以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係るチャートシステム100を含むシステムの図である。チャートシステム100は、コンピューター10に保持されている。コンピューター10は、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューター(PC)といった、プロセッサー上でアプリケーションプログラム(アプリ)を実行することができるコンピューターであれば何でもよい。チャートシステム100は、コンピューター10内の記憶手段に保持される。例えば、チャートシステム100は、記憶手段にインストールされ、オペレーティングシステム(OS)上で実行される。チャートシステム100は、主に、株式、株価指数先物、商品先物といった金融商品の価格(始値、終値(現在値)、安値、高値)の時系列変化をチャート(図表)で示す機能と、価格がチャート表示されている金融商品の売買注文を行う機能とを有する。図1に示すように、コンピューター10は、売買サーバー20と接続されている。売買サーバー20は、金融商品の売買を行う、証券会社等の金融機関が運営するサーバーである。売買サーバー20は、インターネット等の広域ネットワークに接続されており、コンピューター10と売買サーバー20とは、広域ネットワークを介して接続される。チャートシステム100は、売買サーバー20と通信可能に構成されている。また、図1に示すように、売買サーバー20は、取引所30と接続されている。取引所30は、東京証券取引所や東京商品取引所といった、金融商品の価格の決定や売買の執行を行う取引所である。売買サーバー20は、インターネット等の広域ネットワークを介して、取引所30のコンピューターに接続されている。
売買サーバー20は、取引所30のコンピューターから金融商品の現在価格を取得してチャートシステム100に送信する。また、売買サーバー20は、金融商品の過去の価格をチャートシステム100に送信する。チャートシステム100は、受信した現在価格や過去の価格に基づき、金融商品の価格変動を示すチャートを描画する。一方、チャートシステム100は、チャート上からユーザーによる金融商品の売買指示を受け付け、受け付けた売買指示を示す売買指示メッセージを生成して売買サーバー20に送信する。売買サーバー20は、売買指示メッセージに応じた売買指示を取引所30のコンピューターに送信し、取引所30のコンピューターに売買を執行させる。
コンピューター10は、液晶ディスプレイ等の表示手段を有する、又は表示手段と結合されている。コンピューター10は、マウスやキーボード等の入力手段を有する、又は入力手段と結合されている。表示手段と入力手段が統合されたタッチパネルであってもよい。チャートシステム100は、チャートを表示手段上に描画、表示する。チャートシステム100は、入力手段を用いてユーザーによる売買指示を受け付ける。
取引所30は、東京証券取引所や東京商品取引所といった公設の取引所であってもよいし、ゴールドマンサックス証券等の証券会社が開設しているような私設の取引所であってもよい。金融商品は、取引所30で売買取引される株、株価指数先物、商品先物、オプション、ワラント等である。
図2は、チャートシステム100が描画、提供する、チャートを含むGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の一例を示す。本実施形態では、一例として、金融商品として株の価格(株価)の表示や株の売買指示を行うチャートシステム100が提供するGUIを例にして説明する。GUIは、チャートを表示するチャート表示101を含む。GUIは、銘柄入力102を含む。銘柄入力102は、チャート表示101で株価のチャートを表示する対象となる株銘柄を入力するユーザー入力を受け付けるGUI要素である。ユーザー入力は、銘柄名称、銘柄コード(証券コード)、ティッカーコード等の入力を含む。銘柄入力102は、アイコンを含み、入力された銘柄が表示される。図2の例では、証券コード2671の銘柄が入力され表示されている。
GUIは、足選択103を含む。足選択103は、チャート表示101上で描画する株価チャートにおいて、異なる時間単位で生成される複数のチャートのうちいずれのチャートを描画するかを選択するユーザー選択を受け付けるGUI要素である。一例として、月単位の足による月足、週単位の足による週足、一日単位の足による日足、1分や5分等所定の分単位の足である分足、等がある。図2に示すように、足選択103は、月足、週足、日足、分足等に応じて複数のアイコンを含み、アイコンの選択によってユーザー選択を受け付け、選択された足に対応するアイコンの表示態様(色、等)が変化する。図2の例では、日足チャートが選択されている。チャート表示101上では、ローソク足の陽線と陰線とが区別されて描画され、一例として、陽線はローソク足本体が白色に描画され、陰線はローソク足本体が黒色に描画される。また、チャート表示101には、株価の価格に応じて罫線104が表示され、各罫線の端には対応する価格が表示される(図2の例では、8本の罫線104と対応する50円刻みの350円~650円の価格表示)。各ローソク足は、互いに所定の空けた位置に表示される。
チャート表示101は、銘柄入力102で入力された銘柄のチャートであって、足選択103で選択された時間単位足のチャートを描画し表示する。チャート表示101は、売買サーバーから受信した過去の株価や現在株価や気配値に基づいて、株価の四本値(始値、安値、高値、終値(現在値))をローソク足で描画する。図2の例では、証券コード2671の株価の日足チャートが描画されている。チャートシステム100は、取引時間内外に関わらず、過去に売買サーバー20から受信した株価情報に基づき、過去の株価推移を示すローソク足をチャート表示101上に描画する。取引時間内において、チャートシステム100は、随時所定時間間隔で売買サーバー20から受信する現在株価に基づき、当日のローソク足の描画をチャート表示101上で随時更新する。取引時間外であって取引開始時刻の所定時間前(例えば15分前)から寄付までは、チャートシステム100は、売買サーバー20から受信する気配値に基づいて、後述する気配値情報とギャップ情報とをチャート表示101上に描画する。
(1.気配値情報とギャップ情報)
