JP2008544748A - 作物植物において多重遺伝子型コロニー品種を構築および生産する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、自家受粉性、多頻度他家受粉性(frequent-cross-pollinating)、および無性繁殖性の植物を含む作物において多重遺伝子型コロニー品種(multi-genotype colony varieties)を形成および生産するための育種方法に関する。
一例を挙げると、イネの育種は、その歴史において半矮性化および雑種育種という2つの画期的な成功を収めている。イネの半矮性化育種は、最初はRice Research Institute of Guangdong Academy of Agricultural Sciences of Chinaの中国人アカデミー会員Yaoxiang Huangと世界の他の地域の育種家達によって始められた。ハイブリッドライスの育種は、「ハイブリッドライスの父」とされる中国人アカデミー会員Longping Yuanによって発明された。これら2つの出来事は、中国のイネ育種を世界トップの地位にまで昇格させた。にもかかわらず、今日に至るまで、イネおよび他の作物植物の生産は所定の品種に属する全ての植物について唯一の単一遺伝子型を共有する単一遺伝子型品種に独占されている。単一遺伝子型品種の開発および発売は、結果として直接的に遺伝的多様性の減少を早める。単一遺伝子型品種はその遺伝的背景が次第に狭まり、また病害および生物学上の天敵に対する抵抗性および耐性が次第に弱くなるため、過去にはイネ胡麻葉枯病、ジャガイモ疫病、コムギ黄さび病、トウモロコシのごま枯病(ビポラリス・メイディス(Bipolaris maydis))およびすす紋病(セトスファエリア・ツルシカ(Setosphaeria turcica))、ならびに一部のアフリカ地域における近年のイナゴの大発生などの種々の病害の流行を招いた。2004年の米国におけるダイズさび病の侵入は大パニックを引き起こした。2004年10月4日のWorld Cereal Dayに行われた会議の報告書によると、農業植物の遺伝子の4分の3が前世紀の間に失われており、状況は今も悪化し続けている。
育種標的に応じて多くの優れた農業形質またはある特別な特性を示す雄親および雌親が選ばれるであろうが、親の数は適宜変更することができる。各種交配を何組かの親系統間で行う。最大数の組換え体を最小コストの交配で作出すべきである。数世代にわたって自家交配させた後、自家受粉性作物植物の雑種の後代を、それらが遺伝子型と表現型の両方の面で安定するまで遺伝的分離および組換えに供し、最終的に多重遺伝子型育種の基本集団を形成させる。他家受粉性作物植物のヘテロシス利用では、そのF1雑種をコロニー品種および基本集団の基本的要素とする。無性繁殖性作物植物の場合、安定な遺伝子型を持つ雑種F1世代の組換え体を直接保持しておくことができる。上記過程では、より多くの個々の植物系統をできる限り保持し、それらの最大遺伝的多様性が維持されるようにすべきである。その後、基本集団内の個々の各植物系統を再度植付け、それらの農業特性を測定または調査し、それらの中から選抜を行う。それらの質的および量的形質に応じてそれらをコンピュータ上で分類する。同じ育種目標、同一の商品属性(例えば、生育期間および草型)ならびに育種目的とする幾つかの特別な形質を持つ個々の系統全てを1コロニーに組み込む。その一方で、個々の原系統もまた別々に保持しておくべきである。同一コロニー内の個々の系統を同一圃場試験区内で育てることにより、その性質の一貫性を検査して収集データの正確さを調べる。かかる工程を数回続けることにより、コロニーの多段階改良を実現することができる。
1. 種々の交雑様式:複合交雑[(A × B) × (C × D)] × [(E × F) × (J × H)]、単交雑(A × B)、複交雑(A × B) × (C × D)、三系交雑(A × B) × C、戻し交雑(A × B) × A(この場合のAは反復親系統であり、戻し交雑は2〜10回行うことができる)を利用する。該交雑様式により生産した単一遺伝子型の安定な子孫または雑種組み合わせから基本集団を構築する。
上記方法で生産した基本集団内の単一遺伝子型品種または組み合わせを別々に増殖させる。育種目標に応じて、それらの種子を特定の比率で混合し、多重遺伝子型コロニー品種または集団品種とする。各コロニー品種または集団品種は、2〜10000の単一遺伝子型品種または雑種組み合わせを含有しうる。
