JP7331972B1 - 異常判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両を検査する前に差動装置の異常を把握する。【解決手段】異常判定装置2は、車両の左駆動輪及び右駆動輪に駆動力を振り分けて伝える差動装置に駆動力を入力するプロペラシャフトの入力回転数を車両の走行中に取得する入力回転数取得部221と、左駆動輪の左駆動輪回転数及び右駆動輪の右駆動輪回転数を、入力回転数取得部221が入力回転数を取得する時機と同じ時機に取得する駆動輪回転数取得部222と、差動装置のギヤ比に対する入力回転数の割合と、左駆動輪回転数及び右駆動輪回転数の平均値との差が所定値以上の場合、差動装置14に異常があると判定する異常判定部223と、を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、車両の差動装置の異常の有無を判定する異常判定装置に関する。
車両の左右の駆動輪に駆動力を振り分けて伝える差動装置の異常の有無を判定する技術が知られている。特許文献1には、車両を検査装置に載置して左右の駆動輪を空転させた場合に左右の駆動輪の空転速度差が所定値以上であるとき、差動装置に異常があると判定する技術が開示されている。
特開2002-340743号公報
しかし、特許文献1の技術では、異常の有無を判定するためには車両を検査装置に載置して空転速度差を検査する必要があるので、検査するまで差動装置に異常があるかどうかわからなかった。
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、車両を検査する前に差動装置の異常を把握することを目的とする。
本発明の一の態様においては、車両の左駆動輪及び右駆動輪に駆動力を振り分けて伝える差動装置に前記駆動力を入力するプロペラシャフトの入力回転数を前記車両の走行中に取得する入力回転数取得部と、前記左駆動輪の左駆動輪回転数及び前記右駆動輪の右駆動輪回転数を、前記入力回転数取得部が前記入力回転数を取得する時機と同じ時機に取得する駆動輪回転数取得部と、前記差動装置のギヤ比に対する前記入力回転数の割合と、前記左駆動輪回転数及び前記右駆動輪回転数の平均値との差が所定値以上の場合、前記差動装置に異常があると判定する異常判定部と、を有する異常判定装置を提供する。
前記異常判定部は、前記車両が直進している場合に、前記左駆動輪回転数と前記右駆動輪回転数との回転数差が所定回転閾値未満であり、かつ前記割合と前記平均値との差が前記所定値以上であるとき、前記差動装置に異常があると判定してもよい。
前記異常判定部は、前記車両が旋回している場合に、前記左駆動輪回転数と前記右駆動輪回転数との回転数差が所定回転閾値以上であり、かつ前記割合と前記平均値との差が前記所定値以上であるとき、前記差動装置に異常があると判定してもよい。
前記異常判定部は、前記車両が旋回している場合に、前記回転数差が前記所定回転閾値以上であり、かつ前記差動装置が駆動力を均等に振り分けるように固定するロック機構が作動しておらず、かつ前記割合と前記平均値との差が前記所定値以上であるとき、前記差動装置に異常があると判定してもよい。
前記異常判定部は、前記車両が旋回している場合に、前記回転数差が前記所定回転閾値未満であり、かつ前記差動装置が駆動力を均等に振り分けるように固定するロック機構が作動しており、かつ前記割合と前記平均値との差が前記所定値以上であるとき、前記差動装置に異常があると判定してもよい。
前記差動装置は、前記プロペラシャフトの先端に設けられたピニオンギヤ、前記ピニオンギヤと噛合しているリングギヤ、前記リングギヤに設けられたデフケース、一方が前記左駆動輪に連結された左ドライブシャフトにスプライン結合され、他方が前記右駆動輪に連結された右ドライブシャフトにスプライン結合されており、前記デフケースに軸支されている一対のサイドギヤ、及び前記デフケースのシャフトに軸支され前記一対のサイドギヤそれぞれに噛合している2つのデフギヤを含み、前記異常判定部は、前記割合と前記平均値との差が前記所定値以上である場合、前記ピニオンギヤ、前記リングギヤ、前記サイドギヤ、前記デフギヤの異常及び前記デフケースの破損の少なくともいずれかが生じていると判定してもよい。
