JP7339533B2 - 飲料容器、及び、飲料容器の栓本体 - Google Patents

飲料容器、及び、飲料容器の栓本体 Download PDF

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Description

本発明は、飲料容器、及び、飲料容器の栓本体に関する。
最近では所望の飲料(たとえば、お茶、ミネラルウオ―タなど)を収容して保持携帯するステンレスボトル等の携帯型の飲料容器が多く使用されている。
このような飲料容器の一例として、たとえば飲料を収容する筒状の容器と、該容器の上端側開口部内側に着脱可能に嵌合された飲み口部を有する栓体と、該栓体の飲み口部内側(底部)に設けられた飲料注出口と、上記栓体の外周を覆う状態で、上記容器の上端側開口部外側に着脱可能に螺合された栓カバーと、該栓カバー外周の一側に開閉可能に枢支され、閉状態において上記飲料注出口を覆う蓋体と、該蓋体の内側にあって、蓋体閉状態において上記飲料注出口を閉じる栓部材とを備えたものがある(たとえば特許文献1の飲料容器の構成を参照)。
このような構成の飲料容器の場合、まず栓体上部の蓋体を開放し(それによって飲み口部内側(底部)の飲料注出口を開放し)、その後、容器を水平方向又はそれ以上に傾けることによって、飲み口部の位置を低くすると、飲料注出口を介して容器内に収容されている飲料を口飲み状態で摂取することができ、コップ等の飲用容器が不要となるので、携帯に便利である。
ところで、このような飲料容器において、飲料を飲んだか否かを検知することができ、また飲んだ場合には、飲んだ飲料の量(摂取量)を計量することができると種々の点で便利である。たとえば、水分補給が不可欠な夏季に子供や高齢者に持たせた飲料容器などでは、それによって実際に飲んでいるか否か、十分な量を飲んでいるか否かなどを保護者側で判断することができ、その計量データを所定の通信システムを介して監視できるようにすれば、家庭や施設(病院)におけるユーザーの見守りサービスシステムを構築することができる。
そこで、このような技術的課題に対応して、本願発明者らは、上記のような飲料容器の栓体部および飲み口部の構造を改良するとともに、さらに飲料摂取時において、容器から飲み口部を介して流出する飲料の流出を検知する飲料流出検知手段と、容器の水平方向への傾斜角を検出する容器傾斜角検出手段と、容器傾斜角検出手段により検出された容器本体の傾斜角と飲料流出検知手段により検知された飲料の流出状態とから容器内の飲料の外部への流出量を演算する飲料流出量演算手段を設け、飲料摂取時における飲料の摂取量を計量できるようにした飲料容器を提案している(たとえば特許文献2の飲料容器の構成を参照)。
このような構成によると、上記傾斜角検出手段により検出された容器の水平方向への傾斜角と上記飲料流出検知手段により検知された上記飲み口部における飲料の流出状態から上記飲料流出量演算手段により容器内の飲料の外部への流出量、すなわちユーザーの飲料の摂取量を容易に計量することができ、水分補給が不可欠な夏季に子供や高齢者に持たせた飲料容器などにおいて、ユーザーが実際に飲料を摂取しているか否か、十分な量を摂取しているか否かなどを保護者側で判断することができ、その計量データを所定の通信システムを介して監視できるようにすれば、家庭や施設(病院)におけるユーザーの見守りサービスシステムを構築することができる。
この場合において、たとえば上記栓体部分に、ユーザーの体温を測定する体温センサや外気温を検出する気温センサ、外気の湿度を検出する湿度センサなどを設ければ、さらにユーザーの体調をもチェックすることができるようになり、体調に応じた飲料の摂取を指示することもできる。
特開2012-121614号公報 特願2019-012211号明細書および図面
ところで、上記のように、飲料容器にユーザーの体温を検出する体温センサを設けて体温を検出する場合、何処にどのような温度センサを設けて、どのようにセンシングするかが課題となる。
上記のように栓本体に飲み口部を有する飲料容器の場合、ユーザーの口が接触する飲み口部に温度センサを埋設してユーザーの唇部分の温度を直に検出するのも一つの方法である。しかし、そのようにした場合、肉厚の薄い飲み口部にどのようにしてセンサを埋設するかの問題や、センサへの電池からの給電、センサから制御基板への配線をどうするかの問題があり、実現は容易ではない。
そこで、放射温度センサのような非接触式の温度センサを採用し、同温度センサを飲み口部付近に設置して、飲み口部に口を付けて飲料を摂取する際のユーザーの顔の温度をセンシングすることが考えられる。飲み口部に口を付ける飲料摂取時には、ユーザーの顔が温度センサに接近するので、一定の検出精度でユーザーの体温を検出することができる。また、温度センサは、栓本体に設置すれば良いので、電池からの給電や制御基板への配線の問題も解決される。
しかし、このようにした場合、温度センサは、ユーザーの顔が一定の検知距離に近づくと、それが最短距離で無くとも出力を発生し、同状態における検知温度をユーザーの体温として検出してしまう。また、同状態では、外乱の影響も受けやすい。ユーザーが飲み口部に口を付けたとしても、実際に容器本体を水平以上に傾けて飲料を飲み始めないと、ユーザーの顔と温度センサには未だ相当の距離があり、必ずしも最短距離とは言えず、精度の高い体温値の測定は期待できない。
したがって、上記のような非接触式の温度センサを用いて体温を測定する場合、正確な体温値を測定するためには、まずユーザーの顔が温度センサに対して所定距離以内に接近した状態にあることを検知した上で、その出力を取り込み、体温値として判定する必要がある。
一方、人の顔の皮膚表面温度は一般に脇下温度(36~37°C)よりも低く(34~35°C)、部位によって相違があり、必ずしも全体に亘って一定している訳ではない。したがって、上記のような非接触式の温度センサを用いて顔表面の温度を測定する場合、センサとの距離が同じでも、顔表面のどの部位で測定するかによって、誤差が生じる。
本願発明は、このような課題を解決するためになされたもので、栓本体の飲み口部付近に非接触式の体温センサを備えた飲料容器において、体温センサに対するユーザーの顔の接近を検知する顔接近検知手段を設けて、体温センサに対してユーザーの顔が所定の距離以内に接近したことを検出すると共に、体温センサを、体温センサに対してユーザーの顔が所定の距離以内に接近した状態においてユーザーの顔の頬に対応する位置に設けることによって、顔表面の中で最も温度が安定しているユーザーの顔の頬表面の温度を検出することにより、より正確な体温を検出することができるようにした飲料容器を提供することを目的とするものである。
本願発明は、以上の課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1)本願請求項1の発明の課題解決手段
本願請求項1の発明に係る飲料容器は、飲料を収容する容器本体と、該容器本体に着脱可能に取り付けられる栓本体と、該栓本体に設けられた飲み口部と、上記栓本体の後端に連結されて開閉可能に設けられた蓋体と、上記飲み口部付近に設けられ、ユーザーの顔表面の温度を検出可能な非接触式の体温センサと、該体温センサに対する上記ユーザーの顔の接近を検知可能な顔接近検知手段と、が備えられ、上記顔接近検知手段により上記ユーザーの顔が上記体温センサに対して所定の距離以内に接近したことが検出された際に、上記体温センサにより上記ユーザーの顔表面の温度を検知するようにすると共に、上記体温センサが、上記ユーザーの顔が上記体温センサに対して上記所定の距離以内に接近した状態において、上記ユーザーの顔の頬部分に対応し、同頬部分の温度を検出する位置に設けられていることを特徴としている。
このような構成によれば、飲料の摂取に伴って開始されるユーザーの体温の測定に際して、まず顔接近検知手段を用いて、栓本体の飲み口部付近に設けられている体温センサに対してユーザーの顔が正確、かつ安定した体温の測定が行える所定の距離以内に接近したか否かを検出することができる。
その結果、体温センサに対してユーザーの顔が正確、かつ安定した体温の測定が行える所定の距離以内に接近していない場合には、体温の測定を行わない(体温センサの出力を制御ユニットに取り込まない)。他方、体温センサに対してユーザーの顔が正確、かつ安定した体温の測定が行える所定の距離以内に接近した時には、体温センサによる体温の測定を行う(体温センサの出力を制御ユニットに取り込む)。
しかも、同構成では、その場合において、上記体温センサを、上記体温センサに対してユーザーの顔が所定の距離以内に接近した状態において上記ユーザーの顔の頬部分に対応する位置に設けることにより、上記体温センサに対してユーザーの顔が所定の距離以内に接近した状態においてユーザーの顔の頬部分の温度を検出し、同ユーザーの顔の頬部分の温度からユーザーの体温を測定するようにしている。ユーザーの顔の頬の部分は、顔全体の中で凹凸がなく、面積も広くて、最も温度が安定している部位として知られている。
そして、この発明の構成では、上記のように、飲み口部付近にある体温センサのセンサ部に対して十分にユーザーの顔が接近し、体温センサの性能上有効に体温を検出することができる状態になった段階で、顔全体の中で凹凸がなく、面積も広くて、最も温度が安定している頬部分の温度を基準として正確な体温を測定する。
したがって、常に外部に露出しており、脇下に比べて相対的に表面温度が低い顔表面温度に基づいて非接触で体温を検出する場合でありながら、より真温に近い体温の測定が可能となる。その結果、熱中症等の臨床的な診断にも利用可能となる。
(2)本願請求項2の発明の課題解決手段
本願請求項2の発明に係る飲料容器は、上記本願請求項1の発明に係る飲料容器の構成において、上記顔接近検知手段が、上記飲み口部よりも後端側に設けられ、上記ユーザーの顔の中心部の接近を検知するように構成されていることを特徴としている。
飲料容器の場合、容器本体内の残量を飲みやすくするために、一般に飲み口部は、栓本体左右方向の中間にあって、少なくとも栓本体の中央部か、多くは前端寄りに偏倚させて設けられている。また、飲料を摂取する人の口は、顔の下部側にある。したがって、栓本体の飲み口部よりも後端側左右に位置して発光ダイオードおよびフォトダイオードを配置すると、発光ダイオードからの光が飲料摂取中のユーザーの顔の丁度中心部で反射してフォトダイオードに効率良く入射するようになる。
その結果、体温センサに対するユーザーの顔の接近を左右のブレなく中心部で確実に検知することができ、距離検知精度が高くなる。
(3)本願請求項3の発明の課題解決手段
本願請求項3の発明に係る飲料容器は、上記本願請求項1又は2の発明に係る飲料容器の構成において、上記体温センサは、上記飲み口部から所定の距離離れた上記飲み口部の横側に位置して設けられていることを特徴としている。
人の頬は、顔の上下方向中間部から下部にあり、左右に2つ対称に設けられている。したがって、以上のような構成にした場合、飲み口部が、栓本体左右方向の中間にあって栓本体の中央部か、前端寄りに偏倚させて設けられていることを前提として、ユーザーの顔が体温センサに対して所定の距離以内に接近し、飲料を摂取しているユーザーの顔の頬の部分に体温センサのセンサ部(赤外線入射部)が対応するようになり、顔全体の中で凹凸がなく、面積も広くて、最も温度が安定している頬部分からの赤外線を確実に入射させることができるようになる。
また、頬部分は、飲料摂取時における顎の動きによる口角部分の動きの影響を受けることもなく、より正確な体温の測定が可能となる。飲料の摂取時には、飲料を飲み込む度に顎が動き、それに応じて口角部周辺の筋肉も動く。そのため、口角部周辺部分の温度を検出したのでは、正確な体温を測定することができない。そこで、体温センサを、飲料の摂取時において顔全体の中で凹凸がなく、面積も広くて、最も温度が安定している、口角部よりも所定距離側方の頬部分に対応させるようにし、正確な体温を検出するようにする。そして、そのために、体温センサは、上記飲み口部(口角部)から所定の距離離れた上記飲み口部の横側(側方)に位置させて設ける。
このような構成にすると、飲料の摂取時において、体温を検知する体温センサが、顔全体の中で凹凸がなく、面積も広くて、飲料摂取時の筋肉の動きもない、最も温度が安定している頬部分に対応するようになり、飲料摂取時において筋肉の動きのある口角周辺部分を避けて、顔全体の中で凹凸がなく、面積も広くて、最も温度が安定している頬部分の温度を検出できるようになる。
(4)本願請求項4の発明の課題解決手段
本願請求項4に係る発明の飲料容器の栓本体は、飲み口部と、開閉可能に設けられた蓋体と、上記飲み口部付近に設けられ、ユーザーの顔表面の温度を検出可能な非接触式の体温センサと、該体温センサに対する上記ユーザーの顔の接近を検出可能な顔接近検知手段と、が備えられ、上記顔接近検手段により上記ユーザーの顔が上記体温センサに対して所定の距離以内に接近したことが検知された際に、上記体温センサにより上記ユーザーの顔表面の温度を検知するようにすると共に、上記体温センサは、上記ユーザーの顔が上記体温センサに対して上記所定の距離以内に接近した状態において、上記ユーザーの顔の頬部分に対応し、同頬部分の温度を検出する位置に設けられていることを特徴としている。
このような構成によれば、開閉可能な蓋体、飲み口部、体温センサ、顔接近検知手段を備え、上記請求項1の発明の飲料容器と同様の作用、効果を有する栓本体を、飲料を収容する容器とは別に、単独で製造販売可能な独立の商品価値のあるスマートキャップ、IoTツールとして構成することができるようになる。
