以下、図面を参照しながら、本発明に係る車両の制御システムの実施形態を詳細に説明する。以下の説明では、制御システムが搭載された車両、言い換えると制御の対象となるヘッドランプが取り付けられた車両を自車両ともいい、該自車両の前方を車両前方ともいう。また、以下の説明では、自車両の前方の移動している車両を前方車両ともいう。
図1は、一実施形態に係る車両の制御システムの構成例を説明するブロック図である。図1に例示した制御システム1は、ヘッドランプ2と、ランプ駆動回路3と、制御装置4と、スイッチ5と、撮像装置6と、レーダー装置7と、車両情報取得部8とを含む。制御システム1は、単一の車両に搭載される。
ヘッドランプ2は、車両の前方を照明する前照灯であり、車両本体の前端部に取り付けられている。ヘッドランプ2は、点灯時にハイビームと呼ばれる状態とロービームと呼ばれる状態との切り替えが可能な構成になっている。ヘッドランプ2は、ランプ駆動回路3により駆動される。ランプ駆動回路3は、ヘッドランプ2の点灯及び消灯、並びにハイビームとロービームとの切り替え等を行う。
制御装置4は、ランプ駆動回路3を介したヘッドランプ2の制御を行う。制御装置4は、例えば、スイッチ5により入力された情報に基づき、ヘッドランプ2の点灯及び消灯の制御、並びにハイビームとロービームとの切り替えを手動で行うか自動で行うかの制御等を行う。また、制御装置4は、例えば、撮像装置6、レーダー装置7、及び車両情報取得部8から提供される制御用情報に基づいて、ハイビームとロービームとの切り替えを自動制御する。
撮像装置6は、車両前方に存在するランプの検出に用いる。撮像装置6は、ランプの検出結果を制御用情報として制御装置4へ出力する。撮像装置6は、撮像部601と、ランプ検出部602と、記憶部603とを含む。撮像部601は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等であり、車両前方の撮影に利用する。ランプ検出部602は、撮像部601の出力に基づいて、車両前方に存在する点灯している車両のランプ(例えば、先行車のテールランプ、対向車のヘッドランプやスモールランプ等)を検出する。ランプ検出部602は、画像処理の分野における既知の光源検出方法等の検出方法により、前方の車両のランプを検出する。記憶部603は、ランプ検出部602におけるランプ検出の閾値等の情報が格納される。撮像装置6は、例えば、デジタルカメラを内蔵したドライブレコーダであってもよい。
レーダー装置7は、前方車両の検出、検出した前方車両との距離の検出等に用いる。レーダー装置7は、前方車両の検出結果、検出した前方車両との距離、該前方車両の相対速度等の情報を制御用情報として制御装置4へ出力する。レーダー装置7は、送受信部701と、車両検出部702と、記憶部703とを含む。送受信部701は、前方車両の検出等に用いる電波の放射及び受信を行う。車両検出部702は、送受信部701が放射した電波及び受信した電波に基づいて、前方車両の検出、検出した前方車両との距離の検出、及び相対速度の検出等を行う。車両検出部702は、既知の検出方法(例えば、特許文献1に記載された方法)により、前方車両を検出し、該前方車両との距離等を検出する。記憶部703は、車両の検出、距離の検出、相対速度の検出等に用いる各種情報が格納される。レーダー装置7は、例えば、ミリ波レーダー装置である。
車両情報取得部8は、撮像装置6及びレーダー装置7が出力する制御用情報とは別の、制御システム1が搭載された車両に関する情報及び該車両の周囲の環境に関する情報を取得し、制御装置4へ出力する。車両情報取得部8が制御装置4へ出力する制御用情報は、制御システム1が搭載された車両の速度、及び該車両の周囲の明るさを含む。
制御装置4は、例えば、BCM(Body Control Module)と呼ばれる電子装置であり、CAN(Controller Area Network)9により、撮像装置6、レーダー装置7、及び車両情報取得部8を含む、自車両に配設された種々の電子装置や電子部品等と通信する。制御装置4は、直接、又は自車両に配設された他の電子装置等を介して、前方車両を含む他の車両と車車間通信をしてもよい。
本実施形態に係る制御装置4は、機能構成の観点では、図1に示したように、切替判定部401と、制御部402と、記憶部403とを含む。
切替判定部401は、ハイビームとロービームとの切り替えを自動制御する場合の、切り替えるか否かの判定を行う。自動制御中であり、かつヘッドランプ2がハイビームである場合に、ハイビームからロービームへの切替条件(以下、ロービーム切替条件ともいう)が成立すると、切替判定部401は、ハイビームからロービームに切り替えると判定する。ロービーム切替条件は、例えば、下記(1-1)から(1-4)の4つの条件のうち1つ以上が成立することとする。
(1-1)前方車両のランプが点灯していること。
(1-2)自車両の車速が所定の閾値(例えば、25km/h)以下であること。
(1-3)車両前方の明るさが所定の閾値以上であること。
(1-4)車両前方における道路沿いの街路灯の光の数が閾値以上であること。
また、自動制御中であり、かつヘッドランプ2がロービームである場合に、ロービームからハイビームへの切替条件(以下、ハイビーム切替条件ともいう)が成立すると、切替判定部401は、ロービームからハイビームに切り替えると判定する。ハイビーム切替条件は、例えば、下記(2-1)から(2-4)の4つの条件の全てが成立することとする。
(2-1)ランプを点灯している前方車両が存在しないこと。