本発明によれば、車両を検査する前に差動装置の異常を把握できるという効果を奏する。
実施の形態に係る異常判定装置が搭載された車両の構成を示す模式図である。 差動装置の模式図である。 異常判定装置の構成を示す模式図である。 異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
[異常判定装置2構成]
実施の形態に係る異常判定装置について、図1、図2及び図3を参照しながら説明する。図1は、実施の形態に係る異常判定装置2が搭載された車両1の構成を示す模式図である。図2は、差動装置14の模式図である。図3は、異常判定装置2の構成を示す模式図である。
車両1は、例えばトラックであるが、バス及び乗用車等であってもよい。車両1には、エンジン12、差動装置14及び異常判定装置2が搭載されている。車両1は、エンジン12に替えて駆動力を発生させるモータを搭載していてもよい。車両1の駆動方式は、駆動力を発生させるエンジン12が車両1の前側に配置され、左駆動輪111及び右駆動輪112が車両1の後側に配置されたFR(フロントエンジン・リアドライブ)方式である。車両1の駆動方式は、FRに限らず、エンジン12が車両1の後側に配置され、左駆動輪111及び右駆動輪112が車両1の前側に配置されたRF(リアエンジン・フロントドライブ)方式であってもよい。
エンジン12は、例えばディーゼルエンジンであるが、ガソリンエンジンでもよい。エンジン12には、エンジン12の出力軸の回転数を検知するエンジン回転センサ121が設けられている。エンジン12は、エンジン12の出力軸に連結されたトランスミッション(不図示)を介してプロペラシャフト13に接続されている。トランスミッションは、エンジン12の出力軸の駆動力及び回転数を変換してプロペラシャフト13に伝達する。
差動装置14は、エンジン12からの動力が伝達されるプロペラシャフト13に接続されている。差動装置14には左ドライブシャフト151及び右ドライブシャフト152が接続されている。左ドライブシャフト151の先端には左駆動輪111が取り付けられ、右ドライブシャフト152の先端には右駆動輪112が取り付けられている。
エンジン12からの動力は、プロペラシャフト13に伝達された後、差動装置14を介して左ドライブシャフト151から左駆動輪111へ、右ドライブシャフト152から右駆動輪112へと伝達される。差動装置14は、左駆動輪111及び右駆動輪112に駆動力を振り分けて伝える。差動装置14は、ピニオンギヤ141と、リングギヤ142と、デフケース143と、一対のサイドギヤ144及びサイドギヤ145、一対のデフギヤ146及びデフギヤ147とを含む(図2を参照)。
ピニオンギヤ141は、プロペラシャフト13の先端に設けられている。ピニオンギヤ141は、リングギヤ142と噛合している。リングギヤ142には、デフケース143が設けられている。デフケース143は、不図示のボルトによりデフケース143に固定されていてもよく、リングギヤ142とデフケース143とが一体形成されていてもよい。
デフケース143には、サイドギヤ144及びサイドギヤ145が軸支されている。サイドギヤ144は左ドライブシャフト151とスプライン結合されている。サイドギヤ145は右ドライブシャフト152とスプライン結合されている。
サイドギヤ144及びサイドギヤ145は、デフギヤ146及びデフギヤ147と噛合している。デフギヤ146及びデフギヤ147は、デフケース143に固定されたシャフトに軸支されている。
