JP7421631B2 - 子宮内膜症の非侵襲的診断のための血液バイオマーカーとしてのs100a8 - Google Patents

子宮内膜症の非侵襲的診断のための血液バイオマーカーとしてのs100a8 Download PDF

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Description

本発明は、患者のサンプル中のS100A8の量または濃度を測定し、測定された量または濃度を基準と比較することによって、患者が子宮内膜症に罹患しているかまたは子宮内膜症を発症するリスクがあるかどうかを評価する方法、治療のために患者を選択する方法、および子宮内膜症に罹患しているか子宮内膜症を処置している患者をモニタリングする方法に関する。
子宮内膜症は、子宮内膜腺および子宮外の間質様病変の存在として定義される。病変は、腹膜病変、卵巣上の表在性インプラントもしくは嚢胞、または深部浸潤性疾患であり得る。子宮内膜症は、生殖可能年齢の全女性の5~8%および慢性骨盤痛を有する女性の70%が罹患する。子宮内膜症の患者数は、世界中で1億7600万人の女性であると推定されている(Adamsonら、J Endometr.2010;2:3-6)。これらの女性の多くは、子宮内膜症の診断が遅れることが多く、その結果、不必要な苦痛および生活の質の低下をもたらされている。18~45歳の患者では、診断が7~10年遅くなっている。子宮内膜症の大部分の女性が青年期に症状の発生を訴えているので、早めの紹介、診断、疾患の同定および処置により、痛みを軽減し、疾患の進行を防ぐ可能性がある。早期診断に対する障壁としては、青年期患者においては診断および処置が高額であること、ならびに周期性および非周期性疼痛などの区別できない症状を呈することが挙げられる(Parasarら、Curr Obstet Gynecol Rep.2017;6:34-41)。
子宮内膜症の診断の標準検査法は、腹腔鏡による視覚化およびその後の組織学的確認である。これまで、子宮内膜症の診断のための非侵襲的方法はなかった(Hsuら、Clin Obstet Gynecol.2010:53:413-419)。診断的腹腔鏡検査の間、子宮内膜症の腹腔鏡手術のトレーニングを受け技能を有する婦人科医は、骨盤の全身検査を行う必要がある(NICE guideline NG73,2017)。外科的視覚化には、信頼できる診断のための良好な専門知識、訓練および技能が必要である。医師は、診断のために腹腔鏡手術が必要であるという事実を可能な限り回避し、診断が7~10年遅れることになる。非侵襲的診断試験がないことは、症状の発生と子宮内膜症の確定診断との間の長い遅延の大きな要因となっている(SignorileおよびBaldi,J Cell Physiol.2014;229:1731-1735)。したがって、子宮内膜症の診断のための、特に早期、最小および軽度の子宮内膜症の診断のための非侵襲的検査に対する医学的必要性は満たされていない(米国生殖医学会rASRM改訂版I~II)。
子宮腺筋症は、子宮の外筋層である子宮筋層への良性子宮内膜腺および間質の浸潤として定義される。形態および位置によって、3つの異なる子宮腺筋症型:内部子宮腺筋症、外部子宮腺筋症および腺筋腫が存在する。内部子宮腺筋症は、さらに限局性、びまん性および表在性子宮腺筋症に分類し得る(Bazot Mら、Fertil Steril.2018;109:389-397)。子宮腺筋症はまた、磁気共鳴画像法(MRI)の所見に基づいて、子宮外層に位置するか子宮内層に位置するかによって、4つのサブタイプI~IVに分類し得る。子宮腺筋症の一般的な徴候および症状としては、月経中の重度の出血(月経過多)および月経期間の間の重度の出血(月経過多)、月経困難症、慢性骨盤痛、性交疼痛症および不妊症(Chapron Cら、Hum Reprod Update。2020;26:392-411)が挙げられる。
現在、経膣超音波(TVUS)および磁気共鳴画像法(MRI)が子宮腺筋症を診断するために使用されており、全体的な感度/特異度はそれぞれ83.8%、63.9%および77.3%、89.8%である。様々な種類の子宮腺筋症の中で、びまん性子宮腺筋症は撮像によって検出するのがより困難であり、経験豊富な超音波検査技師を必要とする。また、撮像機器へのアクセスは、特にプライマリケア医療専門家の間で制限されており、訓練されたスタッフおよび専門の人材を必要とする。したがって、非侵襲的血液ベースの検査によれば、撮像装置を必要とせずに子宮腺筋症の医学的評価が可能になり、オペレータ間のばらつきが低減され、状態のより標準化された診断が可能になる(Chapron Cら、Hum Reprod Update.2020;26:392-411)。
子宮内膜症の非侵襲的診断により、早期の診断および処置が可能になり、生活の質が改善され、子宮内膜症に関連する社会的費用が削減される可能性があり、したがって、世界子宮内膜症学会(WES)および世界子宮内膜症研究財団(WERF)によって研究優先事項として選択されている(Fassbenderら、Springer,Peripheral Blood Biomarkers for Endometriosis.2017)。したがって、子宮内膜症を診断するための非侵襲的ツールによれば、最終的に生活の質が改善され、妊孕性を維持し得る早期の診断および介入が容易になり得る(Parasarら、Curr Obstet Gynecol Rep.2017;6:34-41)。
血液バイオマーカーは、腹腔鏡検査を必要とする子宮内膜症の診断の時間遅延を減少させるために不可欠である。これまで、子宮内膜症の診断のための非侵襲性バイオマーカーは同定されていなかった。CA-125は最も一般的に使用される血液バイオマーカーの1つであるが、その診断有用性は子宮内膜症rASRMステージIIIおよびIVに限定される(Nisenblatら、Cochrane Database of Systematic Reviews.2016;5:CD012179)。
慢性炎症状態(乾癬、関節リウマチ、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、クローン病、全身性エリテマトーデス、進行性全身性硬化症)およびいくつかのタイプの悪性腫瘍において、S100A8のレベルが増大したことが報告されている(Foellら、Clin Chim Acta.2004;344:37-51)。メッセンジャーRNA(mRNA)の組織マイクロアレイ分析により、遺伝子のリストにおいてS100A8が子宮内膜症でない女性からの子宮内膜と比較した場合、子宮内膜病変において最も高い上方制御を示したことが明らかになった(Burneyら、Endocrinol.2007;148(8):2814-2826)。組織レベルでは、組織マイクロアレイ分析によって示されるように、子宮内膜症と診断された患者由来の同所性子宮内膜と比較した場合、異所性病変内でS100A8 mRNAが9.5倍上方制御されることが示された(Eyster K.ら、Fertil Steril.2007;88:1505-33)。侵襲的腹腔鏡検査によって子宮内膜症と診断された女性から単離された腹腔液における液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析を用いたプロテオーム解析により、中等度に重度の子宮内膜症(rASRM病期分類ステージIII~IV)の患者では、最小軽度疾患(rASRMステージI~II)と診断された患者と比較して、S100A8レベルがより高くなっていることが明らかにされた(FerreroらGynecol Endocrinol.2009;24(8):433-441)。
第1の態様では、本発明は、患者が子宮内膜症に罹患しているか、または子宮内膜症を発症するリスクがあるかどうかを評価する方法であって、前記患者のサンプル中のS100A8の量または濃度を測定すること、および測定した前記量または濃度を基準と比較することを含む、方法に関する。
第2の態様では、本発明は、子宮内膜症の治療(特に薬物ベースの治療または外科的治療(腹腔鏡検査))のために患者を選択する方法であって、前記患者のサンプル中のS100A8の量または濃度を測定すること、および測定した前記量または濃度を基準と比較することを含む、方法に関する。
第3の態様では、本発明は、子宮内膜症に罹患しているか、または子宮内膜症を処置している患者をモニタリングする方法であって、前記患者のサンプル中のS100A8の量または濃度を測定すること、および測定した前記量または濃度を基準と比較することを含む、方法に関する。
図1Aは、単一バイオマーカーS100A8についての受信者動作曲線(ROC)分析を示す。 図1Bは、CA-125についての受信者動作曲線(ROC)分析を示す。 図1Cは、月経困難症の臨床症状についての受信者動作曲線(ROC)分析を示す。x軸=特異度、y軸=感度 図2は、S100A8および月経困難症の臨床症状の組み合わせについての受信者動作曲線(ROC)分析を示す。x軸=特異度、y軸=感度 図3は、子宮内膜症の症例および対照におけるS100A8の箱ひげ図(A)、子宮内膜症の症例rASRMステージI~II(G1/2)、rASRMステージIII~IV(G3/4)および対照におけるS100A8の箱ひげ図(B)を示す。 図4Aは、子宮腺筋症の症例および対照におけるS100A8の血清レベルの箱ひげ図を示す。 図4Bは、子宮腺筋症の症例および対照におけるS100A8の血清レベルのROC曲線を示す。 図5Aは、子宮腺筋症の症例および対照におけるCA-125の血清レベルの箱ひげ図を示す。 図5Bは、子宮腺筋症の症例および対照におけるCA-125の血清レベルのROC曲線を示す。
表の一覧
表1:子宮内膜症の女性および対照におけるバイオマーカーS100A8およびバイオマーカーの組み合わせの診断性能。
表2:多変量ロジスティック回帰分析およびヨーデン指数に基づいて子宮内膜症を予測するための様々なバイオマーカーの組み合わせのカットオフ。
表3:子宮腺筋症の症例および対照における単一バイオマーカーS100A8およびCA-125の診断性能。
本発明者らは、血液中で測定されたS100A8が対照と比較して子宮内膜症の女性において増加することを初めて示す。S100A8のレベルは、子宮内膜症ステージIおよびII(最小/軽度の子宮内膜症)で既に上昇している。本発明者らはまた、S100A8を月経困難症(月経周期依存性疼痛)と組み合わせることにより、子宮内膜症に罹患している女性を子宮内膜症に罹患していない女性と識別するための診断能力が上昇したことを実証する。子宮内膜症、特に早期子宮内膜症の確実な診断のための非侵襲的検査に対する医学的要求性は満たされていない。S100A8は、単独で、または月経困難症/下腹部痛および/またはCA-125と組み合わせることにより、非侵襲的検査では現在は同定不可能な早期子宮内膜症、特に腹膜子宮内膜症(rASRMステージI~II)の女性を同定する非侵襲的血液ベースの検査であるという利点を有する。
定義
「を含む(comprise)」という語、ならびに「を含む(comprises)」および「を含んでいる(comprising)」などの変化形は、明記した整数もしくは工程、または整数もしくは工程の群を含むことを意味するが、他のいかなる整数もしくは工程、または整数もしくは工程の群を除外することを意味するものではないことが理解されよう。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、別途内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