以上の結果、本願発明によれば、非接触で、より正確な体温の測定機能を持った飲料容器を提供することが可能となる。
本願発明の実施の形態に係る飲料容器の蓋体閉状態における外部構造を示す正面図である。 同飲料容器の蓋体開状態における外部構造を示す要部の正面図である。 同飲料容器の栓本体部分の蓋体開状態における外部構造を示す要部の斜視図である。 同飲料容器の内部構造を示す蓋体閉状態における断面図(図1のA-A断面図)である。 同飲料容器の容器本体上端部及び蓋体部の構造を示す蓋体閉状態における拡大断面図(図4の容器本体の上端部及び蓋体部の拡大断面図)である。 同飲料容器の容器本体上端部及び蓋体部の構造を示す蓋体開状態における断面図(図2のB-B断面図)である。 同飲料容器の飲み口部材を取り付けた容器本体部分の構造を示す断面図である(但し、この状態では電池収納部およびその関連部品が未だ組み付けられていない)。 同飲料容器の飲み口部材を取り付けた容器本体部分の構造を示す平面図である(但し、この状態では電池収納部およびその関連部品が未だ組み付けられていない)。 同飲料容器の容器本体部分(図7部分)を取り外した栓本体および蓋体部分の構造を示す蓋体閉状態の正面図である。 同飲料容器の容器本体部分(図7部分)を取り外した栓本体および蓋体部分の構造を示す蓋体閉状態の断面図である(図9のC-C断面図)。 同飲料容器の容器、飲み口部材、電池、アンテナ、制御基板、栓本体、蓋体の各部分を相互に分離して飲料容器各部の構造を示す分解斜視図である。 同飲料容器の制御基板部分の構造を示す基板表面側の斜視図である。 同飲料容器の制御基板部分の構造を示す基板裏面側の斜視図である。 同飲料容器の電池を電池ホルダーにセットしたセット状態における構造を示す斜視図である。 同飲料容器の電池と電池ホルダーのホルダー部との対応構造を示す斜視図である。 同飲料容器の飲み口部材上面に設けられた電池収納部に対して電池ホルダーに保持した電池を収納セットした状態を示す斜視図である。 同飲料容器の飲み口部材上面に設けられた電池収納部の構造を示す斜視図である。 同飲料容器の飲み口部材上面に設けられた電池収納部の構造を示す平面図である。 同飲料容器の飲み口部材上面に設けられた電池収納部における負極側電源端子部の構造を示す要部の拡大断面図である。 同飲料容器の栓本体上面部の構造を示す斜視図である。 同飲料容器の栓本体上面部の構造を示す平面図である。 同飲料容器の制御基板部分に設けられている飲料容器制御ユニット(マイコン)を中心とする制御回路のブロック図である。 同飲料容器の図22の制御回路における電子部品各部の制御動作を示すタイムチャートである。 同飲料容器において実験データから飲料の摂取量を求める飲料摂取量算出方法に用いる容器本体部分の傾斜角と容器本体内の飲料残量との関係を示す実験データのグラフである。 同飲料容器において、容器本体部分の飲料摂取時の傾斜角の変化から飲料の摂取量を算出する場合の動作説明図である。 図25に示した飲料摂取時における容器本体部分の傾斜角の変化から、計算により飲料の摂取量を求める飲料摂取量算出方法で用いる容器本体の構成とその傾斜角に応じた飲料の流出状態を示す概略図である。 図26の容器本体内の飲料内容量(残量)が1/2以上ある時の飲料内容量(残量)の計算方法を示す説明図である。 図26に示す容器本体内の飲料の内容量(残量)が1/2である時の飲料内容量(残量)の計算方法を示す説明図である。 図26の容器本体内の飲料内容量(残量)が1/2よりも少なくなった時の飲料内容量(残量)の計算方法を示す説明図(縦断面)である。 図26の容器本体内の飲料内容量(残量)が1/2よりも少なくなった時の飲料内容量(残量)の計算方法を示す説明図(横断面)である。 上記飲料容器の通信機能を用いてユーザーの見守りシステムを構成した時のシステム概略図である。 上記飲料容器の通信機能を用いてユーザーの見守りシステムを構成した場合における飲料容器制御ユニットの見守り制御動作を示すフローチャートである。
以下、添付の図1~図32を参照して、本願発明に係る飲料容器の実施の形態について詳細に説明する。
(飲料容器の容器全体および主要部の構成)
まず図1~図11には、同実施の形態における飲料容器の容器全体および主要部の構成が示されている。
この実施の形態における飲料容器は、容器本体の上部に飲み口部材を備え、直飲みすることができるようになっていると共に、飲料の流出量演算機能を備え、飲まれた飲料の量を演算することができるようになっている。
すなわち、この実施の形態の飲料容器は、たとえば容器11および飲み口部材12よりなる容器本体1と、該容器本体1の上記飲み口部材12の外周部に設けられた栓本体2と、該栓本体2の上部であって、上記容器本体1の上記飲み口部材12の上部に開閉可能に設けられた蓋体3とからなっている。
(容器本体1の構成について)
容器本体1の容器11は、有底筒状の金属製部材よりなり、その側壁部分は、底壁部11b外周側から後述する開口部所定幅部分を除く上部外周側まで等径の筒状体に形成されている。一方、底壁部11bの中心は所定の高さ球面上に盛り上がっている一方、上部側は略全面が円形に開口している。そして、同上部側開口部の所定上下幅部分(以下、この部分を開口縁部と言う)11aは、少し小径に縮径されて(次に述べる飲み口部材12の取り付け部12bの板厚分だけ)、その外周面側に飲み口部材12螺合用の螺合溝が形成されている。飲み口部材12は、上記開口縁部11aの外周側に螺合される下部側大径筒状の取り付け部12bと飲み口を構成する小径筒状の飲み口部12aとの合成樹脂製の一体成型品よりなっている。小径筒状の飲み口部12aは、所定寸法上方に長く伸びている。そして、この実施の形態の場合、飲み口部材12を構成する合成樹脂材としては、所定レベルの光透過率がある(具体的には赤外光に対して所定レベルの光透過率がある)半透明材を用いて成型されており、後述するように、小径筒状の飲み口部12aを挟んで相互に対向する位置に設けられる発光ダイオード52aからの赤外光が受光部であるフォトダイオード52bの受光面に飲み口部12a部分を透過してストレートに入射するように構成されている。
飲み口部材12の取り付け部12bの上下寸法は、上記開口縁部11aの上下寸法に対応したものとなっており、その内周面側には上記開口縁部11a外周面の螺合溝に螺合する螺合溝が形成されている。また、飲み口部12aの内外径は、先端を少し口に入れて飲むのに適した小径寸法のものに形成されている一方、上下方向の寸法(長さ)は相当に長いものに形成されており、後述する栓本体2の上壁部21の飲み口部挿通孔20を通して所定長さ上方に突出している。飲み口部12aの飲み口部挿通孔20部分全周には、飲み口部挿通孔20との間の隙間をシールするためのシール部材嵌合溝が設けられており、該シール溝嵌合溝にシールリング12dが嵌合されている。飲み口部12aの上端側開口面は、飲料供給方向側端部(前端部)の高さが高く、その反対側端部(後端部)の高さが低い傾斜面となっている。そして、それにより、飲料の飲みやすさが確保されている。
また、この実施の形態の場合、上記飲み口部12aの中心O2-O2は、たとえば図7及び図8から明らかなように、左右両方向のセンターには位置しているが、容器11への取り付け部12bの中心(容器11の中心)O1-O1から所定寸法aだけ前端側(飲料容器正面側)に偏位(オフセット)して設けられている。そして、それにより容器1内の飲料が少なくなった場合にも、容器1を水平角度以上の角度に大きく傾斜させることによって、飲み口部12aよりも容器底壁部11b側の位置を高くし、略確実に飲み干すことができるようにしている。
(栓本体2の構成について)
他方、符号2は、上記飲み口部材12の本体部分上部に上記飲み口部12aを貫挿する形で嵌合固定された、所定レベルの光透過率がある(具体的には赤外光に対して所定レベルの光透過率がある)合成樹脂製の栓本体であり、上記円形でフラットな上壁部21と、該上壁部21の外周部分からスカート状に緩やかな円弧面上の広がりを有して所定の長さ下方に延び、その下端側開口部を上記飲み口部材12の容器11への取り付け部12bの肩部(若干小径となっている)に対して嵌合固定した筒状の側壁部22と、該側壁部22の前面部(正面部)にあってロックレバー7の設置部を形成しているロックレバー設置部23を備えて構成されており、上記上壁部21の裏面側および側壁部22の内側には飲料流出量の演算機能を実現するための各種センサ、制御ユニット、送受信ユニットなどの電子部品をマウントした制御基板(電子基板)5の設置空間を形成している。
この栓本体2の上記上壁部21の後端にはヒンジ軸24を枢支した所定の長さのヒンジ軸ホルダー21aが設けられており、該ヒンジ軸ホルダー21aにより枢支されたヒンジ軸24に対して後述する蓋体3後端側左右一対のヒンジブラケット32c,32cが枢着され、それによって蓋体3が上下方向に弧回動自在に軸支されるようになっている。ヒンジ軸24には、コイル状のヒンジスプリング(図示省略)が巻装されており、その一端側は上記栓本体2側に、また他端側は蓋体3側に、それぞれ反発方向(蓋開方向)の弾性を有する形で係合され、蓋体3を上記ロックレバー7側からヒンジ軸ホルダー21a側後方に傾いた開放状態(図2、図3、図6の状態)に回動付勢するようになっている。また、この栓本体2の上壁部21には、後述する制御基板5固定用の2つのビス孔21d,21eに加え、後述する制御基板5側の温湿度センサ51e,51fに対応した温湿度導入孔21f、後述する制御基板5側の蓋開閉センサ(ホールセンサ)51aに対応した磁力線透過孔21b、同制御基板5側の体温センサ51gに対応した透過孔21cなどが設けられている。温湿度導入孔21f及び磁力線透過孔21bには、それぞれ蒸気は通すが水は通さない蒸気透過膜が設けられ、飲み口部12a側からの水が浸入しないように構成されている。
一方、ロックレバー7を設けるロックレバー設置部23は、前面側側壁部22の一部をU状に突出させる形で一体に設けた上端側及び前面側が開口したU状壁23aと、該U状壁23a内に形成されたU状の凹溝部23bと、該U状の凹溝部23bの上端側開口部に位置して上記上壁部21の前端部の一部を所定幅、かつ所定長さ突出させて、その先端部を後述するロックレバー7の蓋ロック時のストッパ部、その上面部を後述する蓋体3(その前面側側壁部32)の蓋閉時の固定面とした上壁23cと、上記U状の凹溝部23bの上下方向中間部より少し下方に位置して設けられたロックスプリング25嵌合用の円形溝23dと、該円形溝23dの下部側に突設されたロックレバー固定部材6固定用の凸部23eと、上記U状の凹溝部23bの上記上壁23bと上記ロックレバー固定部材6固定用の凸部23eとの間に位置し、上記U状壁23aの左右両側壁部間に架設される形で設けられたロックレバー係合軸8とを備えて構成されている(図3~図5、図11を参照)。
一方、符号7が同ロックレバー設置部23に設置されるロックレバーレバーであり、
該ロックレバー7は、その上端部71側に後述する蓋体3側のロックレバー係合片32bに係合する係合片71a,下端部72側にロックスプリング25嵌装用の凸部72a,それらの中間部73に断面U状のロックレバー係合軸8への係合溝を有する断面半円形状のボス部73aを有した合成樹脂製のレバー部材よりなっている。そして、同ロックレバー7中間部73の上記ボス部73aのU状の係合溝を上記凹溝部23b内のロックレバー係合軸8に係合して回動可能に支持するとともに、下端部72側のロックスプリング25嵌装用の凸部72aと凹溝部23b側のロックスプリング25嵌合用の円形溝23dとの間にロックスプリング25を設けて、ロックレバー7上端部71の係合片71aが蓋体3側の係合片32bに係合するように付勢している。
このようにロックレバー7が上記U状壁23a内のU状の凹溝部23b内に設置された状態において、上記U状壁23a内のU状の凹溝部23b開口縁部には、さらにロックレバー固定部材6がスライド可能に係合され、上記ロックレバー7は、図1、図4、図5のような安定した係合状態(蓋ロック状態)に保持される。
このロックレバー固定部材6は、上端部61側がロックレバー7上端部71側係合片71aの蓋体3側係合片32bとの係合状態を維持する押圧面部に形成されているとともに、下端部62側上部位置には上記上端部71側係合片71aの蓋体3側係合片32bとの係合状態を解除する押圧操作用の凸部62aが設けられている。また、同ロックレバー固定部材6の上端部61側下部には、上方側又は下方側良方向へのスライド操作用の爪部61aが、さらに下端部62側下端位置には、ロックレバー7のロック状態において上記U状の凹溝部23b内のロックレバー固定部材6固定用の凸部23eに衝合して、押圧操作用の凸部62aを押しても上記上端部71側係合片71aの蓋体3側係合片32bとの係合状態の解除を不可能とする衝合片62bが設けられている。
ロックレバー7が設置される上記U状壁23a内のU状の凹溝部23bに対して、ロックレバー7は図5のように設置されており、上記U状の凹溝部23bは上記衝合片62bの下方側に上下方向に所定の長さの空きスペースb(図5中の上下方向の矢線参照)が設けられている。そして、この空きスペースbを利用して上記ロックレバー固定部材6が上下方向にスライドし、上記ロックレバー固定部材6が上端位置までスライドして上記ロックレバー7の上端部71を押圧している図3の状態では下端部72側の衝合片62bがロックレバー固定部材6固定用の凸部23eに衝合してロックレバー7の固定状態を維持するようになっている。
