JP7337388B2 - 薬剤フィーダ - Google Patents

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Description

この発明は、病院や薬局等で行われる調剤を自動化するために、錠剤やアンプル剤といった粒状固形物の薬剤を自動供給するようになった薬剤フィーダに関し、詳しくは、形状の同じ多数の薬剤をランダム収容するとともに、それらの薬剤を回転体で整列させることで、それらの薬剤を一つずつ送り出す逐次送出・順次排出を行う薬剤フィーダに関する。更に詳しくは、回転体のうちの環状回転体の上端周縁部に形成された薬剤搬送経路の表面形状に関し、その搬送制御の態様にも関する。
同一形状の錠剤等(薬剤)を一列に整列させながら搬送する整列供給式の薬剤フィーダとして、鉛直線を中心として軸回転可能な外側の環状回転体と、鉛直から傾いた傾斜線を中心として軸回転可能な状態で前記環状回転体の内側に装備されて前記環状回転体の中空を塞ぐ傾斜回転体と、前記傾斜回転体の回転によってその上から前記環状回転体の上端周縁部の上に運ばれた固形の薬剤を前記環状回転体の回転時に整列させる規制部材とを備えた薬剤フィーダが実用化されている(例えば特許文献1参照)。
そのうち本願発明の理解に役立つ部分を、図面を引用して具体的に説明する(図11~図15参照)。図11は、薬剤フィーダ10のほぼ全容を示しており、(a)が平面図、(b)が縦断正面図である。また、図12は、(a)が、最上部に配設されたリンク機構73や周壁11の上層部分を取り外したところの平面図、(b)が、それらに加えて周壁11とその装着物60,71,72も取り外したところの平面図である。さらに、図13は、(a)が、仕分け部材60の正面図と右側面図と右側面図であり、(b)は、フィーダ要部の展開図であって、周壁11等と回転容器20+30は縦断面を図示し、回転駆動機構50と回転伝動部材42,43は外観を図示している。
薬剤フィーダ10は、二重回転タイプのものであり、筐体の最上部に位置しており中央部分が円形に刳り抜かれて中空になっている周壁11と、その中空に上端部が遊嵌された状態で設置されている又は周壁11の中空の直下に設置されている環状回転体20と、この環状回転体20の中空内に設置された傾斜回転体30と、この内側の傾斜回転体30とその外側の環状回転体20とを何れも軸回転可能に支持する支承機構40と、それらの回転の駆動を担う回転駆動機構50と、周壁11の上側に設けられた仕分け部材60及び規制機構70とを具えている。
しかも、支承機構40によって、環状回転体20は鉛直線を中心として軸回転しうる状態に保たれ、傾斜回転体30は鉛直から傾いた傾斜線を中心として軸回転しうる状態に保たれる。そして、そのような内側の傾斜回転体30と外側の環状回転体20は、薬剤は通さないが回転は許容される僅かな間隙を保って傾斜回転体30が環状回転体20の中空を塞ぐことで、二重回転タイプ薬剤フィーダの回転容器20+30を構成しており、傾斜回転体30の回転による持ち上げと仕分け部材60の仕分けとによって傾斜回転体30の周縁部33の上から薬剤を環状回転体20の上端周縁部23の上に運び、環状回転体20の回転による水平搬送と規制機構70の整列機能とにて上端周縁部23の上の薬剤を整列させながら落下排出口14へと運ぶようになっている。以下、各部を説明する。
環状回転体20は(図11~図13参照)、大別して、中空の径が上側ほど大きい下部21と、中空の径が上側ほど小さい上部22とからなり、下部21の中空に傾斜回転体30を納め、下部21に上部22を載せ、それから両部21,22をボルト等で連結することで、環状回転体20自体が一体的になるとともに(図13(b)参照)、傾斜回転体30とも分離不能になって、傾斜回転体30の軸回転等は許すが、環状回転体20と傾斜回転体30との何れかを持ち上げたりすると両者20,30が恰も一つの回転容器20+30のように一緒に移動するようになっている。
傾斜回転体30は(図11~図13参照)、その上面が回転容器20+30の内底になるが、その上面の中央に中央突起31が形成されていて、中央突起31を持てば回転容器20+30を纏めて持ち上げることができるようになっている。
また(図11(b),図13(b)参照)、傾斜回転体30の上面は、中央突起31を除く央部32が中央突起31や周縁部33より凹んでいて、回転容器20+30の内部空間を増加させている。
さらに、傾斜回転体30の周縁部33の上面は、一周に亘って、薬剤の掬い上げに役立つ緩い鋸歯状波形に加工されているうえ(図11(a),図12参照)、外側ほど即ち中央から遠くへ離れるほど下がる謂わば外下がりの状態になっている(図11(b),図13(b)参照)。しかも、この外下がりは、環状回転体20の中に傾斜回転体30が傾斜設置された状態で、周縁部33のどの部位でも、特に外下がりが最も緩くなる最上昇位置で環状回転体20の上端周縁部23より上に来た部位でも、外下がり傾斜が維持されるので、掬い上げた薬剤を傾斜による転がりにて円滑に環状回転体20の上端周縁部23へ送り込むのに役立つ。
支承機構40は(図11(b),図13(b)参照)、各所に分散して配設された複数の部材41~43からなり、それには例えばラジアル軸受などを主体とした受動部材41が幾つかと、例えば硬質ゴム製Oリングなどの輪状体・環状体からなる回転伝動部材42,43とが含まれている。
受動部材41は、回転体の外周面を環状回転体20の外周面や下面あるいは傾斜回転体30の下面に当接させて、環状回転体20と傾斜回転体30を自転容易状態で固定位置に保持する支承専用のものとなっている。
これに対し、回転伝動部材42,43は、何れも、後述する回転駆動部材51に装着されて回転伝動機能を発揮するのに加えて、受動部材41と共に環状回転体20と傾斜回転体30とを支承してそれら20,30を自転容易状態で固定位置に保持する機能も発揮するので、支承部材を兼用するものとなっている。しかも、支承部材41~43が何れも環状回転体20と傾斜回転体30の下面か外周面に当接するところに配設されているので、支承機構40は、環状回転体20と傾斜回転体30とからなる回転容器20+30を上から下ろして支承部材41~43の上に乗せることで適切にセットでき、回転容器20+30を持ち上げることで簡便に支承部材41~43から取り外せるようになっている。
回転駆動機構50は(図11(b),図13(b)参照)、回転容器20+30の下に配置された回転駆動部材51と、この回転駆動部材51を軸回転させる回転駆動モータ54とを具備したものであるが、上述したように支承機構40の回転伝動部材42,43は回転駆動機構50の一部でもある。
具体的には、大径部外装回転伝動部材42は、回転駆動部材51の大径部52に形成された環状溝に内側部分を収めた状態で外装されて(図13(b)参照)、環状回転体20の支承に加え環状回転体20に対して摩擦伝動による回転伝動機能も担うものとなっている(図11(b)参照)。
また、小径部外装回転伝動部材43は、回転駆動部材51の小径部53に形成された環状溝に内側部分を収めた状体で外装されて(図13(b)参照)、傾斜回転体30の支承に加え傾斜回転体30に対して摩擦伝動による回転伝動機能も担うものとなっている(図11(b)参照)。
そのため、回転駆動機構50は、回転駆動モータ54にて回転駆動部材51を軸回転させることで、環状回転体20を比較的高速で軸回転させるとともに、傾斜回転体30を比較的低速で軸回転させるものとなっている。
仕分け部材60は(図11~図13参照)、揺動支点の基端部61から揺動端の先端部62まで延びた細長い棒材を主体としたものであり、基端部61が支持部63によって周壁11や環状回転体20の上方で支持されており、そこを中心にして先端部62が上下に揺動しうるようになっている。先端部62寄りの部分が少し曲がっており、常態では先端部62が斜め下向きの状態で自重により軽く傾斜回転体30の周縁部33に乗っているので、その周縁部33から環状回転体20の上端周縁部23へ滑り落ちることなく周縁部33に乗ったまま運ばれて来た薬剤の多くが、先端部62に当接するとともに、その反作用の付勢力によって傾斜回転体30の央部32へ戻されるが、それが円滑に行われなければ薬剤破損等の回避のため先端部62が揺動して上方へ逃げるようにもなっている。
規制機構70は(図11,図12(a)参照)、環状回転体20の上端周縁部23の回転方向を基準として仕分け部材60より進行先に設置された第1規制部材71と、それよりも更に進行先に設置された第2規制部材72と、それら第1規制部材71と第2規制部材72との何れにもピン状の回転許容軸部材等を介して連結されているリンク機構73と、サンプル薬剤を収容しうる型置場74とを具備している。
第1規制部材71も、第2規制部材72も、揺動中心部が周壁11側に位置するとともに、揺動端部が環状回転体20の上端周縁部23の上に位置しているので、その上端周縁部23の上の薬剤搬送経路幅を外周側から狭めるものとなっている。
しかも、第1規制部材71と第2規制部材72は、何れも揺動にて上端周縁部23の上の薬剤搬送経路幅の狭め量を可変調整しうるものであるが、リンク機構73の長手方向進退に応じて両規制部材71,72が同時かつ同様に揺動するので、両規制部材71,72による薬剤搬送経路幅の狭め量の調整量が連動するものともなっている。さらに、型置場74にサンプル薬剤を収容してから、それに向けてリンク機構73を動かすと、リンク機構73が長手方向に進んで先端をサンプル薬剤に当接させて止められるが、そのときに第1規制部材71の揺動端部と第2規制部材72の揺動端部が何れも上端周縁部23の上の薬剤搬送経路幅をサンプル薬剤に倣って薬剤一個相当分に狭めるようにもなっている。
また、そのような規制機構70より更なる進行先では、周壁11に、それを上下に貫通する落下排出口14が形成されており、そこへ環状回転体20の上端周縁部23の上の薬剤を環状回転体20の回転にて送り込むために周壁11には排出ガイド13も設けられている。この排出ガイド13は、落下排出口14の後方の周壁11から始まって、上端周縁部23の上方に延び、更に先端部を傾斜回転体30の周縁部33の上方にまで突き出しているので、環状回転体20の排出ガイド13に乗って運ばれてきた薬剤が、排出ガイド13の側壁に斜めに当接して、それから側壁に沿って斜めに進んで、落下排出口14に至るようになっている。
さらに、この排出ガイド13の先端部には、そこより下側に延び且つ先にも延びて最先端となる搬送面ガイド12が形成されている。この搬送面ガイド12は、上面が環状回転体20の上端周縁部23とほぼ同じ高さであって、上端周縁部23の内周側に位置しているので、環状回転体20の上端周縁部23に乗って運ばれてきた薬剤が排出ガイド13に当接したときに反動で傾斜回転体30の方へ落下したり環状回転体20と排出ガイド13とに挟まれたりといった不所望な事態の発生を簡便に防止するものとなっている。
なお、細かな形状なので図示は割愛したが、薬剤が排出ガイド13によって落下排出口14へ押し出される前に慣性等で落下排出口14へ転げ落ちるのを簡便に防止するために、上端周縁部23の上面は最外周部分が僅かに盛り上がっている。
さらに、図示を割愛したが、回転駆動モータ54の動作制御を担うコントローラと、それらに動作電力を供給する電源も、同じ筐体に内蔵して又は筐体の外に設けられている。また、落下排出口14における薬剤の落下を検出するフォトセンサ等も付設されており、その検出信号がコントローラや錠剤カウンタへ送信される。
