JP7346292B2 - 酵素阻害剤をアッセイするための汎用キャリブレーション方法 - Google Patents
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Description
本国際出願は、その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、2016年5月10日出願の仏国出願第1654148号の優先権を主張する。
本発明は、同じ酵素、例えば、血液凝固の酵素の阻害剤をアッセイするために用いる汎用キャリブレーション方法に関する。本発明は、生物試料中の酵素の阻害剤をアッセイするための方法におけるこの汎用キャリブレーションの使用にも関する。汎用キャリブレーションは、阻害剤を互いに比較することも可能にするので、本発明は、酵素を阻害できる化合物をスクリーニングするための方法における汎用キャリブレーションの使用にも関する。
- トロンビン発生の生理活性化物質である、組織因子、および
- トロンビンの活性化によってフィブリンへ変換される、フィブリノゲン
を伴う複雑な生理現象である。フィブリンの蓄積は、出血を止める血餅の形成につながる。血餅形成は、特に、多くの酵素およびそれらの阻害剤を伴う活性化と阻害との間のバランスによって調節される。活性化と阻害との間のこのバランスをくつがえすと、2つのタイプの疾患:血栓性疾患および出血性疾患、を誘発しかねない。これらの疾患のいずれか1つを診断すること、またはこれらの疾患を処置するために確立された治療法の働きを測定することを目標として、関与する酵素の1つまたはこの酵素の阻害剤の1つをアッセイすることが有益でありうる。
- 特に、被検試料の希釈、固有の試薬濃度および精密な測定点を伴う、概して、阻害剤のアッセイに固有の最適化手法、および
- 線形、多項式または対数であってよいキャリブレーション曲線の数学的回帰モデル
に基づく。
- キャリブレータ(典型的に、増加する濃度レベルのアッセイされる阻害剤を含んだ血漿)、および
- 一般に、低および高濃度レベルの阻害剤を含んだ品質管理
を備える。
a)酵素Eと、標識化され、酵素に特異的な基質Sとを含んだ複数の混合物の各々について定常状態における残留酵素活性を決定するステップであって、
- 酵素に特異的な基質は、検出可能な物理的特性を有する標識で標識化され、
- 混合物の各々において、基質は、酵素と比較して過剰に存在し、
- 混合物は、同じ初期基質濃度[S]0を含み、
- 混合物は、同じ総体積Vおよび同じ反応媒体MRを有し、
- 混合物は、最高初期酵素濃度が[E]0である、既知の減少する初期酵素濃度を有するか、または最高初期酵素活性がA0である、既知の減少する初期酵素活性を有し、
- 混合物の定常状態における残留酵素活性は、以下のステップ:
a1)既知の初期酵素濃度の、または既知の初期酵素活性の、および初期基質濃度[S]0の混合物を得るために、酵素Eの溶液と基質Sの溶液とを混合するステップ、
a2)標識の検出可能な物理的特性の値を測定し、曲線を得るために、この物理的特性の値を時間の関数として、グラフ上に、プロットするステップであって、曲線は、定常状態に対応する直線部分を有する、プロットするステップ、および
a3)a2)で得られた曲線の直線部分の勾配を算出するステップ
によって決定され、a3)で得られた勾配は、混合物の定常状態における残留酵素活性である、
残留酵素活性を決定するステップと、
b)ステップa)の混合物の各々について、混合物の初期酵素濃度を最高初期酵素濃度[E]0と比較して標準化することによって混合物の前記初期酵素濃度をパーセンテージとして表現された抗酵素活性へ変換するか、または混合物の初期酵素活性を最高初期酵素活性A0と比較して標準化することによって混合物の前記初期酵素活性をパーセンテージとして表現された抗酵素活性へ変換するステップと、
c)ステップb)で決定された抗酵素活性をステップa)で得られた定常状態における残留酵素活性の関数として、混合物ごとに、グラフ上に、プロットすることによって汎用キャリブレーション曲線を生成するステップと
を含む。
AntiEnzyme%=1-([E]/[E]0)、
によって算出され、初期酵素活性Aをもつ混合物については、パーセンテージとして表現された抗酵素活性は、式:
AntiEnzyme%=1-(A/A0)
によって算出される。
AntiEnzyme(%)は、パーセンテージとして表現された抗酵素活性であり、
vは、定常状態における残留酵素活性であり、
1/v0は、キャリブレーション曲線の勾配であり、v0は、阻害剤の不在下で観測された定常状態における残留活性である。
d1)各々が、阻害剤を既知の初期濃度で、酵素Eを初期濃度[E]0でまたは初期活性A0で、および酵素に特異的な標識化された基質Sを濃度[S]0で含んだ、少なくとも2つの標準化混合物について定常状態における残留酵素活性を決定するサブステップであって、
- 標準化混合物の各々において、酵素は、阻害剤と比較して過剰に存在し、
- 標準化混合物は、同じ体積V’および同じ反応媒体MRを有し、
- 混合物の定常状態における残留酵素活性は、以下のステップ:
d1’)阻害剤の既知の初期濃度をもつ標準化混合物を得るために、阻害剤を酵素Eの溶液および基質Sの溶液と混合するステップ、
d1’’)標識の検出可能な物理的特性の値を測定し、曲線を得るために、この物理的特性の値を時間の関数として、グラフ上に、プロットするステップであって、曲線は、定常状態に対応する直線部分を有する、プロットするステップ、および
d1’’’)d1’’)で得られた曲線の直線部分の勾配を算出するステップ
によって決定され、ステップd1’’’)で得られた勾配は、標準化混合物の定常状態における残留酵素活性である、
残留酵素活性を決定するサブステップと、
d2)標準化混合物の各々について、その混合物の抗酵素活性を標準化混合物についてステップd1’’’)で測定された定常状態における残留酵素活性から決定するために、汎用キャリブレーション方法のステップc)で得られた汎用キャリブレーション曲線を用いるサブステップと、
d3)各標準化混合物について、標準化混合物の阻害剤の初期濃度をステップd2)で決定された抗酵素活性の関数としてグラフ上にプロットすることによって、標準曲線またはチャートを生成するサブステップと
を含む。
- 阻害剤が可逆的な直接阻害剤であれば、標準曲線の式は、以下の式:
AntiEnzyme(%)は、抗酵素活性であり、
[I]0は、被検試料中に存在する阻害剤の濃度であり、
iおよびeは、阻害剤に固有の2つの固定された定数であり、
- 阻害剤が不可逆的な間接阻害剤であれば、標準曲線の式は、以下の式:
[I]0=e×AntiEnzyme(%)
であり、ここで、
AntiEnzyme(%)は、被検試料中における抗酵素活性であり、
[I]0は、試料中に存在する阻害剤の濃度であり、
eは、阻害剤に固有の固定された定数である。
1)体積がV’’で、阻害剤を含む生物試料のアリコート、酵素Eを初期濃度[E]0でまたは初期活性A0で、および酵素に特異的な標識化された基質Sを初期濃度[S]0で含んだ、反応媒体MRの被検混合物について定常状態における残留酵素活性を決定するステップであって、
