JP7343833B2 - 自熔製錬炉の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自熔製錬炉の操業方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、自熔製錬炉のバーナーコーン内における精鉱分布推定し、推定された精鉱分布に基づい自熔製錬炉操業する方法に関する。
銅硫化物、ニッケル硫化物などの非鉄金属硫化物を原料とする熔融製錬には自熔製錬炉が用いられる。自熔製錬炉には製錬原料と反応用ガスとを炉内に供給する精鉱バーナーが備えられている。
自熔製錬炉の操業においては、炉内の熔融製錬反応を制御し、安定した操業を行なうことが求められる。熔融製錬反応は製錬原料に含まれる金属硫化物の酸化反応である。この酸化反応は製錬原料と反応用ガスとの接触によって生じる。そのため、製錬原料と反応用ガスとがしっかりと混合しているほど、酸化反応が進行しやすい。このことから、精鉱バーナー内では製錬原料と反応用ガスとを混合しておく予混合が行なわれる。一方で、予混合の開始時期が早すぎる(開始位置が高すぎる)と、精鉱バーナー内で反応が進みすぎ、精鉱バーナーの損耗が激しくなる。
特許文献1には、精鉱バーナーに備えられた精鉱シュートの位置を調整することで、製錬原料と反応用ガスとの予混合の開始時期(開始位置)を調整することが開示されている。予混合の開始時期(開始位置)を調整することで、自熔製錬炉の安定操業が可能となる。
特開2007-46120号公報
自溶製錬炉における酸化反応を支配する要素として精鉱密度が考えられる。精鉱密度とは精鉱の密集度合いを意味し、単位体積当たりの精鉱重量で表される。精鉱密度が不均一であると、精鉱密度が高い場所では酸素が不足し、精鉱密度が低い場所では精鉱同士の衝突頻度が低下する。その結果、良好な酸化反応が得られない。
精鉱と反応用ガスとの予混合は、精鉱バーナー下部のバーナーコーンの内部で行なわれる。バーナーコーンから排出された位置で精鉱密度を十分に均一な状態とするには、バーナーコーン内の精鉱密度を均一にするよう操作することが好ましい。このような操作を行なうには、まず、バーナーコーン内の精鉱分布を知る必要がある。しかし、従来、バーナーコーン内の精鉱分布を知る方法はなかった。
本発明は上記事情に鑑み、バーナーコーン内の精鉱密度を均一に近づけることができる自熔製錬炉の操業方法を提供することを目的とする。
第1発明の自熔製錬炉の操業方法は、自熔製錬炉の反応塔の上端に立設したバーナーコーンの内部空間の温度分布を測定する測定工程と、前記温度分布に基づいて前記バーナーコーン内の精鉱分布を推定する推定工程と、前記バーナーコーン内の周方向の温度のばらつきから、精鉱密度の均一性を判断する判断工程と、前記精鉱分布に基づいて、前記バーナーコーン内の周方向の精鉱密度が均一になるように、精鉱シュートの周方向に異なる位置に設けられた複数の供給口への精鉱の供給比率を調整する調整工程と、を備えることを特徴とする。
第2発明の自熔製錬炉の操業方法は、第1発明において、前記推定工程は、温度測定位置における温度が高いほど、該温度測定位置における精鉱密度が低いと仮定して、前記温度分布に基づいて精鉱分布を推定することを特徴とする。
第3発明の自熔製錬炉の操業方法は、第1または第2発明において、前記測定工程は、前記バーナーコーンに設けられた点検口から、温度センサが設けられた温度測定器具を挿入し、該温度測定器具により温度測定することで、前記温度分布を測定することを特徴とする
発明に係る操業方法によれば、バーナーコーン内の精鉱密度を均一に近づけることができる。
自熔製錬炉の縦断面図である。 精鉱バーナーの縦断面図である。 バーナーコーンの部分拡大縦断面図である。 バーナーコーンの横断面図である。 温度分布の一例を示すグラフである。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(自熔製錬炉)
まず、自熔製錬炉FFの全体構成を説明する。
図1に示すように、自熔製錬炉FFはセトラー11を備えている。セトラー11の一端の上面には反応塔12が立設している。セトラー11の他端の上面には排煙道13が立設している。反応塔12の上端には精鉱バーナー20が設けられている。セトラー11の側壁には、カラミの高さにカラミ抜き口14が、カワの高さにカワ抜き口15が、離れて設けられている。
自熔製錬炉FFを用いた銅製錬操業は以下のように行なわれる。
精鉱バーナー20から粉状の製錬原料と、反応用ガス(例えば酸素富化空気)とが反応塔12内に吹き込まれる。製錬原料には少なくとも硫化銅精鉱(以下、単に「銅精鉱」と称する。)とフラックスとが含まれている。フラックスは良質のカラミを製造するために添加されるものであり、例えば珪砂である。また、製錬原料には必要に応じて冷材などが含まれている。
