2次元位相画像(図B05の態様で生成された2次元位相画像)が主として採用される。一方、撮像部に対し相対的に遠い位置については、位相共役演算ステップS64の処理を行った後の複素振幅画像に基づいて生成された2次元位相画像(図B06~図B08の何れかの態様で生成された2次元位相画像)が主として採用される。続いて、屈折率分布算出ステップS67において、3次元位相画像生成ステップS66で生成された3次元位相画像に基づいて、デコンボリューションにより観察対象物の3次元屈折率分布が求められる。なお、3次元屈折率分布を構成する各屈折率分布データ(例えば、図B09において、3次元屈折率分布を構成する2次元の屈折率分布データ)は、屈折率断層データとなりえる。
z方向の各位置の2次元位相画像の生成は、次のような3つの態様がある。位相共役演算ステップS64の処理を行う前の複素振幅画像に基づいて生成される位相画像(図B05の態様で生成される位相画像)を第1位相画像φとする。位相共役演算ステップS64の処理を行った後の複素振幅画像に基づいて生成される位相画像(図B06~図B08の何れかの態様で生成される位相画像)を第2位相画像φとする。光伝搬経路に沿った撮像部からの距離を表す変数zに対する微係数が0以下である重み関数αを用いる。重み関数の値は0以上1以下である。
第1態様では、重み関数αは、zが閾値zth以下である範囲において正値(例えば1)であり、それ以外の範囲において値が0であるとする。すなわち、2次元位相画像は下記(8)式で表される。
Figure 0007348997000008

第2態様では、重み関数αは、z方向の少なくとも一部範囲において連続的に値が変化するものとする。すなわち、2次元位相画像は下記(9)式で表される。
Figure 0007348997000009

第3態様では、重み関数αは、光軸(z方向)に直交する面における位置(x,y)に応じた値を有するものとする。すなわち、2次元位相画像は下記(10)式で表される。
Figure 0007348997000010
次に、図B10及び図B11を用いて、位相共役演算ステップS64による位相共役演算の内容について説明する。
図B10は、撮像部により干渉強度画像を撮像するときの入力光Uin(kin)及び出力光uout(rout)を示す図である。Uin(kin)は、観察対象物へ照射される光の波数kinの複素振幅を表す。uout(rout)は、観察対象物から出力される光の位置routの複素振幅を表す。Uin(kin)とuout(rout)との間の関係は、下記(11)式で表される。列ベクトルUinの第n要素Uin(kin )は、波数kin の平面波の複素振幅を表す。列ベクトルuoutの第n要素uout(rout )は、位置rout で観測される光の複素振幅を表す。N行N列の行列T(rout,kin)は、Uin(kin)とuout(rout)との間の線形な関係を表すものであって、トランスミッション行列と呼ばれる。このようなトランスミッション行列により、観察対象物における光の散乱過程を表すことができる。行列T(rout,kin)の第n1行第n2列の要素Tn1,n2は、波数kin n2で振幅1の平面波が入力されたときに位置rout n1で観測される光の複素振幅を表す。
Figure 0007348997000011

図B11は、光照射及び撮像の関係を逆転させた場合の入力光Uout(kout)及び出力光uin(rin)を示す図である。この場合、Uout(kout)は、観察対象物へ照射される光の波数koutの複素振幅を表す。uin(rin)は、観察対象物から出力される光の位置rinの複素振幅を表す。Uout(kout)とuin(rin)との間の関係は、下記(12)式で表される。列ベクトルUoutの第n要素Uout(kout )は、波数kout の平面波の複素振幅を表す。列ベクトルuinの第n要素uin(rin )は、位置rin で観測される光の複素振幅を表す。N行N列の行列S(rin,kout)は、Uout(kout)とuin(rin)との間の線形な関係を表すものであって、光照射及び撮像の関係を逆転させた場合のトランスミッション行列である。
Figure 0007348997000012

in(kin)は、下記(13)式のようにuin(rin)のフーリエ変換で表される。Uout(kout)は、下記(14)式のようにuout(rout)のフーリエ変換で表される。(11)式~(14)式を用いると、光照射及び撮像の関係を逆転させた場合のトランスミッション行列S(rin,kout)は、逆フーリエ変換を表す行列とトランスミッション行列T(rout,kin)を用いて下記(15)式で表される。
Figure 0007348997000013
Figure 0007348997000014
Figure 0007348997000015
位相共役演算ステップS64では、まず、複素振幅画像に基づいて、撮像部により干渉強度画像を撮像したときのトランスミッション行列T(rout,kin)を求める。次に、このトランスミッション行列T(rout,kin)及び上記(15)式に基づいて、光照射及び撮像の関係を逆転させた場合のトランスミッション行列S(rin,kout)を求める。そして、このトランスミッション行列S(rin,kout)に基づいて、光照射及び撮像の関係を逆転させた場合の複素振幅画像を求める。
複数の光照射方向それぞれについて撮像部により干渉強度画像を撮像するときの第nの光照射方向の入力光のベクトルUin (kin)は、下記(16)式で表され、第n要素の値のみが1であって、他の要素の値が0である。この入力光Uin (kin)に対して、出力光uout (rout)は、下記(17)式で表される。この(17)式は、第nの光照射方向の際に得られた複素振幅に対応する。
Figure 0007348997000016
Figure 0007348997000017

この(16)式及び上記(11)式から、下記(18)式が得られる。そして、複数の光照射方向それぞれについて同様に求めると、下記(19)式が得られる。このようにして、トランスミッション行列T(rout,kin)を求めることができる。さらに、この(19)式及び上記(15)式から、光照射及び撮像の関係を逆転させた場合のトランスミッション行列S(rin,kout)を求めることができる。
Figure 0007348997000018
Figure 0007348997000019

