JP7340189B2 - 海底鉱床採鉱装置および海底鉱床の採鉱方法 - Google Patents
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Description
海底鉱物中には、現在地上で採掘されている鉱物と比較して、高濃度で有用金属が存在していることが各種調査で明らかにされている。そこで、近年、様々な機関で試掘調査が行なわれ、また、海底鉱物の採掘方法や採掘システムも種々提案されている(例えば特許文献1参照)。
つまり、この種の海底鉱床の成因は、海水によって急冷された熱水が重金属を析出して次第にチムニーを形成し、そのチムニーが崩壊し、礫状に堆積して隆起部が形成されてなる。これにより、海底鉱床は、その隆起部表層部が礫で覆われ、バラ積み状態の礫が山積みになる。一方、海底鉱床の隆起部内層部は、礫間が充填されることで固着状態になっていると考えられる。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、このような特有の構造をもつ海底鉱床を効率良く採鉱する上で好適な、海底鉱床採鉱装置および海底鉱床の採鉱方法を提供することを課題とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る海底鉱床の採鉱方法は、本発明の一態様に係る海底鉱床採鉱装置を用い、海底鉱床の隆起部またはその近傍に海底に自立するように前記支柱を設置する設置工程と、自立した前記支柱の上部に前記採鉱装置本体を装備する装備工程と、前記採鉱装置本体が有する作業機器で採鉱に必要な作業を隆起部の高い位置から低い位置に向けて行う採鉱工程と、を含むことを特徴とする。
そのため、本発明によれば、隆起部表層部が礫で覆われてバラ積み状態の礫が山積みになっている海底鉱床にあっても、山積み状態の礫を高い位置から低い位置に移動させて、隆起部の高い位置から低い位置に向けて採鉱作業を継続できる。よって、本発明によれば、海底鉱床を効率良く採鉱する上で好適である。
なお、近傍に支柱が設置されるの、「近傍」とは、設置される支柱の上部に装備される作業機器により、隆起部の高い位置の礫を低い位置に向けて移動可能な構成を満たす範囲である。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
図1に示すように、この採鉱装置100は、円柱状の支柱10と、支柱10の上部10tに装備される採鉱装置本体20と、を備える。支柱10は、海底鉱床Dの隆起部Mまたはその近傍Mvに海底Bに自立可能に設置される。採鉱装置本体20には、採鉱に必要な作業を隆起部Mの高い位置Hmから低い位置Lmに向けて行う作業機器30、40が装備されている。
なお、オペレータの視認性については、各作業機器30、40それぞれの適所に、不図示のカメラおよびセンサが装備されており、これらによって取得された画像情報を含む管理情報によって適切な操作が可能になっている。
これに対し、支柱10の上部近傍には、径方向に張り出す鍔部10fが設けられており、支持フレーム21の下面が鍔部10fの上面に載置された状態で支持されて、装着位置が保持されるようになっている。
本実施形態の採鉱装置100は、支柱10の中心軸CL1に対し、各クレーン30,40の水平方向での設置位置Aが例えば8m、各クレーン30,40に装備されたアタッチメント31,41の設置位置Aからの標準作業距離Bが例えば7mに設定されている。つまり、本実施形態の例での「近傍」の範囲は、設置位置A+標準作業距離Bの範囲が対応する。
本実施形態の海底鉱床の採鉱方法では、まず、図2に示すように、海底鉱床Dの隆起部Mまたはその近傍Mvに、支柱10を海底Bに自立するように設置する(設置工程)。同図に示す例では、初めに、同図(a)に示すように、海底鉱床Dの隆起部Mの頂部Tmから隆起部Mの中心軸CLに沿って、支柱10を海底Bに自立可能な深度まで竪穴を掘削する(竪穴形成工程)。自立状態の信頼性は、岩盤調査時に取得された強度データに基づき、支柱10とその上部10tに装備される採鉱装置本体20とが確実に自立する深度まで竪穴が掘削されることで確保される。
なお、上記採鉱装置100に対する海底鉱床Dの相対スケールとしては、この例では、隆起部Mの頂部までの礫堆積層αが5m、初期の作業領域を確保するための必要半径γが15m、初期の作業領域を確保するための隆起部Mの頂部からの掘削高さβが15m程度を想定したものである。
採鉱工程は、まず、図4に示すように、採鉱装置本体20に装備された第一クレーン30のグラップル31で隆起部Mの表層部の礫Rを、「隆起部Mの高い位置Hmから低い位置Lm(以下、「非作業領域」ともいう)に移動する(礫移動工程)。なお、同図に符号m1で示す矢印は、隆起部Mの表層部の礫Rをグラップル31で移動しているイメージを示している。
このとき、隆起部Mの表層部の礫Rの状態に応じ(例えば、グラップル31で移動困難な大きさの礫Rや、礫Rが固着状態にあるような場合)、第二クレーン40のハンマー41で礫Rを小割する(小割工程)。
次いで、同図に示すように、作業領域での掘削塊Pをグラップル31で非作業領域に移動させる(掘削塊移動工程)。なお、同図に符号m2で示す矢印は、作業領域での掘削塊Pをグラップル31で非作業領域に移動しているイメージを示している。
次いで、図6に示すように、作業領域での隆起部内層部の岩盤が平地にされた位置に、ジョークラッシャおよびポンプを備えた移送装置80を設置する(移送装置設置工程)。
