JP7345156B2 - 二本鎖形成によって19fケミカルシフトの変化を生じさせる方法 - Google Patents

二本鎖形成によって19fケミカルシフトの変化を生じさせる方法 Download PDF

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Description

本発明は、人工ヌクレオシドを塩基配列中に導入した修飾核酸を使用して、二本鎖形成の前後の比較において核磁気共鳴法によって検出可能な19Fケミカルシフトの変化を生じさせる方法に関する。
核酸の塩基配列の検出は、生命工学のあらゆる分野で使用される基本的な技術である。核酸の相補性による塩基配列の検出に特に有用であり、生命工学のあらゆる分野で使用可能な基本的な技術に、核酸の架橋技術がある。
核酸の光架橋技術として、本発明者の研究グループによって、光応答性塩基が開発され、特許出願が行われている(特許文献1)。この技術によれば、例えば、相補性による二本鎖の形成とそれに続く光架橋によって、所望の塩基配列の核酸を高感度に検出することができる。この検出には、例えば、蛍光標識、発色酵素標識などの手段が、適宜使用される。しかし、これらの手段は、生体内での計測には、必ずしも適したものではない。
生体内の様々な情報を得る手段の一つとして、NMR、MRIなど、核磁気共鳴法を用いたイメージング技術が挙げられる。核磁気共鳴法のターゲットとなる原子(分子)は主に1Hであり、水が生体内に多く存在し高い強度が得られることに由来する。核磁気共鳴法のターゲットとなるその他の原子としては、19F(フッ素19)が研究されている。フッ素19は天然存在比がほぼ100%であること、生体内にほとんど存在しないことなどが、利点として挙げられる。
このような事情のもとで、本発明者の研究グループによって、光応答性塩基によって形成される光架橋を19Fケミカルシフトの変化によって検出する技術が開発された(特許文献2)。この技術によれば、相補性による二本鎖の形成とそれに続く光架橋を、19Fケミカルシフトの変化によって検出することができる。
国際公開第2009/066447号 国際公開第2015/093485号
特許文献2に開示された検出技術は、光架橋形成を検出するために使用可能な優れた技術であるが、二本鎖形成を直接に検出する技術ではない。
したがって、本発明の目的は、二本鎖形成を検出するための、生体内での計測に適した、高感度な検出手段を、提供することにある。
本発明者は、鋭意研究の結果、フッ素含有人工ヌクレオシドを塩基配列中に導入した修飾核酸を使用して、この修飾核酸と二本鎖形成可能な核酸との間に、二本鎖を形成させると、二本鎖形成の前後の比較において核磁気共鳴法によって検出可能な顕著な19Fケミカルシフトの変化が生じることを見いだして、本発明に到達した。
19Fをターゲットとした核磁気共鳴法は、従来から研究されていたが、イメージング可能なほどに大きなケミカルシフトの変化を得ることは困難であったところ、本発明者は、特定のフッ素含有人工ヌクレオシドを塩基配列中に導入した修飾核酸を使用すると、これが核酸と同様に二本鎖形成を行って、その二本鎖形成の結果として、大きな19Fケミカルシフトの変化を生じさせることを見いだして、本発明に到達したものである。
(1)
次の式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシド:
(ただし、式Iにおいて、
R基は、
フッ素原子;
1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたC1~C4のフルオロアルキル基;
又は、
1個以上の水素原子が、フッ素原子、又は1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたC1~C4のフルオロアルキル基、で置換された、単環式、二環式又は三環式のフルオロアリール基であり、
Xは、酸素原子又は硫黄原子であり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-OH基、アミノ基、ニトロ基、メチル基、フッ化メチル基、エチル基、フッ化エチル基、及びC1~C3のアルキルスルファニル基からなる群から選択された基であり、
Yは、水素原子、糖(糖は、リボース、及びデオキシリボースを含む)、又はアルカノールアミンである)
を使用することによって、
式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドを塩基配列中に導入した修飾核酸と、該修飾核酸と二本鎖形成可能な核酸との間に、二本鎖を形成させて、二本鎖形成の前後の比較において核磁気共鳴法によって検出可能な19Fケミカルシフトの変化を生じさせる方法。
(2)
形成された二本鎖へ光照射して、修飾核酸中の式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドと、二本鎖形成した核酸中の光架橋可能な塩基とを光架橋させて、19Fケミカルシフトの変化を固定化する、(1)に記載の方法。
(3)
式IにおけるY基が、次の式Ya又は式Ybで表される基である、(1)~(2)のいずれかに記載の方法:
Ya:
(ただし、式Yaにおいて、
R11は、水素原子又は水酸基であり、
R12は、水酸基であり、
R13は、水酸基である); 又は、
Yb:
(ただし、式Ybにおいて、
R21は、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、
1は、水素原子であり、
2は、水素原子である)。
(4)
C1~C4のフルオロアルキル基が、
-Cn2n+1-mm
(ただし、nは1以上4以下の整数、mは1以上の整数、2n+1-mは0以上の整数である)
である、(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5)
C1~C4のフルオロアルキル基が、
-CF3、-CH2-CF3、又は-C(CF33である、(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(6)
(1)~(5)のいずれかに記載の方法によって、核磁気共鳴法によって検出可能な19Fケミカルシフトの変化を生じた、二本鎖核酸を製造する方法。
(7)
(1)~(5)のいずれかに記載の方法によって生じた19Fケミカルシフトの変化を核磁気共鳴法によって検出することによって、式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドを塩基配列中に導入した修飾核酸と、該修飾核酸と二本鎖形成可能な核酸との間の二本鎖形成を、検出する方法。
(8)
次の式Iの化合物:
(ただし、式Iにおいて、
R基は、
フッ素原子;
1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたC1~C4のフルオロアルキル基;
又は、
1個以上の水素原子が、フッ素原子、又は1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたC1~C4のフルオロアルキル基、で置換された、単環式、二環式又は三環式のフルオロアリール基であり、
Xは、酸素原子又は硫黄原子であり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-OH基、アミノ基、ニトロ基、メチル基、フッ化メチル基、エチル基、フッ化エチル基、及びC1~C3のアルキルスルファニル基からなる群から選択された基であり、
Yは、水素原子、糖(糖は、リボース、及びデオキシリボースを含む)、多糖類(多糖類は、核酸のポリリボース鎖、及びポリデオキシリボース鎖を含む)、ポリエーテル、ポリオール、アルカノールアミン、アミノ酸、ポリペプチド鎖(ポリペプチド鎖は、ペプチド核酸のポリペプチド鎖を含む)、又は水溶性合成高分子である)。
(9)
式IにおけるY基が、以下の(i)~(iv)に示される原子及び基からなる群から選択された基である、(8)に記載の化合物:
(i)水素原子;
(ii)次の式Yaで表される基:
(ただし、式Yaにおいて、
R11は、水素原子又は水酸基であり、
R12は、-O-Q1基であり、
R13は、-O-Q2基であり、
1は、
水素原子;
1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基;
からなる群から選択される基であり、
2は、
水素原子;