- 酵素に特異的な基質は、検出可能な物理的特性を有する標識で標識化され、
- 被検混合物の定常状態における残留酵素活性は、以下のステップ:
i)初期酵素濃度[E]0の、または初期酵素活性のA0、および初期基質濃度[S]0の混合物を得るために、生物試料のアリコートを酵素Eの溶液および基質Sの溶液と混合するステップ、
ii)標識の検出可能な物理的特性の値を測定し、曲線を得るために、この物理的特性の値を時間の関数として、グラフ上に、プロットするステップであって、曲線は、定常状態に対応する直線部分を有する、プロットするステップ、および
iii)ステップii)で得られた曲線の直線部分の勾配を算出するステップ
によって決定され、ステップiii)で得られた勾配は、被検混合物の定常状態における残留酵素活性である、
残留酵素活性を決定するステップと、
2)生物試料の抗酵素活性を被検混合物について測定された定常状態における残留酵素活性から決定するために、請求項1~5のいずれか一項に請求されるようなキャリブレーション方法のステップc)で得られた汎用キャリブレーション曲線を用いるステップと
を含む。
3)請求項6~10のいずれか1つに請求されるようなキャリブレーション方法のステップd)で得られた阻害剤に固有のチャートを用いて、パーセンテージとして表現され、ステップ2)で得られた抗酵素活性を阻害剤の濃度へ変換するステップ
も含む。
- 患者からの生物試料中の直接経口抗凝血剤の量または濃度を、本発明のアッセイ方法を用いて、決定するステップと、
- この量または濃度を所定の閾値と比較するステップと、
- 直接経口抗凝血剤の量または濃度が所定の閾値を上回れば、出血リスクがあると見做すステップと
を含む。
- 患者に投与するための抗阻害剤化合物の量を患者からの生物試料中で測定された直接経口抗凝血剤の量または濃度の関数として決定するステップ
も含む。
1)体積がV’’’で、試験化合物を初期濃度[C]で、酵素Eを初期濃度[E]0でまたは初期活性A0で、および酵素に特異的な標識化された基質Sを初期濃度[S]0で含んだ、反応媒体MRの混合物について定常状態における残留酵素活性を決定するステップであって、
- 酵素に特異的な基質は、検出可能な物理的特性を有する標識で標識化され、
- 酵素は、混合物中に試験化合物と比較して過剰に存在し、
- 混合物の定常状態における残留酵素活性は、以下のステップ:
i)初期酵素濃度[E]0の、または酵素活性A0、初期基質濃度[S]0および試験化合物の濃度[C]の混合物を得るために、試験化合物を酵素Eの溶液および基質Sの溶液と混合するステップ、
ii)標識の検出可能な物理的特性の値を測定し、曲線を得るために、この物理的特性の値を時間の関数として、グラフ上に、プロットするステップであって、曲線は、定常状態に対応する直線部分を有する、プロットするステップ、および
iii)ステップii)で得られた曲線の直線部分の勾配を算出するステップ
によって決定され、ステップiii)で得られた勾配は、被検化合物の定常状態における残留酵素活性である、
残留酵素活性を決定するステップと、
2)試験化合物の抗酵素活性を混合物について測定された定常状態における残留酵素活性から決定するために、汎用キャリブレーション方法のステップc)で得られた汎用キャリブレーション曲線を用いるステップと、
3)ステップ2)で決定された試験化合物の抗酵素活性を酵素の標準的な阻害剤について濃度[C]で同じ条件下において決定された抗酵素活性と比較するか、またはステップ2)で決定された試験化合物の抗酵素活性を所定の閾値と比較するステップであって、試験化合物は、試験化合物の抗酵素活性が酵素の標準的な阻害剤の抗酵素活性より大きいかまたは試験化合物の抗酵素活性が所定の閾値より大きければ、酵素の阻害剤として同定される比較するステップと
を含む。
- 酵素E、
- 酵素に特異的な標識化された基質S、および
- 本発明によるスクリーニング方法を実行するための使用説明書
を備える第1のキット、ならびに生物試料中の酵素Eの阻害剤のうちの少なくとも1つをアッセイするための第2のキットであって、
- 酵素E、
- 酵素に特異的な標識化された基質S、
- 酵素の少なくとも1つの阻害剤、および
- 本発明によるアッセイ方法を実行するための使用説明書
を備える第2のキットに関する。
A.酵素阻害剤をアッセイするための従来の方法の基礎をなす原理
酵素の阻害剤をアッセイするための従来の方法は、少なくとも3つの要素を伴い、2つの生化学反応を互いに競合に持ち込む。3つの要素は、酵素(E)、試験された試料中の量または濃度を測定することが望まれる阻害剤(I)、および酵素に特異的な基質(S)であり、この基質が標識化される(一般に、標識化は、酵素反応が標識の放出をもたらし、その検出を可能にするように選ばれる)。2つの競合する生化学反応は、阻害剤による酵素の阻害反応および酵素とその基質との間の酵素反応である。
EおよびIは、先に定義されたような、酵素および阻害剤を示し、
ElIは、酵素と阻害剤との間で形成された不活性な複合体を示し、
ki+は、酵素と可逆的な阻害剤との間の会合定数であり、
ki-は、酵素と可逆的な阻害剤との間の解離定数である。
E、IおよびElIは、先に定義された通りであり、
kaは、酵素と不可逆的な阻害剤との間の会合定数である。
EおよびSは、先に定義されたように、酵素およびその標識化された基質を示し、
ElSは、酵素および基質によって形成された不安定な複合体を示し、
Pは、酵素による基質の触媒から生じた生成物を示し、
KMは、アンリ・ミカエリス・メンテン定数であり、
kcatは、酵素の触媒定数である。
E、I、S、KM、およびkcatは、先に定義された通りであり、
Aは、阻害剤と複合体AlIを形成する化合物であり、
konは、複合体AlIの会合定数であり、
koffは、複合体AlIの解離定数である。
kiは、酵素および阻害剤の会合定数である。
本発明は、酵素阻害剤を伴わないが、むしろ酵素のすべての阻害剤に共通の単一のキャリブレータ、すなわち、酵素それ自体を伴うキャリブレーション方法を提供する。本発明による汎用キャリブレーションの原理は、酵素の減少する初期濃度を含んだキャリブレーション試料について、定常状態における残留酵素活性を測定し、次に、得られた異なる対(残留酵素活性、初期酵素濃度)をグラフ上にプロットすることによってキャリブレーション曲線を生成することにある。これらの異なる対の回帰に関する式が、試験された試料について定常状態で測定された残留酵素活性を等価な酵素濃度へ変換することを可能にする。結果を等価な酵素濃度として提供するのではなく、むしろ本明細書では、パーセンテージで表現された、等価な抗酵素活性として結果が提供される。
a)酵素Eと、標識化され、酵素に特異的な基質Sとを含んだ複数の混合物の各々について定常状態における残留酵素活性を決定するステップであって、
- 酵素に特異的な基質は、検出可能な物理的特性を有する標識で標識化され、
- 混合物の各々において、基質は、酵素と比較して過剰に存在し、
- 混合物は、同じ初期基質濃度[S]0を含み、
- 混合物は、同じ総体積Vおよび同じ反応媒体MRを有し、
- 混合物は、最高初期酵素濃度が[E]0である、既知の減少する初期酵素濃度を有するか、または最高初期酵素活性がA0である、既知の減少する初期酵素活性を有し、