光照射及び撮像の関係を逆転させた場合の複数の光照射方向のうちの第nの光照射方向の入力光Uout (kout)は、下記(20)式で表され、第n要素の値のみが1であって、他の要素の値が0である。この式から、この入力光Uout (kout)に対する出力光uin (rin)は、下記(21)式で表される。この(21)式は、光照射及び撮像の関係を逆転させた場合の複素振幅を表す。このようにして、光照射及び撮像の関係を逆転させた場合の複素振幅画像を求めることができる。
Figure 0007348997000020
Figure 0007348997000021
光照射及び撮像の関係を逆転させた場合のトランスミッション行列S(rin,kout)を求める際に、上記(15)式に示されるとおり、トランスミッション行列T(rout,kin)の逆行列を計算する必要がある。したがって、トランスミッション行列Tは、行要素の数と列要素の数とが互いに等しい正方行列であることが必要である。すなわち、干渉強度画像取得ステップS61の際の観察対象物に対する光照射側波数空間における行列の次元(matrix dimension)と、複素振幅画像の画素数とは、互いに等しいことが必要である。
両者を互いに等しくするには、干渉強度画像取得ステップS61の際の観察対象物に対する光照射側波数空間における行列の次元を画素数に一致させるか、撮像部により得られた画像のうち一部範囲の画像のみを爾後の処理に用いるかすればよい。しかし、一般には、撮像部により得られる画像の画素数は例えば1024×1024であることから、観察対象物に対する光照射側波数空間における行列の次元を画素数と同じにすることは容易ない。また、撮像部により得られた画像のうち一部範囲の画像のみを爾後の処理に用いることは、解像度の低下につながる。
そこで、図B12に示されるように、位相共役演算ステップS64において、観察対象物に対する光照射側波数空間における行列の次元と同じ画素数を各々有する複数の部分画像に複素振幅画像を分割し、これら複数の部分画像それぞれに対して位相共役演算を行い、その後に複数の部分画像を結合するのがよい。このとき、複数の部分画像のうち何れか2以上の部分画像が共通の領域を有していてもよい。
次に、屈折率分布測定方法Cについて説明する。図C01~図C03は、屈折率分布測定方法Cによる屈折率分布を測定する際に用いることができる観察装置1G~1Iの各構成を示す図である。図C01に示される観察装置1Gは、図A01に示された観察装置1Aの構成と比較すると、光源11から撮像部43に到るまでの光学系については共通であるが、解析部50に替えて解析部70を備える点で相違する。図C02に示される観察装置1Hは、図A02に示された観察装置1Bの構成と比較すると、光源11から撮像部43に到るまでの光学系については共通であるが、解析部50に替えて解析部70を備える点で相違する。図C03に示される観察装置1Iは、図A03に示された観察装置1Cの構成と比較すると、光源11から撮像部43に到るまでの光学系については共通であるが、解析部50に替えて解析部70を備える点で相違する。
解析部70は、撮像部43と電気的に接続されており、撮像部43により撮像された干渉強度画像を入力する。解析部70は、その入力した干渉強度画像を処理することにより、観察対象物Sの3次元屈折率分布を算出する。解析部70は、コンピュータであってよい。解析部70は、干渉強度画像取得部71、第1複素振幅画像生成部72、第2複素振幅画像生成部73、2次元位相画像生成部74、3次元位相画像生成部75、屈折率分布算出部76、第3複素振幅画像生成部77、表示部78及び記憶部79を備える。
干渉強度画像取得部71は、ミラー22の反射面の方位を変化させることにより、観察対象物Sに対して複数の光照射方向それぞれに沿って光を照射させる。また、干渉強度画像取得部71は、複数の光照射方向それぞれについて基準位置における干渉強度画像を撮像部43から取得する。干渉強度画像取得部71は、CPUを含み、ミラー22の反射面の方位を変化させる為の制御信号を出力する出力ポートを有し、また、撮像部43から干渉強度画像を入力する入力ポートを有する。対物レンズ25を光軸方向に移動させる必要はない。基準位置は、撮像部43の撮像面に対して共役関係にある像面位置である。
第1複素振幅画像生成部72、第2複素振幅画像生成部73、2次元位相画像生成部74、3次元位相画像生成部75、屈折率分布算出部76及び第3複素振幅画像生成部77は、干渉強度画像に基づいて処理を行うものであり、CPU、GPU、DSP又はFPGA等の処理装置を含む。表示部78は、処理すべき画像、処理途中の画像及び処理後の画像などを表示するものであり、例えば液晶ディスプレイを含む。記憶部79は、各種の画像のデータを記憶するものであり、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、RAM及びROM等を含む。第1複素振幅画像生成部72、第2複素振幅画像生成部73、2次元位相画像生成部74、3次元位相画像生成部75、屈折率分布算出部76、第3複素振幅画像生成部77及び記憶部79は、クラウドコンピューティングによって構成されてもよい。
記憶部79は、干渉強度画像取得部71、第1複素振幅画像生成部72、第2複素振幅画像生成部73、2次元位相画像生成部74、3次元位相画像生成部75、屈折率分布算出部76及び第3複素振幅画像生成部77に各処理を実行させるためのプログラムをも記憶する。このプログラムは、観察装置1G~1Iの製造時又は出荷時に記憶部79に記憶されていてもよいし、出荷後に通信回線を経由して取得されたものが記憶部79に記憶されてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体2に記録されていたものが記憶部79に記憶されてもよい。記録媒体2は、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、BD-ROM、USBメモリなど任意である。
干渉強度画像取得部71、第1複素振幅画像生成部72、第2複素振幅画像生成部73、2次元位相画像生成部74、3次元位相画像生成部75及び屈折率分布算出部76及び第3複素振幅画像生成部77それぞれの処理の詳細については後述する。
図C04及び図C05は、屈折率分布測定方法Cのフローチャートである。図C05は、図C04のフローチャートの一部を示す。この屈折率分布測定方法Cは、観察装置1G~1Iの何れを用いた場合においても可能なものである。この屈折率分布測定方法Cは、干渉強度画像取得ステップS71、第1複素振幅画像生成ステップS72、第2複素振幅画像生成ステップS73、2次元位相画像生成ステップS74、3次元位相画像生成ステップS75、屈折率分布算出ステップS76及び第3複素振幅画像生成ステップS77を備える。
干渉強度画像取得ステップS71の処理は干渉強度画像取得部71により行われる。第1複素振幅画像生成ステップS72の処理は第1複素振幅画像生成部72により行われる。第2複素振幅画像生成ステップS73の処理は第2複素振幅画像生成部73により行われる。2次元位相画像生成ステップS74の処理は2次元位相画像生成部74により行われる。3次元位相画像生成ステップS75の処理は3次元位相画像生成部75により行われる。屈折率分布算出ステップS76の処理は屈折率分布算出部76により行われる。第3複素振幅画像生成ステップS77の処理は第3複素振幅画像生成部77により行われる。
干渉強度画像取得ステップS71において、干渉強度画像取得部71は、ミラー22の反射面の方位を変化させることにより、観察対象物Sに対して複数の光照射方向それぞれに沿って光を照射させる。そして、干渉強度画像取得部71は、複数の光照射方向それぞれについて基準位置における干渉強度画像を撮像部43から取得する。
第1複素振幅画像生成ステップS72において、第1複素振幅画像生成部72は、複数の光照射方向それぞれについて、干渉強度画像取得部71により取得された干渉強度画像に基づいて、複素振幅画像を生成する。観察装置1G(図C01)及び観察装置1I(図C03)の場合には、第1複素振幅画像生成部72は、フーリエ縞解析法により、1枚の干渉強度画像に基づいて複素振幅画像を生成することができる。観察装置1H(図C02)の場合には、第1複素振幅画像生成部72は、位相シフト法により、物体光と参照光との間の光路長差(位相差)が互いに異なる3枚以上の干渉強度画像に基づいて複素振幅画像を生成することができる。第1複素振幅画像生成ステップS72において生成される複素振幅画像は、干渉強度画像と同じ基準位置のものであってもよいし、基準位置の複素振幅画像に基づいて生成された他の位置のものであってもよい。
第2複素振幅画像生成ステップS73において、第2複素振幅画像生成部73は、複数の光照射方向それぞれについて、光伝搬経路に沿った撮像部43からの距離に関し第1位置の複素振幅画像に基づいて、第1位置から第2位置までの間の複数のz方向位置それぞれの複素振幅画像を生成する。
2次元位相画像生成ステップS74において、2次元位相画像生成部74は、複数の位置それぞれについて、第2複素振幅画像生成部73により生成された複数の光照射方向それぞれの複素振幅画像に基づいて2次元位相画像を生成する。ここで生成される2次元位相画像は、フォーカスを合わせたz方向位置を中心とする位相画像に相当する。
3次元位相画像生成ステップS75において、3次元位相画像生成部75は、2次元位相画像生成部74により生成された複数の位置それぞれの2次元位相画像に基づいて、第1位置から第2位置までの間の3次元位相画像を生成する。ここで生成される3次元位相画像は、2次元位相画像中での位置x,y及び該2次元位相画像の位置zを変数とする画像である。
屈折率分布算出ステップS76において、屈折率分布算出部76は、3次元位相画像生成部75により生成された3次元位相画像に基づいて、デコンボリューションにより、第1位置から第2位置までの間の観察対象物の3次元屈折率分布を求める。
屈折率分布測定方法Cにおける干渉強度画像取得ステップS71、第1複素振幅画像生成ステップS72、第2複素振幅画像生成ステップS73、2次元位相画像生成ステップS74、3次元位相画像生成ステップS75及び屈折率分布算出ステップS76は、それぞれ、屈折率分布測定方法Aにおける干渉強度画像取得ステップS1、第1複素振幅画像生成ステップS2、第2複素振幅画像生成ステップS3、2次元位相画像生成ステップS4、3次元位相画像生成ステップS5及び屈折率分布算出ステップS6と略同様の処理を行う。
