以下、本発明の代表的な一例による生体情報検出装置及び生体情報検出方法の実施形態を図面と共に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の代表的な一例である第1の実施形態による生体情報検出装置の構成を示す概略図である。また、図2は、図1で示した生体情報検出装置に含まれるレーザ発振器の構成の一例を示すブロック図である。また、図1で示した生体情報検出装置に含まれる照射機構の構成の一例を示す部分断面図である。さらに、図4は、図1で示した生体情報検出装置に含まれる制御ユニットの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態による生体情報検出装置100は、その一例として、乳酸又は乳酸塩の検出に対応した適正波長を有する第1パルスレーザ光LB1を発振する第1レーザ発振器110と、ピルビン酸の検出に対応した適正波長を有する第2パルスレーザ光LB2を発振する第2レーザ発振器120と、乳酸又は乳酸塩とピルビン酸とが内部に存在する血液BLに第1パルスレーザ光LB1及び第2パルスレーザ光LB2を照射する照射機構130と、照射機構130をXYZ方向の任意の位置に移動させる搬送機構140と、血液BLを収容した容器152のXYZ方向の位置を移動させるサンプル保持機構150と、血液BLから出力される検出レーザ光を受光する受光センサ160と、各構成要素の動作を制御する制御ユニット170と、を含む。
なお、以下の説明において、血液BL中に含まれる乳酸又は乳酸塩とピルビン酸とを、まとめて「測定対象物質」として符号「MM」で表すものとする(後述する図4の符号MM等を参照)。
第1レーザ発振器110は、血液BLに含まれる測定対象物質MMのうち、乳酸又は乳酸塩を検出する上で適正な波長(例えば吸収効率が高い波長等)を出力する光源が適用される。ここで、乳酸又は乳酸塩を検出する際の適正なパルスレーザ光LBの波長は、その一例として1480nmが採用される。
第2レーザ発振器120は、血液BLに含まれる測定対象物質MMのうち、ピルビン酸を検出する上で適正な波長(例えば吸収効率が高い波長等)を出力する光源が適用される。ここで、ピルビン酸を検出する際の適正なパルスレーザ光LBの波長は、その一例として1462nmが採用される。
第1レーザ発振器110は、その一例として図2に示すように、制御ユニット170からの発振指令信号に基づいて、第1パルスレーザ光LB1を一定周期Tで発振する制御を行う発振制御部112と、発振制御部112からのオンオフ信号に応じて複数のレーザ光源115a、115bへの駆動電力を供給する駆動電源113と、レーザ光源115a、115bを取り付けた支持部114と、複数のレーザ光源115a、115bから出射されたパルスレーザ光LBa、LBbを集光させる集光レンズ116と、集光された第1パルスレーザ光LB1の波長を調整する波長調整部117と、当該第1パルスレーザ光LB1を照射機構130に伝送する伝送路118(例えば光ファイバ)と、を含む。
ここで、図2では、第1パルスレーザ光LB1の光源として2つのレーザ光源LBa、LBbを用いる場合を例示したが、レーザ光源は3つ以上のアレイ状あるいは所定の円周上に設けることも可能である。また、上記した乳酸又は乳酸塩やピルビン酸を検出するのに適正な波長を選択的に出射するための、複数のレーザ光源115a、115bとしては、発光ダイオード(LED)や半導体レーザ(LD)等を採用できる。
そして、複数のレーザ光源115a、115bから出射されたパルスレーザ光LBa、LBbを同軸に集光して高出力化し、これを波長調整部117に透過させることにより、所定の適正波長の範囲に選択された第1パルスレーザ光LB1が伝送路118に出射される。ここで、波長調整部117としては、所定の上限値及び下限値の範囲外の光を選択的に除去するバンドパスフィルタ等が例示できる。
なお、複数のレーザ光源115a、115bに駆動電源113から駆動電力を直接供給する場合を示したが、例えば支持部114に増幅回路(図示せず)を設けて、駆動電源113からの駆動電力を増幅してレーザ光源115a、115bに供給するように構成してもよい。また、第2レーザ発振器120の構成については、上記した第1レーザ発振器110と同様の構成を用い得るため、その説明は省略する。