- 混合物の定常状態における残留酵素活性は、以下のステップ:
a1)既知の初期酵素濃度の、または既知の初期酵素活性の、および初期基質濃度[S]0の混合物を得るために、酵素Eの溶液と基質Sの溶液とを混合するステップ、
a2)標識の検出可能な物理的特性の値を測定し、曲線を得るために、この物理的特性の値を時間の関数として、グラフ上に、プロットするステップであって、曲線は、定常状態に対応する直線部分を有する、プロットするステップ、および
a3)a2)で得られた曲線の直線部分の勾配を算出するステップ
によって決定され、a3)で得られた勾配は、混合物の定常状態における残留酵素活性である、
残留酵素活性を決定するステップと、
b)ステップa)の混合物の各々について、混合物の初期酵素濃度を最高初期酵素濃度[E]0と比較して標準化することによって混合物の前記初期酵素濃度をパーセンテージとして表現された抗酵素活性へ変換するか、または混合物の初期酵素活性を最高初期酵素活性A0と比較して標準化することによって混合物の前記初期酵素活性をパーセンテージとして表現された抗酵素活性へ変換するステップと、
c)ステップb)で決定された抗酵素活性をステップa)で得られた定常状態における残留酵素活性の関数として、混合物ごとに、グラフ上に、プロットすることによって汎用キャリブレーション曲線を生成するステップと
を含む。
本発明による汎用キャリブレーション方法のステップa)は、キャリブレーションされる酵素と酵素に特異的な基質とを反応媒体MR中に含んだ複数のキャリブレーション混合物の各々について定常状態における残留酵素活性を決定することにある。「複数の混合物」は、少なくとも2個の異なる混合物、好ましくは少なくとも4個の異なる混合物、例えば4、5、6、7、8もしくは9個の異なる混合物、あるいは少なくとも10個の異なる混合物、例えば、10、11、12、13、14もしくは15個の異なる混合物、または15個より多い異なるキャリブレーション混合物を意味することが意図される。
酵素は、触媒特性をもつタンパク質または糖タンパク質である。本明細書に記載される汎用キャリブレーション方法は、その特異的な基質とともに、以下のタイプの酵素反応:
化学反応を触媒することが可能である前に、酵素は、初めにそれらの基質に結合しなければならない。「基質」および「酵素基質」という用語は、本明細書では同義で用いられる。それらの用語は、当分野で知られる意味を有し、酵素の作用を受けることが可能な任意の分子を示す。当業者は、キャリブレーション方法に用いられる基質がキャリブレーションの対象である酵素に特異的な基質でなければならないことを認識するであろう。当業者は、酵素の特異性が広いとき、すなわち、それがいくつかの基質を許容するときには、理想的な基質の選択が実際には酵素に対するこの基質の(測定の正確さを担う)特異性と、測定の感度および実用性に関連する解析上の制約との間の折衷であることも知っている。
本発明による方法に用いられるキャリブレーション混合物は、最高初期酵素濃度が[E]0である、既知の減少する初期酵素濃度を有する。代わりに、キャリブレーション混合物は、最高初期酵素活性がA0である、既知の減少する初期酵素活性を有する。
各キャリブレーション混合物は、初期基質濃度[S]0および既知の初期酵素濃度または既知の初期酵素活性をもつ混合物を得るために、基質溶液と酵素溶液とを混合することによって調製される。例えば、既知の濃度の酵素の同じ貯蔵濃度の系列希釈によって混合物を得ることが可能である。系列希釈液には、緩衝液または血漿(以下を参照)が用いられてよい。
- 初めに健康な生物試料を酵素溶液と混合し、次に、標識化された基質溶液を添加することによる(インキュベーションは、基質溶液の添加前に実行されてよい)か、
- または、初めに健康な生物試料を標識化された基質溶液と混合し、次に、酵素溶液を添加することによるか(インキュベーションは、酵素溶液の添加前に実行されてよい)
のいずれかで得られてよい。しかしながら、間接阻害剤の場合には、健康な生物試料が初めに過剰な酵素の溶液と混合されて、反応の平衡相(すなわち、すべての複合体AlIが酵素に固定された相)に達することを可能にするために混合物が十分な時間インキュベートされる。次に、インキュベーション期間の終わりに基質溶液が添加されて(実施例2を参照)、酵素反応を開始する。
阻害反応および酵素反応は、任意の適切な物理化学的実験条件(pH、温度、イオン強度など)下で実行されてよい。しかしながら、当業者は、すべてのキャリブレーション混合物の反応が(同じか、または実質的に同じ反応媒体中で実行されるのに加えて)同じ実験条件下で実行されなければならないことを認識するであろう。
先に示されたように、標識の検出可能な物理的特性における変化を時間の関数としてモニターすることが平衡状態の確立をモニターすることを可能にする。モニタリングは、標識の検出可能な物理的特性の値を時間の関数として測定することによって実行される。物理的特性を測定するために用いられる技術を標識の性質が決定する。したがって、標識が発色性標識であれば、物理的特性は、分光光度法によって測定されてよい光学濃度(または吸光度)であり、標識が蛍光性標識であれば、物理的特性は、分光蛍光法によって測定されるなどである。
本発明による汎用キャリブレーション方法のステップb)は、キャリブレーション混合物の各々について、混合物の初期酵素濃度を最高初期酵素濃度[E]0と比較して標準化することによって混合物の前記初期酵素濃度をパーセンテージとして表現された抗酵素活性へ変換することか、または混合物の初期酵素活性を最高初期酵素活性A0と比較して標準化することによって混合物の前記初期酵素活性をパーセンテージとして表現された抗酵素活性へ変換することにある。
AntiEnzyme(%)=1-([E]/[E]0)、またはAntiEnzyme(%)=1-(A/A0)
のうちの1つによって算出される。したがって、最高初期酵素濃度[E]0または最高初期活性A0を有する試料については、抗酵素活性AntiEnzyme(%)がゼロである。
本発明による汎用キャリブレーション方法のステップc)は、ステップb)で算出された抗酵素活性をステップa)で得られた定常状態における残留酵素活性の関数として、キャリブレーション混合物ごとに、グラフ上に、プロットすることによってキャリブレーション曲線を生成することにある。
AntiEnzyme(%)は、パーセンテージとして表現された抗酵素活性であり、
vは、定常状態で測定された残留酵素活性であり、
1/v0は、キャリブレーション曲線の勾配であり、v0は、試料中に存在する阻害剤の濃度がゼロであるときに観測される、定常状態で測定された残留酵素活性(すなわち、最大残留酵素活性)に対応する。
