JP7319747B2 - 所望のテクスチャーを有する米または小麦の生産方法 - Google Patents
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米胚乳のアミロース含量には0~40%程度の変異の幅が存在することが知られており、日本国内で流通する短粒種のうるち品種は概ね18%程度であり、海外で流通している長粒種は25~30%程度、もち米は0%である。また、粘りがやや強い品種として人気を集めるミルキークイーン等の半糯性品種は、アミロース含量が5~10%程度であるものが多い。
こうしたニーズに応えるため、従来、幾つかの方法が知られている。
また、目的の形質の発現をもたらす変異遺伝子の単離とDNAマーカーによる導入を行うためには、専門知識と多大な工数が必要となるため、難易度の高い方法であると言わざるをえない。またコストも増大する傾向にある。
したがって、収穫された米の品質に問題がなくとも、その後の混米作業(ブレンド)における使用品種の選択や混合の仕方によっては、ブレンド米の品質に影響が及ぶ虞がある。このため、生産者等が、需要サイドのニーズを捉えた所望のテクスチャーを有する米を、ブレンドの手法により提供することには、依然として改善の余地があるといえる。
1つの圃場内に異なる抵抗性遺伝子を混在させることによって、病害の激発を防ぐとともに、圃場に展開する抵抗性遺伝子の組み合わせを数年ごとに変えることによって、用いた遺伝子のすべてに耐性を示すような新たなレースの発生を遅らせる効果が期待できる。
具体的には、本発明者らは、異なるテクスチャーを有する原料の混合を、収穫した米ではなく栽培前の種子の段階で行い、また、そこで使用する種子については、テクスチャーが異なるよう遺伝的に改良された準同質遺伝子系統によるマルチラインとした。このようにして、混合した種子を栽培し、それを収穫することによって、予め所望するテクスチャーを有する米および小麦を、少ない工数で効率的に生産ことに成功した。
本発明はこれらの知見に基づくものである。
混合後の種子が所望のテクスチャーを有するように、複数の準同質遺伝子系統品種の種子の混合割合を調節することを含んでなる、方法。
混合後の種子が所望のテクスチャーを有するように、複数の準同質遺伝子系統品種の種子の混合割合を調節することを含んでなる、方法。
小麦においては、同様の観点で、例えば、非特許文献3を参考にすることができる。
すなわち、糯品種が有するwx遺伝子から、半糯性アレルとして知られるWx-mq遺伝子、Wx1-1遺伝子を得、さらに、主に長粒種が有し高アミロースを生み出すWx-a等を用いて準同質遺伝子系統を育成し、その種子を混合することで、0~25%程度の間で任意のアミロース含量を有する品種を作出することができる。
そして、これら複数の準同質遺伝子系統のイネ品種またはコムギ品種の種子について、混合後の種子が所望のテクスチャーを有するように、使用する複数の準同質遺伝子系統品種の種子の混合割合(量比)を調節して混合し、混合後の種子、すなわち、混合種子を得る。
好ましくは、本発明において、前記した「複数」は2種である。
このようにして得られた米は、当初に所望していた通りのテクスチャーを有するものであると同時に、使用した準同質遺伝子系統はイネ品種「コシヒカリ」を遺伝的背景とするものであるので、アミロース含量に関する特徴以外は、コシヒカリの特徴をそのまま有するものである。すなわち、得られる米は、コシヒカリかそれに準じた品種であるかのような統一感のあるものとなる。
つまり、上記例であれば、10.8~16.2%の範囲で任意のアミロース含量をもつコシヒカリを自在に生産することが可能となるといえる。
混合後の種子が所望のテクスチャーを有するように、複数の準同質遺伝子系統品種の種子の混合割合を調節することを含んでなる、方法が提供される。
また必要に応じて、さらに、ここで得られた播種用混合種子を、播種して栽培し、収穫することによって、播種用混合種子を大幅に増やし、これを利用しても良い。