濃度、量および他の数値データは、「範囲」の形式で本明細書において表現または提示し得る。このような範囲の形式は、便宜上および簡潔にするために単に使用されているに過ぎないこと、したがって、その範囲を限定するものとして明示的に列挙されている数値を含むだけではなく、各数値および部分範囲があたかも明示的に列挙されているかのごとくその範囲に包含される個々の数値の全てまたは部分範囲を含むことを柔軟に解釈するべきであると理解される。例示として、「150mg~600mg」の数値範囲は、明示的に列挙されている150mg~600mgの値を含むだけではなく、表示されている範囲内の個々の値および部分範囲を含むと解釈すべきである。したがって、この数値範囲には、150、160、170、180、190、、、、580、590、600mgなどの個々の値、および150~200、150~250、250~300、350~600などの部分範囲が含まれる。この同じ原理は、1つの数値のみを列挙する範囲にも適用される。さらに、このような解釈は、その範囲の幅または記載されている特性に関わらず、当てはまるはずである。
用語「約」とは、数値に関連して使用される場合、示された数値よりも5%小さい下限値を有し、かつ示された数値よりも5%大きい上限値を有する範囲内の数値を包含することを意味する。
本明細書で使用される場合、「指標」という用語は、状態に対する徴候またはシグナルを指すか、または状態をモニタリングするために使用される。そのような「状態」は、細胞、組織もしくは器官の生物学的状態を指すか、または個体の健康および/もしくは疾患状態を指す。指標は、これらに限定されないが、ペプチド、タンパク質、および核酸を含む分子の存在または非存在であり得るか、細胞、または組織、器官もしくは個体におけるそのような分子の発現レベルまたはパターンの変化であり得る。指標は、個体における疾患の発生、発症もしくは存在に対する徴候であるか、またはそのような疾患のさらなる進行に対する徴候であり得る。指標はまた、個体において疾患を発症するリスクに対する徴候であり得る。
本発明の文脈において、用語「バイオマーカー」とは、前記システムの生物学的状態の指標として使用される、生物学的システム内の物質を指す。当技術分野では、「バイオマーカー」という用語は、内因制物質(例えば、抗体、核酸プローブなど、イメージングシステム)の検出手段としても適用されることがある。本発明の文脈において、「バイオマーカー」という用語は、検出手段ではなく物質にのみ適用されるものとする。したがって、バイオマーカーは、核酸(DNA、mRNA、miRNA、rRNAなど)、タンパク質(細胞表面受容体、細胞質タンパク質など)、代謝産物もしくはホルモン(血糖、インスリン、エストロゲンなど)、別の分子の特定の修飾に特徴的な分子(例えば、タンパク質上の糖部分またはホスホリル残基、ゲノムDNA上のメチル残基)、または生物によって内在化された物質もしくはそのような物質の代謝産物など、生体内に存在するあらゆる種類の分子であり得る。
「S100A8」、S100カルシウム結合タンパク質A8(カルグラニュリン-A;骨髄関連タンパク質8、MRP8)は、10.8キロダルトンのカルシウムおよび亜鉛結合タンパク質であり、S100タンパク質ファミリーに属する。S100ファミリーは、Ca2+結合EFハンド(ヘリックスE-ループ-ヘリックスF)タンパク質の最も大きなサブグループを構成する。S100タンパク質は、中性のpHで硫酸アンモニウムを含む100%飽和溶液に溶解し、そこからその名称が付けられた。S100A8は、主に単球、好中球および樹状細胞で発現するが、線維芽細胞、成熟マクロファージ、血管内皮細胞およびケラチノサイトなどの様々な他の活性化細胞型でも発現する(Ingersollら、Blood.2010;115(3):e10-9)S100A8は、DAMP(損傷関連分子パターンシグナル)分子であり、損傷細胞またはストレス細胞から放出され、TLR4(toll様受容体-4)およびRAGE(終末糖化産物受容体)受容体への結合を介して炎症応答を活性化する内因性危険シグナルとしてさらに作用する。炎症部位では、S100A8は好中球接着およびマクロファージ活性化を誘導することによって走化性因子として作用する(Schmidtら、Semin Thromb Hemost.2000;26(5):285-293)。
がん抗原125または腫瘍抗原125と呼ばれることもある炭水化物抗原125である「CA-125」は、MUC16遺伝子によって産生され、細胞膜に関連するムチン型糖タンパク質である。CA-125は、子宮内膜、卵管、卵巣および腹膜を含む体腔上皮に由来する上皮細胞卵巣癌のバイオマーカーである。CA-125の診断的使用は、中程度の感度を有するステージIIIおよびIVの子宮内膜症(中等度および重度の子宮内膜症)に限定される。
疾患の「症状」は、そのような疾患を有する組織、器官または生物によって顕著な疾患の影響であり、組織、器官または個体の疼痛、脱力感、圧痛、緊張、硬直および痙攣が挙げられるが、これらに限定されない。疾患の「徴候」または「シグナル」としては、バイオマーカーもしくは分子マーカーなどの特異的指標の存在、非存在、増大または上昇、減少または低下などの変化または変更、または症状の発症、存在、もしくは悪化が挙げられるが、これらに限定されない。疼痛の症状としては、持続性または様々な灼熱痛、拍動痛、かゆみまたは刺痛として感じられ得る不快な感覚が挙げられるが、これらに限定されない。
「疾患」および「障害」という用語は、本明細書では互換的に使用され、異常な状態、特に組織、器官または個体がもはやその機能を有効に果たすことができない、疾病または損傷などの異常な医学的状態を指す。必ずしもそうとは限らないが、典型的には、疾患は、そのような疾患の存在を示す特異的な症状または徴候に関連する。したがって、そのような症状または徴候の存在は、疾患に罹患している組織、器官または個体を示し得る。これらの症状または徴候の変化は、そのような疾患が進行したことを示し得る。疾患の進行は、典型的には、疾患の「悪化」または「改善」を示し得るそのような症状または徴候の増加または減少を特徴とする。疾患の「悪化」は、組織、器官または生物がその機能を有効に果たす能力の減少を特徴とするのに対して、疾患の「改善」は、典型的には、組織、器官または個体がその機能を有効に果たす能力の上昇を特徴とする。疾患を「発症するリスク」のある組織、器官または固体は、健康な状態であるが、疾患を発症する可能性を示す。典型的には、疾患を発症するリスクは、そのような疾患の初期または弱い徴候または症状に関連する。このような場合、疾患の発生は依然として処置によって予防され得る。疾患の例としては、炎症性疾患、感染性疾患、皮膚状態、内分泌疾患、腸疾患、神経障害、関節疾患、遺伝性障害、自己免疫疾患、外傷性疾患、および種々の種類のがんが挙げられるが、これらに限定されない。
「子宮内膜症」は、子宮外の子宮内膜様組織の病変を特徴とする慢性のホルモン依存性炎症性疾患である。子宮内膜症の臨床症状は、患者によって大きく異なる。子宮内膜症患者は、月経中間期出血、有痛期間(月経困難症)、性交時痛(性交疼痛症)、有痛性排便(排便障害)および有痛性排尿(排尿障害)などの症状を呈することが多い。子宮内膜症による骨盤痛は通常慢性的であり(6ヶ月以上持続する)、月経困難症(症例の50~90%において)、性交疼痛症、骨盤深部痛、ならびに背部痛および腰部痛を伴う下腹部痛、または背部痛および腰部痛を伴わない下腹部痛に関連する。疼痛は、月経周期全体にわたって予測不能かつ断続的に起こり得るか、または連続的であり得、鈍く、拍動し、または鋭く、身体活動によって悪化し得る。膀胱および腸に関連する症状(悪心、膨満、および早期満腹)は、典型的には周期的である。痛みは徐々に悪化する場合があり、性質が変化し得る。まれに、女性は、神経障害性成分を示唆する症状である灼熱感または過敏症を訴える。多くの場合、子宮内膜症は無症候性であり得、不妊症の評価中に臨床医の注意を引くのみである(Sinaiiら、Fertil Steril.2008;89(3):538-545)。子宮内膜症の女性では、受精能力のある男女(15~20%)と比較して、毎月の生殖率が低下している(2~10%)。子宮内膜症は受胎能を弱めるが、通常、受精を完全に妨げるわけではない(Fadhlaouiら、Front Surg.2014;1:24)。
子宮内膜症の最も一般的に罹患する部位は骨盤内器官および腹膜であるが、場合によっては肺などの身体の他の部分が罹患する。疾患の程度は、他の点では正常な骨盤内臓器のいくつかの小さな病変から、大きな卵巣子宮内膜嚢胞(子宮内膜腫)および/または骨盤の解剖学的構造に著しい歪みを引き起こす広範な線維症および癒着形成までさまざまである。発現部位に基づいて、子宮内膜病変は、腹膜子宮内膜症、卵巣子宮内膜嚢胞(子宮内膜腫)、深部結節(深部浸潤子宮内膜症)、および子宮腺筋症に分類し得る(Kennedyら、Hum Reprod.2005;20(10):2698-2704)。
「rASRMステージ」または「rASRM病期分類」という用語は、米国生殖医学会(ASRM)によって確立された、手術(腹腔鏡検査)での所見に基づく子宮内膜症の重症度を記載する改訂分類系を指す。分類は、赤色、白色および黒色の病変などの腹膜および骨盤インプラントの形態に基づいており、各病変の関与の割合を含めるべきである。子宮内膜インプラント、プラーク、子宮内膜腫および癒着の数、大きさおよび部位に留意すべきである。腸、尿路、卵管、膣、子宮頸部、皮膚、または他の部位の子宮内膜症は、ASRMガイドラインに従って記録すべきである。ASRMガイドラインによる子宮内膜症の病期分類は、ポイントスコアに基づいて決定されたステージI、II、IIIおよびIVであり、最小、軽度、中等度および重度の子宮内膜症に対応する。rASRMのステージIおよびIIの子宮内膜症(最小から軽度の子宮内膜症)は、表在性腹膜子宮内膜症、小さな深部病変の存在の可能性、子宮内膜腫の非存在および/または軽度の膜の付着を特徴とする。rASRMステージIIIおよびIVの子宮内膜症(中等度~重度の子宮内膜症)は、表在性腹膜子宮内膜症、子宮および腸の間の中等度~広範囲の癒着を伴う深部浸潤性子宮内膜症、ならびに/または卵巣および卵管を含む中等度~広範囲の癒着を伴う子宮内膜腫嚢胞の存在を特徴とする。
視覚的アナログスケールである「VAS」という用語は、疼痛の強度を評価するための機器である。VASは、長さ10cmの水平線からなり、その端部は「痛みなし」および「考えられる最悪の痛み」というしるしがついている。各患者はライン上で自分の痛みレベルをチェックし、左端の「痛みなし」から目盛りまでの距離をセンチメートルで測定し、0から10の痛みスコアを算出する。「痛みなし」は0の痛みスコアに対応し、「考えられる最悪の痛み」は10の痛みスコアに対応する。子宮内膜症の女性では、月経困難症は疼痛の最も高い知覚に関連しており、平均VASスコアは約6である(Cozzolinoら、Rev Bras Ginecol Obstet.2019;41(3):170-175)。
本明細書で使用される場合、「患者」は、本明細書に記載の診断、予後診断または処置から利益を得ることができる任意の哺乳動物、魚類、爬虫類または鳥類を意味する。特に、「患者」は、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギまたはゼブラフィッシュ)、家畜(例えば、モルモット、ウサギ、ウマ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ニワトリ、ラクダ、ネコ、イヌ、ウミガメ、カメ、ヘビ、トカゲまたは金魚を含む)、またはチンパンジー、ボノボ、ゴリラおよびヒトを含む霊長類からなる群から選択される。「患者」はヒトであることが特に好ましい。
