JP7318874B2 - 光測定装置 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 一般社団法人日本光学会、第46回光学シンポジウム(光学技術・学術講演会)講演予稿集、令和3年6月22日発行 一般社団法人日本光学会、第46回光学シンポジウム(光学技術・学術講演会)、令和3年6月24日開催 一般社団法人日本液晶学会、2021年日本液晶学会討論会講演予稿集、令和3年9月8日発行 一般社団法人日本液晶学会、2021年日本液晶学会討論会、令和3年9月17日開催 interOpto2021、リーフレット、令和3年10月27日発行 interOpto2021、令和3年10月27日~10月29日開催 一般社団法人レーザー学会、一般社団法人レーザー学会学術講演会第42回年次大会予稿集、令和4年1月14日発行 一般社団法人レーザー学会、一般社団法人レーザー学会学術講演会第42回年次大会、令和4年1月14日開催
本発明は、偏光した照射光を照射し、被写体からの測定光の偏光を測定し、偏光成分の変化を測定する光測定装置に関するものである。
従来から光計測は被写体が有する情報や特性を非接触かつ非破壊で測定できる技術として、幅広い分野で利用されているが、その多くは光の強度や波長を測定する技術である。一方、近年では物質の異方性や生体細胞の特性等の内部構造由来の特性に関心が集まっており、それらを取得する方法として被写体によって散乱、反射、吸収等を受けた光の偏光状態を測定する提案がなされている。
偏光状態を測定する代表的な計測法としては、回転する偏光子及び波長板を利用する回転偏光子法が知られている。しかし、偏光子を回転させながら複数回に分けてストークスパラメータの算出に必要な情報を取得するために、動的な被写体や時間的に偏光状態が変化する被写体の測定は困難である。
そこで、動的又は時間的に偏光状態が変化する被写体に対して、スナップショットで偏光空間分布を測定する方法として、偏光子アレイカメラや偏光回折格子を用いた測定法等が考案されている。
特許文献1には、結像レンズ、色フィルタ、異方性回折格子素子、受光素子アレイを有する偏光撮像装置が開示されている。被写体によって散乱、反射、吸収等を受けた入射光は、異方性回折格子素子を透過することによって、偏光状態に依存して回折する。入射光の空間的に分離された各回折光を受光素子アレイで受光することによって、入射光の偏光情報を強度情報として空間的に分離して取得することができる。
分離された各回折次数光の強度情報から偏光状態を記述するストークスベクトルS(S0, S1, S2, S3)の要素であるストークスパラメータS0, S1, S2, S3を算出する。ストークスベクトルSの各要素は、S0:全光強度、S1:0度直線偏光成分と90度直線偏光成分の光強度の差、S2:45度直線偏光成分と135度直線偏光成分の光強度の差、S3:右回り円偏光成分と左回り円偏光成分の光強度の差と定義され、偏光子アレイカメラでは測定困難なS3の測定にも対応している。
国際公開2019/039486号公報
上述した偏光計測法及び偏光撮像装置では、太陽光や室内環境光(蛍光灯や白熱灯)等の自然光、つまり無偏光の環境光の下で、被写体による散乱、反射、吸収等によって生じた測定光の偏光状態を測定し、ストークスパラメータS0,S1,S2,S3を算出している。しかしながら、無偏光の環境光のストークスベクトルはS(S0,S1,S2,S3)=(1,0,0,0)であり、直線偏光成分や円偏光成分を含まないため、被写体表面でのフレネル反射や散乱に起因する偏光状態の変化しか測定することができず、被写体の内部における複屈折、円2色性、直線2色性、散乱、多重干渉等に起因する偏光状態の変化を測定することは困難であるという問題がある。
また、環境光がたとえ無偏光ではなくても、偏光状態を制御されていないと、コヒーレント光のような位相揺らぎに対するスペックルノイズが発生したり、降雪・降雨・霧等が存在する環境下、つまり散乱因子が存在する環境下での偏光状態の測定が困難であるという問題もある。
本発明の目的は、上述の課題を解消し、偏光状態が制御された照射光を被写体に照射し、被写体の散乱、反射、吸収等によって生じた測定光の偏光状態の変化を測定することにより被写体情報を取得する光測定装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る光測定装置は、偏光を制御された照射光を被写体に対して照射する偏光照射部と、前記照射光が前記被写体に照射されたことによって生ずる測定光の偏光状態を撮像し、前記照射光と前記測定光との間に生ずる偏光成分の変化を測定する偏光撮像部を備え、前記照射光は偏光度50~100%の部分偏光ないし完全偏光であり、内完全偏光成分の楕円率は50~100%であり、前記偏光撮像部は前記被写体のストークスパラメータの内で、右回り円偏光成分と左回り円偏光成分との2つの像の差分に基づいて、これらの偏光成分の光強度の差を示すストークスパラメータの要素を少なくとも算出可能な偏光撮像機構を備え、該偏光撮像機構は入射した前記測定光を左円偏光成分と右円偏光成分に空間的に分離する偏光回折格子を備え、前記偏光成分の光強度の差を示すストークスパラメータの要素の算出を前記被写体に対して波長900nm以上で撮影したスナップショットから行うことを特徴とする。
