JP7339871B2 - 検体分析装置及びスケジューリング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、検体分析装置及びスケジューリング方法に関し、特に、検体を処理する一連の複数の工程からなる処理シーケンスのスケジューリングに関する。
検体分析装置として、免疫測定装置、生化学分析装置等が知られている。検体は、生体から採取された血液、尿、組織等である。以下においては、免疫測定装置について説明する。
免疫測定装置は、免疫反応(具体的には抗体抗原反応)を利用して、検体を分析する装置である。免疫測定装置においては、複数の分析項目に対応した複数の試薬(又は複数のセット)が用意されている。また、免疫測定装置においては、複数の分析項目を実際に実行するために、複数の処理シーケンスが用意されている。個々の処理シーケンスは、検体を処理する一連の工程により構成され、処理プロトコルに相当するものである。その構成は、使用する分析方法によって異なる。
例えば、1ステップ法においては、試薬分注工程、検体分注工程、免疫反応工程、BF(Bound / Free)洗浄工程(BF分離工程)、基質液分注工程、酵素反応工程、及び、測定工程により構成される処理シーケンスが実行される。2ステップ法(サンドイッチ法)においては、第1試薬分注工程、検体分注工程、第1免疫反応工程、第1BF洗浄工程、第2試薬分注工程、第2BF洗浄工程、基質液分注工程、酵素反応工程、及び、測定工程により構成される処理シーケンスが実行される。検体を前処理する工程を経てから、第1試薬分注工程、第1免疫反応工程、第1BF洗浄工程、・・・等が実行されることもある。個々の工程で要する時間(例えば反応時間)は、実施する分析方法や用いる試薬によって異なる。
免疫測定装置においては、例えば、スケジューリング用の予約テーブル上において、実行開始時間を段階的に異ならせた複数の予約済み処理シーケンスが管理される。また、その予約テーブル上において、新規処理シーケンスについてのスケジューリングが行われる。具体的には、新規処理シーケンスについての必要な調整を経て、予約テーブルに新規処理シーケンスが登録される。制御部は、予約テーブルの内容に従って、免疫測定装置内の各構成を制御する。処理シーケンスのスケジューリングは、処理シーケンスの割り付けとも呼ばれる。
新規処理シーケンスのスケジューリングにおいて、新規処理シーケンスと予約済み処理シーケンス群との間で、衝突が生じることもある。ここで、衝突は、同じ設備を利用する複数の工程の重複予約を意味し、つまり、物理的に見て両立しない関係を意味する。例えば、同じ洗浄設備を用いる複数の洗浄工程が同時刻に予約された状態が衝突に該当する。
衝突が生じた場合、何らかの衝突回避方法が適用される。例えば、衝突が解消されるまで、新規処理シーケンスの実行開始時間を段階的に遅らせる調整が実施される。その結果、新規処理シーケンスの予約完了まで、例えば数十サイクルタイムも実行開始時間を遅らせなければならないこともある。その調整方法によると、免疫測定装置の稼働効率の低下、又は、単位時間当たりの処理シーケンス実行数の低下、という問題が生じる。
一方、衝突が生じていない一定の関係をもった複数の処理シーケンスをまとめて予約することにより、衝突の発生を回避する方法も知られている。しかし、そのような方法では、複数の新規処理シーケンスを柔軟にスケジューリングできないという問題が生じる。
なお、特許文献1には、検体を容器に注入してからそこに試薬を注入するまでの時間間隔を調整する機能を備えた分析装置が開示されている。特許文献1には、それ以外の時間長を調整することについては記載されていない。
特開平6-222064号公報
本発明の目的は、検体分析装置において、新規処理シーケンスを効率的にスケジューリングできるようにすることにある。あるいは、本発明の目的は、検体分析装置において、新規処理シーケンスを柔軟にスケジューリングできるようにすることにある。
本発明に係る検体分析装置は、新規処理シーケンスのスケジューリングに際し、前記新規処理シーケンスと予約済み処理シーケンス群との間で生じる衝突を判定する判定手段と、前記衝突を回避するための調整を行う調整手段と、を含み、前記調整手段は、前記衝突が生じた工程よりも前にある未実行の反応工程を調整対象工程として選択する選択手段と、前記調整対象工程の時間長を変更することにより前記衝突の回避を試みる試行手段と、を含むことを特徴とする。
本発明に係るスケジューリング方法は、新規処理シーケンスのスケジューリングに際し、前記新規処理シーケンスと予約済み処理シーケンス群との間で生じる衝突を判定するステップと、前記衝突が生じた工程よりも前にある未実行の反応工程を調整対象工程として選択するステップと、前記調整対象工程の時間長を変更することにより前記衝突の回避を試みるステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、検体分析装置において、新規処理シーケンスを効率的にスケジューリングできる。あるいは、本発明によれば、検体分析装置において、新規処理シーケンスを柔軟にスケジューリングできる。
実施形態に係る免疫測定装置を示す概念図である。 スケジューラーの構成例を示すブロック図である。 衝突例を示す図である。 不十分な衝突回避例を示す図である。 衝突回避例及びその問題を示す図である。 実施形態に係る衝突回避例を示す図である。 実施形態に係る他の衝突回避例を示す図である。 第1BF洗浄工程で衝突が生じた場合における衝突回避例を示す図である。 第2BF洗浄工程で衝突が生じた場合における衝突回避例を示す図である。 短縮型シーケンスを前提とする衝突回避例を示す図である。 調整方法の選択を説明するための図である。 実測値の補正を説明するための図である。 反応時間と測光値の関係を示す図である。 測光値特性を示す図である。 実施形態に係るスケジューリング方法を示すフローチャートである。 時間長の変更方法の第1例を示すフローチャートである。 時間長の変更方法の第2例を示すフローチャートである。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)実施形態の概要