他方、上記ロックレバー固定部材6が図5の状態から下方にスライド操作され、同ロックレバー固定部材6が空きスペース下端位置までスライドした状態では上記下端部72側衝合片62bのロックレバー固定部材6固定用の凸部23eとの衝合が解除され、上記ロックレバー7上端部71の回動が可能となる。したがって、この状態で、上記ロックレバー固定部材6下端部72押圧操作部62a部分を後方に押すと、ロックレバー7の下端部72が後方に押されて(ロックスプリング25の付勢力に抗して)、ロックレバー7の上端部71側係合片71aが前方に回転して蓋体3側の係合片32bとの係合が外れ、蓋体3の開放が可能となる。
(および電池ホルダー53、電池収納部54部分の構成)
この実施の形態の構成では、上記各種センサ51a,51b、51e~51h、各種ダイオード51c,51d、52a,52bおよび飲料容器制御ユニット51i、送受信ユニット51j作動用の電源電池として、たとえば図14および図15に示す、円形で全体の厚さが薄いボタン型(コイン型)の電池58を採用している。そして、同ボタン型の電池58を、図14に示すように、正極面58a側を上部および外周、負極面58b側を下部(下面)にした状態で、所定の電池ホルダー53にセットした上で、上述した飲み口部材12の取り付け部12bの上壁面12c部分に設けた、図17~図19(a)(b)に示す電池収納部54部分に着脱可能に収納することにより、栓本体2の嵌合固定に支障を来さない状態で、しかも、栓本体2を嵌合した図5および図6の状態において、電池ホルダー53を介して電池58を外部に引き出し、また、逆に元の収納状態に挿入することができるように構成されている。
すなわち、まず上記電池ホルダー53は、たとえば図14および図15に示されるように、上記所定の直径、所定の厚さのボタン型の電池58の半円部強部分を着脱可能に抱き込む相互に連続する左右一対のホルダー片53a,53aを備えた電池ホルダー部53bと、この電池ホルダー部53bの円弧面形状の基端部分外周に一体に設けられた上下左右方向に若干寸法の大きい円弧板形状の摘み部53cとからなっており、左右一対のホルダー片53a,53aおよびホルダー部53bの基端部分内側には、上記ボタン型の電池58の外形寸法に対応したC字形の電池嵌合溝53d(図15参照)が設けられている。このC字形の電池嵌合溝53dの周方向の寸法は、電池58外周寸法の半円部分よりも少し大きく形成されていて(開口部の左右方向の寸法が直径よりも少し小さく形成されていて)、嵌合されたボタン型の電池58が脱落することなく、所定の弾性的な係止力(バネ圧)を伴って確実に保持されるようになっている。他方、そうであっても、上記左右一対のホルダー片53a,53a部分は、所定の変形弾性(バネ圧)を有しているので、電池58の嵌め込み、取り出しは、自由に行うことができるようになっている。また、一方、電池ホルダー部53bの基端側外周面および摘み部53c外周面は、上述した栓本体2の側壁部22の外周面に沿う同一曲率半径の円弧面形状に形成されており、同部分は、電池収納部54への電池58収納状態において、上述した栓本体2の側壁部22の後端部分に設けられた電池収納口22aの後端外周側係合溝22b部分に摘み出し可能な状態で係合されるようになっている(図5、図6を参照)。
すなわち、電池ホルダー部53bの基端部と摘み部53cでは、電池ホルダー部53bの基端部外形寸法よりも摘み部53cの外形寸法の方が大きく形成されており(左右幅、上下高さ共に)、電池58の電池収納部54への収納状態においては、電池ホルダー部53bの基端部分が上記栓本体2の側壁部22の後端部分に設けられた電池収納口(本体口)22aに貫通状態で嵌合し、摘み部53cが同電池収納口22aの外周側係合溝22bに面一状態で係合されるようになっている(図5、図6、図10の構成を参照)。
一方、飲み口部材12の上壁面12c上の電池収納部54は、上記栓本体2の側壁部22の電池収納口22aの内側に位置し、その半径方向に対向する形で、例えば図17および図18に示すように構成され、設置されている。
すなわち、符号54a、54aは、栓本体2の側壁部22の電池収納口22aに向けて略等径に開口し、上述した電池ホルダー53の電池ホルダー部53bの左右一対のホルダー片53a,53a部分を挿入方向(半径方向内側)にガイドし、挿入後に位置決め固定する左右一対のガイド壁であり、それぞれその基端部内側部分には電池ホルダー受け止め部54b,54b、電池受け止め部54c,54cが設けられている。電池ホルダー受け止め部54b,54bは、ガイド壁54b,54bのストレートなガイド面に直交する直角面、電池受け止め部54c,54cは、電池ホルダー受け止め部54b,54b内側端部の電池外形寸法に対応する円弧面に、それぞれ形成されている。
そして、同ガイド壁54b,54bのストレートなガイド面に直交する直角面よりなる電池ホルダー受け止め部54b,54bにより、上記電池ホルダー53の電池ホルダー部53b左右一対のホルダー片53a,53aの先端が、また、電池ホルダー受け止め部54b,54b内側端部の電池外形寸法に対応する円弧面よりなる電池受け止め部54c,54cにより、電池ホルダー53に保持された電池58の先端が、それぞれ位置決め固定された状態で受け止められる。
上記左右一対のガイド壁54a,54aの内、左側のガイド壁54aの外周面側には、全体として直角に折り曲げられ、側面側および背面側でガイド壁54aに固定された第1の電源端子(導電板)61が設けられている。この第1の電源端子61は、正極端子として構成されており、左側ガイド壁54aの側面部から後端部で内側(右側)に向けて直角に折り曲げられた背面側導電板部分は、上記電池ホルダー受け止め部54cを超えて内側(右側)に長く延設され、その先端部を所定幅V字形状に折り曲げた構成のものとなっている。そして、それによってV字形状に折り曲げた先端部分61aが、上記のように収納され、位置決め固定された電池58外周の正極面58aに所定の押圧力を有して接触(導通)するようになっている。これにより第1の電源端子61が正極の電源端子に構成される。そして、同第1の電源端子61の側面側部分61bがリード部となり、同部分に制御基板5への給電用の電源配線64aが接続される。符号61cは、その接続部を示しており、同部分61cから、後述する栓本体2内側の制御基板5部分に電源配線64aを介して給電される。また、符号61dは、第1の電源端子61の左側ガイド壁54aへの固定部(取り付け部)である。
他方、符号62は、第2の電源端子であり、この第2の電源端子62は、上記右側のガイド壁54aの後端部内側に位置して斜め前方に配置された電源端子取り付け部54dの上面側に基端側を固定して設けられている。符号62dが固定部(取り付け部)である。上記電源端子取り付け部54dの高さは、上述した左右一対のガイド壁54a,54aの高さと略同一である。第2の電源端子62は、電源端子取り付け部54dの上面側から下方に直角に折り曲げられ、下方側飲み口部材12の上壁面12c部分で、さらに直角に折り曲げられて、所定の長さ斜め前方に延設されている。そして、同延設部の先端側部分62aは、所定角V字形状に折り曲げられて、上述のように収納され、位置決め固定された電池58下面の負極面58bの略中央部に対応する形で所定の押圧力を有して接触(導通)するようになっている。これにより第2の電源端子62が負極の電源端子に構成される。そして、同第2の電源端子62の基端側62b部分がリード部となり、同部分にアース側の電源配線64bが接続される。符号62cは、その接続部を示しており、同部分から、後述する栓本体2内側の制御基板5部分にアース側の電源配線64bが接続される。
この第2の電源端子62の先端側部分62aは、上記のようにV字形状に折り曲げられ、電池58下面の負極面58bに所定の押圧力を有して接触(導通)するようになっているが、同部分62aは丁度電池58下面の負極面58bの中央に位置するように導電板の長さが設定されている。また、同先端側部分62aの下方側に位置する飲み口部材12の上壁面12cには、図5~図7、図17~図19に示すように、第2の電源端子62の左右幅に対応した所定の深さの溝54eが設けられており、電池58が収納された状態において、上記第2の電源端子62の先端側部分62aが、図19(a)(b)のように、上方への押圧弾性(バネ圧)を保ったまま、電池58が飲み口部材12の上壁面12c上に固定されるようにしている。
つまり、電池58が収納されていない図19(a)の状態では、上記逆V字形状の先端部62aのみが溝54eの上面より所定高さ上方に突出しており、所定の曲げ剛性を有する状態で支持されている。そこへ電池58が収納されると、図19(b)のように、溝54e内に押し下げられ、その反発弾性で逆V字形状の先端部62aが電池58の負極面58b中央部を下方から押圧する形で接触支持される。これにより、安定した接触状態で保持される。
また、上記電池収納部54の背後(飲み口部12aの前部)には、上記左右一対のガイド壁54a,54aと同様の高さの前方側に開放した一部円弧状の支持壁56aが設けられており、該支持壁56aを介して上部側に三角形状の上壁部材56bが設けられている。この上壁部材56bは、上記のように、左右一対のガイド壁54a、54aを介して挿入され、受け止め部54b,54b、54c,54cで受け止められて位置決め固定された電池58の上下方向の移動を規制するようになっている。これにより、電池58は、電池ホルダー53に保持された着脱可能な状態で、確実に、かつ安定した状態で電池収納部54に収納される(図16および図18の状態を参照)。
(栓本体2内側への制御基板5の設置構造)
上記栓本体2の内側、上壁部21裏面側の円形の空間は、上記容器11内の飲料の飲み口部12aからの流出量(ユーザーによる摂取量)を演算する流出量演算装置、飲料摂取時におけるユーザーの体温を検出する体温検出装置、およびインターネット通信装置等の電子回路部分を構成する円形の制御基板5の設置空間となっており、その最上層部(上壁部21の裏面直下)には、各種センサ、制御ユニット、送受信ユニットその他の電子部品が設けられた制御基板5が設置されている。この制御基板5にも上記栓本体2の上壁部21の飲み口部挿通孔20と同軸位置に略同径の飲み口部挿通孔50が形成されており、栓本体2内側への設置状態において同様に飲み口部12aが下方から上方に挿通されている。上記栓本体2の飲み口部挿通孔20部分にはシール部材12cを設けており、それによって制御基板5側に飲み口部12aで零れた飲料(水分)が侵入しないように配慮されている。
(制御基板5部分の構成について)
制御基板5部分には、たとえば図11~図13に示されるように、その表裏両面を利用して、蓋体3の開閉を検知する蓋開閉センサ(ホールセンサ)51a(表面側)、該蓋開閉センサ51aにより蓋体3が開かれたことが検知された状態において、上記飲み口部12aにユーザーの顔が近付いたことを検知する顔接近検知用の発光ダイオード51c及びフォトダイオード51d(表面側)、飲料容器外部の外気の温度を検出する気温センサ51e(表面側)、飲料容器外部の外気の湿度を検出する湿度センサ51f(表面側)、上記顔接近検知用の発光ダイオード51c及びフォトダイオード51dによって上記飲み口部12aにユーザーの顔が所定距離以上近付いたことが検知された状態において当該顔表面(特に頬部分)の温度(ユーザーの体温)を測定する体温センサ51g(表面側)、容器本体1が所定角以上傾けられ、上記透明な飲み口部12a内を飲料が通過したことを検知する飲料通過検知用の発光ダイオード52a(裏面側)及びフォトダイオード52b(裏面側)、ユーザーが容器本体1を傾け、上記飲み口部12aを介して飲料を摂取している時の容器本体1の傾斜角θを検出する傾斜角センサ(加速度センサ)51b(表面側)、インターネット接続機能を備えた送受信ユニット51j(裏面側)、該送受信ユニット51jに付設された送受信用アンテナ55(裏面側)、上記傾斜角センサ51bにより検出された容器本体1の傾斜角θからユーザーにより摂取された飲料の量を算出する飲料摂取量演算機能及び上記送受信ユニット51jを介したインターネット通信制御機能を備えた飲料容器制御ユニット51i(裏面側)などの各種センサ部品及び制御部品、通信部品が設けられている。
顔接近検知用の発光ダイオード51c及びフォトダイオード51dは、後述するように、赤外光を透過させる半透明の栓本体2の上壁部21の下面側にあって、同赤外光を透過させる半透明の上壁部21の上方から見たときに、飲み口部12aに対して図21のような位置関係になるように設けられている。また、ユーザーの顔が所定距離以上近付いたことを条件として同顔表面(頬部分)の温度を測定する体温センサ51g(そのサーモパイル部分)は、上記赤外光を透過させる半透明の栓本体2の上壁部21部分(上壁部21に設けられた体温センサ嵌挿孔21c内)にあって、同上壁部21の上方から見たときに、飲み口部12aに対して図21のような位置関係になるように設けられている。これら体温センサ51g、発光ダイオード51cおよびフォトダイオード51dそれぞれの飲み口部12aとの位置関係の詳細については、後述する。
上記蓋開閉センサ51aは、たとえばホールセンサよりなり、後述する蓋体3の対応する位置に設けられたマグネット15(図2参照)からの磁気(蓋体3の近接)に応じて当該蓋体3の開閉を検知するようになっている。
