以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態に係る蓄エネルギ設備の制御装置は、後述のように、複数の蓄エネルギ設備について使用される需要量ごとの確率を算出し、確率の高い順に蓄エネルギ設備へエネルギを蓄積させる。これにより本実施形態によれば、複数の蓄エネルギ設備を一元管理し、効率的に管理して運用することができるため、蓄エネルギ設備にエネルギの過不足が生じるのを抑制することができ、使い勝手が向上する。
図1~図3を用いて第1実施例を説明する。本実施例では、混在する複数の蓄エネルギ設備を一元管理することにより、各蓄エネルギ設備が必要とするエネルギをその必要性に応じて蓄積させる。
図1は、「蓄エネルギ設備の制御装置」を含む蓄エネルギ制御システムの全体構成図である。本実施形態は、一般家庭、商業施設、工場、病院などのように複数の蓄エネルギ設備を有する需要家単位で実施することもできる。あるいは、複数の蓄エネルギ設備が混在する地域単位で、または複数の需要家を含むグループ単位で実施することもできる。
蓄エネルギ制御システムは、例えば、一つの蓄エネルギ設備制御装置1と、複数の蓄エネルギ設備2a~2cとを含む。蓄エネルギ設備2a~2cは、コントローラ21a~21cとセンサ22a~22cとを備える。特に区別しない場合、各蓄エネルギ設備2a~2cを蓄エネルギ設備2と、コントローラ21a~21cをコントローラ21と、センサ22a~22cをセンサ22と呼ぶ。蓄エネルギ設備制御装置1を、制御装置1と略記する場合がある。
蓄エネルギ設備2は、エネルギを貯蔵する設備である。蓄エネルギ設備2には、例えば、蓄電設備、蓄熱設備、位置エネルギおよび運動エネルギ保存設備などがある。蓄電設備には、例えば、据え置き型蓄電池、可搬型蓄電池、電気自動車などがある。蓄熱設備には、例えば、水蓄熱槽、氷蓄熱槽、乾燥式蓄熱設備などがある。位置エネルギおよび運動エネルギ保存設備には、例えば、揚水発電設備、重量物の上げ下げによる位置エネルギ保存設備、空気圧縮による運動エネルギ保存設備などがある。図1の例では、蓄エネルギ設備2aは電気自動車であり、蓄エネルギ設備2bは据え置き型蓄電池であり、蓄エネルギ設備2cは蓄熱槽である。
制御装置1の管理対象として、上述した蓄電設備、蓄熱設備、位置エネルギおよび運動エネルギ保存設備の全種類の蓄エネルギ設備2が全て含まれている必要はない。制御装置1の管理課に複数の蓄エネルギ設備2が存在すればよい。
センサ22は、例えば、蓄エネルギ設備2へ入力されるエネルギ量、蓄エネルギ設備2から出力されるエネルギ量、蓄エネルギ設備2のエネルギ残量などの蓄エネルギ設備情報を計測し、計測したデータを制御装置1へ通信ネットワークCNを介して送信する。通信ネットワークCNは、インターネットのような公衆通信網でもよいし、あるいは構内通信網でもよい。
センサ22は、計測対象のエネルギに応じて、例えば、電力計、電圧計、電流計、温度計などの一つ以上の計測装置を含む。センサ22から制御装置1へのデータ伝送には、優先通信または無線通信、あるいはこれらの組合せを用いることができる。データ転送に用いる通信網は、公衆通信網でもよいし、構内通信網でもよい。
なお、制御装置1は、センサ22に代えて、パワーコンディショナなどのシステムから計測データを得てもよい。
蓄エネルギ設備制御装置1は、各センサ22から計測データを受信し、受信した計測データに基づいて各蓄エネルギ設備2に対する制御値を算出し、算出された制御値を通信ネットワークCNを介してコントローラ21へ送信する。
制御装置1が、各蓄エネルギ設備2の計測データから各蓄エネルギ設備2に対する制御値を決定する方法は後述する。制御装置1は、所定のコンピュータプログラムが実行されるコンピュータとして構成してもよいし、ハードウェア回路として構成してもよい。
制御装置1がコンピュータ上に実現される場合、記憶媒体PMに格納された所定のコンピュータプログラムを制御装置1へ読み込ませてインストールしてもよい。記憶媒体PMは、例えば、フラッシュメモリ、ハードディスク、光ディスクなどのように、データおよびコンピュータプログラムを非一時的に記憶可能な媒体である。
制御装置1の持つコンピュータプログラムの少なくとも一部とデータの一部とを、記憶媒体PMへ記憶させて流通させることもできる。なお、記憶媒体PMに代えて、通信媒体を用いることもできる。例えば、専用回線網またはインターネットなどの通信ネットワークを用いて、コンピュータに所定のコンピュータプログラムを転送し、制御装置1として機能させることもできる。
制御装置1が制御値を算出する方法は、蓄エネルギ設備2のコントローラ21の制御方法によって異なる。例えば、制御値としては、バルブの開閉量、スイッチのオンオフ操作、温度や流量などの設定値、変換量などがある。
制御装置1は、算出された制御値を直ちにコントローラ21へ送信してもよいし、エネルギの入力先の蓄エネルギ設備2を変更する際に制御値を変更対象の蓄エネルギ設備2のコントローラ21へ送信してもよい。
コントローラ21は、蓄エネルギ設備2を制御する現場の制御装置である。コントローラ21は、蓄エネルギ設備制御装置1から制御値を受信すると、受信した制御値に従って蓄エネルギ設備2を制御する。
コントローラ21の制御方法は、蓄エネルギ設備2によって異なる。例えば、蓄エネルギ設備2が蓄電池の場合、コントローラ21は、直流と交流を変換する装置、すなわち一般的にPCS(Power Conditioning System)と呼ばれる装置の変換量を制御する。例えば、蓄エネルギ設備2が蓄熱槽の場合、コントローラ21は、蓄熱槽に温水または冷水を送るポンプの流量を制御する。コントローラ21による制御は、設定値(制御値)を入力するなどのようにソフト的に実施してもよいし、あるいは、スイッチの入り切りやバルブの開閉などのようにハード的に実施してもよい。後述する他の実施例では、コントローラ21の機能を制御装置1が備える。
図1の下側には、各蓄エネルギ設備2a~2cへエネルギを蓄積する処理の例が示されている。この例については図2以降で後述する。
