本発明者らは、血液中で測定されたサブスタンスPが対照と比較して子宮内膜症の女性において増加することを初めて示す。サブスタンスPのレベルは、それぞれ最小および軽度の子宮内膜症を示す早期子宮内膜症のrASRMステージIおよびII(米国生殖医学会改訂)で既に上昇している。本発明者らはまた、サブスタンスを月経困難症(月経周期依存性疼痛)および/またはバイオマーカーCA-125と組み合わせることにより、子宮内膜症に罹患している女性を、子宮内膜症に罹患していない対照女性と識別するための診断能力が上昇したことを実証する。サブスタンスPは、単独で、または月経困難症/下腹部痛および/またはCA-125と組み合わせることにより、非侵襲的検査では現在は同定不可能な早期段階の子宮内膜症(ステージIおよびII)の女性を同定する非侵襲的血液ベースの検査であるという利点を有する。
定義
「を含む(comprise)」という語、ならびに「を含む(comprises)」および「を含んでいる(comprising)」などの変化形は、明記した整数もしくは工程、または整数もしくは工程の群を含むことを意味するが、他のいかなる整数もしくは工程、または整数もしくは工程の群を除外することを意味するものではないことが理解されよう。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、別途内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
濃度、量および他の数値データは、「範囲」の形式で本明細書において表現または提示し得る。このような範囲の形式は、便宜上および簡潔にするために単に使用されているに過ぎないこと、したがって、その範囲を限定するものとして明示的に列挙されている数値を含むだけではなく、各数値および部分範囲があたかも明示的に列挙されているかのごとくその範囲に包含される個々の数値の全てまたは部分範囲を含むことを柔軟に解釈するべきであると理解される。例示として、「150mg~600mg」の数値範囲は、明示的に列挙されている150mg~600mgの値を含むだけではなく、表示されている範囲内の個々の値および部分範囲を含むと解釈すべきである。したがって、この数値範囲には、150、160、170、180、190、、、、580、590、600mgなどの個々の値、および150~200、150~250、250~300、350~600などの部分範囲が含まれる。この同じ原理は、1つの数値のみを列挙する範囲にも適用される。さらに、このような解釈は、その範囲の幅または記載されている特性に関わらず、当てはまるはずである。
用語「約」とは、数値に関連して使用される場合、示された数値よりも5%小さい下限値を有し、かつ示された数値よりも5%大きい上限値を有する範囲内の数値を包含することを意味する。
本明細書で使用される場合、「指標」という用語は、状態に対する徴候またはシグナルを指すか、または状態をモニタリングするために使用される。そのような「状態」は、細胞、組織もしくは器官の生物学的状態を指すか、または個体の健康および/もしくは疾患状態を指す。指標は、これらに限定されないが、ペプチド、タンパク質、および核酸を含む分子の存在または非存在であり得るか、細胞、または組織、器官もしくは個体におけるそのような分子の発現レベルまたはパターンの変化であり得る。指標は、個体における疾患の発生、発症もしくは存在に対する徴候であるか、またはそのような疾患のさらなる進行に対する徴候であり得る。指標はまた、個体において疾患を発症するリスクに対する徴候であり得る。
本発明の文脈において、用語「バイオマーカー」とは、前記システムの生物学的状態の指標として使用される、生物学的システム内の物質を指す。当技術分野では、「バイオマーカー」という用語は、内因制物質(例えば、抗体、核酸プローブなど、イメージングシステム)の検出手段としても適用されることがある。
本発明の文脈において、「バイオマーカー」という用語は、検出手段ではなく物質にのみ適用されるものとする。したがって、バイオマーカーは、核酸(DNA、mRNA、miRNA、rRNAなど)、タンパク質(細胞表面受容体、細胞質タンパク質など)、代謝産物もしくはホルモン(血糖、インスリン、エストロゲンなど)、別の分子の特定の修飾に特徴的な分子(例えば、タンパク質上の糖部分またはホスホリル残基、ゲノムDNA上のメチル残基)、または生物によって内在化された物質もしくはそのような物質の代謝産物など、生体内に存在するあらゆる種類の分子であり得る。
「サブスタンスP」(「P」は「調製」または「粉末」を表す)は、神経伝達物質および神経調節物質として作用する広範に発現される神経ペプチドである。サブスタンスP(SP)は、タキキニン神経ペプチドファミリーのウンデカペプチド(11個のアミノ酸残基の鎖からなるペプチド)メンバーである。サブスタンスPおよびその密接に関連するニューロキニンA(NKA)は、プレプロタキキニンA遺伝子の差次的スプライシングの後にポリタンパク質前駆体から産生される。サブスタンスPは、大きな前駆体ペプチドであるプロタキキニンAに由来する。プロタキキニンA遺伝子mRNA転写物の選択的スプライシングは、αPTA、βPTA、γPTAおよびδPTAと命名された4つの異なるプロタキキニンA(PT)mRNA分子を生成する。これらのプロタキキニンmRNA分子は、エクソンの組み合わせの点で異なる。37個のアミノ酸からなる共通のN末端領域および11個のアミノ酸のサブスタンスPペプチドをコードする最初の3つのエクソンは、全てのプロタキキニンA分子内に存在する。このサブスタンスPのいわゆるプレフォーム(すなわち、37個のアミノ酸のN末端ペプチドおよび11個のアミノ酸のサブスタンスPペプチドを含む)を切断して、11個のアミノ酸の成熟サブスタンスPペプチドを生成し得る。37個のアミノ酸のN末端ペプチドおよび11個のアミノ酸の成熟サブスタンスPペプチドは、いずれもプロタキキニンAから1:1の比で生成され、これは、1分子の37個のアミノ酸のN末端ペプチド、および1分子の成熟サブスタンスPペプチドが1分子のプロタキキニンAから生成されることを意味する。したがって、本明細書で使用される場合、「サブスタンスP」という用語は、11個のアミノ酸のサブスタンスPペプチドを含む全ての形態を指す。37個のアミノ酸のN末端ペプチドおよび成熟サブスタンスPペプチドは等モル比で形成されるので、「サブスタンスP」という用語はまた、37個のアミノ酸のN末端ペプチドを指す。したがって、本明細書で使用される場合、「サブスタンスP」という用語は、(a)前駆体形態のプロタキキニンA、(b)37個のアミノ酸のN末端ペプチドおよび11個のアミノ酸の成熟サブスタンスPペプチドを含むプレフォーム、(c)37個のアミノ酸のN末端ペプチド、ならびに(d)11個のアミノ酸のサブスタンスPの成熟形態を指す。がん抗原125または腫瘍抗原125と呼ばれることもある炭水化物抗原125である「CA-125」は、MUC16遺伝子によって産生され、細胞膜に関連するムチン型糖タンパク質である。CA-125は、子宮内膜、卵管、卵巣および腹膜を含む体腔上皮に由来する上皮細胞卵巣癌のバイオマーカーである。CA-125の診断的使用は、中程度の感度を有するステージIIIおよびIVの子宮内膜症(中等度および重度の子宮内膜症)に限定される。
疾患の「症状」は、そのような疾患を有する組織、器官または生物によって顕著な疾患の影響であり、組織、器官または個体の疼痛、脱力感、圧痛、緊張、硬直および痙攣が挙げられるが、これらに限定されない。疾患の「徴候」または「シグナル」としては、バイオマーカーもしくは分子マーカーなどの特異的指標の存在、非存在、増大または上昇、減少または低下などの変化または変更、または症状の発症、存在、もしくは悪化が挙げられるが、これらに限定されない。疼痛の症状としては、持続性または様々な灼熱痛、拍動痛、かゆみまたは刺痛として感じられ得る不快な感覚が挙げられるが、これらに限定されない。
「疾患」および「障害」という用語は、本明細書では互換的に使用され、異常な状態、特に組織、器官または個体がもはやその機能を有効に果たすことができない、疾病または損傷などの異常な医学的状態を指す。必ずしもそうとは限らないが、典型的には、疾患は、そのような疾患の存在を示す特異的な症状または徴候に関連する。したがって、そのような症状または徴候の存在は、疾患に罹患している組織、器官または個体を示し得る。これらの症状または徴候の変化は、そのような疾患が進行したことを示し得る。疾患の進行は、典型的には、疾患の「悪化」または「改善」を示し得るそのような症状または徴候の増加または減少を特徴とする。疾患の「悪化」は、組織、器官または生物がその機能を有効に果たす能力の減少を特徴とするのに対して、疾患の「改善」は、典型的には、組織、器官または個体がその機能を有効に果たす能力の上昇を特徴とする。疾患を「発症するリスク」のある組織、器官または固体は、健康な状態であるが、疾患を発症する可能性を示す。典型的には、疾患を発症するリスクは、そのような疾患の初期または弱い徴候または症状に関連する。このような場合、疾患の発生は依然として処置によって予防され得る。疾患の例としては、炎症性疾患、感染性疾患、皮膚状態、内分泌疾患、腸疾患、神経障害、関節疾患、遺伝性障害、自己免疫疾患、外傷性疾患、および種々の種類のがんが挙げられるが、これらに限定されない。
「子宮内膜症」は、子宮外の子宮内膜様組織の病変を特徴とする慢性のホルモン依存性炎症性疾患である。子宮内膜症の臨床症状は、患者によって大きく異なる。子宮内膜症患者は、月経中間期出血、有痛期間(月経困難症)、性交時痛(性交疼痛症)、有痛性排便(排便障害)および有痛性排尿(排尿障害)などの症状を呈することが多い。子宮内膜症による骨盤痛は通常慢性的であり(6ヶ月以上持続する)、月経困難症(症例の50~90%において)、性交疼痛症、骨盤深部痛、ならびに背部痛および腰部痛を伴う下腹部痛、または背部痛および腰部痛を伴わない下腹部痛に関連する。疼痛は、月経周期全体にわたって予測不能かつ断続的に起こり得るか、または連続的であり得、鈍く、拍動し、または鋭く、身体活動によって悪化し得る。膀胱および腸に関連する症状(悪心、膨満、および早期満腹)は、典型的には周期的である。痛みは徐々に悪化する場合があり、性質が変化し得る。まれに、女性は、神経障害性成分を示唆する症状である灼熱感または過敏症を訴える。多くの場合、子宮内膜症は無症候性であり得、不妊症の評価中に臨床医の注意を引くのみである(Sinaiiら、Fertil Steril.2008;89(3):538-545)。子宮内膜症の女性では、受精能力のある男女(15~20%)と比較して、毎月の生殖率が低下している(2~10%)。子宮内膜症は受胎能を弱めるが、通常、受精を完全に妨げるわけではない(Fadhlaouiら、Front Surg.2014;1:24)。
