JP7339872B2 - 多層構造体およびその製造方法、それを用いた包装材、真空断熱体並びに電子デバイスの保護シート - Google Patents
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Description
[1]基材(X)、層(Y)及び層(Z)を備え、少なくとも一組の層(Y)及び層(Z)が隣接して積層されており、層(Y)がアルミニウム原子を含む金属酸化物(A)と無機リン化合物(BI)との反応生成物(D)を含み、層(Z)がビニルアルコール系樹脂(C)を含み、ビニルアルコール系樹脂(C)が層(Z)を占める割合が90質量%以上であり、層(Z)の平均厚みが60nm以上である、多層構造体;
[2]層(Z)が、実質的にビニルアルコール系樹脂(C)のみからなる、[1]の多層構造体;
[3]ビニルアルコール系樹脂(C)のケン化度が75~99.9モル%である、[1]または[2]の多層構造体;
[4]ビニルアルコール系樹脂(C)がポリビニルアルコールである、[1]~[3]のいずれかの多層構造体;
[5]基材(X)が、熱可塑性樹脂フィルムおよび紙からなる群より選ばれる少なくとも1種の層を含む、[1]~[4]のいずれかの多層構造体;
[6]基材(X)、層(Y)及び層(Z)がこの順に積層されている積層構造を備える、[1]~[5]のいずれかの多層構造体;
[7]基材(X)上に、アルミニウム原子を含む金属酸化物(A)と、無機リン化合物(BI)と、溶媒とを含むコーティング液(S)を塗工し、溶媒を除去することで層(Y)の前駆体層を形成する工程(I)と、前記層(Y)前駆体層上にビニルアルコール系樹脂(C)と、溶媒とを含むコーティング液(T)を塗工し、溶媒を除去することで層(Z)を形成する工程(II)と、前記層(Y)の前駆体層を熱処理して層(Y)を形成する工程(III)とを含む、[1]~[6]のいずれかの多層構造体の製造方法;
[8][1]~[7]のいずれかの多層構造体を含む、包装材;
[9]縦製袋充填シール袋、真空包装袋、パウチ、ラミネートチューブ容器、輸液バッグ、紙容器、ストリップテープ、容器用蓋材、またはインモールドラベル容器である、[8]の包装材;
[10][9]の包装材が真空包装袋であり、前記真空包装袋が内容物を含み、前記内容物が芯材であり、前記真空包装袋の内部が減圧されている真空断熱体;
[11][1]~[6]のいずれかの多層構造体を含む、電子デバイスの保護シート;
[12]光電変換装置、情報表示装置、または照明装置の表面を保護する保護シートである、[11]の電子デバイスの保護シート;
を提供することで達成される。
基材(X)の材質は、特に制限されず、様々な材質からなる基材を使用できる。基材(X)の材質としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂;布帛、紙類等の繊維集合体;木材;ガラス;金属;金属酸化物等が挙げられる。中でも、熱可塑性樹脂および繊維集合体を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂を含むことがより好ましい。基材(X)の形態は、特に制限されず、フィルムまたはシート等の層状であってもよい。基材(X)としては、熱可塑性樹脂フィルム、紙層および無機蒸着層(X’)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものが好ましく、熱可塑性樹脂フィルムを含むものがより好ましく、熱可塑性樹脂フィルムであることがさらに好ましい。
層(Y)は、金属酸化物(A)と無機リン化合物(BI)との反応生成物(D)を含む。本発明の多層構造体において、層(Y)はバリア層として機能するため、本発明の多層構造体が層(Y)を備えることで、屈曲処理前のバリア性が良好となる傾向となる。
金属酸化物(A)を構成する金属原子(それらを総称して「金属原子(M)」という場合がある)は、周期表の2~14族に属する金属原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であるが、少なくともアルミニウム原子を含む。金属原子(M)は、アルミニウム原子単独であることが好ましいが、アルミニウム原子とそれ以外の金属原子とを含んでもよい。なお、金属酸化物(A)として、2種以上の金属酸化物(A)を混合して用いてもよい。アルミニウム原子以外の金属原子としては、例えば、マグネシウム、カルシウムなどの周期表第2族の金属;亜鉛などの周期表第12族の金属;周期表第13属の金属;ケイ素などの周期表第14族の金属;チタン、ジルコニウムなどの遷移金属などを挙げることができる。なお、ケイ素は半金属に分類される場合があるが、本明細書ではケイ素を金属に含めるものとする。アルミニウムと併用され得る金属原子(M)としては、取扱性や得られる多層構造体のガスバリア性が優れる観点から、チタン及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
無機リン化合物(BI)との反応の制御が容易になり、得られる多層構造体のガスバリア性が優れることから、化合物(E)は後述するアルミニウム原子を含む化合物(Ea)を含むことが好ましい。