実施形態に係る検体分析装置は、判定手段及び調整手段を有する。判定手段は、新規処理シーケンスのスケジューリングに際し、新規処理シーケンスと予約済み処理シーケンス群との間で生じる衝突を判定する。調整手段は、衝突を回避するための調整を行う手段である。調整手段は、選択手段及び試行手段を有する。選択手段は、衝突が生じた工程よりも前にある未実行の反応工程を調整対象工程として選択する。試行手段は、調整対象工程の時間長を変更することにより衝突の回避を試みる。
検体分析において個々の反応工程における時間長は測定精度や測定感度を左右する重要なファクタである。それ故、その時間長を所定値又は固定値としつつ、新規処理シーケンスのスケジューリングを行うのが通常である。しかし、一般に、反応時間の増大に伴って反応結果は平衡状態に近づき又は平衡状態となる。また、通常の検体測定においては、反応工程の時間長として十分なものが設定されている。反応工程の時間長を若干短縮しても反応処理結果に有意な差が生じない場合が多い。時間長の短縮により反応処理結果が変わるのであれば、測定データや測定条件等の補正で対処することも可能である。これと同様に、一般に、反応工程の時間長を延長しても反応処理結果に有意な差が生じない場合が多い。時間長の延長により反応処理結果が変わるのであれば、測定データや測定条件等の補正で対処することも可能である。
上記構成は、以上のような考え方に基づくものである。すなわち、上記構成は、いずれかの未実行の反応工程を調整対象工程として選択し、その時間長の変更により、衝突原因となった工程を時間軸上でシフトさせ、これにより衝突の回避を試みるものである。新規シーケンスそれ全体をシフトさせる場合に比べて、効率的に又は柔軟にスケジューリングを行える。
例えば、免疫測定装置においては、調整対象工程の候補として、前処理工程、免疫反応工程、酵素反応工程、等が挙げられる。特に、前処理工程は、その時間長を変更してもそれによる影響が生じ難い工程であり、調整対象工程の有力な候補である。前処理工程が他のユニットから独立したユニットにおいて実行される場合には、それはより有力な候補と言える。時間長を変えることが困難な反応工程については、その時間長を変更不可として取り扱えばよい。時間長の変更によっても衝突を回避できない場合、従前から利用されている1つ又は複数の衝突回避方法が選択的に適用され得る。
実施形態において、衝突は、同じ分注設備を用いる複数の分注工程の同時刻予約、同じ洗浄設備を用いる複数の洗浄工程の同時刻予約、及び、同じ測定設備を用いる複数の測定工程の同時刻予約、の内の少なくとも1つを意味する。複数の衝突が同時に生じた場合、時間軸上において上流側の衝突から下流側の衝突にかけて逐次的に個々の衝突の回避が試みられてもよい。あるいは、複数の衝突の一括回避が試みられてもよい。
新規処理シーケンスのスケジューリングに際して衝突が生じなかった場合には、その処理シーケンスの構成及び予約が確定し、それは予約済み処理シーケンスとなる。新規処理シーケンスのスケジューリングに際して衝突が生じたがそれが回避できた場合にも、回避後の新規処理シーケンスの構成及び予約が確定し、回避後の新規処理シーケンスは予約済み処理シーケンスとなる。
実施形態において、選択手段は、新規処理シーケンス及び予約済み処理シーケンス群の内で新規処理シーケンスの中から調整対象工程を優先的に選択する。衝突の回避に当たっては、一般に、新規処理シーケンス中のいずれかの反応工程を調整対象工程とした方が調整を容易に行えるが、予約済み処理シーケンス中のいずれかの反応工程を調整対象工程とすることも考えられる。いずれにしても、未実行の反応工程が調整対象工程として選択される。
実施形態において、時間長の変更には、時間長の短縮及び延長の内の少なくとも一方が含まれる。処理効率の観点からは、時間長の短縮を優先的に利用した方がよい。精度の観点からは、時間長の延長を優先的に利用した方がよい。稼働状況やユーザー指示に応じて、いずれの方法を優先させるのかを決定してもよい。
実施形態において、試行手段は、調整対象工程で使用する試薬に対して定められている時間範囲内において時間長を変更する。試薬によって時間長を変更可能な時間範囲が異なる場合、上記構成が採用される。個々の試薬ボトル等に時間情報を付与しておき、その時間情報を読み取って上記制御に役立ててもよい。
実施形態において、調整対象工程は、前処理工程、免疫反応工程、及び/又は、酵素反応工程である。特に、前処理工程の時間長は比較的変更し易く、その性質を衝突回避で活用するものである。前処理工程も試薬を用いる反応工程である。
実施形態に係る検体分析装置は、時間長が変更された調整対象工程を含む処理シーケンスの実行により得られた測定値を直接的又は間接的に補正する補正手段を含む。例えば、反応時間と実測値との関係を事前に調査しておき、その関係から補正曲線を定めてもよい。最終的な測定値を直接的に補正する方法、最終的な測定値を基礎付ける数値を間接的に補正する方法、等が考えられる。測定値は検体分析結果に相当するものである。
実施形態において、選択手段は、衝突が生じていない関係にある複数の新規処理シーケンスのまとめ予約に際し、複数の新規処理シーケンスの中のいずれかと予約済み処理シーケンス群との間で衝突が判定された場合に、衝突が生じた工程を含む新規処理シーケンスの中から調整対象工程を選択する。例えば、同じ検体に対する複数の分析指示に対応する複数の新規処理シーケンスをまとめ予約の対象としてもよい。
実施形態においては、複数種類の分析指示に対応する複数種類の処理シーケンスが用意されている。複数種類の処理シーケンスの中には短縮型処理シーケンスが含まれる。短縮型処理シーケンスには初期時間長として最短の時間長が定められた反応工程が含まれる。
スケジューリング試行手段は、新規処理シーケンスが短縮型処理シーケンスであり、且つ、調整対象工程が短縮型処理シーケンス中の反応工程である場合には、調整対象工程の時間長を延長することにより、衝突の回避を試みる。
上記構成は、調整対象工程の候補となる反応工程の初期時間長として最短の時間長を定めておき、その時間長の調整に際しては延長のみを行うものである。調整を行わない場合には短縮型処理シーケンスがそのまま予約されることになるので、全体として見て、検体分析装置のスループットを高められる。複数種類の処理シーケンスの全部又は一部を短縮型処理シーケンスとしてもよい。短縮型処理シーケンス中の複数の反応工程の全部又は一部を、最短時間長が定められた反応工程としてもよい。