2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
2-シアノエチル-N,N-ジアルキル(C1~C4)ホスホロアミダイト基、メチルホスホンアミダイト基、エチルホスホンアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基、-PH(=O)OHのTEA塩、-PH(=O)OHのDBU塩、-PH(=S)OHのTEA塩、-PH(=S)OHのDBU塩;
からなる群から選択される基である);
(iii)次の式Ybで表される基:
(ただし、式Ybにおいて、
R21は、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、
1は、式YaのQ1として記載された基であり、
2は、式YaのQ2として記載された基である); 及び
(iv)次の式Ycで表される基:
(ただし、式Ycにおいて、
R31は、アミノ基の保護基、水素原子、又は、R31に結合するNHと一体となって形成されたペプチド結合によって結合されたポリペプチドを表し、
R32は、水酸基、又は、R32に結合するCOと一体となって形成されたペプチド結合によって結合されたポリペプチドを表し、
Lは、リンカー部、又は単結合である)。
(10)
C1~C4のフルオロアルキル基が、
-Cn2n+1-mm
(ただし、nは1以上4以下の整数、mは1以上の整数、2n+1-mは0以上の整数である)
である、(8)~(9)のいずれかに記載の化合物。
(11)
C1~C4のフルオロアルキル基が、
-CF3、-CH2-CF3、又は-C(CF33である、(8)~(9)のいずれかに記載の化合物。
(12)
(8)~(11)のいずれかに記載の式Iの化合物からなる、二本鎖形成検出剤。
(13)
二本鎖形成の前後の比較において核磁気共鳴法によって検出可能な19Fケミカルシフトの変化を生じさせる、(12)に記載の二本鎖形成検出剤。
本発明は、次の(21)以下を含む。
(21)
次の式Iによって表される化合物:
(ただし、式Iにおいて、R基、X、R1、R2、及びYは、上記(8)の式Iについて記載された基である)
を製造する方法であって、
次の式IIの化合物:
(ただし、式Iにおいて、R1及びR2は、それぞれ独立して、式IのR1及びR2として記載された基である)
へ、次の式IIIの化合物:
(ただし、式IIIにおいて、Rは、式IのRとして記載された基である)
を、有機溶媒と酸触媒の存在下でペヒマン縮合反応させて、次の式IVの化合物:
(ただし、式IVにおいて、
Rは、式IのRとして記載された基であり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、式IのR1及びR2として記載された基である)
を得る工程、を含む製造方法。
本発明によれば、二本鎖形成の前後の比較において核磁気共鳴法によって検出可能な19Fケミカルシフトの変化を生じさせることができる。本発明によれば、19Fケミカルシフトの変化の測定によって、二本鎖形成を高感度に検出することができる。
図1は、ヌクレオシドアナログ(TFPK)の合成のための合成経路(スキーム1)を示す図である。 図2は、TFPKを含むオリゴ核酸のMSスペクトルを示す図である。 図3Aは、光照射前(光照射時間0sec)におけるHPLCクロマトグラムである。 図3Bは、光照射後(光照射時間1200sec)におけるHPLCクロマトグラムである。 図4は、光架橋産物のMSスペクトルを示す図である。 図5は、DNA鎖状態の変化に伴うTFPK由来の19F-MRシグナルの変化を示す図である。 図6は、DNA等量比を変化させた際の19F-NMR測定結果を示す図である。 図7は、加熱によるDNA二本鎖状態変化時の19F-NMR測定結果を示す図である。 図8は、ヌクレオシドアナログ(TFPD)の合成のための合成経路(スキーム2)を示す図である。
具体的な実施の形態をあげて、以下に本発明を詳細に説明する。本発明は、以下にあげる具体的な実施他の形態に限定されるものではない。
19Fケミカルシフトの変化を生じさせる方法]
本発明の方法によれば、
次の式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシド:
を使用することによって、
式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドを塩基配列中に導入した修飾核酸と、該修飾核酸と二本鎖形成可能な核酸との間に、二本鎖を形成させて、二本鎖形成の前後の比較において核磁気共鳴法によって検出可能な19Fケミカルシフトの変化を生じさせることができる。
[式Iのフッ素含有人工ヌクレオシド中のR基]
式Iのフッ素含有人工ヌクレオシドにおいて、R基は、
フッ素原子;
1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたC1~C4のフルオロアルキル基;
又は、
1個以上の水素原子が、フッ素原子、又は1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたC1~C4のフルオロアルキル基、で置換された、単環式、二環式又は三環式のフルオロアリール基とすることができる。
好適な実施の態様において、上記R基として、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたC1~C4のフルオロアルキル基を使用することができる。このフルオロアルキル基としては、例えば、次の式:
-Cn2n+1-mm
(ただし、nは1以上4以下の整数、mは1以上の整数、2n+1-mは0以上の整数である)
で表される基である。
好ましいフルオロアルキル基としては、例えば、-CF3、-CH2-CF3、-C(CF33を挙げることができ、特に-CF3、又は-C(CF33が好ましい。
好適な実施の態様において、上記R基として、1個以上の水素原子が、フッ素原子、又は1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたC1~C4のフルオロアルキル基、で置換された、単環式、二環式又は三環式のフルオロアリール基を使用することができる。このフルオロアリール基としては、例えば、1個以上の水素原子が、フッ素原子、-CF3、-CH2-CF3、又は-C(CF33で置換された、フルオロフェニル基又はフルオロナフチル基を使用することができる。好ましいフルオロアリール基としては、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル基をあげることができる。
[式Iのフッ素含有人工ヌクレオシド中のX基]
式Iのフッ素含有人工ヌクレオシドにおいて、X基は、酸素原子又は硫黄原子とすることができ、好ましくは酸素原子とすることができる。
[式Iのフッ素含有人工ヌクレオシド中のR1及びR2]
式Iのフッ素含有人工ヌクレオシドにおいて、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-OH基、アミノ基、ニトロ基、メチル基、フッ化メチル基、エチル基、フッ化エチル基、及びC1~C3のアルキルスルファニル基からなる群から選択された基である。
好適な実施の態様において、ハロゲン原子としては、例えばBr、Cl、F、Iの原子をあげることができる。フッ化メチル基としては、例えば-CH2F、-CHF2、-CF3をあげることができる。フッ化エチル基としては、例えば-CH2-CH2F、-CH2-CHF2、-CH2-CF3、-CHF-CH3、-CHF-CH2F、-CHF-CHF2、-CHF-CF3、-CF2-CH3、-CF2-CH2F、-CF2-CHF2、-CF2-CF3をあげることができる。C1~C3のアルキルスルファニル基としては、例えば-CH2-SH基、-CH2-CH2-SH基、-CH(SH)-CH3基、-CH2-CH2-CH2-SH基、-CH2-CH(SH)-CH3基、-CH(SH)-CH2-CH3基をあげることができる。好適な実施の態様において、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、-NH2基、-OH基、-CH3基とすることができ、好ましくは、水素原子とすることができる。
好適な実施の態様において、R1を上述の基とすると同時にR2を水素原子とすることができる。
