JP7316938B2 - 眼の炎症を予防及び治療するためのアミノホスフィン誘導体 - Google Patents

眼の炎症を予防及び治療するためのアミノホスフィン誘導体 Download PDF

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Description

本発明は、眼の炎症の予防及び治療に関する。
炎症又は神経病変は、これらの内因性オピオイドペプチドを含有する免疫細胞の傷害部位への移動(Hassanら、1993年、Neuroscience、55巻、185~195頁)、炎症性物質(ケモカイン、インターロイキン、LTB4、その他)により活性化されたリンパ球によるエンケファリンの放出(Machelska、2007年、Neuropeptides、41巻、355~363頁)、炎症を起こした角化細胞からのエンケファリンの放出(Gabrilovacら、2004年、Immunol. Lett.、91巻、39~47頁)又は代わりに刺激された神経線維からのエンケファリンの放出(Hassanら、1993年、Neuroscience、55巻、185~195頁;Rittnerら、2001年、Anesthesiology、95巻、500~508頁)等の種々の機構により、エンケファリンの局所濃度を増大させる。オピオイド受容体の調節も、これらの受容体が、末梢神経の末梢部に効率的に移送される前に、脊髄の後根の神経節で起こる(Hassanら、1993年、Neuroscience、55巻、185~195頁)。
炎症性化合物の別のファミリーのロイコトリエンは、プロスタグランジンの前駆体であるアラキドン酸から合成される。それらは、炎症性応答における非常に重要な作用物質である。LTB4の活性化は、多核好中球細胞の炎症部位への移動を生じさせるが、酸化されたフリーラジカルの産生及び接着分子の発現も生じさせる。したがって、プロスタグランジン及びロイコトリエンは、異なる態様の炎症のメディエーターである。
オピオイド、特にモルヒネの使用は、眼の炎症に有益な効果を有し得ることが示されている。炎症の発生に対するモルヒネの局所投与の効果は、ラットで硝酸銀により角膜上皮を焼灼するモデルを使用して研究された(Wenkら、2003年、Pain、105巻、455~465頁)。モルヒネの使用は、間質の浮腫の発生を遅らせること(治療された角膜は、非治療角膜と異なって、治療後12時間で正常と思われた)及び免疫細胞の浸潤を遅らせること(免疫細胞は非常に少ししか存在しない)を可能にする。
化学的攻撃に続く機能性オピオイド受容体の明白な増大は、組織の病変又は炎症により活性化された角膜における内因性オピオイドシステムの存在の仮説を強化する。この効果は、多分鎮痛(抗痛覚過敏)及び抗炎症性の両方である。内因性オピオイドシステムの活性化は、受容体及び内因性リガンドの増強された利用可能性を暗示する。
エンケファリン(メトエンケファリン及びロイエンケファリン)は、ペンタペプチドであり、哺乳動物の脳で最初に単離された内因性オピオイドである(Huguesら、1975年、Nature、258巻、577~580頁)。それらは、主として、2クラスの受容体、ミュー及びデルタオピオイド受容体に結合して(Lordら、1977年、Nature、267巻、495~499頁)、その機能及び局在化は異なる(Waksmanら、1986年、Proc. Natl. Acad. Sci.、83巻、1523~1527頁)。
他方、エンケファリン(Tyr-Gly-Gly-Phe-Met及びTyr-Gly-Gly-Phe-Leu)は、2種の亜鉛メタロペプチダーゼ、Gly3-Phe4結合を開裂するネプリリシン(EC3.4.24.11、NEP) (Malfroyら、1978年、Nature、276巻、523~526頁)及びこれらのペプチドのTyr1-Gly2結合を切断するアミノペプチダーゼN(EC3.4.11.2、APN)により生理学的に不活性化されることが知られている。(Waksmanら、1985年、Eur.J.Pharmacol.、117巻、233~243頁;総説、Roquesら、1993年、Pharmacol.Rev.、45巻、87~146頁)。
本発明のアミノホスフィン誘導体、即ち、一緒になってAPN及びNEPを阻害するエンケファリナーゼの「真の」混合阻害剤は、先行する特許及び刊行物(WO98/18803;WO2010/010106;Chenら、2000年、J.Med.Chem.、43巻、1398~1408頁;Chenら、2001年、J.Med.Chem.、44巻、3523~3530頁;LeGuenら、2003年、Pain、104巻、139~148頁;Bonnardら、2015年、Pharmacol.Res.Persp.、3巻(2号)、e00116頁、doi:10.1002/prp2.116)に鎮痛活性を有すると記載されている。
他方、局所投与により、眼の炎症を低減することを可能にする化合物としてのこれらのアミノホスフィン誘導体の使用は、これまで記載又は示唆されたことがない。
NEP及びAPNの混合阻害剤のプロドラッグは、加水分解されて、角膜のレベルでその標的に達することができる化合物を生じ、それにより炎症の低減における応答を可能にすることもこれまで示されたことがない。同様に、LTA4ヒドロラーゼの阻害剤のプロドラッグが加水分解されて、角膜のレベルでその標的に達することができて、したがって、眼の炎症の低減における応答を可能にすることができる化合物を生じることも、これまで示されたことがない。