図2は、蓄エネルギ設備制御装置1の機能構成の一例である。制御装置1は、例えば、蓄エネルギデータ収集部110と、蓄エネルギデータ記憶部111と、需要確率算出部112と、設備制御部113とを備える。これら各機能を実現する装置110~113は、内部通信線L1によって相互に通信可能に接続されている。さらに、データ収集部110および設備制御部113は、通信ネットワークCNを介して各蓄エネルギ設備2のコントローラ21およびセンサ22に接続されている。
「データ取得部」の例である蓄エネルギデータ収集部110は、センサ22から計測データを受信し、受信した計測データを蓄エネルギデータ記憶部111へ保存させる機能である。蓄エネルギデータ収集部110をデータ収集部と略記する場合がある。なお、「所定データ」は、計測データを含む。
「データ記憶部」として表現可能な蓄エネルギデータ記憶部111は、蓄エネルギデータ収集部110から受け取った計測データを保存する機能である。蓄エネルギデータ記憶部111は、データ記憶部と略記する場合がある。例えば、認証技術および暗号化技術などを用いることにより、データ記憶部111にデータを読み書きする際の安全性を高めることもできる。データ記憶部111に一定量以上のデータが保存された場合には、古いデータから順に削除してもよい。あるいは、古いデータを外部のアーカイブ装置に転送して保存してもよい。
需要確率算出部112は、蓄エネルギ確率算出部112と呼ぶこともできる。需要確率算出部112は、データ記憶部111から計測データを取り出して、各蓄エネルギ設備2に蓄積されたエネルギを使用する需要量毎の確率を導出する。需要量ごとにその需要量が発生する確率を、本明細書では「需要確率」と呼ぶ。需要の発生が見込まれる分だけ蓄エネルギ設備2にエネルギを蓄積する必要があるため、需要量を「蓄エネルギ量」と呼ぶこともできる。本実施例では、需要量毎の(使用量毎の)需要が見込まれる確率を「需要確率」と呼び、蓄積されるべきエネルギ量ごとの必要となる確率を補正後の需要確率と呼ぶことがある。
蓄エネルギ設備の需要量(蓄エネルギ量)毎の、必要となる確率の例を説明する。
或る蓄エネルギ設備2(例えば蓄電池)の需要確率は、需要確率=[5kWh:100%,6kWh:50%,7kWh:40%]のように表現される(式1)。この式1は、電力量5kWhまでの需要は100%の確率で発生すると予測されており、電力量6kWhまでの需要は50%の確率で発生すると予測されており、電力量7kWhに至る需要は40%の確率で発生すると予測されていることを示す。
他の蓄エネルギ設備2(例えば蓄熱槽)の需要確率は、需要確率=[1kWh:80%,2kWh:20%]のように表現される(式2)。この式2は、電力量1kWhまでの需要は80%の確率で発生すると予測されており、電力量2kWhまでの需要は20%の確率で発生すると予測されていることを示す。
さらに他の蓄エネルギ設備2(例えば電気自動車)の需要確率は、需要確率=[1kWh:30%]のように表現される(式3)。この式3は、電力量1kWhまでの需要が30%の確率で発生すると予測されていることを示す。
実際に蓄エネルギ設備2へ蓄積されるべきエネルギ量は、予測される需要量からエネルギ残量を差し引いた値となる。なお、計測データから各蓄エネルギ設備2の需要確率を導出する方法は後述する。
設備制御部113は、需要確率に基づいて、各蓄エネルギ設備2へ与える制御値を算出する機能である。設備制御部113は、需要確率算出部112で算出された各蓄エネルギ設備2の需要量毎の確率にしたがって、その需要量のエネルギが必要となる確率が高い順にエネルギが蓄積されるように、各蓄エネルギ設備2の制御値を決定し、決定した制御値をコントローラ21へ送信する。
上述の式1~式3に示した蓄電池、蓄熱槽、電気自動車の需要確率の場合、蓄積用のエネルギが確率の大きい順に分配される。この分配は複数回繰り返される場合がある。分配用のエネルギは、商用電源から得ることもできるし、自家発電装置から得ることもできるし、他の発電装置から得ることもできる。
一巡目のエネルギ分配では、電力量5kWhまで、その電力量が確率100%で消費される蓄電池にエネルギが蓄積される。次の電力量1kWhまで、その電力量が確率80%で消費される蓄熱槽にエネルギが蓄積される。さらに次の電力量kWhまで、その電力量が30%の確率で消費される電気自動車にエネルギが蓄積される。
二巡目のエネルギ分配では、電力量1kWhのエネルギが蓄電池に蓄積される。これにより、蓄電池に蓄積されたエネルギ量は、合計6kWhとなる。この電力量6kWhは、50%の確率で消費されると予測されている。次の電力量1kWhは、蓄熱槽に蓄積される。これにより、蓄熱槽に蓄積されたエネルギ量は、合計2kWhとなる。この電力量2kWhは、20%の確率で消費されると予測されている。なお、電気自動車へのエネルギ分配は一巡目で完了している。
三巡目のエネルギ分配では、さらに電力量1kWhが蓄電池に蓄積される。これにより、蓄電池に蓄積されたエネルギ量は、合計7kWhとなる。この電力量7kWhは、40%の確率で消費されると予測されている。なお、蓄熱槽へのエネルギ分配は、二巡目で完了している。
このように、蓄エネルギ設備制御装置1は、複数の蓄エネルギ設備2に対し、蓄積されたエネルギが消費される必要性(需要確率)に応じてエネルギを分配する。
図3は、需要確率を算出する処理を示すフローチャートである。図3の処理は、例えば、需要確率を算出するステップS11と、需要確率からエネルギ残量を減算するステップS12とを含む。この処理は、制御装置1により実行される。
制御装置1は、例えば、過去の計測データに基づいて、各蓄エネルギ設備2の使用量毎の確率(需要確率)を算出する(S11)。需要確率は、過去の計測データを統計処理することにより算出されてもよい。または、需要確率は、過去の計測データを機械学習させることにより得られた学習モデルを用いて算出されてもよい。