子宮内膜症の最も一般的に罹患する部位は骨盤内器官および腹膜であるが、場合によっては肺などの身体の他の部分が罹患する。疾患の程度は、他の点では正常な骨盤内臓器のいくつかの小さな病変から、大きな卵巣子宮内膜嚢胞(子宮内膜腫)および/または骨盤の解剖学的構造に著しい歪みを引き起こす広範な線維症および癒着形成までさまざまである。発現部位に基づいて、子宮内膜病変は、腹膜子宮内膜症、卵巣子宮内膜嚢胞(子宮内膜腫)、深部結節(深部浸潤子宮内膜症)、および子宮腺筋症に分類し得る(Kennedyら、Hum Reprod.2005;20(10):2698-2704)。
rASRMステージ」または「rASRM病期分類」という用語は、米国生殖医学会(ASRM)によって確立された、手術(腹腔鏡検査)での所見に基づく子宮内膜症の重症度を記載する改訂分類系を指す。分類は、赤色、白色および黒色の病変などの腹膜および骨盤インプラントの形態に基づいており、各病変の関与の割合を含めるべきである。子宮内膜インプラント、プラーク、子宮内膜腫および癒着の数、大きさおよび部位に留意すべきである。腸、尿路、卵管、膣、子宮頸部、皮膚、または他の部位の子宮内膜症は、ASRMガイドラインに従って記録すべきである。ASRMガイドラインによる子宮内膜症の病期分類は、ポイントスコアに基づいて決定されたステージI、II、IIIおよびIVであり、最小、軽度、中等度および重度の子宮内膜症に対応する。rASRMのステージIおよびIIの子宮内膜症(最小から軽度の子宮内膜症)は、表在性腹膜子宮内膜症、小さな深部病変の存在の可能性、子宮内膜腫の非存在および/または軽度の膜の付着を特徴とする。rASRMステージIIIおよびIVの子宮内膜症(中等度~重度の子宮内膜症)は、表在性腹膜子宮内膜症、子宮および腸の間の中等度~広範囲の癒着を伴う深部浸潤性子宮内膜症、ならびに/または卵巣および卵管を含む中等度~広範囲の癒着を伴う子宮内膜腫嚢胞の存在を特徴とする。
視覚的アナログスケールである「VAS」という用語は、疼痛の強度を評価するための機器である。VASは、長さ10cmの水平線からなり、その端部は「痛みなし」および「考えられる最悪の痛み」というしるしがついている。各患者はライン上で自分の痛みレベルをチェックし、左端の「痛みなし」から目盛りまでの距離をセンチメートルで測定し、0から10の痛みスコアを算出する。「痛みなし」は0の痛みスコアに対応し、「考えられる最悪の痛み」は10の痛みスコアに対応する。子宮内膜症の女性では、月経困難症は疼痛の最も高い知覚に関連しており、平均VASスコアは約6である(Cozzolinoら、Rev Bras Ginecol Obstet.2019;41(3):170-175)。
本明細書で使用される場合、「患者」は、本明細書に記載の診断、予後診断または処置から利益を得ることができる任意の哺乳動物、魚類、爬虫類または鳥類を意味する。特に、「患者」は、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギまたはゼブラフィッシュ)、家畜(例えば、モルモット、ウサギ、ウマ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ニワトリ、ラクダ、ネコ、イヌ、ウミガメ、カメ、ヘビ、トカゲまたは金魚を含む)、またはチンパンジー、ボノボ、ゴリラおよびヒトを含む霊長類からなる群から選択される。「患者」はヒトであることが特に好ましい。
用語「サンプル」または「対象サンプル」とは、本明細書において互換的に使用され、組織、器官、または個体の部分または一部を指し、典型的には、組織、器官または個体の全体を表すことを意図したそのような組織、器官、または個体よりも小さい。分析に際して、サンプルは、組織状態、あるいは器官もしくは個体の健康状態または疾患状態に関する情報を提供する。サンプルの例は、限定されるものではないが、血液、血清、血漿、滑液、尿、唾液、およびリンパ液などの流体サンプル、または組織抽出物、軟骨、骨、滑膜、および結合組織などの固形サンプルを含む。サンプルの分析は、視覚的または化学的基礎により達成され得る。視覚的分析としては、サンプルの形態学的評価を可能にする組織、器官または個体の顕微鏡画像化または放射線写真走査が挙げられるが、これらに限定されない。化学的分析としては、特定の指標の有無またはそれらの量、濃度もしくはレベルの変化の検出が挙げられるが、これらに限定されない。サンプルは、インビトロでのサンプルであり、インビトロで分析されることになり、体内に戻されることはない。
「量」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書で言及されるバイオマーカーの絶対量、上記バイオマーカーの相対量または濃度、ならびにそれらと相関するまたはそれらから導き出され得る任意の値またはパラメータを包含する。このような値またはパラメータは、直接測定により上記ペプチドから得られる、特定の物理的または化学的特性全てに由来する強度シグナル値、例えば、質量スペクトルまたはNMRスペクトルでの強度値を含む。さらに、本明細書の別の箇所で明示される間接測定により得られる全ての値またはパラメータ、例えば、特異的に結合したリガンドから得られるペプチドまたは強度シグナルに応答して、生物学的読み出しシステムから測定される応答量が包含される。上述の量またはパラメータに相関する値は、全ての標準的な数学的演算によっても得られるということを理解されたい。
「比較する」という用語は、本明細書で使用される場合、被験者からのサンプル中のバイオマーカーの量を、本明細書の別の箇所で明示されるバイオマーカーの基準量と比較することを指す。本明細書で使用する場合の比較することは、通常、相当するパラメータまたは値の比較を指す、例えば、絶対量は絶対基準量と比較されるのに対し、濃度は基準濃度と比較され、またはサンプル中のバイオマーカーから得られた強度シグナルは基準サンプルから得られた同じ種類の強度シグナルと比較されることを理解されたい。比較は、手作業またはコンピュータを利用して実施され得る。したがって、比較を計算装置により実施してもよい。被験者からのサンプル中のバイオマーカーの測定量または検出量、および基準量についての値は、例えば、互いに比較し得、また、この比較は、比較のためのアルゴリズムを実行するコンピュータプログラムにより自動的に実施され得る。上記評価を実施するコンピュータプログラムは、好適なアウトプット様式で、所望の判定を提供することになる。コンピュータを利用した比較において、測定量の値が、コンピュータプログラムにより、データベースに保存されている好適な基準に対応する値と比較され得る。コンピュータプログラムは、比較結果をさらに評価してもよく、すなわち、好適なアウトプット様式で所望の判定を自動的に提供してもよい。コンピュータを利用した比較において、測定量の値が、コンピュータプログラムにより、データベースに保存されている好適な基準に対応する値と比較され得る。コンピュータプログラムは、比較結果をさらに評価してもよく、すなわち、好適なアウトプット様式で所望の判定を自動的に提供してもよい。
「測定した量または濃度を基準と比較する」という表現は、とにかく当業者に明らかなことをさらに説明するために使用されているにすぎない。基準濃度は対照サンプルにおいて確立される。
本明細書で使用される場合、「基準サンプル」または「対照サンプル」という用語は、目的のサンプルと実質的に同一の様式で分析され、その情報が目的のサンプルの情報と比較されるサンプルを指す。これにより、基準サンプルにより、目的のサンプルから入手された情報の評価を可能にする基準が提供される。対照サンプルは、健常なまたは正常な組織、器官、または個体に由来し、それにより、組織、器官、または個体の健康状態の基準が提供される。正常な基準サンプルの状態と目的のサンプルの状態との間の差は、疾患発症のリスクまたはそのような疾患もしくは障害の存在もしくはさらなる進行を示し得る。対照サンプルは、異常なまたは疾患を有する組織、器官、または個体に由来し得、それにより、組織、器官、または個体の病的状態の基準が提供される。異常な基準サンプルの状態と目的のサンプルの状態との間の差は、疾患発症のリスクの低下またはそのような疾患もしくは障害の欠如もしくは改善を示し得る。基準サンプルはまた、目的のサンプルと同じ組織、器官、または個体に由来し得るが、より早い時点で採取されている。以前に採取された基準サンプルの状態と目的のサンプルの状態との間の差は、疾患の進行、すなわち経時的な疾患の改善または悪化を示し得る。
対照サンプルは、内部または外部対照サンプルであり得る。内部対照サンプルを使用する、すなわち、試験サンプルならびに同じ被験体から採取した1つ以上の他のサンプルで1つ以上のマーカーレベルを評価して、前記1つ以上のマーカーのレベルに変化があるかどうかを判定する。外部対照サンプルについては、個体に由来するサンプル中のマーカーの存在または量を、所与の状態に罹患していることが知られている、もしくはそのリスクがあることが知られている個体、または所与の状態ないことが知られている固体、すなわち「正常個体」中のマーカーの存在または量と比較する。
