図1,2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置3が設けられ、刈取装置3の後方左側に刈取られた穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に作業者が搭乗する操縦部5が設けられている。
操縦部5の下側にはエンジンEを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する上下方向に延在する揚穀部と前後方向に延在する横排出からなる排出オーガ8が設けられている。
図3~5に示すように、操縦部5の操縦席10の前側には、フロントパネル11が設けられている。フロントパネル11の上側には、作業者が操縦姿勢を維持するために把持する左右方向に延在するロッド12が設けられ、フロントパネル11の右部には、刈取装置3を昇降等させる操作レバー13が設けられている。
操縦部5の操縦席10の左側には、サイドパネル20が設けられている。サイドパネル20は、前後方向に延在するサイドパネル部(請求項の「第1パネル部」)21と、サイドパネル部21の左側に設けられた制御パネル部22から形成され、サイドパネル部21の下部は、カバー23で覆われている。また、サイドパネル部21の前側には、エンジンEの出力回転の回転速度等を表示するモニタ15が設けられている。なお、本実施形態においては、サイドパネル部21と制御パネル部22は一体に形成されているが分割して形成することもできる。
サイドパネル部21の前部には、エンジンEの出力回転の増減速や回転方向の切替えを行う油圧式無段変速機16を操作する変速レバー24が設けられ、変速レバー24の後側には、油圧式無段変速機16の出力回転の増減速を行うトランスミッション17やエンジンEの出力回転の伝動経路に設けられた刈取クラッチ18と脱穀クラッチ19を操作するモードセレクトレバー25が設けられている。
変速レバー24を中立姿勢にした場合には、油圧式無段変速機16の出力回転はゼロになる。変速レバー24を中立姿勢から前側傾斜姿勢した場合には、油圧式無段変速機16の出力回転の回転方向はエンジンEの出力回転の回転方向と同じ正回転となり、前側傾斜姿勢の傾斜角度を大きくすると油圧式無段変速機16の出力回転は高速になり、前側傾斜姿勢の傾斜角度を小さくすると油圧式無段変速機16の出力回転は低速になる。変速レバー24を中立姿勢から後側傾斜姿勢した場合には、油圧式無段変速機16の出力回転の回転方向はエンジンEの出力回転の回転方向と逆さの逆回転となり、後側傾斜姿勢の傾斜角度を大きくすると油圧式無段変速機16の出力回転は高速になり、後側傾斜姿勢の傾斜角度を小さくすると油圧式無段変速機16の出力回転は低速になる。
モードセレクトレバー25を前側傾斜姿勢にした場合には、刈取クラッチ18と脱穀クラッチ19の接続が解除されて刈取装置3と脱穀装置4の駆動は停止する。モードセレクトレバー25を中立姿勢にした場合には、刈取クラッチ18が接続されて刈取装置3は駆動し、脱穀クラッチ19の接続は引続き解除されて脱穀装置4の駆動は引続き停止する。モードセレクトレバー25を後側傾斜姿勢にした場合には、脱穀クラッチ19が接続されて脱穀装置4は駆動し、刈取クラッチ18の接続は引続き接続され刈取装置3は引続き駆動する。
また、モードセレクトレバー25を中立姿勢にした場合には、トランスミッション17に伝動された油圧式無段変速機16の出力回転は増減速されず走行装置2に伝動され、前側傾斜姿勢にした場合には、減速されて走行装置2に伝動され、後側傾斜姿勢にした場合には、増速されて走行装置2に伝動される。
制御パネル部(請求項の「第2パネル部」)22の左側下方には、キャビン60の左壁61の右面に設けられた電装品52を保護する保護カバー50が設けられている。これにより、複数の電装品52を一か所に集めて設けることができるので、配策作業が容易に行え、電装品52の交換も容易に行うことができる。