照射機構130は、その一例として図3に示すように、第1パルスレーザ光LB1及び第2パルスレーザ光LB2をそれぞれ伝送する伝送路118、128と接続されるコネクタ131a、131bと、伝送された第1パルスレーザ光LB1及び第2パルスレーザ光LB2を同軸の光路に導くビームスプリッタ132と、第1パルスレーザ光LB1を反射させてビームスプリッタ132に導くミラー133、134と、第2パルスレーザ光LB2を反射させてビームスプリッタ132に導くミラー135と、同軸に導かれたパルスレーザ光LB(すなわち、第1パルスレーザ光LB1と第2パルスレーザ光LB2とを重畳したレーザ光)を、所定の焦点位置で集光させる集光レンズ136と、パルスレーザ光LBを透過させる窓部材137と、を含む。
伝送路118、128を介して照射機構130に導入された第1パルスレーザ光LB1及び第2パルスレーザ光LB2は、集光レンズ136により所定のビーム直径及びビーム断面形状等のビームプロファイルに成形された後、窓部材137から容器152に収容された血液BLに向けて照射される。ここで、第1の実施形態においては、パルスレーザ光LBとしてビームスポットが円形断面となるように成形される場合を例示しているが、集光レンズを適宜選択することにより、ビームプロファイルを多角形あるいはライン状等の任意の形状に成形することも可能である。
なお、図3に示す構成では、第1パルスレーザ光LB1と第2パルスレーザ光LB2を同軸の光路に導く光学素子としてビームスプリッタ132を例示したが、2つのレーザ光を同軸に導く(出射する)ものであれば、他の光学素子を適用してもよい。また、窓部材137は照射機構130の内部の気密性を保持するための部材として用いているが、当該窓部材137にいわゆる「テレセントリックfθレンズ」を追加するように構成してもよい。
搬送機構140は、その一例として、互いに直交するXYZの3軸方向に相対移動するリニア駆動体として構成され、その一端に照射機構130が取り付けられる。なお、搬送機構140は、一端に照射機構130を取り付けたロボットアームを備えた6軸又は7軸タイプの産業用ロボットとして構成されてもよい。
サンプル保持機構150は、その一例として、測定対象物質MMを含む血液BLを収容した容器152を上面に載置しつつ、図示上のXYZの3軸方向に移動自在なテーブルとして構成されている。また、サンプル保持機構150の上面と容器152の下面との間には血液BLからの透過光TB(図6B、図6C等参照)を検出する受光センサ160が配置される。
なお、血液BLを収容する容器152としては、上記したパルスレーザ光LBの波長に対して透明な(すなわち、照射されたパルスレーザ光LBが透過する)材料によって構成される。これにより、容器152に収容された血液BLに照射されたパルスレーザ光LBは、測定対象物質MMの存在しない領域ではそのまま容器152の底面を透過して受光センサ160まで到達するため、受光センサ160によってパルスレーザ光LBの照射を検出できる。
制御ユニット170は、その一例として図4に示すように、生体情報検出装置100の各構成要素に動作指令を出力する主制御部172と、受光センサ160からの検出値を用いて血液BLに含まれる測定対象物質MM中の乳酸又は乳酸塩及びピルビン酸の分量をそれぞれ演算する分量演算部174と、上記演算された乳酸又は乳酸塩及びピルビン酸の分量やその他の各種パラメータ等を表示する表示部176と、測定条件等の各種パラメータの修正を行う情報を手入力可能な入力インターフェース178と、を含む。そして、制御ユニット170は、主制御部172が第1レーザ発振器110、第2レーザ発振器120、搬送機構140及びサンプル保持機構150と有線あるいは無線で接続されており、これらの周辺機器と信号のやり取りを行って生体情報検出装置100全体の動作を制御する。
主制御部172は、その一例として、ユーザから入力インターフェース178により測定開始に対応する開始信号Ssが入力されると、所定の測定プログラムから第1レーザ発振器110及び第2レーザ発振器120への発振や、搬送機構140及びサンプル保持機構150への相対移動等の動作情報を抽出して、これらの動作を実行するための発振信号S1o、S2oや相対移動信号Smを生成して各構成要素に出力する機能を有する。また、主制御部172は、第1レーザ発振器110及び第2レーザ発振器120への出力と同期して、後述する分量演算部174に第1発振信号S1o及び第2発振信号S2oを出力するとともに、当該分量演算部174からの演算結果を受けて、分量の演算結果や現在の生体情報検出装置100の各種パラメータを表示部176に送ってこれらを表示させる機能も有する。
