JP7340429B2 - 低温液貯槽及びその製造方法及び側部冷熱抵抗緩和層の施工方法 - Google Patents

低温液貯槽及びその製造方法及び側部冷熱抵抗緩和層の施工方法 Download PDF

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Description

本開示は、0℃以下の低温液が貯留される低温液貯槽、及びその製造方法、及び、低温液貯槽の防液堤を冷熱衝撃から保護する側部冷熱抵抗緩和層の施工方法に関する。
従来の低温液貯槽として、内部に低温液を貯留する内槽と、その内槽を外側から覆う外槽とを備え、外槽の内面に形成された側部冷熱抵抗緩和層にメッシュ構造の補強シートを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3044605号(段落[0002]、[0006]、[0010]、図4,6)
上記した従来の低温液貯槽において、側部冷熱抵抗緩和層は、防熱層の表面に接着剤層を介して補強シートを備えた構成となっている。この構成では、補強シートが防熱層の表面から浮いてはがれないように、大掛かりな設備が必要であったり、接着剤を塗る前に防熱層の表面を切削して平坦にする工程が必要であった。特に、後者の場合、側部冷熱抵抗緩和層の施工は、作業員が外槽の内側面に吊持されたゴンドラに乗って手作業で行われる。このような切削の工程、及び、切削による粉塵を除去する作業には膨大な工数及び費用がかかっていた。さらに、粉塵により作業環境が悪化するだけでなく、粉塵爆発のリスクが生じるという問題もあった。このため、側部冷熱抵抗緩和層の施工における作業性の向上が求められていた。
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、0℃以下の低温液が貯留される内槽と、その外側を覆う外槽との間に保冷層が配置されると共に、前記外槽の外側面がコンクリート製の防液堤で覆われる一方、前記外槽の内側面が、前記保冷層として、前記低温液の漏れを抑え、冷熱衝撃を緩和するために、硬質ウレタンフォームを含む防熱層を有する側部冷熱抵抗緩和層がコーティングされている低温液貯槽であって、前記側部冷熱抵抗緩和層は、前記防熱層の内側面に、硬質ウレタンフォームからなる固定層が塗布され、前記防熱層の表面に配置されるメッシュ構造の補強シートの少なくとも一部が、前記固定層に内包されている、低温液貯槽である。
請求項2の発明は、前記補強シートを前記防熱層の内側面の起伏に合わせた形状に保持する複数の仮止め具を備え、前記仮止め具は、前記防熱層の起伏の凹部に配置されている、請求項1に記載の低温液貯槽である。
請求項3の発明は、前記仮止め具が、樹脂製である、請求項2に記載の低温液貯槽である。
請求項4の発明は、前記防熱層の内側面と前記固定層とが、直接密着することで、互いに化学的及び/又は物理的に結びついている、請求項1から3の何れか1の請求項に記載の低温液貯槽である。
請求項5の発明は、前記固定層の厚さが、5~30mmである、請求項1から4の何れか1の請求項に記載の低温液貯槽である。
請求項6の発明は、前記補強シートのメッシュサイズが、1.5~4mmである、請求項1から5の何れか1の請求項に記載の低温液貯槽である。
請求項7の発明は、0℃以下の低温液が貯留される内槽と、その外側を覆う外槽との間に保冷層が配置されると共に、前記外槽の外側面がコンクリート製の防液堤で覆われている低温液貯槽における前記外槽の内側面に、前記保冷層として、前記低温液の漏れを抑え、冷熱衝撃を緩和するために、硬質ウレタンフォームを含む防熱層を有する側部冷熱抵抗緩和層をコーティングする施工方法であって、前記外槽の内側面にウレタンフォーム原料を塗布し、発泡硬化させて防熱層を形成する第1工程と、前記防熱層の内側面に、メッシュ構造の補強シートを重ねて複数の仮止め具で仮止めする第2工程と、前記補強シートの内側から、前記防熱層と同じ又は異なるウレタンフォーム原料を塗布し、発泡硬化させて前記補強シートの少なくとも一部を内包する固定層を形成する第3工程と、を行って、前記防熱層と前記補強シートと前記固定層とを含んだ前記側部冷熱抵抗緩和層を前記外槽の内側面にコーティングする側部冷熱抵抗緩和層の施工方法である。
請求項8の発明は、請求項7に記載の側部冷熱抵抗緩和層の施工方法を使用して低温液貯槽を製造する低温液貯槽の製造方法である。
請求項1,7,8の開示によれば、固定層が、内部に補強シートの少なくとも一部を内包して防熱層に固着しているので、固定層は、補強シートを防熱層の表面形状に沿わせた状態で防熱層に固着させることができる。ここで、スプレー施工の原理として、液状の粒子を発泡させながら積層するので、粒子由来の形状や場合によっては吹き付けのパターンが表面に浮き出てしまい、表面の凹凸は避けることが難しい。また、外槽表面の段差や溝等の形状に起因する段差が生じることもある。防熱層の表面に上述したような凹凸や段差等があっても、本開示の構成によれば、その形状に制限されることなく、補強シートを防熱層に積層することができる。これにより、補強シートを積層する際に、防熱層の表面を切削あるいは研磨して平坦にする工程や補強シートを接着剤により防熱層に固着させる従来の工程を省略することができ、作業性を向上させることができる。また、固定層の内部に補強シートの少なくとも一部が内包されることで、固定層と補強シートとがアンカー効果で結びつき、補強シートの界面で固定層が剥がれることが防止される。
