JP7333410B2 - 積層圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、エキサイター等に利用される積層圧電素子に関する。
各種の物品に接触して取り付けることで、物品を振動させて音を出す、いわゆるエキサイター(励起子)が、各種の用途に利用されている。
例えば、オフィスであれば、プレゼンテーションおよび電話会議等の際に、会議用テーブル、ホワイトボードおよびスクリーン等にエキサイターを取り付けることで、スピーカーの代わりに音を出すことができる。自動車等の車両であれば、コンソール、Aピラーおよび天井等にエキサイターを取り付けることで、ガイド音、警告音および音楽等を鳴らすことができる。また、ハイブリット車および電気自動車のように、エンジン音が出ない自動車の場合には、バンパー等にエキサイターを取り付けることで、バンパー等から車両接近通報音を出すことができる。
このようなエキサイターにおいて振動を生じる可変素子としては、コイルとマグネットとの組み合わせ、ならびに、偏心モータおよび線形共振モータ等の振動モータ等が知られている。
これらの可変素子は、薄型化が困難である。特に、振動モータは、振動力を増加するためには質量体を大きくする必要がある、振動の程度を調節するための周波数変調が難しく応答速度が遅い等の難点がある。
このような問題を解決できる可変素子として、特許文献1に示されるような、圧電体層を電極層で挟持してなる圧電フィルムを用い、圧電フィルムを、複数層、積層した積層圧電素子が考えられる。
圧電フィルム自体は、剛性は低いが、圧電フィルムを積層することで、素子全体の剛性を高めることができる。しかも、圧電フィルムの積層体では、駆動電圧を上げなくても、高い電界強度を確保できるため、非常に好適である。
特開2015-15283号公報
特許文献1に示されるように、圧電フィルム(圧電ユニット)は、ヘリカルキラル高分子などの高分子材料からなる圧電体層(圧電フィルム)を、第1電極層と第2電極層とで挟持した構成を有する。特許文献1に記載される積層圧電素子は、このような圧電フィルムを、絶縁層を介して、複数層、積層している。
また、圧電フィルムを構成する圧電体層および電極層は、非常に薄い。例えば、特許文献1では、圧電体層の好ましい厚さとして20~80μmを例示し、電極層の好ましい厚さとして10~1000nmを例示している。
そのため、圧電フィルムの強度を確保するために、圧電体層と電極層との積層体の両面に、ポリエチレンテレフタレート等の絶縁性の材料からなるフィルムを保護層として設けることも考えらえる。
このような保護層を設けることで、圧電フィルムの強度を確保できると共に、積層する際に圧電フィルムの間に挿入する絶縁層を不要にできる。
特許文献1にも記載されるように、複数枚の圧電フィルムを積層してなる積層圧電素子では、個々の圧電フィルム毎に圧電フィルムを駆動する電源装置等の外部装置に接続する必要がある。
しかしながら、複数枚の圧電フィルムを積層した積層圧電素子において、各圧電フィルムの電極層と外部装置とを簡易に接続する方法は、知られていない。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、複数の圧電フィルムを積層してなる積層圧電素子において、各圧電フィルムの電極層と、外部の装置とを、簡易に接続できる積層圧電素子を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 複数の圧電フィルムを積層した積層圧電素子であって、
圧電フィルムは、圧電体層と、第1電極層および絶縁性の第1保護層を積層した第1積層シートと、第2電極層および絶縁性の第2保護層を積層した第2積層シートとを有し、第1電極層と第2電極層とを対面した第1積層シートと第2積層シートとの間に、圧電体層が位置するものであり、
第1積層シートは、圧電体層から突出する第1突出部を有し、第2積層シートは、圧電体層から突出する第2突出部を有し、
第1突出部には、第1電極層の表面から第1保護層の表面に至るように、導電性を備える第1引出配線の一端が第1電極層の表面に接続され、他端が第1保護層に貼着され、第2突出部には、第2電極層の表面から第2保護層の表面に至るように、導電性を備える第2引出配線の一端が第2電極層の表面に接続され、他端が第2保護層に貼着され、
複数の圧電フィルムにおいて、第1電極層は全て同じ極性の電極であり、また、第2電極層は全て同じ極性の電極であり、第1引出配線が接触することで第1電極層同士を接続し、第2引出配線が接触することで第2電極層同士を接続することを特徴とする積層圧電素子。
[2] 積層された複数の圧電フィルムを、圧電フィルムの積層体の法線方向から見た際に、第1引出配線が重複し、かつ、第2引出配線が重複する、[1]に記載の積層圧電素子。
[3] 隣接する圧電フィルムを貼着する貼着層を有する、[1]または[2]に記載の積層圧電素子。
[4] 第1引出配線および第2引出配線は、導電性貼着層と導電層とを積層した積層体であり、
第1引出配線は、導電性貼着層が第1電極層の表面と第1保護層の表面とに貼着し、第2引出配線は、導電性貼着層が第2電極層の表面と第2保護層の表面とに貼着する、[1]~[3]のいずれかに記載の積層圧電素子。
[5] 圧電フィルムは、圧電特性に面内異方性がない、[1]~[4]のいずれかに記載の積層圧電素子。
[6] 圧電体層は、高分子材料と圧電体粒子とを有する高分子複合圧電体である、[1]~[5]のいずれかに記載の積層圧電素子。
[7] 高分子材料がシアノエチル基を有する、[6]に記載の積層圧電素子。
[8] 高分子材料がシアノエチル化ポリビニルアルコールである、[7]に記載の積層圧電素子。
このような本発明によれば、複数の圧電フィルムを積層してなる積層圧電素子において、各圧電フィルムの電極層と外部の装置とを、簡易に接続できる。
図1は、本発明の積層圧電素子の一例を概念的に示す図である。 図2は、図1に示す積層圧電素子を構成する圧電フィルムの一例を概念的に示す斜視図である。 図3は、圧電フィルムの一例を概念的に示す図である。 図4は、圧電フィルムの作製方法の一例を説明するための概念図である。 図5は、圧電フィルムの作製方法の一例を説明するための概念図である。 図6は、圧電フィルムの作製方法の一例を説明するための概念図である。 図7は、圧電フィルムの一例の部分拡大図である。 図8は、図7の変形例である。 図9は、図7の別の変形例である。 図10は、圧電フィルムの別の例の部分拡大図である。 図11は、本発明の積層圧電素子と外部装置との接続方法の一例を概念的に示す図である。 図12は、本発明の積層圧電素子を用いる電気音響変換器の一例を概念的に示す図である。
以下、本発明の積層圧電素子について、添付の図面に示される好適実施態様を基に、詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
また、以下に示す図は、いずれも、本発明を説明するための概念的な図である。従って、各構成部材の厚さ、大きさ、形状、および、位置関係等は、実際の物とは異なる。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
図1に、本発明の積層圧電素子の一例を概念的に示す。
図1に示す積層圧電素子10は、圧電フィルム12を、3枚、積層して、隣接する圧電フィルム12を、貼着層14で貼着した構成を有する。なお、構成を明確に示すために、貼着層14にはハッチングを付す。
図1に示す積層圧電素子10は、圧電フィルム12を、3層、積層したものであるが、本発明は、これに制限はされない。すなわち、本発明の積層圧電素子は、圧電フィルム12を、複数層、積層したものであれば、圧電フィルム12の積層数は、2層でもよく、あるいは、4層以上であってもよい。
図2に、圧電フィルム12の部分概略斜視図を示す。