分量演算部174は、上記したとおり、開始信号SSを受けた主制御部172から演算開始に対応する演算信号Seを受信すると、受光センサ160から時刻tにおける検出値に対応する検出信号Sdを連続的に受信して蓄積する機能を備える。また、分量演算部174は、主制御部172から第1発振信号S1o及び第2発振信号S2oを受信して、受光センサ160で検出した検出信号Sdの時系列データから第1レーザ発振器110及び第2レーザ発振器120の各々の発振タイミングに合わせた区間データDを切り出し、当該区間データDに基づいて血液BL中に含まれる測定対象物質MM中の乳酸又は乳酸塩及びピルビン酸の分量を演算する機能をも備える。そして、演算された乳酸又は乳酸塩及びピルビン酸の分量の結果は、主制御部172に送られる。
次に、図5~図7を用いて、第1の実施形態による生体情報検出装置において実行される生体情報検出方法の具体的な動作態様を説明する。
図5は、第1の実施形態による生体情報検出方法の概要を示すフローチャートである。また、図6A~図6Cは、第1の実施形態による生体情報検出装置においてパルスレーザ光が血液に照射される動作手順の概要を示す平面図及び部分正面図である。また、図7は、各種指令信号と測定データとの関係を示す時系列グラフである。
第1の実施形態による生体情報検出装置100によって実行される生体情報検出方法は、図5に示すように、ユーザから入力インターフェース178により測定開始に対応する開始信号Ssが入力されると、まず制御ユニット170の主制御部172が、分量演算部174に対して、受光センサ160からの検出信号Sdの受信開始を指令する(ステップS101)。これにより、分量演算部174では、フローチャートに示す動作の終了まで連続的に受光センサ160からの検出信号Sdを時系列データとして連続的に受信して一時記憶する。
続いて、主制御部172は、所定の測定プログラムに基づいて、搬送機構140及びサンプル保持機構150に対して相対移動信号Smを出力する(ステップS102)。これにより、血液BLに対してパルスレーザ光LBが照射される位置及び焦点距離が位置決めされる。
次に、主制御部172は、第1レーザ発振器110及び第2レーザ発振器120に対して、既定の照射時間Tonだけ第1パルスレーザ光LB1あるいは第2パルスレーザ光LB2を出射するための、第1発振信号S1o及び第2発振信号S2oを出力する(ステップS103)。当該第1発振信号S1oを受けた第1レーザ発振器110では、発振制御部112が駆動電源113に対して上記の照射時間Tonの間だけオン指令信号Sonを出力し、所定の波長に調整された第1パルスレーザ光LB1が出射される。なお、この動作については、第2レーザ発振器120でも並行して同様に実行される。
続いて、主制御部172は、上記測定プログラムに基づいて、容器152内の血液BLに規定されるすべての測定範囲でのパルスレーザ光LBの照射が終了したかどうかを判別する(ステップS104)。すなわち、ステップS104において、すべての測定範囲での照射が終了したと判別された場合、主制御部172は血液BLに対する測定が終了したとして分量演算部174に演算信号Seを出力し、以後のステップS105に進む。
一方、ステップS104において、すべての測定範囲での照射が終了していないと判別された場合、ステップS102に戻って、測定プログラムに従う未終了の測定範囲に対するパルスレーザ光LBの位置決め及び照射が繰り返し実行される。これにより、容器152に収容された血液BLの測定すべきすべての範囲(領域)における測定対象物質MMの検出が実行される。
図6A~図6Cには、上記のステップS102からステップS104までの動作手順について、その具体的な一例が示されている。すなわち、図6Aに示すように、上面にセンシング面を有する受光センサ160に載置された容器152には血液BLが収容されており、当該血液BLにおいて、パルスレーザ光LBの集光点FPの集光径(スポット径)に対応する長さを縦横の長さとする複数個の矩形領域Cが定義される。