WO98/18803 WO2010/010106 FR2755135 FR2934267
Hassanら、1993年、Neuroscience、55巻、185~195頁 Machelska、2007年、Neuropeptides、41巻、355~363頁 Gabrilovacら、2004年、Immunol.Lett.、91巻、39~47頁 Rittnerら、2001年、Anesthesiology、95巻、500~508頁 Wenkら、2003年、Pain、105巻、455~465頁 Huguesら、1975年、Nature、258巻、577~580頁 Lordら、1977年、Nature、267巻、495~499頁 Waksmanら、1986年、Proc.Natl.Acad.Sci.、83巻、1523~1527頁 Malfroyら、1978年、Nature、276巻、523~526頁 Waksmanら、1985年、Eur.J.Pharmacol.、117巻、233~243頁 Roquesら、1993年、Pharmacol.Rev.、45巻、87~146頁 Chenら、2000年、J.Med.Chem.、43巻、1398~1408頁 Chenら、2001年、J.Med.Chem.、44巻、3523~3530頁 LeGuenら、2003年、Pain、104巻、139~148頁 Bonnardら、2015年、Pharmacol.Res.Persp.、3巻(2号)、e00116頁、doi:10.1002/prp2.116 Tholanderら、2008年、Chem.Biol.、15巻、920~929頁 Willis及びLaibson、1970年、Can.J.Ophthalmol.、5巻、239~243頁 Burstein及びKlyce、1977年、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.、16巻(10号)、899~911頁 Rochaら、1995年、Can.J.Ophthalmol.、30巻(4号)、198~202頁 Reiser及びLaibson、1989年、Ophthalmic Surg.、20巻、72~73頁 Launayら、Neurobiol.Dis.、88巻(2016年)、16~28頁
したがって、本発明の目標の1つは、エンケファリンの分解の原因となる2種の酵素活性(ネプリリシン及びアミノペプチダーゼN)(後者は、眼の炎症の状況内で作用を有することができる)を、一緒になって阻害することができる新規なアミノホスフィンタイプ化合物を提供することである。
更に、注目すべきことに、本発明者らは、LTA4ヒドロラーゼの阻害剤のプロドラッグであり(Tholanderら、2008年、Chem.Biol.、15巻、920~929頁)、それによりLTB4の形成を予防する(Bonnardら、2016年、Pharma.Res.Per.、3(2)、2015年、e00116、doi:10.1002/prp2.116)化合物1、本発明の化合物は、その局所投与により、前眼部において炎症性作用を有する化合物を発生することを示した。
したがって、本発明は、より具体的には、眼の炎症の治療及び/又は予防におけるその使用のための、式(I)を有する化合物、又は前記化合物の薬学的に許容される塩に関する:
(I) R1-NH-CH(R2)-P(=O)(OH)-CH2-C(R3)(R4)-CONH-C(R5)(R6)-COOR7
(式中、
R1は、
- 水素
- (アシルオキシ)アルキルカルバメート-C(=O)-O-C(R)(R')-OC(=O)-R''基(式中、R及びR'は、互いに独立に、水素、アルキル基を表し、R''はアルキル基を表す)
を表し、
R2は、
- 1から6個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖状の又は分岐した炭化水素鎖を表し、
R3及びR4は、互いに独立に、
- 水素、
- フェニル環上で
*1から5個のハロゲン原子、とりわけフッ素又は臭素、
*OH、SH、OR''又はSR''(R''基は前と同じ定義を有する)、
*1から6個の炭素原子を有する環状又は直鎖状の脂肪族基により任意選択でモノ又はジ置換されたアミノ基、
*トリフルオロメチル基、
*5又は6個の原子を有する芳香族又はヘテロ芳香族基
により任意選択で置換されているフェニル又はベンジル基、
- 酸素、窒素、又は硫黄から選ばれた1又は2個のヘテロ原子を含有する、5又は6個の原子を有するヘテロ芳香族基であって、硫黄及び窒素原子が酸化されてS-オキシド又はN-オキシドの形態になり得る、ヘテロ芳香族基、
- 5又は6個の原子を有する、芳香族又は飽和の複素環により置換されたメチレンであって、ヘテロ原子が、酸素、窒素、又は硫黄であり、窒素及び硫黄原子が酸化されてN-オキシド又はS-オキシドの形態になり得る、メチレン
を表し、
R3及びR4は、水素原子を同時には表さず、
R5及びR6は、互いに独立に、
- 水素原子、
- 1から6個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の、直鎖状の又は分岐した炭化水素鎖
を表し、
R7は、
- 水素、
- CH2COOR'''又はCH(CH3)COOR'''基(R'''は、
*C1からC3のアルコキシ基により任意選択で置換されている、1から6個の炭素原子を有する飽和炭化水素鎖、
*C5からC8のシクロアルキル基、
