JP7330022B2 - インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法に関する。
近年、インクジェットノズルから吐出した液状の光硬化性樹脂を硬化させ、積層して光造形するインクジェット方式による光造形法が提案されている。この光造形法を用いたインクジェット3Dプリンター用インクは、UV等の光硬化により成型体を構成するモデル材と、モデル材を立体的に積み上げる際の支持材として使用するサポート材とを含んでいる。サポート材の上にモデル材を積層することで、オーバーハング構造や中空構造を造形することが可能となる。
インクジェット方式による光造形法では、3Dプリンターで同時にモデル材とサポート材を吐出した後に光硬化して硬化物とし、この硬化物からサポート材の硬化物を除去することにより目的とする造形物を得る。造形物の造形精度を向上させるために、同時に吐出されたモデル材とサポート材の界面における分離性を高めることが求められている。
特許文献1には、インクジェット光造形法に用いられ、かつ、モデル材を造形するために使用されるモデル材用樹脂組成物と、サポート材を造形するために使用されるサポート材用樹脂組成物とを組み合わせてなる光造形用インクセットであって、前記モデル材用樹脂組成物の表面張力Mt(mN/m)が前記サポート材用樹脂組成物の表面張力St(mN/m)よりも大きく、かつ、前記表面張力Mt及び前記表面張力Stが0<Mt-St<5を満足する光造形用インクセットが記載されている。
インクジェット光造形法に用いられ、かつ、モデル材を造形するために使用されるモデル材用組成物と、サポート材を造形するために使用されるサポート材用組成物とを組み合わせてなる光造形用インクセットでは、モデル材とサポート材のより高い分離性が求められていた。
国際公開2017/047692号公報
従って、本発明の課題は、モデル材用光硬化性樹脂組成物とサポート材用光硬化性樹脂組成物とを含み、上記2つの光硬化性樹脂組成物の界面における分離性に優れ、且つ、上記サポート材用光硬化性樹脂組成物の硬化物が水溶性に優れ、成形性に優れた光硬化性樹脂組成物セット、それを用いた成形性に優れた光造形品ならびにその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットにおいて、モデル材用光硬化性樹脂組成物及びサポート材用光硬化性樹脂組成物の各表面張力とハンセン溶解度パラメーター距離とが所定の関係を満たすことにより、上記課題が解決できることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットは、非水溶性単量体(A)と光重合開始剤(B)とを含むモデル材用光硬化性樹脂組成物、及び、水溶性エチレン性不飽和単量体(C)と光重合開始剤(D)とを含むサポート材用光硬化性樹脂組成物を含む、インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットであって、該モデル材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γ(mN/m)と該サポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γ(mN/m)との差Δγ(γ-γ)と、ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)とが下記条件(1)又は(2)を満たす。
(1)HSPD≧(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
-0.79Δγ + 10.9 ≦ HSPD ≦ -0.79Δγ + 16.9
(2)HSPD<(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
Δγ<0, 且つ HSPD ≧ -0.67Δγ + 9.8
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物は、水を含有することが好ましい。
また、本発明の光造形品は、インクジェット光造形法により、上記の組成物セットを光硬化させてなる。
さらに、本発明の光造形品の製造方法は、インクジェット光造形法により、上記の組成物セットを光硬化させて硬化物を得る工程(I)、及び、該硬化物から、サポート材用光硬化性樹脂組成物が光硬化された硬化物を除去する工程(II)を含んでいる。
本発明のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法によれば、モデル材用光硬化性樹脂組成物とサポート材用光硬化性樹脂組成物との界面における分離性に優れ、且つ、上記サポート材用光硬化性樹脂組成物の硬化物が水溶性に優れ、成形性に優れた光硬化性樹脂組成物セット、ならびにそれを用いた成形性に優れた光造形品を提供できる。
モデル材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γ(mN/m)と該サポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γ(mN/m)との差Δγ(γ-γ)に対し、ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)の値をプロットしたグラフである。
[インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット]
本発明に係るインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット(以下、単に樹脂組成物セットという場合がある)は、非水溶性単量体(A)と光重合開始剤(B)とを含むモデル材用光硬化性樹脂組成物、及び、水溶性エチレン性不飽和単量体(C)と光重合開始剤(D)とを含むサポート材用光硬化性樹脂組成物を含んでいる。該モデル材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γ(mN/m)と該サポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γ(mN/m)との差Δγ(γ-γ)と、ハンセン溶解度パラメーター距離HSPDとが下記条件(1)又は(2)を満たす。
(1)HSPD≧(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
-0.79Δγ + 10.9 ≦ HSPD ≦ -0.79Δγ + 16.9
(2)HSPD<(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
Δγ<0, 且つ HSPD ≧ -0.67Δγ + 9.8
1.表面張力、ハンセン溶解度パラメーター
1-1 表面張力
モデル材用光硬化性樹脂組成物、及びサポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力は、例えば25℃における、測定開始から20秒後の値を動的表面張力計SITA(EKO 英弘精機株式会社)を用いて測定した値とすることができる。モデル材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γ(mN/m)とサポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γ(mN/m)は、上記条件(1)又は(2)を満たせば特に限定はされないが、インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点から、吐出温度での表面張力が25.0~35.0mN/mであることが好ましい。
1-2 ハンセン溶解度パラメーター
ハンセン溶解度パラメーターは、溶解性を多次元のベクトルで表したものであり、このベクトルは[δD:分散項(ファンデルワールスの力)、δP:極性項(ダイポール・モーメントの力)、δH:水素結合項]の3つのパラメーターで表される。モデル材用光硬化性樹脂組成物のベクトルの座標[δDm、δPm、δHm]とサポート材用光硬化性樹脂組成物のベクトルの座標[δDs、δPs、δHs]の間の2点間距離が、ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)であり、下記式で表される。