好適な実施の態様において、R1及びR2は、それぞれ独立に、式Iの左端の六員環において、窒素原子の結合する炭素原子をC1位と付番して、六員環の炭素原子を時計回りに順にC2位、C3位、C4位、C5位、C6位と付番した場合に、C2位、C3位、C4位、C5位のいずれかの位置の炭素原子の置換基とすることができる。好適な実施の態様において、R1及びR2は、それぞれC3位及びC4位の置換基とすることができる。好適な実施の態様において、R1をC3位の置換基とすると同時に、R2をC4位の水素原子とすることができる。
[式I’のフッ素含有人工ヌクレオシド]
好適な実施の態様において、式Iのフッ素含有人工ヌクレオシドは、次の式I’で表されるフッ素含有人工ヌクレオシドとすることができる:
ただし、式I’において、R、R1、X、及びYは、式Iにおいて述べた基を表す。
[式Iのフッ素含有人工ヌクレオシド中のY基]
好適な実施の態様において、式Iのフッ素含有人工ヌクレオシド中のY基は、水素原子、糖(糖は、リボース、及びデオキシリボースを含む)、又はアルカノールアミンとすることができる。
好適な実施の態様において、式Iのフッ素含有人工ヌクレオシド中のY基は、次の式Yaで表される基とすることができる。この場合に、式Iのフッ素含有人工ヌクレオシドは、次の式Vで表されるフッ素含有人工ヌクレオシドとなる:
Ya:
ただし、上記の式Iのフッ素含有人工ヌクレオシド中の式Yaにおいて、
R11は、水素原子又は水酸基であり、
R12は、水酸基であり、
R13は、水酸基である。
好適な実施の態様において、式Iのフッ素含有人工ヌクレオシド中のY基は、次の式Ybで表される基とすることができる。この場合に、式Iのフッ素含有人工ヌクレオシドは、次の式VIで表されるフッ素含有人工ヌクレオシドとなる:
Yb:
ただし、上記の式Iのフッ素含有人工ヌクレオシド中の式Ybにおいて、
R21は、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、
1は、水素原子であり、
2は、水素原子である。
好適な実施の態様において、式Ybに含まれる次の式Yb1:
で表される骨格構造を、次の式:
で表されるD-トレオニノール構造;
次の式:
で表されるL-トレオニノール構造; 又は、
次の式:
で表されるセリノール構造とすることができる。
[二本鎖形成]
式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドを塩基配列中に導入した修飾核酸と、該修飾核酸と二本鎖形成可能な核酸との間に、二本鎖を形成させると、この構造変化が核磁気共鳴法により測定される19Fケミカルシフトの変化が現れる。二本鎖形成可能な核酸としては、例えば、式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドを塩基配列中に導入した修飾核酸に対して、相補的な塩基配列を有する核酸をあげることができるが、二本鎖形成可能であれば完全に相補的な塩基配列であることを要しない。式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドと二本鎖形成可能な核酸の配列中において、式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドに対して相補的な位置に配置される塩基は、特に制約はなく、任意の塩基を配置することができる。好適な実施の態様において、二本鎖形成可能な核酸として、式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドに対して相補的な位置に配置される塩基以外の全ての塩基が、式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドを塩基配列中に導入した修飾核酸に対して、相補的な塩基配列を有する核酸をあげることができる。
19Fケミカルシフト]
生じた19Fケミカルシフトの変化は、核磁気共鳴法によって検出することができる。このために使用可能な手段、条件、装置等としては、公知の手段、条件、装置等を使用することができる。本発明によって生じる19Fケミカルシフトの変化は、従来技術による各種プローブでの19Fケミカルシフトの変化よりも、大きなものであるために、本発明は、高感度の19Fケミカルシフトイメージングを可能にするものとなっている。例えば、カリウムイオンを中心としてGuanine Quadruplex(グアニン四重鎖構造)として知られるDNAの高次構造をとらせることによって、DNAに結合させた19Fのケミカルシフトの変化を研究した報告があるが、従来のプローブによれば、この場合のΔppmは、0.15ppmとされており、本発明の19Fケミカルシフトの変化はこの77倍以上にあたる。本願の19Fケミカルシフトの変化は、例えば、2.0ppm以上、3.0ppm以上、4.0ppm以上、5.0ppm以上、6.0ppm以上、7.0ppm以上、8.0ppm以上であり、例えば、50ppm以下、40ppm以下、30ppm以下、20ppm以下、15ppm以下である。
19Fケミカルシフトの可逆性]
上記二本鎖形成は、可逆的なものであり、この可逆的な二本鎖形成に伴って、19Fケミカルシフトもまた、可逆的に変化する。したがって、19Fケミカルシフトの変化による二本鎖形成の検出は、その可逆性を利用して、同じプローブ分子(二本鎖形成検出剤)によって、繰り返し行うことができる。
[光架橋の形成]
式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドは、その塩基アナログ部分として、ピラノカルバゾール構造を備える。このピラノカルバゾール構造が、光反応によって架橋を形成することができる。好適な実施の態様において、形成された二本鎖に光照射すると、修飾核酸と、これと二本鎖形成した核酸との間に、光架橋を形成することができ、形成された二本鎖の鎖間を光架橋(光クロスリンク)による共有結合によって固定することができる。これによって、19Fケミカルシフトの検出をより確実にすることができる。この光架橋の形成は、可逆的であるから、その可逆性を利用して、同じプローブ分子(二本鎖形成検出剤)によって、繰り返し行うことができる。
この光架橋は、配列中でピラノカルバゾール構造部分が核酸塩基として位置する位置から配列中で1塩基分だけ5’末端側に位置する核酸塩基に対して、相補鎖中において塩基対を形成する位置にある核酸塩基と、ピラノカルバゾール構造との間に形成される。言い換えれば、この光架橋は、ピラノカルバゾール構造部分に対して、相補鎖中において塩基対を形成すべき位置にある核酸塩基から、配列中で1塩基分だけ3’末端側に位置する核酸塩基と、ピラノカルバゾール構造との間に形成される。
[光架橋の塩基特異性]
ピラノカルバゾール構造が光架橋を形成可能である相手方の塩基は、ピリミジン環を有する塩基である。一方で、ピラノカルバゾール構造は、プリン環を有する塩基とは光架橋を形成しない。すなわち、式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドのピラノカルバゾール構造は、天然の核酸塩基としては、シトシン、ウラシル、及びチミンに対して光架橋を形成し、一方で、グアニン及びアデニンに対しては光架橋を形成しないという、特異性を有している。
[光照射の波長]
好適な実施の態様において、光架橋のために照射される光の波長は、例えば350~600nmの範囲、好ましくは400~600nmの範囲、さらに好ましくは400~550nmの範囲、さらに好ましくは400~500nmの範囲、さらに好ましくは400~450nmの範囲とすることができる。好適な実施の態様において、これらの範囲の波長にある単波長のレーザー光を使用することができる。このように可視光域の波長の光照射によって、光架橋を形成することができる。従来の光反応性架橋剤では、これらの範囲よりも短波長の光照射を必要としていた。従来の光反応性架橋剤よりも長波長の光照射によって光架橋を形成できることから、光照射による核酸や細胞への悪影響を最小限とすることができる点で、有利である。
[光反応の温度]
好適な実施の態様において、光架橋反応を進行させるためには、一般に0~50℃、好ましくは0~40℃、さらに好ましくは0~30℃、さらに好ましくは0~20℃、さらに好ましくは0~10℃、さらに好ましくは0~5℃の範囲の温度で光照射を行う。
[光反応の時間]