顔接近検知用の発光ダイオード51c及びフォトダイオード51dは、ユーザーが蓋体3を開放し、容器本体1の飲み口部12aに口を付けて飲もうとし始めた時の所定距離以内へのユーザーの顔の接近を検知するフォトセンサを構成しており、赤外光を透過させる半透明材よりなる栓本体2の上壁部21部分を通したユーザーの顔の接近により生じる発光ダイオード51cからの光(赤外光)の反射量の増加をフォトダイオード51dで検出することにより、ユーザーの顔の所定距離以内への接近を検知する。ユーザーの顔が所定距離以内に発光ダイオード51cおよびフォトダイオード51dに接近すると、発光ダイオード51cから半透明の上壁部21部分を通過し、ユーザーの顔の表面で反射して、再び半透明の上壁部21部分を介してフォトダイオード51dに入社する光の光量が基準値以上となり、フォトダイオード51dがONになる。このフォトダイオード51dのON出力は、例えば後述する飲料摂取量の演算が終了するまでホールドされる(図23のタイムチャートの(f),(g)を参照)。
この場合、上記発光ダイオード51c及びフォトダイオード51dは、制御基板5表面側における飲み口部挿通孔50の背後に位置して左右両側に所定の間隔をあけて設置されているが、半透明材よりなる栓本体2の上壁部21を通して上方に放射される発光ダイオード51cの光軸は、後述するように、接近したユーザーの顔の中心部を照射するように、所定角フォトダイオード51dの受光軸側に傾斜させた状態で設置されていて、飲み口部12aに口を付けようとしたユーザーの顔の中心に当たった赤外光が効果的にフォトダイオード51dに入射されるようになっており、その赤外光の入射量が所定レベル以上になった時に上記のようにフォトダイオード51dがONになる。このユーザーの顔の所定距離以内への接近は、蓋体3の開動作に続く飲料の摂取開始動作に伴うものであるが、制御条件的には、そのこと自体を検出するものではなく、後述する体温センサ51gの正確な測定値(正確な体温)を取り込むための判定基準としての意味を有している。
そのため、本実施の形態では、発光ダイオード51cに上記のように外乱光の影響のない赤外発光ダイオードを使用しているが、ユーザーの顔の中心での反射光ではなく、制御基板5上の発光ダイオード51cからの赤外光が直接フォトダイオード51dに入射しないような対策も必要である。そこで、例えば両者の間には所定の隔壁などのシール手段が設けられる。
この場合、上述した上記栓本体2の上壁部21に形成された体温センサ51g嵌挿用の体温センサ嵌挿孔21cの上壁部21面上の位置(上記制御基板5上に設けられた体温センサ51gの上壁部21面上の位置)、および上記制御基板5上に設けられた顔接近検知用の発光ダイオード51cの上壁部21面下の位置、上記制御基板5上に設けられた顔接近検知用のフォトダイオード51dの上壁部21面下の位置は、それぞれ投影状態において、例えば図20および図21に示すような位置関係で設置されている。
すなわち、まず体温センサ51g嵌挿用の体温センサ嵌挿孔21c(制御基板5上に設けられた体温センサ51g)は、上記栓本体2の上壁部21部分において、左右X-X方向の中間に位置し、前後Y-Y方向の中間よりも所定寸法手前側(ロックレバー固定部材6側)に寄せて設けられている飲み口部12aの位置(図7のオフセット寸法aを参照)を基準として、同飲み口部12aの左側所定近接位置(真横位置)に位置設定して設けられている。
同位置は、ユーザーが、上記飲み口部12aに口を付けて飲料を摂取する場合において、外部に露出している体の中で体温が最も高く、かつ全体がフラットで肉厚も厚く、体温も安定していると言われるユーザーの左頬部分が接近対応する位置であり、同頬部分の放射温度をサーモパイル部分で測定(吸収検知)することにより、体温を安定的、かつ正確に検知するように構成されている。なお、この体温センサ51g嵌挿用の体温センサ嵌挿孔21cの設置位置は、もちろん上記同様の飲み口部12aの右側所定近接位置(真横位置)であっても良く、全く同様に体温を安定的、かつ正確に検知することができる。
これら飲み口部12aの左右両側所定近接位置(真横位置)は、より具体的に言うと、飲み口部12aに口をつけたユーザーの左右口角部から所定の距離離れた左右頬部分に対応する位置であり、飲料摂取時における顎の動きに伴って動きやすい口角部側部を除いた位置ともなっている。
また、同体温センサ51gの測定データ取り込みの前提条件となる顔接近距離(上記40mm以内)検知用の顔接近検知用の発光ダイオード51cは、例えば図21に示すように、上記栓本体2の上壁部21の上方からに見た場合において、前後方向手前寄り(前側)の飲み口部12aと後端部のヒンジ部21aとの間であって、同上壁部21前後方向の中心ラインY-Yよりも所定寸法左側に偏倚した位置に設けられ、また上記発光ダイオード51cからの赤外光を受光してON作動する上記フォトダイオード51dは、例えば図21に示すように、上記栓本体2の上壁部21の上方から見た場合において、前後方向手前寄り(前側)の飲み口部12aと後端部のヒンジ部21aとの間であって、同上壁部21前後方向の中心ラインY-Yよりも所定寸法右側に偏倚した位置に設けられている。
これら発光ダイオード51cとフォトダイオード51dの設置位置は、例えば栓本体2の上壁部21部分を時計の文字盤に見立てた時に、発光ダイオード51cが10時の位置、フォトダイオード51dが2時の位置に対応する。また、ヒンジ部21aの中間が12時に対応する。そして、飲み口部12aは6時の位置の少し上(針軸より)に位置し、その左側真横(側方)に所定の間隔(寸法)を空けて体温センサ嵌挿孔21c(体温センサ51g)が設けられている。上記所定の間隔(寸法)は、飲み口部12aに口を付けたユーザーの口角部側方の飲料摂取時に動く筋肉部分を除き、頬の略中央部に至る間隔であり、体温センサ51gの赤外光吸収部が頬の略中央部領域に対応するようにしている。
そして、それら発光ダイオード51cおよびフォトダイオード51dの各光軸(発光軸および受光軸)は、ユーザーが飲み口部12aに口を付け、飲料容器本体1を所定角以上(飲料が流出する角度以上)傾けた時にユーザーの顔の中心部に対向し、同顔中心部の接近距離(40mm以内)を正確に検出することができるようになっている。この場合、同顔の中心部には、例えば比較的フラットな鼻の真下部分(人中部分)が選ばれており、左側にある発光ダイオード51cから半透明の上壁部21を通して右斜め上方に照射された赤外光が、同ユーザーの鼻の真下部分(人中部分)で右斜め下方に反射し、半透明の上壁部21を通して右側にあるフォトダイオード51dに効率良く入射するように設定されている。
したがって、それら2つの部分の構成(相互の光軸のレイアウト関係)の組み合わせにより、ユーザーの顔の鼻の真下部分(人中部分)が栓本体2の上壁部21の上面に40mm以内に近づくと、同状態において、同様の距離関係で上記ユーザーの左頬部分に対向する体温センサ(サーモパイル)51gが同左頬の略中央部分の温度(体温)を吸収し正確に測定するようになる。この作用は、右側の頬部分を検知対象とする場合にも全く同様である。
一方、気温センサ51eおよび湿度センサ51fは、それぞれ飲料容器外部の外気を栓本体2の上壁部21に設けた共通の外気導入孔21f(図11、図20、図21を参照)を介して導入し、その温度、湿度(暑さ、湿度)を検出する。ここで検出された外気の温度および湿度は、たとえば夏季におけるユーザーの熱中症の予防および対策の必要性を判断する診断データとして使用される。すでに述べたように、温度や湿度が高い蒸し暑い環境下では熱中症にかかりやすい。したがって、外気の温度および湿度が、そのような熱中症に罹りやすいレベルにあるかどうか、その環境条件を正確に測定するようになっている。この場合、上記栓本体2の上壁部21に設けた外気導入孔21f部分には、空気は透過させるが水は透過させない樹脂製の多孔質膜が設けられており、制御基板5側への防水シール機能が維持されている。
体温センサ51gは、たとえば複数の熱電対を組み合わせたサーモパイルよりなり、上記のようにユーザーの顔の表面の最も体温が高く、表面が広くてフラットな頬部分からの放射温度(吸収温度)に応じてユーザーの体温を正確に測定するようになっている。ここで測定された体温は、後述するように、ユーザーが熱中症に罹る危険性の判断、また熱中症の症状を診断する見守りシステム用の診断データとして利用される。すなわち、すでに述べたように、熱中症に罹ると脱水により体温が上昇するので、体温を正確に測定することが熱中症診断には重要となる。体温センサ51gは、そのためのものであり、上記のように、そのパッケージ部分が全体として上下に長い筒状に構成されており(図21の構成を参照)、その上端側内側にサーモパイルを収納している。そして、同筒状部分を上記栓本体2の上壁部21に形成された体温センサ嵌挿孔21c内に挿入し、その上端側の上記サーモパイル部分(開口部分)を上記栓本体2の上壁部21の上面側上方に臨ませている。そして、それによって、ユーザーの顔の頬部分からの赤外線を効率良く吸収し、その放射温度を体温に変換して、体温を測定するようになっている。人の皮膚の放射率は32℃で0.98であり、黒体の1に近い。したがって、頬からの赤外線は、有効にサーモパイルに吸収される。しかも、サーモパイルは、頬の広い領域からの赤外線を有効に吸収することができる。したがって、測定精度も高い。
この体温センサ51gにより測定された体温測定データは、上記のようにユーザーの顔が所定距離(例えば40mm)以内に飲み口部12a(栓本体2の上壁部21上面)に接近していること、すなわち顔接近検知用フォトダイオード51dがONになっていることを条件として後述する飲料容器制御ユニット51iに取り込まれ、上述のようにユーザーの体調(熱中症罹患の可能性および罹患症状)を診断する診断データとして利用される。
また、一方、発光ダイオード52aおよびフォトダイオード52bは、ユーザーにより飲料の摂取が開始されたか否かを検知するフォトセンサを構成している。この飲料摂取検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bは、上記所定レベルの光透過率を有する透明材よりなる飲み口部12aの飲料流出口部分(基部部分)を挟んで直径方向前後に配置されており、同所定レベルの光透過率を有する半透明材よりなる筒状の飲み口部12a内を飲料が通過すると、同飲料によって発光ダイオード52aからフォトダイオード52bに入射する光の量が所定量以下に遮られ、それによって受光量が低下することによりフォトダイオード52bの出力も所定レベル以下に低下する(図23のタイムチャートの(c)を参照)。
そこで、それにより飲料の通過(ユーザーによる飲料の摂取)を検知する。この場合、より具体的には、容器本体1が傾斜していないか、または所定傾斜角θよりも小さく、容器本体1の飲み口部12aから飲料が流出していない状態では、上記飲み口部(その基部)12aを挟んで対向する発光ダイオード52aとフォトダイオード52bよりなるフォトセンサをOFF状態に設定しておき、容器本体1が所定傾斜角θ以上に傾斜して、容器本体1の飲み口部12aから飲料が流出するようになるとON状態になるように設定する一方、容器本体1の傾斜動作(飲料の摂取)が所定の傾斜角状態で停止して、容器本体1の飲み口部12aから飲料が流出しなくなるとOFF状態になるように設定する。
このようにすると、発光ダイオード52aおよびフォトダイオード52bよりなるフォトセンサのONにより飲み口部12aにおける飲料の流出(摂取)開始を検知し、同フォトセンサのOFFで飲み口部12aにおける飲料の流出(摂取)の終了を応答性良く検知することができる。この場合、フォトセンサを構成する発光ダイオード52aとフォトダイオード52bの光軸は、飲み口部12aの液体流出路の中心軸(図7のO2-O2)に直交する状態で設けられることが好ましい。そのようにすると、フォトセンサによる飲料の流出および流出終了の検知精度、応答性が向上し、飲料摂取量の演算精度が向上する。この場合にも、発光ダイオード52aには、外乱光の影響のない赤外発光ダイオードを使用する。
傾斜角センサ51bには、たとえば3軸型加速度センサを採用し、ユーザーが容器本体1を傾け、上記飲み口部12aを介して飲料を摂取している時の容器本体1の傾斜角を応答性良く、高精度に検出するように構成している。
(飲料容器制御ユニット51iおよび飲料容器制御ユニット51iを中心とする制御回路の構成について)
飲料容器制御ユニット51iは、たとえば図22に示されるように、上記顔接近検知用フォトセンサの発光ダイオード51c及び飲料流出検知用フォトセンサの発光ダイオード52aを駆動制御するとともに、上記蓋開閉センサ51aからの蓋開閉検知信号、上記傾斜角センサ51bからの容器本体1の傾斜角検出データ、上記顔接近検知用フォトセンサのフォトダイオード51dからの顔接近検知信号、上記気温センサ51eからの気温測定データ、上記湿度センサ51fからの湿度測定データ、上記体温センサ51gからの体温測定データ、上記飲料温度センサ51hからの飲料温度測定データ(哺乳瓶機能を持たせた場合)、上記飲料流出検知用フォトセンサのフォトダイオード52bからの飲料流出検知信号、上記傾斜角センサ51bからの容器本体1の傾斜角検出データを入力して、ユーザーが飲料を摂取する時の外気温、湿度、体温の測定し、またユーザーが飲料を摂取した時の容器本体1の傾斜角の変化に基づいて容器11内の飲料の摂取量(流出量)を演算し、必要に応じて容器本体1内の飲料の残量変化を記憶する。また、上記気温センサ51eによる気温測定データ、湿度センサ51fによる湿度測定データ、体温センサ51gにより測定された体温測定データは、たとえば夏季における熱中症の予防、熱中症対策の必要性を診断するデータとして処理し、インターネットなどのコンピュータネットワーク、クラウドサービスを利用して保護者のスマートフォンやかかりつけの病院(診療機関)の主治医のPCなどに送信される。
