JP7341144B2 - フェノール非含有抗酸染色組成物およびその使用 - Google Patents

フェノール非含有抗酸染色組成物およびその使用 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月24日に出願された米国仮特許出願第62/610,215号の出願日の利益を主張し、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。
マイコバクテリア、例えば、結核菌(M.tuberculosisの脂質含有細胞壁は、カルボールフクシン染色液との非常に強い結合という独特の特徴を有するため、アルコールおよび強酸などの強力な脱色剤を用いた脱染色に抵抗する。したがって、用語「抗酸」は、酸またはアルコールによる脱染色に抵抗する、マイコバクテリアなどの特定の種類の桿菌に対するカルボールフクシン染色反応を説明するために使用されている。マイコバクテリアの抗酸染色反応は、それらの独特のビーズ状かつわずかに湾曲した形状と共に、感染の早期検出および治療のモニタリングにおける貴重な補助である。唾液または他のマイコバクテリオロジー検体中の抗酸桿菌の発見は、活動性結核症の推定的証拠と考えられ、治療を開始するのに十分である。
結核の疑いがある症例では、マイコバクテリアおよび他の抗酸生物体はグラム染色により染色することができないため、抗酸染色技術が使用される。そこで、生物学的試料(例えばスメア)を含むスライドを、チール-ネールゼン法により処理する。チール-ネールゼン法では、カルボールフクシン染色液を最初に調製する。カルボールフクシン染色液は、0.3グラムの塩基性フクシン、10.0ミリリットルのエチルアルコール、および90ミリリットルの5%フェノール水溶液を含有する。カルボールフクシン染色液を、スライドのスメアに5分間適用し、穏やかに蒸気を発生させるために十分な熱を加える。染色液をエバポレートさせてはならず、必要に応じてさらに染色液を加える。次に、スライドを冷却し、水ですすぐ。次に、スライドを、3容量%の濃塩酸を含有する95%エチルアルコール溶液中で脱色する。カルボールフクシン染色がそれ以上消えなくなるまで、脱色溶液を加える。スライドを水道水で洗浄し、次にメチレンブルー溶液で1~2分間対比染色する。メチレンブルー溶液は、0.3グラムのメチレンブルー(90%の染料含有量)および100mlの蒸留水を含有する。次に、スライドを洗浄し、乾燥して、病理学者により検査される。
チール-ネールゼン(Ziel-Neelsen)法で使用されるものなどの、抗酸生物体を染色するのに使用される従来の製剤は、フクシンおよびフェノールを含む。フェノールの使用により、いくつかの健康被害がもたらされる。例えば、フェノールは有毒であり、一般に、曝露時にタンパク質変性影響を及ぼす。少量への曝露の症状は、皮膚熱傷および肺浮腫から律動異常、発作、および昏睡の範囲まで及び得る。長期曝露は、肝臓および腎臓の損傷を起こすことが公知である。その毒性に加えて、フェノールは腐蝕性であり、かつ発癌性であるという疑いがある。したがって、フェノール含有染色溶液の調製および使用中に、かなりの安全対策を取らなければならない。加えて、フェノールは不快臭を有し、それは通常、最終製品に依然として存在し、手および衣服に容易に付着する。
出願者らは、フェノールを含む従来の製剤(例えばチール-ネールゼン染色)と少なくとも等しい染色性能を達成する、フェノール非含有抗酸染色組成物を開発した。実際、本明細書に記載のフェノール非含有組成物は、フェノール含有製剤と比較して、フェノール曝露という付随するリスクを伴うことなく、少なくとも同一の染色頻度(すなわち、組織の画定された領域内で染色された微生物の総数)および/または染色強度(すなわち、染色の暗さ)を達成する。
その上、出願者らは、染色組成物からフェノールを除去し、塩基および界面活性剤とフェノールとを置き換えることにより、染色溶液中のフクシン染料の溶解度増加を可能にすることを発見した。フクシン溶解度の増加により、任意の染色溶液中で低濃度のフクシンが使用されることが可能となり、これは、高濃度フクシンが器具中に沈殿する可能性があり得る自動染色器具で利用されるこれらの染色溶液にとって特に重要である。最終的に、高い蒸気圧を有するフェノールの除去により、自動染色器具中の相互汚染のリスクが低減されるかまたは取り除かれると考えられている。
以上のことから、本開示の一態様は、フクシン、塩基、界面活性剤、およびアルコールを含む抗酸染色組成物であり、フェノールを含まない、抗酸染色組成物である。一部の実施態様では、組成物中のフクシン(例えばニューフクシン)の量は、組成物の総容量に対し、約0.75w/v%~約2.75w/v%の範囲である。
一部の実施態様では、塩基は、水酸化物(例えばKOH、NaOH、Mg(OH)など)である。一部の実施態様では、塩基は、非求核性塩基である。一部の実施態様では、塩基は、弱塩基である。一部の実施態様では、弱塩基は、約8~約20の範囲のpKaを有する。一部の実施態様では、塩基は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。一部の実施態様では、組成物中の塩基の量は、組成物の総容量に対し、約0.05w/v%~約0.5w/v%の範囲である。
一部の実施態様では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。一部の実施態様では、非イオン性界面活性剤は、アルコールエトキシレートである。一部の実施態様では、非イオン性界面活性剤は、C~C18アルコールエトキシレートである。一部の実施態様では、C~C18アルコールエトキシレートは、12モル未満のエチレンオキシドを含む。一部の実施態様では、組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総容量に対し、約0.5w/v%~約4w/v%の範囲である。
一部の実施態様では、抗酸染色組成物の10%水溶液は、約2~約6の範囲のpHを有する。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも120日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも240日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも360日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも420日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも500日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも540日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも600日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも620日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも1種の添加剤をさらに含む。
一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、(a)組成物の総容量に対し、約0.75w/v%~約2.75w/v%の範囲の量のニューフクシン;(b)組成物の総容量に対し、約0.05w/v%~約0.5w/v%の範囲の量の弱塩基;および(c)組成物の総容量に対し、約0.5w/v%~約4w/v%の範囲の量の非イオン性界面活性剤から本質的になる。一部の実施態様では、界面活性剤は、C~C18アルコールエトキシレートであり、塩基は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンであり、フクシンは、ニューフクシンである。
本開示の別の態様は、フェノールを含まない抗酸染色組成物で染色された生物学的試料であり、該抗酸染色組成物が、フクシン、塩基、界面活性剤、およびアルコールを含、。一部の実施態様では、生物学的試料は、(a)組成物の総容量に対し、約0.75w/v%~約2.75w/v%の範囲の量のニューフクシン;(b)組成物の総容量に対し、約0.05w/v%~約0.5w/v%の範囲の量の弱塩基;および(c)組成物の総容量に対し、約0.5w/v%~約4w/v%の範囲の量の非イオン性界面活性剤から本質的になる抗酸染色組成物で染色された生物学的試料である。
本開示の別の態様は、(a)フクシン、塩基、界面活性剤、およびアルコールを含む抗酸染色組成物であって、フェノールを含まない、抗酸染色組成物;ならびに(b)(i)脱パラフィン溶液;(ii)洗剤を含む洗浄液;(iii)低級アルコールおよび酸を含む脱色溶液;ならびに(iv)染料および弱酸を含む二次染料溶液からなる群から選択される第2の組成物を含む、キットである。一部の実施態様では、キットは、(a)フクシン、塩基、界面活性剤、およびアルコールを含む抗酸染色組成物であって、フェノールを含まない、抗酸染色組成物;ならびに(i)脱パラフィン溶液;(ii)洗剤を含む洗浄液;(iii)低級アルコールおよび酸を含む脱色溶液;ならびに(iv)染料および弱酸を含む二次染料溶液からなる群から選択される少なくとも2種の追加の組成物を含む。一部の実施態様では、キットは、フェノールを含まない抗酸染色組成物を有する第1の容器;脱色溶液を有する第2の容器;および二次染料溶液を有する第3の容器を備える。
本開示の別の態様は、生物学的試料(例えば組織学的試料、細胞学的試料など)中の抗酸生物体を染色するin vitroの方法であって、(a)抗酸生物体に感染しているかまたは感染している疑いがある対象からの生物学的試料を準備する工程と、(b)該生物学的試料に抗酸染色組成物を適用する工程と、(c)抗酸染色組成物または生物学的試料の少なくとも1つを約30℃~約45℃の範囲の温度まで加熱する工程とを含む、方法である。一部の実施態様では、試料を、抗酸染色組成物と共に、約12分~約24分の範囲の期間インキュベートする。一部の実施態様では、約100マイクロリットル~約500マイクロリットルの間の抗酸染色組成物を生物学的試料に適用する。一部の実施態様では、約200マイクロリットルの抗酸染色組成物を生物学的試料に適用する。一部の実施態様では、該方法は、抗酸染色組成物を適用する前に、生物学的試料を脱パラフィンすることをさらに含む。一部の実施態様では、該方法は、(d)アルコールおよび酸を含む脱色溶液を生物学的試料に適用する工程と、(e)染料および弱酸を含む二次染色液を生物学的試料に適用する工程とをさらに含む。一部の実施態様では、該方法は、生物学的試料を画像化する工程をさらに含む。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、自動染色システムで適用される。
本開示の別の態様は、生物学的試料(例えば組織学的試料、細胞学的試料など)中の抗酸生物体を検出する方法であって、(a)抗酸染色溶液を生物学的試料に適用することであり、抗酸染色溶液がフクシン、塩基、界面活性剤、およびアルコールを含み、組成物中のフクシンの量が約0.75w/v%~約2.75w/v%の範囲である、抗酸染色溶液を生物学的試料に適用することと、(b)染色溶液または生物学的試料の少なくとも1つを、約30℃~約45℃の範囲の温度まで加熱することとを含む、方法である。一部の実施態様では、染色溶液は、約8~約20の範囲のpHを有する。一部の実施態様では、試料を、約10分~約40分の範囲の期間、染色溶液と共にインキュベートする。一部の実施態様では、試料を、約12分~約24分の範囲の期間、染色溶液と共にインキュベートする。一部の実施態様では、約100マイクロリットル~約500マイクロリットルの間の染色溶液を生物学的試料に適用する。一部の実施態様では、約200マイクロリットルの染色溶液を生物学的試料に適用する。