Figure 0007330022000001
また、混合物においては各組成のハンセン溶解度パラメーターの体積比で混成する決まりである。たとえば、
組成A([δD、δP、δH]、密度d(g/mL)、重量割合w(wt%))
組成B([δD、δP、δH]、密度d(g/mL)、重量割合w(wt%))
から成る混合物1のハンセン溶解度パラメーター[δD、δP、δH]は下記式で表される。
Figure 0007330022000002
ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)は、市販のハンセン溶解度パラメーター計算ソフトウェアを用いて求めることができる。
モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球は、モデル材用光硬化性樹脂組成物を溶解する溶媒と、溶解しない溶媒のハンセン溶解度パラメーターを3次元空間にプロットして得られるものである。このハンセン溶解球の半径が、ハンセン溶解球半径である。上記条件(1)、(2)における、「モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径」は、本発明のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットに含まれるモデル材用光硬化性樹脂組成物について溶解性試験を行って求め、そのハンセン溶解球の半径として、ハンセン溶解球半径R(MPa1/2)を求める。ハンセン溶解球半径R(MPa1/2)は、市販のハンセン溶解度パラメーター計算ソフトウェアを用いて求めることができる。
2.モデル材用光硬化性樹脂組成物
本発明に係るインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットに含まれるモデル材用光硬化性樹脂組成物(以下、単にモデル材用樹脂組成物という場合がある)は、非水溶性単量体(A)と光重合開始剤(B)とを含んでいる。上記モデル材用光硬化性樹脂組成物は、非水溶性単量体(A)以外の単量体を含んでいても良い。
2-1 非水溶性単量体(A)
上記モデル材用光硬化性樹脂組成物に含まれる非水溶性単量体(A)としては、光硬化性を有する単量体で、非水溶性エチレン性不飽和単量体が好ましく、水溶解度(20℃)が20g/L未満の、単官能エチレン性不飽和単量体や多官能エチレン性不飽和単量体等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸等の直鎖または分岐のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-t-シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、等の脂環含有(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、アダマンチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル等の複素環含有(メタ)アクリレート;トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等の直鎖または分岐のアルキレングリコール(メタ)アクリレート;炭素数が1~12のアルキル基を導入したN-アルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテル、スチレン、N-ビニルカプロラクタム等のビニル化合物、アリルオキシメチルアクリル酸メチルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。またこれらの非水溶性単量体(A)は金属成分を含まない単量体であることが好ましい。
上記非水溶性単量体(A)の含有量は、モデル材用光硬化性樹脂組成物の硬化性を向上させる観点から、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物全体100質量%に対して、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。なお、上記非水溶性単量体(A)が2種以上含まれる場合、含有量は、各成分の含有量の合計である。
また、モデル材用光硬化性樹脂組成物に含まれる単量体総量に対する上記非水溶性単量体(A)の含有量は、モデル材用光硬化性樹脂組成物の硬化性を向上させる観点から、50~100質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましい。なお、上記非水溶性単量体(A)が2種以上含まれる場合、含有量は、各成分の含有量の合計である。
2-2 光重合開始剤(B)
上記モデル材用光硬化性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤(B)としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン等のアセトフェノン化合物;2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン等のアントラキノン化合物;2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、[3-(3,4-ジメチル-9-オキソチオキサンテン-2-イル)オキシ-2-ヒドロキシプロピル]-トリメチルアザニウムクロリド等のチオキサントン化合物;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール化合物;ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、4,4’-ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス-(2、6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;およびこれらの混合物等が挙げられる。
上記光重合開始剤(B)の含有量としては、モデル材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、好ましくは0.05~10.0質量%、より好ましくは0.1~9.0質量%、さらに好ましくは2.0~8.0質量%である。なお、上記光重合開始剤(B)が2種以上含まれる場合、含有量は、各成分の含有量の合計である。
2-3 他の成分
上記モデル材用光硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により、他の成分を含有させることができる。具体的には、例えば、光開始助剤、重合禁止剤、界面活性剤、着色剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、充填剤、重合性オリゴマー、等が挙げられる。
光開始助剤としては、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸イソアミルエチルエステル、N,N-ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミンおよびN,N-ジメチルヘキシルアミン等の第3級アミン化合物が挙げられる。
重合禁止剤としては、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。
界面活性剤としては、ノニルフェノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記)1~40モル付加物、ステアリン酸EO1~40モル付加物等のPEG型非イオン界面活性剤;ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等の多価アルコール型非イオン界面活性剤;パーフルオロアルキルEO1~50モル付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等のフッ素含有界面活性剤;ポリエーテル変性シリコーンオイル、(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル等が挙げられる。
