JP7339152B2 - 損益分析装置、及び損益分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、損益分析装置、及び損益分析方法に関する。
企業向けの基幹業務システム(Enterprise Resource Planning:ERP)では、会計データから、企業又は事業別の損益を算出している。会計データは、販売、購買、製造等の企業活動における過去の実績を集計したものである。
会計処理に関して、特許文献1には、昨今のマトリクス組織の導入による指揮命令系統の多次元化や、生産ラインにおける多能工化の進展などにより、個々人が、あらかじめ登録されている業務と異なる業務に従事していることが多くなっているため、あらかじめ登録されている業務と異なる業務に従事しているために生じる原価計算の歪みが避けられない旨が指摘されている。
そこで、センサを従業員に装着して得られる人間情報と、ERPの情報とを融合して数値処理することにより、原価計算の基礎となる労務費の正確な捕捉を可能とする、損益管理制度を実現するためのITシステムが開示されている。
他方、特許文献2には、実際のプロジェクトと異なる任意のプロジェクトグループを仮想プロジェクトとして予算を作成し、実際のプロジェクトの売上や原価に基づいて仮想プロジェクトの実績を集計することで、種々のプロジェクトの収支合計や予実合計などを比較検討することが可能なプロジェクト会計管理装置、プロジェクト会計管理方法、及び、プロジェクト会計管理プログラムが示されている。
特開2013-114503号公報 特開2017-91508号公報
しかし、個々人が、あらかじめ登録されている業務とは異なる業務に従事するような事象は、特許文献1に示されているような、自身が所属する組織以外の組織の業務に従事する場合だけで無く、複数のプロジェクトに従事する場合にも発生する。
例えば、プロジェクトの負荷の状況に応じて作業者が同一部門内の別のプロジェクトに異動したり、他のプロジェクトと兼務したりすることは少なくない。このような場合には、特許文献1の技術では対応が困難である。
この点、特許文献2では、単一のプロジェクトのみで把握することの限界とその対策としての仮想プロジェクトのグルーピングの手法が示され、組織とプロジェクトとの間の関係を一定程度意識していると思われる。
一方、企業等の経営においては、将来の損益の見通しに応じた様々な経営判断が行われるため、経営者は、できるだけ正確な損益の見通しを得る必要がある。
事業経営単位における損益計算の単位期間と、各プロジェクトの実行期間との間で、そ
の始期又は終期が一致しないことは少なくないが、経営者が損益を正確に分析及び予測するためには、双方を適切に対応づけて把握する必要がある。
しかしながら、特許文献2では収支の集計については言及されているが、そのような収益の予測に関しては特に言及されていない。
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、組織における将来の損益の状態を、業務活動を行うグループに対応づけて的確に予測することが可能な、損益分析装置、及び損益分析方法を提供することにある。
上記課題を解決するための、本発明の一つは、期間内に業務グループが行った業務活動に基づく損益であって、前記業務グループが属する組織における前記期間の終了時の損益に関する、前記期間内の各時点での予測値と、前記期間の終了時における、前記組織の損益の確定値との間の関係を表す損益予測モデルを作成する損益予測モデル作成処理と、所定期間内に行われる業務活動に基づく損益であって、前記業務活動を行うグループが属する組織の前記所定期間の終了時の損益に関する、前記所定期間内の所定時点での予測値の入力を、ユーザから受け付け、入力された予測値を前記損益予測モデルに入力することにより、前記グループが属する組織における、前記所定期間の終了時の損益を予測する損益予測処理と、を実行する演算装置を備える、損益分析装置、とする。
また、本発明の他の一つは、情報処理装置が、期間内に業務グループが行った業務活動に基づく損益であって、前記業務グループが属する組織における前記期間の終了時の損益に関する、前記期間内の各時点での予測値と、前記期間の終了時における、前記組織の損益の確定値との間の関係を表す損益予測モデルを作成する損益予測モデル作成処理と、所定期間内に行われる業務活動に基づく損益であって、前記業務活動を行うグループが属する組織の前記所定期間の終了時の損益に関する、前記所定期間内の所定時点での予測値の入力を、ユーザから受け付け、入力された予測値を前記損益予測モデルに入力することにより、前記グループが属する組織における、前記所定期間の終了時の損益を予測する損益予測処理と、を実行する、損益分析方法、とする。
本発明によれば、組織における将来の損益の状態を、業務活動を行うグループに対応づけて的確に予測することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
第1実施例に係る損益分析装置の概要を説明する図である。 業務活動情報の一例を説明する図である(前半)。 業務活動情報の一例を説明する図である(後半)。 案件情報の一例を示す図である。 案件情報の一例を示す図である。 対応付け情報の一例を示す図である。 指標別期末予測集計テーブルの一例を示す図である。 全指標期末予測集計テーブルの一例を示す図である。 損益分析装置が備えるハードウェアの一例を説明する図である。 第1実施例に係る損益分析装置が行う損益分析処理を説明するフロー図である。 損益予測モデルの一例を示す図である。 影響度表示画面の一例を示す図である。 分析対象情報を含む案件情報の一例を説明する図である。 損益予測モデルを用いた期末の損益の予測方法の一例を説明する図である。 損益予測モデルの他の例を示す図である。 損益分析処理における期末の損益の予測の処理の一例を説明する図である。 第2実施例に係る損益分析処理のうち、最適な損益予測モデルの作成処理の一例を説明するフロー図である。 第3実施例に係る損益予測モデルの一例を示す図である。 比較画面の一例を示す図である。 環境変化点整理モデルの一例を示す図である。 第4実施例における、損益分析処理における期末の損益の予測処理の一例を説明するフロー図である。 予測結果画面の一例を示す図である。 原因推定支援情報画面の一例を示す図である。
以下、各実施例について、図面を参照して説明する。以下に説明する実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施例の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
また、以下の説明では、例えば「AAA表」の表現にて各情報の内容を説明する場合があるが、各情報は、どのようなデータ構造で表現されてもよい(例えば、情報はデータベース形式である必要はない)。
<第1実施例>
[装置概要]
図1は、第1実施例に係る損益分析装置10の概要を説明する図である。損益分析装置10は、営利組織(企業等)あるいは非営利組織(以下「団体」と総称する)における、業務活動に基づく損益に関する分析を行う。この団体は、複数の構成組織(例えば、事業グループ、部門、部署等の事業経営単位。以下、部門と総称する。)からなると共に、様々な業務活動に係る案件を、1又は複数の組織にまたがる人員から構成される業務グループ(プロジェクト、チーム(機能活動単位)。以下、プロジェクトと総称する。)により処理している。すなわち、本団体が行う業務活動では、業務活動に関わる組織の数とプロジェクトの数とが1対1に対応しているとは限らない。また、プロジェクトに関与する部門は、その業務の内容(案件)に応じて異なる。