先に示されたように、キャリブレーション方法は、酵素の阻害剤のアッセイに用いることが意図されてよい。「酵素の阻害剤」または「酵素阻害剤」は、酵素に結合してその活性を減少させる任意の分子を示す。阻害剤は、可逆的または不可逆的であってよい。「可逆的な阻害剤」は、(例えば、水素結合、疎水性相互作用および/またはイオン結合を介して)酵素と非共有結合的に会合し、酵素を非永続的に不活性化する阻害剤を意味することが意図される。本明細書では、阻害剤Iが酵素と直接的に会合する場合に「可逆的な直接阻害剤」が言及され、阻害剤と生物試料中に存在する化合物との複合体AlIが酵素と会合する場合に「可逆的な間接阻害剤」が言及される。酵素の「不可逆的な阻害剤」は、少なくとも1つの共有結合を介して酵素と会合し、したがって、酵素と安定な複合体を形成し、それによって酵素を永続的に不活性化する阻害剤を意味することが意図される。阻害剤Iが酵素と直接的に会合する場合に「可逆的な直接阻害剤」が言及され、阻害剤と生物試料中に存在する酵素の自然阻害剤との複合体AlIが酵素と会合する場合に「可逆的な間接阻害剤」が言及される。
d1)各々が、阻害剤を既知の初期濃度で、酵素Eを濃度[E]0で、および酵素に特異的な標識化された基質Sを濃度[S]0で含んだ、少なくとも2つの標準化混合物について、定常状態における残留酵素活性を決定するステップであって、
- 標準化混合物の各々において、酵素は、阻害剤と比較して過剰に存在し、
- 標準化混合物は、同じ体積V’および同じ反応媒体MRを有し、
- 混合物の定常状態における残留酵素活性は、以下のステップ:
d1’)阻害剤の既知の初期濃度をもつ標準化混合物を得るために、阻害剤を酵素Eの溶液および基質Sの溶液と混合するステップ、
d1’’)標識の検出可能な物理的特性の値を測定し、曲線を得るために、この物理的特性の値を時間の関数として、グラフ上に、プロットするステップであって、曲線は、定常状態に対応する直線部分を有する、プロットするステップ、および
d1’’’)d1’’)で得られた曲線の直線部分の勾配を算出するステップ
によって決定され、ステップd1’’’)で得られた勾配は、標準化混合物の定常状態における残留酵素活性である、
残留酵素活性を決定するステップと、
d2)標準化混合物の各々について、その混合物の抗酵素活性を標準化混合物についてステップd1’’’)で測定された定常状態における残留酵素活性から決定するために、汎用キャリブレーション方法のステップc)で得られた汎用キャリブレーション曲線を用いるステップと、
d3)各標準化混合物について、標準化混合物の阻害剤の初期濃度をステップd2)で決定された抗酵素活性の関数としてグラフ上にプロットすることによって、標準曲線またはチャートを生成するステップと
を含む。
本発明によるキャリブレーション方法のステップd1)は、各々が、既知の濃度の阻害剤を含み、酵素Eを濃度[E]0(すなわち、キャリブレーション方法のステップa)~d)で用いられる最高初期酵素濃度と同一の濃度)で、または初期活性A0(すなわち、キャリブレーション方法のステップa)~d)で用いられる初期酵素活性と同一の活性)で、および基質Sを濃度[S]0(すなわち、キャリブレーション方法のステップa)~d)で用いられる初期基質濃度と同一の濃度)で含む、少なくとも2つの標準化混合物について定常状態における残留酵素活性を決定することにある。標準化混合物中には、酵素が阻害剤と比較して過剰に存在する(上記を参照)。
本発明によるキャリブレーション方法のステップd2)は、標準化混合物の各々について、その混合物の抗酵素活性を標準化混合物について測定された定常状態における残留酵素活性から決定するために、汎用キャリブレーション方法のステップc)で得られた汎用キャリブレーション曲線を用いることにある。これは、標準化混合物について測定された定常状態における残留酵素活性をグラフ上にプロットすることによって、および関連する抗酵素活性を決定することによって手作業で決定されてよい。代わりに、キャリブレーション曲線が直線であれば、標準化混合物の抗酵素活性は、キャリブレーション曲線の式、例えば、式1を用いて算出されてもよい。
本発明によるキャリブレーション方法のステップd3)は、各標準化混合物について、標準化混合物の阻害剤の初期濃度をステップd2)で決定された抗酵素活性の関数としてグラフ上にプロットすることによって、標準曲線またはチャートを生成することにある。
AntiEnzyme(%)は、抗酵素活性であり、
[I]0は、試料中に存在する阻害剤の濃度であり、
iおよびeは、各阻害剤に固有の2つの固定された定数である。
代わりのモデリング、例えば、多項式が用いられてもよい。
対(抗酵素活性、阻害剤の濃度)が決定された標準化試料に関して以下の式(「式3」)の線形回帰
を実行することによって得られ、
[I]0=e×AntiEnzyme(%)
ここで、
AntiEnzyme(%)は、抗酵素活性であり、
[I]0は、試料中に存在する阻害剤の濃度であり、
eは、各阻害剤に固有の固定された定数であり、
式3は、阻害剤の初期濃度が各々の標準化混合物における複合体Aの初期濃度以下である場合にのみ有効である。代わりのモデリング、例えば、多項式が用いられてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明による汎用キャリブレーション方法(およびさらにアッセイまたはスクリーニング方法)のいくつかのステップは、自動化診断デバイス上で実行される。好ましくは、本発明による汎用キャリブレーション方法(およびさらにアッセイまたはスクリーニング方法)のすべてのステップがかかる自動化デバイス上で実行される。例えば、本明細書に提示される実施例に記載されるように、本発明による汎用キャリブレーション方法およびアッセイまたはスクリーニング方法は、Stago社からのSTA-R(登録商標)Evolution Expert Series自動化デバイス上で実行される。かかる自動化デバイスは、試料を同時にロードし、混合およびインキュベーションを実行して、光学濃度を測定することを可能にする。これは、迅速で信頼性および再現性のあるキャリブレーションまたはアッセイ方法をもたらす。
先に示されたように、本発明による汎用キャリブレーション方法によって得られるキャリブレーション曲線は、酵素に固有であり、生物試料中の酵素の阻害剤をアッセイするため、およびスクリーニング方法において酵素を阻害できる化合物を同定するために用いられてよい。
生物試料中の酵素の阻害剤をアッセイするための方法は、以下のステップ:
1)体積がV’’で、阻害剤を含む生物試料のアリコート、酵素Eを初期濃度[E]0でまたは初期活性A0で、および酵素に特異的な標識化された基質Sを初期濃度[S]0で含んだ、反応媒体MRの被検混合物について定常状態における残留酵素活性を決定するステップであって、
- 酵素に特異的な基質は、検出可能な物理的特性を有する標識で標識化され、
- 被検混合物の定常状態における残留酵素活性は、以下のステップ:
i)初期酵素濃度[E]0の、または初期酵素活性のA0、および初期基質濃度[S]0の混合物を得るために、生物試料のアリコートを酵素Eの溶液および基質Sの溶液と混合するステップ、
ii)標識の検出可能な物理的特性の値を測定し、曲線を得るために、この物理的特性の値を時間の関数として、グラフ上に、プロットするステップであって、曲線は、定常状態に対応する直線部分を有する、プロットするステップ、および
iii)ステップii)で得られた曲線の直線部分の勾配を算出するステップ
によって決定され、ステップiii)で得られた勾配は、被検混合物の定常状態における残留酵素活性である、
残留酵素活性を決定するステップと、
