JP7327788B2 - 糖化産物生成抑制剤及び医薬組成物 - Google Patents
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処置方法は、有効量の前記医薬組成物を、対象に投与することを含み、糖化産物の生成又は蓄積に由来する疾患群から選択される少なくとも1種の疾患を処置する方法である。前記疾患群は、例えば、糖尿病、糖尿病合併症、動脈硬化症、高血圧症、腎障害、認知症、アルツハイマー病及びパーキンソン病からなる群から選択される少なくとも1種の特定疾患であってもよい。医薬組成物の詳細および投与方法は既述の通りである。処置の対象は、例えば、哺乳動物であり、哺乳動物はヒトを含む。また、処置の対象は非ヒト動物であってもよい。
フェニルアセチルタウリンの合成
1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液10mLにタウリン10.5mmolを溶解した溶液へ、撹拌、30℃以下に冷却しながら、溶液が弱アルカリ性を示すような速度で、フェニルアセチルクロリド10mmolと3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液とを別々に添加した。添加終了後、混合物を2時間撹拌した。次いで混合物を3mLの濃塩酸を含む100mLのビーカーへ注いだ。生じた沈殿を吸引濾過で集め、冷水で洗浄し、乾燥させた。エタノール-水から再結晶して目的物としてフェニルアセチルタウリンを得た。
アルブミン糖化実験
ダルベッコりん酸緩衝生理食塩水(Ca,Mg不含)(DPBS:ナカライテスク社製)中のα-グルコース(ナカライテスク社製)の最終濃度が0.2mol/Lで、ヒトアルブミン(SIGMA社製)の最終濃度が8mg/mlとなるように、エッペンドルフチューブ(750μl/tube)に調製した。各チューブにフェニルアセチルタウリンを所定の最終濃度になるように適量添加して、60℃で40時間インキュベーションした。インキュベーション後の糖化アルブミン(糖化産物;AGEs)の生成レベルを、マイクロプレートリーダー(TECAN)を用いて蛍光強度(励起波長370nm、検出波長440nm)を測定することで評価した。また、フェニルアセチルタウリンの代わりに、陽性対照としてアミノグアニジン(AG;和光純薬社製)を、比較としてタウリンを用い、同様にして糖化アルブミンの生成レベルを評価した。結果を図1に示す。図1にはコントロールを100%としたときの抑制率を併せて示す。なお、「+」を付した数値は生成レベルを上昇させたことを意味する。また、水を用いたコントロールを100としたときの相対蛍光強度を表1に示す。
コラーゲン糖化実験
コラーゲン抗糖化アッセイキット(グリセルアルデヒド)(コスモバイオ社製)を用いて、フェニルアセチルタウリンのコラーゲン糖化抑制能を評価した。陽性対照にはキットに付属のアミノグアニジンを用い、比較としてタウリンを用いた。アッセイはキットに付属の説明書に準じて行い、37℃で24時間のインキュベーションで行った。結果を図2に示す。図2には、コントロールを100%としたときの抑制率を併せて示す。なお、「+」を付した数値は生成レベルを上昇させたことを意味する。また、水を用いたコントロールを100としたときの相対蛍光強度を表2に示す。
2型糖尿病モデルマウスであるKK/Ta Jclマウス(10週齢、オス、コントロール群n=5、被験群n=3)を通常飼料(CE-2)で飼育し、8週間に渡って被験物質としてフェニルアセチルタウリン(Ph-T)を腹腔内へ投与(ip)して、体重、尿糖、及びHbA1cの変化を調べた。具体的には、フェニルアセチルタウリン2mgを蒸留水1mLに溶解したもの5mL/kg(10mg/kg)を、1日1回連日腹腔内投与した。コントロールには水のみを投与した。1週毎に、絶食時に代謝ケージにて蓄尿し、尿糖試験紙(新ウリエースGa)を用いて尿糖を測定した。また、2週毎に、DCA Vantage HbA1cカートリッジ(シーメンスヘルスケア社製)を用いてHbA1cを測定した。体重及び尿糖の変化を図3に、HbA1cの測定結果を図4及び表3に示す。
2型糖尿病モデルマウスであるKK/Ta Jclマウス(10週齢、オス、コントロール群n=3、各被験群n=3)を通常飼料(CE-2)で飼育し、8週間に渡って被験物質としてフェニルアセチルタウリン(Ph-T)を経口投与(po)して、HbA1cの変化を調べた。具体的には、フェニルアセチルタウリン5mgを蒸留水1mLに溶解したものを、1日1回経口で投与した。コントロールには水のみを投与した。2週毎に、DCA Vantage HbA1cカートリッジ(シーメンスヘルスケア社製)を用いてHbA1cを測定した。測定結果を図5及び表4に示す。
Claims (8)
- 式(1)において、Arにおける置換基が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、炭素数1から6のアルキルカルボニル基、カルバモイル基、炭素数1から6のモノ又はジアルキルカルバモイル基、炭素数1から6のアシルアミノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルケニル基、炭素数1から6のアルキニル基、炭素数6から10のアリール基、炭素数1から6のアルキルオキシ基、炭素数1から6のアルケニルオキシ基、炭素数1から6のアルキニルオキシ基、アミノ基、炭素数1から6のモノ又はジアルキルアミノ基、カルボキシ基及びスルホ基からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の糖化産物生成抑制剤。
- 式(1)において、Arにおける置換基が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、炭素数1から6のアルキルカルボニル基、カルバモイル基、炭素数1から6のモノ又はジアルキルカルバモイル基、炭素数1から6のアシルアミノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルケニル基、炭素数1から6のアルキニル基、炭素数6から10のアリール基、炭素数1から6のアルキルオキシ基、炭素数1から6のアルケニルオキシ基、炭素数1から6のアルキニルオキシ基、アミノ基、炭素数1から6のモノ又はジアルキルアミノ基、カルボキシ基及びスルホ基からなる群から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の医薬組成物。
- 終末糖化産物の生成又は蓄積に由来する疾患が、糖尿病、糖尿病合併症、動脈硬化症、高血圧症、腎障害、認知症、アルツハイマー病及びパーキンソン病からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項3又は4に記載の医薬組成物。
- 糖尿病合併症が、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経症及び糖尿病血管合併症からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項5に記載の医薬組成物。
- 錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、経口液剤、シロップ剤、経口ゼリー剤、口腔用錠剤、口腔用スプレー剤、口腔用半固形剤、含嗽剤、注射剤及び吸入剤からなる群より選ばれる剤形のものである請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の医薬組成物を、対象(ヒトを除く)に投与することを含む、糖化産物の生成又は蓄積に由来する疾患群から選択される少なくとも1種の処置方法。
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