(2-2)自車両の車速が所定の閾値(例えば、30km/h)以上であること。
(2-3)車両前方の明るさが所定の閾値以下であること。
(2-4)車両前方における道路沿いの街路灯の光の数が閾値以下であること。
自動制御中のヘッドランプ2がハイビームである場合、切替判定部401は、撮像装置6、レーダー装置7、及び車両情報取得部8が出力した制御用情報に基づいて、上記(1-1)から(1-4)の4つの条件のうち1つ以上が成立するか否かを判定する。また、自動制御中のヘッドランプ2がロービームである場合、切替判定部401は、撮像装置6、レーダー装置7、及び車両情報取得部8が制御装置4に出力した制御用情報に基づいて、上記(2-1)から(2-4)の4つの条件の全てが成立するか否かを判定する。撮像装置6が出力する制御用情報はランプの検出結果を含む。レーダー装置7が出力する制御用情報は前方車両の検出結果(前方車両の有無)、並びに前方車両を検出した場合の該車両との距離及び該車両の相対速度を含む。車両情報取得部8が出力する制御用情報は自車両の車速や自車両の周囲の明るさの情報を含む。
制御部402は、ランプ駆動回路3を介したヘッドランプ2の駆動に関する制御を行う。制御部402は、ヘッドランプ2の点灯及び消灯に関する制御信号をランプ駆動回路3に出力する。また、制御部402は、切替判定部401の判定結果に基づいて、ハイビームとロービームとを切り替える制御信号をランプ駆動回路3に出力する。ロービーム切替条件が成立した場合、制御部402は、ランプ駆動回路3に対し、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに変更することを示す制御信号を出力する。ハイビーム切替条件が成立した場合、制御部402は、ランプ駆動回路3に対し、ヘッドランプ2をロービームからハイビームに変更することを示す制御信号を出力する。なお、制御部402は、上記のヘッドランプ2の駆動に関する制御に加え、別の制御も行うものであってもよい。
記憶部404は、制御装置4が実施する制御に関する制御プログラム、及び該制御において使用する各種情報を記憶する。
制御装置4は、ハードウェア構成の観点では、例えば、プロセッサと、メモリと、入出力インタフェースと含む。メモリは、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含み、プロセッサに実行させる制御プログラムや、該制御プログラムの実行中に用いられる各種データを記憶する。制御装置4における上記のメモリ(ROM及びRAM)は、記憶部403として機能する。プロセッサは、メモリに記憶された制御プログラムを実行する。制御装置4における上記のプロセッサは、後述する処理を含む制御プログラムの実行中、切替判定部401及び制御部402として機能する。入出力インタフェースは、CAN9を介した撮像装置6、レーダー装置7、及び車両情報取得部8等との通信、並びにランプ駆動回路3への制御信号の出力等に用いる。
制御システム1が搭載された車両においてヘッドランプ2を点灯させ、かつハイビームとロービームとの切り替えを自動制御することが選択されると、制御システム1は、ハイビームとロービームとの自動切替制御(以下、アシスト制御ともいう。)を開始する。例えば、車両の運転者が、ヘッドランプ2が点灯しかつアシスト制御が実施されるようにスイッチ5を操作すると、制御システム1は、ヘッドランプ2を点灯させアシスト制御を開始する。本実施形態に係る制御システム1は、アシスト制御として、例えば、図2に示すフローチャートに沿った処理を行う。
図2は、一実施形態に係る制御システムが行うアシスト制御の内容を説明するフローチャートである。
アシスト制御を開始すると、制御システム1は、アシスト制御に用いる制御用情報の取得を開始する(ステップS1)。ステップS1の処理は、制御装置4が行う。制御装置4は、撮像装置6に前方車両のランプの検出を開始させ、該ランプの検出結果の取得を開始する。このとき、撮像装置6のランプ検出部602は、前方車両の点灯しているランプの検出に用いる閾値を後述する初期値TH0としてランプの検出を開始する。また、制御装置4は、レーダー装置7に電波の放射及び受信、並びに前方車両の検出等を開始させ、該前方車両の検出結果等の取得を開始する。更に、制御装置4は、車両情報取得部8を通じて、自車両の車速や周囲の環境を示す情報の取得を開始する。以降、制御装置4は、ステップS6の処理を行うまで、所定の取得スケジュールに従って上記の制御用情報の取得を繰り返す。
次に、制御システム1は、ヘッドランプ2がハイビームであるか否かを判定する(ステップS2)。ハイビームである場合(ステップS2;YES)、制御システム1は、ロービーム切替処理(ステップS3)を実施する。ステップS3のロービーム切替処理は、取得した制御用情報に基づいてヘッドランプ2のハイビームからロービームへの自動切替を行う処理であり、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替えた場合に終了する。
ロービーム切替処理が終了した場合、又はステップS2においてヘッドランプ2がハイビームではない(ステップS2;NO)と判定された場合、制御システム1は、次に、ハイビーム切替処理(ステップS4)を実施する。すなわち、ステップS4のハイビーム切替処理は、ヘッドランプ2がロービームである場合に実施される。ハイビーム切替処理は、取得した制御用情報に基づいてヘッドランプ2のロービームからハイビームへの自動切替を行う処理であり、ヘッドランプ2をロービームからハイビームに切り替えた場合に終了する。