実施形態に係るスケジューリング方法は、判定ステップ、選択ステップ、及び、試行ステップを含む。判定ステップでは、新規処理シーケンスのスケジューリングに際し、新規処理シーケンスと予約済み処理シーケンス群との間で生じる衝突が判定される。選択ステップでは、衝突が生じた工程よりも前にある未実行の反応工程が調整対象工程として選択される。試行ステップでは、調整対象工程の時間長を変更することにより衝突の回避が試みられる。上記各ステップは検体分析装置において自動的に実行されるものである。
上記方法は、ハードウエアの機能としてあるいはソフトウエアの機能として実現され得る。後者の場合、上記方法を実行するプログラムが可搬型記憶媒体を介して又はネットワークを介して情報処理装置にインストールされる。情報処理装置の概念には、検体分析装置が含まれる。検体分析装置は、例えば、免疫測定装置、生化学分析装置等である。
(2)実施形態の詳細
図1には、実施形態に係る検体分析装置としての免疫測定装置10が示されている。免疫測定装置10は、1ステップ法、2ステップ法等を含む複数の免疫測定方法に対応している。それらの測定方法を実行するため複数種類の処理シーケンス(以下、単に「シーケンス」という。)が用意されている。各シーケンスの構成及びスケジューリングに関しては後に詳述する。なお、免疫測定装置10は、具体的には、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA:Chemiluminescent Enzyme Immunoassay)に従う全自動免疫測定装置である。
図1の下段(符号10Bを参照)には、免疫測定装置10の上面図に相当する物理的なレイアウトが示されている。その内容は例示であり、様々な物理的なレイアウトを採用し得る。図1の上段(符号10Aを参照)には、免疫測定装置10の制御に関する構成が複数のブロックとして示されている。
図1の下段において、本体12の上面には、検体ラック供給部14、検体ラック排出部16、搬送路20、搬送路22等が設けられている。検体ラック供給部14上に複数の検体ラック18が載置される。個々の検体ラック18により複数の検体(正確には検体を収容した容器)が保持されている。各検体は、生体から採取された血液、尿等である。検体ラック供給部14から搬送路20へ個々の検体ラック18が送り込まれる。送り込まれた各検体ラック18が搬送路20によって搬送される。搬送路20の途中には、バーコードラベルリーダー(BCR)19が設けられている。BCR19により、各検体に貼付されたバーコードラベルの内容つまりバーコードが光学的に読み取られる。これにより、検体ごとに、1つ又は複数の分析項目を特定し得る。図1において、符号18Aは、検体吸引ポジションに位置決められた検体ラックを示している。
搬送路20は送り搬送路であり、搬送路22は戻し搬送路である。それらの搬送路20,22は、それぞれベルトコンベアにより構成される。搬送路20,22の間には横送り機構24が設けられている。搬送路22から検体ラック排出部16へ検体ラックが送り出される。検体ラック排出部16上には、分析処理を経た複数の検体ラックが蓄積される。
本体12には、中央処理部26、前処理部28、免疫反応処理部29、第1試薬保冷庫30及び第2試薬保冷庫32が設けられている。中央処理部26は、ターンテーブルを有する。ターンテーブルには、例えば、リング状の第1孔列及びリング状の第2孔列が設けられており、それらは同心円状に配置されている。第1孔列はリング状に並んだ複数の孔により構成され、第2孔列もリング状に並んだ複数の孔により構成される。個々の孔には、検体容器であるキュベットが差し込まれる(符号38を参照)。符号36はキュベット供給部を示している。第1孔列及び第2孔列は、互いに独立して回転運動する。中央処理部26においては、例えば、検体分注(具体的には検体吐出)、試薬分注(具体的には試薬吐出)、基質液分注(具体的には基質液吐出)、BF洗浄(BF分離)、攪拌、等が実行される。符号40は検体分注を示している。
前処理部28においては前処理が実行される。前処理部28はターンテーブルを有し、そこにはリング状に並んだ複数の孔からなる孔列が形成されている。前処理の対象となった検体を収容するキュベットが中央処理部26から前処理部28へ移送される(符号42を参照)。具体的には、そのキュベットが移送先の孔に差し込まれる。前処理後のキュベットが前処理部28から中央処理部26へ移送される(符号42を参照)。前処理は、免疫反応処理を実行する前に検体に対して適用される処理である。前処理においても試薬が用いられる。前処理も反応処理の一種である。前処理として様々な処理を挙げることができる。その中には、例えば、検体中の特定蛋白質に作用する処理が含まれ、また、検体中の特定複合体に乖離を生じさせる処理が含まれる。加熱下において前処理が実行されてもよい。その場合、前処理後の検体が冷却部(不図示)において冷却されてもよい。加熱された検体は中央処理部26へ移送される前に、冷却部等において一定時間待機することがある。この待機工程も前処理工程の一部であり、調整対象工程に含まれる。
免疫反応処理部29は、ターンテーブルを有し、そこにはリング状に並んだ複数の孔からなる孔列が形成されている。中央処理部26から免疫反応処理部29へ、検体を収容したキュベットが移送される(符号48を参照)。免疫反応処理後のキュベットが免疫反応処理部29から中央処理部26へ移送される(符号48を参照)。免疫反応処理部29においては、試薬を用いた免疫反応処理が実行される。2ステップ法の場合、免疫反応処理には、第1免疫反応処理工程及び第2免疫反応処理工程が含まれる。
なお、免疫反応処理部29において、酵素反応処理が行われてもよいし、中央処理部26において、酵素反応処理が行われてもよいし、それらとは別の場所で酵素反応処理が行われてもよい。
第1試薬保冷庫30は恒温槽として構成されており、その内部には、複数の試薬を収容する複数の試薬ボトルが設けられている。複数の試薬は、それぞれ、抗体又は抗原が結合した磁性粒子を含む試薬である。それらの試薬は免疫反応処理(2ステップ法の場合、第1免疫反応処理)で使用されるものである。試薬分注が符号44で示されている。