遺伝的多様性育種により開発したコロニー品種は、多数の遺伝子型を含有している。このタイプの品種の種子もまたその構成要素の全ての遺伝子型を含有しており、それらは分子レベルで遺伝的多様性および不均一性を発揮する。種子を十分に混合した後、それらの一部を分子的検出のために無作為にサンプリングする。SSR、RAPDおよび他の分子マーカーでの差異が単一穀粒試料で検出されるが、それらの差異は基本集団内の育種家種子の範囲内に収まるはずである。それらの血縁関係もまた、交配に採用した親系統の範囲内に収まるはずである。遺伝的多様性および分子不均一性が単一遺伝子型品種または雑種組み合わせの種子または植物試料において検出されることはないだろう。
本発明の好適な実施形態を明示するために以下の実施例を記載する。当業者には理解されるように、これらの実施例は本発明の単なる例示であって、本発明の適用範囲を限定するものではない。
I. 実験材料…イネ
起源の異なる12種の親植物を本実験に使用した。中国南部の以下の通り8種の二毛作品種が含まれていた:Zhong-Er-Ruan-Zhan、Yue-Hua-Zhan、Yue-Tai-ZhanおよびEr-Ba-Zhanは中国のRice Research Institute of Guangdong Academy of Agricultural Science (GAASのRRI)により開発された高品質穀粒品種であり;Feng-Ai-ZhanおよびYue-Xiang-ZhanはやはりGAASのRRIにより開発された多収品種であり;Qi-Gui-Zao およびTe-Xian-Zhan 13は 中国広東省のFoshan Agricultural Research Instituteにより開発された多収品種である。Duo-Kang 578、Duo-Kang 580およびDuo-Kang 583は、フィリピンのInternational Rice Research Instituteから導入された病害抵抗性品種である。Lemontはアメリカ合衆国の有名な高品質穀粒品種である。本実験の対照であるYue-Xiang-Zhanは、これまで中国および広東省におけるイネ地域試験の対照品種とされていたものである。
第1次交配には、以下の6通りの交雑:
Feng-Ai-Zhan × Duo-Kang 578、 Lemont × Zhong-Er-Ruan-Zhan、
Yue-Tai-Zhan × Duo-Kang 580、 Yue-Hua-Zhan × Er-Ba-Zhan、
Te-Xian-Zhan 13 × Yue-Xiang-Zhan、 Qi-Gui-Zao × Duo-Kang 583
を含めた。
(Feng-Ai-Zhan × Duo-Kang 578) × (Lemont × Zhong-Er-Ruan-Zhan)、
(Yue-Tai-Zhan × Duo-Kang 580) × (Yue-Hua-Zhan × Er-Ba-Zhan)、
(Te-Xian-Zhan13 × Yue-Xiang-Zhan) × (Qi-Gui-Zao × Duo-Kang 583)。
[(Feng-Ai-Zhan × Duo-Kang 578) × (Lemont × Er-Ruan-Zhan)]…雌 × {[(Yue-Tai-Zhan × Duo-Kang 580) × (Yue-Hua-Zhan × Er-Ba-Zhan)]…雄1+[(Te Xian Zhan 13 × Yue Xiang Zhan) × (Qi Gui Zao × Duo Kang 583)]…雄2}。
注:上記の交雑表記では、雌は先に、雄は後に記載されている。
前記基本集団を評価した後、生育期間および草高が一致しておりかつ穀粒品質の高い32の単一遺伝子型系統を選抜した。それらの性質を確認するためにそれらを再度圃場に植付けた後、それらからコロニー品種(colony variety)または集団品種(group variety)のJTSDを構築した。これには次の構成要素が含まれていた:SD1、SD17、SD18(強抵抗性)、SD24、SD31、SD44、SD51、SD57、SD88(強抵抗性)、SD89(軟質米)、SD143、SD247、SD354(硬質米)、SD460(軟質米)、SD567、SD673、SD776(軟質米)、SD890、SD909(軟質米)、SD996、SD1097(硬質米)、SD1112、SD1210(強抵抗性)、SD1213、SD1322(硬質米)、SD1428(強抵抗性)、SD1533、SD1634、SD1702、SD1803、SD1908、SD1914。
1. 上記の32の植物系統を別々に増殖させた後、それらの種子を等量ずつ混合して植付け用種子調製物を作った。
I. 実験材料…ダイズ
起源の異なる6つの親系統:Ken-Nong 18、Ji-Yu 47、Liao-Dou 1、He-Feng 41、Ji-Yu 58およびLiao-Dou 13を本実験に採用した。