ハイビーム切替処理を終了すると、制御システム1は、次に、アシスト制御を継続するか否かを判定する(ステップS5)。アシスト制御を継続する場合(ステップS5;YES)、制御システム1は、ステップS2の判定に戻る。一方、スイッチ5の操作等により、アシスト制御を継続しないことが選択された場合(ステップS5;NO)、制御システム1は、制御用情報の取得を終了し(ステップS6)、アシスト制御を終了する。
上述のアシスト制御におけるハイビーム切替処理(ステップS4)として、制御システム1は、既知のロービームからハイビームへの自動切替処理を実施する。例えば、ハイビーム切替処理において、制御装置4は、撮像装置6及び車両情報取得部8から取得した制御用情報に基づいて、上記の(2-1)から(2-4)の4つの条件の全てが成立するか否かを判定する。4つの条件の全てが成立した場合、制御装置4は、ハイビーム切替条件が成立すると判定し、ヘッドランプ2をロービームからハイビームに切り替えてハイビーム切替処理を終了する。本実施形態の制御システム1における撮像装置6のランプ検出部602は、ハイビーム切替処理を実施している間、前方車両の点灯しているランプの検出に用いる閾値を所定の固定値(例えば、後述する初期値TH0)としてランプの検出を行う。
一方、本実施形態に係るアシスト制御におけるロービーム切替処理(ステップS3)として、制御システム1は、例えば、図3のフローチャートに沿った処理を行う。
図3は、ロービーム切替処理の第1の例を説明するフローチャートである。
ロービーム切替処理を開始すると、制御システム1は、ランプ検出部602におけるランプ検出の閾値THをTH0に設定する(ステップS301)。ここで、TH0は、撮像装置6で撮像した画像から前方車両の点灯しているランプを検出する際に使用する画素の情報(例えば、輝度値や色を表す値等)に関する閾値の初期値である。ステップS301の処理を行うと、撮像装置6は、ランプ検出部602においてランプ検出の閾値THを初期値TH0として行った前方車両のランプの検出結果を制御装置4に出力する。
次に、制御システム1は、ハイビームからロービームへの切替条件が成立するか否かを判定する(ステップS302)。図3に示すロービーム切替処理の第1の例における切替条件は、ランプ検出に関する条件を含む複数の条件のうち1つ以上が成立することとする。ステップS302の判定は、切替判定部401が行う。切替判定部401は、制御用情報として取得した撮像装置6のランプ検出部602の検出結果、レーダー装置7の車両検出部702の検出結果、並びに車両情報取得部8からの車速及び車両前方の環境等の情報に基づいて、例えば、下記(1-1)から(1-4)の4つの条件のうち1つ以上が成立するか否かを判定する。
(1-1)前方車両のランプが点灯していること。
(1-2)自車両の車速が所定の閾値(例えば、25km/h)以下であること。
(1-3)車両前方の明るさが所定の閾値以上であること。
(1-4)車両前方における道路沿いの街路灯の光の数が閾値以上であること。
切替判定部401は、例えば、ランプ検出部602の検出結果、及び車両検出部702の検出結果に基づいて、上記の(1-1)及び(1-4)の条件のうち少なくとも一方が成立するか否かを判定する。また、切替判定部401は、車両情報取得部8を通じて取得した車速及び車両前方の明るさの情報に基づいて(1-2)及び(1-3)の条件のうち少なくとも一方が成立するか否かを判定する。4つの条件について成立するか否かを判定する際の条件の選択順序は問わない。(1-1)から(1-4)の4つの条件のうち1つ以上の条件が成立する場合、切替判定部401は、ハイビームからロービームへの切替条件が成立する(ステップS302;YES)と判定する。この場合、制御システム1は、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替える(ステップS312)。その後、制御システム1は、ロービーム切替処理を終了し、例えば、図2のステップS4(ハイビーム切替処理)を行う。
一方、ステップS302において、ハイビームからロービームへの切替条件が成立しなかった場合(ステップS302;NO)、制御システム1は、次に、車両前方に移動する車両が存在するか否かを判定する(ステップS303)。ここで、移動する車両は、自車両が走行している走行路上を走行している車両である。ステップS303の判定は、例えば、切替判定部401が行う。切替判定部401は、車両検出部702の検出結果に基づいて、車両前方に移動する車両が存在するか否かを判定する。移動する車両が存在しない場合(ステップS303;NO)、制御システム1は、ステップS301の処理に戻る。移動する車両が存在する場合(ステップS303;YES)、制御システム1は、次に、該車両との距離Dが上限閾値Dmax以下であるか否かを判定する(ステップS304)。ここで、上限閾値Dmaxは、D>Dmaxであれば自車両のヘッドライト2がハイビームであっても、該ヘッドライト2の光が前方車両の運転者の視界を妨げる可能性が十分に低いと認められる値(例えば、Dmax=150m)とする。ステップS304の判定は、例えば、切替判定部401が行う。切替判定部401は、車両検出部702の検出結果に基づいてD≦Dmaxであるか否かを判定する。D>Dmaxである場合(ステップS304;NO)、制御システム1は、ステップS301の処理に戻る。