2)生物試料の抗酵素活性を被検混合物について測定された定常状態における残留酵素活性から決定するために、汎用キャリブレーション方法のステップc)で得られた汎用キャリブレーション曲線を用いるステップと
を含む。
- パーセンテージとして表現された活性の形、これは、所与の酵素に関して、異なる阻害剤の作用を互いに比較することを可能にする汎用単位に相当する、か、
- あるいは、量または濃度の形(例えば、ng/ml)、これは、厳密な定量的単位に相当する、で、
アッセイすることを可能にする。
本発明によるアッセイ方法のステップ1)は、被検生物試料のアリコート、キャリブレーション方法に用いられるものと同じ酵素E、およびキャリブレーション方法に用いられるものと同じ標識化された特異的な基質Sを含んだ混合物について定常状態における残留酵素活性を決定することにある。被検混合物では、初期基質濃度が[S]0、すなわち、キャリブレーション方法に用いられるものと同じ濃度であり、初期酵素濃度が[E]0、すなわち、キャリブレーション方法に用いられる最高初期酵素濃度であるか、または初期酵素活性がA0、すなわち、キャリブレーション方法に用いられる最高初期酵素活性である。被検混合物では、基質が酵素と比較して過剰に存在し、酵素は、アッセイされる阻害剤と比べてそれ自体が過剰に存在する。
先に示されたように、本発明は、阻害剤の存在、例えば、治療用阻害剤によって処置された患者に由来する生物試料中のその治療用阻害剤の存在を定量化することが望ましい(先に定義されたような)任意の酵素に適用されてよい。
酵素阻害剤をアッセイするための方法は、生物試料、特に、患者に由来する生物試料に対して実行される。
- 血漿を迅速にデカントし、白血球および血小板の細胞層の上におよそ0.5cmの血漿を残すステップと、
- 溶血チューブまたはプラスチックチューブ中に血漿を回収するステップと、
- このチューブを再び18℃と22℃との間の温度の恒温遠心分離器において、2000~2500gの速度で15分間遠心分離するステップと、
- (細胞破片を含む)チューブの底部を取ることなく0.5~1mLの部分に等分するステップと、
- -70℃と-90℃との間、好ましくは-80℃で迅速に凍結させるステップと
にある。
被検混合物は、初期酵素濃度[E]0の、または初期活性A0、および初期基質濃度[S]0の混合物を得るために、阻害薬の性質に応じて決定される順序(上記を参照)で生物試料のアリコート(希釈ありまたはなし)を酵素Eの溶液および基質Sの溶液と混合することによって調製される。一般的に言って、汎用キャリブレーション方法に用いられるものと同一の任意の適切な物理化学的実験条件(pH、温度、イオン強度など)下で阻害反応と酵素反応とが競合に持ち込まれる。
本発明によるアッセイ方法のステップ2)は、生物試料の抗酵素活性を被検混合物について測定された定常状態における残留酵素活性から決定するために汎用キャリブレーション方法のステップc)で得られた汎用キャリブレーション曲線を用いることにあり、チャートを生成するための方法のステップd2)のように実行される。
アッセイ結果を阻害剤の量またはその濃度の形で得ることが望ましい場合には、アッセイ方法は、追加のステップ3)を含み、このステップは、パーセンテージとして表現され、ステップ2)で得られた抗酵素活性を、汎用キャリブレーション方法のステップd)で得られた、阻害剤に固有のチャート(または標準曲線)を用いて阻害剤の濃度へ変換することにある。
直接経口抗凝血剤(DOA)の分野では、本発明によるキャリブレーション/アッセイ方法は、過量投与を診断することを目標として、例えば、患者がそれらの薬用量を超過した場合、薬物相互作用の場合、処置を抗ビタミンK剤(VKA:antivitamin K medicament)から直接経口抗凝血剤へ変えた場合に、あるいは、外科的介入または侵襲的手技の前に、DOAによって処置された患者からの生物試料中のDOAをアッセイするために用いられてよい。確かに、例えば、DOAの投与を停止した後に、DOAのレベルが依然として高ければ、外科手術中の患者には出血のリスクがあり、その時にはDOAのレベルが減少するのを待つか、または解毒剤のアプローチを用いて、阻害剤の不利な点を打ち消すために患者に抗阻害剤化合物を投与するかのいずれかが必要である。
- 患者からの生物試料中の直接経口抗凝血剤の量または濃度を、本発明のアッセイ方法を用いて、決定するステップと、
- この量または濃度を所定の閾値と比較するステップと、
- 直接経口抗凝血剤の量または濃度が所定の閾値を上回れば、出血リスクがあると見做すステップと、
- 任意選択で、患者からの生物試料中で測定された直接経口抗凝血剤の量または濃度に応じて患者に投与するための抗阻害剤化合物の量を決定するステップと
を含む。
先に示されたように、本発明によるキャリブレーション方法は、キャリブレーションされる酵素のすべての阻害剤に共通の汎用単位である、抗酵素活性のパーセンテージとして表現された結果を得ることを可能にし、それによって酵素に対するこれらの阻害剤の阻害効果を比較することを可能にする。本発明によるキャリブレーション方法は、それゆえに、酵素の阻害剤を同定するためのスクリーニング方法に用いられてよい。
1)総体積がV’’’で、試験化合物を初期濃度[C]で、酵素Eを初期濃度[E]0でまたは初期活性A0で、および酵素に特異的に標識化された基質Sを初期濃度[S]0で含んだ、反応媒体MRの混合物について定常状態における残留酵素活性を決定するステップであって、
- 酵素に特異的な基質は、検出可能な物理的特性を有する標識で標識化され、
- 酵素は、混合物中に試験化合物と比較して過剰に存在し、
- 混合物の定常状態における残留酵素活性は、以下のステップ:
i)初期酵素濃度[E]0の、または酵素活性A0の、初期基質濃度[S]0のおよび試験化合物の濃度[C]の混合物を得るために、試験化合物を酵素Eの溶液および基質Sの溶液と混合するステップ、
ii)標識の検出可能な物理的特性の値を測定し、曲線を得るために、この物理的特性の値を時間の関数として、グラフ上に、プロットするステップであって、曲線は、定常状態に対応する直線部分を有する、プロットするステップ、および
iii)ステップii)で得られた曲線の直線部分の勾配を算出するステップ
によって決定され、ステップiii)で得られた勾配は、被検化合物の定常状態における残留酵素活性である、
残留酵素活性を決定するステップと、
2)試験化合物の抗酵素活性を混合物について測定された定常状態における残留酵素活性から決定するために、汎用キャリブレーション方法のステップc)で得られた汎用キャリブレーション曲線を用いるステップと、
3)ステップ2)で決定された試験化合物の抗酵素活性を酵素の標準的な阻害剤について濃度[C]で同じ条件下において決定された抗酵素活性と比較するか、またはステップ2)で決定された試験化合物の抗酵素活性を所定の閾値と比較するステップであって、試験化合物は、試験化合物の抗酵素活性が酵素の標準的な阻害剤の抗酵素活性より大きいかまたは試験化合物の抗酵素活性が所定の閾値より大きければ、酵素の阻害剤として同定される、比較するステップと
を含む。
本発明によるスクリーニング方法のステップ1)は、試験化合物、同じ酵素Eおよび酵素に特異的な標識化された基質Sを含む混合物について定常状態における残留酵素活性を決定するステップにあり、アッセイ方法のステップ1)と同様に実行される。
