以下、本発明の実施例を、図面を使用して説明する。なお、実質的に同一又は類似の構成には、同一の符号を付し、説明が重複する際には、その説明を省略する場合がある。
なお、以下の実施例に記載する画像確認支援システムは、長尺物に沿って撮影した動画像データの確認作業を支援するものであって、長尺物に沿って撮影し、撮影箇所の撮影位置情報を文字情報として重畳記録した動画像データと、その長尺物の長尺物マップと、を使用するものである。
また、以下の実施例では、長尺物として下水管を使用し、下水管の劣化状況を確認する場合について説明する。つまり、車両型ロボットを下水管の内部に入れて、下水管の内面の動画像を撮影する場合を説明する。なお、長尺物マップとして下水管の管路図を使用する。
なお、長尺物とは、一定の長さを有する構造物であり、下水管に限定されるものではない。例えば、長尺物とは、下水や雨水を流す下水管、トンネル、道路、共同溝、水道管、ガス管、液体配管、気体配管、血管、電線、線路、道路などである。
まず、実施例1に記載する画像認識支援システムを説明する。
図1は、実施例1に記載する画像認識支援システムを説明する機能ブロック図である。
実施例1に記載する画像認識支援システムは、第1の機能として、動画像データ22を記憶する動画像データ記憶部10と、劣化箇所候補フレーム抽出部12と、フレーム撮影位置情報認識部14と、劣化箇所候補位置算出部16と、長尺物マップ表示部18と、フレーム表示部20と、を有する。
動画像データ記憶部10は、ハードディスク、メモリ、テープなどのいずれでもよい。
動画像データ22は、下水管の内部に入った車両型ロボットが、30枚/秒や60枚/秒の速度で、下水管の内面を撮影したものであり、下水管に沿って撮影したものである。そして、動画像データ22には、撮影箇所の撮影位置情報が文字情報として重畳記録される。撮影箇所の撮影位置情報は、下水管の名称、移動距離、移動距離の始点となる位置情報(例えば、マンホール番号のような管の端の名称)である。また、撮影箇所の撮影位置情報には、GPSなどで取得された絶対座標などが含まれてもよい。
そして、動画像データ記憶部10に記憶される動画像データ22は、劣化箇所候補フレーム抽出部12に、提供される。
劣化箇所候補フレーム抽出部12は、動画像データ22から、撮影箇所の撮影位置情報を文字情報として重畳表示したフレーム(静止画像)を抽出する。そして、劣化箇所候補フレーム抽出部12は、動画像データ22を画像処理(画像処理技術を使用)し、ひび割れ(クラック)、破損、腐食などの劣化が存在する劣化箇所候補を自動的に求め、劣化箇所候補を認識し、その劣化箇所候補を含む劣化箇所候補フレーム24を抽出する。
ここで、撮影箇所の撮影位置情報を文字情報として重畳表示したフレームを説明する。
図2は、撮影箇所の撮影位置情報を文字情報として重畳表示したフレームを説明する説明図である。
図2は、断面が円形形状の下水管の内面を撮影したものであり、撮影箇所の撮影位置情報として下水管の名称及び移動距離が重畳記録された動画像データ22から抽出されたフレーム(画像)である。そして、このフレームには、撮影箇所の撮影位置情報として、フレームの左上に下水管の名称(AB幹線)が、フレームの右上に移動距離(51.3m)が、重畳表示される。
ここで、劣化箇所候補位置を文字情報として重畳表示したフレームを説明する。
図3は、劣化箇所候補位置を文字情報として重畳表示したフレームを説明する説明図である。
図3は、断面が円形形状の下水管の内面を撮影したものであり、撮影箇所の撮影位置情報として下水管の名称及び移動距離が重畳記録された動画像データ22から抽出されたフレーム(画像)である。そして、このフレームには、撮影箇所の撮影位置情報として、フレームの左上に下水管の名称(AB幹線)が、フレームの右上に移動距離(65.8m)が、重畳表示される。
また、図3に示すフレームには、円周方向のひび割れが、劣化箇所候補として、表示される。つまり、このフレームに表示される移動距離は、劣化箇所候補位置を示すものである。
なお、動画像データ22から劣化箇所候補を自動的に求める画像処理技術は、一般的なルールベースに基づいた判断手法であってよいし、ディープラーニングなどの多数のデータを使用して、予め学習したモデルを使用する判断手法であってもよい。