コントローラの回転制御は、低速回転から始まり、最初の薬剤の排出を検出した後、更に、予め設定された所定数の薬剤の排出を検出すると、高速回転に移行するようになっている。また、予め指定された総排出数と排出済み個数とから残数を算出するとともに、やはり指定された所定数に残数が達すると回転速度を落としたり、薬剤排出完了後に不所望な過剰落下の防止のため逆回転を行わせるようにもなっている。
このような構成の薬剤フィーダ10について、その動作等を、図面を引用して説明する。図14も、図15も、(a)が平面図で、(b)が縦断正面図であり、それらのうち図14は、回転容器20+30に収容されている薬剤5を上端周縁部23の上に整列させ始めたところを示し、図15は、整列させた薬剤5を上端周縁部23から落下排出口14へ送り込んでいるところを示している。なお、薬剤5は、夫々の置かれた状況に応じて型用薬剤5a,ランダム収容薬剤5b,整列済み薬剤5cと呼ぶこともある。
薬剤フィーダ10を使用して多数の薬剤5を逐次送出するには(図14参照)、それに先だって、薬剤搬送経路幅の規制作業と薬剤のランダム投入とを済ませておく。
そのうち、薬剤搬送経路幅の規制作業は、作業担当者が、多数の薬剤5のうちから適宜な一個を型用薬剤5aに選出して、それを型置場74に収めてから、それにリンク機構73の一端が当接するようにリンク機構73の位置を調整するという簡単なことで、遂行される。
その作業が行われると、第1規制部材71と第2規制部材72とが何れもリンク機構73に連動して揺動し、それらの揺動端部によって環状回転体20の上端周縁部23の上の薬剤搬送経路幅が二カ所で型用薬剤5aの直径に対応するところまで狭められる。
また、薬剤のランダム投入は、やはり作業担当者が、文字通り多数の薬剤5を環状回転体20の上部開口から回転容器20+30へランダムに投入すれば良い。
そうすると、投入されたランダム収容薬剤5bは、自然に、傾斜回転体30の上面のうち下側に来ている部分の上に集まる。
これで自動動作の準備が調うので、薬剤フィーダ10を例えば単純な連続送出モード等で動作させると、以後はコントローラの制御に従って回転駆動モータ54が適宜な速度で回転する。そうすると、それに応じて回転駆動部材51が軸回転し、その回転運動が、大径部外装回転伝動部材42を介した摩擦伝動にて環状回転体20に伝達されるとともに、小径部外装回転伝動部材43を介した摩擦伝動にて傾斜回転体30にも伝達されて、大径部外装回転伝動部材42と小径部外装回転伝動部材43とが同じ向きに軸回転するが、大径部外装回転伝動部材42の方が小径部外装回転伝動部材43より高速で回転する。
傾斜回転体30が軸回転すると、回転容器20+30の内底に溜まっていたランダム収容薬剤5bのうち傾斜回転体30の周縁部33の上に来ていた薬剤5が、鋸歯状の周縁部33の循環運動によって低位置から高位置へ掬い上げられる。
そうして、周縁部33が環状回転体20の上端周縁部23よりも高くなるところまで運ばれた薬剤5は、大部分が周縁部33の傾斜に基づく滑落や転動によって上端周縁部23の上へ乗り移る。
これに対し、上端周縁部23の上が先行の他の薬剤5で詰まっていたり、たまたま滑落や転動しなかったといった理由で、傾斜回転体30の周縁部33の上に残っていた薬剤5は、傾斜回転体30の更なる軸回転によって仕分け部材60の先端部62の所へ運ばれ、そこで先端部62に当接し、その当接の反動によって上端周縁部23とは逆の向きに移動させられるため、傾斜回転体30の央部32を傾斜面に沿って滑落する。
こうして、過剰な薬剤5等がランダム収容薬剤5bに戻るので、上端周縁部23の上の薬剤搬送経路には或る程度絞り込まれて適量に近い頻度で薬剤5が送り込まれる。
環状回転体20の方が傾斜回転体30より高速で軸回転しているので、上端周縁部23の上の薬剤5は、周縁部33から乗り移ったときに回転速度の差に応じて或る程度はばらけるが、薬剤5が小さめの場合など、縦一列になるものもあれば、真横や斜め横に並ぶものもありうる。そして、それらの薬剤5が、環状回転体20の軸回転によって第1規制部材71の所へ運ばれると、一列の薬剤5はそのまま通過するが、横並びの薬剤5については第1規制部材71との干渉によって内側の薬剤5が上端周縁部23の上から押し出されて傾斜回転体30の上に落下しランダム収容薬剤5bに戻るので、横並びが解消される。
とはいえ、横並びの薬剤5が多いとき等には、薬剤5同士の押し合い等によって第1規制部材71の先端を巻くようにすり抜ける薬剤5もありうる。そして、そのような場合、第1規制部材71を通過した薬剤5のうち一部のものには斜め横の並び状態が残ったりすることがある。いずれにしろ、第1規制部材71を通過した薬剤5は、その後、環状回転体20の軸回転よって第2規制部材72の所へ運ばれて、再び同様の整列が強制されるため、例え横並び状態が残っていても僅かなものにすぎないうえ程度も斜め横の並びの軽い状態にとどまることから、横並び状態が再度の規制で迅速かつ十分に解消される。
このようにして二重の規制をクリアして一列に整列した整列済み薬剤5cは(図15参照)、環状回転体20の軸回転に伴う上端周縁部23の循環運動によって次々に排出ガイド13の所へ運ばれ、上端周縁部23の上の薬剤搬送経路と斜めに交差している排出ガイド13の外側側面に当接する。
そして、整列済み薬剤5cの多くは、直ちに排出ガイド13の当接側面に沿って進み、一列になって落下排出口14に送り込まれる。
もっとも、当接状況によっては希に一部の整列済み薬剤5cが内周側へ少しはじかれることもあるが、そのような状況が生じたときでも、整列済み薬剤5cの環状回転体20の上への落下や、上端周縁部23と排出ガイド13との斜交部位への挟み込みは、搬送面ガイド12によって阻止される。
こうして、総ての整列済み薬剤5cが無駄なく一列で落下排出口14に送り込まれる。落下排出口14に送り込まれた薬剤5は重力で加速されて落下速度を増すことから、先後の薬剤5の離隔距離が広がるので、その離隔距離が十分になる所に設置したフォトセンサ等で落下薬剤5を検出するといったことで、的確に、薬剤5を計数することができる。
そして、そのような薬剤5の整列と排出とを繰り返して大量の薬剤5の処理が完了したときや、薬剤5の種類が切り替わることになったときなど、薬剤フィーダ10の動作を止めるのに加えて、しばしば回転容器20+30を清掃することも必要になるが、その場合、先ず最上部の周壁11等を取り外してから、例えば傾斜回転体30の中央突起31を手掛かりにして、傾斜回転体30を持ち上げると、回転容器20+30が纏まって筐体から抜け出す。回転容器20+30は、支承機構40によて支承されているだけなので、簡単に取り出すことができ、丸洗い等で手軽に清掃されて綺麗になる。こうして、使用後の清掃を容易かつ迅速に済ませられるので後は逆順の作業で元に戻して次の使用に備える。
特開2018-108277号公報 特願2020-012127号(出願) 特願2020-012424号(出願)
このような薬剤フィーダにあっては、二重回転タイプ薬剤フィーダを基本にしたことにより、すなわち、回転容器を内外二重化してそれらの回転にて内側の傾斜回転体から外側の環状回転体の上端周縁部の上に固形薬剤を運び更にその固形薬剤を規制部材にて整列させるようにしたことにより、回転体の中に固定の整流ガイドを設ける必要が無くなったばかりか、薬剤幅等の規制可能タイプのうちでは薬剤収容量が多く、さらには種々の形状やサイズの薬剤に対する共用範囲が広がっている。
そして、そのような共用範囲の広がりの一環として、円板形や円盤状といった比較的安定した形状の錠剤(以下、転動し難い薬剤とも呼ぶ)ばかりでなく、球状や紡錘状といった転がり易い形状の薬剤(以下、転動容易な薬剤とも呼ぶ)についても、共用の要望が高まってきた。
ところが、転動容易な薬剤は、傾斜回転体から環状回転体へ乗り移ったときや、環状回転体が回転したときなどに、環状回転体の上で転がって位置や姿勢が安定しないことが多く、その共用化には薬剤フィーダの薬剤整列機能強化の一環として薬剤の転動抑止機能の追加や強化も必要になる。そして、そのような機能強化には、薬剤整列機能を担う既述の仕分け部材60や規制機構70を増強することが思い浮かぶ。
しかしながら、それらの装備箇所には既に多くの部材が配設されており、転動抑止機能のためだけに新たな部材を追加するは負担が重い。
そこで、二重回転タイプ薬剤フィーダを踏襲しつつ環状回転体の改良にて転動容易な薬剤までも能率良く送り出せる薬剤フィーダを実現することが基本的な技術課題となる。
そして、そのような基本課題を解決しうるものとして、環状回転体の径方向に延びる溝を上端周縁部の周方向に列設したものが案出されている(例えば特許文献2参照)。
その薬剤フィーダの溝は、径方向の途中で拡幅していて、該拡幅部位より外周側でも内周側でも幅が狭くなっており、更に内周側で上端周縁部の辺縁に達している。
また、環状回転体の回転速度を可変制御する制御手段に加えて、環状回転体の上で整列した後に環状回転体から排出された薬剤の落下を検出する落下薬剤検出手段も設けたうえで、制御手段が、落下薬剤検出手段の薬剤検出時の時間長に応じて薬剤サイズを推定するとともに、その推定値に応じて環状回転体の回転速度を増減変更や逆回転させるようになったものもある(例えば特許文献1,3参照)。
このような環状回転体の回転速度可変制御は、円盤状などで転動し難い薬剤ばかりか(例えば特許文献1参照)、球状などで転動容易な薬剤であっても溝に落ち着くものであれば(例えば特許文献3参照)、有効であり、薬剤逐次排出の高速化に役立っている。
そして、以前は困難と思われていた転動容易な薬剤の減速や逆送ひいては順送りの速度が、適度に離隔している溝の効用によって(例えば特許文献3参照)、可成り高速化できるようにもなっている。
これに対し、円盤状などの転動し難い薬剤については環状回転体の上端周縁部の上であれば溝内ばかりか溝間であっても環状回転体上に止まりうるため、環状回転体の上端周縁部の溝間部分の面粗度をブラスト加工などで高めて、薬剤が滑り難くすることで、環状回転体の回転速度可変制御を機能させている(例えば特許文献3参照)。
しかしながら、転動容易な薬剤の送り速度の向上が目覚ましいのに比べると、転動し難い薬剤の送り速度の向上は見劣りしてしまう。
そこで、二重回転タイプ薬剤フィーダを踏襲しつつ環状回転体の改良にて転動容易な薬剤であれ転動し難い薬剤であれ能率良く送り出せる薬剤フィーダを実現することが技術的な課題となる。
本発明の薬剤フィーダは(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、
縦線を中心として軸回転可能な外側の環状回転体と、前記縦線から傾いた傾斜線を中心として軸回転可能な状態で前記環状回転体の内側に装備されて前記環状回転体の中空を塞ぐ傾斜回転体と、前記傾斜回転体の回転によってその上から前記環状回転体の上端周縁部の上に運ばれた固形の薬剤を前記環状回転体の回転時に整列させる規制部材とを備えた薬剤フィーダであって、前記環状回転体の径方向に延びる溝が前記上端周縁部の周方向に列設されており、前記溝が径方向の途中で拡幅していて該拡幅部位より外周側でも内周側でも幅が狭くなっており且つ内周側で前記上端周縁部の辺縁に達しており、前記上端周縁部において隣り合っている前記溝の間に散点模様の凹凸が形成されていることを特徴とする。なお、上記の縦線は、仮想のものであり、既述した鉛直線が典型的であるが、環状回転体の薬剤移送機能を損なわないほど少しなら鉛直線から傾いていても良い。