取引時間外であって取引開始時刻の所定時間前から寄りつきまでの間に、チャート表示101上に表示される気配値情報とギャップ情報について説明する。図3は、日足チャート上に気配値情報とギャップ情報とが表示される例を示す。取引開始時刻前なので、チャート表示101には、昨日までの過去の株価のローソク足が表示されている(図3の例では16本)。ここで、チャートシステム100は、売買サーバー200から随時受信する気配値の情報に基づいて、気配値情報111を描画する。気配値情報111は、取引開始後に当日のローソク足が表示される位置(すなわち、直近のローソク足110から所定間隔開けた位置)であって、気配値の価格に対応する位置に、表示される。気配値情報111は、気配値の価格に対応する位置に描画される線上のシンボルであって、受信する気配値の変化に応じて描画更新される。また、チャートシステム100は、気配値が直近のローソク足110が示す終値と比較して値上がりした価格であるか値下がりした価格であるかに応じて、気配値情報111を異なる表示態様(例えば、異なる色、異なる色彩、異なるコントラスト等)で描画する。例えば、気配値情報111は、気配値が直近のローソク足が示す終値よりも高い場合は第1の色で描画され、気配値が直近のローソク足が示す終値よりも低い場合は第2の色で描画される。気配値と直近のローソク足が示す終値とが同値である場合は、第1の色、第2の色、もしくは別の第3の色で表示される。これにより、当該銘柄が前日終値よりも値上がりして寄付きそうか(ギャップアップしそうか)、前日終値よりも値下がりして寄付きそうか(ギャップダウンしそうか)を、視覚的に瞬時に把握することを助けることができる。
また、当該銘柄が前日終値よりもギャップアップしそうかギャップダウンしそうかを視覚的に瞬時に把握することを助けるため、チャートシステム100は、チャート表示101上にギャップ情報112を表示する。チャートシステム100は、直近のローソク足110のが示す終値と、気配値情報111が示す気配値とに基づき、両値の差を示すギャップ情報112を描画する。一例として、ギャップ情報112は、両値の差を埋める形で、少なくともローソク足110の終値と気配値情報111との間に描画される矩形状のシンボルである。チャートシステム100は、気配値が直近のローソク足110が示す終値と比較して値上がりした価格であるか値下がりした価格であるかに応じて、ギャップ情報112を異なる表示態様(例えば、異なる色、異なる色彩、異なるコントラスト等)で描画する。例えば、ギャップ情報112は、気配値が直近のローソク足が示す終値よりも高い場合は第1の色で描画され、気配値が直近のローソク足が示す終値よりも低い場合は第2の色で描画される。気配値と直近のローソク足が示す終値とが同値である場合は、第1の色、第2の色、もしくは別の第3の色で表示される。これにより、当該銘柄が前日終値よりも値上がりして寄付きそうか(ギャップアップしそうか)、前日終値よりも値下げ利して寄付きそうか(ギャップダウンしそうか)を、視覚的に瞬時に把握することを助けることができる。また、気配値と直近のローソク足が示す終値とが同値である場合は、ギャップが存在しないことから、チャートシステム100はギャップ情報112を描画しなくてもよい。
週足チャートの場合であっても、週の中で最初の取引開始日の取引開始時刻前であれば、当週のローソク足はまだ描画されていないため、日足のときと同じように、直近のローソク足(前週のローソク足)が示す終値と気配値を比較することにより、直近のローソク足から所定間隔を空けた当週のローソク足を描画する位置に気配値情報111とギャップ情報112とを描画するとよい。一方、週の中で最初の取引開始日以降の取引開始時刻前であれば、すでに当週のローソク足が描画されているため、日足のときとは違った表示態様となる。図4は、週足チャート上に気配値情報とギャップ情報とが表示された例を示す。図4の例は、週の中で三日目の取引開始時刻前に気配値情報とギャップ情報とを表示する例である。チャートシステム100は、当週のローソク足113が示す終値と気配値との比較に基づき、ローソク足113の表示位置に気配値情報111とギャップ情報112とを描画する。気配値情報111とギャップ情報112とは、ローソク足113に重畳する形で表示される。なお、月足チートの場合でも、月の中で最初の取引開始日の取引開始時刻前であれば、当月のローソク足はまだ描画されていないため、日足のときと同じように、直近のローソク足(前月のローソク足)が示す終値と気配値とを比較することにより、直近のローソク足から所定間隔を空けた当月のローソク足を描画する位置に気配値情報111とギャップ情報112とを表示するとよい。一方、月の中で最初の取引開始日以降の取引開始時刻前であれば、すでに当月のローソク足が描画されているため、この当月のローソク足の表示位置に気配値情報111とギャップ情報112とを描画する。
チャートシステム100は、取引開始時刻後であって当該銘柄が寄付いた時から、当日始値を含むローソク足を描画する。すなわち、気配値情報の描画から、当日始値を含むローソク足の描画にシームレスに遷移する。これに伴い、寄付いてローソク足の描画が始まると、チャートシステム100は、前日終値と当日始値との価格差を表す形でギャップ情報を表示し続ける。すなわち、前日終値と当日気配値との価格差を示すギャップ情報の描画から、前日終値と当日始値との価格差を示すギャップ情報の描画にシームレスに遷移する。寄付き前は気配値の随時変化に応じてギャップ情報の描画が変化するが、寄付き後は始値が固定されるため取引終了までギャップ情報の描画は変化しない。図5は、図3に示す日足チャートにおいて寄付き後の表示遷移を示す。図5に示すように、日足チャートでは寄付き後、チャートシステム100は、売買サーバー20から随時受信する現在株価に応じて当日のローソク足114を描画しつつ、前日終値と当日始値との価格差を表す形でギャップ情報112の描画を継続する。現在価格の変化によりギャップが埋められた場合であっても、図5に示すように、ギャップ情報112はローソク足114で完全に隠れてしまわないように表示される。例えば、図5に示すように、ギャップ情報112はローソク足114の足本体よりも幅広に描画されるとよい。
週足チャートの場合も、週の中で最初の取引開始日の寄付き後のローソク足の描画は、日足チャートと同様であり、チャートシステム100は、新たに当週のローソク足の描画を開始し、前週終値と当週始値(=当日始値)との価格差を表す形でギャップ情報112の描画を継続する。一方、すでに当週のローソク足が描画されているため、チャートシステム100は、週の中で最初の取引開始日以降の寄付き後は、売買サーバー20から随時受信する現在株に基づき表示済みの当週のローソク足の描画を更新する。これに伴い、寄付いてローソク足の描画更新が始まると、チャートシステム100は、当週のローソク足の表示位置に、前日終値と当日始値との価格差を示す形でギャップ情報を表示しづける。図6は、図4に示す週足チャートにおいて寄付き後の表示遷移を示す。図6に示すように、週の中で最初の取引開始日以降の週足チャートでは寄付き後、チャートシステム100は、売買サーバーから随時受信する現在株価に応じて当週のローソク足113の描画を更新しつつ、前日終値と当日始値との価格差を表す形でギャップ情報112の描画を継続する。図6に示すように、ギャップ情報112がローソク足113の株価変動の表示を阻害してしまわないように、かつ、ローソク足113の株価変動の表示がギャップ情報112の表示を阻害してしまわないように、ローソク足113とギャップ情報112とは表示される。例えば、図6に示すように、ローソク足113とギャップ情報112とは重畳して描画され、ギャップ情報112がローソク足113の足本体よりも幅狭に描画されるとよい。