用語「サンプル」または「対象サンプル」とは、本明細書において互換的に使用され、組織、器官、または個体の部分または一部を指し、典型的には、組織、器官または個体の全体を表すことを意図したそのような組織、器官、または個体よりも小さい。分析に際して、サンプルは、組織状態、あるいは器官もしくは個体の健康状態または疾患状態に関する情報を提供する。サンプルの例は、限定されるものではないが、血液、血清、血漿、滑液、尿、唾液、およびリンパ液などの流体サンプル、または組織抽出物、軟骨、骨、滑膜、および結合組織などの固形サンプルを含む。サンプルの分析は、視覚的または化学的基礎により達成され得る。視覚的分析としては、サンプルの形態学的評価を可能にする組織、器官または個体の顕微鏡画像化または放射線写真走査が挙げられるが、これらに限定されない。化学的分析としては、特定の指標の有無またはそれらの量、濃度もしくはレベルの変化の検出が挙げられるが、これらに限定されない。サンプルは、インビトロでのサンプルであり、インビトロで分析されることになり、体内に戻されることはない。
「量」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書で言及されるバイオマーカーの絶対量、上記バイオマーカーの相対量または濃度、ならびにそれらと相関するまたはそれらから導き出され得る任意の値またはパラメータを包含する。このような値またはパラメータは、直接測定により上記ペプチドから得られる、特定の物理的または化学的特性全てに由来する強度シグナル値、例えば、質量スペクトルまたはNMRスペクトルでの強度値を含む。さらに、本明細書の別の箇所で明示される間接測定により得られる全ての値またはパラメータ、例えば、特異的に結合したリガンドから得られるペプチドまたは強度シグナルに応答して、生物学的読み出しシステムから測定される応答量が包含される。上述の量またはパラメータに相関する値は、全ての標準的な数学的演算によっても得られるということを理解されたい。
「比較する」という用語は、本明細書で使用される場合、被験者からのサンプル中のバイオマーカーの量を、本明細書の別の箇所で明示されるバイオマーカーの基準量と比較することを指す。本明細書で使用する場合の比較することは、通常、相当するパラメータまたは値の比較を指す、例えば、絶対量は絶対基準量と比較されるのに対し、濃度は基準濃度と比較され、またはサンプル中のバイオマーカーから得られた強度シグナルは基準サンプルから得られた同じ種類の強度シグナルと比較されることを理解されたい。比較は、手作業またはコンピュータを利用して実施され得る。したがって、比較を計算装置により実施してもよい。被験者からのサンプル中のバイオマーカーの測定量または検出量、および基準量についての値は、例えば、互いに比較し得、また、この比較は、比較のためのアルゴリズムを実行するコンピュータプログラムにより自動的に実施され得る。上記評価を実施するコンピュータプログラムは、好適なアウトプット様式で、所望の判定を提供することになる。コンピュータを利用した比較において、測定量の値が、コンピュータプログラムにより、データベースに保存されている好適な基準に対応する値と比較され得る。コンピュータプログラムは、比較結果をさらに評価してもよく、すなわち、好適なアウトプット様式で所望の判定を自動的に提供してもよい。コンピュータを利用した比較において、測定量の値が、コンピュータプログラムにより、データベースに保存されている好適な基準に対応する値と比較され得る。コンピュータプログラムは、比較結果をさらに評価してもよく、すなわち、好適なアウトプット様式で所望の判定を自動的に提供してもよい。
「測定した量または濃度を基準と比較する」という表現は、とにかく当業者に明らかなことをさらに説明するために使用されているにすぎない。基準濃度は対照サンプルにおいて確立される。
本明細書で使用される場合、「基準サンプル」または「対照サンプル」という用語は、目的のサンプルと実質的に同一の様式で分析され、その情報が目的のサンプルの情報と比較されるサンプルを指す。これにより、基準サンプルにより、目的のサンプルから入手された情報の評価を可能にする基準が提供される。対照サンプルは、健常なまたは正常な組織、器官、または個体に由来し、それにより、組織、器官、または個体の健康状態の基準が提供される。正常な基準サンプルの状態と目的のサンプルの状態との間の差は、疾患発症のリスクまたはそのような疾患もしくは障害の存在もしくはさらなる進行を示し得る。対照サンプルは、異常なまたは疾患を有する組織、器官、または個体に由来し得、それにより、組織、器官、または個体の病的状態の基準が提供される。異常な基準サンプルの状態と目的のサンプルの状態との間の差は、疾患発症のリスクの低下またはそのような疾患もしくは障害の欠如もしくは改善を示し得る。基準サンプルはまた、目的のサンプルと同じ組織、器官、または個体に由来し得るが、より早い時点で採取されている。以前に採取された基準サンプルの状態と目的のサンプルの状態との間の差は、疾患の進行、すなわち経時的な疾患の改善または悪化を示し得る。
対照サンプルは、内部または外部対照サンプルであり得る。内部対照サンプルを使用する、すなわち、試験サンプルならびに同じ被験体から採取した1つ以上の他のサンプルで1つ以上のマーカーレベルを評価して、前記1つ以上のマーカーのレベルに変化があるかどうかを判定する。外部対照サンプルについては、個体に由来するサンプル中のマーカーの存在または量を、所与の状態に罹患していることが知られている、もしくはそのリスクがあることが知られている個体、または所与の状態ないことが知られている固体、すなわち「正常個体」中のマーカーの存在または量と比較する。
そのような外部対照サンプルは、単一の個体から得られ得、または年齢が一致し、交絡疾患がない基準集団から得られ得ることが当業者には理解されよう。典型的には、適切な基準集団からの十分に特徴付けられた100名の個体からのサンプルを使用して、「基準値」を設定する。しかしながら、基準集団はまた、20、30、50,200、500または1000名の個体からなるように選択され得る。健康な個体は、対照値を設定するための好ましい基準集団を表す。
例えば、患者サンプル中のマーカー濃度を、特定の疾患の特定の経過に関連することが知られている濃度と比較し得る。通常、サンプルのマーカー濃度は、診断と直接的または間接的に相関し、マーカー濃度は、例えば、個体が特定の疾患のリスクがあるかどうかを判定するために使用される。あるいは、サンプルのマーカー濃度は、例えば、特定の疾患における治療に対する応答、特定の疾患の診断、特定の疾患の重症度の評価、特定の疾患に対する適切な薬物を選択するためのガイダンス、疾患進行のリスクを判定する際、または患者のフォローアップにおいて関連することが知られているマーカー濃度と比較し得る。意図する診断用途に応じて、適切な対照サンプルが選択され、その中にマーカーの対照値または基準値が設定される。当業者にも明らかなように、対照サンプルで設定された絶対マーカー値は、使用されるアッセイに依存する。
指標の「低下した」または「減少した」レベルという用語は、基準または基準サンプルと比較して減少している、サンプル中のそのような指標のレベルを指す。
指標の「上昇した」または「増加した」レベルという用語は、基準または基準サンプルと比較して、サンプル中のそのような指標のレベルが高いことを指す。例えば、所与の疾患に罹患している1名の個体の流体サンプル中で、前記疾患に罹患していない個体の同じ流体サンプル中よりも検出可能なタンパク質が高い量であれば、レベルが上昇している。
「測定」、「測定する」または「判定」という用語は、好ましくは定性的、半定量的または定量的測定を含む。
本明細書で使用される場合、「免疫グロブリン(Ig)」という用語は、免疫グロブリンスーパーファミリーの免疫を付与する糖タンパク質を指す。「表面免疫グロブリン」は、それらの膜貫通領域によってエフェクター細胞の膜に結合しており、限定されないが、B細胞受容体、T細胞受容体、クラスIおよびII主要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質、ベータ2ミクログロブリン(約2M)、CD3、CD4およびCDSなどの分子を包含する。
典型的には、本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、膜貫通領域を欠くため、血流および体腔に放出され得る分泌免疫グロブリンを指す。ヒト抗体は、それらが保有する重鎖に基づいて種々のアイソタイプに分類される。ギリシャ文字、α、γ、δ、ε、およびμで示される5種類のヒトIg重鎖がある。存在する重鎖の種類は抗体のクラスを定義し、これらの鎖は、それぞれ異なる役割を果たしており、異なるタイプの抗原に対する適切な免疫反応をもたらすIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体にみられる。異なる重鎖は大きさおよび組成が異なり、約450アミノ酸を含む(Janewayら、(2001)Immunobiology,Garland Science)。IgAは、腸、気道および泌尿生殖路などの粘膜領域、ならびに唾液、涙および母乳中に見出され、病原体によるコロニー形成を防止する(UnderdownおよびSchiff(1986)Annu.Rev.Immunol.4:389-417)。IgDは主に、抗原に曝露されていないB細胞上の抗原受容体として機能し、好塩基球および肥満細胞を活性化して抗微生物因子を産生することに関与している(Geisbergerら、(2006)Immunology 118:429-437;Chenら(2009)Nat.Immunol.10:889-898)。IgEは、肥満細胞および好塩基球からのヒスタミンの遊離を引き起こすアレルゲンへの結合を介してアレルギー反応に関与する。IgEは、寄生虫からの保護にも関与する(Pierら(2004)Immunology,Infection,and Immunity,ASM Press)。IgGは、侵入病原体に対する抗体ベースの免疫の大部分を提供し、胎盤を通過して胎児に受動免疫を与え得る唯一の抗体アイソタイプである(Pierら(2004)Immunology,Infection,and Immunity,ASM Press)。ヒトには4つの異なるIgGサブクラス(IgG1、2、3および4)があり、血清中の存在量の順に命名され、IgG1が最も多く存在し(約66%)、IgG2(約23%)、IgG3(約7%)およびIgG(約4%)がこれに続く。種々のIgGクラスの生物学的特徴は、それぞれのヒンジ領域の構造によって決定される。IgMは、非常に高い結合力を有する単量体形態および分泌五量体形態でB細胞の表面上に発現する。IgMは、十分なIgGが産生される前のB細胞媒介(体液性)免疫の初期段階で病原体を排除することに関与する(Geisbergerら、(2006)Immunology 118:429-437)。抗体は、モノマーとして見出されるだけでなく、2つのIg単位の二量体(例えばIgA)、4つのIg単位の四量体(例えば、硬骨魚のIgM)、または5つのIg単位の五量体(例えば哺乳動物IgM)を形成することも知られている。抗体は、典型的には、ジスルフィド結合を介して連結され、「Y」形状の巨大分子に類似する2つの同一の重鎖および2つの同一の軽鎖を含む4つのポリペプチド鎖から構成される。