着色剤としては、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストイエローG、ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP、溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット、塩基性染料、酸性染料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、無機顔料としての金属酸化物、カーボンブラック等が挙げられる。
酸化防止剤としては、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、トリフェニルホスファイト、オクチル化ジフェニルアミン、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、ヒドロキノン、ジエチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエチルジスルフィド、ジ-1-オクチルジスルフィド、トルエン、キシレン、1-ブテン、1-ノネン、ジクロロメタン、四塩化炭素、メタノール、1-ブタノール、エチルチオール、1-オクチルチオール、アセトン、メチルエチルケトン、2-メチル-2-プロピルアルデヒド、1-ペンチルアルデヒド、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール等が挙げられる。
充填剤としては、アルミナ粉、シリカ粉、タルク、マイカ、クレー、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミニウム粉、銅粉、炭素繊維、ガラス繊維、コットン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、マイクロバルーン、カーボンブラック、金属硫化物、木粉等が挙げられる。
上記添加物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記添加物の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは0.05~30質量%、より好ましくは0.05~20質量%である。
上記モデル材用光硬化性樹脂組成物は、上述した各種成分を用いて調製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、一般的な撹拌羽根や超音波ホモジナイザー、高速ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、遊星撹拌装置、3本ロール、ボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミル等の混合又は撹拌できる装置を用いて撹拌・混合する方法が挙げられる。溶液調製後に各種フィルターを用いてろ過をしてもよい。
上記モデル材用光硬化性樹脂組成物は、インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点から、吐出温度での粘度が20mPa・s以下であることが好ましい。なお、モデル材用光硬化性樹脂組成物の粘度測定は、JIS Z 8803に準拠し、R100型粘度計を用いて行われる。
3.サポート材用光硬化性樹脂組成物
本発明に係るインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットに含まれるサポート材用光硬化性樹脂組成物(以下、単にサポート材用樹脂組成物という場合がある)は、水溶性エチレン性不飽和単量体(C)と光重合開始剤(D)とを含んでいる。
3-1 水溶性エチレン性不飽和単量体(C)
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物に含まれる水溶性エチレン性不飽和単量体(C)としては、水溶解度(20℃)が20g/L以上の、エチレン性不飽和基を分子内に1つ以上有する単量体であり、好ましくはイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体(イオン性単量体)が挙げられる。イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体は、イオン性基と対イオンとを含有することにより、水溶性が高い。水溶解度(20℃)は100g/L以上であることが好ましく、200g/L以上であることがより好ましく、500g/L以上であることがさらに好ましい。
エチレン性不飽和基としては、エチレン基、プロペニル基、ブテニル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、マレイル基、マレイミド基、(メタ)アクリルアミド基、アセチルビニル基およびビニルアミド基などが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」、「メタクリル」の双方又は何れかを意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又は何れかを意味する。なかでも、(メタ)アクリル基、ビニルエーテル基および(メタ)アクリルアミド基が好ましく、(メタ)アクリル基がより好ましい。
上記イオン性基としては、カルボン酸、リン酸、スルホン酸等が挙げられる。中でもカルボン酸が好ましい。
上記対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン等の1価の対イオン;亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、ネオジウムイオン等の多価の金属イオンなどが挙げられる。中でも、1価の対イオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、またはアンモニウムイオンがより好ましく用いられ、さらに好ましくはカリウムイオンが用いられる。1価の対イオンに加えて、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、またはネオジウムイオンなどの多価の金属イオンを用いることも好ましい。
対イオンとして、1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体とを併用した場合に、サポート材用光硬化性樹脂組成物を光硬化して得られる硬化物のサポート性をより向上できる。また、これらに加えて、さらに後述の有機酸及び/又はその塩と併用することは本発明の好ましい形態である。多価金属イオンで好ましくは、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンである。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物中に含まれるイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量としては、上記組成物100質量%中、上限としては好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、下限としては好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。このようにした場合に、サポート材用光硬化性樹脂組成物のサポート性をより向上できる。
また、上記サポート材用光硬化性樹脂組成物に含まれる単量体総量に対する上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量は、上記サポート材用光硬化性樹脂組成物の水溶性を向上させる観点から、60~100質量%であることが好ましく、70~100質量%であることがより好ましい。なお、上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体が2種以上含まれる場合、含有量は、各成分の含有量の合計である。