そのような外部対照サンプルは、単一の個体から得られ得、または年齢が一致し、交絡疾患がない基準集団から得られ得ることが当業者には理解されよう。典型的には、適切な基準集団からの十分に特徴付けられた100名の個体からのサンプルを使用して、「基準値」を設定する。しかしながら、基準集団はまた、20、30、50,200、500または1000名の個体からなるように選択され得る。健康な個体は、対照値を設定するための好ましい基準集団を表す。
例えば、患者サンプル中のマーカー濃度を、特定の疾患の特定の経過に関連することが知られている濃度と比較し得る。通常、サンプルのマーカー濃度は、診断と直接的または間接的に相関し、マーカー濃度は、例えば、個体が特定の疾患のリスクがあるかどうかを判定するために使用される。あるいは、サンプルのマーカー濃度は、例えば、特定の疾患における治療に対する応答、特定の疾患の診断、特定の疾患の重症度の評価、特定の疾患に対する適切な薬物を選択するためのガイダンス、疾患進行のリスクを判定する際、または患者のフォローアップにおいて関連することが知られているマーカー濃度と比較し得る。意図する診断用途に応じて、適切な対照サンプルが選択され、その中にマーカーの対照値または基準値が設定される。当業者にも明らかなように、対照サンプルで設定された絶対マーカー値は、使用されるアッセイに依存する。
指標の「低下した」または「減少した」レベルという用語は、基準または基準サンプルと比較して減少している、サンプル中のそのような指標のレベルを指す。
指標の「上昇した」または「増加した」レベルという用語は、基準または基準サンプルと比較して、サンプル中のそのような指標のレベルが高いことを指す。例えば、所与の疾患に罹患している1名の個体の流体サンプル中で、前記疾患に罹患していない個体の同じ流体サンプル中よりも検出可能なタンパク質が高い量であれば、レベルが上昇している。
「測定」、「測定する」または「判定」という用語は、好ましくは定性的、半定量的または定量的測定を含む。
本明細書で使用される場合、「免疫グロブリン(Ig)」という用語は、免疫グロブリンスーパーファミリーの免疫を付与する糖タンパク質を指す。「表面免疫グロブリン」は、それらの膜貫通領域によってエフェクター細胞の膜に結合しており、限定されないが、B細胞受容体、T細胞受容体、クラスIおよびII主要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質、ベータ2ミクログロブリン(約2M)、CD3、CD4およびCDSなどの分子を包含する。
典型的には、本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、膜貫通領域を欠くため、血流および体腔に放出され得る分泌免疫グロブリンを指す。ヒト抗体は、それらが保有する重鎖に基づいて種々のアイソタイプに分類される。ギリシャ文字、α、γ、δ、ε、およびμで示される5種類のヒトIg重鎖がある。存在する重鎖の種類は抗体のクラスを定義し、これらの鎖は、それぞれ異なる役割を果たしており、異なるタイプの抗原に対する適切な免疫反応をもたらすIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体にみられる。異なる重鎖は大きさおよび組成が異なり、約450アミノ酸を含む(Janewayら、(2001)Immunobiology,Garland Science)。IgAは、腸、気道および泌尿生殖路などの粘膜領域、ならびに唾液、涙および母乳中に見出され、病原体によるコロニー形成を防止する(UnderdownおよびSchiff(1986)Annu.Rev.Immunol.4:389-417)。IgDは主に、抗原に曝露されていないB細胞上の抗原受容体として機能し、好塩基球および肥満細胞を活性化して抗微生物因子を産生することに関与している(Geisbergerら、(2006)Immunology 118:429-437;Chenら(2009)Nat.Immunol.10:889-898)。IgEは、肥満細胞および好塩基球からのヒスタミンの遊離を引き起こすアレルゲンへの結合を介してアレルギー反応に関与する。IgEは、寄生虫からの保護にも関与する(Pierら(2004)Immunology,Infection,and Immunity,ASM Press)。IgGは、侵入病原体に対する抗体ベースの免疫の大部分を提供し、胎盤を通過して胎児に受動免疫を与え得る唯一の抗体アイソタイプである(Pierら(2004)Immunology,Infection,and Immunity,ASM Press)。ヒトには4つの異なるIgGサブクラス(IgG1、2、3および4)があり、血清中の存在量の順に命名され、IgG1が最も多く存在し(約66%)、IgG2(約23%)、IgG3(約7%)およびIgG(約4%)がこれに続く。種々のIgGクラスの生物学的特徴は、それぞれのヒンジ領域の構造によって決定される。IgMは、非常に高い結合力を有する単量体形態および分泌五量体形態でB細胞の表面上に発現する。IgMは、十分なIgGが産生される前のB細胞媒介(体液性)免疫の初期段階で病原体を排除することに関与する(Geisbergerら、(2006)Immunology 118:429-437)。抗体は、モノマーとして見出されるだけでなく、2つのIg単位の二量体(例えばIgA)、4つのIg単位の四量体(例えば、硬骨魚のIgM)、または5つのIg単位の五量体(例えば哺乳動物IgM)を形成することも知られている。抗体は、典型的には、ジスルフィド結合を介して連結され、「Y」形状の巨大分子に類似する2つの同一の重鎖および2つの同一の軽鎖を含む4つのポリペプチド鎖から構成される。それぞれの鎖は、いくつかの免疫グロブリンドメインを含み、そのうちのいくつかは定常ドメインであり、他のものは可変ドメインである。免疫グロブリンドメインは、2つの~シート内に配置された7~9個の~逆平行ストランドの2層サンドイッチからなる。典型的には、抗体の重鎖は4つのIgドメインを含み、そのうちの3つは定常(CHドメイン:CH1.CH2.CH3)ドメインであり、そのうちの1つは可変ドメイン(VH)である。「軽鎖」は、通常、1つの定常Igドメイン(CL)および1つの可変Igドメイン(VL)を含む。例えば、ヒトIgG重鎖は、VwCH1-CH2-CH3の順序でN末端からC末端に連結されている4つのIgドメイン(VwCyl-Cy2-Cy3とも呼ばれる)で構成され、一方、ヒトIgG軽鎖は、VL-CLの順序でN末端からC末端に連結されている2つの免疫グロブリンドメインで構成され、カッパまたはラムダ型(VK-CKまたはVA-CA)のいずれかである。例えば、ヒトIgGの定常鎖は447個のアミノ酸を含む。本明細書および特許請求の範囲を通して、免疫グロブリンのアミノ酸位置の番号付けは、Kabat,E.A.,Wu,T.T.,Perry,H.M.,Gottesman,K.S.,およびFoeller,C.,(1991)Sequences of proteins of immunological interest,第5版}、U.S.Department of Health and Human Service,National Institutes of Health,Bethesda,MDのような「EUインデックス」の番号付けである。「KabatのEUインデックス」は、ヒトIgG lEU抗体の残基の番号付けを指す。したがって、IgGの文脈におけるCHドメインは以下の通りである。「CH1」は、KabatのEUインデックスによるアミノ酸位置118~220を指し;「CH2」は、KabatのEUインデックスによるアミノ酸位置237~340を指し;「CH3」は、KabatのEUインデックスによるアミノ酸位置341~447位を指す。
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、および「全抗体」という用語は、本明細書において互換的に使用されるが、以下に記載のように、その実質的にインタクトな形態の抗体を指し、抗体断片を指すものではない。これらの用語は、具体的には、Fc領域を含有する重鎖を含む抗体を指す。
抗体のパパイン消化により、それぞれ単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片(「Fab部分」または「Fab領域」とも称される)、および容易に結晶化するその能力を反映して命名された残りの「Fe」断片(「Fe部分」または「Fe」領域とも称される)が産生される。ヒトIgG Fe領域の結晶構造は決定された(Deisenhofer(1981)Biochemistry 20:2361-2370)。IgG、IgAおよびIgDアイソタイプでは、Fe領域は、抗体の2つの重鎖のCH2およびCH3ドメインに由来する2つの同一のタンパク質断片から構成され;IgMおよびIgEアイソタイプでは、Fe領域は各ポリペプチド鎖に3つの重鎖定常ドメイン(CH2~4)を含む。さらに、より小さい免疫グロブリン分子が天然に存在するか、または人工的に構築されている。「Fab’断片」という用語は、Ig分子のヒンジ領域をさらに含むFab断片を指し、「F(ab’)2断片」は、化学的に連結されているかまたはジスルフィド結合を介して連結されている2つのFab’断片を含むと理解される。「単一ドメイン抗体(sdAb)」、(Desmyterら(1996)Nat.Structure Biol.3:803-811)および「ナノボディ」は単一のVHドメインのみを含むが、「一本鎖Fv(scFv)」断片は、短いリンカーペプチドを介して軽鎖可変ドメインに連結された重鎖可変ドメインを含む(Hustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,5879-5883)。二価の一本鎖可変断片(ジ-scFv)は、2つのscFv(scFvA-scFvB)を連結することによって設計され得る。これは、2つのVH領域および2つのVL領域を有する単一のペプチド鎖を生成し、「直列型scFv」(VHA-VLA-VHB-VLB)を得ることによって行い得る。別の可能性は、2つの可変領域が一緒に折り畳まれるには短すぎるリンカーを有するscFvを作製し、scFvを強制的に二量体化させることである。通常、5残基の長さを有するリンカーが、これらの二量体を作製するために使用される。このタイプは、「ダイアボディ」として知られている。VHドメインおよびVLドメインの間のさらに短いリンカー(1つまたは2つのアミノ酸)は、単一特異的な三量体、いわゆる「トリアボディ」または「トリバディ」の形成をもたらす。二重特異性ダイアボディは、それぞれ配列VHA-VLBおよびVHB-VLAまたはVLA-VHBおよびVLB-VHAを有する鎖を発現させることによって形成される。一本鎖ダイアボディ(scDb)は、12~20アミノ酸、好ましくは14アミノ酸のリンカーペプチド(P)(VHA-VLB-P-VHB-VLA)によって連結されるVHA-VLBおよびVHB-VLA断片を含む。「二重特異性T細胞誘導(BiTE)」は、異なる抗体の2つのscFvからなる融合タンパク質であり、scFvの一方はCD3受容体を介してT細胞に結合し、他方は腫瘍特異的分子を介して腫瘍細胞に結合する(Kuferら(2004)Trends Biotechnol.22:238-244)。二重親和性再標的化分子(「DART」分子)は、C末端ジスルフィド架橋によってさらに安定化されたダイアボディである。