本発明に係る光測定装置によれば、偏光照射部により偏光が制御され、被写体に照明した照射光と、偏光撮像部により撮影した被写体による散乱、反射、吸収、透過によって生じた測定光との間に生ずる偏光成分の変化を測定することで、被写体に特有な被写体情報を取得することができる。
光測定装置の実施例1の構成図である。 偏光照射部の構成図である。 偏光撮像部の構成図である。 偏光回折格子の光学特性の説明図である。 光測定装置の測定状態の説明図である。 光渦リターダを測定した偏光画像の説明図である。 CDケースを測定した偏光画像の説明図である。 光渦リターダを測定した偏光画像の詳細説明図である。 CDケースを測定した偏光画像の詳細説明図である。 照射光の照射角度を変更して測定した偏光画像の説明図である。 近赤外光で光渦リターダを測定した偏光画像の説明図である。 近赤外光でCDケースを測定した偏光画像の説明図である。
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は光測定装置の実施例1の構成図であり、光測定装置はyz平面に配置された被写体Obに対して、極座標系で示される位置ri=(ri・sinθi・cosφi,ri・sinθi・sinφi,ri・cosθi)に可動に設置された偏光照射部10と、極座標系で示される位置rm=(rm・sinθm・cosφm,rm・sinθm・sinφm,rm・cosθm)に可動に設置された偏光撮像部20を備えている。ただし、rは被写体Obの中心位置、つまり極座標系の原点からの距離、θはz軸からの偏角、φはx軸からの偏角を表している。偏光照射部10の可動範囲は0≦ri、0≦θi<180°、0≦φi<360°とされ、偏光撮像部20の可動範囲は0≦rm、0≦θm<180°、0≦φm<360°とされている。
偏光照射部10は、偏光の制御された照射光LSを2次元走査又は拡張して被写体Obに照射する機能を有する。偏光撮像部20は、被写体Obによって照射光LSが散乱、反射、吸収等されて生ずる測定光LRの偏光状態を撮像し、測定光LRのストークスパラメータS0~S3の全部又は一部を算出し、被写体Obによって照射光LSと測定光LRとの間に生ずる偏光成分の変化を測定する機能を有する。なお、この偏光成分の変化は、被写体Ob毎に特有に変化するものである。
図1においては偏光照射部10から照射された照射光LSの被写体Obで反射された測定光LRを、偏光撮像部20で撮像する配置となっている。しかし、照射光LSを被写体Obに照射した結果生じた散乱、反射、透過等の測定光LRの中から、どの光を偏光撮像部20で撮像するのかに対応して、偏光照射部10及び偏光撮像部20の配置を任意に変更することができる。例えば、偏光照射部10及び偏光撮像部20のx座標の符号が同一の場合には、照射光LSを被写体Obに照射して生じた反射光を撮像する配置となり、x座標の符号が異なる場合には、照射光LSを被写体Obに照射して生じた透過光を撮像する配置となる。照射光LSを被写体Obに照射して生じた散乱光を撮像する場合には、散乱現象に対応した適切な位置に、偏光照射部10及び偏光撮像部20を配置することになる。
図2は偏光照射部10の構成図であり、(a)は偏光回折格子を用いた第1の偏光照射部10の構成、(b)はMEMSミラーを用いた第2の偏光照射部10’の構成、(c)は拡大照射光学系を用いた第3の偏光照射部10”の構成を示している。
第1の偏光照射部10には、光源11、偏光制御素子12、回転機構を有する4枚の偏光回折格子13a~13dが順次に同一光軸上に配置されている。光源11はレーザーやLED等に特に限定されるものではなく、出射する照射光LSの周波数幅が1PHz以下、好ましくは1THz以下、より好ましくは1GHz以下、更に好ましくは1MHz以下のものを用いるのが望ましい。
また、光源11の照射光LSは、好ましくは被写体Obの内部にまで侵入し、被写体の内部情報に応じて偏光状態が変化する周波数帯域が望ましく、より好ましくは可視光から赤外光の周波数帯域であることが望ましい。偏光制御素子12は光源11から出射された照射光LSの偏光状態を任意に変更可能な機能を有するものであれば、特に形態や構成は限定されず、例えば偏光板と1/4波長板を組み合わせて構成してもよいし、電気光学変調器等を用いることも可能である。
4枚の偏光回折格子13a~13dは同一構造であり、詳細な光学特性は後述するが、円偏光に制御された照射光LSが入射されると、特定の次数の方向のみに照射光LSを100%の回折効率で回折させる機能を有する。その際に、1枚の偏光回折格子に入射して回折された照射光LSは、入射時とは逆回りの円偏光となり、その楕円率εは理論上100%となる。また、4枚の偏光回折格子13a~13dは、第1の偏光照射部10の光軸を中心軸としてそれぞれ個別に回転可能な回転機構を有し、それぞれを適切に回転させることによって、入射された照射光LSを光軸に直交する平面内で2次元走査し、例えばリサージュ図形やラスター図形に沿って走査することができる。
