JP7317249B2 - 回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents

回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7317249B2
JP7317249B2 JP2022564976A JP2022564976A JP7317249B2 JP 7317249 B2 JP7317249 B2 JP 7317249B2 JP 2022564976 A JP2022564976 A JP 2022564976A JP 2022564976 A JP2022564976 A JP 2022564976A JP 7317249 B2 JP7317249 B2 JP 7317249B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
axis
axis current
command value
value
current command
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022564976A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2022113317A1 (ja
Inventor
辰也 森
潤 北川
将彦 折井
建太 久保
健太 澤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Publication of JPWO2022113317A1 publication Critical patent/JPWO2022113317A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7317249B2 publication Critical patent/JP7317249B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D5/00Power-assisted or power-driven steering
    • B62D5/04Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear
    • B62D5/0457Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear characterised by control features of the drive means as such
    • B62D5/046Controlling the motor
    • B62D5/0463Controlling the motor calculating assisting torque from the motor based on driver input
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02PCONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
    • H02P21/00Arrangements or methods for the control of electric machines by vector control, e.g. by control of field orientation
    • H02P21/22Current control, e.g. using a current control loop
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D5/00Power-assisted or power-driven steering
    • B62D5/04Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear
    • B62D5/0457Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear characterised by control features of the drive means as such
    • B62D5/046Controlling the motor
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D6/00Arrangements for automatically controlling steering depending on driving conditions sensed and responded to, e.g. control circuits
    • B62D6/008Control of feed-back to the steering input member, e.g. simulating road feel in steer-by-wire applications
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02PCONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
    • H02P21/00Arrangements or methods for the control of electric machines by vector control, e.g. by control of field orientation
    • H02P21/0085Arrangements or methods for the control of electric machines by vector control, e.g. by control of field orientation specially adapted for high speeds, e.g. above nominal speed
    • H02P21/0089Arrangements or methods for the control of electric machines by vector control, e.g. by control of field orientation specially adapted for high speeds, e.g. above nominal speed using field weakening
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02PCONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
    • H02P21/00Arrangements or methods for the control of electric machines by vector control, e.g. by control of field orientation
    • H02P21/14Estimation or adaptation of machine parameters, e.g. flux, current or voltage