また、請求項2,7の開示によれば、固定層が塗布される前に、補強シートを、予め、防熱層の起伏に合わせた形状に仮止めするので、補強シートと防熱層との間に浮きが生じることを抑制した状態で、固定層を塗布することができる。これにより、補強シートを防熱層の表面付近に配置した状態で側部冷熱抵抗緩和層を形成することができる。特に、防熱層の表面に形成される凹凸形状の凹部に仮止め具を配置することで、補強シートを防熱層の表面付近に効果的に配置することができる(請求項2の開示)。なお、補強シートを防熱層に仮止めする仮止め具を、金属製ではなく、請求項3のように、樹脂製とすることによって、低温液の冷熱を防熱層に伝達し難くすることができる。
ここで、従来の構成では、補強シートと防熱層との間に、例えば、クロロプレン等のゴム系、又は、ポリウレタンやエポキシ等のプラスチック系の接着剤を塗布していたので、ウレタンフォーム原料とは別に接着剤についてもその原料と設備が必要であった。本開示では、固定層が補強シートを防熱層に固着させる接着剤の役割を果たしている。さらに、本開示では、固定層と防熱層とが同一原料であり、同一設備で施工することができるので、工期の短縮が可能となる。しかも、固定層は防熱層とが同じウレタンフォーム原料であることから、接着剤を防熱層に塗布した場合よりも親和性が高くなり、固着が安定する。
具体的には、防熱層の表面(スキン層)と固定層とが直接密着することで、互いに化学的及び/又は物理的に結びつきが形成される(請求項4の開示)。化学的な結びつきとして、ウレタン結合やファンデルワールス力(結合)が挙げられ、物理的な結びつきとして、アンカー効果が挙げられる。これにより、固定層と、防熱層との固着を安定的にすることができる。ウレタン結合は、防熱層のスキン層に残存する未反応のウレタンフォーム原料(例えば、ポリオールやポリイソシアネート等)が、固定層を吹き付けた際のウレタンフォーム原料と反応することで化学的な結合が形成される。ファンデルワールス結合は、防熱層及び固定層が有する極性の大きいウレタン成分(ウレタン結合)同士が互いにファンデルワールス力により引き合うことで化学的な結合が形成される。アンカー効果は、防熱層のスキン層に形成される微小な凹凸の特に凹部に、固定層を吹き付けた際のウレタンフォーム原料が入り込み、発泡硬化することで、物理的な結合が形成される。これらの結びつきにより、固定層は、防熱層と安定的に固着することができる。
また、補強シートが固定層内(詳細には、防熱層の表面付近)に埋め込まれた否かは目視で簡単に判断することができる。また、補強シートは固定層に埋め込まれるので、接着剤により防熱層に固着される場合に比べ、防熱層からはがれる虞も低減できる。
なお、固定層が補強シートの少なくとも一部を内包して側部冷熱抵抗緩和層の表面に配置されるので、補強シートが側部冷熱抵抗緩和層の表面に配置されず、見栄えが良くなる。しかも、固定層と防熱層との間に接着剤が存在しないことで断熱性能を向上させることができる。
ここで、補強シートに対するウレタンフォーム原料の透過性(通過性)の観点から、請求項6の開示のように、補強シートのメッシュサイズは1.5~4mmであることが好ましい。
また、固定層の厚さは、補強シートを固定層に埋め込む必要があり、10mm以上とすることが好ましい。また、厚みが大き過ぎると、固定層の表面に補強シートの拘束力が及び難くなる。このため、低温液の冷熱衝撃により固定層の表面に急激な収縮が起こり、クラックが生じ易くなることから30mm以下が好ましい(請求項5の開示)。
本発明の一実施形態に係る低温液貯槽の破断正面図 タンク部の拡大断面図 側部冷熱抵抗緩和層の断面図 補強シートを防熱層へ仮止めした状態の断面図 外槽の内側面への側部冷熱抵抗緩和層の施工状態を示す図 側部冷熱抵抗緩和層の施工方法の流れを示す図 確認実験2の結果を示す表
以下、本開示の一実施形態を図1~図4に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の低温液貯槽100は、内槽20と外槽30とを備えた中空円筒状のタンク部40と、タンク部40の周囲を取り囲む円筒状の防液堤50と、からなる。タンク部40は、内槽20の内部に液化天然ガスLを貯留する。なお、低温液貯槽100の容量は、一般的に14万~23万kLであり、23万kLの低温液貯槽100では、防液堤50の直径は約90mであり、その高さは約40mとなる。
内槽20及び外槽30は、それぞれ天井部21,31を備え、その内部が外部に対して遮断された構造となっている。天井部21,31は、中央部が膨らんだドーム形状をなし、気化した液化天然ガスLが充満する空間となっている。内槽20及び外槽30は共に、金属で構成されていて、例えば、低温靭性の観点から、鉄や鋼鉄等が好ましい。特に、内槽20は、常時極低温に曝されるため、低温靭性に優れた鉄を主成分とするニッケル等の合金が好ましい。
防液堤50は、液化天然ガスLの漏洩事故発生時に液化天然ガスLの拡散防止のために設置されていて、本実施形態では、防液堤50の内側面は、外槽30の外側面に重ねられている。なお、防液堤50は、ひび割れしにくいプレストレストコンクリートで構成されている。
タンク部40において、内槽20と外槽30の間に形成される空間Kには、液化天然ガスLを-160℃程度に保ち、液化天然ガスLの気化を低減するための保冷層60が備えられている。保冷層60は、天井部保冷層61、側部保冷層62、底部保冷層63から構成されている。