エンジン12の駆動力が左駆動輪111及び112に伝達される際に、ピニオンギヤ141が回転するとリングギヤ142が回転し、リングギヤ142の回転に伴ってデフケース143が回転する。デフケース143が回転するときにデフギヤ146及びデフギヤ147が不均等に回転すると、デフギヤ146及びデフギヤ147に歯合するサイドギヤ144及びサイドギヤ145それぞれが不均等に回転する。これにより、差動装置14は、左ドライブシャフト151及び右ドライブシャフト152の差動回転を吸収し、必要に応じて左ドライブシャフト151及び右ドライブシャフト152の回転数に差を設けながら駆動力を伝達できる。
ロック機構18は、差動装置14が左駆動輪111及び右駆動輪112に駆動力を均等に振り分けるように固定する。ロック機構18は、デフケース143と右ドライブシャフト152との間に配設されている。ロック機構18はドッグクラッチによって構成されている。具体的には、ロック機構18は、ドッグ歯181と、ドッグ歯182と、クラッチスリーブ(不図示)を備える。ドッグ歯181は、デフケース143の端部に設けられている。ドッグ歯182は、ドッグ歯181と対向するように設けられている。クラッチスリーブは、ドッグ歯182に対してドッグ歯181の反対側に設けられ、右ドライブシャフト152の軸方向に摺動自在にスプライン嵌合されている。
クラッチスリーブは、アクチュエータ(不図示)により右ドライブシャフト152の軸方向に摺動する。クラッチスリーブがデフケース143側に摺動すると、デフケース143の端部に設けられたドッグ歯181にドッグ歯182が噛み合う。ドッグ歯181にドッグ歯182が噛み合うと、デフケース143(つまりリングギヤ142)の回転に伴って右ドライブシャフト152が回転する。これにより、デフギヤ146及びデフギヤ147が均等に回転するので、左ドライブシャフト151と右ドライブシャフト152が均等に回転する。その結果、差動装置14が左駆動輪111及び右駆動輪112に駆動力を均等に振り分けるようになる。クラッチスリーブが右ドライブシャフト152側(つまり右駆動輪112側)に摺動すると、デフケース143の端部に設けられたドッグ歯181とドッグ歯182が噛み合わなくなる。これにより、左ドライブシャフト151と右ドライブシャフト152の連結が解除されて差動装置14が差を設けながら駆動力を左駆動輪111及び右駆動輪112に伝達するようになる。
左駆動輪回転センサ161は、左駆動輪111の左駆動輪回転数を検知するセンサである(図1を参照)。例えば、左駆動輪回転センサ161は、左駆動輪111の回転を物理量の変化として検知するセンサである。左駆動輪回転センサ161は、左駆動輪111に取り付けられた永久磁石が作り出す磁界分布の変化を読み取る磁気式センサであるが、これに限定するものではない。なお、左駆動輪111は、左ドライブシャフト151に連結されているので、左駆動輪回転センサ161が検知した左駆動輪回転数は、左ドライブシャフト151の回転数に等しい。
右駆動輪回転センサ162は、右駆動輪112の右駆動輪回転数を検知するセンサである。右駆動輪回転センサ162は、左駆動輪回転センサ161と同じセンサを用いればよいが、左駆動輪回転センサ161と異なる方式のセンサを用いてもよい。なお、右駆動輪112は、右ドライブシャフト152に連結されているので、右駆動輪回転センサ162が検知した右駆動輪回転数は、右ドライブシャフト152の回転数に等しい。
左従動輪171及び右従動輪172は、駆動力が伝達されない車輪である。左従動輪171及び右従動輪172それぞれには、左従動輪171及び右従動輪172それぞれの回転数を検知する従動輪回転検知センサが設けられている。従動輪回転検知センサは、左駆動輪回転センサ161と同じセンサを用いればよいが、左駆動輪回転センサ161と異なる方式のセンサを用いてもよい。
異常判定装置2は、記憶部21と制御部22を有する(図3を参照)。記憶部21は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等を含む記憶媒体である。記憶部21は、制御部22が実行するプログラムを記憶する。
