JP3635331B2 - 物質計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分光法を利用して物質の濃度乃至濃度変化を計測する物質計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば脳機能等の生体機能を調べる、或いは医療行為として血液中の酸素量を知るため等の目的で、分光法を利用して血液中のヘモグロビン総濃度又は濃度変化を計測し、このヘモグロビン総濃度を血流量として、生体の所定部位における血行動態を観察することが行われている。
【0003】
ところで、ヘモグロビンは、第1の物質であるオキシヘモグロビン及び第2の物質であるデオキシヘモグロビンとして存在し、且つ、それら割合を示すヘモグロビンの酸素との結合率である酸素飽和度は、酸素分圧やPH等の影響を受けて変化する。ところが分光法を利用する上で、これらオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンとは、同波長の光に対す吸光係数が異なるため、適宜の異なる2つの波長の光による吸光度を測定してオキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンの濃度を算出し、これらからヘモグロビン総濃度を求めるという手順を踏む。(例えば、特許文献1参照)
また、より正確な値を得るためには、異なる3つの波長を選択し、これらの波長の光による吸光度を測定してオキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンの濃度を算出し、これらからヘモグロビン総濃度を求める場合もある。(例えば、特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】
特開平09−238914号公報(段落0008〜0009)
【特許文献2】
特開2001−095767号公報(段落0019〜0023)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のような方法においてオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンそれぞれの濃度を求める場合において、Lambert−Beerの法則を適用した演算処理を施して算出しているが、そもそも、このLambert−Beerの法則は一次元的で、且つ、吸収対のみを含む物質に適用されるものであり、ヘモグロビン若しくは生体といった散乱を含む系へは厳密な意味では適用できない。そのため、濃度変化と吸光度変化との線形を仮定するmodified Lambert−Beerの法則が使われているが、分子吸光係数、実際の光路長、散乱の扱いに関しては、正しいがどうか論議があるところであり、modified Lambert−Beerの法則によって正確な値を求めているかどうかという点について今一つ確証が無かった。
【0006】
そして、このような課題は、第1の物質及び第2の物質として存在しうる物質であって吸光係数の値が確定し難いような物質の総濃度を、分光法を利用して求める際には発生し得るものである。
【0007】
そこで、本発明は、これらの課題を解決するべく、第1の物質及び第2の物質の濃度を算出してそれらの合計値を所定物質の総濃度とする場合に、その合計値が本当に所定物質の濃度であるかどうかに関して信頼度の高い確認を行うことができる物質計測装置を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、異なる2つの化合物である第1の物質と第2の物質として存在し得る所定物質の計測対象物中の濃度乃至濃度変化の計測を、分光法を利用して行うためのものであって、前記第1の物質及び第2の物質の、同一濃度での吸光度の和がほぼ等しくなるような2つの異なる波長の光である第1測定光と第2測定光とを前記計測対象物に照射し得る照射部と、前記照射部によって第1測定光と第2測定光とを照射され前記計測対象物を透過する光或いは計測対象物が反射する光の光強度を検出し光検出信号として出力する検出部と、前記検出部から出力された光検出信号から前記計測対象物中の第1測定光及び第2測定光における吸光度を算出する算出手段と、前記第1の物質と第2の物質の総濃度に比例した数値として前記算出手段で算出された第1測定光及び第2測定光の吸光度の和を算出する第2の算出手段とを備えていることを特徴とする物質計測装置である
なお、「同一濃度における吸光度」とは、所定波長におけるモル吸光係数乃至分子係数が既知のものである場合は、モル吸光係数乃至分子係数の和を利用すればよいのは勿論である。
【0009】
