以下、図面を参照して本発明をより具体的に例示説明する。
本発明の一実施形態である液体入り容器の製造方法は、例えば図1に示す構成の液体入り容器の製造装置1を用いて実施することができる。
図1に示す液体入り容器の製造装置1は、合成樹脂製のプリフォーム2から内容液を収容した液体入り容器C(図7参照)を製造するものである。液体入り容器Cに収容される液体(内容液)Lとしては、例えば飲料、化粧品、薬品、洗剤、シャンプー等のトイレタリーなどの様々な液体Lを採用することができる。
プリフォーム2としては、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性を有する合成樹脂材料によって、開口端となる円筒状の口部2aと、口部2aに連なる円筒状の胴部2bと、胴部2bの下端を閉塞する底部2cと、を有する有底筒状に形成されたものを用いることができる。
詳細は図示しないが、口部2aの外壁面には、成形後の液体入り容器Cの口部2aに閉塞キャップ(不図示)を打栓(アンダーカット係合)によって装着するための係合突起が設けられている。なお、口部2aの外壁面に係合突起に替えて雄ネジを設けて閉塞キャップを口部2aにねじ結合により装着する構成とすることもできる。
液体入り容器の製造装置1は、ブロー成形用の金型10を有している。金型10は、例えばボトル形状などの液体入り容器Cの最終形状に対応した形状のキャビティ11を有している。キャビティ11は金型10の上面において上方に向けて開口している。プリフォーム2は、胴部2b及び底部2cが金型10のキャビティ11の内部に配置されるとともに口部2aが金型10から上方に突出した状態となって金型10に装着される。
金型10は左右に型開きすることができるようになっており、プリフォーム2を液体入り容器Cに成形した後に金型10を左右に開くことで、当該液体入り容器Cを金型10から取り出すことができるようになっている。
金型10の上方には、プリフォーム2の内部に加圧した液体Lを供給するためのノズルユニット20が設けられている。ノズルユニット20は本体ブロック21を有している。
本体ブロック21の下端には支持ブロック22が設けられ、この支持ブロック22により支持されて本体ブロック21の下端にはブローノズル23が装着されている。ブローノズル23は略円筒状に形成されており、その下端部は液体供給口23aとなっている。本体ブロック21、支持ブロック22及びブローノズル23によって、ノズルユニット本体20aが構成されている。ノズルユニット本体20aは金型10に対して上下方向に相対移動自在となっている。ノズルユニット本体20aが下方側のストローク端にまで下降すると、ノズルユニット本体20a(より具体的には、ブローノズル23)は、金型10に装着されたプリフォーム2の口部2aに上方側から密封状態で係合する。
ノズルユニット本体20a(より具体的には、本体ブロック21及びブローノズル23)の内部には、ブローノズル23の液体供給口23aで終端する縦流路24が設けられている。この縦流路24は上下方向に延びている。本実施形態では、液体供給口23aで終端する液体供給路は、当該縦流路24と、後述する液体供給ポート25、第3液体配管PL3及び第2液体配管PL2とで構成されている。すなわち、当該液体供給路の終端と縦流路24の終端とは、共に液体供給口23aである。
ノズルユニット本体20a(より具体的には、本体ブロック21)には、縦流路24の上端に連通する液体供給ポート25が設けられている。