好適な実施の態様において、光架橋は、極めて迅速に進行する。例えば、光反応性の化合物として知られるソラレンであれば数時間を要する(350nm光照射)ような場合に、それよりもはるかに長波長の光照射によって、例えばわずか100秒間~1500秒間(400nm光照射)で光反応が進行して光架橋する。
[光反応の条件]
好適な実施の態様において、光架橋は、光反応を利用しているために、pH、塩濃度などに特段の制約がなく、核酸類等の生体高分子が安定に存在可能なpH、塩濃度とした溶液中で、光照射によって行うことができる。
[式Iの化合物]
本発明は、次の式Iで表される新規な化合物にもある:
[式Iの化合物中のR基]
式Iの化合物中のR基として、式Iのフッ素含有人工ヌクレオシド中のR基を使用することができる。
[式Iの化合物中のX基]
式Iの化合物中のX基として、式Iのフッ素含有人工ヌクレオシド中のX基を使用することができる。
[式Iの化合物中のR1及びR2]
式Iの化合物中のR1及びR2として、式Iのフッ素含有人工ヌクレオシド中のR1及びR2を使用することができる。
[式I’の化合物]
好適な実施の態様において、式Iの化合物は、次の式I’で表される化合物とすることができる:
ただし、式I’において、R、R1、X、及びYは、式Iにおいて述べた基を表す。
[式Iの化合物中のY基]
好適な実施の態様において、式Iの化合物中のY基は、水素原子、糖(糖は、リボース、及びデオキシリボースを含む)、多糖類(多糖類は、核酸のポリリボース鎖、及びポリデオキシリボース鎖を含む)、ポリエーテル、ポリオール、アルカノールアミン、アミノ酸、ポリペプチド鎖(ポリペプチド鎖は、ペプチド核酸のポリペプチド鎖を含む)、又は水溶性合成高分子とすることができる。
好適な実施の態様において、式Iの化合物中のY基は、水素原子とすることができる。
[式Iの化合物中のY基としての式Yaで表される基]
好適な実施の態様において、式Iの化合物中のY基は、次の式Yaで表される基とすることができる。この場合に、式Iの化合物は、次の式Vで表される化合物となる:
Ya:
ただし、上記の式Iの化合物中の式Yaにおいて、及び上記の式Vの化合物において、
R11は、水素原子又は水酸基であり、
R12は、-O-Q1基であり、
R13は、-O-Q2基である。
上記Q1は、
水素原子;
1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基;
からなる群から選択される基とすることができる。
上記Q2は、
水素原子;
2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
2-シアノエチル-N,N-ジアルキル(C1~C4)ホスホロアミダイト基、メチルホスホンアミダイト基、エチルホスホンアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基、-PH(=O)OHのTEA塩、-PH(=O)OHのDBU塩、-PH(=S)OHのTEA塩、-PH(=S)OHのDBU塩;
からなる群から選択される基とすることができる。
2-シアノエチル-N,N-ジアルキル(C1~C4)ホスホロアミダイト基は、次の構造を有しており、
Figure 0007345156000026
上記ジアルキル基となるR基とR’基は、それぞれC1~C4のアルキル基とすることができる。このような2-シアノエチル-N,N-ジアルキル(C1~C4)ホスホロアミダイト基として、例えば、2-シアノエチル-N,N-ジメチルホスホロアミダイト基、2-シアノエチル-N,N-ジエチルホスホロアミダイト基、2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト基をあげることができる。
メチルホスホンアミダイト基は、次の構造を有しており、
Figure 0007345156000027
上記R基とR’基は、それぞれ水素原子又はC1~C4のアルキル基とすることができる。
エチルホスホンアミダイト基は、次の構造を有しており、
Figure 0007345156000028
上記R基とR’基は、それぞれ水素原子又はC1~C4のアルキル基とすることができる。
オキサザホスホリジン基は、次の構造を有しており、

上記の構造において、水素原子がC1~C4のアルキル基によって置換された置換体も含む。
チオホスファイト基は、次の構造を有しており、

上記の構造において、水素原子がC1~C4のアルキル基によって置換された置換体も含む。
-PH(=O)OHのTEA塩、-PH(=S)OHのTEA塩は、それぞれのトリエチルアミン(TEA)の塩である。
-PH(=O)OHのDBU塩、-PH(=S)OHのDBU塩は、それぞれのジアザビシクロウンデセン(DBU)の塩である。
好適な実施の態様において、Q1は、Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸とすることができる。
好適な実施の態様において、Q1は、上述の保護基とすることができ、好ましくは、ジメトキシトリチル基、トリチル基、モノメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基とすることができ、特に好ましくはジメトキシトリチル基とすることができる。
好適な実施の態様において、Q2は、Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸とすることができる。
好適な実施の態様において、Q2は、上述の保護基とすることができ、好ましくは、2-シアノエチル-N,N-ジアルキル(C1~C4)ホスホロアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基とすることができ、特に好ましくは2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト基とすることができる。
好適な実施の態様において、式Yaにおいて、R11を水素原子、R12を水酸基、R13を水酸基とすることができる。すなわち、Yは、デオキシリボースとすることができる。
好適な実施の態様において、式Yaにおいて、R11を水酸基、R12を水酸基、R13を水酸基とすることができる。すなわち、Yは、リボースとすることができる。
[式Iの化合物中のY基としての式Ybで表される基]
好適な実施の態様において、式Iの化合物中のY基は、次の式Ybで表される基とすることができる。この場合に、式Iの化合物は、次の式VIで表される化合物となる:
ただし、上記の式Iの化合物中の式Ybにおいて、及び上記の式VIの化合物において、
R21は、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、
1は、上記の式Iの化合物中の式YaのQ1として記載された基であり、
2は、上記の式Iの化合物中の式YaのQ2として記載された基である。
[式Iの化合物中のY基としての式Ycで表される基]
好適な実施の態様において、式Iの化合物中のY基は、次の式Ycで表される基とすることができる。この場合に、式Iの化合物は、次の式VIIで表される化合物となる:
ただし、上記の式Iの化合物中の式Ycにおいて、及び上記の式VIIの化合物において、
R31は、アミノ基の保護基、水素原子、又は、R31に結合するNHと一体となって形成されたペプチド結合によって結合されたポリペプチドを表し、
R32は、水酸基、又は、R32に結合するCOと一体となって形成されたペプチド結合によって結合されたポリペプチドを表し、
Lは、リンカー部、又は単結合である。
好適な実施の態様において、Lのリンカー部として、アルカンジイル基を使用することができる。アルカンジイル基としては、例えばC1~C3、好ましくはC1~C2のものを使用でき、特に好ましくはメチレン基、エチレン基とすることができる。
好適な実施に態様において、Lは、メチレン基、エチレン基又は単結合とすることができる。Lが単結合である場合とは、Lと結合するNとCとが単結合で結合している状態を言う。
アミノ基の保護基としては、アミノ基の保護基として公知の保護基をあげることができる。好適な実施の態様において、アミノ基の保護基として、フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)、tert-ブトキシカルボニル基(Boc)、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、及びアリルオキシカルボニル基(Alloc)からなる群から選択された保護基を使用することができる。