すでに示されたように、本発明は、例えば、ヒトまたは動物治療用阻害剤を開発することを目標として、阻害剤を同定することが有益な(先に定義されたような)任意の酵素に適用されてよい。したがって、本発明によるキャリブレーション/スクリーニング方法において、酵素は、同定された治療標的である。より具体的には、本発明によるキャリブレーション/スクリーニング方法において、酵素は、ヒドロラーゼ類の、リアーゼ類のまたはイソメラーゼ類のクラスに属し、治療標的として同定された任意の酵素であってよい。
本発明によるスクリーニング方法においては、任意のタイプの化合物が試験されてよい。したがって、試験化合物は、天然産物または合成品であってよく、単一分子かあるいは異なる分子の混合物または複合体であってもよい。
汎用キャリブレーションのステップa)についてまたはアッセイ方法のステップ1)について記載された操作条件は、スクリーニング方法のステップ1)に適用可能である。
本発明によるスクリーニング方法において、試験化合物は、試験化合物の抗酵素活性が酵素の標準的な阻害剤について同じ条件下で測定された抗酵素活性より大きいか、または試験化合物の抗酵素活性が所定の閾値より大きければ、酵素の阻害剤として同定される。
本発明によるスクリーニングプロセスの目標は、酵素を阻害し、臨床的な関心を担う化合物を同定することである。本発明によるスクリーニング試験は、その後に他の試験、例えば、酵素の他の既知の阻害剤と、および/または同じクラスに属する他の酵素と比較して実行される本発明による1つ以上のスクリーニング試験が続いてもよい。代わりにまたは加えて、本発明によるスクリーニング試験は、その後に細胞モデルまたは動物モデルに関するin vivo毒性研究が続いてもよい。試験化合物が酵素に対して阻害活性を有するとして同定されたときには、同定された試験化合物と比較して改善された特性を有する新しい基礎をなす阻害剤構造を同定することを目標として、構造-活性関連性研究が行われてもよい。
本発明は、本発明による方法を実行するために用いる装置を備えるキットも対象とする。特に、本発明は、酵素の阻害剤をアッセイするためのキットおよび酵素を阻害することが可能な化合物のスクリーニングのためのキットに関する。キットは、概して、所与の酵素について設計される。しかしながら、1つのキットが、1つより多い酵素について設計されてもよい。例えば、キットは、共有される生物学的機序に関与する少なくとも2つの酵素について、特に、血液凝固の少なくとも2つの酵素について設計されてもよい。キットは、アッセイ方法に用いることが意図されるときには、酵素の単一の阻害剤の場合に用いられるように設計されてもよい。代わりに、キットは、酵素のいくつかの異なる阻害剤(例えば、2つの異なる阻害剤または2つより多い異なる阻害剤)をアッセイするために設計されてもよい。そのうえ、キットは、阻害剤をアッセイするための方法に用いることが意図されるときには、単一のアッセイを可能にするようにも設計されてよい。あるいは、キットは、有限数のアッセイ、例えば、2回のアッセイまたは5回のアッセイまたは10回のアッセイまたは20回のアッセイまたは50回のアッセイなどを行うように設計されてもよい。
ビタミンK拮抗薬(VKA:vitamin K antagonist)は、経口で投与される抗凝血剤の歴史的に最初で唯一のクラスである。多くの食品および薬物相互作用を加えられ得る、このタイプの処置に対する患者の反応における大きな変動性は、多くの血液試料を患者から採取することを伴う、処置の定期的なin vitroモニタリングを必要とする。この所見は、理論的には、定期的なモニタリングを必要とせず、比較的少ない食品および薬物相互作用のみを有する、直接経口抗凝血剤(DOA)と呼ばれる抗凝血薬の新しいファミリーを製薬業界が開発することにつながった。抗凝血剤のこのファミリーは、2つのクラスに分けられる:
- 抗Xa、因子Xaの直接阻害剤、および
- 抗IIa、トロンビンの直接阻害剤。
- リバーロキサバン、Xarelto(登録商標)の名称でBayer/Janssen Pharmaceutical社が販売;
- アピキサバン、Eliquis(登録商標)の名称でBristol-Myers Squibb/Pfizer社が販売;および
- エドキサバン、Savaysa(登録商標)またはLixiana(登録商標)の名称でDaiichi Sankyo社が販売。
1.材料
血漿試料(Etablissement Francais du Sang,ラ・プレンヌ・サン・ドニ,フランス)は、凝血促進剤または抗凝血剤処置に従っていない健康な患者に由来した。2011年/01月、2012年/03月、2014年/04月、2014年/11月および2015年/02月付けの血漿の異なるプールを実験に用いた。血漿バッグからプールを作る前に、プロトロンビンレベル(PT:prothorombin level)の値、活性化物質によるセファリン時間(CTA:cephalin times with activator)、およびさらに凝血因子の濃度に一貫性があったことを検証するために試験を実行した。血漿バッグをその後に37℃で50分間解凍し、室温で30分間放置して安定化した。プールを作り、血漿を分割する前に153回転/分で35分間撹拌した。フラクションをおよそ-70℃で保存した。使用前に、それらを37℃で5分間解凍した。
抗Xa酵素アッセイ。比色分析によってカイネティクスを405nmでモニターし、パラニトロアニリド(pNA:para-nitroanilide)の放出を検出した。光学濃度(OD)を2秒ごとに測定した。3つの直接経口抗Xa抗凝血剤をアッセイするために、2つの手法:広い範囲の手法および狭い範囲の手法を最適化した。これは、広い範囲の手法が所望の範囲全体にわたって抗凝血剤をアッセイすることを可能にするためであるが、しかし、これらの抗凝血剤の低濃度の測定が高精度を必要とするので、狭い範囲の手法もそれゆえに開発した。
1.汎用キャリブレーション
図1は、それぞれ広い範囲および狭い範囲の手法で得た本発明による汎用キャリブレーションの例を提示し、結果を測定したOD/分の関数として抗Xa活性(%)で表現する。異なる実験点の線形回帰は、以下の式:
y=1.053-0.999x(R2=0.994)、およびy=1.034-1.081x(R2=0.996)
を与える。
図2は、3つの直接経口抗凝血剤(DOA)の各々について測定した抗Xa活性(%)をng/mlで表現した濃度へ変換することを可能にするチャートを示す。対(抗Xa活性、抗凝血剤の濃度)が既知の試料に関して式2の非線形回帰を実行することによって、これらのチャートを生成した。広い範囲の手法では、これらの非線形回帰は、それぞれ、リバーロキサバンについて0.997、アピキサバンについて0.995、およびエドキサバンについて0.993の決定係数R2を有する。狭い範囲の手法では、これらの非線形回帰は、それぞれ、リバーロキサバンについて0.993、アピキサバンについて0.997、およびエドキサバンについて0.992の決定係数R2を有する。これらすべての決定係数値が、開発した数学的モデルの妥当性を際立たせる。加えて、等しい濃度では、リバーロキサバンが最も高いin vitro抗Xa活性を有するのに対して、エドキサバンは、最も低い抗Xa活性を有し、これは、ng/mlで表現した濃度が抗XaDOAをアッセイするための汎用単位ではないことを確認する。