ブローノズル23の上面には、下向き円錐状のシール面23bが設けられている。なお、シール面23bの形状は適宜変更が可能である。シール面23bは、ブローノズル23の内周面によって構成してもよいし、ブローノズル23の上面及び内周面によって構成してもよい。縦流路24の内部には、シール面23bに着座可能なシール体本体26aが配置されている。シール体本体26aは円筒状に形成されており、シール体本体26aの下端には、下向き円錐状のテーパ面27が設けられている。なお、テーパ面27の配置及び形状は、適宜変更が可能である。シール体本体26aは、下方側のストローク端位置である閉塞位置まで移動したときに、テーパ面27においてシール面23bに密着して縦流路24を閉じる。一方、シール体本体26aが閉塞位置から上方に向けて移動すると、シール体本体26aのテーパ面27がシール面23bから離脱して縦流路24が開かれる。
図1に示すように、シール体本体26aはノズルユニット本体20aに対して相対的に上下方向に移動自在に設けられた軸体26bの下端に固定され、縦流路24の内部で上下方向に移動自在となっている。シール体本体26aは軸体26bよりも大径に形成されているが、これに限らず例えば、軸体26bと同径に形成してもよい。また、シール体本体26aは軸体26bと一体に形成してもよい。シール体本体26aと軸体26bとで、シール面23bに対する進退動作により縦流路24を開閉するシール体26が構成されている。
ノズルユニット20は、液体Lの排出口28aを有する排出ロッド28を有している。排出ロッド28は、排出口28aを開閉可能な開閉体28bを有している。本実施形態では、排出ロッド28は、排出口28aを下端に形成する円筒状の外筒29と、外筒29に対して上下方向に相対移動自在な開閉体28bとを有している。開閉体28bは、外筒29の径方向内側で外筒29の軸心に沿って延びる円柱状の開閉ロッド30と、開閉ロッド30より拡径するとともに排出口28aに対して上下方向に当接、離脱が可能な拡径部31とを有している。外筒29と開閉体28bとの間には、筒内流路28cが形成されている。外筒29は円筒状以外の筒状(楕円筒状又は多角形筒状等)をなしていてもよい。また、開閉ロッド30は、円柱状以外の柱状(楕円柱状又は多角柱状等)をなしていてもよい。外筒29及び開閉ロッド30は、例えば鋼材等によって形成することができる。本実施形態では、排出口28aは外筒29の下端に設けられているが、下端に代えて又は加えて、外筒29の外周面に設けてもよい。また、排出ロッド28に設ける排出口28aの数及び形状は適宜変更が可能である。本実施形態では排出ロッド28は排出口28aを開閉可能に構成されているが、排出ロッド28は、常時開放された排出口28aを有するように構成してもよい。
排出ロッド28は、シール体26の内部に配置されるとともにシール体26の軸心に沿って延びている。排出ロッド28は、シール体26に対して相対的に上下方向に移動することができる。外筒29及び開閉体28bは、図示しない駆動源により個々に又は互いに連携して駆動される。
排出ロッド28は、下方に向けて移動することによってプリフォーム2を軸方向に延伸させる延伸ロッドとして用いられる。しかし、排出ロッド28を延伸ロッドとして用いない構成としてもよい。また、開閉体28bのみを延伸ロッドとして用いてもよい。
排出口28aは、排出ロッド28の中空部によって形成された筒内流路28cを介して第1液体配管PL1の一端に接続されている。第1液体配管PL1には、第1液体配管弁VL1が設けられ、この第1液体配管弁VL1により第1液体配管PL1を開閉することができる。この第1液体配管弁VL1は、電磁弁により構成され、図示しない制御手段によって開閉制御される。第1液体配管PL1の他端は、第2液体配管PL2を介して液体吸引源32に接続されている。このように、本実施形態では、排出口28aは、筒内流路28c、第1液体配管PL1及び第2液体配管PL2で構成される排出経路によって、液体吸引源32に接続されている。
本実施形態では、液体吸引源32及び後述する加圧液体供給源33は、加圧方向(正方向)と吸引方向(逆方向)との両方に作動可能な共通のポンプ34によって構成されている。ポンプ34は、本実施形態ではシリンダ34aとピストン(プランジャー)34bとを備えたプランジャーポンプとして構成されているが、他の形式のポンプであってもよい。
