JP7330022B2 - インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法 - Google Patents
インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7330022B2 JP7330022B2 JP2019161510A JP2019161510A JP7330022B2 JP 7330022 B2 JP7330022 B2 JP 7330022B2 JP 2019161510 A JP2019161510 A JP 2019161510A JP 2019161510 A JP2019161510 A JP 2019161510A JP 7330022 B2 JP7330022 B2 JP 7330022B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin composition
- photocurable resin
- mass
- meth
- acrylate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Polymerisation Methods In General (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Description
(1)HSPD≧(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
-0.79Δγ + 10.9 ≦ HSPD ≦ -0.79Δγ + 16.9
(2)HSPD<(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
Δγ<0, 且つ HSPD ≧ -0.67Δγ + 9.8
また、本発明の光造形品は、インクジェット光造形法により、上記の組成物セットを光硬化させてなる。
さらに、本発明の光造形品の製造方法は、インクジェット光造形法により、上記の組成物セットを光硬化させて硬化物を得る工程(I)、及び、該硬化物から、サポート材用光硬化性樹脂組成物が光硬化された硬化物を除去する工程(II)を含んでいる。
本発明に係るインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット(以下、単に樹脂組成物セットという場合がある)は、非水溶性単量体(A)と光重合開始剤(B)とを含むモデル材用光硬化性樹脂組成物、及び、水溶性エチレン性不飽和単量体(C)と光重合開始剤(D)とを含むサポート材用光硬化性樹脂組成物を含んでいる。該モデル材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γM(mN/m)と該サポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γS(mN/m)との差Δγ(γS-γM)と、ハンセン溶解度パラメーター距離HSPDとが下記条件(1)又は(2)を満たす。
(1)HSPD≧(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
-0.79Δγ + 10.9 ≦ HSPD ≦ -0.79Δγ + 16.9
(2)HSPD<(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
Δγ<0, 且つ HSPD ≧ -0.67Δγ + 9.8
1-1 表面張力
モデル材用光硬化性樹脂組成物、及びサポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力は、例えば25℃における、測定開始から20秒後の値を動的表面張力計SITA(EKO 英弘精機株式会社)を用いて測定した値とすることができる。モデル材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γM(mN/m)とサポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γS(mN/m)は、上記条件(1)又は(2)を満たせば特に限定はされないが、インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点から、吐出温度での表面張力が25.0~35.0mN/mであることが好ましい。
ハンセン溶解度パラメーターは、溶解性を多次元のベクトルで表したものであり、このベクトルは[δD:分散項(ファンデルワールスの力)、δP:極性項(ダイポール・モーメントの力)、δH:水素結合項]の3つのパラメーターで表される。モデル材用光硬化性樹脂組成物のベクトルの座標[δDm、δPm、δHm]とサポート材用光硬化性樹脂組成物のベクトルの座標[δDs、δPs、δHs]の間の2点間距離が、ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)であり、下記式で表される。
組成A([δDA、δPA、δHA]、密度dA(g/mL)、重量割合wA(wt%))
組成B([δDB、δPB、δHB]、密度dB(g/mL)、重量割合wB(wt%))
から成る混合物1のハンセン溶解度パラメーター[δD1、δP1、δH1]は下記式で表される。
本発明に係るインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットに含まれるモデル材用光硬化性樹脂組成物(以下、単にモデル材用樹脂組成物という場合がある)は、非水溶性単量体(A)と光重合開始剤(B)とを含んでいる。上記モデル材用光硬化性樹脂組成物は、非水溶性単量体(A)以外の単量体を含んでいても良い。
上記モデル材用光硬化性樹脂組成物に含まれる非水溶性単量体(A)としては、光硬化性を有する単量体で、非水溶性エチレン性不飽和単量体が好ましく、水溶解度(20℃)が20g/L未満の、単官能エチレン性不飽和単量体や多官能エチレン性不飽和単量体等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸等の直鎖または分岐のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-t-シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、等の脂環含有(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、アダマンチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル等の複素環含有(メタ)アクリレート;トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等の直鎖または分岐のアルキレングリコール(メタ)アクリレート;炭素数が1~12のアルキル基を導入したN-アルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテル、スチレン、N-ビニルカプロラクタム等のビニル化合物、アリルオキシメチルアクリル酸メチルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。またこれらの非水溶性単量体(A)は金属成分を含まない単量体であることが好ましい。