*フェニル、ベンジル、ヘテロ芳香族又はヘテロ芳香族アルキル基
を表す)
- CH(R)O-C(O)OR'又はCH(R)OC(O)R'基(式中、R及びR'は前と同じ定義を有する)
を表す)。
眼の炎症は、外傷性全身障害、感染及び/又は自己免疫疾患にとりわけ起因し得る。本発明による化合物は、眼治癒及び/又は瘢痕形成の過程を改善するために、したがって、例えば、毒性の角膜症の発症、上皮のレベルにおける問題又は永久的瘢痕を予防するために、有利に使用される。
本発明による化合物は、角膜、強膜、ブドウ膜の炎症を予防又は治療するためにとりわけ使用することができる。したがって、本発明による化合物は、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、ブドウ膜炎、白内障、シネキア、黄斑浮腫、網膜剥離、高眼圧症及び緑内障により惹起される視神経の変性と関連する眼の炎症を予防又は治療するために有利に使用される。特に、本発明による化合物は、新しい血管の形成(血管新生)を予防するためにも使用される。
本発明は、とりわけ眼の炎症の治療及び/又は予防におけるその使用のための、本発明の式(I)の化合物を含む眼科用組成物、特に眼ローション、眼科用軟膏、眼科用ゲル、又は眼科用挿入剤にも関する。
本発明において、眼の炎症を患う患者は、典型的には動物、好ましくは動物であり、有利にはそれはヒトである。
眼の炎症
炎症は、種々の起源:外傷性全身障害;感染;自己免疫疾患によるものであり得る攻撃に対する生物体の生理学的応答である。眼のレベルで、炎症は、全身循環から眼を隔離するバリアの破裂をとりわけ惹起して、炎症過程に関与して瘢痕形成に影響を有するタンパク質及び細胞の侵入を可能にする。
多くの局所眼科用麻酔薬は、治癒過程を遅らせて、毒性角膜症、上皮のレベルにおける問題又は永久的瘢痕等の合併症に至り得る(Willis及びLaibson、1970年、Can.J.Ophthalmol.、5巻、239~243頁;Burstein及びKlyce、1977年、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.、16巻(10号)、899~911頁;Rochaら、1995年、Can.J.Ophthalmol.、30巻(4号)、198~202頁)。その結果として、医師は、重症の眼疼痛のためでさえ局所麻酔薬を処方することをしばしば躊躇する(Reiser及びLaibson、1989年、Ophthalmic Surg.、20巻、72~73頁)。
炎症は、眼の表面において角膜及び強膜;虹彩から構成されるブドウ膜、毛様体及び脈絡膜;並びに視神経の起始部において、網膜及び乳頭に影響し得る。有利には、眼の炎症は、眼の表面において強膜に;虹彩から構成されるブドウ膜、毛様体及び脈絡膜に;並びに視神経の起始部において、網膜及び乳頭に影響する。この眼の炎症は、角膜の混濁及び病変(角膜炎);強膜の病変(強膜炎及び上強膜炎);水晶体の混濁化(白内障)の合併症を伴うブドウ膜炎;虹彩の水晶体に対する接着(シネキア);黄斑浮腫;網膜剥離;高眼圧症及び緑内障により惹起される視神経の変性;新しい血管の形成(血管新生);その他の原因となり得る。
特定の一実施形態において、眼の炎症は、角膜炎によって惹起されるとは限らない。
本発明による化合物:
本発明において、「薬学的に許容される」とは、一般的に安全で、無毒性であり、生物学的にも又は他の面でも有害でなく、獣医学的使用及びヒトの薬剤学の両方のために許容される薬学的組成物の調製において有用であることを意味すると理解される。
化合物の「薬学的に許容される塩」は、本発明においては、本明細書で定義された薬学的に許容される、及び親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を意味すると理解される。本発明の範囲内で、それらは、無機質の又は有機塩基を用いて得られた付加塩である。したがって、形成された塩は、
- 金属イオン、例えばアルカリ金属イオン(例えば、Na+、K+又はLi+)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+又はMg2+等)又はアルミニウムイオンによる酸のプロトンの置き換え、
- 又は有機若しくは無機塩基によるこの酸プロトンへの配位
のいずれかに相当する。
許容される有機塩基には、アミン、例えば、アンモニア、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トロメタミン等が含まれる。許容される無機塩基には、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム(苛性カリ)、炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウム(ソーダ)が含まれる。
有利には、本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される無機質の又は有機塩基、例えば、水酸化リチウム、ソーダ、水酸化カリウム、アンモニア、式NRaRbRcの第三級アミン等(ここで、Ra、Rb及びRcは、互いに独立に、下で定義されるアルキル基、例えばトリエチルアミンを表す)、又は代わりに、塩基性アミノ酸、例えばリジン若しくはアルギニン及びそれらの誘導体等を用いて得られる付加塩であろう。
「不飽和」とは、本発明の意味では、炭化水素鎖が、1つ又は複数の不飽和を含むことを意味すると理解される。「不飽和」は、本発明の意味では、二重又は三重結合を意味すると理解される。