このように構成された第1の偏光照射部10では、光源11から出射された照射光LSが、偏光制御素子12を経て円偏光となり偏光回折格子13a~13dに入射されると、極めて精度の高い円偏光、例えば完全偏光又は偏光度50~100%の部分偏光となり、偏光回折格子13a~13dの回転によって2次元走査されて、被写体Obを照明することが可能となる。2次元走査されて被写体Obを照明する円偏光の照射光LSは、完全偏光である場合には楕円率50~100%であることが望ましく、部分偏光である場合には楕円率εと偏光度pは、ε>50%、p>50%であることが望ましく、好ましくはε>80%、p>80%、より好ましくはε>90%、p>90%、更に好ましくはε>98%、p>98%であることが望ましい。
なお、図2(a)には4枚の偏光回折格子13a~13dを用いた実施例を示したが、照射光LSの2次元走査には2枚以上の偏光回折格子を用いればよい。また、偏光回折格子13a~13dによって回折された照射光LSの偏光状態を調整するために、追加の偏光制御素子を偏光回折格子13a~13dの後段に配置してもよい。
第1の偏光照射部10に代えて図2(b)に示す第2の偏光照射部10’を用いることもできる。第2の偏光照射部10’は、偏光回折格子13a~13dをMEMSミラー14に置換えた構成とされ、光源11、偏光制御素子12は第1の偏光照射部10と同一である。MEMSミラー14は照射光LS’を反射させて2次元走査できるように可動に配置されている。偏光制御素子12は、MEMSミラー14の後段に配置することもできる。また、MEMSミラー14の前段に集光レンズを配置して、被写体Obに走査照明される照射光LS’のビーム径を小径化することもできる。
光源11、偏光制御素子12、MEMSミラー14は同一光軸上に配置されるものの、反射光学系となるので光学系のみに限れば、第1の偏光照射部10よりも大型化する傾向にあるが、第1の偏光照射部10のような複数枚の偏光回折格子13a~13dとこれらを個別に回転させる回転機構は不要となるため、照射光を走査する機構が簡素化できる利点がある。照射光LS’の偏光状態が、MEMSミラー14の反射によって変化する可能性もあるが、MEMSミラー14の後段に偏光制御素子12を配置するか、又は追加の偏光制御素子を配置して、偏光状態を調整することもできる。
従って、使用環境や測定対象に応じて適切な偏光照射部10を選択すべきであって、例えば光学系の小型化を優先するならば第1の偏光照射部10を選択し、光学部材の点数削減や回転機構の簡素化を優先するならば第2の偏光照射部10’を選択することが考えられる。
第1の偏光照射部10に代えて図2(c)に示す第3の偏光照射部10”を用いることもできる。第3の偏光照射部10”は、偏光回折格子13a~13dをレンズ対15に置換えた構成とされ、光源11、偏光制御素子12は第1の偏光照射部10と同一である。レンズ対15は照射光LS”を2次元に拡張する第1レンズと、照射光LS”を平行光又は拡散光とする第2レンズで構成される。第3の偏光照射部10”では照射光LS”を2次元走査せずに拡張して、平行光または拡散光として被写体Obを照明する。偏光回折格子13a~13dやMEMSミラー14のような可動部材を用いないので、装置の小型化に有利である。照射光LS”を2次元走査しない光学系のため、光源11としてコヒーレントな光源を用いる場合には、位相揺らぎ等時間的に不安定なスペックルノイズを生ずる可能性があり、インコヒーレントな光源を用いる場合には指向性が失われて、被写体Obまでの照射可能な距離に制約を生ずる可能性がある。
従って、被写体を安定した照射光で照明するという観点では、第1の偏光照射部10の方が第3の偏光照射部10”よりも優位性がある。
なお、偏光照射部10は、図2に示した構成に限定されず、光源11と、光源11から出射された照射光の偏光制御手段と、照射光を2次元に走査又は拡張する手段とを備えていればよい。例えば、第1の偏光照射部10における回転機構を有する2枚以上の偏光回折格子に代えて、偏光回折格子と可変リターダを多段に重ねてビームステアリングする方式を用いることもでき、この方式では照射光の露光密度は、第1の偏光照射部10よりも低くなることに注意が必要である。
図3は偏光撮像部20の構成図であり、(a)は偏光回折格子及び液晶リターダを用いた第1の偏光撮像部20の構成図、(b)は位相子及び検光子を用いた第2の偏光撮像部20’の構成図、(c)は偏光回折格子及び偏光子アレイカメラを用いた第3の偏光撮像部20”の構成図である。
第1の偏光撮像部20は、被写体Ob側から結像用レンズ21、バンドパスフィルタ22、第1の液晶リターダ23、第2の液晶リターダ24、偏光回折格子25、イメージング素子26を順次に同一光軸上に配置してなる。結像用レンズ21は被写体Obからの測定光LRをイメージング素子26上に結像させるための光学系であり、偏光回折格子25の後段に配置することもできる。バンドパスフィルタ22は測定光LRを単色化するためのフィルタであり、液晶リターダ23、24の後段に配置することもできる。また、測定光LRがレーザー光のような単色化されたものである場合には、バンドパスフィルタ22に代えてエッジパスフィルタ22’を使用することもできる。例えば、測定光LRが波長1μm前後の近赤外光であれば、波長900nm以下の光を遮断するエッジパスフィルタ22’を用いることによって、外部環境光によるノイズを排除した測定光LRをイメージング素子26上に結像させることもできる。