上記モデル材用光硬化性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤(B)としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン等のアセトフェノン化合物;2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン等のアントラキノン化合物;2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、[3-(3,4-ジメチル-9-オキソチオキサンテン-2-イル)オキシ-2-ヒドロキシプロピル]-トリメチルアザニウムクロリド等のチオキサントン化合物;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール化合物;ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、4,4’-ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス-(2、6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;およびこれらの混合物等が挙げられる。
上記モデル材用光硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により、他の成分を含有させることができる。具体的には、例えば、光開始助剤、重合禁止剤、界面活性剤、着色剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、充填剤、重合性オリゴマー、等が挙げられる。
上記添加物の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは0.05~30質量%、より好ましくは0.05~20質量%である。
本発明に係るインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットに含まれるサポート材用光硬化性樹脂組成物(以下、単にサポート材用樹脂組成物という場合がある)は、水溶性エチレン性不飽和単量体(C)と光重合開始剤(D)とを含んでいる。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物に含まれる水溶性エチレン性不飽和単量体(C)としては、水溶解度(20℃)が20g/L以上の、エチレン性不飽和基を分子内に1つ以上有する単量体であり、好ましくはイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体(イオン性単量体)が挙げられる。イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体は、イオン性基と対イオンとを含有することにより、水溶性が高い。水溶解度(20℃)は100g/L以上であることが好ましく、200g/L以上であることがより好ましく、500g/L以上であることがさらに好ましい。
上記のようにした場合にサポート材用光硬化性樹脂組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
中でも、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の1価塩が好ましく、より好ましくはナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩である。さらに好ましくはカリウム塩である。
上記のようにした場合に、サポート材用光硬化性樹脂組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
中でも、アクリル酸カリウムとアクリル酸亜鉛の合計含有量が、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、10~30質量%であることが好ましい。このようにすることにより、組成物の粘度を低くすることができ、またアクリル酸塩の使用量を抑制することによりコストも低くできる。
アクリル酸の多価金属塩の含有量は、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、上限としては好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、下限としては好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。
上記のようにした場合にサポート材用光硬化性樹脂組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物は、上記水溶性エチレン性不飽和単量体(C)以外の他の不飽和単量体(例えば、水溶解度(20℃)が20g/L未満)を含んでいてもよい。上記他の不飽和単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、メチル=2-(ヒドロキシメチル)アクリレート、および2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;フェニルアリルエーテル、o-,m-,p-クレゾールモノアリルエーテル、ビフェニル-2-オールモノアリルエーテル、ビフェニル-4-オールモノアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、およびシクロヘキサンメタノールモノアリルエーテル等のアリルエーテル;ブチルビニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、ブチルブテニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、およびアダマンチルビニルエーテル等のビニルエーテル;フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、およびn-ヘキシルマレイミド等のマレイミド;ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ビス(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ビス(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのEO付加物ビス(メタ)アクリレート等の芳香族基を有するモノマーおよび脂環式基を有するモノマー;ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは1種で単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物は、有機酸及び/又はその塩を含んでいてもよい。有機酸及び/又はその塩は、上記水溶性エチレン性不飽和単量体(C)、及び上記他の不飽和単量体以外の化合物である。