このようなものであれば、検出部で検出された光検出信号に基づいて、第1の物質第2の物質の濃度乃至濃度変化をそれぞれ別個に算出し、これら第1の物質及び第2の物質という形で存在する測定物質のトータルの濃度乃至濃度変化を、吸光係数を利用したいわゆるLambert−Beerの法則を適用して求めた場合に、「その算出された値が第1の物質と第2の物質とを測定した値である」ということについての信頼性を、前記第1の物質と第2の物質の総濃度に比例した数値として検出部で検出された光検出信号に基づいて第1測定光及び第2測定光における計測対象物の吸光度の和を算出することで、確認できるようになる。
これは、以下の原理による。
【0010】
これは、以下の原理による。
【0011】
所定物質をその組成として有する化合物が、第1の物質aと第2の物質bとでほぼ100%を占める場合において、その含有率をα、1−αとし、測定物質の総濃度をMとした場合には、計測対象物中の第1の物質の濃度は、Mα、第2の物質の濃度をM(1−α)となる。なお、単位は省略している。
【0012】
今、同一濃度における吸光度に相当する吸光係数(モル吸光係数或いは分子吸光係数)を、
第1測定光での第1の物質の吸光係数=ε1a
第1測定光での第2の物質の吸光係数=ε1b
第2測定光での第1の物質の吸光係数=ε2a
第2測定光での第2の物質の吸光係数=ε2b
と示すとすれば、本発明における照射手段によって照射される第1測定光及び第2測定光における吸光係数の和を、第1の物質と第2の物質とで等しいものとしているので、
ε1a+ε2a=ε1b+ε2b=k=一定・・・・(1)
とすることができる。
また、第1測定光における計測対象物の吸光度をA1とすれば、
A1=ε1a・Mα+ε1b・M(1−α)・・・(2)
第2測定光における計測対象物の吸光度をA2とすれば、
A2=ε2a・Mα+ε2b・M(1−α)・・・(3)
となり、これら吸光度A1とA2との和を求めるべく(2)式+(3)式をすれば、
A1+A2
=ε1a・Mα+ε1b・M(1−α)+ε2a・Mα+ε2b・M(1−α)
すなわち
A1+A2
={(ε1a+ε2a)−(ε1b+ε2b)}・Mα+(ε1b+ε2b)・M
となる。
ここで、(1)式を代入すれば
A1+A2=kMとなり、第1測定光及び第2測定光における計測対象物の吸光度の和は、第1の物質と第2の物質との割合によらない(αによらない)総濃度に比例した数値となる。なお、以上において、光路長はすべて等しいものであるから1として計算してある。
【0013】
従って、例えば所定物質の濃度変化を調べる場合などに、吸光度の和を求めてこの値の経時的変化を追っていけば、演算を施して求めた濃度の値が、本当に所定物質の総濃度であるかどうかを確認することができるようになる。
【0014】
すなわち、上述したようにmodified Lambert−Beerの法則による分光法的な計算上の濃度の値を、吸光度という対数演算を施しただけの極めて生データに近い値で確認することができるようになる。しかも、第1の物質及び第2の物質の濃度を計測するための機器構成自体を、上記のような信頼性の確認するための手段を兼ねさせているで、安価で且つ信頼度の高い装置を提供することができるようになる。このような本発明の物質計測装置は、特に周囲の環境に特定物質との結合状態が変化する所定物質の総濃度を計測する際に適用すれば、周囲の環境を考慮に入れずともよいため、特に有効である。
【0017】
そして、このようなものにおいて、前記第2の算出手段で算出された前記第1測定光の吸光度と第2測定光の吸光度との和を出力する出力手段を設けるようにすれば、結果を即時的に判別できるため便利である。なお、この出力手段を、前記算出手段で算出された第1測定光及び第2測定光の吸光度それぞれを出力するように構成してもよいのは勿論である。なお、「出力する」とは、モニター、ディスプレイなど表示装置に出力する、プリンタに出力する、その他、適宜の通信経路を介して他の情報処理装置に出力することを含むものである。また、数値として出力するようなものであっても、画像として出力するようなものであってもよい。
【0018】
また、本発明の物質計測装置によって濃度を計測する所定物質を、生体内に存在し所定の機能を有する生体内機能物質とすれば、医学的な診断などに利用することも可能となる。
【0019】
そして、そのような所定物質の具体例として望まれるもののひとつに、ヘモグロビンが挙げられ、その場合、前記第1の物質がオキシヘモグロビン、前記第2の物質がデオキシヘモグロビンとなる。
【0020】
このように測定する所定物質が生体内機能物質である場合に、計測対象物を生体の所定部位として、生体内におけるリアルタイムでの計測を行うようにするためには、その生体の所定部位に伝達する照射側伝達部と、検出部へ所定部位からの光を伝達する検出側伝達部とを、さらに設けるようにすると好ましい。
第1測定光及び第2測定光としては、近赤外線領域の光を利用するものが挙げられる。近赤外線は、水、脂肪及び蛋白質など生体を構成する物質にほとんど吸収されず、皮膚組織や骨組織を透過するため、特に、請求項記載の発明のように、生体内機能物質の計測に利用するようなものに適用すれば、体表面近くではなく生体内の物質に関して非浸襲な状態での計測が可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