第3複素振幅画像生成ステップS77において、第3複素振幅画像生成部77は、複数の光照射方向それぞれについて、第2複素振幅画像生成ステップS73で用いた第1位置の複素振幅画像、及び、屈折率分布算出ステップS76で算出した第1位置から第2位置までの間の観察対象物の3次元屈折率分布に基づいて、第2位置の複素振幅画像を生成する。
第2複素振幅画像生成ステップS73、2次元位相画像生成ステップS74、3次元位相画像生成ステップS75及び屈折率分布算出ステップS76を含むステップS83では、光伝搬経路に沿った撮像部43からの距離に関し第1位置の複素振幅画像に基づいて、第1位置から第2位置までの間の観察対象物の3次元屈折率分布を求める。ステップS83及び第3複素振幅画像生成ステップS77の各処理は繰り返し行われる。このことについて、図C04~図C07を用いて説明する。
図C06は、観察対象物を含む領域と第1~第Jのブロックとの関係を説明する図である。この図に示されるように、光伝搬経路(z方向)に沿った撮像部からの距離に基づいて観察対象物を含む領域を順に第1~第Jのブロックに区分する。この図では、J=3としている。第1~第Jのブロックのうちの第jブロックは、z=zj-1からz=zまでの領域である。各第jブロックにおいて、撮像部に対し最も近いz=zj-1の位置(近端)を第1位置とし、撮像部に対し最も遠いz=zの位置(遠端)を第2位置とする。
図C07は、第1~第Jのブロックにおける処理の手順を説明する図である。この図に示されるように、各第jブロックについて、ステップS83で、第1位置の複素振幅画像に基づいて、第1位置から第2位置までの間の複数のz方向位置それぞれの複素振幅画像及び2次元位相画像を生成し、第1位置から第2位置までの間の3次元位相画像を生成し更に3次元屈折率分布を求める。各第jブロックについて、第3複素振幅画像生成ステップS77で、第1位置の複素振幅画像、及び、ステップS83で算出した3次元屈折率分布に基づいて、第2位置の複素振幅画像を生成する。
第3複素振幅画像生成ステップS77で生成された第(j+1)ブロックの第2位置の複素振幅画像は、次の第jブロックの第1位置の複素振幅画像として用いられて、第jブロックについてステップS83及び第3複素振幅画像生成ステップS77の各処理が行われる。第1~第Jのブロックそれぞれについて3次元屈折率分布が得られたら、これらを結合することで観察対象物の全体の3次元屈折率分布が得られる。なお、第1~第Jのブロックそれぞれの3次元屈折率分布(例えば、図C07の第1ブロックの屈折率分布、第2ブロックの屈折率分布及び第3ブロックの屈折率分布)は、屈折率断層データとなりえる。
図C04及び図C05に示されるように、第1複素振幅画像生成ステップS72の後のステップS81においてj=0とされ、続くステップS82においてjの値が1増されてj=1とされて、第1ブロックについてステップS83及び第3複素振幅画像生成ステップS77の各処理が行われる。すなわち、撮像部に対し最も近い第1ブロックについては、第1複素振幅画像生成ステップS72で生成した複素振幅画像に基づいて、撮像部に対し最も近いz=zの位置(近端)を第1位置とし、撮像部に対し最も遠いz=zの位置(遠端)を第2位置として、ステップS83(第2複素振幅画像生成ステップS73、2次元位相画像生成ステップS74、3次元位相画像生成ステップS75、屈折率分布算出ステップS76)及び第3複素振幅画像生成ステップS77それぞれの処理が順に行われる。その後、ステップS82に戻る。
第jブロック(ここでは、jは2以上J未満)については、第3複素振幅画像生成ステップS77で第(j-1)ブロックについて生成した複素振幅画像に基づいて、撮像部に対し最も近いz=zj-1の位置(近端)を第1位置とし、撮像部に対し最も遠いz=zの位置(遠端)を第2位置として、ステップS83(第2複素振幅画像生成ステップS73、2次元位相画像生成ステップS74、3次元位相画像生成ステップS75、屈折率分布算出ステップS76)及び第3複素振幅画像生成ステップS77それぞれの処理が順に行われる。その後、ステップS82に戻る。
撮像部に対し最も遠い最終段ブロックである第Jブロックについては、第3複素振幅画像生成ステップS77で第(J-1)ブロックについて生成した複素振幅画像に基づいて、撮像部に対し最も近いz=zJ-1の位置(近端)を第1位置とし、撮像部に対し最も遠いz=zの位置(遠端)を第2位置として、ステップS83(第2複素振幅画像生成ステップS73、2次元位相画像生成ステップS74、3次元位相画像生成ステップS75、屈折率分布算出ステップS76)の処理が行われる。
第Jブロックについては、ステップS83の後のステップS84において、最終段ブロックであると判断されて、第3複素振幅画像生成ステップS77に進むことなく終了すればよい。なお、第Jブロックについては、3次元位相画像生成ステップS75の後において、最終段ブロックであると判断されて、屈折率分布算出ステップS76に進むことなく終了してもよく、この場合には、観察対象物の全体の3次元位相画像が得られる。
なお、光伝搬経路(z方向)に沿った撮像部からの距離に基づいて観察対象物を含む領域を順に2個のブロックに区分してもよく、その場合には、上述した第1ブロックについての処理及び最終段の第Jブロックについての処理を行えばよい。また、観察対象物を含む領域を複数のブロックに区分しなくてもよく、その場合には、ステップS83(第2複素振幅画像生成ステップS73、2次元位相画像生成ステップS74、3次元位相画像生成ステップS75、屈折率分布算出ステップS76)及び第3複素振幅画像生成ステップS77それぞれの処理を順に1回のみ行ってもよい。
次に、第3複素振幅画像生成ステップS77の詳細について説明する。観察対象物に光を照射して干渉強度画像を取得する際に、各第jブロックにおいて、第2位置(z=z)の光波面は、第jブロックの内部を伝搬して第1位置(z=zj-1)に到達し更に撮像部まで伝搬する。そこで、第3複素振幅画像生成ステップS77において、第jブロックの屈折率分布を考慮した数値計算により、第1位置(z=zj-1)の光波面を第jブロックの内部を逆伝搬させることで、第2位置(z=z)の光波面を求める。すなわち、第3複素振幅画像生成ステップS77において、複数の光照射方向それぞれについて、第jブロックの第1位置(z=zj-1)の複素振幅画像及び第jブロックの屈折率分布に基づいて、第jブロックの第2位置(z=z)の複素振幅画像を生成する。この処理に際して、媒質の屈折率分布を考慮して光波面の伝搬を数値計算する手法が用いられる。このような不均一媒質伝搬の数値計算手法として、BPM(Beam Propagation Method)及びSSNP(Split-Step Non-Paraxial)等が知られている。以下では、第3複素振幅画像生成ステップS77においてBPMを用いた処理について説明する。
図C08は、BPMの処理内容を説明する図である。この図は、任意の第jブロックを示している。この図に示されるように、光伝搬経路(z方向)に沿った撮像部からの距離に基づいて第jブロックをM個(この図では7個)のスライス(第1~第Mのスライス)に区分する。各スライスの厚みは波長程度である。
各スライスの厚みは一定であってもよい。ここでは、各スライスの厚みを一定値のΔzとする。第jブロックの第1~第Mのスライスのうちの第mスライスは、位置(zj-1+(m-1)Δz)から位置(zj-1+mΔz)までである。第jブロックの第1位置(z=zj-1)から第2位置(z=z)へ向かって順に、第1~第Mのスライスにおいて順次に、屈折率分布に応じた位相変化を与えて光波面をΔzだけ逆伝搬させる。
なお、第3複素振幅画像生成ステップS77の処理における各スライスの厚みΔzは、第2複素振幅画像生成ステップS73の処理で第1位置から第2位置までの間の複数のz方向位置それぞれの複素振幅画像を生成する際の位置間隔と、異なっていてもよいし、一致していてもよい。
位置zにある厚みΔzのスライスを逆伝搬する際に光波面に与えられる位相変化o(x,y,z)は、下記(22)式で表される。この(22)式中のkは真空中での光の波数である。δn(x,y,z)は、位置zにおける観察対象物の屈折率分布n(x,y,z)と背景(媒質)の屈折率nとの差分であり、下記(23)式で表される。また、cosθは下記(24)式で表される。
Figure 0007348997000022
Figure 0007348997000023
Figure 0007348997000024
第mスライスの位置(z=zj-1+(m-1)Δz)における光の複素振幅をu(x,y,z)とすると、第mスライスの内部を光が逆伝搬した後の位置(z+Δz)における光の複素振幅u(x,y,z+Δz)は、下記(25)式で表される。この(25)式中のP(k,k;Δz)は、下記(26)式で表される。(25)式は、光の複素振幅u(x,y,z)と位相変化o(x,y,z)との積をフーリエ変換し、このフーリエ変換の結果とP(k,k;Δz)との積を逆フーリエ変換することで、厚みΔzのスライスを伝搬した後の位置(z+Δz)における光の複素振幅u(x,y,z+Δz)を求めることを表している。PΔzは、Δzの光伝搬の演算を行う関数である。
Figure 0007348997000025
Figure 0007348997000026
第jブロックの各スライスにおける光波面の伝搬は、下記(27)式~(29)式で表される。すなわち、第jブロックの第1位置(z=zj-1)における光の複素振幅をu(x,y,zj-1)とすると、第jブロックの第1スライスを伝搬した後の光の複素振幅u(x,y,zj-1+Δz)は、下記(27)式で表される。第jブロックの第(m-1)スライスを伝搬した後の光の複素振幅をu(x,y,zj-1+(m-1)Δz)とすると、第jブロックの第mスライスを伝搬した後の光の複素振幅u(x,y,zj-1+mΔz)は、下記(28)式で表される。第jブロックの第(M-1)スライスを伝搬した後の光の複素振幅をu(x,y,zj-1+(M-1)Δz)とすると、第jブロックの第Mスライスを伝搬した後の第2位置(z=z)における光の複素振幅u(x,y,z)は、下記(29)式で表される。
Figure 0007348997000027
Figure 0007348997000028
Figure 0007348997000029

