以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、共通する説明を簡略化または省略する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による除菌装置1の外観を示す斜視図である。図2は、図1に示す除菌装置1の断面図である。本実施の形態の除菌装置1は、水中の例えば細菌のような微生物が含まれた水に対して紫外線を照射することにより、水を除菌する処理を行う。「除菌」とは、微生物の数を減少させることと、微生物の増殖を抑制することとの少なくとも一方に相当する。除菌装置1は、例えば給湯装置、食器洗い機などの家電機器に組み込まれていてもよい。
本実施の形態の除菌装置1は、図2中の上方向及び下方向がそれぞれ鉛直上方及び鉛直下方となる姿勢で配置されることが望ましい。以下の説明では、そのような姿勢で除菌装置1が配置されている場合を例にして、「上」及び「下」の方向を特定する。また、上下方向に対して垂直な方向を「横方向」と称する。
除菌装置1は、第一ケーシング2及び第二ケーシング3を備える。第一ケーシング2及び第二ケーシング3は、互いに固定されている。第一ケーシング2及び第二ケーシング3は、除菌処理の対象となる水が流れる処理空間4を形成する。第一ケーシング2及び第二ケーシング3は、処理空間4が内部に形成された本体に相当している。第一ケーシング2は、処理空間4のうちの上側の領域を形成する。第二ケーシング3は、処理空間4のうちの下側の領域を形成する。図示の例では、第一ケーシング2及び第二ケーシング3のそれぞれは、円筒状の外形を有している。
本実施の形態における処理空間4の立体形状は、回転体に相当している。処理空間4の中心軸は、上下方向に沿って延びている。処理空間4の内周面4aは、処理空間4の中心軸に平行である。処理空間4のうち、内周面4aに囲まれた部分は、円筒状の形状を有している。処理空間4の内周面4bは、内周面4aよりも上の位置にある。内周面4bは、処理空間4の中心軸に対して傾斜している。内周面4bは、上に行くほど処理空間4の中心軸に近づく。処理空間4のうち、内周面4bに囲まれた部分は、円錐台状の形状を有している。
除菌装置1は、処理空間4への水の入口となる流入部5と、処理空間4からの水の出口となる排出部6と、処理空間4を流れる水に紫外線を照射する紫外線照射部7とをさらに備えている。
流入部5は、第二ケーシング3の外周面から横方向へ突出している。流入部5は、処理空間4に流入する水が通過する通路5aを有している。通路5aの中心軸は、処理空間4の中心軸に対し、ねじれの位置の関係にある。図示の例では、通路5aの中心軸は、処理空間4の中心軸に対して垂直な方向に延びている。図示の例に代えて、通路5aの中心軸が処理空間4の中心軸に対して傾斜していてもよい。排出部6は、処理空間4から流出する水が通過する通路6aを有している。排出部6は、第二ケーシング3の下面の中央から下へ向かって突出している。通路5aの内径、及び通路6aの内径のそれぞれは、処理空間4の最大直径よりも小さい。
図2は、処理空間4の中心軸を含む平面で切断した断面を表している。流入部5は、処理空間4の中心軸からずれた位置にあるため、図2には表れていない。図2では、流入部5の位置を破線で示している。
第一ケーシング2の上面には、処理空間4につながる開口が形成されている。紫外線照射部7は、当該開口を塞ぐようにして配置されている。本実施の形態における紫外線照射部7は、紫外線光源として紫外線LEDを備えている。紫外線照射部7は、処理空間4の上に位置しており、下へ向けて紫外線を照射する。紫外線照射部7は、処理空間4に面する位置に照射窓7aを有している。紫外線照射部7の紫外線光源から発せられた紫外線は、照射窓7aを透過して処理空間4へ出射する。
紫外線照射部7の紫外線LEDは、電源部(図示省略)から供給される直流電流により点灯する。紫外線照射部7は、点灯時に紫外線LEDが発生する熱を外部空間へ散逸させるためのヒートシンクのような放熱部を備えている。これにより、紫外線LEDの温度上昇を抑制することができる。
紫外線照射部7から照射される紫外線の中心波長は、220nm~300nmの範囲にあることが望ましい。220nm~300nmの波長を有する紫外線は、細菌の原形質である核酸に作用して増殖能力を奪うだけでなく、原形質を破壊して細菌を死滅させる作用を有する。このため、そのような波長の紫外線を照射することにより、除菌性能をさらに向上できる。