(2.過去の平均ギャップとの乖離率情報)
気配値情報111やギャップ情報112によって、前日終値からのギャップアップ又はギャップダウンを把握することができるが、さらに、このギャップアップやギャップダウンの程度が過去の平均的なギャップアップやギャップダウンと比べてどの程度のものであるかが分かると有用である。すなわち、平均的に日々のギャップアップやギャップダウンが小さい銘柄について突然大きなギャップアップやギャップダウンが生じた場合、これを瞬時に視覚的に把握することができると投資判断に有用である。そこで、チャートシステム100は、過去X日間(例えば過去25日間)のギャップアップ又はギャップダウンの値幅を平均した平均ギャップ値を導出し、この平均ギャップ値を示す平均ギャップ情報と、当日のギャップアップ又はギャップダウンが平均ギャップ値からどの程度乖離しているかを示す乖離率情報とを、チャート表示101上に描画する。なお、過去X日間のXの値は予めプリセットされていてもよいし、ユーザーがコンピューター10の入力手段を用いて任意に指定することが可能であってもよい。
チャートシステム100は、チャート表示101上において、当該銘柄の過去X日間の平均ギャップ値を導出し、平均ギャップ情報と乖離率情報とを、気配値情報111やギャップ情報112とともに描画する。平均ギャップ値は、過去X日間における前日終値と翌日始値の差であるギャップ値の平均である。例えば、過去3日間における平均ギャップ値は、4日前の終値と3日前の始値の差(第1ギャップ値)と、3日前の終値と2日前の始値の差(第2ギャップ値)と、2日前の終値と1日前(前日)の始値の差(第3ギャップ値)とを合計して3で割ることにより、算出することができる。例えば、第1ギャップ値が+50円、第2ギャップ値が+100円、第3ギャップ値が-30円である場合、平均ギャップ値は、(50円+100円-30円)÷3=+40円と算出することができる。チャートシステム100は、平均ギャップ値である値幅を視覚的に表す平均ギャップ情報を、配値情報111やギャップ情報112と視覚的に比較可能なように描画する。図7は、当該銘柄の寄付き前に日足チャート上に平均ギャップ情報115が表示されている例を示す。図7に示す例では、平均ギャップ情報115は、前日のローソク足110が示す前日終値の位置を基準とし、平均ギャップ値の値幅に相当する帯状または矩形状のシンボルとして描画される。平均ギャップ情報115は、ギャップ情報112とともに、ギャップ情報112の近傍に描画されるとよい。平均ギャップ情報115は、ギャップ情報112とは異なる表示態様(例えば、異なる色彩)で区別可能に描画されるとよい。また、図8に示すように、ギャップ情報112を表示せずに、気配値情報111とともに平均ギャップ情報115を描画するようにしてもよい。チャートシステム100は、当該銘柄の寄付き後も継続して、平均ギャップ情報115を表示し続けてもよい。図9は、当該銘柄の寄付き後に日足チャート上に平均ギャップ情報115が表示されている例を示す。図9に示す例では、平均ギャップ情報115は、当日ローソク足114とギャップ情報112とともに描画される。寄付き後においても図10に示すように、ギャップ情報112は表示せずに、当日ローソク足114の描画と重畳する形で平均ギャップ情報115を描画するようにしてもよい。
当該銘柄の寄付き前、チャートシステム100は、導出した平均ギャップ値と気配値とに基づいて、乖離率を導出して乖離率情報をチャート表示101上に表示する。乖離率は、当日のギャップが過去の平均ギャップ値と比べてどの程度乖離しているかを示すものであり、寄付き前の場合は気配値に基づいて当日どの程度ギャップして始値が付きそうかを示す。チャートシステム100は、寄付き後も、平均ギャップ値と当日始値とに基づいて乖離率情報を表示し続けるとよい。乖離率は、(気配値又は始値-前日終値)÷平均ギャップ値で求めることができ、例えば、気配値が1,000円で前日終値が940円で平均ギャップ値が50円である場合、(1,000円-940円)÷50円=1.2となり、乖離率は+20%となる。
チャートシステム100は、寄付き前、気配値情報111の表示態様の変化により乖離率を表示してもよい。例えば、図11に示すように、チャートシステム100は、複数の乖離率に応じて異なる色彩を設定する設定情報120を保持し、この設定情報120を参照して、導出した乖離率に応じた色彩で気配値情報111を描画するとよい。例えば、チャートシステム100は、導出した乖離率が+20%である場合、気配値情報111を色4で表示する。また、チャートシステム100は、寄付き前及び寄付き後において、ギャップ情報112の表示態様の変化により乖離率を表示してもよい。この場合、上記したように、設定情報120を参照して、導出した乖離率に応じた色彩でギャップ情報112を描画するとよい。また、チャートシステム100は、図12及び図13に示すように、チャート表示101上において、数値により乖離率情報116を表示するようにしてみよい。図12に示すように、寄付き前、乖離率情報116は気配値情報111の近傍に表示されるとよい。図13に示すように、寄付き後、乖離率情報116は当日ローソク足114の近傍に表示されるとよい。
チャートシステム100は、過去の平均ギャップ値の導出の際、ギャップアップの場合(前日終値から翌日始値が上昇した場合)とギャップダウンの場合(前日終値から翌日始値が上昇した場合)とで別々に算出してもよい。この場合、チャートシステム100は、過去ギャップアップしたX日分の平均ギャップアップ値と、過去ギャップダウンしたX日分の平均ギャップダウン値とを別々に導出する。チャートシステム100は、寄付き前、平均ギャップ情報115を表示する際、気配値が前日終値よりも上昇しているか下落しているか(すなわち、当日ギャップアップしそうかギャップダウンしそうか)に応じて、選択的に平均ギャップアップ値または平均ギャップダウン値を示す平均ギャップ情報115を表示するとよい。すなわち、当日ギャップアップしそうな場合は、平均ギャップアップ値の値幅を示す平均ギャップ情報115を描画し、当日ギャップダウンしそうな場合は、平均ギャップダウン値の値幅を示す平均ギャップ情報115を描画するとよい。同様に、チャートシステム100は、寄付き後、平均ギャップ情報115を表示する際、当日始値が前日終値よりも上昇しているか下落しているか(すなわち、当日ギャップアップしたかギャップダウンしたか)に応じて、選択的に平均ギャップアップ値または平均ギャップダウン値を示す平均ギャップ情報115を表示するとよい。すなわち、当日ギャップアップした場合は、平均ギャップアップ値の値幅を示す平均ギャップ情報115を描画し、当日ギャップダウンした場合は、平均ギャップダウン値の値幅を示す平均ギャップ情報115を描画するとよい。