無機リン化合物(BI)は、金属酸化物(A)と反応可能な部位を含有し、典型的には、かかる部位を複数含有し、好適には2~20個含有する。かかる部位には、金属酸化物(A)の表面に存在する官能基(例えば、水酸基)と縮合反応可能な部位が含まれ、例えば、リン原子に直接結合したハロゲン原子、リン原子に直接結合した酸素原子等が挙げられる。金属酸化物(A)の表面に存在する官能基(例えば、水酸基)は、通常、金属酸化物(A)を構成する金属原子(M)に結合している。
反応生成物(D)は、金属酸化物(A)と無機リン化合物(BI)との反応で得られる。金属酸化物(A)と無機リン化合物(BI)とさらに他の化合物とが反応することで生成する化合物も反応生成物(D)に含まれる。
層(Y)はカルボニル基、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、およびカルボキシル基の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有する重合体(F)を含んでいてもよい。重合体(F)は、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する重合体であることが好ましい。
層(Z)は、樹脂(C)を90質量%以上含み、平均厚みが60nm以上である層である。本発明の多層構造体が、層(Z)を備えることで耐屈曲性に優れる傾向となる。
樹脂(C)はビニルアルコール系樹脂であれば特に限定されず、主に、酢酸ビニル等のビニルエステルの重合体をケン化することでえられる樹脂である。層(Y)との密着性が良好となり、耐屈曲性が高まる観点から、樹脂(C)のけん化度は75モル%以上が好ましく、78モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましい。また、後述するコーティング液(T)の調製が容易となる観点から、樹脂(C)のけん化度は99.9モル%以下であってもよい。ビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(以下「PVA」と略記する場合がある)樹脂やエチレンビニルアルコール共重合体(以下「EVOH」と略記する場合がある)樹脂等が挙げられ、中でも、本発明の多層構造体の耐屈曲性がより良好となる観点から、樹脂(C)はPVA樹脂であることが好ましい。PVA樹脂としては、例えばビニルエステルを単独重合し、ケン化して得られるPVA樹脂や、その他の変性基を有する変性PVA樹脂が挙げられる。変性PVA樹脂は、共重合変性であっても後変性であっても良い。また、EVOH樹脂はとしては、例えばビニルエステル及びエチレンを共重合し、ケン化して得られるEVOH樹脂や、その他の変性基を有する変性EVOH樹脂が挙げられる。変性EVOH樹脂は、共重合変性であっても後変性であってもよい。これらのビニルアルコール系樹脂は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。なお、本明細書においてエチレン単位含有量20モル%以上はEVOH樹脂、20モル%未満はPVA樹脂とする。
本発明の多層構造体は、様々な特性(例えば、ヒートシール性、バリア性、力学物性)を向上させるために、他の層(J)を含んでもよい。このような本発明の多層構造体は、例えば、基材(X)に層(Y)を(必要に応じて後述する接着層(I)を介して)積層させ、層(Y)に層(Z)を積層させた後に、さらに該他の層(J)を直接または後述する接着層(I)を介して接着または形成することによって製造できる。他の層(J)としては、例えば、インク層;ポリオレフィン層、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂層等の熱可塑性樹脂層等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の多層構造体において、接着層(I)を用いて、基材(X)と層(Y)間の接着性を高めたり、他の部材(例えば、他の層(J)等)との接着性を高めることができる場合がある。接着層(I)は、接着性樹脂から構成されていてもよい。前記他の部材との接着性を高める接着性樹脂としては、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを混合し反応させる2液反応型ポリウレタン系接着剤が好ましい。また、アンカーコーティング剤または接着剤に、公知のシランカップリング剤等の少量の添加剤を加えることによって、さらに接着性を高めることができる場合がある。シランカップリング剤としては、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基等の反応性基を有するシランカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の部材との接着により、本発明の多層構造体に対して印刷またはラミネート等の加工を施す際に、ガスバリア性または外観の悪化をより効果的に抑制でき、さらに、本発明の多層構造体を用いた包装材の落下強度を高めることができる場合がある。
本発明の多層構造体は、少なくとも一組の層(Y)及び層(Z)が隣接して積層されている。ここで、隣接して積層されているとは、層(Y)及び層(Z)が直接積層されていることを意味する。層(Y)及び層(Z)が隣接して積層されていることで、本発明の多層構造体の耐屈曲性が、より顕著に現れるようになる。その理由は定かではないが、層(Y)と層(Z)が隣接して積層されている場合、層(Y)の表面や間隙に層(Z)の成分が浸透し、耐屈曲性がより顕著に現れていると考えられる。本発明の多層構造体の耐屈曲性をより高める観点から、本発明の多層構造体は、基材(X)、層(Y)、層(Z)がこの順に積層されている積層構造を備えることが好ましい。なお、基材(X)と層(Y)間は、直接積層されていても接着層(I)を介して積層されていてもよい。