紫外線照射部7から照射される紫外線の光軸は、処理空間4の中心軸に平行であることが好ましい。また、当該光軸の位置は、処理空間4の中心軸の位置に一致していることが望ましい。それらのようにすることで、処理空間4内の水に対してより均一に紫外線を照射することが可能となる。
本実施の形態における除菌装置1は、水が、流入部5から処理空間4に流入し、処理空間4内を流れた後に排出部6から流出していく最中に、紫外線照射部7から紫外線を照射することにより、水を除菌する。このように、除菌装置1を通過していく水に対して紫外線を照射することにより、多量の水に紫外線を効率良く照射することができるので、除菌効率を向上する上で有利になる。
図2には、水の流れを模式的に表す流線が描かれている。本実施の形態における流入部5は、水が処理空間4の内周面4a,4bに沿って旋回しながら紫外線照射部7に近づく旋回流SFが発生するように水を流入させる。例えば、流入部5の通路5aが内周面4aの接線方向に沿って延びるように形成されていてもよい。通路5aを通った水流が内周面4aの接線方向から処理空間4に流入することにより、旋回流SFを効率良く発生させることができる。
流入部5から処理空間4に流入する水流に異物が混入している場合がある。本実施の形態であれば、流入部5から流入する水流に混入した異物が照射窓7aに衝突することを確実に抑制できる。このため、異物の衝突によって照射窓7aが割れたり傷ついたりすることを確実に防止できる。その結果、長期間の使用においても除菌性能の低下をより確実に抑制できる。
処理空間4は、紫外線照射部7が配置された第一端4cと、第一端4cとは反対側の端部である第二端4dとを有している。本実施の形態における流入部5及び排出部6は、第一端4cよりも第二端4dに近い位置にある。例えば、処理空間4の中心軸の方向の距離に関して、通路5aと処理空間4との境界における通路5aの中心位置と第二端4dとの距離が、当該中心位置と第一端4cとの距離よりも短ければ、流入部5が第一端4cよりも第二端4dに近い位置にあると言える。排出部6についてもこれと同様である。
第一端4cは、紫外線照射部7と処理空間4との境界の位置に相当する。本実施の形態における第二端4dは、処理空間4の中心軸に対して垂直な内壁面を形成している。第二端4dには、処理空間4と通路6aとの境界に相当する開口6bが形成されている。開口6bの中心は、処理空間4の中心軸上に位置する。
旋回流SFにおいて、水は、旋回しながら上方へ移動する。すなわち、旋回流SFの水は、紫外線照射部7に近づくように流れる。そして、水は、紫外線照射部7の近くに達すると、旋回流SFの内側において、下方へ流れる。このように、旋回流SFの内側において、旋回流SFの移動方向とは反対の方向へ水が流れる中心軸流AFが発生する。すなわち、中心軸流AFの水は、紫外線照射部7から離れるように流れる。そして、中心軸流AFの水は、開口6bから通路6aを通って排出される。
処理空間4を通過する水に紫外線が照射される時間を以下「照射時間」と称する。また、水に照射される紫外線の強度を以下「照射強度」と称する。照射時間が長いほど除菌性能が高くなると言える。また、照射強度が高いほど除菌性能が高くなると言える。一般に、水と紫外線照射部7との距離が近いほど、照射強度が高くなると言える。
本実施の形態の除菌装置1は、流入部5を通って処理空間4に流入した水が、紫外線照射部7に近づくように流れた後に、紫外線照射部7から離れるように流れた上で排出部6を通って排出されるように構成されている。これにより、以下の効果が得られる。水が処理空間4を通過するのに要する時間が長くなるので、照射時間が長くなる。その結果、除菌性能を向上する上で有利になる。さらに、水が紫外線照射部7に近づくように流れた後に紫外線照射部7から離れるように流れるので、紫外線照射部7に近い位置を水が通る時間を長くすることができる。このため、照射強度を高くすることができるので、より高い効率で除菌することができる。
また、本実施の形態であれば、旋回流SFが形成されることで、水が処理空間4を通過するのに要する時間を長くする上でより有利になるので、照射時間をさらに長くすることが可能となる。その結果、除菌性能を向上する上でより有利になる。
また、本実施の形態であれば、紫外線照射部7の光軸に沿って流れる中心軸流AFが形成されることで、高い強度の紫外線に水が当たる時間を長くする上でより有利になる。その結果、除菌性能を向上する上でより有利になる。