また、チャートシステム100は、乖離率の導出も、平均ギャップアップ値と平均ギャップダウン値とで別々の乖離率を導出してもよい。この場合、チャートシステム100は、気配値又は当日始値が前日終値よりも上昇しているか下落しているか(すなわち、ギャップアップしそうか(したか)ギャップダウンしそうか(したか))に応じて、選択的に、平均ギャップアップ値との乖離率であるギャップアップ乖離率、または平均ギャップダウン値との乖離率であるギャップダウン乖離率を導出し、これに応じた乖離率情報を表示する。すなわち、当日ギャップアップしそうな場合又はした場合は、ギャップアップ乖離率を導出して表示し、当日ギャップダウンしそうな場合又はした場合は、ギャップダウン乖離率を導出して表示するとよい。
(3.取引制限価格帯情報)
取引所30で取引される金融商品には、所定の価格帯を超えて価格が大きく変動した時に取引が制限される制度が適用されている場合がある。このような制度の一例として、前日の終値を基準として一日当たりに変動可能(売買可能)な価格帯が設定されていて当該価格帯を超えた価格での売買が制限される、値幅制限の制度がある。価格帯の上限まで価格が上昇することをストップ高、下限まで価格が下落することをストップ安と呼ぶことがある。また、一日当たりに変動可能な価格帯が設けられていて、当該価格帯の上限又は下限に達すると一定時間(例えば15分間)取引が中止され、一定時間終了後に再度同じ価格帯又は拡大された価格帯で取引が再開される制度は、サーキットブレイカー制度と呼ばれることがある。これられのような変動可能な価格帯が設定されている場合に、チャート上で当該価格帯の情報が視覚的に瞬時に認識可能な表示されていると有用である。そこで、チャートシステム100は、金融商品の変動可能な価格帯に関する価格帯情報を保持し、価格帯情報に基づいて取引制限情報をチャート表示101上に描画する。
図14は、チャートシステム100が保持する価格帯情報の一例を示す。図14に示す価格帯情報121は、一例として、前日終値が属する価格帯に応じて定められた値幅制限を示す価格帯情報である。例えば、前日終値が1円以上100円未満である場合は当日の値幅が前日終値の±30円に制限され、前日終値が700円以上1000円未満である場合は当日の値幅が±150円に制限されることを示している。
チャートシステム100は、銘柄入力102で入力された銘柄(すなわち、チャート表示101上にチャートを描画している銘柄)の前日終値と、価格帯情報121とに基づき、チャート表示101上に取引制限情報を描画する。チャートシステム100は、取引時間内外に関わらず、もしくは少なくともいずれかにおいて、銘柄入力102で入力された銘柄の前日終値に基づき、価格帯情報121を参照して、当該銘柄の制限値幅を特定し、特定した制限値幅に対応する取引制限情報を描画する。取引制限情報は、一例として、特定した制限値幅に対応する線状、帯状または矩形のグラフィカルなシンボルである。図15は、一例として、銘柄入力102で入力された証券コード「2671」に対応する銘柄の取引制限情報130が表示されている例を示す。図15の例では、チャートシステム100は、当該銘柄の前日終値(560円とする)に基づき、価格帯情報121を参照して制限値幅(±100円)を特定し、前日終値に制限値幅を適用して上限を660円とし下限を460円とする帯状の取引制限情報130を描画する。図15の例では、当該銘柄の寄付き前であり、当該銘柄の前日ローソク足110から所定間隔を空けた位置に取引制限情報130が表示されている。図16は、当該銘柄がら寄付いて当日のローソク足114の描画されているときにおける、取引制限情報130を示す。チャートシステム100は、取引時間内に当該銘柄が寄付き後、当日のローソク足114を描画しつつ、取引制限情報130を描画する。図16に示すように、取引制限情報130は、当日のローソク足114に重畳して表示されるとよい。取引制限情報130は、帯状または矩形状であって、ローソク足114よりも幅広に表示されてもよい。
週足チャートの場合も、週の中で最初の取引開始日の寄付き後のローソク足の描画は、日足チャートと同様であり、チャートシステム100は、新たに当週(当日)のローソク足の描画の開始前(当該銘柄の寄付き前)、開始後(当該銘柄の寄付き後)の少なくとも一方において、当日の気配値情報111や当週(当日)ローソク足の描画とともに、当該銘柄の前日終値(前週終値)に基づき取引制限情報130を描画する。一方、週の中で最初の取引開始日以降の寄付き後は、チャートシステム100は、当週のローソク足113の描画とともに、当該銘柄の前日終値に基づいて取引制限情報130を描画する。図17は、当週のローソク足113とともに描画される取引制限情報130を示す。図17に示すように、チャートシステム100は、取引制限情報130は、当週のローソク足113に重畳して表示されるとよい。取引制限情報130は、帯状または矩形状であって、ローソク足113よりも幅広に表示されてもよい。
当該銘柄の寄付き前、チャートシステム100は、気配値情報111とギャップ情報112と取引制限情報130とを重畳してチャート表示101上に表示してもよい。図18は、日足チャート上に気配値情報111とギャップ情報112と取引制限情報130とが重畳して表示されている例を示す。ギャップ情報112と取引制限情報130とは互いに異なる色で表示されるとよい。ギャップ情報112と取引制限情報130とは互いに異なる幅で表示されるとよい。
(3.チャートインチャート表示)
チャートには日足、週足、分足等単位時間の異なるチャートがある。例えば、数日間から数十日間にわたる金融商品の価格トレンド(上昇トレンドであるか下降トレンドであるか)を把握するには日足チャートが有用であるし、一日の中での価格トレンドを把握するには分足チャートが有用である。このように金融商品の価格トレンドを詳細に把握、分析するために、ある金融商品について、単位時間の異なるチャートを見比べることがあるが、そのためにはチャート表示を切り替える必要があった。チャート表示を切り替えると、単位時間の異なるチャートで把握できる価格トレンド(例えば、日足チャートで把握できる価格トレンドと分足チャートで把握できる価格トレンド)間の関連性やつながりを把握することが難しかった。そこで、チャートシステム100は、チャート表示101上において、ある単位時間のチャートに別の単位時間のチャートを重畳して表示するチャートインチャート表示機能を有する。