制御部22は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部22は、記憶部21に記憶されたプログラムを実行することにより、入力回転数取得部221、駆動輪回転数取得部222、異常判定部223及び報知制御部224としての機能を実現する。
入力回転数取得部221は、差動装置14に駆動力を入力するプロペラシャフト13の入力回転数を車両1の走行中に取得する。例えば、入力回転数取得部221は、エンジン12の回転数を検知するエンジン回転センサ121が検知したエンジン回転数と、トランスミッションのギヤ段と、車両1の車速に基づいて入力回転数を算出する。また、入力回転数取得部221は、プロペラシャフト13の回転数を検知するセンサが検知した入力回転数を取得してもよい。入力回転数取得部221は、車両1が走行中、所定間隔(例えば100ミリ秒)毎に入力回転数を取得する。
駆動輪回転数取得部222は、左駆動輪回転数及び右駆動輪回転数を取得する。具体的には、駆動輪回転数取得部222は、左駆動輪回転センサ161が検知した左駆動輪回転数と、右駆動輪回転センサ162が検知した右駆動輪回転数を取得する。また、駆動輪回転数取得部222は、左駆動輪回転数及び右駆動輪回転数を、入力回転数取得部221が入力回転数を取得する時機と同じ時機に取得する。具体的には、駆動輪回転数取得部222は、入力回転数取得部221が入力回転数を取得する時刻と同じ時刻に左駆動輪回転数及び右駆動輪回転数を取得する。
差動装置14に異常が無く正常に機能している場合、プロペラシャフト13の回転に伴って左ドライブシャフト151及び右ドライブシャフト152が回転するので、プロペラシャフト13の入力回転数と左駆動輪111及び右駆動輪112の回転数とは相関関係がある。具体的には、車両1が直進中か旋回中かにかかわらず、差動装置14のギヤ比に対する入力回転数の割合と、左駆動輪回転数及び右駆動輪回転数の平均値とは略一致する。言い換えると、割合と平均値の差は、回転センサの検知精度や各ギヤのバックラッシュ、摩耗状態の違いなどに基づく誤差の範囲内に収まる。
一方、差動装置14に異常が有り正常に機能していない場合、プロペラシャフト13の回転に左ドライブシャフト151及び右ドライブシャフト152の回転が追従しなくなる。例えば、ピニオンギヤ141及びリングギヤ142の少なくともいずれかのギヤ歯に歯欠けや破損(折損)が生じた場合、ピニオンギヤ141の回転数とリングギヤ142の回転数が一致しなくなる。そのため、差動装置14に異常がある場合、割合と平均値との差は、誤差の範囲内に収まらなくなる。
そこで、異常判定部223は、割合と平均値との差が誤差に基づく所定値以上か否かに基づき差動装置14に異常があるか否かを判定する。以下、異常判定部223が差動装置14の異常の有無を判定する処理を説明する。
異常判定部223は、差動装置14のギヤ比及び入力回転数に基づいて差動装置14に接続されたドライブシャフトの回転数を推定する。例えば、異常判定部223は、ドライブシャフトの回転数の推定値として差動装置14のギヤ比に対する入力回転数の割合を算出する。また、異常判定部223は、入力回転数に差動装置14のギヤ比を乗算することにより回転数の推定値を算出してもよい。差動装置14のギヤ比は、予め記憶部21に記憶されている。ギヤ比の具体的な値は、例えば5である。
異常判定部223は、左駆動輪回転数及び右駆動輪回転数の平均値を算出する。例えば、入力回転数取得部221が左駆動輪回転数として[410rpm]を右駆動輪回転数として[390rpm]を取得した場合、駆動輪回転数取得部222は、平均値として[400rpm]を算出する。