第2試薬保冷庫32は、第1試薬保冷庫30と同様に、恒温槽として構成されており、その内部には、複数の試薬を収容した複数の試薬ボトルが設けられている。それらの複数の試薬には、免疫反応処理(2ステップ法の場合、第2免疫反応処理)で使用される試薬、前処理で使用される試薬、酵素反応処理で使用される試薬、等が含まれ得る。試薬分注が符号46で示されている。
測定部34は、検体中で生じる光を測定するユニットである。事前に作成される検量線に基づいて、発光量から分析対象物質の濃度が演算される。符号50は、中央処理部26から測定部34へのキュベットの移送を示している。
なお、図1においては、キュベット移送機構、分注機構、BF洗浄機構、攪拌機構、等の図示が省略されている。図1においては、複数のターンテーブルが示されているが、それらを統合してもよいし、更に、ターンテーブルを増やしてもよい。
制御部52は、プロセッサ、例えばプログラムに従って動作するCPUにより構成される。制御部52は、図1に示されている各構成の動作を制御するものである。また、制御部52は、個々のシーケンスについてのスケジューリングを行う機能を有しており、その機能が図1においてスケジューラー54として示されている。
制御部64は、各検体から読み取ったバーコード情報に基づいて検体情報を取得する。制御部64から上位システムへ検体情報を送ると、上位システムから制御部64へ、分析項目等を含む分析指示が送られる。制御部64は、分析指示に基づいて、分析項目や分析方法等を特定する。続いて、分析指示に対応するシーケンスを選択し、そのスケジューリングを実行する。上位システムへの照会を行わずに、免疫測定装置10自身が検体情報から分析項目等を特定してもよい。
制御部52には記憶部56が接続されている。記憶部56は、半導体メモリ、ハードディスク等により構成される。記憶部56上には予約テーブル58が構築される。予約テーブル58は、複数の予約済みシーケンスをその内容とするものである。制御部52は、予約テーブル58の内容に基づいて、免疫測定装置10内の各構成の動作を制御する。制御部52には入力部60及び表示器62が接続されている。入力部60はキーボード、ポインティングデバイス等により構成される。表示器はLCD等により構成される。
一般に、新規シーケンスのスケジューリングにおいては、新規シーケンスと予約済みシーケンス群との間において、検体分注、試薬分注、BF洗浄等で、衝突が生じる可能性がある。すなわち、同じ設備又は同じ機材を複数の工程で同時に利用する重複予約が生じてしまう可能性がある。上記スケジューラー54は、そのような衝突が生じた場合にそれを解消させる機能を備えている。これに関し、図2以降の各図を参照しながら詳述する。
図2には、上記スケジューラー54で実行される一連の処理が模式的に示されている。図2には、予約テーブル58の内容をなす予約済みシーケンス群72も示されている。
新規に受け付けられた分析指示68に従って、指定された分析項目(及び指定された分析方法)を実行するためのシーケンス70が特定、選択される。それは新規シーケンスとも言い得る。以下に説明する時間長の変更を経ていないデフォルト状態のシーケンス70は規定シーケンスと言い得る。既に説明したように複数種類のシーケンスが用意されており、その中から、分析項目に対応するシーケンス70が選択される。1つの分析項目に対して互いに構成の異なる複数の規定シーケンスが用意されてもよい。
新規シーケンスが選択されると、その新規シーケンスの予約が試みられる(符号74を参照)。具体的には、予約テーブル58上において、新規シーケンスの仮予約が行われる。
仮予約後、新規シーケンスと複数の予約済みシーケンス群72との間での衝突の有無が判定される(符号76を参照)。衝突なしの場合(符号Bを参照)、仮予約の内容が確定する。これにより新規シーケンスが予約済みシーケンスとなり、それが予約済みシーケンス群72に追加される。
一方、衝突ありの場合(符号Aを参照)、調整制御が実行される(符号78を参照)。衝突回避のために、複数の方法を選択的に適用可能である。それらの中には、新規シーケンスの中から選択される調整対象工程の時間長の変更(符号80を参照)、及び、予約済みシーケンス群の中から選択される調整対象工程の時間長の変更(符号88を参照)、が含まれる。
新規シーケンス変更(符号80を参照)には、2つのステップが含まれる。第1ステップは、変更対象の選択であり(符号82を参照)、第2ステップは、変更方向の選択である(符号84を参照)。より詳しく説明すると、第1ステップでは、新規シーケンスの中に含まれる反応工程(前処理工程、免疫反応工程等)であって衝突が発生した工程よりも前にある反応工程が調整対象工程として選択される。続いて、第2ステップでは、調整対象工程の時間長を短縮するか延長するかが選択され、それが実行される。調整対象工程の時間長の変更により新規シーケンスの構成が部分的且つ試行的に変化する。続いて、時間長変更後の新規シーケンスについての仮予約が実行され(符号74を参照)、時間長変更後の新規シーケンスと予約済みシーケンス群との間での衝突の有無が判定される(符号76を参照)。衝突が生じた場合(衝突を回避できなかった場合)には、上記の時間長変更が再び実施される。個々の時間長には変更可能範囲が定められており、その範囲内において時間長の変更が許容される。時間長変更の繰り返し数に上限を設けておいてもよい。
上記の調整制御において(符号78を参照)、予約済みシーケンス変更が選択された場合(符号88を参照)、予約済みシーケンス群の中から、衝突よりも前にある未実行の反応工程が調整対象工程として選択され、その時間長が短縮され又は延長される。すなわち、上記同様に、第1ステップ及び第2ステップが実行される。その上で、新規シーケンスと予約済みシーケンス群72との間での衝突の有無が再び判定される。必要に応じて、予約済みシーケンス変更88が繰り返し実行される。
時間長の変更によって衝突を回避できた時点で、新規シーケンスの仮予約が確定し、それが予約済みシーケンスとして予約済みシーケンス群72に追加される。なお、予約済みシーケンス中の反応工程の時間長を変更することにより衝突が回避された場合にはその変更が確定する。