反応塔12内に吹きこまれた製錬原料は、補助バーナーの熱、反応塔12の炉壁内の輻射熱などにより昇温され、銅精鉱中の硫黄分および鉄分が燃焼することで熔融する。製錬原料が熔融した熔体はセトラー11内に溜められる。セトラー11内において熔体はカラミとカワとに比重分離する。
熔体上部のカラミはカラミ抜き口14から排出され、電気錬かん炉で処理される。熔体下部のカワは、次工程の転炉の要求に応じて適量がカワ抜き口15から抜き出される。反応塔12およびセトラー11内で発生した製錬ガスは、排煙道13を通って自熔製錬炉FFから排出され、排熱ボイラーで熱が回収される。
(精鉱バーナー)
つぎに、精鉱バーナー20の構成を説明する。
図2に示すように、精鉱バーナー20は反応用ガスが導入されるウインドボックス21を備えている。ウインドボックス21の下部は下方に絞られたコーン状に形成されており、その下端に円筒状のバーナーコーン22が接続されている。バーナーコーン22は反応塔12の上端に立設している。
バーナーコーン22には複数の点検口23が設けられている。複数の点検口23はバーナーコーン22の周方向に異なる位置に配置されている。例えば、第1の点検口23と第2の点検口23とが、バーナーコーン22を挟んで対称な位置に配置されている。
精鉱バーナー20は補助バーナー24を備えている。補助バーナー24はウインドボックス21およびバーナーコーン22の内部を貫き、鉛直に配置されている。補助バーナー24はバーナーコーン22の中心に配置されている。補助バーナー24の炎が噴射される下端はバーナーコーン22の下端付近に位置している。
補助バーナー24の外周を囲むように精鉱シュート25が設けられている。精鉱シュート25は補助バーナー24と同軸の筒部材である。精鉱シュート25はウインドボックス21内に配置されており、ウインドボックス21内で昇降可能となっている。
製錬原料は精鉱シュート25を通して自熔製錬炉FF内に供給される。精鉱シュート25の上端には複数の供給口25aが設けられている。複数の供給口25aは精鉱シュート25の周方向に異なる位置に配置されている。例えば、第1の供給口25aと第2の供給口25aとが、精鉱シュート25を挟んで対称な位置に配置されている。製錬原料は複数の供給口25aから精鉱シュート25の内部に供給され、精鉱シュート25の下端から排出される。
精鉱シュート25の外周を囲むように風速調整器26が設けられている。風速調整器26はウインドボックス21内に配置されており、精鉱シュート25とは独立してウインドボックス21内で昇降可能となっている。風速調整器26を昇降させることで、ウインドボックス21からバーナーコーン22に供給される反応用ガスの流路幅を調整できる。これにより、反応用ガスの流速を調整できる。
バーナーコーン22の内部空間では、製錬原料と反応用ガスとが混合される。この際、製錬原料に含まれる精鉱が均一に分布していることが好ましい。より詳細には、バーナーコーン22の周方向に精鉱密度が均一であることが好ましい。なお、バーナーコーン22の半径方向には、精鉱密度が均一である必要がない。一般に、バーナーコーン22中心は精鉱密度が高く、外側は精鉱密度が低い。
(精鉱分布推定方法)
そこで、以下の手順で、バーナーコーン22内の精鉱分布を推定する。
まず、バーナーコーン22の内部空間の温度分布を測定する。温度分布は、例えば、バーナーコーン22の内部空間の複数位置において温度を測定することにより得られる。温度分布の測定方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法がある。
図3に示すように、温度測定器具30を用意する。温度測定器具30は支持棒31の先端側の所定領域に複数の温度センサ32を固定したものである。複数の温度センサ32は支持棒31の軸方向に所定間隔で配置されている。温度センサ32の数は特に限定されないが、図3に示す例では6本である。
温度センサ32としては、特に限定されないが、熱電対を用いることができる。熱電対は比較的小型であるので、バーナーコーン22の内部に配置したとしても、製錬原料の流れを大きく乱すことがない。また、バーナーコーン22の内部空間のような高温でも温度測定が可能であり、温度変化も速やかに検知できる。
バーナーコーン22の点検口23から温度測定器具30を挿入し、温度センサ32をバーナーコーン22の内部空間に配置する。この状態で、温度測定器具30(温度センサ32)により温度測定することで、複数位置の温度情報が得られる。なお、図3に示すように支持棒31を水平面に対して斜めに挿入してもよいし、支持棒31を水平に挿入してもよい。また、支持棒31を中間位置で屈曲し、温度センサ32が固定された領域が水平になるようにしてもよい。複数の温度センサ32を水平に配置すれば、同じ高さの複数位置の温度を測定できる。
図4に示すように、バーナーコーン22の周囲に設けられた複数の点検口23のそれぞれから温度測定器具30を挿入し、温度測定をすることが好ましい。また、点検口23の幅の範囲で温度測定器具30の位置をずらして温度測定をすることが好ましい。この際、1つの温度測定器具30の位置を変更しつつ温度測定を繰り返し行ってもよいし、複数の温度測定器具30をバーナーコーン22内に挿入して、同時に温度測定してもよい。このようにすれば、多数の位置における温度を測定できる。