この節では、DOA(リバーロキサバン、アピキサバンおよびエドキサバン)で過負荷を与えた血漿のレベルのアッセイの結果を本発明による汎用キャリブレーション原理を用いて得て、理論的なレベルと比較した。結果は、線形回帰の勾配が0.9と1.1との間にあるとき、および決定係数R2が0.95以上であるときに満足するものであると考えられる。
この節では、ブランク上限(LoB)および測定検出限界(LoD)を汎用キャリブレーション原理を用いて広い範囲および狭い範囲の手法で得た。そのうえ、これらの値を狭い範囲の手法で改善するための方法を提案する。心覚えに、直接経口抗凝血剤(DOA)の処置を受けている患者に外科的介入を許容するための判定閾値は、(リバーロキサバンについての最小値として、Pernodら,Annales francaises danesthesie et de reanimation,2013,32(10):691-700)30ng/ml以下のレベルである。
広い範囲の手法(希釈=1/8)と狭い範囲の手法(希釈=1/2)との間の試料希釈値の差がマトリクス効果を誘起する。これを克服するための方法をここで提案する。このために、汎用キャリブレーションでは、試料をもはや緩衝液(OKB)中には希釈しないが、希釈係数を変えないまま血漿(Pool Norm)中に希釈する。図7は、試料を緩衝液中に希釈したときの汎用キャリブレーションの外観と試料を血漿中に希釈したときの汎用キャリブレーションの外観とを比較する。広い範囲の手法および狭い範囲の手法における実験点の線形回帰は、それぞれ、試料を緩衝液中に希釈したときに、直線の式:
y=1.053-0.999x、および
y=1.034-1.081x+
を与え、ならびに試料を血漿中に希釈したときには、直線の式:
y=1.022-1.173x、および
y=1.020-1.198x
を与える。
I.実験プロトコル
1.材料
実施例2における血漿試料(Etablissement Francais du Sang,ラ・プレンヌ・サン・ドニ,フランス)および試薬は、実施例1に用いたものと同じである。
抗Xa酵素アッセイ。実施例1におけるようにカイネティクスをモニターした。非分画ヘパリンおよび低分子量ヘパリンのアッセイのために手法を最適化した。二(2)μlの血漿をOKB中で100mlの最終体積に希釈した。100mlのF.Xaの存在下でマイクロキュベットを37℃で690秒間インキュベートした。予め37℃でインキュベートした、100mlの基質の添加によって測定フェーズをトリガーした。勾配を20秒と50秒との間で決定した。
1.汎用キャリブレーション
図9は、結果を、測定したOD/分の関数として抗Xa活性(%)で表現する汎用キャリブレーションを示す。異なる実験点の線形回帰は、式y=0.994-0.518x=(R2=0.996)を与える。このキャリブレーションの理論式を式1の直線が与える。得られた結果は、この式、すなわち、1に非常に近い決定係数と1に近いインターセプトポイントとをもつ線形回帰と完全に一致する。
図10は、ヘパリンの2つのファミリーの各々について、測定した抗Xa活性(%)をIU§/ml単位の濃度へ変換するために生成したチャートを提示する。対(抗Xa活性、抗凝血剤の濃度)が既知の試料に関して線形回帰を実行することによって、これらのチャートを生成した。実験点の線形回帰は、非分画ヘパリンについて直線の式y=2.354x-0.01569を与え、低分子量ヘパリンについて直線の式y=1.621x-0.028247を与えた。これらの式は、(ゼロに近いインターセプトをもつ直線であり)式2と完全に一致している。そのうえ、式3は、ヘパリン濃度がアンチトロンビン濃度以下であるときに理論的に妥当である。反対の場合に、ヘパリンが血漿アンチトロンビンを完全に飽和させるならば、ヘパリンは、もはや測定可能でない。図10のチャートでこの挙動を見ることができる。確かに、線形回帰は、非分画ヘパリンについて52.75%以下、および低分子量ヘパリンについて52.85%以下の抗Xa活性にのみ当て嵌まる。これらの値は、独立して決定したとはいえ、極めて一貫性がある。したがって、得られたすべての結果が本明細書において開発した数学的モデルの妥当性を確認する。
本発明による汎用キャリブレーション原理を用いて得た、非分画ヘパリンでおよび低分子量ヘパリンで過負荷を与えた血漿のレベルのアッセイの結果をここでは理論的なレベルとの比較によって提示する。結果は、線形回帰の勾配が0.9と1.1との間にあるとき、および決定係数R2が0.95以上であるときには満足するものであると考えられる。
Claims (15)
- 直接経口抗凝血剤で処置された患者における出血リスクを推定するための方法であって、前記方法は、以下のステップ:
- 前記患者からの生物試料中の直接経口抗凝血剤の量または濃度を、アッセイする方法を用いて、決定するステップと、
- この量または濃度を所定の閾値と比較するステップと、
- 直接経口抗凝血剤の量または濃度が前記所定の閾値を上回れば、出血リスクがあると結論するステップと
を含む、方法であって、
前記直接経口抗凝血剤は、リバーロキサバン、アピキサバン、及びエドキサバンから選択され、
前記アッセイする方法が、生物試料中の血液凝固の酵素Eの阻害剤をアッセイする方法であって、血液凝固の酵素Eの阻害剤が前記直接経口抗凝血剤であり、前記アッセイする方法が以下のステップ:
1)体積がV’’で、前記直接経口抗凝血剤を含む前記生物試料のアリコート、前記酵素Eを初期濃度[E]0でまたは初期活性A0で、および前記酵素に特異的な標識化された基質Sを初期濃度[S]0で含んだ、反応媒体MRの被検混合物について定常状態における残留酵素活性を決定するステップであって、
- 前記酵素に特異的な前記基質は、検出可能な物理的特性を有する標識で標識化され、
- 前記被検混合物の定常状態における前記残留酵素活性は、以下のステップ:
i)初期酵素濃度[E]0の、または初期酵素活性A0、および初期基質濃度[S]0の混合物を得るために、前記生物試料の前記アリコートを前記酵素Eの溶液および前記基質Sの溶液と混合するステップ、
ii)前記標識の前記検出可能な物理的特性の値を測定し、曲線を得るために、この物理的特性の値を時間の関数として、グラフ上に、プロットするステップであって、前記曲線は、定常状態に対応する直線部分を有する、前記プロットするステップ、
iii)ステップii)で得られた前記曲線の前記直線部分の勾配を算出するステップ
によって決定され、ステップiii)で得られた前記勾配は、前記被検混合物の定常状態における前記残留酵素活性である、
前記残留酵素活性を決定するステップと、
2)汎用キャリブレーション曲線を用いて、前記被検混合物について前記ステップ1)で決定された定常状態における前記残留酵素活性から、前記生物試料の抗酵素活性を決定するステップと、
3)パーセンテージとして表現され、ステップ2)で得られた前記抗酵素活性を前記経口抗凝血剤に固有の変換曲線またはチャートを用いて、前記経口抗凝血剤の量または濃度に変換するステップと、
を含み、