イメージング素子26の横方向を0度方向とすれば、第1の液晶リターダ23の進相軸は45度、第2の液晶リターダ24の進相軸は0度を向いて設定されており、何れも位相差を測定光LRの波長に対して0~2π以上の範囲で可変である。また、第1の液晶リターダ23、第2の液晶リターダ24は、それぞれが測定光LRに与える位相差を時間的に切換えて、以下に列記する3つの状態に偏光を変換するように動作する。
(1)0度及び90度の直線偏光成分を左右円偏光に変換
(2)45度及び135度の直線偏光成分を左右円偏光に変換
(3)偏光を変換しない
偏光回折格子25は、具体的な光学特性は後述するが、測定光LRが入射されると、その左右円偏光成分をそれぞれ特定の次数の個別の方向のみに100%の回折効率で回折させて、左円偏光成分と右円偏光成分に空間的に分離する機能を有する。イメージング素子26は偏光回折格子25によって分離された測定光LRの2つの像を結像し検出する。また、イメージング素子26は好ましくは被写体Obの内部からの測定光LRを検出可能なことが望ましく、より好ましくは可視光から赤外光の周波数帯域の範囲内を検出可能なことが望ましい。
このように構成された第1の偏光撮像部20では、被写体Obからの測定光LRは、結像用レンズ21を透過してイメージング素子26上に結像するようになり、バンドパスフィルタ22で単色化されてから、第1の液晶リターダ23及び第2の液晶リターダ24に順次に入射される。第1の液晶リターダ23及び第2の液晶リターダ24は、時間的に切換えられて3つの状態で動作し、測定光LRに対して順次に、(1)0度及び90度の直線偏光成分を左右円偏光に変換、(2)45度及び135度の直線偏光成分を左右円偏光に変換、(3)偏光を変換しない、の変換を行うので、測定光LRの左右円偏光成分は偏光回折格子25によって空間的に2つに分離されてから、イメージング素子26に2つの像として結像される。
イメージング素子26は測定光LRの分離された2つの像を撮像し、それらは時間的に順次に、(1)左右円偏光に変換された0度直線偏光成分と90度直線偏光成分、(2)左右円偏光に変換された45度直線偏光成分と135度直線偏光成分、(3)右回り円偏光成分と左回り円偏光成分、と切換わることになる。(1)~(3)まで順次に切換わる2つの像の差分を算出すれば、順次に、(1)からストークスパラメータS1、(2)からストークスパラメータS2、(3)からストークスパラメータS3を算出することができ、(1)~(3)の何れかで2つの像の和を求めればストークスパラメータS0を算出することができる。
第1の偏光撮像部20に代えて、図3(b)に示す第2の偏光撮像部20’を用いることもできる。第2の偏光撮像部20’は、第1の液晶リターダ23、第2の液晶リターダ24、偏光回折格子25を位相子27及び検光子28に置換えた構成とされ、結像用レンズ21、バンドパスフィルタ22は第1の偏光撮像部20と同一である。位相子27は測定光LR’から偏光状態に応じた光を得るために、光軸を中心軸として回転可能に配置されている。
第2の偏光撮像部20’では、位相子27及び検光子28を回転させながら、複数回に分けてストークスパラメータの算出に必要な撮像を行い、ストークスパラメータの全要素を算出するには、最低でも4枚の撮像画像が必要となる。また、位相子27及び検光子28を回転させるための機械的可動部を要するため、装置サイズは大型となる傾向にある。
従って、ストークスパラメータの全要素を算出するために要する時間と装置サイズの観点からみると、第1の偏光撮像部20の方が第2の偏光撮像部20’よりも優位性がある。なお、第2の偏光撮像部20’には既知の回転位相子法や回転偏光子法に関する全ゆる技術を用いることができ、測定精度を高めることも可能である。
第1の偏光撮像部20に代えて、図3(c)に示す第3の偏光撮像部20”を用いることもできる。第3の偏光撮像部20”は、第1の偏光撮像部20における第1の液晶リターダ23、第2の液晶リターダ24を使用せずに、イメージング素子26’として偏光アレイカメラを用いた構成とされている。結像用レンズ21、バンドパスフィルタ22、偏光回折格子25は、第1の偏光撮像部20と同一である。
第3の偏光撮像部20”では、偏光回折格子25による測定光LR”の円偏光を回折させて空間的に分離する機能と、イメージング素子26’である偏光子アレイカメラの直線偏光成分の撮像機能とを組み合わせて、ストークスパラメータの全要素を算出する。例えば、偏光回折格子25が測定光LR”の左右円偏光を±1次光に回折させる場合には、偏光回折格子25を透過した測定光LR”の0次光からストークスパラメータS0,S1,S2を算出し、±1次光の差分からS3を算出することが可能である。つまり、第3の偏光撮像部20”を用いれば、1枚の撮像画像から全ストークスパラメータを算出することができる。
ただし、偏光子アレイカメラの画素サイズは、第1の偏光撮像部20のイメージング素子26として用いられる通常のカメラの2倍となるため、撮像画像の解像度は低くなる。また、偏光子アレイカメラに用いられる偏光子アレイの消光比が、赤外波長帯域で小さいことから、赤外波長帯域での偏光撮像には測定精度の観点から使用することは困難である。更に、偏光子アレイカメラはイメージング素子26’として用いるには高価である。従って、解像度、製造コスト、赤外波長帯域への対応の観点からみると、第1の偏光撮像部20の方が第3の偏光撮像部20”よりも優位性がある。