圧電フィルム12は、矩形状のシート状物(フィルム、板状物)であり、第1積層シート16と、第2積層シート18と、圧電性を有するシート状物である圧電体層20とを有する。第1積層シート16は、第1電極層24と第1保護層28とを積層した積層体である。他方、第2積層シート18は、第2電極層26と第2保護層30とを積層した積層体である。
圧電フィルム12は、第1電極層24と第2電極層26とを対面した状態で、第1積層シート16と第2積層シート18とで圧電体層20を挟持した構成を有する。すなわち、圧電フィルム12は、圧電体層20の一方の面に第1電極層24を、他方の面に第2電極層26を有し、圧電体層20を電極層で挟んだ積層体を、第1保護層28と第2保護層30とで挟持した構成を有する。
圧電フィルム12を3層積層した本発明の積層圧電素子10において、各圧電フィルム12の第1電極層24は、同じ極性の電極である。従って、各圧電フィルム12の第2電極層26も、第1電極層24とは逆極性の同じ極性の電極である。
なお、本発明において、第1積層シート16および第2積層シート18、ならびに、第1電極層24および第2電極層26等における第1および第2とは、本発明の積層圧電素子の圧電フィルム12を説明するために、便宜的に付しているものである。
すなわち、本発明の圧電フィルム12における第1および第2には、技術的な意味は無い。
図2に示すように、第1積層シート16は、圧電体層20から突出する第1突出部16aを有する。従って、第1突出部16aでは、下面側に第1電極層24が露出している。後述する図7に示すように、この第1突出部16aには、図中下方の第1電極層24の表面から、図中上方の第1保護層28の表面に至るように、帯状の第1引出配線34が貼着される。
他方、第2積層シート18は、圧電体層20から突出する第2突出部18aを有する。従って、第2突出部18aでは、上面側に第2電極層26が露出している。後述する図7に示すように、この第2突出部18aには、図中上方の第2電極層26の表面から、図中下方の第2保護層30の表面に至るように、帯状の第2引出配線36が貼着される。
なお、圧電フィルム12の構成を明確に示すため、図1では、第1引出配線34および第2引出配線36は破線で示し、図2では、第1引出配線34および第2引出配線36は省略している。
第1突出部16aおよび第2突出部18aは、一例として、矩形(長方形)の圧電フィルム12の短手側の同じ端面に形成される。すなわち、図1は、圧電フィルム12を、突出部を有する短手側に向かって見た図である。
なお、本発明の積層圧電素子を構成する圧電フィルム12において、第1積層シート16の第1突出部16aおよび第2積層シート18の第2突出部18aは、圧電フィルムの同じ端面に設けられるのに制限はされず、各種の形成位置が利用可能である。例えば、矩形の圧電フィルムの一方の短辺の端面に第1積層シート16の第1突出部16aを形成し、矩形の圧電フィルムの他方の短辺の端面に第2積層シート18の第2突出部18aを形成してもよい。または、矩形の圧電フィルムの一方の短辺の端面に第1積層シート16の第1突出部16aを形成し、矩形の圧電フィルムの長辺の端面に第2積層シート18の第2突出部18aを形成してもよい。
また、圧電フィルムすなわち積層圧電素子の形状も、矩形に制限はされず、各種の形状が利用可能である。圧電フィルムの形状としては、矩形以外にも、正方形、円形、および、楕円形等が例示される。
なお、此処で言う圧電フィルムの形状とは、圧電フィルムの主面の形状である。主面とは、シート状物(フィルム、板状物、層)の最大面である。
図3に、圧電フィルム12の一例を断面図によって概念的に示す。
上述のように、圧電フィルム12は、圧電体層20を、第1積層シート16と第2積層シート18とで挟持した構成を有する。これにより、圧電フィルム12は、圧電体層20の一方の面に積層される第1電極層24と、第1電極層24上に積層される第1保護層28と、圧電体層20の他方の面に積層される第2電極層26と、第2電極層26上に積層される第2保護層30とを有する構成となる。
なお、図3においては、第1積層シート16の第1突出部16aおよび第2積層シート18の第2突出部18aは、省略している。この点に関しては、図4~図6も同様である。
圧電フィルム12において、圧電体層20は、好ましい態様として、図3に概念的に示すように、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる高分子マトリックス40中に、圧電体粒子42を分散してなる高分子複合圧電体からなるものである。なお、本明細書において、「常温」とは、0~50℃程度の温度域を指す。
ここで、高分子複合圧電体(圧電体層20)は、次の用件を具備したものであるのが好ましい。
(i) 可撓性
例えば、携帯用として新聞や雑誌のように書類感覚で緩く撓めた状態で把持する場合、絶えず外部から、数Hz以下の比較的ゆっくりとした、大きな曲げ変形を受けることになる。この時、高分子複合圧電体が硬いと、その分大きな曲げ応力が発生し、高分子マトリックスと圧電体粒子との界面で亀裂が発生し、やがて破壊に繋がる恐れがある。従って、高分子複合圧電体には適度な柔らかさが求められる。また、歪みエネルギーを熱として外部へ拡散できれば応力を緩和することができる。従って、高分子複合圧電体の損失正接が適度に大きいことが求められる。
以上をまとめると、エキサイターとして用いるフレキシブルな高分子複合圧電体は、20Hz~20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては柔らかく振る舞うことが求められる。また、高分子複合圧電体の損失正接は、20kHz以下の全ての周波数の振動に対して、適度に大きいことが求められる。
さらに、貼り付ける相手材の剛性に合わせて、積層することで、簡便にバネ定数を調節できるのが好ましく、その際、貼着層14は薄ければ薄いほど、エネルギー効率を高めることができる。貼り付ける相手材は、一例として、振動板が例示される。また、剛性とは、言い換えれば、硬さ、コシ、および、バネ定数等である。
一般に、高分子固体は粘弾性緩和機構を有しており、温度上昇あるいは周波数の低下と共に大きなスケールの分子運動が貯蔵弾性率(ヤング率)の低下(緩和)あるいは損失弾性率の極大(吸収)として観測される。その中でも、非晶質領域の分子鎖のミクロブラウン運動によって引き起こされる緩和は、主分散と呼ばれ、非常に大きな緩和現象が見られる。この主分散が起きる温度がガラス転移点(Tg)であり、最も粘弾性緩和機構が顕著に現れる。
高分子複合圧電体(圧電体層20)において、ガラス転移点が常温にある高分子材料、言い換えると、常温で粘弾性を有する高分子材料をマトリックスに用いることで、20Hz~20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の遅い振動に対しては柔らかく振舞う高分子複合圧電体が実現する。特に、この振舞いが好適に発現する等の点で、周波数1Hzでのガラス転移点が常温、すなわち、0~50℃にある高分子材料を、高分子複合圧電体のマトリックスに用いるのが好ましい。
常温で粘弾性を有する高分子材料としては、公知の各種のものが利用可能である。好ましくは、常温、すなわち0~50℃において、動的粘弾性試験による周波数1Hzにおける損失正接Tanδの極大値が、0.5以上有る高分子材料を用いる。
これにより、高分子複合圧電体が外力によってゆっくりと曲げられた際に、最大曲げモーメント部における高分子マトリックスと圧電体粒子との界面の応力集中が緩和され、高い可撓性が期待できる。
また、常温で粘弾性を有する高分子材料は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において100MPa以上、50℃において10MPa以下、であるのが好ましい。