また、本実施の形態であれば、流入部5及び排出部6が、第一端4cよりも第二端4dに近い位置にあることで、以下の効果が得られる。流入部5から流入した水が、第一端4cに位置する紫外線照射部7の近傍に到達するまでの時間を長くできる。また、紫外線照射部7の近傍に到達した水が排出部6に到達するまでの時間を長くできる。これらのことから、照射時間を長くする上でより有利になる。
図1に示すように、流入部5の通路5aは、円形の断面形状を有している。通路5aの断面形状とは、通路5aの軸方向に対して垂直な断面の形状を指すものとする。変形例として、流入部5の通路5aが矩形の断面形状を有するようにしてもよい。通路5aの断面形状を矩形とすることにより、通路5aの内壁面のうち、当該矩形の一辺に相当する内壁面が処理空間4の内周面4aの接平面となって内周面4aに連なるように構成することができる。これにより、通路5aを通った水が内周面4aに沿ってよりスムーズに流入するため、旋回流SFをより確実に整流することができる。その結果、処理空間4における水の滞留時間をより長期化することができ、照射時間をさらに長くして除菌性能をより高めることができる。
流入部5は、通路5aから処理空間4内へ出た水流の向きが、紫外線照射部7に近づく方向へ流れる向きとなるように構成されていてもよい。例えば、図2において、通路5aの中心線が、水平ではなく、下流側に向かって斜め上を向くように傾斜していてもよい。あるいは、通路5a内に設けた羽根(図示省略)によって、通路5aから処理空間4内へ出る水流の向きが斜め上になるように整流してもよい。上記のようにすることで、流入部5から処理空間4に流入した水を、紫外線照射部7の照射窓7aの近傍にまで、より確実に到達させることができる。その結果、照射時間を長くする上でより有利になるとともに、高い強度の紫外線に水がより確実に当たるようになるので、除菌性能を向上する上でより有利になる。
処理空間4に流入する水には、汚れが含まれている可能性がある。この汚れとは、例えば、皮脂、残菜、その他のごみなどである。本実施の形態であれば、処理空間4の上に配置された紫外線照射部7から下へ向けて紫外線を照射することで、以下の効果が得られる。照射窓7aが下を向いているので、照射窓7aの表面に汚れが堆積して付着することをより確実に抑制できる。このため、照射窓7aを透過する紫外線が汚れによって遮られることをより確実に抑制できるので、長期間の使用においても除菌性能の低下をより確実に抑制できる。
処理空間4の内壁面のうちの少なくとも一部の領域を、紫外線反射率が比較的高い材料により形成してもよい。当該材料を以下「紫外線反射材料」と称する。紫外線反射材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)等のフッ素系樹脂、ステンレス鋼(SUS)等の金属が挙げられる。これらの紫外線反射材料は、紫外線耐性にも優れている。処理空間4の内壁面のうちの少なくとも一部の領域を、紫外線反射材料により形成した場合には、処理空間4の内壁面で反射した紫外線を再び水に照射することが可能となる。また、処理空間4の内壁面で反射した紫外線が、紫外線照射部7から遠い範囲にまで到達することで、紫外線照射部7から遠い位置においても、紫外線を水に照射することが可能となる。これらのことから、除菌性能を向上する上でより有利になる。
本体となる第一ケーシング2及び第二ケーシング3の全体が紫外線反射材料で作られていてもよい。また、紫外線反射材料よりも紫外線反射率の低い材料を紫外線反射材料と併用して第一ケーシング2及び第二ケーシング3が作られていてもよい。紫外線反射材料よりも紫外線反射率の低い材料を以下「通常材料」と称する。紫外線反射材料よりもコストの低い通常材料を併用することで、除菌装置1の製造コストの抑制に有利になる。例えば、第一ケーシング2及び第二ケーシング3を通常材料で形成し、処理空間4の内壁面に、紫外線反射材料からなる皮膜を例えば塗装などにより形成してもよい。なお、紫外線反射材料が「第一材料」に相当し、通常材料が「第二材料」に相当する。
図示を省略するが、変形例として、第二端4dよりも第一端4cに近い位置に流入部5及び排出部6を配置してもよい。この変形例においては、流入部5は、水が処理空間4の内周面4aに沿って旋回しながら紫外線照射部7から離れるように流れる旋回流SFが発生するように水を流入させる。そして、この旋回流SFの水が、第二端4dの近くで折り返し、旋回流SFの内側を通って紫外線照射部7に近づくように流れた上で排出部6を通って排出される。この変形例においても、上述した実施の形態1に類似した効果が得られる。
実施の形態2.