なお、偏光撮像部20としては、図3に示した構成に限定されず、被写体Obからの測定光LRの偏光状態の空間分布を撮像できる構成であれば、既存の全ゆる技術を採用することが可能である。
図4は偏光照射部10における偏光回折格子13a~13d及び偏光撮像部20における偏光回折格子25の光学特性の説明図であり、(a)は光学異方性、(b)は回折特性、(c)は回折効率を示している。偏光回折格子13a~13dが回転機構を有する点を除くと、偏光回折格子13a~13dと偏光回折格子25は同一の光学特性を有する。
偏光回折格子13a~13d、25は、図4(a)に示すように、光学軸が素子面内で周期的に分布した回折光学素子である。図4(b)に示すように、入射する光の波長に対してπの位相差を生ずる条件のときに、偏光回折格子13a~13d、25に左円偏光を入射させた際に+1次光方向に右円偏光を、右円偏光を入射させた際に-1次光方向に左円偏光を、100%の回折効率で回折させ、直線偏光を左右円偏光にそれぞれ50%の回折効率で分離する機能を有する。つまり、偏光回折格子13a~13d、25の±1次光の回折効率は、入射光の楕円率に対して図4(c)に示すような特性を有し、左右円偏光を空間的に分離して回折させることが可能である。
なお、偏光回折格子13a~13d、25の光学軸の分布に応じて、右円偏光を入射させた際に+1次光方向に左円偏光を、左円偏光を入射させた際に-1次光方向に右円偏光を、回折させる機能を発現させることも可能である。また、左右円偏光を空間的に分離して回折させる方向は、特定次数であれば必ずしも±1次とする必要はない。
上述した光学特性を有する偏光回折格子13a~13d、25は、偏光感受性を有する記録材料を含み、偏光ホログラム記録することによって作製される。その際に、記録材料には照射光の偏光方位と偏光楕円率に応じた光学異方性の方位、つまり光学軸の方向と複屈折の大きさが記録される。
偏光回折格子13a~13d、25に含まれる記録材料は、光反応性高分子膜からなり、好ましくは液晶性高分子膜であることが望ましい。また、偏光回折格子13a~13d、25は、液晶性高分子膜を例えばガラス製等のセル内に形成して封止した液晶セル型の偏光回折格子とすることが望ましい。
以上のように構成された実施例1の光測定装置では、偏光照射部10から出射される照射光LSは、高い楕円率かつ高い偏光度の円偏光となり、2次元走査又は2次元に拡張されて、被写体Obの至る所を多様な方向から照明する。照射光LSが被写体Obで散乱、反射、吸収、透過等を受けることによって測定光LRが発生し、偏光撮像部20はこの測定光LRを偏光状態に対応して空間的に分離した撮像、又は偏光状態に対応した複数回の撮像によって、多様な方向から測定し、ストークスパラメータの全要素を算出する。この時の照射光LSのストークスベクトルSと測定光LRのストークスベクトルS’の関係は、ミュラー行列Mに従って、以下の(1)式で表される。
Figure 0007318874000001
偏光照射部10は、高い楕円率かつ高い偏光度の円偏光である照射光LSで被写体Obを照明可能であり、偏光撮像部20は全ストークスパラメータを算出可能であるので、式(1)におけるミュラー行列Mの第1列目と第4列目の計8要素の情報を含むストークスベクトルS’を得ることができる。このストークスベクトルS’には旋光性・複屈折等が含まれており、被写体Obの光学異方性に関する情報をより詳細に取得することができる。
また、円偏光は直線偏光に比べて偏光方位を有しないため、直線偏光に比べて等方的に被写体Obの物性情報を取得することができる。つまり、円偏光は光学軸が伝搬方向に向いていない限りは感度を持ち、光学軸の方位に対応した方向に偏光方位を持つ楕円偏光へと変換されるため、測定された偏光空間分布から被写体Obの異方性の空間分布を直接的に可視化することができる。
一方、直線偏光は偏光方位と異方性の光学軸とが平行又は直交すると感度を失うため、異方性の空間分布を可視化する場合には情報量の面で欠点を有する。なお、従来の無偏光照明はストークスパラメータS1,S2,S3=0であり、異方性に対する感度がないため、被写体の複屈折や旋光性等の情報を可視化することは困難である。
図5は実施例1の光測定装置による測定の説明図であり、座標の原点に配置された被写体Obを測定するために、偏光照射部10を極座標系でri=418mm、θi=0度、φi=16度の位置に配置し、偏光撮像部20を極座標系でrm=400mm、θm=0度、φm=0度の位置に配置した。偏光照射部10の光源11には中心波長532nmのLEDを用い、偏光撮像部20のバンドパスフィルタ22で帯域幅532nm±3nmに制限した。偏光照射部10から照射光LSとして0度直線偏光0LP、左円偏光LCPを被写体Obに照明した。また、比較のために光源11を使用せず、自然光である蛍光灯、つまり無偏光の照明も行った。被写体Obとしては光渦リターダ、樹脂製のCDケースを用いた。偏光撮像部20によって測定光LRの偏光状態に応じた撮像を行い、結像イメージImからストークスパラメータを算出した。