そして、上記のように定義された複数個の矩形領域Cについて、測定プログラムでパルスレーザ光LBの照射開始位置Psと照射終了位置Peをさらに定義するとともに、これら照射開始位置Psと照射終了位置Peとの間をXY方向で走査する走査経路を規定する。なお、一例として、図5で示したフローチャートのステップS104の判別では、現在の照射位置(集光点FP)が走査経路上の照射終了位置Peと一致したかどうかで判断される。
次に、パルスレーザ光LBの照射位置(集光点FP)において、測定対象物質MMの有無と受光センサ160からの検出信号との関係について以下に説明する。例えば図6Bに示すように、照射されたパルスレーザ光LBの集光点FPあるいはその延長上に測定対象物質MMが存在しない場合、パルスレーザ光LBは血液BL及び容器152を透過するため、照射されたパルスレーザ光LBの出力に相当する透過光TBが受光センサ160の受光点DPで検出される。
一方、図6Cに示すように、照射されたパルスレーザ光LBの集光点FPあるいはその延長上に測定対象物質MMが存在する場合には、パルスレーザ光LBとして照射される第1パルスレーザ光LB1あるいは第2パルスレーザ光LB2は、測定対象物質MM中の乳酸又は乳酸塩及びピルビン酸で吸収あるいは反射されるため、照射されたパルスレーザ光LBの出力より低出力となった透過光TBが受光センサ160の受光点DPで検出される。なお、図6Cにおいては、測定対象物質MMがパルスレーザ光LBの集光点FPの集光径より大きい場合を例示しているが、集光径より小さい場合であっても同様の傾向を示す。
続いて、主制御部172から演算信号Seを受けた分量演算部174は、図7に示すように、主制御部172からの第1発振信号S1o及び第2発振信号S2oを受信していた区間にそれぞれ対応する受光センサ160からの検出信号Sdの区間を切り出すことにより、第1パルスレーザ光LB1に対応する第1区間データD1と第2パルスレーザ光LB2に対応する第2区間データD2を抽出する(ステップS105)。これにより、検出信号Sdにおいて第1パルスレーザ光LB1が照射されていた照射時間T1onあるいは第2パルスレーザ光LB2が照射されていた照射時間T2onに対応する区間のデータのみを絞り込むことができる(すなわち検出時のノイズを低減できる)。ここで、第1発振信号S1oの照射時間T1onと非照射時間T1offとを併せて1周期Tと定義する(この点は、第2発振信号S2oと1周期Tとの関係についても同様である)。
次に、分量演算部174は、抽出された第1区間データD1及び第2区間データD2に基づいて、測定対象物質MM中の乳酸又は乳酸塩及びピルビン酸の血液BLに対する分量を演算する。具体的には、ステップS105で抽出された第1区間データD1は、その一例として、測定対象物質MMが検出されていない場合(非検出区間Tn)の基準データD1s(図6Bで示した状態)と、測定対象物質MMが検出された場合(検出区間T1d)の検出データD1d(図6Cで示した状態)と、の2つのレベルによる出力値を含んでいる。
このとき、基準データD1sと検出データD1dとの差分ΔD1の絶対値が大きいほど測定対象物質MMの検出量が多いと判断できる。そこで、分量演算部174は、対象となるすべての測定範囲を測定後に、区間データD1の全体における検出データD1dの数を積算し、測定対象物質MMの「分量」として主制御部172に出力して動作を終了する(ステップS106)。
一方、抽出された第2区間データD2は、その一例として、測定対象物質MMが検出されていない場合(非検出区間Tn)の基準データD2sと、測定対象物質MMが検出された場合(検出区間T2d)の検出データD2dと、の2つのレベルによる出力値を含んでいる。したがって、第1区間データD1の場合と同様に、基準データD2sと検出データD2dとの差分ΔD2の絶対値が大きいほど測定対象物質MMの検出量が多いと判断できる。
なお、測定対象物質MMの分量は積算数ではなく全体に対する比率として演算されてもよい。また、基準データと検出データとの差分ΔD1あるいはΔD2にそれぞれ閾値を設けて、所定の閾値を超えたものを「検出した」と判断するようにしてもよい。