この図1に示した物質計測装置たるヘモグロビン計測装置Aは、脳活動に深く関与する血液量を観察するべく、計測対象物である被験者Pの脳の大脳皮質に広がる血管中のヘモグロビン濃度乃至濃度変化を、近赤外線分光法を用いて計測できるようにしたものであり、図1、2に示したように、装置本体1と、基端部を装置本体1に接続させた複数の照射側伝達部たる照射用光ファイバ21及び照射側伝達部たる検出用光ファイバ22の束で構成した光ファイバ群2と、この光ファイバ群2の先端部に設けられた頭部装着具3とを備えて構成している。そして、本実施形態においては、その近赤外線領域の光として、オキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンの同一濃度の吸光度であるモル吸光係数の和が等しくなる780nmと830nmの波長の光を採用している(図3のグラフのO1、O2、D1、D2参照)。
【0023】
装置本体1は、近赤外線を照射可能な照射部4と検出部5と、これら照射部4や検出部5の制御や検出部5で検出された光検出信号から吸光度を演算、出力する情報処理機能を有する情報処理装置6と、この情報処理装置6に有線又は無線で接続した出力装置であるディスプレイ7及びプリンタ8等を備えて構成している。
【0024】
詳述すれば、照射部4は、近赤外線領域の780nm及び830nmの波長の光をそれぞれ照射する2種類の半導体レーザダイオードを光源41として備えて構成している。なお、これら第1測定光及び第2測定光の波長は、レーザダイオードが発光し得る波長に依存するものであるため、若干の誤差は許容するものとする。なお、光源としては、LEDを利用してもよいし、多波長光を発光可能なランプと、波長分離フィルタとによって所望の波長に分光して780nm及び830nmの光を照射可能に構成したものであってもよい。
【0025】
検出部5は、前記照射部4によって第1測定光及び第2測定光が照射され脳の大脳皮質の血管部分で反射する光を受光し電気信号である光検出信号に変換するものであり、フォトダイオードなどからなる検出器51、増幅器52、A/D変換器53等を備えて構成している。本実施形態では、検出器51は、前記光源41と対をなすように設けてある。
【0026】
前記情報処理装置6としては、図示しないCPU、内部メモリ、HDD等の記憶装置、キーボードやマウスなどの入力デバイス、外部機器との通信インタフェース等を備えた汎用のコンピュータを採用しているが、専用の情報処理装置であってもよい。そして、この情報処理装置6を、HDD等の外部記憶装置に記憶させたプログラムに従ったCPUからの指令に基づいて各部を動作させることにより、図1に示したように、照射部制御手段61と、検出部制御手段62と、第1の算出手段たる吸光度算出手段63と、第2の算出手段たる吸光度の和算出手段64、濃度算出手段65、データ加工手段66、記憶手段67、出力手段68としての機能を有するように構成している。
【0027】
照射部制御手段61は、照射部4の照射の強度、タイミング等の駆動制御を行うもので、前記光源41によって、所定間隔のパルス光又は定常光を発光するようにしている。
【0028】
検出部制御手段62は、検出部5を構成する各構成を駆動制御して検出器51で検出した光強度を増幅し、その光検出信号をデジタル信号に変換して出力するようにしている。本実施形態では、複数の光源41と複数の検出器51それぞれを組にして設けており、例えば1〜30間での番号を付した30組の光源・検出器チャンネルを前記照射部制御手段61及びこの検出部制御手段62によって制御している。
【0029】
吸光度算出手段63は、デジタル信号に変換された光検出信号に基づいて、780nm及び830nmの吸光度を算出するものである。これが請求項1記載の算出手段に相当する。
【0030】
吸光度の和算出手段64は、前記吸光度算出手段で算出された第1測定光(780nm)及び第2測定光(830nm)の吸光度の和を算出するものである。
【0031】
濃度算出手段65は、前記吸光度算出手段63で算出された第1測定光(780nm)及び第2測定光(830nm)における吸光度の値に行列計算を施すとともに、いわゆるLambert−beerの法則に従って、オキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンそれぞれの濃度乃至濃度変化を算出するものである。なお、この濃度は、絶対値でなく相対変化を表すものであってよい。また、光路長によって補正を行なう補正手段としての機能をさらに有するように構成してあってもよい。
【0032】
データ加工手段66は、吸光度算出手段63で算出された第1測定光(780nm)及び第2測定光(830nm)における吸光度、吸光度の和算出手段64で算出された前記吸光度の和、濃度算出手段65で算出されたオキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンの濃度などの結果のデータをグラフや、画像など表示形式の異なるデータに変換及び加工生成するものである。その他、他の医療機器(例えばMRI)などで撮像された画像と合成するなどの機能を備えたものであってもよい。