すなわち、この実施の形態における飲料容器制御ユニット51iは、上記傾斜角センサ51bにより検出された容器本体1の傾斜角検出データを入力して、ユーザーが飲料を摂取した時の容器本体1の傾斜角に基づいて容器11内の飲料の流出量を演算し、容器本体1内の飲料の残量変化を管理するだけでなく、当該残量変化(飲料摂取量)をその時の外気の温度や湿度、ユーザーの体温に基づいて、飲料の摂取量が適正か否かを判定し、外気の温度や湿度、ユーザーの体温が高く、熱中症回避の観点から積極的に飲料を摂取することが必要であると判断される場合には、コンピュータネットワーク・クラウドを介して保護者のスマートフォンやかかりつけの病院(診療機関)の主治医のPCからユーザーのスマートフォンに積極的に飲料を摂取するように指示を出し、熱中症になることを回避する。コンピュータネットワーク・クラウドを介して保護者のスマートフォンやかかりつけの病院(診療機関)の主治医のPCに送信される、その時の外気温度や湿度、ユーザーの体温は、もちろんユーザー自身が確認することも可能であり、またコンピュータネットワーク・クラウド以外の既設の通信施設・通信サービスを利用して送信することも可能である。
上記コンピュータネットワーク・クラウドを用いた通信機能は、上記送受信ユニット51jを利用してなされる。この送受信ユニット51jには、スマートフォンのOS機能の一部がインストールされており、バージョンアップ可能な独自のアプリケーションソフトも所望にインストール可能となっている。上記熱中症の予防、回避機能などは、これらのアプリケーションソフトを用いてなされる。
上記送受信ユニット51jに付設されている送受信アンテナ55には、たとえば図13(制御基板5の裏面図)に示すように、最近の携帯電話に多く使用されている平面構造のアンテナが使用されており、同軸給電線55bを介して上記送受信ユニット51iに接続されている。この平面構造の送受信アンテナ55の一部にはビス孔55aが設けられており、このビス孔55aを介して下方から上方にビスネジを螺合することにより、上記制御基板5に対して固定されている(図13、図4~図6、図10の状態では、何れも同ビスネジは見えていない)。
ところで、上記蓋開閉センサ51a、傾斜角センサ51b、発光ダイオード51c、フォトダイオード51d、気温センサ51e、湿度センサ51f、体温センサ51g、飲料温度センサ51h、発光ダイオード52a、フォトダイオード52b、送受信ユニット51j、飲料容器制御ユニット51iなどは、全て電子部品(モジュール等を含めて)であり、上述した電池58を動作電源として作動する。したがって、これら各種の電子部品の全てに常時電源を供給し、電流を流し続けることは大きな電力を消費することになり、電池寿命の短命化を招く。
そこで、この実施の形態では、例えば図22に示されるように、蓋体3の開閉を常時ウオッチングしていなければならない蓋開閉センサ51aと同蓋開閉センサ51aの検知信号を入力して蓋体3の開閉状態を判定しなければならない飲料容器制御ユニット51iの蓋開閉判定部およびそれに対応して上記各種の電子部品に対する給電状態を制御する給電制御部を除いて、必要な動作が終われば、次に動作が必要となるまで機能しなくても良い電子部品については、それぞれその動作終了後、電池58からの電源の供給を停止することができるように、個別に電源開閉回路57a~57gを設けて構成されている。
なお、図22の構成では、飲料容器制御ユニット51iについて、特に個別の電源開閉回路を示していないが、飲料容器制御ユニット51iの場合には上記蓋開閉判定部および給電制御部を除いて、その他の制御部を内部的にOFFにするスリープ機能が設けられているので、個別に電源開閉回路を設けるまでもなく、同様の省エネ機能を実現することができる。
そして、上記電源開閉回路57a~57gの開閉制御およびスリープ機能の制御は、基本的に飲料容器制御ユニット51iの上記蓋開閉判定部と同蓋開閉判定部の判定結果に対応して機能する上記給電制御部によってなされる。同制御の内容については、後述の図32のフローチャートの説明において、詳細に述べる。
(制御基板5の設置構造について)
以上のような制御回路(図22参照)を構成している制御基板5は、たとえば図11に示す上記栓本体2の内側において、上記飲み口部材12の取り付け部12bの上面側に設けられた所定の高さの2本のボス部13,13(図11では他の1本が飲み口部12aに隠れて見えない)上に支持して固定される。
すなわち、この実施の形態の構成の場合、上記栓本体2の上壁部21には2つのビス孔21d,21e、制御基板5にも2つのビス孔51m,51nが設けられており、これら2組のビス孔21d,21e、51m,51nは、それぞれ上記飲み口部材12の取り付け部12bの上面側に設けられた所定の高さの2本のボス部13,13のビス孔と同軸に対応したものとなっている。したがって、制御基板5を栓本体2の内側上方に収納し、飲み口部材12の取り付け部12b側2本のボス部13,13上に同軸に支持した状態で、栓本体2の上壁部21側から所定の長さのビスを螺合することにより容易に固定することができる。これにより、図4~図6、図10のように設置されている。
(蓋体3の構成について)
次に、蓋体3は、上記栓本体2及び飲み口部材12を覆う前高形状の合成樹脂製の筒状カバー部材により構成されており、その天壁部31部分の蓋閉状態において上記飲み口部材12の飲み口部12a(その開口部)に当接する部分には、同飲み口部12a(その開口部)をシールするゴム製のパッキン4が、また、その前面側側壁部32の下端部32aは、上記栓本体2の側壁部22前面側に設けられたU状のロックレバー設置部形成用のU状壁23aに対応する逆U状のU状壁に形成されており、その下面側には上記栓本体2側ロックレバー7の係合片71aが係合されて蓋体3を閉状態にロックする係合片32bが設けられている。
前面側側壁部32の逆U字状のU状壁である下端部32aは、蓋体3を閉じた状態において、図1、図5、図9のように、栓本体2側ロックレバー設置部形成用のU状壁23aの上端部を形成するように連続し、上述したロックレバー固定部材6のスライド溝を形成している。
さらに側壁部32後端側の左右には、上記栓本体2側ヒンジホルダー(ヒンジ軸挿通部)21aの左右方向の幅に合わせた所定の間隔を開けて左右一対のヒンジブラケット32c,32cが設けられている(図2、図3参照)。この左右一対のヒンジブラケット32c,32cは、上記栓本体2のヒンジ軸ホルダー21aの両側に同軸状態で配置され、上記栓本体2のヒンジ軸ホルダー21aに保持されているヒンジ軸24を挿通することによって相互に連結され、蓋体3は上下方向に開閉可能な状態で栓本体2に取り付けられている。そして、同蓋体3は、図4および図5の蓋閉状態では、その先端側係合片32bを上記栓本体2側のロックレバー7の係合片71aに係合して固定されるとともに、シールパッキン4を上記飲み口部材12の飲み口部12aに当接してシールする。蓋体3のシールパッキン4は、上記飲み口部材12の飲み口部12a部分をシールする中高のパッキン片42部分と蓋体3の天壁部31のパッキン嵌合孔31aに嵌合固定されたパッキン本体41からなっている。
また、側壁部32aの後端側ヒンジブラケット32c寄り一側(図2の向かって右側)の下端部には、後述する蓋開閉センサ(ホールセンサ)51aに対応するマグネット15が設けられている。
(この実施の形態における飲料容器の構造の特徴)
以上の飲料容器は、大別すると、図7および図8に示す容器11および飲み口部材12を一体化した容器本体1部分と、図9及び図10に示す制御基板5及び蓋体3を一体化した栓本体2部分との相互に着脱可能な2つの独立した構造体により構成されている。そして、容器本体1部分に対して、制御基板5を備えた栓本体2部分を着脱可能に嵌合することにより、上述した飲料摂取量演算機能やユーザー見守り機能を有した飲料容器が構成される。
したがって、制御基板5を備えた栓本体2部分は、当該飲料容器の製品機能を決定する汎用的なユニット製品として、容量や形態の異なる各種の容器本体1に所望に組み合わせて使用することができる。そして、その制御機能は制御基板5に設けられた飲料容器制御ユニット51iに組み込むソフトウエア(プログラム等)にどのようなものを採用するかによって多様な用途に対応することができる。
つまり、同構成では、容器本体1に対して、栓本体2部分を独立した製品機能、単独で交換価値を有するプラットフォーム部材として構成することができる。そして、そのように構成した場合、容器本体1には種々の形態のもの、たとえば自社の機種の異なる飲料容器の容器本体、他社製の飲料容器の容器本体、市販のペットボトルなどにも利用することができるようになる。
また、制御基板5における各種センサや制御ユニット、送受信ユニットは、用途に応じて、各種アプリケーションソフトを組み合わせることもできる。そして、そのようにすれば、所望にバージョンアップすることができ、用途に応じた機能変更も容易となる。さらに、同制御基板5をインターネット回線を通じてクラウド結合するようにすれば、制御基板5を備えた栓本体2部分および飲料容器を情報発信機能を備えたスマート機器、IoTツールとして活用することができる。
(飲料容器制御ユニットによる飲料摂取量の演算方法について)
ところで、上記飲料容器制御ユニット51iには、その基本的な制御機能として、上述のようにユーザーが摂取した飲料の摂取量を演算する飲料摂取量演算機能が設けられている。以下、その演算方法について、図25の(a)~(e)を参照して詳細に説明する。
すなわち、以上の構成の飲料容器においてユーザーが飲料を摂取する場合、たとえば図25の(a)~(c)および(d)~(e)に示すような摂取形態(飲用形態が)採られる。図25の(a)~(c)および(d)~(e)では、上述した飲料容器(図4の断面構成)の容器本体1部分のみ(図7の構成)を示しており、しかも、その構成を簡略化し、容器本体1の容器11部分と飲み口部材12の飲み口部12aを一体化したシンプルなモデル構造としている。したがって、容器本体1の容器11および飲み口部12aの長さも図7の構成より短くし、また同飲み口部12a両側の飲料流出検知用の発光ダイオード52aおよびフォトダイオード52b(フォトセンサ)も省略して示している。
なお、容器本体1の容器11内に収容されている飲料(飲料水)にはWの符号を付して示している。
この図25の飲料摂取例の場合、容器本体1の容器11内には、当初図25(a)に示すように所定内容量の飲料Wが収容されており、非摂取状態では容器本体1は垂直状態に起立されており(机の上などに置かれた状態を想定)、その水平方向への傾斜角θはθ=0度である。
次に、この状態から図25(b)のように容器本体1が垂直状態から水平方向に所定角θ1(たとえばθ1=60)まで傾けられると、飲み口部12aの検知位置部分(飲料流出検知用の発光ダイオード52aおよびフォトダイオード52bよりなるフォトセンサの光軸部分)に飲料Wの上面が到達し、飲み口部12aから流出し始める。このように飲み口部12aの検知位置部分に飲料Wの上面が到達すると、飲料流出検知用の発光ダイオード52aおよびフォトダイオード52bよりなるフォトセンサがOFFからONになり、飲料Wの摂取開始(流出開始)が検知される。そして、それと同時に、同飲料摂取開始検知時点における容器本体1内の飲料Wの内容量V1が演算される。この内容量V1の演算データは、上記制御ユニット51iのRAMメモリ中に一時的に記憶される。
この状態から、さらにユーザーによる飲料の摂取が継続され、やがて図25(c)のように容器本体1の傾斜角θがθ1からθ2(θ2=75度)へと大きくなり、同傾斜角θ2(θ2=75度)となった時点で、ユーザーが飲料の摂取を停止したとすると、それ以後の容器本体1の傾斜角θの増大はなくなり、飲み口部12aの検知位置における飲料Wの流出がなくなって、飲料流出検知用の発光ダイオード52aおよびフォトダイオード52bよりなるフォトセンサがOFFになり、飲料摂取の終了を検知する。そして、それと同時に、同飲料摂取終了検知時点における容器11内の飲料の内容量V2が演算される。この内容量V2の演算データも、上記制御ユニット51gのRAMメモリ中に一時的に記憶される。
このようにして、飲料摂取開始時点における容器本体1内の飲料の内容量V1の演算および飲料摂取終了時点における容器本体1内の飲料の内容量V2の演算が終了すると、次に飲料摂取開始時点における容器本体1内の飲料の内容量V1と飲料摂取終了時点における容器本体1内の飲料の内容量V2との差V1-V2からユーザーによる飲料の摂取量ΔV(図25(d)参照)を演算する。
このような飲料摂取量演算方法によると、従来の静電容量式流量センサや容積式流量センサのような問題を招くことなく、飲料容器の容器本体1内から流出した飲料Wの流出量、すなわちユーザーによる飲料の摂取量ΔVを容易、かつ正確に演算することができる。
次に、以上のようにしてユーザーによる所定量ΔVの飲料摂取量の演算が終了すると、容器本体1は、たとえば図25(d)に示されるように、再び図25の(a)と同様の垂直な状態に戻される。そして、この図25(d)の状態では、上記図25(b)から図25の(c)への傾斜角θの増大θ1~θ2により飲み口部12aから所定量ΔVの飲料Wが流出して容器本体1内の飲料Wが減少した状態となっている。