つまり、劣化箇所候補フレーム抽出部12は、動画像データ22から劣化箇所候補が表示された劣化箇所候補フレーム24を抽出する。
劣化箇所候補フレーム抽出部12で抽出された劣化箇所候補フレーム24は、フレーム撮影位置情報認識部14に、提供される。
フレーム撮影位置情報認識部14は、重畳記録された文字情報(下水管の名称及び移動距離)を画像処理し、テキスト情報として認識し、撮影位置情報26を求める。つまり、フレーム撮影位置情報認識部14は、劣化箇所候補フレーム24に重畳記録された文字情報を画像処理し、テキスト情報として認識し、撮影位置情報26を求める。
例えば、図3に示すフレームに記録される文字情報(「AB幹線」「65.8m」)は、いずれも静止画像に重畳表示された単なる画素の並びに過ぎない。そこで、これを画像処理することにより「下水管の名称がAB幹線」「移動距離が65.8m」と認識することができる。
なお、この画像処理技術は、一般的なルールベースに基づいた判断手法であってよいし、ディープラーニングなどの多数のデータを使用して、予め学習したモデルを使用する判断手法であってもよい。
また、移動距離について、移動距離の始点が暗黙で決定される場合には、動画像データ22には始点に関する情報は重畳記録されない。一方、移動距離の始点が暗黙で決定されない場合には、動画像データ22には始点に関する情報が重畳記録される。この場合、始点に関する情報とは、管の端の名称(例えば、マンホール番号)である。
「下水管の名称がAB幹線」「移動距離が65.8m」と認識された撮影位置情報26は、劣化箇所候補位置算出部16に、提供される。つまり、撮影位置情報26とは、例えば、「下水管の名称がAB幹線」「移動距離が65.8m」である。
劣化箇所候補位置算出部16は、撮影位置情報26に対応する下水管の管路図上の劣化箇所候補位置28を求める。
一般的に、下水管の管路図は、実際の下水管の寸法と相違し、多くの場合、実際の下水管の寸法を縮小したものである。つまり、「65.8m」に対応する下水管の管路図上の長さは、数cm程度の長さである。
劣化箇所候補位置算出部16は、フレーム上に重畳記録された移動距離を、下水管の管路図上の長さに換算する。つまり、下水管の管路図の縮尺が、1/1000の場合、移動距離「65.8m」は下水管の管路図上6.58cmとなる。
劣化箇所候補位置算出部16で求められた劣化箇所候補位置28は、長尺物マップ表示部18に提供される。
長尺物マップ表示部18は、画面に、下水管の管路図を、使用者が平面的又は空間的な関係を容易に認識することができるように、表示する。そして、長尺物マップ表示部18は、下水管の管路図を表示すると共に、下水管の管路図上に劣化箇所候補位置28を表示する。
下水管の管路図上に劣化箇所候補位置28を表示する場合、周囲と相違する図形、色、文字を使用して、表示することが好ましい。
ここで、劣化箇所候補位置28を表示した下水管の管路図を説明する。
図4は、劣化箇所候補位置28を表示した下水管の管路図を説明する説明図である。
図4では、下水管の管路図を表示すると共に、下水管の管路図上に劣化箇所候補位置28を黒丸で表示する。
なお、下水管の管路図上に劣化箇所候補位置28を表示する場合、図4では黒丸で表示したが、これに限定されるものではなく、他の色、他の図形であってもよい。また、「劣化箇所」、「劣化」、「劣」などの文字を使用して表示してもよい。
また、例えば、撮影した下水管の名称「AB幹線」、移動距離の始点を合わせて表示してもよい。なお、図4では、始点を黒三角、「AB幹線」を太い実線で表示する。
このように、実施例1によれば、画面に表示される劣化箇所候補位置28が、下水管の管路図のどこに対応するかを容易に認識することができる。また、使用者は下水管のどこに劣化箇所候補が存在するかを容易に認識することができる。
また、劣化箇所候補フレーム抽出部12で抽出された劣化箇所候補フレーム24は、フレーム表示部20に、提供される。
フレーム表示部20は、例えば、図3に示すような、劣化箇所候補位置28を文字情報として重畳表示したフレーム(劣化箇所候補フレーム24)を、画像として、表示する。使用者が、この画像を確認することにより、使用者は、劣化の種類、劣化の程度、劣化箇所候補フレーム抽出部12の抽出結果が正しいか否かを評価することができる。