第1液体配管PL1の他端は、第3液体配管PL3を介して液体供給ポート25にも接続されている。第3液体配管PL3には第3液体配管圧力計35が設けられ、この第3液体配管圧力計35の計測データは、前記の制御手段に入力されるようになっている。このように、加圧液体供給源33は、液体供給口23aで終端する縦流路24、液体供給ポート25、第3液体配管PL3及び第2液体配管PL2で構成される液体供給路に接続されている。
本実施形態では、液体吸引源32と加圧液体供給源33とは共通のポンプ34によって構成されているが、液体吸引源32と加圧液体供給源33とは別々のポンプによって構成されてもよい。この場合、液体吸引源32を排出口28aに接続する排出経路と、加圧液体供給源33に接続する液体供給路とは、互いに独立した経路を構成することが好ましい。
加圧液体供給源33は、第4液体配管PL4を介してタンク36に接続されている。タンク36は、液体Lを収容するとともに当該液体Lを所定温度にまで加熱して当該温度に保持する構成とすることができる。第4液体配管PL4には、第4液体配管弁VL4が設けられ、この第4液体配管弁VL4により第4液体配管PL4を開閉することができる。この第4液体配管弁VL4は、電磁弁により構成され、前記の制御手段によって開閉制御される。
ブローノズル23におけるシール面23bより下流側の部分には、図示しない加圧気体供給源に接続された気体供給口23cが設けられている。本実施形態では、気体供給口23cはブローノズル23の内周面に設けられているが、気体供給口23cはブローノズル23の内周面以外の部分(例えばブローノズル23の下端面)に設けられてもよい。ブローノズル23及び支持ブロック22の内部には、気体供給路37が設けられており、気体供給路37の一端は気体供給口23cで終端している。
本実施形態では、気体供給路37は、前記加圧気体供給源から加圧された気体が気体供給路37に供給される加圧状態と、気体供給路37が大気に開放される大気開放状態と、気体供給路37から図示しない吸引源に気体及び液体Lが吸引される吸引状態との間でその状態を切替えることができる。
図2に示すように、金型10に装着されたプリフォーム2の口部2aにブローノズル23が密封状態で係合するとともにシール体26が縦流路24を閉塞した状態において、排出ロッド28の排出口28aをプリフォーム2の底部2cで開き、ポンプ34(加圧液体供給源33)を加圧方向に作動させる(図2中の太線矢印参照)ことにより、加圧液体供給源33から第2液体配管PL2、第1液体配管PL1、筒内流路28c及び排出口28aを介してプリフォーム2の内部に液体Lを供給することができる(図2中の破線矢印等参照)。このとき、第4液体配管弁VL4は閉じられ、第1液体配管弁VL1は開かれ、気体供給路37は大気開放状態とされる。気体供給路37を大気開放状態とすることにより、プリフォーム2の内部への液体Lの供給に伴って、プリフォーム2の内部から空気が気体供給路37を介して大気へと排出される。なお、このように空気の排出のために気体供給路37を大気開放状態とする構成に代えて、気体供給路37を吸引状態とする構成としてもよい。
図3~図4に示すように、金型10に装着されたプリフォーム2の口部2aにブローノズル23が密封状態で係合するとともにシール体26が縦流路24を閉じた状態からシール体26を後退動作させるとともにポンプ34(加圧液体供給源33)を加圧方向に作動させる(図4中の太線矢印参照)ことにより、第2液体配管PL2、第3液体配管PL3、液体供給ポート25及び縦流路24を介してプリフォーム2の内部に加圧した液体Lを供給することができる(図4中の破線矢印等参照)。このとき、第4液体配管弁VL4は閉じられ、第1液体配管弁VL1は閉じられ、排出口28aは閉じられ、気体供給路37は閉塞状態とされる。このような加圧した液体Lの供給により、プリフォーム2を金型10のキャビティ11に沿った形状の液体入り容器Cに成形することができる。