本実施形態の海底鉱床の採鉱方法によれば、上述した各工程により、海底鉱床の隆起部Mまたはその近傍に自立した支柱10の上部に採鉱装置本体20を装備し、その採鉱装置本体20が有する作業機器30,40で、採鉱に必要な作業を隆起部Mの高い位置から低い位置に向けて行うことができる。
そのため、本実施形態の海底鉱床採鉱装置100およびこれを用いた海底鉱床の採鉱方法によれば、隆起部表層部が礫で覆われて、バラ積み状態の礫が山積みになっている海底鉱床にあっても、山積み状態の礫Rを高い位置から順に移動させつつ、隆起部Mの高い位置から低い位置に向けて採鉱作業を継続できる。
このように、本実施形態の海底鉱床採鉱装置100およびこれを用いた海底鉱床の採鉱方法によれば、上述したような特有の構造をもつ海底鉱床Dを効率良く採鉱できる。特に、本実施形態によれば、海底鉱床Dの隆起部Mの頂部に、掘削機70および移送装置80が作業できる領域を確保して、隆起部内層部の岩盤を掘削しつつ、ストックパイルに礫Rおよび掘削塊Pを移送するという採鉱工程を効率良く継続できるのである。
例えば、上記実施形態では、支柱10の設置前に竪穴Hを掘削し、その後に、竪穴H内に支柱10を設置する例を示したが、これに限定されない。つまり、支柱設置前の竪穴Hの掘削は本発明での必須構成でなく、例えば、支柱自体をドリルツールとして掘削しつつ打込むことができれば、竪穴Hを設けずに支柱10を直に設置してもよい。
また、支柱10自体の態様についても、上記実施形態では、円柱状の支柱を例示したが、これに限らず、海底鉱床Dの隆起部Mまたはその近傍Mvに海底Bに自立可能に設置可能であれば、種々の態様を採用できる。例えば、トラス構造の骨組によって支柱10を構成してもよい。
このような構成であれば、仮に一の支柱10での自立強度が不十分な岩盤であっても、自立に必要な状態を確保する上で好適である。また、作業機器として、水平フレーム23に沿って移動可能な天井クレーンを採用する上で好適である。
つまり、海底鉱床採鉱装置100の用途は、採鉱に必要な作業を隆起部の高い位置から低い位置に向けて行うものを含めば、種々の用途に適用できる。例えば、作業機器30のクレーンとして、長いクレーンを採用すれば、海底鉱床採鉱装置100を搬送機器として、鉱床全体の礫や鉱石を搬送できる。
10t 支柱上部
20 採鉱装置本体
21 支持フレーム
22 旋回装置
23 水平フレーム
30 第一クレーン(作業機器)
31 グラップル
40 第二クレーン(作業機器)
41 ハンマー
70 掘削機
80 移送装置
100 海底鉱床採鉱装置
B 海底
D 海底鉱床
M 隆起部
Mv 隆起部近傍
Hm 隆起部の高い位置
Lm 隆起部の低い位置
R 礫
P 掘削塊
Claims (6)
- 海底鉱床の隆起部またはその近傍に海底に自立可能に設置される支柱の上部に装備される採鉱装置本体を備え、
前記採鉱装置本体は、
前記支柱の上端部に装着される支持フレームと、
前記支持フレームの上部に水平旋回可能に装備される水平フレームと、
前記水平フレームの両端に水平旋回可能にそれぞれ設けられる第一クレーンおよび第二クレーンと、
前記第一クレーンの先端に作業機器として装備されるグラップルと、
前記第二クレーンの先端に作業機器として装備されるハンマーと、
を有することを特徴とする海底鉱床採鉱装置。 - 請求項1に記載の海底鉱床採鉱装置を用い、
海底鉱床の隆起部またはその近傍に海底に自立するように前記支柱を設置する設置工程と、自立した前記支柱の上部に前記採鉱装置本体を装備する装備工程と、前記採鉱装置本体が有する作業機器で採鉱に必要な作業を隆起部の高い位置から低い位置に向けて行う採鉱工程と、を含むことを特徴とする海底鉱床の採鉱方法。 - 前記設置工程は、海底鉱床の隆起部の高い位置から隆起部内部に竪穴を形成する竪穴形成工程と、前記竪穴内に支柱を打ち込む支柱刺設工程と、を含み、
前記装備工程は、自立した前記支柱の上部に前記採鉱装置本体の下部に設けられた装着部を差し込んで装備する装備挿入工程を含み、
前記採鉱工程は、前記採鉱装置本体が有する作業機器を用いて前記隆起部の高い位置から低い位置に向けて前記海底鉱床の礫を移動する礫移動工程を含む請求項2に記載の海底鉱床の採鉱方法。 - 前記採鉱工程は、
前記礫移動工程で隆起部表層部の礫を前記低い位置に移動して露出した隆起部内層部の岩盤に掘削機を配置し、前記隆起部内層部の岩盤が平地になるように前記掘削機で岩盤を掘削する掘削工程と、
前記採鉱装置本体が有する作業機器または前記掘削機で前記掘削された岩盤の掘削塊を非作業領域に移動させる掘削塊移動工程と、を含む請求項3に記載の海底鉱床の採鉱方法。 - 前記採鉱工程は、
前記隆起部内層部の岩盤が平地にされた位置に移送装置を設置する移送装置設置工程と、前記移動されている礫および/または掘削塊を前記採鉱装置本体が有する作業機器で前記移送装置に投入する投入工程と、その投入された礫および/または掘削塊を前記移送装置によって移送する移送工程と、を更に含む請求項4に記載の海底鉱床の採鉱方法。 - 前記採鉱工程は、前記採鉱装置本体の作業機器として装備された前記ハンマーで礫を小割する小割工程を更に含む請求項2~5のいずれか一項に記載の海底鉱床の採鉱方法。
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WO2018193785A1 (ja) | 2017-04-18 | 2018-10-25 | 清 菊川 | 海底資源採掘システム |
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