例えば、過去における、各蓄エネルギ設備2に蓄積されたエネルギを使用した量毎の確率を需要確率としてよい。需要確率を求める期間は、固定でもよいし、動的に変更してもよい。例えば、需要確率を求める期間を一日としてもよいし、特定の時期までの時間帯としてもよい。
需要確率を算出する際の分解能は、固定でもよいし、動的に変更してもよい。例えば、使用量(需要量)の分解能を1kWh毎に固定してもよいし、最小使用量または最大使用量から有効桁を決定してもよい。例えば、需要確率の分解能を10%毎に固定してもよいし、同じ確率が出ない桁までにしてもよい。
需要確率を求める使用量毎の範囲は、固定でもよいし、動的に変更してもよい。例えば、需要確率を求める使用量の数を「3」に固定してもよいし、「2」または「4以上」に設定してもよい。対象の蓄エネルギ設備が所定値(例えば「3」)だけ決まるまで、使用量の範囲を求めてもよい。
制御装置1は、各蓄エネルギ設備2の需要確率から各蓄エネルギ設備2のエネルギ残量を減算することにより、各蓄エネルギ設備2の蓄エネルギ量毎の必要となる確率(需要確率)を算出する(S12)。
ここで、蓄電池、蓄熱槽、電気自動車について、式1~式3で述べた需要確率の算出方法を具体的に述べる。電気自動車を自動車と略記する。最初に算出される需要確率は、以下の式4~式6に示す通りであるとする。蓄熱槽に蓄積されるエネルギは、電力量に換算した値を使用する。
蓄電池の需要確率=[5kWh:100%, 6kWh:50%, 7kWh:40%]・・・式4
蓄熱槽の需要確率=[1kWh:90%, 2kWh:80%, 3kWh:20%]・・・式5
自動車の需要確率=[1kWh:70%, 2kWh:60%, 3kWh:30%]・・・式6
蓄電池、蓄熱槽、自動車のエネルギ残量は、以下の式7~式9に示す通りとする。
蓄電池のエネルギ残量=0kWh・・・式7
蓄熱槽のエネルギ残量=1kWh・・・式8
自動車のエネルギ残量=2kWh・・・式9
式7~式9から対応する式4~6を減算すると、上述した式1~式3を得る(式1=式4-式7、式2=式5-式8、式3=式6-式9)。
蓄電池の需要確率=[5kWh:100%, 6kWh:50%, 7kWh:40%]・・・式1
蓄熱槽の需要確率=[ 1kWh:80%, 2kWh:20%]・・・式2
自動車の需要確率=[ 1kWh:30%]・・・式3
蓄電池の場合、エネルギ残量が0kWhなので、最初に算出された需要確率とエネルギ残量を差し引いて補正された需要確率とは同一である。ここで、最初に算出された需要確率からエネルギ残量を差し引いた値は、蓄エネルギ設備に蓄積すべきエネルギ量を表している。したがって、補正後の需要確率は、例えば、「蓄エネルギ設備に蓄積すべきエネルギ量毎の必要となる確率」と言い換えることもできる。
蓄熱槽の場合、エネルギ残量が1kWhあるため、式5中の「1kWh:90%」の需要分は既に用意されている。したがって、式2では、エネルギ残量を超えた需要について、すなわち「1kWh:80%」および「2kWh:20%」の2つのエネルギ量毎の確率のみ記載される。
自動車の場合、エネルギ残量が2kWhあるため、式6中の「1kWh:70%」および「2kWh:60%」の需要は用意されている。したがって、式3では、エネルギ残量を超えた需要について、すなわち「1kWh:30%」のエネルギ量についての確率のみが記載される。
図2および図3で述べた構成は、下記のように表現することもできる。すなわち、複数の蓄エネルギ設備2の制御装置2は、蓄エネルギデータを収集する機能110と、収集した蓄エネルギデータを記憶する機能111と、蓄エネルギデータから各蓄エネルギ設備2の使用量毎の需要確率を算出し、各蓄エネルギ設備2の需要確率から各蓄エネルギ設備2のエネルギ残量を減算し、各蓄エネルギ設備2の蓄エネルギ量毎の必要となる確率を算出する機能112と、各蓄エネルギ設備2の蓄エネルギ量毎の必要となる確率が高い順にエネルギが蓄積されるように各蓄エネルギ設備2の制御値を決定し、決定した制御値を各蓄エネルギ設備2の制御を実行する装置21に送信する機能113を有する。
図1の下側を参照し、式1~式9で述べた例と別の例を用いて蓄積用エネルギの分配方法を説明する。最初に算出される需要確率は、式10~式12に示す通りとする。
自動車2aの需要確率=[2kWh:90%, 3kWh:30%,]・・・式10
蓄電池2bの需要確率=[6kWh:100%, 7kWh:20%]・・・式11
蓄熱槽2cの需要確率=[3kWh:50%, 4kWh:10%]・・・式12
自動車、蓄電池、蓄熱槽のエネルギ残量は、式13~式15に示す通りとする。
自動車2aのエネルギ残量=1kWh・・・式13
蓄電池2bのエネルギ残量=1kWh・・・式14
蓄熱槽2cのエネルギ残量=2kWh・・・式15
式10~式12で算出された需要確率から式13~式15に示すエネルギ残量を差し引くと、式16~式18に示す補正後の需要確率を得る。
自動車2aの補正後の需要確率=[1kWh:90%, 2kWh:30%,]・・・式16
蓄電池2bの補正後の需要確率=[5kWh:100%, 6kWh:20%]・・・式17
蓄熱槽2cの補正後の需要確率=[1kWh:50%, 2kWh:10%]・・・式18
式16~式18で得られた補正後の需要確率に示されるエネルギを、確率の高い順に所定のタイミングで、各蓄エネルギ設備2a~2cへ分配して蓄積させる。
一巡目のエネルギ分配では(S1~S3)、100%の確率で電力量5kWhのエネルギが消費される蓄電池2bに対し、電力量5kWhが蓄積される(S1)。続いて、90%の確率で電力量1kWhのエネルギが消費される自動車に対し、電力量1kWhが蓄積される(S2)。一巡目の最後に、50%の確率で電力量換算で1kWhのエネルギが消費される蓄熱槽2cに対し、電力量1kWhが蓄積される(S3)。