Ken-Nong 18 × Ji-Yu 47 500個の種子を得た。
Liao-Dou 1 × He-Feng 41 400個の種子を得た。
Ji-Yu 58 × Liao-Dou 13 700個の種子を得た。
前記基本集団を評価した後、生育期間および草高が一致しておりかつ品質の高い40の単一遺伝子型系統を選抜した。それらの性質を確認するためにそれらを再度圃場に植付けた後、それらからコロニー品種または集団品種JTDDを構築した。これには次の植物系統が含まれていた:DD1、DD18(強抵抗性)、DD31、DD44、DD57、DD59、DD88(強抵抗性)、DD143、DD247、DD354(高い油含有率)、DD460(高いタンパク質含有率)、DD567、DD776(高いタンパク質含有率)、DD909(高いタンパク質含有率)、DD996、DD1044、DD1097(高い油含有率)、DD1112、DD1210(強抵抗性)、DD1213、DD1322(高い油含有率)、DD1428(強抵抗性)、DD1634、DD1702、DD1843、DD1914、DD2017、DD2047、DD2473、DD2533、DD2551、DD2688(強抵抗性)、DD2908、DD3051、DD3289(高いタンパク質含有率)、DD3524、DD3803, DD3890, DD3954(高い油含有率)およびDD3989(高いタンパク質含有率)。
1. 上記の40の植物系統を別々に増殖させた後、それらの種子を等量ずつ混合して次回の植付け用種子調製物を作った。
I. 実験材料…セイヨウアブラナ
総合的に選んだ高エルシル酸(erucil acid)含有品種の強化(intensified)育種…以下は交雑の親系統である:エルシル酸含有率が53%超と高い4つの品種Mercury、Neptune、CastorおよびR-588(カナダから導入されたもの);Indore(アメリカ合衆国から導入されたもの);中国の2つの「双高(dual-high)」品種S87-2127およびS87-2365;中国の3つの高リノール酸および高リノレン酸品種Zhong-You 821 (Oil plants Research Institute, Chinese Academy of Agricultural Sciences)、Ning-You 7 (Jiangsu Academy of Agricultural Sciences)、Wang-You 17 (湖北由来);低チオグリコシド品種Wan-You 6 (Anhui Academy of Agricultural Sciences);導入された「双高」品種 Gotarshiji。これらの品種の対の間で交配を行った。
第1次交配:
Mercury × S87-2127;Neptune × S87-2365;Castor × Zhong-You 821;Indore × Ning-You 7;Gotarshiji × Wang-You 17;R-588 × Wan-You 6。
(Mercury × S87-2127) × (Neptune × S87-2365)により78個の種子を得た。
前記基本集団を評価した後、優れた総合特質(一致した生育期間、低いエルシル酸含有率および高い油含有率)を持つ27の単一遺伝子型系統を前記基本集団の2180植物系統から選抜した。それらの性質を確認するためにそれらを再度圃場に植付けた後、それらからコロニー品種または集団品種JTYCを構築した。これには次の植物系統が含まれていた:YC2、YC17(強抵抗性)、YC33、YC45、YC56、YC58、YC89(強抵抗性)、YC145、YC237、YC344(高い油含有率)、YC466(高いエルシル酸含有率)、YC569、YC776(高いエルシル酸含有率)、YC909(高いエルシル酸含有率)、YC996、YC1044、YC1097(高い油含有率)、YC1112、YC1210(強抵抗性)、YC1213、YC1322(高い油含有率)、YC1428(強抵抗性)、YC1634、YC1702、YC1843、YC1914、YC2017およびYC2047。
1. 上記の27の植物系統を別々に増殖させた後、それらの種子を等量ずつ混合して次回の植付け用種子調製物を作った。
I. 実験材料…ラッカセイ
種々の起源を持つ6つの親系統:Pu-Hua 6、Hua-Xuan 1、Xu-Hua 6、Shan-You 321、Yue-You 79、およびFU91-103を交配に含めた。
(Shan-You 321 × Yue-You 79) × FU91-103により、この交配の子孫から500個体の安定した植物系統を生産した。(Hua-Xuan 1 × Xu-Hua 6) × Shan-You 321により、この交配の子孫から600の安定した個々の植物系統を生産した。これらの植物系統から基本系統を構築し、それらにHS1、HS2、HS3、HS4......HS1100と番号を付けた。