また、この団体は、所定の期間(本実施形態では、4月から翌年3月までの年度)を単位期間として予め定めており、業務活動に基づく損益は、各期間の期末ごとに確定する。すなわち、本団体は、期末が到来するごとに、損益の確定値をその期末の実績値として算出している。
ここで、本実施例の損益分析装置10は、本団体の各組織における、各期の各時点(各月)で予測されてきた期末の損益の情報の入力をユーザから受け付ける。また、損益分析装置10は、過去の各期末の損益の確定値の入力をユーザから受け付けている。損益分析装置10は、これらの情報に基づき、将来の損益の予測を行う損益予測モデル1000を作成する。
そして、損益分析装置10は、作成した損益予測モデル1000に基づき損益の分析を行うと共に、損益予測モデル1000を用いて現在進行中又は将来行う予定の業務活動に
係る損益の予測を行う。
以下、損益分析装置10の機能の詳細を説明する。
[機能]
図1に示すように、損益分析装置10は、業務活動情報500、案件情報250、対応付け情報270、及び分析関連情報122の各情報を記憶している。
業務活動情報500は、各業務活動(案件)の履歴の情報である。業務活動情報500は、グループごと(プロジェクトごと)、又は組織ごと(部門ごと)の情報になっている。業務活動情報500は、各案件の財務情報(例えば、売上、原価、又は費用等の情報)、及び各案件の非財務情報(例えば、金額では表現されない作業時間又は工数等の情報)を含む。これらの情報は、所定の処理により、損益を表す所定の指標(以下、損益指標という)に変換される。
案件情報250は、業務活動情報500に基づき算出される、各案件における、各月に予測された損益の予測の情報である。
対応付け情報270は、業務活動を行ったグループ(プロジェクト)と、そのグループが属する組織(部門)の情報と対応づけた情報である。また、プロジェクトを構成する部分的な活動(作業、工程、特定機能の開発など)を示す識別子(作業番号、工程番号、機能番号等)とプロジェクトを対応づけた情報であってもよい。本実施形態では、対応付け情報270は、プロジェクト及び部門の間の対応関係あるいはプロジェクトを構成する部分的な活動や下位活動とプロジェクトの識別子との間の対応関係を記憶した情報である。
分析関連情報122は、損益の分析に必要な各種データ、例えば、分析に利用可能な外部ツール(演算、集計等の前処理を実施するツール)のデータを含む。
ここで、業務活動情報500、案件情報250、及び対応付け情報270のそれぞれについて説明する。
(業務活動情報)
図2、3は、業務活動情報500の一例を説明する図である(紙面の都合上2図に分けている)。業務活動情報500は、業務の識別子が設定される識別子501、識別子501に係る業務が行われた時期(年度など)が設定される年度502、識別子501に係る業務を行うプロジェクトの情報が設定される作業番号503、作業番号503に係るプロジェクトに関与する部門の情報が設定される利益センタ504、識別子501に係る業務で取り扱われる製品の情報が設定される製品種目505、製品種目505に係る製品の名称が設定される製品種目名506、識別子501に係る業務に関して、年度502に係る期間の各時点(各月)における作業時間が設定される作業時間507、年度502に係る期間の下期における作業時間の合計が設定される下期累計508、識別子501に係る業務の分類の情報が設定される分類509、及び、識別子501に係る業務の現在の進捗状況の情報が設定される状態510の各項目を有する、1以上のレコードで構成される。なお、作業時間507には、各時点で損益が確定している場合にはその確定値が格納され、各時点で損益が確定していない場合にはその予測値が格納される。作業時間507及び下期累計508が示す作業時間に基づき、損益指標が算出される。
(案件情報)
図4、5はそれぞれ、案件情報250の例を示す図である。
これらの図に示すように、案件情報250は、部門を特定する情報が設定される利益センタ251、利益センタ251に係る部門の損益たる売上高の予測値が設定される売上高252、利益センタ251に係る部門の損益たる売上原価(原価のうち売上に対応する部分)の予測値が設定される売上原価253、利益センタ251に係る部門で行われる業務の分類情報が設定される分類254、売上高252及び売上原価253に係る予測値がいつの時点で算出されたか(算出時点)を示す情報が設定される観測実施時点255、及び、売上高252及び売上原価253に係る予測値はいつの時点を予測し算出された予測値であるか(予測対象時点)を示す情報が設定される予測対象時点256、の各項目を有する1以上のレコードで構成される。なお、「観測実施時点」は「予測実施時点」とも呼称する。また、単に「予測時」「予測時点」「予測時期」という表現は「予測対象時点」ではなく「観測実施時点」を意味する。
例えば、図4において、部門06Rにおける売上の予測値は4,237,500円、売上原価の予測値は3,645,788円であり、これらはその前の期の時点で予測されたものであり(「計画立
案」)、また、これらは期末における損益の予測値である(「期末」)。
また、図5において、部門06Rにおける売上の予測値は9,135,500円、売上原価の予測値は6,707,284円であり、これらはその期の11月末の時点で算出されたものであり(「1
1月末」)、また、これらは期末の損益の予測値である(「期末」)。
なお、観測実施時点255に「期初」が設定され、予測対象時点256に「期末」が設定されている場合は、期初の金額に基づき、その期末における売上高及び売上原価が予測されていることを示している。
なお、案件情報250は予測対象時点ごとに作成されてもよい。また、案件情報250には、毎月発生した費用や毎月認識された収益等に関連する数値記録、又は、これらの総和等である期末の集計値(実績値)が記録されていてもよい。
(対応付け情報)
図6は、対応付け情報270の一例を示す図である。対応付け情報270は、識別子271、プロジェクトの情報が設定される作業番号272、及び、作業番号272に係るプロジェクトが属する部門の情報が設定される利益センタ273、の各項目を有する1以上のレコードで構成される。なお、作業番号272には、各部門の上位部門の情報(例えば、事業グループの情報)がさらに設定されるようにしてもよい。
同図の例では、作業番号272に係るプロジェクトに対しては、利益センタ273に係る部門が損益責任を担う構成となっている。例えば、プロジェクト「101EAP1」に対して
は、部門「06P」が損益責任等を負っている。
なお、対応付け情報270は、ユーザが予め損益分析装置10に入力した情報であってもよいし、損益分析装置10が所定のアルゴリズムに従って自動的に作成したものであってもよい。
また、プロジェクト又は部門が階層構造(上位及び下位の構造)を有する場合は、対応付け情報270はその階層に従った情報を格納するようにしてもよい。また、同一の階層における複数のプロジェクトを対応づけるようにしてもよい。
図1に示すように、損益分析装置10は、期末損益の分析要求を受け付ける入力受け付け部131、分析対象を特定する検索部132、分析のためのデータを集計する集計部133、損益の分析を行う分析部134、将来の損益を予測する損益予測モデル1000を