時間長の変更によっても衝突を回避できなかった場合、あるいは、タイムアウトとなった場合、衝突回避のための別の方法が実施される。具体的には、衝突が解消されるまで、新規シーケンスの開始時間を段階的に遅らせながら、新規シーケンスの仮予約が繰り返される(符号86及び符号74を参照)。
実施形態に係るスケジューラー54は、まとめ予約を行う機能も有している(符号92を参照)。例えば、同じ検体についての複数の分析指示に対応する複数の新規シーケンスが、それらの中で衝突が生じていないことを前提として、一括して仮予約される。それらと予約済みシーケンス群との間で衝突が発生した場合、それを解消するために上記同様の時間長変更が実行される。まとめ予約に先立って、複数の新規シーケンス間で衝突が生じている場合、事前にその衝突が解消されるように、時間長変更等の調整を行えばよい。
調整方法選択条件、時間長変更条件等を事前に指定しておいてもよい。状況に応じて自動的にそれらの条件が定められてもよい。予約済みシーケンス群に基づいて免疫測定装置における各構成の動作が制御される(符号94を参照)。時間長の変更の結果、測定値の補正が必要となった場合、スケジューラー54から図示されていない補正部へ、変更後の時間長を示す情報96が渡される。
図2において、符号76で特定されるブロックが判定手段に相当する。符号74,78,80,88,92で特定されるブロックが調整手段(選択手段及び試行手段)に相当する。なお、図1に示した制御部は補正手段として機能する。
図3には、衝突例が示されている。縦軸はシーケンス並び方向を示しており、横軸は時間軸に相当している。図示の例では、#1~#4が予約済みシーケンスを示している。#5が新規シーケンスを示している。新規シーケンスの予約が試行されている状況、つまり新規シーケンスが仮予約された状況にある。横軸は工程並び方向を示しており、時間軸に相当している。
図3において、Rは試薬分注工程を示しており、Sは検体分注工程を示している。I-1は免疫反応工程又は第1免疫反応工程を示しており、I-2は第2免疫反応工程を示している。BF1は洗浄工程又は第1BF洗浄工程を示しており、BF2は第2BF洗浄工程を示している。Eは酵素反応工程を示しており、Mは測定工程(測光工程)を示している。以上の事項は、図4以降の各図においても同様である。
ちなみに、シーケンス#1は、2ステップ法に対応した構成を有し、そこに含まれる第1免疫反応工程I-1の時間長及び第2免疫反応工程I-2の時間長は比較的に長い。シーケンス#2も、シーケンス#1と同様の構成を有している。シーケンス#3は、2ステップ法に対応した構成を有し、そこに含まれる第1免疫反応工程I-1の時間長及び第2免疫反応工程I-2の時間長は比較的に短い。シーケンス#4は、1ステップ法に対応した構成を有し、そこに含まれる免疫反応工程I-1の時間長は比較的に長い。新規シーケンス#5は、1ステップ法に対応した構成を有し、その初期構成において、免疫反応工程I-1の時間長は比較的に短い。
なお、Δtは、時間的な基本単位である。それは通常、装置の最小動作単位であり、サイクルタイムとも呼ばれる。個々の工程は、その基本単位の整数倍に相当する時間長を有する。Δtは例えば15秒である。図3においては、以下に説明する衝突を分かり易く説明するために、各工程の時間長が正確に表現されていない。例えば、実際のBF洗浄工程の時間長は4~8個のサイクルタイムに相当するが、同じ設備(具体的には同じキュベット位置)上での衝突を考える上では、それらの内で先頭サイクルタイムを考えるだけでよいので、図3においては先頭サイクルタイムのみが示されている。測定工程についても、上記同様に、先頭のサイクルタイムのみが示されている。このことは図4以降の各図においても同様である。
図3において、新規シーケンス#5の仮予約状態では、新規シーケンス#5中のBF洗浄工程100と、シーケンス#1中のBF洗浄工程(第1BF洗浄工程)112との間で、衝突102が生じている。衝突102が生じているタイミングはt1である。
図4には、新規シーケンス#5の実行開始時間をΔtだけ遅らせた上で、新規シーケンス#5の仮予約を行った状態(仮予約の変更状態とも言い得る)が示されている。元の実行開始時間がts1で示され、新たに設定された実行開始時間がts2で示されている。新規シーケンス#5中のBF洗浄工程100Aと、予約済みシーケンス#1中のBF洗浄工程112との間での衝突は解消されたが、今度は、新規シーケンス#5中のBF洗浄工程100Aと、予約済みシーケンス#2中のBF洗浄工程114との間で、別の衝突104が生じている。衝突104のタイミングがt2で示されている。
図5には、新規シーケンス#5の実行開始時間を2Δtだけ遅らせた上で、新規シーケンス#5の仮予約を行った状態が示されている。新たに設定された実行開始時間がts3で示されている。新規シーケンス#5(BF洗浄工程100Bを含む)と、予約済みシーケンス群#1~#4(BF洗浄工程112,114を含む)との間で、衝突は生じていない。すなわち、衝突が解消されている。
しかし、新規シーケンスの実行開始時間の遅れにより、スループット低下という問題が生じる。予約済みシーケンス数が多数(例えば20個)の場合、実行開始時間を定常的にかなり遅らせないと、新規シーケンスについてのスケジューリングを行えなくなる。
図6には、実施形態に係る第1衝突回避例が示されている。図3で示した衝突が発生した場合、新規シーケンス#5の中で、衝突が生じた工程よりも前に存在する反応工程(当然ながら未実行)が調整対象工程として選択される。その調整対象工程の時間長がサイクルタイム単位で変更される。具体的には、時間長が短縮又は延長される。
図示の例では、免疫反応工程106が調整対象工程として選択され、その時間長を上記Δtだけ(つまり一単位分)短縮することにより、短縮された時間長を有する免疫反応工程106Aを含む新規シーケンス#5が試行的に再構成されている。その仮予約状態において、BF洗浄工程100Cとの関係で生じていた衝突は解消されており、また、他にも衝突が生じていない。よって、再構成された新規シーケンスの予約が確定される。その新規シーケンスは予約済みシーケンスになる。
なお、図6に示す例において、免疫反応工程106の時間長を2単位分、延長させて衝突を回避することも考えられる。その場合にも、新規シーケンス#5の実行開始時間を維持できる。複数の衝突が生じてしまった場合には、時間軸上の上流側から下流側にかけて各衝突を段階的に回避する調整を実行すればよい。また、複数の反応工程が調整対象工程の候補となる場合、事前に指定された選択条件に従って又はランダムに、順次、調整対象工程が選択される。