対イオンとして1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、対イオンとして多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、の合計含有量としては、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。下限としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
対イオンとして1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量は、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。下限としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
対イオンとして多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量は、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、上限としては好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、下限としては好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。
上記のようにした場合にサポート材用光硬化性樹脂組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物に含まれる、イオン性基としてのカルボン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-ビニル安息香酸、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸、N-(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、ω-(メタ)アクロイルアルカン-1,1ジカルボン酸類の、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の1価塩;亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、またはネオジウム塩等の多価塩などが挙げられる。
中でも、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の1価塩が好ましく、より好ましくはナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩である。さらに好ましくはカリウム塩である。
カルボン酸の1価塩と多価金属塩を併用した場合に、サポート材用光硬化性樹脂組成物を光硬化して得られる硬化物のサポート性をより向上できる。また、これらに加えて、さらに後述の有機酸及び/又はその塩と併用することは本発明の好ましい形態である。カルボン酸多価金属塩で好ましくは、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩である。
カルボン酸の1価塩と多価金属塩の合計含有量としては、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。下限としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
カルボン酸の1価塩の含有量は、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。下限としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
カルボン酸の多価金属塩の含有量は、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、上限としては好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、下限としては好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。
上記のようにした場合に、サポート材用光硬化性樹脂組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
イオン性基としてのカルボン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、カルボン酸に含まれる炭素数が3~15のナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、及びカルシウム塩が好ましく、炭素数3~12のナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、及びカルシウム塩がより好ましい。上記炭素数としては、炭素数3~9がより好ましく、炭素数3~6がさらに好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸カルシウムが特に好ましい。炭素数が少ない単量体を用いることにより、分子中の疎水性部分を小さくすることができ、水溶性エチレン性不飽和単量体の水溶性をより高められる。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物に含まれる、イオン性基としてのリン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、モノ(2-アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェニル(2-アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、フェニル(2-アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、メタクロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコールメタクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-3-ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、ならびにビニルリン酸、p-ビニルベンゼンリン酸等の分子内にホスホノ基を有する化合物の、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩が挙げられる。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物に含まれる、イオン性基としてのスルホン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピルスルホン酸、4-(メタ)アクリルアミドブチルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、p-ビニルベンゼンスルホン酸、およびビニルスルホン酸等の化合物の、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩が挙げられる。上記例示のイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物に含まれる水溶性エチレン性不飽和単量体(C)としては、アクリル酸塩が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等、アクリル酸の1価塩がより好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、特に好ましくはナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩である。最も好ましくはカリウム塩である。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物に含まれる水溶性エチレン性不飽和単量体(C)としては、上記に加えて、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、またはネオジウム塩等のアクリル酸多価金属塩を含んでいてもよい。アクリル酸多価金属塩で好ましくは、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩である。