作成する損益予測モデル作成部135、損益の分析結果を表示する分析結果提示部136、損益の値の決定にとって重要な因子を特定する重要因子評価部137、損益予測モデル1000を用いて損益の予測を行う損益予測部138、及び、照合統合部139の各機能部を備える。
入力受け付け部131は、分析関連情報122、及び、対応付け情報270を取得する。
また、入力受け付け部131は、ユーザから、業務活動情報500の入力を受け付け、入力された業務活動情報500に基づき、案件情報250を作成する。
具体的には、入力受け付け部131は、所定期間(年度)内に行われる業務活動に基づく損益であって、その業務活動を行うグループ(プロジェクト)が属する組織のその所定期間の終了時の損益に関する、その所定期間内の所定時点での予測値の入力を、ユーザから受け付ける。
検索部132は、ユーザから、損益の分析を行う部門及びプロジェクトの情報の入力を受け付ける。
集計部133及び分析部134は、案件情報250、及び対応付け情報270に基づき、検索部132で入力された部門及びプロジェクトに係る、損益に係る各指標の情報を作成する。
具体的には、例えば、集計部133及び分析部134は、検索部132で入力された部門及びプロジェクトをキーとして案件情報250を検索し、検索した情報のマージ及び四則演算等を行い、その結果を、指標別期末予測集計テーブル600、及び全指標期末予測集計テーブル800に格納する。
ここで、指標別期末予測集計テーブル600について説明する。
(指標別期末予測集計テーブル)
図7は、指標別期末予測集計テーブル600の一例を示す図である。指標別期末予測集計テーブル600は、各損益指標を用いた損益の集計値を記録した情報である。すなわち、指標別期末予測集計テーブル600は、各部門の情報が設定される利益センタ名601と、利益センタ名601に係る部門に対してなされた、期末の損益の予測値(指標)の情報が設定される期末予測602と、利益センタ名601に係る部門の当該期末における損益の確定値(損益指標)が設定される期末実績604とを含む各項目を有する、1以上のレコードで構成される。
期末予測602は、1又は複数の小項目である各時点予測603を含む。各時点予測603は、各時点(例えば、期中の各月)でなされた、その期の期末の、利益センタ名601に係る部門における損益の予測の情報が設定される。
本実施形態では、各時点予測603及び期末実績604には、損益指標が損益の予測値(実績値)として設定されているが、金額等の具体的な数値を設定してもよい。また、各時点予測603には、期末実績604に係る損益に対する差分や比率を設定してもよい。
続いて、全指標期末予測集計テーブル800について説明する。
(全指標期末予測集計テーブル)
図8は、全指標期末予測集計テーブル800の一例を示す図である。全指標期末予測集計テーブル800は、全ての指標に係る損益の情報を記録した情報である。すなわち、全指標期末予測集計テーブル800は、案件の識別子が設定される案件番号801と、案件番号801に係る案件についての、各指標による期末の損益の予測の情報が設定される期末予測802と、期末予測802に対応する、期末の損益の確定値あるいはその良し悪し(期首に予測した期末の予測値(計画値)と確定値との乖離の大小等)が設定される結果803とを含む各項目を有する、1以上のレコードで構成される。
期末予測802は、各指標に対応する、1又は複数の小項目である各時点予測804を含む。各時点予測804は、各時点(例えば、期中の各月)でなされた、期末の損益の予測の情報が設定される。
同図の例では、損益指標A、損益指標B、及び損益指標Cについて、損益の予測の評価値
(ランク)が-2(悪い)、0(普通)、2(良い)等と設定されている。
次に、図1に示す損益予測モデル作成部135は、集計部133及び分析部134に基づき、目的変数たる期末の損益の確定値(結果)と、説明変数たるその期末以前に算出した損益の予測値(原因)との間の関係性を表す損益予測モデル1000を構築する。
具体的には、損益予測モデル作成部135は、期間内に業務グループ(プロジェクト)が行った業務活動に基づく損益であって、その業務グループが属する組織(部門)における期間の終了時の損益に関する、その期間内の各時点での予測値と、その期間の終了時における、その組織(部門)の損益の確定値との間の関係を表す損益予測モデル1000を作成する。
また、損益予測モデル作成部135は、損益予測モデル1000を作成した後、入力受け付け部131で入力された予測値と、損益予測モデル1000により予測された損益とを損益予測モデル1000に入力することにより、新たな損益予測モデル1000を作成する。
なお、損益予測モデル作成部135は、対応付け情報270に基づき、プロジェクトが属する組織を特定する。
重要因子評価部137は、損益予測モデル1000における、部門の損益の確定値との関連性が最も強い予測値を特定し、特定した予測値を算出した時点を特定する情報を出力する。
具体的には、重要因子評価部137は、この関連性の強さを表す影響度(期末の損益の確定値に対する、期末以前の各時点の損益の予測値の関連性の強さを表すパラメータ)を算出する。
損益予測部138は、損益予測モデル1000に基づき、目的変数たる期末の損益の予測を行う。なお、損益の予測には、関連するデータとの類似性等を勘案してもよい。
具体的には、損益予測部138は、入力受け付け部131で入力された予測値を損益予測モデル1000に入力することにより、対応するプロジェクトが属する部門における、期末の損益を予測する。
分析結果提示部136は、損益予測部138が予測した結果(予測値や変数の影響度など)を利用者に提示する。
照合統合部139については後述する。
[ハードウェア]
次に、図9は、損益分析装置10が備えるハードウェアの一例を説明する図である。損益分析装置10は、例えば、一般的なコンピュータにより構成され、制御部であるCPU100と、主記憶装置101と、記憶部の一例としての記憶装置102と、読取装置104と、入出力装置105と、通信装置106と、これらを通信可能に接続するバス107とを備える。
CPU100は、主記憶装置101や記憶装置102に格納されたプログラムを実行することにより、各種処理を実行する。なお、CPU100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサ、GPU(Graphics Processing Unit)
のような他種のプロセッサである。また、プロセッサはシングルコアでもよいしマルチコアでもよい。また、CPU100は、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
主記憶装置101は、例えば、RAM(Random Access Memory)であり、CPU100で実行されるプログラムや、CPU100で使用される各種情報を記憶する。
記憶装置102は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)で構成され、各種情報や、各種プログラムを記憶する。
読取装置104は、CD-ROMやDVD-ROM等の可搬性を有する可搬型記憶媒体103から情報を読み出す。本実施例では、可搬型記憶媒体103に記憶されたプログラムが読取装置104により読み出されて、記憶装置102に格納される。