したがって、「抗体断片」という用語は、無傷の抗体の一部を指し、好ましくはその抗原結合領域を含む。抗体断片としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、sdAb、ナノボディ、scFv、ジ-scFv、直列型scFv、トリアボディ、ダイアボディ、scDb、BiTEおよびDARTが挙げられるが、これらに限定されない。
「結合親和性」という用語は、概して、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位と、その結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合性相互作用の合計の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体および抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(Kd)によって表され得る。親和性は、限定されないが、表面プラズモン共鳴に基づくアッセイ(例えば、PCT出願公開WO2005/012359号に記載されているようなBIAcoreアッセイ);酵素結合免疫吸着測定法(ELISA);および競合アッセイ(例えば、RIA)を含む、当技術分野で公知の一般的な方法によって測定し得る。低親和性抗体は、一般的に、抗原とゆっくり結合し、容易に解離する傾向にあるが、高親和性抗体は、一般的に、抗原と迅速に結合し、より長く結合したままの傾向にある。結合親和性の種々の測定方法が当該技術分野で知られており、これらのいずれも、本発明において使用することができる。
「サンドイッチイムノアッセイ」は、目的の分析物の検出に広く使用されている。そのようなアッセイでは、分析物は、第1の抗体と第2の抗体との間に「サンドイッチされる」。典型的には、サンドイッチアッセイは、捕捉および検出抗体が目的の分析物上の異なる重複しないエピトープに結合することを必要とする。適切な手段によって、そのようなサンドイッチ複合体を測定し、それによって分析物を定量する。典型的なサンドイッチ型法では、固相に結合した、または固相に結合することができる第1の抗体、および検出可能に標識された第2の抗体は各々、異なる重複しないエピトープで分析物に結合する。第1の分析物特異的結合剤(例えば、抗体)は、固体表面に共有結合しているかまたは受動結合している(passively bound)かのいずれかである。固体表面は、典型的にはガラスまたはポリマーであり、最も一般的に使用されるポリマーは、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリプロピレンである。固体支持体は、管、ビーズ、マイクロプレートの円盤、またはイムノアッセイを実施するのに適したその他の表面であってもよい。結合プロセスは、当技術分野で周知であり、概して、架橋性共有結合、または物理的吸着からなり、ポリマー-抗体複合体は、検査サンプルのための調製において洗浄される。次いで、試験されるサンプルの一部を固相複合体に添加し、第1の抗体または捕捉抗体と対応する抗原との間の結合を可能にするのに十分な期間(例えば2~40分またはより好都合であれば一晩)および適切な条件下(例えば、室温~40℃、例えば25℃~37℃(両端を含む))でインキュベートする。インキュベーション期間に続いて、第1の抗体または捕捉抗体を含み、該抗体に結合した固相を洗浄することができ、抗原上の別のエピトープに結合する二次抗体または標識抗体とともにインキュベートすることができる。第2の抗体を、第1の抗体と目的の抗原との複合体に対する第2の抗体の結合を示すために使用するレポーター分子に結合させる。
非常に用途の広い代替サンドイッチアッセイ法には、結合対の第1のパートナーでコーティングされた固相、例えば、常磁性ストレプトアビジンでコーティングした微粒子の使用が含まれる。このような微粒子を、結合対の第2のパートナー(例えば、ビオチン化抗体)に結合した分析物特異的結合剤、結合対の該第2のパートナーが該分析物特異的結合剤に結合している分析物を含むと疑われるまたは含んでいるサンプル、および例えば、本明細書で使用されるような電気化学発光標識で検出可能に標識された第2の分析物特異的結合剤と混合およびインキュベートする。当業者には明らかなように、これらの構成要素を適切な条件下で、、分析物、結合対の第2のパートナーおよび結合対の第1のパートナー(に結合した)分析物特異的結合剤を介して、標識抗体を固相微粒子へ結合させるのに十分な時間インキュベートする。適宜、このようなアッセイは、1つ以上の洗浄工程(複数可)を含み得る。
「検出可能に標識した」という用語は、直接的または間接的に検出し得る標識を包含する。
直接的に検出可能な標識が、検出可能なシグナルを提供するか、または該標識が、第2の標識と相互作用するかのいずれかをして、第1または第2の標識によって提供される検出可能なシグナルを改変して、例えば、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を与える。蛍光色素および発光(化学発光および電気化学発光を含む)色素などの標識(Briggs et al‘‘Synthesis of Functionalised Fluorescent Dyes and Their Coupling to Amines and Amino Acids,’’J.Chem.Soc.,Perkin-Trans.1(1997)1051-1058)は、検出可能なシグナルを提供し、標識法に概して適用可能である。一実施形態では、検出可能に標識化されたとは、検出可能なシグナルをもたらす、またはそれをもたらすことが誘導可能な標識、すなわち、それぞれ、蛍光標識、発光標識(例えば、化学発光標識または電気化学発光標識)、放射性標識または金属キレート系標識を指す。
多数の標識(色素ともいう)が利用可能であり、これらは概して、以下の区分に分類することができ、該区分は全てまとまって、および該区分の各々が本開示による実施形態である。
(a)蛍光色素
蛍光色素は、例えば、Briggs et al‘‘Synthesis of Functionalized Fluorescent Dyes and Their Coupling to Amines and Amino Acids,’’J.Chem.Soc.,Perkin-Trans.1(1997)1051-1058)によって説明されている。
蛍光標識または蛍光体には、希土類キレート(ユーロピウムキレート)、フルオレセイン型標識(FITC、5-カルボキシフルオロセイン、6-カルボキシフルオロセインを含む)、ローダミン型標識(TAMRAを含む)、ダンシル、リサミン、シアニン、フィコエリトリン、テキサスレッド、およびこれらの類似体が含まれる。蛍光標識は、本明細書に開示される技術を使用して、標的分子内に含まれるアルデヒド基に結合させることができる。蛍光色素および蛍光標識試薬には、Invitrogen/Molecular Probes(Eugene,Oregon,USA)およびPierce Biotechnology,Inc.(Rockford,Ill.)から市販されるものが含まれる。
(b)発光色素
発光色素または標識は、化学発光色素および電気化学発光色素にさらに下位分類することができる。
化学発光標識の異なるクラスには、ルミノール、アクリジニウム化合物、セレンテラジンおよび類似体、ジオキセタン、ペルオキシしゅう酸およびペルオキシしゅう酸誘導体に基づく系が含まれる。免疫診断手順のためには、主にアクリジニウム系標識が使用される(詳細な概要は、Dodeigne C.ら,Talanta 51(2000)415-439において示されている)。
電気化学発光標識として使用される主な関連性のある標識は、それぞれルテニウムおよびイリジウム系の電気化学発光錯体である。電気化学発光(ECL)は、高感度かつ選択的な方法として、分析上の応用において非常に有用であることが証明された。ECLは、化学発光分析の分析上の利点(背景光信号の非存在)を、電極電位を適用することによる反応制御の容易さと組み合わせている。一般に、ルテニウム錯体、特に液相または液固界面においてTPA(トリプロピルアミン)を用いて再生する[Ru(Bpy)3]2+(約620nmで光子を放出)がECL標識として使用される。