次に、図3を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。図3は、実施の形態2による除菌装置8を、処理空間4の中心軸を含む平面で切断した断面図である。
図3に示すように、本実施の形態の除菌装置8では、処理空間4の中心軸に対して傾斜した傾斜面4eが処理空間4の内壁に形成されている。傾斜面4eは、紫外線照射部7から照射された紫外線を反射させる。傾斜面4eは、照射窓7aに対して、斜めの方向から向かい合うように位置している。傾斜面4eは、下に行くほど処理空間4の中心軸に近づくように傾斜している。傾斜面4eは、円錐面に沿う形状を有していてもよい。傾斜面4eは、処理空間4の中心軸に平行な内周面4aの下側に位置している。傾斜面4eは、紫外線反射材料で形成されている。本実施の形態であれば、傾斜面4eで反射した紫外線が再び水に照射されることで、除菌性能を向上する上でより有利になる。
実施の形態3.
次に、図4及び図5を参照して、実施の形態3について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。図4は、実施の形態3による除菌装置9の外観を示す斜視図である。図5は、図4に示す除菌装置9を、処理空間4の中心軸を含む平面で切断した断面図である。図5には、水の流れを模式的に表す流線が描かれている。
これらの図に示すように、本実施の形態の除菌装置9は、流入部5が第二ケーシング3ではなく第一ケーシング2の外周面から横方向へ突出している点において実施の形態1と異なる。また、除菌装置9は、排出部6が、第二ケーシング3の下面ではなく第二ケーシング3の外周面から横方向へ突出している点において実施の形態1と異なる。図示の例では、通路6aの中心軸は、処理空間4の中心軸に対して垂直な方向に延びている。図示の例に代えて、通路6aの中心軸が処理空間4の中心軸に対して傾斜していてもよい。通路6aの中心軸は、処理空間4の中心軸に対して、交差していてもよいし、ねじれの位置の関係にあってもよい。
図5に示す処理空間4の内周面4aは、第一端4cの近くから第二端4dまで、処理空間4の中心軸に対して平行になっている。すなわち、処理空間4のほぼ全体が円筒状の形状を有している。図示の例に代えて、実施の形態1と同様に、処理空間4の中心軸に対して傾斜した内周面4bが第一端4c側に形成されていてもよい。
除菌装置9では、実施の形態1と同様にして旋回流SF及び中心軸流AFが形成される。これにより、実施の形態1と同様の効果が得られる。中心軸流AFが旋回流SFの内側を通過すると、水流は、横方向へ向きを変えて、排出部6を通って排出される。
流入部5及び排出部6は、第一端4cよりも第二端4dに近い位置にある。また、排出部6と第二端4dとの距離は、流入部5と第二端4dとの距離よりも小さい。図示の例に代えて、例えば、流入部5が、第一端4c及び第二端4dの双方から等距離の位置にあってもよい。
実施の形態4.
次に、図6及び図7を参照して、実施の形態4について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。図6は、実施の形態4による除菌装置10の外観を示す斜視図である。図7は、図6に示す除菌装置10を、処理空間4の中心軸を含む平面で切断した断面図である。図7には、水の流れを模式的に表す流線が描かれている。
これらの図に示すように、本実施の形態の除菌装置10における流入部5は、第一ケーシング2の上面から上方へ突出している。流入部5の通路5aの中心軸は、処理空間4の中心軸に対して、所定距離だけ離れて平行になっている。排出部6は、第一ケーシング2の外周面から横方向へ突出している。図示の例では、排出部6の通路6aの中心軸は、処理空間4の中心軸に対して垂直な方向に延びている。処理空間4の内周面4aは、第一端4cの近くから第二端4dまで、処理空間4の中心軸に対して平行になっている。すなわち、処理空間4の全体がほぼ円筒状の形状を有している。
図示の例では、紫外線照射部7は、その光軸が処理空間4の中心軸から所定距離だけ離れて平行になるように配置されている。図示の例に代えて、紫外線照射部7の光軸が処理空間4の中心軸に一致するように紫外線照射部7が配置されていてもよい。
図7に示すように、流入部5及び排出部6は、第二端4dよりも第一端4cに近い位置にある。すなわち、流入部5及び排出部6は、紫外線照射部7に比較的近い位置に配置されている。