    • H02P21/18Estimation of position or speed
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02PCONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
    • H02P25/00Arrangements or methods for the control of AC motors characterised by the kind of AC motor or by structural details
    • H02P25/02Arrangements or methods for the control of AC motors characterised by the kind of AC motor or by structural details characterised by the kind of motor
    • H02P25/022Synchronous motors
    • H02P25/03Synchronous motors with brushless excitation

Description

本願は、回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置に関するものである。
永久磁石式の同期回転電機では、永久磁石の鎖交磁束により、ロータの回転角速度に比例した誘起電圧が発生する。高速回転時、最大印加電圧と誘起電圧との差が減少すると、巻線に所望のq軸電流を通電できなくなり、出力トルクが低下する。そこで、一般的に、高速回転時は、d軸電流を負方向に増加させて、永久磁石の鎖交磁束を弱める磁束を巻線に発生させ、誘起電圧を低減する弱め磁束制御が行われる。
弱め磁束制御の方法には、各種の方法がある。特許文献1では、q軸電流指令値とq軸電流検出値との偏差に基づいて、比例制御又は積分制御を行うことにより、d軸電流を増減させ、弱め磁束制御を行うように構成されている。
特許第3559258号
しかし、特許文献1の技術には、q軸電流偏差に基づいたd軸電流指令値の制御の制御ゲインの設定方法について開示されていない。d軸電流の増減により、電圧制限楕円上をq軸電流が移動し、q軸電流が増減するため、弱め磁束制御の実行時のq軸電流の応答性は、d軸電流指令値の制御の応答性に依存する。q軸電流の応答性は、トルクの応答性にかかわるため、回転電機の性能にとって重要である。
そこで、本願は、q軸電流指令値とq軸電流検出値とのq軸電流偏差に基づいて、d軸電流指令値を制御する制御ゲインを、q軸電流の応答性を考慮して設定できる回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
本願に係る回転電機の制御装置は、複数相の巻線を設けたステータと磁石を設けたロータとを有する回転電機を、電力変換器を介して制御する回転電機の制御装置であって、
前記複数相の巻線に流れる電流を検出する電流検出部と、
電流検出値を、前記ロータの回転角度に基づいて、前記ロータの磁極位置の方向に定めたd軸及び前記d軸より電気角で90度進んだ方向に定めたq軸からなるdq軸の回転座標系上のd軸の電流検出値及びq軸の電流検出値に変換する電流座標変換部と、
d軸の電流指令値及びq軸の電流指令値を算出する電流指令値算出部と、
前記d軸の電流検出値が前記d軸の電流指令値に近づき、前記q軸の電流検出値が前記q軸の電流指令値に近づくように、d軸の電圧指令値及びq軸の電圧指令値を変化させ、前記d軸の電圧指令値及び前記q軸の電圧指令値を、前記回転角度に基づいて複数相の電圧指令値に変換する電圧指令値算出部と、
前記複数相の電圧指令値に基づいて、前記電力変換器が有する複数のスイッチング素子をオンオフするスイッチング制御部と、を備え、
前記電流指令値算出部は、前記q軸の電流指令値と前記q軸の電流検出値との偏差であるq軸電流偏差に比例ゲインを乗算した値に基づいて、前記d軸の電流指令値を変化させ、前記比例ゲインを、前記ロータの回転角速度に反比例させて変化させるものである。
本願に係る電動パワーステアリング装置は、
回転電機の制御装置と、
前記電力変換器と、
前記回転電機と、
前記回転電機の駆動力を車両の操舵装置に伝達する駆動力伝達機構と、を備えたものである。
本願に係る回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置によれば、q軸電流が電圧制限楕円により制限されている状態で、d軸電流の変化からq軸電流の変化までの応答は、回転角速度に比例する。q軸電流偏差に乗算されるd軸電流指令値算出用の比例ゲインを、回転角速度に反比例させて変化させることにより、d軸電流からq軸電流までの応答における回転角速度に比例する特性を打ち消することができる。よって、q軸電流偏差からq軸電流までの応答が、回転角速度に応じて変化しないようにでき、q軸電流の応答性を所望の応答性に設定し、所望のトルクの応答性を得ることが容易になる。
実施の形態1に係る回転電機、電力変換器、及び制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る制御装置の概略ブロック図である。 実施の形態1に係る制御装置のハードウェア構成図である。 実施の形態1に係る弱め磁束制御を説明する図である。 実施の形態1に係るd軸電流指令値変化部のブロック図である。 実施の形態1に係る比例ゲインの設定を説明するためのブロック図である。 実施の形態1に係るq軸電流オフセット偏差からq軸の電流検出値までの開ループの伝達関数のボード線図である。 比較例に係るq軸電流オフセット偏差からq軸の電流検出値までの開ループの伝達関数のボード線図である。 実施の形態2に係るd軸電流指令値変化部のブロック図である。
1.実施の形態1
実施の形態1に係る回転電機の制御装置10(以下、単に制御装置10と称す)について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る回転電機1、電力変換器4、及び制御装置10の概略構成図である。本実施の形態では、回転電機1が、電動パワーステアリング装置100の駆動力源となっており、回転電機1、電力変換器4、及び制御装置10が、電動パワーステアリング装置100を構成している。
1-1.回転電機1
回転電機1は、ステータと、ステータの径方向内側に配置されたロータと、を備えている。ステータには、複数相の巻線(本例では、U相、V相、W相の3相の巻線Cu、Cv、Cw)が設けられている。ロータには、永久磁石が設けられており、回転電機1は、永久磁石式の同期回転電機とされている。ロータの外周面に永久磁石が設けられた表面磁石型とされている。なお、ロータの内部に永久磁石が設けられた埋込磁石型とされてもよい。3相の巻線は、スター結線されてもよいし、デルタ結線されてもよい。
ロータには、ロータの回転角度を検出するための回転センサ2が備えられている。回転センサ2には、レゾルバ、エンコーダ、MRセンサ等が用いられる。回転センサ2の出力信号は、制御装置10に入力される。なお、後述するように、回転センサ2が備えられず、電流情報に基づいて角度が推定されるセンサレスの構成とされてもよい。
1-2.電力変換器4
電力変換器4としてインバータが用いられている。なお、電力変換器4として、インバータ以外の電力変換器、例えば、マトリックスコンバータが用いられてもよい。
