JP7337958B2 - 敏感な製品を取り扱う設備、特に包装設備 - Google Patents

Description

本発明は、敏感な製品、特に液状または粉末状の製剤等を取り扱う設備と、特に製剤のための容器を充填しかつ閉鎖する包装設備とに関する。

製剤製品の取扱い時に、このような製剤製品が詰められる容器の充填および閉鎖時には、高い純度要求を満たさなければならない。このような包装設備は、たとえば、独国特許出願公開第１９９４７７８６号明細書から公知である。この包装設備は、アイソレータとして構成された、高い要求を有するクリーンルームを有している。さらに、このようなクリーンルーム内の空気を、詰められた製品の微生物学的な汚染を阻止するために監視することも公知である。このためには、クリーンルーム内に、対応する培地を備えたシャーレが配置されている。このようなシャーレの取扱いは、アイソレータ内のグローブ介入部によって手動で行われる。場合によっては、シャーレに製品の充填されたバッチを割り当てることができるように、シャーレへの手動の書込みも行われる。しかし、包装設備内への手動の介入により、手動の操作時のエラーが発生してしまうリスクが増加する。さらに、シャーレの取扱いは、ヒューマンファクターによって再現可能に実施することができない。発生する人為的エラーには、たとえば、シャーレの早すぎるもしくは遅すぎる開放、またはクリーンルーム内でのシャーレの誤った位置決めがある。別のエラー源は、間違った、または不完全な書込みにある。したがって、改善された包装設備を有することが望ましい。
欧州特許出願公開第１４６０１２６号明細書および国際公開第２０１８／０５０８８９号が、それぞれ請求項１に記載の特徴を備えた設備を示している。

これに対して、請求項１の特徴部に記載の特徴を有する繊細な製品を取り扱う本発明に係る設備は、自動化による確実かつ簡単な取扱いが可能であるという利点を有している。この場合、設備内における微生物学的な空気監視時の人為的なエラーを回避することができる。設備の外側から人間が手動で介入することは、もはや必要ない。これにより、たとえば製剤が詰められる場合に、設備内のプロセス全体のための薬学的なリスクの著しい減少が生じる。また、設備内へのグローブ介入時に発生する、起こり得るユーザーの怪我も排除することができる。このことは、本発明によれば、設備が、敏感な製品が取り扱われる閉じられた空間と、この閉じられた空間内の空気を監視する装置とを備えていることによって達成される。空気を監視する装置は、測定箇所と、少なくとも１つのシャーレとを備えている。シャーレは、閉じられた空間の内部に配置されており、下側の受け皿（皿部）と蓋とを有している。さらに、設備は、自動取扱い装置を備えており、取扱い装置は、シャーレの下側の受け皿から蓋を自動化して取り外し、それを被せるように構成されている。閉じられた空間での微生物学的な空気監視を可能にするために、シャーレ内には培地等が設けられている。このために、今、自動取扱い装置により、シャーレを自動的に閉じたまま測定箇所にもたらし、蓋をシャーレから取り除き、予め規定された保管場所に置く。予め規定された時間の経過後に、蓋を再び持ち上げ、シャーレの下側の受け皿に被せ、シャーレをたとえばマガジン内の保管場所にもたらす。場合によっては、自動的に新しいシャーレを取り出し、測定箇所に位置決めし、新しいシャーレの蓋を取り外し、２回目の測定を実施する。したがって、本発明によれば、設備内において微生物学的な空気監視を完全に自動化して実施することができ、この場合に、ユーザーが外部からグローブ介入部等によりシャーレの取扱いを実施する必要はない。
本発明によれば、自動取扱い装置は、別の取扱いステップ、特に容器の搬送ステップを実行するように構成されている。これにより、自動取扱い装置が、空気監視の他に、付加的なタスクを引き受けることが可能である。たとえば、製品が詰められるべき容器の搬送は、容器のための充填ステーションと閉鎖ステーションとの間の閉じられた空間の内部で実施することができる。代替的または付加的には、自動取扱い装置が、空の容器および／または充填された容器を、保管場所から、または保管場所へと搬送することもできる。