収量の低さは従来品種のラッカセイの主な制限要因となっており、大部分のラッカセイ品種のタンパク質含有率は32%未満であって、32%を超えるタンパク質含有率を示す品種は5%しか存在しない。スクリーニングおよび分類により、コロニー品種の個々の系統の開花および成熟の日付ならびにペギング(pegging)および成熟時の草高に応じて、1つのコロニー品種JTHSを育成した。選抜は、タンパク質含有率を主な指標として用いて行った。該コロニー品種は自家受粉性植物に属するので、その安定性が増殖中に変化することはなかった。
1. 上記の15の植物系統を別々に増殖させた後、それらの種子を等量ずつ混合して次回の植付け用種子調製物を作った。
I. 実験材料…ワタ
起源の異なる6つの親系統:Zhong-Mian-Suo 24、Zhong-Mian-Suo 35、Zhong-Mian-Suo 36、Zhong-Mian-Suo 19、Yu-Mian 19、Han-Dan 284を本実験に利用した。各系統を、以下の6交配のうちのいずれか1つを利用して戻し交雑した。
(Zhong-Mian-Suo 24 × Zhong-Mian-Suo 35) × Zhong-Mian-Suo 24により100個の種子を得た;
(Zhong-Mian-Suo 35 × Zhong-Mian-Suo 19) × Zhong-Mian-Suo 35により 100個の種子を得た;
(Zhong-Mian-Suo 19 × Zhong-Mian-Suo 36) × Zhong-Mian-Suo 19により 100個の種子を得た;
(Zhong-Mian-Suo 36 × Yu-Mian 19) × Zhong-Mian-Suo 36により100個の種子を得た;
(Yu-Mian 19 × Han-Dan 284) × Yu-Mian 19により100個の種子を得た;
(Han-Dan 284 × Zhong-Mian-Suo 24) × Han-Dan 284により100個の種子を得た。
前記基本集団を評価した後、草高が一致しておりかつ繊維品質の優れた33の単一遺伝子型系統を前記基本集団の3000の植物系統から選抜し、それらからコロニー品種または集団品種JTMHを構築した。これには次の植物系統が含まれていた:MH1、MH18(優れた抵抗性)、MH31、MH44、MH57、MH59、MH88(優れた抵抗性)、MH143、MH247、MH354(高い繊維強度)、MH460(長繊維)、MH567、MH776(長繊維)、MH909(長繊維)、MH996、MH1044、MH1097(高い繊維強度)、MH1112、MH1210(優れた抵抗性)、MH1213、MH1322(高い繊維強度)、MH1428(優れた抵抗性)、MH1634、MH1702、MH1843、MH1914、MH2017、MH2047、MH2473、MH2533、MH2551、MH2688(優れた抵抗性)およびMH2908。
1. 上記の33の植物系統を別々に増殖させた後、それらの種子を等量ずつ混合して次回の植付け用種子調製物を作った。
I. 実験材料…トマト
種々の起源を持つ17品種:Ying-Shi-Da-Hong、Fen-Hong D-80、Bo-Yu 368、Bo-Yu 367、Jin-Xiang-Fan-Zao、Jin-Xiang-Fan-Bao、Jia-Fen 17、Fan-Qie-Dong-Nong 704、Fan-Qie-Mao-Fen 802、Yu-Fan-Qie 1、Fan-Qie-Zhong-Su 5、Zhong-Za 11、Zhong-Za 9、Hong-Za 18、Hong-Za 10、Fan-Qie-Xi-Fen 3、Fen-Hong D-80を親系統として採用した。Ying-Shi-Da-Hongをレシピエント系統および反復系統として使用し、他の16品種をドナー系統として使用した。
(Ying-Shi-Da-Hong × Fen-Hong D-80) × Ying-Shi-Da-Hongにより100個の種子を得た。