上記のような構成を備えることにより、第1の実施形態による生体情報検出装置及び生体情報検出方法は、乳酸又は乳酸塩及びピルビン酸を検出するのに適した波長の2つのレーザ発振器に対して、一定周期でパルスレーザ光を発振するように発振指令を出力し、受光センサからの検出信号を上記一定周期に対応する時間で、各々の波長のレーザ光に対応した区間データとして切り出し、当該区間データに基づいて血液中の乳酸又は乳酸塩及びピルビン酸の分量を演算するように構成したため、血液中に含まれる乳酸及びピルビン酸の濃度を互いに独立して取得することができる。
<第2の実施形態>
次に、図8A~図8C及び図9を用いて、本発明の別の一例である第2の実施形態による生体情報検出装置及び生体情報検出方法の実施態様について説明する。なお、第2の実施形態においては、図1~図7に示した概略図等において、第1の実施形態と同一あるいは共通の構成を採用し得るものについては、同一の符号を付してこれらの繰り返しの説明は省略する。
図8A~図8Cは、第2の実施形態による生体情報検出装置においてパルスレーザ光が血液に照射される動作手順の概要を示す平面図及び部分正面図である。また、図9は、第2の実施形態による生体情報検出方法の概要を示すフローチャートである。
第2の実施形態による生体情報検出装置100においては、第1の実施形態における血液BLを収容する容器152を用いた測定手法に対して、例えば血液BLが人間等の生物内部を流れている間に、直接測定用のパルスレーザ光LBを血管等に照射して測定する手法を用いる。すなわち、図8Aに示すように、例えば人体において、照射されるパルスレーザ光LBが比較的透過しやすい末端部(指240等)を上面にセンシング面を有する受光センサ160上に載せた状態で、パルスレーザ光LBを当該指240に向けて照射する。
このとき、パルスレーザ光LBの照射位置(集光点FP)において、例えば図8Bに示すように、照射されたパルスレーザ光LBの集光点FPあるいはその延長上に測定対象物質MMが存在しない場合、パルスレーザ光LBは血管242を含む指240を透過するため、照射されたパルスレーザ光LBの出力に相当する透過光TBが受光センサ160の受光点DPで検出される。
一方、図8Cに示すように、照射されたパルスレーザ光LBの集光点FPあるいはその延長上に測定対象物質MMが存在する場合には、パルスレーザ光LBは、第1の実施形態の場合と同様に、測定対象物質MM中の乳酸又は乳酸塩及びピルビン酸で吸収あるいは反射されるため、照射されたパルスレーザ光LBの出力より低出力を有する透過光TBが受光センサ160の受光点DPで検出される。なお、図8Cにおいても、第1の実施形態の場合と同様に、測定対象物質MMがパルスレーザ光LBの集光点FPの集光径より小さい場合であっても同様の傾向を示す。
このような配置による状態で、一定周期Tのオンオフ制御によるパルスレーザ光LBを所定時間だけ照射しつつ、受光センサ160からの検出信号Sdを受信する。これにより、第1の実施形態において容器152内の血液BLの測定領域を走査して測定する代わりに、パルスレーザ光LBの光軸(すなわち照射機構130)を移動させることなく、連続的に流れる血液としての血液BLの時系列データを測定することができる。
第2の実施形態による生体情報検出方法は、図9に示すように、ユーザから入力インターフェース178により測定開始に対応する開始信号Ssが入力されると、まず制御ユニット170の主制御部172が、分量演算部174に対して、受光センサ160からの検出信号Sdの受信開始を指令する(ステップS201)。これにより、第1の実施形態の場合と同様に、分量演算部174では、フローチャートに示す動作の終了まで連続的に受光センサ160からの検出信号Sdを時系列データとして連続的に受信して一時記憶する。
続いて、主制御部172は、所定の測定プログラムに基づいて、第1レーザ発振器110及び第2レーザ発振器120に対して、既定の照射時間Tonだけパルスレーザ光LBを出射する第1発振信号S1o及び第2発振信号S2oを出力する(ステップS202)。当該第1発振信号S1oを受けた第1レーザ発振器110では、第1の実施形態と同様に、発振制御部112が駆動電源113に対して上記の照射時間Tonの間だけオン指令信号Sonを出力し、所定の波長に調整されたパルスレーザ光LBが出射される。なお、この動作については、第2レーザ発振器120でも並行して同様に実行される。