二巡目のエネルギ分配では(S4~S6)、30%の確率で電力量2kWhのエネルギが消費される自動車2aに対し、電力量1kWhがさらに蓄積される(S4)。これにより、自動車2aには合計2kWhのエネルギが蓄積される。蓄積終了時点での自動車2aのエネルギ残量は、3kWhとなる。次に、20%の確率で電力量6kWhのエネルギが消費される蓄電池2bに対し、電力量1kWhがさらに蓄積される(S5)。これにより、蓄電池2bには合計6kWhのエネルギが蓄積される。蓄積終了時点での蓄電池2bのエネルギ残量は、7kWhとなる。最後に、10%の確率で電力量2kWhのエネルギが消費される蓄熱槽2cに対し、電力量1kWhがさらに蓄積される(S6)。これにより、蓄熱槽2cには合計2kWhのエネルギが蓄積される。蓄積終了時点での蓄熱槽2cのエネルギ残量は、4kWhとなる。
なお、後述の実施例でも述べるように、蓄エネルギ設備2にエネルギを蓄積する回数をできるだけ少なくするように、蓄エネルギ設備2のコントローラ21を制御することもできる。エネルギの蓄積回数(例えば充電回数)が増えるほど、自動車2aおよび蓄電池2bの性能が劣化し、寿命が短くなる可能性があるためである。したがって、図1の下側に示す例では、自動車2aに帯する一巡目の充電(S2)と二巡目の充電(S4)とを一体化し、一度の充電で済ませてもよい。蓄熱槽2cの場合、複数回に分けてエネルギを蓄積させても性能劣化に影響がないとすると、図示の通り、2度に分けてエネルギを蓄積させればよい。
このように構成される本実施例によれば、エネルギの蓄積が必要となる確率が高い順に蓄エネルギ設備2へ必要量のエネルギを分配して蓄積させることができる。これにより、本実施例によれば、複数の蓄エネルギ設備2の間でエネルギの過不足が生じるのを抑制することができ、各蓄エネルギ設備2を適切に管理して運用することができる。
したがって、本実施例によれば、電力会社からの電力購入を抑制したり、自家発電用の燃料の購入量を少なくしたりすることができ、1次エネルギの消費を抑制して各蓄エネルギ設備2の運用コストを低減したり、二酸化炭素の排出量を抑制できる。このように構成される本実施例は、再生可能エネルギとの親和性が高く、複数の蓄エネルギ設備2を用いて環境に優しいエネルギ管理を実現することができる。
図4を用いて第2実施例を説明する。本実施例を含む以下の各実施例では、第1実施例との相違を中心に説明する。図4は、本実施例に係る制御装置1Aの機能構成を示す。制御装置1Aは、図2で述べた制御装置1の構成に加えて、需要を予測する機能114Aをさらに備える。さらに本実施例では、図2で述べた需要確率算出部112が、需要予測を活用する需要確率算出部112Aに置き換わっている。なお、需要予測部114Aは、第2の内部通信線L2に接続されており、第1の内部通信線L1と第2の内部通信線L2とは、第3の内部通信線L3を介して接続されている。図4に示す接続構成は、理解のための例であって、実際の接続構成とは異なる場合がある。
需要予測部114Aは、制御装置1Aに入力された情報、または、通信ネットワークから取得された情報に基づいて、各蓄エネルギ設備2の使用量毎の確率(需要確率)を算出する機能である。したがって、需要予測部を需要確率予測部と呼ぶこともできる。
制御装置1Aに入力される情報には、管理者などがキーボードまたはタッチパネルなどを用いてデータ記憶部111へ入力する情報が含まれる。情報を取得する通信ネットワークには、公衆通信網、構内通信網、専用回線網のいずれでもよい。
需要予測部114Aは、入力された情報に基づいて、統計処理または機械学習などの方法により、各蓄エネルギ設備2の需要確率を予測する。需要予測部114Aは、予測結果を需要確率算出部112Aへ送る。
需要確率算出部112Aは、需要予測部114Aで予測された各蓄エネルギ設備2の需要確率から、各蓄エネルギ設備2のエネルギ残量を差し引くことにより、補正後の需要確率(蓄エネルギ量毎の必要となる確率)を算出する。
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、需要予測部114Aを備えるため、需要確率をより正確に予測できる。
図5を用いて、第3実施例を説明する。本実施例では、カレンダ情報を用いて需要確率を予測する。図5は、本実施例に係る制御装置1Bの機能構成を示す。制御装置1Bは、図2で述べた制御装置1の構成に加えて、カレンダ情報を活用する需要予測部114Bと、カレンダ情報収集部115と、カレンダ情報記憶部116とをさらに備える。さらに、本実施例の需要確率算出部112Bは、カレンダ情報に基づく需要確率の予測結果を活用する。
カレンダ情報収集部115は、例えば、通信ネットワーク経由で外部サーバ(不図示)からカレンダ情報を収集し、収集したカレンダ情報をカレンダ情報記憶部116に保存させる機能である。外部サーバからカレンダ情報を取得するのではなく、制御装置1Bにカレンダタイマを設け、そのカレンダタイマからカレンダ情報を取得してもよい。ここで、カレンダ情報とは、例えば、季節、月、曜日、六曜、祝日、休日、平日などを区別する情報である。
カレンダ情報記憶部116は、カレンダ情報収集部115から受け取ったカレンダ情報を保存する。
需要予測部114Bは、カレンダ情報記憶部116から取り出したカレンダ情報と、制御装置1Bに入力された情報、または、通信ネットワーク経由で取得された情報とに基づいて、各蓄エネルギ設備2の需要確率を算出する。需要予測部114Bは、例えば、各蓄エネルギ設備2の需要確率を曜日毎に算出することができる。需要予測部114Bは、蓄エネルギ設備2を制御する曜日に対応させて需要確率を算出してもよい。
需要確率算出部112Bは、カレンダ情報に基づく需要予測の結果(需要確率の予測結果)からエネルギ残量を減算することにより、需要確率を補正する。すなわち、需要予測部114Bは、各蓄エネルギ設備2へ蓄積されるべきエネルギ量毎の必要となる確率を算出する。
このように構成される本実施例も第1、第2実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例によれば、カレンダ情報に応じて各蓄エネルギ設備2の需要確率を予測することができる。したがって、本実施例によれば、曜日や季節などのカレンダ情報によって需要が大きく変化するユーザに対し、複数の蓄エネルギ設備2の適切な管理と運用とを提供することができる。