従属請求項は、本発明の好適な改良形を示している。

好適には、設備は、多数のシャーレを備えている。多数のシャーレは、好適には、収集ヘッドおよびシャーレのためのマガジンを備えた空気取込み器内に設けられている。自動取扱い装置は、好適には、空気取込み器の収集ヘッドも自動的に取り外し、被せることができる。これにより、自動化の度合いをさらに高めることができる。

特に好適には、設備は、容器に敏感な製品を詰める充填ステーションと、充填された容器を閉じる閉鎖ステーションとをさらに備えている。自動取扱い装置は、特に好適には、容器を充填ステーションから閉鎖ステーションへと搬送するように構成されている。容器を個別に搬送するか、または代替的には同時に複数の容器を搬送することができる。この場合、複数の容器を同時に収容するために、付加的なフォーマット装置が設けられていてよい。

自動取扱い装置は、特に好適にはロボットである。ロボットは、好適には、６軸ロボットである。ロボットは、さらに好適には、少なくとも２つのグリッパジョーを備えたグリッパを有している。容器またはシャーレは、両グリッパジョーの間に挟み込むことができる。さらに好適には、ロボットがグリッパを交換することができ、これにより種々異なるグリッパジョーをロボットに取付け可能である。これは、たとえば、自動取扱い装置が、シャーレを用いた空気監視のためにも容器の搬送のためにも使用される場合に必要となり得る。

本発明の好適な別の１つの実施形態によれば、設備は、識別装置をさらに有している。識別装置は、シャーレを識別し、微生物学的な空気監視を実施するためにシャーレが開放されていた測定時間をこのシャーレに割り当てるように構成されている。

好適には、各シャーレは個別の光学的な認識記号を有している。これは、たとえば、バーコードや識別番号等であってよい。さらに、識別装置は、光学的な認識装置を有している。これは、たとえば、スキャナまたはカメラ等であってよい。

特に好適には、設備の閉じられた空間は、設備がアイソレータ設備またはＲＡＢＳ設備（アクセス制限バリアシステム：ｒｅｓｔｒｉｃｔｅｄ－ａｃｃｅｓｓ ｂａｒｒｉｅｒ ｓｙｓｔｅｍ）であるように構成されている。したがって、本発明に係る設備は、空気の質に対する高められた要求を有するクリーンルーム設備である。これは、たとえば、製剤または精密化学品等の取扱い時に必要である。

以下に、本発明の好適な実施形態による敏感な製品を取り扱う設備が詳細に説明される。

本発明の好適な実施例による設備の概略的な斜視図である。 微生物学的な空気監視のための設備内における自動化された取扱いを示す概略図である。 微生物学的な空気監視のための設備内における自動化された取扱いを示す概略図である。 微生物学的な空気監視のための設備内における自動化された取扱いを示す概略図である。

以下で、図１～図４を参照しながら、本発明の好適な第１の実施例による充填兼包装設備が詳細に説明される。

図１の概略図から分かるように、設備１は、空間壁２０，２１により環境から隔てられた閉じられた空間２を含んでいる。空間壁２０には、閉じられた空間２内へのグローブ介入（図示せず）を可能にするための複数のハンド介入部８が設けられている。

設備１は、製剤製品のための充填兼閉鎖設備であり、充填ステーション１０および閉鎖ステーション１１を備えている。これらの充填ステーション１０および閉鎖ステーション１１は、図１には単に概略的にしか図示されていない。

さらに、閉じられた空間２内の微生物学的な空気監視のために、空気を監視する装置３が設けられている。この装置３は、図２～図４の詳細において明らかである。

空気を監視する装置３は、多数のシャーレ３０を有するマガジン３３を備えている。この実施例では、まさに３つのシャーレ３０が設けられている。

各シャーレ３０は、下側の受け皿３１（皿部）と蓋３２とを含む。下側の受け皿３１内には培地等が導入されている。製剤製品の充填および閉鎖中に、シャーレは開放され、閉じられた空間２内に場合によっては存在する細菌がシャーレ内に沈積する。容器の充填および閉鎖が行われた後に、このシャーレを設備１から取り出し、別の検査に送ることができる。充填時に開放されたシャーレ内に細菌がいないことが確認された後にようやく、対応して充填されたバッチの製剤が出荷される。