インバータ4は、直流電源3の正極側に接続される正極側のスイッチング素子SPと直流電源3の負極側に接続される負極側のスイッチング素子SNとが直列接続された直列回路(レッグ)を、3相各相に対応して3セット設けている。そして、各相の直列回路における2つのスイッチング素子の接続点が、対応する相の巻線に接続されている。
具体的には、U相の直列回路では、U相の正極側のスイッチング素子SPuとU相の負極側のスイッチング素子SNuとが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点がU相の巻線Cuに接続されている。V相の直列回路では、V相の正極側のスイッチング素子SPvとV相の負極側のスイッチング素子SNvとが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点がV相の巻線Cvに接続されている。W相の直列回路では、Wの正極側のスイッチング素子SPwとW相の負極側のスイッチング素子SNwとが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点がW相の巻線Cwに接続されている。平滑コンデンサ5が、直流電源3の正極側と負極側との間に接続されている。
スイッチング素子には、ダイオードが逆並列接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、ダイオードが逆並列接続されたバイポーラトランジスタ等が用いられる。各スイッチング素子のゲート端子は、ゲート駆動回路等を介して、制御装置10に接続されている。各スイッチング素子は、制御装置10から出力されたスイッチング信号GPu~GNwによりオン又はオフされる。
直流電源3は、インバータ4に直流電圧Vdcを出力する。本実施の形態では、直流電圧Vdcは、12Vとされている。直流電源3として、バッテリー、DC-DCコンバータ、ダイオード整流器、PWM整流器等、直流電圧Vdcを出力する機器であれば、どのような機器であってもよい。直流電源3には、直流電圧Vdcを検出する電圧センサが設けられ、電圧センサの出力信号が制御装置10に入力されてもよい。制御装置10は、検出した直流電圧Vdcを用いて、制御を行ってもよい。
各相の巻線に流れる電流を検出するための電流センサ6が設けられている。電流センサ6は、シャント抵抗又はホール素子等の電流センサとされる。電流センサ6の出力信号は、制御装置10に入力される。
本実施の形態では、電流センサ6は、各相の2つのスイッチング素子の直列回路に備えられている。U相の抵抗Ru、V相の抵抗Rv、及びW相の抵抗Rwは、各相の負極側のスイッチング素子SNの負極側に直列接続されている。3相の抵抗Ru、Rv、Rwは、アンプ21、22、23により各相の抵抗の両端電位差が検出され、両端電位差が制御装置10に入力される。
なお、電流センサ6は、各相の2つのスイッチング素子の直列回路と各相のコイルとを接続する電線上に備えられてもよい。或いは、電流センサは、インバータ4と直流電源3と接続する電線上に設けられ、公知の「母線1シャント方式」により、各相の巻線の電流が検出されてもよい。
1-3.電動パワーステアリング装置100
電動パワーステアリング装置100は、回転電機の制御装置10と、インバータ4と、回転電機1と、回転電機1の駆動力を車両の操舵装置102に伝達する駆動力伝達機構101と、を備えている。
回転電機1のロータの回転軸は、駆動力伝達機構101を介して車輪103の操舵装置102に連結される。例えば、電動パワーステアリング装置100は、運転者が左右に回転するハンドル104と、ハンドル104に連結されて、ハンドル104による操舵トルクを車輪103の操舵装置102に伝達するシャフト105と、シャフト105に取り付けられ、ハンドル104による操舵トルクTsを検出するトルクセンサ106と、回転電機1の回転軸をシャフト105に連結するウォームギヤ機構等の駆動力伝達機構101と、を備えている。トルクセンサ106の出力信号は、制御装置10(入力回路92)に入力される。
1-4.制御装置10
制御装置10は、インバータ4を介して回転電機1を制御する。図2に示すように、制御装置10は、回転検出部31、電流検出部32、電流座標変換部33、電流指令値算出部34、電圧指令値算出部35、及びスイッチング制御部36等を備えている。制御装置10の各機能は、制御装置10が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御装置10は、図3に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、及び演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93等を備えている。
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)、演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92は、回転センサ2、電流センサ6、トルクセンサ106等の各種のセンサ、スイッチが接続され、これらセンサ、スイッチの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、スイッチング素子をオンオフ駆動するゲート駆動回路等の電気負荷が接続され、これら電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。
そして、制御装置10が備える各制御部31~36等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御装置10の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各制御部31~36等が用いる内分率、制御ゲイン等の設定データは、ソフトウェア(プログラム)の一部として、ROM等の記憶装置91に記憶されている。以下、制御装置10の各機能について詳細に説明する。
1-4-1.基本制御
<回転検出部31>
回転検出部31は、電気角でのロータの磁極位置θ(ロータの回転角度θ)及び回転角速度ωを検出する。本実施の形態では、回転検出部31は、回転センサ2の出力信号に基づいて、ロータの磁極位置θ(回転角度θ)及び回転角速度ωを検出する。本実施の形態では、磁極位置は、ロータに設けられた永久磁石のN極の向きに設定される。回転角速度ωは、回転角度θを微分して算出される。なお、回転検出部31は、電流指令値に高調波成分を重畳することによって得られる電流情報等に基づいて、回転センサを用いずに、回転角度(磁極位置)を推定するように構成されてもよい(いわゆる、センサレス方式)。
<電流検出部32>
電流検出部32は、電流センサ6の出力信号に基づいて、3相の巻線に流れる電流Ius、Ivs、Iwsを検出する。電流検出部32は、電流センサ6の出力信号に基づいて、U相の巻線に流れる電流Iusを検出し、V相の巻線に流れる電流Ivsを検出し、W相の巻線に流れる電流Iwsを検出する。なお、電流センサ6が2相の巻線電流を検出するように構成され、残りの1相の巻線電流が、2相の巻線電流の検出値に基づいて算出されてもよい。例えば、電流センサ6が、V相及びW相の巻線電流Ivs、Iwsを検出し、U相の巻線電流Iusが、Ius=-Ivs-Iwsにより算出されてもよい。
<電流座標変換部33>