図6に示すように、制御パネル部22における変速レバー24に対向するスイッチ領域26には、刈取装置3の刈取高さの切替えを行うスイッチ26Aが設けられ、制御パネル部22におけるモードセレクトレバー25に対向するダイヤル領域27には、キャビン60内の温度を昇降させるダイヤル27Aが設けられている。これにより、作業者は、前屈み姿勢になることなく変速レバー24やモードセレクトレバー25から手を離してスイッチ26Aやダイヤル27Aを容易に操作することができるので、操縦安全性と操作性を高めることができる。
図7に示すように、モードセレクトレバー25におけるサイドパネル部21から上方に延出する部位の長さは、変速レバー24におけるサイドパネル部21から上方に延出する部位の長さよりも短く形成されている。これにより、モードセレクトレバー25によって作業者の視界が遮られるのを抑制することができる。
スイッチ領域26の前後方向の長さは、ダイヤル領域27の前後方向の長さよりも長く形成され、スイッチ領域26の上下方向の長さは、ダイヤル領域27の上下方向の長さよりも長く形成されている。これにより、スイッチ領域26に大きな操作部を有するスイッチ26Aを設けることができ、操作性をより高めることができる。また、スイッチ領域26で保護カバー50の上側を覆うことができるので保護カバー50に埃等が堆積するのを防止することができる。
図8に示すように、サイドパネル部21の左端部から下方に延在する垂下部21Aの前部には、変速レバー24の基部が揺動自在に固定され、変速レバー24の揺動角度はポテンションメータ等の角度センサ24Aで計測されている。また、垂下部21Aの後部には、モードセレクトレバー25の基部が揺動自在に固定され、モードセレクトレバー25の揺動角度はポテンションメータ等の角度センサ25Aでされている。
側面視において、ダイヤル領域27に設けられた複数のダイヤル27Aは、後下がり傾斜の仮想線L上に所定の間隔を隔てて設けられ、ダイヤル領域27の前部に設けられたダイヤル27Aは、前側傾斜姿勢時のモードセレクトレバー25の把持部に重なる位置に設けられている。これにより、作業者は、前屈み姿勢になることなくモードセレクトレバー25から手を離してダイヤル27Aをより容易に操作することができる。なお、本実施形態においては、ダイヤル領域27の中間部に設けられたダイヤル27Aを中立姿勢時のモードセレクトレバー25の把持部に重なる位置に設け、ダイヤル領域27の後部に設けられたダイヤル27Aを後側傾斜姿勢時のモードセレクトレバー25の把持部に重なる位置に設けている。
サイドパネル部21における前側部、すなわち、変速レバー24を挿通する溝が形成された部位は、略水平に形成されている。また、サイドパネル部21における後側部は、すなわち、モードセレクトレバー25を挿通する溝が形成された部位は、緩やかに後下がり傾斜に形成されている。これにより、中立姿勢や後側傾斜姿勢のモードセレクトレバー25の把持部をサイドパネル部21における後側部の上面から所定の長さ上方に位置させることができる。
図9に示すように、サイドパネル部21の垂下部21Aの上部は、前後方向に延在する角パイプからなる前後フレーム30に固定されている。また、前後フレーム30の後部は、支軸(請求項の「第1支軸」)31に回転自在に固定された揺動プレート32の右面の上部に固定されている。これにより、支軸31を中心としてサイドパネル20を揺動させて、サイドパネル20の長手方向が前後方向に沿う操作姿勢と、サイドパネル20の長手方向が上下方向に沿う開放姿勢に移動させることができる。
揺動プレート32は、支軸31に回転自在に固定されている前後と上下方向に延在するプレート部32Aと、プレート部32Aの左面の前後方向の中間部に立設されたリブ部32Bから形成されており、前後フレーム30の後部は、リブ部32Bの左端部に固定されている。これにより、揺動プレート32の変形を抑制して、サイドパネル20をスムーズに揺動させることができる。