前記基本集団を評価した後、草高が一致しておりかつ甘み品質の優れた40の単一遺伝子型系統を前記基本集団の4010の植物系統から選抜し、それらからコロニー品種または集団品種JTFQを構築した。これには次の植物系統が含まれていた:FQ5、FQ18(優れた抵抗性)、FQ41、FQ49、FQ57(多収)、FQ59、FQ88(優れた抵抗性)、FQ145、FQ247、FQ354(高い固形性) 、FQ460、FQ567、FQ776(多収)、FQ909(多収)、FQ986、FQ1043、FQ1097(高い固形性)、FQ1112、FQ1210(優れた抵抗性)、FQ1213、FQ1322(高い固形性)、FQ1428(優れた抵抗性)、FQ1634(多収)、FQ1702、FQ1843(優れた抵抗性)、FQ1914、FQ2017、FQ2047、FQ2473、FQ2533、FQ2551、FQ2688、FQ2908、FQ3051、FQ3289、FQ3524(高い固形性) 、FQ3803、FQ3890、FQ3954およびFQ4002(多収)。
1. 上記の40の植物系統を別々に増殖させた後、それらの種子を等量ずつ混合して次回の植付け用種子調製物を作った。
I. 実験材料…コムギ
高品質、多収および病害抵抗性の18品種:Shaan-Nong 757、Tai T15、JI-Shen-Cang 6001、Jin-Mai 54、Ke-Nong 9204、Yu-Mai 46、Liao-Chun 12、Shen-Mian 96、Ken-Jiu 10、Ken-Hong 14、Chi-Mai 5、Meng-Mai 30、Yang-Mai 10、Gan-Chun 20、Quan-Mai 3、Yan-Zhan 4110、Chuan-Yu 5404、Yu-Mai 7を親系統として採用した。矮性雄性不稔コムギを反復系統とした。
上記18品種それぞれを、矮性雄性不稔コムギと交互に各列に植付けた(列あたり10の植物)。雑種種子を矮性雄性不稔コムギから採集し、該種子から得た1800の植物系統を翌年圃場に植付けた。その一方で、集団内の前記植物系統の中から選び出した900の総合的に優良な個々の植物と個々の矮性雄性不稔植物との間で半同胞交配を行うことにより、第2次循環選抜でさらなる組換えが達成されてより優良な遺伝子がそれらに組み込まれるようにした。3世代の自家交配後、総合的に優良な形質を持つ400の稔性植物を選抜した。各植物から2個の種子を収集し、個々の各植物系統につき少なくとも10の自家交配植物を保持し、それらの安定性を高めるために数世代にわたって自家交配させた。最終的に、計4000の植物系統を基本集団とし、それらにXM1、XM2、XM3、XM4......XM4000と番号を付けた。
前記基本集団を評価した後、品質が優れていて生育期間および草高が一致する40の単一遺伝子型系統を前記基本集団の4000の植物系統から選抜した。それらの性質を確認するためにそれらを再度圃場に植付けた後、それらからコロニー品種または集団品種JTXMを構築した。これには次の植物系統が含まれていた:XM1、XM18(優れた抵抗性)、XM31、XM44、XM57、XM59、XM88(優れた抵抗性)、XM143、XM247、XM354(高いグルテン含有率)、XM460(低いグルテン含有率)、XM567、XM776(低いグルテン含有率)、XM909(低いグルテン含有率)、XM996、XM1044、XM1097(高いグルテン含有率)、XM1112、XM1210(優れた抵抗性)、XM1213、XM1322(高いグルテン含有率)、XM1428(優れた抵抗性)、XM1634、XM1702、XM1843、XM1914、XM2017、XM2047、XM2473、XM2533、XM2551、XM2688(優れた抵抗性)、XM2908、XM3051、XM3289(低いグルテン含有率)、XM3524、XM3803、XM3890、XM3954(高いグルテン含有率)およびXM3989(低いグルテン含有率)。
1. 上記の40の植物系統を別々に増殖させた後、それらの種子を等量ずつ混合して次回の植付け用種子調製物を作った。
トウガラシ
I. 実験材料
起源の異なる6つの親系統:Zhong-Jiao 6、Zhong-Jiao 5、Zhong-Jiao 11、Ning-Jiao 5、B Te-Zao、Ha-Jiao 3を本実験に利用した。
(Ning-Jiao 5 × B Te-Zao) × Ha-Jiao 3により500の個々の植物を生産した。
前記基本集団を評価した後、生育期間、草高および果実形が一致する30の単一遺伝子型系統を前記基本集団の3000の植物系統から選抜した。それらの性質を確認するためにそれらを再度圃場に植付けた後、それらからコロニー品種または集団品種JTLJを構築した。これには次の植物系統が含まれていた:LJ5、LJ19(優れた抵抗性)、LJ25、LJ33、LJ49、LJ51、LJ58、LJ88(優れた抵抗性)、LJ90、LJ163、LJ244、LJ356、LJ467、LJ566、LJ776(辛い)、LJ896、LJ910(辛い)、LJ999、LJ1096(辛い)、LJ1116、LJ1218(優れた抵抗性)、LJ1313、LJ1322(辛い)、LJ1528(優れた抵抗性)、LJ1534、LJ1934、LJ2702、LJ2803、LJ2908およびLJ2974。