有機酸としては、例えば、p-トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェニルホスホン酸などの有機リン酸、有機カルボン酸、リン酸エステルなどが挙げられる。なかでも有機カルボン酸が好ましい。有機カルボン酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息香酸、グリシン、ポリアクリル酸、ポリ乳酸などが挙げられる。芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、サリチル酸などが挙げられる。なかでも、脂肪族カルボン酸がより好ましく、乳酸、プロピオン酸、ポリアクリル酸がさらに好ましい。
有機酸の塩としては、例えば、金属カルボン酸塩が挙げられる。金属カルボン酸塩の金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;亜鉛;ジルコニウムなどが挙げられる。なかでもカリウムなどのアルカリ金属が好ましい。有機酸の塩としては、乳酸カリウム、プロピオン酸カリウムが好ましい。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物は、有機酸及び/又はその塩を含んでいる場合に、貯蔵安定性がより向上する。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤(D)を含んでいる。光重合開始剤(D)としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン等のアセトフェノン化合物;2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン等のアントラキノン化合物;2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、[3-(3,4-ジメチル-9-オキソチオキサンテン-2-イル)オキシ-2-ヒドロキシプロピル]-トリメチルアザニウムクロリド等のチオキサントン化合物;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール化合物;ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、4,4’-ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス-(2、6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;およびこれらの混合物等が挙げられる。
これらは1種で単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(D)の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは0.05~10.0質量%、より好ましくは0.1~7.0質量%、さらに好ましくは0.2~5.0質量%である。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で極性溶媒を含んでいてもよい。上記極性溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリオキシプロピレングリコールなどのオキシプロピレン基を含むアルキレンオキサイド付加物等のグリコールが挙げられる。上記溶剤は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
極性溶媒は、サポート材用光硬化性樹脂組成物100質量%中、水の含有量が10質量%以下となるように使用することが好ましい。極性溶媒としては、水、炭素数2~6のグリコールが好ましく、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールがより好ましく、水、ジエチレングリコールが特に好ましい。
中でも、上記組成物100質量%中、ジエチレングリコールの含有量が、30~90質量%であることが好ましく、40~90質量%であることがより好ましく、45~90質量%であることがさらに好ましく、50~90質量%であることが特に好ましい。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりその他の添加剤を含有させることができる。具体的には、例えば、光開始助剤、重合禁止剤、界面活性剤、着色剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、充填剤等が挙げられる。これらの具体例としては、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物のところで例示したのと同様である。
インクジェット3Dプリンター用インクは、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物または上記サポート材用光硬化性樹脂組成物(以下、これらをまとめて組成物という場合がある)を含んでいる。インクジェット3Dプリンター用インクに含まれる上記組成物は、媒体で希釈されていてもよい。
インクジェット3Dプリンター用カートリッジでは、上記のインクジェット3Dプリンター用インクをそれぞれ充填している。インクジェット3Dプリンター用カートリッジは、上記インクジェット3Dプリンター用インクが充填されていればよく、インクジェット3Dプリンター用カートリッジの形態としては公知のものが使用できる。
本発明の光造形品は、インクジェット光造形法により、上記の組成物セットを光硬化させてなる。本発明の光造形品では、上記の本発明のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットを使用するため、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物(またはそれを含むインク)と上記サポート材用光硬化性樹脂組成物(またはそれを含むインク)とを、同時に吐出した場合においても上記2つの光硬化性樹脂組成物の界面における分離性に優れているため、成形性に優れた光造形品を提供できる。
本発明の光造形品の製造方法は、インクジェット光造形法により、上記の本発明のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットを光硬化させて硬化物を得る工程(I)、及び、該硬化物から、サポート材用光硬化性樹脂組成物が光硬化された硬化物を除去する工程(II)を含んでいる。
モデル材用光硬化性樹脂組成物とサポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力は、25℃における、測定開始から20秒後の値を動的表面張力計SITA(EKO 英弘精機株式会社)を用いて測定した動的表面張力の値を採用した。得られた表面張力の値から、モデル材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γM(mN/m)とサポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γS(mN/m)との表面張力差Δγ(γS-γM)を求めた。
