JP7347796B2 - 電子銃および電子機器 - Google Patents

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本発明は、電子銃および電子機器に関する。
高分解能かつ高輝度な観察画像を得るために、電子顕微鏡における電子銃や集束イオンビーム装置におけるイオン源には、先鋭化した針状物質が用いられ、種々の改良がされてきた。
このような先鋭化した針状物質を用いた電子源がある(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1によれば、カーボンナノチューブや希土類六ホウ化物ナノワイヤ等の針状物質(エミッタ)を導電性先端部材に取り付け、電子ビームの偏倚を小さくする技術がある。
しかしながら、特許文献1では、エミッタを設置後、真空を破ることなく電子ビームの照射位置をさらに調整することは困難であった。
特開2016-110748号公報
本発明の課題は、真空を破ることなく電子ビームの照射位置を調整するナノワイヤエミッタを備えた電子銃およびそれを用いた電子機器を提供することである。
本発明による電子銃は、電子ビームを端部より発するナノワイヤエミッタと、第1の球冠状のシェルと第2の球冠状のシェルとを備えるステージであって、前記第1の球冠状のシェルが前記ステージに固定されており、前記第2の球冠状のシェルが前記固定された第1の球冠状のシェルに対して摺動するよう重ねられており、前記重ねられた第1の球冠状のシェルと第2の球冠状のシェルの凹面側および凸面側は、それぞれ、真空および大気に晒され、前記ナノワイヤエミッタは、前記端部が前記凹面側になるように前記ステージに取り付けられる、ステージと、真空と大気とを仕切り、伸縮部を介して前記ステージを保持するハウジングとを備え、これにより上記課題を解決する。
前記第1の球冠状のシェルおよび前記第2の球冠状のシェルは、半径R(ただし、Rは、1mm≦R≦1000mmを満たす)の球の一部であってもよい。
前記第1の球冠状のシェルおよび前記第2の球冠状のシェルの下面は、半径a(ただし、aは、1mm≦a≦Rを満たす)の円であってもよい。
前記第1の球冠状のシェルおよび前記第2の球冠状のシェルの下面から側面までの高さhは、1mm≦H<2×Rを満たしてもよい。
前記伸縮部は、ベローズ形状を有してもよい。
前記ベローズ形状は、金属材料、ゴム系材料および熱可塑性エラストマー材料からなる群から選択される材料で形成されてもよい。
前記伸縮部は、真空下において、前記第1の球冠状のシェルと前記第2の球冠状のシェルとの間の圧迫力が0.1N以上10N以下の範囲を維持してもよい。
前記ステージは、前記第2の球冠状のシェルに取り付けられ、前記第2の球冠状のシェルの摺動を制御する4つのストリングスをさらに備えてもよい。
前記4つのストリングスは、前記第2の球冠状のシェルに等間隔で位置してもよい。
前記第1の球冠状のシェルと前記第2の球冠状のシェルとの間に潤滑剤をさらに含んでもよい。
前記ナノワイヤエミッタは、ランタン六ホウ化物(LaB)、炭化ハフニウム(HfC)、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブ、および、炭窒化ホウ素ナノチューブからなる群から選択される針状物質であってもよい。
冷陰極電界放出電子銃またはショットキー電子銃であってもよい。
本発明による電子機器は、上述の電子銃を備え、これにより上記課題を解決する。
前記電子機器は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型透過電子顕微鏡、オージェ電子分光器、電子エネルギー損失分光器、および、エネルギー分散型電子分光器からなる群から選択されてもよい。
本発明の電子銃は、ナノワイヤエミッタが取り付けられるステージとして、第1の球冠状のシェルに対して第2の球冠状のシェルが摺動するよう重ねらた第1および第2の球冠状のシェルを備えたステージを備え、そのステージがハウジングによって伸縮部を介して保持されているので、ナノワイヤエミッタの電子ビームを発する端部の旋回を可能にする。これにより、エミッタ設置後であっても、真空を破ることなく、電子ビームの微妙な照射位置を調整でき、ナノワイヤエミッタの表面を清浄に維持できる。