図7には、実施形態に係る第2衝突回避例が示されている。図3で示した衝突が発生した場合、衝突関係にある予約済みシーケンス#1の中で、衝突が生じた工程よりも前に存在する未実行の反応工程が調整対象工程として選択される。その調整対象工程の時間長がサイクルタイム単位で短縮又は延長される。
図示の例では、第1免疫反応工程110が調整対象工程として選択され、その時間長を1単位分、短縮することにより、短縮された時間長を有する第一免疫反応工程110Aを含む予約済みシーケンス#1が試行的に再構成されている。その再構成状態においては、衝突に係るBF洗浄工程112が時間軸上、1単位前進している。新規シーケンス#5中のBF洗浄工程100と予約済みシーケンス#1中のBF洗浄工程112Aとの間で、衝突は生じていない。つまり、衝突が解消されている。その時点で、新規シーケンス#5の予約が確定され、同時に、再構成された予約済みシーケンス#1の内容が確定する。
一般に、予約済みシーケンスの構成を変更する場合、新たな衝突が発生する可能性が高い。よって、その手法は望ましくは限定的に利用される。例えば、新規シーケンスについての時間長の変更を優先し、それを繰り返しても衝突を回避できなかった場合に、予約済みシーケンスについて時間長の短縮及び延長をそれぞれ1回限り試行してもよい。
図8には、新規シーケンスに含まれる第1BF洗浄工程116で衝突が生じた場合における幾つかの時間長変更例が示されている。(A0)は新規シーケンスを示している。Pは前処理工程を示している。それらの事項は後に説明する図9及び図10においても同様である。
(A1)は、第1BF洗浄工程116よりも前にある前処理工程を1単位短縮することにより(符号118を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第1BF洗浄工程116が時間軸上、1単位、前に前進している(符号116Aを参照)。(A2)は、前処理工程を1単位延長することにより(符号120を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第1BF洗浄工程116が時間軸上、1単位、後へずれている(符号116Bを参照)。(A3)は、第1BF洗浄工程116よりも前にある第1免疫反応工程を1単位短縮することにより(符号122を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第1BF洗浄工程116が時間軸上、1単位、前に前進している(符号116Cを参照)。(A4)は、第1免疫反応工程を1単位延長することにより(符号124を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第1BF洗浄工程116が時間軸上、1単位、後へずれている(符号116Dを参照)。
時間長変更後において衝突が解消されるならば、再構成された新規シーケンスの構成及び予約が確定する。時間長変更後において衝突が解消されない場合(新たな衝突が生じる場合を含む)、変更条件を変えながら時間長変更を伴う仮予約が繰り返される。
図9には、新規シーケンスに含まれる第2BF洗浄工程126で衝突が生じた場合における幾つかの時間長変更例が示されている。上記同様に(A0)は新規シーケンスを示している。
(A1)は、第2BF洗浄工程126よりも前にある前処理工程を1単位短縮することにより(符号130を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程126が時間軸上、1単位、前へ前進している(符号126Aを参照)。(A2)は、前処理工程を1単位延長することにより(符号132を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程126が時間軸上、1単位、後へずれている(符号126Bを参照)。(A3)は、第2BF洗浄工程126よりも前にある第1免疫反応工程を1単位短縮することにより(符号134を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程126が時間軸上、1単位、前へ前進している(符号126Cを参照)。(A4)は、第1免疫反応工程を1単位延長することにより(符号136を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程126が時間軸上、1単位、後へずれている(符号126Dを参照)。
(A5)は、第2BF洗浄工程126よりも前にある第2免疫反応工程を1単位短縮することにより(符号138を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程126が時間軸上、1単位、前へ前進している(符号126Eを参照)。(A6)は、第2免疫反応工程を1単位延長することにより(符号140を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程126が時間軸上、1単位、後へずれている(符号126Fを参照)。
図10には、変形例が示されている。この変形例では、新規シーケンスとして最短型シーケンスが用いられている。それを前提として、調整対象工程の時間長が延長される。
具体的には、(A0)に示す新規シーケンスは、最短の時間長を有する前処理工程143、最短の時間長を有する第1免疫反応工程144、及び、最短の時間長を有する第2免疫反応工程145を有する。そのような新規シーケンスの仮予約状態において、第2BF洗浄工程において、他のシーケンス中の他のBF洗浄工程との間で、衝突が生じている。この衝突を回避するための時間長変更例を以下に説明する。