電流座標変換部33は、3相巻線の電流検出値Ius、Ivs、Iwsを、回転角度θに基づいてd軸の電流検出値Ids及びq軸の電流検出値Iqsに変換する。本実施の形態では、電流座標変換部33は、3相巻線の電流検出値Ius、Ivs、Iwsを、次式に示すように、回転角度θに基づいて3相2相変換及び回転座標変換を行って、d軸及びq軸の電流検出値Ids、Iqsに変換する。
Figure 0007317249000001
なお、d軸は、磁石の磁極(N極)の方向に定められ、q軸は、d軸より電気角で90度進んだ方向に定められる。
<電圧指令値算出部35>
電圧指令値算出部35は、電流制御部351、q軸電圧制限部352、及び電圧座標変換部353を備えている。電流制御部351は、d軸の電流検出値Idsがd軸の電流指令値Idoに近づき、q軸の電流検出値Iqsがq軸の電流指令値Iqoに近づくように、d軸の電圧指令値Vdo及びq軸の電圧指令値Vqoを変化させる。電流指令値算出部34によるd軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoの算出については後述する。例えば、電圧指令値算出部35は、次式に示すように、比例積分制御を行う。
Figure 0007317249000002
ここで、Kd、Kqは、比例ゲインであり、Td、Tqは、積分時間であり、sは、ラプラス演算子である。
なお、d軸電流とq軸電流の非干渉化のためのフィードフォワード制御が行われてもよい。すなわち、d軸の電圧指令値Vdoに、「-ω×Lq×Iqo」が加算され、q軸の電圧指令値Vqoに、「ω×(Ld×Ido+ψ)」が加算されてもよい。Lqは、q軸のインダクタンスであり、Ldは、d軸のインダクタンスであり、ψは、磁石の起磁力が巻線に鎖交する鎖交磁束である。
q軸電圧制限部352は、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoが、直流電圧Vdcに応じた最大印加電圧Vdc/Kmの範囲を超えないように、直流電圧Vdc及びd軸の電圧指令値Vdoに基づいて、q軸の電圧指令値Vqoを制限する。例えば、q軸電圧制限部352は、次式に示すように、q軸の電圧指令値Vqoが、最大印加電圧Vdc/Km及びd軸の電圧指令値Vdoに基づいて算出された上限制限値VqlmtH及び下限制限値VqlmtLを超えないように、q軸の電圧指令値Vqoに対して上限制限及び下限制限を行い、上限制限及び下限制限後の値を、最終的なq軸の電圧指令値Vqoとして算出する。
Figure 0007317249000003
ここで、Kmは、電圧利用率に対応する係数であり、次式に示すように、3次高調波重畳などの変調の有無に応じて設定される。
Figure 0007317249000004
この構成によれば、最大印加電圧Vdc/Kmに対応する電圧制限円に沿って、d軸の電圧指令値Vdoを優先的に変化させ、q軸の電圧指令値Vqoを従属的に変化させることができる。よって、後述するように、弱め磁束制御においてd軸の電流指令値Idoを優先的に変化させる構成に対応させて、d軸の電圧指令値Vdoを優先的に変化させ、d軸電流Idを優先的に変化させることができる。
q軸電圧制限部352は、q軸の電圧指令値Vqoの制限処理に用いるd軸の電圧指令値Vdoにローパスフィルタ処理を行ってもよい。d軸の電圧指令値Vdoが振動し、q軸の電圧指令値Vqoが振動する。上記のように、d軸の電圧指令値Vdoにローパスフィルタ処理を行った値を用いることにより、q軸の電圧指令値Vqoの振動が抑制され、回転電機の振動及び騒音を低減することができる。
電圧座標変換部353は、d軸及びq軸の電圧指令値Vdo、Vqoを、回転角度θに基づいて3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoに変換する。本実施の形態では、電圧座標変換部353は、d軸及びq軸の電圧指令値Vdo、Vqoを、次式に示すように、回転角度θに基づいて固定座標変換及び2相3相変換を行って、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoに変換する。
Figure 0007317249000005
なお、電圧座標変換部353は、電圧利用率を向上するために、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoに対して、2相変調、3次高調波重畳等の公知の変調を加えてもよい。
<スイッチング制御部36>
スイッチング制御部36は、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoに基づいて、インバータ4が有する複数のスイッチング素子をオンオフする。スイッチング制御部36は、公知のキャリア比較PWM又は空間ベクトルPWMを用いる。
キャリア比較PWMが用いられる場合は、スイッチング制御部36は、キャリア波と3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoのそれぞれとを比較し、比較結果に基づいて、複数のスイッチング素子をオンオフする。キャリア波は、PWM周期Tcで0を中心に直流電圧の半分値Vdc/2の振幅で振動する三角波とされている。スイッチング制御部36は、各相について、キャリア波が電圧指令値を下回った場合は、正極側のスイッチング素子のスイッチング信号GPをオンして、正極側のスイッチング素子をオンし、キャリア波CAが電圧指令値を上回った場合は、正極側のスイッチング素子のスイッチング信号GPをオフして、正極側のスイッチング素子をオフする。一方、スイッチング制御部36は、各相について、キャリア波が電圧指令値を下回った場合は、負極側のスイッチング素子のスイッチング信号GNをオフして、負極側のスイッチング素子をオフして、負極側のスイッチング素子をオフし、キャリア波CAが電圧指令値を上回った場合は、負極側のスイッチング素子のスイッチング信号GNをオンして、負極側のスイッチング素子をオンする。なお、各相について、正極側のスイッチング素子のオン期間と負極側のスイッチング素子のオン期間との間には、正極側及び負極側のスイッチング素子の双方をオフにする短絡防止期間(デッドタイム)が設けられてもよい。
空間ベクトルPWMが用いられる場合は、スイッチング制御部36は、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoから電圧指令ベクトルを生成し、電圧指令ベクトルに基づいて、PWM周期における7つの基本電圧ベクトルの出力時間配分を決定し、7つの基本電圧ベクトルの出力時間配分に基づいて、PWM周期において各スイッチング素子をオンオフするスイッチング信号を生成する。
1-4-2.電流指令値算出部34
電流指令値算出部34は、d軸の電流指令値Ido、及びq軸の電流指令値Iqoを算出する。本実施の形態では、電流指令値算出部34は、基本電流指令値算出部341、d軸電流指令値変化部342、d軸電流指令値制限部343、及びq軸電流指令値制限部344を備えている。
1-4-2-1.基本電流指令値算出部341