D≦Dmaxである場合(ステップS304;YES)、制御システム1は、次に、ランプ検出部602におけるランプ検出の閾値THをTH1に変更する(ステップS305)。ここで、閾値TH1は、上記の初期値TH0よりも小さい値、言い換えると、初期値TH0の場合よりも点灯しているランプが検出されやすい値にする。例えば、画素の輝度値に基づいて点灯しているランプを検出する場合、閾値TH1は、初期値TH0よりも小さい値(暗い値)にする。また、例えば、画素の色を示す値に基づいて点灯しているランプを検出する場合、閾値TH1は、初期値TH0よりも黒に近い値にする。ランプ検出部602は、例えば、切替判定部401からの指示に応じてランプ検出の閾値THをTH1に変更する。ステップS305の処理を行うと、撮像装置6は、ランプ検出部602において閾値TH1として行った前方車両のランプの検出結果を制御装置4に出力する。ランプ検出部602は、例えば、閾値をTH1に変更した後、直前のステップS302の判定に係るランプの検出に用いた画像に対してランプの検出を再度行い、検出結果を切替判定部401に出力する。
次に、制御システム1の切替判定部401は、ランプ検出の閾値をTH1に変更したことにより、ランプ検出部602が前方車両の点灯しているランプを検出したか否かを判定する(ステップS306)。点灯しているランプが検出された場合(ステップS306;YES)、切替判定部401は、上記(1-1)の条件が成立し、ハイビームからロービームへの切替条件が成立すると判定する。このため、制御システム1は、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替え(ステップS312)、ロービーム切替処理を終了する。
閾値をTH1に変更しても点灯しているランプが検出されなかった場合(ステップS306;NO)、制御システム1は、次に、前方車両との距離Dが閾値D1以下であるか否かを判定する(ステップS307)。ここで、閾値D1は、D≦D1である場合に自車両のヘッドライト2がハイビームであると、該ヘッドライト2の光が前方車両の運転者の視界を妨げる可能性があると考えられる値(例えば、D1=100m)とする。ステップS307の判定は、例えば、切替判定部401が行う。切替判定部401は、車両検出部702の検出結果に基づいてD≦D1であるか否かを判定する。D>D1である場合(ステップS307;NO)、制御システム1は、ステップS301の処理に戻る。
D≦D1である場合(ステップS307;YES)、制御システム1は、次に、ランプ検出部602におけるランプ検出の閾値THをTH2に変更する(ステップS308)。ここで、閾値TH2は、上記の閾値TH1よりも小さい値、言い換えると、閾値TH1の場合よりも点灯しているランプが更に検出されやすい値に変更する。ランプ検出部602は、例えば、切替判定部401からの指示に応じてランプ検出の閾値THをTH2に変更する。ステップS308の処理を行うと、撮像装置6は、ランプ検出部602において閾値TH2として行った前方車両のランプの検出結果を制御装置4に出力する。ランプ検出部602は、例えば、閾値をTH2に変更した後、直前のステップS302の判定に係るランプの検出に用いた画像に対してランプの検出を再度行い、検出結果を切替判定部401に出力する。
次に、制御システム1の切替判定部401は、ランプ検出の閾値をTH2に変更したことにより、ランプ検出部602が前方車両の点灯しているランプを検出したか否かを判定する(ステップS309)。点灯しているランプが検出された場合(ステップS309;YES)、言い換えるとハイビームからロービームへの切替条件が成立する場合、制御システム1は、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替え(ステップS312)、ロービーム切替処理を終了する。
閾値THをTH2に変更しても点灯しているランプが検出されなかった場合(ステップS309;NO)、制御システム1は、次に、前方車両までの距離Dが下限閾値Dmin以下であるか否かを判定する(ステップS310)。ここで、下限閾値Dminは、D≦Dminである場合に自車両のヘッドライト2がハイビームであると、該ヘッドライト2の光が前方車両の運転者の視界を妨げる可能性が高いと考えられる値(例えば、Dmin=50m)とする。ステップS310の判定は、ステップS307の判定と同様、切替判定部401が行う。D>Dminである場合(ステップS310;NO)、切替判定部401は、ロービーム切替条件が成立しないと判定する。この場合、制御システム1は、ヘッドランプ2をハイビームの状態に維持し、ステップS301の処理に戻る。
D≦Dminである場合(ステップS310;YES)、切替判定部401は、前方車両の点灯しているランプを検出した、言い換えるとハイビームからロービームへの切替条件が成立したとする(ステップS311)。すなわち、前方車両までの距離Dが下限閾値Dmin以下である場合、切替判定部401は、上述した(1-1)から(1-4)の4つの条件の全てが不成立であっても、ロービーム切替条件が成立したとみなす。このため、ステップS311の後、制御システム1は、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替え(ステップS312)、ロービーム切替処理を終了する。