(1)層(Z)/層(Y)/ポリエステル層(基材(X))、
(2)層(Z)/層(Y)/ポリエステル層/層(Y)/層(Z)、
(3)層(Z)/層(Y)/ポリアミド層、
(4)層(Z)/層(Y)/ポリアミド層/層(Y)/層(Z)、
(5)層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層、
(6)層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層/層(Y)/層(Z)、
(7)層(Z)/層(Y)/水酸基含有ポリマー層、
(8)層(Z)/層(Y)/水酸基含有ポリマー層/層(Y)/層(Z)、
(9)層(Z)/層(Y)/紙層、
(10)層(Z)/層(Y)/紙層/層(Y)/層(Z)、
(11)層(Z)/層(Y)/無機蒸着層/ポリエステル層、
(12)層(Z)/層(Y)/無機蒸着層/ポリアミド層、
(13)層(Z)/層(Y)/無機蒸着層/ポリオレフィン層、
(14)層(Z)/層(Y)/無機蒸着層/水酸基含有ポリマー層、
(15)層(Z)/層(Y)/ポリエステル層/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(16)層(Z)/層(Y)/ポリエステル層/層(Y)/層(Z)/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(17)ポリエステル層/層(Z)/層(Y)/ポリエステル層/層(Y)/層(Z)/無機蒸着層/水酸基含有ポリマー層/ポリオレフィン層、
(18)ポリエステル層/層(Y)/層(Z)/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(19)層(Z)/層(Y)/ポリアミド層/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(20)層(Z)/層(Y)/ポリアミド層/層(Y)/層(Z)/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(21)ポリアミド層/層(Y)/層(Z)/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(22)層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(23)層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層/層(Y)/層(Z)/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(24)ポリオレフィン層/層(Y)/層(Z)/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(25)層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層/ポリオレフィン層、
(26)層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層/層(Y)/層(Z)/ポリオレフィン層、
(27)ポリオレフィン層/層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層、
(28)層(Z)/層(Y)/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(29)層(Z)/層(Y)/ポリエステル層/層(Y)/層(Z)/ポリオレフィン層、
(30)ポリエステル層/層(Y)/層(Z)/ポリオレフィン層、
(31)層(Z)/層(Y)/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(32)層(Z)/層(Y)/ポリアミド層/層(Y)/層(Z)/ポリオレフィン層、
(33)ポリアミド層/層(Y)/層(Z)/ポリオレフィン層、
(34)層(Z)/層(Y)/ポリエステル層/紙層、
(35)層(Z)/層(Y)/ポリアミド層/紙層、
(36)層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層/紙層、
(37)ポリオレフィン層/紙層/ポリオレフィン層/層(Y)/層(Z)/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(38)ポリオレフィン層/紙層/ポリオレフィン層/層(Y)/層(Z)/ポリアミド層/ポリオレフィン層、
(39)ポリオレフィン層/紙層/ポリオレフィン層/層(Y)/層(Z)/ポリオレフィン層、
(40)紙層/ポリオレフィン層/層(Y)/層(Z)/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(41)ポリオレフィン層/紙層/層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層、
(42)紙層/層(Z)/層(Y)/ポリエステル層/ポリオレフィン層、