基本電流指令値算出部341は、d軸の基本電流指令値Idob及びq軸の基本電流指令値Iqobを算出する。本実施の形態では、基本電流指令値算出部341は、トルクセンサ106の出力信号に基づいて、運転者の操舵トルクTsを検出する。そして、基本電流指令値算出部341は、次式に示すように、操舵トルクTsに基づいてq軸の基本電流指令値Iqobを設定し、d軸の基本電流指令値Idobを0に設定する。すなわち、Id=0制御が行われる。Id=0制御では、d軸の基本電流指令値Idobが0に設定される。Id=0制御は、本実施の形態の表面磁石型の回転電機に好適である。表面磁石型の回転電機では、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとがほぼ等しくなり、q軸電流Iqに比例してトルクが変化する。
Figure 0007317249000006
ここで、Kaは、定数であるが、操舵トルクTs及び車両の走行速度等に応じて変化されてもよい。また、q軸の基本電流指令値Iqobは、操舵状況に応じた公知の補償制御に基づいて設定されてもよい。
埋込磁石型の回転電機の場合は、Id=0制御の代わりに、最大トルク電流制御などの他の制御方法によりd軸及びq軸の基本電流指令値Idob、Iqobが設定されてもよい。最大トルク電流制御では、同一電流に対して発生トルクを最大にするようなd軸及びq軸の基本電流指令値Idob、Iqobが算出される。
1-4-2-2.弱め磁束制御
<弱め磁束制御の原理>
回転電機の電圧方程式は、式(1)のようになる。
Figure 0007317249000007
ここで、Vdは、d軸の印加電圧であり、Vqは、q軸の印加電圧であり、Idは、d軸の電流であり、Iqは、q軸の電流であり、sはラプラス演算子であり、Rは巻線抵抗であり、ψはロータ磁石による鎖交磁束であり、Ldはd軸インダクタンスであり、Lqはq軸インダクタンスである。
式(7)の回転角速度ωが乗算される項は、次式に示すように、巻線に生じる誘起電圧の項であり、d軸の誘起電圧Vdi及びq軸の誘起電圧Vqiは、回転角速度ωが増加するに従って増加する。
Figure 0007317249000008
誘起電圧Viは、次式に示すようになり、誘起電圧Viが、印加可能な最大印加電圧Vdc/Kmに近づくと、通電可能な巻線電流量が減少するため、回転電機のトルクが減少する。
Figure 0007317249000009
そこで、式(9)からわかるように、d軸電流Idを負方向に増加させることにより、ロータの鎖交磁束ψを打ち消す磁束を発生させて、誘起電圧Viを減少させ、巻線電流量を増加させる弱め磁束制御が、一般的に行われる。
また、次式に示すように、巻線電流は、流すことができる巻線電流の最大電流値Imaxにより上限制限される。式(10)で表される電流制限円の範囲内に、d軸電流Id、q軸電流Iqを制御する必要がある。
Figure 0007317249000010
また、次式に示すように、d軸電流Id及びq軸電流Iqは、誘起電圧Viが、印加可能な最大印加電圧Vdc/Kmに一致する電圧制限楕円の範囲内になるように制限される。
Figure 0007317249000011
図4に示すように、弱め磁束制御の領域のある回転角速度ωで、所望のトルクを得るd軸電流Id及びq軸電流Iqは、電圧制限楕円とq軸の電流指令値Iqoとの交点になる。電流制限円によりq軸の電流指令値Iqoが制限される場合は、電圧制限楕円と電流制限円との交点になる。
しかし、従来のように、このような最適なd軸及びq軸の電流指令値を、フィードフォワード的に設定するためには、電圧制限楕円に係るd軸及びq軸インダクタンスLd、Lq、及びロータの鎖交磁束ψの精度の良い情報が必要である。しかし、d軸及びq軸インダクタンスLd、Lq、及びロータの鎖交磁束ψの精度の良い情報が取得できない場合は、最適なd軸及びq軸の電流指令値をフィードフォワード的に設定できない。あるいは、d軸及びq軸インダクタンスLd、Lq、及びロータの鎖交磁束ψが、経時変化又は温度特性により変動する場合には、d軸及びq軸の電流指令値の設定精度が悪化する。
一方、特許文献1の技術では、q軸電流指令値とq軸電流検出値とのq軸電流偏差に基づいて、比例制御又は積分制御により、d軸電流指令値を増減させている。特許文献1の技術では、回転角速度ωの増加により電圧制限楕円が狭まり、q軸電流が電圧制限楕円により制限された場合に、q軸電流偏差によりd軸電流の負方向の増加量が増加されるため、インダクタンス及びロータの鎖交磁束ψの情報を用いずに、弱め磁束制御を行うことができる。しかし、特許文献1の技術には、q軸電流偏差に基づいたd軸電流指令値の制御の制御ゲインの設定方法について開示されていない。d軸電流の増減により、電圧制限楕円上をq軸電流が移動し、q軸電流が増減するため、弱め磁束制御の実行時のq軸電流の応答性は、d軸電流指令値の制御の応答性に依存する。q軸電流の応答性は、トルクの応答性にかかわるため、回転電機の性能にとって重要である。
そこで、q軸電流指令値とq軸電流検出値とのq軸電流偏差に基づいて、d軸電流指令値を制御する制御ゲインを、q軸電流の応答性を考慮して設定できる制御装置が求められる。
<d軸電流指令値変化部342>
図5にd軸電流指令値変化部342のブロック図を示す。d軸電流指令値変化部342は、q軸の電流指令値Iqoとq軸の電流検出値Iqsとの偏差であるq軸電流偏差ΔIq_errに比例ゲインKpidを乗算した値に基づいて、d軸の電流指令値Idoを変化させる。そして、後述するように、比例ゲインKpidを、回転角速度ωに反比例させて変化させる。
本実施の形態では、q軸電流偏差ΔIq_errに基づいた比例制御及び積分制御が行われるように構成されている。なお、積分制御は、行われなくてもよい。
次式に示すように、d軸電流指令値変化部342は、q軸の電流指令値Iqoからq軸の電流検出値Iqsを減算したq軸電流偏差ΔIq_errに基づいて、比例制御及び積分制御を行って、d軸電流指令値変化量ΔIdoを算出し、d軸電流指令値変化量ΔIdoをd軸の基本電流指令値Idobに加算して、d軸の電流指令値Idoを算出する。q軸の電流指令値Iqoが正値又は負値であるかに応じて、比例ゲインKpidに乗算される-1又は+1が切り換えられている。
Figure 0007317249000012
ここで、Kpidは、正値に設定されたd軸電流指令値算出用の比例ゲインであり、Tiidは、d軸電流指令値算出用の積分時間であり、sは、ラプラス演算子である。d軸電流指令値算出用の比例ゲインKpid及び積分時間Tiidの設定方法については以下で説明する。
<比例ゲインKpidの設定>
式(12)の比例ゲインKpidは、正値に設定されればよいが、以下で、応答性を考慮した好適な設定方法について説明する。d軸電流指令値変化部342は、d軸電流指令値算出用の比例ゲインKpidを、回転角速度ωに反比例させて変化させる。本実施の形態では、次式に示すように、目標応答角周波数ωidoを回転角速度ωで除算した値が、比例ゲインKpidに設定される。目標応答角周波数ωidoは、q軸電流偏差ΔIq_errに応じてd軸の電流指令値Idoを変化させ、q軸電流偏差ΔIq_errの絶対値を減少させるフィードバック制御系の目標応答角周波数である。
Figure 0007317249000013
目標応答角周波数ωidoは、R/Lqよりも大きい値に設定されるとよい。このように設定すれば、q軸電流偏差ΔIq_errが収束する時間(時定数)が、回路の時定数Lq/Rよりも短くなる。これにより、弱め磁束制御の領域において、回転角速度及び要求トルクの変化に対して、比較的速く、d軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoを変化させ、出力トルクを変化させることができる。本実施の形態のように、回転電機が、電動パワーステアリング装置100のアシスト用駆動力源として用いられる場合は、例えば、目標応答角周波数ωidoは、250[rad/s]から1200[rad/s]の間の値に設定されると、良好な操舵感になる場合がある。