前後フレーム30の下面には、前後方向に所定の間隔を隔てて下方に延在する連結部材33が設けられ、連結部材33の下部には、前後方向に延在する丸パプからなる前後パイプ34が設けられている。また、前後パイプ34の後部は、右側に湾曲した後に、揺動プレート32の右面の前側下部に固定されている。なお、本実施形態においては、連結部材33は前後方向で水平に設けられているが後下がり傾斜に設けることもできる。
モニタ15の下面は、左右方向に延在するピン35を介して湾曲自在な支持パイプ36の前部に固定されている。また、支持パイプ36の後部は前後パイプ34の前部に固定されている。これにより、支軸31を中心としてモニタ15をサイドパネル20と連動させて、モニタ15がサイドパネル20の前側に位置する操作姿勢と、モニタ15がサイドパネル20の上側に位置する開放姿勢に移動させることができる。
図10,11に示すように、サイドパネル部21の垂下部21Aは、上部が下部よりも右側に位置する右側傾斜姿勢に設けられている。これにより、サイドパネル部21は、緩やかに右下がり傾斜に形成され、変速レバー24とモードセレクトレバー25は、上部が下部よりも右側に位置する右側傾斜姿勢に設けることができるので、作業者は、前屈み姿勢になることなく変速レバー24とモードセレクトレバー25を容易に操作することができる。
サイドパネル部21と制御パネル部22の交差角度は略115度に形成されている。これにより、作業者は、制御パネル部22のスイッチ領域26に設けられたスイッチ26Aやダイヤル領域27に設けられたダイヤル27Aを容易に視認することができスイッチ26A等の誤操作を抑制することができる。
制御パネル部22の上端部は、中立姿勢時の変速レバー24の上端部と略同一高さに形成されている。また、モニタ15の上端部は、中立姿勢時の変速レバー24の上端部と略同一高さに形成され、モニタ15の下部には、モニタ15の表示画面の切替えを行うスイッチが設けられている。これにより、作業者は、前屈み姿勢になることなく制御パネル部22のスイッチ領域26に設けられたスイッチ26A等をより容易に操作することができる。
図12,13に示すように、操縦席10は、前後方向に移動可動な移動フレーム40の前後方向に延在する左右一対の支持部材40Aの前部を連結する左右方向に延在する支持部材40Bと、左右一対の支持部材40Aの後部に立設された支持部材40Cに支持されている。
移動フレーム40は、移動フレーム40の下側に前後方向に延在するアングル材からなる左右一対の固定フレーム41の上面に摺動可能に装着されている。
左右一対の固定フレーム41は、矩形状の昇降プレート42に固定され、昇降プレート42は上下方向に昇降するロッドを有する昇降装置43に支持されている。また、昇降プレート42における移動フレーム40の右側前部には操縦席10の位置の維持と維持を解除するレバー44が設けられている。これにより、作業者は、操縦席10を前後方向と上下方向に移動させて自分の体形に合った位置に操縦席10を移動させることができる。
上下方向に昇降する昇降プレート42に設けられた左右一対の固定フレーム41の後部には、左右方向に延在する連結部材45が設けられている。連結部材45は、左右一対の固定フレーム41を左右方向に延在する左右延在部45Aと、左側の固定フレーム41から左側に延在した後に上方に向かって略90度湾曲して方に延在して上下延在部45Bから形成されている。
上下延在部45Bの上部には、左右方向に延在する支軸31が設けられている。支軸31の左部には、支軸31に外嵌めされた揺動プレート32の脱落を防止するカラー46と、カラー46を支軸31に固定するナット等の締結部材47が設けられている。また、支軸31の右部には、サイドパネル20の揺動角度を規制する規制プレート48が設けられている。これにより、操縦席10とサイドパネル20が上下方向に連動して移動して、操縦席10を前後方向に移動させてもサイドパネル20は連動して移動しないので、作業者は、自分の体形に合った位置に操縦席10を容易に移動させることができる。