「ハロゲン原子」は、本発明の意味では、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味すると理解される。有利には、それは、フッ素、臭素又は塩素原子である。より有利には、それはフッ素又は臭素原子、及び好ましくはフッ素である。
「アミノ」基は、本発明の意味では、式-NR*R**の基を意味すると理解され、ここで、R*及びR**は、互いに独立に、水素原子又は、1から6個、好ましくは1から4個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、直鎖状、分岐若しくは環状の炭化水素基を表すか、又はR*及びR**は、それらを担持する窒素原子と一緒になって、飽和若しくは不飽和の、並びに2つのR*及びR**基を担持する窒素以外の他のヘテロ原子を含まない5若しくは6員の複素環を形成する。特に、アミノ基は、-NH2、-NHMe、-NHEt、-NHPr、NHiPr、-NHBu、-NHiBu、-NHtBu、ピペリジニル又はピロリジニル基であってもよい。
「芳香族」基は、本発明の意味では、特に断らない限り、好ましくは5から10個の炭素原子を含み、例えばフェニル又はナフチル基等の1つ又は複数の縮合環を含む芳香族基を意味すると理解される。有利には、それはフェニルである。
「ヘテロ芳香族」基は、本発明の意味では、1つ又は複数の炭素原子が、1つ又は複数のヘテロ原子、有利に1から4個の及び、更により有利には1から2個の、例えば硫黄、窒素又は酸素原子(硫黄及び窒素原子は、任意選択でS-オキシド又はN-オキシドの形態になり得る)等により置き換えられている上で定義された任意の芳香族基を意味すると理解される。ヘテロ芳香族基の例は、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル又はインダニル基である。
「5又は6個の原子を有するヘテロ芳香族環」は、本発明の意味では、例えば、5又は6個の原子を有する単一の環のみを含む、上で定義されたヘテロ芳香族基を意味すると理解される。それは、とりわけ、チエニル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジル、ピラゾリル、イミダゾリル又はテトラゾリル基である。
「複素環」は、本発明の意味では、1つ又は複数の炭素原子が、1つ又は複数のヘテロ原子、有利には1から4個及び、更により有利には、1から2個の、例えば硫黄、窒素又は酸素原子(硫黄及び窒素原子は、任意選択で酸化されて、N-オキシド及びS-オキシドの形態になり得る)等により置き換えられた、有利には5又は6個の原子を有する炭化水素環を意味すると理解される。特に断らない限り、この環は、飽和又は芳香族であることができる。
ヘテロ原子が、窒素及び硫黄から選択される場合には、複素環は、特に、ピペリジニル、ピロリジニル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピペラジル、チアジアゾリル、テトラヒドロチエニル又はチアゾリル基であってもよい。
「アルキル」は、本発明の意味では、特に断らない限り1から6個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐の飽和炭化水素鎖を意味すると理解される。それは、特に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル基である。
「シクロアルキル」は、本発明の意味では、5から8個の炭素原子を含む飽和の炭化水素環、特にシクロヘキシル、シクロペンチル又はシクロヘプチル基を意味すると理解される。
「ヘテロ芳香族アルキル」は、本発明の意味では、上で定義されたアルキル基等を通して分子に結合した、上で定義されたヘテロ芳香族基を意味すると理解される。それは、特にチエニルメチル又はフリルメチル基である。
第1の代替において、R1は、(アシルオキシ)アルキルカルバメート-C(=O)-O-C(R)(R')-OC(=O)-R''基を表す。特に、R1は、-C(=O)-O-CHMe-OC(=O)-CHMe2基を表す。第2の代替において、R1は水素原子を表す。
やはり有利に、R2基は、1から4個の炭素原子を含む、直鎖状の又は分岐した飽和炭化水素鎖を表す。好ましくは、R2基は、メチル基を表す。
本発明の有利な代替によると、R3は水素原子を表し、R4は、前に定義された通りである。有利には、R3は水素原子を表し、R4はフッ素又は臭素等の1から5個のハロゲン原子、フェニル又は5若しくは6員のヘテロ芳香族基により任意選択で置換されているベンジル基を表し、好ましくは、R4は、フェニルにより任意選択で置換されている(とりわけパラ位で)ベンジル基を表す。特に、R3は、水素原子を表し、R4は、パラ位で臭素原子等のハロゲン原子により、又はフェニルにより置換されたベンジル基を表す。
やはり有利には、R4基は、フッ素又は臭素等の1から5個のハロゲン原子、フェニルにより任意選択で置換されているベンジル基又は5若しくは6員のヘテロ芳香族基を表し、好ましくは、R4は、フェニルにより任意選択で置換されている(とりわけパラ位で)ベンジル基を表す。
やはり有利には、R5基は水素原子を表す。
やはり有利には、R6基は、メチル基等のアルキル基を表す。
やはり有利には、R7基は、水素原子又はベンジルを表す。
本発明の有利な代替によると、基は以下の語義を有する:
- R1は、-C(=O)-O-C(R)(R')-OC(=O)-R''基を表し、式中、Rは、水素原子を表し、R'及びR''はアルキル基を表す;
- R2はアルキル基を表す;
- R3は水素原子を表す;
- R4は、パラ位でハロゲン原子(臭素)により又はフェニルにより置換されたベンジル基を表す;
- R5は、水素原子を表す;
- R6は、アルキル基を表す;
- R7は、水素原子を表す。
特定の実施形態によると、本発明の化合物は、以下の化合物から選択される:
2-(2-ビフェニル-4-イルメチル-3-{ヒドロキシ-[1-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-エチル]-ホスフィノイル}-プロピオニルアミノ)-プロピオン酸のベンジルエステル
2-(2-ビフェニル-4-イルメチル-3-{ヒドロキシ-[1-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-エチル]-ホスフィノイル}-プロピオニルアミノ)-プロピオン酸
2-(2-ビフェニル-4-イルメチル-3-{ヒドロキシ-[1-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-エチル]-ホスフィノイル}-プロピオニルアミノ)-プロピオン酸のエチルエステル
2-(2-ビフェニル-4-イルメチル-3-{ヒドロキシ-[1-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-エチル]-ホスフィノイル}-プロピオニルアミノ)-プロピオン酸のエトキシカルボニルオキシエステル
2-(2-(4-ブロモ-ベンジル)-3-{ヒドロキシ-[1-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-エチル]-ホスフィノイル}-プロピオニルアミノ)-プロピオン酸のベンジルエステル
2-(2-(4-ブロモ-ベンジル)-3-{ヒドロキシ-[1-(1-イソブチリルオキシ-エトキシカルボニルアミノ)-エチル]-ホスフィノイル}-プロピオニルアミノ)-プロピオン酸
2-(2-ビフェニル-4-イルメチル-3-{ヒドロキシ-[1-(アミノ)-エチル]-ホスフィノイル}-プロピオニルアミノ)-プロピオン酸のベンジルエステル
2-(2-ビフェニル-4-イルメチル-3-{ヒドロキシ-[1-(アミノ)-エチル]-ホスフィノイル}-プロピオニルアミノ)-プロピオン酸
2-(2-ビフェニル-4-イルメチル-3-{ヒドロキシ-[1-(1アミノ)-エチル]-ホスフィノイル}-プロピオニルアミノ)-プロピオン酸のエチルエステル
2-(2-ビフェニル-4-イルメチル-3-{ヒドロキシ-[1-(アミノ)-エチル]-ホスフィノイル}-プロピオニルアミノ)-プロピオン酸のエトキシカルボニルオキシエステル
2-(2-(4-ブロモ-ベンジル)-3-{ヒドロキシ-[1-(アミノ)-エチル]-ホスフィノイル}-プロピオニルアミノ)-プロピオン酸のベンジルエステル
2-(2-(4-ブロモ-ベンジル)-3-{ヒドロキシ-[1-(アミノ)-エチル]-ホスフィノイル}-プロピオニルアミノ)-プロピオン酸
2-(2-(4-ブロモ-ベンジル)-3-{ヒドロキシ-[1-(アミノ)-エチル]-ホスフィノイル}-プロピオニルアミノ)-プロピオン酸のエチルエステル。
好ましくは、それは化合物1である:
Figure 0007316938000001
式(I)の化合物は、APN及びNEPの二重阻害剤として記載されており、静脈内又は経口投与後に多くの中枢又は末梢疼痛モデルで鎮痛活性を有する(Chenら、2000年、J.Med.Chem.、43巻、1398~1408頁;Bonnardら、2015年、Pharmacol.Res.Persp.、3巻(2号)、e00116、doi:10.1002/prp2.116)。
式(I)の化合物は、例えば、FR2755135及びFR2934267に記載された方法によって合成することができる。化合物1は、例えば、Chenら、2000年、J.Med.Chem.、43巻、1398~1408頁に記載されたように合成することもできる。
式(I)の化合物は、特に所望の投与経路のために、当業者によって記載された方法に従って製剤化される。
特に、化合物は、眼科用組成物、特に眼ローション、眼科用軟膏、眼科用ゲル、又は眼科用挿入剤の形態で製剤化される。
優先的に、本発明の投与される組成物は、局所投与、特に眼内投与のための、溶液剤、懸濁液剤又は他の混合物として製剤化されるであろう。その結果として、そのような組成物は、良好な寛容性(特に許容されるpH)、生理学的容量オスモル濃度を重んじるように製剤化される。組成物は、滅菌されて、使用中の細菌の汚染を回避するように製剤化されることが更に好ましい。眼科用溶液剤は、有利には、透明であり、粒子の不在により特徴付けられる。懸濁液剤は、有利には、25μm未満の粒径により特徴付けられる。眼内投与のための薬学的製剤に関しては、以下のことをとりわけ挙げることができる:
- 眼ローション:1種又は複数の有効成分を含有する滅菌溶液剤、懸濁液剤、エマルション剤の形態で。水性又は水可溶溶媒又は溶媒の混合物が好ましい。眼ローションは、複数回用量又は単回用量の包装で包装することができる。
- 眼科用軟膏、即ち半固体調製物は、滅菌されて、1種又は複数の有効成分及び適当な賦形剤(ワセリン、液体パラフィン)を含有し、結膜に適用されることを意図されている。