一部の実施態様では、塩基は、組成物の総容量に対し、約0.05w/v%~約0.5w/v%の範囲の量で染色溶液中に存在し;界面活性剤は、組成物の総容量に対し、約0.5w/v%~約4w/v%の範囲の量で染色溶液中に存在する。一部の実施態様では、塩基は、約8~約20の範囲のpKaを有する弱塩基である。一部の実施態様では、塩基は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。一部の実施態様では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。一部の実施態様では、非イオン性界面活性剤は、アルコールエトキシレートである。一部の実施態様では、非イオン性界面活性剤は、C~C18アルコールエトキシレートである。一部の実施態様では、C~C18アルコールエトキシレートは、12モル未満のエチレンオキシドを含む。
一部の実施態様では、該方法は、染色溶液を適用する前に、生物学的試料を脱パラフィンする工程をさらに含む。一部の実施態様では、該方法は、抗酸染色溶液で染色した後に、以下の工程:(i)アルコールおよび酸を含む脱色溶液を試料に適用する工程と、(ii)染料および弱酸を含む二次染色液を試料に適用する工程とをさらに含む。一部の実施態様では、該方法は、生物学的試料を画像化する工程をさらに含む。一部の実施態様では、抗酸染色溶液は、生物学的試料に自動検体処理器具で適用される。
本開示の別の態様は、スライド上に配置された生物学的試料中の抗酸生物体を自動染色装置で染色する方法であって、(a)生物学的試料を自動染色装置にロードすることと、(b)抗酸染色組成物を生物学的試料上に分注することと、(c)抗酸染色組成物をスライドから除去することとを含む、方法である。一部の実施態様では、生物学的試料は、抗酸生物体に感染しているかまたは感染している疑いがある対象からのものである。一部の実施態様では、約100マイクロリットル~約500マイクロリットルの抗酸染色組成物を生物学的試料に適用する。一部の実施態様では、生物学的試料を、抗酸染色組成物と共に、約10分~約30分の範囲の期間インキュベートする。一部の実施態様では、生物学的試料を、約30℃~約45℃の範囲の温度でインキュベートする。一部の実施態様では、該方法は、アルコールおよび酸を含む脱色溶液を試料上に分注することをさらに含む。一部の実施態様では、該方法は、染料および弱酸を含む二次染色液組成物を試料上に分注することをさらに含む。一部の実施態様では、該方法は、抗酸染色組成物の適用前に、試料を脱パラフィンすることをさらに含む。一部の実施態様では、該方法は、スライド上に配置された試料に、カバーガラスを載せることをさらに含む。
本開示の別の態様は、抗酸染色組成物を分注するように構成された少なくとも1つのディスペンサーを備える装置である。一部の実施態様では、該装置は、顕微鏡用スライドを加熱するように適合された少なくとも1つのアセンブリをさらに備える。
本開示の別の態様は、顕微鏡用スライド上に配置された試料を、自動染色装置で染色する方法であって、(i)フェノール非含有抗酸染色溶液をスライド上に分注することであり、抗酸染色溶液が、(a)組成物の総容量に対し、約0.75w/v%~約2.75w/v%の範囲の量で存在するフクシン;(b)組成物の総容量に対し、約0.05w/v%~約0.5w/v%の範囲の量で存在する塩基;および(c)組成物の総容量に対し、約0.5w/v%~約4w/v%の範囲の量で存在する界面活性剤を含む、フェノール非含有抗酸染色溶液をスライド上に分注することと、(ii)所定の時間後に抗酸染色溶液をスライドから除去することとを含む、方法である。一部の実施態様では、約100マイクロリットル~約500マイクロリットルの間の染色溶液を生物学的試料に適用する。一部の実施態様では、約200マイクロリットルの染色溶液を生物学的試料に適用する。一部の実施態様では、検体を、約10分~約40分の範囲の期間、染色溶液と共にインキュベートし、検体または染色溶液の少なくとも1つを、約30℃~約45℃の範囲の温度まで加熱する。一部の実施態様では、検体を、約30℃~約45℃の範囲の温度まで加熱する。一部の実施態様では、試料を、約30℃~約45℃の範囲の温度まで加熱する。一部の実施態様では、試料および検体の両方を、約30℃~約45℃の範囲の温度まで加熱する。一部の実施態様では、該方法は、検体を画像化する(例えば顕微鏡でまたは走査機器で)ことをさらに含む。一部の実施態様では、該方法は、第1のリンス液、洗浄液、および/またはバッファーをスライド上に分注することをさらに含む。
一部の実施態様では、該方法は、アルコールおよび酸を含む脱色溶液を、スライド上に分注する工程と、スライドから脱色溶液を除去する工程とをさらに含む。一部の実施態様では、該方法は、第2のリンス液またはバッファーをスライド上に分注することをさらに含む。一部の実施態様では、該方法は、染料および弱酸を含む二次染色液組成物を、スライド上に分注する工程と、二次染色液組成物を除去する工程とをさらに含む。一部の実施態様では、該方法は、第3のリンス液またはバッファーをスライドに分注することをさらに含む。
一部の実施態様では、該方法は、抗酸染色溶液で染色する前に、試料を脱パラフィンすることを含む。一部の実施態様では、該方法は、カバーガラスを試料の上に載せることをさらに含む。一部の実施態様では、該方法は、フェノール非含有抗酸染色溶液で染色された試料を分析して、抗酸菌がそこに存在するかどうかを判定することをさらに含む。
本開示の別の態様は、フクシン、塩基、界面活性剤、およびアルコールを含む抗酸染色溶液を、生物学的検体上に分注するように構成された少なくとも1つのディスペンサーを備える装置であって、該抗酸染色組成物がフェノールを含まず、該装置が、生物学的検体または抗酸染色溶液の少なくとも1つを少なくとも30℃の温度まで加熱するように適合されたアセンブリをさらに備える、装置である。一部の実施態様では、塩基は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。一部の実施態様では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
本開示の特色を全体的に理解するために、図を参照することができる。図中では、同一の要素を明らかにするために、全体を通して同様の参照番号が使用される。
第1の器具を使用してフェノールを含まない抗酸染色組成物で染色されたスライドに関する、スライド読み取り値のグラフでの要約を提供する図である。 第1の器具を使用してフェノールを含まない抗酸染色組成物で染色されたスライドに関する、スライド読み取り値のグラフでの要約を提供する図である。 2つの異なる器具を使用して染色されたスライドに関するスライド読み取り値のグラフでの要約を提供する図である。、スライドは、フェノールを含まない抗酸染色組成物か、または従来のフェノール含有染色組成物のいずれか(wither)で染色された。 それぞれの試験時間点におけるそれぞれの設計ロット/条件に関するpHのグラフを提供する図である。保存条件を有色ドットにより示す。不合格上限および不合格下限を、0日目の測定により確立された赤い勾配バーとして示す。 それぞれの時間点に関する設計ロット1のHPLC測定のグラフを明示する図である。温度条件を有色ドットにより表す。不合格下限を赤線により示す。全ての時間点は、不合格限度より上である。 それぞれの時間点に関する設計ロット2のHPLC測定のグラフを明示する図である。温度条件を有色ドットにより表す。不合格下限を赤線により示す。全ての時間点は、不合格限度より上である。 それぞれの時間点に関する設計ロット23のHPLC測定のグラフを明示する図である。温度条件を有色ドットにより表す。不合格下限を赤線により示す。全ての時間点は、不合格限度より上である。 それぞれの時間点における全てのDLに関するUV-Vis測定のグラフを提供する図である。温度条件を有色ドットにより表す。不合格上限および不合格下限を赤い勾配バーとして示す。全ての時間点は合格している。
2つ以上の工程または行為を含む、本明細書で特許請求される任意の方法において、そうでない旨が明らかに示されない限り、方法の工程または行為の順序は、方法の工程または行為が記載されている順序に必ずしも限定されるわけではないこともまた理解されたい。
本明細書で使用される場合、単数形の用語「a」、「an」、および「the」は、文脈により明確に別段の指示がされない限り、複数の指示対象を含む。同様に、語「または」は、文脈により明確に別段の指示がされない限り、「および」を含むことを意図する。用語「含む(include)」は、「AまたはBを含む」が、A、B、またはAおよびBを含むことを意味するように、包括的に定義される。
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上で定義されるように「および/または」と同じ意味を有することが理解されよう。例えば、リスト中の項目を区分する場合、「または」または「および/または」は包括的であり、すなわち、少なくとも1つを包含するがまた、2つ以上の数または要素のリスト、かつ、追加のリストされていない項目も含んでもよく、包含すると解釈されるべきである。「1つのみの」もしくは「厳密に1つの」などの、そうでない旨が明らかに示された用語のみ、または特許請求の範囲において使用されている場合、「からなる」は、数または要素のリストの厳密に1つの要素の包含を表す。一般に、用語「または」は、本明細書で使用される場合、「いずれか」、「1つの」、「1つのみの」または「厳密に1つの」などの排他的な用語が先行する場合に、排他的な選択方法(すなわち「一方または他方で、両方ではない」)を示すとのみ解釈されるべきである。「から本質的になる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される、その通常の意味を有するべきである。
用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などは互換的に使用され、同じ意味を有する。同様に、「含む(comprise)」、「含む(include)」、「有する(have)」などは互換的に使用され、同じ意味を有する。詳細には、該用語のそれぞれは、一般的な米国特許法の「含む(comprising)」の定義と一致して定義され、したがって、「少なくとも次に示すもの」を意味する開放された用語であると解釈され、かつさらなる特色、制限、態様などを除外することはないとも解釈される。したがって、例えば、「a、b、およびcの構成部分を有する機器」とは、機器が少なくともa、bおよびcの構成部分を含むことを意味する。同様に、語句「a、b、およびcの工程を含む方法」とは、方法が、少なくともa、b、およびcの工程を含むことを意味する。その上、本明細書において工程およびプロセスが特定の順序で概説され得るけれども、当業者は、工程およびプロセスの順序が変更され得ることを理解するであろう。
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、語句「少なくとも1つ」は、1つまたは複数の要素のリストに関して、要素のリスト中の任意の1つまたは複数の要素から選択された少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも要素のリスト内に特に記載されているそれぞれおよび全ての要素の少なくとも1つを含むわけではなく、かつ要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを除外することはないことが理解されよう。この定義によりまた、特に明らかにされたリスト中の要素と関連してもまたは関連しなくても、語句「少なくとも1つ」が言及する要素のリスト内で特に明らかにされた要素以外の要素が任意選択で存在し得ることも可能となる。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」または、同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施態様では、2つ以上、Aを含んでもよく、Bは存在せず(かつB以外の要素を含んでもよい)という少なくとも1つを指し;別の実施態様では、2つ以上、Bを含んでもよく、Aは存在せず(かつA以外の要素を含んでもよい)という少なくとも1つを指し;さらに別の実施態様では、2つ以上、Aを含んでもよいという少なくとも1つを指し、かつ2つ以上、Bを含んでもよい(かつ他の要素を含んでもよい)という少なくとも1つ;などを指す場合がある。