詳細には、内槽20及び外槽30のうち、天井部21,31に形成される空間Kには、天井部保冷層61として、断熱性能を有する粒状パーライト等が充填されている。内槽20と外槽30のうち、側部22,32に形成される空間Kには、側部保冷層62として、外槽30の内側面30Sに側部冷熱抵抗緩和層10がコーティングされると共に、側部冷熱抵抗緩和層10と内槽20との間に、天井部保冷層61と同様に粒状パーライト等が充填されている。また、内槽20及び外槽30のうち、底部23,33に形成される空間Kには、底部保冷層63として、耐荷重性能及び断熱性能を有するパーライトコンクリート、軽量気泡コンクリート等が配設されている。なお、側部冷熱抵抗緩和層10は、漏洩した液化天然ガスLの冷熱衝撃が、防液堤50に急激に伝わることを防止するために形成されている。ここで、側部保冷層62が本開示の「保冷層」に相当する。
図2に示すように、側部冷熱抵抗緩和層10は、外槽30の内側面30S全体を覆う側面冷熱抵抗緩和層10Sと、外槽30の内底面30Tのうち、周縁部を全周に亘って覆う環状の底面冷熱抵抗緩和層10Tとからなる。底面冷熱抵抗緩和層10Tは外縁部が側面冷熱抵抗緩和層10Sの下端部と連続し、内縁部は、上方に曲げられて、その端面が内底面30Tを覆う底部保冷層63の端面に突き当てられている。仮に、外槽30の内部に液化天然ガスLが流入してきても、急激な冷熱の伝達(冷熱衝撃)を抑制し、冷熱衝撃を防液堤50の表面に至るまでに外槽30の内側で緩和することができるようになっている。ここで、液化天然ガスLの冷熱衝撃が、例えば、24時間以上かけてゆっくりと防液堤50に伝わった場合、防液堤50は急冷されず、徐冷されることとなる。これにより、防液堤50は、冷熱衝撃に曝されることが無くなり、その表面にひびが入る等の問題の発生を防止することができる。
図3には、本実施形態の側部冷熱抵抗緩和層10の断面構造が示されている。側部冷熱抵抗緩和層10は、外槽30の内面(内側面30S及び内底面30T)に、下吹き層12、防熱層13(13A,13B)、補強シート14、固定層15が積層されてなる。
下吹き層12、防熱層13、及び固定層15は何れもウレタンフォーム原料を発泡硬化させて形成される硬質ウレタンフォームで構成されている。硬質ウレタンフォームは、比較的薄い厚みで、優れた断熱性能を有している。このため、液化天然ガスLの冷熱による急激な温度変化(冷熱衝撃)を緩和して、防液堤50に冷熱衝撃が加わることを防止することができる。
下吹き層12は、外槽30の内面に直接積層される層であり、防熱層13の接着性を確保するためのプライマー的役割を果たす層である。厚みは、0.1~5mmが好ましい。
防熱層13は、下吹き層12に積層されていて、液化天然ガスLの急激な冷熱の伝達を抑制し、緩和することで、防液堤50を保護している。そのため、防熱層13は、優れた断熱性能及び圧縮強度を有し、かつ、空間の効率利用の観点から厚みは薄い方が好ましい。具体的には、密度が40~90kg/m、熱伝導率が0.040W/mK以下、圧縮強度が360kPa以上のものが好ましい。また、防熱層13の厚みは、40mm以上60mm以下が好ましい。この厚みにすることにより、外槽30の局所的な温度低下を抑制することができる。なお、本実施形態では、防熱層13は2層(13A,13B)で構成されているが、1層であってもよいし、3層以上で構成されていてもよい。防熱層13のスキン層は、高密度のウレタン層であり、コア部に比べてウレタン樹脂の比率が増すため、熱伝導率が高くなり、断熱性能が低下する。このため、防熱層13を構成する層の数は少ない方が好ましく、1層又は2層で構成することがより好ましい。
なお、防熱層13に求められる圧縮強度は、一般社団法人 日本ガス協会のLNG地上式貯槽指針における「9.5.2.2 荷重の算定」より、防液堤の高さを40m(23万kLの低温液貯槽を想定)とし、「8.4.4 冷熱抵抗緩和材」より、安全率を2.0として算出すると、約360KPaとなる。そのため、防熱層13に必要な圧縮強度は、360KPa以上となる。
本実施形態の防熱層13は、密度、65kg/m、熱伝導率、0.022W/mK、圧縮強度、520KPaである。測定方法及び、測定用サンプルの作製方法については後述する。
固定層15は、側部冷熱抵抗緩和層10の最表面を構成する。固定層15は、後述するメッシュ構造の補強シート14の少なくとも一部を内包して防熱層13に積層される。具体的には、固定層15は、仮止めされた補強シート14の内側(表面側)からウレタンフォーム原料を塗布することで形成される。塗布されたウレタンフォーム原料の一部は補強シート14のメッシュ孔を通過し、防熱層13の表面と直接接触することで、防熱層13に積層・固着される。その際、ウレタンフォーム原料により補強シート14の少なくとも一部が固定層15の内部に埋め込まれる。
本実施形態の固定層15は、防熱層13と同じウレタンフォーム原料から構成されるため、密度や圧縮強度等の特性は、前述した防熱層13と同じである。ここで、密度は、JIS K 7222:2005/ISO 845:1988に基づいて測定を行い、熱伝導率は、JIS A 1412-2:1999/ISO 8301:1999に準拠して測定を行い、圧縮強度は、JIS K 7220:2006/ISO 844:2004に準拠して測定を行った。