したがって、この状態から、新たに飲料Wの摂取を開始する時は、たとえば図25(e)に示すように、通常の場合には図25(c)における容器本体1の傾斜角θ2よりも大きい傾斜角θ3(θ3=80度)まで傾けて飲み始めることになる。
ところが、その時の残量如何によっては、たとえば図25(d)の状態で飲料が継ぎ足されることがある。そして、その場合には、上記図25(c)における容器本体1の傾斜角θ2よりも小さい傾斜角θ3で飲み始めることができる。つまり、θ3は、常にθ2よりも大きいとは限らない。
しかし、この実施の形態の場合には、この場合にも、必ず同θ3で飲み始める時の飲料内容量V1を新たに演算し、飲み終わり時の飲料内容量V2との差ΔVを演算することによって摂取量を算出するようにしているので、たとえば前回の飲み終わり時の飲料内容量V2を記憶させておいて、次回の飲み始めの飲料内容量V1とし、その演算を省略する学習制御のような継ぎ足し量を考慮した残量補正を行う必要はなく、常に正確な飲料摂取量を算出することができる。
(容器本体の傾斜角に応じた容器本体内の飲料内容量の演算方法について)
ところで、以上のようにして飲料摂取量ΔVを演算するに際しては、まず飲料流出検知手段である発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bよりなるフォトセンサによる飲み口部12aにおける飲料Wの流出開始検知時における容器本体1の水平方向への傾斜角θ1に対応した飲料の内容量V1および同飲料流出検知手段である発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bよりなるフォトセンサによる飲み口部12aにおける飲料の流出終了検知時における容器本体1の傾斜角θ2に対応した飲料の内容量V2をそれぞれ算出することが前提となる。
これら飲料摂取開始時における容器本体1内の飲料内容量V1の演算および飲料摂取終了時における容器本体1内の飲料内容量V2の演算には、次に述べるように、(1)実際の測定データを用いる方法と、(2)予め計算により算出しておいた計算デ―タを用いる方法との2通りの方法がある。
(1)実際の測定データ(実験データ)を用いた飲料内容量の演算方法について
この方法では、飲料摂取開始時の容器本体1の傾斜角θに対応した飲料の内容量V1の演算、飲料摂取終了時の容器本体1の傾斜角θに対応した飲料の内容量V2の演算、それら両内容量の差V1-V2に基づく飲料摂取量ΔVの演算は、予め測定した図22に示す測定データ(実験データ)に基づいて行われる。図24の測定データ(グラフ)は、上述した容器本体1の水平方向への傾斜角度θとそれに対応した液体内容量(ボトル内残量ml)との関係を示している。
この容器本体1の水平方向への傾斜角θとそれに対応した液体内容量(残量V)との関係を示す測定データは、たとえば図25の(a)に示すように液体を満了状態まで入れた容器本体1を、同図25の(a)に示す垂直状態(θ=0度)から、たとえば図25の(b)~図25の(c)のようにして、水平方向に所定の角度θ1~θ2~θnと5度毎にθn(125度)まで傾斜させてゆき(図25では、θ2~θnは図示を省略)同5度毎に容器本体1内の液体の内容量Vを測定し、記録することによって作成されている。そして、図24の測定データの場合、測定データそのもののプロット値には若干の変動があるので、それらを平滑した近似データ(破線で示す近似曲線を参照)がデジタルデータに変換され、上記図22に示す飲料容器制御ユニット51iのメモリ部(ROM側)に読み出し専用の制御データとしてメモリされる。
液体流出量演算手段である飲料容器制御ユニット51iは、このメモリ部(ROM)にメモリされている液体内容量測定データを上記傾斜角センサ51bにより検出された容器本体1の傾斜角θnをパラメータとして読み出し、その時の液体の内容量(残量V)として算出する。
そして、ユーザーによる飲料摂取量ΔVの算出に際しては、上記液体流出検知手段である発光ダイオード51cおよびフォトダイオード51dよりなるフォトセンサによる飲み口部12aにおける液体の流出検知時(流出開始時)における容器本体1の傾斜角θ1(図25の(b)参照)に対応した液体の内容量V1から同フォトセンサによる飲み口部12aにおける液体の流出非検知時(流出終了時)における容器本体1の傾斜角θ2(図25の(c)参照)に対応した液体の内容量V2を減算し、その差(減少量)ΔVによりユーザーが実際に摂取した飲料の量を算出する。
このように実際の測定データに基づいて容器内容量(残量V)を算出するようにすると、容器本体1の傾斜角θの変化に応じて常に誤差のない正確な内容量Vを算出することができ、液体の流出検知時(流出開始時)における容器本体1の傾斜角θ1に対応した液体の内容量V1と液体の流出非検知時(流出終了時)における容器本体1の傾斜角θ2に対応した液体の内容量V2との差により算出される容器本体1内からの液体の流出量ΔV、すなわちユーザーの飲料摂取量の算出値も同様に正確なものとなる。
しかも、この実施の形態の場合、図24の測定データは、容器本体1の傾斜角θが0度の状態から125度の状態まで、5度間隔で正確に測定されている。したがって、ユーザーの飲料摂取量が少量であった場合にも、飲み始めと飲み終わり時の液体内容量を正確に算出することができ、実際の飲料摂取量も正確に算出される。
(2)計算データを用いた飲料内容量の演算方法について
次に、図26~図30は、この実施の形態における計算データを用いた飲料内容量の演算方法を示している。
図26~図30の演算方法では、より計算および説明を簡略化するために、上記図25の(a)~(e)に示されている容器本体1の飲み口部12aをも省略し、容器11部分のみの形態で示し、その上端側開口部に飲み口部12aの符号を付して示している。
このように表現した容器本体1の基本形態が図26であり、この容器本体1は、中心軸O-O、半径a、長さLの等径の筒状体となっており、その所定高さ位置まで飲料(飲料水)Wが収容されている。このような容器本体1では、当該容器本体1が図示のように所定角θ傾けられると、当該容器本体1は内部に収容されている飲料Wの上面に対しても同様の傾斜角θで傾斜することになる。そして、同飲料Wの上面位置が傾斜した容器本体1の飲み口部(開口部)12aの下端よりも高くなると、容器本体1内の飲料Wが外部に流出することになる。この状態は、上述した飲料流出検知用の発光ダイオード52aおよびフォトダイオード52bよりなるフォトセンサのONにより正確に検知される。
今たとえば、図28に示す容器本体1内に飲料Wが丁度全容量の半分残っている場合を基準として、それよりも多い図27に示す場合、それよりも少ない図29に示す場合の3つのパターンに分けて、その時の容器本体1の傾斜角θに応じた飲料内容量Vの算出方法について説明する。
(a)容器本体1内に図28の容量(全容量の半分の容量)を超える容量の飲料Wが残っている場合:図27を参照
この場合の内容量(残量)Vは、たとえば図26に示すように、tanθ>2a/Lであり、容器本体1の水平方向となす角度がθであることから、V=πa(L-a・cosθ/sinθ)で求められる。
(b)容器本体1内に全容量の半分の容量の飲料Wが残っている場合:図28を参照
この場合の内容量(残量)Vは、たとえば図28に示すように、tanθ=2a/Lであり、容器本体1の水平方向となす角度がθであることから、V=πaL/2で求められる。
(c)容器本体1内の内容量(残量)が図28に示す全容量の半分の時よりも少ない場合:図29および図30を参照
この場合の内容量(残量)Vは、図29および図30に示すように、0<tanθ<2a/Lであり、容器本体1の水平方向となす角度がθであることから、V=cotθ/3・(a-x1)2/3で求められる。但し、x1=(a-Ltanθ)・(2aLtanθ-Ltanθ)である。
容器本体1の形状に応じた容器本体1の水平方向への傾斜角θとそれに対応した飲料内容量Vとの関係を示すデータは、(1)のように飲料を満了状態まで入れた容器本体1を実際に水平方向に傾斜させてゆき、所定の傾斜角度毎に容器本体1内の内容量Vを測定し、記録することによって正確に得ることができるが、同様のデータは、上記(2)のように、容器本体1の形状と寸法に応じて所定の傾斜角毎に内容量を計算することによっても得ることができる。
すなわち、容器本体1の形状(円筒形状)、寸法(半径aおよび長さL)が分かっていれば、容器本体1の傾斜角θの変化に応じて変化する内容液の体積形状変化を上述の(a)~(c)のように幾何学的に計算し、また必要に応じてコンピュータシミュレーションすることによって、より正確に内容量データとして得ることができる。そして、この計算により得られた内容量データは、上記(1)の測定データの場合と同様に所定のデジタルデータに変換されて、制御ユニット51iの所定のメモリ部(ROM)にメモリされる。
飲料容器制御ユニット51iは、このメモリ部(ROM)にメモリされている内容量データを傾斜角センサ51bで検出された容器本体1の傾斜角θをパラメータとして読み出し、飲料の内容量として算出する。
このような計算データによっても、容器本体1の傾斜角θに応じた正確な内容量Vを算出することができ、飲料の流出開始時における容器本体1の傾斜角θ1に対応した飲料の内容量V1と飲料の流出終了時における容器本体1の傾斜角θ2に対応した飲料の内容量V2との差V1-V2により算出される容器本体1内からの飲料の流出量ΔVも正確なものとなる。
<飲み口部を通過する飲料の温度を検出する飲料温度検出部の構成について>
上記制御基板5における飲み口部12aの挿通孔50付近、すなわち上記飲み口部12aの外周に対応する部分には、上記飲み口部12a内を通過する飲料の温度を検出する飲料温度センサ51h(図5および図22参照)が設けられている。この飲料温度センサ51hは、上記飲み口部12a内を通過する飲料の温度を検出して、上記飲料制御ユニット51iのRAM中に記憶させる。
このように飲料温度センサ51hを備えている場合、たとえば上記構成の飲料容器を哺乳瓶などの用途にも使用することが可能となり、用途が広がる。
<飲料摂取量演算機能を備えた飲料容器を用いたユーザーの見守りシステムについて>
次に、図31は、上記飲料摂取量演算機能を備えた飲料容器(飲料容器制御ユニット51i)を用いて構成されたユーザー見守りシステムの概略的な構成を、また図32は、同ユーザー見守りシステムにおける飲料容器制御ユニット51iの制御フロー、さらに図23は、同制御フローに対応したタイムチャートをそれぞれ示している。
このユーザー見守りシステムは、たとえば図31に示すように、上記飲料容器のユーザーの一例として幼稚園や小学校の子供などを対象としており、それらのユーザーが上記構成の飲料容器10とスマートフォン20を携帯して登校しているケースを想定して構成されている。そして、上記飲料容器の飲料容器制御ユニット51iは、インターネットなどのコンピュータネットワークを経由してクラウドサービスプロバイダーからの所定のクラウドサービス、たとえば飲料容器制御ユニット51iの各種センサで測定された測定データや飲料摂取量演算データの保護者側スマートフォン20、病院側(診療機関側)主治医のPC等への送信サービス、保護者側スマートフォン20、病院側主治医のPC等からの対応する電子メール情報等の受信サービスを受けることができるようになっている。
このユーザー見守りシステムの場合、単に飲料の摂取量(容器本体1からの流出量)をウオッチングすることが目的なのではなく、その時の外部環境やユーザーの体調を考慮して飲料の摂取の有無、飲料を摂取してはいるが摂取量が十分であるか否かなどを、保護者や病院の主治医にユーザー情報として送信し、その時の外部環境や体調を考慮して、熱中症対策の見地から、ユーザーが飲料を摂取していない場合には、摂取を促し、また摂取はしているが摂取量が十分でない場合には、より多く摂取するように、スマートフォンの通話機能や電子メール機能、病院側PCの電子メール機能を利用して指示を与える見守り機能を実現していることが特徴である。
そして、この実施の形態の飲料容器の場合、上述のように各種センサや飲料容器制御ユニット51iの駆動電源として、小型で携帯に便利なボタン型の電池58を使用し、かつ各種センサ等電気部品は、そのデバイスそのものに可能な限り消費電力の小さなものを選んでいると共に、それぞれ必要な動作が終わると速やかに電源がOFFになるようにして、より消費電力(待機電力での消費)が小さくなるようにしている。また、制御の中心となる飲料容器制御ユニット51iについても、蓋体3の閉状態では、蓋開閉センサ51aの入力判定とそれに対応した給電制御機能を除いて、その他の機能を電源OFFの状態に維持するスリープ状態に制御するようになっている。そして、それによって、より消費電力(待機電力での消費)が小さくなるようにしている。さらに、それに加えてコンピュータネットワークの通信方式としても、可及的に消費電力の小さい通信方式LPWA(Low Power Wide Area)を採用し、より確実なセンシング、長時間有効な通信が可能となるように構成している。
次に、図32の制御フローを参照して、当該ユーザー見守りシステムにおける飲料容器制御ユニット51iによるユーザーの体温の測定、外部温湿度の測定、ユーザーによる飲料摂取量の演算、それら測定データ、演算データの送信制御動作、それら測定、演算、送信制御時における消費電力低減制御の内容について、それぞれ詳細に説明する。