- 眼科用ゲル、即ち半固体調製物は、滅菌されて、1種又は複数の有効成分及び適当な賦形剤を含有し、結膜に適用されることを意図されている。賦形剤は、有利には、水の存在下でゲル化する親水性ポリマー(カルボマー、carbopol(登録商標)、ポリアクリル酸)である。
- 眼科用挿入剤、即ち固体又は半固体の調製物は、滅菌されて、結膜嚢に挿入されることを意図されている。それらは、一般的に、放出を制御することを可能にする膜により包囲されたマトリックス中に封入された有効成分の貯蔵所を構成する。有効成分は徐々に放出される。
水溶液剤は、それらがより容易に製剤化され、及び患者が、そのような組成物を、冒された眼に溶液剤の1又は2滴の滴下により自己投与することも比較的容易なので、好ましく使用される。結局、組成物は、懸濁液剤、粘稠若しくは半粘稠のゲル又は他のタイプの固体若しくは半固体組成物であることもできる。
本発明の眼科用製剤のために好ましく使用されるビヒクルは、Milli-Q水、及び優先的に生理学的食塩水溶液である。貯蔵中のいかなるpH偏移も避けるために、そのような溶液剤のpHは、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩緩衝剤等の適当な緩衝剤を用いて、5.0と8の間、とりわけ5.5と8.0の間、及び優先的に6.5と7.2の間に好ましくは維持されるであろう。製剤は、従来の、薬学的に許容される、防腐剤、安定剤及び/又は浸透を容易にする化合物を含有することもできる。
したがって、眼科用組成物は、有利には、5.0から8の範囲、とりわけ5.5と8.0の間のpHを有する水溶液が有利である。
本発明に記載された方法に従って投与される組成物は、式(I)の化合物の眼科用の使用のための有効量を含有する。これは、眼の炎症を予防又は軽減するのに十分な量を意味する。一般的に、本発明で記載された組成物は、0.01%と3%(質量/体積)の間の式(I)の化合物を含有するであろう。好ましくは、本発明の組成物は、0.1と1%(質量/体積)の間の式(I)の化合物を含有するであろう。したがって、眼科用組成物は、有利には質量/体積で0.01%から3%、より有利には質量/体積で0.1%から1%の前記式(I)の化合物を含む。
投与される組成物は、他の種々の成分、例えば、但し網羅的様式でなく、界面活性剤、容量オスモル濃度に影響する作用物質、緩衝剤、防腐剤、共溶媒又は増粘剤等も含有することができる。
容量オスモル濃度に影響する異なる化合物は、天然涙液の組成に近づくために、溶液の容量オスモル濃度を調整するために使用することができる。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、デキストロース及び/又はマンニトールが、(一般的に、150~450mOsm及び優先的に250~350mOsmのオーダーの)生理学的容量オスモル濃度に近づくために使用され得る。
本発明の眼科用製剤中で使用され得る防腐剤は、塩化ベンズアルコニウム、クロロブタノール、臭化ベンゾドデシニウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、チメロサール、フェニル水銀酢酸塩及びフェニル水銀硝酸塩であり得るが、これらに限定されない。そのような防腐剤は、一般的に、0.001から1.0%質量/体積の用量で使用される。
本発明の眼科用製剤中で使用され得る粘度で作用する作用物質は、モノマーポリオール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、カルボマー又はヒドロキシエチルセルロース、デキストラン70等のデキストラン、ゼラチン等の水可溶タンパク質、その他であり得るが、これらに限定されない。
浸透に作用する、使用され得る作用物質は、例えば、ジメチルスルホキシド又は他のスルホキシド、ジメチルアセトアミド及びピロリドン等の有機溶媒;複素環式アミンのある種のアミド化合物、グリコール(例えばプロピレングリコール);プロピレンカーボネート;オレイン酸;アルキル化されたアミン及び他のアンモニウム塩誘導体;種々のアニオン、カチオン又は非イオン性界面活性剤、その他である。
好ましい一実施形態では、本発明の製剤は、ヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリン等のシクロデキストリン又は代わりにスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、又はポリスチレンスルホン酸ナトリウムを含む。
したがって、眼科用組成物は、有利には、シクロデキストリン、例えばヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリン又は代わりにスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン等、又はポリスチレンスルホン酸ナトリウムを更に含む。