このようにして、第3複素振幅画像生成ステップS77において、第jブロックの屈折率分布を考慮した数値計算により、第1位置(z=zj-1)の光波面を第jブロックの内部をスライス毎に順次に逆伝搬させることで、第2位置(z=z)の光波面を求めることができる。
図C09は、第3複素振幅画像生成ステップS77のフローチャートである。ステップS41において、位置zを、第jブロックの第1位置(z=zj-1)に初期化する。ステップS42において、位置zにおける光の複素振幅u(x,y,z)と位相変化o(x,y,z)との相互作用を求める。ステップS43において、その相互作用後の光の波面を距離Δzだけ伝搬させて、位置z+Δzにおける光の複素振幅u(x,y,z+Δz)を求める。ステップS44において、Δzを加算したzを新たなzとする。ステップS44において、位置zが第jブロックの第2位置(z=z)に未だ到達していないと判断されれば、ステップS42に戻って、ステップS42~S44を繰り返す。ステップS44において、位置zが第jブロックの第2位置(z=z)に到達したと判断されれば、第3複素振幅画像生成ステップS77の処理を終了する。終了時に取得された光の複素振幅が第jブロックの第2位置(z=z)における複素振幅となる。
以上に説明した屈折率分布測定方法A~Cの何れも、観察対象物が多重散乱体である場合であっても、多重散乱光の影響が低減された3次元屈折率トモグラフィを実現することができる。屈折率分布測定方法A~Cの何れも、観察対象物としての3次元培養体の屈折率分布を測定するのによい。
なお、自己干渉を用いる観察装置及び屈折率分布測定方法でもよい。例えば、図C10に示される観察装置1Jは、光源11、レンズ12、レンズ21、ミラー22、レンズ23、コンデンサレンズ24、対物レンズ25、ミラー44、レンズ42、撮像部43及び解析部70などを備える。これまでに説明した観察装置の構成と比較すると、観察装置1Jでは、光源11から出力された光は、光ファイバ14により導光された後、2分岐されることなく光出射端18から出射される点で相違する。また、観察装置1Jは、ビームスプリッタ41に替えてミラー44が設けられている点で相違する。観察装置1Jは、干渉光学系を備えていない。撮像部43は、複数の光照射方向それぞれに沿って観察対象物Sに照射されて観察対象物Sを経た光の自己干渉による基準位置の干渉強度画像を撮像することができる。解析部70は、このような自己干渉による干渉強度画像を用いて、これまでに説明したと同様の画像処理を行うことができる。
また、第1位置から第2位置までの間の観察対象物Sの3次元屈折率分布は、3次元位相画像に基づく屈折率分布でなくてもよく、屈折率分布を取得できる屈折率分布取得装置を別途用いて取得してもよい。この場合、観察装置は、(1) 複数の光照射方向それぞれに沿って観察対象物に照射されて観察対象物を経た光の基準位置の干渉強度画像を撮像した撮像部から、複数の光照射方向それぞれの基準位置の干渉強度画像を取得する干渉強度画像取得部と、(2) 複数の光照射方向それぞれについて、干渉強度画像に基づいて複素振幅画像を生成する第1複素振幅画像生成部と、(3) 光伝搬経路に沿った撮像部からの距離に関し第1位置から第2位置までの間の、観察対象物の3次元屈折率分布を取得する屈折率分布取得部と、(4) 複数の光照射方向それぞれについて、第1位置の複素振幅画像及び3次元屈折率分布に基づいて第2位置の複素振幅画像を生成する第2複素振幅画像生成部(観察装置1A~1Dの第3複素振幅画像生成部に相当)と、を備えればよい。
また、この場合、屈折率分布測定方法は、(1) 複数の光照射方向それぞれに沿って観察対象物に照射されて観察対象物を経た光の基準位置の干渉強度画像を撮像した撮像部から、複数の光照射方向それぞれの基準位置の干渉強度画像を取得する干渉強度画像取得ステップと、(2) 複数の光照射方向それぞれについて、干渉強度画像に基づいて複素振幅画像を生成する第1複素振幅画像生成ステップと、(3) 光伝搬経路に沿った撮像部からの距離に関し第1位置から第2位置までの間の、観察対象物の3次元屈折率分布を取得する屈折率分布取得ステップと、(4) 複数の光照射方向それぞれについて、第1位置の複素振幅画像及び3次元屈折率分布に基づいて第2位置の複素振幅画像を生成する第2複素振幅画像生成ステップと、を備えればよい。
本開示の一側面は、肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データを用いて、観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する方法である。一実施形態において、毛細胆管領域の特定は、観察対象物中の領域が毛細胆管の特徴を有することに基づいて行われる。すなわち、一実施形態において、観察対象物中の領域であって、毛細胆管の特徴を有する領域が、毛細胆管領域であると特定される。また、一実施形態において、毛細胆管領域の特定は、観察対象物中の領域が毛細胆管の特徴を有することに対応する特徴量を利用した機械学習モデルによって行われてもよい。
一実施形態に係る毛細胆管の特徴は、領域が肝細胞間に存在する略円形若しくは略円管形領域である特徴、領域の屈折率が肝細胞の屈折率よりも低い特徴、並びに領域の周縁部の屈折率が肝細胞の屈折率よりも高い特徴からなる群より選択される1つ以上の特徴を含み、一実施形態に係る毛細胆管の特徴は、領域が肝細胞間に存在する略円形若しくは略円管形領域である特徴、領域の屈折率が肝細胞の屈折率よりも低い特徴、並びに領域の周縁部の屈折率が肝細胞の屈折率よりも高い特徴を含む。領域の屈折率とは、当該領域における屈折率の平均値、中央値、最小値又は最大値等の統計値を指す。また、肝細胞の屈折率とは、肝細胞全体又は一部における屈折率の平均値、中央値、最小値又は最大値等の統計値を指す。略円形領域とは、真円度が閾値以上である領域のことを表す。上記閾値は、観察対象物の種類及び状態並びに観察対象物に含まれる肝細胞の種類及び含有量などに応じて定めることができ、毛細胆管の特定を行う観察対象物(サンプル)とは別の観察対象物(リファレンス)の屈折率分布データにおいて他の毛細胆管の特徴を有する領域が毛細胆管領域と特定されるように定めることもできる。例えば、サンプルが肝細胞塊である場合には、リファレンスとして別の肝細胞塊を用いることができ、2次元肝培養体を用いることもできる。上記閾値は、例えば65%であってよく、70%であってもよく、75%であってもよく、80%であってもよく、85%であってもよい。略円管形領域とは、管状の領域であって、領域の管流軸に垂直な断面又は屈折率断層データにおける断層面視の断面が略円形となる領域のことである。管流軸とは、管の断面中心(重心)の集合により形成される軸線からなる軸である。領域の周縁部とは、領域に含まれない観察対象物の部分のうち、領域に隣接する部分(隣接部分)及び隣接部分から所定距離だけ離れた部分を含む概念であり、密着結合により毛細胆管の管壁を形成する肝細胞の占める部分のうち、管腔近傍の部分に相当する。
一実施形態において、毛細胆管の特徴は、さらに、微絨毛に由来する領域であって、領域全体の屈折率よりも屈折率の高い領域を有する特徴を含む。一般に、微絨毛に由来する領域は、屈折物分布データが3次元である場合には略直線形状又は曲線形状(湾曲形状、螺旋形状など)となり、屈折物分布データが屈折率断層データ等の2次元である場合には、略直線形状、曲線形状又は点形状になる。微絨毛に由来する領域が略直線形状又は曲線形状である場合、その長さは例えば1~2μm程度であるが、観察対象物の種類及び状態並びに観察対象物に含まれる肝細胞の種類及び含有量などに応じて、より長くなることもあり、より短くなることもある。
他の一側面は、肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データから得られる毛細胆管のパラメータに基づいて、毛細胆管領域を評価する方法である。一実施形態において、毛細胆管領域の評価は、毛細胆管のパラメータに基づいて行われる。すなわち、一実施形態において、観察対象物中の毛細胆管領域であって、毛細胆管のパラメータがより優れた値である毛細胆管領域が、より質が高い毛細胆管であると評価される。また、一実施形態において、毛細胆管領域の評価は、毛細胆管のパラメータに対応する特徴量を利用して、パラメータがより優れた値である毛細胆管領域が、より質が高い毛細胆管であるとして学習された機械学習モデルによって行われてもよい。