図6を用いて第4実施例を説明する。図4は、本実施例に係る制御装置1Cの機能構成を示す。本実施例の制御装置1Cは、図5で述べた制御装置1Bに対して、気象情報収集部117と、気象情報記憶部118とが追加されている。さらに、本実施例では、カレンダ情報を活用する需要予測部114Bが、気象情報を活用する需要予測部114Cに置き換わっている。本実施例の需要確率算出部112Cは、気象情報に基づいて予測された需要確率の予測結果を使用する。
気象情報収集部117は、気象情報配信サーバ(不図示)から通信ネットワーク経由で気象情報を収集し、収集した気象情報を気象情報記憶部118に保存させる。ここで気象情報とは、例えば、降水量、気温、湿度、風速、風向、日照時間、降雪量、積雪量、天気などである。気象情報記憶部118は、気象情報収集部117から受け取った気象情報を保存する。
需要予測部114Cは、気象情報記憶部118から取り出した気象情報と、制御装置1Cに入力された情報、または、通信ネットワーク経由で取得された情報とに基づいて、各蓄エネルギ設備2の需要確率を算出する。需要予測部114Cは、例えば、各蓄エネルギ設備2の需要確率を気象毎に算出することができる。需要予測部114Cは、蓄エネルギ設備2を制御する日の気象に対応させて、各蓄エネルギ設備2の需要確率を算出することもできる。
このように構成される本実施例も、第1~第3実施例と同様の作用効果を奏する。さらに、本実施例によれば、気象に応じて需要を予測できるため、気温や降雪量などの気象によって需要が大きく変化するユーザに対し、複数の蓄エネルギ設備2の適切な管理と運用とを提供することができる。
図7を用いて第5実施例を説明する。図7は、本実施例に係る制御装置1Dの機能構成を示す。本実施例の制御装置1Dは、図6で述べた制御装置1Cに対して、需要ルール入力部119と需要ルール記憶部120とが追加されている。さらに、本実施例では、図6で述べた気象情報を活用する需要予測部114Cが、需要ルールを活用する需要予測部114Dに置き換わっている。
需要ルール入力部119は、ユーザに入力された需要ルールを需要ルール記憶部120に保存させる機能である。ユーザは、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末(いわゆるスマートフォンを含む)、専用装置などを介して、需要ルールを入力することができる。需要ルール入力部119は、ユーザにウェブページを提供し、そのウェブページから需要ルールを入力させることもできる。需要ルールは、例えば、数値の設定、ステータスバーの設定、ボタンによる設定、ダイヤルによる設定などを用いて入力してもよい。
需要ルールとして入力する情報には、例えば、需要の傾向を示す情報、需要の制約を示す情報、需要に関するスケジュールの情報などがある。需要の傾向を示す情報は、例えば、「明日は電気自動車で長距離移動する」、「休日は熱の需要が少ない」、「気温が低い日は電気の需要が多い」などである。需要の制約を示す情報は、例えば、「蓄電池には常に5kWh以上の電力を蓄電する」、「電気自動車の充電は朝7時までに実施する」などである。需要に関するスケジュールの情報は、例えば、工場の稼働スケジュール、イベント会場のイベントスケジュール、介護施設の施設利用者数スケジュール、在庫量のスケジュール、家族の在宅スケジュールなどである。
需要ルール入力部119は、例えば、ルール管理サーバまたはスケジュール管理アプリケーションなどの、外部のハードウェアまたはソフトウェアから需要ルールを取得することもできる。
需要ルール記憶部120は、需要ルール入力部119から受け取った需要ルールを保存する。
需要予測部114Dは、需要ルール記憶部120から取り出した需要ルールと、制御装置1Dに入力された情報、または、通信ネットワーク経由で取得された情報とに基づいて、各蓄エネルギ設備2の需要確率を算出する。
需要予測部114Dは、例えば、需要が増大する、もしくは、需要が減少すると入力された、曜日または気象毎に、各蓄エネルギ設備2の需要確率を算出する。需要予測部114Dは、蓄エネルギ設備2を制御する曜日または気象に対応させて、各蓄エネルギ設備2の需要確率を算出してもよい。需要予測部114Dは、制約に関わる蓄エネルギ設備2の需要確率を100%もしくは100%未満の高い値として算出してもよい。需要予測部114Dは、需要に影響を及ぼすスケジュール毎に、各蓄エネルギ設備2の需要確率を算出することもできる。需要予測部114Dは、蓄エネルギ設備2を制御する日のスケジュールに対応させて、各蓄エネルギ設備2の需要確率を算出してもよい。
このように構成される本実施例も、第1~第4実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例によれば、需要ルールに応じた需要確率を算出することができる。したがって、本実施例によれば、ユーザの各蓄エネルギ設備2の使い方に応じて、複数の蓄エネルギ設備2の適切な管理と運用とを提供することができる。例えば、本実施例によれば、災害時における事業継続可能期間を延長することができる。例えば、本実施例によれば、電気自動車で移動中にユーザが蓄電池の残量不足を気にしなくもすむ。このように、本実施例によれば、複数の蓄エネルギ設備2を使用する需要がルールに依存しやすいユーザに対して、使い勝手を向上することができる。
図8を用いて第6実施例を説明する。図8は、本実施例に係る制御装置1Eの機能構成を示す。
本実施例の制御装置1Eは、図7で述べた制御装置1Dの構成に対して、供給予測部121を加えている。さらに、本実施例では、図7の需要確率算出部112Dが、供給予測部121の予測結果を活用する需要確率算出部112Eに置き換わっている。供給予測部121は、第4の通信線L4を介して第3の通信線L3に接続されている。