このような電子銃は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型透過電子顕微鏡、オージェ電子分光器、電子エネルギー損失分光器、エネルギー分散型電子分光器等の電子機器に採用され得る。
本発明の電子源を示す斜視図 図1のX-X’断面図 第1および第2の球冠状のシェルを拡大して示す図 別の第1および第2の球冠状のシェルを拡大して示す図 本発明の別の電子源を示す断面図 本発明のさらに別の電子源を示す断面図 本発明の電子源を用いたX軸方向の電子ビームの照射位置の調整方法を示す模式図 本発明の電子源を用いたY軸方向の電子ビームの照射位置の調整方法を示す模式図 実施例1の電子銃を用いた電子ビームの照射位置を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の符号を付し、その説明を省略する。
図1は、本発明の電子源を示す斜視図である。
図2は、図1のX-X’断面図である。
本発明の電子銃100は、電子ビームを端部より発するナノワイヤエミッタ110と、第1の球冠状のシェル120aと第2の球冠状のシェル120bとを備えるステージ130と、真空と大気とを仕切り、ステージ130を、伸縮部140を介して保持するハウジング150とを備える。
さらに、第1の球冠状のシェル120a(図1の上側の半球面)がステージ130に固定されており、第2の球冠状のシェル120b(図1の下側の半球面)が固定された第1の球冠状のシェル120aに対して摺動するよう重ねられている。ここで、重ねられた2つの第1および第2の球冠状のシェル120a、bの凹面側は真空に晒され、凸面側は大気に晒される。
ナノワイヤエミッタ110は、その端部が2つの重ねられた第1および第2の球冠状のシェル120a、bの凹面側になるように、ステージ130に取り付けられる。詳細には、ナノワイヤエミッタ110は、第2の球冠状のシェル120bの凹面側に後述する電極160と接続するよう取り付けられる。
ナノワイヤエミッタ110は、針状物質からなり、電子を放出できるものであれば、特に制限はないが、例示的には、ランタン六ホウ化物(LaB)、炭化ハフニウム(HfC)、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブ、および、炭窒化ホウ素ナノチューブからなる群から選択される針状物質が挙げられる。これらは、製造あるいは入手可能であり、電子源エミッタとして公知の材料である。
2つの重ねられた第1および第2の球冠状のシェル120a、bのうち第2の球冠状のシェル120b(図1の下側の半球面)が摺動するため、ナノワイヤエミッタ110の電子ビームを発する端部の旋回を可能にする。さらに、ステージ130は伸縮部140を介して保持されているため、真空を破ることなく電子ビームの照射位置の微妙な調整を可能にする。
なお、図1のY-Y’断面図は、図2と同様であるため、説明を省略する。
図3Aは、第1および第2の球冠状のシェルを拡大して示す図である。
図3Bは、別の第1および第2の球冠状のシェルを拡大して示す図である。
図3A、図3Bでは、分かりやすさのため、第2の球冠状のシェル120bの厚さを大きく、さらに、第1の球冠状のシェル120aと、第2の球冠状のシェル120bとは、離間して重なっているように示すが、実際には、第1の球冠状のシェル120bの厚さは薄く、実質的に離間なく重なっているものとする。また、第1の球冠状のシェル120aは、図3A、図3Bに示されるようにステージ130と一体であってもよい。
第1の球冠状のシェル120aおよび第2の球冠状のシェル120bは、いずれも、半径Rの球の一部である。これにより、第2の球冠状のシェル120bは、固定された第1の球冠状のシェル120aに対して容易に摺動する。半径Rは、好ましくは、1mm≦R≦1000mmを満たす。さらに好ましくは、半径Rは、5mm≦R≦100mmを満たす。
第1および第2の球冠状のシェル120a、120bの下面は、好ましくは、半径aの円であり、ここで、aは、1mm≦a≦Rを満たす。なお、Rが1mmの場合には、aは1mmとなる。この範囲であれば、第2の球冠状のシェル120bが固定された第1の球冠状のシェル120aに対して容易に摺動する。さらに好ましくは、aは、1mm≦a≦100mmを満たす。