本明細書で使用される場合、用語「抗酸」または「抗酸性」は、特定の細菌細胞および真核細胞と同様にいくつかの細胞内構造の物理的特性、詳細には、検査染色手順中の酸による脱色に対するそれらの抵抗性を指す。試料の一部としていったん染色されると、これらの生物体は、多くの染色プロトコールにおいて一般的な、酸および/またはエタノールに基づく脱色手順に抵抗し得る。
本明細書で使用される場合、用語「抗酸菌」または「AFB」は、酸洗浄後、染色が保持される細菌を指す。本明細書で使用される用語「AFB」は抗酸菌を指し、抗酸である特徴を有する任意の細菌を含み得る。AFBは、本発明で使用される場合、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)の細菌であってもよい。AFBは、マイコバクテリウム以外の属の細菌であってもよい。したがって、本発明は、マイコバクテリウムではないAFBに適用されてもよい。より詳細には、本発明は、いくつかの例を挙げると、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、ツカムレラ属(Tsukamurella)またはアクチノミセス属(Actinomyces)、ノルカルジウム属(Norcardium)であるAFBに適用されてもよい。
本明細書で使用される場合、用語「生物学的試料」または「組織試料」は、ウイルスを含む任意の生物体から得られる生体分子(タンパク質、ペプチド、核酸、脂質、炭水化物、またはこれらの組み合わせなど)を含む任意の試料を指す。生物体の他の例には、哺乳類(ヒト;ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、およびブタのような家畜動物;ならびにマウス、ラットおよび霊長類のような実験動物など)、昆虫、環形動物、クモ類、有袋動物、爬虫類、両生類、細菌、および真菌が含まれる。生物学的試料には、組織試料(組織切片および組織の針生検など)、細胞試料(Papスメアもしくは血液スメアなどの細胞学的スメアまたは顕微解剖により得られる細胞の試料など)、または細胞の画分、断片もしくは小器官(細胞を溶解し、かつ遠心分離または他の方法によりそれらの成分を分離することにより得られるなど)が含まれる。生物学的試料の他の例には、血液、血清、尿、精液、糞便、脳脊髄液、間質液、粘液、涙、汗、膿、生検組織(例えば、外科生検もしくは針生検により得られる)、乳頭吸引液、耳垢、乳、膣液、唾液、スワブ(頬側スワブなど)、または最初の生物学的試料に由来する生体分子を含有する任意の物質が含まれる。特定の実施態様では、用語「生物学的試料」は、本明細書で使用される場合、対象から得られる腫瘍またはその一部分から調製される試料(均質化されるかまたは液化された試料など)を指す。
本明細書で使用される場合、「C~C」は、「a」および「b」が整数であり、アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基中の炭素原子の数、またはシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルもしくはアリール基の環中の炭素原子の数、またはヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリシクリル基中の炭素原子およびヘテロ原子の総数を表す。すなわち、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルの環、シクロアルケニルの環、シクロアルキニルの環、アリールの環、ヘテロアリールの環またはヘテロアリシクリルの環は、「a」~「b」個の、包括した炭素原子を含有することができる。したがって、例えば、「C~Cアルキル」基は、1~4個の炭素を有する全てのアルキル基、すなわち、CH-、CHCH-、CHCHCH-、(CHCH-、CHCHCHCH-、CHCHCH(CH)-および(CHC-を指す。アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロアリシクリル基に関して、「a」および「b」が明示されていない場合、これらの定義に記載される最も広い範囲が推測され得る。
本明細書で使用される場合、用語「液」は、水、溶媒、溶液(例えばバッファー溶液)などを含む任意の液体を指す。用語「液」はまた、任意の混合物、コロイド、懸濁液なども指す。用語「液」はまた、顕微鏡用スライドおよび/または検体に適用され得る試薬、染色液、および他の検体処理剤(例えば接着剤、固定液など)も包含する。液は水性または非水性であってもよい。さらなる例には、抗体の溶液または懸濁液、核酸プローブの溶液または懸濁液、および染料または染色分子の溶液または懸濁液(例えば、H&E染色溶液、Pap染色溶液など)が含まれる。液のまたさらなる例には、パラフィン包埋された生物学的検体を脱パラフィンするための溶媒および/または溶液、水性洗剤溶液、ならびに炭化水素(例えば、アルカン、イソアルカンおよびキシレンなどの芳香族化合物)が含まれる。液のまたさらなる例には、生物学的検体を脱水するかまたは再水和させるために使用される溶媒(およびその混合物)が含まれる。
本明細書で使用される場合、用語「低級アルコール」は、C~Cアルコールを指し、これは直鎖または分岐であってもよい。低級アルコールの例には、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノールと同様に、これらの異性体も含まれる。
本明細書で使用される場合、用語「マイコバクテリア」は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム・ミクロティ(Mycobacterium microti)、マイコバクテリウム・アフリカヌム(Mycobacterium africanum)、マイコバクテリウム・カネッティ(Mycobacterium canetti)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium intracellulare)、マイコバクテリウム・スクロフラセウム(Mycobacterium scrofulaceum)、マイコバクテリウム・カンサシ(Mycobacterium kansasii)、マイコバクテリウム・マルモエンセ(Mycobacterium malmoense)、マイコバクテリウム・ゼノピ(Mycobacterium xenopi)、マイコバクテリウム・マリヌム(Mycobacterium marinum)、マイコバクテリウム・シミエ(Mycobacterium simiae)、マイコバクテリウム・テラエ(Mycobacterium terrae)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコバクテリウム・アブセサス(Mycobacterium abscessus)、マイコバクテリウム・フォーチュイタム(Mycobacterium fortuitum)、マイコバクテリウム・ケロネー(Mycobacterium chelonae)、およびマイコバクテリウム・ゴルドナエ(Mycobacterium gordonae)を含むが、これらに限定されないあらゆる公知のマイコバクテリアを包含することを意図する。
本明細書で使用される場合、用語「試薬」は、形態学的(例えばヘマトキシリンおよびエオシン)、免疫組織化学的、または特定の染色の文脈に使用される、組織切片または細胞学的試料上に付着される任意の液を指し得る。これには、ワックス除去(すなわち脱パラフィン)用の油脂、有機物、および架橋剤;反応条件を設定し、試薬を適切な濃度まで希釈し、反応をクエンチするか、または過剰な反応物を洗い落とすために使用される洗浄剤、リンス剤、希釈剤、またはバッファー;形態学的染色および特定の染色に使用される小分子染料;IHCまたはICC染色に使用される抗体、抗体コンジュゲート、酵素、多量体、増幅因子、発色性基質、蛍光検出化学物質、化学発光基質、および酵素反応補助因子が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、用語「スライド」は、分析のためにその上に生物学的検体が置かれる、任意の好適な大きさの任意の基材(例えば、全体的または部分的に、ガラス、石英、プラスチック、ケイ素などで作製された基材)を指し、より詳細には標準的な3インチ×1インチの顕微鏡用スライドまたは標準的な75mm×25mmの顕微鏡用スライドなどの「顕微鏡用スライド」を指す。スライド上に置くことができる生物学的検体の例には、限定されることなく、細胞学的スメア、薄い組織切片(生検からなど)、および生物学的検体のアレイ、例えば、組織アレイ、細胞アレイ、DNAアレイ、RNAアレイ、タンパク質アレイ、またはこれらの任意の組み合わせが含まれる。したがって、一実施態様では、組織切片、DNA試料、RNA試料、および/またはタンパク質が、スライド上の特定の位置に置かれる。一部の実施態様では、スライドという用語は、SELDIおよびMALDIチップ、およびシリコンウエハを指し得る。
本明細書で使用される場合、「界面活性剤」は、それらの化学的作用様式に応じてアニオン性、カチオン性、または非イオン性に分類される。一般に、界面活性剤は、2つの液体間の界面張力を低減する。界面活性剤分子は、典型的には、極性またはイオン性の「頭部」および非極性の炭化水素「尾部」を有する。水に溶解すると、界面活性剤分子は凝集してミセルを形成し、ミセル中では非極性の尾部が内向きに配置され、かつ極性またはイオン性の頭部が水性環境に向かって外向きに配置される。非極性の尾部は、ミセル内に、非極性の「ポケット」を作り出す。溶液中の非極性化合物は、界面活性剤分子により形成されたポケット中に閉じ込められ、したがって、非極性化合物を水溶液内に混合したままにすることができる。一部の実施態様では、界面活性剤は、組織切片中にわたる試薬の均一な広がりを生み出し、同様にバックグラウンド染色を低減するために使用され得る。
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される用語「染色」、「染色すること」などは、一般に、生物学的検体中の特定の分子(脂質、タンパク質もしくは核酸など)または特定の構造(正常もしくは悪性の細胞、サイトゾル、核、ゴルジ体、もしくは細胞骨格など)の存在、位置、および/または量(濃度など)を検出および/または区別する、生物学的検体の任意の処理を指す。例えば、染色により、生物学的検体の特定の分子または特定の細胞構造と周囲部分との間の対比をもたらすことができ、かつ染色の強度により、検体中の特定の分子の量を測定することができる。染色は、明視野顕微鏡を用いるだけでなく、位相差顕微鏡、電子顕微鏡、および蛍光顕微鏡などの他の視認器具も用いて、分子、細胞構造および生物体の視認を補助するために使用することができる。システム2により実施される一部の染色は、細胞の外郭を可視化するために使用することができる。システム2により実施される他の染色は、他の細胞成分を染色しないかまたは相対的にほとんど染色することなく染色される、特定の細胞成分(分子または構造など)に依存し得る。システム2により実施される染色方法の種類の例には、限定されることなく、組織化学的方法、免疫組織化学的方法、および核酸分子間のハイブリダイゼーション反応などの分子間の反応(非共有結合相互作用を含む)に基づく他の方法が含まれる。特定の染色方法には、一次染色方法(例えば、H&E染色、Pap染色など)、酵素結合性の免疫組織化学的方法、および蛍光性in situハイブリダイゼーション(FISH)などのin situのRNAおよびDNAハイブリダイゼーション方法が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「チール-ネールゼン染色」とは、結核の病原体を含む、マイコバクテリウム属に属する抗酸菌の実証に使用される染色を意味する。