なお、実施例1に記載する画像認識支援システムは、劣化箇所候補フレーム抽出部12の抽出結果が正しいか否か(劣化箇所候補を評価)、劣化の種類、劣化の程度を評価した評価結果を入力する評価結果入力部を有してもよい。また、入力された評価結果を記憶する評価結果記憶部を有してもよい。
入力された評価結果は、評価結果記憶部に記憶されると共に、長尺物マップ18に表示される。この際、劣化箇所候補位置28と相違する図形、色、文字を使用して、表示する。
評価結果入力部を有することにより、使用者が評価した評価結果を残すことができ、確認の重複や確認の不足を避けることができる。これにより、業務量の低減や業務効率の向上を図ることができる。
ここで、劣化箇所候補位置28を文字情報として重畳表示したフレームと劣化箇所候補位置28を表示した下水管の管路図とを同時に表示した画面を説明する。
図5は、劣化箇所候補位置28を文字情報として重畳表示したフレームと劣化箇所候補位置28を表示した下水管の管路図とを同時に表示した画面を説明する説明図である。
図5に示すように、実施例1では、長尺物マップ表示部18に表示される下水管の管路図と、フレーム表示部20に表示されるフレーム(劣化箇所候補フレーム24)と、が同一画面上に表示される。これにより、使用者は、どのような劣化が下水管のどこに存在するかを、同時に認識することができる。
このように、実施例1では、劣化箇所候補位置28が表示される下水管の管路図と劣化箇所候補フレーム24とが同一画面上に表示される。なお、これは、長尺物マップ表示部18の画面に、及び/又は、フレーム表示部20の画面に、同時に表示される。
なお、図5では、フレーム表示部20に表示されるフレーム(図5中、右側の図)には、円周方向のひび割れが、劣化箇所候補として、表示される。通常、このひび割れが表示されるフレームは、動画像データ22に、複数枚、存在する。
また、ひび割れが、円周方向ではなく、軸方向であれば、更に多くのフレームにひび割れが表示される。この場合には、フレーム表示部20に表示されるフレームは、複数枚のフレームと下水管の管路図とのセットの画像として、取得される。
また、動画像データ22に含まれる劣化箇所候補は、1箇所とは限らない。このため、ある程度、距離が離れた位置においても、劣化箇所候補フレーム24が抽出される場合がある。この場合にも、フレーム表示部20に表示されるフレームは、複数枚のフレームと下水管の管路図とのセットの画像として、取得される。
このように、フレームと下水管の管路図とのセットの画像が、複数枚ある場合には、フレーム表示部20は、それぞれのセットの画像を、所定の時間ごとに切り替えて表示することができる。また、フレーム表示部20は、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパネルなどの操作によって、セットの画像を切り替えて表示することができる。つまり、フレーム表示部20は、セットの画像を切り替えて表示する機能を有する。
なお、図5では、長尺物マップ表示部18に表示される下水管の管路図(図5中、左側の図)には、劣化箇所候補位置28が黒丸で表示される。
そして、フレーム表示部20は、フレームと下水管の管路図とのセットの画像が、複数枚ある場合には、周囲と相違する図形、色、文字を使用して、それぞれのセットの画像を特徴付けて表示することができる。つまり、フレーム表示部20は、周囲と相違する図形、色、文字を使用して、それぞれのセットの画像を特徴付けて表示する機能を有する。
セットの画像を切り替えて表示し、それぞれのセットの画像を特徴付けて表示することにより、使用者は、希望する劣化箇所候補フレーム24を容易に認識することができる。
また、実施例1では、下水管の点検作業で使用される車両型ロボットのように、下水管の内面を撮影する際に、前進・停止・後退が頻繁に実行され、動画像データ22には、同一の撮影位置情報26が含まれる場合がある。この場合、長尺物マップ表示部18では、劣化箇所候補位置28が、重複して、表示される。
つまり、セットの画像を切り替えて表示する場合、複数の選択肢が存在する場合がある。フレーム表示部20は、このような場合には、小画面を表示して、どのセットの画像に切り替えて表示するかを、使用者が選択することができるように、表示する。