第1および第2の球冠状のシェル120a、120bの下面から側面までの高さhは、好ましくは、1mm≦H<2×Rを満たす。この範囲であれば、第2の球冠状のシェル120bが固定された第1の球冠状のシェル120aに対して容易に摺動する。さらに好ましくは、Hは、1mm≦H≦100mmを満たす。なお、図3Aは、HがH≦Rの場合を模式的に示し、図3Bは、HがR<H<2×Rの場合を模式的に示す。
伸縮部140は、図1および図2に示すようにベローズ形状を有してもよい。これにより、伸縮を可能にする。ベローズ形状を形成する部材としては、金属材料、ゴム系材料、熱可塑性エラストマー材料を用いることができる。金属材料には、例えば、ステンレススチール、スチール等が挙げられる。ゴム系材料には、例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。熱可塑性エラストマー材料には、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
また、伸縮部140は、好ましくは、真空下において、第1の球冠状のシェル120aと第2の球冠状のシェル120bとの間の圧迫力が、0.1N以上10N以下の範囲を維持するよう機能する。これにより、真空下においても、第2の球冠状のシェル120bは、固定された第1の球冠状のシェル120aに対して容易に摺動する。
図4は、本発明の別の電子源を示す断面図である。
本発明の別の電子源400は、第1の球冠状のシェル120aと第2の球冠状のシェル120bとの間に潤滑剤410を含む以外は、図1および図2の電子源100と同じであるため、共通する要素の説明を省略する。潤滑剤410を含むことにより、第2の球冠状のシェル120bが固定された第1の球冠状のシェル120aに対してさらに容易に摺動する。このような潤滑剤410は特に制限はないが、例えば、シリコンスプレー、グラファイトスプレーが挙げられる。
図5、本発明のさらに別の電子源を示す断面図である。
さらに別の電子源500は、第2の球冠状のシェル120bに取り付けられ、第2の球冠状のシェル120bの摺動を制御する4つのストリングス510a~510dをさらに備える以外は、図1および図2の電子源100と同じであるため、共通する要素の説明を省略する。図5では、図1のX-X’断面図に相当するため、4つのストリングスのうち2本のストリングス510a、510bのみを示すが、図1のY-Y’断面図に相当する側にも同じく2本のストリングス510cおよび510dが位置することを理解されたい。すなわち、4つのストリングスは、第2の球冠状のシェル120bに90°ごと、すなわち等間隔で位置する。本願明細書において、ストリングスは、紐に限らず、剛性を有する棒状のものも意図する。
このようなストリングスを押したり/引いたりすることにより、第2の球冠状のシェル120bを、固定された第1の球冠状のシェル120aに対して高精度に摺動できる。すなわち、手動にて、あるいは、アクチュエータなどを介したコンピュータ制御にて、ストリングスを操作することにより、第2の球冠状のシェル120bを摺動できる。特に、コンピュータ制御をすれば、ナノワイヤエミッタ110からの電子ビームの照射位置をX軸方向および/またはY軸方向にマイクロメートルオーダ~ミリメートルオーダで高精度に制御できる。
当然ながら、図4の電子源400に図5のストリングス510a~510dを取り付けてもよい。
なお、電子銃100、400、500では、電極160を備えており、電極160が、引出電源(図示せず)および加速電源(図示せず)に接続されていてもよい。電子銃100、400、500は、さらに、引出電極(図示せず)および加速電極(図示せず)を備えており、ナノワイヤエミッタ110と引出電極との間、ナノワイヤエミッタ110と加速電極との間に電圧を印加できるようになっていてもよい。
電子銃100、400、500が冷陰極電界放出電子銃の場合には、電極160がフラッシュ電源に接続されてよく、ショットキー電子銃の場合には加熱電源に接続されてもよい。
次に、本発明の電子銃500を用いた電子ビームの照射位置の調整方法を説明する。