流入部5の通路5aを通って処理空間4に流入した水は、第二端4dへ向かって、処理空間4の中心軸に平行に流れる下降流DFを形成する。下降流DFの水は、第二端4dの近くで向きを変え、第一端4c及び紫外線照射部7へ向かって、処理空間4の中心軸に平行に流れる上昇流UFを形成する。
以上説明したように、本実施の形態の除菌装置10は、流入部5を通って処理空間4に流入した水が、下降流DFを形成して紫外線照射部7から離れるように流れた後に、上昇流UFを形成して紫外線照射部7に近づくように流れた上で排出部6を通って排出されるように構成されている。これにより、以下の効果が得られる。水が処理空間4を通過するのに要する時間が長くなるので、照射時間が長くなる。その結果、除菌性能を向上する上で有利になる。さらに、水が紫外線照射部7から離れるように流れた後に紫外線照射部7に近づくように流れるので、紫外線照射部7に近い位置を水が通る時間を長くすることができる。このため、照射強度を高くすることができるので、より高い効率で除菌することができる。
本実施の形態であれば、流入部5から流入する水流が紫外線照射部7から離れるように流れることで、以下の効果が得られる。流入部5から流入する水流に混入した異物が照射窓7aに衝突することを確実に抑制できる。このため、異物の衝突によって照射窓7aが割れたり傷ついたりすることを確実に防止できる。その結果、長期間の使用においても除菌性能の低下をより確実に抑制できる。
本実施の形態では、処理空間4の中心軸の方向から見たときに、流入部5と排出部6とが、処理空間4の中心軸を挟んで互いに反対側の位置に配置されている。また、処理空間4の中心軸の方向から見たときに、流入部5と排出部6とが、紫外線照射部7の光軸を挟んで互いに反対側の位置に配置されている。このような配置により、処理空間4の全体に水が均一に流れるとともに、紫外線強度の高い領域を水が通過する時間を長くする上で有利になる。その結果、除菌性能をさらに向上することが可能となる。
実施の形態5.
次に、図8を参照して、実施の形態5について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。図8は、実施の形態5による除菌装置11を、処理空間4の中心軸を含む平面で切断した断面図である。
図8に示すように、本実施の形態の除菌装置11は、処理空間4において、紫外線照射部7に近づくように水が流れる領域4fと、紫外線照射部7から離れるように水が流れる領域4gとを隔てるように配置された隔壁12を備えている点が実施の形態1と異なる。隔壁12は、排出部6の通路6aの内径に等しい内径を有する円筒状の形状を有している。隔壁12の下端は、第二端4dに固定されている。隔壁12の内周面が通路6aの内周面に対して滑らかに接続されている。領域4fは、旋回流SFが流れる空間に相当する。領域4fは、内周面4aと、隔壁12の外周面との間の空間である。領域4gは、中心軸流AFが流れる空間に相当する。領域4gは、隔壁12の内周側の空間である。隔壁12の上端は、第一端4cと第二端4dとの間の途中の位置にある。
本実施の形態であれば、隔壁12を設けたことで、領域4fの水流と、領域4gの水流とのそれぞれをより円滑に流れさせることができる。その結果、除菌装置11を通る水流の圧力損失を低減することが可能となる。隔壁12の少なくとも表面は、紫外線反射材料で形成されていてもよい。隔壁12の表面で紫外線を反射させることで、反射した紫外線を再び水に照射することができる。あるいは、隔壁12の少なくとも一部が、紫外線が透過可能な紫外線透過材料で形成されていてもよい。紫外線が隔壁12を透過可能とすることで、隔壁12を透過した紫外線を再び水に照射することができる。紫外線透過材料としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂などを用いることができる。
図示を省略するが、前述した図7に示す除菌装置10の変形例として、処理空間4において、紫外線照射部7から離れるように下降流DFが流れる領域と、紫外線照射部7に近づくように上昇流UFが流れる領域とを部分的に隔てる隔壁を設けてもよい。当該隔壁は、例えば、平板状の形状を有していてもよい。この変形例によれば、下降流DF及び上昇流UFのそれぞれをより円滑に流れさせることができる。その結果、除菌装置10における水の圧力損失を低減することが可能となる。
実施の形態6.