【0033】
記憶手段67は、吸光度算出手段63で算出された吸光度、吸光度の和算出手段64で算出された吸光度の和、濃度算出手段65で算出されたオキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンの濃度などの結果のデータ及びデータ加工手段66で加工されたデータを、少なくとも一時的に記憶するものである。
【0034】
出力手段68は、吸光度算出手段63で算出された吸光度、吸光度の和算出手段64で算出された吸光度の和、濃度算出手段65で算出されたオキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンの濃度などの結果のデータを数値として、或いはデータ加工手段66で加工されたデータを出力装置たるディスプレイ7やプリンタ8に出力するための出力制御信号を発信するものである。その他、他の情報処理装置などに対して、データを出力するものであってもよい。
【0035】
光ファイバ群2は、それぞれ複数の照射用光ファイバ21及び検出用ファイバ22の束で構成される。照射用光ファイバ21の基端部は、光源41に接続するとともに、先端部を頭部装着具3に接続して脳の大脳皮質の所定領域に第1測定光及び第2測定光を到達できるようにしている。一方、検出用光ファイバは、基端部を検出器51に接続するとともに、先端部を頭部装着部3に接続し、前記照射光ファイバ21により照射され大脳皮質に広がる血管部分で反射した第1測定光及び第2測定光を受光し、検出器51へと伝達する。
【0036】
頭部装着具3は、図2に示すように、被験者Pの頭部に被せるものであり、例えば熱可塑性樹脂素材によって被験者Pの頭部のほぼ全域を覆う形状に成形した頭部装着部31を主体として構成される。また、この頭部装着部31に、光ファイバ群2を構成する対をなした照射用ファイバ21及び検出用光ファイバ22の先端部を固定するホルダ32、33を備えた保持部を設けている。この保持部が設けられる部位では、頭部装着部31には、貫通孔を設けており、この通孔を通じて各光ファイバの先端を被験者Pの頭皮に接触させるようにしている。
【0037】
以上のように構成した本実施形態のヘモグロビン計測装置Aによれば、780nm及び830nmにおける吸光度から、大脳皮質の血流量に相当するヘモグロビン総濃度を計測するとともに血行動態の変化を示す経時的変化を観察した場合に、ヘモグロビン総濃度とした値が、本当にヘモグロビンのトータルな値を示しているかを、その濃度計測に利用した780nm及び830nmにおける吸光度の和を得てその値の経時的変化を計測して相関関係を調べることで、確かめることができるようになる。これは、上述の課題を解決するための手段の段落において説明した内容で、第1の物質aをオキシヘモグロビンとし、第2の物質bをデオキシヘモグロビンとした場合での説明に基づく。
【0038】
すなわち、本実施形態において、図3のグラフでO1及びO2で示しているオキシヘモグロビンの780nm及び830nmにおけるモル吸光係数の和(ε780O+ε830O)と、D1及びD2で示しているデオキシヘモグロビンの780nm及び830nmにおけるモル吸光係数の和(ε780D+ε830D)は、図3に示しているグラフよりほぼ等しいのでこれらの和を定数kとおける。従って、大脳皮質の所定部位における780nmにおける吸光度をA780、830nmにおける吸光度をA830とすれば、上述した過程から、
780+A830=k×ヘモグロビン総濃度M
となり、ヘモグロビン総濃度Mは、A780+A830の値に比例することとなる。従って、このA780+A830の値の変化と、オキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンの割合によらない(すなわち酸素飽和度によらない)ヘモグロビンの濃度変化との間に相関関係(比例関係)があれば、計算によるヘモグロビンの総濃度は、正しい値を観察しているという確証が得られることとなる。しかも、この吸光度は、光検出信号に対数演算を施しただけの生データに近い値であるので、その信頼性が高い。
【0039】
また、オキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンの濃度を測定するための照射部4及び検出部5自体が、濃度算出手段65で算出された値の信頼性を確認する機能を兼ね備えているため、別途の機器構成を設けずともよく安価で信頼性の高いヘモグロビン濃度を得ることのできる装置を提供することができる。
【0040】
本発明は、上記実施形態に限られない。
【0041】
例えば、上記実施形態において、照射部4が照射する光は、オキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンの吸光係数の和がほぼ一致する2つの波長であれば、780nm及び830nmの波長に限られない。