図4は、一実施形態に係る制御システムを搭載した車両におけるロービーム切替制御の具体例を説明する図である。図4の(a)~(c)には、それぞれ、本実施形態に係る制御システム1を搭載した車両(自車両)11と、該車両11の前方を走行している先行車12とを示している。図4の(a)~(c)には、先行車12の一例として、スクータータイプの原動機付自転車を示している。また、図4の(a)~(c)では省略しているが、車両11には、制御システム1に含まれるランプ駆動回路3、制御装置4、スイッチ5、レーダー装置7、車両情報取得部8、及びCAN9が搭載されている。
図4の(a)では、車両11と先行車12との距離DがD1<D<Dmaxになっている。また、先行車12のテールランプ1201は撮像装置6の撮像範囲θ内に存在する。このため、車両11に搭載された撮像装置6のランプ検出部602がランプ検出の閾値THを初期値TH0として行ったランプの検出処理において先行車12の点灯しているテールランプ1201を検出した場合、図示していない切替判定部401は、ロービーム切替条件が成立した(ステップS302;YES)と判定する。この場合、車両11の制御システム1は、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替える(ステップS312)。
閾値THが初期値TH0であるとテールランプ1201が検出されず、ロービーム切替条件が成立しない場合(ステップS302;NO)、制御システム1は、ランプ検出の閾値THをTH1に変更し(ステップS305)、ロービーム切替条件が成立するか否かを判定する(ステップS306)。ステップS306では、ランプ検出部602がランプ検出の閾値THをTH1として点灯しているテールランプ1201を検出した場合に、ロービーム切替条件が成立した(ステップS306;YES)と判定する。この場合、車両11の制御システム1は、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替える(ステップS312)。
ランプ検出の閾値THをTH1にしてもテールランプ1201が検出されず(ステップS306;NO)、かつ車両11から先行車12までの距離DがD1<D≦Dmaxである場合(ステップS307;NO)、車両11の制御システム1は、ヘッドランプ2をハイビームの状態に維持する。
すなわち、図4の(a)に示した車両11に搭載された制御システム1は、ランプ検出の閾値THを初期値TH0からTH1に小さくしてもロービーム切替条件が成立しなかった場合には、ヘッドランプ2をハイビームの状態に維持する。言い換えると、図4の(a)に示した車両11に搭載された制御システム1は、ランプ検出の閾値THを初期値TH0又はTH1としたときに点灯しているテールランプ1201を検出すると、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替える。
図4の(b)では、車両11と先行車12との距離DがDmin<D<D1になっている。また、先行車12のテールランプ1201は撮像装置6の撮像範囲θ内に存在する。このため、車両11に搭載された撮像装置6のランプ検出部602がランプ検出の閾値THを初期値TH0として行ったランプの検出処理において先行車12の点灯しているテールランプ1201を検出した場合、図示していない切替判定部401は、ロービーム切替条件が成立した(ステップS302;YES)と判定する。また、切替判定部401は、ステップS302でロービーム切替条件が不成立であっても、ランプ検出部602が閾値THをTH1に変更して行った検出処理によりテールランプ1201を検出すると、ロービーム切替条件が成立した(ステップS306;YES)と判定する。更に、切替判定部401は、ステップS306でロービーム切替条件が不成立であっても、ランプ検出部602が閾値THをTH2(<TH1)に変更して行った検出処理によりテールランプ1201を検出すると、ロービーム切替条件が成立した(ステップS309;YES)と判定する。ステップS302、S306、及びS309のいずれかでロービーム切替条件が成立したと判定した場合、制御システム1は、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替える(ステップS312)。
これに対し、ランプ検出の閾値THをTH2まで小さくしてもテールランプ1201が検出されず(ステップS309;NO)、かつ車両11から先行車12までの距離DがDmin<D≦D1である場合(ステップS310;NO)、制御システム1は、ヘッドランプ2をハイビームの状態に維持する。
すなわち、図4の(b)に示した車両11に搭載された制御システム1は、ランプ検出の閾値THを初期値T0からT2まで小さくしてもロービーム切替条件が成立しなかった場合には、ヘッドランプ2をハイビームの状態に維持する。言い換えると、図4の(b)に示した車両11に搭載された制御システム1は、ランプ検出の閾値THを初期値TH0、TH1又はTH2としたときに点灯しているテールランプ1201を検出すると、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替える。