また、フレーム表示部20は、劣化箇所候補フレーム24の前後のフレームを表示することができる。つまり、フレーム表示部20は、劣化箇所候補フレーム24の前後のフレームを表示する前後フレーム表示機能を有する。
例えば、図5の左側の長尺物マップ表示部18に表示される下水管の管路図上の、劣化箇所候補位置28(黒丸)を選択した場合、劣化箇所候補位置28が求められる動画像データ22が撮影された時間から、時間的に、前の動画像データ22から後の動画像データ22を、図5の右側のフレーム表示部20に、順次、表示する。これにより、劣化の広がりや周辺の状況を、より的確に把握することができる。
また、フレーム表示部20は、時間的に順次表示する機能を有すると共に、一時停止、又は時間的に遡及する方向へ向かって表示する機能を有する。これにより、劣化の広がりや周辺の状況を、より的確に把握することができる。
そして、図5に示す画面中に、又は、同時に表示される他の画面中に、再生、一時停止、逆再生のボタンを設定することが好ましい。これにより、操作性が向上する。
セットの画像を切り替えて表示する場合であって、複数の選択肢が存在する場合には、フレーム表示部20は、時間的に古いセットの画像を選択することができるような機能を有し、及び/又は、時間的に新しいセットの画像を選択することができるような機能を有する。選択条件を事前に、システムの記憶装置に設定してもよい。
ここで、枝分かれの無い1本の下水管を表示した下水管の管路図を説明する。また、枝分かれの無い1本の下水管に、劣化箇所候補位置28を表示した下水管の管路図を説明する。
図6は、枝分かれの無い1本の下水管を表示した下水管の管路図を説明する説明図である。
図7は、枝分かれの無い1本の下水管に、劣化箇所候補位置28を表示した下水管の管路図を説明する説明図である。
図4に示すように、枝分かれの有る複数本の下水管を表示した下水管の管路図である場合には、図2や図3に示すように、撮影した下水管の名称が、重畳表示される。これにより、撮影した下水管が、枝分かれの有る複数本の下水管のどれかが、明確になる。
一方、図6や図7に示すように、枝分かれの無い1本の下水管を表示した下水管の管路図である場合には、撮影した下水管が、明確であるため、必ずしも、撮影した下水管の名称を重畳表示する必要はない。
図7では、下水管の管路図を表示すると共に、下水管の管路図上に劣化箇所候補位置28を黒丸で表示する。
なお、下水管の管路図上に劣化箇所候補位置28を表示する場合、図7では黒丸で表示したが、これに限定されるものではなく、他の色、他の図形であってもよい。また、「劣化箇所」、「劣化」、「劣」などの文字を使用して表示してもよい。また、例えば、移動距離、移動距離の始点を合わせて表示してもよい。
このように、実施例1によれば、下水管の点検作業で使用される車両型ロボットのように、下水管の内面を撮影する際に、前進・停止・後退が頻繁に実行され、更に、走行速度や走行方向が記録されない場合であっても、動画像データ22に、撮影箇所の撮影位置情報26が文字情報として重畳記録されていれば、画面に表示される劣化箇所候補位置28が、下水管の管路図のどこに対応するかを容易に認識することができる。
実施例1に記載する画像認識支援システムは、第1の機能として、下水管に沿って撮影され、撮影箇所の撮影位置情報が文字情報として重畳記録される動画像データ22を記憶する動画像データ記憶部10と、動画像データ22から、撮影箇所の撮影位置情報を文字情報として重畳表示したフレームを抽出し、動画像データ22を画像処理し、劣化が存在する劣化箇所候補を求め、劣化箇所候補を含む劣化箇所候補フレーム24を抽出する劣化箇所候補フレーム抽出部12と、劣化箇所候補フレーム24に、重畳記録された文字情報を画像処理し、テキスト情報として認識し、撮影位置情報26を求めるフレーム撮影位置情報認識部14と、撮影位置情報26に対応する下水道の管路図上の劣化箇所候補位置28を求める劣化箇所候補位置算出部16と、下水管の管路図を表示すると共に、下水管の管路図上に劣化箇所候補位置28を表示する長尺物マップ表示部18と、劣化箇所候補フレーム24を表示するフレーム表示部20と、を有する。