電気化学発光(ECL)アッセイは、目的の分析物の存在および濃度の高感度かつ正確な測定を提供する。このような技術は、適切な化学的環境において電気化学的に酸化または還元したときに発光するように誘導することができる標識または他の反応物を使用する。このような電気化学発光は、特定の時間に特定の様式で作用電極に印加される電圧によって誘発される。標識によって生成された光は、測定され、分析物の存在または量を示す。このようなECL技術のより完全な説明については、米国特許第5,221,605号、米国特許第5,591,581号、米国特許第5,597,910号、PCT出願公開WO90/05296、PCT出願公開WO92/14139、PCT出願公開WO90/05301、PCT出願公開WO96/24690、PCT出願公開US95/03190、PCT出願US97/16942、PCT出願公開US96/06763、PCT出願公開WO95/08644、PCT出願公開WO96/06946、PCT出願公開WO96/33411、PCT出願公開WO87/06706、PCT出願公開WO96/39534、PCT出願公開WO96/41175、PCT出願公開WO96/40978、PCT/US97/03653および米国特許出願第08/437,348号(米国特許第5,679,519号)が参照される。また、Knight,et al.(Analyst,1994,119:879-890)によるECLの分析上の応用の1994年の総説および該総説に引用されている参考文献も参照される。一実施形態では、本明細書による方法は、電気化学発光標識を使用して実施される。
近年、イリジウム系ECL標識も開示されている(WO2012107419)。
(c)放射性標識は、放射性同位体(放射性核種)、例えば、3H、11C、14C、18F、32P、35S、64Cu、68Gn、86Y、89Zr、99TC、111In、123I、124I、125I、131I、133Xe、177Lu、211At、または131Biを使用する。
(d)撮像および治療目的のための標識として適切な金属キレート錯体は当技術分野で周知である(米国特許出願公開第2010/0111861、米国特許第5,342,606号、米国特許第5,428,155号、米国特許第5,316,757号、米国特許第5,480,990号、米国特許第5,462,725号、米国特許第5,428,139号、米国特許第5,385,893号、米国特許第5,739,294号、米国特許第5,750,660号、米国特許第5,834,461号、Hnatowich et al,J.Immunol.Methods 65(1983)147-157、Meares et al,Anal.Biochem.142(1984)68-78、Mirzadeh et al,Bioconjugate Chem.1(1990)59-65、Meares et al,J.Cancer(1990),Suppl.10:21-26、Izard et al,Bioconjugate Chem.3(1992)346-350、Nikula et al,Nucl.Med.Biol.22(1995)387-90、Camera et al,Nucl.Med.Biol.20(1993)955-62、Kukis et al,J.Nucl.Med.39(1998)2105-2110、Verel et al.,J.Nucl.Med.44(2003)1663-1670、Camera et al,J.Nucl.Med.21(1994)640-646、Ruegg et al,Cancer Res.50(1990)4221-4226、Verel et al,J.Nucl.Med.44(2003)1663-1670、Lee et al,Cancer Res.61(2001)4474-4482、Mitchell,et al,J.Nucl.Med.44(2003)1105-1112、Kobayashi et al Bioconjugate Chem.10(1999)103-111、Miederer et al,J.Nucl.Med.45(2004)129-137、DeNardo et al,Clinical Cancer Research 4(1998)2483-90、Blend et al,Cancer Biotherapy&Radiopharmaceuticals 18(2003)355-363、Nikula et al J.Nucl.Med.40(1999)166-76、Kobayashi et al,J.Nucl.Med.39(1998)829-36、Mardirossian et al,Nucl.Med.Biol.20(1993)65-74、Roselli et al,Cancer Biotherapy&Radiopharmaceuticals,14(1999)209-20)。
実施形態
第1の態様では、本発明は、患者が子宮内膜症に罹患しているか、または子宮内膜症を発症するリスクがあるかどうかを評価する方法であって、
a)患者のサンプル中のサブスタンスPの量を測定すること、および
b)測定した前記量を基準と比較することを含む、方法に関する。
実施形態では、患者のサンプル中のサブスタンスPの量の上昇が、患者において子宮内膜症が存在するか、子宮内膜症の発症のリスクが存在することを示す。特に、患者のサンプル中のサブスタンスPの量は、患者のサンプル中のサブスタンスPの量が、基準または基準サンプル中のサブスタンスPの量よりも高い場合、患者において子宮内膜症が存在するか、子宮内膜症の発症のリスクが存在することを示す。
特に、サブスタンスPは、子宮内膜症に罹患していないか、子宮内膜症を発症するリスクがない個体の同じ体液サンプル中よりも、子宮内膜症の存在または発症するリスクについて評価された患者の体液サンプル中でより多くの量で検出可能である。
特に、サブスタンスPの量の50%以上の上昇は、子宮内膜症が存在するか、子宮内膜症の発症のリスクが存在することを示す。特に、サブスタンスPの量の100%以上の上昇は、子宮内膜症が存在するか、子宮内膜症の発症のリスクが存在することを示す。特に、サブスタンスPの量の150%以上の上昇は、子宮内膜症が存在するか、子宮内膜症の発症のリスクが存在することを示す。特に、サブスタンスPの量の200%以上の上昇は、子宮内膜症が存在するか、子宮内膜症の発症のリスクが存在することを示す。
実施形態では、サブスタンスPは、(a)前駆体形態のプロタキキニンA、(b)37個のアミノ酸のN末端ペプチドおよび11個のアミノ酸の成熟サブスタンスPペプチドを含むプレフォーム、(c)37個のアミノ酸のN末端ペプチド、ならびに(d)11個のアミノ酸のサブスタンスPの成熟形態からなる群から選択される。特定の実施形態では、サブスタンスPは、11個のアミノ酸の成熟ペプチドを含むサブスタンスPの形態である。特に、サブスタンスPは、サブスタンスPのプレフォームまたは成熟形態、すなわち、37個のアミノ酸のN末端ペプチドおよび11個のアミノ酸の成熟サブスタンスPペプチドを含むプレフォーム、または11個のアミノ酸のサブスタンスPの成熟形態である。
実施形態では、患者のサンプルは体液サンプルである。特定の実施形態では、サンプルは、全血、血清または血漿サンプルである。実施形態では、サンプルは、インビトロでのサンプルであり、インビトロで分析されることになり、体内に戻されることはない。
特定の実施形態では、患者は実験動物、家畜または霊長類である。特定の実施形態では、患者は、ヒト患者である。特定の実施形態では、患者は、女性のヒト患者である。
実施形態では、評価される子宮内膜症は、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIV子宮内膜症からなる群から選択される。特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、ステージI、ステージII、ステージIIIまたはステージIVの子宮内膜症である。実施形態では、子宮内膜症は、早期子宮内膜症、特に、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症またはrASRM病期分類によるステージII子宮内膜症である。特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、ステージIIIまたはステージIVの子宮内膜症である。
実施形態では、評価される子宮内膜症は、腹膜子宮内膜症、子宮内膜腫、深部浸潤子宮内膜症(DIE)および子宮腺筋症からなる群から選択される。
特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、rASRM病期分類によるステージIまたはIIの腹膜子宮内膜症である。
実施形態では、評価はrASRM病期分類とは無関係に実施される。特に、評価は、腹腔鏡検査を実施することなく行われる。特に、評価は、腹腔鏡検査および/またはrASRM病期分類を使用して患者の子宮内膜症の存在または重症度を評価することなく行われる。
実施形態では、本発明の方法はインビトロ法である。
実施形態では、サブスタンスPの量は、抗体を使用して、特にモノクローナル抗体を使用して測定される。実施形態では、患者のサンプル中のサブスタンスPの量を測定する工程a)は、イムノアッセイを実施することを含む。実施形態では、イムノアッセイは、直接的または間接的形式のいずれかで実施される。実施形態では、そのようなイムノアッセイは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または発光、蛍光、化学発光もしくは電気化学発光の検出に基づくイムノアッセイからなる群から選択される。
特定の実施形態では、患者のサンプル中のサブスタンスPの量を測定する工程a)は、
i)患者のサンプルを、サブスタンスPに特異的に結合する1種以上の抗体とインキュベートし、それによって抗体とサブスタンスPとの複合体を生成すること、および
ii)工程i)で生成された複合体を定量し、それによって患者のサンプル中のサブスタンスPの量を定量することを含む。
特定の実施形態では、工程i)において、サンプルを、サブスタンスPに特異的に結合する2種の抗体とインキュベートする。当業者に明らかなように、サンプルは、第1の抗サブスタンスP抗体/サブスタンスP/第2の抗サブスタンスP抗体複合体を形成するのに十分は時間および条件下で、いずれかの所望の順序で、すなわち、最初に第1の抗体、次いで第2の抗体と、または最初に第2の抗体、次いで第1の抗体と、または同時に第1の抗体および第2の抗体と接触させ得る。当業者が容易に認識するように、特異的抗サブスタンスP抗体およびサブスタンスP抗原/分析物の間の複合体(=抗サブスタンスP複合体)、またはサブスタンスPに対する第1の抗体、サブスタンスP(分析物)および第2の抗サブスタンスP抗体(=抗サブスタンスP抗体/サブスタンスP/第2の抗サブスタンスP抗体複合体)を含む二次複合体またはサンドイッチ複合体の形成に適切または十分な時間および条件を確立することは、日常的な実験にすぎない。