入出力装置105は、情報を表示するディスプレイ(表示装置)や、ユーザからの入力を受け付けるキーボードやマウス等である。入出力装置105は、ユーザインターフェース機能を有するディスプレイのように、入出力装置が一体的に構成された装置であってもよく、あるいは、入力装置と出力装置とが独立して構成された装置であってもよい。
通信装置106は、NIC(Network Interface Card)等であり、他の情報処理装置と通信する。
機能の項で説明した損益分析装置10の各機能は、損益分析装置10のハードウェアによって、もしくは、損益分析装置10のCPU100が、主記憶装置101や記憶装置102に記憶されている各プログラムを読み出して実行することにより実現される。プログラムは、損益分析装置10にインストールされてもよいし、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な(例えば非一時的な)記録媒体にあってもよい。また、機能の項で説明した各機能部は、1又は2以上のプログラムによって実現される。
次に、損益分析装置10が行う処理について説明する。
[損益分析処理]
図10は、第1実施例に係る損益分析装置10が行う損益分析処理を説明するフロー図である。
まず、損益分析装置10の入力受け付け部131は、損益の計算の基礎となる情報であ
る、業務活動情報500、対応付け情報270、及び分析関連情報122を受信する(s1)。また、検索部132は、ユーザから、損益の計算を行う部門又はプロジェクトの入力を受け付ける(s3)。
そして、集計部133は、s1で受信した業務活動情報500及び対応付け情報270に基づき、案件情報250を作成する(s5)。具体的には、例えば、集計部133は、対応付け情報270により各部門と各プロジェクトとの間の関係を特定しつつ、s3で入力された各部門における、各期の各月の各損益指標を算出する。
損益予測モデル作成部135は、s5で作成した案件情報250に基づき、損益予測モデル1000を作成する(s7)。
ここで、損益予測モデル1000について説明する。
(損益予測モデル)
図11は、損益予測モデル1000の一例を示す図である。損益予測モデル1000は、各関係性の番号が設定される関係番号1001と、関係番号1001に係る関係性であって、説明変数(原因)及び目的変数(結果)の間の関係の内容が設定される規則1002と、全部門のうち規則1002に係る関係が成り立っている部門の割合の情報が設定されるサポート1003と、規則1002に係る原因があった場合に規則1002に係る結果が成り立っている部門の割合が設定される信頼1004とを含む各項目を有する1以上のレコードで構成される。なお、損益予測モデル1000は、先頭のレコードに近いほど、優先的に参照されるようになっている。
同図には、規則1002には、損益指標に関する「IF-THENルール」が設定されている。例えば、原因たる「11月=ランク2」は、関係番号No.6に存在する。他方、原因たる「10月=ランク1」は存在しない。また、関係番号No.8の結果(期末の損益の指標の予測値)は「ランク1」であり、関係番号No.8の関係が成り立つ確率は0.8(80%)である。関係番号No.10の結果は「ランク1」であり、関係番号No13の結果は「ランク1
」である。
続いて、図10のs9に示すように、損益予測モデル作成部135は、s7で作成した損益予測モデル1000に基づき、損益の傾向の分析を行うか又は新たな損益の予測を行うかを判定する。具体的には、例えば、損益予測モデル作成部135は、ユーザからの選択を受け付ける画面を表示する。
損益の傾向の分析を行う場合は(s9:分析)、損益予測モデル作成部135は、次述するs11の処理を行い、新たな損益の予測を行う場合は(s9:予測)、損益予測モデル作成部135は、後述するs13の処理を行う。
s11において、重要因子評価部137は、s7で作成した損益予測モデル1000に基づき、各年度の各月に行われた損益の影響度を、各指標について算出し、算出した各影響度の情報(影響度評価情報)を示す影響度表示画面を表示する。
ここで、影響度表示画面について説明する。
(影響度表示画面)
図12は、影響度表示画面1500の一例を示す図である。影響度表示画面1500は、期末の損益を予測した時点及びその損益指標が表示される指標情報表示欄1501と、指標情報表示欄1501に係る時点における損益指標の影響度が表示される影響度表示欄
1502とを含む。なお、同図の例では、影響度表示画面1500には、影響度が大きい順に各観測実施時点の情報が表示されている。
ユーザは、影響度表示画面1500を参照することにより、例えば、損益指標Aが全般
的に損益指標B及び損益指標Cよりも、期末の損益の確定値に強い影響を与える傾向があることが確認できる。また、ユーザは、ある損益指標を用いて損益の予測を行う場合に、どの時点で予測した損益のデータを重点的に監視すべきか、といった示唆を得ることもできる。また、部門を横断しながら業務の監視又は監査を行うユーザに対して、分析の重点を与え、業務分析の効率化又は分析の正確さの向上をもたらすことができる。
次に、図10のs13に示すように、損益予測部138は、ユーザから、損益に関する予測を行うための情報(以下、分析対象情報という)の入力を受け付ける。具体的には、例えば、損益予測部138は、ある部門において各月に予測された期末の損益の指標の予測値の入力を受け付け、これを案件情報250の形式に変換して案件情報250に追加する。なお、損益予測部138は、業務活動情報500又は案件情報250の形式でのデータの入力を受け付けてもよい。
また、損益予測部138は、その期末の指標の確定値の入力をさらに受け付けてもよい。
ここで、図13は、分析対象情報を含む案件情報250の一例を説明する図である。同図に示すように、この案件情報250は、分析対象情報に係るレコード705として、部門に「07A」、10月時点の損益指標の予測値に「ランク1」、11月時点の損益指標の予測値に「ランク2」、12月時点の損益指標の予測値に「ランク1」、1月時点の損益指標の予測値に「ランク1」、期末(3月)における損益指標の確定値に「ランク1」が設定されている。
続いて、図10のs15に示すように、損益予測部138は、s13で入力した分析対象情報を、s7で作成した損益予測モデル1000に入力することにより、期末の損益を推定する(予測する)。
図14は、損益予測モデル1000を用いた期末の損益の予測方法の一例を説明する図である。同図に示すように、損益予測部138は、損益予測モデル1000の各レコードを、先頭から順番に検索する。すると、損益予測モデル1000の先頭のレコード1007は、分析対象たる案件情報250のレコード705(部門「07A」のレコード)と一致している(「{1月=ランク1} => {3月.年度実績.=ランク1}」)。そこで、損益予測部138は、期末の指標の損益は、「ランク1」であると予測する。
また、損益予測部138は、予測した「ランク1」と、s13で入力された損益の確定値たる「ランク1」とが確かに一致していることを確認した場合は、その一致の旨を示す情報(「○」)を、損益予測モデル1000に新たに設けた項目である一致1005に設定する。
次に、図10のs17に示すように、損益予測部138は、s15の処理の過程を損益予測モデル1000に記録する学習処理を行う。
例えば、損益予測部138は、案件情報250における分析対象情報に係るレコード705の内容で、損益予測モデル1000のレコード1007、1008(関係番号No. 1,3,4,6,7,10,13のレコード)を更新又は追加する。