チャートシステム100は、チャート表示101上で、描画中である第1単位時間のチャート(第1単位時間チャート)における任意のローソク足(第1単位時間ローソク足)を選択するユーザー選択を受け付ける。ユーザー選択は、コンピューター10の入力手段から受け付ける。チャートシステム100は、第1単位時間ローソク足の選択に応答して、第1単位時間と異なる第2単位時間のチャート(第2単位時間チャート)に含まれるローソク足(第2単位時間ローソク足)であって、選択された第1単位時間ローソク足に対応する第2単位時間ローソク足を描画する。具体的には、チャートシステム100は、第1単位時間よりも短い第2単位時間のチャートに含まれる、第1単位時間ローソク足が示す価格変動の期間における複数の第2単位時間ローソク足を描画する。例えば、チャートシステム100は、週単位(第1単位時間)の週足チャートを描画中、任意の週足ローソク足の選択を受け付け、これに応答して、日単位(第2単位時間)の日足チャート内の日足ローソク足であって選択された週足ローソク足が示す価格変動期間における複数の日足ローソク足を描画する。例えば、2020年4月1日~4月5日の5日間の価格変動を示す週足ローソク足が選択された場合、同じく2020年4月1日~4月5日の5日間における複数(5本)の日足ローソク足を描画する。チャートシステム100は、複数の第2単位時間ローソク足を、選択された第1単位時間ローソク足に重畳して描画するとよい。チャートシステム100は、複数の第2単位時間ローソク足が選択された第1単位時間ローソク足と重なるが、第1単位時間ローソク足を完全に隠してしまわないように描画するとよい。チャートシステム100は、複数の第2単位時間ローソク足を、選択された第1単位時間ローソク足と関連付けて、当該第1単位時間ローソク足の近傍に描画してもよい。図19及び図20は、チャートインチャート表示機能によって、銘柄入力102で入力された銘柄(証券コード2671)の週足チャートの描画中に日足チャートのローソク足を重畳表示する例を示す。図19及び図20に示すように、チャートシステム100は、週足チャート内の週足ローソク足140が選択されると、これに応答して、当該銘柄の日足チャート内の日足ローソク足であって週足ローソク足140が示す価格変動期間に相当する期間の複数の日足ローソク足141を、週足ローソク足140に重畳して描画する。図19及び図20の例では、ある5日間の週足ローソク足140が選択され、同じ5日間における5本の日足ローソク足141が描画されている。週足だと1本の週足ローソク足140で示される5日間の価格変動について、複数の日足ローソク足141によってより詳細に把握して分析することができる。チャートシステム100は、日足ローソク足141の描画に合わせて、日足ローソク足141の描画が週足ローソク足140と隣接する週足ローソク足142、143の描画と重ならないように、週足ローソク足140と隣接する週足ローソク足142、143との間隔を広げて描画するとよい。また、図21に示すように、チャートシステム100は、週足ローソク足140の選択に応答して、選択された週足ローソク足140の幅を広げて描画し、週足ローソク足の本体の中に日足ローソク足141を描画してもよい。図22に示すように、チャートシステム100は、選択された週足ローソク足140と関連付けられて、週足ローソク足140の近傍に日足ローソク足141を描画してもよい。
図19~図22の例では、週足チャートの中に日足チャートを描画する例で説明したが、同様に、例えば、日足チャート(第1単位時間チャート)の中に分足チャート(第2時間単位チャート)を表示することもできる。この場合、チャートシステム100は、日足チャートにおける日足ローソク足の選択を受け付け、これに応答して、選択された日足チャートの示す価格変動期間(例えば2020年4月1日の9:00~15:00)における分足チャートの複数の分足ローソク足(例えば、2020年4月1日の9:00~15:00における複数本の5分足)を描画する。また、チャートシステム100は、取引時間内のザラ場においても、チャートインチャート表示機能を実行してもよい。この場合、チャートシステム100は、随時描画を更新中である当日の第1単位時間ローソク足の選択を受け付け、これに応答して、第1単位時間ローソク足が示す価格変動期間の始期から現在時刻までの第2単位時間ローソク足を描画する。例えば、ザラ場において日足チャートを描画中、当日の日足ローソク足(例えば2020年4月1日当日)の選択をザラ場の10:00に受け付けると、これに応答して、分足チャートの分足ローソク足であって、選択された当日ローソク足が示す価格変動期間の始期(例えば2020年4月1日の当該銘柄の寄付き時刻9:00)から現在時刻(10:00)における複数本の分足ローソク足を描画する。
(3.注文機能1)
チャートシステム100は、チャート表示101上に表示されている金融商品を売買する注文を指示する注文指示機能を有する。通常、金融商品を購入する買い注文を指示するとき、購入したい単価(指値や成行)と、購入したいロット(株であれば株価)とを指示する必要がある。しかし、買い注文は、売買サーバー20を運営する金融機関に自分が預けている資金(購買余力)を超えない範囲で、購入したい総額に合うように単価とロットを計算して行わなければならない。すなわち、買い注文に際しては、購入したい総額(≦購入余力)となる「単価×ロット」を計算して、注文を指示する必要がある。例えば、ある銘柄を157円指値で100万円分購入しようとしたとき、100万÷157の計算をして6369ロットまで購入できることを確認し、6369ロットの買い注文を指示する必要がある。このような計算を瞬時に行って買い注文を行うことはユーザーにとって負担である。また、指値ではなく成行注文の場合、当該銘柄における当日の制限値幅の上限価格を基準として計算する必要がありさらに複雑である。さらに、購買余力いっぱいまで買いたい場合、金融機関が設定する手数料を考慮する必要もあり、何ロットまでの買い注文を指示できるか瞬時に計算することは困難である。そこで、チャートシステム100は、ある銘柄について購入希望金額と、当該銘柄の価格に基づいて、自動的に購入ロットを導出し、買い注文を指示する。
チャートシステム100は、チャート表示101上で、チャート表示101上に表示されている金融商品(すなわち銘柄入力102で入力された銘柄)の買い注文指示を受け付ける。図23~図25は、チャート表示101上で買い注文を受け付ける一例を示す。図23に示すように、チャートシステム100は、チャート表示101上で当該銘柄のユーザー選択を受け付け、これに応答して、買い注文UI150を表示する。ユーザー選択は、例えば、描画されているチャートの任意のローソク足の選択である。買い注文UI150は、ともに選択可能な、指値注文指示UI要素150aと成行注文指示UI要素150bとを含む。チャートシステム100は、指値注文指示UI要素150aの選択を受け付けると、指値注文UI151を表示する。指値注文UI151は、購買余力表示151aと、購入希望額入力151bと、指値額入力151cとを含む。購買余力表示151aは、ユーザーが金融機関に預けていて金融商品の購入に使える総額である購買余力をユーザーに提示する。金融機関の売買サーバー20ではユーザーのアカウント毎に購買余力を管理しており、チャートシステム100は、ユーザーのアカウントに対応する購買余力の情報を売買サーバー20から受信して保持している。チャートシステム100は、保持しているユーザーの購買余力の情報を参照して、購買余力表示151aを表示する。購入希望額入力151bは、当該銘柄を購入したい総額の入力を受け付けるUI要素である。チャートシステム100は、購入希望額入力151bにて、コンピューター10の入力手段を用いてユーザーによる金額入力を受け付ける。指値額入力151cは、当該銘柄を購入する単価を指定する指値の金額の入力を受け付ける。チャートシステム100は、指値額151cにて、コンピューター10の入力手段を用いてユーザーによる金額入力を受け付ける。一方、チャートシステム100は、成行注文指示UI要素150bの選択を受け付けると、成行注文UI152を表示する。成行注文UI152は、購買余力表示152aと購入希望額入力152bとを含む。購買余力表示152aは、指値注文UI151で表示される購買余力表示151aと同様である。購入希望額入力152bは、指値注文UI151で表示される購入希望額入力151bと同様である。成行注文UI152には、対象銘柄を購入する単価を指定するUI要素はない。