図6は光渦リターダを測定した偏光画像の説明図であり、図7はCDケースのストークスパラメータから出力した偏光画像の説明図である。図6、図7の(1)0度直線偏光0LP、(2)左円偏光LCP、(3)自然光に対する輝度分布、偏光度、直線偏光度、円偏光度、楕円率角、方位角をそれぞれ示している。なお、円偏光度=ストークスパラメータS3/S0と定義して算出している。
図6及び図7に示すように、何れの被写体Obについても、通常の撮像光学系で得られる単なる輝度分布とは異なる画像となっており、偏光度の画像では被写体Obの輪郭部分が強調されており、輪郭抽出に有効であることが分かる。
図8は光渦リターダを測定した偏光画像の詳細説明図である。図8(1)に示すように、直線偏光を照明した場合には、被写体の異方性に応じて方位角・楕円率角が変わるため、異方性の空間分布の情報を一部可視化できる。ただし、特徴点P1のように偏光度に誤検出が発生し、異方性の速軸・遅軸の区別ができず、照明する直線偏光の方位と光学軸とが平行又は直交する場合には、特徴点P2のように感度がなくなる。
一方、図8(2)に示すように、円偏光を照明した場合には、被写体の異方性の向き・大きさは共に偏光方位角と楕円率角から可視化できる。偏光方位角は異方性の光学軸方位に比例関係にあり、また全光学軸方位に対して感度を持つため、特徴点P1のように異方性の空間分布の方位を正確に復元可能である。なお、図8(3)に示すように、自然光を照明した場合には、異方性に対する感度がない。
図9はCDケースを測定した偏光画像の詳細説明図である。図9(1)に示すように、直線偏光を照明した場合には、微細異方性構造に対する感度に軸選択性があり、検出できない傷がある。
一方、図9(2)に示すように、円偏光を照明した場合には、軸選択性が小さく、傷の検出感度が高い。また、特徴点P3のように直線偏光度では異方性に起因する偏光解消が生ずるのに対して、完全偏光度では異方性に起因する偏光解消の影響を除くことができ、正確な偏光解消を測定できる。なお、図9(3)に示すように、自然光を照明した場合には、異方性に起因する傷に対しては検出感度がない。
図10は偏光照射部10の照射光LSの照射角度を変更して、CDケースを測定した偏光画像の説明図であり、照射角度φi=45及び15度の場合の測定結果を示している。図10(1)に示すように、照射角φi=45度の測定では、輝度分布の特徴点P4、P5、又は偏光度の特徴点P4’、P5’のように段差や傷は鮮明には検出されていない。一方、図10(2)に示すように、照射角θi=15度の測定では、輝度分布の特徴点P6、P7を見ても、段差や傷は鮮明には検出されていないが、偏光度の特徴点P6’、P7’を見ると、特徴点P6’には段差があり、特徴点P7’には傷があることが分かる。
実施例1の光測定装置においては、偏光照射部10は、光源11と、光源11から出射された照射光LSの偏光制御手段と、照射光LSを2次元に走査又は拡張する手段とを備えていればよく、偏光撮像部20は、被写体Obからの測定光LRの偏光状態の空間分布を撮像できる構成であれば、既存の全ゆる技術を採用することが可能であり、例えば図2に示す第1~第3の偏光照射部10、10’、10”の何れかと、図3に示す第1~第3の偏光撮像部20、20’、20”の何れかを組み合わせて実施例1の光測定装置を構成し、上述した測定を行うことができる。そして、使用環境や測定対象を考慮して、第1~第3の偏光照射部10、10’、10”及び第1~第3の偏光撮像部20、20’、20”から、適切な組み合わせの偏光照射部10及び偏光撮像部20を選択して本発明の光測定装置を構成することによって、更に良好な測定を行うことも可能である。
実施例2の光測定装置は、実施例1の光測定装置と同様に図1に示す全体構成とされ、偏光照射部10として第2の偏光照射部10’を、偏光撮像部20として第1の偏光撮像部20を、それぞれ用いた構成とされている。
実施例2の光測定装置による測定では、図5に示す実施例1による測定の場合と同様に、座標の原点に配置された被写体Obを測定するために、第2の偏光照射部10’と第1の偏光撮像部20を配置した。第2の偏光照射部10’の光源11には中心波長976nmの半導体レーザーを用い、MEMSミラー14の前段には集光レンズを配置し、偏光制御素子12は偏光板と1/4波長板で構成してMEMSミラー14の後段に配置した。また、第1の偏光撮像部20の結像用レンズ21は偏光回折格子25の後段に配置し、バンドパスフィルタ22に代えて波長900nm以下の光を遮断するエッジパスフィルタ22’を液晶リターダ23、24の後段に配置した。更に、液晶リターダ23、24は近赤外帯域で動作するように設計されたものを用い、偏光回折格子25は重合性液晶製で波長976nm用に位相差が調整されたものを用いた。
第2の偏光照射部10’の光源11から出射された波長976nmのレーザー光である照射光LS’を、集光レンズによってビーム径を小径化し、MEMSミラー14で反射させて2次元走査し、偏光制御素子12を経て直線偏光から円偏光の間で偏光状態を制御して、被写体Obを矩形状に走査照明した。光源に半導体レーザーを用い、集光レンズによってそのビーム径を小径化しているので、照射光LS’を被写体Obの狭い領域に高い光線密度で照明することができる。また、光源を近赤外光としているので、可視光と比較して外部環境光によるノイズの影響を受け難くなると共に、被写体Ob内部への侵入長も長くなるので、被写体Obのより内部の情報を測定できるようになる。