このように、予測処理の結果を損益予測モデル1000にフィードバックする学習処理を行うことで、より精度良く期末の損益を予測することができるようになる。
なお、ここでは、期末が到来して期末の損益が確定している場合の損益予測モデル1000による推定を説明したが、各月の損益の予測値は得られているが期末の損益が確定していない期中の場合であっても、損益予測モデル1000の一致1005に値が設定されない以外は同様の処理が可能である。
(損益予測モデルの他の例)
ここで、これまでに説明した損益予測モデル1000と異なるタイプの損益予測モデル1000について説明する。
これまでに説明した損益予測モデル1000は、各関係式を各レコードにより独立して記憶したモデルである。これに対して、各関係式を有機的に結合した損益予測モデル1100を作成することもできる。
図15は、損益予測モデル1100の他の例を示す図である。この損益予測モデル1100は、各関係式をノード1150として記憶している。そして、その複数のノード1150が、所定の階層構造を形成している。
各ノード1150は、ノード番号1151と、損益の予測を行った時点及び損益指標の種類である第1説明変数1153と、第1説明変数1153に係る損益指標に関する条件である第2説明変数1155と、第1説明変数1153及び第2説明変数1155が示す関係性(例えば、説明変数が一定以上又は未満か等を示す階段関数で表現される)が満たされる場合の期末の損益指標の予測値のうち最も確からしい評価値又はランク(-2、0、2)である第1目的変数1157(基準変数)と、第1説明変数1153及び第2説明変数1155の内容が満たされる場合に期末の損益指標が取り得る評価値又はランク、及びその確率である第2目的変数1159(基準変数)とを含む情報である。なお、損益予測モデル1100は、ノード番号1151の順に参照される。
ここで、この損益予測モデル1100を用いた処理について説明する。
図16は、損益分析処理における期末の損益の予測(s15)の処理の一例を説明する図である。
まず、損益予測部138は、入力データとして、全指標期末予測集計テーブル800の所定レコード807(No.13)を損益予測モデル1100に入力したとする。すると、損
益予測部138は、入力されたデータに対応する関係式を、損益予測モデル1100から検索する。損益予測部138は、先頭のノード1150a(No.1)の内容は入力データに対応している(真)、2番目のノード1150b(No.2)は対応していない(偽)、・・・等と順に判定する。結果として、損益予測部138は、ノード番号12に係るノード1150cの「ランク0」を、期末の損益指標の予測値とする(符号902)。
また、損益予測部138は、入力データとして、全指標期末予測集計テーブル800の所定レコード808(No.14)を損益予測モデル1100に入力したとする。すると、損
益予測部138は、入力されたデータに対応する関係式を、損益予測モデル1100から検索する。結果として、損益予測部138は、ノード番号8に係るノード1150dの「
ランク-2」を、期末の損益指標の予測値とする(符号901)。
このように、決定木を用いた損益予測モデル1100を用いた場合であっても、期末の
損益を正しく予測することができる。
以上のように、本実施例の損益分析装置10は、期間内の各時点で予測されていた、期末の組織の損益の予測値と、期末時の組織の損益の確定値との間の関係を表す損益予測モデル1000を作成した上で、所定期間内に行われる業務活動に関してその期間内の各時点で算出される、その業務グループに対応する組織の期末の損益の予測値の入力をユーザから受け付け、これを損益予測モデル1000に入力することにより、対応する組織における、期末時の損益を予測するので、例えば、期間損益の期末確定値を、期中の情報を活用して、早期にかつ適切に予測することができる。
また、本実施例の損益分析装置10は、損益予測モデル1000において、組織の損益の確定値との関連性が最も強い、損益の予測値を特定し、特定した予測値に係る時点の情報を出力するので、ユーザは、業績の変動に重要な因子を把握することができる。
このように、本実施例の損益分析装置10によれば、組織における将来の損益の状態を、業務活動を行うプロジェクトに対応づけて的確に予測することができる。例えば、企業経営の現状を示す期間損益を早期に且つ適切に分析することができる。さらに、経営状況に応じた対策の着眼点を効率的に得ることが可能になる。
<第2実施例>
本実施例では、損益予測モデル作成部135は、いったん作成した損益予測モデル1000から複数の損益予測モデル1200を抽出し、これらから最適な損益予測モデル1200を選択する。以下、第1実施例と異なる点について説明する。
[機能]
損益予測モデル作成部135は、ユーザから、年度内における複数の時点の指定を受け付け、指定された各時点での、期末の組織の損益の予測値と、組織の損益の確定値との間の関係を表す損益予測モデル1200をそれらの各時点につき作成し、作成した損益予測モデル1200のうち最も精度が高い損益予測モデル1200を、期末の組織の損益の確定値に基づき特定する。
具体的には、損益予測モデル作成部135は、期末の損益の確定値、及び、ユーザから指定された時期に基づき、最も精度が高い損益予測モデル1200を特定する。
[損益分析処理]
図17は、第2実施例に係る損益分析処理のうち、最適な損益予測モデル1200の作成処理の一例を説明するフロー図である。
まず、損益予測モデル作成部135は、第1実施例と同様にして損益予測モデル1000を作成する(s71)。
そして、損益予測モデル作成部135は、作成した損益予測モデル1000の各レコードの規則1002を参照することで、期末の損益の予測実施時点のパターンごとに、複数の新たな損益予測モデル1200を、元の損益予測モデル1000から抽出する(s73)。
そして、損益予測モデル作成部135は、作成した複数の損益予測モデル1200を、その損益予測モデル1200に対応する元の損益予測モデル1000の各レコードの一致1005を用いてそれぞれ比較することで、各損益予測モデル1200について、各時点(月)で行われた期末の損益の予測が、実際の期末(3月)の損益の確定値と一致してい
た確率を算出する(s75)。
ここで、一致していた確率が以下であるとする。
・10月までの各月の時点で予測した損益を用いて作成した損益予測モデル1200による、期末の損益の予測:20%の確率で一致
・11月までの各月の時点で予測した損益を用いて作成した損益予測モデル1200による、期末の損益の予測:30%の確率で一致
・12月までの各月の時点で予測した損益を用いて作成した損益予測モデル1200による、期末の損益の予測:55%の確率で一致
・1月までの各月の時点で予測した損益を用いて作成した損益予測モデル1200による、期末の損益の予測:60%の確率で一致
損益予測モデル作成部135は、精度が高いと認められる損益予測モデル1200を特定する(s77)。
例えば、損益予測モデル作成部135は、一致確率が60%と最も高い損益予測モデル1200、すなわち1月までの各月の時点で予測した損益を用いて作成した損益予測モデル1200を特定する。