指値注文の場合、チャートシステム100は、購入希望額入力151bに入力された購入希望総額と、指値額入力151cに入力された指値とに基づき、当該銘柄を購入するロットを自動的に導出し、指値額入力151cに入力された指値と導出されたロットとを示す指値買い注文指示を生成する。例えば、購入希望総額が1,000,000円で指値が158円である場合、1,000,000÷158を計算し、その答えが6,329.113924・・・であるので、6,329ロットまで購入できることが分かり、チャートシステム100は、指値158円と購入ロット6,329を示す指値買い注文指示を生成する。なお、金融商品には購入の際のロット単位が決まっていることがある。例えば、株の場合株単元(例えば、1株、10株、100株等)が決まっており、このような場合、株単元もさらに考慮してロットを導出するとよい。チャートシステム100は、購入ロット単位に関する情報を売買サーバー20から受信し、保持する。チャートシステム100は、購入希望額入力151bに入力された購入希望総額と、指値額入力151cに入力された指値と、購入ロット単位とに基づき買い注文指示を生成するとよい。例えば、上記購入希望総額が1,000,000円で指値が158円である場合で、購入ロット単位が10ロット(例えば、株単元が10株)であるとき、10の位未満を切り捨てて6,320ロットが購入できることが分かり、指値158円と購入ロット6,320を示す指値買い注文指示を生成する。また、チャートシステム100は、購入希望額入力151bに入力された金額が、購買余力表示151aに表示されている金額よりも多い場合、買い注文が出せないことからユーザーに警告を発するとよい。警告は、UI要素でその旨を表示するとよい。また、金融商品の購入に所定の手数料が必要である場合、当該手数料も考慮する必要がある。このため、チャートシステム100は、売買サーバー20から手数料に関する情報を受信し、購買余力表示151aに表示されている金額から当該手数料を差し引いた金額を上限として、購入希望額入力151bに入力された金額がこの上限を超えている場合、ユーザーに警告を発するとよい。代替的には、チャートシステム100は、予め手数料分を差し引いた金額を購買余力表示151aに表示するようにしてもよい。
成行注文の場合、チャートシステム100は、購入希望金額152bに入力された購入希望総額と、当該銘柄の当日変動可能な価格帯の上限値とに基づき、当該銘柄を購入するロットを自動的に導出し、導出されたロットで成行買い注文指示を生成する。具体的には、チャートシステム100は、当該銘柄の前日終値に基づき、価格帯情報121を参照して、当該銘柄の当日変動可能な価格帯の上限値(制限値幅の上限値)を特定し、この上限値と購入希望総額とに基づいてロットを算出する。例えば、当該銘柄の前日終値が560円である場合、価格帯情報121を参照すると当日変動可能な価格帯(制限値幅)は±100円であるため上限値として660円が特定される。例えば、購入希望総額が1,000,000円である場合、1,000,000÷660を計算し、その答えが1,515.1515・・・であるので、1,515ロットまで購入できることが分かり、チャートシステム100は、購入ロット1,515を示す成行買い注文を生成する。なお、金融商品には購入の際のロット単位が決まっていることがある。例えば、株の場合株単元(例えば、1株、10株、100株等)が決まっており、このような場合、株単元もさらに考慮してロットを導出するとよい。チャートシステム100は、購入ロット単位に関する情報を売買サーバー20から受信し、保持する。チャートシステム100は、購入希望額入力152bに入力された購入希望総額と、価格帯情報121を参照して特定される上限値と、購入ロット単位とに基づき買い注文指示を生成するとよい。例えば、上記購入希望総額が1,000,000円で特定した上限値が660円である場合で、購入ロット単位が10ロット(例えば、株単元が10株)であるとき、10の位未満を切り捨てて1,510ロットが購入できることが分かり、購入ロット1,510を示す成行買い注文指示を生成する。また、チャートシステム100は、購入希望額入力152bに入力された金額が、購買余力表示152aに表示されている金額よりも多い場合、買い注文が出せないことからユーザーに警告を発するとよい。警告は、UI要素でその旨を表示するとよい。また、金融商品の購入に所定の手数料が必要である場合、当該手数料も考慮する必要がある。このため、チャートシステム100は、売買サーバー20から手数料に関する情報を受信し、購買余力表示152aに表示されている金額から当該手数料を差し引いた金額を上限として、購入希望額入力152bに入力された金額がこの上限を超えている場合、ユーザーに警告を発するとよい。代替的には、チャートシステム100は、予め手数料分を差し引いた金額を購買余力表示152aに表示するようにしてもよい。
チャートシステム100は、生成した指値買い注文指示又は成行買い注文指示を売買サーバー20に送信する。買い注文指示は、買い注文する金融商品(銘柄)を示す情報(例えば証券コード)、購入ロットを示す情報、及び指値買い注文の場合は指値を示す情報を、含む。売買サーバー20は、買い注文情報に基づいて指値又は成行で買い注文を取引所30のコンピューターに送信することで注文を執行する。
(4.注文機能2)
チャートシステム100は、チャート表示101上に表示されている金融商品を売買する注文を指示する注文指示機能を有する。通常、金融商品を購入する買い注文を指示するとき、購入したい単価(指値や成行)と、購入したいロット(株であれば株価)とを指示する必要がある。また、売り中の場合も同様に、売却したい単価とロットとを指示する必要がある。しかし、購入したい単価は絶対数(例えば指値500円)での金額で指定したい場合だけでなく、他の要素との比較に基づく相対的な金額で指定したいこともあろう。例えば、売買対象の銘柄が当日変動可能な価格帯と比較し、価格帯の上限から数十%以下で指値買い注文を出したいといった場合である。これは、例えばデイトレーダーによる「当日変動可能な価格帯の上限付近で購入しても当日の値上がり余地は小さいから購入すべきではない」といった判断が働くような場合である。また、同様に、購入していた銘柄の売り注文を出す場合、当該銘柄の当日変動可能な価格帯と比較し、価格帯の上限から数%以下で指値売り注文を出したいといった場合がある。これは、例えば、「これ以上値上げり余地の小さくなる価格で売却しておこう」といったデイトレーダーの判断が働くような場合である。そこで、チャートシステム100は、ある銘柄について、価格帯情報121を参照して当該銘柄の当日変動可能な価格帯に基づく売買注文を可能とする。