これにより、高分子複合圧電体が外力によってゆっくりと曲げられた際に発生する曲げモーメントが低減できると同時に、20Hz~20kHzの音響振動に対しては硬く振る舞うことができる。
また、常温で粘弾性を有する高分子材料は、比誘電率が25℃において10以上有ると、より好適である。これにより、高分子複合圧電体に電圧を印加した際に、高分子マトリックス中の圧電体粒子にはより高い電界が掛かるため、大きな変形量が期待できる。
しかしながら、その反面、良好な耐湿性の確保等を考慮すると、高分子材料は、比誘電率が25℃において10以下であるのも、好適である。
このような条件を満たす常温で粘弾性を有する高分子材料としては、シアノエチル化ポリビニルアルコール(シアノエチル化PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニリデンクロライドコアクリロニトリル、ポリスチレン-ビニルポリイソプレンブロック共重合体、ポリビニルメチルケトン、および、ポリブチルメタクリレート等が例示される。また、これらの高分子材料としては、ハイブラー5127(クラレ社製)などの市販品も、好適に利用可能である。なかでも、高分子材料としては,シアノエチル基を有する材料を用いることが好ましく、シアノエチル化PVAを用いるのが特に好ましい。
なお、これらの高分子材料は、1種のみを用いてもよく、複数種を併用(混合)して用いてもよい。
このような常温で粘弾性を有する高分子材料を用いる高分子マトリックス40は、必要に応じて、複数の高分子材料を併用してもよい。
すなわち、高分子マトリックス40には、誘電特性や機械的特性の調節等を目的として、シアノエチル化PVA等の常温で粘弾性を有する高分子材料に加え、必要に応じて、その他の誘電性高分子材料を添加しても良い。
添加可能な誘電性高分子材料としては、一例として、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体およびポリフッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系高分子、シアン化ビニリデン-酢酸ビニル共重合体、シアノエチルセルロース、シアノエチルヒドロキシサッカロース、シアノエチルヒドロキシセルロース、シアノエチルヒドロキシプルラン、シアノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノエチルヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルアミロース、シアノエチルヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルジヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルヒドロキシプロピルアミロース、シアノエチルポリアクリルアミド、シアノエチルポリアクリレート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリヒドロキシメチレン、シアノエチルグリシドールプルラン、シアノエチルサッカロースおよびシアノエチルソルビトール等のシアノ基またはシアノエチル基を有するポリマー、ならびに、ニトリルゴムやクロロプレンゴム等の合成ゴム等が例示される。
中でも、シアノエチル基を有する高分子材料は、好適に利用される。
また、圧電体層20の高分子マトリックス40において、シアノエチル化PVA等の常温で粘弾性を有する材料に加えて添加される誘電性高分子は、1種に限定はされず、複数種を添加してもよい。
また、高分子マトリックス40には、誘電性高分子以外にも、ガラス転移点Tgを調節する目的で、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリブテンおよびイソブチレン等の熱可塑性樹脂、ならびに、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂およびマイカ等の熱硬化性樹脂を添加しても良い。
さらに、粘着性を向上する目的で、ロジンエステル、ロジン、テルペン、テルペンフェノール、および、石油樹脂等の粘着付与剤を添加しても良い。
圧電体層20の高分子マトリックス40において、シアノエチル化PVA等の粘弾性を有する高分子材料以外の材料を添加する際の添加量には、特に限定は無いが、高分子マトリックス40に占める割合で30質量%以下とするのが好ましい。
これにより、高分子マトリックス40における粘弾性緩和機構を損なうことなく、添加する高分子材料の特性を発現できるため、高誘電率化、耐熱性の向上、圧電体粒子42および電極層との密着性向上等の点で好ましい結果を得ることができる。
圧電体粒子42は、ペロブスカイト型またはウルツ鉱型の結晶構造を有するセラミックス粒子からなるものである。
圧電体粒子42を構成するセラミックス粒子としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛(PLZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)、および、チタン酸バリウムとビスマスフェライト(BiFe3)との固溶体(BFBT)等が例示される。
このような圧電体粒子42の粒径には制限はなく、圧電フィルム12のサイズ、および、積層圧電素子10の用途等に応じて、適宜、選択すれば良い。圧電体粒子42の粒径は、1~10μmが好ましい。
圧電体粒子42の粒径をこの範囲とすることにより、圧電フィルム12が高い圧電特性とフレキシビリティとを両立できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
なお、図3においては、圧電体層20中の圧電体粒子42は、高分子マトリックス40中に、均一かつ規則性を持って分散されているが、本発明は、これに制限はされない。
すなわち、圧電体層20中の圧電体粒子42は、好ましくは均一に分散されていれば、高分子マトリックス40中に不規則に分散されていてもよい。
圧電フィルム12において、圧電体層20中における高分子マトリックス40と圧電体粒子42との量比には、制限はなく、圧電フィルム12の面方向の大きさおよび厚さ、積層圧電素子10の用途、ならびに、圧電フィルム12に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
圧電体層20中における圧電体粒子42の体積分率は、30~80%が好ましく、50%以上がより好ましい。従って、圧電体層20中における圧電体粒子42の体積分率は、50~80%とするのが、さらに好ましい。
高分子マトリックス40と圧電体粒子42との量比を上記範囲とすることにより、高い圧電特性とフレキシビリティとを両立できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
以上の圧電フィルム12は、好ましい態様として、圧電体層20が、常温で粘弾性を有する高分子材料を含む高分子マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体層である。しかしながら、本発明は、これに制限はされず、圧電フィルムの圧電体層としては、公知の圧電素子に用いられる、公知の各種の圧電体層が利用可能である。
一例として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびフッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体の上述した誘電性高分子材料からなる圧電体層、ならびに、PZT、PLZT、チタン酸バリウム、酸化亜鉛およびBFBT等の上述した圧電体からなる圧電体層等が例示される。
圧電フィルム12において、圧電体層20の厚さには、特に限定はなく、積層圧電素子10の用途、積層圧電素子10における圧電フィルムの積層数、圧電フィルム12に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