また、シール体26を後退動作させる際には、シール体26の後退動作に伴って縦流路24内のシール体26の体積が減少することにより、液体供給路内の圧力、ひいてはプリフォーム2内の圧力が低下すると、プリフォーム2が潰れ変形し、それにより成形される液体入り容器Cの形状不良を招く虞がある。このようなプリフォーム2の潰れ変形は、プリフォーム2の内部に予め液体Lを供給しておく場合に特に発生し易い。
このような不具合を防止するために、本実施形態の液体入り容器の製造装置1は、シール体26の後退動作(図3中の白抜き矢印参照)による液体供給路の内部圧力の減少を略相殺するように、ポンプ34(加圧液体供給源33)を加圧方向に作動させる(図3中の太線矢印参照)ことができる。つまり、ポンプ34(加圧液体供給源33)を加圧方向に作動させることにより、ポンプ34から第2液体配管PL2、第3液体配管PL3及び液体供給ポート25を介して縦流路24内に液体Lを供給し(図3中の破線矢印等参照)、それにより、シール体26の後退動作による縦流路24内のシール体26の体積の減少を補うことができる。なお、このとき、第1液体配管弁VL1と排出口28aを開いた状態にして、排出口28aからも液体Lを供給するようにしてもよい。
上記の「液体供給路の内部圧力の減少を略相殺」するとの表現は、シール体26の後退動作による縦流路24内のシール体26の体積の単位時間当たりの減少量をAとし、ポンプ34を加圧方向に作動させることによる液体供給路内の液体Lの体積の単位時間当たりの増加量をBとする場合に、BがAの±5%以内であること(つまりAの95~105%であること)を意味している。
このように液体供給路の内部圧力の減少を略相殺しながら縦流路24をシール体26で十分に開き、その後にポンプ34(加圧液体供給源33)を液体ブロー成形に適した所定速度で加圧方向に作動させることにより、液体入り容器Cを精度良く成形することができる。
図5に示すように、液体入り容器Cが成形され、シール体26が縦流路24を開いた状態から、シール体26で縦流路24を閉じるためにシール体26を前進動作(図5中の白抜き矢印参照)させながら、ポンプ34(加圧液体供給源33)を吸引方向に作動させる(図5中の太線矢印参照)ことにより、液体入り容器Cの内部の液体Lを液体供給口23aから加圧液体供給源33に向けて排出し(図5中の破線矢印等参照)、液体入り容器Cの内部及び液体供給路の内部の高圧状態を速やかに解消することができる。この液体入り容器Cの内部及び液体供給路の内部の脱圧時には、第4液体配管弁VL4は閉じられ、第1液体配管弁VL1は閉じられる。なお、このとき、第1液体配管弁VL1と排出口28aを開いた状態にして、排出口28aからも液体Lを排出するようにしてもよい。また、気体供給路37は、このような脱圧が完了するまでは閉塞状態とされ、気体供給路37への液体Lの侵入が抑制される。
上記の脱圧は例えば、縦流路24が十分に開かれた状態でポンプ34(加圧液体供給源33)を吸引方向に速やかに作動させることで液体入り容器Cの内部の高圧状態を速やかに解消した後に、シール体26の前進動作による液体供給路の内部圧力の増加を略相殺するようにポンプ34を吸引方向に作動させながらシール体26を前進動作させ、縦流路24を閉じることにより行うことができる。
上記の「液体供給路の内部圧力の増加を略相殺」するとの表現は、シール体26の前進動作による縦流路24内のシール体26の体積の単位時間当たりの増加量をCとし、ポンプ34を吸引方向に作動させることによる液体供給路内の液体Lの体積の単位時間当たりの減少量をDとする場合に、DがCの±5%以内であること(つまりCの95~105%であること)を意味している。