好適な実施の態様において、式Ycにおいて、R31を水素原子、R32を水酸基、Lを単結合とすることができる。すなわち、Yをアミノ酸とすることができる。
[二本鎖形成検出剤]
本発明は、上述した二本鎖形成の前後の比較において核磁気共鳴法によって検出可能な19Fケミカルシフトの変化を生じさせる方法を含み、核磁気共鳴法によって検出可能な19Fケミカルシフトの変化を生じた二本鎖核酸を製造する方法を含み、二本鎖形成を19Fケミカルシフトの変化によって検出する方法を含み、光架橋形成によって二本鎖を安定化して19Fケミカルシフトの変化によって検出する方法を含み、これらの方法に使用される二本鎖形成検出剤を含み、二本鎖形成検出プローブを含み、19F-NMR測定用二本鎖形成検出剤を含み、光架橋性19F-NMR測定用二本鎖形成検出剤を含み、これらを製造するために使用される合成中間体、修飾核酸製造用試薬を含む。
[修飾核酸製造用試薬]
好適な実施の態様において、式Iの化合物は、リン酸ジエステル結合を介して核酸中に導入して、二本鎖形成検出剤として使用可能な修飾核酸を製造するために使用できる。すなわち、式Iの化合物は、修飾核酸製造用試薬とすることができる。修飾核酸製造用試薬とするためには、公知の核酸合成手段によって使用可能な試薬の形態とすればよく、例えばホスホロアミダイト法、及びH-ホスホネート法によって使用可能な修飾核酸合成用試薬(修飾核酸合成用モノマー)とすることができる。
[式Iの化合物の製造方法]
式Iの化合物の製造は、次の式IIの化合物:
(ただし、式Iにおいて、R1及びR2は、それぞれ独立して、式Iの化合物のR1及びR2として記載された基である)
へ、次の式IIIの化合物:
(ただし、式IIIにおいて、R基は、式Iの化合物のR基として記載された基である)
を、有機溶媒と酸触媒の存在下でペヒマン縮合反応させて、次の式IVの化合物:
(ただし、式IVにおいて、
R基は、式Iの化合物のR基として記載された基であり、
R1及びR2は、それぞれ独立して、式Iの化合物のR1及びR2として記載された基である)
を得る工程、を含む方法によって、製造することができる。
[ペヒマン縮合反応]
好適な実施の態様において、式IIの化合物へ、式IIIの化合物を、ペヒマン縮合反応させて、式IVの化合物が合成される。ペヒマン縮合反応によって、環が形成されて、3環構造から4環構造となっている。好適な実施の態様において、ペヒマン縮合反応は、有機溶媒と酸触媒の存在下で、加熱して行われる。有機溶媒としては、好ましくはC1~C3のアルコール、さらに好ましくはエタノールが使用できる。酸触媒としては、好ましくは硫酸触媒が使用される。加熱の温度としては、例えば70℃以上、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは85℃以上の温度へと加熱される。このペヒマン縮合反応によって、式IVの化合物を、極めて高い収率で、極めて短時間で合成することができ、これによって式Iの化合物を飛躍的に効率よく合成することができるものとなっている。
なお、式IVの化合物は、式IにおけるYが水素原子となっている。このYの位置の水素原子を、公知の手段によって置換して、式IにおけるYとして述べられた基とすることができる。すなわち、ペヒマン縮合反応させる工程の後に、式IVの化合物のNH基のHを、Yへ置換して、式Iの化合物を調製する工程、を行うことができる。ただし、式IのYが水素原子である場合には、このような置換の工程は当然に必要がない。
以下に実施例をあげて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下に例示する実施例に限定されるものではない。
[ヌクレオシドアナログ(TFPK)の合成]
図1は、ヌクレオシドアナログ(TFPK)の合成のための合成経路(スキーム1)を示す。このスキーム1の合成経路に沿って、光応答性人工ヌクレオシドアナログ分子(ヌクレオシドアナログ、あるいは光反応性素子又は光架橋素子ということがある)(TFPK)を合成し、さらに修飾核酸合成モノマーを合成し、これを導入した修飾DNAを合成した。各工程の詳細は後述して説明する。
スキーム1の各合成ステップにおいて、(f)~(j)の条件はそれぞれ次の通りである。r.t.は室温を意味する。
(f) Ethyl 4,4,4-Trifluoroacetoacetate,H2SO4,EtOH,90℃,24h,
(g) KOH,TDA-1,Chlorosugar,CH3CN,r.t.,8h
(h) NaOCH3,CH3OH,CHCl3,r.t.,10h.
(i) DMTrCl,DMAP,Pyridine,r.t.,24h.
(j) (iPr2N)2PO(CH22CN,tetrazole,CH3CN,r.t.,4h.
[化合物7の合成]
ナスフラスコに化合物1(1.00g,5.46mmol)、Ethyl 4,4,4-Trifluoroacetoacetate(878μL,6.01mmol)、EtOH(4mL)を入れ、氷上で攪拌した。そこに、conc.H2SO4(4mL)を滴下した。その後、90℃で24時間攪拌した。TLC(CHCl3:MeOH=9:1)で原料の消失を確認した。冷水を攪拌し、そこに反応溶液を滴下し沈殿物を生成させた。沈殿物を濾過し残渣を得たところでアセトンに溶解しクロロホルムを加え、再結晶を行った。再結晶で得られた化合物を濾過しクロロホルムで洗浄後、乾燥させ化合物7(163mg,0.541mmol,10%)を得た。
1H-NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 11.83(s, 1H), 8.43(s, 1H), 8.32(d, 1H, J = 7.72 Hz), 7.56-7.53 (m, 2H), 7.48(t, 1H, J = 7.54 Hz), 7.26(t, 1H, J = 7.42 Hz) SALDI-MS : Calc’d for C16H9F3NO2 [M + H]+ = 304.0580, Found 304.0584.
1H-NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 11.64(s, 1H), 8.53(s, 1H), 8.25(d, 1H, J = 7.68 Hz), 7.53 (d, 1H, 8.00 Hz), 7.44(t, 1H, J = 7.56 Hz), 7.40(s, 1H), 7.24(t, 1H, J = 7.36 Hz), 6.26(s, 1H), 2.59(s, 3H) SALDI-MS : Calc’d for C16H11NNaO2 [M + Na]+ = 272.0681, Found 272.0682.
[化合物8の合成]
化合物7(163mg,0.541mmol)、KOH(117mg,4.87mmol)を加えN2置換した。CH3CN(25mL)、TDA-1(125μL)を加え攪拌した。30分後、Chlorosugar(525mg,1.35mmol)を添加し、室温で8時間攪拌した。TLC(CHCl3)で確認し反応停止させた。吸引濾過で沈殿物を除き、濾液をエバポレーターによって溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィー(CHCl3)によって精製し、黄色粘性液体(333mg,0.509mmol,yield 94%)を得た。
1H-NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 8.49 (s, 1H), 8.40(d, 1H, 7.72 Hz), 8.05(s, 1H), 8.02(d, 1H, 4.24 Hz), 7.96(d, 2H, J = 8.16 Hz), 7.92-7.89(m, 1H), 7.88-7.84(m, 1H), 7.79(dd, 2H, 5.28 Hz), 7.28(d, 1H, 8.00 Hz), 7.36(d, 3H, 8.12 Hz), 7.23(d, 1H, 8.16 Hz), 7.26-7.21(m, 1H), 6.95(s, 1H), 5.86-5.82(m, 1H), 4.81-4.78(m, 1H), 4.59-4.56(m, 1H), 4.50-4.43(m, 1H), 3.14-3.06(m, 1H), 2.39(s, 6H) SALDI-MS : Calc’d for C37H28F3NNaO7 [M + Na]+ = 678.1710, Found 678.179.