それぞれの鎖は、いくつかの免疫グロブリンドメインを含み、そのうちのいくつかは定常ドメインであり、他のものは可変ドメインである。免疫グロブリンドメインは、2つの~シート内に配置された7~9個の~逆平行ストランドの2層サンドイッチからなる。典型的には、抗体の重鎖は4つのIgドメインを含み、そのうちの3つは定常(CHドメイン:CH1.CH2.CH3)ドメインであり、そのうちの1つは可変ドメイン(VH)である。「軽鎖」は、通常、1つの定常Igドメイン(CL)および1つの可変Igドメイン(VL)を含む。例えば、ヒトIgG重鎖は、VwCH1-CH2-CH3の順序でN末端からC末端に連結されている4つのIgドメイン(VwCyl-Cy2-Cy3とも呼ばれる)で構成され、一方、ヒトIgG軽鎖は、VL-CLの順序でN末端からC末端に連結されている2つの免疫グロブリンドメインで構成され、カッパまたはラムダ型(VK-CKまたはVA-CA)のいずれかである。例えば、ヒトIgGの定常鎖は447個のアミノ酸を含む。本明細書および特許請求の範囲を通して、免疫グロブリンのアミノ酸位置の番号付けは、Kabat,E.A.,Wu,T.T.,Perry,H.M.,Gottesman,K.S.,およびFoeller,C.,(1991)Sequences of proteins of immunological interest,第5}、U.S.Department of Health and Human Service,National Institutes of Health,Bethesda,MDのような「EUインデックス」の番号付けである。「KabatのEUインデックス」は、ヒトIgG lEU抗体の残基の番号付けを指す。したがって、IgGの文脈におけるCHドメインは以下の通りである。「CH1」は、KabatのEUインデックスによるアミノ酸位置118~220を指し;「CH2」は、KabatのEUインデックスによるアミノ酸位置237~340を指し;「CH3」は、KabatのEUインデックスによるアミノ酸位置341~447位を指す。
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、および「全抗体」という用語は、本明細書において互換的に使用されるが、以下に記載のように、その実質的にインタクトな形態の抗体を指し、抗体断片を指すものではない。これらの用語は、具体的には、Fc領域を含有する重鎖を含む抗体を指す。
抗体のパパイン消化により、それぞれ単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片(「Fab部分」または「Fab領域」とも称される)、および容易に結晶化するその能力を反映して命名された残りの「Fe」断片(「Fe部分」または「Fe」領域とも称される)が産生される。ヒトIgG Fe領域の結晶構造は決定された(Deisenhofer(1981)Biochemistry 20:2361-2370)。IgG、IgAおよびIgDアイソタイプでは、Fe領域は、抗体の2つの重鎖のCH2およびCH3ドメインに由来する2つの同一のタンパク質断片から構成され;IgMおよびIgEアイソタイプでは、Fe領域は各ポリペプチド鎖に3つの重鎖定常ドメイン(CH2~4)を含む。さらに、より小さい免疫グロブリン分子が天然に存在するか、または人工的に構築されている。「Fab’断片」という用語は、Ig分子のヒンジ領域をさらに含むFab断片を指し、「F(ab’)2断片」は、化学的に連結されているかまたはジスルフィド結合を介して連結されている2つのFab’断片を含むと理解される。「単一ドメイン抗体(sdAb)」、(Desmyterら(1996)Nat.Structure Biol.3:803-811)および「ナノボディ」は単一のVHドメインのみを含むが、「一本鎖Fv(scFv)」断片は、短いリンカーペプチドを介して軽鎖可変ドメインに連結された重鎖可変ドメインを含む(Hustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,5879-5883)。二価の一本鎖可変断片(ジ-scFv)は、2つのscFv(scFvA-scFvB)を連結することによって設計され得る。これは、2つのVH領域および2つのVL領域を有する単一のペプチド鎖を生成し、「直列型scFv」(VHA-VLA-VHB-VLB)を得ることによって行い得る。別の可能性は、2つの可変領域が一緒に折り畳まれるには短すぎるリンカーを有するscFvを作製し、scFvを強制的に二量体化させることである。通常、5残基の長さを有するリンカーが、これらの二量体を作製するために使用される。このタイプは、「ダイアボディ」として知られている。VHドメインおよびVLドメインの間のさらに短いリンカー(1つまたは2つのアミノ酸)は、単一特異的な三量体、いわゆる「トリアボディ」または「トリバディ」の形成をもたらす。二重特異性ダイアボディは、それぞれ配列VHA-VLBおよびVHB-VLAまたはVLA-VHBおよびVLB-VHAを有する鎖を発現させることによって形成される。一本鎖ダイアボディ(scDb)は、12~20アミノ酸、好ましくは14アミノ酸のリンカーペプチド(P)(VHA-VLB-P-VHB-VLA)によって連結されるVHA-VLBおよびVHB-VLA断片を含む。「二重特異性T細胞誘導(BiTE)」は、異なる抗体の2つのscFvからなる融合タンパク質であり、scFvの一方はCD3受容体を介してT細胞に結合し、他方は腫瘍特異的分子を介して腫瘍細胞に結合する(Kuferら(2004)Trends Biotechnol.22:238-244)。二重親和性再標的化分子(「DART」分子)は、C末端ジスルフィド架橋によってさらに安定化されたダイアボディである。
したがって、「抗体断片」という用語は、無傷の抗体の一部を指し、好ましくはその抗原結合領域を含む。抗体断片としては、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、ダイアボディ、sdAb、ナノボディ、scFv、ジ-scFv、直列型scFv、トリアボディ、ダイアボディ、scDb、BiTEおよびDARTが挙げられるが、これらに限定されない。
「結合親和性」という用語は、概して、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位と、その結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合性相互作用の合計の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体および抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(Kd)によって表され得る。親和性は、限定されないが、表面プラズモン共鳴に基づくアッセイ(例えば、PCT出願公開WO2005/012359号に記載されているようなBIAcoreアッセイ);酵素結合免疫吸着測定法(ELISA);および競合アッセイ(例えば、RIA)を含む、当技術分野で公知の一般的な方法によって測定し得る。低親和性抗体は、一般的に、抗原とゆっくり結合し、容易に解離する傾向にあるが、高親和性抗体は、一般的に、抗原と迅速に結合し、より長く結合したままの傾向にある。結合親和性の種々の測定方法が当該技術分野で知られており、これらのいずれも、本発明において使用することができる。
「サンドイッチイムノアッセイ」は、目的の分析物の検出に広く使用されている。そのようなアッセイでは、分析物は、第1の抗体と第2の抗体との間に「サンドイッチされる」。典型的には、サンドイッチアッセイは、捕捉および検出抗体が目的の分析物上の異なる重複しないエピトープに結合することを必要とする。適切な手段によって、そのようなサンドイッチ複合体を測定し、それによって分析物を定量する。典型的なサンドイッチ型法では、固相に結合した、または固相に結合することができる第1の抗体、および検出可能に標識された第2の抗体は各々、異なる重複しないエピトープで分析物に結合する。第1の分析物特異的結合剤(例えば、抗体)は、固体表面に共有結合しているかまたは受動結合している(passively bound)かのいずれかである。固体表面は、典型的にはガラスまたはポリマーであり、最も一般的に使用されるポリマーは、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリプロピレンである。固体支持体は、管、ビーズ、マイクロプレートの円盤、またはイムノアッセイを実施するのに適したその他の表面であってもよい。結合プロセスは、当技術分野で周知であり、概して、架橋性共有結合、または物理的吸着からなり、ポリマー-抗体複合体は、検査サンプルのための調製において洗浄される。次いで、試験されるサンプルの一部を固相複合体に添加し、第1の抗体または捕捉抗体と対応する抗原との間の結合を可能にするのに十分な期間(例えば2~40分またはより好都合であれば一晩)および適切な条件下(例えば、室温~40℃、例えば25℃~37℃(両端を含む))でインキュベートする。インキュベーション期間に続いて、第1の抗体または捕捉抗体を含み、該抗体に結合した固相を洗浄することができ、抗原上の別のエピトープに結合する二次抗体または標識抗体とともにインキュベートすることができる。第2の抗体を、第1の抗体と目的の抗原との複合体に対する第2の抗体の結合を示すために使用するレポーター分子に結合させる。
非常に用途の広い代替サンドイッチアッセイ法には、結合対の第1のパートナーでコーティングされた固相、例えば、常磁性ストレプトアビジンでコーティングした微粒子の使用が含まれる。このような微粒子を、結合対の第2のパートナー(例えば、ビオチン化抗体)に結合した分析物特異的結合剤、結合対の該第2のパートナーが該分析物特異的結合剤に結合している分析物を含むと疑われるまたは含んでいるサンプル、および例えば、本明細書で使用されるような電気化学発光標識で検出可能に標識された第2の分析物特異的結合剤と混合およびインキュベートする。当業者には明らかなように、これらの構成要素を適切な条件下で、、分析物、結合対の第2のパートナーおよび結合対の第1のパートナー(に結合した)分析物特異的結合剤を介して、標識抗体を固相微粒子へ結合させるのに十分な時間インキュベートする。適宜、このようなアッセイは、1つ以上の洗浄工程(複数可)を含み得る。
「検出可能に標識した」という用語は、直接的または間接的に検出し得る標識を包含する。
直接的に検出可能な標識が、検出可能なシグナルを提供するか、または該標識が、第2の標識と相互作用するかのいずれかをして、第1または第2の標識によって提供される検出可能なシグナルを改変して、例えば、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を与える。蛍光色素および発光(化学発光および電気化学発光を含む)色素などの標識(Briggs et al“Synthesis of Functionalised Fluorescent Dyes and Their Coupling to Amines and Amino Acids,”J.Chem.Soc.,Perkin-Trans.1(1997)1051-1058)は、検出可能なシグナルを提供し、標識法に概して適用可能である。一実施形態では、検出可能に標識化されたとは、検出可能なシグナルをもたらす、またはそれをもたらすことが誘導可能な標識、すなわち、それぞれ、蛍光標識、発光標識(例えば、化学発光標識または電気化学発光標識)、放射性標識または金属キレート系標識を指す。