異常判定部223は、割合と平均値の差が所定値以上か否かを判定する。異常判定部223は、割合と平均値の差が所定値以上の場合、差動装置14に異常があると判定する。所定値は、入力回転数、左駆動輪回転数及び右駆動輪回転数の検知誤差や、各ギヤのバックラッシュ等を考慮して適宜定めればよい。また、異常判定部223は、入力回転数に応じて所定値を定めてもよく、例えば入力回転数の所定割合を所定値として定める。所定値の具体的な値は例えば5パーセントであり、入力回転数が[2000rpm]であれば所定値は100である。
具体例を挙げると、異常判定部223は、ギヤ比[5]に対する入力回転数[2000rpm]の割合[400rpm]と平均値との差が、[100rpm]以上であれば差動装置14に異常が有ると判定する。より具体的には、異常判定部223は、ピニオンギヤ141、リングギヤ142、デフケース143、サイドギヤ144、サイドギヤ145、デフギヤ146及びデフギヤ147の少なくともいずれかに異常が生じていると判定する。ピニオンギヤ141、リングギヤ142、サイドギヤ144、サイドギヤ145、デフギヤ146及びデフギヤ147の異常は、例えば破損(折損)、摩耗、腐食、変形、及びかみ合い歯面に異物が噛み込まれる異常である。デフケース143の異常は、例えばケースの破損である。
異常判定部223は、割合[400rpm]と平均値との差が[100rpm]未満であれば、差動装置14に異常が無く正常であると判定する。このように、異常判定部223は、車両1が走行中に差動装置14の異常の有無を判定できるので、車両1を検査する前に差動装置14の異常を把握できる。
異常判定部223は、左駆動輪回転数及び右駆動輪回転数の駆動輪回転数差に基づき、差動装置14の異常の有無を判定してもよい。この場合、まず、異常判定部223は、車両1が直進しているか旋回しているかを判定する。例えば、異常判定部223は、左従動輪171の左従動輪回転数及び右従動輪172の右従動輪回転数を取得し、左従動輪回転数と右従動輪回転数の差が閾値未満であれば直進中と判定し、左従動輪回転数と右従動輪回転数の差が閾値以上であれば旋回中と判定する。また、異常判定部223は、車両1の操舵角が直進角度範囲内であれば直進中と判定し、直進角度範囲外であれば旋回中と判定してもよい。直進角度範囲は適宜定めればよく例えばプラスマイナス1度である。
異常判定部223は、車両1が直進している場合に、駆動輪回転数差が所定回転閾値未満であり、かつ割合と平均値の差が所定値以上であるとき、差動装置14に異常があると判定する。回転閾値は、左駆動輪回転センサ161、右駆動輪回転センサ162の検知精度及びギヤのバックラッシュに基づき定まる。異常判定部223は、駆動輪回転数及び右駆動輪回転数の平均値に所定係数を乗算した値を回転閾値として定めてもよい。所定係数は、例えば0.05(5パーセント)である。具体例を挙げると、異常判定部223は、車両1の直進中に駆動輪回転数及び右駆動輪回転数の平均値が[400rpm]の場合、回転閾値を[20]と定める。
車両1の直進中に駆動輪回転数差が回転閾値[20]以上である場合、左ドライブシャフト151及び右ドライブシャフト152の少なくともいずれかに駆動力が正常に伝達されていないと考えられる。そのため、異常判定部223は、サイドギヤ144、サイドギヤ145、デフギヤ146及びデフギヤ147の少なくともいずれかに破損(折損)や摩耗が生じていると判定する。
異常判定部223は、車両1が旋回している場合に駆動輪回転数差が回転閾値以上であり、かつ割合と平均値の差が所定値以上であるとき、差動装置14に異常があると判定する。具体的には、異常判定部223は、車両1の旋回中に駆動輪回転数差が回転閾値以上の場合にロック機構18が作動しているか否かを判定する。具体的には、異常判定部223は、ロック機構18を作動させるためのスイッチがオンである、又はロック機構18を作動させる指示が出力されている場合、ロック機構18が作動していると判定する。