圧電体層20が厚いほど、いわゆるシート状物のコシの強さなどの剛性等の点では有利であるが、同じ量だけ圧電フィルム12を伸縮させるために必要な電圧(電位差)は大きくなる。
圧電体層20の厚さは、10~300μmが好ましく、20~200μmがより好ましく、30~150μmがさらに好ましい。
圧電体層20の厚さを、上記範囲とすることにより、剛性の確保と適度な柔軟性との両立等の点で好ましい結果を得ることができる。
圧電体層20は、厚さ方向に分極処理(ポーリング)されているのが好ましい。分極処理に関しては、後に詳述する。
なお、本発明に用いられる圧電フィルム12において、圧電体層20は、上述したような、シアノエチル化PVAのような常温で粘弾性を有する高分子材料からなる高分子マトリックス40に、圧電体粒子42を含む高分子複合圧電体に制限はされない。
すなわち、本発明の圧電フィルム12において、圧電体層は、公知の圧電体層が、各種、利用可能である。
一例として、上述したポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体およびフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体等の誘電性高分子材料を含むマトリックスに同様の圧電体粒子42を含む高分子複合圧電体、ポリフッ化ビニリデンからなる圧電体層、ポリフッ化ビニリデン以外のフッ素樹脂からなる圧電体層、ならびに、ポリL乳酸からなるフィルムとポリD乳酸からなるフィルムとを積層した圧電体層等も、利用可能である。
しかしながら、上述のように、20Hz~20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の遅い振動に対しては柔らかく振舞うことができ、優れた音響特性が得られる、可撓性に優れる等の点で、上述したシアノエチル化PVAのような常温で粘弾性を有する高分子材料からなる高分子マトリックス40に、圧電体粒子42を含む高分子複合圧電体が、好適に利用される。
図3に示すように、図示例の圧電フィルム12は、このような圧電体層20の一面に、第1電極層24を有し、その上に第1保護層28を有し、圧電体層20の他方の面に、第2電極層26を有し、その上に第2保護層30を有してなる構成を有する。ここで、第2電極層26と第1電極層24とが電極対を形成する。
上述のように、このような圧電フィルム12は、第1電極層24および第1保護層28を積層した第1積層シート16と、第2電極層26および第2保護層30を積層した第2積層シート18とで、電極層を対面して圧電体層20を挟持することで、形成される。
なお、圧電フィルム12は、圧電体層20が露出する領域を覆って、ショート等を防止する絶縁層等を有していてもよい。
すなわち、圧電フィルム12は、圧電体層20の両面を電極対、すなわち、第2電極層26および第1電極層24で挟持し、この積層体を、第1保護層28および第2保護層30で挟持してなる構成を有する。
このように、圧電フィルム12において、第2電極層26および第1電極層24で挾持された領域は、印加された電圧に応じて伸縮される。
圧電フィルム12において、第1保護層28および第2保護層30は、第2電極層26および第1電極層24を被覆すると共に、圧電体層20に適度な剛性と機械的強度を付与する役目を担っている。すなわち、圧電フィルム12において、高分子マトリックス40と圧電体粒子42とからなる圧電体層20は、ゆっくりとした曲げ変形に対しては、非常に優れた可撓性を示す一方で、用途によっては、剛性や機械的強度が不足する場合がある。圧電フィルム12には、それを補うために第1保護層28および第2保護層30が設けられる。
第1保護層28および第2保護層30には、制限はなく、絶縁性であれば、各種のシート状物が利用可能である。一例として、各種の樹脂フィルムが好適に例示される。
中でも、優れた機械的特性および耐熱性を有するなどの理由により、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、および、環状オレフィン系樹脂等からなる樹脂フィルムが、好適に利用される。
第1保護層28および第2保護層30の厚さにも、制限はない。また、第1保護層28および第2保護層30の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
ここで、第1保護層28および第2保護層30の剛性が高過ぎると、圧電体層20の伸縮を拘束するばかりか、可撓性も損なわれる。そのため、機械的強度やシート状物としての良好なハンドリング性が要求される場合を除けば、第1保護層28および第2保護層30は、薄いほど有利である。
圧電フィルム12においては、第1保護層28および第2保護層30の厚さが、圧電体層20の厚さの2倍以下であれば、剛性の確保と適度な柔軟性との両立等の点で好ましい結果を得ることができる。
例えば、圧電体層20の厚さが50μmで、第1保護層28および第2保護層30がPETからなる場合、第1保護層28および第2保護層30の厚さは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、25μm以下がさらに好ましい。
圧電フィルム12において、圧電体層20と第1保護層28との間には第1電極層24が、圧電体層20と第2保護層30との間には第2電極層26が、それぞれ位置する。以下の説明では、第1電極層24を第1電極層24、第2電極層26を第2電極層26、とも言う。
第1電極層24および第2電極層26は、圧電体層20(圧電フィルム12)に電圧を印加するために設けられる。
本発明において、第1電極層24および第2電極層26の形成材料には制限はなく、各種の導電体が利用可能である。具体的には、炭素、パラジウム、鉄、錫、アルミニウム、ニッケル、白金、金、銀、銅、チタン、クロムおよびモリブデン等の金属、これらの合金、これらの金属および合金の積層体および複合体、ならびに、酸化インジウムスズ等が例示される。中でも、銅、アルミニウム、金、銀、白金、および、酸化インジウムスズは、第1電極層24および第2電極層26として好適に例示される。
また、第1電極層24および第2電極層26の形成方法にも制限はなく、真空蒸着およびスパッタリング等の気相堆積法(真空成膜法)やめっきによる成膜や、上記材料で形成された箔を貼着する方法等、公知の方法が、各種、利用可能である。
すなわち、一例として、第1積層シート16は、第1保護層28に、真空蒸着等によって第1電極層24を形成することで、作製される。同様に、第2積層シート18は、一例として、第2保護層30に、真空蒸着等によって第2電極層26を形成することで、作製される。
中でも特に、圧電フィルム12の可撓性が確保できる等の理由で、真空蒸着によって成膜された銅およびアルミニウム等の薄膜は、第1電極層24および第2電極層26として、好適に利用される。その中でも特に、真空蒸着による銅の薄膜は、好適に利用される。
第1電極層24および第2電極層26の厚さには、制限はない。また、第1電極層24および第2電極層26の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
ここで、上述した第1保護層28および第2保護層30と同様に、第1電極層24および第2電極層26の剛性が高過ぎると、圧電体層20の伸縮を拘束するばかりか、可撓性も損なわれる。そのため、第1電極層24および第2電極層26は、電気抵抗が高くなり過ぎない範囲であれば、薄いほど有利である。
圧電フィルム12においては、第1電極層24および第2電極層26の厚さと、ヤング率との積が、第1保護層28および第2保護層30の厚さとヤング率との積を下回れば、可撓性を大きく損なうことがないため、好適である。