本実施形態においては、移動フレーム40と、固定フレーム41、昇降プレート42を総称して操縦席支持部材(請求項の「第1操縦席支持部材」)10Aという。また、本実施形態においては、支軸31が設けられている連結部材45を左右一対の固定フレーム41の後部に設けているが、移動フレーム40の左右一対の支持部材40Aに設けることができる。これにより、操縦席10とサイドパネル20を上下方向と前後方向に連動させて移動することができる。
図14に示すように、規制プレート48における支軸31を中心として所定の半径を隔てた部位には所定の長さを有する周方向の溝48Aが形成され、溝48Aには、サイドパネル20のコップホルダ28の下部に設けられた左右方向に延在するピン29の右部が挿入されている。これにより、サイドパネル20を過度に揺動させて開放姿勢にするのを防止することができる。なお、サイドパネル20姿勢は、規制プレート48の左面に設けられたセンサ49で測定され、サイドパネル20が操作姿勢に移動させられてセンサ49とピン29の間隔が所定の間隔以下になるとセンサ49からコントローラ52DにON信号が入力され、サイドパネル20が開放姿勢に移動させられてセンサ49とピン29の間隔が所定の間隔を超えるとセンサ49からコントローラ52DにOFF信号が入力される。
図15,16に示すように、サイドパネル20を前後方向に延在する操作姿勢に位置させた場合には、キャビン60の左壁61の右面に設けられた電装品52は、サイドパネル20によって覆われる。これにより、作業者が電装品52に誤って接触するのを防止することができ、電装品52に接続されたハーネスの断線等を防止することができる。
図17,18に示すように、サイドパネル20を上下方向に延在する開放姿勢に位置させた場合には、作業者の左側に大きな空間が形成される。これにより、作業者はキャビン60の左側のハッチ62から身を乗り出して刈取装置3の穀稈の詰まり状態を容易に確認することができる。また、キャビン60の左壁61の右面に設けられた電装品52は露出される。これにより、作業者は保護カバー50を取外して電装品52の保守・交換作業を容易に行うことができる。
電装品52は、キャビン60の左壁61に装着された配電プレート51に設けられている。配電プレート51の上部には、前側から順に、ヒューズ52Aと、小型リレー52Bと、大型リレー52Cが設けられ、ヒューズ52Aと小型リレー52Bの下側には、コントローラ52Dが設けられている。また、上下方向において、ヒューズ52A等とコントローラ52Dの間には、前後方向に延在する小型リレー52B等に電気を供給する電源ライン53が配策されている。これにより、電源ライン53等の配策作業が容易に行え、作動不良に陥ったヒューズ52A等の交換作業を容易に行うことができる。
図19,20に示すように、支軸31の中心部には中空部31Aが形成され、中空部31Aには、スイッチ26Aやモニタ15とコントローラ52Dを接続するハーネス37が挿通されている。これにより、サイドパネル20を操作姿勢から開放姿勢等にスムーズに移動することができ、また、ハーネス37の断線も抑制することができる。
連結部材45の上下延在部45Bは、左側の固定フレーム41から左側に延在した後に上側に所定の長さ延在して形成されている。これにより、サイドパネル20を前後方向に延在する操作姿勢に位置させた場合には、サイドパネル部21の上面が、作業者の肘に対向する位置に設けられ、作業者が変速レバー24やモードセレクトレバー25を容易に操作することができる。
また、サイドパネル20を前後方向に延在する操作姿勢に位置させた場合には、背面視において、サイドパネル部21の右部とサイドパネル20の前側に設けられたモニタ15の右部は、操縦席10の左部に重なるように設けられている。これにより、操縦部5の左右方向の長さを抑制することができる。
図21,22に示すように、連結部材45の上下延在部45Bは、左側の固定フレーム41から左側に所定の長さ延在して形成されている。これにより、サイドパネル20を上下方向に延在する開放姿勢に位置させた場合には、サイドパネル部21の右部と操縦席10の左部が接触することなく、サイドパネル部21を操作姿勢から開放姿勢に移動させつことができる。