また、本発明の薬剤フィーダは(解決手段2)、上記解決手段1の薬剤フィーダであって、前記環状回転体の前記上端周縁部の外周部分が一周に亘って面取りされており、その面取にまで前記溝が達しており、前記上端周縁部において隣り合っている前記溝の間に内周寄りほど深い湾状の彫り込みが形成されており、前記彫り込みも内周側では前記上端周縁部の辺縁に達しており、前記凹凸が前記彫り込みと前記面取りとの間に形成されていることを特徴とする。
さらに、本発明の薬剤フィーダは(解決手段3)、上記解決手段2の薬剤フィーダであって、前記溝と前記彫り込みと前記面取りとによって囲まれた溝間央部の全域に前記凹凸が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の薬剤フィーダは(解決手段4)、上記解決手段1~3の薬剤フィーダであって、前記環状回転体の回転を制御する制御手段が、薬剤排出完了前に減速制御を行うとともに薬剤排出完了後に逆回転制御を行うようになっていることを特徴とする。
このような本発明の薬剤フィーダにあっては(解決手段1)、二重回転タイプ薬剤フィーダを基本にして、更に、上述した特定構造の溝を環状回転体の上端周縁部に多数列設したことにより、やはり上述したように転動容易な薬剤の減速や逆送ひいては順送りの速度が高速化できるようになっている。
それに加え、環状回転体の上端周縁部において隣り合っている溝と溝との間の表面域に散点模様の凹凸を形成したことにより、転動容易な薬剤はほとんど留まらないが転動し難い薬剤は留まり易い溝と溝との間に関して、微細で乱雑なブラスト加工面よりも摺動抵抗の高い散点模様の凹凸面の働きによって、環状回転体の回転減速時や逆送時でも薬剤が滑り難くなっているので、転動し難い薬剤についても順送り速度を高めることができる。
したがって、この発明によれば、二重回転タイプ薬剤フィーダを踏襲しつつ環状回転体の改良にて転動容易な薬剤であれ転動し難い薬剤であれ能率良く送り出せる薬剤フィーダを実現することができる。
また、本発明の薬剤フィーダにあっては(解決手段2,3)、散点模様の凹凸の形成域から溝と彫り込みと面取りとを外したことにより、転動容易な薬剤の送り機能を損なうことなく転動し難い薬剤の送り性能を向上させることができる。
さらに、本発明の薬剤フィーダにあっては(解決手段4)、環状回転体の回転を制御するに際して薬剤排出完了前に減速制御を行うとともに薬剤排出完了後に逆回転制御を行うようにもしたことにより、一包分の数量の薬剤排出に関して逐次排出の高速化と過剰落下の防止とを両立させることができる。
本発明の実施例1について、薬剤フィーダの傾斜回転体の構造を示し、(a)がその丸板部の三面図、(b)が傾斜回転体の外観斜視図である。 薬剤フィーダの環状回転体の構造を示し、(a)が全体の縦断面図、(b)がその一部の拡大図、(c)が傾けたところの縦断面図である。 (a)が環状回転体の上端周縁部の平面図、(b)がその一部の拡大図である。 薬剤フィーダの規制機構の構造を示し、(a)が大きめの型用薬剤を型置場に置いたときの平面図、(b)が小さめの型用薬剤を型置場に置いたときの平面図、(c)が第1,第2規制部材に係る平面図と正面図と底面図と端面図である。 薬剤フィーダの仕分け機構の構造を示し、(a)が仕分け機構とその設置先部分との斜視図、(b)が第1仕分け部材の正面図、(c)が第2仕分け部材の正面図である。 薬剤フィーダの容器延伸体の構造を示し、(a)が斜視図、(b)が底面図、(c)が側面図である。 薬剤フィーダの全体構造を示し、(a)が大蓋を開けた状態の観斜視図、(b)が大蓋を閉じた状態の外観斜視図である。 (a)が薬剤フィーダ内部の機械構造を示し、(b)が制御部のブロック構成図である。 本発明の実施例2について、薬剤フィーダの環状回転体の上端周縁部の一部を拡大した平面図である。 本発明の実施例3について、薬剤フィーダの環状回転体の上端周縁部の一部を拡大した平面図である。 背景技術欄で述べた従来の薬剤フィーダについて、全体の構造を示し、(a)が平面図、(b)が縦断正面図である。 その従来の薬剤フィーダに係り、(a)がリンク機構や周壁上層部を取り外したところの平面図、(b)が周壁も取り外したところの平面図である。 その従来の薬剤フィーダに係り、(a)が仕分け部材の正面図と右側面図と右側面図であり、(b)がフィーダ要部の展開図であって周壁等と回転容器は縦断面を図示し回転駆動機構と回転伝動部材は外観を図示している。 その従来の薬剤フィーダについて、収容した薬剤を整列させ始めたところの動作状態を示し、(a)が平面図、(b)が縦断正面図である。 その従来の薬剤フィーダについて、整列させた薬剤を落下排出口へ送り出しているところの動作状態を示し、(a)が平面図、(b)が縦断正面図である。
このような本発明の薬剤フィーダについて、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1~実施例3により説明する。
図1~図8に示した実施例1は、上述した解決手段1~4(出願当初の請求項1~4)を総て具現化したものであり、図9に示した実施例2や、図10に示した実施例3は、その変形例である。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、筐体パネルや,ボルト等の締結具,ヒンジ等の連結具,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
本発明の薬剤フィーダの実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。実施例1の薬剤フィーダ100の全体構成は(図7,図8参照)、既述した薬剤フィーダ10の全体構成を概ね踏襲しており(図11参照)、周壁11や,搬送面ガイド12,排出ガイド13,落下排出口14,支承機構40,それらを載置又は収容した筐体,更には全体的な部材配置などは、ほぼ既述品と同様のもので足りるので、繰り返しとなる説明は割愛する。
また、既述した環状回転体20や,傾斜回転体30,回転駆動機構50,仕分け部材60,規制機構70は(図11~図13参照)、それぞれ、改造されて、新たな環状回転体200,傾斜回転体300,回転駆動機構500,仕分け機構600,規制機構700になっているので(図1~図8参照)、各部について既述品と異なる改造点を中心に詳述する。なお、それに随伴して二重回転タイプの回転容器20+30は二重回転タイプの回転容器200+300になっている。さらに、容器延伸体800と大蓋110が(図7参照)、新たに追加されているので、それらについても説明する。
図1に示した傾斜回転体300は、既述の傾斜回転体30を改造したものである。図1は、薬剤フィーダ100の回転容器200+300の傾斜回転体300の構造を示しており、(a)が傾斜回転体300の要部の丸板部310の三面図にあたる側面図(AA断面)と平面図(B矢視)と正面図(C矢視)とであり、(b)が傾斜回転体300の外観斜視図である。
傾斜回転体300は、概ね円盤状の丸板部310を主体としたものであり(図1(a)参照)、上面中央に既述の中央突起31を維持するとともに(図1(b)参照)、下面の中央から下方へ突き出た回転軸部370を具備している(図1(b)参照)。
丸板部310は(図1(a)参照)、中央突起31の周りの上面央部320が概ね平坦になっている。この上面央部320は、既述した傾斜回転体30の央部32のように上面周縁部330より凹ませても良いが、この例では、新規形状部分の強度や加工等を考慮して概ね平坦になっている。
この上面央部320の表面には、概ね径方向に延びる細くて浅い直線状の溝を多数並べて彫ることで並行波状凹凸321が形成されており(図では周方向を異にする3箇所)、斜面で薬剤の転動を促す機能が強化されているので、薬剤の撹拌効果や上面周縁部330への誘導効果が発揮される。
また、丸板部310は(図1参照)、その上面のうち上面央部320を一周する上面周縁部330に、引渡部340と押上部350とが形成されている。引渡部340と押上部350は周方向で交互に形成されている(図では周方向を異にする6箇所ずつ)。
引渡部340は、取扱対象の薬剤より大きめの局所的な面取状の外下がり切欠であり、その外下がり角度が、概ね45゜程度で、概ね20゜~30゜程度である傾斜回転体300の装着時傾斜角より大きい。そのため、傾斜回転体300が環状回転体200の中に傾斜状態で装着されても、その状態で軸回転したときに引渡部340の傾斜が水平に対して最も近づく上昇位置でも、引渡部340の外下がり角度は概ね15゜以上を維持する。このような引渡部340にも上記の並行波状凹凸321と同様の模様が形成されている。
押上部350は、そのような引渡部340の周方向両端のうち後端側に位置する立ち上がり部分であり、引渡部340のような外下がりが無く、央部延長面351と同じかそれより高いところまで立ち上がっている。立ち上がりが央部延長面351と同じ押上部350と、立ち上がりが央部延長面351を超えて凸部360の基部361の前面にまで続く押上部350とが、周方向で交互に形成されている(図示のものでは周方向を異にする6箇所の引渡部340に対して凸部360と共に交互に配置されている)。
凸部360は、引渡部340の後端側の押上部350を上面央部320より高く上方へ延長する基部361と、その上向きの凸部を引渡部340の内周側まで延伸させた延伸部362とを連ねたものであり、総ての引渡部340及び押上部350に付設しても良いが、この実施例では、一つおきに付設されている。
図2,図3に示した環状回転体200は、既述の環状回転体20を改造したものである。図2は、薬剤フィーダ100の環状回転体200の構造を示しており、(a)が環状回転体200の全体に係る縦断面図、(b)がその上部220の右端部分を拡大した縦断面図、(c)が傾き状態を明記した環状回転体200の縦断面図である。
また、図3は、(a)が環状回転体200の上端周縁部230に係る平面図、(b)が上端周縁部230の一部に係る拡大図である。
環状回転体200は(図2(a)参照)、基本的には既述の環状回転体20の構成を引き継いでいるが、上部220と下部210とが一体化して、椀状体の底を抜いたかのような物になっている。しかも、中空の直径が最上位置の上端周縁部230のところで最大であり、そこから下がるほど中空の直径が小さい、というものになっている。そのため、環状回転体200の中空に対して傾斜回転体300を収めるのも抜き取るのも自在にでき、組立や部品交換を行うのが容易である。上部220の上端周縁部230は(図2(b)参照)、外周側の部分には面取232が一周に亘って形成されている。この面取232の傾斜角度αは、図では強調表示されているが、例えば7゜程度である。
また(図2(c)参照)、上部220ひいては環状回転体200の回転中心軸に相当する縦線201(図では二点鎖線)は、鉛直線(図では一点鎖線)から角度βだけ傾いている。この傾斜角度βは、やはり図では強調表示されているが、薬剤搬送機能を損なわないよう例えば3.5゜程度に抑えられており、上述の傾斜角度αより小さい。