図4の(c)では、車両11と先行車12との距離DがD<Dminになっている。また、先行車12のテールランプ1201は撮像装置6の撮像範囲θ内に存在する。このため、車両11に搭載された撮像装置6のランプ検出部602がランプ検出の閾値THを初期値TH0として行ったランプの検出処理において先行車12の点灯しているテールランプ1201を検出した場合、図示していない切替判定部401は、ロービーム切替条件が成立した(ステップS302;YES)と判定する。また、切替判定部401は、ステップS302でロービーム切替条件が不成立であっても、ランプ検出部602が閾値THをTH1に変更して行った検出処理により先行車12のテールランプ1201を検出すると、ロービーム切替条件が成立した(ステップS306;YES)と判定する。更に、切替判定部401は、ステップS306でロービーム切替条件が不成立であっても、ランプ検出部602が閾値THをTH2(<TH1)に変更して行った検出処理によりテールランプ1201を検出すると、ロービーム切替条件が成立した(ステップS309;YES)と判定する。ステップS302、S306、及びS309のいずれかでロービーム切替条件が成立したと判定した場合、制御システム1は、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替える(ステップS312)。
加えて、本実施形態の制御装置4は、ランプ検出の閾値THをTH2まで小さくしてもテールランプ1201が検出されず、かつ車両11から先行車12までの距離DがD≦Dminである場合(ステップS310;YES)、ロービーム切替条件が成立したとみなす(ステップS311)。このため、図4の(c)に示した車両11に搭載された制御システム1は、ロービーム切替条件が成立するか否かによらず、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替える。
このように、本実施形態に係る制御装置4は、ハイビームからロービームへの切替条件が成立しない場合、前方車両の点灯しているランプの検出に用いる閾値THを小さくし、切替条件が成立するか否かを再判定する。これにより、前方車両の点灯しているランプが暗い場合やぼやけている場合にも、ハイビームからロービームへの切替条件が成立する可能性が高くなる。例えば、前方車両のランプが汚れている場合、又は点灯しているランプがスモールランプのみの場合のように、画像内における点灯しているランプが暗い場合、閾値THを小さくすることで、当該暗いランプを検出する可能性が高くなる。また、例えば、撮像装置6のレンズや、撮像装置6と前方車両との間に存在するガラス等の汚れ、或いは雨や霧等により画像内の点灯しているランプがぼやけている場合にも、閾値THを小さくすることで、ランプを検出する可能性が高くなる。
このため、本実施形態に係る制御システム1を搭載した車両では、例えば、前方車両の点灯しているランプが暗い場合や画像内のランプがぼやけている場合等にも、前方の車両までの距離Dが十分に確保された状態でヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替えることができる。よって、自車両のヘッドランプ2の光が前方車両の運転者の視界を妨げる可能性を低くすることができる。
また、本実施形態に係る制御システム1では、レーダー装置7を利用して検出した前方車両までの距離Dに応じて、ランプの検出に用いる閾値THを小さくするか否かを判定する。このため、制御システム1は、距離Dが十分に長く(D>Dmax)、ヘッドランプ2がハイビームであっても前方車両の運転者の視界を妨げる可能性が十分に低い場合には、閾値THを小さくして再判定する処理を省略し、ハイビームの状態を維持することができる。よって、本実施形態に係る制御システム1を搭載した車両では、運転者が予期していないタイミングでハイビームからロービームに切り替わってしまい、前方の目視確認が可能な範囲が低減してしまうことを防ぐことができる。
更に、本実施形態に係る制御システム1では、ハイビームからロービームへの切替条件が成立しない場合であっても、前方車両までの距離Dが下限閾値Dmin以下であれば、切替条件が成立したとみなし、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替える。これにより、距離D≦Dminの位置に存在する車両のランプが、点灯しているが非常に暗い場合、球切れで点灯していない場合、又は無灯火である場合のように、閾値THを小さくしても点灯しているランプとして検出されない状態である場合に、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに強制的に切り替えることができる。このため、本実施形態に係る制御システム1を搭載した車両では、前方車両に接近しているにもかかわらず切替条件が成立せず、ヘッドライト2をハイビームの状態に維持することを防ぐことができる。よって、本実施形態に係る制御システム1を搭載した車両では、ヘッドランプ2の光が前方車両の運転者の視界を妨げる可能性をより一層低減することができる。また、制御システム1は、距離D>Dminである場合には、上記のように、切替条件が成立した場合にのみヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替える。このため、本実施形態に係る制御システム1を搭載した車両では、運転者が予期していないタイミングでハイビームからロービームに切り替わってしまい、ランプが暗い又はランプが点灯していない前方車両の目視確認が困難になることを防ぐことができる。