(A1)には、前処理工程143を1単位延長することにより(符号146を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程142が時間軸上、1単位、後へずれている(符号142Aを参照)。(A2)は、前処理工程143を2単位延長することにより(符号148を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程142が時間軸上、2単位、後へずれている(符号142Bを参照)。(A3)は、前処理工程143を3単位延長することにより(符号150を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程142が時間軸上、3単位、後へずれている(符号142Cを参照)。
(A4)は、第1免疫反応工程144を1単位延長することにより(符号152を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程142が時間軸上、1単位、後へずれている(符号142Dを参照)。(A5)は、前処理工程143及び第1免疫反応工程144をそれぞれ1単位延長することにより(符号154,156を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程142が時間軸上、2単位、後へずれている(符号142Eを参照)。
(A6)は、第2免疫反応工程145を1単位延長することにより(符号158を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程142が時間軸上、1単位、後へずれている(符号142Fを参照)。(A7)は、前処理工程143及び第2免疫反応工程145をそれぞれ1単位延長することにより(符号160,162を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程142が時間軸上、2単位、後へずれている(符号142Gを参照)。(A8)は、前処理工程143、第1免疫反応工程144及び第2免疫反応工程145をそれぞれ1単位延長することにより(符号164,166,168を参照)再構成された新規シーケンスを示している。第2BF洗浄工程142が時間軸上、3単位、後へずれている(符号142Hを参照)。
以上のように、実施形態によるスケジューリング方法によれば、新規シーケンスの実行開始時間を遅らせる方法に比べて、柔軟かつ効率的に新規シーケンスの予約を行える。結果として、スループットの向上を図れる。
図11に示されるように、複数の調整方法A1~Anが存在する場合、それぞれについて評価値E1~Enを演算し(符号170を参照)、その中から最も良い評価値を特定することにより調整方法を選択してもよい(符号172を参照)。評価値を計算する際には、短縮の場合には延長の場合よりもペナルティを小さくしてもよく、時間長の変更量の増大に応じてペナルティを大きくしてもよい。
図12には、補正方法が示されている。具体的には、時間長の変更に伴って実測値の補正を行う構成が示されている。通常、換算部176では、検量線178に基づいて、発光測定により得られた実測値174から測定値(例えば測定対象物質濃度)180が演算される。補正を行う場合、補正テーブル184を備える補正部182により、時間長の変更量に応じて、実測値が補正される。補正テーブル184は、時間長の変更量に対応する補正値を管理するためのテーブルであり、補正曲線に相当するものである。補正後の実測値174に基づいて換算部176において測定値180が演算される。このような間接的な補正に代えて測定値を直接的に補正してもよく、あるいは、検出感度の調整等の他の間接的な補正を行ってもよい。
図13には、反応時間(時間長)と測光値の関係が示されている。同図において、サイクルは測定開始からの経過時間つまり測定時間を示している。各測定値はカウント値である。標準測定時間が8サイクルである場合、それに対応する測光値が基準値(100%)とされる(符号188を参照)。図13には、基準値に対する個々の測光値の割合も示されている。基準値に対する-10%から+10%の範囲が符号190で示されている。
図14には、図13に示された測光値をプロットすることにより構成される測光値特性192が示されている。横軸は反応時間つまり測定時間を示しており、縦軸はカウント値を示している。上記のように、8サイクルを基準とした場合(符号194を参照)、例えば、-10%から+10%の範囲が測光値変化の許容範囲196(図13において符号190を参照)とされる。その許容範囲196に対応する横軸上の範囲が時間長を変更することが可能な時間範囲(変更可能時間範囲)198となる。
例えば、個々の試薬ボトルに付与されたバーコード情報中に、各反応工程に対応する変更可能時間範囲を示す情報を含めてもよい。その構成によれば、バーコード読み取り時に、変更可能時間範囲を特定し、それに基づいて制御を行える。バーコードに代えてRFタグ等の他の媒体が用いられてもよい。変更可能時間範囲を示す情報がネットワーク上のサーバーによって管理されてもよい。
図15には、実施形態に係るスケジューリング方法がフローチャートとして示されている。S10では、新たな分析指示が受け付けられる。S12では、分析指示に基づいて新規シーケンスが特定され、その仮予約が行われる。S14では、新規シーケンスと予約済みシーケンス群との間での衝突の有無が判定される。衝突が生じていない場合、S16において、新規シーケンスの予約が確定される。その新規シーケンスは予約済みシーケンスとなる。
一方、S14において、衝突の発生が判定された場合、S18において、新規シーケンス及び予約済みシーケンス群の中から、衝突発生工程よりも前の反応工程であって未実施のものが調整対象工程として選択され、その時間長が変更される。その際においては、調整対象工程で使用する試薬について定められている変更可能時間範囲が参照され、その範囲内において時間長が変更される。所定の条件に従って、時間長の変更方向を切り替えながら且つ調整対象工程を切り替えながら、時間長の変更が繰り返される。
S20では、衝突が解消されたか否か(新たな衝突が生じていないか否か)が判定される。衝突が解消された場合、S16が実行される。時間長の変更によっても衝突が解消されない場合、S22において、他の方法により衝突が解消される。例えば、衝突が解消されるまで、新規シーケンスの実行開始時間を繰り下げる処理が実行される。その上で、S16が実行される。S24では本処理を継続するか否かが判断される。