また、サイドパネル20を上下方向に延在する開放姿勢に位置させた場合には、サイドパネル20に設けられた変速レバー24が操縦席10の背もたれの上部に位置し、サイドパネル20の前側に設けられたモニタ15は操縦席10の背もたれよりも上方に位置する。
<エンジンの出力回転の伝動>
図23に示すように、エンジンEの出力回転は、第1経路A上に設けられた油圧式無段変速機16に伝動される。油圧式無段変速機16の入力軸に伝動されたエンジンEの出力回転は、油圧式無段変速機16内で増減速等が行われて出力軸から出力される。
油圧式無段変速機16の出力軸の出力回転は、トランスミッション17に伝動される。トランスミッション17の入力軸に伝動された出力軸の出力回転は、トランスミッション17で増減速されて第1出力軸と第2出力軸から出力される。
トランスミッション17内のギヤ伝動機構17Aで増減速された第1出力軸の出力回転は、走行装置2に伝動されて走行装置2のクローラを回動する。
トランスミッション17内のギヤ伝動機構17Aとその下流側に設けられたギヤ伝動機構17Bで増減速されたの第2出力軸の出力回転は、刈取クラッチ18を介して刈取装置3に伝動されて刈取装置3の引起装置、切断装置等を駆動する。
これにより、変速レバー24を操作して走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取速度を同時に増減速できるので、圃場の穀稈の倒伏状態に応じて変速レバー24を操作して走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取速度を増減速させて穀稈を効率良く刈取ることができる。
また、エンジンEの出力回転は、第2経路B上に設けられた脱穀クラッチ19を介して脱穀装置4に伝動される。
サイドパネル20を操作姿勢から開放姿勢に移動した場合には、センサ49の出力信号がOFFとなってエンジンEの始動が規制されて駆動できなくなる。また、エンジンEの駆動中に、センサ49の出力信号がOFFとなった場合には、エンジンEの駆動が停止される。これにより、サイドパネル20を開放姿勢にして電装品52の保守・交換作業時に走行装置2が急発進する等の誤操作を防止して電装品52の保守・交換作業を安全に行うことができる。
また、センサ49の出力信号がOFFとなった場合には、油圧式無段変速機16の駆動を停止してエンジンEの出力回転の増減速を規制するのが好ましい。これにより、電装品52の保守・交換作業をより安全に行うことができる。
<サイドパネルの他の支持形態>
図24,25に示すように、フロントパネル11の上方には左右方向に延在するハンドルバー70が設けられ、ハンドルバー70の左部は操縦部5の左壁63に固定され、ハンドルバー70の右部は操縦部5の右壁64に固定されている。これにより、作業者がハンドルバー70の左部を掴んで前屈み姿勢を維持して操作レバー13を容易に操作することができる。なお、本明細書においては、キャビン60の左壁61と操縦部5の左壁63は同一部材を示している。
ハンドルバー70におけるサイドパネル20の支持パイプ36に対向する部位には、ハンドルバー70から後側に向かって延在する支持部材71の前部が設けられている。側面視において、支持部材71は略台形形状に形成され、支持部材71の上辺の後部には、上側が開放されて下側に延在する案内溝72が形成されている。なお、案内溝72は、支軸31を中心とする円弧状に形成するのが好ましい。
サイドパネル20の支持パイプ36の前部には、支持パイプ36から左側に向かって延在するピン75が設けられている。サイドパネル20を操作姿勢に移動させた場合には、ピン75が案内溝72に侵入してピン75が案内溝72の下部に当接する。一方、サイドパネル20を開放姿勢に移動させた場合には、ピン75は案内溝72の外側に移動する。これにより、サイドパネル20の前部を案内溝72で支持して、走行時にサイドパネル20に発生する振動を抑制することができる。また、ピン75が案内溝72の下部に当接した場合に、側面視において、サイドパネル20の前後フレーム30が略水平になるよう案内溝72の上下方向の長さが形成されている。