また、例えば、損益予測モデル作成部135は、一致確率が1月の場合と所定値(10%)以上近く、かつ1月の前月である12月までの各月の時点で予測した損益を用いて作成した損益予測モデル1200を特定してもよい。このように、一致確率が一定程度高ければ、より早い時期での予測に基づく損益予測モデル1200を優先することで、ユーザは、より早い時点でこの損益予測モデル1200を使用することができる。
また、例えば、損益予測モデル作成部135は、ユーザから、損益予測モデル1200の選択基準に関する情報の入力を予め受け付け、この選択基準に従い、精度が高い損益予測モデル1200を特定してもよい。例えば、選択基準として「正解率」の情報が入力されれば、「1月」までの各月の時点で予測した損益を用いて作成した損益予測モデル1200が特定される。また、例えば、選択基準として、「早期予測の可能性」が優先する基準として指定されれば、「12月」までの各月の時点で予測した損益を用いて作成した損益予測モデル1200が特定される。このように、ユーザがその目的に応じた選択基準を指定することで、最適な損益予測モデル1200を利用することができる。
その後の処理は、第1実施例と同様である。すなわち、損益予測部138は、ユーザから、損益に関する予測を行うための分析対象情報の入力を受け付ける。そして、損益予測部138は、入力した分析対象情報を、s7で作成した損益予測モデル1200に入力することにより、期末の損益を予測する。
<第3実施例>
これまでの実施例では、損益分析装置10の損益予測モデル作成部135は、事業経営単位(部門ごと)の損益に係る損益予測モデル1000を作成していたが、本実施例では、機能活動単位(プロジェクトごと)の損益予測モデル1000を作成する。以下、本実施例に特有な構成について説明する。
[機能]
損益分析装置10の損益予測モデル作成部135は、機能活動単位(プロジェクトごと)及び事業経営単位(部門ごと)の損益に関する損益予測モデル1300を、対応付け情報270等を用いることにより作成し、両者を比較する。
これにより、損益の変動が部門の問題であるのか、又はプロジェクトごとの問題であるかといった考察を行うことができる。
(損益予測モデル)
図18は、第3実施例に係る損益予測モデル1300の一例を示す図である。この損益予測モデル1300は、プロジェクトごと及び部門ごとの損益に関するモデルであると共に、前記で説明した決定木に基づくモデルである。同図に示すように、損益予測モデル1300は、所定部門における所定プロジェクトの損益に係る関係式901aと、その部門に属するプロジェクト全体の損益に係る関係式902aとを記憶している。
なお、損益予測モデル作成部135は、損益予測モデル1300として、業務の分類ごと(「SI」及び「SO」)の関係式903aを作成してもよい。これにより、ユーザは、期末の損益に具体的にどのような種類の業務活動が影響しているかを把握することができ、部門長等に経営リソースの配分方針を考察する手がかりを与えることが可能になる。
[損益分析処理]
損益予測モデル1300に基づき、重要因子評価部137は、損益分析処理における影響度表示画面の表示(s11)において、関係式の違いを表す情報を所定の比較画面に表示する。
具体的には、例えば、重要因子評価部137は、損益予測モデル1300における、ある部門全体の損益に関する関係式と、その部門に属する全プロジェクトの損益に関する関係式とを比較し、それらの説明変数及び目的変数を比較して、その結果を比較画面に表示する。
図19は、比較画面の一例を示す図である。同図に示すように、比較画面1700には、ある部門全体の損益に関する関係式1701と、その部門に属する全プロジェクトの損益に関する関係式1702とが表示され、また、これらの間に違いがあることを示す所定のメッセージ1703が表示される。
これにより、ユーザは、例えば、損益の予測精度により影響を与える因子が、プロジェクトであるか部門であるか、又はどのような時点の損益が重要であるか、といったことがわかる。
このように、本実施例の損益分析装置10によれば、例えば同一部門内で行われた複数プロジェクトによる業務活動の分析が可能となり、これらのプロジェクト間の影響をふまえた、正確な分析を行うことができる。
<第4実施例>
本実施例の損益分析装置10は、照合統合部139により、期末の損益に影響を与える様々な外的要因を予測して表示する。以下、第1実施例と異なる部分を説明する。
[機能]
本実施例の損益分析装置10は、イベント及びそのイベントが発生した時期を対応づけて記憶した環境変化点整理モデル1600を記憶している。
そして、損益分析装置10の照合統合部139は、環境変化点整理モデル1600と、重要因子評価部137で特定した、関連性が最も強い予測値に係る時点とに基づき、組織の損益の予測値の算出に影響を与えたイベントを特定する。
(環境変化点整理モデル)
図20は、環境変化点整理モデル1600の一例を示す図である。環境変化点整理モデル1600は、業務活動に対して影響を与える、介入行動等の外的要因に関する情報であるイベント1602と、イベント1602が発生した時期の情報である時期1601とを含む各情報を記憶している。
なお、介入行動とは、人間の行動に影響を及ぼすような外部からの刺激等を意味する。また、外的要因としては、例えば、業務関する顧客の意思決定が進みやすい外部環境である、四半期決算等のイベント又はルール(決算時期)、企業内部の上位経営層による指導等がある。これらの外的要因の影響の大きさは時期に応じて変動する。
[損益分析処理]
図21は、第4実施例における、損益分析処理における期末の損益の予測処理(s15)の一例を説明するフロー図である。
まず、照合統合部139は、損益予測モデル1000による予測を行った結果である、損益の予測及び影響度の関係を示した予測結果画面を表示する(s151)。
そして、照合統合部139は、損益予測モデル1000による期末の損益の予測において特徴的な時期(期末の損益の予測との関連性が最も強い時点)を特定する(s153)。
具体的には、例えば、照合統合部139は、影響度が所定割合以上で増加した時期を特定し、この時期と対応する外的要因を、環境変化点整理モデル1600により特定する。なお、照合統合部139は、損益予測モデル1000が算出した損益指標を特定する(例えば、期末の売上総和の指標)。
(予測結果画面)
ここで、図22は、予測結果画面2000の一例を示す図である。同図に示すように、予測結果画面2000には、期末の損益の予測を行った各時点2001と、その時点の損益の予測の影響度2003との間の関係が示されている。また、影響度2003が急激に増加した特徴的な時期2005(5月から6月)が示されている。
次に、図21のs155に示すように、照合統合部139は、特徴的な時期に対応する外的要因を特定し、その内容を原因推定支援情報画面に表示する。
(原因推定支援情報画面)
ここで、図23は、原因推定支援情報画面2100の一例を示す図である。同図に示すように、原因推定支援情報画面2100には、特徴的な時期の情報2101と、その時期に対応する外的要因の情報2103とが表示される。
このように、損益分析装置10は、損益予測モデル1000により特定される予測の変化と対応して変動している外的要因を特定してこれを表示することにより、分析者に分析の示唆を与えることができる。例えば、外的要因が業務の改善活動である場合、影響度との比較により当該改善活動が損益の改善に有効に作用したかを判定することができる。
<第5実施例>
企業等においては、一般に、事業経営単位における損益計算の単位期間と、各プロジェクトの活動期間とでは、その始期又は終期が一致しないことが多い。したがって、企業における損益を正確に分析及び予測するためには、両者の期間を対応させることが必要とな