図２～図４から分かるように、このために、空気を監視する装置３は、シャーレ３０を互いに上下に保管することができる鉛直方向のマガジン３３を備えている。マガジン３３の隣には、空気取込み器のいわゆる収集ヘッド３４が位置しており、この空気取込み器内に開放させたシャーレが位置決めされ、これにより空気監視を実施することができる。したがって、測定箇所６は、収集ヘッド３４内に設けられている。

空気を監視する装置３は、収集ヘッド３４の他に、空気排出管３５をさらに備えており、これにより空気が上方から収集ヘッド３４内へこの収集ヘッド３４内に位置決めされた開放されたシャーレに向かって流れ、空気排出管３５を介して排出される。

さらに、この設備１は、まさに空気監視に使用されるそれの都度使用されたシャーレ３０を識別するために使用される識別装置９、たとえばスキャナまたはカメラを備えている。このために、シャーレ３０は、たとえばバーコードまたは識別番号等を有しており、これにより識別装置９によって確実に検知することができる。

充填および閉鎖工程の長さに応じて、複数のシャーレ３０を空気監視のために使用しなければならない。

このために、設備１は、本実施例では６軸ロボットである自動取扱い装置４をさらに備えている。自動取扱い装置４は、シャーレ３０による微生物学的な空気監視を自動的に実施する。

図２に示した出発位置では、本実施例ではまさに３つのシャーレ３０がマガジン３３内に配置されている。次いで、第１のステップでは、第１のグリッパジョー４１および第２のグリッパジョー４２を備えたグリッパ４０を有する自動取扱い装置４が、収集ヘッド３４へと案内され、この収集ヘッド３４が、空気を監視する装置３から取り外され、マガジン３３上に配置された保管場所５上に置かれる。この状態が図３に示されている。

次のステップでは、グリッパ４０が、マガジン３３内の複数のシャーレ３０のうちの１つのシャーレへと案内され、複数のシャーレ３０のうちの１つのシャーレをマガジンから取り外す。取り出されたシャーレは、空気を監視する装置３の測定箇所６上に置かれる。

次のステップでは、次いでグリッパ４０が、測定箇所６に位置決めされたシャーレの蓋３１を取り外し、この蓋３１をマガジン３３に置く。この状態が図４に示されている。

次のステップでは、次いでグリッパ４０が、収集ヘッド３４を保管箇所５から取り、この収集ヘッド３４を測定箇所６にある開放されたシャーレ３０上に位置決めする。

今、空気を監視する装置３が空気を上方から収集ヘッド３４を介して吸い込み、空気排出管３５を介して再び排出することにより、測定工程を開始することができる。ここで、閉じられた空間２内に細菌が存在している場合、細菌は、収集ヘッド３４内の開放されたシャーレの下側の受け皿３１の培地へと送られ、検出することができる。

予め規定された期間の経過後に、監視に使用されたシャーレを新しいシャーレに交換しなければならない。このために、自動取扱い装置４は、まず、収集ヘッド３４を再び空気を監視する装置３から取り外し、この収集ヘッド３４を保管場所５に置く。次いで、マガジン３３内に置かれた蓋３１をマガジンから取り出し、測定箇所６にあるシャーレの下側の受け皿３１に被せる。次いで、これにより再び閉じられたシャーレ３０を測定箇所６から取り出して、マガジン３３内に置く。

別の測定を実施することが望ましい場合、次いで自動取扱い装置４は、次の未使用のシャーレ３０をマガジン３３から取り出し、このシャーレ３０を再び測定箇所６上に位置決めする。次いで、空気監視のために上述の手順が繰り返される。

マガジン３３の使用は、多数のシャーレ３０を１つのステップにおいて機械内に入れ、かつ機械から取り出すことができ、これにより取扱いがさらに簡略化されるという利点を有している。