続いて、主制御部172は、上記測定プログラムに基づいて、一定周期Tによるパルスレーザ光LBの照射が所定周期終了したかどうかを判別する(ステップS203)。すなわち、ステップS203において、所定の周期数の照射が終了したと判別された場合、主制御部172は血液BLに対する測定が終了したとして分量演算部174に演算信号Seを出力し、以後のステップS204に進む。
一方、ステップS203において、所定の周期数の照射が終了していないと判別された場合、ステップS202に戻って1周期分のパルスレーザ光LBの照射を繰り返す。これにより、指240の血管242を連続的に流れる血液(血液)BLの所定時間における測定対象物質に対する検出動作が実行される。
続いて、主制御部172から演算信号Seを受けた分量演算部174は、第1の実施形態と同様に、主制御部172からの第1発振信号S1o及び第2発振信号S2oを受信していた区間にそれぞれ対応する受光センサ160からの検出信号Sdの区間を切り出すことにより、第1区間データD1及び第2区間データD2を抽出する(ステップS204)。これにより、検出信号Sdにおける第1パルスレーザ光LB1及び第2パルスレーザ光LB2がそれぞれ照射されていた区間のデータのみを絞り込むことができる。
次に、分量演算部174は、第1の実施形態の場合と同様に、抽出された第1区間データD1及び第2区間データD2に基づいて、測定対象物質MM中の乳酸又は乳酸塩及びピルビン酸の血液BLに対する分量を演算する。そして、分量演算部174は、演算した乳酸又は乳酸塩の分量、及びピルビン酸の分量を、主制御部172に出力して動作を終了する(ステップS205)。
上記のような構成を備えることにより、第2の実施形態による生体情報検出装置及び生体情報検出方法は、第1の実施形態で説明した効果に加えて、例えば血液の代表的な一例である血液が人間等の生物内部を流れている間に、直接測定用のパルスレーザ光を指等の血管に照射して測定する手法を用いるため、人体等から予め血液を取得する必要がなく、測定時の負担を軽減できる。また、測定する血液を収容した容器に対してパルスレーザ光を相対移動させるステップが不要となるため、全体の測定時間を短縮することもできる。
<第3の実施形態>
次に、図10A~図10C、図11及び図12を用いて、本発明のさらに別の一例である第3の実施形態による生体情報検出装置及び生体情報検出方法の実施態様について説明する。なお、第3の実施形態においては、図1~図9に示した概略図等において、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一あるいは共通の構成を採用し得るものについては、同一の符号を付してこれらの繰り返しの説明は省略する。
図10A~図10Cは、第3の実施形態による生体情報検出装置においてパルスレーザ光が血液に照射される動作手順の概要を示す平面図及び部分正面図である。また、図11は、各種指令信号と測定データとの関係を示す時系列グラフである。さらに、図12は、第3の実施形態による生体情報検出装置の変形例による測定ユニットの概要を示す部分断面図である。
第3の実施形態による生体情報検出装置100においては、第1の実施形態における血液BLからの透過光TBを受光センサ160で検出する測定手法に対して、血液BLに含まれる測定対象物質MMの反射光RBを測定する手法を用いる。すなわち、図10Aに示すように、サンプル保持機構150に載置された容器152に血液BLが収容されており、第1の実施形態の場合と同様に、血液BLの所定の測定範囲に対してパルスレーザ光LBを照射する。
このとき、第3の実施形態による生体情報検出装置100においては、血液BLに含まれる測定対象物質MMで反射した反射光RBを、照射機構130に取り付けた受光センサ360によって検出する。すなわち、例えば図10Bに示すように、照射されたパルスレーザ光LBの集光点FPあるいはその延長上に測定対象物質MMが存在しない場合、パルスレーザ光LBは血液BL及び容器152を透過するため、受光センサ360では装置周囲の光量に基づく検出値のみが検出される。