(43)紙層/層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層、
(44)層(Z)/層(Y)/紙層/ポリオレフィン層、
(45)層(Z)/層(Y)/ポリエステル層/紙層/ポリオレフィン層、
(46)ポリオレフィン層/紙層/ポリオレフィン層/層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層/水酸基含有ポリマー層、
(47)ポリオレフィン層/紙層/ポリオレフィン層/層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層/ポリアミド層、
(48)ポリオレフィン層/紙層/ポリオレフィン層/層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層/ポリエステル層、
(49)無機蒸着層/層(Z)/層(Y)/ポリエステル層、
(50)無機蒸着層/層(Z)/層(Y)/ポリエステル層/層(Y)/層(Z)/無機蒸着層、
(51)無機蒸着層/層(Z)/層(Y)/ポリアミド層、
(52)無機蒸着層/層(Z)/層(Y)/ポリアミド層/層(Y)/層(Z)/無機蒸着層、
(53)無機蒸着層/層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層、
(54)無機蒸着層/層(Z)/層(Y)/ポリオレフィン層/層(Y)/層(Z)/無機蒸着層
(55)ポリエステル層/層(Y)/層(Z)/ポリアミド層/無機蒸着層/水酸基含有ポリマー層/ポリオレフィン層
(56)ポリアミド層/層(Y)/層(Z)/ポリエステル層/無機蒸着層/水酸基含有ポリマー層/ポリオレフィン層
(57)ポリエステル層/層(Y)/層(Z)/ポリエステル層/層(Y)/層(Z)/無機蒸着層/水酸基含有ポリマー層/ポリオレフィン層、
(58)ポリエステル層/層(Y)/層(Z)/無機蒸着層/ポリエステル層/ポリオレフィン層
(59)ポリエステル層/層(Y)/層(Z)/無機蒸着層/ポリエステル層/無機蒸着層/ポリエステル層/ポリオレフィン層
上記した例示において、無機蒸着層はアルミニウムの蒸着層および/または酸化アルミニウムの蒸着層であることが好ましい。上記した例示において、水酸基含有ポリマー層はエチレン-ビニルアルコール共重合体が好ましい。上記した例示において、ポリオレフィン層はポリエチレンフィルム、またはポリプロピレンフィルムであることが好ましい。上記した例示において、ポリエステル層はPETフィルムであることが好ましい。また、上記した例示において、ポリアミド層はナイロンフィルムであることが好ましい。
本発明の多層構造体について説明した事項は本発明の製造方法に適用できるため、重複する説明を省略する場合がある。また、本発明の製造方法について説明した事項は、本発明の多層構造体に適用できる。
工程(I)では、金属酸化物(A)と無機リン化合物(BI)と溶媒とを含むコーティング液(S)を基材(X)上に塗工した後、溶媒を除去し層(Y)前駆体層を形成する。コーティング液(S)は、金属酸化物(A)、無機リン化合物(BI)および溶媒を混合することで得られる。
工程(II)では、樹脂(C)と溶媒とを含むコーティング液(T)を工程(I)で得られた層(Y)前駆体層上に塗工後、溶媒を除去し層(Z)を形成する。コーティング液(T)は、樹脂(C)と溶媒とを混合することで得られる。
工程(III)では、工程(II)で形成された層(Y)前駆体層を熱処理して層(Y)を形成する。工程(III)では、反応生成物(D)が生成する反応が進行する。該反応を充分に進行させるため、熱処理の温度は140℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましく、180℃以上がさらに好ましく、190℃以上が特に好ましい。熱処理温度が低いと、充分な反応率を得るのにかかる時間が長くなり、生産性が低下する原因となる。熱処理の温度は、基材(X)の種類等によって異なるが、例えば、ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルムを基材(X)として用いる場合には、熱処理の温度は270℃以下が好ましい。また、ポリエステル系樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルムを基材(X)として用いる場合には、熱処理の温度は240℃以下が好ましい。熱処理は、空気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下等で実施してもよい。熱処理時間は、1秒~1時間が好ましく、1秒~15分がより好ましく、5~300秒がさらに好ましい。
本発明の多層構造体はバリア性が良好であるため、包装材料、電子デバイス保護シート、防湿シートの様々な用途に適用できる。また、耐屈曲性に優れる観点から、包装材料として好適に用いられる。また、本発明の多層構造体は、電子デバイスの保護シートとしても好適に用いられる。
本発明の包装材は、本発明の多層構造体のみによって構成されてもよく、本発明の多層構造体と他の部材とによって構成されてもよい。例えば、包装袋の面積の50%~100%が、多層構造体によって構成されていてもよい。包装材が包装袋以外のもの(例えば、容器、蓋材)である場合も同様である。本発明の好ましい実施形態による包装材は、無機ガス(例えば、水素、ヘリウム、窒素、酸素、二酸化炭素)、天然ガス、水蒸気および常温常圧で液体状の有機化合物(例えば、エタノール、ガソリン蒸気)に対するバリア性を有する。