概要
本開示は、フェノールを含まない抗酸染色組成物に関する。本開示はまた、これらの組成物を生物学的試料に適用し、そこに存在する抗酸菌の検出を可能にする方法も提供する。
抗酸染色組成物
本開示の一態様は、フクシン、塩基、界面活性剤、およびアルコールを含む抗酸染色組成物であって、フェノールを含まない、抗酸染色組成物である。
一部の実施態様では、単一のフクシンが任意の抗酸染色組成物内に含まれる。フクシン化合物の例には、ニューフクシン、酸フクシン、塩基フクシン、およびそれらの誘導体またはアナログが含まれる。一部の実施態様では、フクシンはニューフクシンである。
一部の実施態様では、組成物中のフクシンの量は、組成物の総容量に対し、約0.5w/v%~約5w/v%の範囲である。他の実施態様では、組成物中のフクシンの量は、組成物の総容量に対し、0.5w/v%~約4w/v%の範囲である。一部の実施態様では、組成物中のフクシンの量は、組成物の総容量に対し、0.5w/v%~約3.5w/v%の範囲である。さらに他の実施態様では、組成物中のフクシンの量は、組成物の総容量に対し、3w/v%~約4w/v%の範囲である。さらなる実施態様では、組成物中のフクシンの量は、組成物の総容量に対し、0.75w/v%~約2.75w/v%の範囲である。さらなる実施態様では、組成物中のフクシンの量は、組成物の総容量に対し、0.75w/v%~約2.5w/v%の範囲である。またさらなる実施態様では、組成物中のフクシンの量は、組成物の総容量に対し、1w/v%~約2.5w/v%の範囲である。またさらなる実施態様では、組成物中のフクシンの量は、組成物の総容量に対し、1.25w/v%~約2.5w/v%の範囲である。さらにまたさらなる実施態様では、組成物中のフクシンの量は、組成物の総容量に対し、1w/v%~約2.25w/v%の範囲である。
一部の実施態様では、抗酸染色組成物は塩基を含む。一部の実施態様では、塩基は、例えばKOH、NaOHのような水酸化物である。一部の実施態様では、塩基は、非求核性塩基である。一部の実施態様では、塩基は、約9~約11の範囲のpHを有する。他の実施態様では、塩基は、弱塩基である。一部の実施態様では、弱塩基は、約8~約20の範囲であるpKaを有する。好適な弱塩基には、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(「TRIS」)、アンモニア、ピリジン、有機アミン(例えばトリメチルアミン)、カルボキシレート、カルボネートが含まれる。他の実施態様では、塩基は、TRISである。一部の実施態様では、塩基は、フクシンと反応してエトキシル化フクシン誘導体を形成することがない塩基から選択される。
一部の実施態様では、抗酸染色組成物中の塩基の量は、組成物の総容量に対し、約0.05w/v%~約0.5w/v%の範囲である。一部の実施態様では、塩基の量は、組成物の総容量に対し、約0.075w/v%~約0.45w/v%の範囲である。他の実施態様では、塩基の量は、組成物の総容量に対し、約0.1w/v%~約0.4w/v%の範囲である。他の実施態様では、塩基の量は、組成物の総容量に対し、約0.1w/v%~約0.35w/v%の範囲である。さらに他の実施態様では、塩基の量は、組成物の総容量に対し、約0.125w/v%~約0.3w/v%の範囲である。さらに他の実施態様では、塩基の量は、組成物の総容量に対し、約0.1w/v%~約0.2w/v%の範囲である。さらに他の実施態様では、塩基の量は、組成物の総容量に対し、約0.2w/v%~約0.45w/v%の範囲である。
一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、界面活性剤をさらに含む。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはこれらの混合物の1つであり得る。一部の実施態様では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。好適な非イオン性界面活性剤の中には、C~C30アルコールと糖またはデンプンポリマーとの縮合生成物がある。これらの化合物は、式(S)-O-R[式中、Sは、グルコース、フルクトース、マンノース、およびガラクトースなどの糖部分であり、nは、約1~約1000の整数であり、Rは、C~C30アルキルである]により表すことができる。R基が誘導される好適なC~C30アルコールの例には、デシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコールなどが含まれる。これらの界面活性剤の具体例には、デシルポリグルコシドおよびラウリルポリグルコシドが含まれる。
他の好適な非イオン性界面活性剤には、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(すなわち、脂肪酸のアルキレンオキシドエステル)が含まれる。これらの物質は、一般式RCO(X)OHを有し、式中、RはC10~C30アルキルであり、Xは-OCHCH-(エチレンオキシドから誘導)または-OCHCHCH-(プロピレンオキシドから誘導)であり、かつnは約1~約200の整数である。
さらに他の好適な非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(すなわち、脂肪酸のアルキレンオキシドジエステル)であり、式RCO(X)OOCRを有し、式中、RはC10~C30アルキルであり、Xは-OCHCH-(エチレンオキシドから誘導)または-OCHCHCH-(プロピレンオキシドから誘導)であり、かつnは約1~約200の整数である。さらに他の非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシドと脂肪アルコールとの縮合生成物(すなわち、脂肪アルコールのアルキレンオキシドエーテル)であり、一般式R(X)OR’[式中、RはC10~C30アルキルであり、nは約1~約200の整数であり、R’はHまたはC10~C30アルキルである]を有する。
また他の非イオン性界面活性剤は、式RCO(X)OR’を有する化合物であり、式中、RおよびR’はC10~C30アルキルであり、Xは-OCHCH-(エチレンオキシドから誘導)または-OCHCHCH-(プロピレンオキシドから誘導)であり、かつnは約1~約200の整数である。アルキレンオキシド誘導の非イオン性界面活性剤の例には、セテス-1、セテス-2、セテス-6、セテス-10、セテス-12、セテラエス(ceteraeth)-2、セテアレス6、セテアレス-10、セテアレス-12、ステアレス-1、ステアレス-2、ステアルテス(stearteth)-6、ステアレス-10、ステアレス-12、PEG-2ステアレート、PEG4ステアレート、PEG6ステアレート、PEG-10ステアレート、PEG-12ステアレート、PEG-20グリセリルステアレート、PEG-80グリセリルタロエート、PPG-10グリセリルステアレート、PEG-30グリセリルココエート、PEG-80グリセリルココエート、PEG-200グリセリルタロエート、PEG-8ジラウレート、PEG-10ジステアレート、およびこれらの混合物が含まれる。また他の有用な非イオン性界面活性剤には、例えば、米国特許第2,965,576号、同第2,703,798号、および同第1,985,424号に開示されているポリヒドロキシ脂肪酸アミドが含まれ、これらは本明細書に参照により組み込まれる。
当技術分野および文献で一般に公知の非イオン性界面活性剤の例には、1級または2級のアルコールエトキシレートなどのさまざまな直鎖エトキシレート、他のアルコールアルコキシレート、芳香族エトキシレート、変性エトキシレート、およびこれらのブレンドが含まれる。例には、12モル未満のエチレンオキシド(EO)を有するC8~C18アルコールエトキシレートを含む、C8~C18アルコールエトキシレートが含まれるが、これらに限定されない。例示的な界面活性剤には、Tomadol 1200(Air Products)、Tomadol 900(Air Products)、Tomadol 91-8(Air Products)、Tomadol 1-9(Air Products)、Tergitol 15-S-9(Sigma)、Tergitol 15-S-12(Sigma)、Masurf NRW-N(Pilot Chemical)、Bio-Soft N91-6(Stepan)、およびBrij-35(ポリエチレングリコールドデシルエーテル)(Sigma)が含まれる。本明細書で使用される場合、「Tergitol」界面活性剤は以下の式で定義され、式中、n、n1およびn2は独立して5~30である。例えば、Tergitol 15-S-5に関しては、n+n1=12、n2=4;Tergitol 15-S-7に関しては、n+n1=12およびn2=6;かつTergitol 15-S-9に関しては、n+n1=12およびn2=8である。ポリオキシエチレンのさらなる例には、他に多くのものが公知であるが、Nonoxynol-9、Nonidet P-40、およびIgepalシリーズの界面活性剤が含まれる。
他の非イオン性界面活性剤の例には、ポリ(エチレンオキシド)およびポリプロピレンオキシドの共重合体(例えば、BASF PLURONIC(登録商標)製品などのポロキサマー)が含まれる。非イオン性界面活性剤のさらなる例には、8-メチル-1-ノナノールプロポキシレート-block-エトキシレート、ALKANOL(登録商標)6112、アリルアルコール1,2-ブトキシレート-block-エトキシレート、Brij(登録商標)30、Brij(登録商標)52、Brij(登録商標)72、Brij(登録商標)78、Brij(登録商標)92V、Brij(登録商標)93、Brij(登録商標)97、Brij(登録商標)98、Brij(登録商標)010、Brij(登録商標)5100、Brij(登録商標)510、Brij(登録商標)58、IGEPAL(登録商標)CA-210、IGEPAL(登録商標)CA-520、IGEPAL(登録商標)CA-720、IGEPAL(登録商標)CO-210、IGEPAL(登録商標)CO-520、IGEPAL(登録商標)CO-630、IGEPAL(登録商標)CO-720、IGEPAL(登録商標)CO-890、IGEPAL(登録商標)DM-970、MERPOL(登録商標)A、MERPOL(登録商標)DA、MERPOL(登録商標)HCS、MERPOL(登録商標)OJ、MERPOL(登録商標)SE、MERPOL(登録商標)SH、ポリエチレン-block-ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、ソルビタンモノパルミテート、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)40、TWEEN(登録商標)60、TWEEN(登録商標)85が含まれるが、これらに限定されない。
アニオン性界面活性剤は、一般に硫酸塩、スルホネート、ホスフェート、またはカルボキシレートに基づき、かつ水溶性カチオンを含有する。スルホネートの代表的な式は、R-SOMであり、式中、Rは、アルコキシまたはオキシアルコキシを通してスルホネート官能基に結合し得る、約5~22個の炭素原子の炭化水素基であり、Mは、アルカリ金属などの水溶性カチオンである。アニオン性界面活性剤には、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩およびスルホネート、アルキルカルボキシレート、アルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルポリ(オキシエチレン)スルホネートのナトリウム塩、ドデシルベンジルスルホネートのナトリウム塩などのアルキルベンジルスルホネートのナトリウム塩ならびにラウリルエーテル硫酸ナトリウムが含まれる。アニオン性界面活性剤にはまた、アニオン性ホスフェートエステルも含まれる。