そのため、面取232の水平からの傾きは、上端周縁部230の回転に伴って下降時(図では左方)の最大傾斜(α+β)と上昇時の(図では右方)の最小傾斜(α-β)との間で変動するが、面取232の傾斜角度αが環状回転体200の傾斜角度βより大きいので、常に外周側ほど下さがりの状態が維持されるようになっている。
このような縦線201の傾斜(β)の向きは、図示を割愛したが、環状回転体200の上端周縁部230の上面(薬剤搬送経路)の高さ(上下位置)が落下排出口14の近くで高くなる方向になっている。
その傾斜(β)は、薬剤フィーダ10の筐体内における環状回転体200の取り付け方などで個々に具現化しても良いが、傾斜(β)が小さいので、例えば、薬剤フィーダ10の筐体を取り付ける先の棚板等の上面を角度βだけ傾斜させておくといったことで、纏めて簡便に具現化することもできる。
さらに(図3参照)、環状回転体200の上部220の上端周縁部230の上面(薬剤搬送経路)には、溝231が周方向に等ピッチで多数列設されている。
それらの溝231は、何れも、菱形や紡錘形に近い形状の彫り込みからなり、長手方向を径方向に向けていて、径方向の両端で幅が縮み、径方向の途中で幅が拡がっており、拡幅部のところで薬剤が落ち着き易いものとなっている。また(図2(b)参照)、溝231の最深部の深さeは、上述の面取232の深さdよりも深くなっている。さらに(図2(b),図3参照)、溝231の外径寄り端部が面取232にまで及んでいるので、溝231から面取232への薬剤移動が円滑に行われるようにもなっている。
また(図2(b),図3参照)、上端周縁部230の上面のうち内周部分には多数の彫り込み233も形成されている。彫り込み233は、何れも、隣り合う溝231,231の間に位置していて、内周寄りほど深い湾状の形をしており、溝231に収まることなく規制機構700等に内周側へ寄せられた転がり易い薬剤を速やかに環状回転体200の薬剤搬送経路から内側の傾斜回転体300の上へ戻すのに役立っている。
これらの溝231や面取232さらに彫り込み233は、転動容易な薬剤の移動を阻害しないように、円滑面になっている。
これに対し、上端周縁部230のうち溝231と面取232と彫り込み233とを除いた上面部分は、それら230,231,232に囲まれた溝間央部234となっているが、その溝間央部234の全域に、転動容易な薬剤の移動を必要以上に制約すること無く転動し難い薬剤の滑り過ぎを防止するために、散点模様の凹凸が形成されている。
この例では(図3(b)参照)、取り扱う薬剤の直径より十分に小さい直径0.5mm程度の椀状の凹みからなる散点子235が彫り込み形成され、多数の散点子235が六方晶の一層分のように等距離配置されている。散点子235同士は、ブラスト加工面の凹みと異なり、平坦面の残りの凸部にて間を仕切られているので、密着していない。
図4に示した規制機構700は、既述の規制機構70を改造したものである。図4は、薬剤フィーダ100の規制機構700の構造を示しており、(a)が大きめの型用薬剤5aを型置場740に置いたときの規制機構700に係る平面図、(b)が小さめの型用薬剤5aを型置場740に置いたときの規制機構700に係る平面図である。また、同図(c)は、第1規制部材710と第2規制部材720の何れにも係る図面であり、上段部分が平面図と端面図、中段部分が正面図、下段部分が底面図と端面図である。
規制機構700は(図4(a)参照)、既述した規制機構70を引き継ぐに際して、リンク機構73は概ねそのまま引き継いでいるが、第1規制部材71と第2規制部材72と型置場74には改良が施されて、それぞれ第1規制部材710と第2規制部材720と型置場740になっている。
第1,第2規制部材710,720は同形なので、一方710を詳述するが、第1規制部材710は、既述の第1規制部材71と同様、図では左端の揺動中心部が周壁11側に位置し、図では右端の揺動端部が環状回転体200の上端周縁部230の上方に位置し、リンク機構73の長手方向進退に応じて上端周縁部230の上の薬剤搬送経路幅を外周側から狭める横幅規制機能を発揮するものとなっている(図4(a),(b)参照)。
第1規制部材710は(図4(c)参照)、内周側面部が改造されており、内周側面部に、既述の第1規制部材71の内周側面部を踏襲していて横幅規制機能を担う下段部分711だけでなく、既述の第1規制部材71には無かった上段部分712も、形成されている。上段部分712は、下段部分711よりも内周側に張り出しており、上段部分712と下段部分711との間は傾斜面になっている。そのため、第1規制部材710は、下段部分711がリンク機構73の状態に応じた厳密な横幅規制機能を行うのに加えて、上段部分712が緩やかな高さ規制を行うものとなる。第2規制部材720も同じである。
また(図4(a)参照)、規制機構700では、型置場74が改造されて型置場740になるとともに、リンク機構73を型置場740に向けて付勢するバネ730が付設されている。リンク機構73の先端を型用薬剤5a(サンプル薬剤)に当接させて止めることで規制部材710,720の揺動端部の下段部分711,712が上端周縁部230上の薬剤搬送経路幅を薬剤一個通過分に狭める機能は型置場740にも引き継がれており、型置場740が型置場74と相違するのは、小蓋741と止めネジ742とが付設されたことである。小蓋741は、開閉可能な蓋であり、透明な部材からなるので、型用薬剤5aの収容や取出の失念等の防止に役立つ。また、止めネジ742は、閉めた小蓋741がバネ730の付勢力では開かないように、小蓋741を止めておくためのものである。
図5に示した仕分け機構600は、既述の仕分け部材60を改造したものであり、図5は、薬剤フィーダ100の仕分け機構600の構造を示しており、(a)が仕分け機構600とその設置先部分とに係る外観斜視図であり、(b)が仕分け機構600の第1仕分け部材610に係る正面図であり、(c)が仕分け機構600の第2仕分け部材620に係る正面図である。
仕分け機構600は(図5(a)参照)、環状回転体200の上端周縁部230の薬剤搬送経路において既述の仕分け部材60と同様に規制機構700の上流に配設された第1仕分け部材610と、仕分け部材60と異なり上記の薬剤搬送経路において規制機構700と並ぶ位置に配設された第2仕分け部材620とを具備しており、それら複数の部材にて多段階で仕分け機能を発揮するものになっている。
何れの部材610,620も、既述の仕分け部材60と同様に、排出ガイド13を含むとともに規制機構700を支持する板体に対して、装着されている。
第1仕分け部材610は(図5(a),(b)参照)、手動のネジ機構にて上下位置を調整しうる短かめの支持部材611と、その先端寄り部位に取り付けられて支持部材611に随伴して上下する前段垂下物612とを具備している。
前段垂下物612は(図5(b)参照)、複数の大玉613(図では二個の球体)を緩く連結して鎖状にしたものであり、市販のボールチェーン等で足りれば容易かつ安価に具現化できる。第1仕分け部材610では、二個の前段垂下物612が、支持部材611から上端周縁部230の薬剤搬送経路の上方へ横並び状態で垂れ下がり、通常は前段垂下物612の下端が薬剤の高さより少しだけ高くなるように上下位置が調整される。
第2仕分け部材620は(図5(a),(c)参照)、これも手動で上下位置を調整しうる長めの支持部材621と、その先端寄り部位に取り付けられて支持部材621に随伴して上下する中段垂下物622及び後段垂下物632と、支持部材621の上下位置調整を担う手動調整機構650とを具備している。
中段垂下物622は(図5(c)参照)、複数の中玉623(図では三個の球体)を緩く連結して鎖状にしたものであるが、中玉623が小粒になり連結個数が増えている。
後段垂下物632も、やはり複数(図では手前七個と奥六個)の小玉633を緩く連結して鎖状にしたものであり、小玉633が更に小粒になり連結個数が増えている。
手動調整機構650は、支持部材621を手動操作にて上げてそれと下限設定機構651との間隙を広げてから、下限設定機構651の上に型用薬剤5a(上述した型置場740に置いた型用薬剤5aとは別物であるが同形の薬剤5の一つ)を載置し、それから手動操作にて支持部材621を型用薬剤5aに軽く当たるところまで下げると、支持部材621の上下位置が型用薬剤5aに対応した位置に来るようになっている。
下限設定機構651には、目盛部材652が付設されており(図5(c)参照)、その目盛が下限設定機構651と支持部材621との間隔ひいては型用薬剤5aのサイズを示し更には手動調整機構650によって調整された第2仕分け部材620による規制高さをも示すようになっている。また、支持部材621の上下位置調整に付随して、型用薬剤5aの採寸・表示まで行われるので、第1仕分け部材610の調整の目安にもなる。
さらに、上述した前段垂下物612と中段垂下物622と後段垂下物632とについて、それらの位置関係や役割分担等を説明する。
二つの前段垂下物612は、何れも上端周縁部230の薬剤搬送経路の上方に垂れ下がるが、上端周縁部230の径方向である薬剤搬送経路の横断方向に並んでいる。前段垂下物612の下端位置は、調整方針に依存するので一概には言えないが、大抵は、薬剤搬送経路上で薬剤が重なっていれば上の薬剤に対して干渉するように、薬剤より少し高くされる。大玉613が重めで薬剤の重なりが効率良く解消されるが、自由端である下端の大玉613が直ぐ上の連結部の変形によって逃げるため薬剤への衝撃は少なくて済む。
なお、薬剤が球状の場合は、薬剤が転がり易くて位置が安定しないことが多いが、薬剤が薬剤搬送経路の横断方向で中央など望ましい所に位置しているときには、薬剤が横並びの前段垂下物612の間をすり抜ける。また、薬剤が中央より少し横にずれているときには、位置ずれしている方の前段垂下物612と薬剤とが軽く干渉して、薬剤が中央(転がり易い薬剤では上述した環状回転体200の上端周縁部230の溝231の拡幅部のところ)に寄せられる。これに対し、薬剤が中央から大きく位置ずれしているときには、当たり具合によって中央に寄せられる薬剤もあるが上端周縁部230の上から押し出されて傾斜回転体300の上に戻る薬剤が多い。
二つの中段垂下物622は、その支持部材621が規制機構700を跨いでいる跨ぎ仕分け部材になっていて、何れの中段垂下物622も、上端周縁部230の薬剤搬送経路の上方に垂れ下がり、規制機構700(特に第2規制部材720)の横に位置していて横並び垂下物になっている。
また、何れの中段垂下物622も、上端周縁部230の薬剤搬送経路の上方に位置しており、それらが薬剤搬送経路に対しては斜めに並んでいる。
さらに、支持部材621と手動調整機構650との関係が標準的な設定では中段垂下物622の下端位置を薬剤搬送経路上の薬剤より僅かに低くするようになっている。
そのため、中段垂下物622は、薬剤搬送経路上で薬剤が重なっていれば上の薬剤に対して中玉623が干渉して薬剤の重なりを解消する機能に加え、例えば単独で孤立した状態や斜めがかった横並び状態などでたまたま薬剤搬送経路の内周側に載っているような薬剤を剤搬送経路の中央へ戻すか傾斜回転体300へ戻すか切り分けることで薬剤搬送経路上の薬剤整列機能を強化する機能をも発揮するものとなっている。