(1)ポリオレフィン層/エチレンービニルアルコール共重合体層/無機蒸着層/ポリアミド層/層(Z)/層(Y)/ポリエステル層
(2)ポリオレフィン層/無機蒸着層/ポリエステル層/無機蒸着層/ポリエステル層/層(Z)/層(Y)/ポリエステル層
(3)ポリオレフィン層/エチレンービニルアルコール共重合体層/無機蒸着層/層(Z)/層(Y)/ポリエステル層/層(Z)/層(Y)/ポリエステル層
(4)ポリオレフィン層/無機蒸着層/ポリエステル層/層(Z)/層(Y)/ポリエステル層/層(Z)/層(Y)/ポリエステル層
(5)ポリオレフィン層/ポリアミド層/無機蒸着層/ポリエステル層/層(Z)/層(Y)/ポリエステル層
(6)ポリオレフィン層/エチレンービニルアルコール共重合体層/無機蒸着層/無機蒸着層/ポリエステル層/層(Z)/層(Y)/ポリエステル層
無機蒸着層と組み合わせることで、ガスバリア性が向上し、熱伝導率の低下を抑制することができる。また、上記ポリオレフィン層をエチレンービニルアルコール共重合体層に変更してもよく、エチレンービニルアルコール共重合体層に変更することで高温での熱伝導率の低下の抑制効果がある。上記層構成を真空断熱体用の外包材として使用する場合、ポリオレフィン層側が内層(ヒートシール層)、ポリエステル層側が外層とすることが好ましい。上述した層構成により、内層側の長期使用による水蒸気等の外気による劣化を抑制できる傾向となるため好ましい。また、上述した層構成で使用できる材料としては、特に限定されないが、本願実施例に記載される樹脂やフィルムを好適に使用できる。
PET12:二軸延伸ポリエチレンレテフタレートフィルム;東レ株式会社製、「ルミラー(商標)P60」(商品名)、平均厚み12μm
ONY15:二軸延伸ナイロンフィルム;ユニチカ株式会社製、「エンブレム(商標)ONBC」(商品名)、平均厚み15μm
CPP50:無延伸ポリプロピレンフィルム;三井化学東セロ株式会社製、「RXC-22」(商品名)、平均厚み50μm
CPP100:無延伸ポリプロピレンフィルム;三井化学東セロ株式会社製、「RXC-22」(商品名)、平均厚み100μm
PET50:エチレン-酢酸ビニル共重合体との接着性を向上させたポリエチレンテレフタレートフィルム;東洋紡株式会社製、「シャインビーム(商標)Q1A15」(商品名)、平均厚み50μm
VM-XL:アルミ蒸着二軸延伸EVOHフィルム;株式会社クラレ製、「VM-XL」(商品名)、平均厚み12μm
LLDPE50:直鎖状低密度ポリエチレンフィルム;出光ユニテック株式会社製、「ユニラックスLS―760C」、平均厚み50μm
PVA60-98:ポリビニルアルコール;株式会社クラレ製「クラレポバール(商標)60-98」、ケン化度:98.0~99.0モル%、粘度(4%、20℃):54.0~66.0mPa・s
PVA48-80:ポリビニルアルコール;株式会社クラレ製「クラレポバール(商標)48-80」、ケン化度:78.5~80.5モル%、粘度(4%、20℃):45.0~51.0mPa・s
(1)各層の平均厚み測定
収束イオンビーム(FIB)を用いて実施例及び比較例で得られた多層構造体を切削し、断面観察用の切片を作製した。作製した切片を試料台座にカーボンテープで固定し、加速電圧30kVで30秒間白金イオンスパッタを行った。電界放出形透過型電子顕微鏡を用いて多層構造体の断面を観察し、各層の平均厚みを算出した。測定条件は以下の通りとした。
装置:日本電子株式会社製JEM-2100F
加速電圧:200kV
倍率:250,000倍
実施例及び比較例で得られた多層構造体を、酸素透過量測定装置に酸素供給側に基材の層が向くように取り付け、JIS K7126:2006に準拠して、等圧法により酸素透過度を測定した。測定条件は以下の通りとした。
装置:MOCON社製MOCON OX-TRAN2/21
温度:20℃
酸素供給側の湿度:85%RH
キャリアガス側の湿度:0%RH
キャリアガス流量:10mL/分
酸素圧:1.0atm
キャリアガス圧力:1.0atm
実施例及び比較例で得られた多層構造体を、水蒸気透過量測定装置に水蒸気供給側に基材の層が向くように取り付け、JIS K7129B:2008に準拠して、等圧法により透湿度(水蒸気透過度)を測定した。測定条件は以下の通りとした。
装置:MOCON社製MOCON PERMATRAN W3/33
温度:40℃
水蒸気供給側の湿度:90%RH
キャリアガス側の湿度:0%RH
キャリアガス流量:50mL/分
実施例及び比較例で得られた多層構造体を210mm×297mm(A4サイズ)にカットし、ASTM F-392に準じて、ゲルボフレックステスター(理学工業株式会社製)により3サイクルの屈曲を施した。屈曲を施した多層構造体の中央部を酸素透過度および透湿度測定用のサンプルとして切り出し、上記評価方法(2)及び(3)に記載の方法に従って、酸素透過度及び透湿度を測定した。
実施例及び比較例で得られた多層構造体の層(Y)及び層(Z)側を、フーリエ変換赤外分光光度計を用い、減衰全反射法で測定した。測定条件は以下の通りとした。
装置:パーキンエルマー株式会社製Spectrum One
測定モード:減衰全反射法
測定領域:800~1400cm-1