アクリル酸の1価塩と多価金属塩を併用した場合に、サポート材用光硬化性樹脂組成物を光硬化して得られる硬化物のサポート性をより向上できる。アクリル酸の1価塩と多価金属塩を併用する組み合わせとしては、アクリル酸カリウムとアクリル酸亜鉛の組み合わせが好ましい。アクリル酸亜鉛を併用することにより、より高い強度の硬化物を得ることができる。
アクリル酸の1価塩と多価金属塩の合計含有量としては、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。下限としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
中でも、アクリル酸カリウムとアクリル酸亜鉛の合計含有量が、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、10~30質量%であることが好ましい。このようにすることにより、組成物の粘度を低くすることができ、またアクリル酸塩の使用量を抑制することによりコストも低くできる。
また、アクリル酸の1価塩の含有量は、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。下限としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
アクリル酸の多価金属塩の含有量は、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、上限としては好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、下限としては好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。
上記のようにした場合にサポート材用光硬化性樹脂組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体以外の水溶性エチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸;アクリロイルモルホリン;N-ビニルピロリドン;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド等のアクリルアミド、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物中に含まれる水溶性エチレン性不飽和単量体(C)の合計含有量としては、上記組成物100質量%中、上限としては好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは40質量%未満、特に好ましくは35質量%以下、下限としては好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%超である。
3-2 他の不飽和単量体
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物は、上記水溶性エチレン性不飽和単量体(C)以外の他の不飽和単量体(例えば、水溶解度(20℃)が20g/L未満)を含んでいてもよい。上記他の不飽和単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、メチル=2-(ヒドロキシメチル)アクリレート、および2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;フェニルアリルエーテル、o-,m-,p-クレゾールモノアリルエーテル、ビフェニル-2-オールモノアリルエーテル、ビフェニル-4-オールモノアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、およびシクロヘキサンメタノールモノアリルエーテル等のアリルエーテル;ブチルビニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、ブチルブテニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、およびアダマンチルビニルエーテル等のビニルエーテル;フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、およびn-ヘキシルマレイミド等のマレイミド;ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ビス(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ビス(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのEO付加物ビス(メタ)アクリレート等の芳香族基を有するモノマーおよび脂環式基を有するモノマー;ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは1種で単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記他の不飽和単量体の含有量としては、上記組成物100質量%中、50質量%以下であることが好ましい。より好ましくは20~50質量%、さらに好ましくは25~45質量%である。また、他の不飽和単量体の含有量が、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、2質量%未満であることも好ましい。このようにした場合に、サポート材用光硬化性樹脂組成物の臭気をより抑制できる。
また、サポート材用光硬化性樹脂組成物の水溶性を向上させる観点から、上記他の不飽和単量体の含有量としては、0質量%以上50質量%未満であることが好ましく、0質量%以上40質量%未満であることがより好ましい。なお、非水溶性単量体が2種以上含まれる場合、含有量は、各成分の含有量の合計である。
3-3 有機酸及び/又はその塩
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物は、有機酸及び/又はその塩を含んでいてもよい。有機酸及び/又はその塩は、上記水溶性エチレン性不飽和単量体(C)、及び上記他の不飽和単量体以外の化合物である。
有機酸としては、例えば、p-トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェニルホスホン酸などの有機リン酸、有機カルボン酸、リン酸エステルなどが挙げられる。なかでも有機カルボン酸が好ましい。有機カルボン酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息香酸、グリシン、ポリアクリル酸、ポリ乳酸などが挙げられる。芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、サリチル酸などが挙げられる。なかでも、脂肪族カルボン酸がより好ましく、乳酸、プロピオン酸、ポリアクリル酸がさらに好ましい。
有機酸の塩としては、例えば、金属カルボン酸塩が挙げられる。金属カルボン酸塩の金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;亜鉛;ジルコニウムなどが挙げられる。なかでもカリウムなどのアルカリ金属が好ましい。有機酸の塩としては、乳酸カリウム、プロピオン酸カリウムが好ましい。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物は、有機酸及び/又はその塩を含んでいる場合に、貯蔵安定性がより向上する。