供給予測部121は、制御装置1Eに入力された情報、または、通信ネットワーク経由で取得された情報に基づいて、各蓄エネルギ設備2で蓄積されるエネルギと同一種類のエネルギの供給量を予測する。例えば、電気エネルギを蓄積する設備2の場合は、電気エネルギを供給する装置からの供給量が予測される。熱エネルギを蓄積する設備2の場合は、熱エネルギを供給する装置からの供給量を予測してもよい。熱エネルギは、温水、冷水、氷などで受け渡すことができる。
エネルギの供給について説明する。電気エネルギの場合、例えば、自家発電装置の発電する電力量、デマンドレスポンスによる電力量がある。熱エネルギの場合、例えば、発電装置の発生する熱量、製造ラインで発生する熱量、地熱または太陽熱から得る熱量、熱を融通する設備から供給される熱量がある。
自家発電装置には、太陽光発電装置、風力発電装置、バイオマス発電装置、ガスエンジン発電装置などがある。デマンドレスポンスによる電力量とは、電力系統における電力需要に比べて電力供給の方が多いときに、電力会社等からの要請によって、電力系統から購入する電力量である。
供給予測部121は、例えば、自家発電装置の発電量、デマンドレスポンスによる電力購入量などの履歴データを統計処理することにより、供給量を予測する。または、供給量予測部121は、履歴データ等を機械学習させることにより学習モデルを生成し、その学習モデルを用いてエネルギの供給を予測することもできる。
需要確率算出部112Eは、需要予測部114Dで予測された各蓄エネルギ設備2の需要確率から、各蓄エネルギ設備2のエネルギ残量と、供給予測部121で予測された各蓄エネルギ設備2と同一種類のエネルギの供給量とを減算することにより、各蓄エネルギ設備2の需要確率を補正する。補正された需要確率は、上述の通り、各蓄エネルギ設備2に蓄積されたエネルギ量毎の必要となる確率を意味する。
このように構成される本実施例も第1~第5実施例と同様の作用効果を奏する。さらに、本実施例では、蓄エネルギ設備2で蓄積されるエネルギと同一種類のエネルギの供給量を予測することができるため、より一層適切に各蓄エネルギ設備2を管理して運用することができる。
図9および図10を用いて第7実施例を説明する。図9は、本実施例に係る制御装置1Fを含む蓄エネルギ制御システムの全体構成図である。
図9に示すシステム構成には、図1の上側に示すシステム構成に対して、エネルギ供給設備3とセンサ31とを加えている。
エネルギ供給設備3は、各蓄エネルギ設備2の繋がる電力配線(例えば、宅内配線、地域内の配線など)にエネルギを供給する設備である。すなわち、エネルギ供給設備3は、各蓄エネルギ設備2のエネルギ供給先の負荷(不図示)に対してエネルギを供給することができ、さらに各蓄エネルギ設備2のうち同一種類のエネルギを蓄積する蓄エネルギ設備2にエネルギを供給することもできる。
エネルギ供給設備3としては、例えば、系統電力を受電する受電設備、太陽光発電装置、風力発電装置、バイオマス発電装置、ガスエンジン発電装置、地熱供給装置、太陽熱供給装置、熱融通設備などがある。
センサ31は、エネルギ供給設備3から供給されるエネルギ量を計測し、計測したデータを御装置1Fへ送信する。センサ31としては、例えば、電力量計、ガスメータ、温度計、流量計などの、1つ以上の装置を用いる。
エネルギ供給設備3からの供給エネルギを直接的に計測するセンサ31に代えて、エネルギ供給設備3からの供給エネルギの計測データを有するシステムを用いてもよい。そのようなシステムとしては、例えば、スマートメータの情報を取得するシステム、街中で電気自動車を充電した際の充電量を取得するシステムなどがある。
取得された計測データを、電力ディスアグリゲーションなどの技術を用いることにより、各蓄エネルギ設備2に対応したエネルギ毎に分割してもよいし、あるいは、各蓄エネルギ設備2に対応したエネルギに統合してもよい。
制御装置1Fは、センサ22とエネルギ供給計測装置31から計測データを受信し、受信した計測データから蓄エネルギ設備の制御値を決定し、決定した制御値をコントローラ21に送信する。計測データから蓄エネルギ設備の制御値を決定する方法は、図10以降で後述する。
図10は、本実施例に係る制御装置1Fの機能構成を示す。本実施例の制御装置1Fは、図8で述べた制御装置1Eに対して、エネルギ供給データ収集部122と、エネルギ供給データ記憶部123を加えている。さらに、制御装置1Fでは、図8で述べた需要ルールを活用する需要予測部114Dと、供給予測部121とが、需要予測部114Fと、供給予測部121Fとに置き換わっている。図中では、「エネルギ供給データ」を「供給データ」と略記している。
エネルギ供給データ収集部122は、図9のエネルギ供給計測装置31からエネルギ供給量の計測データを受信し、受信した計測データをエネルギ供給データ記憶部123に保存する。
エネルギ供給データ記憶部123は、エネルギ供給データ収集部122から受け取ったエネルギ供給量の計測データを保存する。
需要予測部114Fは、エネルギ供給データ記憶部123から取り出したエネルギ供給量の計測データと、装置に入力された情報、または、通信ネットワーク経由で取得された情報とから、各蓄エネルギ設備2の需要確率を算出する。需要予測部114Fは、例えば、電力量計で計測された電力使用量と蓄電池の出力とを加算したり、あるいは、給湯器で使用されたガスのエネルギ量と蓄熱槽から放熱されたエネルギ量とを加算したりすることにより、各蓄エネルギ設備2の需要確率を算出してもよい。
供給予測部121Fは、エネルギ供給データ記憶部123から取り出したエネルギ供給量の計測データと、装置に入力された情報、または、通信ネットワーク経由で取得された情報とから、各蓄エネルギ設備2と同一種類のエネルギの供給量を算出する。供給量予測部121Fは、例えば、エネルギ供給量の計測データと気象情報とから、気象毎の各蓄エネルギ設備と同じエネルギの供給量を算出する。そして、供給量予測部121Fは、蓄エネルギ設備2を制御する日の気象に対応した、各蓄エネルギ設備2と同一種類のエネルギの供給量を算出することができる。