本開示の組成物に有用なカチオン性界面活性剤は、アミノまたは第4級アンモニウム部分を含有する。本明細書で有用なものの中のカチオン性界面活性剤は、以下の文献:M.C.Publishing Co.、McCutcheon’s、Detergents & Emulsifiers、(North American edition 1979);Schwartzら;Surface Active Agents、Their Chemistry and Technology、New York:Interscience Publishers、1949年;米国特許第3,155,591号、Hilfer、1964年11月3日発行;米国特許第3,929,678号、Laughlinら、1975年12月30日発行;米国特許第3,959,461号、Baileyら、1976年5月25日発行;および米国特許第4,387,090号、Bolich、Jr.、1983年6月7日発行に開示されている。
一部の実施態様では、組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総容量に対し、約0.5w/v%~約4w/v%の範囲である。他の実施態様では、組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総容量に対し、約0.75w/v%~約3.5w/v%の範囲である。さらに他の実施態様では、組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総容量に対し、約1w/v%~約3w/v%の範囲である。さらなる実施態様では、組成物中の界面活性剤の量は、組成物の総容量に対し、約1.5w/v%~約2.5w/v%の範囲である。
一部の実施態様では、アルコールは低級アルコールであり、分岐または直鎖であってもよい。一部の実施態様では、アルコールは、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールまたはこれらの混合物である。
一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、ニューフクシン、非イオン性界面活性剤、およびTRISを含み、(a)ニューフクシンは、組成物の総容量に対し、約0.75w/v%~約2.75w/v%の範囲の量で存在し、(b)TRISは、組成物の総容量に対し、約0.1w/v%~約0.5w/v%の範囲の量で存在し、(c)非イオン性界面活性剤は、組成物の総容量に対し、約0.5w/v%~約4w/v%の範囲の量で存在する。
一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも120日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも180日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも240日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも300日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも360日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも420日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも450日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも500日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも520日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも540日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも580日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも600日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも620日間安定である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、少なくとも630日間安定である。
抗酸染色組成物の非限定的な例を表1に明示する。
Figure 0007341144000001
方法
本開示の別の態様は、生物学的試料(例えば組織学的試料、細胞学的試料など)中の抗酸生物体(例えばマイコバクテリウム)を染色するin vitroの方法であって、抗酸生物体に感染しているかまたは感染している疑いがある対象からの生物学的試料を準備することと、本開示に基づく抗酸染色組成物を生物学的試料に適用することとを含む、方法である。
本開示の別の態様は、生物学的試料中の抗酸生物体(例えばマイコバクテリウム)を検出する方法であって、抗酸菌に感染しているかまたは感染している疑いがある対象(例えば、患者)からの生物学的試料を受け取ることと、フクシン、塩基、界面活性剤、およびアルコールを含む抗酸染色組成物を生物学的試料に適用することとを含み、該組成物がフェノールを含まない、方法である。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、ニューフクシン、非イオン性界面活性剤、およびTRISを含む。
他の実施態様では、抗酸染色組成物は、ニューフクシン、非イオン性界面活性剤、およびTRISを含み、(a)ニューフクシンは、組成物の総容量に対し、約0.75w/v%~約2.75w/v%の範囲の量で存在し、(b)TRISは、組成物の総容量に対し、約0.1w/v%~約0.5w/v%の範囲の量で存在し、(c)非イオン性界面活性剤は、組成物の総容量に対し、約0.5w/v%~約4w/v%の範囲の量で存在する。当然のことながら、本明細書に記述される任意の抗酸染色組成物は、表1で明らかにされたものを含み、生物学的試料に適用され、試料中の抗酸生物体の検出を実現し得る。抗酸染色組成物を生物学的試料に適用する工程は、手動でまたは本明細書に記述される検体処理装置を用いて実施することができる。
一部の実施態様では、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、室温より高い温度まで、例えば約30℃~約80℃の範囲の温度まで加熱する。一部の実施態様では、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、室温より高い温度まで、例えば約30℃~約60℃の範囲の温度まで加熱する。一部の実施態様では、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、室温より高い温度まで、例えば約30℃~約50℃の範囲の温度まで加熱する。他の実施態様では、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、約35℃~約40℃の範囲の温度まで加熱する。一部の実施態様では、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、約37℃の温度まで加熱する。
一部の実施態様では、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、約10分~約40分の範囲の期間、加熱する。他の実施態様では、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、約15分~約40分の範囲の期間、加熱する。さらに他の実施態様では、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、約15分~約30分の範囲の期間、加熱する。さらなる実施態様では、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、約12分~約24分の範囲の期間、加熱する。またさらなる実施態様では、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、約16分~約36分の範囲の期間、加熱する。一実施態様では、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、約12分間、加熱する。一実施態様では、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、約16分間、加熱する。一実施態様では、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、約20分間、加熱する。
一部の実施態様では、生物学的試料を、抗酸染色組成物と共に、加熱後に追加の期間、例えば生物学的試料を放冷する期間、インキュベートする。一部の実施態様では、この追加の期間は、約1分~約15分の範囲である。他の実施態様では、この追加の期間は、約5分~約10分の範囲である。一部の実施態様では、組成物が試料と接触を続ける合計時間は、約5分~約80分の範囲である。
一部の実施態様では、該方法は、生物学的試料と他の液および/または試薬とを接触させることをさらに含む。例えば、一部の実施態様では、対比染色を含む追加の染色を、生物学的試料に適用してもよい。他の実施態様では、洗浄試薬、検出試薬、脱パラフィン試薬、バッファーなどを、抗酸染色組成物の付着の前またはすぐ後に適用してもよい。
自動検体処理システム
一部の実施態様では、本開示の抗酸染色組成物は、検体処理システムを使用して付着され得る。一部の実施態様では、検体処理装置は、Ventana Medical Systems,Inc.により販売されているBENCHMARK XT器具、BenchMark Special Stains器具、NexES Special Stainer器具、SYMPHONY器具、またはBENCHMARK ULTRA器具などの自動装置である。Ventana Medical Systems,Inc.は、米国特許第5,650,327号、同第5,654,200号、同第6,296,809号、同第6,352,861号、同第6,827,901号および同第6,943,029号、ならびに米国特許出願公開第2003/0211630号および同第2004/0052685号を含む、自動分析を実施するためのシステムおよび方法を開示している多数の米国特許の譲受人であり、このそれぞれの特許の全容が参照により本明細書に組み込まれる。あるいは、検体は、手動で処理することができる。
それを通して抗酸染色組成物が適用され得る、他の市販の検体処理システムの例には、VENTANA SYMPHONY(個々のスライド染色器)およびVENTANA HE 600(個々のスライド染色器)シリーズ;Agilent TechnologiesからのDako CoverStainer(バッチ染色器);Leica Biosystems Nussloch GmbHからのLeica ST4020 Small Linear Stainer(バッチ染色器)、Leica ST5020 Multistainer(バッチ染色器)、およびLeica ST5010 AutostainerXLシリーズ(バッチ染色器)H&E染色器が含まれる。