ロック機構18が作動している場合に駆動輪回転数差が回転閾値以上であれば、ロック機構18が正常に機能していないと考えられる。異常判定部223は、駆動輪回転数差が回転閾値以上の場合にロック機構18が作動中であれば、ロック機構18に異常があると判定する。ロック機構18の異常は、例えばドッグ歯181及びドッグ歯182の破損(折損)、摩耗、腐食、変形及びアクチュエータの動作不良である。
異常判定部223は、車両1の旋回中に駆動輪回転数差が回転閾値未満である場合に、ロック機構18が作動しているか否かを判定する。車両1の旋回中に駆動輪回転数差が所定回転閾値未満であり、かつロック機構18が作動していない場合、差動装置14が正常に機能していないので、異常判定部223は、差動装置14に異常があると判定する。具体的には、異常判定部223は、サイドギヤ144、サイドギヤ145、デフギヤ146及びデフギヤ147の少なくともいずれかで焼付きが生じたことにより差動装置14が正常に機能していないと判定する。
異常判定部223は、車両1の旋回中に駆動輪回転数差が回転閾値未満であり、ロック機構18が作動している場合、割合と平均値の差が所定値以上か否かを判定する。異常判定部223は、割合と平均値の差が所定値未満であれば差動装置14が正常であると判定し、割合と平均値の差が所定値以上であれば、差動装置14に異常があると判定する。
報知制御部224は、差動装置14に異常があることを報知部3に報知させる。報知部3は、例えば車両1のダッシュボードに設けられた各種の異常を報知するための複数のランプ(例えばLED(light-emitting diode))を含む。報知部3の複数のランプそれぞれは、複数の異常それぞれに一対一対応している。また、報知部3は、異常を報知するための音(音声)を出力スピーカー、及び異常を示す情報を表示するディスプレイを含んでいてもよい。具体的には、報知制御部224は、差動装置14に異常がある場合、報知部3の複数のLEDのうち差動装置14に異常を報知するためのランプを点灯させることにより差動装置14の異常を報知させる。
報知制御部224は、異常の詳細を報知してもよい。例えば、報知制御部224は、サイドギヤ144、サイドギヤ145、デフギヤ146及びデフギヤ147の少なくともいずれかに破損(折損)、摩耗、腐食及び変形の少なくともいずれかが生じていることを報知するためのLEDを点灯させる。また、報知制御部224は、ロック機構18が機能していないことを報知するためのLEDを点灯させることによりロック機構18の異常を報知する。報知制御部224は、サイドギヤ144、サイドギヤ145、デフギヤ146及びデフギヤ147の焼付きが生じたことを報知するためのLEDを点灯させることにより焼付きが生じたことを報知する。
このように、報知制御部224は、差動装置14に生じた各種異常を車両1の走行中に報知部3に報知させる。これにより、車両1のユーザは、車両1の走行中に差動装置14に生じた異常を把握できる。また、生じた異常に対応するランプを点灯させることにより、ユーザは、差動装置14のどこにどのような異常が生じているかを把握できる。その結果、例えば差動装置14に生じた異常を整備するために車両1を入庫する前に、整備に必要な部品の調達や整備の準備ができるようになるので、車両1の入庫期間を短くできる。
[異常判定装置2が実行する異常判定処理]
図4は、異常判定処理の一例を示すフローチャートである。図4のフローチャートは、車両1が走行している間、例えば100ミリ秒毎に実行される。
異常判定部223は、車両1が直進中か否かを判定する(ステップS1)。例えば、異常判定部223は、非駆動輪である左従動輪171(左前輪)の回転数である左従動輪回転数と、非駆動輪である右従動輪172(右前輪)の回転数である右従動輪回転数の非駆動輪回転数差に基づいて直進中か否かを判定する。具体的には、異常判定部223は、左従動輪回転数と右従動輪回転数の非駆動輪差が閾値未満であれば直進中と判定し、左従動輪回転数と右従動輪回転数の非駆動輪差が閾値以上であれば旋回中と判定する。