しかも、本実施形態に係る制御システム1は、上述した閾値THを小さくしてランプを検出する処理、及び距離DがD≦Dminである場合に切替条件が成立したとみなす処理を、ヘッドランプ2がハイビームである場合に行う。すなわち、制御装置4は、ヘッドランプ2がロービームの状態である場合に行うハイビーム切替処理(ステップS4)では、単一の閾値によりランプを点灯した前方車両が存在するか否かを判定し、ハイビーム切替条件が成立するか否かを判定することができる。このため、例えば、ハイビーム切替処理において、前方車両の点灯していないランプや道路上にある別のランプ(例えば、工事灯等)を、前方車両の点灯しているランプと誤検出してハイビーム切替条件が不成立となることを防ぐことができる。言い換えると、前方にランプを点灯した車両が存在せず、ヘッドランプ2をハイビームに切り替えて走行することが好ましい状況下でヘッドランプ2がロービームに維持されることを防ぐことができる。
なお、図3のフローチャートは、本実施形態に係る制御システム1が行うロービーム切替処理の一例に過ぎない。制御システム1が行うロービーム切替処理は、上述した本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
例えば、上述したロービーム切替処理では、前方車両までの距離Dが下限閾値Dmin以下である場合、点灯しているランプを検出したか否かによらず、点灯しているランプを検出したとみなし、ロービーム切替条件が成立したと判定する。このようなロービーム切替処理では、例えば、ランプ検出の閾値THを初期値TH0とすると点灯しているランプが検出されない場合に、まず、距離DがD≦Dminであるか否かを判定してもよい。この場合、D≦Dminであればハイビームからロービームへの切替を行い、Dmin<D≦Dmaxであればランプ検出の閾値THを初期値TH0よりも小さい値に変更して点灯しているランプを検出したか否かの判定を再度行う。
更に、ロービーム切替処理の第1の例では、距離Dに関する上限閾値Dmaxと下限閾値Dminとの間に1つの閾値D1を設定しているが、上限閾値Dmaxと下限閾値Dminとの間に設定する閾値は2つ以上であってもよい。上限閾値Dmaxと下限閾値Dminとの間に2つ以上の閾値を設定する場合、設定した閾値により区切られる3つ以上の区間のそれぞれに対し、異なるランプ検出の閾値THを設定してもよい。
図5は、前方車両との距離Dとランプ検出の閾値THとの関係の例を説明する図である。図5のテーブル13には、前方車両との距離Dと、ランプ検出の閾値THとの対応関係を示している。前方車両との距離Dが短いほど、ハイビームの光が前方車両の運転者の視界を妨げる可能性が高い。このため、テーブル13に示すように、距離Dの閾値Dmax,D1,D2,・・・,Dminにより区切られた複数の区間のそれぞれに対し、ランプ検出の閾値TH1,TH2,…,THminを対応付ける。ここで、ランプ検出の閾値TH1,TH2,…,THminは、対応付けられた区間における距離Dの代表値(例えば、上限値)が小さい閾値ほど、小さな値にする。テーブル13、或いはテーブル13に示した対応関係を別の形式で表現したデータは、例えば、撮像装置6の記憶部603に記憶させておく。
このようなテーブル13を利用したロービーム切替処理の例を、図6を参照しながら説明する。
図6は、ロービーム切替処理の第2の例を説明するフローチャートである。なお、図6のフローチャートは、複数の条件(例えば、上述した(1-1)から(1-4)の4つの条件)のうち1つ以上が成立することをロービーム切替条件とした場合のロービーム切替処理を示している。また、図6のフローチャートは、上述したように、ランプ検出の閾値THを初期値TH0とするとロービーム切替条件が成立しない場合に、ランプ検出の閾値THを小さくする前に、距離DがD≦Dminであるかの判定を行うロービーム切替処理を示している。
ロービーム切替処理の第2の例においても、制御システム1は、まず、ランプ検出の閾値THを初期値TH0に設定する(ステップS321)。ステップS321は、図3に示したロービーム切替処理の第1の例におけるステップS301と対応する。
次に、制御システム1は、ランプ検出に関する条件を含むハイビームからロービームへの切替条件が成立するか否かを判定する(ステップS322)。図6に示すロービーム切替処理の第2の例における切替条件は、上記のように、ランプ検出に関する条件を含む複数の条件のうち1つ以上が成立することとする。すなわち、ステップS322は、第1の例におけるステップS302と対応する。複数の条件のうち1つ以上が成立する場合(ステップS322;YES)、制御システム1は、ロービーム切替条件が成立したと判定し、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替え(ステップS329)、ロービーム切替処理を終了する。
一方、複数の条件の全てが成立しない場合(ステップS322;NO)、制御システム1は、ロービーム切替条件が成立しないと判定し、次に、車両前方に移動する車両が存在するか否かを判定する(ステップS323)。ステップS323は、第1の例におけるステップS303と対応する。前方に移動する車両が存在しない場合(ステップS323;NO)、制御システム1は、ステップS321の処理に戻る。前方に移動する車両が存在する場合(ステップS323;YES)、制御システム1は、次に、該前方車両との距離Dが下限閾値Dmin以下であるか否かを判定する(ステップS324)。ステップS324は、第1の例におけるステップS310と対応する。D≦Dminである場合(ステップS324;YES)、制御システム1の切替判定部401は、前方車両の点灯しているランプを検出したとする(ステップS325)。ステップS325は、第1の例におけるステップS311と対応する。すなわち、D≦Dminである場合、制御システム1は、ロービーム切替条件が成立したとみなし、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替え(ステップS329)、ロービーム切替処理を終了する。