側面視において、ピン75が案内溝72の下部に当接した場合に、サイドパネル20の前後フレーム30が略水平になるよう案内溝72の上下方向の長さが形成されている。また、ピン75の右端部は、その他の部位よりも細径な細径部が形成されており、細径部にはカラー76とボルト等の締結部材77が設けられ、細径部には締結部材77を螺合するネジが形成されている。これにより、ピン75を案内溝72に侵入させて、ピン75を案内溝72の下部でより強固に係合させて、走行時にサイドパネル20に発生する振動をより抑制することができる。また、ピン75を案内溝72に侵入させて、ピン75を案内溝72の下部以外の箇所で案内溝72に係合させて作業者に最適なサイドパネル20の傾斜角度を容易に調整することもできる。
図26,27に示すように、操縦部5の左壁63には、上下方向に延在するチャンネル鋼で形成された操縦席支持部材(請求項の「第2操縦席支持部材」)80が設けられている。操縦席支持部材80の右部における上下方向の中間部には、鋼板で形成された矩形状のプレート材81が設けられている。
プレート材81の略中央部には、左右方向に延在する支軸(請求項の「第2支軸」)82が設けられ、支軸82の左部は操縦席支持部材80とプレート材81に固定され、支軸82の左部には、揺動プレート32が回転自在に支持されている。これにより、サイドパネル20を操縦席支持部材80等を介して操縦部5の左壁63に固定して、走行時にサイドパネル20に発生する振動を抑制することができる。また、サイドパネル20を介して操縦席10に伝わる振動も遮断することができる。
操縦席支持部材80の上部と下部には上下方向に長軸を有する長穴が形成され、この長穴に挿通されたボルト等の締結手段83によって操縦部5の左壁63に固定されている。これにより、操縦席支持部材80を上下に移動させてサイドパネル20の上下方向の位置を調整することができる。
左壁63に形成された突起物を回避するために、背面視において、操縦席支持部材80は、上下方向の中間部を上部や下部よりも右側に位置させる形状にするのが好ましい。また、支軸82の右部には、支軸82に外嵌めされた揺動プレート32の脱落を防止するカラー84と、カラー84を支軸82に固定するナット等の締結部材85が設けられている。
<モードセレクトスイッチ>
モードセレクトレバー25に替えて、プレート状に形成されたモードセレクトパネル90をサイドパネル部21に設けることができる。これにより、作業者の視界が遮られるのをより抑制することができ、また、操縦席10とモードセレクトレバー25の接触を気にすることなくサイドパネル20を上下方向に延在する開放姿勢に容易に位置させることができる。
図28に示すように、モードセレクトパネル90の左部には、モードの変更を行う操作部91が設けられ、右部には走行装置2の走行速度等を表示する表示部92が設けられている。
操作部91は、モードの変更を行う表面に「△」が印字されたモードスイッチ(請求項の「第1スイッチ」)91Aと、モードの変更を行う表面に「▽」が印字されたモードスイッチ(請求項の「第2スイッチ」)91Bと、刈取クラッチ18と脱穀クラッチ19の接続と接続解除を行う表面に「刈脱」が印字された刈取スイッチ(請求項の「第3スイッチ」)91Cで構成されている。また、刈取スイッチ91Cは、モードスイッチ91Aとモードスイッチ91Bの前後方向の中間に設けられている。
表示部92は、前側から順に、走行装置2の走行速度が高速であることを示す表面に「H」が印字された速度表示部92Aと、走行装置2の走行速度が中速であることを示す表面に「M」が印字された速度表示部92Bと、走行装置2の走行速度が低速であることを示す表面に「L」が印字された速度表示部92Cと、刈取装置3と脱穀装置4の駆動状態を示す表面に「刈脱」が印字された刈脱表示部92Dから構成されている。