これにより、使用者は、下水管の管路図上で、劣化箇所候補位置28を容易に認識することができる。その結果、使用者は、業務量の低減や業務効率の向上を図ることができる。
次に、実施例2に記載する画像認識支援システムを説明する。
図8は、実施例2に記載する画像認識支援システムを説明する機能ブロック図である。
実施例2に記載する画像認識支援システムは、第2の機能として、動画像データ22を記憶する動画像データ記憶部10と、フレーム撮影位置情報認識部14と、長尺物マップ表示部18と、フレーム表示部20と、現実空間指定位置算出部30と、探索部32と、を有する。
実施例2に記載する画像認識支援システムは、実施例1に記載する画像認識支援システムと比較して、更に、現実空間指定位置算出部30と、探索部32と、を有する。
なお、実施例2に記載する画像認識支援システムは、劣化箇所候補フレーム抽出部12と、劣化箇所候補位置算出部16(図示なし)と、有してもよい。
長尺物マップ表示部18は、下水管の管路図を表示すると共に、動画像データ22の再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34を、下水管の管路図上に表示する。再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34は、下水管の管路図上で、指定することができる。また、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34は、周囲と相違する図形、色、文字を使用して、表示する。
ここで、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34を表示した下水管の管路図を説明する。
図9は、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34を表示した下水管の管路図を説明する説明図である。
図9には、下水管の管路図と、2つの三角形と、文字「S」と、文字「E」と、が表示される。
例えば、下水管の管路図の、希望する位置に、カーソルやポインタを移動させて、クリックする。これにより、再生開始指定位置情報を設定することができる。再生開始指定位置情報を設定すると、1つの三角形と文字「S」がペアとなって表示される。なお、「S」は「Start」の頭文字である。
また、例えば、下水管の管路図の、希望する位置に、カーソルやポインタを移動させて、クリックする。これにより、再生終了指定位置情報を設定することができる。再生終了指定位置情報を設定すると、1つの三角形と文字「E」がペアとなって表示される。なお、「E」は「End」の頭文字である。
長尺物マップ表示部18で指定された再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34は、現実空間指定位置算出部30に提供される。
現実空間指定位置算出部30は、長尺物マップ表示部18で指定された再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34を、現実空間の現実空間再生開始指定位置情報及び現実空間再生終了指定位置情報36に換算する。
つまり、現実空間指定位置算出部30は、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34から、現実空間再生開始指定位置情報及び現実空間再生終了指定位置情報36を求める。現実空間指定位置算出部30は、再生開始指定位置情報から再生終了指定位置情報に対応する下水管の管路図の空間から、現実空間再生開始指定位置情報から現実空間再生終了指定位置情報に対応する現実空間を求める。
一般的に、下水管の管路図は、実際の下水管の寸法と相違し、多くの場合、実際の下水管の寸法を縮小したものである。つまり、数mに対応する下水管の管路図上の長さは、数cmの長さである。なお、この換算方法は、劣化箇所候補位置算出部16が撮影位置情報26に対応する下水管の管路図上の劣化箇所候補位置28を求める方法と、同様である。
下水管の管路図上の、ある始点から再生開始指定位置情報までの長さやある始点から再生終了指定位置情報までの長さが数cmであっても、実際の下水管の寸法は数mである。