式(12)の積分時間Tiidは、例えば、回路の時定数Lq/Rに設定されるとよい。次式に示すように、積分ゲインKiiqは、Kpid/Tiidになる。よって、式(13)から、積分ゲインKiiqも、回転角速度ωに反比例させて変化される。例えば、積分ゲインKiiqは、目標応答角周波数ωidoに巻線の抵抗値Rを乗算した値を、回転角速度ω及びインダクタンスLqで除算した値に設定される。
Figure 0007317249000014
式(7)の電圧方程式からq軸電圧Vqの式を取り出し、VqをVqoに置き換え、Id、IqをIds、Iqsに置き換えると、次式となる。
Figure 0007317249000015
式(15)を、q軸の電流検出値Iqsについて解くと、次式を得る。
Figure 0007317249000016
弱め磁束制御の実行時は、q軸の電圧指令値Vqoが、電圧制限円による上限制限値VqlmtH又は下限制限値VqlmtLに一致している状態になるので、q軸の電圧指令値Vqoの操作によるq軸の電流検出値Iqsの制御を考えず、d軸の電流検出値Idsの操作によるq軸の電流検出値Iqsの制御を考える。よって、式(16)のVqo及びωψの項を無視すると、式(16)は、次式のようになる。
Figure 0007317249000017
式(17)から、d軸の電流検出値Idsからq軸の電流検出値Iqsまでの伝達関数Gp(s)は、次式のようになる。
Figure 0007317249000018
よって、d軸の電流検出値Idsの操作によるq軸の電流検出値Iqsの変化量は、回転角速度ωに比例して増大することがわかる。
この伝達関数Gp(s)を用いると、制御系は、図6のブロック図のように表せられる。q軸電流偏差ΔIq_errからd軸の電流指令値Idoまでの伝達関数Gc(s)は、式(12)、式(13)より、次式のようになる。ただし、積分時間Tiidを、Lq/Rに設定している。
Figure 0007317249000019
d軸の電流指令値Idoからd軸の電流検出値Idsまでの伝達関数Gd(s)は、次式で表せられる。ここで、ωidsは、d軸の電流フィードバック制御の目標応答角周波数である。
Figure 0007317249000020
d軸の電流フィードバック制御の目標応答角周波数ωidsは、d軸の電流指令値の目標応答角周波数ωidoよりも十分に高く設定されることが望ましい。ωidsは、式(2)のd軸の比例ゲインKdを用いて、Kd/Ldになる。よって、d軸の比例ゲインKdは、ωido×Ldよりも、大きい値に設定されればよい。例えば、好ましくは、d軸の比例ゲインKdは、3×ωido×Ldよりも大きい値に設定されればよく、更に好ましくは、d軸の比例ゲインKdは、5×ωido×Ldよりも大きい値に設定されればよい。d軸の比例ゲインKdをこのように設定することで、Gd(s)≒1とみなすことができる。
Figure 0007317249000021
以上から、q軸電流偏差ΔIq_errからq軸の電流検出値Iqsまでの開ループの伝達関数Gop(s)は、次式で表せられる。ここで、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとがほぼ等しく、Gd(s)≒1であるとして、整理している。
Figure 0007317249000022
式(22)は、単純な積分特性であり、回転角速度ωに依存しない。ボード線図を描くと、図7のようになり、ゲインの傾きが-20dB/decの一定値であり、角周波数=ωidoで、0dBになる。
よって、次式に示すように、q軸の基本電流指令値Iqobの変化に対するq軸の電流検出値Iqsの変化の閉ループの伝達関数Gfb(s)は、目標応答角周波数ωidoの逆数の時定数を有する一次遅れとなる。よって、弱め磁束制御において、式(13)に示すようにd軸電流指令値算出用の比例ゲインKpidを、回転角速度ωに反比例させて変化させることにより、q軸の基本電流指令値Iqobの変化に対するq軸の電流検出値Iqsの変化の応答を、回転角速度ωにより変動しない、目標応答角周波数ωidoの逆数の時定数を有する一次遅れとすることができる。よって、目標応答角周波数ωidoの設定により、所望のトルクの応答性を得ることができる。これにより、電動パワーステアリング装置100の操舵感が向上する。
Figure 0007317249000023
式(13)とは異なり、d軸電流指令値算出用の比例ゲインKpidを、回転角速度ωに応じて変化させることなく、固定値に設定する場合について説明する。この場合、式(22)において、Gp(s)に存在するωの項を、比例ゲインKpidによりGc(s)に存在する1/ωの項で相殺しなくなるので、次式に示すように、開ループの伝達関数Gop(s)は、ωに比例した特性になる。
Figure 0007317249000024
ここで、Kは定数である。ω=ωmdで、式(22)と同じ特性を得ようとすると、K=1/ωmdに設定される。図8に、ω=0.5×ωmd、ω=1×ωmd、ω=2×ωmdの場合のボード線図を示すように、回転角速度ωがωmdから変動すると、応答が、ω/ωmd倍だけ変動する。ω=1×ωmdの場合は、開ループの伝達関数Gop(s)の応答が、ωidoになるので、所望の応答が得られるが、ω=2×ωmdの場合は、Gop(s)の応答が2倍になり、応答性が良くなる利点があるが、q軸の電流検出値Iqsに含まれるノイズ成分のフィードバック量が2倍になり、回転電機の異音が増加する可能性がある。一方、ω=0.5×ωmdの場合は、Gop(s)の応答が0.5倍になり、q軸電流の応答が悪化し、トルクの応答が悪化する。よって、回転角速度ωに応じて、トルクの応答が変動し、電動パワーステアリング装置100の操舵感が悪化する可能性がある。
<d軸の電流指令値Idoの上下限制限>
次式に示すように、d軸電流指令値制限部343は、d軸の電流指令値Idoを、上限制限値IdlmtHにより上限制限し、下限制限値IdlmtLにより下限制限する。上限制限値IdlmtHは、d軸の基本電流指令値Idobに設定される。下限制限値IdlmtLは、ロータの永久磁石の不可逆減磁の発生を防止するための負の制限値に設定される。
Figure 0007317249000025
回転角速度ωが基底回転角速度以下である場合など、弱め磁束制御を実行する必要がない領域では、Ido=Idobに強制的に設定されてもよい。
<q軸電流指令値制限部344>
q軸電流指令値制限部344は、3相の巻線に供給される電流が、3相の巻線に供給できる最大電流値Imaxの範囲を超えないように、最大電流値Imax及びd軸の電流指令値Idoに基づいて、q軸の電流指令値Iqoを制限する。例えば、q軸電流指令値制限部344は、次式に示すように、q軸の基本電流指令値Iqobが、最大電流値Imax及びd軸の電流指令値Idoに基づいて算出された上限制限値IqlmtH及び下限制限値IqlmtLを超えないように、q軸の基本電流指令値Iqobに対して上限制限及び下限制限を行い、上限制限及び下限制限後の値を、q軸の電流指令値Iqoとして算出する。この制限処理は、d軸及びq軸の電流指令値Iqo、Idoを、最大電流値Imaxの電流制限円の範囲内に制限する処理である。
Figure 0007317249000026