図6に示すように、液体入り容器Cの口部Caにブローノズル23が密封状態で係合するとともにシール体26が縦流路24を閉じた状態において、排出ロッド28の排出口28aを液体入り容器Cの底部Ccで開き、ポンプ34(液体吸引源32)を吸引方向に作動させる(図6中の太線矢印参照)ことにより、液体入り容器Cの内部の液体Lを排出口28aから液体吸引源32に向けて排出することができる(図6中の破線矢印等参照)。このとき、第4液体配管弁VL4は閉じられ、第1液体配管弁VL1は開かれる。また、気体供給路37を加圧状態とし、気体供給口23cから液体入り容器Cの内部に加圧した気体(加圧気体)を供給することにより、排出口28aを介した液体Lの排出を促進又は支援し、ヘッドスペースHの形成に要する時間を短縮することができる。このような加圧気体による支援は、内容液としての液体Lの粘度が高い場合に特に有効である。
ノズルユニット本体20a、シール体26、排出ロッド28、ポンプ34(プランジャー34b)、第1液体配管弁VL1、第4液体配管弁VL4等の作動は、前記の図示しない制御装置によって統合的に制御される。
次に、このような構成の液体入り容器の製造装置1を用いて、合成樹脂製のプリフォーム2から所定形状の容器の内部に液体(内容液)Lが収容されてなる液体入り容器Cを成形する方法(本実施形態に係る液体入り容器の製造方法)について説明する。
図8に示すように、本実施形態では、待機工程S1、空気排出工程S2、液体ブロー成形工程S3、脱圧工程S4、ヘッドスペース形成工程S5及びノズル上昇工程S6がこの順に行われる。
まず、待機工程S1が行われる。待機工程S1においては、ノズルユニット20は、図1に示すように、金型10に対して上方に離れた位置にあり、シール体26は縦流路24を閉じ、排出ロッド28の排出口28aは閉じた状態となっている。また、気体供給路37は吸引状態となっている。気体供給路37を吸引状態とすることで、ブローノズル23におけるシール面23bよりも下方の部分に残留している液体Lの液だれを防止することができる。
この待機工程S1では、予めヒーター等の加熱手段(不図示)を用いて延伸性を発現する程度の所定の温度(例えば80℃~150℃)にまで加熱しておいたプリフォーム2を金型10に装着し、型締めする。このとき、プリフォーム2の口部2aは開放されているので、プリフォーム2は、その内部に空気が充満した状態である。
次に、本実施形態では、空気排出工程S2が行われる。空気排出工程S2においては、図2に示すように、ノズルユニット20を下降させてプリフォーム2の口部2aにブローノズル23を係合させ、気体供給路37を大気開放状態とし、シール体26で縦流路24を閉じたままで排出ロッド28を下降させてプリフォーム2の底部2cにおいて排出口28aを開いた状態で、プランジャー34bを加圧方向に作動させ、排出口28aからプリフォーム2の内部に液体Lを供給することにより、プリフォーム2の内部の空気を、気体供給路37を通して大気(外部)に排出させる。すなわち、プリフォーム2の内部に液体Lを供給することで、プリフォーム2の内部に充満している空気の大部分を液体Lによって外部に押し出して排出させる。排出口28aの開放は、具体的には、開閉体28bの下端が底部2cに当接又は近接した状態で、外筒29が開閉体28bに対して上昇することによって行われる。この空気の排出が完了すると、排出口28aを閉じ、気体供給路37を閉塞状態とする。なお、気体供給路37を通して空気を排出する代わりに、プリフォーム2の口部2aにブローノズル23を係合させないことによって空気の排出経路を確保するようにしてもよい。空気排出工程S2におけるプランジャー34bの作動速度は、プリフォームを実質的に延伸(膨張)させない程度に設定することが好ましい。