このように、現実空間指定位置算出部30は、下水管の管路図上の長さを、実際の下水管の長さに換算する。
そして、現実空間再生開始指定位置情報及び現実空間再生終了指定位置情報36は、探索部32に提供される。なお、現実空間再生開始指定位置情報及び現実空間再生終了指定位置情報36は、移動距離、移動距離の始点となる位置情報、下水管の名称の全て又は一部により構成される。
特に、図4に示すように、枝分かれの有る複数本の下水管を表示した下水管の管路図である場合には、図2や図3に示される下水管の名称のように、どの下水管の情報かが示される。
また、移動距離について、移動距離の始点が暗黙で決定される場合には、動画像データ22には始点に関する情報は重畳記録されない。一方、移動距離の始点が暗黙で決定されない場合には、動画像データ22には始点に関する情報が重畳記録される。この場合、始点に関する情報とは、管の端の名称(例えば、マンホール番号)である。
撮影箇所の撮影位置情報が文字情報として重畳記録される動画像データ22を記憶する動画像データ記憶部10は、動画像データ22を、フレーム撮影位置情報認識部14に提供する。
なお、実施例2でも、動画像データ22から、撮影箇所の撮影位置情報を文字情報として重畳表示したフレームを抽出し、動画像データ22を画像処理し、劣化箇所候補を求め、劣化箇所候補を認識し、その劣化箇所候補を含む劣化箇所候補フレーム24を抽出してもよい。
また、動画像データ記憶部10は、動画像データ22を、フレーム表示部20に提供する。
フレーム撮影位置情報認識部14は、動画像データ22から抽出されたフレームに重畳記録された文字情報(下水管の名称及び移動距離)を画像処理し、テキスト情報として認識し、撮影位置情報26を求める。
例えば、図2に示すフレームに記録される文字情報(「AB幹線」「51.3m」)は、いずれも静止画像に重畳表示された単なる画素の並びに過ぎない。そこで、これを画像処理することにより「下水管の名称がAB幹線」「移動距離が51.3m」と認識することができる。
なお、この画像処理技術は、一般的なルールベースに基づいた判断手法であってよいし、ディープラーニングなどの多数のデータを使用して、予め学習したモデルを使用する判断手法であってもよい。
「下水管の名称がAB幹線」「移動距離が51.3m」と認識された撮影位置情報26は、探索部32に、提供される。つまり、撮影位置情報26とは、例えば、「下水管の名称がAB幹線」「移動距離が51.3m」である。
探索部32は、現実空間指定位置算出部30から提供された現実空間再生開始指定位置情報及び現実空間再生終了指定位置情報36と、フレーム撮影位置情報認識部14から提供された撮影位置情報26とを比較する。
そして、探索部32は、撮影位置情報26が現実空間再生開始指定位置情報にもっとも近い開始フレーム(開始フレーム情報)と、撮影位置情報26が現実空間再生終了指定位置情報にもっとも近い終了フレーム(終了フレーム情報)とを、動画像データ22から抽出されたフレームから、探索する。
探索部32で求められた開始フレーム情報及び終了フレーム情報38は、フレーム表示部20に提供される。
ここで、開始フレーム情報及び終了フレーム情報38は、各フレームに付与されるフレーム番号であることが好ましい。なお、撮影時の冒頭からの経過時間であってもよい。
フレーム表示部20は、探索部32から提供された開始フレーム情報及び終了フレーム情報38における開始フレームと終了フレームとの間のフレームを、動画像データ記憶部10から動画像データ22として取得する。そして、フレーム表示部20は取得した、開始フレームと終了フレームとの間のフレームを、画面上に、順次、表示する。
なお、再生開始指定位置情報と再生終了指定位置情報とは、同じ位置であってもよい。その場合、フレーム表示部20では、静止画像を表示する。
また、フレーム表示部20は、時間的に順次表示する機能を有すると共に、一時停止、又は時間的に遡及する方向へ向かって表示する機能を有する。
そして、フレーム表示部20の画面中に、又は、同時に表示される他の画面中に、再生、一時停止、逆再生のボタンを設定することが好ましい。これにより、操作性が向上する。