例えば、第1保護層28および第2保護層30がPET(ヤング率:約6.2GPa)で、第1電極層24および第2電極層26が銅(ヤング率:約130GPa)からなる組み合わせの場合、第1保護層28および第2保護層30の厚さが25μmだとすると、第1電極層24および第2電極層26の厚さは、1.2μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましく、中でも0.1μm以下とするのが好ましい。
上述したように、圧電フィルム12は、好ましくは、常温で粘弾性を有する高分子材料を含む高分子マトリックス40に圧電体粒子42を分散してなる圧電体層20を、第1電極層24および第1保護層28を積層した第1積層シート16と、第2電極層26および第2保護層30を積層した第2積層シート18とで挟持した構成を有する。
このような圧電フィルム12は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの損失正接(Tanδ)の極大値が常温に存在するのが好ましく、0.1以上となる極大値が常温に存在するのがより好ましい。
これにより、圧電フィルム12が外部から数Hz以下の比較的ゆっくりとした、大きな曲げ変形を受けたとしても、歪みエネルギーを効果的に熱として外部へ拡散できるため、高分子マトリックスと圧電体粒子との界面で亀裂が発生するのを防ぐことができる。
圧電フィルム12は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において10~30GPa、50℃において1~10GPaであるのが好ましい。
これにより、常温で圧電フィルム12が貯蔵弾性率(E’)に大きな周波数分散を有することができる。すなわち、20Hz~20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては柔らかく振る舞うことができる。
また、圧電フィルム12は、厚さと動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)との積が、0℃において1.0×106~2.0×106N/m、50℃において1.0×105~1.0×106N/mであるのが好ましい。
これにより、圧電フィルム12が可撓性および音響特性を損なわない範囲で、適度な剛性と機械的強度を備えることができる。
さらに、圧電フィルム12は、動的粘弾性測定から得られたマスターカーブにおいて、25℃、周波数1kHzにおける損失正接(Tanδ)が、0.05以上であるのが好ましい。
これにより、圧電フィルム12を用いたスピーカの周波数特性が平滑になり、スピーカの曲率の変化に伴い最低共振周波数fが変化した際の音質の変化量も小さくできる。
以下、図4~図6の概念図を参照して、本発明の積層圧電素子に用いる圧電フィルム12の製造方法の一例を説明する。
まず、図4に示すように、第2保護層30の上に第2電極層26形成された第2積層シート18を準備する。この第2積層シート18は、第1保護層28の表面に、真空蒸着、スパッタリング、および、めっき等によって、第1電極層24として銅薄膜等を形成して作製すればよい。
第2保護層30が非常に薄く、ハンドリング性が悪い時などは、必要に応じて、セパレータ(仮支持体)付きの第2保護層30を用いても良い。なお、セパレータとしては、厚さ25~100μmのPET等を用いることができる。セパレータは、第2電極層26および第2保護層30を熱圧着した後、第2保護層30に何らかの部材を積層する前に、取り除けばよい。
次いで、図5に示すように、第2積層シート18の第2電極層26上に、圧電体層20を形成して、第2積層シート18と圧電体層20とを積層した積層体12aを作製する。
圧電体層20は、公知の方法で形成すればよい。
例えば、図3に示す、高分子マトリックス40に圧電体粒子42を分散した圧電体層であれば、一例として、以下のように作製する。
まず、有機溶媒に、シアノエチル化PVA等の常温で粘弾性を有する高分子材料を溶解し、さらに、PZT粒子等の圧電体粒子42を添加して、攪拌することにより、高分子材料に圧電体粒子42を分散してなる塗料を調製する。
有機溶媒には制限はなく、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン、および、シクロヘキサノン等の各種の有機溶媒が利用可能である。
第2積層シート18を準備し、かつ、塗料を調製したら、この塗料を第2積層シート18の第2電極層26にキャスティング(塗布)して、有機溶媒を蒸発して乾燥する。これにより、図5に示すように、第2保護層30の上に第2電極層26を有し、第2電極層26の上に圧電体層20を形成してなる積層体12aを作製する。
この塗料のキャスティング方法には、特に、限定はなく、スライドコータおよびドクターナイフ等の公知の塗布方法(塗布装置)が、全て、利用可能である。
なお、高分子材料がシアノエチル化PVAのように加熱溶融可能な物であれば、高分子材料を加熱溶融して、これに圧電体粒子42を添加/分散してなる溶融物を作製し、押し出し成形等によって、図4に示す第2積層シート18の上にシート状に押し出し、冷却することにより、図5に示すような、第1保護層28の上に第1電極層24を有し、第1電極層24の上に圧電体層20を形成してなる積層体12aを作製してもよい。
上述したように、圧電フィルム12において、高分子マトリックス40には、シアノエチル化PVA等の常温で粘弾性を有する高分子材料以外にも、PVDF等の誘電性高分子材料を添加しても良い。
高分子マトリックス40に、これらの誘電性高分子材料を添加する際には、上述した塗料に添加する誘電性高分子材料を溶解すればよい。または、上述のように加熱溶融した常温で粘弾性を有する高分子材料に、誘電性高分子材料を添加して加熱溶融すればよい。
圧電体層20を形成したら、必要に応じて、カレンダ処理を行ってもよい。カレンダ処理は、1回でもよく、複数回、行ってもよい。
周知のように、カレンダ処理とは、加熱プレスや加熱ローラ等によって、被処理面を加熱しつつ押圧して、平坦化等を施す処理である。
次いで、第2保護層30の上に第2電極層26を有し、第2電極層26の上に圧電体層20を形成してなる積層体12aの圧電体層20に、分極処理(ポーリング)を行う。圧電体層20の分極処理は、カレンダ処理の前に行ってもよいが、カレンダ処理を行った後に行うのが好ましい。
圧電体層20の分極処理の方法には制限はなく、公知の方法が利用可能である。例えば、分極処理を行う対象に、直接、直流電界を印加する、電界ポーリングが例示される。なお、電界ポーリングを行う場合には、分極処理の前に、第1電極層24を形成して、第1電極層24および第2電極層26を利用して、電界ポーリング処理を行ってもよい。
また、本発明の積層圧電素子10に用いる圧電フィルム12を製造する際には、分極処理は、圧電体層20の面方向ではなく、厚さ方向に分極を行うのが好ましい。
一方で、第1保護層28の上に第1電極層24が形成された第1積層シート16を準備する。
この第1積層シート16は、第2積層シート18と同様、第1保護層28の表面に、真空蒸着、スパッタリング、めっき等によって第1電極層24として銅薄膜等を形成して、作製すればよい。
次いで、図6に示すように、第1電極層24を圧電体層20に向けて、第1積層シート16を、圧電体層20の分極処理を終了した積層体12aに積層する。
さらに、この積層体12aと第1積層シート16との積層体を、第1保護層28と第2保護層30とを挟持するようにして、加熱プレス装置や加熱ローラ対等で熱圧着して、圧電フィルム12を作製する。
ここで、図2に示すように、圧電フィルム12は、第1積層シート16が圧電体層20から突出する第1突出部16aを有し、第2積層シート18が圧電体層20から突出する第2突出部18aを有する。
このような突出部を有する圧電フィルム12は、各種の方法で作製可能である。