したがって、バッチ全体にわたって複数のシャーレによって微生物学的な空気監視を実施することができ、この場合に完全に自動化された取扱いが可能である。

本実施例の自動取扱い装置４は、さらに、容器を充填ステーション１０から閉鎖ステーション１１にも供給するように構成されている。この工程は、空気監視のためにシャーレ３０の交換が必要ではない期間に、自動取扱い装置４によって実施される。したがって、自動取扱い装置４は、シャーレの交換の他に、さらに付加的な取扱いタスク、すなわち、充填された容器の、充填ステーション１０から閉鎖ステーション１１への搬送タスクを有している。なお、自動取扱い装置４は、さらに別の搬送タスク、たとえば、充填ステーションへの空の容器の供給または充填され閉鎖された容器の、閉鎖ステーションから保管位置への排出を担うことができることに留意されたい。

したがって、本発明によれば、自動的なシャーレの取扱いによって微生物学的な空気監視を達成することができる。これは、本発明では人間が介入するリスクが存在していないので、先行技術における手動の操作工程と比べて再現性があり、著しく信頼性がある。特に製剤の分野では、これにより、たとえば、グローブ介入部によりグローブの運動時にこのグローブから剥離してしまう粒子による、またはシャーレの不用意な取扱いによる望ましくない汚染のリスクを回避することができる。

特に、充填工程中のシャーレ３０の交換は、制御装置によって自動化して実施することができるので、忘れられることがない。

識別装置９により、シャーレ３０内の試料の確実かつ追跡可能な記録も行うことができる。

なお、ロボットのグリッパ４０は、たとえば、容器の或るフォーマット設定、たとえばこのグリッパによる把持がそのシャーレのために可能ではない場合に、交換可能に設けられていてよいことに留意されたい。このために、自動的なグリッパ交換装置が閉じられた空間２内に設けられていてよい。

Claims (10)

1. 容器内に薬剤を充填しかつ閉鎖する設備であって、
   前記薬剤が取り扱われる閉じられた空間（２）と、
   測定箇所（６）および少なくとも１つのシャーレ（３０）を備えた、前記閉じられた空間（２）内の空気を監視する装置（３）であって、前記シャーレ（３０）が、下側の受け皿（３１）と、取外し可能な蓋（３２）とを有している、装置（３）と、
   自動取扱い装置（４）と、
   を備えており、
   前記自動取扱い装置（４）は、前記シャーレを前記測定箇所（６）に向かって、かつ該測定箇所（６）から戻すように自動化して搬送し、かつ前記蓋（３２）を前記シャーレ（３０）の前記下側の受け皿（３１）から取り外し、かつ再び被せるように構成されている、設備において、
   前記自動取扱い装置（４）は、薬剤を収容する容器のための搬送ステップを実施するように構成されていることを特徴とする、設備。
2. 前記空気を監視する装置（３）が、収集ヘッド（３４）を備えた空気取込み器と、多数のシャーレ（３０）を収容するマガジン（３３）とを備えている、請求項１記載の設備。
3. 前記自動取扱い装置（４）は、前記収集ヘッド（３４）を前記空気取込み器から取り外し、かつ被せるように構成されている、請求項２記載の設備。
4. 容器内に前記薬剤を詰める充填ステーション（１０）と、充填された前記容器を閉鎖する閉鎖ステーション（１１）とをさらに備える、請求項１から３までのいずれか１項記載の設備。
5. 前記自動取扱い装置は、前記容器を前記充填ステーション（１０）から前記閉鎖ステーション（１１）へと搬送するように構成されている、請求項４記載の設備。
6. 前記自動取扱い装置（４）が、ロボットを含む、請求項１から５までのいずれか１項記載の設備。
7. 前記ロボットが、第１のグリッパジョー（４１）および第２のグリッパジョー（４２）を備えたグリッパ（４０）を有している、請求項６記載の設備。
8. シャーレ（３０）を識別し、予め規定された測定時間を識別されたシャーレ（３０）に割り当てるように構成された識別装置（９）をさらに備える、請求項１から７までのいずれか１項記載の設備。
9. 各シャーレ（３０）が、個別の光学的な認識記号を有しており、前記識別装置（９）が、前記シャーレの前記認識記号を認識する光学的な認識装置を有している、請求項８記載の設備。
10. 前記設備が、アイソレータ設備またはＲＡＢＳ設備である、請求項１から９までのいずれか１項記載の設備。

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