異なる対照マウス角膜切片の像、ケージ1:スクラッチ+LPS+PBS 異なる対照マウス角膜切片の像、ケージ1:スクラッチ+LPS+PBS 異なる対照マウス角膜切片の像、ケージ2:スクラッチ+LPS(2×)+PBS 異なる治療されたマウス角膜切片の像、ケージ3:スクラッチ+LPS(1×)+化合物1(10mM) 異なる治療を受けたマウス角膜切片の像、ケージ3:スクラッチ+LPS(1×)+化合物1(10mM) 異なる治療を受けたマウス角膜切片の像、ケージ4:スクラッチ+LPS(2×)+化合物1(10mM) 異なる治療を受けたマウス角膜切片の像、ケージ4:スクラッチ+LPS(2×)+化合物1(10mM) 下の実施例で使用された、眼表面を撮像するための実験設備の写真(Tomocapカプセル)。 図1及び図2は、図4及び図5に対する炎症の対照として役立つ。図3は、図6及び図7に対する炎症の対照として役立つ。 三叉神経節における遺伝子ATF3(活性化転写因子3)の発現。LPS炎症モデルにおいて、PBS対照群に対して毎日2回5日間の化合物1による治療は、炎症過程と関連するニューロンのストレスマーカーであるATF3の発現を、かなり低下させる。 三叉神経節におけるタンパク質Iba1(イオン化カルシウム結合アダプター分子1)の相対パーセンテージ。LPS炎症モデルにおいて、PBS対照群に対して毎日2回5日間の化合物1による治療は、Iba-1を発現する活性化された小グリア細胞の着色、マクロファージの産生の徴候をかなり低下させる。
(実施例1)
リポ多糖(LPS、50μg)により誘発された炎症モデルにおける化合物1(上の構造を参照されたい)の薬理学的活性
角膜上皮の病変(図中で「スクラッチ」と名付けられた擦過傷(abrasion))を、麻酔された動物(イソフラン)で、8週齢の雄マウスC57Bl/6、の右眼に、穿孔器(直径1.5mm)を使用して作る。1滴(10μl)のLPS(50μg)を、傷つけられた領域に垂らして、動物が覚醒するまで、角膜と接触したままにする。
実験者は、動物が正確に覚醒することを確実にして、それは介入後2分以内に起こる。
PBS(リン酸緩衝液pH=7.4)(1×)の溶液又は化合物1の溶液(PBS(1×)溶液中10mMの化合物1)を使用する最初の局所治療は、LPSの滴下2時間後に実施した。この治療を毎日2回5日間続けた。
4箇所の動物ケージを研究した:
ケージ1:スクラッチ LPS(滴下、第1日)+PBS1×(n=5)
ケージ2:スクラッチ LPS(2×)(滴下、第1日及び第4日)+PBS1×(n=5)
ケージ3:スクラッチ LPS(滴下、第1日)+化合物1(10mM)(n=5)
ケージ4:スクラッチ LPS(2×)(滴下、第1日及び第4日)+化合物1(10mM)(n=5)
マウスの眼の炎症を、第5日にインビボで共焦点顕微鏡を使用して評価した。これは、角膜と接触して置かれた装置のカプセル(Tomocap)/角膜モジュールのおかげで、角膜上皮、神経網状組織、間質及び内皮を含む角膜の(細胞及び細胞内の解像)像が得られることを可能にする。角膜及び角膜神経を構成する全ての細胞の形態学的変化が、容易に観察可能であり及び定量可能である。全ての動物は、腹腔内注射(ケタミン100mg/kg及びキシラジン10mg/kg)により麻酔された。治療しない眼にはLubrithal(登録商標)ゲルを垂らした。
この手順で使用した実験設備は、ヒトの臨床用途で日常的に使用されるものと同一である。動物に麻酔して両眼にLubrithal(登録商標)ゲルを与える。実験設備は、眼の表面を撮像するために当てられた室内に置く。この方法は非侵襲的である。完全な検査は、1匹の動物当たり最大で5分を要する(図8を参照されたい)。
図1から図7に示した異なる群について得られた像で、5日間続けて化合物1(10mM)の毎日2回の滴下を受けた動物の角膜は、PBS1×を受けた動物の角膜と比較して炎症が軽いことが見られる。
(実施例2)
この実施例の目的は、上及び請求項1で定義された式(I)の化合物、より具体的には化合物1の抗炎症性効果を示すことであり、この炎症性状態と連結された2種のマーカー:ATF3及びIba1(Launayらにより、Neurobiol.Dis.、88巻(2016年)、16~28頁に記載されている)を、実施例1に記載されたマウスでLPSにより誘発された炎症性角膜炎モデルで免疫組織学検査により、三叉神経節で定量した。
ATF3(活性化転写因子3)は、数種類の疾患の炎症性応答を調整するATFのファミリーの転写因子である。生理学的条件では、主要な感覚ニューロンは非常に僅かのATF3しか発現しない。したがって、ATF-3に対して陽性のニューロンの数の増大は、炎症過程と関連するニューロンの被害を明示する。
同様に、Iba1(イオン化カルシウムが結合しているアダプター分子1)は、マクロファージの存在により、したがって、炎症過程により活性化された小グリア細胞で発現される。
1.免疫組織学的研究
組織の調製
LPSの最終滴下の2時間後に、300μLのケタミン1000U(100mg/kg体重)とキシラジン(10mg/kg体重、Virbac社、フランス)の混合物を、腹腔内経路により注射して動物を深く麻酔した。固定した後、三叉神経節及び眼を注意深く切開して、同じ固定混合物中で48時間、後固定した。三叉神経の亜核(三叉神経核、TG)の複合体の切片(40μm)を、Vibratom(Leica Microsystems社、ドイツ)を使用して形成した。TGを1×PBS中のスクロースの10%溶液中に(終夜)、次にスクロースの30%溶液中に置いた後、7.5%ゼラチンと10%スクロースの混合物中において-20℃で凍結した。切片(14μm)を、TG及び眼について、低温槽中で作製して-20℃で保存した。
免疫蛍光によるマーキング
1×PBSで3回洗浄した後、TG切片を、3%の正常ウマ血清及び0.1%のトリトンX-100を含有する固定溶液中に2時間置いて、次に一次抗体と4℃で48時間インキュベートした。