[化合物9の合成]
化合物8(333g,0.509mmol)が入ったナスフラスコにMeOH(40mL)、CHCl3(30mL)を加えNaOMe(1.00g)添加し6時間室温で攪拌した。その後、エバポレーターによって溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=9:1)で精製した。精製後、乾燥し化合物9(278mg,0.663mmol,yield~100%)を得た。
1H-NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 8.47 (s, 1H), 8.40(d, 1H, 7.60 Hz), 8.08(s, 1H), 7.85(d, 1H, 8.32 Hz), 7.52(t, 1H, J = 7.70 Hz), 7.33(t, 1H, J = 7.36 Hz), 6.93(s, 1H), 6.73(dd, 1H, J = 7.46 Hz), 5.43(d, 1H, 4.48 Hz), 5.20(t, 1H, 5.02 Hz), 4.53-4.50(m, 1H), 3.91(dd, 1H, J = 5.38 Hz), 3.78(dd, 1H, J = 6.88 Hz), 3.74(s, 1H), 2.65-2.58(m, 1H), 1.06(t, 1H, J = 6.98 Hz) SALDI-MS : Calc’d for C21H16F3NNaO5 [M + Na]+ = 442..0873, Found 442.0878.
[化合物10の合成]
ナスフラスコに化合物9(278mg,0.663mmol)、DMAP(10.0mg,0.0663mmol)を加えN2置換後、Dry Pyridine(8ml)を氷浴上で加えた。DMTrCl(270mg,0.796mmol)を入れた。その後、室温で24時間攪拌した。TLC(CHCl3:MeOH=9:1)で原料の消失を確認後、反応溶液をエバポレーターで濃縮した。Tolueneで数回共沸させた。その後、カラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=19:1)により精製し白色粉末(178mg,0.247mmol,yield 37%)を得た。
1H-NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 8.50 (s, 1H), 8.41(d, 1H, 7.32 Hz), 8.32(s, 1H), 7.86(d, 1H, 87.92 Hz), 7.81(s, 1H), 7.41(t, 2H, J = 9.48 Hz), 7.34-7.20(m, 10H), 6.95(s, 1H), 6.92(d, 2H, J = 8.80 Hz), 6.83(t, 3H, 8.88 Hz), 5.50(t, 1H, 4.80 Hz), 4.56-4.52(m, 1H), 4.03(dd, 1H, J = 8.10 Hz), 3.74(s, 6H), 2.75-2.68(m, 1H), 2.28-2.21(m, 1H) SALDI-MS : Calc’d for C42H34F3NNaO7 [M + Na]+ = 744.218, Found 744.2191.
[化合物11の合成]
ナスフラスコ中の化合物10(50.0mg,0.0693mmol)にCH2Cl2(1.50mL)をN2下で加えた。その後、0.25M Tetrazole(278μL,0.0762mmol)、(iPr2N)2PO(CH22CN(43.9μL,0.134mmol)を滴下し室温1時間攪拌した。TLC(CHCl3:MeOH=9:1)で反応を確認し、攪拌を停止させた。反応溶液を分析漏斗に移し、NaClaqで数回洗浄した。そしてNa2SO4で有機層を乾燥させ、エバポレーターによって溶媒を除去し化合物11(21mg,0.0232mmol,33.5%)を得た。
TFPKを含むオリゴ核酸の合成]
オリゴ合成機を用いて次の配列(5’-TGCAXCCGT-3’,X=TFPK)を合成した。反応終了後、28%アンモニア水(1mL)を用いて、30min切り出しを行い(2回)、その後65℃で4h脱保護を行った。その後、スピードバックで溶媒を留去し、精製水100μLに溶かし、HPLCによって精製を行った。その後MALDI-TOF-MSによる解析を行い目的物の同定を行った。図2にTFPKを含むオリゴ核酸のMSスペクトルを示す。
Calc’d for [M + H]+ = 2866.500, Found 2866.252.
TFPKを含むオリゴ核酸の光架橋の検討]
[光架橋反応]
100μM ODN1(5’-TGCAXCCGT-3’,X=TFPK)、100μM ODN2(5’-ACGGGTGCA-3’)、50μM deoxyuridine、100mM NaClを含む50mMカコジル酸buffer(pH7.4)をアニーリングし、4℃で静置した。その後、UV-LED(OmniCure,LX405-S)を用いて400nmの光照射を4℃で1200sec行った。
[HPLC解析]
架橋サンプル50μLをHPLCで解析した。解析には50mMギ酸アンモニウムとアセトニトリルを用い、分析開始時ギ酸アンモニウム98%、30分時点でギ酸アンモニウム70%、アセトニトリル30%になるように直線的に溶媒比率を変化させた。流速1.0mL/min、カラム温度60℃、検出波長は260nmで分析を行った。この結果を図3A及び図3Bに示す。図3Aは光照射前(光照射時間0sec)におけるHPLCクロマトグラムである。図3Bは光照射後(光照射時間1200sec)におけるHPLCクロマトグラムである。図4に、光架橋産物のMSスペクトルを示す。
図3A及び図3Bに示される通り、光照射1200sec後、リテンションタイム15分に新たにピークが現れた。このピークを分取し、MALDI-TOF-MSによる解析を行い目的物の同定を行った。
Calc’d for [M + H]+ = 5629.008, Found = 5633.398
19F-NMR測定(1)]
TFPKを含むオリゴ核酸が、一本鎖状態から二本鎖状態へと変化した場合の19F-NMRシグナルの変化を検討するために、19F-NMR測定を行った。
48.4μMTFPK-ODN(5’-TGCATFPKCCGT-3’)を含む10mMTris-HCl溶液を調整し(10%D2O)、NMR測定を行った。その際に一本鎖状態であるTFPK由来の19F MRシグナルが-63.7ppmに検出された。一方、TFPK-ODNとその相補鎖(5’-ACGGGTGCA-3’)を混合し、二本鎖を形成させた際には-75.3ppmにシグナルが検出された。
この結果より、TFPK-ODNが一本鎖状態と二本鎖状態で19F MRシグナルが11.6ppmという、これまで報告されている例よりも圧倒的に大きな変化を示すことが明らかとなった。また、400nmの光照射を1200秒行い、光架橋反応させた際にも-75.3ppm付近に確認された。
図5に、DNA鎖状態の変化に伴うTFPK由来の19F-MRシグナルの変化を示す。
図5に示されるように、TFPKが導入された修飾オリゴ核酸は、二本鎖形成することによって、大きくケミカルシフトが変化した。二本鎖形成により生じるケミカルシフトは、これまでの報告によればΔ0.1ppm~Δ0.7ppm程度の分子が知られているが、これらと比較してΔ11.6ppmという大きなケミカルシフトは極めて大きい。
19F-NMR測定(2)]
上記の19F-NMR測定(1)の結果から確認された-63.7ppmから-75.3ppmへの大きな変化が、一本鎖から二本鎖への変化によるものかどうかをさらに検証するために、TFPK-ODNに対し、相補鎖の等量比を変化させた際の19F-NMR測定を行った。