モードは、刈取装置3と脱穀装置4を駆動して圃場内で穀稈の刈取と脱穀作業を行う作業モードと、刈取装置3と脱穀装置4の駆動を停止して圃場と圃場を移動する圃場移動モードがある。作業モードには、走行装置2の走行速度を高速にする標準作業モード(請求項の「第1作業モード」)と、走行装置2の走行速度を中速にする標準低速作業モード(請求項の「第2作業モード」)と、走行装置2の走行速度を低速にする倒伏作業モード(請求項の「第3作業モード」)がある。
各モードにおける走行装置2の走行速度は、圃場移動モードが最も高速で、標準作業モード、低速作業モード、倒伏作業モードの順に低速になる。
図29には、標準作業モード時の表示部92を示している。標準作業モードでは、走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取速度を高速にして刈取と脱穀作業を行う。
表示部92は、標準作業モード時の走行装置2の走行速度と、刈取装置3と脱穀装置4の駆動状態に対応させて、速度表示部92Aと刈脱表示部92Dが点灯する。これにより、作業者が表示部92を視認して作業モードを確認することができる。
刈取装置3と脱穀装置4の駆動状態は、刈取スイッチ91Cで操作することができる。刈取スイッチ91Cを3~5秒長押しすると、刈取クラッチ18と脱穀クラッチ19が接続し、刈取装置3と脱穀装置4が駆動して刈脱表示部92Dが点灯する。また、刈取スイッチ91Cを押すと、刈取クラッチ18と脱穀クラッチ19の接続が解除され、刈取装置3と脱穀装置4の駆動が停止して刈脱表示部92Dが点滅する。なお、刈取クラッチ18と脱穀クラッチ19が接続されて刈取装置3と脱穀装置4が駆動する前には、モニタ15に「刈取装置と脱穀装置の駆動開始」等の警告表示が行われる。
刈取スイッチ91Cが長押しされると、モニタ15に「刈取装置と脱穀装置の駆動開始」等の表示が行われる。これにより、作業者に対して注意喚起を図ることができる。また、刈取スイッチ91Cが押されると、コントローラ52Dは、エンジンEの出力回転を増速させる。これにより、穀粒搬送用のトラックの近傍にコンバインを速やかに移動させることができる。
図30には、標準低速作業モード時の表示部92を示している。モードスイッチ91Bを押すと、標準作業モードから標準低速作業モードに作業モードを変更することができる。また、モードスイッチ91Aを押すと、標準低速作業モードから標準作業モードに作業モードを戻すことができる。
標準低速作業モード時にモードスイッチ91Aが押されると、コントローラ52Dは、ギヤ伝動機構17A用の操作手段(図示省略)を駆動しトランスミッション17のギヤ伝動機構17Aの噛合いギヤを変更して走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取速度を増速させて高速にする。
標準作業モード時にモードスイッチ91Bが押されると、コントローラ52Dは、ギヤ伝動機構17A用の操作手段を駆動しトランスミッション17のギヤ伝動機構17Aの噛合いギヤが変更して走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取速度を減速させて中速にする。
コントローラ52Dは、油圧式無段変速機16用の操作手段(図示省略)を駆動し油圧式無段変速機16の油圧モータの斜板の開度を変更して走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取速度を増減速させることもできる。なお、変速レバー14は、油圧式無段変速機16の油圧モータの斜板の開度を変更して走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取速度の増減速させている。
標準低速作業モードでは、走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取速度を中速にして刈取と脱穀作業を行う。
表示部92は、標準低速作業モード時の走行装置2の走行速度と、刈取装置3と脱穀装置4の駆動状態に対応させて、速度表示部92Bと刈脱表示部92Dが点灯する。これにより、作業者が表示部92を視認して作業モードを確認することができる。