すなわち、この制御フローでは、たとえば図32に示すように、先ず飲料容器制御ユニット51iのスリープ状態の解除、各種センサ等による体温、外部温湿度の測定、飲料容器制御ユニット51iによる飲料摂取量演算動作開始の条件として、上記蓋開閉センサ51aの蓋開閉検知信号(図23のタイムチャートの(a)を参照)を基に上記飲料容器の蓋体3が開かれたか否かを判定し(ステップS1)、蓋体3が開かれたYESの場合には、次にステップS3に進んで、上述した図22の飲料容器制御ユニット51iをスリープ状態からウエイクアップ状態に起動すると共に、電源開閉回路57a~57gを閉じて、飲料容器制御ユニット51iおよび蓋開閉センサ51a以外の各電気部品(各種センサ、ダイオード等)51b~51h、52a、52b、送受信ユニット51jをON状態に制御する(上記電池58からの電源を供給し、動作可能な状態とする)。他方、上記判定結果がNOの未だ蓋体3が開かれていない蓋閉状態の時は、ステップS2に移って、上述した飲料容器制御ユニット51iをスリープ状態に制御すると共に、図22の電源開閉回路57a~57gを開いて、上記飲料容器制御ユニット51iおよび蓋開閉センサ51a以外の各電気部品(各種センサ,ダイオード等)51b~51h、52a、52b、送受信ユニット51jを電源OFF状態に制御する(上記電池58からの電源の供給を遮断する)。そして、それによって上記電池58の電力の不必要な消耗を回避する。
この場合、上記蓋開閉センサ51aについては、常に蓋体3の開閉状態を監視しておく必要があることから、電源開閉回路を設けることなく直接電池58に接続しており、常時検知動作に必要な電源が供給されるようになっている。
一方、上記飲料容器制御ユニット51iについては、少なくとも上記蓋開閉センサ51aの蓋開閉検知信号を入力し、それに応じて上述のステップS3およびS2の制御(電源開閉回路57a~57gの開閉制御)を行う必要があることから、蓋開閉センサ51aの入力判定部とそれに対応した給電制御部には常時電源が供給されており、その他の制御を行う測定・演算制御部等の制御部は電源OFFのスリープ状態に維持されている。そして、それにより電源電池58の無駄な消費電力(待機電力)の低減が図られている。
すなわち、この実施の形態の場合、蓋体3が開かれるまで、ユーザーの体温や外部の気温、湿度等の測定、飲料摂取量の演算動作を開始せず、上記飲料容器制御ユニット51iの蓋開閉センサ51aの入力判定部とそれに対応した給電制御部以外の制御部および蓋開閉センサ51a以外の各電気部品(各種センサ、ダイオード等)51b~51h、52a、52b、送受信ユニット51jには電池58からの電源を供給せず、OFF状態に維持したままとし、所定の制御周期で蓋体3の開状態の検知動作のみを繰り返し、蓋体3の閉状態(待機状態)における電源電池58の消耗を可及的に低減する。
他方、蓋体3が開かれ(ステップS2でYES)、続くステップS3において、上記飲料容器制御ユニット51iの蓋開閉センサ51aの入力判定部とそれに対応した給電制御部以外の制御部および蓋開閉センサ51a以外の各電気部品(各種センサ、ダイオード等)51b~51h、52a、52b、送受信ユニット51jにも電源が供給された場合(電源開閉回路57a~57gON)には、続いてユーザーの体温や外部の気温、外部の湿度の測定、飲料摂取量の演算制御を開始する(ステップS4)。
ユーザーの体温、外気温、外気湿度の測定は、上述した飲料容器の栓本体2部分に設けられたサーモパイルよりなる体温センサ(放射温度センサ)51g、気温センサ51e、湿度センサ51fを用いてなされるが、この実施の形態の場合、まず上述した蓋開状態にある飲料容器の飲料容器本体1の飲み口部12a部分に対してユーザーが口を付け飲料の摂取を開始している状態であること、しかも同状態は、上記栓本体2の上壁部21において、飲み口部12aの左側近接部(真横の近接部)に設けられている体温センサ51gの放射温度入力部の入力軸中心が飲料摂取状態にあるユーザーの頬中心に対向する状態となって、ユーザーの体温をより正確に測定することができるように、放射温度入力部とユーザーの頬が最も近い距離となるユーザーの顔の接近の検知が前提となっている。
すなわち、この実施の形態では、ユーザーの体温、外気温、外気湿度の測定の前に、先ず上記栓本体2の顔検知用発光ダイオード51cおよびフォトダイオード51dよりなるフォトセンサにより、飲み口部12aに対する(栓本体2の上壁部21に対する)ユーザーの顔の右頬部分上部との距離が所定の基準距離(40mm)以内となったか否か(40mm以内まで接近したか否か)を判定する(ステップS5)。そして、その判定結果がYESの場合には、次にステップS6に進んで電源開閉回路57bを開放し、上記顔接近検知用発光ダイオード51cへの電源の供給を停止する(図23のタイムチャートの(f)を参照)。これにより顔接近検知用発光ダイオード51cによる待機電力の消費が回避され、電池58の寿命が長くなる。但し、フォトダイオード51dについては、その出力状態をホールドする(図23のタイムチャートの(g)を参照)。
そして、その後、まずステップS6で体温センサ51gによるユーザーの体温の測定、ステップS8で気温センサ51eによる外気温の測定、ステップS9で湿度センサ51fによる外気湿度の測定を行う。これらの測定動作は、それら各測定動作が終わる毎に、対応する測定センサ51g、51e、51fを順次電源OFF状態に制御する(ステップS8、S10、S12を参照)。つまり、一つの測定動作が終わる毎に対応する電源開閉回路57f、57d、57eを開放して、電池58からの電源の供給を停止する(図23のタイムチャートの(g)、(h)、(i)を参照)。これにより、各測定センサ51g、51e、51fによる待機電力の消費を回避して、電池の寿命を長くする。
上記ステップS6における体温の測定は、上述のようにサーモパイルよりなる体温センサ(放射温度センサ)51gを用いて、ユーザーの顔の左頬部分からの放射温度を同センサの放射温度入力部に入力させることによって行われるが、上記のように顔接近検知用の発光ダイオード51cおよびフォトダイオード51dよりなるフォトセンサにより、上記飲み口部12aに対する(栓本体2の上壁部21に対する)ユーザーの顔の中心部の距離が上記所定の基準距離(40mm)以内となった状態では、図21のように、上記栓本体2の上壁部21部分において上記飲み口部12aの左側近接部(真横の近接部)に設けられている体温センサ51gの放射温度入力部の入力軸中心が飲料摂取状態にあるユーザーの左頬中心に対向する状態となり、最も有効に頬部分からの放射温度が入力(検知)されるようになる。しかも、人の顔の頬部分は、顔全体の中で最も肉厚が熱く体温が高い部分である(このことは各種の文献によって明らかにされている)。また、面積も広く、凹凸の無い部分である。したがって、放射温度センサによる体温の検知精度が高い。
一方、顔検知用発光ダイオード51cおよびフォトダイオード51dよりなるフォトセンサは、栓本体2の上壁部21部分において、手前寄りの飲み口部12aとヒンジ軸ホールド部21a間にあって、前後方向の中心ラインよりも左側と右側に偏倚して設けられており(図21参照)、飲み口部12aに口を付け、飲料容器本体1を傾けた時に、まず発光ダイオード51cは同位置から顔中心部に向けて赤外光を投射する一方、フォトダイオード51dは、同顔中心部で反射する赤外光を受光し、その受光量の増大により同顔中心部分の接近距離(40mm以内)を応答性良く正確に検出するようになっている。したがって、これによっても上記体温の測定精度、応答性が有効に向上する。
そして、上記の如く、そのようにして体温の測定が修了すると、さらに飲料容器外部の気温の測定(ステップS9)、同外気の湿度の測定(ステップS11)が行われる。それにより、その時のユーザーの体調に加え、飲料容器を携行しているユーザーが、夏の温度が高く、湿度も高い厳しい環境下に居て熱中症が心配される状況にあるか否かの正確な判断データを得ることができる。
なお、この場合、顔検知用のフォトセンサを構成している発光ダイオード51cおよびフォトダイオード51dの内、フォトダイオード51dは、後述する飲料摂取量の演算が終了するまで、その出力状態をホールドさせておいて、飲料摂取量の演算が終了した時点で電源OFF状態に制御する(ステップS18:図23の(g)を参照)。
なお、以上の制御に関し、上記ステップS1の蓋開判定でYESと判定され、飲料容器の蓋体3が開かれたということは、それだけでユーザーが飲料容器内の飲料を摂取しようとしている状態であると判断することができる。したがって、単にユーザーが飲んだ飲料の摂取量(容器本体1からの流出量)を計量するだけの目的の場合には、それを条件として後述する飲料摂取量の演算動作(ステップS13~S17)を行えば足りる。 しかし、この実施の形態の場合、以上に述べたように単に飲料の摂取量(飲料容器からの飲料流出量)を計量することだけが目的なのではなく、その時の外部環境やユーザーの体調を考慮して飲料の摂取の有無、摂取量が十分であるか否かなどを、保護者や病院の主治医にユーザー情報として送信し、その時の外部環境や体調を考慮して、熱中症対策の見地から、ユーザーが飲料を摂取していない場合には、摂取を促し、また摂取はしているが摂取量が十分でない場合には、より多く摂取するように、スマートフォンの通話機能や電子メール機能、PCの電子メール機能を利用して指示を与える見守り機能を実現している。
したがって、蓋体3が開かれると、先ず飲料容器使用者であるユーザーの体温(体調)、その時の飲料容器の使用環境として、飲料容器外部の部屋や戸外の温度(気温)及び湿度を測定し、その時の飲料容器の使用環境が十分な飲料の摂取が必要である真夏の日中であるか否かを判断するようにしている。
他方、上記ステップS5のユーザーの顔が上記飲み口部12a(顔検知用フォトセンサがある栓本体2の上壁部21)に所定の距離以上接近したか否かの判定(ステップS5)において、NOと判定された未だ当該フォトセンサとユーザーの顔との距離が所定距離(40mm)よりも大きく離れていて、上記サーモパイルよりなる体温センサ51gで有効にユーザーの体温を測定することができないと判断される場合には、より飲み口部12aに口を近付けた上記の至近距離(40mm以内)になるまで、同様の顔接近検知動作を繰り返す。
次に、上記飲み口部12a(栓本体2の上壁部21のフォトセンサ部)への所定距離以内の顔接近検知、体温測定、外気温測定、湿度測定、顔検知用発光ダイオード51cOFF、体温センサ51gOFF、気温センサ51eOFF、湿度センサ51fOFFの各処理(ステップS5~S12)が終了すると、次にステップS13に進み、上記飲料流出検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bよりなるフォトセンサを用いて、上記飲み口部12a内を飲料が通過したか否かを判定する。その結果、上記飲み口部12a部分に実際に飲料が流出し、YESと判定されると、次にステップS14で、上記傾斜角センサ51bを用いて同飲料流出時における容器本体1の傾斜角を検出する。この飲料摂取開始時の容器本体1の傾斜角も上記飲料容器制御ユニット51iのRAMメモリに記憶される。他方、同判定でNOの未だ上記飲み口部12a部分に飲料が流出していない場合には、そのまま飲料流出の検知を繰り返す。
上記ステップS14での容器本体1の傾斜角の検出が終わると、続いて同飲み口部12a内を飲料が流出しなくなったか否か、すなわち飲料摂取の終了を判定する(ステップS15)。この飲料摂取の終了判定も、上記飲料流出検知用の発光ダイオード52a及びフォトダイオード52bよりなるフォトセンサを用いてなされる。
すなわち、飲料摂取が終了して、上記飲料流出検知用の発光ダイオード52aとフォトダイオード52b間の上記飲み口部12a部分の飲料がなくなると、上記飲料流出検知用の発光ダイオード52aとフォトダイオード52bからなるフォトセンサがONからOFFになる。この飲料摂取の終了判定結果(フォトセンサのONからOFFへの判定結果)がNOの未だ飲料の摂取が継続している場合には、同飲料の摂取が停止されてYESとなるまで当該判定動作を繰り返す。
他方、飲料の摂取が停止してYESと判定されると、次にステップS16に進んで、同YES判定時(飲料流出停止時)における上記容器本体1の傾斜角θを検出する。この飲料摂取終了時の容器本体1の傾斜角θも上記飲料容器制御ユニット51iのRAMに記憶される。
次に、上記飲料摂取終了時の容器本体1の傾斜角θの検出及びRAMへのメモリが終了すると、続いてステップS17に進み、上記飲料容器制御ユニット51iのRAMに記憶されている上記飲料摂取開始時の容器本体1の傾斜角θに対応した飲料の内容量と上記飲料摂取終了時の容器本体1の傾斜角θに対応した飲料の内容量との差に基づいて飲料の摂取量(実際に飲まれた飲料の量)を演算する。
この飲料摂取開始時の容器本体1の傾斜角θに対応した飲料の内容量の算出方法、飲料摂取終了時の容器本体1の傾斜角θに対応した飲料の内容量の算出方法、それら両内容量の差に基づく飲料摂取量の演算方法は、既に述べたとおりであり、この最終的な飲料摂取量の演算データも上記飲料容器制御ユニット51iのRAMに記憶される。
このようにして、飲料摂取量の演算が終了すると、ステップS18に進み、図2のサブ開閉回路57cを開放して上記顔検知用フォトセンサのフォトダイオード51dへの電源の供給を停止する(図23の(g)参照)。