図6は、本発明の電子源を用いたX軸方向の電子ビームの照射位置の調整方法を示す模式図である。
図7は、本発明の電子源を用いたY軸方向の電子ビームの照射位置の調整方法を示す模式図である。
まず、ナノワイヤエミッタ110を設置し、電子銃500を真空状態にし、ナノワイヤエミッタ110からの電子ビームの初期状態の照射位置を確認する。ストリングス510a~510dが初期状態(すなわち、h=0)である電子銃500からの電子ビームを蛍光板に照射し、その際の発光位置を記録する。ここでは、照射位置610が初期状態の照射位置である。
この照射位置610をX軸とY軸とが交差する中心にするために、ストリングス510a~510dを使う。図6の右図に示すように、ストリングス510aが-h(mm)、ストリングス510bが+h(mm)シフトすると、照射位置610は、さらにX軸方向に移動し、照射位置620となる。この場合、ナノワイヤエミッタ110のX軸方向の傾斜角は、+Θxとなる。
一方、図6の左図に示すように、ストリングス510aが+h(mm)、ストリングス510bが-h(mm)シフトすると、照射位置610は、さらに-X軸方向に移動し、照射位置630となる。この場合、ナノワイヤエミッタ110のX軸方向の傾斜角は、-Θxとなる。
同様に、図7の右図に示すように、ストリングス510cが-h(mm)、ストリング510dが+h(mm)シフトすると、照射位置610は、さらにY軸方向に移動し、照射位置710となる。この場合、ナノワイヤエミッタ110のY軸方向の傾斜角は、+Θyとなる。
また、図7の左図に示すように、ストリングス510cが+h(mm)、ストリングス510dが-h(mm)シフトすると、照射位置610は、さらに-Y軸方向に移動し、照射位置720となる。この場合、ナノワイヤエミッタ110のY軸方向の傾斜角は、-Θyとなる。
これらのストリングス510a~510dのシフトを適宜組み合わせることにより、真空を破ることなく、初期状態の照射位置610をX軸とY軸とが交差する中心に移動できる。なお、シフト量(移動距離)とエミッタのX軸およびY軸方向への傾斜角とは、第1および第2の球冠状のシェル120a、bのサイズ(半径R、a、高さh等)によるが、予め移動距離と傾斜角との関係をメモリ等に格納しておけば、初期状態の照射位置610から中心までの距離を算出し、ナノワイヤエミッタ110から蛍光板までの距離を設定すれば、コンピュータ制御等により自動で電子ビームの照射位置を調整することもできる。
図6および図7では、移動距離をミリメートルオーダとしたが、マイクロメートルオーダとして、より高精度な制御も可能であることは言うまでもない。
図6および図7を参照して、ストリングス510a~510dを用いた高精度な電子ビームの照射位置の調整方法を説明したが、電子銃100、400を用いた場合も、第2の球冠状シェル120bを支持棒等の任意の手段にてシフトさせれば同様に、調整できる。
本発明の電子銃100、400、500は、真空下において、電子ビームの微妙な照射位置を調整するので、ナノワイヤエミッタ110の表面を清浄に保ち、高効率に電子ビームを収束できる。このような電子銃100、400、500は、電子集束能力を持つ任意の電子機器に採用される。例えば、このような電子機器は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型透過電子顕微鏡、オージェ電子分光器、電子エネルギー損失分光器、および、エネルギー分散型電子分光器からなる群から選択される。
次に、具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[実施例1]
図5の電子銃500を製造し、電子ビームの照射位置の調整を行った。ナノワイヤエミッタ110として、六ホウ化ランタン(LaB)を用いた。LaBは、例えば、特開2008-262794号公報に開示されるCVD法によって製造した。
得られたナノワイヤについてエネルギー分散型X線分光器(EDS)により組成分析し、LaBのナノワイヤであることを確認した。また、透過型電子顕微鏡によるHTREM像および制限視野電子回折図形から、LaBのナノワイヤは、いずれも単結晶であり、LaBの長手方向は、<100>の結晶方向に一致し、その端部は、{100}面、{110}面および{111}面を有することを確認した。LaBナノワイヤは、直径10nm~200nmおよび長さ1μm~30μmを有した。以降では、直径約100nmおよび長さ115μmを有するLaBナノワイヤを使用した。