一実施形態において、毛細胆管のパラメータは、管流軸に垂直な断面若しくは断層面視の断面の面積若しくは周囲長、屈折率、屈折率の中央値、微絨毛の本数並びに微絨毛の平均長さからなる群より選択される1つ以上のパラメータを含み、一実施形態において、毛細胆管のパラメータは、管流軸に垂直な断面若しくは断層面視の断面の面積、屈折率、微絨毛の本数並びに微絨毛の平均長さからなる群より選択される1つ以上のパラメータを含む。断面の面積は、太い毛細胆管ほど成熟した毛細胆管であると考えられることから、断面の面積が大きい毛細胆管領域を質が高い毛細胆管であると判断してもよい。屈折率は、毛細胆管領域の屈折率であり、微絨毛の占める空間及び内容物の量が多くなるほど屈折率が高くなると考えられることから、屈折率が高い毛細胆管領域を質が高い毛細胆管であると評価してもよい。微絨毛の本数及び長さは、微絨毛の表面積が大きくなるほど毛細胆管への胆汁酸の分泌量及び肝代謝物の排泄量が多くなると考えられることから、微絨毛の数が多い毛細胆管領域ほど質が高い毛細胆管であると判断してもよく、微絨毛の平均長さが長い毛細胆管領域ほど質が高い毛細胆管であると判断してもよい。
一実施形態において、毛細胆管領域を評価する方法は、評価する前に、観察対象物の屈折率分布データを用いて観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定するステップを含んでもよい。すなわち、一実施形態における毛細胆管領域を評価する方法は、観察対象物の屈折率分布データを用いて観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定するステップと、特定された毛細胆管領域における毛細胆管のパラメータに基づいて、毛細胆管領域を評価するステップと、を含む。一実施形態において、毛細胆管領域を評価する方法は、観察対象物の屈折率分布データを用いて観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定するステップであって、毛細胆管領域の特定が、観察対象物中の領域が毛細胆管の特徴を有することに基づいて行われ、上記毛細胆管の特徴が、肝細胞間に存在する略円形若しくは略円管形領域である特徴、領域の屈折率が肝細胞の屈折率よりも低い特徴、並びに領域の周縁部の屈折率が肝細胞の屈折率よりも高い特徴を含むステップと、特定された毛細胆管領域における毛細胆管のパラメータに基づいて、毛細胆管領域を評価するステップと、を含む。
他の一側面は、肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データを用いて、観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する方法により特定された毛細胆管領域の数、及び/又は肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データから得られる毛細胆管のパラメータに基づいて毛細胆管領域を評価する方法により得られた毛細胆管領域の評価、に基づいて、肝細胞を含有する観察対象物を評価する方法である。毛細胆管の数を指標として肝細胞を含有する観察対象物の質を評価することは一般的であり、また、肝細胞を含有する観察対象物に含まれる毛細胆管の質が高いほど肝細胞を含有する観察対象物自体の質が高いことは自明であるから、毛細胆管領域の特定方法及び評価方法により、肝細胞を含有する観察対象物自体を評価することができる。例えば、図35に示した例においては、毛細胆管領域の数が多い肝細胞塊Aを質の高い肝細胞塊であると評価することができる。
一実施形態に係る肝細胞を含有する観察対象物の評価方法は、例えば以下のような態様で用いることができる。
例えば、肝細胞を含有する観察対象物の分化の目安の1つとして、毛細胆管の形成を利用できることが知られているため、肝細胞を含有する観察対象物に含まれる毛細胆管領域の数を評価することによって、肝細胞を含有する観察対象物の分化を評価することができる。すなわち、他の一側面は、肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データを用いて、肝細胞を含有する観察対象物の分化を評価する方法である。
例えば、一実施形態に係る肝細胞を含有する観察対象物の評価方法は、肝細胞の培養方法の評価に用いることができる。肝細胞の培養方法としては、通常の平面培養に加えて、サンドイッチ培養法、3次元スフェロイド培養法、中空繊維バイオリアクター法、マイクロパターン共培養法、灌流マルチウェルプレート培養法、マイクロ流体肝バイオチップ培養法及びマイクロ流体多臓器デバイス培養法などの様々な培養方法が開発されているところ、これらの方法により培養された肝細胞を含有する観察対象物に含まれる毛細胆管領域の数を評価することによって、肝細胞の培養方法を評価することができる。すなわち、他の一側面は、肝細胞を培養するステップと、屈折率分布データを用いて観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する方法により特定された毛細胆管領域の数、及び/又は屈折率分布データから得られる毛細胆管のパラメータによって毛細胆管領域を評価する方法により得られた毛細胆管領域の評価、に基づいて肝細胞を含有する観察対象物を評価する方法を用いて、培養によって得られた観察対象物を評価するステップと、を含む、肝細胞の培養方法を評価する方法である。肝細胞の培養方法の評価は、毛細胆管領域を非侵襲的に特定及び評価することができる利点を活かし、例えば図36に示すように、肝細胞塊の培養日数に応じた毛細胆管領域の数に基づいて行うこともできる。
例えば、一実施形態に係る肝細胞を含有する観察対象物の評価方法は、薬物のスクリーニングに用いることができる。毛細胆管は、肝細胞において合成された胆汁酸の分泌先であることに加えて、薬物の主要な排泄方法である肝代謝の排泄経路である。また、薬物性肝障害(DILI)は、既承認薬の市場撤退及び使用制限並びに新薬が安全性に関して承認に至らないことの主要因の1つであり、肝細胞障害型、胆汁うっ滞型及び混合型等が存在するところ、特に胆汁うっ滞型DILIにおいては、毛細胆管の形態異常が見られることが知られている。したがって、一実施形態に係る肝細胞を含有する観察対象物の評価方法を用いたスクリーニングによって、例えば毛細胆管領域の屈折率の異常な上昇を引き起こす薬物は、胆汁酸又は肝代謝物の異常分泌又は異常排泄を引き起こしうる薬物であるとして、また、毛細胆管の形態異常を引き起こす薬物は、胆汁うっ滞型DILIを引き起こしうる薬物であるとして、それぞれ開発候補から除外することが可能となる。従来は臨床段階で始めて明らかとなっていたこれらの事象をインビトロにおいて明らかにすることができれば、事後的に既承認薬の市場撤退若しくは使用制限せざるを得なくなること及び新薬が安全性に関して承認に至らなくなることによって、臨床試験に対する莫大な費用及び時間の投資の失敗を未然に防止することができる。すなわち、他の一側面は、肝細胞を含有する観察対象物に薬物を添加するステップと、屈折率分布データを用いて観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する方法により特定された毛細胆管領域の数、及び/又は屈折率分布データから得られる毛細胆管のパラメータによって毛細胆管領域を評価する方法により得られた毛細胆管領域の評価、に基づいて肝細胞を含有する観察対象物を評価する方法を用いて、培養によって得られた観察対象物を評価するステップと、を含む、薬物のスクリーニング方法である。薬物のスクリーニングは、例えば毛細胆管の形態異常を指標として行うことができ、図37に示した例においては、肝細胞塊中の毛細胆管の拡張を引き起こす薬物A及び収縮を引き起こす薬物Bを、毛細胆管領域の断面の面積に基づいて、胆汁うっ滞型DILIを引き起こしうる薬物として開発候補から除外することができる。また、例えば微絨毛に着目した毛細胆管の形態異常を指標として行うこともでき、図38に示した例においては、微絨毛の短縮を引き起こす薬物A、微絨毛の減少を引き起こす薬物B並びに微絨毛の短縮及び減少を引き起こす薬物Cを、胆汁うっ滞型DILIを引き起こしうる薬物として開発候補から除外することができる。これらのスクリーニングは、毛細胆管領域を非侵襲的に特定及び評価することができる利点を活かし、複数のタイムポイントにおける経時的変化に基づいても行うことができ、図39に示した例においては、薬物添加後の培養日数に応じた微絨毛の短縮を引き起こす薬物を、胆汁うっ滞型DILIを引き起こしうる薬物として開発候補から除外することができる。
また、一実施形態に係る毛細胆管領域を特定する方法は、例えば以下の態様で用いることができる。