実施例2に記載する画像認識支援システムは、第2の機能として、下水道に沿って撮影され、撮影箇所の撮影位置情報が文字情報として重畳記録される動画像データ22を記憶する動画像データ記憶部10と、下水道の管路図を表示すると共に、動画像データ22の再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34を下水道の管路図に表示する長尺物マップ表示部18と、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34から、現実空間の現実空間再生開始指定位置情報及び現実空間再生終了指定位置情報36を求める現実空間指定位置算出部30と、動画像データ22から抽出されるフレームに重畳記録された文字情報を画像処理し、テキスト情報として認識し、撮影位置情報を求めるフレーム撮影位置情報認識部14と、撮影位置情報が現実空間再生開始指定位置情報にもっとも近い開始フレームと、撮影位置情報が現実空間再生終了指定位置情報にもっとも近い終了フレームとを探索する探索部32と、開始フレームと終了フレームとの間のフレームを、順次、表示するフレーム表示部20と、を有する。
このように、実施例2では、長尺物マップ表示部18において、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報を、下水管の管路図上で指定することにより、再生開始指定位置情報と再生終了指定位置情報との間の動画像データ22を容易に認識することができる。これにより、使用者は、業務量の低減や業務効率の向上を図ることができる。
次に、実施例3に記載する画像認識支援システムを説明する。
図10は、実施例3に記載する画像認識支援システムを説明する機能ブロック図である。
実施例3に記載する画像認識支援システムは、実施例2に記載する画像認識支援システムと比較して、フレーム撮影位置情報認識部42と、マップ上再生位置算出部44と、を有する。
フレーム表示部20は、動画像データ22から抽出したフレームを画面上に、順次、表示する。そして、フレーム表示部20が表示するフレームを、フレーム画像40として、フレーム撮影位置情報認識部42に、提供する。
フレーム撮影位置情報認識部42は、フレーム画像40に重畳記録された文字情報を画像処理し、テキスト情報として認識し、撮影位置情報46を求める。
例えば、図2に示すフレームに記録される文字情報(「AB幹線」「51.3m」)は、いずれも静止画像に重畳表示された単なる画素の並びに過ぎない。そこで、これを画像処理することにより「下水管の名称がAB幹線」「移動距離が51.3m」と認識することができる。
なお、この画像処理技術は、一般的なルールベースに基づいた判断手法であってよいし、ディープラーニングなどの多数のデータを使用して、予め学習したモデルを使用する判断手法であってもよい。
フレーム撮影位置情報認識部42で求められた撮影位置情報46は、マップ上再生位置算出部44に提供される。
マップ上再生位置算出部44は、撮影位置情報46を、マップ上再生位置情報48に換算し、換算されたマップ上再生位置情報48を、長尺物マップ表示部18に提供する。そして、長尺物マップ表示部18は、フレーム表示部20で表示されるフレームの位置情報(マップ上再生位置情報48)を、下水管の管路図に表示する。
一般的に、下水管の管路図は、実際の下水管の寸法と相違し、多くの場合、実際の下水管の寸法を縮小したものである。つまり、数mに対応する下水管の管路図上の長さは、数cmの長さである。なお、この換算方法は、劣化箇所候補位置算出部16が撮影位置情報26に対応する下水管の管路図上の劣化箇所候補位置28を求める方法と、同様である。
このように、マップ上再生位置算出部44は、実際の下水管の長さ(フレーム上に重畳記録された移動距離)を、下水管の管路図上の長さ(マップ上再生位置情報48)に、換算する。
マップ上再生位置算出部44で求められたマップ上再生位置情報48は、長尺物マップ表示部18に提供される。
そして、長尺物マップ表示部18は、下水管の管路図を表示すると共に、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34、マップ上再生位置情報48を表示する。再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34は、周囲と相違する図形、色、文字を使用して、表示する。また、マップ上再生位置情報48は、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34、並びに周囲と相違する図形、色、文字を使用して、表示する。