詳細には、以下に示す測定用サンプルをJIS A9526:2015に基づいて作製し、測定を行った。測定用サンプルは、900mm角×5mm厚みのアルミ板に、防熱層13用のウレタンフォーム原料を用いて、約3mmの下吹き層12を吹き付けた後、約25mmの防熱層を2層積層することで、約50mmの防熱層13を作製した。なお、固定層15は、防熱層13と同じウレタンフォーム原料から構成されるため、測定用サンプルの作製及び測定は行っていない。
密度は、測定用サンプルを第1防熱層13Aのスキン層を厚み方向に含むように、100mm角×30mm厚み(全面にスキン層無し)に切り出して作製し、測定を行った。熱伝導率は、測定用サンプルを第1防熱層13Aのスキン層を厚み方向に含むように、200mm角×25mm厚み(全面にスキン層無し)に切り出して作製し、測定を行った。圧縮強度は、測定用サンプルを第1防熱層13Aのスキン層を厚み方向に含むように、50mm角×30mm厚み(全面にスキン層無し)に切り出して作製し、測定を行った。
補強シート14は、防熱層13の表面付近に、少なくとも一部が固定層15に内包されるように積層されている。補強シート14は、メッシュ構造であって、本実施形態では、ガラスメッシュである。補強シート14としては、ガラス以外に、カーボンファイバーやナイロン補強材のメッシュ構造体であってもよい。
補強シート14は、防熱層13が、液化天然ガスLの冷熱衝撃により局所的に収縮してクラックを発生させてしまうことを抑制する。本実施形態では、補強シート14が少なくとも一部を固定層15に内包された状態で防熱層13の表面付近に配置されているので、防熱層13に液化天然ガスLの冷熱衝撃が加わっても補強シート14により、クラックの発生が抑制される。なお、ウレタンフォーム原料の透過性の観点から、補強シート14のメッシュ孔のサイズは、1.5~4mmであることが好ましい。
固定層15は、メッシュ構造の補強シート14の少なくとも一部を内包して防熱層13に積層される。ここで、補強シート14は、固定層15の表面から内槽20側に飛び出さず、固定層15の表面よりも内側に配置される。従って、固定層15の厚さは5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。一方、厚みが大き過ぎると(例えば30mm以上)、補強シート14の拘束力が固定層15の表面にまで届かず、冷熱衝撃により固定層15自体にクラックが生じる虞がある。固定層15に生じたクラックは、固定層15に埋め込まれた補強シート14により止められ、防熱層13を保護することができる。しかしながら、経済的な観点から、固定層15の内部に補強シート14を内包するという機能を持たせるには、その厚さは30mm以下が好ましい。なお、本実施形態の固定層15の厚さは10mmである。10mmの厚さであれば、固定層15に対して補強シート14の拘束力はその表面にまで及び、固定層15自体にクラックが入ることを防止することができる。
また、図4に示すように、補強シート14は、防熱層13に仮止め具16で固定されている。本実施形態では、仮止め具16として、タッカーが用いられる。ここで、タッカーの針(ステープル)の材質は、特に限定されないが、金属製の針に比べ、熱伝導率の低い樹脂製の針を使用することがより好ましい。仮止め具16は、補強シート14を防熱層13の起伏に合わせた形状に保持して固定(仮固定)する。仮止め具16は、防熱層13に重ねられた補強シート14を防熱層13の起伏の凹部で固定する。凹部で固定することで補強シート14を防熱層13の起伏により追従させることができ、補強シート14と防熱層13との間に浮き(隙間)が生じることを抑制することができる。なお、補強シート14は、防熱層13の起伏に完全に追従する必要はなく、補強シート14と防熱層13との間に隙間があってもよい。この隙間は、固定層15が積層されたときに、固定層15によって埋められる。
次に、側部冷熱抵抗緩和層10の施工方法について図5,6を用いて説明する。側部冷熱抵抗緩和層10の施工は、内槽20、外槽30および防液堤50がほぼ完成した状態で、空間Kにおける内槽20及び外槽30の側部22,32に配置される側部保冷層62としての粒状パーライトが充填される前に行われる。従って、図6に示すように、内槽20の側部22と外槽30の側部32との間の狭い空間K内に作業者が入って施工を行う。このとき、底部は外槽30の上に底部冷熱抵抗緩和層11が配設され、その上に内槽20が配置されているため、通常は、図示しない天井に設けられた入口から出入りする。なお、内槽20の側部22と外槽30の側部32との幅は、1000mm~2000mmであり、高さは約45mである。
側部冷熱抵抗緩和層10のうち、外槽30の内側面30Sに備えられる側面冷熱抵抗緩和層10Sの施工は、図5に示すように、図示しない天井に設置されたトロリービームに取り付けられたゴンドラ70に乗り込んだ作業者によって施工が行われる。ゴンドラ70は、環状空間K内を外槽30の内側面30Sに沿って昇降可能及び水平移動可能に吊持されている。
側部冷熱抵抗緩和層10の施工は、外槽30の内側面30S及び内底面30Tを、鉛直方向に所定間隔で分割した複数の施工領域W毎に行われる。側面冷熱抵抗緩和層10Sの施工においては、ゴンドラ70に乗り込んだ作業者M、N又はOが、施工領域Wを上端部又は下端部から順に施工を行っていく。ある施工領域Wの施工が終わったら、隣の施工領域Wに水平移動し、同様にして上端部又は下端部から繰り返し施工を行っていく。なお、施工領域Wを上端部又は下端部から順に施工を行う際、ゴンドラ70から施工できない領域は、施工を行わないで、隣りの施工領域Wへ水平移動する。上述した側面冷熱抵抗緩和層10Sのうちゴンドラ70から施工できない領域及び底面冷熱抵抗緩和層10Tについては、図5に示すように、側面冷熱抵抗緩和層10Sの施工が完了した後に作業者Oが行う。あるいはM又はNが都度、ゴンドラ70を降りて連続して施工してもよい。