このように構成される本実施例によれば、第1~第6実施例と同様の作用効果を奏することができる。さらに本実施例によれば、エネルギの需給量の予測精度を向上することができる。したがって、本実施例は、例えば、エネルギ供給設備3の出力が大きいユーザ、拠点間での熱の融通を希望するユーザ、電力の自己託送を希望するユーザ、気温または降雪量などの気象によって需要が大きく変化するユーザなどに対して、複数の蓄エネルギ設備2の適切な管理と運用を提供することができる。
図11を用いて第8実施例を説明する。図11は、制御装置1Gの機能構成を示す。本実施例の制御装置1Gでは、図10で述べた制御装置1Fの需要予測部114F,供給予測部121F,需要確率算出部112F,設備制御部113が、時系列の需要予測部114G,時系列供給予測部121G,時系列の需給予測を活用する需要確率算出部112G,時系列の需給予測を活用する設備制御部113Gにそれぞれ置き換わっている。
需要予測部114Gは、制御装置1Gに入力された情報、または、通信ネットワーク経由で取得された情報から、時系列の、各蓄エネルギ設備2の需要確率を算出する。
供給予測部121Gは、制御装置1Gに入力された情報、または、通信ネットワーク経由で取得された情報から、時系列の、各蓄エネルギ設備2と同一種類のエネルギの供給量を算出する。
需要確率算出部112Gは、需要予測部114Gで予測された時系列の各蓄エネルギ設備2の需要確率と、供給予測部121Gで予測された時系列の各蓄エネルギ設備2と同一種類のエネルギの供給量とから、各蓄エネルギ設備の蓄エネルギ量毎の必要となる確率(補正された需要確率)を算出する。
需要確率算出部112Gは、予測された需要確率とエネルギ供給量とから、蓄エネルギ設備2にエネルギを蓄積する次回のタイミング(次回タイミング)と、その次に蓄エネルギ設備2にエネルギを蓄積するタイミング(次々回タイミング)とを算出する。
例えば、太陽光発電装置で発生させた電力を、蓄電池または電気自動車などの電気エネルギを蓄積する蓄エネルギ設備2へ供給する場合を考える。太陽光発電装置は、太陽の昇っている時間帯(日中)しか発電することはできず、夜間は発電しない。したがって、次回タイミング(すなわち太陽光発電装置が発電し、蓄エネルギ設備へ電気エネルギを蓄積するタイミング)は、翌日の朝となる。次々回タイミングは、明後日の朝となる。
そして、需要確率算出部112Gは、次回タイミングから次々回タイミングまでの所定期間(=次々回タイミング-次回タイミング)における各蓄エネルギ設備2の需要確率を算出する。需要確率算出部112Gは、各蓄エネルギ設備2の需要確率から各蓄エネルギ設備2のエネルギ残量を減算することにより、各蓄エネルギ設備2の需要確率を補正する(蓄エネルギ量毎の必要となる確率を算出する。)。
さらに、需要確率算出部112Gは、時系列の各蓄エネルギ設備2の需要確率と、時系列の各蓄エネルギ設備2と同一種類のエネルギの供給量とに基づいて、次回タイミングから次々回タイミングまでのエネルギ供給量の総和を算出する。
設備制御部113Gは、需要確率算出部112Gで算出された各蓄エネルギ設備2の補正後の需要確率と、エネルギ供給量の総和とに基づいて、各蓄エネルギ設備2の需要確率(補正後の需要確率)が高い順に、蓄エネルギ量がエネルギ供給量の総和に達するまで、蓄エネルギ設備2にエネルギを蓄積させる。設備制御部113Gは、次回タイミングから次々回タイミングまでの所定期間における、各蓄エネルギ設備2へのエネルギ蓄積回数が所定値以下になるように、各蓄エネルギ設備2についての制御値を決定し、決定された制御値を各コントローラ21へ送信する。所定値は、例えば「1」などの少数に設定することができる。エネルギ蓄積回数が増加するほど蓄エネルギ設備2の性能および寿命が低下する場合があるため、エネルギ蓄積回数を抑制する。
このように構成される本実施例も第1~第7実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例によれば、各蓄エネルギ設備2へエネルギを蓄積する回数を低減できる。したがって、本実施例によれば、蓄エネルギ設備2の消耗、性能の劣化、寿命の低下を抑制することができ、メンテナンスコストおよび買い替えコストなどを低減でき、使い勝手が向上する。本実施例は、例えば、充電回数が多くなるほど性能が劣化する蓄電池を使用するユーザにとってメリットが大きいと言える。
図12を用いて第9実施例を説明する。図12は、制御装置1Hの機能構成を示す。本実施例の制御装置1Hでは、図11で述べた制御装置1Gの設備制御部113Gが、制御制限付きの設備制御部113Hに置き換わっている。
本実施例の設備制御部113Hは、時系列の需給予測を活用する需要確率算出部112Gで算出された各蓄エネルギ設備2の需要確率(補正後の需要確率)が所定の閾値以下の場合は、「0」として扱う。すなわち、需要が発生しないものとして取り扱う。
設備制御部113Hは、各蓄エネルギ設備2の需要確率と、エネルギ供給量の総和とに基づいて、各蓄エネルギ設備2の需要確率(補正後の需要確率)が高い順に、エネルギ量がエネルギ供給量の総和になるまで蓄積させる。
そして、設備制御部113Hは、次回タイミングから次々回タイミングまでの所定期間における、各蓄エネルギ設備2へのエネルギ蓄積回数が所定値以下になるように、各蓄エネルギ設備2の制御値を決定し、決定された制御値をコントローラ21に送信する。
このように構成される本実施例も第1~第8実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、需要確率が所定の閾値以下の場合に、その需要は発生しないものとして扱うため、蓄エネルギ設備2の使用回数を低減することができ、蓄エネルギ設備2の性能劣化および寿命低下を抑制することができる。この観点からは、使用回数(充放電回数)が多くなるほど性能等が低下する蓄エネルギ設備2についてのみ、所定の閾値以下の需要確率を「0」とみなしてもよい。
図13を用いて第10実施例を説明する。図13は、本実施例に係る制御装置1Jの機能構成を示す。本実施例の制御装置1Jでは、図12で述べた制御装置1Hの構成に、蓄エネルギ効率推定部124が追加されている。さらに、制御装置1Jでは、図12で述べた制御制限付き蓄エネルギ設備制御部113Hが、蓄エネルギ効率を活用する蓄エネルギ設備制御部113Jに置き換わっている。蓄エネルギ効率推定部124を効率推定部124と略記する場合がある。