ステップ2)で用いられる前記汎用キャリブレーション曲線が、以下のa)~c)のステップ:
a)前記酵素Eと、前記基質Sとを含んだ複数の混合物の各々について定常状態における残留酵素活性を決定するステップであって、
- 前記混合物の各々において、前記基質は、前記酵素と比較して過剰に存在し、
- 前記混合物は、同じ初期基質濃度[S]0を含み、
- 前記混合物は、同じ総体積Vおよび同じ反応媒体MRを有し、
- 前記混合物は、最高初期酵素濃度が[E]0である、既知の減少する初期酵素濃度を有するか、または最高初期酵素活性がA0である、既知の減少する初期酵素活性を有し、
- 混合物の定常状態における前記残留酵素活性は、以下のa1)~a3)のステップ:
a1)既知の初期酵素濃度の、または既知の初期酵素活性の、および初期基質濃度[S]0の混合物を得るために、前記酵素Eの溶液と前記基質Sの溶液とを混合するステップ、
a2)前記標識の前記検出可能な物理的特性の値を測定し、曲線を得るために、この物理的特性の値を時間の関数として、グラフ上に、プロットするステップであって、前記曲線は、定常状態に対応する直線部分を有する、前記プロットするステップ、および
a3)ステップa2)で得られた前記曲線の前記直線部分の勾配を算出するステップ
によって決定され、ステップa3)で得られた前記勾配は、前記混合物の定常状態における前記残留酵素活性である、
前記残留酵素活性を決定するステップと、
b)ステップa)の前記混合物の各々について、前記混合物の初期酵素濃度を前記最高初期酵素濃度[E]0と比較して標準化することによって前記混合物の前記初期酵素濃度をパーセンテージとして表現された抗酵素活性へ変換するか、または前記混合物の初期酵素活性を前記最高初期酵素活性A0と比較して標準化することによって前記混合物の前記初期酵素活性をパーセンテージとして表現された抗酵素活性へ変換するステップと、
c)ステップb)で決定された前記抗酵素活性をステップa)で得られた定常状態における前記残留酵素活性の関数として、混合物ごとに、グラフ上に、プロットすることによって汎用キャリブレーション曲線を生成するステップと
を含むことにより得られ、
ステップ3)で用いられる前記変換曲線または前記チャートが、以下のステップd):
d)被検試料について決定された抗酵素活性を直接経口抗凝血剤の量または濃度に変換することを可能にする前記直接経口抗凝血剤に固有の変換曲線またはチャートを生成するステップ
により得られる、方法。 - 前記生物試料は、血液の、血漿の、多血小板血漿の、少血小板血漿の、あるいは血小板もしくは赤血球微粒子または任意のその他の細胞を含んだ血漿の試料である、請求項1に記載の方法。
- 前記生物試料は、少血小板血漿試料である、請求項2に記載の方法。
- 前記酵素は、凝固因子、カリクレインおよびプラスミン、因子IIa、因子Xaおよびプラスミンから選択された血液凝固の酵素である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記直接経口抗凝血剤は、可逆的な直接阻害剤、または不可逆的な直接阻害剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記体積V’’は、体積Vと同一である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
- ステップb)では、初期酵素濃度[E]をもつ混合物について、パーセンテージとして表現された前記抗酵素活性[AntiEnzyme % ]が、式:
AntiEnzyme%=1-([E]/[E]0)、
によって算出され、初期酵素活性Aをもつ混合物については、パーセンテージとして表現された前記抗酵素活性が、式:
AntiEnzyme%=1-(A/A0)
によって算出される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。 - ステップd)は、以下のサブステップ:
d1)各々が、前記直接経口抗凝血剤を既知の初期濃度で、前記酵素Eを前記初期濃度[E]0でまたは前記初期活性A0で、および前記酵素に特異的な標識化された基質Sを前記濃度[S]0で含んだ、少なくとも2つの標準化混合物について定常状態における前記残留酵素活性を決定するサブステップであって、
- 前記標準化混合物の各々において、前記酵素は、前記直接経口抗凝血剤と比較して過剰に存在し、
- 前記標準化混合物は、同じ体積V’および同じ反応媒体MRを有し、
- 混合物の定常状態における前記残留酵素活性は、以下のステップ:
d1’)前記直接経口抗凝血剤の既知の初期濃度をもつ標準化混合物を得るために、前記直接経口抗凝血剤を前記酵素Eの溶液および前記基質Sの溶液と混合するステップ、
d1’’)前記標識の前記検出可能な物理的特性の値を測定し、曲線を得るために、この物理的特性の値を時間の関数として、グラフ上に、プロットするステップであって、前記曲線は、定常状態に対応する直線部分を有する、前記プロットするステップ、および
d1’’’)d1’’)で得られた前記曲線の前記直線部分の前記勾配を算出するステップ
によって決定され、ステップd1’’’)で得られた前記勾配は、前記標準化混合物の定常状態における残留酵素活性である、
前記残留酵素活性を決定するサブステップと、
d2)前記混合物の前記抗酵素活性を前記標準化混合物についてステップd1’’’)で測定された定常状態における前記残留酵素活性から決定するために、前記標準化混合物の各々について、ステップc)で得られた前記汎用キャリブレーション曲線を用いるサブステップと、
d3)各標準化混合物について、前記標準化混合物の直接経口抗凝血剤の初期濃度をステップd2)で決定された前記抗酵素活性の関数としてグラフ上にプロットすることによって、標準曲線またはチャートを生成するサブステップと
を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。 - 前記体積V’は、体積Vと同一である、請求項9に記載の方法。
- 前記体積V’’は、体積V’と同一である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
- ステップd)は、前記標準曲線の式をステップd3)で前記グラフ上にプロットされた対(抗酵素活性、直接経口抗凝血剤の濃度)の回帰によって決定することにあるサブステップd4)も含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1~13のいずれか一項に記載の方法であって、以下のステップ:
- 前記患者に投与するための抗阻害剤化合物の量を前記患者からの生物試料中で測定された直接経口抗凝血剤の量または濃度の関数として決定するステップ
をさらに含む、方法。 - 前記直接経口抗凝血剤で処置された患者は、直接経口抗凝血剤の過量投与を受けた疑いがある患者であるか、もしくは処置を抗ビタミンK剤から前記直接経口抗凝血剤へ最近変えられた患者であるか、または外科的介入をまさに受けようとしている患者である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法の方法。
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