二つの後段垂下物632は(図5(a)参照)、一方(図では奥の六連物)が上端周縁部230の薬剤搬送経路の内周側の上方に垂れ下がり、他方が(図では手前の七連物)が上端周縁部230の薬剤搬送経路の上方から外れて傾斜回転体300の外周側の上方に垂れ下がり、薬剤搬送経路の横断方向に並んでいる。
しかも、手動調整機構650による支持部材621の高さ調整に伴って、一方の後段垂下物632の下端位置は上述の中段垂下物622の下端位置より少し低くされ、他方の後段垂下物632の下端位置は更に低くされるようになっている。
そのため、上述した大玉613を連ねた第1仕分け部材610と、中玉623を連ねた中段垂下物622と、小玉633を連ねた後段垂下物632は、それらの下端位置が玉の大小の順になっている。
さらに(図5(a)参照)、後段垂下物632は、少なくとも内周側のものは(図では手前の七連物)、小玉633の材料に鉄等の磁性体が採用されている。また、これに対応して、第2規制部材720のうち後段垂下物632に近い部位に、永久磁石などからなる引き付け部材640が嵌め込み等にて取り付けられている。そして、その引き付け力が重 力の分力に加勢するため、後段垂下物632は、薬剤搬送経路の上から当接してきた薬剤に対して、穏やかながらも効果的な反力を作用させるものとなっている。これにより、第2規制部材720から離れていた薬剤が第2規制部材720に近づくので、第2規制部材720の機能が強化される。このような後段垂下物632は、自身の薬剤の高さ規制機能よりも第2規制部材720の薬剤の横幅規制の強化を重視したものとなっている。
図6に示した容器延伸体800は、新たに追加されたものである。図6は、薬剤フィーダ100の容器延伸体800の構造を示しており、(a)が斜視図、(b)が底面図、(c)が側面図である。
容器延伸体800は(図6参照)、環状回転体200の上端周縁部230の中空と同程度か少し小さな貫通穴811が形成されている板部810と、貫通穴811の周縁部を下端として上方へ立ち上がっている筒部820と、貫通穴811の周縁部の一部を上端として下方へ突き出た垂下部830とを具備したものである。
板部810は、周壁11に対して、直に、或いは排出ガイド13の形成された板体を介して間接的に、上乗せ状態で着脱しうるものであり、装着状態では貫通穴811が環状回転体200や傾斜回転体300の上方に位置するとともに、筒部820が板部810から上方へ少し広がりながら突き出て、貫通穴811を上方へ伸ばすことで、薬剤の収容量を増加させるようになっている。
また、板部810を周壁11に対して装着した状態では、垂下部830が、環状回転体200の内側(少なくとも上端周縁部230の中空の内側)に入り込んでいて、規制機構700(特に第1規制部材710や第2規制部材720)の横で近くに位置することで、筒部820の中の薬剤が規制機構700やその辺りの上端周縁部230の所へ雪崩れ込むのが防止されるとともに、排出ガイド13よりも手前で上端周縁部230の上から外された薬剤が傾斜回転体300の上へ円滑に戻ることができるようになっている。
さらに、貫通穴811の一部に膨らみ812が形成されるとともに(図6(b)参照)、そこに連なる筒部820の該当部分にも膨らみ821が形成されていて(図6(a)参照)、傾斜回転体300の上昇部との不所望な干渉を回避するとともに、傾斜回転体300から環状回転体200へ薬剤を引き渡すことが円滑に行えるようにもなっている。
図7に示した大蓋110も、新たに追加されたものである。図7は、容器延伸体800を装備したものと装備していないものとを並べた二つの薬剤フィーダ100,100に係る全体構造を示しており、同図(a)は、大蓋110を開けた状態の薬剤フィーダ100に係る外観斜視図、同図(b)は、大蓋110を閉じた状態の薬剤フィーダ100に係る外観斜視図である。
大蓋110は、周壁11又は排出ガイド13の形成板体等の上面に対して蝶番部材を介して連結されていて周壁11の上方を開閉しうるようになっている。なお、蝶番部材には双安定なバネ等が組み込まれていて、大蓋110は全開状態か全閉状態の何れかで安定するようになっている。
また、大蓋110は、それを閉めても傾斜回転体300等の動作状況を目視で確認できるように、透明か半透明の部材からなる。
さらに、大蓋110と容器延伸体800とを装着した薬剤フィーダ100では、大蓋110を閉めたときに、大蓋110の下面が容器延伸体800の筒部820の上端に対して接触間際まで接近するように、大蓋110の深さと容器延伸体800の高さとが関連付けて設計されているので、大蓋110を閉めると容器延伸体800の筒部820の上端開口が大蓋110の下面によって薬剤通過不能な状態まで閉じられるようになっている。
なお、図示のように蝶番部材を薬剤フィーダ100の後方(図では右後)に設けて大蓋110を前方へ下ろすと薬剤フィーダ100が閉まり大蓋110を後方へ上げる薬剤フィーダ100が開くようにしておくと複数の薬剤フィーダ100を横に並べても使い易いが、大蓋110が他の方向へ開くようにしても良い。
図8(a)に示した回転駆動機構500は、既述の回転駆動機構50を改造したものであり、同図は、回転駆動機構500を内蔵した薬剤フィーダ100の内部構造を示している。また、図8(b)に示したコントローラ570等(制御部)は、既述の回転駆動制御機能を拡張したものであり、同図は、その回転駆動制御に係るブロック構成図である。
回転駆動機構500は(図8(a)参照)、回転駆動部材51に代わる回転駆動部材511及び回転駆動部材512と、回転駆動モータ54に代わる回転駆動モータ541及び回転駆動モータ542と、新たに追加された傾斜回転体装着検出手段550と、符号を付して明示した薬剤落下検出手段560とを具備している。回転駆動モータ541は回転駆動部材511を介して環状回転体200を回転させるものであり、回転駆動モータ542は回転駆動部材512を介して傾斜回転体300を回転させるものであり、そのように駆動系が二系統に分かれたことで、環状回転体200と傾斜回転体300とが独立駆動しうるものとなっている。また、回転駆動モータ541にも、回転駆動モータ542にも、コントローラ570の制御に応じて回転の向きを正転か逆転か択一的に切り替えることが可能なものが採用されている。そのため、回転駆動機構500は環状回転体200及び傾斜回転体300の回転方向を個別に反転しうるものとなっている。
傾斜回転体装着検出手段550は、傾斜回転体300の回転軸部370の軸支部などに付設されたフォトセンサ等からなり、傾斜回転体300が適切に装着されるとセンサ検出先に回転軸部370が位置するのに対し、傾斜回転体300が取り外されたり装着されても装着状態が不適切だったりすると回転軸部370がセンサ検出先から外れるような部位や姿勢で設けられていて、傾斜回転体300の着脱を検出するものとなっている。
薬剤落下検出手段560は、落下排出口14から下方へ延びた薬剤の落下経路に臨むフォトセンサ等からなり、環状回転体200の上端周縁部230に整列してから順に落下経路を通って逐次排出された薬剤の落下状態を検出するようになっている。
コントローラ570は(図8(b)参照)、マイクロプロセッサを主体とした制御回路(制御手段)であり、図示しない操作部や上位装置から初期化指示や薬剤排出指示といった各種の指示を受けて独立駆動可能な一組の回転駆動モータ541,542の回転制御を行うようになっている。そして、そのために、初期化指示の有無や薬剤落下検出手段560の検出結果を参照して回転駆動モータ541の回転方向および回転速度と回転駆動モータ541,542の回転方向および回転速度とを調整しながら薬剤を逐次排出させる薬剤排出動作制御プログラム(薬剤排出動作制御手段)と、薬剤排出指示で指示された個数だけ薬剤を排出させるための剤数管理プログラム(剤数管理手段)とを具備している。
剤数管理プログラムによる制御では、薬剤フィーダ100の脱着や電源投入の直後さらには薬剤フィーダ100への薬剤補充やリセット操作さらには薬剤排出タイムアウトの後などに出される初期化指示を受けると薬剤サイズの推定値をクリアするようになっている。また、傾斜回転体装着検出手段550の検出結果を監視することで傾斜回転体300ひいては環状回転体200も適切に装備されているか否かを判別し、その装備が適切なときだけ次の剤数管理処理を行うようにもなっている。すなわち、この剤数管理処理では、薬剤排出動作制御プログラムを起動し、それから、薬剤落下検出手段560の検出結果を監視して排出薬剤の個数を把握し、薬剤排出指示で指定された個数だけ薬剤排出が行われたら薬剤排出動作制御プログラムの動作を停止させる、といったことが行われる。
薬剤排出動作制御プログラムによる制御では、上述した薬剤サイズの推定値を確認して推定値がクリアされているときには、薬剤サイズの推定値を得る前の初期動作を行うようになっている。この初期動作時には、環状回転体200と傾斜回転体300とを合わせた回転容器200+300に係る回転速度を先ず高速から始めて次に低速に切り替えるようになっている。先行の高速回転は、初期状態の薬剤フィーダ100において最初の薬剤が傾斜回転体300から環状回転体200へ乗り移るまでの想定時間だけ、例えば傾斜回転体300が4分の1回転する程度の時間だけ、行われる。次の低速回転は、転がり易い薬剤でも勢いで余分に落下排出口14へ行ってしまうことが無いような低速で、薬剤落下検出手段560にて最初の落下薬剤が検出されるまで、行われる。こうすることにより、薬剤のサイズが不明な段階でも過剰排出を回避しつつ所用時間を短縮することができる。
また、薬剤排出動作制御プログラムによる制御では、薬剤落下検出手段560にて薬剤の落下が検出されると、その度に剤数管理プログラムに薬剤一個排出済みの通知を行うが、薬剤サイズの推定値がクリアされている初期動作時には、その推定値のセットも行うようになっている。具体的には、最初の落下薬剤の検出時に薬剤検出時間長を計測して、その計測値をそのまま或いは計測値に所定の定数を乗じた値を薬剤サイズの推定値に採用する、といったことが行われる。これで、初期動作は完了する。
推定値がセットされた後や推定値が既にセットされていたときには、薬剤排出動作制御プログラムによる制御では、定常動作を行うようになっている。
この定常動作では、薬剤サイズの推定値に対応して回転容器200+300の回転速度を可変制御する。具体的には、例えば上記の推定値の逆数をそのまま或いはそれに定数を乗じた値を回転容器200+300の制御目標値にしてフィードバック制御を行うようになっている。
また、剤数管理プログラムから動作停止を指示されたとき、薬剤排出動作制御プログラムの制御では、薬剤の過剰な転動の防止のため回転容器200+300の回転を急停止するのでなく徐々に減速したり、薬剤の過剰な落下の防止のため逆回転を行わせるようにもなっている。回転容器200+300の典型的な減速回転は、薬剤排出指示で指示された個数から一つ前の薬剤の排出を検出したときに行われ、転動し難い薬剤が溝間央部234の所でも滑らないよう円滑になされる。回転容器200+300の逆回転は、薬剤排出指示で指示された個数だけ薬剤を排出し終えたときに行われるようになっている。
そのため、例えば薬剤排出指示が上位装置の薬剤分包機から出されたようなときに、謂わば一包単位での逆転式排出動作が行われるものとなっており、複数の錠剤を一包に封入する場合は上述の減速回転や逆回転が複数錠剤の排出毎に一度ずつ行われ、一包に封入する錠剤が一個の場合だけ上述の減速回転や逆回転が錠剤排出毎に行われる。