抗サブスタンスP抗体/サブスタンスP複合体の検出は、何らかの適切な手段によって実施し得る。第1の抗サブスタンスP抗体/サブスタンスP/第2の抗サブスタンスP抗体の複合体の検出は、任意の適切な手段によって実施し得る。当業者は、このような手段/方法に完全に精通している。
特定の実施形態では、サブスタンスPに対する第1の抗体、サブスタンスP(分析物)およびサブスタンスPに対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識される。
一実施形態では、サブスタンスPに対する第1の抗体、サブスタンスP(分析物)およびサブスタンスPに対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識され、第1の抗サブスタンスP抗体は固相に結合することが可能であるか、または固相に結合している。
実施形態では、第2の抗体は、直接的または間接的に検出可能に標識されている。特定の実施形態では、第2の抗体は、発光色素、特に化学発光色素または電気化学発光色素で検出可能に標識されている。
実施形態では、方法は、患者の月経困難症および/または下腹部痛の存在を評価することをさらに含む。実施形態では、月経困難症および/または下腹部痛の存在は、VASスケールによって評価される。実施形態では、月経困難症のVASスコアが4以上であることは、月経困難症が中等度または重度であることを示した。実施形態では、3以下のスコアは、月経困難症がないことまたは軽度であることを示す。実施形態では、方法は、CA-125の量または濃度を測定することをさらに含む。
実施形態では、方法は、前記サブスタンスPの量もしくは濃度と前記VASスケールによる月経困難症との割合、前記サブスタンスPの量もしくは濃度と前記VASスケールによる下腹部痛との割合、または前記サブスタンスPの量もしくは濃度と前記CA-125の量もしくは濃度との割合を計算することを含む。
第2の態様では、本発明は、子宮内膜症の治療のために患者を選択する方法であって、
a)前記患者のサンプル中のサブスタンスPの量または濃度を測定すること、および
b)測定した前記量または濃度を基準と比較することを含む、方法。
実施形態では、患者のサンプル中のサブスタンスPの量が上昇したと判定された場合、患者は子宮内膜症の治療のために選択される。特に、患者のサンプル中のサブスタンスPの量が基準または基準サンプル中のサブスタンスPの量よりも多い場合、子宮内膜症の治療のために患者が選択される。特に、子宮内膜症選択の治療について評価された患者の体液サンプル中のサブスタンスPの量が、子宮内膜症に罹患していないか、子宮内膜症を発症するリスクがあるか、または子宮内膜症の治療について選択されていない個体の同じ体液サンプルよりも多い場合、子宮内膜症の治療について患者が選択される。
特に、サブスタンスPの量が50%以上増加する場合、子宮内膜症の治療のために患者が選択される。特に、サブスタンスPの量が100%以上増加する場合、子宮内膜症の治療のために患者が選択される。特に、サブスタンスPの量が150%以上増加する場合、子宮内膜症の治療のために患者が選択される。特に、サブスタンスPの量が200%以上増加する場合、子宮内膜症の治療のために患者が選択される。
実施形態では、サブスタンスPは、(a)前駆体形態のプロタキキニンA、(b)37個のアミノ酸のN末端ペプチドおよび11個のアミノ酸の成熟サブスタンスPペプチドを含むプレフォーム、(c)37個のアミノ酸のN末端ペプチド、ならびに(d)11個のアミノ酸のサブスタンスPの成熟形態からなる群から選択される。特定の実施形態では、サブスタンスPは、11個のアミノ酸の成熟ペプチドを含むサブスタンスPの形態である。特に、サブスタンスPは、サブスタンスPのプレフォームまたは成熟形態、すなわち、37個のアミノ酸のN末端ペプチドおよび11個のアミノ酸の成熟サブスタンスPペプチドを含むプレフォーム、または11個のアミノ酸のサブスタンスPの成熟形態である。
実施形態では、患者は、薬物ベースの治療または外科的治療からなる群から選択される子宮内膜症の治療のために選択される。実施形態では、子宮内膜症の外科的治療は、腹腔鏡検査または神経温存術である。実施形態では、子宮内膜症の薬物ベースの治療は、神経原性炎症および/または鎮痛薬および/またはホルモン療法(例えば、ホルモン避妊薬またはGnRHアゴニスト)を阻害または標的化することである。
実施形態では、患者のサンプルは体液サンプルである。特定の実施形態では、サンプルは、全血、血清または血漿サンプルである。実施形態では、サンプルは、インビトロでのサンプルであり、インビトロで分析されることになり、体内に戻されることはない。
特定の実施形態では、患者は実験動物、家畜または霊長類である。特定の実施形態では、患者は、ヒト患者である。特定の実施形態では、患者は、女性のヒト患者である。
実施形態では、子宮内膜症は、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIV子宮内膜症からなる群から選択される。特定の実施形態では、子宮内膜症は、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVの子宮内膜症である。実施形態では、子宮内膜症は、早期子宮内膜症、特に、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症またはrASRM病期分類によるステージII子宮内膜症である。特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、ステージIIIまたはステージIVの子宮内膜症である。
実施形態では、子宮内膜症は、腹膜子宮内膜症、子宮内膜腫、深部浸潤子宮内膜症(DIE)および子宮腺筋症からなる群から選択される。
特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、rASRM病期分類によるステージIまたはIIの腹膜子宮内膜症である。
実施形態では、本発明の方法はインビトロ法である。
実施形態では、サブスタンスPの量は、抗体を使用して、特にモノクローナル抗体を使用して測定される。実施形態では、患者のサンプル中のサブスタンスPの量を測定する工程a)は、イムノアッセイを実施することを含む。実施形態では、イムノアッセイは、直接的または間接的形式のいずれかで実施される。実施形態では、そのようなイムノアッセイは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または発光、蛍光、化学発光もしくは電気化学発光の検出に基づくイムノアッセイからなる群から選択される。
特定の実施形態では、患者のサンプル中のサブスタンスPの量を測定する工程a)は、
i)患者のサンプルを、サブスタンスPに特異的に結合する1種以上の抗体とインキュベートし、それによって抗体とサブスタンスPとの複合体を生成すること、および
ii)工程i)で生成された複合体を定量し、それによって患者のサンプル中のサブスタンスPの量を定量することを含む。
特定の実施形態では、工程i)において、サンプルを、サブスタンスPに特異的に結合する2種の抗体とインキュベートする。当業者に明らかなように、サンプルは、第1の抗サブスタンスP抗体/サブスタンスP/第2の抗サブスタンスP抗体複合体を形成するのに十分は時間および条件下で、いずれかの所望の順序で、すなわち、最初に第1の抗体、次いで第2の抗体と、または最初に第2の抗体、次いで第1の抗体と、または同時に第1の抗体および第2の抗体と接触させ得る。当業者が容易に認識するように、特異的抗サブスタンスP抗体およびサブスタンスP抗原/分析物の間の複合体(=抗サブスタンスP複合体)、またはサブスタンスPに対する第1の抗体、サブスタンスP(分析物)および第2の抗サブスタンスP抗体(=抗サブスタンスP抗体/サブスタンスP/第2の抗サブスタンスP抗体複合体)を含む二次複合体またはサンドイッチ複合体の形成に適切または十分な時間および条件を確立することは、日常的な実験にすぎない。
抗サブスタンスP抗体/サブスタンスP複合体の検出は、何らかの適切な手段によって実施し得る。第1の抗サブスタンスP抗体/サブスタンスP/第2の抗サブスタンスP抗体の複合体の検出は、任意の適切な手段によって実施し得る。当業者は、このような手段/方法に完全に精通している。
特定の実施形態では、サブスタンスPに対する第1の抗体、サブスタンスP(分析物)およびサブスタンスPに対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識される。
一実施形態では、サブスタンスPに対する第1の抗体、サブスタンスP(分析物)およびサブスタンスPに対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識され、第1の抗サブスタンスP抗体は固相に結合することが可能であるか、または固相に結合している。
実施形態では、第2の抗体は、直接的または間接的に検出可能に標識されている。特定の実施形態では、第2の抗体は、発光色素、特に化学発光色素または電気化学発光色素で検出可能に標識されている。
実施形態では、方法は、患者の月経困難症および/または下腹部痛の存在を評価することをさらに含む。実施形態では、月経困難症および/または下腹部痛の存在は、VASスケールによって評価される。実施形態では、月経困難症のVASスコアが4以上であることは、月経困難症が中等度または重度であることを示した。実施形態では、3以下のスコアは、月経困難症がないことまたは軽度であることを示す。
実施形態では、方法は、CA-125の量または濃度を測定することをさらに含む。