図6には、側部冷熱抵抗緩和層10の施工の流れが示されている。同図に示されるように、側部冷熱抵抗緩和層10の施工は、まず第1工程S1が作業者Mにより行われる。その後、作業者Mを追いかけるように作業者Nにより、第2工程S2が行われる。さらに、その後、作業者Nを追いかけるように作業者Oにより、第3工程S3が行われる。
第1工程S1では、ウレタンフォーム原料をスプレー工法により外槽30の内面に吹き付け、発泡硬化させて防熱層13を形成させる。このとき、防熱層13を形成する前に、同様のスプレー工法により下吹き層12を形成させておく。
詳細には、第1工程S1では、作業者Mが、携行しているスプレーガン90を外槽30の内面に向けて吹き付けて下吹き層12を形成した後、再度吹き付けて、防熱層13を所定の厚さになるように形成する。本実施形態では、2回に分けて吹き付けを行い、2層の防熱層13A,13Bを形成している。これは、1回のスプレー吹き付けで、所定の厚みを形成しようとしても、吹き付けたウレタンフォーム原料の発泡硬化がある程度進み、形状保持力を発揮する前に垂れることで、所定の厚みを一様に確保することが難しくなるためである。この場合、1回目の吹き付けが終わった後、硬化が進行して表面のタック(ベタツキ)がなくなった後に2回目の吹き付けを行う。なお、第1防熱層13A及び第2防熱層13Bの厚みは略同じとなるように形成する。
本実施形態では、下吹き層12は、防熱層13と同じウレタンフォーム原料を塗布して形成される。下吹き層12の存在により、第1防熱層13Aの外槽30の内側面30Sへの接着性を向上させることができる。この場合も、下吹き層12の吹き付けが終わった後、硬化が進行して表面のタックがなくなった後に吹き付けを行う。なお、下吹き層12を設けず、外槽30の内面に直接、防熱層13を形成した場合、金属製で熱伝導率の高い外槽30の内面に付着した部分から熱が奪われて、発泡度合いが不十分となったり、外槽30と防熱層13との接着力が低下し、防熱層13が外槽30からはがれてしまう虞がある。
第2工程S2では、防熱層13の表面に、補強シート14をタッカーにより仮止めする。作業者Nは、ゴンドラ70に積み込んだロール状の補強シート14を必要な長さを巻き出し、防熱層13の表面に宛がい、防熱層13の凹凸に合わせて補強シート14の形状を保持した状態で、タッカーで固定する。その際、補強シート14を防熱層13の凹凸の凹部で仮止めすれば、補強シート14を防熱層13の凹凸に追従させることができる。ここで、防熱層13に宛がわれる補強シート14は、隣接する施工領域Wと重なるようにして仮止めされる。隣接する補強シート14同士の重なりは、特に限定されないが、50mm程度とすればよい。
第3工程S3では、防熱層13に仮止めされた補強シート14に対してスプレー吹き付けが行われ、所定の厚みの固定層15を形成させる。このとき、防熱層13の表面に仮固定された補強シート14の内側(内槽20側)からウレタンフォーム原料を吹き付けられる。例えば、作業者Oは、スプレーガン90を補強シート14のメッシュ孔に対して20~70cmの距離から垂直に吹き付けることで、ウレタンフォーム原料をメッシュ孔に入り込ませやすくすることができる。このようにして、固定層15に補強シート14を内包した状態で防熱層13に固着させる。これにより、第2工程S2でタッカーにより防熱層13に仮固定された補強シート14を固定層15を介して防熱層13の表面付近に配置することができる。
このとき、ウレタンフォーム原料の発泡硬化する速さが、早過ぎると、通過性が悪くなり、補強シート14のメッシュ孔をウレタンフォーム原料が十分に通過する前に固定層15が形成される。この場合、防熱層13と固定層15(補強シート14)との間に隙間が生じ易く、固定層15と防熱層13との固着が不十分となり、固定層15が防熱層13から丸ごとはがれてしまう虞がある。一方、ウレタンフォーム原料の発泡硬化する速さが、遅すぎると、液だれにより施工性が悪化し、厚みの一様性の制御が困難になってしまう。
なお、ウレタンフォーム原料は、ポリオール等イソシアネート以外の成分から構成されるA液と、イソシアネートで構成されるB液とで構成される。ウレタンフォーム原料の発泡硬化する速さは、A液とB液とを混合・攪拌後、原料が膨らみ始める時間(クリームタイム)で評価することができ、透過性及び施工性の観点から、A液及びB液を40℃に温調した状態でスプレー機で吹き付けを行った際のクリームタイムが0.1~1秒であることが好ましい。
ここで、固定層15の防熱層13への固着は、防熱層13の表面(スキン層)と固定層15とが直接密着することで、互いに化学的及び/又は物理的な結びつきが形成され、安定的なものとなる。詳細には、防熱層13のスキン層には、イソシアネート基やポリオール等に由来する活性水素基が未反応の状態で残存している。防熱層13に固定層15を積層するためのウレタンフォーム原料を塗布することで、防熱層13に存在する未反応のイソシアネート基や活性水素基と化学的な結びつきであるウレタン結合を形成していると考えられる。このため、固定層15を防熱層13に安定的に固着させることができる。