1. 上記の30の植物系統を別々に増殖させた後、それらの種子を等量ずつ混合して次回の植付け用種子調製物を作った。
顕花ハクサイ(菜心(Brassica campestris L. ssp. Chinensis var. utilis Tsen, et, Lee))
I. 実験材料
以下に列挙したのは交雑の親系統であり、これらの原産地は広東省である。深緑色タイプのTe-Qing-Chi-Xin 4、Chi-Xin 29およびSui-Qing 1;薄緑色タイプのYou-Qing 12、Si-Jiu 19、You-Qing 49、Lu-Bao 70、Qing-Bao 40;艶やかな緑色のタイプのYou-Lu 70、Chi-Xin 2、You-Qing 50;黄緑色タイプのSi-Jiu-Cai-Xin。
Te-Qing-Chi-Xin 4 × You-Qing 50; You-Qing 49 × Chi-Xin 2;
Qing-Bao 40 × Sui-Qing 1; Lu-Bao 70 × You-Lu 70;
You-Qing 12 × Si-Jiu 19; Si-Jiu-Cai-Xin × Chi-Xin 29。
前記基本集団を評価した後、生育期間、草高および葉色が一致する26の単一遺伝子型系統を前記基本集団の2000の植物系統から選抜した。それらの性質を確認するためにそれらを再度圃場に植付けた後、それらからコロニー品種または集団品種JTCXを構築した。これには次の植物系統が含まれていた:CX5、CX19(強抵抗性)、CX25、CX33、CX49、CX51、CX58、CX88(強抵抗性)、CX90、CX163、CX244、CX356、CX467、CX566、CX776(深緑色)、CX896、CX910(深緑色)、CX999、CX1096(深緑色)、CX1116、CX1218(強抵抗性)、CX1313、CX1322 (深緑色)、CX1528(強抵抗性)、CX1534およびCX1934。
1. 上記の26の植物系統を別々に増殖させた後、それらの種子を等量ずつ混合して次回の植付け用種子調製物を作った。
中国広東省から入手した15品種を交雑の親系統として採用したが、それらは果実形および色が異なっていた:暗紫色タイプのZi-Hei 2、Hei-Bao-Fu-Qiu-Qie、Hei-Hu-Zao-Qie;暗紫色で丸いタイプのTai-Ke-Zi-Yuan-QieおよびAmerican Hei-Jin;紫色で長いタイプの9318 Chang-Qie、Jia-Li-Chang-Qie、Ji-Nan 94-1、Chang-Hong 2およびLong-Feng-Qie-Zi;艶やかな緑色のタイプのBang-Lu-QieおよびLu-Qie 3;他のタイプのLu-Qie 1、Lu-Qie 3、Lu-Qie 4。
Lu-Qie 1 × Lu-Qie 3により50個のF2世代の種子を得た。
(Lu-Qie 3 × Lu-Qie 4) × Lu-Qie 3により50個の種子を得た。
(Hei-Hu-Zao-Qie × Lu-Qie 1) F1 × (Lu-Qie 3 × Lu-Qie 4) F1により50個の種子を得た。
(Zi-Hei 2 × Lu-Qie 3) F1 × (American Hei-Jin × Bang-Lu-Qie) F1により50個の種子を得た。
(Ji-Nan 94-1 × Hei-Hu-Zao-Qie) F1 × (Jia-Li-Chang-Qie × Chang-Hong 2) F1により50個の種子を得た。
(9318 Chang-Qie × Tai-Ke-Zi-Yuan-Qie) F1 × (Long-Feng-Qie-Zi × Hei-Bao-Fu-Qiu-Qie) F1により50個の種子を得た。
[(Zi-Hei 2 × Lu-Qie 3) F1 × (American Hei-Jin × Bang-Lu-Qie) F1] F1 × [(Ji-Nan 94-1 × Hei-Hu-Zao-Qie) F1 × (Jia-Li-Chang-Qie × Chang-Hong 2) F1] F1により50個の種子を得た。
[(Zi-Hei 2 × Lu-Qie 3) F1 × (American Hei-Jin × Bang-Lu-Qie) F1] F1 × [(9318 Chang-Qie × Tai-Ke-Zi-Yuan-Qie) F1 × (Long-Feng-Qie-Zi × Hei-Bao-Fu-Qiu-Qie) F1] F1により50個の種子を得た。