異常判定部223は、車両1が直進中である場合(ステップS1でYes)、左駆動輪111(左後輪)の左駆動輪回転数と右駆動輪112(右後輪)の右駆動輪回転数との駆動輪回転数差が回転閾値以上か否かを判定する(ステップS2)。異常判定部223は、駆動輪回転数差が回転閾値以上の場合(ステップS2でYes)、サイドギヤ144、サイドギヤ145、デフギヤ146及びデフギヤ147の少なくともいずれかに破損(折損)や摩耗が生じていると判定する(ステップS3)。
異常判定部223は、車両1が旋回中である場合(ステップS1でNo)、駆動輪回転数差が回転閾値以上か否かを判定する(ステップS4)。異常判定部223は、駆動輪回転数差が回転閾値以上である場合(ステップS4でYes)、ロック機構18が作動中か否かを判定する(ステップS5)。具体的には、異常判定部223は、ロック機構18を作動させるためのスイッチがオンである場合、ロック機構18が作動していると判定し、ロック機構18を作動させるためのスイッチがオフである場合、ロック機構18が作動していないと判定する。
異常判定部223は、ロック機構18が作動していない場合(ステップS5でNo)、ギヤ比に対する入力回転数の割合と、左駆動輪回転数及び右駆動輪回転数の平均値との差を算出する(ステップS6)。そして、異常判定部223は、割合と平均値の差が所定値以上か否かを判定する(ステップS7)。
異常判定部223は、割合と平均値の差が所定値未満であれば(ステップS7でNo)、差動装置14が正常であると判定する(ステップS8)。異常判定部223は、割合と平均値の差が所定値以上であれば(ステップS7でYes)、差動装置14に異常があると判定する(ステップS9)。具体的には、異常判定部223は、差動装置14に含まれるピニオンギヤ141、リングギヤ142、デフケース143、サイドギヤ144、サイドギヤ145、デフギヤ146及びデフギヤ147の少なくともいずれかに異常が生じていると判定する。
異常判定部223は、旋回中に駆動輪回転数差が所定値以上の場合にロック機構18が作動中であるとき(ステップS5でYes)、ロック機構18に異常があると判定する(ステップS10)。具体的には、異常判定部223は、ドッグ歯181及びドッグ歯182の破損(折損)、摩耗、腐食、変形及びアクチュエータの動作不良の少なくともいずれかにより、ロック機構18が作動していないと判定する。
異常判定部223は、旋回中に駆動輪回転数差が所定値以上の場合(ステップS4でNo)、ロック機構18が作動中か否かを判定する(ステップS11)。異常判定部223は、ロック機構18が作動中であれば(ステップS11でYes)、ステップS6に移行する。異常判定部223は、ロック機構18が作動していない場合(ステップS11でNo)、サイドギヤ144、サイドギヤ145、デフギヤ146及びデフギヤ147の少なくともいずれかで焼付きが生じていると判定する(ステップS12)。
(変形例)
車両1にロック機構18が設けられていない場合、異常判定部223は、ロック機構18が作動しているか否かを判定しない。また、この場合、異常判定部223は、図4のフローチャートのステップS5、ステップS10、ステップS11及びS12を省略する。
[異常判定装置2の効果]
以上説明したとおり、異常判定装置2は、車両1の走行中に、差動装置14のギヤ比に対する入力回転数の割合と、左駆動輪回転数及び右駆動輪回転数の平均値との差が所定値以上であれば差動装置14に異常があると判定する。これにより、異常判定装置2は、車両1の走行中に差動装置14の異常の有無を判定できるので、車両1のユーザが車両1の検査前に差動装置14の異常を把握できるようになる。そのため、差動装置14に生じた異常を整備するために車両1を入庫する前に、差動装置14の整備に必要な部品の調達や整備の準備ができるようになる。その結果、車両1の入庫後に差動装置14の異常の有無を判定する場合よりも車両1が入庫してから整備が完了して出庫するまでの期間を短くできる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