第1および第2の球冠状のシェル120a、120bとして、半径Rが12mmの球の一部であり、下面の半径aが11mmであり、高さhが8mmであるステンレススチール製の球冠状のシェルを用いた。第1の球冠状のシェル120aと第2の球冠状のシェル120bとの間には潤滑剤としてグラファイトスプレーを用いた。第2の球冠状のシェル120bには、4つのストリングス510a~510dを設けた。
第1および第2の球冠状のシェル120a、120bをステージ130に取り付け、凹面側にナノワイヤエミッタ110を設置した。さらに、ステージ130は、ステンレススチール製のベローズである伸縮部140を介してハウジング150に保持されるようにした。ここで、ハウジング150に保持された、第2の球冠状のシェル120bの凹面側が、真空(真空度:10-8Pa)に晒され、ハウジングに保持された第1および第2の球冠状のシェル120a、120bの凸面側が大気に晒された。このとき、伸縮部140によって、第1の球冠状のシェル120aと第2の球冠状のシェル120bとの間の圧迫力が5Nに維持された。
このようにして得た電子銃の電極160を引出電源および加速電源に接続し、電子ビームの照射位置を調べ、調整を行った。詳細には、引出電圧350Vを印加し、次いで、引出電極の極性を反転させ、加速電圧350Vを印加し、電子ビームを蛍光板(ナノワイヤエミッタ110と蛍光板との距離:30mm)に照射させ、発光位置を記録した。結果を図8に示す。以降の操作はすべて真空を破ることなく行った。
さらに、4つのストリングス510a~510dをシフトさせた際の電子ビームのナノワイヤエミッタ110のX軸方向およびY軸方向の傾斜角および照射位置の移動距離を調べた。結果を表1および表2に示す。
図8は、実施例1の電子銃を用いた電子ビームの照射位置を示す図である。
図8はグレースケールで示されるが、明るく示される領域が電子ビームの照射位置であり、点線が交わる箇所が中心を表し、紙面に対して水平方向の点線がX軸、垂直方向の点線がY軸に相当する。図8(A)に示すように、実施例1の電子銃からの電子ビームは、初期状態では、蛍光板の中心からずれたところに照射された。
実施例1の電子銃のストリングス510a~510dを表1および表2に示すように、移動させたところ、ナノワイヤエミッタ110をX軸方向に-5°~5°傾斜し、-2.6mm~2.6mm移動し、Y軸方向に-5°~5°傾斜し、-2.6mm~2.6mm移動できることが分かった。
図8(A)の初期状態の照射位置の情報から、電子ビームの照射位置をX軸方向に-2.1mm、さらに、Y軸方向に-2.1mm移動させることにより、照射位置が中心となるはずである。そこで、表1および表2を参照して、ストリングス510aおよび510bをそれぞれ3mm、-3mm、ストリングス510cおよび510dをそれぞれ3mm、-3mm移動させた。
ストリングス510aおよび510bをそれぞれ3mm、-3mm移動させたところ、ナノワイヤエミッタ110がX軸方向に-4°傾斜した。このときの電子ビームの照射位置は、図8(B)に示すように、初期状態の照射位置(図8(A))からX軸方向に-2.1mm移動した。
さらに、ストリングス510cおよび510dをそれぞれ3mm、-3mm移動させたところ、ナノワイヤエミッタ110がY軸方向に-4°傾斜した。このときの電子ビームの照射位置は、図8(C)に示すように、図8(B)の照射位置からY軸方向に-2.1mm移動し、中心となった。
図示しないが、炭化ハフニウム(HfC)からなるナノワイヤエミッタ、および、カーボンナノチューブ(単層カーボンナノチューブ、Cheap Tube製))からなるナノワイヤエミッタを用いて、同様に電子銃を構築したところ、真空を破ることなく、電子ビームの照射位置を調整できることが分かった。
以上より、本発明のナノワイヤエミッタを用いた電子銃では、真空を破ることなく、電子ビームの照射位置を調整できることが示された。