有機酸及び/又はその塩の含有量は、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、水の含有量が好ましくは10質量%以下となる範囲で、上限としては好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、下限としては好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。このようにした場合にサポート材用光硬化性樹脂組成物のサポート性・溶解性とともに貯蔵安定性をより向上できる。
3-4 光重合開始剤(D)
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤(D)を含んでいる。光重合開始剤(D)としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン等のアセトフェノン化合物;2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン等のアントラキノン化合物;2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、[3-(3,4-ジメチル-9-オキソチオキサンテン-2-イル)オキシ-2-ヒドロキシプロピル]-トリメチルアザニウムクロリド等のチオキサントン化合物;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール化合物;ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、4,4’-ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス-(2、6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;およびこれらの混合物等が挙げられる。
これらは1種で単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(D)の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは0.05~10.0質量%、より好ましくは0.1~7.0質量%、さらに好ましくは0.2~5.0質量%である。
3-5 極性溶媒
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で極性溶媒を含んでいてもよい。上記極性溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリオキシプロピレングリコールなどのオキシプロピレン基を含むアルキレンオキサイド付加物等のグリコールが挙げられる。上記溶剤は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
極性溶媒は、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、水の含有量が10質量%以下となるように使用することが好ましい。極性溶媒としては、水、炭素数2~6のグリコールが好ましく、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールがより好ましく、水、ジエチレングリコールが特に好ましい。
上記組成物100質量%中、極性溶媒の含有量は、下限としては、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、上限としては、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。但し、上記組成物100質量%中、水の含有量は10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。
上記炭素数2~6のグリコールは合計で、上記組成物100質量%中、30~90質量%含まれていることが好ましく、40~90質量%含まれていることがより好ましく、55~90質量%含まれていることがさらに好ましく、70~90質量%含まれていることが特に好ましい。
中でも、上記組成物100質量%中、ジエチレングリコールの含有量が、30~90質量%であることが好ましく、40~90質量%であることがより好ましく、45~90質量%であることがさらに好ましく、50~90質量%であることが特に好ましい。
3-6 添加物
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりその他の添加剤を含有させることができる。具体的には、例えば、光開始助剤、重合禁止剤、界面活性剤、着色剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、充填剤等が挙げられる。これらの具体例としては、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物のところで例示したのと同様である。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物では、外観が均一であり、さらに透明であることが好ましい。また、臭気が抑制されていることが好ましい。具体的には、モノマーによる刺激臭が僅かであることが好ましく、モノマーによる刺激臭がないことがより好ましい。上記サポート材用光硬化性樹脂組成物では、水溶性エチレン性不飽和単量体(C)以外の他の不飽和単量体の含有量を、好ましくは、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、2質量%未満とすることにより、上記臭気をより効果的に抑制できる。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物は、硬化性に優れていることが好ましい。硬化性としては、100~2000mJ/cmの光を照射することにより硬化することが好ましく、100~1000mJ/cmの光を照射することにより硬化することがより好ましく、100~600mJ/cmの光を照射することにより硬化することがさらに好ましい。ここで、硬化するとは、液状でなくなり、流動性がなくなることをいう。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物は、硬化後の硬化物がサポート材として使用されるため、サポート材の必須要件として、硬化物の水溶性が優れている。水溶性は、例えば、硬化物0.5g(表面積4cm)を金網の上に置き、常温(例えば25℃前後)の水10ml中に浸漬した場合に、1時間以内に溶解することが好ましく、30分以内にほとんど溶解することがより好ましく、15分以内に溶解して不溶物が目視で観察されないことがさらに好ましい。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物における水の含有量は、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、10質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。水の含有量の下限は、好ましくは0質量%である。このような範囲とすることにより、硬化性により優れ、硬化後の硬化物の硬度が十分であり、サポート性を向上でき、且つ、溶媒への溶解性により優れるものとすることができる。サポート材用光硬化性樹脂組成物中の水の含有量は、仕込んだ各化合物の水の含有量から計算で求めることができる。また、カールフィッシャー測定法で求めることもできる。サポート性(サポート力)とは、サポート材用光硬化性樹脂組成物の硬化物がモデル材の硬化物を支える性能であり、後述する方法で測定される、サポート材の硬化物の硬度(ショワE)で表すことができる。
本発明のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットでは、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物と上記サポート材用光硬化性樹脂組成物とを、同時に吐出した場合においても上記2つの光硬化性樹脂組成物の界面における分離性に優れ、且つ、上記サポート材用光硬化性樹脂組成物の硬化物が水溶性に優れ、成形性に優れた光造形品を提供できる。