図4に示す例では、温度測定器具30は6つの温度センサ32を有する。また、温度測定器具30は第1点検口23の中心、右にずらした位置、および第2点検口23の中心、右にずらした位置の4位置で測定している。したがって、温度測定位置は合計24点である。また、各温度センサ32の支持棒31上の位置は既知であるから、各温度測定位置のバーナーコーン22中心からの距離は幾何学的に求められる。
以上のように測定した複数位置の温度情報から、バーナーコーン22の内部空間の温度分布を得る。図4に示す条件で測定された温度分布の一例を図5のグラフに示す。図5のグラフの横軸は、バーナーコーン22中心からの距離(半径方向の位置)である。横軸の左側がバーナーコーン22の中心側であり、右側がバーナーコーン22の外側である。縦軸は温度である。縦軸の下側が低温であり、上側が高温である。温度測定器具30の位置ごとに温度分布が得られる。
このような温度分布に基づいて精鉱分布を推定する。具体的には、温度測定位置における温度が高いほど、その温度測定位置における精鉱密度が低いと仮定して、温度分布に基づいて精鉱分布を推定する。例えば、図5のグラフの縦軸を精鉱密度として捉え、縦軸の下側が高密度であり、上側が低密度であると考えればよい。これにより、精鉱密度の相対的な高低を把握できる。
温度分布から精鉱分布を推定する原理はつぎのとおりである。バーナーコーン22の内部空間に配置された温度計は、基本的にはバーナーコーン22下方の反応塔12からの輻射熱を測定する。精鉱は輻射熱をよく吸収することから、反応塔12と温度測定位置との間の精鉱の量が多いほど、その温度測定位置における温度が低くなる。逆にいえば、温度測定位置における温度から、その温度測定位置と反応塔12との間の精鉱の量を推定できる。すなわち、バーナーコーン22内の同じ高さで見た場合に、温度が高いほど精鉱密度が低いという関係がある。これを利用して、温度分布から精鉱分布を推定できる。
図5のグラフに示されるように、バーナーコーン22中心は精鉱密度が高く、外側は精鉱密度が低い。バーナーコーン22の半径方向には、このような精鉱分布が好ましい。しかしながら、バーナーコーン22の周方向には、精鉱密度が均一であることが好ましい。そこで、バーナーコーン22内の周方向の温度のばらつきから、精鉱分布の均一性を判断する。
図5に示される例では、半径方向の特定位置でみた場合、特にバーナーコーン22の外側において、第1点検口23側の精鉱密度が第2点検口23側の精鉱密度よりも高くなっている。すなわち、周方向の精鉱密度が不均一となっている。図5に示されるグラフでは、4位置の精鉱分布が一致するほど、周方向の精鉱密度が均一であるといえる。このように、半径方向の特定位置の温度のばらつきに基づいて、精鉱分布の均一性を判断する。
(操業方法)
つぎに、自熔製錬炉の操業方法の一実施形態を説明する。
前記の方法で推定された精鉱分布に基づいて、バーナーコーン22内の周方向の精鉱密度が均一になるように、精鉱の供給方法を調整すればよい。周方向の精鉱密度が不均一である場合は、例えば、精鉱シュート25への複数の供給口25aからの供給比率を調整して、周方向の精鉱密度が均一になるようにすればよい。
20 精鉱バーナー
21 ウインドボックス
22 バーナーコーン
23 点検口
24 補助バーナー
25 精鉱シュート
26 風速調整器
30 温度測定器具
31 支持棒
32 温度センサ

Claims (3)

  1. 自熔製錬炉の反応塔の上端に立設したバーナーコーンの内部空間の温度分布を測定する測定工程と、
    前記温度分布に基づいて前記バーナーコーン内の精鉱分布を推定する推定工程と、
    前記バーナーコーン内の周方向の温度のばらつきから、精鉱密度の均一性を判断する判断工程と、
    前記精鉱分布に基づいて、前記バーナーコーン内の周方向の精鉱密度が均一になるように、精鉱シュートの周方向に異なる位置に設けられた複数の供給口への精鉱の供給比率を調整する調整工程と、を備える
    ことを特徴とする自熔製錬炉の操業方法
  2. 前記推定工程は、温度測定位置における温度が高いほど、該温度測定位置における精鉱密度が低いと仮定して、前記温度分布に基づいて精鉱分布を推定する
    ことを特徴とする請求項1記載の自熔製錬炉の操業方法
  3. 前記測定工程は、前記バーナーコーンに設けられた点検口から、温度センサが設けられた温度測定器具を挿入し、該温度測定器具により温度測定することで、前記温度分布を測定する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の自熔製錬炉の操業方法
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