一方、図10Cに示すように、照射されたパルスレーザ光LBの集光点FPあるいはその延長上に測定対象物質MMが存在する場合には、パルスレーザ光LBは測定対象物質MMで吸収あるいは反射されるため、照射されたパルスレーザ光LBの出力の一部である反射光RBが、受光センサ360の受光点DPで検出される。なお、図10Cにおいては、第1の実施形態の場合と同様に、測定対象物質MMがパルスレーザ光LBの集光点FPの集光径より小さい場合であっても同様の傾向を示す。
第3の実施形態による生体情報検出装置100においては、図11に示すように、受光センサ360が反射光RBを検出した区間で、所定の光量の検出値となる検出信号Sdが受信される。そして、分量演算部174は、第1の実施形態と同様に、主制御部172からの第1発振信号S1o及び第2発振信号S2oを受信していた区間に対応する検出信号Sdの区間を切り出すことにより、第1区間データD1及び第2区間データをそれぞれ抽出する。これにより、第1の実施形態の場合と同様に、検出信号Sdにおける第1パルスレーザ光LB1及び第2パルスレーザ光LB2がそれぞれ照射されていた区間のデータのみを絞り込むことができる。
次に、分量演算部174は、抽出された第1区間データD1及び第2区間データD2に基づいて、測定対象物質MM中の乳酸又は乳酸塩及びピルビン酸の血液BLに対する分量を演算する。具体的には、抽出された第1区間データD1は、その一例として、測定対象物質MMが検出されていない場合(非検出区間Tn)の基準データD1sと、測定対象物質MMが検出された場合(検出区間Td)の検出データD1dと、の2つのレベルによる出力値を含んでいる。
このとき、第1の実施形態の場合と同様に、基準データD1sと検出データD1dとの差分ΔDの絶対値が大きいほど測定対象物質MMの検出量が多いと判断できる。そこで、分量演算部174は、対象となるすべての測定範囲を測定後に、第1区間データD1の全体における検出データD1dの数を積算し、測定対象物質MMの「分量」として主制御部172に演算結果を出力する。
一方、抽出された第2区間データD2は、その一例として、測定対象物質MMが検出されていない場合(非検出区間Tn)の基準データD2sと、測定対象物質MMが検出された場合(検出区間T2d)の検出データD2dと、の2つのレベルによる出力値を含んでいる。したがって、第1区間データD1の場合と同様に、基準データD2sと検出データD2dとの差分ΔD2の絶対値が大きいほど測定対象物質MMの検出量が多いと判断することができる。
上記のとおり、第3の実施形態による生体情報検出装置100では、測定対象物質MMに対するパルスレーザ光LBの反射光RBを検出し、これを第1パルスレーザ光LB1及び第2パルスレーザ光LB2に対応する第1区間データD1及び第2区間データD2として抽出することにより、測定対象物質MM中の乳酸又は乳酸塩及びピルビン酸の分量を個別に演算することができる。このように、パルスレーザ光LBの反射光RBを用いて検出及び演算を行うことから、第3の実施形態の変形例として、よりコンパクトなサイズの測定ユニットの構成を採用することができる。
すなわち、図12に示すように、測定ユニット380として、例えば指240等の血液BLが流れる血管を含む生物の一部を収容する筒状の収容部382と、当該収容部382の内部空間Sに向けてパルスレーザ光LBを照射する照射機構130と、パルスレーザ光LBの反射光を検出する受光センサ360と、を一体に含むような構成が例示できる。これにより、測定ユニット380の周囲環境に伴う光量について、受光センサ360での検出量を最小限に留めることができるため、測定精度をさらに高めることが可能となる。
上記のような構成を備えることにより、第3の実施形態による生体情報検出装置及び生体情報検出方法は、第1の実施形態で説明した効果に加えて、血液に含まれる測定対象物質の反射光を測定する手法を用いることにより、周囲環境に伴う光量の検出を最小限に留めることができるため、測定精度をさらに高めることが可能となる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。本発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。例えば、第1の実施形態から第3の実施形態で示した具体例は、それぞれの特徴を組合せて適用してもよい。