モデル材用光硬化性樹脂組成物とサポート材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解度パラメーターは、ハンセン溶解度パラメーターが既知の溶媒に対する溶解実験を行い、実測結果を市販のソフトウェアHSPiP5.1.03に入力し、Sphere機能により決定した。
モデル材用光硬化性樹脂組成物とサポート材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)を、市販のソフトウェアHSPiP5.1.03を用いてそれぞれ求めた。
モデル材用光硬化性樹脂組成物としては、市販のモデル材用光硬化性樹脂組成物VWP RGD835(Stratasys社製)を用いた。
上記モデル材用光硬化性樹脂組成物の表面張力及びハンセン溶解度パラメーターは以下の数値であった。
表面張力:31.5mN/m
ハンセン溶解度パラメーター
δD:16.7MPa1/2
δP: 9.7MPa1/2
δH:10.1MPa1/2
モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2)を、ハンセン溶解度パラメーターが既知の溶媒に対する溶解実験を行い、得られた結果をもとに市販のソフトウェアHSPiP Ver.5.1.03を用いて計算した。その結果、ハンセン溶解球半径は13.1MPa1/2であった。
イオン性単量体として、アクリル酸カリウム12質量部及びアクリル酸亜鉛7質量部;溶剤81質量部;重合開始剤としてイルガキュアTPO 1質量部;重合禁止剤としてp-メトキシフェノール0.15質量部;表面調整剤としてメガファックF-444(DIC社製、フッ素系添加剤)0~0.25質量部を配合し、混合撹拌装置を用いて均一に混合してサポート材用光硬化性樹脂組成物S1-1~S12-11を調製した。上記溶剤としては、水とジエチレングリコールの混合物とした。表面調整剤の使用量と、溶剤としての水とジエチレングリコールの使用量を表1~4に示す。また、各サポート材用光硬化性樹脂組成物の物性値を表1~4に示す。
得られたサポート材用光硬化性樹脂組成物S1-1~S12-11について、500mJ/cm2および1000mJ/cm2の光を照射し、硬化性を評価した。評価基準は、次の通りである。結果を表1~4に示す。
◎:500mJ/cm2の光で硬化した。
○:1000mJ/cm2の光で硬化した。
△:1000mJ/cm2以上の光で硬化した。
×:液状のままであった。
上記硬化性評価において硬化したサポート材用光硬化性樹脂組成物の硬化物片1.0gを金網の上に置き、水温25℃の水10mLに水中で保持し、溶解性を評価した。評価基準は、次の通りである。結果を表1~4に示す。
◎:15分以内に溶解した。
○:30分以内に溶解した。
△:1時間以内に溶解した。
×:1時間以内に溶解せず。
上記サポート材用光硬化性樹脂組成物S1-1~S12-11について、上記モデル材用光硬化性樹脂組成物との表面張力差、ハンセン溶解度パラメーター距離(HSP距離)を求めた。これらの値を表5~8に示す。
スライドガラス上にサポート材用光硬化性樹脂組成物0.02mL、モデル材用光硬化性樹脂組成物0.02mLがそれぞれ独立するように滴下する。滴下後それぞれの液体が徐々に広がり接触した瞬間の界面の状態を目視で確認した。結果を表5~8に示す。
評価基準は以下の通り
○:モデル材用光硬化性樹脂組成物とサポート材用光硬化性樹脂組成物が均衡している
×:モデル材用光硬化性樹脂組成物がサポート材用光硬化性樹脂組成物に浸透する若しくは、サポート材用光硬化性樹脂組成物がモデル材用光硬化性樹脂組成物に浸透する。
(1)HSPD≧(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
-0.79Δγ + 10.9 ≦ HSPD ≦ -0.79Δγ + 16.9
(2)HSPD<(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
Δγ<0, 且つ HSPD ≧ -0.67Δγ + 9.8
Claims (4)
- 非水溶性単量体(A)と光重合開始剤(B)とを含むモデル材用光硬化性樹脂組成物、及び、水溶性エチレン性不飽和単量体(C)と光重合開始剤(D)とを含むサポート材用光硬化性樹脂組成物を含む、インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セットであって、
該モデル材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γM(mN/m)と該サポート材用光硬化性樹脂組成物の表面張力γS(mN/m)との差Δγと、ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)とが下記条件(1)又は(2)を満たす、
インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット。
(1)HSPD≧(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
-0.79Δγ + 10.9 ≦ HSPD ≦ -0.79Δγ + 16.9
(2)HSPD<(モデル材用光硬化性樹脂組成物のハンセン溶解球半径R(MPa1/2))のとき
Δγ<0, 且つ HSPD ≧ -0.67Δγ + 9.8 - 前記サポート材用光硬化性樹脂組成物が水を含有する、
請求項1記載のインクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット。 - インクジェット光造形法により、請求項1または2記載の組成物セットであって、前記水溶性エチレン性不飽和単量体(C)がアクリル酸塩を含む組成物セットを光硬化させてなる光造形品。
- インクジェット光造形法により、請求項1または2記載の組成物セットを光硬化させて硬化物を得る工程(I)、及び
該硬化物から、前記サポート材用光硬化性樹脂組成物が光硬化された硬化物を除去する工程(II)
を含む、光造形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019161510A JP7330022B2 (ja) | 2019-09-04 | 2019-09-04 | インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019161510A JP7330022B2 (ja) | 2019-09-04 | 2019-09-04 | インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021037721A JP2021037721A (ja) | 2021-03-11 |