蒸留水230質量部を撹拌しながら70℃に昇温した。その蒸留水に、トリイソプロポキシアルミニウム88質量部を1時間かけて滴下し、液温を徐々に95℃まで上昇させ、発生するイソプロパノールを留出させることによって加水分解縮合を行った。得られた液体に、60質量%の硝酸水溶液4.0質量部を添加し、95℃で3時間撹拌することによって加水分解縮合物の粒子の凝集体を解膠させた。その後、その液体を、固形分濃度が酸化アルミニウム換算で10質量%になるように濃縮し、溶液を得た。こうして得られた溶液22.50質量部に対して、蒸留水54.29質量部およびメタノール18.80質量部を加え、均一になるように撹拌することによって、分散液を得た。続いて、液温を15℃に維持した状態で分散液を撹拌しながら85質量%のリン酸水溶液4.41質量部を滴下して加えた。さらに、メタノール溶液18.80質量部を滴下して加え、粘度が1500mPa・sになるまで15℃で撹拌を続け、目的のコーティング液(S-1)を得た。該コーティング液(S-1)における、アルミニウム原子とリン原子とのモル比は、アルミニウム原子:リン原子=1.15:1.00であった。
PVA60-98をビニルアルコール系樹脂(C)として用い、5wt%のPVA60-98の水溶液70.0質量部、蒸留水10.7質量部、メタノール19.3質量部を加え室温で30分撹拌後、コーティング液(T-1)を得た。
ビニルアルコール系樹脂(C)の種類を表1のとおりに変更した以外はコーティング液(T-1)の調製と同様にして、コーティング液(T-2)を得た。
コーティング液(CT-1)の製造例中記載の重合方法と同様の方法で得たPVPA0.5質量部、5wt%のPVA60-98の水溶液41.6質量部、蒸留水28.7質量部、メタノール29.2質量部を加え室温で30分撹拌後、溶液(CT-2)を得た。
<実施例1-1>
基材(X)として、PET12(基材(X-1))を準備した。この基材上に、乾燥後の平均厚みが0.3μmとなるようにバーコーターを用いてコーティング液(S-1)を塗工した。塗工後のフィルムを、120℃で3分間乾燥後、180℃で1分間熱処理して、基材上に層(Y-1)の前駆体層を形成した。次いで、乾燥後の平均厚みが0.1μmとなるようにバーコーターを用いてコーティング液(T-1)を塗工し、120℃で3分間乾燥後、210℃で1分間熱処理した。このようにして、基材(X-1)/層(Y-1)/層(Z-1)という構造を有する多層構造体(1-1-1)を得た。得られた多層構造体(1-1-1)について、上記評価方法(5)に準じて赤外吸収スペクトルを測定した結果、800~1400cm-1の領域における最大吸収波数が1108cm-1であった。
コーティング液の種類、層(Z)の平均厚みを表1の通り変更した以外は、実施例1-1と同様の方法で多層構造体(1-2-1)~(1-7-1)、(C1-2-1)~(C1-5-1)並びに多層構造体(1-2-2)~(1-7-2)、(C1-2-2)~(C1-5-2)を作製し評価した。結果表1に示す。また、多層構造体(1-2-1)~(1-7-1)、(C1-2-1)~(C1-5-1)について、上記評価方法(5)に準じて赤外吸収スペクトルを測定した結果、800~1400cm-1の領域における最大吸収波数が1108cm-1―であった。
コーティング液(T-1)使用しなかったこと以外は実施例1-1と同様の方法により多層構造体(C1-1-1)および(C1-1-2)を作製し、評価した。結果を表1に示す。また、多層構造体(C1-1-1)について、上記評価方法(5)に準じて赤外吸収スペクトルを測定した結果、800~1400cm-1の領域における最大吸収波数が1108cm-1であった。
基材(X)として、PET12(基材(X-1))を準備した。この基材(X-1)上にアルミニウムを蒸着源とし、PVD法により、0.08μmのアルミニウム蒸着層を形成し、アルミニウム蒸着フィルムを得た。得られたフィルムのアルミニウム蒸着層上に層(Z)を積層したこと以外は実施例1-1と同様の方法により多層構造体(C1-6-1)および(C1-6-2)を作製し、評価した。結果を表1に示す。
基材(X)として、PET12(基材(X-1))を準備した。この基材(X-1)上に酸化アルミニウムを蒸着源とし、PVD法により、0.04μmの酸化アルミニウム蒸着層を形成し、酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。得られたフィルムの酸化アルミニウム蒸着層上に層(Z)を積層したこと以外は実施例1-1と同様の方法により多層構造体(C1-7-1)および(C1-7-2)を作製し、評価した。結果を表1に示す。
<実施例2-1>
実施例1-1で作製した多層構造体(1-1-2)を幅120mm×120mmに裁断し、CPP層が内側になるように2枚の多層構造体を重ね合わせ、長方形の3辺をヒートシールすることによって平パウチ(2-1-1)を形成した。その平パウチに水100mLを充填した。得られた平パウチについて、40℃90%RHで30日間保管前後の酸素透過度を測定したところ、保管後も保管前と同様の酸素透過度を維持していた。
<実施例3-1>
実施例1-1で作製した多層構造体(1-1-2)から、120mm×100mmの多層構造体を2枚切り出した。続いて、切り出した2枚の多層構造体を、CPP層が内側になるように重ね合わせ、周縁をヒートシールするとともに、ポリプロピレン製のスパウト(口栓部材)をヒートシールによって取り付けて、図3と同様の構造を備えた輸液バッグ(3-1-1)を作製した。輸液バッグ(3-1-1)に水100mLを充填した。得られた輸液バッグについて、40℃90%RHで30日間保管前後の酸素透過度を測定したところ、保管後も保管前と同様の酸素透過度を維持していた。