実施形態では、方法は、前記サブスタンスPの量もしくは濃度と前記VASスケールによる月経困難症との割合、前記サブスタンスPの量もしくは濃度と前記VASスケールによる下腹部痛との割合、または前記サブスタンスPの量もしくは濃度と前記CA-125の量もしくは濃度との割合を計算することを含む。
第3の態様では、本発明は、子宮内膜症に罹患しているか、または子宮内膜症を処置している患者をモニタリングする方法であって、
a)前記患者のサンプル中のサブスタンスPの量または濃度を測定すること、および
b)測定した前記量または濃度を基準と比較することを含む、方法。
実施形態では、子宮内膜症に罹患している患者をモニタリングして、患者のサンプル中のサブスタンスPの量または濃度が経時的に変化しているかどうかを判定する。特に、子宮内膜症に罹患している患者をモニタリングして、サブスタンスPの量または濃度が経時的に増加しているか、減少しているか、または変化していないかを判定する。実施形態では、患者のサンプル中のサブスタンスPの量が増加していると判定された場合、その子宮内膜症に罹患している患者をモニタリングする。
実施形態では、子宮内膜症の処置を受けている患者をモニタリングして、患者のサンプル中のサブスタンスPの量または濃度が変化しているかどうかを判定する特に、子宮内膜症の処置を受けている患者をモニタリングして、サブスタンスPの量または濃度が増加しているか、減少しているか、または変化していないかを判定する。特に、子宮内膜症の処置を受けている患者をモニタリングして、サブスタンスPの量または濃度が適用された治療により増加しているか、減少しているか、または変化していないかを判定する。実施形態では、子宮内膜症の処置を受けている患者においてサブスタンスPの量または濃度が減少することは、治療が有効であることを示す。実施形態では、子宮内膜症について処置されている患者のサンプル中のサブスタンスPの量または濃度が変化していないか増加していることは、治療が無効であることを示し、すなわち、子宮内膜症について処置されている患者のサンプル中のサブスタンスPの量または濃度が変化していないか増加していることは、子宮内膜症が持続しているか再発していることを示す。特に、サブスタンスPの量が50%以上増加している場合、子宮内膜症の処置は無効である。特に、サブスタンスPの量が100%以上増加している場合、子宮内膜症の処置は無効である。特に、サブスタンスPの量が150%以上増加している場合、子宮内膜症の処置は無効である。特に、サブスタンスPの量が200%以上増加している場合、子宮内膜症の処置は無効である。
特定の実施形態では、子宮内膜症について処置されている患者のサンプル中のサブスタンスPの量または濃度が変化しないかまたは増加することが判定された場合に、治療が適用される。
実施形態では、患者は、種々の時点で数回モニタリングされる。実施形態では、患者は、数週間、数ヶ月または数年の時間枠内で数回モニタリングされる。特定の実施形態では、患者がモニタリングされるのは、月に1回または年に1回である。実施形態では、子宮内膜症に罹患している患者は、子宮内膜症の診断後、1ヶ月に1回または1年に1回モニタリングされる。実施形態では、子宮内膜症について処置されている患者は、治療後に1回、特に外科的治療後に1回モニタリングされる。特に、子宮内膜症について処置されている患者は、処置の有効性および/または子宮内膜症の再発を判定するために、1ヶ月に1回または1年に1回モニタリングされる。
実施形態では、子宮内膜症の治療法は、薬物ベースの治療法または外科的治療からなる群から選択される。実施形態では、子宮内膜症の外科的治療は、腹腔鏡検査または神経温存術である。実施形態では、子宮内膜症の薬物ベースの治療は、神経原性炎症の阻害または標的化、および/または鎮痛薬および/またはホルモン療法である。
実施形態では、サブスタンスPは、(a)前駆体形態のプロタキキニンA、(b)37個のアミノ酸のN末端ペプチドおよび11個のアミノ酸の成熟サブスタンスPペプチドを含むプレフォーム、(c)37個のアミノ酸のN末端ペプチド、ならびに(d)11個のアミノ酸のサブスタンスPの成熟形態からなる群から選択される。特定の実施形態では、サブスタンスPは、11個のアミノ酸の成熟ペプチドを含むサブスタンスPの形態である。特に、サブスタンスPは、サブスタンスPのプレフォームまたは成熟形態、すなわち、37個のアミノ酸のN末端ペプチドおよび11個のアミノ酸の成熟サブスタンスPペプチドを含むプレフォーム、または11個のアミノ酸のサブスタンスPの成熟形態である。
実施形態では、患者のサンプルは体液サンプルである。特定の実施形態では、サンプルは、全血、血清または血漿サンプルである。実施形態では、サンプルは、インビトロでのサンプルであり、インビトロで分析されることになり、体内に戻されることはない。
特定の実施形態では、患者は実験動物、家畜または霊長類である。特定の実施形態では、患者は、ヒト患者である。特定の実施形態では、患者は、女性のヒト患者である。
実施形態では、子宮内膜症は、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIV子宮内膜症からなる群から選択される。特定の実施形態では、子宮内膜症は、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVの子宮内膜症である。実施形態では、子宮内膜症は、早期子宮内膜症、特に、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症またはrASRM病期分類によるステージII子宮内膜症である。特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、ステージIIIまたはステージIVの子宮内膜症である。
実施形態では、子宮内膜症は、腹膜子宮内膜症、子宮内膜腫、深部浸潤子宮内膜症(DIE)および子宮腺筋症からなる群から選択される。
特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、rASRM病期分類によるステージIまたはIIの腹膜子宮内膜症である。
実施形態では、本発明の方法はインビトロ法である。
実施形態では、サブスタンスPの量は、抗体を使用して、特にモノクローナル抗体を使用して測定される。実施形態では、患者のサンプル中のサブスタンスPの量を測定する工程a)は、イムノアッセイを実施することを含む。実施形態では、イムノアッセイは、直接的または間接的形式のいずれかで実施される。実施形態では、そのようなイムノアッセイは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または発光、蛍光、化学発光もしくは電気化学発光の検出に基づくイムノアッセイからなる群から選択される。
特定の実施形態では、患者のサンプル中のサブスタンスPの量を測定する工程a)は、
i)患者のサンプルを、サブスタンスPに特異的に結合する1種以上の抗体とインキュベートし、それによって抗体とサブスタンスPとの複合体を生成すること、および
ii)工程i)で生成された複合体を定量し、それによって患者のサンプル中のサブスタンスPの量を定量することを含む。
特定の実施形態では、工程i)において、サンプルを、サブスタンスPに特異的に結合する2種の抗体とインキュベートする。当業者に明らかなように、サンプルは、第1の抗サブスタンスP抗体/サブスタンスP/第2の抗サブスタンスP抗体複合体を形成するのに十分は時間および条件下で、いずれかの所望の順序で、すなわち、最初に第1の抗体、次いで第2の抗体と、または最初に第2の抗体、次いで第1の抗体と、または同時に第1の抗体および第2の抗体と接触させ得る。当業者が容易に認識するように、特異的抗サブスタンスP抗体およびサブスタンスP抗原/分析物の間の複合体(=抗サブスタンスP複合体)、またはサブスタンスPに対する第1の抗体、サブスタンスP(分析物)および第2の抗サブスタンスP抗体(=抗サブスタンスP抗体/サブスタンスP/第2の抗サブスタンスP抗体複合体)を含む二次複合体またはサンドイッチ複合体の形成に適切または十分な時間および条件を確立することは、日常的な実験にすぎない。
抗サブスタンスP抗体/サブスタンスP複合体の検出は、何らかの適切な手段によって実施し得る。第1の抗サブスタンスP抗体/サブスタンスP/第2の抗サブスタンスP抗体の複合体の検出は、任意の適切な手段によって実施し得る。当業者は、このような手段/方法に完全に精通している。
特定の実施形態では、サブスタンスPに対する第1の抗体、サブスタンスP(分析物)およびサブスタンスPに対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識される。
一実施形態では、サブスタンスPに対する第1の抗体、サブスタンスP(分析物)およびサブスタンスPに対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識され、第1の抗サブスタンスP抗体は固相に結合することが可能であるか、または固相に結合している。
実施形態では、第2の抗体は、直接的または間接的に検出可能に標識されている。特定の実施形態では、第2の抗体は、発光色素、特に化学発光色素または電気化学発光色素で検出可能に標識されている。
実施形態では、方法は、患者の月経困難症および/または下腹部痛の存在を評価することをさらに含む。実施形態では、月経困難症および/または下腹部痛の存在は、VASスケールによって評価される。実施形態では、月経困難症のVASスコアが4以上であることは、月経困難症が中等度または重度であることを示した。実施形態では、3以下のスコアは、月経困難症がないことまたは軽度であることを示す。
実施形態では、方法は、CA-125の量または濃度を測定することをさらに含む。
実施形態では、方法は、前記サブスタンスPの量もしくは濃度と前記VASスケールによる月経困難症との割合、前記サブスタンスPの量もしくは濃度と前記VASスケールによる下腹部痛との割合、または前記サブスタンスPの量もしくは濃度と前記CA-125の量もしくは濃度との割合を計算することを含む。