このように、空気排出工程S2において、シール体26で縦流路24を開いて液体Lを供給するのではなく、排出ロッド28の排出口28aから液体Lを供給することにより、ブローノズル23の内周面に設けられた気体供給口23cへの液体Lの侵入を抑制し、プリフォーム2の内部から気体供給路37を通じて空気をスムーズに排出することができる。また、空気排出工程S2において、排出口28aをプリフォーム2の底部2cに位置させた状態で液体Lを供給することにより、排出口28aを液体Lの供給後直ぐに液中に浸して、液中から液体Lを供給できるため、プリフォーム2の内部に充填された液体Lにおける泡立ち等の原因となる空気の巻き込みを効果的に抑制することができる。この巻き込み抑制により、液体ブロー成形工程S3によって形成される液体入り容器Cの内部の液体Lへの空気の混入が抑制されるため、ヘッドスペース形成工程S5において所望の大きさのヘッドスペースHを安定して形成することができる。また、この巻き込み抑制により、ヘッドスペース形成工程S5においてノズルユニット20の内部に戻される液体Lに含まれる気泡の量が低減するため、液体供給路への空気の混入も抑制され、成形条件の安定性や容器の成形性等を向上することができる。
しかし、空気排出工程S2は、このように排出ロッド28の排出口28aから液体Lを供給することによって行う代わりに、シール体26で縦流路24を開いて液体Lを供給することによって行ってもよい。また、空気排出工程S2を行わないようにしてもよい。
空気排出工程S2が完了すると、次に、液体ブロー成形工程S3が行われる。液体ブロー成形工程S3においては、まず、図3に示すように、ブローノズル23をプリフォーム2の口部2aに係合させた状態で、シール体26を後退動作させることで縦流路24を開く。このとき、シール体26の後退動作による液体供給路の内部圧力の減少を略相殺するように、ポンプ34(加圧液体供給源33)を加圧方向に作動させる。これにより、プリフォーム2が潰れ変形することを防止し、容器の形状不良が発生することを防止することができる。なお、このときのポンプ34の作動速度は、液体ブロー成形工程S3でのポンプ34の作動速度よりも小さい。
また、液体ブロー成形工程S3においては、縦流路24を開いた後に、図4に示すように、液体供給口23aからプリフォーム2の内部に加圧液体供給源33によって加圧した液体Lを供給し、それにより、プリフォーム2を金型10のキャビティ11に沿った形状の液体入り容器Cに成形する。なお、本実施形態では、液体ブロー成形工程S3においては排出口28aを閉じた状態としているが、開放状態として排出口28aからも液体Lを充填することが可能である。このように液体入り容器Cを成形した後は、後述する脱圧工程S4が行われる。
本実施形態では、図4に示すように、液体ブロー成形工程S3の最中又は液体ブロー成形工程S3より前に、ロッド延伸工程が行われる。ロッド延伸工程においては、下方に向けて進出移動する排出ロッド28(延伸ロッド)により、プリフォーム2の胴部2bを軸方向(縦方向)に延伸させる。本実施形態では、排出ロッド28は、排出口28aを閉じた状態で下降する。ロッド延伸工程の後又は最中に液体ブロー成形工程S3を行う(液体ブロー成形工程S3の開始後にロッド延伸工程を開始してもよい)ことにより、プリフォーム2を延伸ロッドにより軸方向に延伸させつつブロー成形を行う二軸延伸ブロー成形を行うことができるので、プリフォーム2をより精度よく所定形状の液体入り容器Cに成形することができる。しかし、ロッド延伸工程を行わずに液体ブロー成形工程S3を行うようにしてもよい。図1には、排出ロッド28が原位置にある状態が示されている。排出ロッド28の下端は、原位置において、図1に示された高さに位置する必要はなく、当該高さより上方又は下方に位置してもよい。
液体ブロー成形工程S3は、空気排出工程S2においてプリフォーム2の内部の空気の大部分が外部に排出された状態で行われるので、プリフォーム2の内部に加圧した液体Lを供給したときに当該液体Lが空気を巻き込むことがなく、これにより、液体入り容器Cの内部の液体Lへの空気の混入が抑制される。