る。すなわち、活動中のプロジェクトの損益の状況を、事業経営単位の単位期間にあわせなければならない。活動中のプロジェクトの損益の状況を、事業経営単位の会計規則に対応づけることが必要になる。例えば、プロジェクトで発生する費用を、財務指標の勘定項目に適切に対応づけて反映させることが必要となる。プロジェクトでのある時点における発生費用を収益として把握するか否かで、財務指標の勘定項目との対応づけが相違するためである。
そこで、本実施例に係る損益分析装置10は、プロジェクトの進行に係る情報を活用することで、会計規則と実際の事業活動とを対応づける。以下、本実施例に係る損益分析装置10の機能及び処理について説明する。ここでは、第1実施例と異なる点について説明する。
[機能]
本実施例に係る損益分析装置10は、組織(部門)の期間と業務グループ(プロジェクト)の期間を関連づける情報である、会計規則対応づけ情報を記憶している。この会計規則対応づけ情報は、複数の会計規則(企業会計(企業会計原則、企業会計原則など)、会社法会計、税務会計、中小企業向けの会計指針など)に対する事業経営活動やプロジェクト単位の活動状況の対応づけを可能にするために、単一の会計規則に関する情報ではなく、複数の会計規則に関する情報が格納されていてもよい。
(会計規則対応づけ情報)
会計規則対応づけ情報は、所定の会計ルールを記憶しており、所定の関係式を記憶したモデルとして構成されている。関係式に示される関係としては、ある時点で発生した業務上の費用(損益)を、その会計ルールに基づき、当期の費用(収益)として特定するか、又はその他の期(将来)の費用(収益)として特定するか定めた関係などが、挙げられる。
ここで「収益」は「益金」等、「費用」は「損金」等、であってもよい。企業会計等の「収益」と税務会計等の「益金」、会社法会計の「費用」と税務会計の「損金」は、各々類似する概念であるが、計上ルールには相違点が存在し双方の値は一致するとは限らない。
[損益分析処理]
損益分析装置10の損益予測モデル作成部135は、損益分析処理における損益予測モデル1000の作成処理において(s7)、会計規則対応づけ情報を参照することにより、会計規則等に従って各期の損益に割り当てた損益予測モデル1000を別途作成する。
その後、分析結果提示部136は、損益分析処理の影響度表示画面の表示の際に(s11)、会計規則対応づけ情報に格納されている会計ルールを用いて作成した損益予測モデル1000の情報を、会計規則対応づけ情報に格納されている他の会計ルールを用いて作成した損益予測モデル1000、あるいは会計規則対応づけ情報を用いずに自組織固有の管理会計の考え方に基づき作成した損益予測モデル1000の情報と共に、表示する。
これにより、ユーザは、会計規則等により各期末の収益の算出又は予測にどのような影響があるかを確認することができる。
以上に説明してきた各実施例の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。
例えば、各実施例で説明した損益分析装置10の機能は、それぞれ組み合わせてもよく、またその一部を省略してもよい。
また、損益予測モデル1000の形式は各実施例に示したものに限らず、どのようなデータ形式であるかを問わない。
また、各実施例では、損益分析装置10が単体で各プログラムを実行するものとしたが、例えば、各プログラムを、損益分析装置10と、ネットワークを介して接続されたサーバとにより実行するようにしてもよい。
また、各実施例において、損益分析装置10は、1以上の物理的な計算機を含んだシステムであるが、これは汎用計算機でも専用計算機でもよい。物理的な計算機は、I/O(Input/Output)要求を発行する計算機(例えばホスト計算機やサーバシステムと呼ぶ)として機能してもよいし、I/O要求に応答してデータのI/Oを行う計算機(例えばストレージ装置)として機能してもよい。
以上の本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、各実施形態の損益分析装置10においては、前記演算装置は、前記損益予測モデル作成処理において、ユーザから、前記期間内における複数の時点の指定を受け付け、指定された各時点での、前記期間の終了時の前記組織の損益の予測値と、前記組織の損益の確定値との間の関係を表す前記損益予測モデルを前記各時点につき作成し、作成した前記損益予測モデルのうち最も精度が高い損益予測モデルを、前記期間の終了時の前記組織の損益の確定値に基づき特定し、前記損益予測処理において、前記特定した損益予測モデルに前記入力された予測値を入力することにより、前記所定期間の終了時の損益を予測する、としてもよい。
このように、ユーザから、期間内の複数の任意の時点の指定を受け付け、各時点での予測を用いた損益予測モデル1200をそれぞれ作成し、このうち最も精度が高い損益予測モデル1200を用いて、期末の損益を予測することで、精度の高い期末の損益の予測を確実に行うことができる。
また、各実施形態の損益分析装置10においては、前記演算装置は、前記損益予測モデル作成処理において、前記期間の終了時の前記損益の確定値、及び、前記指定された時期に基づき、前記最も精度が高い損益予測モデルを特定する、としてもよい。
このように、期末の損益の確定値と、指定された時期(の早遅)とに基づき、最も精度が高い損益予測モデル1200を特定することで、予測精度が充分に高くなる段階、又はなるべく早い段階で精度が高い損益予測モデル1200を作成することができるので、損益の分析を行うユーザの便宜に応じた損益予測モデル1200を作成することができる。
また、各実施形態の損益分析装置10においては、前記演算装置は、前記損益予測モデルにおける、前記組織の損益の確定値との関連性が最も強い前記予測値を特定し、特定した予測値を算出した前記時点を特定する情報を出力する重要因子評価処理を実行する、としてもよい。
このように、損益予測モデル1000において、組織の損益の確定値に対する関連性が最も強い予測値を特定し、その予測の時点の情報を出力することで、ユーザは、どの時点での期末の損益の予測値を重視すべきかを把握することができる。
また、各実施形態の損益分析装置10においては、前記演算装置は、前記損益予測モデ
ル作成処理において、前記損益予測モデルを作成した後、前記入力された前記所定期間の終了時の損益の予測値と、前記損益予測モデルにより予測された、前記所定期間の終了時の損益とを前記損益予測モデルに入力することにより、新たな損益予測モデルを作成する、としてもよい。
このように、損益予測モデル1000を作成した後、その作成に用いた入力データ及びその出力結果を損益予測モデル1000に入力して新たな損益予測モデル1000を作成することで、損益予測モデル1000の精度を向上させることができる。
また、各実施形態の損益分析装置10においては、前記演算装置は、前記業務活動を行った業務グループと、前記業務グループが属する組織の情報とを対応づけた対応付け情報を記憶する記憶装置を備え、前記損益予測モデル作成処理において、前記対応付け情報に基づき、前記業務グループが属する組織を特定する、としてもよい。
このように、業務グループと、業務グループを構成する資源が属する上位の組織の情報と対応づけた対応付け情報270に基づき、業務グループに対応づけられている組織を特定することで、組織と業務グループ(プロジェクト)とが複雑な対応関係にある場合でも、組織ごとの期末の損益を確実に予測することができる。