[インクジェット3Dプリンター用インク]
インクジェット3Dプリンター用インクは、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物または上記サポート材用光硬化性樹脂組成物(以下、これらをまとめて組成物という場合がある)を含んでいる。インクジェット3Dプリンター用インクに含まれる上記組成物は、媒体で希釈されていてもよい。
上記組成物をそのまま(あるいは直接)インクジェット3Dプリンター用インクとして用いることもできるし、媒体と上記組成物とを混合することによってインクジェット3Dプリンター用インクを製造することもできる。上記媒体としては、親水性媒体が好ましい。この場合にも、インクジェット3Dプリンター用インク100質量%中、水の含有量が10質量%以下となることが好ましい。
上記インクジェット3Dプリンター用インクは必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、キレート剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、着色剤、褪色防止剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、酸化防止剤、及び界面活性剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、たとえばインク液に直接添加できる。
上記インクジェット3Dプリンター用インク100質量%中、上記組成物の含有量は、それぞれ、下限としては、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、上限としては、100質量%以下が好ましい。
インクジェット3Dプリンター用インクでは、25℃における粘度は5~300mPa・sが好ましい。また、表面張力は25~70mN/mが好ましい。
[インクジェット3Dプリンター用カートリッジ]
インクジェット3Dプリンター用カートリッジでは、上記のインクジェット3Dプリンター用インクをそれぞれ充填している。インクジェット3Dプリンター用カートリッジは、上記インクジェット3Dプリンター用インクが充填されていればよく、インクジェット3Dプリンター用カートリッジの形態としては公知のものが使用できる。
[光造形品]
本発明の光造形品は、インクジェット光造形法により、上記の組成物セットを光硬化させてなる。本発明の光造形品では、上記の本発明のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットを使用するため、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物(またはそれを含むインク)と上記サポート材用光硬化性樹脂組成物(またはそれを含むインク)とを、同時に吐出した場合においても上記2つの光硬化性樹脂組成物の界面における分離性に優れているため、成形性に優れた光造形品を提供できる。
[光造形品の製造方法]
本発明の光造形品の製造方法は、インクジェット光造形法により、上記の本発明のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットを光硬化させて硬化物を得る工程(I)、及び、該硬化物から、サポート材用光硬化性樹脂組成物が光硬化された硬化物を除去する工程(II)を含んでいる。
本発明のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットに含まれるモデル材用光硬化性樹脂組成物、及びサポート材用光硬化性樹脂組成物は、それぞれ、上述した各種成分を用いて調製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、一般的な撹拌羽根や超音波ホモジナイザー、高速ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、遊星撹拌装置、3本ロール、ボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミル等の混合又は撹拌できる装置を用いて撹拌・混合する方法が挙げられる。溶液調製後に各種フィルターを用いてろ過をしてもよい。
上記工程(I)では、インクジェット光造形法により、上記の本発明のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットを光硬化させて硬化物を得る。上記工程(I)では、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物と上記サポート材用光硬化性樹脂組成物とを用いる他は、公知の方法が使用できる。具体的には、本発明のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットに含まれるモデル材用光硬化性樹脂組成物(またはそれを含むインク)とサポート材用光硬化性樹脂組成物(またはそれを含むインク)とを、各ノズルから噴射、印刷等にて造形後、100~2000mJ/cm程度の紫外線を照射して光硬化させて硬化物を得る等の公知の方法が使用できる。紫外線照射としては、より好ましくは100~1000mJ/cmの光、さらに好ましくは100~600mJ/cmの光である。
インクジェット光造形法では、サポート材用光硬化性樹脂組成物の硬化物により、モデル材用光硬化性樹脂組成物の外形を支えて造形するため、両者は接して界面を形成する。モデル材用光硬化性樹脂組成物(またはそれを含むインク)とサポート材用光硬化性樹脂組成物(またはそれを含むインク)とを、各ノズルから噴射、印刷等するのは、同時であってもよい。
続いて、上記工程(II)では、上記硬化物から、サポート材用光硬化性樹脂組成物が光硬化した硬化物を除去する。本発明のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットに含まれるモデル材用光硬化性樹脂組成物とサポート材用光硬化性樹脂組成物とを光硬化させて得られた硬化物では、サポート材用光硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られた部分の硬化物が水溶性に優れているため、この部分の硬化物を水等の極性溶媒にて容易に除去できる。除去方法としては、安全面やコスト面から、硬化物を水中に静置してサポート材用樹脂組成物を除去する方法が好ましい。
本発明の光造形物の製造方法では、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物と上記サポート材用光硬化性樹脂組成物とを用い、モデル材用光硬化性樹脂組成物とサポート材用光硬化性樹脂組成物との界面における分離性に優れ、且つ、上記サポート材用光硬化性樹脂組成物の硬化物が水溶性に優れているため、成形性に優れた光造形品を容易に製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
<表面張力>
モデル材用光硬化性樹脂組成物とサポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力は、25℃における、測定開始から20秒後の値を動的表面張力計SITA(EKO 英弘精機株式会社)を用いて測定した動的表面張力の値を採用した。得られた表面張力の値から、モデル材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γ(mN/m)とサポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γ(mN/m)との表面張力差Δγ(γ-γ)を求めた。
<ハンセン溶解度パラメーター>
モデル材用光硬化性樹脂組成物とサポート材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解度パラメーターは、ハンセン溶解度パラメーターが既知の溶媒に対する溶解実験を行い、実測結果を市販のソフトウェアHSPiP5.1.03に入力し、Sphere機能により決定した。
<ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)>
モデル材用光硬化性樹脂組成物とサポート材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)を、市販のソフトウェアHSPiP5.1.03を用いてそれぞれ求めた。
<モデル材用光硬化性樹脂組成物>
モデル材用光硬化性樹脂組成物としては、市販のモデル材用光硬化性樹脂組成物VWP RGD835(Stratasys社製)を用いた。
上記モデル材用光硬化性樹脂組成物の表面張力及びハンセン溶解度パラメーターは以下の数値であった。
表面張力:31.5mN/m
ハンセン溶解度パラメーター
δD:16.7MPa1/2
δP: 9.7MPa1/2
δH:10.1MPa1/2
<モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R>
モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2)を、ハンセン溶解度パラメーターが既知の溶媒に対する溶解実験を行い、得られた結果をもとに市販のソフトウェアHSPiP Ver.5.1.03を用いて計算した。その結果、ハンセン溶解球半径は13.1MPa1/2であった。
<サポート材用光硬化性樹脂組成物>
イオン性単量体として、アクリル酸カリウム12質量部及びアクリル酸亜鉛7質量部;溶剤81質量部;重合開始剤としてイルガキュアTPO 1質量部;重合禁止剤としてp-メトキシフェノール0.15質量部;表面調整剤としてメガファックF-444(DIC社製、フッ素系添加剤)0~0.25質量部を配合し、混合撹拌装置を用いて均一に混合してサポート材用光硬化性樹脂組成物S1-1~S12-11を調製した。上記溶剤としては、水とジエチレングリコールの混合物とした。表面調整剤の使用量と、溶剤としての水とジエチレングリコールの使用量を表1~4に示す。また、各サポート材用光硬化性樹脂組成物の物性値を表1~4に示す。
<硬化性評価>
得られたサポート材用光硬化性樹脂組成物S1-1~S12-11について、500mJ/cmおよび1000mJ/cmの光を照射し、硬化性を評価した。評価基準は、次の通りである。結果を表1~4に示す。
◎:500mJ/cmの光で硬化した。
○:1000mJ/cmの光で硬化した。
△:1000mJ/cm以上の光で硬化した。
×:液状のままであった。
<溶解性評価>
上記硬化性評価において硬化したサポート材用光硬化性樹脂組成物の硬化物片1.0gを金網の上に置き、水温25℃の水10mLに水中で保持し、溶解性を評価した。評価基準は、次の通りである。結果を表1~4に示す。
◎:15分以内に溶解した。
○:30分以内に溶解した。
△:1時間以内に溶解した。
×:1時間以内に溶解せず。
Figure 0007330022000003
Figure 0007330022000004
Figure 0007330022000005
Figure 0007330022000006
実施例、及び比較例
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物S1-1~S12-11について、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物との表面張力差、ハンセン溶解度パラメーター距離(HSP距離)を求めた。これらの値を表5~8に示す。
<モデル材用光硬化性樹脂組成物/サポート材用光硬化性樹脂組成物の分離性評価>
スライドガラス上にサポート材用光硬化性樹脂組成物0.02mL、モデル材用光硬化性樹脂組成物0.02mLがそれぞれ独立するように滴下する。滴下後それぞれの液体が徐々に広がり接触した瞬間の界面の状態を目視で確認した。結果を表5~8に示す。
評価基準は以下の通り
○:モデル材用光硬化性樹脂組成物とサポート材用光硬化性樹脂組成物が均衡している
×:モデル材用光硬化性樹脂組成物がサポート材用光硬化性樹脂組成物に浸透する若しくは、サポート材用光硬化性樹脂組成物がモデル材用光硬化性樹脂組成物に浸透する。
Figure 0007330022000007
Figure 0007330022000008
Figure 0007330022000009
Figure 0007330022000010
図1に、上記で求めたΔγに対するハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)の値をプロットしたグラフを示す。図1中、●印のプロットは、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物/サポート材用光硬化性樹脂組成物の分離性評価において、○と評価された組み合わせに対するものである(実施例1~22)。×印のプロットは、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物/サポート材用光硬化性樹脂組成物の分離性評価において、×と評価された組み合わせに対するものである(比較例1~110)。
図1に示すように、上記モデル材/サポート材の分離性評価において、実施例の○と評価された組み合わせは、下記条件(1)又は(2)を満たしていた。
(1)HSPD≧(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
-0.79Δγ + 10.9 ≦ HSPD ≦ -0.79Δγ + 16.9
(2)HSPD<(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
Δγ<0, 且つ HSPD ≧ -0.67Δγ + 9.8

Claims (4)

  1. 非水溶性単量体(A)と光重合開始剤(B)とを含むモデル材用光硬化性樹脂組成物、及び、水溶性エチレン性不飽和単量体(C)と光重合開始剤(D)とを含むサポート材用光硬化性樹脂組成物を含む、インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットであって、
    該モデル材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γ(mN/m)と該サポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γ(mN/m)との差Δγと、ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)とが下記条件(1)又は(2)を満たす、
    インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット。
    (1)HSPD≧(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
    -0.79Δγ + 10.9 ≦ HSPD ≦ -0.79Δγ + 16.9
    (2)HSPD<(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
    Δγ<0, 且つ HSPD ≧ -0.67Δγ + 9.8
  2. 前記サポート材用光硬化性樹脂組成物が水を含有する、
    請求項1記載のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット。
  3. インクジェット光造形法により、請求項1または2記載の組成物セットであって、前記水溶性エチレン性不飽和単量体(C)がアクリル酸塩を含む組成物セットを光硬化させてなる光造形品。
  4. インクジェット光造形法により、請求項1または2記載の組成物セットを光硬化させて硬化物を得る工程(I)、及び
    該硬化物から、前記サポート材用光硬化性樹脂組成物が光硬化された硬化物を除去する工程(II)
    を含む、光造形品の製造方法。
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