更なる実施形態では、本発明は、以下の態様に関する。
1.患者が子宮内膜症に罹患しているか、または子宮内膜症を発症するリスクがあるかどうかを評価する方法であって、
前記患者のサンプル中のサブスタンスPの量または濃度を測定すること、および
測定した前記量または濃度を基準と比較することを含む、方法。
2.子宮内膜症の治療(特に薬物ベースの治療または外科的治療(腹腔鏡検査))のために患者を選択する方法であって、
前記患者のサンプル中のサブスタンスPの量または濃度を測定すること、および
測定した前記量または濃度を基準と比較することを含む、方法。
3.子宮内膜症に罹患しているか、または子宮内膜症を処置している患者をモニタリングする方法であって、
前記患者のサンプル中のサブスタンスPの量または濃度を測定すること、および
測定した前記量または濃度を基準と比較することを含む、方法。
4.前記患者のサンプル中のサブスタンスPの量または濃度の上昇が、前記患者において子宮内膜症が存在することを示す、態様1~3に記載の方法。
5.前記サンプルが、体液である、態様1~4に記載の方法。
6.前記サンプルが、血液、血清、または血漿である、態様1~5に記載の方法。
7.前記被験者が、女性患者、特にヒト女性患者である、態様1~6に記載の方法。
8.前記評価が、rASRM病期分類とは無関係に実施される、態様1~7に記載の方法。
9.子宮内膜症が、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIV子宮内膜症からなる群から選択される、態様1~8に記載の方法。
10.子宮内膜症が、早期子宮内膜症、特に、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症またはrASRM病期分類によるステージII子宮内膜症である、態様1~9に記載の方法。
11.子宮内膜症が、腹膜子宮内膜症、子宮内膜腫、深部浸潤子宮内膜症および子宮腺筋症からなる群から選択される、態様1~10に記載の方法。
12.VASスケールによる月経困難症および/またはVASスケールによって下腹部痛を評価することをさらに含む、態様1~11に記載の方法。
13.CA-125の量または濃度を測定することをさらに含む、態様1~12に記載の方法。
14.前記サブスタンスPの量もしくは濃度と前記VASスケールによる月経困難症との割合、前記サブスタンスPの量もしくは濃度と前記VASスケールによる下腹部痛との割合、または前記サブスタンスPの量もしくは濃度と前記CA-125の量もしくは濃度との割合を計算することを含む、態様12または13に記載の方法。
以下の実施例および図面は、本発明の理解を助けるために提供されており、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の思想から逸脱することなく、定められた手順に変更を加えることができると理解される。
実施例
実施例1 子宮内膜症の女性および対照におけるバイオマーカーサブスタンスP、およびバイオマーカーの組み合わせの診断性能
測定のために、ヒト女性からの合計21個の血清および31個の血漿サンプルを分析した。分析物の濃度をELISA(酵素結合免疫吸着測定法)によって測定した。症例群は、腹腔鏡視覚化とその後の組織学的確認による診断によって骨盤内子宮内膜症(rASRM病期分類によるステージI~IV)と診断された患者と、子宮内膜症ではない健常女性を含む対照群とで構成される。
ヒト血清およびヒト血漿中のサブスタンスPの濃度は、R&D Systems製の 「Parameter(商標)Substance P Assay」(biotechne Wiesbaden,Germanyから購入;カタログ番号:KGE007)を使用してわずかな変更を加えて測定した。このキットは、定量的競合ELISA技術を利用する。マイクロタイタープレートを、サブスタンスPに特異的なヤギ抗マウス抗体でプレコーティングする。サンプルおよび品質の対照は、製造業者によって推奨されるように2倍希釈で測定する。定量は、未希釈マトリックス(推奨希釈率1:2)中の156.2pg/mLおよび5000pg/mLに相当する78.1pg/mL~2500pg/mLの範囲である(アッセイ中の濃度)。全ての試薬を室温にした後、100μLの標準物質希釈液を、非特異的結合として指定されたにウェルに添加する。50μLの標準物質希釈液を、ゼロ標準として指定されたウェルに添加する。さらに、50μLの標準液、対照およびサンプルを残りの全てのウェルに添加する。次いで、非特異的結合のためのウェルを除いて、50μLのマウスモノクローナル一次抗体を各ウェルに添加する。非特異的結合のためのウェルを除く全てのウェルは、すぐに青色になる。続いて、50μLのサブスタンスPコンジュゲートを各ウェルにピペットで注入し、非特異的結合のためのものを除く全てのウェルは、すぐに紫色になる。650rpmに設定したマイクロプレートシェーカー上で室温で3時間インキュベーションする間、一次抗体は、サンプル由来の内因性サブスタンスPならびにサブスタンスPコンジュゲートに結合する。両方の複合体、内因性サブスタンスP一次抗体ならびにサブスタンスPコンジュゲート-一次抗体は、サブスタンスPに特異的なヤギ抗マウス抗体で予めコーティングされたマイクロタイタープレートへの結合について競合する。200μLの基質溶液を全てのウェルに添加する前に、以下の洗浄工程(4×400μL)により、プレートから未結合複合体を除去する。その後の30分間のインキュベーションの間に、結合したサブスタンスPコンジュゲートの量に比例して発色する。50μLの停止溶液を添加することによって発色を停止させ、プレートリーダーを用いて、検出のために450nmおよびバックグラウンド減算のために570nmで色強度を測定する。色の強度は、サンプル中の内因性サブスタンスPの濃度に反比例する。検量線を生成するために、キットと共に提供された、凍結乾燥合成サブスタンスPを、標準物質希釈液中で再構成し、50,000pg/mLの保存溶液を得た。アッセイの較正範囲は78.1pg/mL~2500pg/mLである。最も高い標準物質である標準物質7(2500pg/mL)は、標準物質希釈液で保存溶液を20倍に希釈して調製する。標準物質6~標準物質2(78.1pg/mL)は、標準物質希釈液で連続2倍希釈工程によって調製する。純粋な標準物質希釈液は、0標準である、標準物質1(0pg/mL)として機能する。検量線は、重み付けなしの4パラメータ非線形回帰(ニュートン-ラフソン)を用いてフィッティングした。
CA-125の濃度は、cobas e 601分析装置によって測定した。cobas e 601分析装置によるCA 125 IIの検出は、Elecsys(登録商標)Electro-ChemiLuminescence(ECL)技術に基づく。手短に説明すると、ビオチン標識抗体およびルテニウム標識抗体をそれぞれの量の未希釈サンプルと合わせ、分析装置上でインキュベートする。次いで、ビオチン標識免疫複合体の結合を促進するために、ストレプトアビジン被覆磁性微粒子を加え、装置上でインキュベートする。このインキュベーション工程の後、反応混合物を測定セルに移し、そこでビーズを電極の表面に磁気的に捕捉する。次いで、結合したイムノアッセイ複合体を遊離の残りの粒子から分離するために、その後のECL反応のためのトリプロピルアミン(TPA)を含有するProCell M緩衝液を測定セルに導入する。次に、作用電極と対電極との間の電圧の誘導により、ルテニウム錯体およびTPAによる光子の放出をもたらす反応が開始する。得られた電気化学発光シグナルは、光電子増倍管によって記録され、それぞれの分析物の濃度レベルを示す数値に変換される。
受信者動作特性(ROC)曲線を作成した(単一マーカーについては図1を、マーカーの組み合わせについては図2を参照されたい。)。モデル性能は、曲線下面積(AUC)を調べることによって決定される。可能な限り最良のAUCは1であり、可能な限り最低のAUCは0.5である。最適なカットオフを、ヨーデン指数(感度+特異度の最大和-1)を使用して選択した。
表1:子宮内膜症の女性および対照におけるバイオマーカーサブスタンスP、およびバイオマーカーの組み合わせの診断性能
多変量解析のために、AUCプロット、種々のバイオマーカーの組み合わせのカットオフを適用して、多変量ロジスティック回帰分析およびヨーデン指数に基づいて子宮内膜症を予測した。月経困難症のVASスコアが4以上であることは、月経困難症が中等度または重度であることを示した。3以下のスコアは、月経困難症がないことまたは軽度であることを示す。
サブスタンスPおよびCA-125を用いた多変量ロジスティック回帰モデル:
ロジット=α+(β1*サブスタンスP値[pg/mL])+(β2*CA-125値[U/mL])≧カットオフの場合、疾患(すなわち子宮内膜症ステージI、II、IIIまたはIV)であり、そうでなければ疾患ではない
ロジット=0.0827+(0.00765*サブスタンスP値)+(0.00868*CA-125値)≧0.574178である場合、疾患(すなわち子宮内膜症ステージI、II、IIIまたはIV)であり、そうでなければ疾患ではない。
表2:多変量ロジスティック回帰分析およびヨーデン指数に基づいて子宮内膜症を予測するための様々なバイオマーカーの組み合わせのカットオフ
*切片α:曲線がy軸と交差する点**パラメータβ:各変数に対する線形回帰曲線の傾き。
パラメータαおよびβの値は、それぞれ、多変量解析に包含される被検物質および臨床症状によって異なる。
子宮内膜症症例/対照および子宮内膜症症例G1/2(rASRMステージI~II)/子宮内膜症症例G3~4(rASRMステージIII~IV)/対照について箱ひげ図を作成した(図3参照)。データは、中央値(中央四分位)、四分位範囲(群のスコアの中央50%を表す)、上位四分位(スコアの75%が上位四分位を下回る)、下位四分位(スコアの25%が下位四分位を下回る)を含む箱ひげ図を使用して提示される。ひげは、それぞれ5パーセンタイルおよび95パーセンタイルを示す。