図31には、倒伏作業モード時の表示部92を示している。モードスイッチ91Bを押すと、標準低速作業モードから倒伏作業モードに作業モードを変更することができる。また、モードスイッチ91Aを押すと、倒伏作業モードから標準低速作業モードに作業モードを戻すことができる。
倒伏作業モード時にモードスイッチ91Aが押されると、コントローラ52Dは、ギヤ伝動機構17A用の操作手段(図示省略)を駆動しトランスミッション17のギヤ伝動機構17Aの噛合いギヤを変更して走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取速度を増速させて中速にする。
標準低速作業モード時にモードスイッチ91Bが押されると、コントローラ52Dは、ギヤ伝動機構17A用の操作手段を駆動しトランスミッション17のギヤ伝動機構17Aの噛合いギヤが変更して走行装置2の走行速度を減速させて低速にする。また、コントローラ52Dは、ギヤ伝動機構17B用の操作手段(図示省略)を駆動しギヤ伝動機構17Bを駆動して刈取装置3の刈取速度を増速させて中速又は高速にする。これにより、刈取装置3の引起装置で倒伏した穀稈を効率良く引起こして刈取ることができる。
倒伏作業モードでは、走行装置2を低速走行し、刈取装置3の刈取速度を高速にして刈取と脱穀作業を行う。
表示部92は、倒伏作業モード時の走行装置2の走行速度と、刈取装置3と脱穀装置4の駆動状態に対応させて速度表示部92Cと刈脱表示部92Dが点灯する。これにより、作業者が表示部92を視認して作業モードを確認することができる。
図32には、圃場移動モード時の表示部92を示している。作業モード時にモードスイッチ91Aを3~5秒長押しすると、作業モードから圃場移動モードにモードを変更することができる。また、モードスイッチ91Bを3~5秒長押しすると、圃場移動モードから作業モードにモードを戻すことができる。
作業モード時にモードスイッチ91Aが3~5秒長押しされると、コントローラ52Dは、ギヤ伝動機構17A用の操作手段を駆動しトランスミッション17のギヤ伝動機構17Aの噛合いギヤを変更して走行装置2の走行速度を増速させて最高速にすると共に、刈取クラッチ18と脱穀クラッチ19の接続を解除して、刈取装置3と脱穀装置4の駆動を停止させる。
刈取スイッチ91Cが長押しされると、モニタ15に「圃場移動モードに変更」等の表示が行われる。これにより、作業者に対して注意喚起を図ることができる。また、刈取スイッチ91Cが長押しされると、コントローラ52Dは、エンジンEの出力回転を増速させる。これにより、圃場間を速やかに移動させることができる。
圃場移動モード時にモードスイッチ91Bが3~5秒長押しされると、コントローラ52Dは、刈取クラッチ18と脱穀クラッチ19を接続して、刈取装置3と脱穀装置4を駆動させると共に、ギヤ伝動機構17A用の操作手段を駆動しトランスミッション17のギヤ伝動機構17Aの噛合いギヤを変更して走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取速度を減速させて、変更前の作業モードの速度、すなわち、変更前の作業モードが標準作業モードの場合には高速に、標準低速作業モードの場合には中速に、倒伏作業モードの場合には走行装置2の走行速度は低速に、刈取装置3の刈取速度は高速にする。これにより、モード変更前の作業モードに戻ることができ、作業者の違和感を低減して作業モードの再開を効率良く行うことができる。また、刈取スイッチ91Cが長押しされると、モニタ15に「作業モードに変更、刈取装置と脱穀装置の駆動開始」等の表示が行われる。これにより、作業者に対して注意喚起を図ることができる。
圃場移動モードでは、走行装置2の走行速度が最高速になり、刈取装置3と脱穀装置4の駆動は停止する。
表示部92は、圃場移動モード時の走行装置2の走行速度に対応させて速度表示部92Aがより明るく点灯し、刈取装置3と脱穀装置4の駆動状態に対応させて刈脱表示部92Dが点滅する。これにより、作業者が表示部92を視認して圃場移動モードを確認することができる。