<実施例4-1>
実施例1-1で作製した多層構造体(1-1-2)から、直径100mmの円形の多層構造体を切り取り、容器用の蓋材とした。また、容器本体として、フランジ付きの容器(東洋製罐株式会社製、「ハイレトフレックス」(登録商標)、「HR78-84」(商品名))を準備した。この容器は、上面の直径が78mmで高さが30mmのカップ形状を有する。容器の上面は解放されており、その周縁に形成されたフランジ部の幅は6.5mmである。容器は、オレフィン層/スチール層/オレフィン層の3層の積層体によって構成されている。次に、上記容器本体に水をほぼ満杯に充填し、蓋材をフランジ部にヒートシールして、蓋付き容器(4-1-1)を得た。このとき、蓋材のCPP層がフランジ部に接触するように配置して蓋材をヒートシールした。蓋付き容器(4-1-1)について、40℃90%RHで30日間保管前後の酸素透過度を測定したところ、保管後も保管前と同様の酸素透過度を維持していた。
<実施例5-1>
2枚のCPP100のそれぞれに、乾燥後の厚さが3μmとなるようにバーコーターを用いて2液型接着剤を塗工して乾燥させた。2液型接着剤には、三井化学株式会社製の「タケラック」(登録商標)の「A-525S」と三井化学株式会社製の「タケネート」(登録商標)の「A-50」とからなる2液反応型ポリウレタン系接着剤を用いた。次に、2枚のCPP100と実施例1-1の多層構造体(1-1-1)とをラミネートし、40℃で3日間静置してエージングして、CPP100/接着層/基材(X-1)/層(Y-1)/層(Z-1)/接着層/CPP100という構造を有する多層ラベル(5-1-1)を得た。
<実施例6-1>
実施例1-1において多層構造体(1-1-1)上の層(Z-1)上に接着層を形成した後、ポリエチレン樹脂(密度;0.917g/cm3、メルトフローレート;8g/10分)を厚さが20μmになるように該接着層上に295℃で押出しコートラミネートして、基材(X―1)/層(Y-1)/層(Z-1)/接着層/ポリエチレンという構造を有するラミネート体(6-1-1)を得た。上記の接着層は、乾燥後の厚さが0.3μmとなるようにバーコーターを用いて2液型接着剤を塗工し、乾燥させることによって形成した。この2液型接着剤には、三井化学株式会社製の「タケラック」(登録商標)の「A-3210」と三井化学株式会社製の「タケネート」(登録商標)の「A-3070」とからなる2液反応型ポリウレタン系接着剤を用いた。ラミネート体(6-1-1)について、40℃90%RHで30日間保管前後の酸素透過度を測定したところ、保管後も保管前と同様の酸素透過度を維持していた。
<実施例7-1>
実施例2-1で作製した平パウチ(2-1-1)に1.5%エタノール水溶液500mLを充填し、40℃90%RHで30日間保管前後の酸素透過度を測定したところ、保管後も保管前と同様の酸素透過度を維持していた。
1.5%エタノール水溶液500mLの代わりに他の充填物500mLを平パウチ(2-1-1)に充填したことを除き、実施例7-1と同様に40℃90%RHで30日間保管前後の酸素透過度を測定した。他の充填物としては、1.0%エタノール水溶液(実施例7-2)、食酢(実施例7-3)、pH2のクエン酸水溶液(実施例7-4)、食用油(実施例7-5)、ケチャップ(実施例7-6)、醤油(実施例7-7)、しょうがペースト(実施例7-8)を用いた。いずれの場合も、保管後も保管前と同様の酸素透過度を維持していた。さらに、実施例5-1で作製した蓋付き容器(5-1-2)にみかんシロップをほぼ満杯に充填し、実施例7-1と同様に40℃90%RHで30日間保管前後の酸素透過度を測定したところ、保管後も保管前と同様の酸素透過度を維持していた。
<実施例8-1>
CPP50上に、実施例5-1で用いた2液型接着剤を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、乾燥させることによって接着層を形成した。このCPPと実施例1-1で作製した多層構造体(1-1-1)のPET層とを貼り合せることによって積層体(8-1-1)を得た。続いて、ONY15の上に、前記2液反応型ポリウレタン系接着剤を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、乾燥させることによって接着層を形成した。そして、このONYと積層体(8-1-1)とを貼り合わせることによって、CPP50/接着層/基材(X-1)/層(Y-1)/層(Z-1)/接着層/ONY15、という構造を有する多層構造体(8-1-2)を得た。
多層構造体(1-1-1)の層(Z)上に、実施例5-1で用いた2液型接着剤を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、乾燥させることによって接着層を形成した。この多層構造体(1-1-1)とONY15とを貼り合せることによって積層体(8-2-1)を得た。続いて多層構造体(8-2-1)のONY15上に前記2液反応型ポリウレタン系接着剤を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、乾燥させることによって接着層を形成した。そして、この積層体(8-2-1)とVM―XLのアルミ蒸着面とを貼り合せることによって積層体(8-2-2)を得た。さらに、LLDPE50上に前記2液反応型ポリウレタン系接着剤を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、乾燥させることによって接着層を形成した。そして、このLLDPE50と積層体(8-2-2)のVM―XL面を貼り合せることによって、基材(X)/層(Y)/層(Z)/接着層/ONY/接着層/VM-XL/接着層/LLDPE50という構造を有する積層体(8-2-3)を得た。