次に、図9を参照して、実施の形態6について説明するが、前述した実施の形態との相違点を中心に説明し、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付して、共通する説明を簡略化または省略する。図9は、実施の形態6による給湯装置100を示す図である。図9に示すように、本実施の形態の給湯装置100は、ヒートポンプユニット13と、タンクユニット14と、除菌装置15とを備える。除菌装置15は、前述した除菌装置1,8,9,10,11のいずれかと同様の構成を備えている。
ヒートポンプユニット13は、圧縮機16、熱交換器17、減圧装置18、蒸発器19、及び冷媒配管20を備える。冷媒配管20は、圧縮機16、熱交換器17、減圧装置18、及び蒸発器19を環状に接続する。圧縮機16は、低圧冷媒ガスを圧縮する。熱交換器17は、圧縮機16により圧縮された高温高圧の冷媒と、水との間で熱を交換する。水は、熱交換器17内で加熱されることで湯になる。減圧装置18は、熱交換器17を通過した高圧冷媒を減圧させて膨張させる。膨張弁を減圧装置18として用いてもよい。蒸発器19は、減圧装置18を通過した低圧冷媒を蒸発させる。蒸発器19は、外気の熱を冷媒に吸収させることで冷媒を蒸発させるものでもよい。蒸発器19で蒸発した低圧冷媒ガスは、圧縮機16に吸入される。
タンクユニット14内には、除菌装置15、貯湯タンク21、第一ポンプ22、切替弁23、風呂熱交換器24、第二ポンプ25、第三ポンプ26、減圧弁27、給湯混合弁28、風呂混合弁29、及び制御装置50が備えられている。
貯湯タンク21は、ヒートポンプユニット13により加熱された湯を貯留する。貯湯タンク21内には、温度による水の密度の違いによって、温度成層を形成できる。すなわち、貯湯タンク21内は、上側が高温で下側が低温になる。
給水路30は、外部からタンクユニット14の内部に引き込まれている。給水路30には、例えば上水道のような水源からの水が流れる。給水路30は、タンクユニット14の内部で減圧弁27に接続されている。減圧弁27は、給水路30から供給される水の圧力を所定圧力に減圧する。減圧弁27の下流は、給水路31と給水路32とに分岐している。給水路31は、貯湯タンク21の下部にある水入口21aに接続されている。給水路30及び給水路31を通って水が貯湯タンク21の下部に流入することで、貯湯タンク21は満水状態に維持される。給水路32は、給湯混合弁28及び風呂混合弁29のそれぞれに水を供給可能に接続されている。
貯湯タンク21の下部にある水出口21bは、水路33を介して、ヒートポンプユニット13内の熱交換器17の水入口に接続されている。水路33の途中の位置に第一ポンプ22が接続されている。第一ポンプ22は、貯湯タンク21とヒートポンプユニット13との間で水を循環させる。図示の構成では第一ポンプ22がタンクユニット14に内蔵されているが、第一ポンプ22がヒートポンプユニット13内に配置されてもよい。
熱交換器17の水出口は、水路34を介して、タンクユニット14内の切替弁23の入口に接続されている。水路33及び水路34の一部は、ヒートポンプユニット13及びタンクユニット14の外部を通る。貯湯タンク21の上部にある湯入口21cは、上部通路35を介して、切替弁23の第一出口に接続されている。切替弁23の第二出口は、バイパス通路36を介して、貯湯タンク21の戻り口21dに接続されている。戻り口21dは、貯湯タンク21の下部において、水入口21a及び水出口21bより高い位置にある。切替弁23は、水路34を上部通路35に連通させる状態と、水路34をバイパス通路36に連通させる状態とに、流路を切替可能である。
本実施の形態の給湯装置100は、浴室にある浴槽200に湯を供給できる。以下の説明では、浴槽200に溜められた湯を「浴槽水」と呼ぶことがある。風呂熱交換器24は、浴槽水を再加熱するための熱交換器である。風呂熱交換器24は、一次側流路及び二次側流路を備える。貯湯タンク21の上部にある湯出口21eは、水路37を介して、風呂熱交換器24の一次側流路の入口である第一入口24aに接続されている。風呂熱交換器24の一次側流路の出口である第一出口24bは、水路38を介して、貯湯タンク21の戻り口21fに接続されている。戻り口21fは、貯湯タンク21の下部において、水入口21a及び水出口21bより高い位置にある。水路38の途中の位置に第二ポンプ25が接続されている。第二ポンプ25は、貯湯タンク21と風呂熱交換器24との間で水を循環させる。