チャートシステム100は、図23で示した買い注文UI150において指値注文指示UI要素150aの選択を受け付けると、図26に示すような指値注文UI153を表示する。指値注文UI153は、購買余力表示153aと、制限価格帯情報153bと、指値額入力153cと、購入可能ロット情報153dと、購買単価入力153eとを含む。購買余力表示153aは、購買余力表示151aと同様に、ユーザーが金融機関に預けていて金融商品の購入に使える総額である購買余力を示す。制限価格帯情報153bは、当該銘柄の当日変動可能な価格帯を示す情報を提示するものであり、具体的には、当該銘柄の前日終値に基づき、価格帯情報121を参照して特定される価格帯を表示する。図26に示す例では、当該銘柄(証券コード2671に対応する銘柄)の前日終値が560円であり、価格帯情報121を参照すると、当該銘柄の当日制限価格帯(制限値幅)は±100円であることから、制限価格帯情報153bとして「460円~660円」が表示されている。指値額入力153cは、当該銘柄を購入したい単価の入力を受け付けるUI要素であって、当該銘柄の当日可能な価格帯(制限値幅)の中でどの程度の価格で購入したいかを受け付ける。例えば、図26に示すように、百分率により制限値幅の上限価格と比べて相対的に何パーセントの価格で指値注文した以下の指示を受け付ける。チャートシステム100は、指値額入力153cにて、コンピューター10の入力手段を用いてユーザーによる入力(例えば、百分率の入力)を受け付ける。百分率の他に、割合での入力や、制限値幅の上限価格からいくら低い価格であるか直接示す価格の入力であってもよい。チャートシステム100は、指値額入力153cにて入力された情報に基づいて指値注文を行う価格(指値)を自動的に決定する。一例として、制限値幅が460円~660円であるとき、指値額入力153cに「10%」が入力された場合、660円の10%である66円を660円から引いた額である594円(すなわち、上限価格660円から10%低い価格として594円)を指値注文金額として決定するとよい。別の例として、制限値幅が460円~660円であるとき、指値額入力153cに「10%」が入力された場合、660円÷1.1を計算して求まる600円(すなわち、上限価格660円に対して購入後10%まで上昇余力が見込める価格として600円)を指値注文金額として決定するとよい。別の例として、制限値幅が460円~660円であるとき、指値額入力153cに「50円」が入力された場合、660円から50円を引いた額である610円を指値注文金額として決定するとよい。チャートシステム100は、購入余表示153aに示さられている購入余力額と、指値額入力153cに入力された価格から決定された指値注文金額とに基づき、指値注文可能なロットを算出し、算出した指値注文可能なロットを購入可能ロット情報153dに表示する。具体的には、購入余力額÷指値注文金額により算出される。図26に示す例では、購入可能ロット情報153dとして5,000ロット(5,000株)が表示されている。購買単価入力153eは、当該銘柄を購入したいロット(株数)の入力を受け付けるUI要素であり、購入可能ロット情報153dに表示されているロット以下の数字による購入ロットの指定を受け付ける。チャートシステム100は、購買単価入力153eにて、コンピューター10の入力手段を用いてユーザーによる入力を受け付ける。
チャートシステム100は、指値額入力153cにて入力された情報に基づいて自動的に決定された指値と、購買単価入力153eにてユーザーにより入力されたロットとを示す指値買い注文指示を生成する。チャートシステム100は、生成した指値買い注文指示を売買サーバー20に送信する。買い注文指示は、買い注文する金融商品(銘柄)を示す情報(例えば証券コード)、購入ロットを示す情報、及び指値を示す情報を、含む。売買サーバー20は、買い注文情報に基づいて指値で買い注文を取引所30のコンピューターに送信することで注文を執行する。
(5.PTS価格情報)
売買サーバー20を運営する金融機関は、PTS(私設取引所)の運営も行い、同一の銘柄について取引所30を通じた売買とPTSでの売買を行うものであってもよい。この場合、売買サーバー20は、公設の取引所30との間で通信を行い金融商品の価格の取得や金融商品の売買指示を行うとともに、PTSの運営を行ってPTS内での金融商品の売買指示を行う。売買サーバー20は、同一の金融商品について、取引所30で取引されている気配値や現在価格や過去価格をコンピューター10に送信するとともに、PTSで取引されている気配値や現在価格や過去価格をコンピューター10に送信する。チャートシステム100は、同一の金融商品について、売買サーバー20から受信した取引所30で取引されている価格情報をチャートで描画し、売買サーバー20から受信したPTSで取引されている価格情報をチャートで描画する。チャートシステム100は、チャート表示101において、取引所30で取引されている価格情報をチャート描画する際に、同時に、関連するPTSで取引された又は取引されている価格情報を補助的に描画する機能を有する。
図27は、取引所30での取引時間とPTSでの取引時間との関係の一例を示す図である。一例として、取引所30の取引時間とPTSの取引時間は一部が重複しながら互いに相違している。図27に示す例では、取引所30での取引は、9:00~11:30の間の前場と12:30~15:00の間の後場で行われ、PTSは8:20~16:00の間のデイタイムセッションと16:30~23:59の間のナイトタイムセッションで行われる。前場と後場の間は、並行してPTSのデイタイムセッションで取引が可能である。
チャートシステム100は、取引所30での取引の寄付前において、銘柄入力102で入力された金融商品について取引所30での取引における時系列の価格に基づき複数のローソク足を描画することでチャートを描画するとともに、同じ金融商品のPTS取引価格に関するPTS価格情報を描画する。PTS価格情報は、例えば、当日の寄付前のデイタイムセッションにおける時系列価格変動を示すローソク足であってもよいし、前日のナイトタイムセッションにおける時系列価格変動を示すローソク足であってもよいし、前日のナイトタイムセッションから当日の寄付き前のデイタイムセッションにおける時系列価格変動を示すローソク足であってもよい。また、PTS価格情報は、例えば、当日の寄付き前のデイタイムセッションにおける最新価格を示すGUI要素であってもよいし、前日のナイトタイムセッションにおける最新価格(終値)を示すGUI要素であってもよい。