一部の実施態様では、本開示の染色システムは、検体を載置した基材(例えばスライド)の処理、染色およびカバーガラス取付けの工程の全てまたは一部を実施するように適合され得る。一部の実施態様では、生物学的検体を載せたスライドをスライドトレイ上に置き、試料スライドを載せたスライドトレイをシステムにロードし、そこで、スライドをベーキングし、脱ワックスし、染色し、最後にカバーガラスを取付けるという一連の工程を通してスライドは処理される。一部の実施態様では、本明細書に開示される方法は、病理学的分析のために、顕微鏡用スライド(または他の基材)上に組織試料を自動的に調製する方法であって、組織がスライドに接着するのに十分なほど器具で組織を加熱することにより、組織試料をスライド上にベーキングすることと、組織試料と脱パラフィン液とをパラフィンの融点を超える温度で接触させることにより、組織試料を脱パラフィンすることと、続いて、液化したパラフィンをすすぎ落とすことと、組織試料と染色試薬とを接触させることにより、組織試料を染色することと、スライド上の染色された組織試料と、予め接着剤を塗ってあるカバーガラスおよび接着活性化液とを接触させることにより、スライドにカバーガラスを取付けることとを含む、方法に関する。一部の実施態様では、本明細書に開示される方法は、前述の工程の一部のみを利用する。
検体処理装置は、例えば顕微鏡用スライドのような複数の基材を保持するためのカルーセルを備えていてもよく、各基材は染色される生物学的試料を含む。自動染色機はまた、カルーセルを所定の速度で回転させるための機器、ならびにカルーセルの回転中に、抗酸染色組成物を含む試薬を、基材および試料上に適用することを管理しかつ制御する機構を備えることもできる。いったんスライドを器具にロードすると、試験プロトコールが、どの試薬を特定の時間に基材上に分注するかを指示する。適切な時間で、ディスペンサーラックが回転して、正しい試薬を基材を覆うように調節し、器具により所定の量の試薬または液(例えばフェノールを含まない抗酸染色組成物)が基材上に分注される。
一部の実施態様では、システムは、複数のスライドを実質的に水平方向位置に保持するスライドトレイ(例えば、2列で、スライドが水平位置から約0.2°~約1.2°の間の角度で保持されている)、およびスライドトレイを受け取り、スライドトレイ中のスライドに1つまたは複数のスライド処理操作を実施する、1つまたは複数のワークステーション(例えば、垂直方向に積み重ねて配置された)を備える自動スライド処理システムである。一部の実施態様では、ワークステーションは、例えば、スライドトレイ中の少なくとも2枚もしくは4枚のスライドのような、スライドトレイ中の1つもしくは複数の個々のスライドに、スライド処理操作を実施することができるか、または、スライドトレイ中の全てのスライドに、スライド処理操作を同時に実施することができる。一部の実施態様では、1つまたは複数のワークステーションは、第1のスライドと接触する試薬の相当量が、第2のスライドと接触することなく、スライドトレイ中のスライドに試薬を分注し、それにより、スライド間の相互汚染を最小限にする。そのようなワークステーションは、試薬をスライド上に分注する1つまたは複数の方向指示ノズルを備えることができ、例えば、1つまたは複数の方向指示ノズルは、スライドの表面にわたり、試薬を反対方向に分注する1対の方向指示ノズルを備えることができる。より詳細な実施態様では、1つまたは複数の方向指示ノズルは、試薬をスライドの裏面部に向けて分注する方向指示ノズルをさらに備えることができる。他の詳細な実施態様では、1つもしくは複数のワークステーションは、試薬(例えば、同じ試薬)を、所与のワークステーション内のスライドトレイに保持された少なくとも2枚のスライドに同時に分注することができるか、または1つもしくは複数のワークステーションは、試薬(同じ試薬など)を、所与のワークステーション内のスライドトレイに保持された全てのスライドに同時に分注することができる。さらなるシステム成分およびトレイ構成(同様に制御システム)は、米国特許第8,663,991号、同第7,468,161号、および同第9,528,918号に記載されており、その開示は、それらの全容が参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施態様では、検体処理装置は、所定の量の抗酸染色組成物を生物学的試料に分注するように構成される。一部の実施態様では、検体処理装置は、少なくとも約100マイクロリットルの抗酸染色組成物を生物学的試料に分注するように構成される。他の実施態様では、少なくとも約150マイクロリットルの抗酸染色組成物が、生物学的試料に分注される。さらに他の実施態様では、少なくとも約200マイクロリットルの抗酸染色組成物が、生物学的試料に分注される。さらなる実施態様では、約200マイクロリットル~約500マイクロリットルの間の抗酸染色組成物が、生物学的試料に分注される。
一部の実施態様では、自動検体処理装置は、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを所定の温度および/または所定の時間加熱するように、加熱または冷却機器(導電ヒーターまたはペルティエ素子など)を備える。スライド加熱機器の好適な例は、米国特許第7,425,306号および同第6,582,962号に記載されており、その開示は、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施態様では、試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、約30℃~約45℃の範囲の温度まで加熱する。他の実施態様では、検体処理装置は、生物学的試料または抗酸染色組成物の少なくとも1つを、約35℃~約40℃の範囲の温度まで加熱する。一部の実施態様では、検体処理装置は、試料または染色組成物を、本明細書に記述される期間、例えば10分~40分の間加熱することがある。一実施態様では、検体処理装置は、生物学的試料または抗酸染色組成物を約12分間インキュベートする。別の実施態様では、検体処理装置は、生物学的試料または抗酸染色組成物を約16分間インキュベートする。さらに別の実施態様では、検体処理装置は、生物学的試料または抗酸染色組成物を約20分間インキュベートする。
一部の実施態様では、検体は、例えばスライドから抗酸染色組成物を除去するかまたは洗浄するようなさらなる処理の前に、続いて放冷される。一部の実施態様では、スライド処理装置は、約1分~約20分の範囲の「放冷」時間を提供するものもある。一部の実施態様では、放冷時間は、持続して約8分である。
検体処理装置はまた、抗酸染色組成物を生物学的試料に分注する前および後の両方に、他の液および/または試薬を適用するように構成されてもよい。実際、検体処理装置は、限定されることなく、染色液、プローブ、試薬、リンス、および/もしくはコンディショナー、または本明細書に記載される任意の他の液および/もしくは試薬を含む広範囲の物質を、検体に適用することができる。プローブは、検出可能な標識に結合された、単離された核酸または単離された合成オリゴヌクレオチドであり得る。標識は、放射性同位体、酵素基質、補助因子、リガンド、化学発光剤または蛍光剤、ハプテン、および酵素を含み得る。一部の実施態様では、検体処理装置は、例えば、特定の標的細菌に特異的な1種または複数の抗体と共にインキュベートし、かつ標識(抗体上の標識または標識された二次抗体の使用を介するなど)を使用して検出されることによるようなイムノアッセイの実施を容易にする。例示的な検出可能な標識には、フルオロフォア、ハプテン、酵素、放射性標識、および当技術分野で公知の他のものが含まれる。
検体処理装置は、脱色溶液、二次染色液を生物学的試料に適用するようにさらに適合されてもよい。一部の実施態様では、脱色溶液はアルコールおよび酸を含むこともある。好適な脱色組成物およびそれらの適用方法(手動および自動検体処理装置の使用による両方)は、米国特許第9,023,615号に開示されており、その開示はその全容が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施態様では、検体処理装置は、染料および弱酸を含む二次染色液を適用してもよい。一部の実施態様では、約200マイクロリットル~約500マイクロリットルの間の脱色溶液および/または二次染色液のいずれかを生物学的試料に分注する。
一部の実施態様では、検体処理装置は、他の微生物アッセイを容易にする。例えば、試料は、1種または複数の以下の染色液:アルシアンブルー、過ヨウ素酸シッフ反応(PAS)用のアルシアンブルー、アルシアンイエロー、コンゴレッド、ジアスターゼ、エラスティック、ギムザ、グロコットのメテナミン銀染色液(GMS)II、鉄染色、ジョーンズライトグリーン、ジョーンズ、PAS用のライトグリーン、ムチカミン(Mucicamine)PAS、細網線維染色、シュタイナーII、トリクロムブルー、およびトリクロムグリーンなどの1種または複数の他の染料と接触させることができる。
一部の実施態様では、検体が、パラフィンに包埋された試料である場合、試料を、検体処理装置で適切な脱パラフィン液(複数可)を使用して脱パラフィンすることがある。一部の実施態様では、検体処理装置の廃棄物除去機器が任意の脱パラフィン液(複数可)を除去した後、任意の数の物質を、連続して検体に適用することがある。該物質は、前処理(例えば、タンパク質架橋、核酸の露出など)、変性、ハイブリダイゼーション、洗浄(例えば、ストリンジェンシー洗浄)、検出(例えば、可視またはマーカー分子をプローブに結合する)、増幅(例えば、タンパク質、遺伝子などの増幅)、対比染色、カバーガラス取付けなどのためのものであり得る。
本明細書に記載の手順に基づいて染色された生物学的検体の分析は、自動で、コンピュータ解析および/または画像解析システムにより容易となり得る。一部の実施態様では、光学顕微鏡が画像解析に利用される。特定の開示された実施態様は、デジタル画像を取得することを含む。これは、デジタルカメラを顕微鏡(例えば明視野顕微鏡)と接続することにより実行することができる。染色された試料の得られたデジタル画像を、画像解析ソフトウェアを使用して解析する。試料はまた、定性的にかつ半定量的に評価することもできる。定性的判定には、染色強度を判定すること、陽性染色細胞および染色に関わった細胞内区画を特定すること、ならびに全般的な試料またはスライドの質を評価することが含まれる。試験試料に対する別々の評価が実施され、この解析は、公知の平均値との比較を含み、試料が異常な状態を示しているかどうかを決定することができる。
キット
本開示はまた、抗酸染色組成物を含むキットも提供する。一部の実施態様では、キットは、抗酸染色組成物および追加の成分を含む。他の実施態様では、キットは、抗酸染色組成物および少なくとも1種の脱色溶液(例えば、Ventana Medical Systems、Inc.、Tucson、AZから入手可能なAFB 脱色剤 II) または二次染料溶液(例えば、Ventana Medical Systems、Inc.、Tucson、AZから入手可能なAFB III Blue)を含む。さらに他の実施態様では、キットは、抗酸染色組成物、脱色溶液、および二次染料溶液を含む。一部の実施態様では、キットのそれぞれの成分は、別々の容器で維持される。一実施態様では、キットは、第1の組成物として本明細書に開示される抗酸染色組成物を含み、脱色溶液および二次染料溶液を、それぞれ別々の容器内でさらに含む。
一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、1つの容器で提供される。一部の実施態様では、容器は、検体処理装置で使用されるように構成されている。例えば、容器は、NexES Special Stainer(「NesES SS」)またはBenchMark Special Stainer(「BKMKSS」)などの、Ventana Medical Systems、Inc.の機器での使用に適合しているものであり得る。一部の実施態様では、抗酸染色組成物は、検体処理装置で使用されるディスペンサーで提供される。