TFPK-ODNを932μM含む10mM Tris-HCl溶液を調整し(10%D2O)、NMR測定を行った。一本鎖状態由来の-63.7ppmにシグナルが確認された。
次に相補鎖の等量比を0.25、0.5、1と変化させた際に、-75.3ppmにシグナルが確認でき、相補鎖の等量比が上がるに従い、-63.7ppmのシグナル強度が減少し、-75.3ppmのシグナルが増加していった。二本鎖を形成しているDNAの割合が増加するに従い、-75.3ppmのシグナル強度が増加していることから、二本鎖形成により、19F-NMRシグナルが変化していることが確認された。また、TFPK-ODNに対して相補鎖が0.5等量のサンプルでは、一本鎖と二本鎖の形成の割合はおおよそ等しいにも関わらず、19F-MRシグナルの強度は-75.3ppmの方が、強く検出された。この結果より、一本鎖状態と二本鎖状態での検出感度が大きく異なり、二本鎖形成時により強く19F-NMRシグナルが検出されることがわかった。
図6に、DNA等量比を変化させた際の19F-NMR測定結果を示す。
図6に示されるように、二本鎖形成により大きなケミカルシフトを呈すると同時に、その検出感度も大きく増大していた。すなわち、ピークの面積値の増大から計算すると、一本鎖状態で検出される信号の強度(面積値)と比較すると、二本鎖状態で検出される信号の強度(面積値)は、約40倍に増加しており、TFPKが導入された修飾オリゴ核酸極めて高い感度で二本鎖状態を検出できるものとなっていた。
19F-NMR測定(3)]
温度を変化させた際のDNA状態の変化を19F-NMR測定により調べた。
50μM dsODN(TTPK-ODNと相補鎖)を含む10mM Tris-HCl溶液を調整し(10%D2O)、NMR測定を行った。25℃条件下ではDNAは二本鎖を形成しており、-75.3ppmに強いピークが確認された。一方、80℃に加熱した際にはDNAが解離しており、-63.1ppmのピーク強度が増加していることが確認された。-75.3ppmと-63.1ppmのピークの面積比と比較したところ、25℃条件下では、48:1だったのに対し、25℃では16:1と変化しており、加熱に伴うDNAの解離により-63.1ppmのピークが増加していることが確認された。
図7に、加熱によるDNA二本鎖状態変化時の19F-NMR測定結果を示す。
図7に示されるように、加熱することによって、二本鎖が一本鎖へと解離したことに伴って、一本鎖を示すピーク(-63.1ppm)の強度が大きく増加し、二本鎖を示すピーク(-75.3ppm)の強度が大きく減少していることから、TFPKが、これが導入された修飾オリゴ核酸の一本鎖状態と二本鎖状態を検出するための19F-NMR測定によるケミカルシフト検出用のプローブとして、使用できることがわかった。
[ヌクレオシドアナログ(TFPD)の合成]
図8は、ヌクレオシドアナログ(TFPD)の合成のための合成経路(スキーム2)を示す。このスキーム1の合成経路に沿って、光応答性人工ヌクレオシドアナログ分子(ヌクレオシドアナログ、あるいは光反応性素子又は光架橋素子ということがある)(TFPD)を合成し、さらに修飾核酸合成モノマーを合成し、これを導入した修飾DNAを合成した。各工程の詳細は後述して説明する。
スキーム2の各合成ステップにおいて、(p)~(y)の条件はそれぞれ次の通りである。r.t.は室温を意味する。
(p) Ethyl 4,4,4-Trifluoroacetoacetate,H2SO4,EtOH,90℃,24h.
(q) NaH,NaI,Ethyl bromoacetate,DMF,r.t.,8h
(r) [1].NaOH,THF/MeOH/H2O,r.t.,5h.
[2].D-Threoninol,EDCI,HOBt,DMF,r.t.,24h.
(x) DMTrCl,DMAP,Pyridine,r.t.,24h.
(y) (iPr2N)2PO(CH22CN,tetrazole,CH3CN,r.t.,4h.
[化合物16の合成]
氷上に置いたナスフラスコに化合物7(300mg,0.99mmol)、NaI(442mg,2.00mmol)、NaH(122mg,2.00mmol)を入れ、真空後N2置換した。そこに、DMFを10mLをゆっくり滴下し加えた。20分の攪拌後、Ethyl bromoacetate(266μL,2.40mmol)を加え、室温8時間攪拌した。TLC(CHCl3:MeOH=9:1)で原料の消失を確認した。MeOHを少量加え反応を停止させた後、エバポレーターで溶媒を除去した。溶媒を除去後、AcOEtを入れ、分液を行なった。有機層をNa2SO4によって脱水後、エバポレーターによって溶媒を除去した。除去後、カラムクロマトグラフィー(CHCl3)によって精製を行なった。分取した化合物を乾燥させ化合物16(126mg,0.323mmol,32%)を得た。
1H-NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 8.51(s, 1H), 8.40(d, 1H, 7.68 Hz), 7.84(s, 1H), 7.55 (d, 1H, 7.24 Hz), 7.34(t, 1H, J = 7.78 Hz), 6.91(s, 1H), 5.47(s, 2H), 4.17-4.14(m, 2H), 2.58(s, 3H) ESI-FT-ICR MS : Calc’d for C20H15F3NO4 [M + H]+ = 390.0948, Found 390.0944.
[化合物17の合成]
ナスフラスコに化合物16(126mg,0.323mmol)、THF(9mL)/MeOH(6mL)/H2O(3mL)混合溶媒を加えた。そこに、NaOH(38.0mg,0.969mmol)加え、室温5時間攪拌した。TLC(CHCl3:MeOH=9:1)で原料の消失を確認した。0.1Mに調整したHClaqを反応溶液中に加えpH2になるようにした。AcOEtを入れ、分液を行なった。有機層をNa2SO4によって脱水後、エバポレーターによって溶媒を除去し真空乾燥した。真空乾燥後の化合物(106mg)にDMF(10mL)、D-Threoninol(61.6mg,0.586mmol)、HOBt(79.2mg,0.586mmol)を加えN2下で室温20分攪拌した。その後、EDCI(112mg,0.586mmol)を加え室温24時間攪拌した。TLC(CHCl3:MeOH=9:1)で原料の消失を確認した。MeOHを少量加え反応を停止させた後、エバポレーターで溶媒を除去した。溶媒を除去後、AcOEtを入れ、分液を行なった。有機層をNa2SO4によって脱水後、エバポレーターによって溶媒を除去した。真空乾燥させ、化合物17(82mg,0.183mmol,57%)を得た。
1H-NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 8.48(s, 1H), 8.39(d, 1H, 7.72 Hz), 8.03(d, 1H, 8.88 Hz), 7.77 (s, 1H), 7.61(d, 1H, J = 8.16 Hz), 7.53(t, 1H, J = 7.30 Hz) 7.30(t, 1H, 7.42 Hz), 6.89(s, 1H), 5.21(d, 2H, 3.92 Hz), 4.73(d, 1H, 4.60 Hz), 4.65(t, 1H, 5.48 Hz), 3.93-3.40(m, 1H), 3.66-3.62(m, 1H), 3.54-3.49(m, 1H), 3.42-3.38(m, 1H), 1.03(d, 3H, 6.40 Hz) SALDI-FT-ICR MS : Calc’d for C22H19F3N2NaO5 [M + H]+ = 471.1138, Found 471.1135.