一例として、第2突出部18aが形成された第2積層シート、および、第1突出部16aが形成された第1積層シート16を用意して、第2積層シート18の第2突出部18a以外の場所に、上述したように圧電体層20を形成し、この上に、第1積層シート16を積層して、積層シートが突出部を有する圧電フィルム12を作成する方法が例示される。
別の方法として、矩形の圧電フィルムを作製した後に、第1突出部16aおよび第2突出部18aを有する形状に切断し、第1突出部16aの位置に対応する圧電体層20および第2積層シート18を除去し、第2突出部18aの位置に対応する圧電体層20および第1積層シート16を除去することで、積層シートが突出部を有する圧電フィルム12を作製する方法も、利用可能である。
圧電体層20の除去は、剥離による除去、溶剤による溶解など、圧電体層20の形成材料に応じた公知の方法で行えばよい。積層シートの除去は、剥離による除去、切断など、積層シートの形成材料に応じた公知の方法で行えばよい。
圧電フィルム12において、第1積層シート16の第1突出部16aと、第2積層シート18の第2突出部18aとは、圧電フィルム12の法線方向から見た際に、離間しているのが好ましい。圧電フィルム12の法線方向とは、圧電フィルム12の主面と直交する方向である。
言い換えれば、第1積層シート16の第1突出部16aと、第2積層シート18の第2突出部18aとは、圧電フィルム12の主面と直交する方向から観察した際に、重複して見えないのが好ましい。
上述したように、第1積層シート16の第1突出部16aは第1電極層24が、第2積層シート18の第2突出部18aは第2電極層26が、共に、露出している。しかも、第1電極層24と第2電極層26とは、向き合っている。加えて、圧電体層20は、好ましい厚さが10~300μmと、非常に薄い。
従って、第1突出部16aと第2突出部18aとが面方向に重複していると、重力および外力等によって突出部が折れ曲がり、突出部の第1電極層24と第2電極層26とが接触して、ショート(短絡)してしまう可能性が有る。
これに対して、第1突出部16aと第2突出部18aとが、面方向に離間していることにより、突出部同士の電極層が接触することによるショートを、好適に防止できる。
上述したように、第1積層シート16の第1突出部16aには、第1引出配線34が貼着される。他方、第2積層シート18の第2突出部18aには、第2引出配線36が貼着される。
図7に、圧電フィルム12の突出部近傍を概念的に示す。
第1引出配線34および第2引出配線36は、共に、導電性貼着層50と導電層52との積層体である。
第1引出配線34および第2引出配線36は、好ましい一例として、長尺な矩形の部材すなわち帯状の部材である。なお、第1引出配線34および第2引出配線36は、帯状の部材に制限はされず、線材であってもよく、もしくは、複数の線材を並べたまたは束ねた部材であってもよい。
第1引出配線34は、一方の端部の導電性貼着層50を第1突出部16aの第1電極層24に貼着し、図中上方に折り返すようにして、他方の端部の導電性貼着層50を第1突出部16aの第1保護層28に貼着することで、第1突出部16aに貼着される。従って、折り返しの外側になる第1引出配線34の導電層52は、第1電極層24と電気的に接続される。
第2引出配線36は、一方の端部を導電性貼着層50を第2突出部18aの第2電極層26に貼着し、図中下方に折り返すようにして、他方の端部の導電性貼着層50を第2突出部18aの第2保護層30に貼着することで、第2突出部18aに貼着される。従って、折り返しの外側になる第2引出配線36の導電層52は、第2電極層26と電気的に接続される。
第1引出配線34および第2引出配線36において、導電性貼着層50には、制限はなく、公知の導電性を有するの貼着層が、各種、利用可能である。なお、導電性貼着層50は、後述する接着剤からなる層でも、粘着剤からなる層でも、両者の特性を有する材料からなる層でもよい。
導電性貼着層50としては、一例として、粘着剤に金属粒子を分散してなる粘着シート、導電性銅箔粘着テープおよび導電性アルミ箔粘着テープなどの公知の導電性の粘着シート、ならびに、公知の接着シート等が利用可能である。
導電性貼着層50は、市販品も好適に利用可能である。
導電性貼着層50の厚さにも、制限はなく、形成材料等に応じて、十分な可撓性、導電性および貼着力が得られる厚さを、適宜、設定すれば良い。
導電性貼着層50の厚さは、5~500μmが好ましく、15~300μmがより好ましく、20~100μmがさらに好ましい。
第1引出配線34および第2引出配線36において、導電層52にも、制限はなく、公知の導電性材料からなるものが、各種、利用可能である。
導電層52としては、上述した電極層で例示した各種の材料からなるシート状物、層および線材等が例示される。
導電層52の厚さにも、制限はなく、形成材料等に応じて、十分な可撓性および導電性が得られる厚さを、適宜、設定すれば良い。
導電層52の厚さは、10~750μmが好ましく、20~500μmがより好ましく、30~300μmがさらに好ましい。
第1引出配線34および第2引出配線36の作製方法には、制限はない。
一例として、導電性貼着層50が有する貼着力によって、導電性貼着層50に導電層52を貼着することで、第1引出配線34および第2引出配線36を作製する方法が例示される。
一面が貼着面となっている導電性貼着層50の非貼着面に、上述した第1電極層24等の形成方法と同様にして、導電層52を形成することで、第1引出配線34および第2引出配線36を作製してもよい。
一面が貼着面となっている導電性貼着層50の非貼着面に、導電性の接着剤で導電層52を貼着することで、第1引出配線34および第2引出配線36を作製してもよい。
なお、第1引出配線34および第2引出配線36は、導電性貼着層50と導電層52との積層体に制限はされない。
例えば、第1引出配線34および/または第2引出配線36は、粘着剤に金属粒子等を分散して成型した導電性の粘着シートのように、1層のシート状物であってもよい。また、第1引出配線34および/または第2引出配線36を導電層52のみで形成し、導電性ペースト等で引出配線の一端と突出部の電極層とを貼着して電気的に接続し、貼着剤(接着剤、粘着剤)によって、引出配線の他端と突出部の保護層とを貼着してもよい。
第1引出配線34および第2引出配線36の長さにも、制限はない。
第1引出配線34および第2引出配線36の長さは、複数の圧電フィルム12を積層した際に、後述する図11に示すように、全ての圧電フィルム12の第1引出配線34同士および第2引出配線36同士が接触できる長さを、圧電フィルム12の厚さ、圧電フィルムの積層数、各圧電フィルム12の第1積層シート16の第1突出部16aの位置、および、各圧電フィルム12の第2積層シート18の第2突出部18aの位置等に応じて、適宜、設定すればよい。
第1引出配線34および第2引出配線36の長さは、製品の大きさおよび使用する環境等によって異なるため、制限はないが、製品の厚さおよび硬さを考慮すると、5mm以上が好ましく、20~100mmがより好ましく、抵抗値の増加や使いやすさを考慮すると、30~50mmがさらに好ましい。なお、この長さは、第1引出配線34および第2引出配線36を折り返さない状態での長さである。
第1引出配線34および第2引出配線36は、必用に応じて、図8に概念的に示すように、導電性貼着層50同士を貼着してもよい。
また、第1引出配線34および第2引出配線36は、必用に応じて、図9に概念的に示すように、折り返した引出配線の間に、コアとなる芯材Cを挟んでもよい。芯材Cの形成材料には、制限はないが、一例として、PET、PC、ポリオキシメチレン(POM)、PS、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、PI、および、PP等が例示される。芯材Cの厚さにも、制限はなく、第1引出配線34および第2引出配線36の長さ等に応じて、適宜、設定すればよい。