【0042】
また、吸光度算出手段63、吸光度の和算出手段64、濃度算出手段65を、情報処理装置6に設定せず、それぞれ独立した専用回路を設けて機能させるようにしたものであってもよい。
【0043】
また、計測する所定物質としては、ヘモグロビン以外の物質として、生体内において、酸素化された化合物と脱酸素化された化合物として存在するミオグロビン、チトクロームなどの生体内機能物質であってもよい。
【0044】
また、これらの生体内機能物質を試験管内での状態(in vitro)で、計測するような物質計測装置であってもよい
さらに、生体内機能物質ではなく、異なる2つの化合物である第1の物質及び第2の物質として存在し、例えばPH等によってこれらの割合が変化するような所定物質の濃度を計測するような物質計測装置であってもよい。
【0045】
また、第1測定光及び第2測定光として利用する光は、可視光線、紫外線、遠赤外線領域の光であってもよい。
【0046】
また、照射部を他波長の光を照射できるようなものに構成して、吸収スペクトルから第1測定光及び第2測定光に相当する波長の光を検索する検索手段をさらに備えたようなものであってもよい。
【0047】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0049】
すなわち、本発明の物質計測装置によれば、検出部で検出された光検出信号に基づいて、第1の物質の第2の物質の濃度乃至濃度変化をそれぞれ別個に算出し、これら第1の物質及び第2の物質という形で存在する測定物質のトータルの濃度乃至濃度変化を、吸光係数を利用したいわゆるLambert−Beerの法則を適用して求めた場合に、「その算出された値が第1の物質と第2の物質とを測定した値である」ということについての信頼性を、検出部で検出された光検出信号に基づいて、まず算出手段において第1及び第2測定光の各吸光度を算出し、次いで第1及び第2の物質の総濃度に比例した値として第2の算出手段において第1測定光及び第2測定光の吸光度の和を算出して、その結果を出力することで、確認できる。すなわち、Lambert−Beerの法則に基づいた計算上の濃度の値を、吸光度という対数演算を施しただけの極めて生データに近い値で確認することができる。また、第1の物質及び第2の物質の濃度を計測するための機器構成自体を、上記のような信頼性の確認するための手段としての機能を兼ねさせているので、安価で且つ信頼度の高い装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能構成図。
【図2】同実施形態における頭部装着具を示す図。
【図3】オキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンの吸収スペクトルを示したグラフ。
【符号の説明】
21・・・照射側伝達部(照射用光ファイバ)
22・・・検出側伝達部(検出用光ファイバ)
4・・・照射部
5・・・検出部
63・・・算出手段(吸光度算出手段)
64・・・第2の算出手段(吸光度の和算出手段)
68・・・出力手段

Claims (6)

  1. 異なる2つの化合物である第1の物質と第2の物質として存在し得る所定物質の計測対象物中の濃度乃至濃度変化の計測を、分光法を利用して行うためのものであって、
    前記第1の物質及び第2の物質の、同一濃度での吸光度の和がほぼ等しくなるような2つの異なる波長の光である第1測定光と第2測定光とを、前記計測対象物に照射し得る照射部と、
    前記照射部によって第1測定光と第2測定光とを照射され、前記計測対象物を透過する光或いは計測対象物が反射する光の光強度を検出し光検出信号として出力する検出部と、前記検出部から出力された光検出信号から前記計測対象物中の第1測定光及び第2測定光における吸光度を算出する算出手段と、前記第1の物質と第2の物質の総濃度に比例した数値として前記算出手段で算出された第1測定光及び第2測定光の吸光度の和を算出する第2の算出手段とを備えていることを特徴とする物質計測装置。
  2. 前記第2の算出手段で算出した第1測定光及び第2測定光における吸光度の和を出力する出力手段を備えている請求項1記載の物質計測装置。
  3. 前記所定物質が、生体内に存在し所定の機能を有する生体内機能物質である請求項1又は2記載の物質計測装置。
  4. 前記所定の測定物質がヘモグロビン、前記第1の物質がオキシヘモグロビン、前記第2の物質がデオキシヘモグロビンである請求項3記載の物質計測装置。
  5. 計測対象物が生体の所定部位であり、前記照射部が照射する光を、その生体の所定部位に伝達する照射側伝達部と、前記検出部へ前記所定部位からの光を伝達する検出側伝達部とを、さらに備えている請求項3又は4記載の物質計測装置。
  6. 第1測定光及び第2測定光が、近赤外線領域の光である請求項1、2、3、4又は5記載の物質計測装置。
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