また、防熱層13及び固定層15を構成する極性の大きいウレタン成分(ウレタン結合)同士が互いにファンデルワールス力により引き合うことで化学的な結びつきが形成される。これによっても固定層15と防熱層13との固着は安定的なものとなる。
物理的な結びつきとしては、アンカー効果が挙げられ、防熱層13のスキン層に形成される微小な凹凸の特に凹部に、固定層15を吹き付けた際のウレタンフォーム原料が入り込み、発泡硬化することで形成される。これによっても固定層15と防熱層13との固着は安定的なものとなる。
本実施形態の側部冷熱抵抗緩和層10の構成及びその施工方法に関する説明は以上である。次に、側部冷熱抵抗緩和層10及びその施工方法の作用効果について説明する。
本実施形態の側部冷熱抵抗緩和層10では、固定層15が、内部に補強シート14の少なくとも一部を埋め込んで防熱層13に固着している。そのため、固定層15は、補強シート14を防熱層13の表面形状に沿わせた状態で固着させることができる。ここで、スプレー施工の原理として、液状の粒子を発泡させながら積層するので、粒子由来の形状や場合によっては吹き付けのパターンが表面に浮き出てしまい、表面の凹凸は避けることが難しい。また、外槽30表面の段差や溝等の形状に起因する段差が生じることもある。防熱層13の表面に上述したような凹凸や段差等があっても、本実施形態の構成によれば、その表面形状に制限されることなく、補強シート14を防熱層13に積層することができる。これにより、防熱層13に補強シート14を積層する前に、防熱層13の表面を切削あるいは研磨して平坦にしたり、補強シート14を接着剤により固着する従来の工程を省略することができ、作業性を向上させることができる。
具体的には、上述したように、防熱層13の表面に補強シート14を接着剤で貼り付けた場合には、補強シート14の有する剛性により防熱層13の表面から浮いてはがれる虞がある。そのため、補強シート14を防熱層13に固着するには、防熱層13の表面を切削して平坦にする工程が必要となる。この切削の工程は、切削時に発生する切削屑の粉塵により作業環境が悪化するだけでなく、粉塵爆発のリスクが生じてしまう。これに対して、本実施形態では、切削の工程を必要としないため、このような問題は生じることなく、作業性を向上させることができる。
しかも、切削の工程は、平坦にする目的であるから、防熱層13の発泡硬化が進行して十分な強度を発現してから行う必要がある。十分な強度が発現する前に切削やグランダー等の加工を行うと、平坦に削れなかったり裂けてしまう虞がある。これに対して、本実施形態では、第1工程S1の硬化が進行して表面のタックがなくなった後に、次の第2工程を行い、第2工程が完了した後、次の第3工程を行う。従って上述した問題は生じず、作業性を向上させることができる。
また、固定層15は、補強シート14の少なくとも一部を内部に取り込むことで、補強シート14の防熱層13への接着剤としての役割を果たしている。従来の構成では、補強シートと防熱層との間に、上述したように、ゴム系やプラスチック系のような接着剤を塗布していたので、ウレタンフォーム原料とは別に接着剤についてもその原料調達と設備が必要となり、管理も煩雑になる虞があった。本実施形態では、固定層15を、防熱層13及び下吹き層12と同一原料、同一設備で施工することができ、管理の簡略化と工期の短縮が可能となる。しかも、固定層15は防熱層13と同じ原料であることから、接着剤を防熱層13に塗布した場合よりも親和性が高くなり、固着が安定する。
具体的には、防熱層13及び固定層15とが直接密着することで互いにウレタン結合して化学的に結合したり、アンカー効果で物理的に結合したりする。これにより、固定層15と、防熱層13との固着が安定的になっている。また、防熱層13及び固定層15を構成するウレタン成分(ウレタン結合)同士が互いにファンデルワールス力により引き合うので、固定層15は、防熱層13と安定的に固着することができる。
しかも、従来の構成では、接着剤層が防熱層13と補強シート14との間に備えられるため、その接着性の検査は目視確認では容易ではなかった。本実施形態では、接着剤に相当する固定層15が最表面にあり、補強シート14を内包しているか否かは目視で簡単に判断ができる。そのため、固定層15(補強シート14)が防熱層13と密着しているか否かの検査を容易に行うことができる。また、防熱層13と固定層15とが、化学的及び/又は物理的に結合しているので、防熱層13から固定層15がはがれる虞が低減でき、補強シート14の少なくとも一部は固定層15に埋め込まれるので、防熱層13からはがれる虞も低減できる。
さらに、固定層15は接着剤に比べ、断熱性能に優れており、側部冷熱抵抗緩和層10の断熱性能を向上させることもできる。
また、本実施形態では、第2工程S2において、補強シート14を、予め、防熱層13の起伏に合わせ、追従した状態で仮止めしている。そのため、第3工程S3において、固定層15が塗布されたときに、固定層15と防熱層13との間に浮きが生じることを抑制することができる。しかも、固定層15は補強シート14を内部に埋め込んでいるので、補強シート14が側部冷熱抵抗緩和層10の最表面に配置されないため、見栄えもよくなる。さらに、補強シート14を防熱層13に接着剤で固着する場合に比べ、断熱性能を向上させることもできる。ここで、補強シート14にたるみが生じたり、斜めに歪んだりした場合は、補強シート14をカット、真っすぐになるように再度、配置すればよい。その際、補強シート14が配置されない部位が生じないように、補強シート14を所定幅以上重なるように配置する。