上述のように、第1積層シート16および第2積層シート18は、非常に薄い。そのため、第1積層シート16の第1突出部16aが自重および外力等によって折れ曲がると、第1突出部16aの第1電極層24が、第2電極層26に接触して、ショートする可能性がある。同様に、第2積層シート18の第2突出部18aの第2電極層26も、第1電極層24に接触して、ショートする可能性がある。
この不都合を解消するために、図10に第1積層シート16側を例示して示すように、第1積層シート16の第1突出部16aに対応する位置に、例えば、第1積層シート16と圧電体層20との間から、第2積層シート18に向かうように、絶縁シート46を設けるのが好ましい。このような絶縁シート46を有することにより、第1積層シート16の第1突出部16aが折れ曲がって、第1突出部16aの第1電極層24が第2電極層26に接触してショートすることを防止できる。この点に関しては、第2積層シート18の第2突出部18aも同様である。
絶縁シート46は、第1積層シート16の第1突出部16aのみに対応して設けてもよく、第2積層シート18の第2突出部18aのみに対応して設けてもよく、第1突出部16aおよび第2突出部18aの両者に対応して設けてもよい。
絶縁シート46の長さには制限はなく、圧電フィルム12の厚さ等に応じて、適宜、設定すればよい。
第1積層シート16を例示して説明すると、絶縁シート46は、圧電体層20から突出する部分の長さをL1、圧電体層20と第2積層シート18との厚さの合計をL2とすると、『L1>L2』を満たす長さとするのが好ましい。
図1に示すように、本発明の積層圧電素子は、このような圧電フィルム12を、複数層、積層したものである。図示例の積層圧電素子10は、3枚の圧電フィルム12を積層している。
このような積層圧電素子は、特許文献1にも示されるように、各圧電フィルム毎に、駆動用の外部電源などの外部装置と接続するために、電極層に配線を接続する必要がある。しかしながら、圧電フィルムを積層した積層圧電素子において、各圧電フィルムの電極層に、簡易に配線を雪像する方法は、知られていない。
ここで、圧電フィルムを積層した積層圧電素子において、各圧電フィルムの電極層への配線は、同じ極性の電極層毎にまとめて接続するのが好ましい。
しかしながら、圧電体層20の両側に、第1電極層24および第1保護層28を有する第1積層シート16と、第2電極層26および第2保護層30を有する第2積層シート18とを、電極層を対面して設けた圧電フィルム12を積層すると、同極の電極層の間には、保護層が存在するため、同じ極性の電極層に対して、まとめて配線を接続することが困難になる。
これに対して、本発明の積層圧電素子10は、圧電フィルム12の第1積層シート16が第1突出部16aを有する。さらに、圧電フィルム12は、一端を導電性貼着層50を第1突出部16aの第1電極層24に貼着し、折り返して、他端を導電性貼着層50を第1突出部16aの第1保護層28に貼着する、導電性貼着層50と導電層52との積層体である、帯状の第1引出配線34を有する。
また、圧電フィルム12の第2積層シート18が第2突出部18aを有する。さらに、圧電フィルム12は、一端を導電性貼着層50を第2突出部18aの第2電極層26に貼着し、折り返して、他端を導電性貼着層50を第2突出部18aの第2保護層30に貼着する、導電性貼着層50と導電層52との積層体である、帯状の第2引出配線36を有する。
加えて、本発明の積層圧電素子10において、各圧電フィルム12の第1電極層24は、同じ極性である。従って、各圧電フィルム12の第2電極層26も、第1電極層24とは逆極性の同じ極性である。
上述のように、折り返しの外側になる第1引出配線34の導電層52は、第1電極層24と電気的に接続される。同様に、折り返しの外側になる第2引出配線36の導電層52は、第2電極層26と電気的に接続される。
そのため、本発明の積層圧電素子10は、図11に概念的に示すように、複数(図示例では3枚)の圧電フィルム12を積層した後、全ての圧電フィルム12の第1引出配線34を接触してまとめることで、全ての圧電フィルム12の第1電極層24からの配線を1つにまとめることができる。同様に、圧電フィルム12を積層した後、全ての圧電フィルム12の第2引出配線36を接触してまとめることで、全ての圧電フィルム12の第2電極層26からの配線を1つにまとめることができる。
従って、いずれかの第1引出配線34、および、いずれかの第2引出配線36を、電源に接続することで、積層圧電素子10を構成する全ての圧電フィルム12に、電源等の外部装置を接続できる。すなわち、本発明によれば、複数の圧電フィルム12を積層した積層圧電素子10において、簡易に、全ての圧電フィルム12に電源等の外部装置を接続できる。
しかも、本発明の積層圧電素子10では、各圧電フィルム12が並列に電源に接続される。従って、全ての圧電フィルム12の駆動を均一にでき、例えば、後述するエキサイターとして用いた際に、高効率な電気音響変換を行うことが可能になる。
本発明の積層圧電素子10は、法線方向から見た際に、各圧電フィルム12の第1引出配線34が、離間して見えてもよく、少なくとも一部が重複して見えてもよい。すなわち、本発明の積層圧電素子10において、各圧電フィルム12の第1引出配線34は、面方向で離間していても、面方向で少なくとも一部が重複していてもよい。
積層圧電素子10の法線方向とは、積層圧電素子10の主面と直交する方向である。積層圧電素子10の面方向とは、積層圧電体10の主面の面方向である。また、積層圧電素子10の主面とは、すなわち、圧電フィルム12の積層体の主面である。
本発明の積層圧電素子10においては、法線方向から見た際に、各圧電フィルム12の第1引出配線34の一部が重複して見えるのが好ましく、面積率で、各圧電フィルム12の第1引出配線34の30%以上が重複して見えるのがより好ましく、各圧電フィルム12の第1引出配線34の50%以上が重複して見えるのがさらに好ましく、全ての圧電フィルム12の第1引出配線34が完全に重複して見えるのが特に好ましい。
言い換えれば、本発明の積層圧電素子10は、各圧電フィルム12の第1引出配線34が面方向で重複する部分を有するのが好ましく、各圧電フィルム12の第1引出配線34の30%以上が面方向で重複する部分を有するのがより好ましく、各圧電フィルム12の第1引出配線34の50%以上が面方向で重複する部分を有するのがさらに好ましく、各圧電フィルム12の第1引出配線34が完全に面方向で重複するのが特に好ましい。
この点に関しては、第2引出配線36も同様である。
このような構成を有することにより、圧電フィルム12を積層しただけで、例えば自重によって、全ての圧電フィルム12の第1引出配線34同士、および、第2引出配線36同士が、接触する。
本発明の積層圧電素子10においては、接触した第1引出配線34同士、および、接触した第2引出配線36同士を、接着してもよい。
接着方法には、制限はなく、各引出配線同士の導電性を維持できる接着方法が、各種、利用可能である。
一例として、金属ペーストを用いる方法、導電性接着剤を用いる方法、および、接着テープを用いる方法等が例示される。
金属ペーストとしては、銀、銅および金などの金属粒子を、エポキシ樹脂、ポリイミドなどの熱硬化性樹脂からなるバインダに分散してなる金属ペースト、同様の金属粒子をアクリル樹脂などの室温程度で硬化する樹脂からなるバインダに分散してなる金属ペースト、ならびに、錯体金属により金属単体で熱硬化する金属ペースト等が例示される。
図1に示すように、図示例の積層圧電素子10は、好ましい態様として、複数層の圧電フィルム12を積層し、隣接する圧電フィルム12を貼着層14で貼着した構成を有する。図示例では、3層の圧電フィルム12を積層し、隣接する圧電フィルム12を貼着層14で貼着した構成を有する。