例えば、一実施形態に係る毛細胆管領域を特定する方法は、毛細胆管ネットワーク形成の評価に用いることができる。毛細胆管は、形成後にさらに3次元のネットワークを形成して肝代謝物の分泌や排泄を担うことが知られているところ、一実施形態に係る毛細胆管領域を特定する方法を用いて肝細胞を含有する観察対象物に含まれる毛細胆管領域を網羅的に特定することによって、毛細胆管ネットワークの形成を評価することができる。さらに、一実施形態においては、図40に示した例のように、タウロコール酸等のネットワーク形成を促進する胆汁酸の添加により誘発された毛細胆管ネットワークの形成を評価してもよい。また、一実施形態においては、リトコール酸等のネットワーク形成を阻害する胆汁酸の添加による毛細胆管ネットワークの形成阻害を評価してもよい。これらの評価は、毛細胆管領域を非侵襲的に特定することができる利点を活かし、複数のタイムポイントにおける経時的変化に基づいても行うことができ、また毛細胆管領域の体積を評価指標として行うこともできる。
例えば、一実施形態に係る毛細胆管領域を特定する方法は、毛細胆管からの内容物を回収するためのガイドとしても用いることができる。毛細胆管は肝代謝の主要経路の1つであるところ、肝細胞を含有する観察対象物内の毛細胆管領域を非侵襲的に特定することができれば、例えば図41に示す例のように、特定された毛細胆管にドレーンチューブ(ドレーン)又はカテーテルなどを挿入し、内容物を回収することができる。回収された内容物は、例えば質量分析、液体クロマトグラフィー、又はガスクロマトグラフィー等によって分析することができる。
また、一実施形態に係る毛細胆管領域を評価する方法は、肝臓の臨床検体における肝疾患の診断方法、肝疾患の診断を補助する方法又は肝疾患の診断のためのデータを取集する方法としても用いることができる。肝疾患を発症した肝臓において毛細胆管の異常が生じうることが明らかとなっており、例えばByler病の肝臓においては、毛細胆管内の微絨毛が極めて少なくなる「Byler’s Bile」と呼ばれる病変が認められる。また、肝疾患由来の胆汁うっ滞においては、毛細胆管の拡大、微絨毛の減少及びブレブの形成が認められる。これらの知見は電子顕微鏡により明らかとなった知見であるが、一実施形態に係る屈折率分布データを用いた非侵襲的な毛細胆管領域の評価方法によれば、肝臓の臨床検体において、HE染色に代表される他の病理染色等と拮抗することなく、かつ簡便に毛細胆管の異常を検出することができる。屈折率分布データで毛細胆管の異常を検出することができれば、より早く、より多くの臨床検体を取扱うことが可能になると期待される。例えば図42に示した例では、臨床検体A~C中の毛細胆管領域を比較して、微絨毛が短い臨床検体B及び微絨毛が短く、かつ少ない臨床検体Cを、肝疾患を発症した肝臓の臨床検体である可能性が高いとする診断を補助することができる。
以下、実施例等により、詳しく説明するが、これらに限定されるものではない。
[実施例1:位相差及び蛍光顕微鏡を用いた2次元肝培養体の毛細胆管領域の特定]
ヒト肝がん由来細胞(HepG2)をガラスボトムディッシュ(MatTek社製)に播種し、10%ウシ胎児血清を含むDMEM培地中、5% CO2、37度、100%湿度の条件下で5日間培養して、2次元肝培養体を調製した。培地を除去した後、毛細胆管に分泌されることが知られる蛍光標識された胆汁酸であるCLF(cholyl―lysyl―fluorescein、Corning社製)の塩化カルシウムと塩化マグネシウムを含有するハンクス平衡塩溶液(終濃度2μM)を添加し、5% CO2、37℃、100%湿度の条件下で45分間インキュベートした。
倒立顕微鏡DM IL LED(Leica社製)を用いて、位相差顕微鏡像及び蛍光像を同視野で撮像した。倍率20倍の対物レンズを用いた。蛍光像は、励起波長470nm、蛍光波長500~550nmの条件で取得した。結果を図43に示す。
位相差顕微鏡像から細胞と細胞の間に管腔構造(図中矢印1及び2)が存在し、蛍光像から管腔構造にCLFの蓄積が確認された。以上から、図中矢印1及び2の領域が毛細胆管領域であると特定した。
[実施例2:光回折トモグラフィ(ODT)を用いた2次元肝培養体の毛細胆管領域の評価]
実施例1で用いた2次元肝培養体について、観察装置1A及び屈折率分布測定方法A2に示したODTを用いて屈折率分布データを取得した。倍率60倍の対物レンズを用いた。得られた屈折率分布データから抽出した代表的な屈折率断層データを図44及び図45に示す。
図44において、実施例1で毛細胆管領域と特定した領域(図中矢印1及び2)について、肝細胞間に存在する略円形領域(真円度86%。以下、段落中の括弧内の数値は、毛細胆管2における値を示す。)である特徴、屈折率(1.336)が肝細胞(1.344)よりも低い特徴、及び周縁部の屈折率(1.359)が肝細胞の屈折率(1.344)よりも高い特徴が認められた。加えて、図45において、実施例1で毛細胆管領域と特定した領域(図中矢印1及び2)について、さらに、微絨毛(MV)に由来する領域であって、毛細胆管(BC)の管腔の屈折率(1.333)よりも屈折率の高い(1.344)領域を有する特徴が認められた。図45において、Gは毛細胆管領域の重心を表す。
[実施例3:光回折トモグラフィ(ODT)を用いた肝細胞塊の毛細胆管領域の評価]
ヒト肝がん由来細胞(HepG2)を細胞低接着性の区画を有する細胞培養容器(AGCテクノグラス製、「EZSPHERE」)に1ウェル当たり1.00x10細胞の密度で播種し、10%ウシ胎児血清を含むDMEM培地中、5% CO2、37℃、100%湿度の条件下で3日間培養した。そこに、ジメチルスルホキシド(シグマアルドリッチ社製)を終濃度0.05%となるように添加し、さらに1日培養して、肝細胞塊を調製した。
得られた肝細胞塊(肝細胞塊1)について、観察装置1A及び屈折率分布測定方法Cに示したODTを用いて屈折率分布データを取得した。倍率60倍の対物レンズを用いた。得られた屈折率分布データから抽出した代表的な屈折率断層データを図46及び図47に示す。実施例2で取得した屈折率分布データ及び肝細胞塊1について取得した屈折率分布データから得られたパラメータを表1~4に示す。また、同様の方法で調製した別の肝細胞塊(肝細胞塊2)について、同様の方法で取得した屈折率分布データから抽出した代表的な屈折率断層データを図48に示す。
Figure 0007348997000030
Figure 0007348997000031
Figure 0007348997000032
Figure 0007348997000033
図46において、2次元肝培養体で見られた特徴と同様の特徴をもつ構造(毛細胆管)が肝細胞塊にも存在することが確認された。任意の断面を見ると、例えばZ=20.8μmには5つ、Z=28.8μmには1つ、Z=66.8μmには2つの毛細胆管が存在することが確認されたことから、肝細胞塊において屈折率分布データを用いて毛細胆管領域を特定できることが示された。
図47において、毛細胆管の存在の確認に加えて、それぞれの毛細胆管で、管腔の大きさ、微絨毛の数及び屈折率などが異なることが確認できたことから、肝細胞塊において屈折率分布データを用いて毛細胆管領域を評価できることが示された。さらに、例えば毛細胆管7において、毛細胆管領域の内部に管腔内構造Xが確認されたことから、実施例で用いた特徴及びパラメータ以外にも、屈折率分布データを用いることで、毛細胆管領域の特定若しくは評価、肝細胞塊の評価又は薬物スクリーニングなどに有用な特徴及びパラメータの存在を見出すことができる可能性があることが示唆された。
図48において、毛細胆管領域の評価例として、例えば屈折率断層データにおける2つの毛細胆管領域のパラメータを比較すると、図中の毛細胆管1は毛細胆管2よりも断面の面積及び断面の周囲長が多く、微絨毛の数が多く、屈折率及び屈折率の中央値が大きいことから、毛細胆管1の方が質の高い毛細胆管である、と判断し得る。
1A~1J…観察装置、2…記録媒体、11…光源、12…レンズ、13…光入射端、14…光ファイバ、15…ファイバカプラ、16,17…光ファイバ、18,19…光出射端、21…レンズ、22…ミラー、23…レンズ、24…コンデンサレンズ、25…対物レンズ、31…レンズ、32…ミラー、33…駆動部、34…レンズ、41…ビームスプリッタ、42…レンズ、43…撮像部、44…ミラー,50…解析部、51…干渉強度画像取得部、52…第1複素振幅画像生成部、53…第2複素振幅画像生成部、54…2次元位相画像生成部、55…3次元位相画像生成部、56…屈折率分布算出部、57…表示部、58…記憶部、60…解析部、61…干渉強度画像取得部、62…第1複素振幅画像生成部、63…第2複素振幅画像生成部、64…位相共役演算部、65…2次元位相画像生成部、66…3次元位相画像生成部、67…屈折率分布算出部、68…表示部、69…記憶部、70…解析部、71…干渉強度画像取得部、72…第1複素振幅画像生成部、73…第2複素振幅画像生成部、74…2次元位相画像生成部、75…3次元位相画像生成部、76…屈折率分布算出部、77…第3複素振幅画像生成部、78…表示部、79…記憶部。