この研究で使用される抗体は、ウサギ抗ATF3(Sigma-Aldrich社:HPA001562、1/500)及び抗ヤギIba1(Abcam社:ab5076、1/500)である。ATF3は、ウサギ抗体(1/500;Vector Laboratories社)と結合したウマビオチン(horse biotin)を使用して1時間増幅して、最終的にストレプトアビジン-Alexa Fluorine 488/555(1/500;Invitrogen社)とのインキュベーションにより検出された(revealed)。Iba1は、抗ヤギ(1/500;Invitrogen社)と結合したロバストレプトアビジンAlexa Fluorine 594を使用して1時間で検出された。
TG切片を、ATF3及びIba1の免疫反応性について、アビジン-ビオチンペルオキシダーゼ(Vectastain ABCキット、Vector Laboratories社)を使用して処理した。TG切片を、H2O2の3%溶液と20分間インキュベートした。それらを1×PBSで3回濯いで、次に3%NHSと2時間室温でインキュベートした後、一次抗体と終夜4℃でインキュベートした。切片を、1×PBSで3回濯いで、1時間室温でビオチン化二次抗ウサギIgG(1/500;Vector社)とインキュベートした。切片を1×PBSで3回濯いで、アビジンビオチンペルオキシダーゼ複合体(Elite、Vector社)を含有する溶液中で1時間インキュベートして、次に1×PBSで3回濯いだ。
2.免疫組織化学的標識の顕微鏡検査及び定量
顕微鏡の装置
細胞及び組織切片を、Zeiss M1落射蛍光顕微鏡又はOlympus FV 1000共焦点のレーザー走査顕微鏡のいずれかを用いて検査した。
落射蛍光顕微鏡(Axio撮像装置M1;Carl Zeiss社)は、ディジタルカメラ(Axio CamHRC、Carl Zeiss社)及び像取得ソフトウェア(Zen;Carl Zeiss社)を備えていた。
共焦点顕微鏡(Olympus FV 1000)は、アルゴンイオンレーザー(488nm)及びレーザーダイオード(405及び559nm)を備えていた。像を順次取得して、励起と放出の混信の問題を低減した。サイズはNyquist-Shannonサンプリング定理(1024*1024ピクセル)により規定された。使用された対物レンズは、Olympus PlanApo(10/0.40NA)又はPlanApoN(60/1.42NA、油浸型)対物レンズであった。組織切片も3-CCD TDIカメラ(浜松ホトニクス社)を備えたNanozoomer 2.0-HTディジタルスキャナー(C9600、浜松ホトニクス社)で走査した。TIFF像はそのようにして得た。顕微鏡は対照群で較正した。
3.結果
得られた結果を図9及び図10で報告する。
マウスにおいてLPSにより誘発された炎症性角膜炎モデルにおける、化合物1(PL265)による10mMの毎日2回5日間の滴下は、ATF3及びIba1の発現を、PBSを用いた同一の滴下と比較して、有意に低下させ、したがって、より軽い炎症を示すことを可能にすることが明らかと思われる。

Claims (9)

  1. ヒトにおける角膜炎と関連する眼の炎症の治療及び/又は予防における使用のための、式(I)を有する化合物又は前記化合物の薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物:
    (I) R1-NH-CH(R2)-P(=O)(OH)-CH2-C(R3)(R4)-CONH-C(R5)(R6)-COOR7
    (式中、
    R1は、式:-C(=O)-O-CHMe-OC(=O)-CHMe 2 の基を表し、
    R2は、メチル基を表し、
    R3水素であり、
    R4フェニル環上で、フェニルにより任意選択で置換されているベンジル基を表し、
    R5水素であり、
    R6、メチル基を表し、及び
    R7は、水素を表す)。
  2. 式(I)の化合物が、以下の化合物
    であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
  3. 眼ローション、眼科用軟膏、眼科用ゲル、又は眼科用挿入剤である、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
  4. 質量/体積で0.01%から3%の前記式(I)の化合物を含む、請求項3に記載の薬学的組成物。
  5. 量/体積で0.1%から1%の前記式(I)の化合物を含む、請求項4に記載の薬学的組成物。
  6. 5.0から8の範囲のpHを有する水溶液である、請求項3から5のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  7. 前記pHが、5.5から8.0の範囲である、請求項6に記載の薬学的組成物。
  8. クロデキストリン又はポリスチレンスルホン酸ナトリウムを含む、請求項3から7のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
  9. 前記シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリン又はスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンである、請求項8に記載の薬学的組成物。
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