この第2の偏光照射部10’の偏光照明による測定と、無偏光照明による測定との比較を行うために、第2の偏光照射部10’に代えて、赤外LED、バンドパスフィルタ(波長980nm、半値半幅10nm)、矩形開口を順次に配置してなる無偏光照射部を用いて、無偏光の照射光を被写体Obに矩形状に照明した測定も行った。
このように、照射光を被写体Obに照明したことによって被写体Obから生じた測定光LRから、第1の偏光撮像部20の結像用レンズ21、液晶リターダ23、24、偏光回折格子25によって、時間的に切換えて、更に空間的に2つに分離して偏光成分を取得し、イメージング素子26に2つの像として結像させ、そこからストークスパラメータを算出する過程は、上述の通りであるので説明を省略する。この過程の中で、液晶リターダ23、24によって時間的に切換えて得られる偏光成分となった測定光LRから、エッジパスフィルタ22’によって波長900nm以下の外部環境からの可視光ノイズを除去し、取得する偏光成分の質的向上を図った。被写体Obとしては光渦リターダ、樹脂製のCDケースを用い、第1の偏光撮像部20によって測定光LRの偏光状態に応じた撮像を行い、結像イメージImからストークスパラメータを算出した。
図11は実施例2の光測定装置を用いて、第2の偏光照射部10’から半導体レーザーによる矩形状に走査した近赤外光を光渦リターダに偏光照明して、光渦リターダによって生じた測定光を第1の偏光撮像部20によって測定した偏光画像の説明図であり、(1)0度直線偏光0LP、(2)左円偏光LCP、(3)自然光に対する輝度分布、完全偏光度、直線偏光度、円偏光度、楕円率角、方位角をそれぞれ示している。(3)自然光に対する偏光画像は、上述した無偏光照射部を用いて、光渦リターダに矩形状の無偏光照明をした場合に測定された偏光画像である。
第2の偏光照射部10’によって偏光照明した(1)0度直線偏光0LP、(2)左円偏光LCPに対する偏光画像は、被写体Obである光渦リターダの異方性の空間分布に対応した偏光度、楕円率角、方位角の空間分布を表し、被写体Obの有する異方性を測定可能であることが分かる。一方、無偏光照射部によって無偏光照明した(3)自然光に対する偏光画像は、光渦リターダの異方性の空間分布に対応した偏光度、楕円率角、方位角を、全く測定できていないことも分かる。以上の測定結果からMEMSミラー14及び偏光制御素子12を備えた第2の偏光照射部10’と、偏光回折格子25及び液晶リターダ23、24を備えた第1の偏光撮像部20との組み合わせによる偏光イメージングが、被写体Obの異方性の測定に有効であり、近赤外光の偏光照明による偏光イメージングが可能であることを実証することができた。
図12は同様に実施例2の光測定装置を用いて、CDケースに近赤外光を偏光照明し、CDケースによって生じた測定光を測定した偏光画像の説明図であり、(1)0度直線偏光0LP、(2)45度直線偏光45LP、(3)左円偏光LCP、(4)自然光に対する輝度分布、完全偏光度、直線偏光度、円偏光度、楕円率角、方位角をそれぞれ示している。なお、(4)自然光に対する偏光画像は、同様に上述した無偏光照射部を用いて、CDケースを無偏光照明した場合に測定された偏光画像である。
第2の偏光照射部10’によって偏光照明した(1)0度直線偏光0LP、(2)45度直線偏光45LP、(3)左円偏光LCPに対する偏光画像においては、被写体ObであるCDケースが有する異方性の空間分布が、偏光度、楕円率角、方位角の空間分布に反映されていることが分かる。一方、無偏光照射部によって無偏光照明した(4)自然光に対する偏光画像では、CDケースが有する異方性の空間分布が反映された偏光度、楕円率角、方位角を測定できていないことも分かる。
また、(1)0度直線偏光0LP及び(3)左円偏光LCPに対する偏光画像では、特徴点P8、8’、10、10’のように微細歪に起因する偏光解消が可視化されているのに対して、(2)45度直線偏光45LP及び(4)自然光に対する偏光画像では特徴点P9、9’、11、11’のように可視化されていないことが分かる。45度直線偏光に対して偏光変化が生じないのは、微細歪の主たる光学軸が45度方向に向いているためと考えられ、自然光(無偏光照明)では微細歪に対する感度が元々ないため、偏光画像に微細歪の影響が反映されることはない。
以上の測定結果から、MEMSミラー14及び偏光制御素子12を備えた第2の偏光照射部10’と、偏光回折格子25及び液晶リターダ23、24を備えた第1の偏光撮像部20との組み合わせによる偏光イメージングが、微細な応力歪の可視化に対しても有効であり、近赤外光の偏光照明による微細な応力歪の可視化が可能であることを実証することができた。特に、近赤外のレーザー光を集光レンズによってビーム径を小径化してから、MEMSミラー14で反射させて2次元走査しているので、被写体Obの狭い領域に高い光線密度で偏光照明することができ、微細な応力歪等の微細領域における内部情報を測定することが可能である。