これに対し、D>Dminである場合(ステップS324;NO)、制御システム1は、次に、前方車両までの距離DがD≦Dmaxであるか否かを判定する(ステップS326)。ステップS326は、第1の例におけるステップS304と対応する。D>Dmaxである場合(ステップS326;NO)、制御システム1は、ロービームに切り替える必要はないと判定し、ステップS321の処理に戻る。
D≦Dmaxである場合(ステップS326;YES)、制御システム1は、次に、ランプ検出の閾値THを距離Dに応じた値に変更する(ステップS327)。ステップS327は、例えば、切替判定部401とランプ検出部602とが連携して行う。テーブル13が撮像装置6の記憶部603に格納されている場合には、切替判定部401がランプ検出部602に対し距離Dを通知する。ランプ検出部602は、記憶部603のテーブル13を参照し、通知された距離Dと対応する閾値THを読み出して、ランプ検出の閾値THを変更する。例えば、距離DがD2<D≦D1である場合、ランプ検出部602は、ランプ検出の閾値THを初期値TH0からTH2に変更してランプの検出を行い、その検出結果を制御装置4に出力する。
次に、制御システム1は、ランプ検出の閾値THを変更したことにより、ランプ検出部602が前方車両の点灯しているランプを検出したか否かを判定する(ステップS328)。ステップS328は、第1の例におけるステップS306、S309等と対応する。点灯しているランプを検出した場合、複数の条件のうちの1つが成立することとなり、ロービーム切替条件が成立する。このため、点灯しているランプが検出されなかった場合(ステップS328;NO)、制御システム1は、ロービーム切替条件が不成立と判定し、ステップS321の処理に戻る。
一方、点灯しているランプを検出した場合(ステップS328;YES)、制御システム1は、ロービーム切替条件が成立したと判定し、ヘッドランプ2をハイビームからロービームに切り替え(ステップS329)、ロービーム切替処理を終了する。
このように、ロービーム切替処理の第2の例では、ランプ検出の閾値THを初期値TH0とするとロービーム切替条件が成立しない場合に、まず、前方車両との距離Dが下限閾値Dmin以下であるか否かを判定する。このため、D≦Dminである場合、言い換えると前方車両と接近している場合に、迅速にヘッドライト2をハイビームからロービームに切り替えることができ、ヘッドライト2の光が前方車両の運転者の視界を遮る可能性を低減することができる。
更に、ロービーム切替処理の第2の例では、ランプ検出の閾値THを変更する際に、前方車両までの距離Dと対応付けられた閾値に変更する。このため、第1の例と比べて、ランプ検出の閾値THを変更して切替条件が成立するか否かを判定し、ハイビームからロービームに切り替えるか否かを確定するまでの処理を効率よく行うことができる。
以上、本発明に係る車両の制御システム1についての実施形態を説明したが、本発明に係る制御システム1は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、制御システム1が行うハイビームとロービームとの切り替えに関するアシスト制御は、ハイビームからロービームに切り替える制御のみを含むものであってもよい。すなわち、制御システム1が行うアシスト制御は、図2のフローチャートにおけるハイビーム切替処理(ステップS4)が省略されたものであってもよい。ハイビーム切替処理が省略されたアシスト制御においては、例えば、ロービーム切替処理(ステップS3)によりハイビームからロービームに切り替えた後、運転者が手動で(例えば、スイッチ5を操作して)ロービームからハイビームに切り替えた場合に、ロービーム切替処理を行うようにする。
また、初期のロービーム切替条件は、車両前方の移動している車両のランプが点灯していることを含む複数の条件のうちの所定数の条件が成立することであればよい。言い換えると、初期のロービーム切替条件は、上述の(1-1)の条件を含むものであればよく、他の条件については適宜変更可能である。
更に、制御システム1における各機能ブロックは、図1に示した構成に限らず、適宜変更可能である。例えば、撮像装置6のランプ検出部602の機能の一部又は全ては制御装置4が備えてもよい。また、レーダー装置7の車両検出部702の機能の一部又は全ては制御装置4が備えてもよい。また、図1の制御装置4は、上述のアシスト制御とは別の制御を行う機能を含むものであってもよいことはもちろんである。
加えて、制御システム1のハードウェア構成は、図1に示した構成に限らず、適宜変更可能である。例えば、制御システム1は、撮像装置6の代わりに、フォトダイオード等、光電変換により受光量に応じた電気信号を出力する受光装置を利用して車両前方のランプ(光源)が点灯しているか否か等の検出に用いる情報を取得するものであってもよい。また、例えば、制御システム1は、レーダー装置7の代わりに、車車間通信が可能な通信装置及びGPS(Global Positioning System)等の位置情報取得装置を利用して、前方車両の検出及び該前方車両までの距離Dの検出等を取得するものであってもよい。また、例えば、制御装置4は、CAN9等により通信可能に接続された複数の電子装置の組み合わせであってもよい。また、例えば、図1に示したランプ駆動回路3は、制御装置4又はヘッドランプ2に組み込まれてもよい。