一部の実施態様では、キットはまた、試料を載置し、かついくつかの例では固定するのに好適なスライドなどの1つまたは複数の顕微鏡用スライド、同様にカバーガラス、ピペット、またはこれらの組み合わせも備え得る。一部の実施態様では、キットは、追加的アッセイを実施するための追加的試薬を任意選択でさらに含み得る。例えば、キットは、1種または複数の以下の染色液:アルシアンブルー、過ヨウ素酸シッフ反応(PAS)用のアルシアンブルー、アルシアンイエロー、コンゴレッド、ジアスターゼ、エラスティック、ギムザ、グロコットのメテナミン銀染色液(GMS)II、鉄染色、ジョーンズライトグリーン、ジョーンズ、PAS用のライトグリーン、ムチカミンPAS、細網線維染色、シュタイナーII、トリクロムブルー、およびトリクロムグリーンを含む容器などの、他の染料、染色液、または対比染色液を含む1つまたは複数の器もしくは容器を備え得る。一例では、キットは、細菌特異的抗体を含む器または容器を備えるものもある。いくつかの例では、キットは、標識された二次抗体(例えば、フルオロフォアで標識された)を含む器または容器を備える。一部の実施態様では、キットは、生物学的試料中の抗酸菌を検出するための指示書を備える。他の実施態様では、キットは、検体処理装置と組み合わせて、抗酸染色組成物を使用するための指示書を備える。
実施例1
染色組成物比較研究
本開示の抗酸染色組成物を、従来のフェノール含有抗酸染色組成物に対して試験するために、研究を展開した。本研究は、0.22w/v%(「低TRIS」)、0.32%w/v%(「基準TRIS」)、および0.43w/v%(「高TRIS」)を含む、TRIS塩基濃度の範囲にわたり調製された抗酸染色組成物が、フェノール含有抗酸染色組成物(例えば、Ventana Medical Systems、Inc.、Tucson、Arizona、USAから入手可能なVentana AFB III)(以後「AFB III」)を使用する染色に少なくとも匹敵する、機能的染色をもたらすことを実証するために設計された。
種々の程度のAFB微生物感染を示す3つの組織例を、本研究用に選択した。それぞれの事例に関して、3組のニア-カットのスライド(1事例当たり6枚のスライド=1実験当たり合計18枚のスライド)を使用して、盲検ペアにおける1枚のスライドに対する他の1枚に関して、病理学者の選択を判定した。スライドを、AFB IIIまたは本組成物の1つのいずれかで染色した。染色されたスライドを、95%試薬アルコール、100%試薬アルコール、および100%キシレンのそれぞれでの2回のリンスを通して脱水した。スライドにカバーガラスを取付けた。全てのスライドを、例えば、「低TRIS」および「基準TRIS」で染色されたスライドを有するスライドペア、または「基準TRIS」および「高TRIS」で染色されたスライドを有するスライドペアのように、ペアで可視化した。異なる検体処理システム、すなわち、Benchmark Special Stains自動染色器(BMKSS)およびNexES Special Stainer(Ventana Medical Systems、Inc. Tucson、AZから入手可能)に関するそれぞれの実験内で、合格した/不合格したスライドの総数を数えることにより、「合格」/「不合格」の決定を行い、合格/不合格は、スライドペア中の1枚のスライドが、ペア中のもう1枚のスライドと比べて選択されるかまたは選択されないかを判定することにより決定された。
BMKSSに関して、各病理学者は、高TRIS-基準TRIS(すなわち0.32w/v%)に関するペア当たり18/18のスライドを合格とし、一方、低TRIS-基準TRISのペアに関して、それぞれ17/18のスライドを合格とした(図1を参照されたい)。単一の不合格したスライドは、病理学者の見解によると、脱色剤が針生検サイズの組織と接触しなかった結果であると考えられ、フェノール非含有染色組成物それ自体の不合格に起因するものではない。NexES SSに関しては、全てのスライドが合格した(図2を参照されたい)。病理学者はまた、「基準TRIS」で染色されたスライドおよびAFB IIIで染色されたスライドも評価した。図3に示されるように、病理学者は、「基準TRIS」で染色されたスライドを選択した。
実施例2
加速安定性研究
60℃における加速条件下で、それぞれの入手可能な販売者ロットの原料を使用して調製された3つのDLを使用して、新規の抗酸染色組成物の初期製品寿命推定(IPD)を確立するように、研究を開発した。研究では、個々の抗酸染色組成物成分の濃度を変えなかった。
材料
組織の必要条件:本研究で使用されたそれぞれの組織ブロックを、AFB陽性に関して、各ブロックから切断される合計54~100枚のスライド(過剰の切断を含む、特定のブロックに依存する数)について認定した。再実験を含み、合計183枚のスライドを染色した。
組織切断ブラケッティング:それぞれのブロックの1枚目および25枚目ごとのスライドを、市販されているAFB染色キットで染色して、次の時間点における登録のための適格性を決定した。全てのスライドは、AFB陽性微生物の存在を示し、合格した。次に、0日目に、スライドを染色して評価した。0日目のスライドの読み取り後、染色の矛盾および組織の質の問題により、本研究からブロック3を除外することを決定した。ブロック3を、そのような矛盾が最初のブロック(1~4)内に発見された場合の予備と意図されていたブロック5と置き換えた。
対照:特定の週ごとの時間点のそれぞれにおけるペア比較に使用されるベースライン対照を、本研究の0日目に調製した。対照として染色される合計45枚のスライドが必要とされた。しかしながら、9枚の追加的な0日目スライドは、ラベル付け問題のために、間違った設計ロットを受けていたことが後に確認されたため、0日目以降に染色されなければならなかった。適切な参照例を、正しい設計ロットで染色し、意図したように使用した。周囲条件下で保管された溶液を使用した分析試験および機能的染色は、研究過程にわたり間違いが発見されるまで(1か月)、AFB染色の性能または組成に変化を示さなかったため、新しい参照例スライドの使用は適切であった。
バルク試薬:以下のバルク試薬材料を使用した。これらの試薬に関して、ロット制限はなかった。
BenchMark Special Stains Liquid Coverslip, P/N 860-034
BenchMark Special Stains Two Part Wash Kit, P/N 860-040
BenchMark Special Stains Deparaffinization Solution (10X), P/N 860-036
機器
ハードウェア/ソフトウェア:単一の、適切に維持されたBMKSS器具を、本研究における全ての機能的染色に使用した。
環境チャンバ温度:較正の範囲内の適切なセンサーを使用して、試験中の実際の温度を追跡し記録した。全ての温度条件を、5℃の可動域内に維持した。最大温度条件の60℃で保管されたAFB染色設計ロットは、本研究の過程にわたり維持され、初期製品寿命推定を確立するのに使用された。広範囲の条件にわたる適切な性能を確認するために、他の温度条件を本研究に含んだが、製品寿命推定を確立するためには使用しなかった。
加速安定性設計
アレニウスモデルを使用する場合、試薬劣化は、考えられる温度範囲にわたって一次反応速度式により大きく支配される単純なプロセスであると仮定する。また、Q則は、加速安定性研究に使用する適切な温度を特定するのに有用である(Anderson & Scott、Clin. Chem.1991年、37、398を参照されたい)。Q則では、製品劣化速度は、保存温度が10℃変化する場合、一定の因子により変化する(温度が10℃上昇するごとに、反応速度はほぼ2倍になる)と述べられている。Qの値を、典型的には2、3、または4に設定した。2のQ値が最も保守的なモデルであり、これを本研究で使用した(表3を参照されたい)。
「試験条件」を、特定のストレス条件下における特定の設計ロット溶液と規定した(例:60℃において3週目に試験した設計ロット2は、特定の「試験条件」である)。試験条件を、許容基準に基づいて合格または不合格と考えた。安定性プロトコールで不合格とするためには、2つの連続的試験条件が不合格とならなければならない。任意の1つのパラメータに関して、2つの連続した時間点において、特定の試験条件が不合格とならない限り、プロトコールの特定の終点に到達するまで、加速安定性試験を継続した。
3つの設計ロットの試薬を、各試験条件に関して評価した。各設計ロットを、個々の器具試薬ボトルに等分し、各設計ロットに関して12本のボトルをそれぞれの温度条件において保管した。温度条件は、-20℃、周囲温度、40℃、および60℃であった。これで、試験用に合計9本のボトル(0日目に1本のボトルおよびさらなる8本のボトル、その後の週毎に1本)が可能となり、3本の余分のボトルは、不測の事態のために残した。各ボトルを、試薬情報および保存温度についてラベル付けした。試料を、それぞれの時間点において、分析試験のためにボトルから取りだし、次に、ボトルに、機能的染色における使用のためのストッパーおよび管を取り付けた。各評価パラメータが、60℃で8週目の時間点において許容範囲内であると判定された場合、アレニウスモデルでは、91週のリアルタイム安定性が予測される。
加速試験を、各設計ロットに関して、0日目の各評価パラメータの試験から開始した。0日目以降には、試験頻度は、試験を行うパラメータに依存した(表4を参照されたい)。染色のためにそれぞれの時間点では、3枚のスライドを複製した。0日目に染色されたスライドを、有資格のリーダーにより評価して、染色が許容されるかどうかを判定した。全ての時間点において、分析試験を実施した。
不合格が、試験下の試薬以外の何かに起因し得る場合、実験は、無効(不合格ではなく)と考えられた。例には:スライド乾燥、カバーガラスの取り付け不合格、組織の問題(劣化、切断)、器具もしくは試薬のバイアル不調、プロトコールプログラム上のエラー、またはスライドのラベル付け/問題が含まれるが、これらに限定されない。有効性情報は、各スライドに関して記録されなかった。
結果および考察
加速安定性試験を使用して、弱塩基(例えばTRIS塩基)および親油性薬剤としての界面活性剤を含有し、かつ外部販売業者から供給されるフェノールを含有する市販のAFB染色液に取って代わることを意図する、本開示のフェノール非含有AFB染色の初期製品寿命推定を確立した。-20℃~+60℃の範囲の各温度条件下で保管された設計ロットのAFB染色溶液の性能は、病理研究室およびAFBに関して有資格のリーダーにより独立して評価されて、8週の加速安定性研究(91週と同等)の全過程を通して同等であった。これらの結果に加えて、本研究中に実施された分析試験(各方法に関して表2を参照されたい)により、いかなる温度条件下においても、予め定義された不合格限度に近づいたパラメータはなかったことが実証された。pHに関して、全ての測定値は、0日目から1pH単位内であった(図4)。同様に、HPLCおよびUV-Visデータにより、ニューフクシン染料濃度に有意な変化はなかったことが実証された(図5~8)。最終的に、TRIS塩基の代わりにKOH塩基を含有するAFB染色製剤にこれまで繰り返し観察されてきた染料劣化(酸化)の徴候は、本研究において評価されたあらゆる条件下で観察されなかった。
結論
本研究の過程で実施された分析試験または機能的染色のいずれも、試験された任意の4つの条件に関して(AFB染色設計ロット溶液の、-20℃、周囲温度、+40℃、および+60℃の8週間の保存)、不合格限度に近づいたものはなかった。生成されたデータは、60℃の条件に対するアレニウスモデルを使用して、91週までの初期製品寿命推定を支持している。全般に、劣化の徴候は、本開示のAFB溶液に関して、物理的不合格または化学的不合格のストレスを与えるいずれかのいかなる状況下でも観察されなかった。本研究は、本開示のFB染色製剤の適切な機能を実証することにより、初期製品寿命推定を確立した。
Figure 0007341144000002
Figure 0007341144000004