前記基本集団を評価した後、生育期間、草高および果実色が一致する24の単一遺伝子型系統を前記基本集団の2000の植物系統から選抜した。それらの性質を確認するためにそれらを再度圃場に植付けた後、それらからコロニー品種または集団品種JTQZを構築した。これには次の植物系統が含まれていた:QZ9、QZ20(強抵抗性)、QZ27、QZ36、QZ49、QZ56、QZ58、QZ89(強抵抗性)、QZ94、QZ154、QZ245、QZ353、QZ467、QZ569、QZ896、QZ910、QZ989、QZ1216、QZ1202(強抵抗性)、QZ1413、QZ1521、QZ1728(強抵抗性)、QZ1834およびQZ1934。
1. 上記で選抜した24の植物系統を別々に増殖させた。その後、それらの種子またはそれらの12組の雑種組み合わせの種子を等量ずつ混合して、次回の植付け用種子調製物を作った。
I. 実験材料
以下の12品種を含む異なる一連の芥蘭を交雑の親系統として採用した。早生タイプのXiang-Gang-Bai-Hua-Jie-Lan、Xi-Ye-Zao-Jie-Lan、Zhou-Ye-Zao-Jie-Lan;中生タイプのTai-Wang-Zhong-Hua、Zhong-Chi-Jie-Lan、Xiang-Gang-Zhong-Hua、He-Tan-Jie-LanおよびZhong-Hua-Jie-Lan;晩生タイプのZhou-Ye-Chi-Jie-Lan、Dong-Fang-Jian-Jie-Lan、Pu-Tong-Jie-Lan-1、Chi-Hua-Jie-Lan。
Zhong-Chi-Jie-Lan × Pu-Tong-Jie-Lan-1により60個のF2世代の種子を得た。
(Xiang-Gang-Bai-Hua-Jie-Lan × Xi-Ye-Zao-Jie-Lan) × Zhou-Ye-Zao-Jie-Lanにより60個の種子を得た。
(Pu-Tong-Jie-Lan-1 × Dong-Fang-Jian-Jie-Lan)F1 × (Xiang-Gang-Bai-Hua-Jie-Lan × Xi-Ye-Zao-Jie-Lan)F1により60個の種子を得た。
(Xiang-Gang-Bai-Hua-Jie-Lan × Pu-Tong-Jie-Lan-1)F1 × (Xiang-Gang-Zhong-Hua × Dong-Fang-Jian-Jie-Lan)F1により50個の種子を得た。
(Chi-Hua-Jie-Lan × Zhou-Ye-Zao-Jie-Lan)F1 × (He-Tan-Jie-Lan × Zhou-Ye-Chi-Jie-Lan)F1により50個の種子を得た。
(Tai-Wang-Zhong-Hua × Zhong-Chi-Jie-Lan)F1 × (Zhong-Hua-Jie-Lan × Xi-Ye-Zao-Jie-Lan)F1により60個の種子を得た。
前記基本集団を評価した後、生育期間、草高および葉色が一致する20の単一遺伝子型系統を前記基本集団の1800の植物系統から選抜した。それらの性質を確認するためにそれらを再度圃場に植付けた後、それらからコロニー品種または集団品種JTJLを構築した。これには次の植物系統が含まれていた:JL9、JL20(強抵抗性)、JL27、JL49、JL56、JL58、JL89(強抵抗性)、JL154、JL245、JL353、JL467、JL569、JL896、JL910、JL1216、JL1202(強抵抗性)、JL1413、JL1521およびJL1728(強抵抗性)。
1. 上記で選抜した20の植物系統を別々に増殖させた後、それらの種子を等量ずつ混合して次回の植付け用種子調製物を作った。
5. 基本集団内のコロニー品種の原植物系統を、種子生産時の種子の同定および検証のために調べる。
I. 実験材料…ジャガイモ
Zhong-shu 3、Zhong-shu 4、Chun-shu 3、Chun-shu 4、An-shu 56、Chuan-yu-zao、Ning-shu 5、Qing-shu 168、Zao-Da-Bai。
(Zhong-shu 3 × Chun-shu 4) × Chuan-yu-zaoにより600個の雑種種子を得た。
(Zhong-shu 4 × Chun-shu 3) × An-shu 56により600個の雑種種子を得た。
(Ning-shu 5 × Qing-shu 168) × Zao-Da-Baiにより600個の雑種種子を得た。
前記基本集団を評価した後、生育期間および草高が一致する12の単一遺伝子型系統を前記基本集団の1800のクローン系統から選抜した。それらの性質を確認するためにそれらを再度圃場に植付けた後、それらからコロニー品種または集団品種JTMLSを構築した。これには次のクローン系統が含まれていた:MLS20(強抵抗性)、MLS59、MLS89(強抵抗性)、MLS158、MLS245、MLS353、MLS569、MLS896、MLS1256(強抵抗性)、MLS1416、MLS1565およびMLS1798(強抵抗性)。