この構成によれば、q軸の基本電流指令値Iqobが最大電流値Imaxに対応する電流制限円に制限される場合に、最大電流値Imaxに対応する電流制限円に沿って、d軸の電流指令値Idoを優先的に変化させ、q軸の電流指令値Iqoを従属的に変化させることができる。よって、弱め磁束制御においてd軸の電流指令値Idoを優先的に変化させ、弱め磁束量の適正化を行うことができる。
2.実施の形態2
実施の形態2に係る制御装置10について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転電機1、電力変換器4、及び制御装置10の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、q軸電流偏差ΔIq_errの算出方法が実施の形態1と異なる。図9にd軸電流指令値変化部342のブロック図を示す。
本実施の形態では、d軸電流指令値変化部342は、q軸の電流指令値Iqoの絶対値をq軸オフセット値ΔIqoffだけ減少させたオフセット後のq軸の電流指令値Iqoffoと、q軸の電流検出値Iqsとの偏差により、q軸電流偏差ΔIq_errを算出する。
次式に示すように、d軸電流指令値変化部342は、q軸の電流指令値Iqoが正値である場合は、q軸の電流指令値Iqoから正値のq軸オフセット値ΔIqoffを減算したオフセット後のq軸電流指令値Iqoffoと、q軸の電流検出値Iqsとの偏差を、q軸電流偏差ΔIq_errとして算出する。一方、d軸電流指令値変化部342は、q軸の電流指令値Iqoが負値である場合は、q軸の電流指令値Iqoにq軸オフセット値ΔIqoffを加算したオフセット後のq軸電流指令値Iqoffoと、q軸の電流検出値Iqsとの偏差を、q軸電流偏差ΔIq_errとして算出する。実施の形態1の式(12)と同様に、q軸電流偏差ΔIq_errに比例ゲインKpidを乗算した値に基づいて、d軸の電流指令値Idoが変化させる。
Figure 0007317249000027
この構成によれば、q軸電流が電圧制限楕円により制限されている場合に、電圧制限楕円と、q軸の電流指令値Iqoよりもq軸オフセット値ΔIqoffだけ低下又は増加した直線との交点に移動するように、d軸の電流指令値Idoの負方向の増加量が増減される。この時、q軸の電流検出値Iqsは、q軸の電流指令値Iqoをq軸オフセット値ΔIqoffだけ下回る又は上回るので、q軸の電圧指令値Vqoを電圧制限円による上限制限値VqlmtH又は下限制限値VqlmtLに張り付かせることができ、電圧利用率を最大値に保てる。また、q軸の電流検出値Iqsのノイズ成分の振幅よりもq軸オフセット値ΔIqoffが大きい場合は、ノイズ成分が生じても、q軸の電圧指令値Vqoを制限値に張り付かせることができ、回転電機の異音及び騒音を低減することができる。
<転用例>
回転電機1は、電動パワーステアリング装置100以外の各種の装置の駆動力源とされてもよい。例えば、回転電機1は、車輪の駆動力源とされてもよい。
ステータに3相以外の複数相(例えば、2相、4相)の巻線が設けられてもよい。
ステータに複数組(例えば2組)の3相の巻線が設けられ、各組の3相の巻線に対応して電力変換器及び制御装置の各部が設けられてもよい。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 回転電機、4 電力変換器、10 回転電機の制御装置、31 回転検出部、32 電流検出部、33 電流座標変換部、34 電流指令値算出部、35 電圧指令値算出部、36 スイッチング制御部、Ido d軸の電流指令値、Ids d軸の電流検出値、Iqo q軸の電流指令値、Iqs q軸の電流検出値、Vdo d軸の電圧指令値、Vqo q軸の電圧指令値、ΔIdo d軸電流指令値変化量、ωido 目標応答角周波数

Claims (8)

  1. 複数相の巻線を設けたステータと磁石を設けたロータとを有する回転電機を、電力変換器を介して制御する回転電機の制御装置であって、
    前記複数相の巻線に流れる電流を検出する電流検出部と、
    電流検出値を、前記ロータの回転角度に基づいて、前記ロータの磁極位置の方向に定めたd軸及び前記d軸より電気角で90度進んだ方向に定めたq軸からなるdq軸の回転座標系上のd軸の電流検出値及びq軸の電流検出値に変換する電流座標変換部と、
    d軸の電流指令値及びq軸の電流指令値を算出する電流指令値算出部と、
    前記d軸の電流検出値が前記d軸の電流指令値に近づき、前記q軸の電流検出値が前記q軸の電流指令値に近づくように、d軸の電圧指令値及びq軸の電圧指令値を変化させ、前記d軸の電圧指令値及び前記q軸の電圧指令値を、前記回転角度に基づいて複数相の電圧指令値に変換する電圧指令値算出部と、
    前記複数相の電圧指令値に基づいて、前記電力変換器が有する複数のスイッチング素子をオンオフするスイッチング制御部と、を備え、
    前記電流指令値算出部は、前記q軸の電流指令値と前記q軸の電流検出値との偏差であるq軸電流偏差に比例ゲインを乗算した値に基づいて、前記d軸の電流指令値を変化させ、前記比例ゲインを、前記ロータの回転角速度に反比例させて変化させる回転電機の制御装置。
  2. 前記電流指令値算出部は、前記q軸電流偏差に基づいて前記d軸の電流指令値を変化させ、前記q軸電流偏差の絶対値を減少させるフィードバック制御系の目標応答角周波数を、前記回転角速度で除算した値を、前記比例ゲインとして設定する請求項1に記載の回転電機の制御装置。
  3. 前記電流指令値算出部は、前記目標応答角周波数を、巻線の抵抗値をインダクタンスで除算した値よりも大きい値に設定する請求項2に記載の回転電機の制御装置。
  4. 前記電圧指令値算出部は、前記d軸の電流指令値と前記d軸の電流検出値との偏差であるd軸電流偏差に、d軸の比例ゲインを乗算した値に基づいて、前記d軸の電圧指令値を算出し、前記d軸の比例ゲインを、前記目標応答角周波数にインダクタンスを乗算した値よりも大きい値に設定する請求項2又は3に記載の回転電機の制御装置。
  5. 前記電流指令値算出部は、前記q軸電流偏差に前記比例ゲインを乗算した値と、前記q軸電流偏差に積分ゲインを乗算した値の積分値との合計値に基づいて、前記d軸の電流指令値を算出し、前記積分ゲインを前記回転角速度に反比例させて変化させる請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機の制御装置。
  6. 前記電流指令値算出部は、前記q軸電流偏差に基づいて前記d軸の電流指令値を変化させ、前記q軸電流偏差の絶対値を減少させるフィードバック制御系の目標応答角周波数を、前記回転角速度で除算した値を、前記比例ゲインとして設定し、
    前記目標応答角周波数に巻線の抵抗値を乗算した値を、前記回転角速度及びインダクタンスで除算した値を、前記積分ゲインとして設定する請求項5に記載の回転電機の制御装置。
  7. 前記電流指令値算出部は、前記q軸の電流指令値の絶対値をq軸オフセット値だけ減少させたオフセット後のq軸の電流指令値と、前記q軸の電流検出値との偏差により、前記q軸電流偏差を算出する請求項1から6のいずれか一項に記載の回転電機の制御装置。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の回転電機の制御装置と、
    前記電力変換器と、
    前記回転電機と、
    前記回転電機の駆動力を車両の操舵装置に伝達する駆動力伝達機構と、を備えた電動パワーステアリング装置。