Claims (14)

  1. 肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データを用いて、観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定する方法であって、前記屈折率分布データが、所定の方向における屈折率断層データである、方法
  2. 毛細胆管領域の特定が、観察対象物中の領域が毛細胆管の特徴を有することに基づいて行われ、前記毛細胆管の特徴が、肝細胞間に存在する略円形若しくは略円管形領域である特徴、領域の屈折率が肝細胞の屈折率よりも低い特徴、並びに領域の周縁部の屈折率が肝細胞の屈折率よりも高い特徴を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記毛細胆管の特徴が、さらに、微絨毛に由来する領域であって、領域全体の屈折率よりも屈折率の高い領域を有する特徴を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 肝細胞を含有する観察対象物の屈折率分布データから得られる毛細胆管のパラメータに基づいて、毛細胆管領域を評価する方法であって、前記毛細胆管のパラメータが、管流軸に垂直な断面若しくは断層面視の断面の面積、屈折率、微絨毛の本数並びに微絨毛の平均長さのうち少なくとも1つのパラメータを含み、前記屈折率分布データが、所定の方向における屈折率断層データである、方法。
  5. 前記肝細胞を含有する観察対象物が肝細胞塊である、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の方法によって、観察対象物に含まれる毛細胆管領域を特定するステップを含み、特定された毛細胆管領域における毛細胆管のパラメータに基づいて、毛細胆管領域を評価する、請求項に記載の方法。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載の方法により特定された毛細胆管領域の数及び/又は請求項に記載の方法により得られた毛細胆管領域の評価に基づいて、肝細胞を含有する観察対象物を評価する方法。
  8. 肝細胞を培養するステップと、請求項に記載の方法を用いて、培養によって得られた観察対象物を評価するステップと、を含む、肝細胞の培養方法を評価する方法。
  9. 肝細胞を含有する観察対象物に薬物を添加するステップと、請求項に記載の方法を用いて、薬物を添加された観察対象物を評価するステップと、を含む、薬物のスクリーニング方法。
  10. 前記肝細胞を含有する観察対象物が肝細胞塊である、請求項に記載の方法。
  11. 肝細胞を含有する観測対象物の屈折率分布データを取得するデータ取得部と、請求項1~のいずれか1項に記載の方法によって観察対象物中に含まれる毛細胆管領域を特定する特定部と、を備える、毛細胆管領域の特定装置。
  12. 肝細胞を含有する観測対象物の屈折率分布データを取得するデータ取得部と、請求項1~のいずれか1項に記載の方法によって観察対象物中に含まれる毛細胆管領域を特定する特定部と、請求項に記載の方法によって毛細胆管領域を評価する評価部と、を備える、毛細胆管領域の評価装置。
  13. 肝細胞を含有する観測対象物の屈折率分布データを取得するデータ取得ステップと、請求項1~のいずれか1項に記載の方法によって観察対象物中に含まれる毛細胆管領域を特定する特定ステップと、をコンピュータに実行させるプログラム。
  14. 肝細胞を含有する観測対象物の屈折率分布データを取得するデータ取得ステップと、請求項1~のいずれか1項に記載の方法によって観察対象物中に含まれる毛細胆管領域を特定する特定ステップと、請求項に記載の方法によって毛細胆管領域を評価する評価ステップと、をコンピュータに実行させるプログラム。
JP2022119270A 2022-07-27 2022-07-27 毛細胆管領域の特定又は評価の方法、装置及びプログラム Active JP7348997B1 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022119270A JP7348997B1 (ja) 2022-07-27 2022-07-27 毛細胆管領域の特定又は評価の方法、装置及びプログラム
PCT/JP2023/007107 WO2024024147A1 (ja) 2022-07-27 2023-02-27 毛細胆管領域の特定又は評価の方法、装置及びプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022119270A JP7348997B1 (ja) 2022-07-27 2022-07-27 毛細胆管領域の特定又は評価の方法、装置及びプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7348997B1 true JP7348997B1 (ja) 2023-09-21
JP2024016956A JP2024016956A (ja) 2024-02-08