図28は、日足チャートにおいてPTS価格情報が描画されている例を示す。図28に示す例では、チャートシステム100は、当日寄付き前において、銘柄入力102で入力された証券コード2671に対応する銘柄の取引所30での取引価格の時系列変動に基づき複数の日足ローソク足でチャートを描画しつつ、直近のローソク足(前日の四本値を示すローソク足)110の近傍に、PTS価格情報160を描画する。PTS価格情報160は、例えば、前日のナイトタイムセッションから当日デイタイムセッションの現時刻までの取引価格に基づくローソク足である。PTS価格情報160がローソク足である場合、ローソク足110とは異なる表示態様(色、色彩、コントラスト等)で描画される。すなわち、ローソク足110の陽線が第1表示態様で表示され、ローソク足110の陰線が第2表示態様で表示されるとき、PTS価格情報160の陽線は第3表示態様で描画され、PTS価格情報160の陰線は第4表示態様で描画されるとよい。図29は、PTS価格情報160がバー状のGUI要素で描画される例を示す。図29に示す例では、PTS価格情報160は、証券コード2671に対応する銘柄の最新価格(デイタイムセッションでの現在値)の位置に描画される。
図30は、日足チャートにおいて、当日寄付き後のザラ場に証券コード2671に対応する銘柄のPTS価格情報160が描画されている例を示す。図30に示す例では、当日の取引所30での取引価格(当日の四本値)を示すローソク足114とともに、ローソク足114の近傍に比較できる形でPTS価格情報160が描画されている。PTS価格情報160は、例えば、前日のナイトタイムセッションから当日デイタイムセッションの現時刻までの取引価格に基づくローソク足である。PTS価格情報160がローソク足である場合、ローソク足114とは異なる表示態様(色、色彩、コントラスト等)で描画される。すなわち、ローソク足114の陽線が第1表示態様で表示され、ローソク足114の陰線が第2表示態様で表示されるとき、PTS価格情報160の陽線は第3表示態様で描画され、PTS価格情報160の陰線は第4表示態様で描画されるとよい。寄付き前と同様に、寄付き後も図31に示すようにPTS価格情報160は、バー状のGUI要素で描画されてもよい。
チャート表示101上にPTS価格情報160を描画することにより、当日取引所30における寄付き後の気配値や寄付き後の取引価格を、PTSの前日ナイトタイムセッションや当日デイタイムセッションにおける価格と比較して把握することができ、より高度にユーザーの投資判断を支援することができる。なお、図28~30の例では日足チャート上でPTS価格情報160を描画する例で説明したが、週足チャートなど異なる時間軸のローソク足のチャート上でも同様にPTS価格情報160を描画することができる。また、チャートシステム100は、チャート表示101上において、上述した気配値情報111、ギャップ情報112、平均ギャップ情報115、乖離率情報116、取引制限情報130、及びPTS価格情報160のうち一部または全部を同時に描画してもよい。図32は、チャート表示101上において、コード2671に対応する銘柄の寄付き前に、気配値情報111、ギャップ情報112、平均ギャップ情報115、乖離率情報116、取引制限情報130、及びPTS価格情報160が全て同時に並べて描画されている例を示す。図33は、チャート表示101上において、コード2671に対応する銘柄の寄付き後のザラ場に、当日ローソク足114とともに、ギャップ情報112、平均ギャップ情報115、乖離率情報116、取引制限情報130、及びPTS価格情報160が全て同時に並べて描画されている例を示す。図32~33に示すように、いずれの情報も一目で視認可能なように、各情報は並んで表示されるとよい。
コンピューター10やチャートシステム100のハードウェア構成例を以下の通り説明する。図34は、コンピューター10のハードウェア構成例を示すブロック図である。コンピューター10は、パーソナルコンピューター(PC)、タブレット、ワークステーション等のコンピューターである。コンピューター10は、プロセッサー11と、表示部12と、入力部13と、通信部14と、メモリー15とを備える。各部はバスによって相互に接続されている。
プロセッサー11は、各部を制御する制御部であり、各部から信号を受信して処理したり、各部へ指令信号を送信したりする。プロセッサー11は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等を含む。プロセッサー11は、メモリー15に保持されているコンピュータープログラムを実行することで各種機能を発揮する。
表示部12は、液晶や有機EL等の表示素子を含むディスプレイであり、プロセッサー11から出力されるビデオデータに基づいて映像を表示する。上述したチャート表示101を含むGUIは表示部12に表示される。
入力部13は、ユーザーの指定や選択等の操作を受け付け、入力信号をプロセッサー11に送出する入力デバイスである。入力部13は、例えば、物理的なキーパッド、ボタン等でもよいし、ユーザーの指やスタイラスの接触を検知するタッチセンサーを含むものであってもよい。表示部12と入力部13とが一体化してタッチパネルを構成してもよい。入力部13は、銘柄入力102でのユーザー入力操作、足選択103でのユーザー選択操作、チャート表示101上でのローソク足の選択操作、注文UI150、151、152、153でのユーザー入力操作等、各種操作入力を受け付ける。
通信部14は、インターネットを通じて売買サーバー20や取引所30のコンピューターと接続するための通信回路である。通信部14は、イーサネットケーブル等を通じて有線でインターネット通信を行う通信回路や、無線LAN等を通じて無線でインターネット通信を行う通信回路であるとよい。
メモリー15は、データを保持する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)やRAM(Ramdom Access Memory)やそれらの組み合わせ等である。プロセッサー11は、各種データをメモリー15に書き込み、保持させることができるとともに、メモリー15に保持されているデータを読み出して処理することができる。メモリー15には、チャートプログラム15aが保持されている。チャートプログラム15aは、上述したチャートシステム100が有する機能を実行する命令が書かれたコンピュータープログラムである。プロセッサー11がチャートプログラム15aを実行することによりチャートシステム100が実現する。
以上、図1~図34を用いて本発明の実施形態を説明したが、これは限定的ではなく例示的なものである。特許請求の範囲に記載する本発明の精神を逸脱することなく、実施形態に対して様々な修正や変更がなされ得ることは明らかである。