液体ブロー成形工程S3が完了すると、次に、脱圧工程S4が行われる。図5に示すように、本実施形態では、脱圧工程S4においては、シール体26で縦流路24を開いた状態から、シール体26で縦流路24を閉じるためにシール体26を前進動作させながら、ポンプ34(加圧液体供給源33)を吸引方向に作動させることによって液体入り容器Cの内部の圧力を低下させる。
このような脱圧工程S4は、例えば、まず、シール体26で縦流路24を開いた状態のままでポンプ34を吸引方向に作動させ、それにより液体入り容器Cの内部の高圧状態を解消し、次に、シール体26の前進動作による液体供給路の内部圧力の増加を略相殺するようにポンプ34を吸引方向に作動させながら、シール体26を前進動作させて縦流路24を閉じることにより、行うことができる。このように、脱圧工程S4は、液体供給路を閉じるためのシール体26の前進動作による液体供給路の内部圧力の増加を略相殺するように、ポンプ34(加圧液体供給源33)を吸引方向に作動させることによって行うことができる。なお、縦流路24を閉じるためのシール体26の前進動作に伴って、液体入り容器Cの内部の高圧状態を徐々に解消するように、ポンプ34を吸引方向に作動させるようにしてもよい。
本実施形態では、脱圧工程S4は、液体入り容器Cの内部の高圧状態が解消されるように行われる。しかしこれに限らず、脱圧工程S4は、少なくとも、容器成形時(つまり液体ブロー成形工程S3の完了時)の液体入り容器Cの内部の圧力が低下するように行えばよい。なお、脱圧工程S4においては、気体供給路37は閉塞状態に維持される。
この脱圧工程S4によって液体入り容器Cの内部の圧力を低下させることで、その後のヘッドスペース形成工程S5において液体入り容器Cの内部から排出すべき液体Lの総量を低減し、ヘッドスペースHの形成効率を高めることができる。また、ヘッドスペース形成工程S5において液体入り容器Cの内部に加圧された気体をスムーズに導入することができ、この点でもヘッドスペースHの形成効率を高めることができる。
例えば、液体ブロー成形工程S3の完了時点での液体入り容器Cの内部の圧力は、+3MPa(ゲージ圧)とすることができる。また、このような高圧状態を、脱圧工程S4によって、液体供給路に設けられた第3液体配管圧力計35の検出値が-0.5MPa~+0.5MPa(より好ましくは、-0.1MPa~+0.1MPa)となるまで液体入り容器Cの内部の圧力を低下させることにより、解消することができる。
脱圧工程S4が完了すると、次に、ヘッドスペース形成工程S5が行われる。図6に示すように、本実施形態では、ヘッドスペース形成工程S5においては、排出ロッド28の排出口28a及び第1液体配管弁VL1を開き、ポンプ34(加圧液体供給源33)を吸引方向に作動させることによって、液体入り容器Cの内部から液体Lを排出口28aを通して排出するサックバックにより、液体入り容器Cの内部に所望の大きさのヘッドスペースHが形成される。このサックバックは、本実施形態では、排出口28aが液体入り容器Cの底部Ccに位置する状態で行われる。これにより、排出経路への空気の混入を抑制し、もって、液体供給路への空気の混入を抑制することができる。しかし、排出口28aを液体入り容器Cの底部Ccより上方に位置させた状態で、排出口28aから液体Lを吸い出すようにしても構わない。この場合でも、液体供給口23aより下方に位置する排出口28aを通して液中から液体Lを吸い出すことにより、液体供給口23aを通して液体Lを吸い出す場合よりも、液体供給路への空気の混入を抑制することができる。
また、本実施形態では、このポンプ34の吸引方向への作動による排出口28aを通したサックバックに要する時間を短縮するために、加圧気体による支援を行う。すなわち、ヘッドスペース形成工程S5においては、気体供給路37が閉塞状態から加圧状態に切替えられる。本実施形態では、前述した脱圧工程S4によって液体入り容器Cの内部の高圧状態が解消していることにより、気体供給路37を速やかに加圧状態に切替えて加圧気体を速やかに気体供給口23cから液体入り容器Cの内部に導入することができる。したがって、サックバックによる排出口28aからの液体Lの排出を速やかに支援し、ヘッドスペース形成工程S5の所要時間を効果的に短縮することができる。ポンプ34の吸引方向への作動と気体供給路37の加圧状態への切替えとは、どちらを先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