多数の標識(色素ともいう)が利用可能であり、これらは概して、以下の区分に分類することができ、該区分は全てまとまって、および該区分の各々が本開示による実施形態である。
(a)蛍光色素
蛍光色素は、例えば、Briggsら“Synthesis of Functionalized Fluorescent Dyes and Their Coupling to Amines and Amino Acids,”J.Chem.Soc.,Perkin-Trans.1(1997)1051-1058)によって説明されている。
蛍光標識または蛍光体には、希土類キレート(ユーロピウムキレート)、フルオレセイン型標識(FITC、5-カルボキシフルオロセイン、6-カルボキシフルオロセインを含む)、ローダミン型標識(TAMRAを含む)、ダンシル、リサミン、シアニン、フィコエリトリン、テキサスレッド、およびこれらの類似体が含まれる。蛍光標識は、本明細書に開示される技術を使用して、標的分子内に含まれるアルデヒド基に結合させることができる。蛍光色素および蛍光標識試薬には、Invitrogen/Molecular Probes(Eugene,Oregon,USA)およびPierce Biotechnology,Inc.(Rockford,Ill.)から市販されるものが含まれる。
(b)発光色素
発光色素または標識は、化学発光色素および電気化学発光色素にさらに下位分類することができる。
化学発光標識の異なるクラスには、ルミノール、アクリジニウム化合物、セレンテラジンおよび類似体、ジオキセタン、ペルオキシしゅう酸およびペルオキシしゅう酸誘導体に基づく系が含まれる。免疫診断手順のためには、主にアクリジニウム系標識が使用される(詳細な概要は、Dodeigne C.ら,Talanta 51(2000)415-439において示されている)。
電気化学発光標識として使用される主な関連性のある標識は、それぞれルテニウムおよびイリジウム系の電気化学発光錯体である。電気化学発光(ECL)は、高感度かつ選択的な方法として、分析上の応用において非常に有用であることが証明された。ECLは、化学発光分析の分析上の利点(背景光信号の非存在)を、電極電位を適用することによる反応制御の容易さと組み合わせている。一般に、ルテニウム錯体、特に液相または液固界面においてTPA(トリプロピルアミン)を用いて再生する[Ru(Bpy)3]2+(約620nmで光子を放出)がECL標識として使用される。
電気化学発光(ECL)アッセイは、目的の分析物の存在および濃度の高感度かつ正確な測定を提供する。このような技術は、適切な化学的環境において電気化学的に酸化または還元したときに発光するように誘導することができる標識または他の反応物を使用する。このような電気化学発光は、特定の時間に特定の様式で作用電極に印加される電圧によって誘発される。標識によって生成された光は、測定され、分析物の存在または量を示す。このようなECL技術のより完全な説明については、米国特許第5,221,605号、米国特許第5,591,581号、米国特許第5,597,910号、PCT出願公開WO90/05296、PCT出願公開WO92/14139、PCT出願公開WO90/05301、PCT出願公開WO96/24690、PCT出願公開US95/03190、PCT出願US97/16942、PCT出願公開US96/06763、PCT出願公開WO95/08644、PCT出願公開WO96/06946、PCT出願公開WO96/33411、PCT出願公開WO87/06706、PCT出願公開WO96/39534、PCT出願公開WO96/41175、PCT出願公開WO96/40978、PCT/US97/03653および米国特許出願第08/437,348号(米国特許第5,679,519号)が参照される。また、Knight,et al.(Analyst,1994,119:879-890)によるECLの分析上の応用の1994年の総説および該総説に引用されている参考文献も参照される。一実施形態では、本明細書による方法は、電気化学発光標識を使用して実施される。
近年、イリジウム系ECL標識も開示されている(WO2012107419)。
(c)放射性標識は、放射性同位体(放射性核種)、例えば、3H、11C、14C、18F、32P、35S、64Cu、68Gn、86Y、89Zr、99TC、111In、123I、124I、125I、131I、133Xe、177Lu、211At、または131Biを使用する。
(d)撮像および治療目的のための標識として適切な金属キレート錯体は当技術分野で周知である(米国特許出願公開第2010/0111861、米国特許第5,342,606号、米国特許第5,428,155号、米国特許第5,316,757号、米国特許第5,480,990号、米国特許第5,462,725号、米国特許第5,428,139号、米国特許第5,385,893号、米国特許第5,739,294号、米国特許第5,750,660号、米国特許第5,834,461号、Hnatowich et al,J.Immunol.Methods 65(1983)147-157、Meares et al,Anal.Biochem.142(1984)68-78、Mirzadeh et al,Bioconjugate Chem.1(1990)59-65、Meares et al,J.Cancer(1990),Suppl.10:21-26、Izard et al,Bioconjugate Chem.3(1992)346-350、Nikula et al,Nucl.Med.Biol.22(1995)387-90、Camera et al,Nucl.Med.Biol.20(1993)955-62、Kukis et al,J.Nucl.Med.39(1998)2105-2110、Verel et al.,J.Nucl.Med.44(2003)1663-1670、Camera et al,J.Nucl.Med.21(1994)640-646、Ruegg et al,Cancer Res.50(1990)4221-4226、Verel et al,J.Nucl.Med.44(2003)1663-1670、Lee et al,Cancer Res.61(2001)4474-4482、Mitchell,et al,J.Nucl.Med.44(2003)1105-1112、Kobayashi et al Bioconjugate Chem.10(1999)103-111、Miederer et al,J.Nucl.Med.45(2004)129-137、DeNardo et al,Clinical Cancer Research 4(1998)2483-90、Blend et al,Cancer Biotherapy&Radiopharmaceuticals 18(2003)355-363、Nikula et al J.Nucl.Med.40(1999)166-76、Kobayashi et al,J.Nucl.Med.39(1998)829-36、Mardirossian et al,Nucl.Med.Biol.20(1993)65-74、Roselli et al,Cancer Biotherapy&Radiopharmaceuticals,14(1999)209-20)。
実施形態
第1の態様では、本発明は、患者が子宮内膜症に罹患しているか、または子宮内膜症を発症するリスクがあるかどうかを評価する方法であって、
a)前記患者のサンプル中のS100A8の量を測定すること、および
b)測定した前記量を基準と比較することを含む、方法に関する。
実施形態では、患者のサンプル中のS100A8の量の上昇が、患者において子宮内膜症が存在するか、子宮内膜症の発症のリスクが存在することを示す。特に、患者のサンプル中のS100A8の量は、患者のサンプル中のS100A8の量が、基準または基準サンプル中のS100A8の量よりも高い場合、患者において子宮内膜症が存在するか、子宮内膜症の発症のリスクが存在することを示す。特に、S100A8は、子宮内膜症に罹患していないか、子宮内膜症を発症するリスクがない個体の同じ体液サンプル中よりも、子宮内膜症の存在または発症するリスクについて評価された患者の体液サンプル中でより多くの量で検出可能である。
特に、S100A8の量の50%以上の上昇は、子宮内膜症が存在するか、子宮内膜症の発症のリスクが存在することを示す。特に、S100A8の量の100%以上の上昇は、子宮内膜症が存在するか、子宮内膜症の発症のリスクが存在することを示す。特に、S100A8の量の150%以上の上昇は、子宮内膜症が存在するか、子宮内膜症の発症のリスクが存在することを示す。特に、S100A8の量の200%以上の上昇は、子宮内膜症が存在するか、子宮内膜症の発症のリスクが存在することを示す。
実施形態では、患者のサンプルは体液サンプルである。特定の実施形態では、サンプルは、全血、血清または血漿サンプルである。実施形態では、前記サンプルは、インビトロでのサンプルであり、インビトロで分析されることになり、体内に戻されることはない。
特定の実施形態では、患者は実験動物、家畜または霊長類である。特定の実施形態では、患者は、ヒト患者である。特定の実施形態では、患者は、女性のヒト患者である。
実施形態では、評価される子宮内膜症は、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIV子宮内膜症からなる群から選択される。特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、ステージI、ステージII、ステージIIIまたはステージIVの子宮内膜症である。実施形態では、子宮内膜症は、早期子宮内膜症、特に、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症またはrASRM病期分類によるステージII子宮内膜症である。特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、ステージIIIまたはステージIVの子宮内膜症である。
実施形態では、評価される子宮内膜症は、腹膜子宮内膜症、子宮内膜腫、深部浸潤子宮内膜症(DIE)および子宮腺筋症からなる群から選択される。
特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、rASRM病期分類によるステージIまたはIIの腹膜子宮内膜症である。
実施形態では、評価はrASRM病期分類とは無関係に実施される。特に、評価は、腹腔鏡検査を実施することなく行われる。特に、評価は、腹腔鏡検査および/またはrASRM病期分類を使用して患者の子宮内膜症の存在または重症度を評価することなく行われる。
実施形態では、本発明の方法はインビトロ法である。
実施形態では、S100A8の量は、抗体を使用して、特にモノクローナル抗体を使用して測定される。実施形態では、患者のサンプル中のS100A8の量を測定する工程a)は、イムノアッセイを実施することを含む。実施形態では、イムノアッセイは、直接的または間接的形式のいずれかで実施される。実施形態では、そのようなイムノアッセイは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または発光、蛍光、化学発光もしくは電気化学発光の検出に基づくイムノアッセイからなる群から選択される。
特定の実施形態では、患者のサンプル中のS100A8の量を測定する工程a)は、
i)患者のサンプルを、S100A8に特異的に結合する1種以上の抗体とインキュベートし、それによって抗体とS100A8との複合体を生成すること、および
ii)工程i)で生成された複合体を定量し、それによって患者のサンプル中のS100A8の量を定量することを含む。
特定の実施形態では、工程i)において、サンプルを、S100A8に特異的に結合する2種の抗体とインキュベートする。当業者に明らかなように、サンプルは、第1の抗S100A8抗体/S100A8/第2の抗S100A8抗体複合体を形成するのに十分は時間および条件下で、いずれかの所望の順序で、すなわち、最初に第1の抗体、次いで第2の抗体と、または最初に第2の抗体、次いで第1の抗体と、または同時に第1の抗体および第2の抗体と接触させ得る。当業者が容易に認識するように、特異的抗S100A8抗体およびS100A8抗原/分析物の間の複合体(=抗S100A8複合体)、またはS100A8に対する第1の抗体、S100A8(分析物)および第2の抗S100A8抗体(=抗S100A8抗体/S100A8/第2の抗S100A8抗体複合体)を含む二次複合体またはサンドイッチ複合体の形成に適切または十分な時間および条件を確立することは、日常的な実験にすぎない。
抗S100A8抗体/S100A8複合体の検出は、何らかの適切な手段によって実施することができる。第1の抗S100A8抗体/S100A8/第2の抗S100A8抗体の複合体の検出は、任意の適切な手段によって実施し得る。当業者は、このような手段/方法に完全に精通している。
特定の実施形態では、S100A8に対する第1の抗体、S100A8(分析物)およびS100A8に対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識される。
一実施形態では、S100A8に対する第1の抗体、S100A8(分析物)およびS100A8に対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識され、第1の抗S100A8抗体は固相に結合することが可能であるか、または固相に結合している。
実施形態では、第2の抗体は、直接的または間接的に検出可能に標識されている。特定の実施形態では、第2の抗体は、発光色素、特に化学発光色素または電気化学発光色素で検出可能に標識されている。
実施形態では、方法は、患者の月経困難症および/または下腹部痛の存在を評価することをさらに含む。実施形態では、月経困難症および/または下腹部痛の存在は、VASスケールによって評価される。実施形態では、月経困難症のVASスコアが4以上であることは、月経困難症が中等度または重度であることを示した。実施形態では、3以下のスコアは、月経困難症がないことまたは軽度であることを示す。
実施形態では、方法は、CA-125の量または濃度を測定することをさらに含む。
実施形態では、方法は、前記S100A8の量もしくは濃度と前記VASスケールによる月経困難症との割合、前記S100A8の量もしくは濃度と前記VASスケールによる下腹部痛との割合、または前記S100A8の量もしくは濃度と前記CA-125の量もしくは濃度との割合を計算することを含む。
第2の態様では、本発明は、子宮内膜症の治療のために患者を選択する方法であって、
a)前記患者のサンプル中のS100A8の量または濃度を測定すること、および
b)測定した前記量または濃度を基準と比較することを含む、方法。
実施形態では、患者のサンプル中のS100A8の量が上昇したと判定された場合、患者は子宮内膜症の治療のために選択される。特に、患者のサンプル中のS100A8の量が基準または基準サンプル中のS100A8の量よりも多い場合、子宮内膜症の治療のために患者が選択される。特に、S100A8の量が、子宮内膜症選択の治療について評価された患者の体液サンプルにおいて、子宮内膜症に罹患していないか、子宮内膜症を発症するリスクがあるか、または子宮内膜症の治療について選択されていない個体の同じ体液サンプルよりも多い場合、子宮内膜症の治療について患者が選択される。
特に、S100A8の量が50%以上増加する場合、子宮内膜症の治療のために患者が選択される。特に、S100A8の量が100%以上増加する場合、子宮内膜症の治療のために患者が選択される。特に、S100A8の量が150%以上増加する場合、子宮内膜症の治療のために患者が選択される。特に、S100A8の量が200%以上増加する場合、子宮内膜症の治療のために患者が選択される。
実施形態では、患者は、薬物ベースの治療または外科的治療からなる群から選択される子宮内膜症の治療のために選択される。実施形態では、子宮内膜症の外科的治療は、腹腔鏡検査または神経温存術である。実施形態では、子宮内膜症の薬物ベースの治療は、神経原性炎症および/または鎮痛薬および/またはホルモン療法(例えば、ホルモン避妊薬またはGnRHアゴニスト)を阻害または標的化することである。
実施形態では、患者のサンプルは体液サンプルである。特定の実施形態では、サンプルは、全血、血清または血漿サンプルである。実施形態では、前記サンプルは、インビトロでのサンプルであり、インビトロで分析されることになり、体内に戻されることはない。
特定の実施形態では、患者は実験動物、家畜または霊長類である。特定の実施形態では、患者は、ヒト患者である。特定の実施形態では、患者は、女性のヒト患者である。
実施形態では、子宮内膜症は、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIV子宮内膜症からなる群から選択される。特定の実施形態では、子宮内膜症は、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVの子宮内膜症である。実施形態では、子宮内膜症は、早期子宮内膜症、特に、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症またはrASRM病期分類によるステージII子宮内膜症である。特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、ステージIIIまたはステージIVの子宮内膜症である。
実施形態では、子宮内膜症は、腹膜子宮内膜症、子宮内膜腫、深部浸潤子宮内膜症(DIE)および子宮腺筋症からなる群から選択される。
特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、rASRM病期分類によるステージIまたはIIの腹膜子宮内膜症である。
実施形態では、本発明の方法はインビトロ法である。
実施形態では、S100A8の量は、抗体を使用して、特にモノクローナル抗体を使用して測定される。実施形態では、患者のサンプル中のS100A8の量を測定する工程a)は、イムノアッセイを実施することを含む。実施形態では、イムノアッセイは、直接的または間接的形式のいずれかで実施される。実施形態では、そのようなイムノアッセイは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または発光、蛍光、化学発光もしくは電気化学発光の検出に基づくイムノアッセイからなる群から選択される。
特定の実施形態では、患者のサンプル中のS100A8の量を測定する工程a)は、
i)患者のサンプルを、S100A8に特異的に結合する1種以上の抗体とインキュベートし、それによって抗体とS100A8との複合体を生成すること、および
ii)工程i)で生成された複合体を定量し、それによって患者のサンプル中のS100A8の量を定量することを含む。
特定の実施形態では、工程i)において、サンプルを、S100A8に特異的に結合する2種の抗体とインキュベートする。当業者に明らかなように、サンプルは、第1の抗S100A8抗体/S100A8/第2の抗S100A8抗体複合体を形成するのに十分は時間および条件下で、いずれかの所望の順序で、すなわち、最初に第1の抗体、次いで第2の抗体と、または最初に第2の抗体、次いで第1の抗体と、または同時に第1の抗体および第2の抗体と接触させ得る。当業者が容易に認識するように、特異的抗S100A8抗体およびS100A8抗原/分析物の間の複合体(=抗S100A8複合体)、またはS100A8に対する第1の抗体、S100A8(分析物)および第2の抗S100A8抗体(=抗S100A8抗体/S100A8/第2の抗S100A8抗体複合体)を含む二次複合体またはサンドイッチ複合体の形成に適切または十分な時間および条件を確立することは、日常的な実験にすぎない。
抗S100A8抗体/S100A8複合体の検出は、何らかの適切な手段によって実施することができる。第1の抗S100A8抗体/S100A8/第2の抗S100A8抗体の複合体の検出は、任意の適切な手段によって実施し得る。当業者は、このような手段/方法に完全に精通している。
特定の実施形態では、S100A8に対する第1の抗体、S100A8(分析物)およびS100A8に対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識される。
一実施形態では、S100A8に対する第1の抗体、S100A8(分析物)およびS100A8に対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識され、第1の抗S100A8抗体は固相に結合することが可能であるか、または固相に結合している。
実施形態では、第2の抗体は、直接的または間接的に検出可能に標識されている。特定の実施形態では、第2の抗体は、発光色素、特に化学発光色素または電気化学発光色素で検出可能に標識されている。
実施形態では、方法は、患者の月経困難症および/または下腹部痛の存在を評価することをさらに含む。実施形態では、月経困難症および/または下腹部痛の存在は、VASスケールによって評価される。実施形態では、月経困難症のVASスコアが4以上であることは、月経困難症が中等度または重度であることを示した。実施形態では、3以下のスコアは、月経困難症がないことまたは軽度であることを示す。
実施形態では、方法は、CA-125の量または濃度を測定することをさらに含む。
実施形態では、方法は、前記S100A8の量もしくは濃度と前記VASスケールによる月経困難症との割合、前記S100A8の量もしくは濃度と前記VASスケールによる下腹部痛との割合、または前記S100A8の量もしくは濃度と前記CA-125の量もしくは濃度との割合を計算することを含む。
第3の態様では、本発明は、子宮内膜症に罹患しているか、または子宮内膜症を処置している患者をモニタリングする方法であって、
a)前記患者のサンプル中のS100A8の量または濃度を測定すること、および
b)測定した前記量または濃度を基準と比較することを含む、方法。
実施形態では、子宮内膜症に罹患している患者をモニタリングして、患者のサンプル中のS100A8の量または濃度が経時的に変化しているかどうかを判定する。特に、子宮内膜症に罹患している患者をモニタリングして、S100A8の量または濃度が経時的に増加しているか、減少しているか、または変化していないかを判定する。実施形態では、子宮内膜症に罹患している患者のサンプル中のS100A8の量が増加していると判定された場合、その患者をモニタリングする。
実施形態では、子宮内膜症の処置を受けている患者をモニタリングして、患者のサンプル中のS100A8の量または濃度が変化しているかどうかを判定する。特に、子宮内膜症の処置を受けている患者をモニタリングして、S100A8の量または濃度が増加しているか、減少しているか、または変化していないかを判定する。特に、子宮内膜症の処置を受けている患者をモニタリングして、適用された治療によりS100A8の量または濃度が増加しているか、減少しているか、または変化していないかを判定する。実施形態では、子宮内膜症の処置を受けている患者においてS100A8の量または濃度が減少することは、治療が有効であることを示す。実施形態では、子宮内膜症について処置されている患者のサンプル中のS100A8の量または濃度が変化していないか増加していることは、治療が無効であることを示し、すなわち、子宮内膜症について処置されている患者のサンプル中のS100A8の量または濃度が変化していないか増加していることは、子宮内膜症が持続しているか再発していることを示す。特に、S100A8の量が50%以上増加している場合、子宮内膜症の処置は無効である。特に、S100A8の量が100%以上増加している場合、子宮内膜症の処置は無効である。特に、S100A8の量が150%以上増加している場合、子宮内膜症の処置は無効である。特に、S100A8の量が200%以上増加している場合、子宮内膜症の処置は無効である。
特定の実施形態では、子宮内膜症について処置されている患者のサンプル中のS100A8の量または濃度が変化しないかまたは増加することが判定された場合に、治療が適用される。
実施形態では、患者は、種々の時点で数回モニタリングされる。実施形態では、患者は、数週間、数ヶ月または数年の時間枠内で数回モニタリングされる。特定の実施形態では、患者がモニタリングされるのは、月に1回または年に1回である。実施形態では、子宮内膜症に罹患している患者は、子宮内膜症の診断後、1ヶ月に1回または1年に1回モニタリングされる。実施形態では、子宮内膜症について処置されている患者は、治療後に1回、特に外科的治療後に1回モニタリングされる。特に、子宮内膜症について処置されている患者は、処置の有効性および/または子宮内膜症の再発を判定するために、1ヶ月に1回または1年に1回モニタリングされる。
実施形態では、子宮内膜症の治療法は、薬物ベースの治療法または外科的治療からなる群から選択される。実施形態では、子宮内膜症の外科的治療は、腹腔鏡検査または神経温存術である。実施形態では、子宮内膜症の薬物ベースの治療は、神経原性炎症の阻害または標的化、および/または鎮痛薬および/またはホルモン療法である。実施形態では、患者のサンプルは体液サンプルである。特定の実施形態では、サンプルは、全血、血清または血漿サンプルである。実施形態では、前記サンプルは、インビトロでのサンプルであり、インビトロで分析されることになり、体内に戻されることはない。
特定の実施形態では、患者は実験動物、家畜または霊長類である。特定の実施形態では、患者は、ヒト患者である。特定の実施形態では、患者は、女性のヒト患者である。
実施形態では、子宮内膜症は、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIV子宮内膜症からなる群から選択される。特定の実施形態では、子宮内膜症は、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVの子宮内膜症である。実施形態では、子宮内膜症は、早期子宮内膜症、特に、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症またはrASRM病期分類によるステージII子宮内膜症である。特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、ステージIIIまたはステージIVの子宮内膜症である。
実施形態では、子宮内膜症は、腹膜子宮内膜症、子宮内膜腫、深部浸潤子宮内膜症(DIE)および子宮腺筋症からなる群から選択される。
特定の実施形態では、評価される子宮内膜症は、rASRM病期分類によるステージIまたはIIの腹膜子宮内膜症である。
実施形態では、本発明の方法はインビトロ法である。
実施形態では、S100A8の量は、抗体を使用して、特にモノクローナル抗体を使用して測定される。実施形態では、患者のサンプル中のS100A8の量を測定する工程a)は、イムノアッセイを実施することを含む。実施形態では、イムノアッセイは、直接的または間接的形式のいずれかで実施される。実施形態では、そのようなイムノアッセイは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、または発光、蛍光、化学発光もしくは電気化学発光の検出に基づくイムノアッセイからなる群から選択される。
特定の実施形態では、患者のサンプル中のS100A8の量を測定する工程a)は、
i)患者のサンプルを、S100A8に特異的に結合する1種以上の抗体とインキュベートし、それによって抗体とS100A8との複合体を生成すること、および
ii)工程i)で生成された複合体を定量し、それによって患者のサンプル中のS100A8の量を定量することを含む。
特定の実施形態では、工程i)において、サンプルを、S100A8に特異的に結合する2種の抗体とインキュベートする。当業者に明らかなように、サンプルは、第1の抗S100A8抗体/S100A8/第2の抗S100A8抗体複合体を形成するのに十分は時間および条件下で、いずれかの所望の順序で、すなわち、最初に第1の抗体、次いで第2の抗体と、または最初に第2の抗体、次いで第1の抗体と、または同時に第1の抗体および第2の抗体と接触させ得る。当業者が容易に認識するように、特異的抗S100A8抗体およびS100A8抗原/分析物の間の複合体(=抗S100A8複合体)、またはS100A8に対する第1の抗体、S100A8(分析物)および第2の抗S100A8抗体(=抗S100A8抗体/S100A8/第2の抗S100A8抗体複合体)を含む二次複合体またはサンドイッチ複合体の形成に適切または十分な時間および条件を確立することは、日常的な実験にすぎない。
抗S100A8抗体/S100A8複合体の検出は、何らかの適切な手段によって実施することができる。第1の抗S100A8抗体/S100A8/第2の抗S100A8抗体の複合体の検出は、任意の適切な手段によって実施し得る。当業者は、このような手段/方法に完全に精通している。
特定の実施形態では、S100A8に対する第1の抗体、S100A8(分析物)およびS100A8に対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識される。
一実施形態では、S100A8に対する第1の抗体、S100A8(分析物)およびS100A8に対する第2の抗体を含むサンドイッチが形成され、第2の抗体は検出可能に標識され、第1の抗S100A8抗体は固相に結合することが可能であるか、または固相に結合している。
実施形態では、第2の抗体は、直接的または間接的に検出可能に標識されている。特定の実施形態では、第2の抗体は、発光色素、特に化学発光色素または電気化学発光色素で検出可能に標識されている。
実施形態では、方法は、患者の月経困難症および/または下腹部痛の存在を評価することをさらに含む。実施形態では、月経困難症および/または下腹部痛の存在は、VASスケールによって評価される。実施形態では、月経困難症のVASスコアが4以上であることは、月経困難症が中等度または重度であることを示した。実施形態では、3以下のスコアは、月経困難症がないことまたは軽度であることを示す。
実施形態では、方法は、CA-125の量または濃度を測定することをさらに含む。
実施形態では、方法は、前記S100A8の量もしくは濃度と前記VASスケールによる月経困難症との割合、前記S100A8の量もしくは濃度と前記VASスケールによる下腹部痛との割合、または前記S100A8の量もしくは濃度と前記CA-125の量もしくは濃度との割合を計算することを含む。
更なる実施形態では、本発明は、以下の態様に関する。
1.患者が子宮内膜症に罹患しているか、または子宮内膜症を発症するリスクがあるかどうかを評価する方法であって、
前記患者のサンプル中のS100A8の量または濃度を測定すること、および
測定した前記量または濃度を基準と比較することを含む、方法。
2.子宮内膜症の治療(特に薬物ベースの治療または外科的治療(腹腔鏡検査))のために患者を選択する方法であって、
前記患者のサンプル中のS100A8の量または濃度を測定すること、および
測定した前記量または濃度を基準と比較することを含む、方法。
3.子宮内膜症に罹患しているか、または子宮内膜症を処置している患者をモニタリングする方法であって、
前記患者のサンプル中のS100A8の量または濃度を測定すること、および
測定した前記量または濃度を基準と比較することを含む、方法。
4.前記患者のサンプル中のS100A8の量または濃度の上昇が、前記患者において子宮内膜症が存在することを示す、態様1~3に記載の方法。
5.前記サンプルが、体液である、態様1~4に記載の方法。
6.前記サンプルが、血液、血清、または血漿である、態様1~5に記載の方法。
7.前記被験者が、女性患者、特にヒト女性患者である、態様1~6に記載の方法。
8.前記評価が、rASRM病期分類とは無関係に実施される、態様1~7に記載の方法。
9.子宮内膜症が、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIV子宮内膜症からなる群から選択される、態様1~8に記載の方法。
10.子宮内膜症が、早期子宮内膜症、特に、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症またはrASRM病期分類によるステージII子宮内膜症である、態様1~9に記載の方法。
11.子宮内膜症が、腹膜子宮内膜症、子宮内膜腫、深部浸潤子宮内膜症および子宮腺筋症からなる群から選択される、態様1~10に記載の方法。
12.VASスケールによる月経困難症および/またはVASスケールによって下腹部痛を評価することをさらに含む、態様1~11に記載の方法。
13.CA-125の量または濃度を測定することをさらに含む、態様1~12に記載の方法。
14.前記S100A8の量もしくは濃度と前記VASスケールによる月経困難症との割合、前記S100A8の量もしくは濃度と前記VASスケールによる下腹部痛との割合、または前記S100A8の量もしくは濃度と前記CA-125の量もしくは濃度との割合を計算することを含む、態様12または13に記載の方法。
以下の実施例および図面は、本発明の理解を助けるために提供されており、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の思想から逸脱することなく、定められた手順に変更を加えることができると理解される。
実施例
実施例1 子宮内膜症の女性および対照におけるバイオマーカーS100A8、およびバイオマーカーの組み合わせの診断性能
測定のために、ヒト女性からの合計21個の血清および31個の血漿サンプルを分析した。分析物の濃度をELISA(酵素結合免疫吸着測定法)によって測定した。症例群は、腹腔鏡視覚化とその後の組織学的確認による診断によって骨盤内子宮内膜症(ASRM病期分類によるステージI~IV)と診断された患者と、子宮内膜症ではない健常女性を含む対照群とで構成される。