[確認実験1]
上記実施形態の側部冷熱抵抗緩和層10について、補強シート14を内包した硬質ウレタンフォームからなる固定層15を硬質ウレタンフォームからなる防熱層13に固着させることにより、冷熱衝撃を受けたときに防熱層13のクラックの発生を抑制できることを実験により確認した。この実験では、金属型内に側部冷熱抵抗緩和層10を作製し、その上から液体窒素を流し込み、防熱層13にクラックが入るか否かを確認した。なお、液体窒素の温度は、-196℃であり、約-160℃の液化天然ガスLに比べてより過酷な条件となる。また、窒素は不活性ガスであり、火災等のリスクがないため、実験用の代替液とした。
具体的には、内寸が、1600mm長さ×700mm幅×100厚みであり、上側が開放した解体可能な金属型を準備する。金属型を立て(長さ方向と厚み方向を底面とする)、金属型の底面(開放面と反対側)を外槽30に見立て、防熱層13用のウレタンフォーム原料を吹き付けて約3mmの下吹き層12を形成した後、50mm厚み(2層構造で各層の厚みは、25mm)の防熱層13を形成した。その上に、補強シート14をタッカー(樹脂製の針)で仮止めし、更に、補強シート14の上からウレタンフォーム原料を吹き付けて10mm厚み(1層構造)の固定層15を形成してテストピースを作製した。このとき、防熱層13と固定層15のウレタンフォーム原料は同じものを使用した。補強シート14は、メッシュ孔のサイズが、2.5mmのガラスメッシュを使用した。
そして、作製したテストピースを倒し(長さ方向と幅方向を底面とする)、その上(固定層15側)から液体窒素を流し込み、液体窒素の液面が固定層15から20~30mm高さとなるようにした。その後、液体窒素の液面高さが20~30mmとなるように、随時継ぎ足し、2時間経過させた。2時間経過後、液体窒素を金属型から除去し、クラックの発生の有無を目視にて確認した。クラックが発生している場合、クラックの表面から溶剤で希釈した染料をスポイトで垂らし、約1時間放置してクラックに着色を行った。その後、金属型を解体してテストピースを取り出し、テストピースをカットし、カット断面を目視し、防熱層13へのクラックの有無を確認した。参考用に、防熱層(50mm厚み(2層構造で各層の厚みは、25mm))の表面に補強シートを接着剤で固定した参考サンプル(従来の構成)を作成した。
その結果、10mm厚み(1層構造)の固定層15を備えた側部冷熱抵抗緩和層10の防熱層13及び防熱層の表面に補強シートを有する従来の側部冷熱抵抗緩和層の防熱層には、クラックは生じていなかった。本実験から、補強シート14の少なくとも一部を内包した硬質ウレタンフォームからなる固定層15を硬質ウレタンフォームからなる防熱層13に固着させることにより、冷熱衝撃を受けたときに防熱層13の硬質ウレタンフォームのクラックの発生を抑制できることが確認できた。本開示の側部冷熱抵抗緩和層は、従来の防熱層の表面に補強シートを有する構成の側部冷熱抵抗緩和層と同等に、冷熱衝撃を緩和することが確認できた。
[確認実験2]
確認実験2として、確認実験1における補強シート14のメッシュ孔のサイズを変更してテストピースを作製し、同様の実験を行った。メッシュ孔のサイズは、2.5mm(確認実験1)に加え、1.0mm、1.5mm、3.1mm、4.0mm、6.0mm、8.0mmとした。図7にその結果を示す。ここで、ハンドリング性は、テストピース作製時の取り扱い易さ(作業性)であり、端部がほぐれ易かったり、施工時のテンションによりメッシュ孔が歪む等の不具合の有無である。これらの不具合がなかった場合、「○」とし、不具合があった場合、「×」とした。含浸性は、ウレタンフォーム原料を塗布した際に、メッシュ孔を通過するか否かを確認した。ウレタンフォーム原料がメッシュ孔を通過した場合、「○」とし、通過しなかった場合、「×」とした。ハンドリング性又は含浸性の両方が「○」の場合、判定を「○」とし、どちらか一方が「×」の場合、判定を「×」とした。図7に示す表より、補強シート14のメッシュ孔は、1.5mm~4.0mmとすることが好ましいことが確認できた。
[確認実験3]
上記実施形態の側部冷熱抵抗緩和層10における固定層15を形成するウレタンフォーム原料について、発泡硬化する速さ(クリームタイム)が異なるウレタンフォーム原料を複数準備し、各ウレタンフォーム原料の防熱層13に仮止めされた補強シート14に対する透過性及び施工性の確認実験を行った。この実験では、固定層15を形成するウレタンフォーム原料を防熱層13に仮止めされた補強シート14に対してスプレー吹き付けを行った際に、目視で透過性及び施工性について評価を行った。なお、テストピースは確認実験1と同様に作製した。
ハンドミキシングによる発泡のクリームタイムの計測は、以下の手順で行った。まず、ウレタンフォーム原料である、A液(ポリオール等イソシアネート以外の成分)及びB液(イソシアネート)を計量し、それぞれ10℃に温調した。次に、A液の容器内にB液を投入し、3600rpmに調整した攪拌羽で3秒間攪拌後、攪拌羽を容器から外した。そして、液面が上昇し始めた時間をストップウォッチを用いて計測した。ここで、スプレー発泡機での施工は、A液及びB液の温度が高く、反応が速過ぎてクリームタイムの差異を計測することが難しい。そのため、A液及びB液の温度を低く設定し、ハンドミキシングにより発泡を行うことで、クリームタイムの差異を明確に計測することが可能となる。