風呂熱交換器24の二次側流路の入口である第二入口24cは、水路39を介して、浴槽200に接続されている。水路39の途中の位置に第三ポンプ26が接続されている。風呂熱交換器24の二次側流路の出口である第二出口24dは、水路40を介して、浴槽200に接続されている。水路39及び水路40は、浴槽アダプタ210を介して、浴槽200内に連通している。第三ポンプ26は、浴槽200と風呂熱交換器24との間で浴槽水を循環させる。
湯路41は、水路37の途中の位置から分岐して、給湯混合弁28及び風呂混合弁29のそれぞれに湯を供給可能に接続されている。本実施の形態の給湯装置100は、給湯栓300に湯を供給できる。給湯栓300は、例えば、浴室のシャワー、キッチンシンクの蛇口、洗面所の蛇口のうちの少なくとも一つでもよい。給湯混合弁28の出口は、湯路42を介して、給湯栓300に接続されている。給水路43は、タンクユニット14の外部において、給水路30から分岐して延びて、給湯栓300に接続されている。
風呂混合弁29の出口は、給湯管44を介して、水路39の途中の位置に接続されている。給湯管44の途中の位置には、風呂電磁弁45が設置されている。風呂電磁弁45は、給湯管44の通路を開閉する。
制御装置50は、給湯装置100の運転を制御する。給湯装置100が備えるアクチュエータ、センサなどの電子機器は、制御装置50に対して電気的に接続されている。除菌装置15、圧縮機16、減圧装置18、第一ポンプ22、切替弁23、第二ポンプ25、第三ポンプ26、給湯混合弁28、風呂混合弁29、風呂電磁弁45等の動作は、制御装置50により制御される。
端末装置60は、制御装置50に対して、無線または有線により、双方向にデータ通信可能に接続されている。端末装置60は、給湯装置100に対するユーザーインターフェースとしての機能を有している。端末装置60は、例えばキッチンまたは浴室に設置されてもよい。給湯装置100は、異なる場所に設置された複数の端末装置60を備えてもよい。あるいは、端末装置60は、持ち運び可能なものでもよい。端末装置60が制御装置50と直接通信する構成に限らず、端末装置60が他の機器を介して制御装置50と通信する構成にしてもよい。
端末装置60は、操作部61及び表示装置62を備える。操作部61は、使用者が操作する複数の入力スイッチを有する。給湯装置100の運転に関する指令及び設定値の変更などを、端末装置60に対して入力できる。端末装置60は、その入力された情報を制御装置50へ送信する。制御装置50は、端末装置60から受信した情報に応じて、給湯装置100の運転を制御する。表示装置62は、文字、図形等を表示することで情報を表示できる。
浴槽200への給湯運転について以下に説明する。制御装置50が風呂電磁弁45を開くと、浴槽200への給湯運転が開始する。この給湯運転のときには、以下のようになる。水源から供給される低温水が、給水路30及び給水路32を通って、風呂混合弁29の第一入口に流入する。貯湯タンク21の上部の湯出口21eから流出した高温水が、水路37及び湯路41を通って、風呂混合弁29の第二入口に流入する。このとき、湯出口21eから流出した高温水と同量の低温水が、給水路31及び水入口21aを通って貯湯タンク21の下部に流入する。風呂混合弁29は、低温水と高温水とを混合することにより、給湯温度を調整する。風呂混合弁29から流出した湯は、給湯管44、水路39及び水路40を通って、浴槽200に流入する。
次に、浴槽200に対する追い焚き運転について説明する。追い焚き運転は、浴槽水を再加熱する運転である。追い焚き運転のときには、以下のようになる。第二ポンプ25及び第三ポンプ26が運転される。浴槽200の浴槽水が、水路39、第三ポンプ26、風呂熱交換器24、水路40を通過して、浴槽200に戻るように循環する。貯湯タンク21の上部の湯出口21eから流出した高温水が、水路37を通って、風呂熱交換器24に流入する。風呂熱交換器24内で、浴槽水が高温水によって加熱される。風呂熱交換器24内で、高温水は、浴槽水に熱を奪われることで、中温水になる。風呂熱交換器24から流出した中温水は、水路38及び第二ポンプ25を通って、戻り口21fから貯湯タンク21内に流入する。
除菌装置15は、風呂熱交換器24の第二出口24dと、浴槽200との間をつなぐ水路40の途中の位置に設置されている。除菌装置15は、水路40を通る浴槽水に紫外線を照射する。第三ポンプ26が運転されると、浴槽水が除菌装置15内を通って流れる。