イネ品種「ハイブリッドとうごう1号」の維持系である「JMT-021」系統、および、イネ品種「ハイブリッドとうごう3号」の維持系である「JMT-023」系統はともに、4または5つの外来遺伝子領域を導入して育成されたコシヒカリの準同質遺伝子系統である。具体的にはこれらは、Waxy遺伝子座のアレル、すなわちWx遺伝子として、コシヒカリに由来するWx-b遺伝子、および、ミルキークイーンに由来するWx-mq遺伝子を、それぞれ有している(特開2012-210205号公報(特許文献1))。
得られた精玄米について、家庭用精米機(エムケー精工社製、SM-51)で精米を行い、農産物検査法に基づく「標準計測方法」によるアミロース含量の測定(一般財団法人日本穀物検定協会に依頼)を行う一方、下記の判定基準に従って、5名のパネラーによる「粘り」、および「硬さ」に関する食味官能試験を行った。
試験区3基準とし、+3から-3までの7段階評価した。評価は0.5単位で記入した。
「粘り」については「+」が強い/「-」が弱いとし、「硬さ」については「+」が硬い/「-」が柔らかいとした。
各スコアの大きさは以下の通りで判断した。
+3、-3: 一口目で違いが分かるほど、はっきりした差を感じる。
+2、-2: 二口目で違いが分かる、ほどほどの差を感じる。
+1、-1: 三口以上食べて、微妙な差を感じる。
イネ品種「ハイブリッドとうごう1号」、およびイネ品種「ハイブリッドとうごう3号」は、同一の稔性回復系を用いた準同質遺伝子系統であり、Wx遺伝子のアレルとしては、前者がWx-mq/Wx-b、および、Wx-b/Wx-bを、それぞれ有している。
各系統の種子を表3に示す割合で事前に混合し、愛知県の試験圃場にて栽培試験に供した。
得られた清玄米について、家庭用精米機(エムケー精工社製、SM-51)で精米を行い、上記の試験Aと同様にして、アミロース含量および食味官能について試験を行った。
上記の試験Aおよび試験Bで示されたように、米においては、Waxy遺伝子座のアレルの違いに基づく、アミロース含量の異なる準同質遺伝子系統を用意し、これらの使用する準同質遺伝子系統の各アミロース含量に基づき、用意した準同質遺伝子系統を適宜混合することで、所望のアミロース含量を有する混合米を調製することができた。そしてこの混合米を栽培し収穫することによって、所望のアミロース含量を有する米を生産することができた。
このように、アミロース含量の異なる複数の準同質遺伝子系統のコムギ品種の種子を用意することが可能であるといえることから、これらを利用することで、小麦についても本発明は実施可能であると考えられた。
Claims (6)
- 所望のテクスチャーの発現に関与する遺伝子のみが異なる、複数の準同質遺伝子系統のイネ品種またはコムギ品種の種子を混合して、得られる混合後の種子を栽培し収穫することを含んでなる、所望のテクスチャーを有する米または小麦の生産方法であって、
混合後の種子が所望のテクスチャーを有するように、複数の準同質遺伝子系統品種の種子の混合割合を調節することを含んでなり、
所望のテクスチャーの発現に関与する遺伝子が異なる複数の準同質遺伝子系統が、アミロース含量の異なる複数の準同質遺伝子系統である、方法。 - 所望のテクスチャーの発現に関与する遺伝子が、Waxy遺伝子座の対立遺伝子(アレル)である、請求項1に記載の方法。
- 使用する準同質遺伝子系統が、Waxy遺伝子座のアレルの異なる複数のイネ品種である、請求項1または2に記載の方法。
- 準同質遺伝子系統におけるWaxy遺伝子座のアレルが、wx遺伝子、Wx-mq遺伝子、Wx-a遺伝子、Wx-b遺伝子、およびWx1-1遺伝子からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
- 使用する準同質遺伝子系統が、Waxy遺伝子座のアレルの異なる複数のコムギ品種である、請求項1または2に記載の方法。
- 所望のテクスチャーの発現に関与する遺伝子のみが異なる、複数の準同質遺伝子系統のイネ品種またはコムギ品種の種子を混合して得られる、所望のテクスチャーを有する米または小麦を生産するための播種用混合種子の生産方法あって、
混合後の種子が所望のテクスチャーを有するように、複数の準同質遺伝子系統品種の種子の混合割合を調節することを含んでなり、
所望のテクスチャーの発現に関与する遺伝子が異なる複数の準同質遺伝子系統が、アミロース含量の異なる複数の準同質遺伝子系統である、方法。
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