その結果、ハンドミキシングでのクリームタイムが1~3秒のウレタンフォーム原料の場合、ウレタンフォーム原料の発泡硬化する速さが速すぎて、スプレー発泡機での施工を行うと補強シート14のメッシュ孔を十分通過しない状態で固定層15が形成された。また、ハンドミキシングでのクリームタイムが10秒を超えるウレタンフォーム原料の場合、スプレー発泡機での施工を行うとウレタンフォーム原料の発泡硬化する速さが遅すぎて、液だれが生じ施工性が悪化してしまった。本実験から、ウレタンフォーム原料の温度が10℃の場合のハンドミキシングによる発泡のクリームタイムが4~10秒である場合に、スプレー発泡機での施工を行うと補強シート14に対する透過性及び施工性が良好であることが確認できた。なお、上記実施形態の側部冷熱抵抗緩和層10の施工時には、A液及びB液は40℃に温調される。10℃の場合のハンドミキシングによる発泡のクリームタイムが4~10秒であるウレタンフォーム原料は、40℃の場合のスプレー発泡機による発泡では、クリームタイムは0.1~1秒となる。
[他の実施形態]
(1)上記実施形態において、低温液貯槽100には、液化天然ガスLを貯留していたが、例えば、液化プロパンガス等の他の低温液であってもよい。
(2)上記実施形態において、タンク部40は、天井部21,31を備えていたが、蓋体を備えて上方が開放した構造であってもよい。
(3)上記実施形態において、固定層15は1層であったが、複数層積層されていてもよい。
(4)上記実施形態において、固定層15が補強シート14を内包して防熱層13に固着していたが、防熱層13に補強シート14を重ね、その上から従来のゴム系やプラスチック系のような接着剤を塗布してもよい。この場合も、予め、補強シート14を防熱層13に仮止め具16で仮止めしておけばよい。
(5)上記実施形態において、仮止め具16は、防熱層13に重ねられた補強シート14を防熱層13の起伏の凹部で固定していたが、防熱層13の起伏の凹部に加えて、凸部でさらに固定してもよい。これにより、さらに補強シート14を防熱層13の起伏に追従させることができ、補強シート14と防熱層13との間に浮きが生じることを抑制することができる。
(6)上記実施形態では、ロール状の補強シート14を使用したが、所定形状に切り出して使用してもよい。特に、外槽30表面に段差や溝等がある場所では、効果的に作業を行うことができる。その際、補強シート14が配置されていない場所をなくすために、補強シート14同士が重なるように配置する。
10 側部冷熱抵抗緩和層
13 防熱層
14 補強シート
15 固定層
20 内槽
30 外槽
62 側部保冷層(保冷層)
50 防液堤
100 低温液貯槽
L 液化天然ガス(低温液)

Claims (8)

  1. 0℃以下の低温液が貯留される内槽と、その外側を覆う外槽との間に保冷層が配置されると共に、前記外槽の外側面がコンクリート製の防液堤で覆われる一方、前記外槽の内側面が、前記保冷層として、前記低温液の漏れを抑え、冷熱衝撃を緩和するために、硬質ウレタンフォームを含む防熱層を有する側部冷熱抵抗緩和層がコーティングされている低温液貯槽であって、
    前記側部冷熱抵抗緩和層は、前記防熱層の内側面に、硬質ウレタンフォームからなる固定層が塗布され、
    前記防熱層の表面に配置されるメッシュ構造の補強シートの少なくとも一部が、前記固定層に内包されている、低温液貯槽。
  2. 前記補強シートを前記防熱層の内側面の起伏に合わせた形状に保持する複数の仮止め具を備え、
    前記仮止め具は、前記防熱層の起伏の凹部に配置されている、請求項1に記載の低温液貯槽。
  3. 前記仮止め具が、樹脂製である、請求項2に記載の低温液貯槽。
  4. 前記防熱層の内側面と前記固定層とが、直接密着することで、互いに化学的及び/又は物理的に結びついている、請求項1から3の何れか1の請求項に記載の低温液貯槽。
  5. 前記固定層の厚さが、5~30mmである、請求項1から4の何れか1の請求項に記載の低温液貯槽。
  6. 前記補強シートのメッシュサイズが、1.5~4mmである、請求項1から5の何れか1の請求項に記載の低温液貯槽。
  7. 0℃以下の低温液が貯留される内槽と、その外側を覆う外槽との間に保冷層が配置されると共に、前記外槽の外側面がコンクリート製の防液堤で覆われている低温液貯槽における前記外槽の内側面に、前記保冷層として、前記低温液の漏れを抑え、冷熱衝撃を緩和するために、硬質ウレタンフォームを含む防熱層を有する側部冷熱抵抗緩和層をコーティングする施工方法であって、
    前記外槽の内側面にウレタンフォーム原料を塗布し、発泡硬化させて防熱層を形成する第1工程と、
    前記防熱層の内側面に、メッシュ構造の補強シートを重ねて複数の仮止め具で仮止めする第2工程と、
    前記補強シートの内側から、前記防熱層と同じ又は異なるウレタンフォーム原料を塗布し、発泡硬化させて前記補強シートの少なくとも一部を内包する固定層を形成する第3工程と、を行って、
    前記防熱層と前記補強シートと前記固定層とを含んだ前記側部冷熱抵抗緩和層を前記外槽の内側面にコーティングする側部冷熱抵抗緩和層の施工方法。
  8. 請求項7に記載の側部冷熱抵抗緩和層の施工方法を使用して低温液貯槽を製造する低温液貯槽の製造方法。
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