本実施形態では、ヘッドスペース形成工程S5が完了すると、ノズル上昇工程S6が行われる。ノズル上昇工程S6においては、図7に示すように、排出口28a及び第1液体配管弁VL1を閉じて排出ロッド28を上昇させ、原位置に戻す。また、気体供給路37を吸引状態とし、ブローノズル23からの液垂れを抑制し、ノズルユニット20を上昇させる(図7中の白抜き矢印等参照)。このとき、ノズルユニット20は、液体入り容器Cの内部が減圧されすぎないタイミングで上昇させることが好ましい。ノズルユニット20を上昇させてから気体供給路37を吸引状態にしてもよい。次いで、第4液体配管弁VL4を開き、ポンプ34(加圧液体供給源33)のプランジャー34bを吸引方向に作動させて(図7中の太線矢印参照)加圧液体供給源33を充填する(図7中の破線矢印参照)。そして、液体入り容器Cを金型10から取出し、図1に示す待機工程S1へと移行する。
本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記の実施形態の液体入り容器の製造方法で用いるノズルユニット20は、加圧方向と吸引方向との両方に作動可能な加圧液体供給源33と、加圧液体供給源33に接続されるとともにブローノズル23で終端する液体供給路と、液体供給路内のシール面23bに対する進退動作により液体供給路を開閉するシール体26と、を有するものであればよい。例えば、ノズルユニット20は、液体吸引源32に排出経路によって接続された排出口28aを有する排出ロッド28を有するものに限らない。
また、前記の実施形態の液体入り容器の製造方法は、ノズルユニット20と金型10とを用いて有底筒状のプリフォーム2から内容液を収容した液体入り容器を製造する液体入り容器の製造方法であって、ブローノズル23からプリフォーム2の内部に加圧液体供給源33によって加圧した液体Lを供給することにより、プリフォーム2を金型10の内面に沿った形状の液体入り容器Cに成形する液体ブロー成形工程と、シール体26で液体供給路を閉じるためにシール体26を前進動作させながら、加圧液体供給源33を吸引方向に作動させることによって液体入り容器Cの内部の圧力を低下させる脱圧工程と、を有するものであればよい。
例えば、前記の実施形態の液体入り容器の製造方法は、脱圧工程によって液体供給路を閉じた状態で、ブローノズル23より下方に位置する排出口28aを通して、液体吸引源32による吸引によって液体入り容器Cの内部から液体Lを排出することにより、液体入り容器CにヘッドスペースHを形成するヘッドスペース形成工程を有するものに限らない。また、前記の実施形態の液体入り容器の製造方法は、液体ブロー成形工程を開始するためにシール体26を後退動作させながら、加圧液体供給源33を加圧方向に作動させるものに限らない。また、前記の実施形態の液体入り容器の製造方法は、液体ブロー成形工程を開始するためのシール体26の後退動作による液体供給路の内部圧力の減少を略相殺するように、加圧液体供給源33を加圧方向に作動させるものに限らない。また、前記の実施形態の液体入り容器の製造方法は、液体ブロー成形工程より前にプリフォーム2の内部に液体Lを供給することにより、プリフォーム2の内部の空気を外部に排出させる空気排出工程を有するものに限らない。また、前記の実施形態の液体入り容器の製造方法は、脱圧工程において、液体供給路を閉じるためのシール体26の前進動作による液体供給路の内部圧力の増加を略相殺するように、加圧液体供給源33を吸引方向に作動させるものに限らない。