本発明において、貼着層14は、隣接する圧電フィルム12を貼着可能であれば、公知のものが、各種、利用可能である。
従って、貼着層14は、貼り合わせる際には流動性を有し、その後、固体になる、接着剤からなる層でも、貼り合わせる際にゲル状(ゴム状)の柔らかい固体で、その後もゲル状の状態が変化しない、粘着剤からなる層でも、接着剤と粘着剤との両方の特徴を持った材料からなる層でもよい。
ここで、本発明の積層圧電素子10は、積層した複数枚の圧電フィルム12を伸縮させることで、例えば、後述するように振動板56を振動させて、音を発生させる。従って、本発明の積層圧電素子10は、各圧電フィルム12の伸縮が、直接的に伝達されるのが好ましい。圧電フィルム12の間に、振動を緩和するような粘性を有する物質が存在すると、圧電フィルム12の伸縮のエネルギの伝達効率が低くなってしまい、積層圧電素子10の駆動効率が低下してしまう。
この点を考慮すると、貼着層14は、粘着剤からなる粘着剤層よりも、固体で硬い貼着層14が得られる、接着剤からなる接着剤層であるのが好ましい。より好ましい貼着層14としては、具体的には、ポリエステル系接着剤およびスチレン・ブタジエンゴム(SBR)系接着剤等の熱可塑タイプの接着剤からなる貼着層が好適に例示される。
接着は、粘着とは異なり、高い接着温度を求める際に有用である。また、熱可塑タイプの接着剤は『比較的低温、短時間、および、強接着』を兼ね備えており、好適である。
本発明の積層圧電素子10において、貼着層14の厚さには制限はなく、貼着層14の形成材料に応じて、十分な貼着力(接着力、粘着力)を発現できる厚さを、適宜、設定すればよい。
ここで、本発明の積層圧電素子10は、貼着層14が薄い方が、圧電体層20の伸縮エネルギ(振動エネルギ)の伝達効果を高くして、エネルギ効率を高くできる。また、貼着層14が厚く剛性が高いと、圧電フィルム12の伸縮を拘束する可能性もある。
この点を考慮すると、貼着層14は、圧電体層20よりも薄いのが好ましい。すなわち、本発明の積層圧電素子10において、貼着層14は、硬く、薄いのが好ましい。
具体的には、貼着層14の厚さは、貼着後の厚さで0.1~100μmが好ましく、10~75μmがより好ましく、25~50μmがさらに好ましい。
なお、本発明の積層圧電素子において、貼着層14は、好ましい態様として設けられるものであり、必須の構成要素ではない。
従って、本発明の積層圧電素子は、貼着層14を有さず、公知の圧着手段、締結手段、および、固定手段等を用いて、積層圧電素子を構成する圧電フィルム12を積層して、密着させて、積層圧電素子を構成してもよい。
しかしながら、この構成では、電源から駆動電圧を印加した際に、個々の圧電フィルム12が独立して伸縮する。その結果、この構成では、積層圧電素子としての駆動効率が低下してしまい、積層圧電素子全体としての伸縮が小さくなって、当接した振動板等を十分に振動させられなくなってしまう可能性がある。特に、各圧電フィルム12が逆方向に撓んで空隙ができてしまうと、積層圧電素子全体としての伸縮は非常に小さくなる。
この点を考慮すると、本発明の積層圧電素子は、図示例の積層圧電素子10のように、隣接する圧電フィルム12同士を貼着する貼着層14を有するのが好ましい。
このような本発明の積層圧電素子10は、一例として、図12に概念的に示すように、貼着層58によって振動板56に接着されて、振動板56から音を発生するための、エキサイターとして用いられる。
本発明の積層圧電素子を電気音響変換器において、積層圧電素子10と振動板56とを貼着する貼着層58には、制限はなく、公知の各種の粘着剤および接着剤が利用可能である。一例として、上述した貼着層14と同様のものが例示される。
本発明の積層圧電素子を用いる電気音響変換器において、振動板56にも、制限はなく、各種の物品が利用可能である。
振動板56としては、一例として、樹脂製の板およびガラス板等の板材、看板などの広告・告知媒体、テーブル、ホワイトボードおよび投映用スクリーン等のオフィス機器および家具、有機エレクトロルミネセンス(OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイおよび液晶ディスプレイ等の表示デバイス、コンソール、Aピラー、天井およびバンパー等自動車などの車両の部材、ならびに、住宅の壁などの建材等が例示される。
以上、本発明の積層圧電素子について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
各種の部材に当接して音を発生させるエキサイター等として、好適に利用可能である。
10 積層圧電素子
12 圧電フィルム
12a 積層体
14,58 貼着層
16 第1積層シート
16a 第1突出部
18 第2積層シート
18a 第2突出部
24 第1電極層
26 第2電極層
28 第1保護層
30 第2保護層
34 第1引出配線
36 第2引出配線
40 高分子マトリックス
42 圧電体粒子
46 絶縁シート
50 導電性貼着層
52 導電層
56 振動板

Claims (9)

  1. 複数の圧電フィルムを積層した積層圧電素子であって、
    前記圧電フィルムは、圧電体層と、第1電極層および絶縁性の第1保護層を積層した第1積層シートと、第2電極層および絶縁性の第2保護層を積層した第2積層シートとを有し、前記第1電極層と前記第2電極層とを対面した前記第1積層シートと前記第2積層シートとの間に、前記圧電体層が位置するものであり、
    前記第1積層シートは、前記圧電体層から突出する第1突出部を有し、前記第2積層シートは、前記圧電体層から突出する第2突出部を有し、
    前記第1突出部には、前記第1電極層の表面から前記第1保護層の表面に至るように、導電性を備える第1引出配線の一端が前記第1電極層の表面に接続され、他端が前記第1保護層に貼着され、前記第2突出部には、前記第2電極層の表面から前記第2保護層の表面に至るように、導電性を備える第2引出配線の一端が前記第2電極層の表面に接続され、他端が前記第2保護層に貼着され、
    複数の前記圧電フィルムにおいて、前記第1電極層は全て同じ極性の電極であり、また、前記第2電極層は全て同じ極性の電極であり、前記第1引出配線が接触することで前記第1電極層同士を接続し、前記第2引出配線が接触することで前記第2電極層同士を接続するものであり、さらに、
    隣接する前記圧電フィルムを貼着する貼着層を有する、積層圧電素子。
  2. 積層された複数の前記圧電フィルムを、前記圧電フィルムの積層体の法線方向から見た際に、前記第1引出配線が重複し、かつ、前記第2引出配線が重複する、請求項1に記載の積層圧電素子。
  3. 前記貼着層が、熱可塑タイプの接着剤からなる貼着層である、請求項1または2に記載の積層圧電素子。
  4. 前記貼着層の厚さが、前記圧電体層の厚さよりも薄い、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層圧電素子。
  5. 前記第1引出配線および前記第2引出配線は、導電性貼着層と導電層とを積層した積層体であり、
    前記第1引出配線は、前記導電性貼着層が前記第1電極層の表面と前記第1保護層の表面とに貼着し、前記第2引出配線は、前記導電性貼着層が前記第2電極層の表面と前記第2保護層の表面とに貼着する、請求項1~のいずれか1項に記載の積層圧電素子。
  6. 前記圧電フィルムは、圧電特性に面内異方性がない、請求項1~のいずれか1項に記載の積層圧電素子。
  7. 前記圧電体層は、高分子材料と圧電体粒子とを有する高分子複合圧電体である、請求項1~のいずれか1項に記載の積層圧電素子。
  8. 前記高分子材料がシアノエチル基を有する、請求項に記載の積層圧電素子。
  9. 前記高分子材料がシアノエチル化ポリビニルアルコールである、請求項に記載の積層圧電素子。
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