効率推定部124は、蓄エネルギデータ記憶部111から取り出された計測データに基づいて、各蓄エネルギ設備2の蓄エネルギ効率を推定する。蓄エネルギ効率とは、蓄エネルギ設備2にエネルギを蓄積する際の効率である。各蓄エネルギ設備2の蓄エネルギ効率は、過去のデータを統計処理することにより推定してもよいし、過去のデータを機械学習させて得た学習モデルを用いて推定してもよい。
例えば、過去に各蓄エネルギ設備2が一定期間内に放出したエネルギの総和を、一定期間内の蓄エネルギ量の総和で除算した値を、各蓄エネルギ設備2の蓄エネルギ効率として用いてもよい。各蓄エネルギ設備2のカタログ等に記載された蓄エネルギ効率を採用することもできる。
設備制御部113Jは、各蓄エネルギ設備2の補正後の需要確率を、効率推定部124で推定された各蓄エネルギ設備2の蓄エネルギ効率で重み付けする。そして、設備制御部113Jは、各蓄エネルギ設備2の重み付けされた需要確率にしたがって、需要確率が高い順にエネルギが蓄積されるように、各蓄エネルギ設備2の制御値を決定する。設備制御部113Jは、決定された制御値をコントローラ21へ送信する。
このように構成される本実施例も第1~第9実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、蓄エネルギ設備2にエネルギを蓄積する際の効率を推定し、エネルギ蓄積効率を考慮して需要確率を算出するため、エネルギ蓄積効率の高い蓄エネルギ設備2を優先させてエネルギを蓄積させることができる。したがって、本実施例によれば、蓄エネルギ設備2のより効率的な利用を希望するユーザの満足度を高めることができる。
図14を用いて第11実施例を説明する。図13は、本実施例に係る制御装置1Kを含む蓄エネルギ制御システムの全体構成図である。本実施例に係る制御装置1Kは、各蓄エネルギ設備2を直接制御するコントローラ機能を内蔵している。したがって、図14には、図1などに示したコントローラ21は含まれてない。その他の構成は、図9で述べた制御装置1Fと同様である。
本実施例に係る制御指令機能付き設備制御装置1Kは、各センサ22から各蓄エネルギ設備2についての計測データを受信し、受信した計測データに基づいて各蓄エネルギ設備2の制御値を決定し、決定した制御値に従って各蓄エネルギ設備2を制御する。
このように構成される本実施例も第1~第10実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、制御装置1Kが蓄エネルギ設備2のコントローラ21に代わる機能を有するため、蓄エネルギ制御システム全体の導入コストおよび運用コストを低減することができる。
図15を用いて第12実施例を説明する。図15は、本実施例に係る制御装置1Mの機能構成を示す。本実施例の制御装置1Mは、蓄エネルギ設備2の更新に関してユーザへ提案する機能を備える。
本実施例の制御装置1Mは、図13で述べた制御装置1Jの構成に、劣化診断部125と、必要容量推定部126と、設備更新提案部127とを加えた構成を持つ。
劣化診断部125は、各蓄エネルギ設備2の劣化を診断する機能である。劣化診断部125は、蓄エネルギ効率推定部124で推定された各蓄エネルギ設備2のエネルギ蓄積効率に基づいて、各蓄エネルギ設備2の劣化を診断する。例えば、蓄エネルギ設備2のエネルギ蓄積効率が定格値から所定値以上低下した場合に、その蓄エネルギ設備2の性能が劣化したものと判定してもよい。または、蓄エネルギ設備2のエネルギ蓄積効率が一定値以上増加した場合に、その蓄エネルギ設備2の性能劣化したと判定してもよい。蓄積効率の変化率から劣化を診断してもよい。
必要容量推定部126は、各蓄エネルギ設備2が必要とするエネルギ容量を推定する機能である。必要容量推定部126は、各蓄エネルギ設備2の需要確率に基づいて、各蓄エネルギ設備2の必要とする容量を推定する。例えば、必要容量推定部126は、蓄エネルギ設備2の確率が所定値以上の需要量を、その蓄エネルギ設備2の必要エネルギ容量として求めてもよい。
設備更新提案部127は、各蓄エネルギ設備2のうち所定の蓄エネルギ設備2の更新をユーザへ提案する機能である。所定の蓄エネルギ設備2は、例えば、劣化診断部125により、更新を推奨する劣化が生じていると診断された蓄エネルギ設備2である。設備更新提案部127は、所定の蓄エネルギ設備2を、必要容量推定部126で推定されたエネルギ容量を持つ蓄エネルギ設備2に更新するように提案する。
設備更新の提案は、例えば、テキスト、静止画像、動画像、グラフィックス、音声などの少なくとも一つまたは複数を用いて作成されることができる。設備更新の提案は、例えば、電子メールによりユーザの使用するコンピュータ端末(パーソナルコンピュータ、携帯電話など)に送ることができる。あるいは、制御装置1Mの提供するウェブサイト(蓄エネルギ設備の管理サイト)において、各蓄エネルギ設備2の現在の状態、劣化診断の結果、設備更新の推奨などをユーザへ提示することもできる。
このように構成される本実施例も第1~第11実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例によれば、蓄エネルギ設備2の劣化を診断し、その診断結果に基づいて設備の更新を提案することができる。したがって、蓄エネルギ設備2の管理運用の信頼性と使い勝手とを向上することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。上述の実施形態において、添付図面に図示した構成例に限定されない。本発明の目的を達成する範囲内で、実施形態の構成や処理方法は適宜変更することが可能である。
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれる。さらに特許請求の範囲に記載された構成は、特許請求の範囲で明示している組合せ以外にも組み合わせることができる。