また、各実施形態の損益分析装置10においては、前記演算装置は、イベント及び前記イベントが発生した時期を対応づけて記憶した環境変化点整理モデルと、前記関連性が最も強い予測値に係る時点とに基づき、前記組織の損益の予測値の算出に影響を与えた前記イベントを特定する照合統合処理を実行する、としてもよい。
このように、イベント及びイベントが発生した時期を対応づけて記憶した環境変化点整理モデル1600と、期末の損益の予測値と関連性が最も強い予測実施時点とに基づき、損益の予測値に影響を与えたイベントを特定することで、期末の損益に関係の深いイベント、例えば介入行動等の外的要因を把握し、期末の損益の予測の精度を向上させることができる。
10 損益分析装置、131 入力受け付け部、132 検索部、133 集計部、134 分析部、135 損益予測モデル作成部、136 分析結果提示部、137 重要因子評価部、138 損益予測部、139 照合統合部、1000 損益予測モデル

Claims (14)

  1. 期間内に業務グループが行った業務活動に基づく損益であって、前記業務グループが属する組織における前記期間の終了時の損益に関する、前記期間内の各時点での予測値と、前記期間の終了時における、前記組織の損益の確定値との間の関係を表す損益予測モデルを作成する損益予測モデル作成処理と、
    所定期間内に行われる業務活動に基づく損益であって、前記業務活動を行うグループが属する組織の前記所定期間の終了時の損益に関する、前記所定期間内の所定時点での予測値の入力を、ユーザから受け付け、入力された予測値を前記損益予測モデルに入力することにより、前記グループが属する組織における、前記所定期間の終了時の損益を予測する損益予測処理と、
    を実行する演算装置を備える、損益分析装置。
  2. 前記演算装置は、
    前記損益予測モデル作成処理において、ユーザから、前記期間内における複数の時点の指定を受け付け、指定された各時点での、前記期間の終了時の前記組織の損益の予測値と、前記組織の損益の確定値との間の関係を表す前記損益予測モデルを前記各時点につき作成し、作成した前記損益予測モデルのうち最も精度が高い損益予測モデルを、前記期間の終了時の前記組織の損益の確定値に基づき特定し、
    前記損益予測処理において、前記特定した損益予測モデルに前記入力された予測値を入力することにより、前記所定期間の終了時の損益を予測する、
    請求項1に記載の損益分析装置。
  3. 前記演算装置は、
    前記損益予測モデル作成処理において、前記期間の終了時の前記損益の確定値、及び、前記指定された時点に基づき、前記最も精度が高い損益予測モデルを特定する、
    請求項2に記載の損益分析装置。
  4. 前記演算装置は、
    前記損益予測モデルにおける、前記組織の損益の確定値との関連性が最も強い前記予測値を特定し、特定した予測値を算出した前記時点を特定する情報を出力する重要因子評価処理を実行する、
    請求項1に記載の損益分析装置。
  5. 前記演算装置は、
    前記損益予測モデル作成処理において、前記損益予測モデルを作成した後、前記入力された前記所定期間の終了時の損益の予測値と、前記損益予測モデルにより予測された、前記所定期間の終了時の損益とを前記損益予測モデルに入力することにより、新たな損益予測モデルを作成する、
    請求項1に記載の損益分析装置。
  6. 前記業務活動を行った業務グループと、前記業務グループが属する組織の情報とを対応づけた対応付け情報を記憶する記憶装置を備え、
    前記演算装置は、
    前記損益予測モデル作成処理において、前記対応付け情報に基づき、前記業務グループが属する組織を特定する、
    請求項1に記載の損益分析装置。
  7. 前記演算装置は、
    イベント及び前記イベントが発生した時期を対応づけて記憶した環境変化点整理モデル
    と、前記関連性が最も強い予測値に係る時点とに基づき、前記組織の損益の予測値の算出に影響を与えた前記イベントを特定する照合統合処理を実行する、
    請求項4に記載の損益分析装置。
  8. 情報処理装置が、
    期間内に業務グループが行った業務活動に基づく損益であって、前記業務グループが属する組織における前記期間の終了時の損益に関する、前記期間内の各時点での予測値と、前記期間の終了時における、前記組織の損益の確定値との間の関係を表す損益予測モデルを作成する損益予測モデル作成処理と、
    所定期間内に行われる業務活動に基づく損益であって、前記業務活動を行うグループが属する組織の前記所定期間の終了時の損益に関する、前記所定期間内の所定時点での予測値の入力を、ユーザから受け付け、入力された予測値を前記損益予測モデルに入力することにより、前記グループが属する組織における、前記所定期間の終了時の損益を予測する損益予測処理と、
    を実行する、損益分析方法。
  9. 前記情報処理装置が、
    前記損益予測モデル作成処理において、ユーザから、前記期間内における複数の時点の指定を受け付け、指定された各時点での、前記期間の終了時の前記組織の損益の予測値と、前記組織の損益の確定値との間の関係を表す前記損益予測モデルを前記各時点につき作成し、作成した前記損益予測モデルのうち最も精度が高い損益予測モデルを、前記期間の終了時の前記組織の損益の確定値に基づき特定し、
    前記損益予測処理において、前記特定した損益予測モデルに前記入力された予測値を入力することにより、前記所定期間の終了時の損益を予測する、
    請求項8に記載の損益分析方法。
  10. 前記情報処理装置が、
    前記損益予測モデル作成処理において、前記期間の終了時の前記損益の確定値、及び、前記指定された時点に基づき、前記最も精度が高い損益予測モデルを特定する、
    請求項9に記載の損益分析方法。
  11. 前記情報処理装置が、
    前記損益予測モデルにおける、前記組織の損益の確定値との関連性が最も強い前記予測値を特定し、特定した予測値を算出した前記時点を特定する情報を出力する重要因子評価処理を実行する、
    請求項8に記載の損益分析方法。
  12. 前記情報処理装置が、
    前記損益予測モデル作成処理において、前記損益予測モデルを作成した後、前記入力された前記所定期間の終了時の損益の予測値と、前記損益予測モデルにより予測された、前記所定期間の終了時の損益とを前記損益予測モデルに入力することにより、新たな損益予測モデルを作成する、
    請求項8に記載の損益分析方法。
  13. 前記情報処理装置は、前記業務活動を行った業務グループと、前記業務グループが属する組織の情報とを対応づけた対応付け情報を記憶する記憶装置を備えており、
    前記情報処理装置が、
    前記損益予測モデル作成処理において、前記対応付け情報に基づき、前記業務グループが属する組織を特定する、
    請求項8に記載の損益分析方法。
  14. 前記情報処理装置が、
    イベント及び前記イベントが発生した時期を対応づけて記憶した環境変化点整理モデルと、前記関連性が最も強い予測値に係る時点とに基づき、前記組織の損益の予測値の算出に影響を与えた前記イベントを特定する照合統合処理を実行する、
    請求項11に記載の損益分析方法。
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