JP7330022B2 true JP7330022B2 (ja) | 2023-08-21 |
Family
ID=74847265
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019161510A Active JP7330022B2 (ja) | 2019-09-04 | 2019-09-04 | インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7330022B2 (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018043582A1 (ja) | 2016-09-01 | 2018-03-08 | 株式会社日本触媒 | インクジェット3dプリンター用光硬化性サポート材組成物、インクジェット3dプリンター用インク、インクジェット3dプリンター用カートリッジ、サポート材の製造方法ならびに光造形物の製造方法 |
JP2018167445A (ja) | 2017-03-29 | 2018-11-01 | 株式会社リコー | 立体造形用組成物のセット、立体造形物の製造方法、及び立体造形装置 |
-
2019
- 2019-09-04 JP JP2019161510A patent/JP7330022B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018043582A1 (ja) | 2016-09-01 | 2018-03-08 | 株式会社日本触媒 | インクジェット3dプリンター用光硬化性サポート材組成物、インクジェット3dプリンター用インク、インクジェット3dプリンター用カートリッジ、サポート材の製造方法ならびに光造形物の製造方法 |
JP2018167445A (ja) | 2017-03-29 | 2018-11-01 | 株式会社リコー | 立体造形用組成物のセット、立体造形物の製造方法、及び立体造形装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021037721A (ja) | 2021-03-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7426187B2 (ja) | 3dプリンター用サポート材用光硬化性組成物ならびに3dプリンター用サポート材 | |
JP6983948B2 (ja) | インクジェット3dプリンター用光硬化性サポート材組成物、インクジェット3dプリンター用インク、インクジェット3dプリンター用カートリッジ、サポート材の製造方法ならびに光造形物の製造方法 | |
US10336052B2 (en) | Photocurable resin composition for forming support regions | |
JP2018523589A (ja) | 3dプリンティング支持体用インク組成物及びそれを用いた3dプリンティング製造方法 | |
JP7066824B2 (ja) | インクジェット3dプリンター用光硬化性サポート材用組成物、インク、カートリッジ、サポート材の製造方法ならびに光造形物の製造方法 | |
CN111542570B (zh) | 用于产生用于3d光聚合物喷射的载体子结构的组合物 | |
ES2930086T3 (es) | Artículos preparados usando composiciones curables basadas en especies iónicas polimerizables | |
JP7330022B2 (ja) | インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法 | |
JP7398299B2 (ja) | 3dプリンター用光硬化性組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法 | |
KR102591163B1 (ko) | 3d 프린팅 시스템에서 사용되는 조성물 및 이의 적용 | |
JP7323383B2 (ja) | インクジェット3dプリンター用サポート材の製造方法、サポート材、及び光造形物の製造方法 | |
JP7323300B2 (ja) | Uv硬化性組成物 | |
JP7079707B2 (ja) | インクジェット光造形用の光硬化性樹脂組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法 | |
US11981824B2 (en) | Photocurable composition for support materials for inkjet 3D printers, ink, cartridge, method for producing support material, and method for producing optically shaped article | |
JP2024033862A (ja) | インクジェット3dプリンター用サポート材形成用の光硬化性組成物、それを含むインクジェット3dプリンター用インク及びインクジェット3dプリンター用カートリッジ、並びに該光硬化性組成物を用いたサポート材の製造方法及び光造形物の製造方法 | |
JP6993611B2 (ja) | 三次元造形物の製造方法 | |
WO2019230136A1 (ja) | 光造形用インクセット | |
WO2019230135A1 (ja) | 光造形用インクセット、及び、光造形品の製造方法 | |
US20230105707A1 (en) | Radiation-Curable Ink Jet Composition | |
JP2019093594A (ja) | 光造形装置による造形物からの形状支持材除去用洗浄液及びそれを用いた光造形物の製造方法 | |
JP2019156877A (ja) | 繊維材料捺染又は染色用組成物、捺染又は染色用の処理層を有する繊維材料の製造方法、ならびに捺染又は染色された繊維材料の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220714 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230515 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230516 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230613 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230801 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230808 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7330022 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |