表の一覧
表1:子宮内膜症を有する女性および対照におけるバイオマーカーS100A12およびバイオマーカーの組合せの診断性能。
表2:多変量ロジスティック回帰分析およびヨーデンの指標に基づいて子宮内膜症を予測するための様々なバイオマーカーの組合せのカットオフ。
表3:子宮内膜症の症例(rASRMステージI~IV)および対照における単一バイオマーカーS100A12およびCA-125ならびにバイオマーカーの組合せの診断性能。
表4:子宮内膜症の症例(rASRMステージI~II)および対照における単一バイオマーカーS100A12およびCA-125の診断性能。
表5:腺筋症の症例および対照における単一バイオマーカーS100A12およびCA-125の診断性能。
本発明者らは、血液中で測定されたS100A12が、対照と比較して、子宮内膜症を有する女性において増加することを初めて示す。S100A12の血中レベルは、それぞれ最小および軽度の子宮内膜症を反映する早期子宮内膜症rASRMステージIおよびII(米国生殖医学会改訂)において、既に増加している。本発明者らはまた、S100A12を月経困難症(月経周期依存性疼痛)および/またはバイオマーカーCA-125と組み合わせることにより、子宮内膜症を有する女性を子宮内膜症のない対照女性と識別するための診断性能が向上したことを実証する。S100A12は、単独で、または月経困難症/下腹部痛および/またはCA-125と組み合わせて、非侵襲的試験では現在不可能な子宮内膜症の早期ステージ(rASRMステージIおよびII)を有する女性を同定する非侵襲的な血液ベースの試験の利点を有する。
定義
単語「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」のような変形は、記載された整数もしくは工程または整数もしくは工程のグループの包含を意味するが、いかなる他の整数もしくは工程または整数もしくは工程のグループの除外を意味しないことが理解されよう。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、別途内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
濃度、量、および他の数値データは、本明細書では「範囲」の形式で表現または提示され得る。このような範囲の形式は、便宜上および簡潔にするために単に使用されているに過ぎないことが理解され、したがって、その範囲の境界として明示的に列挙されている数値を含むだけではなく、各数値および部分範囲があたかも明示的に列挙されているかのごとく、その範囲内に包含される個々の数値または部分範囲のすべてを含むことを柔軟に解釈するべきである。例示として、「150mg~600mg」の数値範囲は、150mg~600mgの明示的に列挙された値を含むだけでなく、示された範囲内の個々の値および部分範囲も含むと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、150、160、170、180、190、...580、590、600mgなどの個々の値、および150~200、150~250、250~300、350~600などの部分範囲が含まれる。この同じ原理は、1つの数値のみを列挙する範囲にも適用される。さらに、このような解釈は、その範囲の幅または記載されている特性にかかわらず、適用すべきである。
用語「約」とは、数値に関連して使用される場合、示された数値よりも5%小さい下限値を有し、かつ示された数値よりも5%大きい上限値を有する範囲内の数値を包含することを意味する。
用語「インジケータ」とは、本明細書で使用される場合、症状の兆候またはシグナルを指すか、または症状をモニタリングするために使用される。そのような「症状」は、細胞、組織もしくは器官の生物学的状態、または個体の健康および/もしくは疾患状態を指す。インジケータは、ペプチド、タンパク質、および核酸を含むがこれらに限定されない分子の存在または非存在であり得るか、または細胞、もしくは組織、器官もしくは個体におけるそのような分子の発現レベルまたはパターンの変化であり得る。インジケータは、個体における疾患の発症(onset)、発症(development)もしくは存在、またはそのような疾患のさらなる進行の兆候であり得る。インジケータはまた、個体において疾患を発症するリスクの兆候であり得る。
本発明の文脈において、用語「バイオマーカー」とは、生物学的システムの生物学的状態のインジケータとして使用される、前記システム内の物質を指す。当技術分野では、用語「バイオマーカー」は、前記内因性物質(例えば、抗体、核酸プローブなど、イメージングシステム)の検出手段にも適用されることがある。本発明の文脈において、用語「バイオマーカー」とは、検出手段ではなく物質にのみ適用されるものとする。したがって、バイオマーカーは、生体内に存在する任意の種類の分子、例えば核酸(DNA、mRNA、miRNA、rRNAなど)、タンパク質(細胞表面受容体、サイトゾルタンパク質など)、代謝産物もしくはホルモン(血糖、インスリン、エストロゲンなど)、別の分子の特定の修飾に特徴的な分子(例えば、タンパク質上の糖部分またはホスホリル残基、ゲノムDNA上のメチル残基)、または生物によって内在化された物質もしくはそのような物質の代謝産物であり得る。
カルグラニュリンC、MRP6またはEN-RAGE(細胞外新規同定終末糖化産物結合タンパク質受容体、Extracellular Newly identified Receptor for Advanced Glycation Endproducts binding protein)としても公知の「S100A12」は、S100タンパク質ファミリーに属する12キロダルトンのカルシウム結合タンパク質である。S100タンパク質は、脊椎動物においてもっぱら発現され、細胞特異的分布を示し、多種多様な細胞内および細胞外活性を調節する。S100という名称は、これらのタンパク質が生理的pHで硫酸アンモニウムに100%可溶であるという事実に由来する。健康な個体では、S100A12の発現は、常在好中球および単球が存在する組織および器官、例えば脾臓および肺において報告されている。S100A12は主に細胞サイトゾルに見られるが、膜および細胞骨格成分への移行が細胞内カルシウムレベルの上昇時に観察される。細胞内のS100A12作用には、サイトカイン産生および酸化ストレスの誘導が含まれる。細胞外に分泌されると、S100A12は自然免疫応答の活性化に寄与し、アラルミンまたはDanger活性化分子パターン(DAMP)として作用する(Donato、Int J Biochem Cell Biol 2001;33:637~668)。S100A12は、RAGE(終末糖化産物の受容体)のリガンドである。S100A12がRAGEに結合すると、MAPK/NF-kB経路の活性化、ならびに免疫細胞(すなわち、単球/マクロファージ/ミクログリア、好中球およびリンパ球)内で炎症性サイトカイン、例えば腫瘍壊死因子(TNF)-αおよびインターロイキン(IL)-1βの産生がもたらされる(Yangら、J Allergy Clin Immunol.2007;119(1):106~114)。血清S100A12の上昇したレベルが、慢性炎症が重要な役割を果たす炎症性腸疾患、リウマチ/乾癬性関節炎および嚢胞性線維症で報告された(Meijerら、Int J Inflam.2012:907078 doi:10.1155/2012/907078)。癌抗原125または腫瘍抗原125と呼ばれることもある炭水化物抗原125である「CA-125」は、MUC16遺伝子によって産生され、細胞膜に会合するムチン型糖タンパク質である。CA-125は、子宮内膜、卵管、卵巣および腹膜を含む体腔上皮に由来する上皮細胞卵巣癌のバイオマーカーである。CA-125の診断的使用は、中程度の感度の子宮内膜症ステージIIIおよびIV(中等度および重度の子宮内膜症)に限定される。
疾患の「症候」は、そのような疾患を有する組織、器官または生物によって顕著な疾患の暗示であり、以下に限定されないが、組織、器官または個体の疼痛、脱力感、圧痛、緊張、硬直および痙攣を含む。疾患の「兆候」または「シグナル」には、以下に限定されないが、バイオマーカーもしくは分子マーカーなどの特定のインジケータの有無、増加もしくは上昇、減少もしくは低下などの変化(change)もしくは変化(alteration)、または症候の発症、存在もしくは悪化が含まれる。疼痛の症候には、以下に限定されないが、持続性または様々な灼熱痛、拍動痛、かゆみまたは刺痛として感じられ得る不快な感覚が含まれる。
用語「疾患」および「障害」は、本明細書では互換的に使用され、異常な症状、特に組織、器官または個体がもはやその機能を効率的に果たすことができない病気または損傷などの異常な医学的症状を指す。必ずしもそうとは限らないが、典型的には、疾患は、そのような疾患の存在を示す特定の症候または兆候に関連する。したがって、そのような症候または兆候の存在は、疾患に罹患している組織、器官または個体を示し得る。これらの症候または兆候の変化は、そのような疾患の進行を示し得る。疾患の進行は、典型的には、疾患の「悪化」または「好転」を示し得る、そのような症候または兆候の増加または減少を特徴とする。疾患の「悪化」は、組織、器官または生物がその機能を効率的に果たす能力の減少を特徴とするのに対して、疾患の「好転」は、典型的には、組織、器官または個体がその機能を効率的に果たす能力の増加を特徴とする。疾患を「発症するリスク」にある組織、器官または個体は、健康な状態にあるが、疾患が顕在化する可能性を示す。典型的には、疾患を発症するリスクは、そのような疾患の早期または弱い兆候または症候に関連する。そのような場合、疾患の発症は依然として処置によって予防され得る。疾患の例には、炎症性疾患、感染性疾患、皮膚症状、内分泌疾患、腸疾患、神経障害、関節疾患、遺伝性障害、自己免疫疾患、外傷性疾患、および様々な種類の癌が含まれるが、これらに限定されない。
「子宮内膜症」は、子宮外の子宮内膜様組織の病変を特徴とする慢性のホルモン依存性炎症性疾患である。子宮内膜症の臨床所見は、患者によって大きく異なる。子宮内膜症患者は、月経間出血、有痛期間(月経困難症)、有痛性性交(性交疼痛症)、有痛性排便(排便障害)および有痛性排尿(排尿障害)などの症候を呈することが多い。子宮内膜症に起因する骨盤痛は通常慢性的であり(6ヶ月以上持続する)、月経困難症(症例の50~90%において)、性交疼痛症、骨盤深部痛、ならびに背部痛および腰部痛を伴うまたは伴わない下腹部痛に関連する。疼痛は、月経周期全体にわたって予測不能かつ断続的に起こり得るか、または連続的であり得、鈍く、拍動し、または鋭く、身体活動によって悪化し得る。膀胱および腸に関連する症候(悪心、膨満、および早期満腹)は、典型的には周期的である。疼痛はしばしば経時的に悪化し、性質が変化し得、まれに、女性は、神経障害性成分を示唆する症候である灼熱感または過敏症を訴える。多くの場合、子宮内膜症は無症候性であり得、不妊症の評価中にのみ臨床医の注意を引く(Sinaiiら、Fertil Steril.2008;89(3):538~545)。子宮内膜症を有する女性では、受精能力のあるカップル(15~20%)と比較して、月経周期ごとの妊娠率が低下する(2~10%)。子宮内膜症は妊孕性を損なうが、通常、受胎を完全に妨げるわけではない(Fadhlaouiら、Front Surg.2014;1:24)。
子宮内膜症を最も一般的に罹患する部位は骨盤器官および腹膜であるが、肺などの身体の他の部分が時折罹患する。疾患の程度は、他の点では正常な骨盤器官上の少数の小さな病変から大きな卵巣子宮内膜症性嚢胞(子宮内膜腫)および/または骨盤の解剖学的構造の著しい歪みを引き起こす広範囲の線維症および癒着形成まで様々である。位置に基づいて、子宮内膜病変は、腹膜子宮内膜症、卵巣子宮内膜症性嚢胞(子宮内膜腫)、深部結節(深部浸潤性子宮内膜症)、および腺筋症に分類することができる(Kennedyら、Hum Reprod.2005;20(10):2698~2704)。
用語「rASRMステージ」または「rASRMステージ分類」とは、米国生殖医学会(ASRM)によって確立された、外科(腹腔鏡術)での所見に基づく子宮内膜症の重症度を記載する改訂分類系を指す。分類は、赤色、白色および黒色の病変などの腹膜および骨盤インプラントの形態に基づき、各病変の関与の割合を含めるべきである。子宮内膜インプラント、プラーク、子宮内膜腫および癒着の数、サイズおよび位置に留意すべきである。腸、尿路、卵管、膣、頸部、皮膚、または他の場所の子宮内膜症は、ASRMガイドラインに従って記録されるべきである。ASRMガイドラインによる子宮内膜症のステージは、ポイントスコアに基づいて決定されたステージI、II、IIIおよびIVであり、最小、軽度、中程度および重度の子宮内膜症に対応する。rASRMステージIおよびIIの子宮内膜症(最小から軽度の子宮内膜症)は、表在性腹膜子宮内膜症、小さな深い病変の存在の可能性、子宮内膜腫の非存在および/または軽度の膜状癒着によって定義されるrASRMステージIIIおよびIVの子宮内膜症(中等度から重度の子宮内膜症)は、表在性腹膜子宮内膜症、子宮と腸との間に中程度から広範囲の癒着を伴う深部浸潤性子宮内膜症、および/または卵巣と管とを含む中程度から広範囲の癒着を伴う子宮内膜腫性嚢胞の存在によって定義される。
ビジュアル・アナログ・スケールである「VAS」という用語は、疼痛の強度を評価するための道具である。VASは、長さ10cmの水平線からなり、その端部は「疼痛なし」および「考えられる最大の疼痛」としてマークされている。各患者はライン上で自分の疼痛レベルをチェックし、一番左の「疼痛なし」からチェックしたマークまでの距離をセンチメートルで測定し、0~10の疼痛スコアを得る。「疼痛なし」は疼痛スコア0に対応し、「考えられる最大の疼痛」は疼痛スコア10に対応する。子宮内膜症を有する女性では、月経困難症は約6の平均VASスコアで疼痛の最も高い知覚に関連付けられる(Cozzolinoら、Rev Bras Ginecol Obstet2019;41(3):170~175)。
本明細書で使用される場合、「患者」は、本明細書に記載の診断、予後または処置から利益を得ることができる任意の哺乳動物、魚、爬虫類または鳥を意味する。特に、「患者」は、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギまたはゼブラフィッシュ)、家畜(例えば、モルモット、ウサギ、ウマ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ニワトリ、ラクダ、ネコ、イヌ、タートル、カメ、ヘビ、トカゲまたは金魚を含む)、またはチンパンジー、ボノボ、ゴリラおよびヒトを含む霊長類からなる群から選択される。「患者」はヒトであることが特に好ましい。
用語「試料」または「目的の試料」とは、本明細書において互換的に使用され、組織、器官または個体の部分または一部を指し、典型的には、組織、器官または個体の全体を表すことを意図したそのような組織、器官または個体よりも小さい。分析に際して、試料は、組織の状態、または器官もしくは個体の健康もしくは疾患状態に関する情報をもたらす。試料の例としては、以下に限定されないが、血液、血清、血漿、滑液、尿、唾液、およびリンパ液などの流体試料、または組織抽出物、軟骨、骨、滑膜、および結合組織などの固形試料が挙げられる。試料の分析は、視覚的または化学的に達成され得る。視覚的分析には、試料の形態学的評価を可能にする組織、器官または個体の顕微鏡イメージングまたは放射線スキャニングが含まれるが、これらに限定されない。化学的分析には、特定のインジケータの有無またはそれらの量、濃度もしくはレベルの変化の検出が含まれるが、これらに限定されない。試料は、インビトロでの試料であり、インビトロで分析され、体内に戻されない。
用語「量」とは、本明細書で使用される場合、本明細書で言及されるバイオマーカーの絶対量、前記バイオマーカーの相対量または濃度、およびそれらと相関するまたはそれらから導き出され得る任意の値またはパラメータを包含する。このような値またはパラメータは、直接的な測定により前記ペプチドから得られる、すべての具体的な物理的または化学的特性に由来する強度シグナル値、例えば、質量スペクトルまたはNMRスペクトルにおける強度値を含む。さらに、本明細書の別の箇所で明示される間接測定により得られる値またはパラメータ(例えば、ペプチドに応答して生物学的読み出しシステムにより測定される応答量、または特異的に結合したリガンドから得られる強度シグナル)はすべて包含される。上述の量またはパラメータと相関する値は、すべての標準的な数学的演算によっても得ることができるということを理解されたい。
用語「比較する」とは、本明細書で使用される場合、対象からの試料におけるバイオマーカーの量を、本明細書の別の箇所で明示されるバイオマーカーの基準量と比較することを指す。本明細書で使用する場合の比較することは、通常、対応するパラメータまたは値の比較を指し、例えば、絶対量は基準の絶対量と比較されるのに対し、濃度は基準の濃度と比較され、または試料中のバイオマーカーから得られた強度シグナルは基準試料から得られた同じ種類の強度シグナルと比較されることを理解されたい。比較は、手作業またはコンピュータを利用して実施してもよい。したがって、比較は、計算デバイスにより実施してもよい。対象からの試料におけるバイオマーカーの測定量または検出量、および基準量の値は、例えば、互いに比較することができ、また前記比較は、比較のためのアルゴリズムを実行するコンピュータプログラムにより自動的に実施され得る。前記評価を実施するコンピュータプログラムは、適切な出力形式で、所望の評価を提供する。コンピュータを利用した比較において、測定量の値は、コンピュータプログラムにより、データベースに保存されている好適な基準に相当する値と比較されてもよい。コンピュータプログラムは、比較の結果をさらに評価してもよく、すなわち、適切な出力形式で所望の評価を自動的に提供してもよい。コンピュータを利用した比較において、測定量の値は、コンピュータプログラムにより、データベースに保存されている好適な基準に相当する値と比較されてもよい。コンピュータプログラムは、比較の結果をさらに評価してもよく、すなわち、適切な出力形式で所望の評価を自動的に提供する。
表現「決定された量または濃度を基準と比較すること」とは、いずれにせよ、当業者に明らかなことをさらに説明するために使用されているにすぎない。基準濃度は対照試料において確立される
用語「基準試料」または「対照試料」とは、本明細書で使用される場合、目的の試料と実質的に同一の様式で分析され、その情報が目的の試料の情報と比較される試料を指す。これにより、基準試料は、目的の試料から得られる情報の評価を可能にする標準を提供する。対照試料は、健常なまたは正常な組織、器官または個体に由来し得、それにより、組織、器官または個体の健康状態の標準を提供する。正常な基準試料の状態と目的の試料の状態との間の差は、疾患発症のリスクまたはそのような疾患もしくは障害の存在もしくはさらなる進行を示し得る。対照試料は、異常なまたは罹患した組織、器官または個体に由来し得、それにより、組織、器官または個体の罹患状態の標準を提供する。異常な基準試料の状態と目的の試料の状態との間の差は、疾患発症のリスクの低下またはそのような疾患もしくは障害の非存在もしくは好転を示し得る。基準試料はまた、目的の試料と同じ組織、器官または個体に由来し得るが、より早い時点で採取されている。より早く採取された基準試料の状態と目的の試料の状態との間の差は、疾患の進行、すなわち経時的な疾患の好転または悪化を示し得る。
対照試料は、内部または外部の対照試料であり得る。内部の対照試料を使用して、すなわち、試験試料ならびに同じ対象から採取した1つ以上の他の試料で、マーカーレベルを評価して、前記マーカーのレベルに変化があるかどうかを判定する。外部の対照試料については、個体に由来する試料中のマーカーの存在または量を、所与の症状に罹患していることが知られている、もしくはそのリスクがあることが知られている個体;または所与の症状がないことが知られている個体(すなわち「正常な個体」)中のマーカーの存在または量と比較する。
そのような外部の対照試料は、単一の個体から得られてもよく、または年齢が一致し、交絡疾患がない基準集団から得られてもよいことが当業者には理解されよう。典型的には、適切な基準集団からの十分に特徴付けられた100個の個体からの試料を使用して、「基準値」を確立する。しかしながら、基準集団はまた、20、30、50、200、500または1000個の個体からなるように選択されてもよい。健康な個体は、対照値を確立するための好ましい基準集団となる。
例えば、患者試料におけるマーカー濃度を、ある特定の疾患の特定の経過に関連することが公知の濃度と比較することができる。通常、試料のマーカー濃度は、診断と直接的または間接的に相関し、マーカー濃度は、例えば、個体がある特定の疾患のリスクがあるかどうかを判定するために使用される。あるいは、試料のマーカー濃度を、例えば、ある特定の疾患における治療に対する応答、ある特定の疾患の診断、ある特定の疾患の重症度の評価、ある特定の疾患に対する適切な薬物を選択するためのガイダンス、疾患進行のリスクを判定する際、または患者のフォローアップにおいて関連することが公知のマーカー濃度と比較することができる。意図する診断的使用に応じて、適切な対照試料が選択され、その中でマーカーの対照値または基準値が確立される。当業者にも明らかなように、対照試料において確立される絶対マーカー値は、使用されるアッセイに依存する。
インジケータの「低下した」または「減少した」レベルという用語は、基準または基準試料と比較して低下している試料中のそのようなインジケータのレベルを指す。
インジケータの「上昇した」または「増加した」レベルという用語は、基準または基準試料と比較してより高い試料中のそのようなインジケータのレベルを指す。例えば、所与の疾患に罹患している1つの個体の流体試料中で、前記疾患に罹患していない個体の同じ流体試料中よりも高い量で検出可能なタンパク質は、上昇したレベルを有する。
用語「測定」、「測定する」または「判定する」とは、好ましくは定性的、半定量的または定量的測定を含む。
用語「免疫グロブリン(Ig)」とは、本明細書で使用される場合、免疫グロブリンスーパーファミリーの糖タンパク質を付与する免疫を指す。「表面免疫グロブリン」は、それらの膜貫通領域によってエフェクター細胞の膜に付着しており、以下に限定されないが、B細胞受容体、T細胞受容体、クラスIおよびII主要組織適合複合体(MHC)タンパク質、ベータ2ミクログロブリン(約2M)、CD3、CD4およびCDSなどの分子を包含する。
典型的には、用語「抗体」とは、本明細書で使用される場合、膜貫通領域を欠き、したがって血流および体腔に放出され得る分泌型免疫グロブリンを指す。ヒト抗体は、それらが保有する重鎖に基づいて異なるアイソタイプに分類される。ギリシャ文字により示される5種類のヒトIg重鎖:α、γ、δ、εおよびμが存在する。存在する重鎖の種類は、抗体のクラス(すなわち、これらの鎖は、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体にそれぞれ見られる)を定義し、それぞれ異なる役割を果たし、異なる種類の抗原に対する適切な免疫応答を指示する。異なる重鎖は、サイズおよび組成が異なり、約450個のアミノ酸を含み得る(Janewayら(2001)Immunobiology、Garland Science)。IgAは、消化管、気道および尿生殖路などの粘膜領域、ならびに唾液、涙および母乳中に見出され、病原体によるコロニー形成を妨げる(Underdown&Schiff(1986)Annu.Rev.Immunol.4:389~417)。IgDは主に、抗原に曝露されていないB細胞の抗原受容体として機能し、好塩基球および肥満細胞を活性化して抗微生物因子を産生することに関与する(Geisbergerら(2006)Immunology118:429~437;Chenら(2009)Nat.Immunol.10:889~898)。IgEは、肥満細胞および好塩基球からのヒスタミン放出を引き起こすアレルゲンへの結合を介してアレルギー反応に関与する。IgEはまた、寄生虫に対する保護に関与する(Pierら(2004)Immunology,Infection,and Immunity、ASM Press)。IgGは、侵入病原体に対する抗体ベースの免疫の大部分をもたらし、胎盤を通過して胎児に受動免疫を与えることができる唯一の抗体アイソタイプである(Pierら(2004)Immunology,Infection,and Immunity、ASM Press)。ヒトでは4つの異なるIgGサブクラス(IgG1、2、3、および4)があり、血清中の存在量の順に命名され、IgG1が最も多く(約66%)、IgG2(約23%)、IgG3(約7%)、およびIgG4(約4%)がこれに続く。異なるIgGクラスの生物学的プロファイルは、それぞれのヒンジ領域の構造によって決定される。IgMは、単量体形態、および非常に高いアビディティーを有する分泌型五量体形態でB細胞の表面に発現される。IgMは、十分なIgGが産生される前のB細胞媒介(体液性)免疫の初期段階で病原体を排除することに関与する(Geisbergerら(2006)Immunology118:429~437)。抗体は、単量体として見出されるだけでなく、2つのIgユニットの二量体(例えばIgA)、4つのIgユニットの四量体(例えば、硬骨魚のIgM)、または5つのIgユニットの五量体(例えば哺乳動物IgM)を形成することも周知である。抗体は、典型的には、ジスルフィド結合を介して連結される、2つの同一の重鎖および2つの同一の軽鎖を含む4つのポリペプチド鎖から作製され、「Y」形状の巨大分子に類似する。鎖の各々は、いくつかの免疫グロブリンドメインを含み、そのうちのいくつかは定常ドメインであり、他のものは可変ドメインである。免疫グロブリンドメインは、2~シート状に配置された7~9本の逆平行~鎖の2層サンドイッチからなる。典型的には、抗体の重鎖は4つのIgドメインを含み、そのうちの3つは定常(CHドメイン:CH1、CH2、CH3)ドメインであり、そのうちの1つは可変ドメイン(VH)である。軽鎖は、典型的には、1つの定常Igドメイン(CL)および1つの可変Igドメイン(VL)を含む。例示すると、ヒトIgG重鎖は、N末端からC末端にVwCH1-CH2-CH3の順序(VwCy1-Cy2-Cy3とも称される)で連結された4つのIgドメインで構成されており、一方、ヒトIgG軽鎖は、N末端からC末端にVL-CLの順序で連結された2つの免疫グロブリンドメインで構成されており、カッパ型またはラムダ型のいずれか(VK-CKまたはVA-CA)である。例示すると、ヒトIgGの定常鎖は447個のアミノ酸を含む。本明細書および特許請求の範囲全体を通じて、免疫グロブリンのアミノ酸位置の番号付けは、Kabat,E.A.、Wu,T.T.、Perry,H.M.、Gottesman,K.S.およびFoeller,C.(1991)Sequences of proteins of immunological interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Service、National Institutes of Health、Bethesda、MDにおけるような「EUインデックス」の番号付けである。「KabatにおけるようなEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。したがって、IgGの文脈におけるCHドメインは以下の通りである:「CH1」は、KabatにおけるようなEUインデックスによるアミノ酸位置118~220位を指し;「CH2」は、KabatにおけるようなEUインデックスによるアミノ酸位置237~340位を指し;「CH3」は、KabatにおけるようなEUインデックスによるアミノ酸位置341~447位を指す。
用語「全長抗体」、「インタクトな抗体」、および「全抗体」とは、以下に定義の抗体断片ではない、その実質的にインタクトな形態の抗体を指すために、本明細書で互換的に使用される。これらの用語は、特に、Fc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
抗体のパパイン消化により、各々単一の抗原結合部位を有する「Fab断片」(「Fab部分」または「Fab領域」とも称される)と、容易に結晶化するその能力を反映して命名された残りの「Fc断片」(「Fc部分」または「Fc領域」とも称される)と呼ばれる、2つの同一の抗原結合断片が産生される。ヒトIgG Fc領域の結晶構造は決定されている(Deisenhofer(1981)Biochemistry20:2361~2370)。IgG、IgAおよびIgDアイソタイプでは、Fc領域は、抗体の2つの重鎖のCH2およびCH3ドメインに由来する2つの同一のタンパク質断片から構成され、IgMおよびIgEアイソタイプでは、Fc領域は、各ポリペプチド鎖に3つの重鎖定常ドメイン(CH2~4)を含む。さらに、より小さい免疫グロブリン分子が天然に存在するか、または人工的に構築されている。用語「Fab’断片」とは、Ig分子のヒンジ領域を追加で含むFab断片を指し、一方で「F(ab’)2断片」は、化学的に連結されているかまたはジスルフィド結合を介して結合されている2つのFab’断片を含むと理解される。「単一ドメイン抗体(sdAb)」、(Desmyterら(1996)Nat.Structure Biol.3:803~811)および「ナノボディ」は単一のVHドメインのみを含むが、「一本鎖Fv(scFv)」断片は、短いリンカーペプチドを介して軽鎖可変ドメインに連結された重鎖可変ドメインを含む(Hustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85、5879~5883)。二価の一本鎖可変断片(di-scFv)は、2つのscFv(scFvA-scFvB)を連結することによって操作することができる。これは、2つのVH領域および2つのVL領域を有する単一のペプチド鎖を生成することによって行われ得、「タンデムscFv」(VHA-VLA-VHB-VLB)を得る。別の可能性は、2つの可変領域が一緒に折り畳まれるには短すぎるリンカーを有するscFvの作製であり、scFvを強制的に二量体化させる。通常、5残基の長さを有するリンカーが、これらの二量体を生成するために使用される。この種類は、「ダイアボディ」として公知である。VHドメインとVLドメインとの間のさらに短いリンカー(1個または2個のアミノ酸)は、単一特異性三量体、いわゆる「トリアボディ」または「トリボディ」の形成をもたらす。二重特異性ダイアボディは、それぞれ配列VHA-VLBおよびVHB-VLAまたはVLA-VHBおよびVLB-VHAを有する鎖に発現させることによって形成される。一本鎖ダイアボディ(scDb)は、12~20個のアミノ酸、好ましくは14個のアミノ酸のリンカーペプチド(P)によって連結されたVHA-VLBおよびVHB-VLA断片(VHA-VLB-P-VHB-VLA)を含む。「二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)」は、異なる抗体の2つのscFvからなる融合タンパク質であり、scFvの一方はCD3受容体を介してT細胞に結合し、他方は腫瘍特異的分子を介して腫瘍細胞に結合する(Kuferら(2004)Trends Biotechnol.22:238~244)。二重親和性再標的化分子(「DART」分子)は、C末端ジスルフィド架橋によってさらに安定化されたダイアボディである。
したがって、用語「抗体断片」とは、インタクトな抗体の、好ましくはその抗原結合領域を含む部分を指す。抗体断片には、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片;ダイアボディ;sdAb、ナノボディ、scFv、di-scFv、タンデムscFv、トリアボディ、ダイアボディ、scDb、BiTE、およびDARTが含まれるが、これらに限定されない。
用語「結合親和性」は、一般に、分子(例えば抗体)の単一の結合部位と、その結合パートナー(例えば抗原)との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体および抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(Kd)によって表され得る。親和性は、表面プラズモン共鳴に基づくアッセイ(例えば、PCT出願公開WO2005/012359に記載されているようなBIAcoreアッセイ);酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA);および競合アッセイ(例えばRIA)を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は、一般に、抗原とゆっくり結合し、容易に解離する傾向にあるが、高親和性抗体は、一般に、抗原と迅速に結合し、より長く結合したままの傾向にある。結合親和性の種々の測定方法が当技術分野で公知であり、これらのいずれも、本発明の目的に対して使用することができる。
「サンドイッチイムノアッセイ」は、目的の分析物の検出に広く使用されている。そのようなアッセイでは、分析物は、第1の抗体と第2の抗体との間に「サンドイッチされる」。典型的には、サンドイッチアッセイは、捕捉および検出抗体が目的の分析物上の重複しない異なるエピトープに結合することを必要とする。適切な手段によって、そのようなサンドイッチ複合体が測定され、それにより分析物が定量される。典型的なサンドイッチ型アッセイでは、固相に結合した、または固相に結合することができる第1の抗体、および検出可能に標識された第2の抗体は各々、重複しない異なるエピトープで分析物に結合する。第1の分析物に特異的な結合剤(例えば、抗体)は、固体表面に共有結合しているかまたは受動結合している(passively bound)かのいずれかである。固体表面は、典型的にはガラスまたはポリマーであり、最も一般的に使用されるポリマーは、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリプロピレンである。固体支持体は、チューブ、ビーズ、マイクロプレートのディスク、またはイムノアッセイの実施に好適な任意の他の表面であっても良い。結合プロセスは、当技術分野で周知であり、一般に、架橋共有結合、または物理的吸着からなり、ポリマー-抗体複合体は、試験試料に備えて洗浄される。次いで、試験される試料のアリコートを固相複合体に添加し、第1の抗体または捕捉抗体と対応する抗原との間の結合を可能にするのに十分な期間(例えば2~40分またはより好都合であれば一晩)および適切な条件下(例えば、室温~40℃、例えば25℃~37℃(両端を含む))でインキュベートする。インキュベーション期間に続いて、第1の抗体または捕捉抗体、および抗体に結合した抗原を含む固相を洗浄し、抗原上の別のエピトープに結合する二次抗体または標識抗体と共にインキュベートすることができる。第2の抗体は、第1の抗体と目的の抗原との複合体に対する第2の抗体の結合を示すために使用するレポーター分子に結合される。
非常に用途の広い代替サンドイッチアッセイ形式には、結合対の第1のパートナーでコーティングされた固相、例えば、常磁性ストレプトアビジンでコーティングした微粒子の使用が含まれる。このような微粒子を、結合対の第2のパートナー(例えば、ビオチン化抗体)に結合した分析物に特異的な結合剤、結合対の前記第2のパートナーが前記分析物に特異的な結合剤に結合している分析物を含むと疑われるまたは含んでいる試料、および検出可能に標識された第2の分析物に特異的な結合剤と共にインキュベートする。当業者には明らかなように、これらの成分は、適切な条件下で、分析物、結合対の第2のパートナー(に結合した)分析物に特異的な結合剤、および結合対の第1のパートナーを介して標識抗体を固相微粒子に結合させるのに十分な期間インキュベートされる。適宜、このようなアッセイは、1つ以上の洗浄工程を含んでもよい。
用語「検出可能に標識した」とは、直接的または間接的に検出することができる標識を包含する。
直接的に検出可能な標識が、検出可能なシグナルを提供するか、または標識が、第2の標識と相互作用するかのいずれかをして、第1または第2の標識によってもたらされる検出可能なシグナルを改変して、例えば、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を与える。蛍光色素および発光(化学発光および電気化学発光を含む)色素などの標識(Briggsら「Synthesis of Functionalised Fluorescent Dyes and Their Coupling to Amines and Amino Acids」J.Chem.Soc.、Perkin-Trans.1(1997)1051~1058)は、検出可能なシグナルを提供し、一般に、標識化に適用可能である。一実施形態では、検出可能に標識されたとは、検出可能なシグナル、すなわち蛍光標識、発光標識(例えば、化学発光標識または電気化学発光標識)、放射性標識または金属キレート系標識をそれぞれ提供するかまたは提供するように誘導可能な標識を指す。
多数の標識(色素とも称される)が利用可能であり、これらは一般に、以下の区分に分類することができ、区分のすべてまとめて、および区分の各々が本開示による実施形態である。
(a)蛍光色素
蛍光色素は、例えば、Briggsら「Synthesis of Functionalized Fluorescent Dyes and Their Coupling to Amines and Amino Acids」J.Chem.Soc.、Perkin-Trans.1(1997)1051~1058)によって記載されている。
蛍光標識またはフルオロフォアには、希土類キレート(ユーロピウムキレート)、フルオレセイン型標識(FITC、5-カルボキシフルオレセイン、6-カルボキシフルオレセインを含む)、ローダミン型標識(TAMRAを含む)、ダンシル、リサミン、シアニン、フィコエリトリン、テキサスレッド、およびこれらのアナログが含まれる。蛍光標識は、本明細書に開示の技法を使用して、標的分子内に含まれるアルデヒド基にコンジュゲートさせることができる。蛍光色素および蛍光標識試薬には、Invitrogen/Molecular Probes(Eugene、Oregon、USA)およびPierce Biotechnology,Inc.(Rockford,Ill.)から市販されるものが含まれる。
(b)発光色素
発光色素または標識は、化学発光色素および電気化学発光色素にさらに下位分類することができる。
化学発光性標識の異なるクラスには、ルミノール、アクリジニウム化合物、セレンテラジンおよびアナログ、ジオキセタン、ペルオキシシュウ酸およびそれらの誘導体に基づく系が含まれる。免疫診断手順のためには、主にアクリジニウム系標識が使用される(詳細な概要は、Dodeigne C.ら、Talanta 51(2000)415~439において提供されている)。
電気化学発光標識として使用される主な関連性のある標識は、それぞれルテニウムおよびイリジウム系の電気化学発光錯体である。電気化学発光法(ECL)は、高感度で選択的な方法として分析用途に非常に有用であることが証明された。ECLは、化学発光分析の分析上の利点(バックグラウンドの光信号の非存在)を、電極電位を適用することによる反応制御の容易さと組み合わせている。一般的なルテニウム錯体、特に液相または液固界面においてTPA(トリプロピルアミン)を用いて再生する[Ru(Bpy)3]2+(約620nmで光子を放出)がECL標識として使用される。
電気化学発光(ECL)アッセイは、目的の分析物の存在および濃度の高感度かつ正確な測定を提供する。このような技法は、適切な化学的環境において電気化学的に酸化または還元したときに発光するように誘導することができる標識または他の反応物を使用する。このような電気化学発光は、特定の時間に特定の様式で作用電極に印加される電圧によって引き起こされる。標識によって生成された光は、測定され、分析物の存在または量を示す。このようなECL技法のより完全な説明については、米国特許第5,221,605号、米国特許第5,591,581号、米国特許第5,597,910号、PCT出願公開WO90/05296、PCT出願公開WO92/14139、PCT出願公開WO90/05301、PCT出願公開WO96/24690、PCT出願公開US95/03190、PCT出願US97/16942、PCT出願公開US96/06763、PCT出願公開WO95/08644、PCT出願公開WO96/06946、PCT出願公開WO96/33411、PCT出願公開WO87/06706、PCT出願公開WO96/39534、PCT出願公開WO96/41175、PCT出願公開WO96/40978、PCT/US97/03653および米国特許出願08/437,348(米国特許第5,679,519号)が参照される。また、Knightら(Analyst、1994、119:879~890)によるECLの分析用途に関する1994年の総説および総説に引用されている参考文献も参照される。一実施形態では、本明細書による方法は、電気化学発光標識を使用して実施される。
近年、イリジウム系ECL標識も記載されている(WO2012107419)。
(c)放射性標識は、放射性同位体(放射性核種)、例えば3H、11C、14C、18F、32P、35S、64Cu、68Gn、86Y、89Zr、99TC、111In、123I、124I、125I、131I、133Xe、177Lu、211At、または131Biを使用する。
(d)イメージングおよび治療目的のための標識として適切な金属キレート錯体は当技術分野で周知である(US2010/0111861、US5,342,606、US5,428,155、US5,316,757、US5,480,990、US5,462,725、US5,428,139、US5,385,893、US5,739,294、US5,750,660、US5,834,461、Hnatowichら、J.Immunol.Methods 65(1983)147~157、Mearesら、Anal.Biochem.142(1984)68~78、Mirzadehら、Bioconjugate Chem.1(1990)59~65、Mearesら、J.Cancer(1990)、Suppl.10:21~26、Izardら、Bioconjugate Chem.3(1992)346~350、Nikulaら、Nucl.Med.Biol.22(1995)387~90、Cameraら、Nucl.Med.Biol.20(1993)955~62、Kukisら、J.Nucl.Med.39(1998)2105~2110、Verelら、J.Nucl.Med.44(2003)1663~1670、Cameraら、J.Nucl.Med.21(1994)640~646、Rueggら、Cancer Res.50(1990)4221~4226、Verelら、J.Nucl.Med.44(2003)1663~1670、Leeら、Cancer Res.61(2001)4474~4482、Mitchellら、J.Nucl.Med.44(2003)1105~1112、Kobayashiら、Bioconjugate Chem.10(1999)103~111、Miedererら、J.Nucl.Med.45(2004)129~137、DeNardoら、Clinical Cancer Research 4(1998)2483~90、Blendら、Cancer Biotherapy&Radiopharmaceuticals 18(2003)355~363、Nikulaら、J.Nucl.Med.40(1999)166~76、Kobayashiら、J.Nucl.Med.39(1998)829~36、Mardirossianら、Nucl.Med.Biol.20(1993)65~74、Roselliら、Cancer Biotherapy&Radiopharmaceuticals,14(1999)209~20)。
実施形態
第1の態様では、本発明は、患者が子宮内膜症を有するかまたは子宮内膜症を発症するリスクがあるかどうかを評価する方法であって、
a)患者からの試料におけるS100A12の量を決定することと、
b)決定された量を基準と比較することとを含む、方法に関する。
実施形態では、患者からの試料におけるS100A12の量の上昇は、患者における子宮内膜症の存在または発症のリスクを示す。特に、患者からの試料におけるS100A12の量は、患者からの試料におけるS100A12の量が基準または基準試料中のS100A12の量よりも高い場合、患者における子宮内膜症の存在または発症のリスクを示す。特に、S100A12は、子宮内膜症に罹患していないまたは子宮内膜症を発症するリスクがない個体からの同じ流体試料中よりも、子宮内膜症の存在または発症のリスクについて評価された患者からの流体試料中でより多くの量で検出可能である。
特に、50%以上上昇したS100A12の量は、子宮内膜症の存在または発症のリスクを示す。特に、100%以上上昇したS100A12の量は、子宮内膜症の存在または発症のリスクを示す。特に、150%以上上昇したS100A12の量は、子宮内膜症の存在または発症のリスクを示す。特に、200%以上上昇したS100A12の量は、子宮内膜症の存在または発症のリスクを示す。
実施形態では、患者からの試料は体液試料である。特定の実施形態では、試料は、全血、血清または血漿試料である。実施形態では、試料はインビトロでの試料である、すなわち、それはインビトロで分析され、体内に戻されない。
特定の実施形態では、患者は実験動物、家畜または霊長類である。特定の実施形態では、患者はヒト患者である。特定の実施形態では、患者はヒトの女性患者である。
実施形態では、評価される子宮内膜症は、rASRMステージ分類によるステージIの子宮内膜症、rASRMステージ分類によるステージIIの子宮内膜症、rASRMステージ分類によるステージIIIの子宮内膜症、rASRMステージ分類によるステージIVの子宮内膜症からなる群から選択される。特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVの子宮内膜症である。実施形態では、子宮内膜症は、早期子宮内膜症、特に、rASRMステージ分類によるステージIの子宮内膜症またはrASRMステージ分類によるステージIIの子宮内膜症である。特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、ステージIIIまたはステージIVの子宮内膜症である。
実施形態では、評価される子宮内膜症は、腹膜子宮内膜症、子宮内膜腫、深部浸潤性子宮内膜症(DIE)、および腺筋症からなる群から選択される。
特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、rASRMステージ分類によるステージIまたはIIの腹膜子宮内膜症である。
実施形態では、評価は、rASRMステージ分類とは無関係に行われる。特に、評価は、腹腔鏡術を行うことなく行われる。特に、評価は、腹腔鏡術および/またはrASRMステージ分類を使用して患者における子宮内膜症の存在または重症度を評価することなく行われる。
実施形態では、本発明の方法はインビトロでの方法である。
実施形態では、S100A12の量は、抗体を使用して、特にモノクローナル抗体を使用して決定される。実施形態では、患者からの試料におけるS100A12の量を決定する工程a)は、イムノアッセイを行うことを含む。実施形態では、イムノアッセイは、直接的または間接的な形式のいずれかで行われる。実施形態では、そのようなイムノアッセイは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または発光、蛍光、化学発光もしくは電気化学発光の検出に基づくイムノアッセイからなる群から選択される。
特定の実施形態では、患者からの試料におけるS100A12の量を決定する工程a)は、以下の工程を含む:
i)患者からの試料を、S100A12に特異的に結合する1つ以上の抗体とインキュベートし、それにより、抗体とS100A12との複合体を生成させること、および
ii)工程i)で形成された複合体を定量し、それにより、患者からの試料におけるS100A12の量を定量すること。
特定の実施形態では、工程i)において、試料は、S100A12に特異的に結合する2つの抗体と共にインキュベートされる。当業者には明らかなように、試料は、任意の所望の順序で(すなわち、第1の抗体が最初であり、次いで第2の抗体、または第2の抗体が最初であり、次いで第1の抗体、または同時に)、第1の抗S100A12抗体/S100A12/第2の抗S100A12の複合体を形成するために十分な時間および条件下で、第1および第2の抗体を接触させることができる。当業者であれば容易に理解するように、特異的抗S100A12抗体とS100A12抗原/分析物との間の複合体(=抗S100A12複合体)の形成、またはS100A12に対する第1の抗体、S100A12(分析物)および第2の抗S100A12抗体を含む二次またはサンドイッチ複合体(=抗S100A12抗体/S100A12/第2の抗S100A12抗体複合体)の形成のいずれかの複合体を形成のために適切または十分な時間および条件を確立することは日常的な実験に他ならない。
抗S100A12抗体/S100A12複合体の検出は、任意の適切な手段によって行うことができる。第1の抗S100A12抗体/S100A12/第2の抗S100A12抗体の複合体の検出は、任意の適切な手段によって行うことができる。当業者は、このような手段/方法に完全に精通している。
ある特定の実施形態では、S100A12に対する第1の抗体、S100A12(分析物)およびS100A12に対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、ここで、第2の抗体は検出可能に標識されている。
一実施形態では、S100A12に対する第1の抗体、S100A12(分析物)およびS100A12に対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、ここで、第2の抗体は検出可能に標識化され、第1の抗S100A12抗体は固相に結合することができるか、または固相に結合されている。
実施形態では、第2の抗体は、直接的または間接的に検出可能に標識される。特定の実施形態では、第2の抗体は、発光色素、特に化学発光色素または電気化学発光色素で検出可能に標識される。
実施形態では、方法は、患者における月経困難症および/または下腹部痛の存在の評価をさらに含む。実施形態では、月経困難症および/または下腹部痛の存在は、VASスケールにより評価される。実施形態では、月経困難症VASスコアが4以上であることは、中程度または重度の月経困難症を示した。実施形態では、3以下のスコアは、月経困難症がないことまたは軽度であることを示す。実施形態では、方法は、CA-125の量または濃度を決定することをさらに含む。
実施形態では、方法は、VASスケール、またはS100A12の量もしくは濃度およびCA-125の量もしくは濃度により、S100A12の量または濃度と月経困難症との比、S100A12の量または濃度と下腹部痛との比を計算することを含む。
第2の態様では、本発明は、子宮内膜症の治療のために患者を選択する方法であって、
a)患者からの試料におけるS100A12の量または濃度を決定することと、および
b)決定された量または濃度を基準と比較することとを含む、方法に関する。
実施形態では、患者からの試料におけるS100A12の量の上昇が判定された場合、患者は子宮内膜症の治療のために選択される。特に、患者からの試料におけるS100A12の量が基準または基準試料中のS100A12の量よりも多い場合、患者は子宮内膜症の治療のために選択される。特に、S100A12の量が、子宮内膜症に罹患していないもしくは子宮内膜症を発症するリスクがない、または子宮内膜症の治療のために選択されていない個体からの流体試料中よりも、患者からの同じ流体試料中で多い場合、患者は子宮内膜症の治療のために選択される。
特に、S100A12の量が50%以上上昇する場合、患者は子宮内膜症の治療のために選択される。特に、S100A12の量が100%以上上昇する場合、患者は子宮内膜症の治療のために選択される。特に、S100A12の量が150%以上上昇する場合、患者は子宮内膜症の治療のために選択される。特に、S100A12の量が200%以上上昇する場合、患者は子宮内膜症の治療のために選択される。
実施形態では、患者は、薬物ベースの治療または外科的治療からなる群から選択される子宮内膜症の治療のために選択される。実施形態では、子宮内膜症の外科的治療は、腹腔鏡術または神経温存術である。実施形態では、子宮内膜症の薬物ベースの治療は、神経性炎症を阻害または標的化することおよび/または鎮痛薬および/またはホルモン療法(例えば、ホルモン避妊薬またはGnRHアゴニスト)である。
実施形態では、患者からの試料は体液試料である。特定の実施形態では、試料は、全血、血清または血漿試料である。実施形態では、試料はインビトロでの試料である、すなわち、それはインビトロで分析され、体内に戻されない。
特定の実施形態では、患者は実験動物、家畜または霊長類である。特定の実施形態では、患者はヒト患者である。特定の実施形態では、患者はヒトの女性患者である。
実施形態では、子宮内膜症は、rASRMステージ分類によるステージIの子宮内膜症、rASRMステージ分類によるステージIIの子宮内膜症、rASRMステージ分類によるステージIIIの子宮内膜症、rASRMステージ分類によるステージIVの子宮内膜症からなる群から選択される。特定の実施形態では、子宮内膜症は、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVの子宮内膜症である。実施形態では、子宮内膜症は、早期子宮内膜症、特に、rASRMステージ分類によるステージIの子宮内膜症またはrASRMステージ分類によるステージIIの子宮内膜症である。特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、ステージIIIまたはステージIVの子宮内膜症である。
実施形態では、子宮内膜症は、腹膜子宮内膜症、子宮内膜腫、深部浸潤性子宮内膜症(DIE)、および腺筋症からなる群から選択される。
特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、rASRMステージ分類によるステージIまたはIIの腹膜子宮内膜症である。
実施形態では、本発明の方法はインビトロでの方法である。
実施形態では、S100A12の量は、抗体を使用して、特にモノクローナル抗体を使用して決定される。実施形態では、患者からの試料におけるS100A12の量を決定する工程a)は、イムノアッセイを行うことを含む。実施形態では、イムノアッセイは、直接的または間接的な形式のいずれかで行われる。実施形態では、そのようなイムノアッセイは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または発光、蛍光、化学発光もしくは電気化学発光の検出に基づくイムノアッセイからなる群から選択される。
特定の実施形態では、患者からの試料におけるS100A12の量を決定する工程a)は、以下の工程を含む:
i)患者からの試料を、S100A12に特異的に結合する1つ以上の抗体とインキュベートし、それにより、抗体とS100A12との複合体を生成させること、および
ii)工程i)で形成された複合体を定量し、それにより、患者からの試料におけるS100A12の量を定量すること。
特定の実施形態では、工程i)において、試料は、S100A12に特異的に結合する2つの抗体と共にインキュベートされる。当業者には明らかなように、試料は、いずれかの所望の順序で(すなわち、第1の抗体が最初であり、次いで第2の抗体、または第2の抗体が最初であり、次いで第1の抗体、または同時に)、第1の抗S100A12抗体/S100A12/第2の抗S100A12の複合体を形成するために十分な時間および条件下で、第1および第2の抗体を接触させることができる。当業者であれば容易に理解するように、特異的抗S100A12抗体とS100A12抗原/分析物との間の複合体(=抗S100A12複合体)の形成、またはS100A12に対する第1の抗体、S100A12(分析物)および第2の抗S100A12抗体を含む二次またはサンドイッチ複合体(=抗S100A12抗体/S100A12/第2の抗S100A12抗体複合体)の形成のいずれかの複合体を形成のために適切または十分な時間および条件を確立することは日常的な実験に他ならない。
抗S100A12抗体/S100A12複合体の検出は、任意の適切な手段によって行うことができる。第1の抗S100A12抗体/S100A12/第2の抗S100A12抗体の複合体の検出は、任意の適切な手段によって行うことができる。当業者は、このような手段/方法に完全に精通している。
ある特定の実施形態では、S100A12に対する第1の抗体、S100A12(分析物)およびS100A12に対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、ここで、第2の抗体は検出可能に標識されている。
一実施形態では、S100A12に対する第1の抗体、S100A12(分析物)およびS100A12に対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、ここで、第2の抗体は検出可能に標識化され、第1の抗S100A12抗体は固相に結合することができるか、または固相に結合されている。
実施形態では、第2の抗体は、直接的または間接的に検出可能に標識される。特定の実施形態では、第2の抗体は、発光色素、特に化学発光色素または電気化学発光色素で検出可能に標識される。
実施形態では、方法は、患者における月経困難症および/または下腹部痛の存在の評価をさらに含む。実施形態では、月経困難症および/または下腹部痛の存在は、VASスケールにより評価される。実施形態では、月経困難症VASスコアが4以上であることは、中程度または重度の月経困難症を示した。実施形態では、3以下のスコアは、月経困難症がないことまたは軽度であることを示す。
実施形態では、方法は、CA-125の量または濃度を決定することをさらに含む。
実施形態では、方法は、VASスケール、またはS100A12の量もしくは濃度およびCA-125の量もしくは濃度により、S100A12の量または濃度と月経困難症との比、S100A12の量または濃度と下腹部痛との比を計算することを含む。
第3の態様では、本発明は、子宮内膜症に罹患しているかまたは子宮内膜症の処置を受けている患者をモニタリングする方法であって、
a)患者からの試料におけるS100A12の量または濃度を決定することと、および
b)決定された量または濃度を基準と比較することとを含む、方法に関する。
実施形態では、子宮内膜症に罹患している患者をモニタリングして、患者からの試料におけるS100A12の量または濃度が経時的に変化しているかどうかを判定する。特に、子宮内膜症に罹患している患者をモニタリングして、S100A12の量または濃度が経時的に増加しているか、減少しているか、または変化していないかを判定する。実施形態では、子宮内膜症に罹患している患者からの試料におけるS100A12の量の上昇が判定された場合、その患者をモニタリングする。
実施形態では、子宮内膜症の処置を受けている患者をモニタリングして、患者からの試料におけるS100A12の量または濃度が変化しているかどうかを判定する。特に、子宮内膜症の処置を受けている患者をモニタリングして、S100A12の量または濃度が増加しているか、減少しているか、または変化していないかを判定する。特に、子宮内膜症の処置を受けている患者をモニタリングして、S100A12の量または濃度が、適用された治療に起因して増加しているか、減少しているか、または変化していないかを判定する。実施形態では、子宮内膜症の処置を受けている患者におけるS100A12の量または濃度の減少は、治療が有効であることを示す。実施形態では、子宮内膜症の処置を受けている患者からの試料におけるS100A12の量または濃度の不変または増加は、治療が無効であることを示し、すなわち、子宮内膜症の処置を受けている患者からの試料におけるS100A12の量または濃度の不変または増加は、持続したまたは再発した子宮内膜症を示す。特に、S100A12の量が50%以上に増加している場合、子宮内膜症の処置は無効である。特に、S100A12の量が100%以上に増加している場合、子宮内膜症の処置は無効である。特に、S100A12の量が150%以上に増加している場合、子宮内膜症の処置は無効である。特に、S100A12の量が200%以上に増加している場合、子宮内膜症の処置は無効である。
特定の実施形態では、子宮内膜症の処置を受けている患者からの試料におけるS100A12の量または濃度が不変または増加と判定される場合、治療は変更される。
実施形態では、患者は、異なる時点で数回モニタリングされる。実施形態では、患者は、数週間、数ヶ月または数年の時間フレーム内で数回モニタリングされる。特定の実施形態では、患者は、月に1回または年に1回モニタリングされる。実施形態では、子宮内膜症に罹患している患者は、子宮内膜症の診断後、月に1回または年に1回モニタリングされる。実施形態では、子宮内膜症の処置を受けている患者は、治療後に1回、特に外科的治療後に1回モニタリングされる。特に、子宮内膜症の処置を受けている患者は、処置の有効性および/または子宮内膜症の再発を判定するために、月に1回または年に1回モニタリングされる。
実施形態では、子宮内膜症の治療は、薬物ベースの治療または外科的治療からなる群から選択される。実施形態では、子宮内膜症の外科的治療は、腹腔鏡術または神経温存術である。実施形態では、子宮内膜症の薬物ベースの治療は、神経性炎症を阻害または標的化することおよび/または鎮痛薬および/またはホルモン療法である。実施形態では、患者からの試料は体液試料である。特定の実施形態では、試料は、全血、血清または血漿試料である。実施形態では、試料はインビトロでの試料である、すなわち、それはインビトロで分析され、体内に戻されない。
特定の実施形態では、患者は実験動物、家畜または霊長類である。特定の実施形態では、患者はヒト患者である。特定の実施形態では、患者はヒトの女性患者である。
実施形態では、子宮内膜症は、rASRMステージ分類によるステージIの子宮内膜症、rASRMステージ分類によるステージIIの子宮内膜症、rASRMステージ分類によるステージIIIの子宮内膜症、rASRMステージ分類によるステージIVの子宮内膜症からなる群から選択される。特定の実施形態では、子宮内膜症は、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVの子宮内膜症である。実施形態では、子宮内膜症は、早期子宮内膜症、特に、rASRMステージ分類によるステージIの子宮内膜症またはrASRMステージ分類によるステージIIの子宮内膜症である。特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、ステージIIIまたはステージIVの子宮内膜症である。
実施形態では、子宮内膜症は、腹膜子宮内膜症、子宮内膜腫、深部浸潤性子宮内膜症(DIE)、および腺筋症からなる群から選択される。
特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、rASRMステージ分類によるステージIまたはIIの腹膜子宮内膜症である。
実施形態では、本発明の方法はインビトロでの方法である。
実施形態では、S100A12の量は、抗体を使用して、特にモノクローナル抗体を使用して決定される。実施形態では、患者からの試料におけるS100A12の量を決定する工程a)は、イムノアッセイを行うことを含む。実施形態では、イムノアッセイは、直接的または間接的な形式のいずれかで行われる。実施形態では、そのようなイムノアッセイは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または発光、蛍光、化学発光もしくは電気化学発光の検出に基づくイムノアッセイからなる群から選択される。
特定の実施形態では、患者からの試料におけるS100A12の量を決定する工程a)は、以下の工程を含む:
i)患者からの試料を、S100A12に特異的に結合する1つ以上の抗体とインキュベートし、それにより、抗体とS100A12との複合体を生成させること、および
ii)工程i)で形成された複合体を定量し、それにより、患者からの試料におけるS100A12の量を定量すること。
特定の実施形態では、工程i)において、試料は、S100A12に特異的に結合する2つの抗体と共にインキュベートされる。当業者には明らかなように、試料は、いずれかの所望の順序で(すなわち、第1の抗体が最初であり、次いで第2の抗体、または第2の抗体が最初であり、次いで第1の抗体、または同時に)、第1の抗S100A12抗体/S100A12/第2の抗S100A12の複合体を形成するために十分な時間および条件下で、第1および第2の抗体を接触させることができる。当業者であれば容易に理解するように、特異的抗S100A12抗体とS100A12抗原/分析物との間の複合体(=抗S100A12複合体)の形成、またはS100A12に対する第1の抗体、S100A12(分析物)および第2の抗S100A12抗体を含む二次またはサンドイッチ複合体(=抗S100A12抗体/S100A12/第2の抗S100A12抗体複合体)の形成のいずれかの複合体を形成のために適切または十分な時間および条件を確立することは日常的な実験に他ならない。
抗S100A12抗体/S100A12複合体の検出は、任意の適切な手段によって行うことができる。第1の抗S100A12抗体/S100A12/第2の抗S100A12抗体の複合体の検出は、任意の適切な手段によって行うことができる。当業者は、このような手段/方法に完全に精通している。
ある特定の実施形態では、S100A12に対する第1の抗体、S100A12(分析物)およびS100A12に対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、ここで、第2の抗体は検出可能に標識されている。
一実施形態では、S100A12に対する第1の抗体、S100A12(分析物)およびS100A12に対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、ここで、第2の抗体は検出可能に標識化され、第1の抗S100A12抗体は固相に結合することができるか、または固相に結合されている。
実施形態では、第2の抗体は、直接的または間接的に検出可能に標識される。特定の実施形態では、第2の抗体は、発光色素、特に化学発光色素または電気化学発光色素で検出可能に標識される。
実施形態では、方法は、患者における月経困難症および/または下腹部痛の存在の評価をさらに含む。実施形態では、月経困難症および/または下腹部痛の存在は、VASスケールにより評価される。実施形態では、月経困難症VASスコアが4以上であることは、中程度または重度の月経困難症を示した。実施形態では、3以下のスコアは、月経困難症がないことまたは軽度であることを示す。
実施形態では、方法は、CA-125の量または濃度を決定することをさらに含む。
実施形態では、方法は、VASスケール、またはS100A12の量もしくは濃度およびCA-125の量もしくは濃度により、S100A12の量または濃度と月経困難症との比、S100A12の量または濃度と下腹部痛との比を計算することを含む。
さらなる実施形態では、本発明は、以下の態様に関する。
1.患者が子宮内膜症を有するかまたは子宮内膜症を発症するリスクがあるかどうかを評価する方法であって、
患者からの試料におけるS100A12の量または濃度を決定することと、および
決定された量または濃度を基準と比較することを含む、方法。
2.子宮内膜症の治療(特に薬物ベースの治療または外科的治療(腹腔鏡術))のために患者を選択する方法であって、
患者からの試料におけるS100A12の量または濃度を決定することと、および
決定された量または濃度を基準と比較することを含む、方法。
3.子宮内膜症に罹患しているかまたは子宮内膜症の処置を受けている患者をモニタリングする方法であって、
患者からの試料におけるS100A12の量または濃度を決定することと、および
決定された量または濃度を基準と比較することを含む、方法。
4.患者からの試料におけるS100A12の量または濃度の上昇が、患者における子宮内膜症の存在を示す、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
5.試料が体液である、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.試料が、血液、血清または血漿である、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.対象が女性患者、特にヒトの女性患者である、態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.評価が、rASRMステージ分類とは無関係に行われる、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.子宮内膜症が、rASRMステージ分類によるステージIの子宮内膜症、rASRMステージ分類によるステージIIの子宮内膜症、rASRMステージ分類によるステージIIIの子宮内膜症、rASRMステージ分類によるステージIVの子宮内膜症からなる群から選択される、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.子宮内膜症が早期子宮内膜症、特に、rASRMステージ分類によるステージIの子宮内膜症またはrASRMステージ分類によるステージIIの子宮内膜症である、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.子宮内膜症が、腹膜子宮内膜症、子宮内膜腫、深部浸潤性子宮内膜症、および腺筋症からなる群から選択される、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.VASスケールによる月経困難症および/またはVASスケールによる下腹部痛の評価をさらに含む、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.CA-125の量または濃度を決定することをさらに含む、態様1~12のいずれか1つに記載の方法。
14.VASスケール、またはS100A12の量もしくは濃度およびCA-125の量もしくは濃度により、S100A12の量または濃度と月経困難症との比、S100A12の量または濃度と下腹部痛との比を計算することを含む、態様12または13に記載の方法。
以下の実施例および図面は、本発明の理解を助けるために提供され、それらの真の範囲は添付の特許請求の範囲において記載される。本発明の趣旨から逸脱することなく、記載された手順に変更を加えることができることが理解される。
実施例1:子宮内膜症を有する女性および対照におけるバイオマーカーS100A12およびバイオマーカーの組合せの診断性能
測定のために、ヒト女性からの合計21個の血清および31個の血漿試料を分析した。分析物の濃度をELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)によって決定した。症例群は、その後の組織学的確認を伴う腹腔鏡による視覚化によって診断された骨盤内子宮内膜症(rASRMステージI~IV)と診断された患者で構成され、対照群は子宮内膜症を有さない健常女性を含む。
ヒト血清におけるS100A12の濃度を、CircuLex/MBL(Biozol Eching、Germanyから販売;カタログ番号:CY-8058V2)製のHuman S100A12/EN-RAGE ELISAキットVer.2を使用して決定した。キットは、定量的サンドイッチELISA技法を利用する。マイクロタイタープレートを、ヒトS100A12に特異的なモノクローナル抗体でプレコーティングする。試料を200倍希釈で測定する。すべての試薬を室温にした後、各試料および標準液100μLを添加する。試料を1連で測定し、標準を2連で測定する。650rpmに設定したマイクロプレートシェーカー上、室温での1時間のインキュベーションの間、存在する任意のS100A12を、マイクロタイタープレート上の固定化された捕捉抗体に結合させる。洗浄工程(4×350μL)中に、未結合物質をプレートから除去した後、S100A12に特異的な酵素結合モノクローナル抗体100μLをウェルに添加する。シェーカー上で1時間のインキュベーションおよび任意の未結合検出抗体を除去するための別の洗浄工程の後、100μLの基質溶液をプレートに添加する。次の10分以内で、最初の工程で結合したEN-RAGEの量に比例して発色させる。50μLの停止溶液を添加することによって発色を停止させ、プレートリーダーを用いて、検出のために450nmおよびバックグラウンド減算のために570nmで色強度を測定する。キャリブレータ曲線の生成のために、キットと共に送達された凍結乾燥した組換えS100A12を再構成し、キャリブレータ希釈剤で希釈した。アッセイの較正範囲は、20pg/mL~640pg/mLである。キャリブレータ6(640pg/mL)を、キャリブレータ希釈剤中の原液の20倍希釈によって調製し、キャリブレータ1に対するキャリブレータ5(20pg/mL)を、キャリブレータ希釈剤中の連続2倍希釈ステップによって調製する。純粋なキャリブレータ希釈剤はブランク(0pg/mL)として機能する。検量線は、重み付けなしの4パラメータ非線形回帰(ニュートン/ラフソン)を使用してフィッティングした。
CA-125の濃度は、cobas e 601分析装置によって決定した。cobas e 601分析装置を用いたCA 125 IIの検出は、Elecsys(登録商標)電気化学発光(ECL)技術に基づく。簡潔には、ビオチン標識およびルテニウム標識抗体をそれぞれの量の未希釈試料と合わせ、分析装置でインキュベートする。続いて、ビオチン標識免疫複合体の結合を促進するために、ストレプトアビジン被覆磁性微粒子を添加し、機器でインキュベートする。このインキュベーション工程の後、反応混合物を測定セルに移し、そこでビーズを電極の表面に磁気的に捕捉する。次いで、結合したイムノアッセイ複合体を遊離の残りの粒子から分離するために、その後のECL反応のためのトリプロピルアミン(TPA)を含有するProCell M緩衝液を測定セルに導入する。次いで、作用電極と対電極との間の電圧の誘導は、ルテニウム錯体およびTPAによる光子の放出をもたらす反応を開始させる。光電子増倍管によって得られた電気化学発光シグナルは、記録され、それぞれの分析物の濃度レベルを示す数値に変換される。
受信者操作特性(ROC)曲線を作成した(単一バイオマーカーについては図1を、バイオマーカーの組合せについては図2を参照されたい)。モデル性能は、曲線下面積(AUC)を検討することによって決定される。可能な最良のAUCは1であり、可能な最低のAUCは0.5である。
多変量解析AUCプロットのために、異なるバイオマーカーの組合せのカットオフを適用して、多変量ロジスティック回帰分析およびヨーデンの指標に基づいて子宮内膜症を予測した。月経困難症VASスコアが4以上であることは、中程度または重度の月経困難症を示した。3以下のスコアは、月経困難症がないかまたは軽度であることを示す。
S100A12およびCA-125を用いた多変量ロジスティック回帰モデル:
・ ロジット=α+(β1×S100A12値[pg/mL])+(β2×CA-125値[U/mL])≧カットオフの場合、疾患(すなわち子宮内膜症ステージI、II、IIIまたはIV)であり、そうでなければ疾患なし
または
・ ロジット=-43.0166+(0.000487×S100A12)+(1.1660×CA-125値)≧3.717396である場合、疾患(すなわち子宮内膜症ステージI、II、IIIまたはIV)であり、そうでなければ疾患なし
パラメータαおよびβの値は、多変量解析に含まれる分析物および臨床的症候によってそれぞれ異なる。
子宮内膜症の症例対対照および子宮内膜症の症例G1/2(rASRMステージI~II)対子宮内膜症の症例G3~4(rASRMステージIII~IV)対対照について箱ひげ図(図3参照)を作成した。データは、中央値(中央四分位)、四分位範囲(群のスコアの中央50%を表す)、上位四分位(スコアの75%が上位四分位を下回る)、下位四分位(スコアの25%が下位四分位を下回る)を含む箱とひげのプロットを使用して提示される。ひげは、それぞれ5パーセンタイルおよび95パーセンタイルを示す。
実施例2:多施設研究からの試料における子宮内膜症を有する女性および対照における、バイオマーカーS100A12およびバイオマーカーの組合せの診断性能。
症例群は、腹膜子宮内膜症、深部浸潤性子宮内膜症および子宮内膜腫と診断された患者で構成される。子宮内膜症(rASRMステージI~IV)は、腹腔鏡による視覚化とその後の組織学的確認によって診断され、対照群は子宮内膜症のない健常女性を含む。症例群の選択基準は、骨盤痛/不妊症の存在および18~45歳の間の年齢であった。症例群の除外基準は、妊娠/授乳、悪性腫瘍、再発性子宮内膜症および6ヶ月以下の腹腔鏡術/開腹術であった。
S100A12は、cobas Elecsys(登録商標)ECLIAプラットフォーム(Roche Diagnostics、GermanyからのECLIAアッセイ)用に開発されたサンドイッチイムノアッセイである、市販前のS100A12用ECLIAアッセイで測定した。アッセイは、S100A12に特異的に結合するビオチン化およびルテニウム化モノクローナル抗体を含む。各血清試料から6μLを使用し、cobas e 801分析装置(Roche Diagnostics、Germany)で希釈せずに測定した。CA 125 IIの決定のためのElecsys(登録商標)電気化学発光(ECL)技術およびアッセイ方法を以下に簡単に説明する。
CA-125の濃度は、cobas e 601分析装置によって決定した。cobas e 601分析装置を用いたCA 125 IIの検出は、Elecsys(登録商標)電気化学発光(ECL)技術に基づく。簡潔には、ビオチン標識およびルテニウム標識抗体をそれぞれの量の未希釈試料と合わせ、分析装置でインキュベートする。続いて、ビオチン標識免疫複合体の結合を促進するために、ストレプトアビジン被覆磁性微粒子を添加し、機器でインキュベートする。このインキュベーション工程の後、反応混合物を測定セルに移し、そこでビーズを電極の表面に磁気的に捕捉する。次いで、結合したイムノアッセイ複合体を遊離の残りの粒子から分離するために、その後のECL反応のためのトリプロピルアミン(TPA)を含有するProCell M緩衝液を測定セルに導入する。次いで、作用電極と対電極との間の電圧の誘導は、ルテニウム錯体およびTPAによる光子の放出をもたらす反応を開始させる。光電子増倍管によって得られた電気化学発光シグナルは、記録され、それぞれの分析物の濃度レベルを示す数値に変換される。受信者操作特性(ROC)曲線を作成した(単一バイオマーカーについては図4、5、7、8を、バイオマーカーの組合せについては図6を参照されたい)。モデル性能は、曲線下面積(AUC)を検討することによって決定される。
S100A12およびCA-125を用いた多変量ロジスティック回帰モデル:
-0.223748351663371+1.26632635956222e-05×S100A12+0.0688766536162976×CA125
上記の表に示すように、実施例2におけるS100A12のAUCは、実施例1で報告されたものとは異なる。実施例1では、それぞれの報告されたAUCは0.9167(0.7825~1.0000)であるが、実施例2では、S100A12の報告されたAUCは0.71(0.65~0.77)である。この差は、以下の理由に起因する可能性がある:実施例2で使用されたコホートの試料サイズは、実施例1で分析されたものと比較してより大きい。加えて、実施例2のコホートは、単一の研究施設から収集された試料を含む実施例1のコホートとは対照的に、複数の研究施設で収集された試料からなる。したがって、実施例2のコホートはより不均一である。2つのコホート間の推定AUCの差を説明し得る別の理由は、コホートを測定するために使用されたS100A12を検出するための異なるアッセイの使用である。実施例2におけるコホートの測定は、自動化されたcobas Elecsys(登録商標)ECLIAプラットフォームで実行される市販前の自動化されたECLIAアッセイを使用して行ったが、実施例1に示すコホートの測定は、市販のELISAアッセイを使用して行った。
図4.子宮内膜症の症例(rASRMステージI~IV)および対照におけるS100A12の血清レベルの箱ひげ図およびROC曲線。(A)対照対子宮内膜症の症例(rASRMステージI~IV)の血清S100A12レベルの箱ひげ図。各箱の下端および上端は、それぞれ第1および第3の四分位に対応する。中央の太線は中央値を表し、上下のひげは四分位範囲の1.5倍の値を表す。(B)血清S100A12のROC曲線を示す。(C)対照対子宮内膜症rASRMステージI、II、IIIおよびIVそれぞれの血清S100A12レベルの箱ひげ図。
図5.子宮内膜症の症例(rASRMステージI~IV)および対照におけるCA-125の血清レベルの箱ひげ図およびROC曲線。(A)箱ひげ図は、対照対子宮内膜症の症例(rASRMステージI~IV)の血清CA-125レベルを示す。各箱の下端および上端は、それぞれ第1および第3の四分位に対応する。中央の太線は中央値を表し、上下のひげは四分位範囲の1.5倍の値を表す。(B)血清CA-125のROC曲線を示す。(C)対照対子宮内膜症rASRMステージI、II、IIIおよびIVそれぞれの血清CA-125レベルの箱ひげ図。
図6.子宮内膜症の症例(rASRMステージI~IV)および対照におけるS100A12とCA-125の血清レベルの組合せの箱ひげ図およびROC曲線。(A)対照および子宮内膜症の症例(rASRMステージI~IV)におけるバイオマーカーの組合せ、血清S100A12およびCA-125の箱ひげ図分析。各箱の下端および上端は、それぞれ第1および第3の四分位に対応する。中央の太線は中央値を表し、上下のひげは四分位範囲の1.5倍の値を表す。(B)血清S100A12とCA-125の組合せのROC曲線を示す。(C)対照対子宮内膜症rASRMステージI、II、IIIおよびIVそれぞれの血清S100A12と血清CA-125レベルの組合せの箱ひげ図。
図7.子宮内膜症の症例(rASRMステージI~II)および対照におけるS100A12の血清レベルの箱ひげ図およびROC曲線。(A)箱ひげ図は、対照対早期子宮内膜症の症例(rASRMステージI~II)の血清S100A12レベルを示す。各箱の下端および上端は、それぞれ第1および第3の四分位に対応する。中央の太線は中央値を表し、上下のひげは四分位範囲の1.5倍の値を表す。(B)血清S100A12のROC曲線は、対照および症例(rASRMステージI~II)について示す。(C)対照対子宮内膜症rASRMステージIおよびIIそれぞれの血清S100A12レベルの箱ひげ図。
図8.子宮内膜症の症例(rASRMステージI~II)および対照におけるCA-125の血清レベルの箱ひげ図およびROC曲線。(A)箱ひげ図は、対照対早期子宮内膜症の症例(rASRMステージI~II)の血清CA-125レベルを示す。各箱の下端および上端は、それぞれ第1および第3の四分位に対応する。中央の太線は中央値を表し、上下のひげは四分位範囲の1.5倍の値を表す。(B)血清CA-125のROC曲線を対照および症例(rASRMステージI~II)について示す。(C)対照対子宮内膜症rASRMステージIおよびIIの血清CA-125レベルの箱ひげ図。
実施例3:腺筋症を有する女性および対照におけるバイオマーカーS100A12およびバイオマーカーの組合せの診断性能。
症例群は、その後の組織学的確認を伴う腹腔鏡による視覚化によって腺筋症と診断された患者で構成され、対照群は腺筋症を有さない健常女性を含む。症例群の選択基準は、骨盤痛/不妊症の存在および18~45歳の間の年齢であった。症例群の除外基準は、妊娠/授乳、悪性腫瘍、再発性腺筋症および6ヶ月以下の腹腔鏡術/開腹術であった。
S100A12は、cobas Elecsys(登録商標)ECLIAプラットフォーム(Roche Diagnostics、GermanyからのECLIAアッセイ)用に開発されたサンドイッチイムノアッセイである、市販前のS100A12用ECLIAアッセイで測定した。アッセイは、S100A12に特異的に結合するビオチン化およびルテニウム化モノクローナル抗体を含む。各血清試料から6μLを使用し、cobas e 801分析装置(Roche Diagnostics、Germany)で希釈せずに測定した。
CA-125の濃度は、実施例2で前述したように、Elecsys(登録商標)CA 125 IIを使用してcobas e 601分析装置によって決定した。
単一バイオマーカーの単変量モデルによって、受信者操作特性(ROC)曲線を作成した。モデル性能は、曲線下面積(AUC)を検討することによって決定される。
図9.腺筋症の症例および対照におけるS100A12の血清レベルの箱ひげ図およびROC曲線。(A)箱ひげ図は、対照対腺筋症の症例の血清S100A12レベルを示す。各箱の下端および上端は、それぞれ第1および第3の四分位に対応する。中央の太線は中央値を表し、上下のひげは四分位範囲の1.5倍の値を表す。(B)血清S100A12のROC曲線は、対照および腺筋症の症例について示す。
図10.腺筋症の症例および対照におけるCA-125の血清レベルの箱ひげ図およびROC曲線。(A)箱ひげ図は、対照対腺筋症の症例の血清CA-125レベルを示す。各箱の下端および上端は、それぞれ第1および第3の四分位に対応する。中央の太線は中央値を表し、上下のひげは四分位範囲の1.5倍の値を表す。(B)血清CA-125のROC曲線は、対照および腺筋症の症例について示す。