なお、回転容器200+300の逆回転は、環状回転体200には正転を継続させつつ傾斜回転体300だけ少し逆回転させるようにしても良いが、この実施例では、環状回転体200と傾斜回転体300とを共に逆回転させるようになっている。しかも、その際、傾斜回転体300を環状回転体200より高速で逆回転させるようにもなっている。
このような実施例1の薬剤フィーダ100について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。薬剤フィーダ10について既述した事項を踏襲した内容については簡潔に述べるにとどめ、以下、改良点や新たな事項を中心に詳述する。
先ず、回転容器200が適切に装着されたうで傾斜回転体300も適切に装着されていないと、傾斜回転体装着検出手段550が傾斜回転体300の回転軸部370を検出できず、それに応じたアラーム等が発せられるので、それに気づいたら回転容器200+300の装着を遣り直しておく。
そして、薬剤フィーダ100を使用して多数の薬剤5を逐次送出するには、大蓋110を開け(図7(a)参照)、薬剤5の量が回転容器200+300の容量を超えない場合は容器延伸体800を装着するまでも無いが(図7(a)の右前の薬剤フィーダ100を照)、薬剤5の量が回転容器200+300の容量を超える場合は容器延伸体800を装着してから(図7(a)の左奥の薬剤フィーダ100を参照)、所要個数かそれより多めの薬剤5を回転容器200+300の中へランダム投入する(なお、薬剤5の図示は、既述した図14や図15に準ずるので、ここでは割愛した)。
また、薬剤の投入の前でも後でも良いので、規制機構700による薬剤搬送経路上の幅規制に係る調整作業と(図4参照)、仕分け機構600による薬剤搬送経路上の高さ規制に係る調整作業を行う(図5参照)。なお、容器延伸体800を装着しても規制機構700の型置場740や仕分け機構600の手動調整機構650等は隠れないので(図7参照)、容器延伸体800を装着しても装着しないときと同様に調整することができる。
規制機構700の幅規制の調整は(図4(a),(b)参照)、型用薬剤5aを型置場740に置いてから小蓋741を閉め更に止めネジ742を締めることで、型用薬剤5aが確実に固定されるうえ、型用薬剤5aのセット状態を目視で簡便に確認することができ、更に、バネ730の付勢によって二連の規制部材710,720の位置合わせも容易かつ的確になされる。
仕分け機構600のうち第2仕分け部材620による高さ規制の調整は(図5(a),(c)参照)、もう一つの型用薬剤5aを下限設定機構651の上に置いてから手動調整機構650を下げて型用薬剤5aを挟むことで容易かつ的確に遂行することができる。ほとんどの場合それだけで足りるが、試運転や以前の実運転などに基づいて微調整を加えたいときには、必要なら型用薬剤5aを取り外して、目盛を参照して支持部材621を少しだけ上げ下げする。
また(図5(a),(b)参照)、仕分け機構600のうち第1仕分け部材610による高さ規制の調整は、型用薬剤5aのサイズを示している目盛部材652を参照しながら手動調整を行うことで、これも容易かつ的確に済ませることができる。
それらの準備作業が総て済んだら、大蓋110を閉めて(図7(b)参照)、薬剤の逐次排出に備える。大蓋110を閉めると、周壁11や回転容器200+300の上方が閉じられるとともに、容器延伸体800の筒部820の上端開口も実質的に密閉されて薬剤5のこぼれ落ちが防止される。また、大蓋110の開閉操作や手動操作に応じて初期化指示が出され(図8(b)参照)、それに応じてコントローラ570では薬剤サイズの推定値がクリアされて、薬剤排出の準備が進む。もっとも、薬剤フィーダ100が排出動作を行うに際しては、傾斜回転体装着検出手段550が傾斜回転体300の回転軸部370を検出しているという条件が課されているので、薬剤の逐次排出は、回転容器200+300が適切に装着されている安全な状態でのみ(図8(a)参照)、実行される。
そして、薬剤フィーダ100において薬剤の逐次排出の準備が整ったところで、コントローラ570に薬剤排出指示が届くと、剤数管理プログラムの剤数管理下で薬剤排出動作制御プログラムの薬剤排出動作制御が行われる。
当初は薬剤サイズの推定値がクリアされているので、初期動作が行われ、回転容器200+300の回転が先ず高速から始まる。もっとも、高速とは言っても、脆い薬剤5が表面等に崩れや欠けといった損傷を負うほど高速ではない。
そして、最初の薬剤が傾斜回転体300から環状回転体200へ乗り移る頃には、回転容器200+300の回転が低速になる。そのため、最初の薬剤5が割と早めに環状回転体200の上に送り込まれるが、転がり易い薬剤でも勢い余って落下排出口14へ行ってしまうといった不所望な事態には至らない。
低速回転時には薬剤5が傾斜回転体300の周縁部分の勢いに連れて環状回転体200の傾斜内面を駆け上がることは期待できないが、傾斜回転体300の周縁部には外下り傾斜の引渡部340が形成されているので(図1参照)、それが傾斜回転体300の回転に伴って下降したときには傾斜回転体300の上面央部320の上などから薬剤5が落ち込む。そして、引渡部340が傾斜回転体300の更なる回転に伴って上昇するに連れ、引渡部340の薬剤5が後方の押上部350により押し上げられる。
それだけでも薬剤5が傾斜回転体300によって環状回転体200の上へ運ばれるが、凸部360の付設された引渡部340では、凸部360の基部361が加わって押上部350の高さが増しているうえ、引渡部340の内周側も凸部360の延伸部362によって高められているので、例え傾斜回転体300の回転が極めて遅くても、高い確率で薬剤5が傾斜回転体300から環状回転体200へ押し上げ移載される。
また、傾斜回転体300の上面のうち比較的平坦な上面央部320には並行波状凹凸321が形成されているので、上面央部320の上に乗っている薬剤5は、傾斜回転体300が軸回転すると、重力の相対的な作用方向が変化する状態の下で並行波状凹凸321の摩擦力の作用方向も変化するため、傾斜回転体300の軸回転がゆっくりでも効果的に撹拌さるので、次々に上面央部320から引渡部340へ滑り込む。さらに、その引渡部340にも、並行波状凹凸321と同様の並行波状凹凸が形成されているので、引渡部340の薬剤5は、押上部350によって押し上げられる際にも、塊になっていれば多くが速やかに崩れるので、薬剤5が傾斜回転体300から環状回転体200の上端周縁部230へ乗り移るときには、複数個が上下に重なった状態の薬剤5,5がかなり減っている。
そして、環状回転体200の上端周縁部230の上に乗った薬剤5は(図2(a)参照)、転がり易いものの場合は転がって溝231に至ると溝幅の広い所で安定し(図2(b),図3参照)、転がり難いものの場合は溝231の所で軽い干渉により安定するとともに溝231,231間の溝間央部234の所でも凹凸(235)との干渉により従来よりも安定し、薬剤搬送経路をなす上端周縁部230の巡回運動によって、順に(図5(a)参照)、仕分け機構600の第1仕分け部材610の前段垂下物612の下と、規制機構700の第1規制部材710の内周側と、規制機構700の第2規制部材720と仕分け機構600の第2仕分け部材620の中段垂下物622との間と、規制機構700の第2規制部材720と仕分け機構600の第2仕分け部材620の後段垂下物632との間と、排出ガイド13の外周側と、落下排出口14へ搬送される。なお、その搬送中には、上端周縁部230が落下排出口14の位置を高める向きに角度βだけ傾斜していることから(図2(c)参照) 、重力の分力が薬剤5を押し戻そうとするが、その分力は微小であって溝231の干渉などによる推進力には全く及ばないので、転がり易い薬剤5も不都合なく搬送される。
その搬送状況について段階を追って詳述する。先ず、薬剤5が仕分け機構600の前段垂下物612の下に来ると(図5(a),(b)参照)、上端周縁部230の薬剤搬送経路の概ね中央に位置している単独の薬剤5は、平たいものであれ球状のものであれ、前段垂下物612と干渉することなく円滑に搬送されるが、他の薬剤5に乗り上げているものや寄り掛かっているものは、前段垂下物612の下部と干渉するので、乗り上げ等が解消されることが多い。しかも、干渉した薬剤5は二連の前段垂下物612の間すなわち薬剤搬送経路の中央に寄せられか、薬剤搬送経路より内周側へ押されて傾斜回転体300の上へ戻されるか、何れかに振り分けられることが多い。また、そのときの干渉は、前段垂下物612が変形して逃げやすいものなので、薬剤5が脆いものであっても壊れ難い。
このように、前段垂下物612の所では、薬剤5の高さ規制が緩やかに行われるとともに、横幅方向への振り分けも、状況によっては、それなりに行われる。
次に、薬剤5が規制機構700の第1規制部材710の横に来ると(図5(a)参照)、第1規制部材710の内周側面部には横幅規制機能を担う下段部分711が形成されているので(図4(c)参照)、それによって、横並びの薬剤5,5については、内周側のものが薬剤搬送経路上から傾斜回転体300の方へ押し出されるか、薬剤搬送経路上で前後に並び直されることになる。また、第1規制部材710の内周側面部には高さ規制機能を担う上段部分712も形成されているので(図4(c)参照)、他の薬剤5に乗り上げているものや寄り掛かっているものは、上段部分712の張り出しやその下の傾斜面と干渉するので、薬剤5同士の乗り上げ等が解消される。乗り上げ等は、既に第1仕分け部材610によって或る程度まで解消済みなので、更なる解消により、ほぼ解消される。
それから、薬剤5が規制機構700の第2規制部材720と仕分け機構600の中段垂下物622との間に来ると(図5(a)参照)、単独の薬剤5は、中段垂下物622と微かに干渉するが中段垂下物622との干渉が弱いので進行を妨げられることなく搬送される。これに対し、他の薬剤5に乗り上げているものや寄り掛かっている薬剤5は、中段垂下物622に対して単独の薬剤5のときより強く干渉するので、乗り上げ等が解消されることが多い。このときの干渉も、中段垂下物622が前段垂下物612よりも変形し易くて逃げやすいものなので、薬剤5が脆いものであっても壊れ難い。さらに、干渉した薬剤5は、薬剤搬送経路より内周側へ押されて傾斜回転体300の上へ戻されるか、第2仕分け部材620の方へ寄せられて薬剤搬送経路の上にとどまる。
さらに、薬剤5が規制機構700の第2規制部材720と仕分け機構600の後段垂下物632との間に来ると(図5(a)参照)、上下に重なっている薬剤5や横に並んでいる薬剤5は既にほとんど無くなっているが、薬剤搬送経路の上にとどまりつつも内周側に寄り過ぎている薬剤5はそれなりに有り得るところ、そのような薬剤5は、後段垂下物632と干渉して、薬剤搬送経路の上にとどまり続けながら第2仕分け部材620の方へ寄せられる。後段垂下物632との干渉は、小玉633が小粒なので、弱くて優しいが、引き付け部材640の引き付け力の加勢があるので、粘りもある。しかも、後段垂下物632が揺れたときでも、その揺れが引き付け部材640の引き付け力によって抑制されて直ぐに収まるので、薬剤5を第2仕分け部材620に寄せる付勢は安定して行われる。