JP2022564976A 2020-11-30 2020-11-30 回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置 Active JP7317249B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2020/044419 WO2022113317A1 (ja) 2020-11-30 2020-11-30 回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2022113317A1 JPWO2022113317A1 (ja) 2022-06-02
JP7317249B2 true JP7317249B2 (ja) 2023-07-28

Family

ID=81755461

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022564976A Active JP7317249B2 (ja) 2020-11-30 2020-11-30 回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20240025472A1 (ja)
EP (1) EP4254775A4 (ja)
JP (1) JP7317249B2 (ja)
CN (1) CN116472666A (ja)
WO (1) WO2022113317A1 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3559258B2 (ja) 2001-07-30 2004-08-25 三菱電機株式会社 ステアリング制御装置
WO2020090115A1 (ja) 2018-11-02 2020-05-07 三菱電機株式会社 電動機制御装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5467562A (en) 1977-11-10 1979-05-31 Teizou Yamaguchi Production of parts having inclined projection
JP3849979B2 (ja) * 2002-07-02 2006-11-22 本田技研工業株式会社 電動パワーステアリング装置
JP2007089287A (ja) * 2005-09-21 2007-04-05 Jtekt Corp モータ制御装置
JP7147472B2 (ja) * 2018-10-30 2022-10-05 株式会社ジェイテクト 操舵制御装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3559258B2 (ja) 2001-07-30 2004-08-25 三菱電機株式会社 ステアリング制御装置
WO2020090115A1 (ja) 2018-11-02 2020-05-07 三菱電機株式会社 電動機制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20240025472A1 (en) 2024-01-25
EP4254775A1 (en) 2023-10-04
JPWO2022113317A1 (ja) 2022-06-02
CN116472666A (zh) 2023-07-21
WO2022113317A1 (ja) 2022-06-02
EP4254775A4 (en) 2024-01-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5550672B2 (ja) モータ制御装置
US9112436B2 (en) System for controlling controlled variable of rotary machine
US20160204730A1 (en) Rotating electric machine control device
JP6445937B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
US9935568B2 (en) Control apparatus of rotary electric machine
US9461575B2 (en) Rotary electric machine control apparatus
JP4652176B2 (ja) 永久磁石型回転電機の制御装置
US20190363658A1 (en) Motor controlling method, motor controlling system, and electronic power steering system
JP7090812B2 (ja) 交流回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置
US20230116678A1 (en) Motor control device and steering system
WO2017109884A1 (ja) 回転電機の制御装置
JP7317249B2 (ja) 回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置
US20200001915A1 (en) Motor controlling method, motor controlling system, and electronic power steering system
US20200007062A1 (en) Motor controlling method, motor controlling system, and electronic power steering system
JP7162685B2 (ja) 交流回転電機の制御装置
JP7317250B2 (ja) 回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置
JP6203318B1 (ja) 電動機制御装置および電動機制御方法
JP6949165B2 (ja) 交流回転機の制御装置
WO2022044347A1 (ja) 回転電機の制御装置及び電動パワーステアリング装置
WO2023228404A1 (ja) 回転電機制御装置
JP7046121B2 (ja) 回転機の制御装置
JP6945673B2 (ja) 交流回転電機の制御装置
JP7391271B2 (ja) 回転電機の制御装置
WO2022018841A1 (ja) 電力変換装置および電動パワーステアリング装置
JP2023183492A (ja) 交流回転機の制御装置、及び車両用発電電動機装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220914

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230620

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230718

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7317249

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151