1 車両
111 左駆動輪
112 右駆動輪
12 エンジン
121 エンジン回転センサ
13 プロペラシャフト
14 差動装置
141 ピニオンギヤ
142 リングギヤ
143 デフケース
144 サイドギヤ
145 サイドギヤ
146 デフギヤ
147 デフギヤ
151 左ドライブシャフト
152 右ドライブシャフト
161 左駆動輪回転センサ
162 右駆動輪回転センサ
171 左従動輪
172 右従動輪
18 ロック機構
181 ドッグ歯
182 ドッグ歯
2 異常判定装置
21 記憶部
22 制御部
221 入力回転数取得部
222 駆動輪回転数取得部
223 異常判定部
224 報知制御部
3 報知部

Claims (6)

  1. 車両の左駆動輪及び右駆動輪に駆動力を振り分けて伝える差動装置に前記駆動力を入力するプロペラシャフトの入力回転数を前記車両の走行中に取得する入力回転数取得部と、
    前記左駆動輪の左駆動輪回転数及び前記右駆動輪の右駆動輪回転数を、前記入力回転数取得部が前記入力回転数を取得する時機と同じ時機に取得する駆動輪回転数取得部と、
    前記差動装置のギヤ比に対する前記入力回転数の割合と、前記左駆動輪回転数及び前記右駆動輪回転数の平均値との差が所定値以上の場合、前記差動装置に異常があると判定する異常判定部と、
    を有する異常判定装置。
  2. 前記異常判定部は、前記車両が直進している場合に、前記左駆動輪回転数と前記右駆動輪回転数との回転数差が所定回転閾値未満であり、かつ前記割合と前記平均値との差が前記所定値以上であるとき、前記差動装置に異常があると判定する、
    請求項1に記載の異常判定装置。
  3. 前記異常判定部は、前記車両が旋回している場合に、前記左駆動輪回転数と前記右駆動輪回転数との回転数差が所定回転閾値以上であり、かつ前記割合と前記平均値との差が前記所定値以上であるとき、前記差動装置に異常があると判定する、
    請求項1又は2に記載の異常判定装置。
  4. 前記異常判定部は、前記車両が旋回している場合に、前記回転数差が前記所定回転閾値以上であり、かつ前記差動装置が駆動力を均等に振り分けるように固定するロック機構が作動しておらず、かつ前記割合と前記平均値との差が前記所定値以上であるとき、前記差動装置に異常があると判定する、
    請求項3に記載の異常判定装置。
  5. 前記異常判定部は、前記車両が旋回している場合に、前記回転数差が前記所定回転閾値未満であり、かつ前記差動装置が駆動力を均等に振り分けるように固定するロック機構が作動しており、かつ前記割合と前記平均値との差が前記所定値以上であるとき、前記差動装置に異常があると判定する、
    請求項3又は4に記載の異常判定装置。
  6. 前記差動装置は、
    前記プロペラシャフトの先端に設けられたピニオンギヤ、
    前記ピニオンギヤと噛合しているリングギヤ、
    前記リングギヤに設けられたデフケース、
    一方が前記左駆動輪に連結された左ドライブシャフトにスプライン結合され、他方が前記右駆動輪に連結された右ドライブシャフトにスプライン結合されており、前記デフケースに軸支されている一対のサイドギヤ、及び
    前記デフケースのシャフトに軸支され前記一対のサイドギヤそれぞれに噛合している2つのデフギヤを含み、
    前記異常判定部は、前記割合と前記平均値との差が前記所定値以上である場合、前記ピニオンギヤ、前記リングギヤ、前記サイドギヤ、前記デフギヤの異常及び前記デフケースの破損の少なくともいずれかが生じていると判定する、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の異常判定装置。
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