そして、薬剤5が規制機構700の第2規制部材720の後端部の横に来ると(図5(a)参照)、第1規制部材710の横に来たときについて上述したのと同様にして、下段部分721の横幅規制機能と上段部分722の高さ規制機能とによって最終的な薬剤整列処理が施され、薬剤5が上端周縁部230の薬剤搬送経路の上で一列に並ぶ。
このように、この薬剤フィーダ100では、前段垂下物612と第1規制部材710と中段垂下物622と後段垂下物632と第2規制部材720とが、薬剤の高さ規制と横幅規制との何れが主で何れが従かという相違はあるが、多くのものが両方の規制を行うので、環状回転体200の上端周縁部230の上の薬剤5は、粗密いずれの状態であっても、多段階で何度も繰り返される両規制によって、薬剤搬送経路の上で一列になる。
それから、薬剤5が排出ガイド13の外周側に来ると(図5(a)参照)、薬剤5は、環状回転体200の回転に伴って排出ガイド13の外周側面に沿って落下排出口14へ送り込まれる。その際、円板状などの多くの薬剤は、上端周縁部230との摩擦や散点子235の辺縁部との微かな引っ掛かりによって安定状態を保ちつながら上端周縁部230によって運ばれるので、一つずつ落下排出口14へ入る。
一方、球状などの転がり易い薬剤は、排出ガイド13に押されて環状回転体200の上端周縁部230の溝231の拡幅部から溝231の先端側を経て上端周縁部230の面取232へと移動するが(図2(b),図3参照)、溝231から面取232への移動タイミングが上端周縁部230の傾斜(β)によって安定化されるうえ(図2(c)参照)、その後の落下排出口14へ向けた移動が面取232の傾斜(α-β)によって迅速かつ安定したものにされるので、転がり易い薬剤も一つずつ落下排出口14へ入り込む。
そして、落下排出口14に入った薬剤5は、落下経路をほぼ自由落下状態で落下して(図8(a)参照)、薬剤落下検出手段560の検出先を通過する。薬剤サイズの推定値がクリアされているとき即ちその薬剤5が最初の排出薬剤であるときには、そのときの通過時間を検出した検出時間長に応じて薬剤サイズが推定され、更に、その推定値に基づいて以後の回転駆動モータ540の回転速度ひいては回転容器200+300の回転速度が設定される。具体的には、薬剤サイズの推定値が大きいときには回転容器200+300を高速で回転させるが薬剤サイズの推定値が小さいときには回転容器200+300を低速で回転させるような速度設定が自動で行われて、以後は、その設定速度で回転容器200+300が回転する。そのため、小さめの薬剤については低速化によって不所望な多重落下が防止され、大きめの薬剤については高速化によって能率の向上が図られる。
さらに、薬剤落下検出手段560にて薬剤の落下が検出されると、その度に、コントローラ570において薬剤排出動作制御プログラムから剤数管理プログラムへ薬剤一個排出済みの通知がなされる。それから、薬剤排出の回数が薬剤排出指示の指示値より一つだけ少ない数に到達したことが剤数管理プログラムによって確認されると、剤数管理プログラムから薬剤排出動作制御プログラムへ排出速度低減の指示が出される。すると、回転容器200+300の回転速度ひいては上端周縁部230の上の薬剤の送り速度が迅速かつ円滑に低下するので、溝231の上の薬剤についても、溝間央部234の上の薬剤についても、ほとんど滑ることなく送り速度が低下する。
そして、そのときの先頭の薬剤が落下排出口14から落ちたことが薬剤落下検出手段560によって検出され、薬剤排出の回数が薬剤排出指示の指示値に到達したことが剤数管理プログラムによって確認されると、剤数管理プログラムから薬剤排出動作制御プログラムへ排出動作停止の指示が出されて、薬剤排出動作制御プログラムの制御によって、回転駆動モータ540の動作が停止されて薬剤排出動作が止まり、すかさず回転駆動モータ540が所定量だけ逆回転するので、溝231に収まっている球状などの転動容易な薬剤も、溝231ばかりか溝間央部234でも安定している円板状などの転動し難い薬剤も、後続のものが的確に落下排出口14の手前に留め置かれる。
こうして、薬剤排出指示で指示された個数の薬剤5が薬剤フィーダ100から送り出され、一の薬剤排出指示に応じた薬剤供給が迅速かつ的確に完了する。
上述の動作説明では煩雑化の回避のために割愛したが、薬剤フィーダ100に容器延伸体800が装着されていて(図7(a)の左奥の物を参照)、そこに環状回転体200を超える高さまで薬剤5が投入されていた場合の動作について説明を追加する。
この場合、傾斜回転体300から環状回転体200へ薬剤5が乗り移る箇所の直ぐ後方位置から、排出ガイド13の手前までは(図5(a)参照)、環状回転体200の上端周縁部230の上の薬剤搬送経路と傾斜回転体300の上方空間とが容器延伸体800の垂下部830によって仕切られているので(図6(a)参照)、容器延伸体800の筒部820の中の薬剤5が不所望に雪崩れ込むことはなく、薬剤5は、貫通穴811の膨らみ812を通って(図6(b)参照)、少しずつ薬剤搬送経路の上に乗り込む。
同じく容器延伸体800が薬剤フィーダ100に装着されている場合、仕分け機構600や規制機構700によって環状回転体200の上端周縁部230の上の薬剤搬送経路から傾斜回転体300の上へ戻された薬剤5は(図5(a)参照)、環状回転体200の内周壁面(図2(a)参照)と容器延伸体800の垂下部830の外周面(図6参照)との隙間に収まってから、傾斜回転体300によって容器延伸体800の貫通穴811の下方へ戻される。傾斜回転体300の上面のうち上面周縁部330には引渡部340や押上部350更には凸部360まで形成されているので、それで運ばれる薬剤5は、容器延伸体800の中の多数の薬剤5の下方に潜るような状況であっても的確に送り込まれる。
また、コントローラ570の制御方式についても、説明を追加すると、回転容器200+300が既述した正逆同時駆動の排出動作モードだけでなく、それとは少し異なる上述の謂わば片方逐次逆転式の排出動作モードも選択できるようにもなっていて、後者の逐次逆転式の排出動作モードが選択されている場合は、薬剤5の排出が一個でも検出されるとその度に傾斜回転体300だけを少し逆回転させることが行われる。これによって、環状回転体200の上端周縁部230の上の薬剤搬送経路の搬送速度を落とすこと無く、転がりやすい薬剤5についても過剰排出が的確に防止されるが、それに加え、正転だけでは得られない撹拌効果をも逆転によって発揮することができる。特に、傾斜回転体300の押上部350に付設の凸部360は逆転時にも大きな撹拌効果を発揮する。なお、正転に対する逆転の割合は、上述のような毎回に限られる訳でなく、二回の正転ごとに一回の逆転や、数回の正転ごとに一回の逆転など、適宜選択できるようになっていても良い。
さらに、薬剤フィーダ100にて取り扱う薬剤が変更になったときなどに、薬剤フィーダ100の中に薬剤が未だ残っている場合は、その残薬を回収することになるが、この薬剤フィーダ100には二つの残薬回収手段が具備されている。
一つ目は、回転容器200+300を十分な時間に亘って継続的に逆転させるものであり、この場合、環状回転体200の上に乗っていた薬剤が逆転時に仕分け機構600や規制機構700更には排出ガイド13の内周側延長面などによって環状回転体200の内側に押し込まれて傾斜回転体300の上に集まるので、それを手作業等で取り出す。
二つ目は、回転容器200+300を排出完了まで継続的に正転させるものであり、この場合、フィーダ単独使用の場合は排出薬剤を回収用容器などで回収し、分包機組込使用の場合は分包紙に封入して回収する。
また、薬剤フィーダ100にて取り扱う薬剤が変更になったような場合は、型用薬剤5aも取り替えることになるので、先ずはセット済みの型用薬剤5aを取り外さなければならないが、規制機構700の型置場740の小蓋741が透明なことから、そこに置かれていた型用薬剤5aの有無や形状等が目視で容易かつ確実に分かるので、不所望な取り忘れは発生し難い。仕分け機構600の手動調整機構650に置かれていた型用薬剤5aについても、挟持方式で密閉されておらず、目視可能なので、同様である。
図9の平面図に環状回転体200の上端周縁部230の一部を示した薬剤フィーダが上述の薬剤フィーダ100と相違するのは、上端周縁部230に列設された溝231について上端周縁部230の内周側の辺縁部のところに細かな切り落としが追加されていることや、上端周縁部230の溝間央部234に形成された散点模様の凹凸を構成する散点子235の配置が、上端周縁部230が環状であることに対応させて、同心円状かつ放射状の二次元配置になっていることである。この配置は、環状回転体200を少しずつ回転させながら平坦な散点間236に対して浅く穿孔を行うことで散点子235を形成する加工機などを用いて散点模様の凹凸を作り上げるのに適している。
図10に上端周縁部230の一部を示した薬剤フィーダが上述した図9の上端周縁部230と相違するのは、溝間央部234に形成された散点模様の凹凸を構成する散点子235が丸い凹部でなく角張った凸部になっていることである。この配置は、環状回転体200を少しずつ回転させながら平坦な溝間央部234に対して散点間236の部位にだけ浅い溝掘りを行うことで散点子235を形成する加工機などを用いて散点模様の凹凸を作り上げるのに適している。一つの散点子235とその隣りの散点子235とが散点間236によって分離されていることが目視で確認できる程度に明瞭であり、更に散点間236が薬剤より十分に小さければ、散点子235の形状や配置に特別な制約は無い。
[実施例1~3に係る薬剤の排出制御]
この実施例3や上記の実施例1,2で述べた環状回転体200の回転制御をコントローラ570(制御手段)が行う際に一包分の薬剤を排出し終える前に減速制御を行うとともに一包分の薬剤を排出し終えた後に逆回転制御を行うことについて、既述したものと重複する事項もあるが、ここで纏めて説明する。
要点は、一包分の薬剤が複数個のとき、当初は薬剤を整列しうる適宜な速度で環状回転体200が回転して速やかに薬剤の逐次排出と排出薬剤の検出が繰り返されるが、排出完了直前(最後の一つ手前)の薬剤に係る落下排出が検出されると、それに応じて環状回転体200の回転が減速し、それによって「過剰排出を招くオーバーラン」の度合いが減速無しのときと比べて小さく済むことと、その直後に生じる排出完了(最後)の薬剤に係る落下排出の検出に応じて、速やかに環状回転体200が回転停止さらには逆回転(逆転,反転)することで次の薬剤が落下排出口14から遠ざかるため不所望な過剰薬剤の排出(多錠落下)が起きにくくなることである。
処方指示に基づいて一包中に封入される同種薬剤の個数が多数の場合、一番目から排出完了直前(最後の一つ手前)の薬剤までは落下検出と計数とが的確に行われれば、それらの薬剤が環状回転体200の上端周縁部230の上で数珠繋ぎになっていても高速送りされていても不都合が無く、更に排出完了直前の薬剤の落下排出検出後の環状回転体200の回転減速によって排出完了時の薬剤に係る落下排出の検出精度向上も期待できる。
しかも、溝231,231間の溝間央部234の散点模様の凹凸(235,236)が、上端周縁部230の減速時や逆転時に生じやすい不所望な薬剤の滑りを防止や抑制するので、薬剤の過剰排出を回避しつつ薬剤排出の高速化を図ることができる。