ここで、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34とマップ上再生位置情報48とを表示した下水管の管路図を説明する。
図11は、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34とマップ上再生位置情報48とを表示した下水管の管路図を説明する説明図である。
図11では、マップ上再生位置情報48を黒丸で表示したが、これに限定されるものではなく、他の色、他の図形であってもよい。また、文字を使用して表示してもよい。
また、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34を黒三角で表示し、再生開始指定位置情報には文字「S」を、再生終了指定位置情報には文字「E」を、表示する。
このように、フレーム表示部20に表示されるフレーム画像40が、下水道の管路図上で指定した再生開始指定位置情報と再生終了指定位置情報との間の、どの位置にあるかを、容易に認識することができる。
ここで、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34とマップ上再生位置情報48とを表示した下水管の管路図と、マップ上再生位置情報48を文字情報として重畳表示したフレームと、を同時に表示した画面を説明する。
図12は、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34とマップ上再生位置情報48とを表示した下水管の管路図と、マップ上再生位置情報48を文字情報として重畳表示したフレームと、を同時に表示した画面を説明する説明図である。
図12に示すように、実施例3では、再生開始指定位置情報及び再生終了指定位置情報34とマップ上再生位置情報48とを表示した下水管の管路図と、マップ上再生位置情報48を文字情報(「AB幹線」「42.3m」)として重畳表示したフレームと、が同一画面上に表示される。これにより、使用者は、現在確認している下水管が、どの下水管かを、認識することができる。
なお、実施例3に記載する画像認識支援システムは、表示されるフレームを評価した評価結果を入力する評価結果入力部を有してもよい。入力された評価結果を記憶する評価結果記憶部を有してもよい。
入力された評価結果は、評価結果記憶部に記憶されると共に、長尺物マップ18に表示される。この際、マップ上再生位置情報48と相違する図形、色、文字を使用して、表示する。
評価結果入力部を有することにより、使用者が評価した評価結果を残すことができ、確認の重複や確認の不足を避けることができる。これにより、業務量の低減や業務効率の向上を図ることができる。
このように、下水管の点検作業で使用される車両型ロボットのように、下水管の内面を撮影する際に、前進・停止・後退が頻繁に実行され、更に、走行速度や走行方向が記録されない場合であっても、動画像データ22に、撮影箇所の撮影位置情報26が文字情報として重畳記録されていれば、画面に表示される劣化箇所候補位置28が、下水管の管路図のどこに対応するかを容易に認識することができる。
また、下水管の管路図の位置に対応する動画像データ22を容易に絞り込み、再生表示することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために、具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を有するものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を、他の実施例の構成の一部に置換することもできる。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を追加することもできる。また、各実施例の構成の一部について、それを削除し、他の構成の一部を追加し、他の構成の一部と置換することもできる。