TFPDを含む修飾核酸]
TFPDを含む修飾核酸を合成して、TFPDを含む修飾核酸と同様に予備的な実験を行って19F-NMR測定したところ、二本鎖形成によるケミカルシフトが確認された。
本発明は、二本鎖形成の前後の比較において核磁気共鳴法によって検出可能な19Fケミカルシフトの変化を生じさせる技術を提供する。本発明は産業上有用な発明である。

Claims (12)

  1. 次の式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシド:
    (ただし、式Iにおいて、
    R基は、
    フッ素原子;
    1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたC1~C4のフルオロアルキル基;
    又は、
    1個以上の水素原子が、フッ素原子、又は1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたC1~C4のフルオロアルキル基、で置換された、単環式、二環式又は三環式のフルオロアリール基であり、
    Xは、酸素原子又は硫黄原子であり、
    R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-OH基、アミノ基、ニトロ基、メチル基、フッ化メチル基、エチル基、フッ化エチル基、及びC1~C3のアルキルスルファニル基からなる群から選択された基であり、
    Yは、水素原子、糖(糖は、リボース、及びデオキシリボースを含む)、又はアルカノールアミンである)
    を使用することによって、
    式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドを塩基配列中に導入した修飾核酸と、該修飾核酸と二本鎖形成可能な核酸との間に、二本鎖を形成させて、二本鎖形成の前後の比較において核磁気共鳴法によって検出可能な19Fケミカルシフトの変化を生じさせる方法。
  2. 形成された二本鎖へ光照射して、修飾核酸中の式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドと、二本鎖形成した核酸中の光架橋可能な塩基とを光架橋させて、19Fケミカルシフトの変化を固定化する、請求項1に記載の方法。
  3. 式IにおけるY基が、次の式Ya又は式Ybで表される基である、請求項1~2のいずれかに記載の方法:
    Ya:
    (ただし、式Yaにおいて、
    R11は、水素原子又は水酸基であり、
    R12は、水酸基であり、
    R13は、水酸基である); 又は、
    Yb:
    (ただし、式Ybにおいて、
    R21は、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、
    は、水素原子であり、
    は、水素原子である)。
  4. C1~C4のフルオロアルキル基が、
    -C2n+1-m
    (ただし、nは1以上4以下の整数、mは1以上の整数、2n+1-mは0以上の整数である)
    である、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
  5. C1~C4のフルオロアルキル基が、
    -CF、-CH-CF、又は-C(CFである、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の方法によって、核磁気共鳴法によって検出可能な19Fケミカルシフトの変化を生じた、二本鎖核酸を製造する方法。
  7. 請求項1~5のいずれかに記載の方法によって生じた19Fケミカルシフトの変化を核磁気共鳴法によって検出することによって、式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドを塩基配列中に導入した修飾核酸と、該修飾核酸と二本鎖形成可能な核酸との間の二本鎖形成を、検出する方法。
  8. 次の式Iの化合物
    (ただし、式Iにおいて、
    R基は、
    フッ素原子;
    1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたC1~C4のフルオロアルキル基;
    又は、
    1個以上の水素原子が、フッ素原子、又は1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたC1~C4のフルオロアルキル基、で置換された、単環式、二環式又は三環式のフルオロアリール基であり、
    Xは、酸素原子又は硫黄原子であり、
    R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、-OH基、アミノ基、ニトロ基、メチル基、フッ化メチル基、エチル基、フッ化エチル基、及びC1~C3のアルキルスルファニル基からなる群から選択された基であり、
    Yは、水素原子、糖(糖は、リボース、及びデオキシリボースを含む)、多糖類(多糖類は、核酸のポリリボース鎖、及びポリデオキシリボース鎖を含む)、ポリエーテル、ポリオール、アルカノールアミン、アミノ酸、ポリペプチド鎖(ポリペプチド鎖は、ペプチド核酸のポリペプチド鎖を含む)、又は水溶性合成高分子である)
    からなる、二本鎖形成検出剤であって、
    二本鎖形成を検出される二本鎖が、
    式Iによって表されるフッ素含有人工ヌクレオシドを塩基配列中に導入した修飾核酸と、該修飾核酸と二本鎖形成可能な核酸との間において形成される二本鎖である、二本鎖形成検出剤
  9. 二本鎖形成の前後の比較において核磁気共鳴法によって検出可能な19Fケミカルシフトの変化を生じさせる、請求項8に記載の二本鎖形成検出剤。
  10. 式IにおけるY基が、以下の(i)~(iv)に示される原子及び基からなる群から選択された基である、請求項8~9のいずれかに記載の二本鎖形成検出剤
    (i)水素原子;
    (ii)次の式Yaで表される基:
    (ただし、式Yaにおいて、
    R11は、水素原子又は水酸基であり、
    R12は、-O-Q基であり、
    R13は、-O-Q基であり、
    は、
    水素原子;
    に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
    に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
    以下から選択される保護基:
    トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基;
    からなる群から選択される基であり、
    は、
    水素原子;
    に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
    に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
    以下から選択される保護基:
    2-シアノエチル-N,N-ジアルキル(C1~C4)ホスホロアミダイト基、メチルホスホンアミダイト基、エチルホスホンアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基、-PH(=O)OHのTEA塩、-PH(=O)OHのDBU塩、-PH(=S)OHのTEA塩、-PH(=S)OHのDBU塩;
    からなる群から選択される基である);
    (iii)次の式Ybで表される基:
    (ただし、式Ybにおいて、
    R21は、水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、
    は、式YaのQとして記載された基であり、
    は、式YaのQとして記載された基である); 及び
    (iv)次の式Ycで表される基:
    (ただし、式Ycにおいて、
    R31は、アミノ基の保護基、水素原子、又は、R31に結合するNHと一体となって形成されたペプチド結合によって結合されたポリペプチドを表し、
    R32は、水酸基、又は、R32に結合するCOと一体となって形成されたペプチド結合によって結合されたポリペプチドを表し、
    Lは、リンカー部、又は単結合である)。
  11. C1~C4のフルオロアルキル基が、
    -C2n+1-m
    (ただし、nは1以上4以下の整数、mは1以上の整数、2n+1-mは0以上の整数である)
    である、請求項8~10のいずれかに記載の二本鎖形成検出剤
  12. C1~C4のフルオロアルキル基が、
    -CF、-CH-CF、又は-C(CFである、請求項8~10のいずれかに記載の二本鎖形成検出剤
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