以下、詳述する。薬剤が回転中の環状回転体200の上端周縁部230の上面(薬剤搬送経路)の外縁から落下排出口14へ落ち込んだときから薬剤落下検出手段560の検出先を通過して検出されるまでの時間を「タイムラグ」とし、上面の薬剤を滑らせることなく薬剤環状回転体200の回転を減速して停止させるのに要する時間を「減速時間」とし、一包中に含められる同種薬剤の個数を「N個」とすると、上述した「過剰排出を招くオーバーラン」の発生に関連して上記「タイムラグ」と上記「減速時間」と上記「N個」とに以下のような関係がある。
一包中に含められるN個の薬剤のうち最初の1個目から最後の前のN-1個目までは、薬剤落下検出手段560の薬剤検出が正常に機能していれば、排出薬剤の個数が適切にカウントされるので、それだけで足り、環状回転体200の回転速度やタイムラグさらには減速時間については設定値の大小等がオーバーランの問題を引き起こすことが無い。
これに対し、一包分のうち最後の薬剤であるN個目の薬剤の落下検出後は、次包分の薬剤まで不所望に落下排出されるというオーバーランが発生しないよう環状回転体200の回転を速やかに減速させ更に停止させなければならない。
しかも、その際、薬剤が数珠つなぎのように密に連なる状況を想定すると環状回転体200の減速時許容回転量やタイムラグを小さく抑えることが必要になるうえ、薬剤が上端周縁部230の上で滑って制御不能になるのを回避するには環状回転体200の回転速度がタイムラグ等に応じて制限される。
オーバーランによって不所望な薬剤過剰排出が起こると、直ちに分包動作を停止させて余分な薬剤を取り除いたり、分包動作を止めない場合はその代わりに再分包を行って後で余分な分包を取り除いたりすることになるが、何れも目視確認等を伴う高負担の人手作業を要するので、オーバーランは出来る限り回避しなければならない。
そのため、環状回転体200の回転速度の低減については、一包分のN個の薬剤を排出する度に、先頭からN-1個目の薬剤までは適宜な一定速度で速やかに行い、N-1個目の薬剤の排出が検出されてから最後のN個目の薬剤の排出が検出されるまでの間は、上述した散点模様の凹凸(235,236)による薬剤の滑り防止機能の向上を加味して、例えば上記一定速度から60%の速度へ減速しながら行うようになっている。
このように減速対象を一包中の最後の薬剤に絞ってそのときだけ緩やかに搬送がなされるようにしたことにより、オーバーランが問題になる状況下ではオーバーランの発生が抑制されるとともに、次の包に含めるべき薬剤は落下排出されずに環状回転体200の上にとどまることになる。そのため、減速による能率低下を最小に抑えながらも、一包中の薬剤の落下排出を最後の薬剤まで的確に検出することができる。
さらに、一包分の薬剤のうち最後のN個目の薬剤の排出が検出された後に行われる環状回転体200の逆回転については、環状回転体200が例えば3゜ほど逆向きに回転するようになっている。このように減速に加えて反転まで行うようにしたことにより、落下排出口14に近づいた次包分の先頭薬剤が十分な安全圏まで戻されるので、不所望なオーバーランを防止する機能が更に向上する。より具体的には、環状回転体200の反転(逆回転)が「一包中の最後の薬剤」の落下検出に応じて行われるが、その直前に環状回転体200の回転速度が約60%に減速されていることから、上述したようにオーバーランの発生が抑制されるので、反転時には、次包の薬剤の不所望な滑りを回避しながら速やかに、落下排出口14から十分に離れた安全圏まで次包の薬剤を戻すことができる。
そして、次包の薬剤の排出では、再逆転にて環状回転体200が本来の搬送の向きに回転する。そのため、次包の薬剤のうち最初の薬剤は、落下排出口14から確実に離隔している「より安全圏にある位置」から、任意設定された環状回転体200の回転速度で速やかに落下排出口14へ送り込まれる。次包の最初の薬剤が落下排出口14から安全圏へ離れていると言っても反転量が3゜程度に抑えられているうえ、そのときの加速に際しても溝231,231間の溝間央部234の散点模様の凹凸(235,236)によって薬剤の不所望な滑りが防止・抑制されるため、次包の薬剤も適切かつ速やかに排出される。
[その他]
上記実施例では、第2仕分け部材620の手動調整機構650や規制機構700の型置場740に、薬剤5から選出した型用薬剤5aを置いていたが、型用薬剤5aは、薬剤5から選出したものに限られる訳でなく、要部寸法が同じであれば薬剤以外の代用品であっても良い。
上記実施例では、仕分け機構600のうち、第2仕分け部材620の支持部材621だけが跨ぎ仕分け部材になっており、第1仕分け部材610の支持部材611は跨ぎ仕分け部材になっていなかったが、これは必須でなく、第1仕分け部材610の支持部材611まで跨ぎ仕分け部材になっていても良い。
上記実施例では、薬剤の過剰な転動の防止のために傾斜回転体300を少しだけ逆転させる制御や使い方があることについても説明したが、正転に対する逆転の割合をもっと増やしても良い。上述した傾斜回転体300には凸部360が形成されていることから、傾斜回転体300は逆転時にも薬剤5を押し上げて環状回転体200に受け渡すことができるので、正転と逆転とを適宜な割合で交互に繰り返すことにより、回転容器200+300の中の薬剤5をしっかり撹拌しながら受け渡すといったこともできる。
上記実施例では、傾斜回転体装着検出手段550として、傾斜回転体300の回転軸部370の軸支部に組み込まれたフォトセンサを例示したが、傾斜回転体装着検出手段550は、適切な姿勢で装着された傾斜回転体300を検出できれば他のセンサでも良く、例えばメカニカルスイッチでも良い。傾斜回転体装着検出手段550の装着箇所も、回転軸部370の軸支部の中に限られる訳でなく、例えば回転駆動モータ541,542の支持板などであっても良く、回転駆動モータ541,542の中間位置などであっても良い。検出手法も、回転軸部370を直に検出するものに限られる訳でなく、適宜なリンク部材などを介して間接的に検出するようにしても良い。
上記実施例に係る図8(a)では、回転駆動モータ541,532を回転駆動部材511,512に比べて小さめに表示したが、回転駆動モータ541,532がもっと大きくても良く、回転駆動部材511,512がもっと小さくても良い。また、回転駆動モータ541と回転駆動部材511が傾いていないのに対し、回転駆動モータ542と回転駆動部材512は傾いていたが、何れの設置についても傾斜させるか否かは任意である。さらに、回転駆動モータ541と回転駆動部材511の左右位置や、回転駆動モータ542と回転駆動部材512の左右位置も、任意の設計事項である。
本発明の薬剤フィーダは、錠剤分包機に搭載された多数の整列盤回転タイプ薬剤フィーダのうち一部のもの或いは全部を代替するのに用いても良く、薬剤フィーダを一個か少数個しか搭載しない錠剤分割器に搭載しても良く、さらには薬瓶へ錠剤等の薬剤を充填する装置などにおいて逐次送出した薬剤の個数を数え上げる錠剤カウンタ(薬剤カウンタ)などに搭載しても良い。
5…薬剤、5a…型用薬剤、5b…ランダム収容薬剤、5c…整列済み薬剤、
10…薬剤フィーダ、
11…周壁、12…搬送面ガイド、13…排出ガイド、14…落下排出口、
20…環状回転体、21…下部、22…上部、23…上端周縁部(薬剤搬送経路)、
30…傾斜回転体、31…中央突起、32…央部、33…周縁部、
20+30…回転容器、
40…支承機構、41…受動部材、
42…大径部外装回転伝動部材、43…小径部外装回転伝動部材、
50…回転駆動機構、51…回転駆動部材、
52…大径部、53…小径部、54…回転駆動モータ、
60…仕分け部材、61…基端部、62…先端部(薬剤当接部位)、63…支持部、
70…規制機構、71…第1規制部材、72…第2規制部材、
73…リンク機構、74…型置場、
100…薬剤フィーダ、
110…大蓋、
200+300…回転容器、
200…環状回転体、
201…縦線、210…下部、220…上部、
230…上端周縁部(薬剤搬送経路)、
231…溝、232…面取、233…彫り込み、
234…溝間央部、235…散点子(凹凸)、236…散点間(凹凸)、
300…傾斜回転体、
310…丸板部、320…上面央部、321…並行波状凹凸、
330…上面周縁部、340…引渡部、350…押上部、351…央部延長面、
360…凸部、361…基部、362…延伸部、370…回転軸部
500…回転駆動機構、
511,512…回転駆動部材、541,542…回転駆動モータ、
550…傾斜回転体装着検出手段、560…薬剤落下検出手段、
570…コントローラ、
600…仕分け機構
610…第1仕分け部材、611…支持部材、612…前段垂下物、613…大玉、
620…第2仕分け部材(跨ぎ仕分け部材)、
621…支持部材(跨ぎ部)、622…中段垂下物(横並び垂下物)、623…中玉、
632…後段垂下物(横並び垂下物)、633…小玉、640…引き付け部材、
650…手動調整機構、651…下限設定機構、652…目盛部材、
700…規制機構、
710…第1規制部材、711…下段部分、712…上段部分、
720…第2規制部材、721…下段部分、722…上段部分、
730…バネ(付勢部材)、740…型置場、
741…小蓋(透明部材)、742…止めネジ(固定部材)、
800…容器延伸体、
810…板部、811…貫通穴、820…筒部、830…垂下部

Claims (4)

  1. 縦線を中心として軸回転可能な外側の環状回転体と、前記縦線から傾いた傾斜線を中心として軸回転可能な状態で前記環状回転体の内側に装備されて前記環状回転体の中空を塞ぐ傾斜回転体と、前記傾斜回転体の回転によってその上から前記環状回転体の上端周縁部の上に運ばれた固形の薬剤を前記環状回転体の回転時に整列させる規制部材とを備えた薬剤フィーダであって、前記環状回転体の径方向に延びる溝が前記上端周縁部の周方向に列設されており、前記溝が径方向の途中で拡幅していて該拡幅部位より外周側でも内周側でも幅が狭くなっており且つ内周側で前記上端周縁部の辺縁に達しており、前記上端周縁部において隣り合っている前記溝の間に散点模様の凹凸が形成されていることを特徴とする薬剤フィーダ。
  2. 前記環状回転体の前記上端周縁部の外周部分が一周に亘って面取りされており、その面取にまで前記溝が達しており、前記上端周縁部において隣り合っている前記溝の間に内周寄りほど深い湾状の彫り込みが形成されており、前記彫り込みも内周側では前記上端周縁部の辺縁に達しており、前記凹凸が前記彫り込みと前記面取りとの間に形成されていることを特徴とする請求項1記載の薬剤フィーダ。
  3. 前記溝と前記彫り込みと前記面取りとによって囲まれた溝間央部の全域に前記凹凸が形成されていることを特徴とする請求項2記載の薬剤フィーダ。
  4. 前記環状回転体の回転を制御する制御手段が、薬剤排出完了前に減速制御を行うとともに薬剤排出完了後に逆回転制御を行うようになっていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の薬剤フィーダ。
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WO2018128133A1 (ja) 2017-01-04 2018-07-12 株式会社トーショー 薬剤フィーダ

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