図16及び図17には、図15に示したS18の一部分の具体例が示されている。図16において、S30では、調整対象工程の時間長が1単位短縮される。S32では衝突が解消されたか否かが判定される。解消されていないと判定された場合、S34で時間長の下限(最小値)に達したか否かが判断される。下限を超えるまで、S30が繰り返し実行される。S34において時間長がその下限を超えたと判断された場合、S36で、調整対象工程の時間長が1単位延長される。S38では、衝突が解消されたか否かが判定される。衝突が解消されていないと判定された場合、S40で時間長が上限(最大値)を超えたか否かが判定される。時間長が上限を超えるまで、S36が繰り返し実行される。図16に示す方法は、短縮を延長よりも優先させるものである。
図17において、S50では、調整対象工程の時間長が1単位短縮される。S52では、衝突が解消されたか否かが判定される。衝突が解消されていないと判定された場合、S54において、調整対象工程の時間長(初期時間長)が1単位延長される。S56では、衝突が解消されたか否かが判定される。衝突が解消されていないと判定された場合、S58において、調整対象工程の時間長が2単位短縮される。S60では、衝突が解消されたか否かが判定される。衝突が解消されていないと判定された場合、S62において、調整対象工程の時間長が2単位拡大される。以降、短縮及び拡大を交互に選択しながら、衝突が解消されるまで時間長が変更される。
実施形態に係るスケジューリング方法の実施に際し、時間長変更の範囲を大きくすると制御が複雑になり、また精度の維持が難しくなることから、例えば、1単位に限り時間長の短縮及び延長を認めるようにしてもよい。また、時間長を調整しても比較的に影響が生じ難い、しかも最上流に位置する前処理工程の時間長を優先的に変更してもよい。調整対象工程を新規シーケンス及び予約済みシーケンス群中の前処理工程に限定することも考えられる。実施形態に係るスケジューリング方法が免疫測定装置以外の検体分析装置に対して適用されてもよい。
10 免疫測定装置、26 中央処理部、28 前処理部、29 免疫反応処理部、30 第1試薬保冷庫、32 第2試薬保冷庫、34 測定部、54 スケジューラー、58 予約テーブル。

Claims (9)

  1. 新規処理シーケンスのスケジューリングに際し、前記新規処理シーケンスと予約済み処理シーケンス群との間で生じる衝突を判定し、これにより当該衝突が生じた工程を特定する判定手段と、
    前記衝突を回避するための調整を行う調整手段と、
    を含み、
    前記調整手段は、
    前記衝突が生じた工程を含む処理シーケンスにおいて前記衝突が生じた工程よりも前にある未実行の反応工程を調整対象工程として選択する選択手段と、
    前記調整対象工程の時間長を変更することにより前記衝突の回避を試みる試行手段と、
    を含むことを特徴とする検体分析装置。
  2. 請求項1記載の検体分析装置において、
    前記衝突は、同じ分注設備を用いる複数の分注工程の同時刻予約、同じ洗浄設備を用いる複数の洗浄工程の同時刻予約、及び、同じ測定設備を用いる複数の測定工程の同時刻予約、の内の少なくとも1つを意味する、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  3. 請求項1記載の検体分析装置において、
    前記選択手段は、前記新規処理シーケンス及び前記予約済み処理シーケンス群の内で前記新規処理シーケンスの中から前記調整対象工程を優先的に選択する、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  4. 請求項1記載の検体分析装置において、
    前記時間長の変更には、前記時間長の短縮及び延長の内の少なくとも一方が含まれる、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  5. 請求項1記載の検体分析装置において、
    前記試行手段は、前記調整対象工程で使用する試薬に対して定められている時間範囲内において前記時間長を変更する、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  6. 請求項1記載の検体分析装置において、
    前記時間長が変更された調整対象工程を含む処理シーケンスの実行により得られた測定値を直接的又は間接的に補正する補正手段を含む、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  7. 請求項1記載の検体分析装置において、
    前記選択手段は、衝突が生じていない関係にある複数の新規処理シーケンスのまとめ予約に際し、前記複数の新規処理シーケンスの中のいずれかと前記予約済み処理シーケンス群との間で衝突が判定された場合に、前記衝突が生じた工程を含む新規処理シーケンスの中から前記調整対象工程を選択する、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  8. 請求項1記載の検体分析装置において、
    前記新規処理シーケンスとして複数種類の分析指示に対応する複数種類の処理シーケンスが用意されており、
    前記複数種類の処理シーケンスの中には短縮型処理シーケンスが含まれ、
    前記短縮型処理シーケンスには初期時間長として最短の時間長が定められた反応工程が含まれ、
    前記試行手段は、前記新規処理シーケンスが前記短縮型処理シーケンスであり、且つ、前記調整対象工程が前記短縮型処理シーケンス中の前記反応工程である場合には、前記調整対象工程の時間長を延長することにより、前記衝突の回避を試みる、
    ことを特徴とする検体分析装置。
  9. 新規処理シーケンスのスケジューリングに際し、前記新規処理シーケンスと予約済み処理シーケンス群との間で生じる衝突を判定し、これにより当該衝突が生じた工程を特定するステップと、
    前記衝突が生じた工程を含む処理シーケンスにおいて前記衝突が生じた工程よりも前にある未実行の反応工程を調整対象工程として選択するステップと、
    前記調整対象工程の時間長を変更することにより前記衝突の回避を試みるステップと、
    を含むことを特徴とするスケジューリング方法。
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