多層構造体(1-1-1)の層(Z)上に、実施例5-1で用いた2液型接着剤を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、乾燥させることによって接着層を形成した。この多層構造体(1-1-1)と積層体(8-2-1)の基材(X)側を貼り合せることによって積層体(8-3-1)を得た。
続いて多層構造体(8-3-1)のONY15上に前記2液反応型ポリウレタン系接着剤を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、乾燥させることによって接着層を形成した。そして、この積層体(8-3-1)とVM―XLのアルミ蒸着面とを貼り合せることによって積層体(8-3-2)を得た。さらに、LLDPE50上に前記2液反応型ポリウレタン系接着剤を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、乾燥させることによって接着層を形成した。そして、このLLDPE50と積層体(8-3-2)のVM―XL面を貼り合せることによって、基材(X)/層(Y)/層(Z)/接着層/基材(X)/層(Y)/層(Z)/接着層/VM-XL/接着層/LLDPE50という構造を有する積層体(8-3-3)を得た。
<実施例9-1>
実施例1-1で作製した多層構造体(1-1-1)上に接着層を形成し、該接着層上にアクリル樹脂フィルム(厚さ50μm)をラミネートすることによって積層体を得た。続いて、該積層体の多層構造体(1-1-1)上に接着層を形成した後、PET50をラミネートして、PET50/接着層/基材(X-1)/層(Y-1)/層(Z-1)/接着層/アクリル樹脂フィルム、という構成を有する保護シート(9-1-1)を得た。前記2つの接着層はそれぞれ、2液型接着剤を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、乾燥させることによって形成した。2液型接着剤には、三井化学株式会社製の「タケラック」(登録商標)の「A-1102」と三井化学株式会社製の「タケネート」(登録商標)の「A-3070」とからなる2液反応型ポリウレタン系接着剤を用いた。
Claims (11)
- 基材(X)、層(Y)及び層(Z)がこの順に積層されている積層構造を備え、少なくとも一組の層(Y)及び層(Z)が隣接して積層されており、層(Y)がアルミニウム原子を含む金属酸化物(A)と無機リン化合物(BI)との反応生成物(D)を含み、層(Z)がビニルアルコール系樹脂(C)を含み、ビニルアルコール系樹脂(C)が層(Z)を占める割合が90質量%以上であり、層(Z)の平均厚みが60nm以上である、多層構造体。
- 層(Z)が、実質的にビニルアルコール系樹脂(C)のみからなる、請求項1に記載の多層構造体。
- ビニルアルコール系樹脂(C)のケン化度が75~99.9モル%である、請求項1または2に記載の多層構造体。
- ビニルアルコール系樹脂(C)がポリビニルアルコールである、請求項1~3のいずれか1項に記載の多層構造体。
- 基材(X)が、熱可塑性樹脂フィルムおよび紙からなる群より選ばれる少なくとも1種の層を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の多層構造体。
- 基材(X)上に、アルミニウム原子を含む金属酸化物(A)と、無機リン化合物(BI)と、溶媒とを含むコーティング液(S)を塗工し、溶媒を除去することで層(Y)の前駆体層を形成する工程(I)と、
前記層(Y)前駆体層上にビニルアルコール系樹脂(C)と、溶媒とを含むコーティング液(T)を塗工し、溶媒を除去することで層(Z)を形成する工程(II)と、
前記層(Y)の前駆体層を熱処理して層(Y)を形成する工程(III)とを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の多層構造体の製造方法。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の多層構造体を含む、包装材。
- 縦製袋充填シール袋、真空包装袋、パウチ、ラミネートチューブ容器、輸液バッグ、紙容器、ストリップテープ、容器用蓋材、またはインモールドラベル容器である、請求項7に記載の包装材。
- 請求項8に記載の包装材が真空包装袋であり、前記真空包装袋が内容物を含み、前記内容物が芯材であり、前記真空包装袋の内部が減圧されている真空断熱体。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の多層構造体を含む、電子デバイスの保護シート。
- 光電変換装置、情報表示装置、または照明装置の表面を保護する保護シートである、請求項10に記載の電子デバイスの保護シート。
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