Family

ID=88021707

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022119270A Active JP7348997B1 (ja) 2022-07-27 2022-07-27 毛細胆管領域の特定又は評価の方法、装置及びプログラム

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7348997B1 (ja)
WO (1) WO2024024147A1 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011024592A1 (ja) 2009-08-26 2011-03-03 国立大学法人東京大学 肝細胞の培養方法
JP2013226112A (ja) 2011-07-12 2013-11-07 Mitsubishi Chemical Medience Corp 肝細胞の培養方法
JP2017527305A (ja) 2014-08-22 2017-09-21 ビオプレディク アンテルナシオナルBiopredic International 毛細胆管活性の機械的改変およびRhoキナーゼミオシンII経路およびジャンクションの透過性の調節、その検出方法およびその誘導体の使用
KR101855366B1 (ko) 2016-11-08 2018-05-09 주식회사 토모큐브 간세포 내 지질을 3d 비표지 영상화 및 정량화하는 방법 및 장치
JP2020028305A (ja) 2015-03-27 2020-02-27 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 肝代謝物の毛細胆管様構造への蓄積と排泄を促進する肝細胞培養装置、並びに該肝細胞培養装置を用いた胆汁中又は血液中排泄感受性の候補化合物及び該候補化合物の肝代謝物の評価方法
WO2022054305A1 (ja) 2020-09-11 2022-03-17 浜松ホトニクス株式会社 観察装置および観察方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011024592A1 (ja) 2009-08-26 2011-03-03 国立大学法人東京大学 肝細胞の培養方法
JP2013226112A (ja) 2011-07-12 2013-11-07 Mitsubishi Chemical Medience Corp 肝細胞の培養方法
JP2017527305A (ja) 2014-08-22 2017-09-21 ビオプレディク アンテルナシオナルBiopredic International 毛細胆管活性の機械的改変およびRhoキナーゼミオシンII経路およびジャンクションの透過性の調節、その検出方法およびその誘導体の使用
JP2020028305A (ja) 2015-03-27 2020-02-27 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 肝代謝物の毛細胆管様構造への蓄積と排泄を促進する肝細胞培養装置、並びに該肝細胞培養装置を用いた胆汁中又は血液中排泄感受性の候補化合物及び該候補化合物の肝代謝物の評価方法
KR101855366B1 (ko) 2016-11-08 2018-05-09 주식회사 토모큐브 간세포 내 지질을 3d 비표지 영상화 및 정량화하는 방법 및 장치
WO2022054305A1 (ja) 2020-09-11 2022-03-17 浜松ホトニクス株式会社 観察装置および観察方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
石丸 伊知郎,生きたままの細胞内3次元成分分布時系列計測 単一細胞分光トモグラフィ 3D-Time Series Compositional D,BIO INDUSTRY,Vol.25, No.2,2008年,pp.55-66

Also Published As

Publication number Publication date
WO2024024147A1 (ja) 2024-02-01
JP2024016956A (ja) 2024-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Fei et al. Subvoxel light-sheet microscopy for high-resolution high-throughput volumetric imaging of large biomedical specimens
JP5969463B2 (ja) ラベル付けされた生体試料の画像化のための方法と装置
Webster et al. Studying osteocytes within their environment
Reusch et al. Nonlinear optical microscopy and ultrasound imaging of human cervical structure
Thouvenin et al. Dynamic multimodal full-field optical coherence tomography and fluorescence structured illumination microscopy
Ding et al. Multiscale light-sheet for rapid imaging of cardiopulmonary system
Norris et al. A coming of age: advanced imaging technologies for characterising the developing mouse
Dickinson Multimodal imaging of mouse development: tools for the postgenomic era
Abraham et al. Minimally invasive multiphoton and harmonic generation imaging of extracellular matrix structures in lung airway and related diseases
Chen et al. Label-free photoacoustic imaging of the cardio-cerebrovascular development in the embryonic zebrafish
Wu et al. Rotational imaging optical coherence tomography for full-body mouse embryonic imaging
Moore et al. Simultaneous ultra-high frequency photoacoustic microscopy and photoacoustic radiometry of zebrafish larvae in vivo
JP2019132710A (ja) 画像処理方法、プログラムおよび記録媒体
Lu et al. Three-dimensional real-time imaging of cardiac cell motions in living embryos
JP7348997B1 (ja) 毛細胆管領域の特定又は評価の方法、装置及びプログラム
Chen et al. Bessel-droplet foci enable high-resolution and high-contrast volumetric imaging of synapses and circulation in the brain in vivo
Kang et al. Mapping nanoscale topographic features in thick tissues with speckle diffraction tomography
Zhang et al. Seeing through the surface: non-invasive characterization of biomaterial–tissue interactions using photoacoustic microscopy
Kang et al. Reflection-mode optical diffraction tomography for label-free imaging of thick biological specimens
Marcos-Vidal et al. Recent advances in optical tomography in low scattering media
Megens et al. Optical imaging innovations for atherosclerosis research: multiphoton microscopy and optical nanoscopy
WO2024029125A1 (ja) ネクローシスを起こした細胞の領域を決定する方法、装置及び情報処理プログラム
Stanek et al. The distinct phenotype of primary adipocytes and adipocytes derived from stem cells of white adipose tissue as assessed by Raman and fluorescence imaging
WO2023095378A1 (ja) 評価方法、評価装置および情報処理プログラム
JP2018099058A (ja) 細胞組織体の評価方法および薬効評価方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230421

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20230421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230606

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230731

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230905

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230908

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7348997

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150