本発明の電子銃を用いれば、ナノワイヤエミッタを設定し、チャンバ内を真空にした後であっても、真空を破ることなく電子ビームの照射位置を調整できるので、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型透過電子顕微鏡、オージェ電子分光器、電子エネルギー損失分光器、エネルギー分散型電子分光器等の電子集束能力をもつ任意の機器に採用される。
100、400、500 電子銃
110 ナノワイヤエミッタ
120a 第1の球冠状のシェル
120b 第2の球冠状のシェル
130 ステージ
140 伸縮部
150 ハウジング
160 電極
410 潤滑剤
510a、510b、510c、510d ストリングス
610、620、630、710、720 照射位置

Claims (13)

  1. 電子ビームを端部より発するナノワイヤエミッタと、
    第1の球冠状のシェルと第2の球冠状のシェルとを備えるステージであって、前記第1の球冠状のシェルが前記ステージに固定されており、前記第2の球冠状のシェルが前記固定された第1の球冠状のシェルに対して摺動するよう重ねられており、前記重ねられた第1の球冠状のシェルと第2の球冠状のシェルのうち前記第2の球冠状のシェルの凹面側は、真空に晒され、第1の球冠状のシェルと前記第2の球冠状のシェルの凸面側とは、大気に晒され、前記ナノワイヤエミッタは、前記端部が前記凹面側になるように前記ステージに取り付けられる、ステージと、
    真空と大気とを仕切り、伸縮部を介して前記ステージを保持するハウジングと
    を備え
    前記伸縮部は、真空下において、前記第1の球冠状のシェルと前記第2の球冠状のシェルとの間の圧迫力が0.1N以上10N以下の範囲を維持する、電子銃。
  2. 前記第1の球冠状のシェルおよび前記第2の球冠状のシェルは、半径R(ただし、Rは、1mm≦R≦1000mmを満たす)の球の一部である、請求項1に記載の電子銃。
  3. 前記第1の球冠状のシェルおよび前記第2の球冠状のシェルの下面は、半径a(ただし、aは、1mm≦a≦Rを満たす)の円である、請求項1または2に記載の電子銃。
  4. 前記第1の球冠状のシェルおよび前記第2の球冠状のシェルの下面から側面までの高さhは、1mm≦H<2×Rを満たす、請求項1~3のいずれかに記載の電子銃。
  5. 前記伸縮部は、ベローズ形状を有する、請求項1~4のいずれかに記載の電子銃。
  6. 前記ベローズ形状は、金属材料、ゴム系材料および熱可塑性エラストマー材料からなる群から選択される材料で形成される、請求項5に記載の電子銃。
  7. 前記ステージは、前記第2の球冠状のシェルに取り付けられ、前記第2の球冠状のシェルの摺動を制御する4つのストリングスをさらに備える、請求項1~6のいずれかに記載の電子銃。
  8. 前記4つのストリングスは、前記第2の球冠状のシェルに等間隔で位置する、請求項7に記載の電子銃。
  9. 前記第1の球冠状のシェルと前記第2の球冠状のシェルとの間に潤滑剤をさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の電子銃。
  10. 前記ナノワイヤエミッタは、ランタン六ホウ化物(LaB)、炭化ハフニウム(HfC)、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブ、および、炭窒化ホウ素ナノチューブからなる群から選択される針状物質である、請求項1~9のいずれかに記載の電子銃。
  11. 冷陰極電界放出電子銃またはショットキー電子銃である、請求項1~10のいずれかに記載の電子銃。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載の電子銃を備えた電子機器。
  13. 前記電子機器は、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型透過電子顕微鏡、オージェ電子分光器、電子エネルギー損失分光器、および、エネルギー分散型電子分光器からなる群から選択される、請求項12に記載の電子機器。
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