追加の実施態様
一部の実施態様では、染色システムは、本明細書に記載の構成要素に加えて構成要素を含む。本システムおよび方法に組み込まれてもよい追加の実施態様、特色、システム、機器、材料、方法、および技術は、米国特許第8,911,815号;同第9,498,791号;同第9,618,430号;同第7,468,161号;および同第6,352,861号に記載されており、その開示は、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。染色システムのさらに追加の構成要素は、米国特許第7,303,725号、同第8,048,373号、同第9,528,918号、および同第9,192,935号に記載されており、その開示は、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。
一部の実施態様では、染色システムは、バルク液容器を備える(例えば、試料に分注するかまたは適用する前に、本明細書に記載の任意の溶液を保持するため)。一部の実施態様では、スライド処理装置を備え、一部の実施態様では、複数の追加の染色モジュールおよび各染色モジュールを独立して制御するように構成されたコントローラをさらに備える。
一部の実施態様では、染色システムは、例えば、塔状に配置されている、1つまたは複数の乾燥またはベーキング用ステーションまたはモジュール、脱ワックスまたは脱パラフィン用ステーションまたはモジュール、1つまたは複数の染色用ステーションまたはモジュールおよびカバーガラス取付け用ステーションまたはモジュールを備える積み重なったワークステーションを支持するフレームを備え得る。一部の実施態様では、輸送およびエレベータ機構が、乾燥/ベーキング、脱ワックス、染色、カバーガラス取付け操作を通して、個々の検体を載せた複数のスライドを運ぶように設計されたスライドトレイを、トレイ保存ステーションから輸送するために、塔に隣接して提供される。
一部の実施態様では、トレイ保存用ガレージまたはステーションは、スライドトレイを収容するための、垂直方向に間隔をあけて配置された複数の棚またはスキッドを担う1対の支柱を備える。一部の実施態様では、保存ステーションまたはガレージは、第1の棚位置(明確にするために、ガレージに対する外壁またはカバーは省いてある)にアクセスできる、枢着されたドアを備える。駆動モータおよび伝動装置により駆動される、回転可能に載置された1対の駆動輪を備えて一般に示されるトレイ駆動アセンブリは、トレイをポータルに入れかつ出すように動かすために第1の棚位置下に位置する。
一部の実施態様では、スライドトレイは、底壁、対向する側壁および対向する端壁を備える、一般に長方形のプラン(plan)を有する、パンまたはスライドトレイを備える。スライドトレイは、典型的には、当技術分野で公知の、そのような使用を意図する合成ポリマーを使用して、従来の射出成形により形成される。
一部の実施態様では、トレイは、検体スライドを、略水平位置に同一平面中に保持するための、検体スライド支持ラックを備える。全てのスライドを同一平面中に保持することにより、以下に記載するように、ベーキングおよび乾燥が容易となり、また、以下に記載するように、脱パラフィンおよび染色中のスライドの相互汚染が防止される。一部の実施態様では、ラックは、検体スライドがスライドトレイ上にいったん置かれると、その軸方向、横方向および垂直方向の移動を制限する、複数のスライドのバネ支持体を備える。一部の実施態様では、ラックは、トレイ底部の上に、検体スライド底部とトレイ底部との間に、膜または泡の形成を妨害するかまたは防止するのに十分な高さで支持される。一部の実施態様では、スライドバネ支持体は、検体スライドの対向する端部に力を加えることにより、個々の検体スライドを所定の位置に保持する。スライドトレイの床部は中央部に向かって傾斜しており、以下で詳細に記載するように、脱ワックス液および染色液の排出用に、中心位置への排水を容易にする。一部の実施態様では、トレイは、乾燥/ベーキング、脱パラフィン、染色、カバーガラス取付けの工程を通して、複数の検体スライドの自動取扱いを可能にする。一部の実施態様では、トレイはスプラッシュレールを備え、一般に水平グリッドに2枚のスライドの幅でかつ8枚のスライドの高さで配置された16枚の検体スライドを収容するように配置されている。
染色モジュールは、第1の側壁、第2の側壁、または両方を伝導的に加熱するように位置する、少なくとも1つの加熱要素を備え得る。スライドホルダーは、液バンドが検体にわたり操作される間に、スライド、検体、および/または液を加熱するために使用され得る。
コントローラは、一部の実施態様では、1つまたは複数のメモリおよびプログラム可能なプロセッサを備える。メモリは、プログラム命令の第1のシーケンスおよびプログラム命令の第2のシーケンスを記憶する。プログラム可能なプロセッサは、スライド上の検体を第1の液で処理するためにプログラム命令の第1のシーケンスを実行するように構成され、かつ検体を、第1の液とは異なる第2の液で処理するためにプログラム命令の第2のシーケンスを実行するように構成されている。一部の実施態様では、プログラム可能なプロセッサは、スライドを加熱するためにプログラム命令の第1のシーケンスを実行するように構成され、かつコントローラは、スライドを第2の温度まで加熱するために、プログラム命令の第2のシーケンスを実行するように構成されており、第2の温度は、第1の温度とは異なる。
コントローラは、一部の実施態様では、第1の液をスライドまで第1の速度で送達するように、分注機器に指令するために、プログラム命令の第1のシーケンスを実行するように構成されている。コントローラは、第2の液をスライドまで、第1の速度とは異なる第2の速度で送達するように、分注機器に指令するために、プログラム命令の第2のシーケンスを実行するように、さらに構成されている。
本明細書に記載されるおよび/または出願データシートに列記される、全ての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施態様の態様は修正され、必要ならば、様々な特許、出願および刊行物の概念を採用して、またさらなる実施態様を提供することができる。
本開示は、多くの例示的実施態様に関連して記載されているが、多くの他の修正および実施態様が当業者により考案され得て、それらは本開示の原理の趣旨および範囲内に入ることが理解されよう。より詳細には、理にかなった変更および修正が、主題の組み合わせ配置の構成部分および/または配置において、前述の開示、図、および添付の特許請求の範囲の範囲内で、本開示の趣旨から逸脱することなく可能である。構成部分および/または配置における変更および修正に加えて、代替的使用もまた、当業者には明白であろう。

Claims (21)

  1. フクシン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、界面活性剤、およびアルコールを含む抗酸染色組成物であって、組成物中のフクシンの量が、組成物の総容量に対し、0.75w/v%~2.75w/v%の範囲であり、抗酸染色組成物がフェノールを含まない、抗酸染色組成物。
  2. 組成物中のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの量が、組成物の総容量に対し、0.05w/v%~0.5w/v%の範囲である、請求項1に記載の抗酸染色組成物。
  3. 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、請求項1又は2に記載の抗酸染色組成物。
  4. 非イオン性界面活性剤が、C~C18アルコールエトキシレートである、請求項3に記載の抗酸染色組成物。
  5. 組成物中の界面活性剤の量が、組成物の総容量に対し、0.5w/v%~4w/v%の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗酸染色組成物。
  6. フクシンが、ニューフクシンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗酸染色組成物。
  7. 抗酸染色組成物の10%水溶液が、4~6の範囲のpHを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗酸染色組成物。
  8. 抗酸染色組成物が、(a)組成物の総容量に対し、0.75w/v%~2.75w/v%の範囲の量のフクシン;(b)組成物の総容量に対し、0.05w/v%~0.5w/v%の範囲の量のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン;および(c)組成物の総容量に対し、0.5w/v%~4w/v%の範囲の量の界面活性剤からなる、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗酸染色組成物。
  9. 界面活性剤が、C~C18アルコールエトキシレートである、請求項8に記載の抗酸染色組成物。
  10. トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの量が、組成物の総容量に対し、0.15w/v%~0.4w/v%の範囲である、請求項8に記載の抗酸染色組成物。
  11. 染色された生物学的試料を調製するための方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗酸染色組成物を用いて生物学的試料を染色することを含み、生物学的試料がフェノールを含まなくてもよい、方法。
  12. 請求項1から10のいずれか一項に記載の抗酸染色組成物を含む、容器。
  13. 請求項12に記載の容器及びディスペンサーを備えるシステムであって、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗酸染色組成物を、基材上に配置された生物学的試料に適用するための、システム。
  14. (a)請求項1から10のいずれか一項に記載の抗酸染色組成物を含む第1の組成物;ならびに(b)(i)脱パラフィン溶液;(ii)洗剤を含む洗浄液;(iii)低級アルコールおよび酸を含む、脱色溶液;ならびに(iv)染料および弱酸を含む二次染料溶液からなる群から選択される第2の組成物を含む、キット。
  15. 第1の組成物、第2の組成物および二次染料が、それぞれが別々の容器内にある、請求項14に記載のキット。
  16. 生物学的試料中の抗酸生物体を染色するin vitroの方法であって、
    (a)抗酸生物体に感染しているかまたは感染している疑いがある対象からの生物学的試料を準備する工程と、
    (b)請求項1から10のいずれか一項に記載の抗酸染色組成物を生物学的試料に適用する工程と、
    (c)抗酸染色組成物または生物学的試料の少なくとも1つを、30℃~45℃の範囲の温度まで加熱する工程と
    を含む、方法。
  17. 生物学的試料が、抗酸染色組成物と共に、10分~40分の範囲の期間インキュベートされ、請求項16に記載の方法。
  18. 100マイクロリットル~500マイクロリットルの間の抗酸染色組成物が、生物学的試料に適用され、請求項16又は17に記載の方法。
  19. 抗酸染色組成物を適用する前に、生物学的試料を脱パラフィンする工程をさらに含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. (d)アルコールおよび酸を含む脱色溶液を生物学的試料に適用する工程と、
    (e)染料および弱酸を含む二次染色液を生物学的試料に適用する工程と
    をさらに含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 抗酸染色組成物が、自動染色システムで適用される、請求項16から20のいずれか一項に記載の方法。
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