このように、本発明に係る光測定装置によれば、偏光照射部10から偏光の制御された照射光LSを被写体Obに照明し、この被写体Obの表面だけでなく内部における散乱、反射、吸収、透過によって生じた測定光LRの偏光状態を、偏光撮像部20によって偏光に応じて空間的に分離して撮像し、又は時間的に複数枚で撮像し、全てのストークスパラメータを算出する。
算出したこれらのストークスパラメータによる照射光LSと測定光LRとの間に生ずる偏光成分の変化を測定することで、被写体Obに特有な被写体情報を取得することが可能である。この被写体情報として、例えば被写体Obの表面構造、特に傷や段差等の表面微細構造や、内部光学異方性や内部複屈折等の被写体Obの内部構造等が挙げられる。
また、本発明に係る光測定装置は、偏光状態を制御された照射光を被写体に照射するので、従来の自然光つまり無偏光の照射光を被写体に照射する場合には測定困難であった上述の被写体情報を取得できると共に、偏光状態の不安定な照射光を被写体に照射して偏光を測定する場合に発生するノイズやコントラスト低下を抑制することも可能である。
更には、偏光を制御された照射光として円偏光を用いれば、コヒーレント光のような位相揺らぎによるスペックルノイズの発生等を抑制できると共に、雨や霧等が存在する環境下、つまり散乱因子中における測定性能を向上させることも可能である。
10、10’、10” 偏光照射部
13a~13d 偏光回折格子
14 MEMSミラー
15 レンズ対
20、20’、20” 偏光撮像部
23、24 液晶リターダ
25 偏光回折格子
LS、LS’、LS” 照射光
LR 測定光
Ob 被写体

Claims (7)

  1. 偏光を制御された照射光を被写体に対して照射する偏光照射部と、前記照射光が前記被写体に照射されたことによって生ずる測定光の偏光状態を撮像し、前記照射光と前記測定光との間に生ずる偏光成分の変化を測定する偏光撮像部を備え
    前記照射光は偏光度50~100%の部分偏光ないし完全偏光であり、内完全偏光成分の楕円率は50~100%であり、
    前記偏光撮像部は前記被写体のストークスパラメータの内で、右回り円偏光成分と左回り円偏光成分との2つの像の差分に基づいて、これらの偏光成分の光強度の差を示すストークスパラメータの要素を少なくとも算出可能な偏光撮像機構を備え、
    該偏光撮像機構は入射した前記測定光を左円偏光成分と右円偏光成分に空間的に分離する偏光回折格子を備え、前記偏光成分の光強度の差を示すストークスパラメータの要素の算出を前記被写体に対して波長900nm以上で撮影したスナップショットから行うことを特徴とする光測定装置。
  2. 前記偏光撮像機構は第1、第2の液晶リターダと、該第1、第2の液晶リターダの後方に配置された前記偏光回折格子を備え、前記被写体の第1、第2、第3及び第4のストークスパラメータから成る全要素を算出可能であり、
    前記第1、第2の液晶リターダは、前記測定光に与える位相差を時間的に切換えて、0度及び90度の直線偏光成分を左右円偏光に変換する、45度及び135度の直線偏光成分を左右円偏光に変換する、及び偏光を変換しないようにするの3つの状態を切換えるように動作し、
    前記左右円偏光に変換された、0度の直線偏光成分と90度の直線偏光成分との2つの像の差分に基づいて、これらの直線偏光成分の光強度の差である前記第1のストークスパラメータを算出し、
    前記左右円偏光に変換された、45度の直線偏光成分と135度の直線偏光成分との2つの像の差分に基づいて、これらの直線偏光成分の光強度の差である前記第2のストークスパラメータを算出し、
    前記偏光を変換せず、前記右回り円偏光成分と左回り円偏光成分との2つの像の差分に基づいて、前記偏光成分の光強度の差を示すストークスパラメータの要素である前記第3のストークスパラメータを算出し、
    前記第1、第2及び第3のストークスパラメータの算出における前記2つの像の和を求めることで、全光強度である前記第4のストークスパラメータを算出することを特徴とする請求項1に記載の光測定装置。
  3. 前記被写体に特有な前記偏光成分の変化に基づいて、前記被写体の被写体情報を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載された光測定装置。
  4. 前記被写体情報は前記被写体の表面構造又は内部構造であることを特徴とする請求項に記載された光測定装置。
  5. 前記偏光照射部は偏光を制御された前記照射光を空間的に2次元走査するためのMEMSミラー又は2枚以上の偏光回折格子を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載された光測定装置。
  6. 前記偏光照射部の前記偏光回折格子及び前記偏光撮像部の前記偏光回折格子は、液晶性高分子膜又は液晶セル型の偏光回折格子であることを特徴とする請求項5に記載された光測定装置。
  7. 前記照射光は可視光から赤外光の周波数帯域に含まれ、前記偏光撮像部の前記偏光撮像部は前記測定光を可視光から赤外光の周波数帯域の範囲内で偏光撮像可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載された光測定装置。
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