ヒト血清中のS100A8の濃度を、CircuLex/MBLのHuman S100A8/MRP8 ELISAキット(Biozol Eching,Germanyより販売;カタログ番号:CY-8061)を使用して測定した。キットは、定量的サンドイッチELISA技術を利用する。このアッセイの測定範囲は、78.1pg/mL~5,000pg/mLである。マイクロタイタープレートを、ヒトS100A8に特異的なモノクローナル抗体でプレコーティングする。サンプルを200倍希釈して測定する。全ての試薬を室温にした後、各サンプルおよび標準液100μLを添加する。サンプルは、単一検体で測定し、標準は2連で測定する。1分あたり650回転(rpm)に設定したマイクロプレートシェーカー上で室温で1時間インキュベートする間、S100A8が存在すれば、マイクロタイタープレート上の固定化された捕捉抗体に結合する。洗浄工程(4×350μL)の際に、S100A8に特異的な酵素結合モノクローナル抗体100μLをウェルに添加する前に、未結合物質をプレートから除去する。シェーカー上で1時間インキュベートし、未結合の検出抗体を除去するために別の洗浄工程を行った後、100μLの基質溶液をプレートに添加する。次の10分間に、色は最初の工程で結合したS100A8の量に比例して発現する。100μLの停止溶液を添加することによって発色を停止させ、プレートリーダーを用いて、検出のために450nmおよびバックグラウンド減算のために570nmで色強度を測定する。検量線を生成するために、キットと共に提供された凍結乾燥組換えS100A8を再構成し、標準物質希釈液で希釈した。アッセイの較正範囲は78.1pg/mL~5,000pg/mLである。標準物質6(5,000pg/mL)を、ヒトS100A8標準(キットに備えられている)を400μLの希釈緩衝液およびさらに1:10に希釈して再構成することによって調製する。標準物質5から標準物質1(78.1pg/mL)は、標準物質希釈剤において連続2倍希釈工程によって調製する。純粋な標準物質希釈剤はブランクとして機能する(0pg/mL)。検量線は、重み付けなしの4パラメータ非線形回帰(ニュートン/ラフソン)を用いてフィッティングした。
CA-125の濃度は、cobas e 601分析装置によって測定した。cobas e 601分析装置によるCA 125 IIの検出は、Elecsys(登録商標)Electro-ChemiLuminescence(ECL)技術に基づく。手短に説明すると、ビオチン標識抗体およびルテニウム標識抗体をそれぞれの量の未希釈サンプルと合わせ、分析装置上でインキュベートする。次いで、ビオチン標識免疫複合体の結合を促進するために、ストレプトアビジン被覆磁性微粒子を加え、装置上でインキュベートする。このインキュベーション工程の後、反応混合物を測定セルに移し、そこでビーズを電極の表面に磁気的に捕捉する。次いで、結合したイムノアッセイ複合体を遊離の残りの粒子から分離するために、その後のECL反応のためのトリプロピルアミン(TPA)を含有するProCell M緩衝液を測定セルに導入する。次に、作用電極と対電極との間の電圧の誘導により、ルテニウム錯体およびTPAによる光子の放出をもたらす反応が開始する。得られた電気化学発光シグナルは、光電子増倍管によって記録され、それぞれの分析物の濃度レベルを示す数値に変換される。
受信者動作特性(ROC)曲線を作成した(単一バイオマーカーについては図1を、バイオマーカーおよび臨床症状の組み合わせについては図2を参照されたい。)。モデル性能は、曲線下面積(AUC)を調べることによって決定される。可能な限り最良のAUCは1であり、可能な限り最低のAUCは0.5である。最適なカットオフを、ヨーデン指数(感度+特異度の最大和-1)を使用して選択した。
表1:子宮内膜症の女性および対照におけるバイオマーカーS100A8、およびバイオマーカーの組み合わせの診断性能
Figure 0007421631000001
多変量解析のために、AUCプロット、種々のバイオマーカーの組み合わせのカットオフを適用して、多変量ロジスティック回帰分析およびヨーデン指数に基づいて子宮内膜症を予測した。月経困難症のVASスコアが4以上であることは、月経困難症が中等度または重度であることを示した。3以下のスコアは、月経困難症がないことまたは軽度であることを示す。
表2:多変量ロジスティック回帰分析およびヨーデン指数に基づいて子宮内膜症を予測するための様々なバイオマーカーの組み合わせのカットオフ
Figure 0007421631000002
*切片α:曲線がy軸と交差する点**パラメータβ:各変数に対する線形回帰曲線の傾き。
パラメータαおよびβの値は、それぞれ、多変量解析に包含される被検物質および臨床症状によって異なる。
S100A8および月経困難症のVASを用いた多変量ロジスティック回帰モデル:
・ロジット=α+(β1*S100A8値[pg/mL])+(β2*月経困難症値[VAS])≧カットオフの場合、疾患(すなわち子宮内膜症ステージI、II、IIIまたはIV)であり、そうでなければ疾患ではない
または
・ロジット=-3.1474+(0.000033*S100A8)+(-0.8672*月経困難症値)≧-0.58422である場合、疾患(すなわち子宮内膜症ステージI、II、IIIまたはIV)であり、そうでなければ疾患ではない。
子宮内膜症症例/対照および子宮内膜症症例G1/2(rASRMステージI~II)/子宮内膜症症例G3~4(rASRMステージIII~IV)/対照について箱ひげ図を作成した(図3参照)。データは、中央値(中央四分位)、四分位範囲(群のスコアの中央50%を表す)、上位四分位(スコアの75%が上位四分位を下回る)、下位四分位(スコアの25%が下位四分位を下回る)を含む箱ひげ図を使用して提示される。ひげは、それぞれ5パーセンタイルおよび95パーセンタイルを示す。
実施例2 子宮内膜症の女性および対照におけるバイオマーカーS100A8、およびバイオマーカーの組み合わせの診断性能。
症例群は、腹腔鏡視覚化とその後の組織学的確認による診断によって子宮腺筋症と診断された患者と、子宮内膜症ではない健常女性を含む対照群とで構成される。症例群の組み入れ基準は、骨盤痛/不妊症の存在、および年齢が18~45歳であることであった。症例群の除外基準は、妊娠/授乳、悪性腫瘍、再発性子宮腺筋症および6ヶ月以内に腹腔鏡検査/開腹術を受けていることであった。
ヒト血清中のS100A8の濃度を、CircuLex/MBL由来のHuman S100A8/MR8 ELISAキットを使用して測定した(詳細については、前記実施例1を参照のこと)。
CA-125の濃度は、実施例1で前述したように、Elecsys(登録商標)CA 125 IIを使用してcobas 601分析装置によって測定した。
単一バイオマーカーの単変量モデルによって、受信者動作特性(ROC)曲線を作成した。モデル性能は、曲線下面積(AUC)を調べることによって決定される。
表3.子宮腺筋症の症例および対照における単一バイオマーカーS100A8およびCA-125の診断性能。
Figure 0007421631000003
子宮腺筋症の症例を対照と区別するためのS100A8の診断性能は、バイオマーカーCA-125の診断性能と比較して高い。
図4Aは、子宮腺筋症の症例および対照におけるS100A8の血清レベルの箱ひげ図を示す。図4Bは、子宮腺筋症の症例および対照におけるS100A8の血清レベルのROC曲線を示す。(A)箱ひげ図は、子宮腺筋症の症例に対する対照の血清S100A8のレベルを示す。各ボックスの下縁および上縁は、それぞれ第1および第3の四分位値に対応する。中央の太線は中央値を表し、上下のひげは四分位範囲の1.5倍の値を表す。(B)血清S100A8のROC曲線を対照および子宮腺筋症の症例について示す。
図5Aは、子宮腺筋症の症例および対照におけるCA-125の血清レベルの箱ひげ図を示す。図5Bは、子宮腺筋症の症例および対照におけるCA-125の血清レベルのROC曲線を示す。(A)箱ひげ図は、子宮腺筋症の症例に対する対照の血清CA-125のレベルを示す。各ボックスの下縁および上縁は、それぞれ第1および第3の四分位値に対応する。中央の太線は中央値を表し、上下のひげは四分位範囲の1.5倍の値を表す。(B)血清CA-125のROC曲線を対照および子宮腺筋症の症例について示す。

Claims (16)

  1. 患者が子宮内膜症に罹患しているか、または子宮内膜症を発症するリスクがあるかどうかを評価するための方法であって、
    前記患者のサンプル中のS100A8の量または濃度を測定すること、および
    前記測定した量または濃度を基準と比較すること
    を含み、
    ここで、前記サンプルは血液、血清、または血漿である、
    方法。
  2. 子宮内膜症の治療のために患者を選択するための方法であって、
    前記患者のサンプル中のS100A8の量または濃度を測定すること、および
    前記測定した量または濃度を基準と比較すること
    を含み、
    ここで、前記サンプルは血液、血清、または血漿である、
    方法。
  3. 治療が薬物ベースの治療または外科的治療である、請求項2記載の方法。
  4. 外科的治療が腹腔鏡検査である、請求項に記載の方法。
  5. 子宮内膜症に罹患しているか、または子宮内膜症を処置している患者をモニタリングする方法であって、
    前記患者のサンプル中のS100A8の量または濃度を測定すること、および
    前記測定した量または濃度を基準と比較すること
    を含み、
    ここで、前記サンプルは血液、血清、または血漿である、
    方法。
  6. 前記患者のサンプル中のS100A8の量または濃度の基準と比較した上昇が、前記患者において子宮内膜症が存在することを示す、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記患者が、女性患者である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記患者がヒト女性患者である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記方法が、rASRM病期分類とは無関係に実施される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 子宮内膜症が、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIII子宮内膜症、rASRM病期分類によるステージIV子宮内膜症からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 子宮内膜症が早期子宮内膜症である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  12. 子宮内膜症が、rASRM病期分類によるステージI子宮内膜症またはrASRM病期分類によるステージII子宮内膜症である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 子宮内膜症が、腹膜子宮内膜症、子宮内膜腫、深部浸潤子宮内膜症および子宮腺筋症からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 子宮内膜症が子宮腺筋症である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. VASスケールによる月経困難症および/またはVASスケールによる下腹部痛の評価をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. CA-125の量または濃度を測定することをさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
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