浴槽200に湯が溜められているときに、制御装置50は、第三ポンプ26を運転して除菌装置15により浴槽水を除菌する除菌運転を行う。除菌運転では、浴槽200内の浴槽水が除菌装置15を経由して浴槽200内に戻るように循環する。これにより、浴槽200内の浴槽水の全体を効率良く除菌することができる。浴槽200に湯が溜められた後、制御装置50は、間欠的に除菌運転を実施してもよい。そのようにすることで、1日のうちでの除菌装置15の稼働時間を抑制しつつ、浴槽水を確実に除菌することができる。その結果、除菌装置15の機能をより長期間保持することができる。
除菌装置15では、処理空間4の上に紫外線照射部7が配置され、下に向いた照射窓7aから下へ向けて紫外線が照射される。これにより、浴槽水に含まれる皮脂などの汚れが照射窓7aの表面に堆積して付着することをより確実に抑制できる。それゆえ、長期間の使用においても除菌性能の低下をより確実に抑制できる。
制御装置50は、第三ポンプ26が運転されて除菌装置15内を浴槽水が流れている最中には紫外線照射部7に電力を供給し、第三ポンプ26が停止して除菌装置15内を浴槽水が流れていないときには紫外線照射部7への電力供給を停止する。これにより、電力消費を抑制しつつ、浴槽水を効率良く除菌することができる。
制御装置50は、浴槽水が汚れているかどうかを検知し、浴槽水が汚れていることが検知された場合に、除菌運転を開始してもよい。浴槽水が汚れているかどうかを検知する方法としては、例えば、浴槽水の汚れを検出する汚れセンサ(図示省略)を浴槽水の流路または浴槽200に設けてもよいし、浴槽200に入浴した人の数に基づいて浴槽水が汚れているかどうか判定してもよい。制御装置50は、例えば、水位センサ(図示省略)により検出される浴槽200の水位の変動から入浴者数を判定してもよいし、浴室に設けられた人感センサ(図示省略)によって入浴者数を検出してもよい。
実施の形態7.
次に、図10を参照して、実施の形態7について説明するが、前述した実施の形態との相違点を中心に説明し、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付して、共通する説明を簡略化または省略する。図10は、実施の形態7による食器洗い機70を示す図である。図10に示すように、本実施の形態の食器洗い機70は、除菌装置71を備えている。除菌装置71は、前述した除菌装置1,8,9,10,11のいずれかと同様の構成を備えている。
食器洗い機70は、筐体72及び扉73を備えている。筐体72は、食器洗い機70の外郭を形成している。扉73は、筐体72の前部に設けられている。筐体72の内部に洗浄槽74が設けられている。洗浄槽74の内部に食器かご75及び洗浄ノズル76が設けられている。洗浄ノズル76は、食器かご75の下に位置する。例えば食器、調理道具等の洗浄対象物84は、食器かご75に収納される。
洗浄槽74の底の一部の領域に凹部77が形成されている。洗浄槽74内に供給された洗浄水は、凹部77内に溜まる。凹部77内に湯沸しヒータ78が設けられている。湯沸しヒータ78は、洗浄ノズル76よりも下に位置する。
筐体72の内部であって洗浄槽74の下に洗浄ポンプ79及び排水ポンプ80が設けられている。凹部77と洗浄ポンプ79の吸入口とをつなぐ水路の途中に除菌装置71が設置されている。凹部77内の洗浄水は、除菌装置71内を通って、洗浄ポンプ79に吸入される。
筐体72の内部であって洗浄槽74の奥に、送風機81及び乾燥用ヒータ82が設けられている。扉73と洗浄槽74との間の空間に制御装置83が設けられている。
制御装置83が洗浄ポンプ79を動作させると、洗浄ポンプ79は、凹部77内から吸入した洗浄水を洗浄ノズル76へ送る。この洗浄水が洗浄ノズル76から上方へ噴射されることで、洗浄対象物84が洗浄される。
本実施の形態であれば、洗浄ポンプ79の運転中に、制御装置83は、除菌装置71の紫外線照射部7に電力を供給することにより、紫外線照射部7から紫外線を照射することができる。これにより、除菌装置71を通過する洗浄水を除菌することができる。その結果、衛生性をさらに向上することができる。
除菌装置71に流入する洗浄水には、残菜などの汚れが混入している可能性がある。除菌装置71では、処理空間4の上に紫外線照射部7が配置され、下に向いた照射窓7aから下へ向けて紫外線が照射される。これにより、洗浄水に混入した残菜などの汚れが照射窓7aの表面に堆積して付着することをより確実に抑制できる。それゆえ、長期間の使用においても除菌性能の低下をより確実に抑制できる。
なお、上述した複数の実施の形態のうち、組み合わせることが可能な二つ以上を組み合わせて実施してもよい。