その後、さらに上記蓋体3が閉められたか否かを判定し(ステップS19)、ユーザーにより実際に蓋体3が閉められたYESの場合には、上述した体温測定、外気温測定、外気湿度の測定、飲料摂取量の演算動作を全て終了する(ステップS20)。そして、次のステップS21に進んで、同体温センサ51gによる体温測定データ、気温センサ51eによる気温測定データ、湿度センサ51fによる湿度測定データ、飲料摂取量演算データを上記飲料容器制御ユニット51iにより制御される送受信ユニット51jを用いて、保護者、病院の主治医にコンピュータネットワーク・クラウドサービスを利用して送信する。送信された上記測定データおよび演算データは、その時の外部環境温度、湿度、それに対応したユーザーの体温からユーザーが熱中症になっているか、なる可能性などを診断し、上記コンピュータネットワーク・クラウドサービスを利用して上記保護者のスマートフォン、病院の主治医のPCなどからユーザーのスマートフォンに、所定量の飲料を定期的に飲むようにとか、もっと飲料を多く飲むように等の必要な指示がなされる。これにより、幼稚園、小学校の子供などの夏季における熱中症を回避することができるようになる。
そして、これら体温測定データ、気温測定データ、湿度測定データ、飲料摂取量演算データの送信が終了すると、最後に上述した図22の電源開閉回路57a~57gを開いて、上記飲料容器制御ユニット51iの蓋開閉センサ51aの入力判定部およびそれに対応した給電制御部を除く各種制御部、蓋開閉センサ51a以外の各電気部品(各種センサ等)51b~51h、52a、52b、送受信ユニット51jをそれぞれOFF状態に制御する(電池58からの電源の供給を停止)。そして、それによって上記電池58の不必要な消耗を回避するようにした上で、上述したステップS1にリターンして、新たな飲料容器の制御を開始する。この新たな飲料容器制御の内容についても上記と同様である。
他方、上記ステップS19の蓋体3の閉判定でNOの場合(未だ蓋体3の閉操作がなされていない場合)には、ステップS23に移って、上記ステップS1で蓋体3の開判定がなされてから一定の時間、たとえば60秒以上(60秒は一例)が経過しているか否かを判定する。この蓋体3が開かれてから60秒の時間は、上記顔接近検知用の発光ダイオード51cおよびフォトダイオード51dの顔接近検知判定動作(ステップS5)、体温センサ51gによる体温の測定動作(ステップS7)、気温センサ51eによる気温の測定動作(ステップS9)、湿度センサ51fによる湿度の測定動作(ステップS11)、傾斜角センサ51bを用いた飲料摂取量の演算動作(ステップS13~S17)の各々に必要な所要時間を考慮し、それらの各動作が終了して、なお所定時間以上蓋体3が開かれている蓋体3の閉め忘れに対応した判定時間となっている(図23の(a)参照)。
すなわち、この実施の形態の場合、蓋開閉センサ51aが蓋体3の開放を検知していない蓋体3の閉状態では、上述のように、図22の飲料容器制御ユニット51iをスリープ状態(蓋開閉センサ51aの蓋開放検知信号の入力をウオッチングし、入力があればウエイクアップするウオッチング機能のみを作動させた状態)に制御すると共に、電源開閉回路57a~57gを開放して、蓋開閉センサ51a以外の各電子部品(各種センサ、ダイオード等)51b~51h、52a、52b、送受信ユニット51jを電源OFFの状態(電池58からの電源が供給されない状態)に制御するようになっている。そして、それによって上記電池58の不必要な消耗を回避し、可能な限り長寿命化を図るようにしている。
一方、この状態において、ユーザーが蓋体3を開き、飲料を摂取しようとすると、上記蓋開閉センサ51aが蓋体3の開放を検知する(ステップS1でYES)。そして、上記飲料容器制御ユニット51iがウエイクアップし、それに対応して図22の電源開閉回路57a~57gを閉じ、当該飲料容器制御ユニット51iおよび蓋開閉センサ51a以外の各電子部品(各種センサ等)51b~51h、52a、52b、送受信ユニット51jをON状態(電池58から電源が供給される状態)に制御する(ステップS3)。そして、顔接近検知用フォトセンサ(顔接近検知用発光ダイオード51c・顔接近検知用フォトダイオード51d)を用いて顔の接近を検知し、それを条件として、体温センサ51gを用いて体温を測定(ステップS7)、気温センサ51eを用いて気温を測定(ステップS9)、湿度センサ51fを用いて湿度を測定(ステップS11)、傾斜角センサ51aを用いて飲料摂取量を演算(ステップS13~S17)し、それら各データを送受信ユニット51jを用いて、保護者、病院の主治医にコンピュータネットワーク・クラウドサービスを利用して送信する(ステップS21)。
これらの測定時間のうち、上記顔接近検知用発光ダイオード51cは、上述のように、ユーザーの頬が例えば40mm程度に接近した時点で、上記顔接近検知用フォトダイオード51dをON作動させ、ユーザーの顔の頬部分の体温測定基準距離への接近を検知する(ステップS5でYES:図23の(f),(g)参照)。そして、傾斜角センサ51bを用いた飲料摂取量の演算に必要な時間だけ、その出力状態をホールドさせ、飲料の流出が停止し、飲料摂取量の演算が修了した時点でOFFにする(ステップS15~S18:図23の(c),(g)参照)。また体温センサ51g、気温センサ51e、湿度センサ51fは、それぞれ例えば10ミリ秒で4回程度の測定時間で足り、同測定時間が経過すれば顔接近検知用発光ダイオード51cと共にOFFにされる(ステップSS6、S8、S10、S12:図23の(f),(h),(i),(j)参照)。また、飲料摂取量の演算は、飲料流出検知用の発光ダイオード52aおよびフォトダイオード52bよりなるフォトセンサにより飲料の流出が検知された後、傾斜角センサ51bの所定角以上の傾斜角の変化の検出があり、飲料流出の停止が検知された時点で修了する(ステップS13~S17:図23の(c),(d),(e)参照)。
そして、これらの各検知、測定時間および各測定データの通信時間(ステップS22:図23の(k)を参照)の全てを合わせても40秒前後で足り、10数秒もあれば測定、通信を行うことができる。また、ユーザーの飲料摂取時間(個人差)を考慮しても、通常は蓋体3を開けてから60秒あれば、飲料の摂取を完了して蓋体3を閉じることになる。
したがって、蓋体3を開けてから60秒以上の長時間に亘って蓋体3が閉じられない場合は、蓋体3の閉め忘れが想定される。そして、そのような場合にまで、蓋体3の開閉を基準として蓋体3が閉められるまで、測定データ、演算データの送信を待ち、各電気部品(各種センサ等)51b~51h、52a、52b、送受信ユニット51jをON状態に維持しておいたのでは、電池58の電源の消耗が激しく、電池寿命の短命化につながる。
そこで、この実施の形態では、基本的には、蓋体3の閉操作に対応して、各種測定動作を終了し(ステップS19~S20)、測定デ―タ・演算データの送信を行い(ステップS21)、飲料容器制御ユニット51iを蓋開閉検知機能のみのスリープッ状態、各電気部品(各種センサ、ダイオード等)51b~51h、52a、52b、送受信ユニット51jを電源OFF(電源回路57a~57g開)の状態にして制御を終える(ステップS22)ようにしている。しかし、上記のように、少なくとも60秒以上の長時間に亘って蓋体3が閉じられない、蓋体3の閉め忘れの可能性が高い時は、実際に蓋体3が閉じられたか否かに関係なく、蓋体3が開かれてから60秒以上経過した時点(ステップS19の判定でNO、かつステップS23の判定でYESの時点)で、各種測定・演算動作を終了し(ステップS20)、各種測定デ―タ・演算データの送信を行い(ステップS21)、飲料容器制御ユニット51iを蓋開閉検知機能のみのスリープッ状態、各電気部品(各種センサ、ダイオード等)51b~51h、52a、52b、送受信ユニット51jを電源OFF(電源回路57a~57g開)の状態にして当該周期の制御を終え、次の周期のステップS1にリターンする(ステップS22)。
この結果、蓋体3の閉め忘れによる無駄な待機制御、無駄な電池電源の消費が回避され、確実に電池58の寿命が長くなる。
他方、上記ステップS23の60秒以上の経過判定において、蓋体3の開状態が未だ規定待機時間60秒を経過していないNOの場合には、上述のステップS19に戻って、実際に蓋体3が閉められたか否かの判定を継続する。すなわち、蓋体3が閉められるまで、蓋体3の開から閉への移行を検知し続ける。そして、蓋体3が閉められ、ステップS19でYESになると、上述のステップS20~S22の制御が実行されて、当該周期の制御を終え、次の周期のステップS1にリターンする。
以上のような構成の場合、容器本体1の蓋体3が閉じられている未使用状態(飲料を摂取していない状態)では、飲料容器制御ユニット51iの蓋開閉センサ51aの入力判定部とそれに対応した給電制御部以外の制御部、蓋開閉センサ51aを除く各電気部品(各種センサ、ダイオード等)51b~51h、52a、52b、送受信ユニット51jが電源OFF状態(電源回路57a~57g開の非供給状態)に制御され、スタンバイ状態における電池電源の無駄な消費が確実に回避される。そのため、電池58の寿命が長くなり、電池交換の頻度を少なくすることができる。
また、ユーザーが容器本体1の蓋体3を閉め忘れて、飲料容器を置いたままにしているような場合にも、蓋体3が開かれてから一定の時間(一例として60秒)が経過すると、蓋体3の閉状態の場合と同様に飲料容器制御ユニット51iの蓋開閉センサ51aの入力判定部とそれに対応した給電制御部以外の制御部、各種の電気部品(各種センサ、ダイオード等)51b~51h、52a、52b、送受信ユニット51jが電源OFF状態(電源回路57a~57g開の非供給状態)にされ、電池電源の無駄な消費が確実に回避されるので、その点でもより電池の寿命が長くなる。
(その他の実施の形態について)
以上の実施の形態では、飲み口部材12および栓本体2共に半透明の合成樹脂材で形成し、赤それぞれ所定レベルでの赤外光の透過が可能な構成にした。このような構成の場合、それぞれの全体を同一に成型することができ、例えば発光ダイオード52a、52bに対応した飲み口部12a部分だけとか、発光ダイオード51c、51dの光軸通路に対応した栓本体2の上壁部21の一部分だけとか、必要な一部の部分だけを透明体又は半透明体に形成する場合に比べて、製造が容易で、低コストで済む。また、栓本体2の上壁部21部分に発光用、受光用の開孔部を形成しなくても良いので、シール手段も要らない。
しかし、これらの構成は、決して本願発明に必須の構成ではなく、単なる製造コスト上の問題にすぎないので、これらの構成に限定されるものではなく、例えば飲み口部材12および栓本体2の全体を不透明な通常の合成樹脂材で形成し、必要な部分のみを透明体又は半透明体により構成することも可能である。
また、以上の実施の形態で述べた所定レベルの光の透過率を有する半透明体は、視覚的な意味での半透明体と言うよりは、赤外光は有効に通すが視覚的には非透明体であるものを当然に含んでいる。
1は容器本体、2は栓本体、3は蓋体、5は制御基板、10は飲料容器、11は容器、12は飲み口部材、12aは飲み口部、51aは蓋開閉センサ、51bは傾斜角センサ、51cは顔接近検知用発光ダイオード、51dは顔接近検知用フォトダイオード、51eは気温センサ、51fは湿度センサ、51gは体温センサ、51iは飲料容器制御ユニット、52aは飲料流出検知用発光ダイオード、52bは飲料流出検知用フォトダイオード、51jは送受信ユニットである。

Claims (4)

  1. 飲料を収容する容器本体と、
    上記容器本体に着脱可能に取り付けられる栓本体と、
    上記栓本体に設けられた飲み口部と、
    上記栓本体の後端に連結されて開閉可能に設けられた蓋体と、
    上記飲み口部付近に設けられ、ユーザーの顔表面の温度を検出可能な非接触式の体温センサと、
    上記体温センサに対する上記ユーザーの顔の接近を検知可能な顔接近検知手段と、が備えられ、
    上記顔接近検知手段により上記ユーザーの顔が上記体温センサに対して所定の距離以内に接近したことが検出された際に、上記体温センサにより上記ユーザーの顔表面の温度を検知すると共に、
    上記体温センサが、上記ユーザーの顔が上記体温センサに対して上記所定の距離以内に接近した状態において、上記ユーザーの顔の頬部分に対応し、同頬部分の温度を検出する位置に設けられている飲料容器。
  2. 上記顔接近検知手段が、上記飲み口部よりも後端側に設けられ、上記ユーザーの顔の中心部の接近を検知するように構成されている請求項1に記載の飲料容器。
  3. 上記体温センサが、上記飲み口部から所定の距離離れた上記飲み口部の横側に位置して設けられている請求項1または2に記載の飲料容器。
  4. 飲み口部と、
    開閉可能に設けられた蓋体と、
    上記飲み口部付近に設けられ、ユーザーの顔表面の温度を検出可能な非接触式の体温センサと、
    上記体温センサに対する上記ユーザーの顔の接近を検出可能な顔接近検知手段と、が備えられ、
    上記顔接近検手段により上記ユーザーの顔が上記体温センサに対して所定の距離以内に接近したことが検知された際に、上記体温センサにより上記ユーザーの顔表面の温度を検知すると共に、
    上記体温センサが、上記ユーザーの顔が上記体温センサに対して上記所定の距離以内に接近した状態において、上記ユーザーの顔の頬部分に対応し、同頬部分の温度を検出する位置に設けられている飲料容器の栓本体。
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