1. 上記で選抜した12のクローン系統を別々に増殖させた後、それらのジャガイモ原種を等量ずつ混合して次回の植付け用種子調製物を作った。
5. 基本集団内のコロニー品種の原クローン系統を、ジャガイモ原種生産における同定および検証のために調べる。
Claims (11)
- 主な特質が一致しているかまたは均一でありかつ特定の育種目標を共有する基本集団由来の単一遺伝子型品種、雑種組み合わせまたは該品種および該組み合わせの混合物からそれらの表現型に応じて作物のコロニー品種を構築することを特徴とする、作物のコロニー品種を構築および生産するための方法であって、この単一遺伝子型品種または雑種組み合わせを別々に増殖させ、育種目標に応じて、それらの種子を特定の比率で混合することにより、植付け用種子調製物を形成し、かつ作物のコロニー品種の生産が、上記の増殖工程および混合工程からなる、上記方法。
- 前記単一遺伝子型品種が、単交雑、複交雑、三系交雑、複合交雑、または戻し交雑の子孫から同一条件下でそれらの植物種類および生育期間に応じて選抜された安定な単一遺伝子型育種系統であることを特徴とする、請求項1記載の作物のコロニー品種を構築および生産するための方法。
- 前記基本集団が、下記の1つまたは複数の交配方法:
a. 単交雑、複交雑、三系交雑および反復交雑を含む複合交雑;
b. 種々の遺伝子移入系統;
c. 種々の循環選抜の子孫;
d. 方法a〜cにより生産した交雑子孫内の安定な単一遺伝子型植物の一部または全部の、基本集団としての利用;
e. F1雑種組み合わせの基本集団としての利用;
f. 方法a〜eにより生産した基本集団内の安定な単一遺伝子型植物の一部または全部の、基本集団としての利用;
g. 無性繁殖性作物に関しては、方法a〜fにより生産したクローン系統を基本集団として採用する;
h. 基本集団を構築するための親系統の数を2〜10,000とする
による交雑の安定な単一遺伝子型の子孫であることを特徴とする、請求項1記載の作物のコロニー品種を構築および生産するための方法。 - 前記作物として自家受粉性、多頻度他家受粉性および無性繁殖性の作物が挙げられることを特徴とする、請求項1〜3記載の作物のコロニー品種を構築および生産するための方法。
- 前記の自家受粉性の作物としてイネ、ラッカセイ、コムギ、ダイズまたはトマトが挙げられることを特徴とする、請求項3記載の作物のコロニー品種を構築および生産するための方法。
- 前記の多頻度他家受粉性の作物としてセイヨウアブラナ、ワタ、トウガラシ、顕花ハクサイ(菜心(Brassica campestris L. ssp. Chinensis var. utilis Tsen, et, Lee))、ナスまたは芥蘭が挙げられることを特徴とする、請求項3記載の作物のコロニー品種を構築および生産するための方法。
- 前記の無性繁殖性の作物としてジャガイモ、サツマイモ、ピタハヤ、バラまたはツバキが挙げられることを特徴とする、請求項3記載の作物のコロニー品種を構築および生産するための方法。
- 前記基本集団内の安定な単一遺伝子型植物系統、雑種組み合わせまたはクローン系統のそれぞれを、育種目標および均一性の必要条件に応じて、それらの主な特質について決定または評価することを特徴とする、請求項1記載の作物のコロニー品種を構築および生産するための方法であって、その結果に応じて、類似した表現型を共有する系統または組み合わせがコロニー品種を含み、そして種々のコロニー品種を同様に構築することが可能であり、また各コロニー品種は2〜10,000の遺伝子型を含有しうる、上記方法。
- 前記のコロニー品種内の単一遺伝子型植物系統を別々に増殖させること、およびそれらの種子を特定の比率で混合することにより植付け用種子調製物を作ることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の作物のコロニー品種を構築および生産するための方法。
- 前記生産に最終的に採用したコロニー品種が2〜10,000の遺伝子型を含有していること、およびコロニー品種内の遺伝的多様性がその分子マーカーの多型により検出されうることを特徴とする、請求項1、2、3、7または8記載の作物のコロニー品種を構築および生産するための方法。
- 単一遺伝子型の従来品種を系統選抜または無性繁殖により多重遺伝子型コロニー品種から育成しうることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の作物のコロニー品種を構築および生産するための方法。
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